以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。まず、図1〜図11を用いて本発明に係る遊技機の一例であるスロットマシン1の構成について説明する。ここで、図1はスロットマシン1の正面図であり、図2はスロットマシン1の制御の概略構成を示すブロック図であり、図3はリール外周面の図柄配列の一例を示す説明図であり、図4は役と図柄の組み合わせを示す説明図であり、図5はこのスロットマシン1における制御システムを示すブロック図であり、図6は操作手段の操作とリールの作動のタイミングを示す説明図であり、図7は最小遊技時間を説明するための説明図であり、図8はストップボタンの押し順と入賞との関係を示す説明図であり、図9は各遊技状態に対して設定された役抽選テーブルの当選確率を示す説明図であり、図10は、電源投入時の設定値設定手段150の処理を示すフローチャートであり、図11はこのスロットマシン1における遊技状態の遷移を示す説明図である。
このスロットマシン1は、図1に示すように、3個のリール21a〜21cに表示されている図柄を所定のライン上に揃えることにより、所定の枚数の遊技メダルを獲得する遊技を提供するものであり、図2に示すように、リール21a〜21cにより図柄を表示する図柄表示手段20と、遊技者の操作を受け付ける操作手段30と、遊技の制御を行うメイン制御基板100と、遊技に対する演出を行う演出手段40と、この演出手段40を制御するサブ制御基板200と、から構成されている。
(メイン制御基板100)
メイン制御基板100は、スロットマシン1における遊技の進行や演出等を含む全体を統括制御する手段であり、役の抽選を行う役抽選手段110、図柄表示手段20の駆動(回転及び停止)制御を行うリール制御手段120、図柄表示手段20が停止したときの図柄の判定を行う停止図柄判定手段130、入賞時の遊技メダルの払出し等を制御する払出し制御手段140、出玉率に関する設定値を設定する設定値設定手段150、役抽選手段110の抽選結果等を記憶するフラグ情報記憶手段160、役抽選手段110で特別役に当選したときに、後述する有効ライン上に対応する図柄の組み合わせが停止するまで(入賞するまで)当選した状態を保持する特別役持ち越し手段170、及び、遊技の進行や状態を制御する遊技状態制御手段180を有して構成されている。このメイン制御基板100は、図5に示すように、演算等を行うメインCPU101と、役の抽選を行うための乱数発生器102と、メインCPU101が各種制御を行うときに、取り込んだデータ等を一時的に記憶しておくRAM103と、遊技の進行等に必要なプログラムを記憶しておくROM104と、サブ制御基板200と通信を行うI/F回路105と、を有しており、これらはバス106で接続されてデータの送受信が可能に構成されている。このメイン制御基板100において、メインCPU101は、ROM104に記録された遊技用制御プログラムをRAM103に展開して実行し、遊技の制御を行うように構成されている。
このメイン制御基板100の出力側(図2中、右側)には、図柄表示手段20が電気的に接続されている。この図柄表示手段20は、円筒外周面に沿って多種の図柄が描かれた回転可能な3個のリール21(左リール21a、中リール21b、右リール21c)、リール駆動手段22(左リール駆動手段22a、中リール駆動手段22b、右リール駆動手段22c)、及び、リール位置検出手段23(左リール位置検出手段23a、中リール位置検出手段23b、右リール位置検出手段23c)を有して構成されている。3個のリール21a〜21cは、左右方向に並列に設けられており、スロットマシン1の前扉3に形成されたリール表示窓11から、上下に連続する3図柄が見えるように配置されている。よって、これらのリール21a〜21cは、スロットマシン1のリール表示窓11からは、合計9個の図柄が見えるように配置されている。このリール21a〜21cの各々には、例えば、図3に示すように0番から20番までの21個の図柄が表示されており、番号が増加する順で変動表示される。なお、この図3において、赤7、白7等は、このスロットマシン1の後述する特別役に特に関係する図柄である。また、リール駆動手段22a〜22cは、ステッピングモータ等で構成され、リール21a〜21cの各々の回転中心部に連結され、その作動はメイン制御基板100のリール制御手段120により制御される。さらに、リール位置検出手段23a〜23cは、各々のリール21a〜21cの停止位置を検出し、有効ライン上に表示されている図柄を判定するためのものであり、このリール位置検出手段23a〜23cによる検出値はメイン制御基板100により読み出され停止図柄判定手段130に渡される。また、このメイン制御基板100の出力側には、遊技メダルを払出すホッパー装置50が接続されており、その動作は払出し制御手段140により制御される。
また、メイン制御基板100の入力側(図2中、左側)には、操作手段30が電気的に接続されており、この操作手段30はベットボタン31(1ベットボタン31a及びMAXベットボタン31b)、スタートレバー32、ストップボタン33(左ストップボタン33a、中ストップボタン33b、右ストップボタン33c)、及び、精算ボタン34を有している。スタートレバー32は、図柄表示手段20として設けられたリール21a〜21cを始動させるときに操作するレバーであって、始動手段としての機能を有している。また、ストップボタン33(33a〜33c)は、回転しているリール21a〜21cの各々を停止させるときに遊技者が操作するボタンであって、停止手段としての機能を有している。また、ベットボタン31は、遊技者が貯留メダル(クレジット)をスロットマシン1に投入する(ベットする)ときに操作するスイッチであって、その操作によって図柄組み合わせラインが有効化される。なお、図1に示すメダル投入口51は、ベットボタン31と同様に、有効ラインを有効化するために遊技メダルを投入する部分であり、このメダル投入口51からの遊技メダルの投入は、ベットボタン31の操作に含まれるものである。なお、1回の単位遊技にベット可能な枚数を超えて遊技メダルが投入された場合には、所定の枚数の範囲内でこのスロットマシン1の内部(遊技媒体貯留手段141)に貯留されるように構成されている。また、精算ボタン34は、スロットマシン1の内部に貯留された遊技メダル及びベットされた遊技メダルを払い出すためのボタンである。
(役抽選手段110)
役抽選手段110は、乱数値を発生させる乱数発生手段111と、この乱数発生手段111から乱数値を抽出する乱数抽出手段112と、複数の役の各々の当選確率が乱数値の取り得る範囲に対応して定義された役抽選テーブルを記憶する役抽選テーブル記憶手段114と、乱数抽出手段112により取得された乱数値及び役抽選テーブルにより役に当選したか否かを判定する乱数判定手段113と、を有して構成されている。ここで、役としては、図4に示すように、複数種類の特別役、複数種類の小役、及び、リプレイが設けられている。この役抽選手段110は、何らかの役に当選したときは、後述するフラグ情報記憶手段160に対して当選した役のフラグをオンにする。なお、図4に示す特定図柄は抽選を行う役ではなく、リール21a〜21cの停止時に表示される可能性のある特定の図柄の組み合わせである(詳細は後述する)。
ここで、特別役とは、その役に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に停止(入賞)すると、遊技メダルは払い出されないが、特別遊技状態(通常遊技以上に遊技メダルの獲得が期待できる、遊技者にとって有利となる特別遊技が実行される状態)に移行されるという役であり、RB(レギュラーボーナス)及びBB(ビックボーナス)が設けられている。RBは、特別遊技の1つであるRB遊技(いわゆる、第一種特別役物に係る条件作動装置が作動する遊技)に移行させる役であり、このRB遊技においては、所定小役が高確率で当選するボーナスゲームを12回行うか、8回入賞するまで繰り返し行うことができる。また、BBは、特別遊技の1つであるBB遊技(いわゆる、第一種特別役物に係る役物連続作動装置が作動する遊技)に移行させる役であり、このBB遊技においては、一般遊技と所定小役が高確率で当選するボーナスゲームとを、遊技メダルの払出枚数が所定枚数(例えば、419枚)を超えるまで繰り返し行うことができる。なお、特別役に含まれるSB(シングルボーナス)は、遊技状態を制御するための役であり、このSBの図柄の組合せが有効ライン上に揃うと1遊技のSB遊技が行われる。よって、以降の説明においては、「特別役」はRB及びBBのことを示すものとする。本実施形態に係るスロットマシン1において、このSBに対しては、図4に示すように、SB−A〜SB−Fが設定されている。
