JP2015131778A - プロピレンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】炭化水素原料からプロピレンを製造するに際し、効率よくプロピレンが製造でき、かつエチレンの分離に必要な設備やエネルギーを低減させたプロピレンの製造方法を提供する。
【解決手段】炭化水素原料を、ゼオライトを活性成分とする触媒と接触させてプロピレンを製造する方法において、前記炭化水素原料が少なくともエチレン及びプロピレンを含み、かつ前記ゼオライトが0.5nm未満の細孔径を有するゼオライトであることを特徴とするプロピレンの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、炭化水素原料を、ゼオライトを活性成分とする触媒と接触させてプロピレンを製造する方法に関する。
従来、プロピレンの製造方法としては、ナフサのスチーム分解法や減圧軽油の流動接触分解法といった各種の「クラッキングプロセス」による方法が知られている。しかし、スチーム分解法では、エチレンやブテン等のプロピレン以外のオレフィンが多量に生成し、また各オレフィンの生成比率を大きく変えることは難しい。そこで、プロピレン以外のオレフィンをプロピレンに変換する技術が検討されている。特にプロピレン以外のオレフィンとして最も多く生成するエチレンからプロピレンを製造する方法が検討されている。
例えば特許文献1では、エチレン、プロピレン及びブテン等の各種のオレフィンをゼオライトと接触させ、別のオレフィンに変換する方法が検討されている。
例えば特許文献2では、5〜6.5Åの細孔径を有するゼオライトに、エチレンを含有する炭化水素原料を接触させてプロピレンを製造する方法が記載されている。
また特許文献3では、細孔径が0.5nm未満の細孔を有するゼオライトにエチレンを接触させることでプロピレンを高い選択率で得られることが示されている。
特開昭60−166639号公報 国際公開第2009/031445号パンフレット 特開2007−291076号公報
しかし、特許文献1の技術は、エチレン転化率とプロピレン選択率が共に低いため、プロピレンを製造する方法としては不十分である。
また特許文献2の技術もプロピレン収率が30%以下にとどまり、未だプロピレンの製造方法としては不十分である。
また、特許文献3の技術は、エチレン及びエタノールを原料とした場合、高い収率でプロピレンの製造が可能である。しかし本発明者らが特許文献3の技術を検討した結果、エチレンに対するプロピレンの比率は2.4であった。プロピレンを工業生産する上では、さらに高い比率でプロピレンを得ることが望まれる。
一方、特許文献1〜3の反応において前記炭化水素原料を用いる際は、炭化水素原料からエチレンを分離して用いている。
前記炭化水素原料は、通常エチレン以外の複数のオレフィンやそれ以外の成分を含んでいる。そしてゼオライトは、エチレン以外のオレフィンとも接触時に反応し、プロピレン以外の副生成物を生じることが知られている。例えば特許文献1の技術では、プロピレンや1−ブテンを原料としてゼオライトと接触させた際に、炭素数4以上のオレフィンやパラフィンが生成している。そのためエチレンからプロピレンを高い収率で得られる触媒を用いても、反応原料中にエチレン以外のオレフィンが含まれる場合、反応生成物全体ではプロピレン以外の成分が増大すると考えられる。また、例えば特許文献2の技術では、エチレンと1−ブテンの混合物を反応させた際に、エチレンのみを反応させた場合と比べてC6〜C8アロマ成分の比率が増大している。
そのため炭化水素原料をゼオライトと接触させる場合、炭化水素原料からエチレンを分離、精製して用いることが望ましいが、この分離・精製は設備やエネルギー面での負荷が大きいため、工業生産上不利であるという課題がある。
本願発明は炭化水素原料からプロピレンを製造するに際し、効率よくプロピレンが製造でき、かつエチレンの分離に必要な設備やエネルギーを軽減させたプロピレンの製造方法を提供することを課題とする。
発明者らは前記課題を解決するために、鋭意検討を重ねた結果、少なくともエチレンとプロピレンを含む炭化水素原料を原料としてゼオライトを活性成分とする触媒と接触させると、炭化水素原料中のエチレンが選択的に反応して、炭化水素原料中のプロピレン由来の副反応が抑制され、高い収率でプロピレンを製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明の要旨は、
[1]炭化水素原料を、ゼオライトを活性成分とする触媒と接触させてプロピレンを製造する方法において、前記炭化水素原料が少なくともエチレン及びプロピレンを含み、かつ前記ゼオライトが0.5nm未満の細孔径を有することを特徴とするプロピレンの製造方法、
[2]炭化水素原料を、ゼオライトを活性成分とする触媒と接触させてプロピレンを製造する方法において、前記炭化水素原料が少なくともエチレン及びプロピレンを含み、該炭化水素原料中のエチレンに対するプロピレンの質量比が、0.05以上、10以下であることを特徴とするプロピレンの製造方法、
[3]前記ゼオライトが、0.5nm未満の細孔径を有することを特徴とする上記[2]に記載のプロピレンの製造方法、
[4]前記炭化水素原料中のエチレンに対するプロピレンの質量比が10以下であることを特徴とする上記[1]に記載のプロピレンの製造方法、
[5]前記炭化水素原料が、炭素数4〜8の炭化水素の少なくとも1種をさらに含むことを特徴とする上記[1]〜[4]のいずれか1に記載のプロピレンの製造方法、