例えば、本実施形態に係るスロットマシン1においては、遊技メダルが3枚投入されて遊技が行われた場合には、図4に示す特別役の何れかに対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に停止(入賞)すると、RB遊技若しくはBB遊技に移行するように構成されている。なお、本実施形態に係るスロットマシン1には実装されていないが、特別遊技としてMB遊技(いわゆる、第二種特別役物に係る役物連続作動装置が作動する遊技)を有するスロットマシンもあり、このMB遊技においては、全ての小役が、抽選が行われることなく当選した状態となり、遊技メダルの払出枚数が所定枚数(例えば、253枚)を超えるまで繰り返し行うことができる。また、このMB遊技において、リール制御手段120は、3つのリール21a〜21cのうちの少なくとも1つのリール(例えば、左リール21a)に対して、ストップボタン33(33a〜33c)が押されたときから、1コマ分以内で、そのリール21a〜21cの回転を停止させるよう定められている。
また、小役とは、その図柄の組み合わせが有効ライン上に揃うと、予め定められた枚数の遊技メダルが払い出される役であり、小役の種類に応じて、その役に対応する図柄の組み合わせ及び払出される遊技メダルの枚数が異なるように設定されている。本実施形態に係るスロットマシン1においては、図4に示すように小役1〜小役3が設定されている。このスロットマシン1において、小役1の図柄が有効ライン上に揃うと4枚の遊技メダルが払い出される。また、小役2の図柄が有効ライン上に揃うと6枚の遊技メダルが払い出され、小役3の図柄が有効ライン上に揃うと2枚の遊技メダルが払い出される。さらに、リプレイとは、再遊技役であって、当該遊技で投入したメダル枚数を維持して再度遊技が行えるようにした役である。本実施形態に係るスロットマシン1においては、図4に示すように、小役1に対しては小役1−A〜小役1−Eが設定されており、小役2に対しては小役2−A〜小役2−Bが設定されており、リプレイに対してはリプレイA〜リプレイGが設定されている。
(リール制御手段120)
リール制御手段120は、操作手段30のスタートレバー32及びストップボタン33が操作されたタイミングに応じて、リール21a〜21cの回転の開始及び停止の制御を行う。より具体的には、図6に示すように、リール制御手段120は、時刻t0においてスタートレバー32が操作されると、リール21a〜21cを回転させ、その後、時刻t1〜t3においてストップボタン33a〜33cが操作される毎に、後述する遊技状態制御手段180で管理されている遊技状態(例えば、通常遊技状態、特別遊技状態等)、役抽選手段110による抽選の結果、並びに、ストップボタン33(左ストップボタン33a、中ストップボタン33b、右ストップボタン33c)が操作されたタイミングに基づいて、当該操作がされたストップボタン33a〜33cに対応するリール21a〜21cの停止位置を決定すると共に、リール駆動手段(ステッピングモータ)22a〜22cの駆動を制御して、その決定した位置でリール21a〜21cの各々の回転を停止させる。
ここで、スロットマシン1のリール表示窓11を含む部分には、図示しないが、図柄組み合わせラインが設けられている。この「図柄組み合わせライン」とは、リール21a〜21cの停止時における図柄の並びラインであって、図柄の組み合わせを形成させるラインである。本実施形態では、上述のようにリール表示窓11に表示される3×3の図柄に対して、水平方向の中段、上段及び下段にそれぞれ設けられたラインと、右下がり及び左下がりの斜め方向の各ラインの合計5本から構成されている。そして、各リール21a〜21cの上下に連続する3図柄は、それぞれ1以上の図柄組み合わせライン上に位置している。なお、この図柄組み合わせラインの構成は一例であって、本発明がこの構成に限定されることはない。
さらに、5本の図柄組み合わせラインのうち、遊技者によって投入された遊技メダルの枚数に応じて、図柄組み合わせラインの中から、有効ラインと無効ラインとが設定される。「有効ライン」とは、本実施形態では、いずれかの役に対応する図柄の組み合わせがそのライン上に停止したときに、入賞と判定されその役に応じた利益が遊技者に付与されるラインである。一方、「無効ライン」とは、図柄組み合わせラインのうち、有効ラインとして設定されないラインであって、いずれかの役に対応する図柄の組み合わせがそのライン上に停止した場合であっても、その役に応じた利益の付与(遊技メダルの払い出し等)を行わないラインである。すなわち、無効ラインは、そもそも図柄の組み合わせの成立対象となっていないラインである。なお、本実施形態に係るスロットマシン1では、下段ラインを除く4本が有効ラインとして設定されるように構成されている。
このリール制御手段120は、回転しているリール21a〜21cに対してストップボタン33a〜33cが押されると、その時点から所定の範囲内で対応するリール21a〜21cを停止するように構成されている。具体的には、ストップボタン33a〜33cの各々が押されると、対応するリール21a〜21cの回転を所定の時間Ts内で停止させるように構成されている。この時間Tsは、例えば0.19秒であって、これは、リール21a〜21cに表示されている図柄の4コマ分に相当する。すなわち、リール制御手段120は、ストップボタン33a〜33cが操作された時点で、その操作がされたストップボタン33a〜33cに対応するリール21a〜21cを、当該リールの有効ライン上に位置する図柄を含めて5図柄以内に停止させることができる。そのため、リール制御手段120は、役抽選手段110による抽選の結果、いずれの役にも当選していないときは、いずれかの役を構成する図柄が有効ライン上にあるときにストップボタン33a〜33cが押されたとしても、有効になっている図柄組み合わせライン(有効ライン)上にどの役の図柄の組み合わせも停止しないように、各リール21a〜21cの停止位置を定める。一方、何らかの役に当選している場合には、リール制御手段120は、上記所定の範囲内において、対応する図柄がある場合には有効になっている図柄組み合わせライン(有効ライン)上に当選した役の図柄の組み合わせが停止するように、各リール21a〜21cの停止位置を定める。
また、リール制御手段120は、特別役に当選し、後述する特別役持ち越し手段170によりその特別役が持ち越されている遊技において、小役やリプレイに当選しているときは、これらの小役やリプレイを優先して有効ライン上に停止させるようにリール21a〜21cの作動を制御するように構成されている。なお、このようなリール21a〜21cを停止させる際の制御は、リール制御用のテーブルを用いて行ってもよい。
また、リール制御手段120は、前の遊技と次の遊技との間隔が所定の時間(最小遊技時間)T0以上になるようにリール21a〜21cの作動を制御するように構成されている。すなわち、図6に示すように、時刻t0においてスタートレバー32が操作されてリール21a〜21cが回転を開始したときから最小遊技時間T0が経過した後に次の遊技が開始されたとき(時刻t0から時間T0が経過した時刻t4よりも後の時刻t5において再びスタートレバー32が操作されたとき)は、そのスタートレバー32の操作に応じてリール21a〜21cの回転を開始させる(時刻t5にリール21a〜21cの回転を開始させる)。しかし、図7に示すように、最小遊技時間T0が経過する時刻t4より前の時刻t5′においてスタートレバー32が操作されたときは、リール制御手段120は、スタートレバー32が操作された時点(時刻t5′)ではリール21a〜21cの回転は開始させず、最小遊技時間T0が経過した時点(時刻t4)においてリール21a〜21cの回転を開始させる。なお、この最小遊技時間T0としては、例えば、4.1秒が設定される。
ここで、上述したようにSBは、6つのSB−A〜SB−Fから構成されている。このSB−A〜SB−Fは、図4に示すようにそれぞれ図柄の組み合わせが異なるように構成されている。そして、図8(a)に示すように、役抽選手段110によりこのSB−A〜SB−Fのいずれかが当選したときは、リール制御手段120は、3つのストップボタン33a〜33cに対して、予め決められた押し順で操作され、かつ、上述の所定の時間Ts内で停止させることができるときのみ、当該SB−A〜SB−Fに割り当てられた図柄の組み合わせを有効ライン上に停止させ、停止させられないときは、どの役にも割り当てられていない図柄の組み合わせ、すなわち、ハズレの組み合わせを有効ライン上に揃えるように構成されている(図8(a)の「○」)。また、このSB−A〜SB−Fに対して、予め決められた押し順以外の押し順でストップボタン33a〜33cが操作されたときは、リール制御手段120は、上述の所定の時間Ts内でSB−A〜SB−Fに割り当てられた図柄の組み合わせを有効ライン上に揃えられるときはこの図柄の組み合わせを有効ライン上に停止させ、揃えられないときは、図4に示す特定図柄の組み合わせを有効ライン上に停止させるように構成されている(図8(a)の「△」)。なお、特定図柄の組み合わせが有効ライン上に揃うと、後述するように遊技状態の変動の契機となる。