[6]前記炭化水素原料が、ナフサの分解により得られたものであることを特徴とする上記[1]〜[5]のいずれか1に記載のプロピレンの製造方法、に存する。
本発明により、炭化水素原料中のプロピレン/エチレン比率を増大させることができ、かつ高い収率でプロピレンを製造することができる。さらに炭化水素中に含まれるエチレン以外の炭化水素の分離・精製工程を軽減することができるため、分離・精製に要する設備やエネルギーを削減することができる。
生成物中のエチレンとプロピレンの合計収率と、エチレンに対するプロピレンの質量比の関係を表すものである。
本発明は、炭化水素原料を、ゼオライトを活性成分とする触媒と接触させてプロピレンを製造する方法であって、前記炭化水素原料が少なくともエチレン及びプロピレンを含むものであり、具体的に本発明は下記の2つの製造方法に存する。
本発明の第一の態様(以下、「第一発明」と称する。)は、炭化水素原料を、ゼオライトを活性成分とする触媒と接触させてプロピレンを製造する方法において、前記炭化水素原料が少なくともエチレン及びプロピレンを含み、かつ前記ゼオライトが0.5nm未満
の細孔径を有することを特徴とするプロピレンの製造方法である。
本発明の第二の態様(以下「第二発明」と称する。)は、炭化水素原料を、ゼオライトを活性成分とする触媒と接触させてプロピレンを製造する方法において、前記炭化水素原料が少なくともエチレン及びプロピレンを含み、該炭化水素原料中のエチレンに対するプロピレンの質量比が、0.05以上、10以下であることを特徴とするプロピレンの製造方法である。
以下、上記第一発明及び第二発明(以下、両発明をまとめて「本発明」と称する場合がある。)につき詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
(1)触媒
本発明において用いられる触媒は、ゼオライトを活性成分とする触媒(以下、これを「ゼオライト触媒」ということがある。)である。
(ゼオライト)
ゼオライトとは、四面体構造をもつTO単位(Tは、ゼオライトを構成する酸素以外の原子をいい、以下、中心原子という)が酸素原子を共有して三次元的に連結し、開かれた規則的なミクロ細孔(以下、単に「細孔」ということがある)を形成している結晶性化合物をいう。
前記ゼオライトの中心原子Tは、本発明の目的を満たす限りにおいては特に限定はされないが、例えばSi、P、Ge、As等が挙げられる。またこれらの中心原子Tは、その他の原子、例えばAl、Ga、Fe、Ti、B、Si、Mg、Co、Zn、Mn等で一部置換されていてもよい。
上記結晶性化合物としては、例えばケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、ガロケイ酸塩、フェリケイ酸塩、チタノケイ酸塩、ボロケイ酸塩等のケイ酸塩類;リン酸塩、アルミノリン酸塩、シリコアルミノリン酸塩、ガロリン酸塩、ベリロリン酸塩等のリン酸塩類;ゲルマニウム酸塩、アルミノゲルマニウム酸塩等のゲルマニウム酸塩類;ヒ酸塩、アルミノヒ酸塩等のヒ酸塩類;等が挙げられる。
これらの中で、エチレン転化活性が高い点でケイ酸塩類、リン酸塩類が好ましく、中でも安定性が高い点でケイ酸塩類がより好ましく、ケイ酸塩類の中ではアルミノケイ酸塩、ガロケイ酸塩、フェリケイ酸塩が好ましく、エチレン転化活性及び安定性がより高い点でアルミノケイ酸塩がさらに好ましい。
上記第一発明において用いられるゼオライトは、0.5nm未満の細孔径を有するものである。また、上記第二発明において用いられるゼオライトの細孔径は特に限定されず、好ましくは0.6nm未満、より好ましくは0.5nm未満である。
また上記第一及び第二発明で用いられるゼオライトの細孔径の下限は特に限定されず、いずれも通常0.2nm以上、好ましくは0.3nm以上である。
なお、上記細孔径とは、国際ゼオライト学会(International Zeolite Association;
以下、「IZA」という。)が定める結晶学的なチャネル直径(Crystallographic free diameter of the channels)を示す。例えば「細孔径が0.5nm未満」であるとは、細孔(チャネル)の形状が真円形の場合は、その平均直径が0.5nm未満であることを意味するが、細孔の形状が楕円径の場合は、短径が0.5nm未満であることを意味する。
炭化水素原料中にエチレンとプロピレンが含まれる場合、上記の細孔径を有するゼオライトを触媒活性成分として用いることにより、分子径がより小さいエチレンが、プロピレンよりも優先してゼオライト細孔内へ進入し、反応することで選択的にプロピレンを生成
する。一方、炭化水素原料中に含まれるプロピレンは、エチレンに比べゼオライト細孔内に進入しにくいため、触媒との接触による副反応が抑制され、未反応のまま反応器から出る。そのため少なくともエチレン及びプロピレンを含む炭化水素原料から、プロピレンを効率よく製造できるものと考えられる。
本発明において用いられるゼオライトは、特に限定されないが、通常、酸素10員環以下の構造を含むものであり、好ましくは8〜10員環構造を含むものであり、より好ましくは、エチレンとプロピレンを含有する炭化水素原料を効率よくプロピレンに変換できる点で酸素8員環構造または酸素9員環構造を含むものであり、酸素8員環のみを含むものが、反応生成物におけるエチレンに対するプロピレンの質量比を向上させることができる点でさらに好ましい。