また、上述したように小役1は、5つの小役1−A〜小役1−Eから構成されている。この小役1−A〜小役1−Eも、図4に示すようにそれぞれ図柄の組み合わせが異なるように構成されている。なお、小役1−Aにおける「any」とは、任意の図柄を意味する。さらに、この小役1−A〜小役1−Eに対しては、図8(b)に示すように、小役1−1〜小役1−5の5つの当選役が割り当てられており、いずれの当選役にも小役1−Aが含まれている。ここで、図8(b)において、当選役の括弧内は、小役1−1〜小役1−5に対して割り当てられた小役1−A〜小役1−Eを示し、小役1−1が当選したときは、小役1−Aが当選し、小役1−2が当選したときは、小役1−A及び小役1−Cが同時に(重複して)当選することを示している。そして、それぞれの小役1−1〜小役1−5に対して、ストップボタン33a〜33cの押し順が割り当てられており、例えば、小役1−1が当選したときに、左中右の順でストップボタン33a〜33cが操作されると、リール制御手段120は、中リール21bの中段にベルの図柄を停止させる、すなわち、中段及び2本の斜めの有効ライン上に小役1−Aの図柄の組み合わせを3連複表示させるように構成されている(図8(b)の「3」)。また、それ以外の押し順で操作がされると、リール制御手段120は、中リール21bの上段にベルの図柄を停止させる、すなわち、上段の有効ライン上に小役1−Aの図柄を単独表示させるように構成されている(図8(b)の「1」)。小役1−2〜小役1−5についても同様である。なお、上述したように、小役1の図柄の組み合わせが有効ライン上に揃うと4枚の遊技メダルが払い出されるため、小役1−Aの図柄の組み合わせが3連複表示されたときは12枚の遊技メダルが払い出され、単独表示されたときは4枚の遊技メダルが払い出される。
また、小役2は2つの小役2−A及び小役2−Bから構成されており、図4に示すようにそれぞれ図柄の組み合わせが異なるように割り当てられている。なお、図4において、小役2−Aの「バー/赤7/白7/スイカ」は、有効ライン上に停止したこの小役2−Aを構成する図柄のうち、中リール21bの図柄は4つの図柄のいずれでも良いことを示している。小役2−Bの中リール22b及び右リール22cの図柄も同様である。また、本実施形態に係るスロットマシン1においては、この小役2−A及び小役2−Bは、必ず同時に(重複して)当選するように構成されている。
また、リプレイは、上述したように7つのリプレイA〜リプレイGから構成されており、図4に示すようにそれぞれ図柄の組み合わせが異なるように割り当てられている。これらのリプレイA〜リプレイGに対しては、図8(c)に示すように、リプレイFが含まれるリプレイSP1〜リプレイSP2、リプレイA及びリプレイBが含まれるリプレイAB1〜リプレイAB6、リプレイC及びリプレイDが含まれるリプレイCD1〜リプレイCD5、リプレイB及びリプレイDが含まれるリプレイBD1〜リプレイBD6、及び、リプレイD及びリプレイEが含まれるリプレイDE1〜リプレイDE3の当選役が割り当てられている。このリプレイにおいても図8(c)に示す当選役の括弧内は、上述した小役1の説明と同様である。
これらの当選役に対してもストップボタン33a〜33cの押し順が割り当てられており、例えば、リプレイSP1が当選したときに、左中右の順でストップボタン33a〜33cが操作されると、リール制御手段120は、上述の所定の時間Ts内で停止させることができるときのみ、リプレイFに割り当てられた図柄の組み合わせを有効ライン上に停止させ、停止できないときはリプレイAの図柄の組み合わせを有効ライン上に停止させ(図8(c)の「△」)、それ以外の押し順で操作されたときはリプレイAの図柄の組み合わせを有効ライン上に停止させる(図8(c)の「×」)ように構成されている。リプレイSP2も同様である。また、リプレイAB1が当選したときに、左中右の順でストップボタン33a〜33cが操作されると、リール制御手段120は、リプレイBに割り当てられた図柄の組み合わせを有効ライン上に停止させ(図8(c)の「B」)、それ以外の押し順で操作されたときはリプレイAの図柄の組み合わせを有効ライン上に停止させる(図8(c)の「A」)ように構成されている。リプレイAB2〜AB6並びに、リプレイCD1〜リプレイCD5、リプレイBD1〜リプレイBD6及びリプレイDE1〜リプレイDE3も同様である。
なお、上述したように、リール制御手段120は、ストップボタン33a〜33cの各々が操作されると、対応するリール21a〜21cを、その操作がされたときに有効ライン上に位置する図柄を含めて5図柄以内に停止するように構成されている。図3に示すように、本実施形態に係るスロットマシン1では、リール21a〜21cの何れにおいても、リプレイの図柄は、互いの間隔が5コマ以内になるように配置されている。そのため、リール21a〜21cの各々がどのような回転位置にあったとしても、ストップボタン33a〜33cの操作がされると、リール制御手段120は、有効ライン上にリプレイAの図柄を引き込むことができる。小役1−A等も同様である。
また、図9に、後述する各遊技状態における役の当選確率を示している。ここで、SBはSB−A〜SB−Fの合算の当選確率を示している。また、各役に示される「−」は、その遊技状態では当該役の抽選は行われないことを示している。なお、どの役にも当選しない確率(いわゆる「ハズレ」の場合の確率)は、各遊技状態において、特別役、小役及びリプレイ(再遊技役)の当選確率の合計を1から引いた確率である。
(停止図柄判定手段130)
停止図柄判定手段130は、リール21a〜21cの全てが停止したときに、上述の有効ライン上のいずれかに役の図柄の組み合わせが並んでいるか否かを判定し、並んでいるものがあれば当該遊技でその役が成立した(入賞した)と判定する。このとき、停止図柄判定手段130は、リール位置検出手段23a〜23cを用いて、例えばステッピングモータの停止時の角度やステップ数等を検知することにより、有効ライン上に位置する図柄を判定し、これに基づいて、役の成立(入賞)の有無を判定する。なお、リール21a〜21cを停止させる際の制御にテーブルを用いている場合には、リール21a〜21cが実際に停止してから停止図柄判定手段130が図柄の組み合わせを判定するのではなく、リール制御手段120によってテーブルを用いてリール21a〜21cの停止位置が定められた時に、有効ライン上に停止する図柄の組み合わせを判定するようにしてもよい。
(払出し制御手段140)
払出し制御手段140は、停止図柄判定手段130による判定の結果、成立(入賞)している役(本実施形態に係るスロットマシンにおいては小役1〜3)に応じたメダルの払出しを行う。ここで、本実施形態に係るスロットマシン1においては、払出し制御手段140に設けられた遊技媒体貯留手段141により、内部に所定の枚数(例えば50枚)の遊技メダルを貯留することができる(以下、このスロットマシン1の内部に貯留されている遊技メダルを「クレジット」と呼ぶ)。メダル投入口51から最大のベット数(本実施の形態では3枚)以上の遊技メダルが投入されるか、若しくは、遊技メダルが払い出される役に入賞すると、払出し制御手段140は、その遊技メダルを遊技媒体貯留手段141に記憶(内部に貯留)する。なお、貯留されている遊技メダル(クレジット)の枚数が所定の枚数(上述の場合50枚)を超えると、払出し制御手段140は、超えた枚数の遊技メダルの払出しを、ホッパー装置50に行わせるように構成されている。また、払出し制御手段140は、精算ボタン34が操作されると、ベットされている遊技メダル及び貯留されている遊技メダル(クレジット)の払出しを、ホッパー装置50に行わせるように構成されている。このとき、ベットされている遊技メダル及び遊技媒体貯留手段141の貯留数は0になる。
(設定値設定手段150)
設定値設定手段150は、図示しない設定キーの操作により、本実施形態に係るスロットマシン1における役の抽選や払い出しに関する設定等を行うものである。このスロットマシン1においては、電源がオフされている状態で設定キーをオンにして電源を投入し、所定の操作を行って設定値を入力した後、設定キーをオフすると、この設定値が設定値記憶手段151に記憶されるように構成されている。例えば、1〜6までの6段階の設定値を設定することができ、役抽選手段110は、当該設定値に応じて役の当選確率を変化させ、これにより、払い出される遊技メダルの出玉率(払出し率)を変化させるように構成されている。したがって、図9に示す当選確率は一例である。また、本実施形態においては設定値の変更が行われると遊技に関する情報のうちの一部(特別役の当選フラグや通常遊技状態、再遊技確率変動遊技状態などの遊技状態)は保持される一方、他の情報(リールの駆動状態や小役の当選フラグなど)は初期化される。なお、本実施形態に係るスロットマシン1においては、特別遊技状態RT6にあるときは、上記操作を行っても設定値の変更ができないように構成されている。また、ボーナス内部中状態RT5においても設定値の変更ができないように構成しても良い。