ここで酸素10員環以下の構造とは、ゼオライトの有する細孔が、TO単位で10個以下である環構造であることを意味し、酸素8員環構造、酸素9員環構造とは、それぞれTO単位で8個または9個からなる環構造であることを意味する。
上記の酸素10員環以下の細孔を有するゼオライトを触媒活性成分として用いることにより、炭化水素原料中に含まれるエチレンが、プロピレンよりも優先してゼオライト細孔内へ進入し、反応することによりプロピレンへと変換され、また炭化水素原料中に含まれるプロピレンは未反応のまま反応器から出るため、プロピレンを効率よく製造できるものと考えられる。
前記酸素10員環以下の構造を含むゼオライトとしては、IZAが規定するコードで表すと、AEI、AEL、AFO、AFX、AHT、CAS、CHA、DAC、DDR、ERI、ESV、EUO、FER、GIS、GOO、HEU、IMF、ITE、ITH、JBW、KFI、LAU、LEV、LOV、LTA、MEL、MER、MFI、MFS、MON、MTF、MTT、MWW、NAT、NES、PAU、PHI、RHO、RRO、RSN、RTE、RTH、RWR,SFF、SFG、STF、STI、STT、SZR、TON、TUN、UFI、WEI等が挙げられる。
このうち酸素9員環で構成されているゼオライトとしては、具体的には、LOV、NAT、RSN等のように酸素9員環とともに酸素8員環を含んでいるもの、STTのように酸素9員環とともに酸素7員環を含んでいるもの等が挙げられる。
酸素8員環のみで構成されているゼオライトとしては、具体的には、例えば、AEI、AFX、CAS、CHA、DDR、ERI、ESV、GIS、GOO、ITE、JBW、KFI、LEV、LTA、MER、MON、MTF、PAU、PHI、RHO、RTE、RTH、RWR,UFI等が挙げられる。
これらのうち、本発明におけるゼオライトの骨格構造としては、AEI、AFX、CHA、DDR、ERI、KFI、LEV、LTA、RHO、RTH、UFIが好ましく、より好ましくはCHAである。これらの構造は、後述するフレームワーク密度が小さいため、炭化水素の転化反応において細孔内へのコーキングが進行しても、細孔閉塞が起こりにくい構造であるため好ましい。
IZAが規定するコードにおいてCHAにより表される構造(以下、CHA構造という)のゼオライトとは、天然に産出されるチャバサイト(Chabazite)と同じく、0.38
×0.38nmの酸素8員環構造を有する、3次元の結晶構造を有するものである。
本発明において用いられる具体的なCHA構造のゼオライトとしては、特に限定されないが、前記のケイ酸塩とリン酸塩が挙げられる。このうち、エチレン転化活性が高い点でアルミノケイ酸塩、ガロケイ酸塩、フェリケイ酸塩、シリコアルミノリン酸塩が好ましく、中でも安定性が高い点でアルミノケイ酸塩、ガロケイ酸塩、フェリケイ酸塩がより好ま
しく、さらにはエチレン転化活性が高く、かつ安定性が高い点でアルミノケイ酸塩がさらに好ましい。
本発明において用いられるゼオライトのフレームワーク密度は、特に限定されるものではないが、フレームワーク密度は、通常18.0T/nm以下であり、好ましくは17.0T/nm以下であり、通常11.0T/nm以上であり、好ましくは12.0T/nm以上である。前記の範囲にあることで、炭化水素の転化反応において細孔閉塞が起こりにくい点で好ましい。
ここでのフレームワーク密度(単位:T/nm)とは、ゼオライトの単位体積(1nm)当たりに存在する骨格を形成する酸素以外の原子(T原子)の個数を意味し、この値はゼオライトの構造により決まるものである。なお、フレームワーク密度とゼオライトの構造との関係は、IZAの構造委員会(Structure Commission)により編纂されたゼオライトに関するデータ集(Atlas of Zeolite Framework Types,Sixth Revised Edition 2007, ELSEVIER)に示されている。
本発明において用いられるゼオライトの組成は特に限定はされないが、ケイ酸塩の場合、SiO/M(但し、Mはアルミニウム、ガリウム、鉄、チタン、ホウ素など3価の金属を示す。)モル比で表した場合、通常5以上、好ましくは10以上、より好ましくは15以上であり、通常500以下、好ましくは300以下、より好ましくは100以下である。SiO/Mモル比が上記範囲にあることで十分な酸量が得られ、高いエチレン転化率が得られる。またコーク付着による触媒の失活、アルミニウムの骨格からの脱離(脱アルミニウム)、酸点当たりの酸強度の低下といった現象を防ぐことができる。
また本発明において用いられるゼオライトがリン酸塩の場合、シリコアルミノリン酸塩の(Al+P)/Siモル比あるいは2価の金属をもつメタロアルミノリン酸塩の(Al+P)/M(但し、Mは2価の金属を示す。)モル比は、好ましくは5以上、より好ましくは10以上であり、上限は、通常500以下である。この値が上記範囲にあることで、触媒の活性と、耐久性を向上させることができる。
本発明において用いられるゼオライトは、通常プロトン型(以下、H型ともいう)が用いられるが、その一部がNaやK等のアルカリ金属、MgやCa等のアルカリ土類金属、Cr、Cu,Ni、Fe等の遷移金属に交換されていてもよい。
これらイオン交換サイト以外に、Na、K等のアルカリ金属、Mg、Ca等のアルカリ土類金属、Cr、Cu,Ni、Fe等の遷移金属が担持されていてもよい。ここで、金属担持は、通常、平衡吸着法、蒸発乾固法、ポアフィリング法等の含浸法で行うことができる。
本発明において用いられるゼオライトの外表面酸量は特に限定されるものではないが、通常、ゼオライトの結晶の全酸量に対して5%以下であるものが好ましい。結晶の全酸量とは、結晶の細孔内に存在する酸点の量と外表面に存在する酸点の総和である。外表面酸量の割合が上記範囲であることで炭化水素原料中に含まれるエチレンやプロピレン、ゼオライト細孔内で生成したプロピレンの、ゼオライト細孔の形状選択性が働かない外表面酸点での反応が抑制されることにより、プロピレンの収率が向上する傾向がある。
なお、外表面酸量を低下させる方法としては、ゼオライトの外表面をシリル化する方法、ゼオライトを水蒸気処理あるいは熱処理する方法、ゼオライトを成型する際にバインダーとゼオライトの外表面酸点を結合させる、といった方法が挙げられ、国際公開2010/128644号パンフレットまたは特開2013‐75276号公報で開示された方法
によって行うことができる。
本発明において用いられる触媒の活性成分であるゼオライトは、そのまま触媒として反応に用いてもよいし、反応に不活性な物質やバインダーを用いて、造粒・成型して、またはこれらを混合して反応に用いてもよい。該反応に不活性な物質やバインダーとしては、特に限定されず、シリカまたはシリカゾル、アルミナ、アルミナゾル、石英、およびそれらの混合物等が挙げられる。
(2)炭化水素原料
本発明において用いられる炭化水素原料は、少なくともエチレン及びプロピレンを含有する。前記炭化水素原料は、エチレン及びプロピレン以外の炭化水素(以下、「その他の炭化水素」ということがある。)を含有していてもよく、例えばブテン、ペンテン、ヘキセン等の、エチレン及びプロピレン以外のオレフィン類;メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等のパラフィン類;アセチレン、メチルアセチレン等のアルキン類;プロパジエン、ブタジエン、ペンタジエン、ヘキサジエン等のジエン類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等を含んでいてもよい。上記のオレフィン類、パラフィン類、アルキン類、ジエン類は、直鎖状構造でも環状構造でもよく、また分岐状の異性体を任意の比率で含んでいてもよい。
通常、炭化水素原料からのプロピレン製造において、オレフィン類であるプロピレンは、ゼオライトとの接触でエチレンやブテン等の別のオレフィンに変換されやすいため、プロピレンを分離した炭化水素原料が用いられる。本発明のプロピレンの製造方法において、エチレンとともにプロピレンを含有する炭化水素原料を、前記ゼオライト触媒と接触させる場合、エチレンは細孔内の活性点での反応により効率的にプロピレンに変換される。これに対して分子径の大きいプロピレンは、エチレンに比べより細孔内へ進入しにくく、未反応のまま反応器から出てくるため、プロピレン収率を下げないと考えられる。したがって、本発明のプロピレンの製造方法により、プロピレンを含む炭化水素原料から予めプロピレンを分離することなく、プロピレン製造後に一括して分離・精製を行えばよい。
エチレン及びプロピレン以外の炭化水素のうち、オレフィン類、アルキン類、ジエン類は、その分子径が概ねエチレンに比べて大きいため、エチレン及びプロピレンと共存する場合、本発明におけるプロピレン同様、よりゼオライト細孔内へ進入しにくく、未反応のまま反応器から出てくるため、プロピレン収率に影響を与えないと考えられる。また上記のその他の炭化水素は、後述する希釈ガスとしても作用すると考えられる。
また前記その他の炭化水素のうち、パラフィン類はゼオライトと接触させた場合でも反応が起こりにくいため、プロピレン収率に影響は与えず、希釈ガスとして作用すると考えられる。
前記その他の炭化水素として、本発明の炭化水素原料として用いる際の分離が比較的容易であること、プロピレン製造反応時に副反応を起こしにくいこと、またプロピレン製造反応後の分離・精製が比較的容易であることから、炭素数4〜8の炭化水素の少なくとも1種が好ましく、コークの生成が起こりにくく、触媒を長寿命化させる観点から、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン等のオレフィン類;およびブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等のパラフィン類がより好ましい。なお前記炭化水素は、直鎖状構造でも環状構造でもよく、また分岐状の異性体を任意の比率で含んでいてもよい。
なお前記炭化水素原料中の前記その他の炭化水素の含有量は特に限定はされないが、通常70質量%以下であり、好ましくは60質量%以下であり、より好ましくは50質量%以下であり、通常0質量%以上である。前記その他の炭化水素の含有量を上記の範囲とす
ることにより、反応器出口におけるプロピレン収率が十分なものとなり、分離・精製の負荷も軽減できる点で好ましい。
本発明における炭化水素原料中には、エタノール、ジメチルエーテル、メタノールを含んでいてもよい。これらは本発明に用いるゼオライト触媒に存在する酸点との接触により、原料中に含まれるエタノール、ジメチルエーテル、メタノールはエチレンやプロピレン等のオレフィンに変換されるためである。
本発明における炭化水素原料中には、アルカリ金属、硫黄化合物、重金属等が含まれていてもよいが、これらの成分の含有量は少ない方が好ましく、含有していないことがより好ましい。