図10に示すように、設定値設定手段150は、電源が投入されると、前扉3が開放されていて、且つ、設定キーがオンになっているかを判定する(ステップS700)。さらに、設定値設定手段150は、前扉3が開放された状態で設定キーがオンになっていると判断すると、RAM103の状態をチェックする(ステップS701)。例えば、RAM103が、記憶しているデータのチェックサムを生成してこれらのデータとともに記憶する機能を有する場合、設定値設定手段150は、RAM103の現在のデータから求められるチェックサムと、RAM103に記憶されているチェックサムとを比較し、一致をすればRAM103が正常であると判断し、一致しなければ異常であると判断する。設定値設定手段150は、このRAM103の状態のチェックの結果から(ステップS702)、正常であると判断すると正常な状態で設定値の変更が開始される旨の制御コマンド(正常設定値変更開始コマンド)をサブ制御基板200に送信し(ステップS703)、異常であると判断すると異常がある状態で設定値の変更が開始される旨の制御コマンド(異常設定値変更開始コマンド)をサブ制御基板200に送信する(ステップS704)。そして、設定値設定手段150は、設定キーがオフされるのを監視し(ステップS705)、設定キーがオフされると、設定された設定値を設定値記憶手段151に記憶させるとともに、この設定値を含む制御コマンド(設定値変更終了コマンド)をサブ制御基板200に送信する(ステップS706)。なお、上述の処理によりメイン制御基板100から送信された制御コマンドへのサブ制御基板200(演出制御基板300)における対応については後述する。
(フラグ情報記憶手段160)
フラグ情報記憶手段160は、役抽選手段110によって何らかの役に対するフラグがオンになった場合に、当選した役の種類及びそのフラグがオンになったことを記憶する。なお、後述するように、フラグ情報記憶手段160に記憶されている情報が消去されるタイミング(当選フラグがオフとなるタイミング)は、特別役(RB及びBB)とそれ以外の役(SB含む)とで異なっている。すなわち、特別役の場合、フラグ情報記憶手段160に記憶されている情報は、特別役の図柄が有効ライン上に揃ったことを条件として消去され、特別役の図柄が有効ライン上に揃わなければ次遊技以降、当該図柄が有効ライン上に揃うまで持ち越されるのに対し、それ以外の役の場合には、その役に対する図柄が有効ライン上に揃うか否かに関わらず、当該遊技の終了の際に消去され、次遊技まで持ち越されることはない。
(特別役持ち越し手段170)
特別役持ち越し手段170は、役抽選手段110により特別役(RB及びBB)に当選し、フラグ情報記憶手段160に、この特別役に対するフラグが立てられると、当選した特別役の図柄が有効ライン上に揃うまで、その当選役を持ち越し(フラグが立てられた状態を維持し)、特別役の図柄が有効ライン上に揃うと特別役の持ち越しを終了する(フラグが下げられる)。なお、その他の役は、当選した遊技で図柄を揃えることができないと、フラグは下げられる(次遊技に持ち越すことはできない)。
(遊技状態制御手段180)
遊技状態制御手段180は、このスロットマシン1における遊技状態を制御するものであり、通常遊技制御手段181、特別遊技制御手段182、及び、再遊技確率変動遊技制御手段183を有して構成されている。図11に示すように、このスロットマシン1の初期出荷時には、遊技状態制御手段180は、通常遊技制御手段181を実行し、このスロットマシン1は、通常遊技状態(非内部中)RT0になる。ここで、「非内部中」とは、特別役(BB又はRB)に当選していない状態のことを指す。
そして、この通常遊技状態RT0における遊技において、所定の図柄の組み合わせが有効ライン上に揃うと、遊技状態制御手段180は、再遊技確率変動遊技制御手段183を起動し、このスロットマシン1は、有効ライン上に揃った図柄の組み合わせに応じて、第2再遊技確率変動遊技状態RT2、第3再遊技確率変動遊技状態RT3、又は、第4再遊技確率変動遊技状態RT4のいずれかになる。具体的には、役抽選手段110によりリプレイCD1〜リプレイCD5、リプレイBD1〜リプレイBD6及びリプレイDE1〜リプレイDE3のいずれかが当選し、リプレイDの図柄の組み合わせが有効ライン上に揃うと、第2再遊技確率変動遊技状態RT2に移行する。同様に、この通常遊技状態RT0において、SB−1〜SB−6のいずれかに当選し、当選した役に対応する押し順以外の操作がされて特定図柄の組み合わせ(これを「SBこぼし目」と呼ぶ)が有効ライン上に揃った場合も、第2再遊技確率変動遊技状態RT2に移行する。また、通常遊技状態RT0において、リプレイCD1〜リプレイCD5に当選し、リプレイCの図柄の組み合わせが有効ライン上に揃うと、第3再遊技確率変動遊技状態RT3に移行し、リプレイDE1〜リプレイDE3に当選し、リプレイEの図柄の組み合わせが有効ライン上に揃うと、第4再遊技確率変動遊技状態RT4に移行する。同様に、第2再遊技確率変動遊技状態RT2にあるときに、リプレイAB1〜リプレイAB6のいずれかに当選し、リプレイBの図柄の組み合わせが有効ライン上に揃うと、遊技状態制御手段180は通常遊技制御手段181を起動し、このスロットマシン1は、通常遊技状態RT0になる。ここで、再遊技確率変動遊技とは、リプレイ(再遊技役)の当選確率が通常遊技状態RT0とは異なるように構成された遊技である。
なお、第3再遊技確率変動遊技状態RT3及び第4再遊技確率変動遊技状態RT4は、所定の回数の遊技が行われると通常遊技状態RT0に移行する遊技状態であり、本実施形態に係るスロットマシン1においては、第3再遊技確率変動遊技状態RT3は40ゲームで、また、第4再遊技確率変動遊技状態RT4は11ゲームで通常遊技状態RT0に移行する。図9に示すように、第3及び第4再遊技確率変動遊技状態RT3,RT4においては、リプレイ(再遊技役)の当選確率が通常遊技状態RT0よりも高く設定されており、このような遊技状態を「リプレイタイム(RT)」とも呼ぶ。反対に、第2再遊技確率変動遊技状態RT2は、リプレイの当選確率が低く、遊技者にとって不利な状態であり、後述する当選役の押し順を報知する演出(アシスト)が実行されない場合には、主に滞在する遊技状態である。
また、再遊技確率変動遊技制御手段183は、第1再遊技確率変動遊技状態RT1も有しており、この遊技状態は特別遊技の終了後に移行する遊技状態である。この第1再遊技確率変動遊技状態RT1において、SB−1〜SB−6のいずれかに当選し、当選した役に対応する押し順以外の操作がされて特定図柄の組み合わせ(SBこぼし目)が有効ライン上に揃うと、第2再遊技確率変動遊技状態RT2に移行するように構成されている。
一方、通常遊技状態RT0及び第1〜第4再遊技確率変動遊技状態RT1〜RT4において、役抽選手段110により特別役(BB又はRB)に当選すると、ボーナス内部中状態RT5に移行する。ここで、「内部中」とは、特別役に当選はしているが、有効ライン上にこの特別役に対応する図柄の組み合わせを揃えていない状態のことである。本実施形態に係るスロットマシン1の遊技状態制御手段180においては、再遊技確率変動遊技制御手段182によりこのボーナス内部中状態RT5が実行される。なお、ボーナス内部中状態RT5に移行すると、特別役持ち越し手段170により、当選した特別役の図柄が有効ライン上に揃うまで当選役が持ち越される(すなわち、ボーナス内部中状態RT5が継続される)。
ボーナス内部中状態RT5において、有効ライン上に当選した特別役に対応する図柄の組み合わせを揃えると、遊技状態制御手段180は特別遊技制御手段182を作動させ、このスロットマシン1は、特別遊技状態RT6になる。特別遊技状態RT6に移行すると、所定の終了条件を満たすまで通常遊技以上の遊技メダルの獲得を期待できる遊技者にとって有利な遊技(特別遊技)が実行される。ここで、所定の終了条件とは、例えば、その特別遊技状態において、遊技者に対して所定の枚数以上の遊技メダルが払い出された場合である。この特別遊技状態RT6において所定の終了条件が満たされると、特別遊技制御手段182の作動が終了し、再遊技確率変動遊技制御手段183が実行されて第1再遊技確率変動遊技状態RT1に移行する。