アルカリ金属の含有量は、特に限定されないが、通常1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下である。アルカリ金属は触媒の被毒物質として働くため、含有量の少ない炭化水素原料を用いる方が、触媒寿命が長く、生産性がよいためである。
硫黄化合物の含有量は、特に限定されないが、化学発光法によって測定される全硫黄分として、通常20ppm以下、好ましくは1ppm以下、より好ましくは0.5ppm以下である。硫黄化合物は、原料に含まれる形態または反応によって変化した形態で製品のプロピレンに混入することがあり、ポリプロピレン製造触媒等に悪影響を与える場合があるので、含有量の少ない炭化水素原料がより好ましい。
重金属の含有量は、特に限定されないが、通常1ppm以下である。重金属等は、触媒性能の変化および触媒劣化の原因になることがあるため、含有量の少ない炭化水素原料が好ましい。なお、上記物質の含有量(ppm)は質量基準である。
本発明における炭化水素原料中に含まれるエチレン及びプロピレンの合計量は、特に限定されるものではないが、反応器に供給する炭化水素原料の全体の質量に対し、通常30質量%以上であり、好ましくは40質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上であり、通常100質量%以下である。エチレン及びプロピレンの合計含有量が前記の範囲であることにより、反応器出口におけるプロピレン収率が十分なものとなり、分離・精製の負荷も軽減できる点で好ましい。
本発明における炭化水素原料は、特に限定されず、少なくともエチレン及びプロピレンを含有するものであれば使用することができる。具体的には例えば、スチーム分解法や接触分解法といったナフサの分解により得られるもの(以下、ナフサ分解物という)、エタン、プロパン、n‐ブタン、常圧軽油(AGO)、減圧軽油(VGO)、天然ガス液(NGL)等の熱分解により製造されるもの(以下、熱分解物という)、減圧軽油や残油の流動接触分解法(FCC)により製造されるもの、MTO(Methanol to Olefin)反応により製造されるもの、ETO(Ethylene/Ethanol to Olefin)反応により製造されるもの、石炭のガス化により得られる水素/一酸化炭素混合ガスを原料としてフィッシャートロプシュ合成を行うことにより製造されるもの、メタンの酸化カップリングで得られるもの等が挙げられる。このうち上記ナフサ分解物および上記熱分解物が好ましく、ナフサ分解物がより好ましい。
本発明における炭化水素原料は、その中に含まれるエチレン及びプロピレン以外の成分を必要に応じ適宜分離、精製して用いることができる。ナフサのスチーム分解法により得られるナフサ分解物を炭化水素原料として用いる場合を例として以下説明する。
前記ナフサ分解物には、通常エチレン、プロピレン以外に、ブテンやペンテン等の炭素数4以上のオレフィン類、メタン、エタン、プロパン等のパラフィン類、アセチレンやメチルアセチレン等のアルキン類、ブタジエン等のジエン類等の炭化水素;水蒸気;水素;等が含まれる。
前記ナフサ分解物の分離及び精製は、通常まず前記分解物をガソリン塔に誘導し、前記分解物から、主として炭素数11以上の炭化水素で構成される高沸点成分(以下、分解燃料油分)を分離する。分解燃料油分を分離した後の前記分解物は、続くクエンチ塔に誘導し、主に炭素数4以下の炭化水素と水素を含むガス(以下、分解ガス)、主に炭素数5〜10の炭化水素を含む留分(以下、ガソリン留分)及び水(水蒸気)とに分離することができる。炭化水素原料中に含まれる分解燃料油分は、蒸気圧が低く、反応に供した場合に反応器入口部で凝縮しやすいため、炭化水素原料として用いる際は除去しておくことが好ましい。
上記分解ガスは、必要に応じ圧縮し、アルカリ洗浄塔に誘導することで硫黄化合物を除去する。硫黄化合物を除去後、乾燥部を通すことで、水分を十分に除去した分解ガス(以下、精製分解ガスという)が得られる。硫黄化合物や水分は、ゼオライト触媒の被毒や脱アルミニウムによる劣化を抑制できること、また後述する深冷分離工程での凝固を回避できることから、炭化水素原料として用いる際は除去しておくことが好ましい。
通常、前記分解ガスからエチレンやプロピレン等を分離、精製するためには、通常、前記分解ガスをまず深冷分離工程に導き、引き続き、脱メタン塔、脱エタン塔、エチレン精留塔、脱プロパン塔、プロピレン精留塔等を通じて行う。
「深冷分離」とは、通常、極低温、高圧条件下で液化し、蒸留操作により水素とメタンの分離を行うことをいう。そしてメタンとそれ以上の沸点を有する成分とを分離する脱メタン塔、炭素数2の炭化水素と、それ以上の沸点を有する成分とを分離する脱エタン塔、エタンとエチレンを分離するエチレン精留塔、炭素数3の炭化水素と、それ以上の沸点を有する成分とを分離する脱プロパン塔、プロパンとプロピレンを分離するプロピレン精留塔等が一般的に用いられる。
上記分離・精製工程においては、通常炭素数が小さいほど沸点が低く、低沸点成分ほど低温、高圧条件での分離が必要となり、冷却能力の高い設備が必要となり、エネルギーコストが増大する。
設備及びエネルギーコストを軽減する上では、できるだけ分離・精製工程を省略して得られる炭化水素原料を本発明に用いることが好ましい。設備の冷却能力と必要なエネルギーから、具体的には低沸点成分を分離する操作を省略して炭化水素原料とすることが好ましく、例えば深冷分離工程、脱メタン塔、脱エタン塔、エチレン精留塔が高い冷却能力を必要とするため、これらの工程を省略することが好ましい。
本発明で用いる炭化水素原料としては例えば、前記分解ガス、前記精製分解ガス、前記精製分解ガスを脱ブタン塔に導き、塔頂から得られる炭素数4以下の炭化水素を主として含む成分(以下、脱ブタン塔塔頂成分)、前記精製分解ガスを脱プロパン塔に導き、塔頂から得られる炭素数3以下の炭化水素を主として含む成分(以下、脱プロパン塔塔頂成分)等を用いることができる。好ましくは、前記脱プロパン塔塔頂成分、前記脱ブタン塔塔頂成分、前記精製分解ガスであり、より好ましくは、前記脱ブタン塔塔頂成分、前記精製分解ガスであり、さらに好ましくは、前記精製分解ガスである。上記の成分は、低沸点成分の分離・精製工程を経ずに使用することができるためである。
前記ナフサ分解物中に含まれるアルキン類やジエン類は、水添設備を通して対応するパラフィン類またはオレフィン類に転化してから前記炭化水素原料として用いることが好ましい。アルキン類やジエン類はゼオライト触媒の失活の原因となるコークが生成しやすいため、パラフィン類やオレフィン類に転化して使用することで、触媒の失活を防ぐことができるためである。
このほか、エチレン及びプロピレンを含む炭化水素原料としての分離・精製のバリエー
ションは様々想定されるが、少なくともエチレン及びプロピレンを含んでいれば、いずれの分離・精製方法で得られた炭化水素原料を用いてもよい。
本発明において、炭化水素原料中に含まれるエチレン及びプロピレン以外の成分は、本プロピレン製造反応でのゼオライト触媒との反応が抑制されるため、プロピレン製造反応後に反応器出口ガスを分離、精製することにより得られる。
上記第一発明においては、炭化水素原料中のエチレンに対するプロピレンの質量比は、特に限定されるものではないが、通常0.05以上、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.3以上であり、通常10以下であり、好ましくは5以下であり、より好ましくは3以下である。
また上記第二発明においては、炭化水素原料中のエチレンに対するプロピレンの質量比は、0.05以上、10以下である。好ましい範囲は上記第一発明と同様である。
炭化水素原料中のエチレンに対するプロピレンの質量比が前記上限超過では、気相中のエチレン分子に対するプロピレン分子の割合が大きすぎるため、ゼオライト表面への吸着、細孔内への進入が起こりやすくなり、反応器に供給したプロピレンの副反応が起こりやすくなり、副生成物が増大する傾向となる。一方、炭化水素原料中のエチレンに対するプロピレンの質量比が前記下限未満では、反応器出口でのプロピレン/エチレン比率が増大せず、プロピレンを導入する効果が小さくなる傾向がある。
(希釈ガス)
本発明の炭化水素原料は、反応器に供給する際に、本発明の効果を損ねない範囲において、適宜希釈ガスで希釈してもよい。具体的には水(水蒸気)、水素、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素、ヘリウム、アルゴンなどのガスを混合させて供給することができる。また上記炭化水素原料中に含まれるパラフィン類も、通常ゼオライトとの接触によっても反応しないので、希釈ガスとして使用することができる。そのためパラフィン類を炭化水素原料から、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、分離せずに含有させたままで用いてもよい。中でも窒素、水、水素が好ましく、反応による触媒へのコークの蓄積を抑制することができる点では水素を混合させることがより好ましい。
(3)製造条件
本発明における炭化水素原料を反応器に供給する際の、全供給成分に対する炭化水素原料の濃度(以下、炭化水素原料濃度という)は、特に限定されないが、通常5モル%以上、好ましくは10モル%以上、通常95モル%以下、好ましくは90モル%以下である。炭化水素原料の濃度を上記範囲にすることで、芳香族化合物やパラフィン類の生成を抑制することができ、プロピレン収率を向上させることができる。また反応速度を維持できるため、触媒量を抑制することができ、反応器の大きさも抑制可能となる。
上記の炭化水素原料濃度となるように、必要に応じて適宜上記の希釈ガスで炭化水素原料を希釈して用いることが好ましい。
本発明の製造方法における反応圧力は特に制限されるものではないが、通常1kPa(絶対圧、以下同様)以上、好ましくは50kPa以上、通常2MPa以下、1MPa以下である。反応圧力を上記範囲にすることでパラフィン類等の副生成物の生成量を抑制することができ、プロピレンの収率を向上させることができる。また反応速度も維持できる。
本発明の製造方法における反応温度は、特に限定されるものではないが、通常200℃以上、好ましくは300℃以上、通常700℃以下、好ましくは600℃以下である。
反応温度を上記範囲にすることで、芳香族化合物やパラフィン類の生成を抑制することができ、プロピレン収率を向上させることができる。また、ゼオライト骨格からの脱アルミニウムが抑制されるため、触媒寿命を維持できる。
本発明の製造方法における空間速度(WHSV)は、触媒(触媒活性成分)の質量当たりの反応原料である全炭化水素成分の流量(質量/時間)をいう。ここで触媒の質量とは触媒の造粒・成型に使用する不活性成分やバインダーを含まない触媒活性成分の質量である。