なお、いずれの遊技状態においても、小役に当選して対応する図柄を有効ライン上に揃える(入賞する)と払出し制御手段140により所定の枚数の遊技メダルが払い出され(若しくは貯留され)、リプレイ(再遊技役)に当選して対応する図柄を有効ライン上に揃えると再遊技が実行されるように構成されている。また、以上の遊技状態の説明は一例であり、本発明がこの遊技状態の遷移に限定されることはない。
(サブ制御基板200)
このようなスロットマシン1においては、遊技の結果に外部からの影響を加えることができないように、遊技を制御するメイン制御基板100とその遊技に対する演出を制御するサブ制御基板200とは分離して構成されている。そのため、メイン制御基板100は、サブ制御基板200で実行される演出を制御するために、上述の当選結果や遊技状態等の遊技に関する情報(制御状態)を含む制御コマンドをサブ制御基板200に送信するように構成されており、サブ制御基板200の演出制御基板300は、この制御コマンドを受信してその演出の態様を決定し、演出手段40を構成する画像表示装置41、各種演出用ランプ42、及び、放音部(スピーカー)43により映像、光及び音響効果を用いて演出を行うように構成されている。
このサブ制御基板200において演出制御基板300と画像音響生成基板400は、図5に示すように、バス210に接続されている。演出制御基板300には、サブCPU310、乱数発生器320、RAM330、ROM340及びI/F回路350が設けられており、これらはバス210に接続されている。一方、画像音響生成基板400には、上述のバス210に接続された画像制御IC410及び音源IC440が設けられている。さらに、画像制御IC410には、ビデオRAM420及び画像ROM430と、画像表示装置41が接続されている。また、音源IC440には音源ROM450及びアンプ460が接続され、アンプ460には上部及び下部スピーカー43(43a,43b)が接続されている。また、バス210には、上述の各種演出用ランプ42(42a,42b)も接続されてその点灯・消灯動作が演出制御基板300により制御される。
サブCPU310は、ROM340に記録された演出用制御プログラムをRAM330に展開して実行し、画像音響生成基板400に設けられた画像制御IC410及び音源IC440を制御して、画像表示装置41やスピーカー43(43a,43b)を用いて映像や音響効果による遊技の演出を行うように構成されている。なお、画像表示装置41に表示される映像は、画像制御IC410が、画像ROM430に記憶された画像情報をビデオRAM420に展開して実行することにより表示され、また、スピーカー43(43a,43b)から出力される音響効果(音楽、音声、効果音等)は、音源IC440が音源ROM450から取り出した音響情報から再生され、アンプ460を介してスピーカー43(43a,43b)から出力される。
なお、このサブCPU310で実行される演出は、上述のように、メイン制御基板100から送信される制御コマンドを、サブCPU310がI/F回路350を介して受信し、この制御コマンドに応じて決定・制御されるが、この演出の態様(パターン)の一部は、演出制御基板300に設けられた乱数発生器320で発生された乱数値を用いて決定されるように構成されている。
(メイン制御基板100での処理)
次に、図12〜図15を合わせて用いてメイン制御基板100で制御される各遊技における処理について説明する。ここで、図12は遊技開始時に遊技者がベット操作及びスタートレバー操作をするまでの処理の流れを示すフローチャートであり、図13はリールの回転から停止までの処理の流れを示すフローチャートであり、図14はリール停止後の処理の流れを示すフローチャートであり、図15は、1回の単位遊技において、メイン制御基板100からサブ制御基板200(演出制御基板300)に送信される制御コマンドの流れの一例を示す説明図である。なお、以降の説明において、メイン制御基板100のメインCPU101で実行される遊技用制御プログラムによる機能を「メイン制御手段」と呼ぶ。
遊技が開始されると、メイン制御手段は、遊技状態制御手段180により、上述の図11を用いて説明した条件に基づいて遊技状態を管理する(ステップS600)。そして、メイン制御手段は、遊技の実行が可能になると、現在の遊技状態及び遊技メダルの受付(ベット)が可能になったことを示す遊技状態コマンドC500をサブ制御基板200に送信する(ステップS601)。
遊技の開始時には、遊技者は、メダル投入口51から遊技メダルを投入するか、若しくは、ベットボタン31(1ベットボタン31a又はMAXベットボタン31b)を操作して遊技者の望む遊技メダルの数のベットを行う。メイン制御手段は、このベット操作が行われることを監視し(ステップS602)、ベット操作が行われると、メダル投入口51から投入された遊技メダルの枚数か若しくはベットボタン31の操作によりベットされた遊技メダルの枚数等の情報を含むベット情報をベットコマンドC501としてサブ制御基板200に送信する(ステップS603)。なお、前の遊技でリプレイ(再遊技役)の図柄の組み合わせが有効ライン上に揃ったときは、遊技メダルが自動投入されたことを示すベットコマンドC501が送信される。
さらに、メイン制御手段は、遊技者によりスタートレバー32が操作されたか否かを監視する(ステップS604)。そして、スタートレバー32が操作されると、役抽選手段110により役の抽選を行う(ステップS605)。この役抽選手段110による役の抽選が行われると、メイン制御手段は、スタートレバー32が操作された情報(始動操作情報)をスタートレバー受付コマンドC502としてサブ制御基板200に送信し(ステップS606)、また、例えば、スタートレバー32が操作されたときに、所定時間だけリール21a〜21cの少なくとも一部の回転開始を遅らせる制御(フリーズ制御)が行われる場合には、メイン制御手段はサブ制御基板200に対して待機演出コマンドC503を送信し(ステップS607)、さらに役の抽選結果である当選情報を含み演出態様の決定を指示するための条件装置状態番号コマンドC504をサブ制御基板200に送信する(ステップS608)。
遊技機の操作手段30の機能を一時停止状態にする「フリーズ演出」としては、例えば、遊技媒体の受け付け、または予めクレジットされた遊技媒体のベット数を定めるためのベットボタン31の操作を一時停止状態にすることも考えられるし、遊技を開始するためのスタートレバー32の操作を一時停止状態にすることも考えられるし、ストップボタン33a〜33cによるリール21a〜21cの停止操作を一時停止状態にすることも考えられる。ここで、操作手段30の機能を一時停止状態にする態様としては、遊技者の操作に基づく信号(例えば、遊技媒体の投入を感知するセンサからの信号、ベットボタン31、スタートレバー32またはストップボタン33a〜33cの操作に基づき操作手段30から送信される信号)の受け付けを所定期間行なわない場合があり得る。この場合、所定期間以内に遊技者の操作に基づいて送信された信号を受け付けたときは、受け付けた信号を無効にする制御処理を行なうことも考えられるし、所定期間以内に遊技者の操作に基づいて送信された信号を検知したときであっても、受け付け処理自体を行わないことも考えられる。また、所定期間以内に遊技者の操作に基づいて送信された信号を受け付けたときは、遊技者の操作に基づく信号の受け付けは行なうが、受け付けた信号に基づいて実施する操作手段30の制御処理を所定期間実行せずに、所定期間経過後に受け付けた信号に基づいた制御処理を開始させる場合もあり得る。なお、スタートレバー32のフリーズに関しては、スタートレバー32を操作しても、所定期間リール21a〜21cの回転が開始されない場合や、所定期間、役抽選が開始されない場合を例示することができる。
続いて、メイン制御手段は、リール制御手段120により、リール駆動手段22a〜22cを駆動制御して、すべてのリール21a〜21cを回転させるように制御するが、まず、前の遊技の開始(リール21a〜21cの回転開始)から最小遊技時間が経過しているかを監視し(ステップS609)、最小遊技時間を経過しているときはこの最小遊技時間のカウントを0にセットして再度計時を開始する(ステップS610)とともに、全てのリール21a〜21cを回転させる(ステップS611)。なお、このステップS611においてリール制御手段120は、各リール21a〜21cの回転を開始させると、変動開始情報である第1〜第3回胴回転開始コマンドC505〜C507をサブ制御基板200に送信する。ここで、3つのリール21a〜21cのうち、左リール21aの回転が開始すると第1回胴回転開始コマンドC505が送信され、中リール21bの回転が開始すると第2回胴回転開始コマンドC506が送信され、右リール21cの回転が開始されると第3回胴回転開始コマンドC507が送信される。そのため、第1〜第3回胴回転開始コマンドC505〜C507は、必ずしも図15に示される順番で送信されるわけではない。このようにして、リール21a〜21cがリール駆動手段22a〜22cによって回転されることで、リール21a〜21c上の図柄は、所定の速度でリール表示窓11内において上下方向に変動表示される。
遊技者が、各ストップボタン33a〜33cを操作すると、そのときに発生する操作信号がメイン制御基板100に入力される。リール21a〜21cが変動表示されている状態で、メイン制御手段は、遊技者のストップボタン33a〜33cに対する停止操作によりこの操作信号が入力されるのを監視し(ステップS612)、この操作信号を受信すると、リール制御手段120により、役の抽選結果とストップボタン33a〜33cが操作されたときのリール21a〜21c上の図柄の位置(受付位置)により、一意の停止位置を決め、ストップボタン33a〜33cに対応するリール駆動手段22a〜22cを駆動制御することにより、そのリール駆動手段22a〜22cに係るリール21a〜21cの停止制御を行う(ステップS613)。ここで、回転する3つのリール21a〜21cに対する停止操作のうち、3つのストップボタン33a〜33cがどの順序で操作されたとしても、最初の操作を第1停止と呼び、次の操作を第2停止と呼び、最後の操作を第3停止と呼ぶ。また、メイン制御手段は、3つのストップボタン33a〜33cが遊技者により押されて、対応するリール21a〜21cの回転が停止される毎に、ストップボタン33a〜33cの操作情報として、第1停止受付コマンドC508及び回胴回転停止コマンドC509、第2停止受付コマンドC510及び回胴回転停止コマンドC511、並びに、第3停止受付コマンドC512及び回胴回転停止コマンドC513をサブ制御手段に送信する(ステップS614)。これらの制御コマンドのうち、第1〜第3停止受付コマンドC508,C510,C512は、ストップボタン33a〜33cの操作を受け付けたことを示すコマンドであり、また、(第1〜第3)回胴回転停止コマンドC509,C511,C513は、リール21a〜21cが停止したこと示すコマンドである。また、このストップボタン33a〜33cの操作情報には、中段に停止した図柄の情報(停止位置)や、ストップボタン33a〜33cが押されたときのリール21a〜21c各々の位置の情報であって、リール表示窓11の中段にある図柄に関する情報(図柄受付位置情報)も含まれる。このステップS612〜S614の処理は、全てのリール21a〜21cの回転が停止するまで繰り返される(ステップS615)。
次に、メイン制御手段は、停止図柄判定手段130により、有効ライン上にいずれかの役(抽選により当選した役)に対応する図柄が停止したか否かを判定し(ステップS616)、リール21a〜21cに停止した図柄に応じた演出の開始を指示するための、表示されている図柄の組み合わせに関する情報を示す作動図柄表示コマンドC514をサブ制御基板200に送信する(ステップS617)。この作動図柄表示コマンドC514は、例えば、特別役やリプレイの図柄が有効ライン上に揃った場合に、対応する演出の実行をサブ制御基板200に指示するためのコマンドであり、図柄に応じた演出が無い場合も送信される。また、メイン制御手段は、遊技メダルの払出しが開始されたことを示す情報をメダル払出開始コマンドC515としてサブ制御基板200に送信する(ステップS618)。このメダル払出開始コマンドC515には、払出されるメダルの枚数が設定されており、遊技メダルが払出される小役以外の図柄が有効ライン上に揃っているときは0枚が設定される。そして、以上の判定の結果、有効ライン上に特別役に対応する図柄(ボーナス図柄)が表示されていると判定したときは(ステップS619)、メイン制御手段は、遊技状態制御手段180により特別遊技制御手段182を実行し、特別遊技状態RT6(上述の場合、BB遊技若しくはRB遊技)に移行する(ステップS620)。また、有効ライン上にボーナス図柄が揃っていない場合に、小役1〜3に対応する図柄(小役図柄)が揃っている(入賞している)と判定したときは(ステップS621)、メイン制御手段は、払出し制御手段140により入賞した小役に対応する遊技メダルの払い出しを行い(ステップS622)、遊技メダルの払出しが終了するとメダル払出終了コマンドC516をサブ制御基板200に送信する(ステップS623)。さらに、有効ライン上に小役図柄が揃っていない場合に、有効ライン上にリプレイA〜F(再遊技役)に対応する図柄(リプレイ図柄)が揃っていると判定したときは(ステップS624)、メイン制御手段は、再遊技を実行する制御を行う(ステップS625)。こうして、一回の遊技に対する処理が終了すると、メイン制御手段はその情報を作動終了コマンドC517としてサブ制御基板200に送信する(ステップS626)。
なお、図15には図示していないが、このスロットマシン1においてエラーが発生したことをメイン制御基板100が検知すると、サブ制御基板200に対してエラー通知コマンドが送信される。例えば、前扉3が開放されたことを検知すると、その旨を通知する制御コマンドとしてエラー通知コマンドがサブ制御基板200に対して送信される。また、エラー状態から正常な状態に復帰したことを検知すると、その旨を通知する制御コマンドとしてエラー解除コマンドがサブ制御基板200に対して送信される。例えば、前扉3が閉じられるとその旨を通知するエラー解除コマンドが送信される。また、メイン制御基板100は、ホッパー装置50において、遊技メダルが詰まったり、払い出す遊技メダルが無いために、遊技メダルの払出しに所定の時間以上を要していることを検知すると、このホッパー装置50に異常がある旨を通知するエラー通知コマンドをサブ制御基板200に送信し、異常状態が解除されてエラー前の状態に戻ると、その旨を通知するエラー解除コマンドが送信される。また、遊技中に何らかの理由により電源が切断された場合には、図10を用いて説明したように、再度電源が投入されたときに、その旨を通知するエラー解除コマンドがサブ制御基板200に対して送信される。さらに、前回の遊技が終了してから次の遊技のスタートレバー32が操作されるまでの間に精算ボタン34が操作されると、精算が開始されたことを精算が終了したことを示す制御コマンドがメイン制御基板100からサブ制御基板200に送信される。
(演出制御基板300による演出)
上述したように、本実施形態に係るスロットマシン1では、メイン制御基板(メイン制御手段)100で制御される遊技の進行に応じて、単位遊技ごとに、サブ制御基板200の演出制御基板300により演出パターンが選択され、画像表示装置41、演出用ランプ42、放音部43等からなる演出手段40を用いた演出が実行される。まず、図16を用いてこの演出制御基板300で実行される演出について説明する。ここで、図16は演出制御基板300における演出状態の流れを示す説明図である。なお、移行の説明において、演出制御基板300のサブCPU310で実行される処理のうち、演出の実行に関する処理を「演出制御手段」と呼ぶ。
本実施形態に係るスロットマシン1の主な演出としては、通常の演出(通常演出)、内部中の演出及び特別遊技に対する演出(特別演出)に加えて、第3再遊技確率変動遊技状態RT3のときに実行される第1特定演出(以下、この遊技状態における遊技を「第1特定遊技」と呼ぶ)と、第4再遊技確率変動遊技状態RT4のときに実行される第2特定演出(以下、この遊技状態における遊技を「第2特定遊技」と呼ぶ)と、を有して構成されている。ここで、第1特定演出が行われる第1特定遊技は、いわゆるART遊技であり、AT遊技とRT遊技とが組み合わされている。AT遊技とは、上述した小役1−1〜小役1−5のようにストップボタン33a〜33cの押し順を伴う役が当選したときに、その押し順を上述の画像表示装置41等を用いて遊技者に報知することにより(以下、「アシスト」と呼ぶ)、遊技者に有利な遊技を提供するものである。また、RT遊技とは、遊技状態制御手段180により制御される再遊技確率変動遊技状態のうち、とくに、リプレイ(再遊技役)の当選確率が通常遊技状態よりも高く設定されている遊技状態(第3及び第4再遊技確率変動遊技状態RT3,RT4)において行われる遊技である。なお、AT遊技として、ストップボタン33a〜33cの押し順を報知するのではなく、当選した小役の種類を報知するように構成することも可能である。また、第2特定演出が実行される第2特定遊技は、リプレイFを含む特定役であるリプレイSP−1及びリプレイSP−2が当選しやすくなっている遊技状態(つまり、第4再遊技確率変動遊技状態RT4)において、このリプレイFの図柄の組み合わせが有効ライン上に揃うようにアシストするともに、この図柄の組み合わせが有効ライン上に揃うと、第3又は第4再遊技確率変動遊技状態RT3,RT4での遊技を行うことができる権利(第2再遊技確率変動遊技状態RT2又は通常遊技状態RT0から第3又は第4再遊技確率変動遊技状態RT3,RT4に遊技状態を移行させる権利であって、以下、「ストック」と呼ぶ)を与える遊技である。