本発明の製造方法における空間速度は、特に限定されるものではないが、通常0.01Hr−1以上、500Hr−1以下であり、好ましくは0.1Hr−1以上100Hr−1以下である。空間速度を前記範囲に設定することで、反応器出口ガス中の未反応エチレンの割合を減らすことができ、また芳香族化合物やパラフィン類等副生成物を減らすことができるため、プロピレン収率を向上させることができる。
本発明において用いられる反応器の形態は特に制限されず、通常、連続式の固定床反応器、移動床反応器、または流動床反応器が用いられる。これらの中で、流動床反応器が好ましい。
なお、流動床反応器に前述の触媒を充填する際、触媒層の温度分布を小さく抑えるために、石英砂、アルミナ、シリカ、シリカ-アルミナ等の反応に不活性な粒状物を、触媒と
混合して充填しても良い。この場合、石英砂等の反応に不活性な粒状物の使用量には特に限定されない。なお、粒状物は、触媒との均一混合性の面から、触媒と同程度の粒径であることが好ましい。
反応に供した触媒は再生して使用することができる。具体的には、エチレン転化率が低下した触媒は、各種公知の触媒の再生方法を使用して再生することができる。
再生方法は特に限定されるものではないが、具体的には例えば、空気、窒素、水蒸気、水素等を用いて再生することができ、水素を用いて再生することが好ましい(例えば、特開2011−78962号公報に記載の方法に準じて再生することができる)。
(反応生成物)
反応器出口ガス(反応器流出物)としては、反応生成物であるプロピレン、未反応の炭化水素原料、副生成物及び希釈剤を含む混合ガスが得られる。該混合ガス中のプロピレンの濃度としては、特に限定されるものではないが、通常1モル%以上95モル%以下であり、好ましくは2モル%以上90モル%以下である。この混合ガス中には未反応の炭化水素原料として通常エチレンが含まれるが、この混合ガス中のエチレンはその少なくとも一部を反応器にリサイクルして反応原料として再利用することが好ましい。また、副生成物としては炭素数が4以上のオレフィン類、パラフィン類、芳香族化合物が挙げられる。
エチレン及びプロピレンの合計収率(収率の算出方法については後述する)としては、特に限定されるものではないが、通常60%以上、好ましくは80%、より好ましくは90%以上である。エチレン及びプロピレンの合計収率は高ければ高いほどよく、プロピレン製造における炭化水素原料コストを低減することができる。
反応器出口ガス中のエチレンに対するプロピレンの質量比としては、特に限定されるものではないが、通常、反応に供した炭化水素原料中のエチレンに対するプロピレンの質量比以上であり、エチレン及びプロピレンの合計収率90%において、好ましくは3.0以上であり、より好ましくは4.0以上であり、さらに好ましくは5.0以上である。反応器出口ガス中のエチレンに対するプロピレンの質量比は高ければ高いほどよく、目的生成物であるプロピレンの分離・精製の負荷を低減することができ、また反応器出口ガス中に含まれるエチレンを反応器にリサイクルする負荷も低減することができる。
本発明の製造方法によって得られたプロピレンは、これを重合することによりポリプロピレンを製造することができる。プロピレンの重合の方法は特に限定されないが、本発明により得られたプロピレンを直接、原料モノマーとして重合反応器に導入して使用するこ
とができる。また、本発明により得られたプロピレンは、ポリプロピレン以外にも、後述する各種反応を経てプロピレン誘導品の原料としても利用できる。例えば、アンモニア酸化によりアクリロニトリル、選択酸化によりアクロレイン、アクリル酸及びアクリル酸エステル、オキソ反応によりノルマルブチルアルコール、選択酸化によりプロピレンオキサイド及びプロピレングリコール等が製造できる。またプロピレンは、ワッカー反応によりアセトンが製造でき、更に得られたアセトンよりメチルイソブチルケトンが製造できる。またアセトンからは、アセトンシアンヒドリンを経てメチルメタクリレートを製造することができる。またプロピレンは、水和反応によりイソプロピルアルコールを製造することができる。またプロピレンは、ベンゼンと反応させて得られる、キュメンを原料にフェノール、ビスフェノールA、またはポリカーボネート樹脂を製造することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例において、各炭化水素の収率は、ガスクロマトグラフィーによる測定値から、以下の式により算出した値である。また以下の各式において、エチレン、プロピレン、C+、パラフィンの「由来カーボンモル流量(mol/Hr)」とは、各炭化水素を構成する炭素原子のモル流量を意味する。なお、パラフィンは炭素数1から3のパラフィンの合計、C+は炭素数4以上のオレフィン及びパラフィンの合計値である。
エチレン収率(%)=[反応器出口エチレン由来カーボンモル流量(mol/Hr)/反応器入口総カーボンモル流量(mol/Hr)]×100
プロピレン収率(%)=[反応器出口プロピレン由来カーボンモル流量(mol/Hr)/反応器入口総カーボンモル流量(mol/Hr)]×100
+収率(%)=[反応器出口C+由来カーボンモル流量(mol/Hr)/反応器入口総カーボンモル流量(mol/Hr)]×100
パラフィン収率(%)=[反応器出口パラフィン由来カーボンモル流量(mol/Hr)/反応器入口総カーボンモル流量(mol/Hr)]×100
(調製例)