なお、本実施形態に係るスロットマシン1においては、第1再遊技確率変動遊技状態RT1から第2再遊技確率変動遊技状態RT2に移行したときに、上述のストックを有する場合、もしくは、通常演出状態RT0又は第2再遊技確率変動遊技状態RT2にあるときに、ストックが発生した場合(小役に当選した遊技においてストック抽選に当選した場合)に、第3又は第4再遊技確率変動遊技状態RT3,RT4に移行するように当選役を報知する誘導演出を行うように構成されている。このように、演出制御基板300で実行される演出制御手段は、報知手段及び特典付与手段としての機能を有している。
以下、図16に基づいて、通常演出が実行される状態を通常演出状態D0、誘導演出が実行される状態を誘導演出状態D1、第1特定演出が実行される状態を第1特定演出状態D2、第2特定演出が実行される状態を第2特定演出状態D3、内部中の演出が実行される状態を内部中演出状態D4、及び、特別遊技に対する演出(特別演出)が実行される状態を特別演出状態D5として説明する。
上述したように、本実施形態に係るスロットマシン1は、工場出荷時のような初期状態においては、通常遊技状態RT0にあり、この遊技状態での遊技に対して演出制御手段は、通常演出状態D0の演出を実行する。この通常演出状態D0においては、押し順を有する役が当選してもその報知は行われないため、例えば、リプレイCD1が当選してリプレイDの図柄の組合せが有効ライン上に揃うと、第2再遊技確率変動遊技状態RT2に移行してしまう。図9に示すように、通常遊技状態RT0においては、第2再遊技確率変動遊技状態RT2に移行する図柄の組合せを有するSBやリプレイCD,BD,DEの当選確率が高くなっており、押し順の報知が行われないと、高い確率で第2再遊技確率変動遊技状態RT2に移行するように構成されている。
第2再遊技確率変動遊技状態RT2においても、小役に当選したときの抽選でストックが付与されていない状態では、演出制御手段は通常演出状態D0の演出が行われる。そのため、リプレイAB1〜リプレイAB6が当選しても、割り当てられている押し順でストップボタン33a〜33cが操作されないと通常遊技状態RT0に移行することはない。すなわち、アシストが無い状態では、高い確率で、この第2再遊技確率変動遊技状態RT2で遊技が行われることになる。一方、この第2再遊技確率変動遊技状態RT2においてストックが付与されると、演出制御手段は誘導演出状態D1の演出を行う。この誘導演出状態D1では、押し順を有する役(この第2再遊技確率変動遊技状態RT2では、リプレイAB1〜リプレイAB6)が当選すると、通常演出状態RT0に移行するための図柄の組み合わせが有効ライン上に揃う押し順(リプレイBの図柄の組合せが有効ライン上に揃う押し順)が報知されるため、この役に当選した遊技において報知された押し順でストップボタン33a〜33cを操作することにより、通常遊技状態RT0に移行することができる(仮に、当該遊技で遊技者が報知された押し順で操作をしなかったとしても、以降の遊技でリプレイAB1〜リプレイAB6に当選する毎に押し順が報知される)。このとき、通常遊技状態RT0に移行しても、誘導演出状態D1は継続し、ストックは減らない。
通常遊技状態RT0においても、誘導演出状態D1にあるときは、第3又は第4再遊技確率変動遊技状態RT3,RT4に移行する役(リプレイCD1〜CD5又はリプレイED1〜リプレイED3)が当選すると、演出制御手段は、この遊技状態に移行させるための図柄の組合せ(リプレイC又はリプレイEの図柄の組合せ)が有効ライン上に揃う押し順を報知する。そのため、この役に当選した遊技において報知された押し順でストップボタン33a〜33cを操作することにより、第3又は第4再遊技確率変動遊技状態RT3,RT4に移行することができる。なお、第2再遊技確率変動遊技状態RT2又は通常遊技状態RT0で、かつ、誘導演出状態D1にあるときに、小役に当選するとストックの抽選が行われ、当選するとそのストックはストック数として蓄積されるように構成されている。また、第3又は第4再遊技確率変動遊技状態RT3,RT4が終了し、かつ、ストックを有していない状態で第2再遊技確率変動遊技状態RT2に移行したときに、小役に当選しストック抽選に当選してストックを得たときは、誘導演出状態D1になる。
第3再遊技確率変動遊技状態RT3は、予め決められた回数(例えば40ゲーム)の遊技が行われると通常遊技状態RT0に移行するように構成された遊技状態であり、この遊技状態においては、演出制御手段は第1特定演出状態D2の演出を実行する。具体的には、小役1−1〜小役1−5が当選すると、小役1−Aの図柄が有効ライン上に3連複表示される押し順が報知される。また、第4再遊技確率変動遊技状態RT4も、予め決められた回数(例えば11ゲーム)の遊技が行われると通常遊技状態RT0に移行するように構成された遊技状態であり、この遊技状態においては、演出制御手段は第2特定演出状態D3の演出を実行する。具体的には、小役1−1〜小役1−5又はリプレイSP1〜リプレイSP2が当選すると、3連複表示される小役1−Aの図柄の組合せ、又は、リプレイFの図柄の組合せが有効ライン上に揃う押し順が報知される。なお、演出制御手段は、第3又は第4再遊技確率変動遊技状態RT3,RT4に移行すると、ストック数を1減算する。あるいは、遊技状態が第3又は第4再遊技確率変動遊技状態RT3,RT4に移行した時点ではなく、通常遊技状態RT0において上述した遊技状態を第3又は第4再遊技確率変動遊技状態RT3,RT4に移行させる役に当選した時点でストック数を減らすように構成しても良い。
なお、本実施形態に係るスロットマシン1においては、上述したようにリプレイFの図柄の組合せが有効ライン上に揃うと、ストックが付与されるように構成されている。このリプレイFが他のリプレイと重複当選するリプレイSP1及びリプレイSP2は、第4再遊技確率変動遊技状態RT4だけでなく、第3再遊技確率変動遊技状態RT3及び特別遊技状態RT6でも当選するが、上述したように、第2特定演出状態D3のときだけリプレイFの図柄の組合せが有効ライン上に揃う押し順が報知される。また、第4再遊技確率変動遊技状態RT4では、図9に示すように、リプレイSP1及びリプレイSP2の当選確率が他の遊技状態よりも高く設定されている。そのため、この第2特定演出状態D3では、ストックが付与される機会が高くなるように設定されている。なお、第3再遊技確率変動遊技状態RT3及び特別遊技状態RT6においてリプレイSP1又はリプレイSP2に当選したときは、リプレイSP1においてリプレイFの図柄の組み合わせを有効ライン上に揃えるための押し順(左中右)とリプレイSP2においてリプレイFの図柄の組み合わせを有効ライン上に揃えるための押し順(中左右)の2択により、リプレイFの図柄の組み合わせを揃えることが可能であることを示唆する演出を行っても良い。
特別役(RB又はBB)に当選してボーナス内部中状態RT5になると、演出制御手段は内部中演出状態D4の演出を実行する。この内部中演出状態D4では、演出制御手段は、特別役に当選し、特別遊技に移行することが確定していることを報知する演出が実行される。そして、特別役の図柄の組合せが有効ライン上に揃うと、特別遊技状態RT6に移行し、演出制御手段は特別演出状態D5の演出を実行する。なお、特別遊技状態RT6が終了すると、第1再遊技確率変動遊技状態RT1に移行する。この第1再遊技確率変動遊技状態では、演出制御手段は通常演出状態D0の演出を実行するが、ストックを有していたとしても誘導演出状態D1には移行しないため、SB−1〜SB−6に当選し、特定図柄が揃う(SBこぼし目が揃う)までは、第2再遊技確率変動遊技状態RT2に移行することはない。
(演出制御基板300の構成)
次に、演出制御基板300において、上述の演出を行うための構成について図17を用いて説明する。なお、以降の説明においては、演出制御基板300(サブ制御基板200)のサブCPU310で実行される演出用制御プログラムによる機能を「演出制御手段311」と呼ぶ。ここで、図17は、演出制御手段311の構成を示すブロック図である。
演出制御基板300のCPU310で実行される演出制御手段311は、図17に示すように、単位遊技毎に所定の役である小役に当選したときに、ストックを与えるか否かを抽選で決定し、また、リプレイFの図柄の組み合わせが有効ライン上に揃ったときにストックを与えるストック抽選手段312と、遊技状態やストックの有無により決定された演出状態に基づいて、遊技回数の設定やATフラグのオン・オフを行う演出状態変更手段313と、メイン制御基板100から送信される制御コマンドに基づいて、設定値の変更を検出し、RAM330に記憶されている情報の一部を初期化する設定値変更検出手段314と、上述した演出状態に応じて演出を決定する演出決定手段315と、この演出決定手段の決定に基づいて演出を実行する演出実行手段316と、から構成されている。