25質量%のN,N,N‐トリメチル‐1‐アダマンタンアンモニウムハイドロキサイド水溶液18.7kg及び水酸化ナトリウム0.83kgを順次、水35.5kgに溶解し、次に水酸化アルミニウム(酸化アルミニウム換算で50〜57質量%)1.69kgを加え攪拌した後に、シリカ源としてシリカゾルSI−30(日揮触媒化成社製)43.8kgを加えて2時間攪拌した。さらに、加えたシリカの質量に対して2質量%のCHA
構造のゼオライトを種晶として加えさらに攪拌した。次いで、このゲルを100Lのオートクレーブに仕込み、自圧下、275rpmで攪拌しながら、160℃で24時間、水熱合成を行った。得られた生成物を濾過、水洗した後、乾燥させた。
乾燥後の上記生成物を、空気流通下580℃で6時間焼成を行い、ナトリウム型のCHA構造ゼオライトを得た。このゼオライトを1Mの硝酸アンモニウム水溶液で80℃、1時間のイオン交換を2回行い、100℃で乾燥した後、空気流通下、500℃で6時間焼成し、プロトン型(H型)のCHA構造のゼオライトを得た。
上記のゼオライトのSiO/Al比は24(モル比)であった。
続いて、上記H型CHA構造のゼオライトを、特開2013‐75276号公報に開示されている方法にて、ゼオライト外表面のシリル化処理を行ない、シリル化ゼオライトとした。
(実施例1)
上記の調製例で得られたシリル化ゼオライトを触媒として用いて、以下の条件で炭化水素原料からプロピレンの製造を行った。
反応器として常圧固定床流通反応装置を用い、内径6mmの石英製反応管に、上記調製例で得られたシリル化ゼオライト200mgと、石英砂300mgの混合物を充填した。炭化水素原料としてエチレン及びプロピレンを用い、エチレン及びプロピレンの合計の空間速度が0.60Hr−1、かつエチレン35体積%、プロピレン15体積%及び窒素50体積%となるように反応器に供給し、350℃、0.1MPaで反応を実施した。反応器出口ガスをガスクロマトグラフィーにより2.5分間隔で連続的に分析を行い、反応成績を確認した。表1には、エチレンとプロピレンの合計収率が80%、90%および95%における反応結果を示した。
(比較例1)
反応器に供給する炭化水素原料としてエチレンのみを用い、エチレンの空間速度が0.36Hr−1、かつエチレン35体積%及び窒素65体積%となるように反応器に供給した以外は、実施例1と同様に反応を行った。
Figure 2015131778
実施例1においてエチレンとともにプロピレンを含む炭化水素原料を用いた場合、エチレン及びプロピレンの合計収率が90%到達時点でのプロピレン/エチレン質量比は7.3であった。
これに対し、比較例1に記載の通り、炭化水素原料としてエチレンのみを用いた場合、反応器出口ガスにおけるエチレン及びプロピレンの合計収率が90%到達時点でのプロピレン/エチレン質量比は2.4であった。
炭化水素原料にエチレン及びプロピレンが含まれている場合、ゼオライト触媒と接触させた際、エチレンよりも分子径の大きいプロピレンは、ゼオライト細孔に進入しにくく、エチレンに比べ反応しにくいと推定される。これにより、炭化水素原料中に含まれるプロピレンは未反応のまま反応生成物と混合され、炭化水素原料中に含まれるエチレンは選択的に反応生成物のプロピレンへと変換されることにより、プロピレン/エチレン比率を高められるものと推測している。
本発明により、炭化水素原料を触媒と接触させてプロピレンを製造する際の、反応生成物中のプロピレン/エチレン比率を増大させることができ、かつ炭化水素原料中に含まれるプロピレン等のオレフィンを分離、精製することなく、高い収率でプロピレンを製造することができる。これにより分離・精製に要する設備やエネルギーを削減することができ
る効率のよい製造方法を提供できる。

Claims (6)

  1. 炭化水素原料を、ゼオライトを活性成分とする触媒と接触させてプロピレンを製造する方法において、
    前記炭化水素原料が少なくともエチレン及びプロピレンを含み、かつ前記ゼオライトが0.5nm未満の細孔径を有することを特徴とするプロピレンの製造方法。
  2. 炭化水素原料を、ゼオライトを活性成分とする触媒と接触させてプロピレンを製造する方法において、
    前記炭化水素原料が少なくともエチレン及びプロピレンを含み、該炭化水素原料中のエチレンに対するプロピレンの質量比が、0.05以上、10以下であることを特徴とするプロピレンの製造方法。
  3. 前記ゼオライトが、0.5nm未満の細孔径を有することを特徴とする請求項2に記載のプロピレンの製造方法。
  4. 前記炭化水素原料中のエチレンに対するプロピレンの質量比が10以下であることを特徴とする請求項1に記載のプロピレンの製造方法。
  5. 前記炭化水素原料が、炭素数4〜8の炭化水素の少なくとも1種をさらに含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロピレンの製造方法。
  6. 前記炭化水素原料が、ナフサの分解により得られたものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のプロピレンの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2019124519A1 (ja) * 2017-12-20 2019-06-27 三菱ケミカル株式会社 エチレンの製造方法

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