また、演出制御基板300のRAM330には、ストック数を記憶するストック数記憶手段331と、メイン制御基板100から制御コマンドにより通知された遊技状態を記憶する遊技状態記憶手段332と、メイン制御基板100から制御コマンドにより通知された役の抽選結果である条件装置状態番号を記憶する条件装置状態番号記憶手段333と、第3及び第4再遊技確率変動遊技状態RT3,RT4の遊技数を記憶する遊技回数記憶手段334と、アシストを実行して遊技状態を第3又は第4再遊技確率変動遊技状態RT3,RT4に誘導することを示すATフラグを記憶するATフラグ記憶手段335と、設定値が変更されたことを示す設定値変更フラグを記憶する設定値記憶手段336と、演出を抽選するための抽選テーブルを記憶する演出抽選テーブル記憶手段337と、演出パターンを記憶する演出パターン記憶手段338と、から構成されている。
(演出制御基板300での処理の流れ)
それでは、図18〜図25を用いて、本スロットマシン1の演出制御基板300における演出の制御について説明する。ここで、図18は、演出制御基板300で実行される演出制御手段311全体の処理(演出制御処理)のフローチャートを示し、図19は、演出制御処理のうちのストック抽選処理のフローチャートを示し、図20は、演出制御処理のうちの演出状態変更処理のフローチャートを示し、図21は、演出制御処理の演出実行処理のフローチャートであって、(a)は通常演出処理を、(b)は内部中演出処理を、(c)は特別演出処理を示し、図22は、演出制御処理のうちの演出実行処理のフローチャートであって、誘導演出処理を示し、図23は、演出制御処理のうちの演出実行処理のフローチャートであって、第1特定演出処理を示し、図24は、演出制御処理のうちの演出実行処理のフローチャートであって、第2特定演出処理を示し、図25は、メイン制御基板100で設定値が変更されたときの演出制御処理のフローチャートである。
スロットマシン1のスタートレバー32が操作されると、役抽選手段110により役の抽選が行われ、スタートレバー受付コマンドC502及び条件装置状態番号コマンドC504がメイン制御基板100から送信される。図18に示すように、演出制御手段311のストック抽選手段312は、メイン制御手段(メイン制御基板100)から送信された情報(制御コマンド)に基づいて、ストック抽選処理を実行する(ステップS610)。このストック抽選処理S610は、メイン制御基板100の役抽選手段110において当選した役の情報から、小役に当選しているか否かを判断し、小役に当選している場合に抽選を行ってストックを付与するか否かを決定するものである。次に、演出制御手段311の演出状態変更手段313は、メイン制御基板100における遊技状態やストックの有無から、上述した演出状態を決定するための情報を設定する演出状態変更処理を実行する(ステップS620)。そして、このようにして決定された演出状態に基づいて、演出制御手段311の演出決定手段315及び演出実行手段316は、メイン制御基板100から送信される制御コマンドにより、スタートレバー32が操作されてから第3停止のストップボタン33(33a〜33cのいずれか)が操作されて全てのリール21a〜21cが停止するまでの間に行う演出パターン、全てのリールが停止したときに何らかの役の図柄の組み合わせが有効ライン上に揃っていた(入賞していた)場合に行う演出パターン、及び、次の遊技のベットボタン31の操作時に行う演出パターンを決定し、この演出パターンに基づいて演出を行う演出実行処理を実行する(ステップS630)。本実施形態に係るスロットマシン1は、このステップS610〜S630までを、単位遊技毎に繰り返し実行するように構成されている。それでは、各処理の詳細について以降に説明する。
(ストック抽選処理S610)
図19に示すように、演出制御手段311のストック抽選手段312は、メイン制御基板100から遊技状態コマンドC500及び条件装置状態番号コマンドC504を受信すると、遊技状態コマンドC500に含まれる遊技状態を抽出して、RAM330の遊技状態記憶手段332に記憶させ、条件装置状態番号コマンドC504に含まれる役の抽選結果である条件装置状態番号を抽出して、RAM330の条件装置状態番号記憶手段333に記憶させる(ステップS6101)。なお、後述する演出状態変更手段313において、前回の単位遊技における遊技状態と今回の単位遊技における遊技状態とを比較するため、遊技状態記憶手段332は、前回及び今回の遊技状態を記憶可能に構成されている。そして、遊技状態記憶手段332に記憶されている今回の遊技状態が内部中遊技状態RT5であるときは、このストック抽選処理を終了する(ステップS6102)。すなわち、本実施形態に係るスロットマシン1は、ボーナス内部中遊技状態RT5においては小役の当選でストックの抽選を行わないように構成されている。また、条件装置状態番号記憶手段333に記憶されている条件装置状態番号が小役の当選を示すものでないときも、このストック抽選処理を終了する(ステップS6103)。一方、条件装置状態番号が小役の当選を示すものであるときは、ストックを付与するか否かの抽選を行い(ステップS6104)、当選したと判断したときは(ステップS6105)、ストック数記憶手段331に記憶されているストック数STに1を加算して処理を終了し(ステップS6106)、はずれたときはそのままストック抽選処理を終了する。
なお、本実施形態では、小役の当選で抽選を行い、抽選に当選したときにストック数を1加算するように構成しているが、抽選で決定された2以上の値をストック数に加算するように構成しても良いし、小役の種類に応じて当選確率や加算されるストック数を変化させても良い。また、全ての小役の種類の当選に対して抽選を行っても良いし、一部の種類の小役の当選に対して抽選を行っても良い。また、ストック抽選の契機は小役の当選に限定されることはない(詳細は後述する)。
(演出状態変更処理S620)
図20に示すように、演出制御手段311の演出状態変更手段313は、ストック抽選手段312によるストック抽選処理S610が終了すると、遊技状態記憶手段332に記憶されている前回の単位遊技における遊技状態と今回の単位遊技における遊技状態とを比較して、変化があるか否かを判断し、変化が無い場合はこの演出状態変更処理S620を終了する(ステップS6201)。一方、遊技状態に変化があると判断したときは、次に、以下の手順で、変化した遊技状態に応じた処理を実行する。まず、今回の遊技状態がボーナス内部中遊技状態RT5又は特別遊技状態RT6であると判断したときは(ステップS6202)、RAM330の設定値記憶手段336に記憶されている設定値変更フラグをオフして処理を終了する(ステップS6211)。また、今回の遊技状態が第3又は第4再遊技確率変動遊技状態RT3,RT4であると判断したときは(ステップS6203)、それぞれの遊技状態に応じた遊技回数(本実施形態に係るスロットマシン1においては、第3再遊技確率変動遊技状態RT3のときは40ゲーム、第4再遊技確率変動遊技状態RT4のときは11ゲーム)をRAM330の遊技回数記憶手段334に設定し(ステップS6204)、ストック数記憶手段331に記憶されているストック数から1を減算し(ステップS6205)、設定値記憶手段336に記憶されている設定変更フラグをオフして処理を終了する(ステップS6211)。また、今回の遊技状態が第1再遊技確率変動遊技状態RT1であると判断したときは(ステップS6206)、この遊技状態ではアシストを行わないため、ATフラグ記憶手段335のATフラグをオフし(ステップS6207)、設定値記憶手段336に記憶されている設定変更フラグをオフして処理を終了する(ステップS6211)。さらに、ステップS6206で第1再遊技確率変動遊技状態RT1でないと判断したときは、第2再遊技確率変動遊技状態RT2又は通常遊技状態RT0であるので、ストック数記憶手段331に記憶されているストック数が0であるか否かを判断し(ステップS6208)、0であるときは誘導演出が行われないため、ATフラグ記憶手段335のATフラグをオフし(ステップS6209)、0でないときは誘導演出を行うため、ATフラグ記憶手段335のATフラグをオンして(ステップS6210)、処理を終了する。
(演出実行処理S630)
演出状態変更手段313により演出状態変更処理S620が行われると、遊技状態記憶手段332に記憶されている今回の単位遊技の遊技状態、演出状態変更手段313でATフラグ記憶手段335に設定されたATフラグの状態から、現在の演出状態が決定される。具体的な演出状態としては、上述したように、第1再遊技確率変動遊技状態RT1であるか、若しくは、通常遊技状態RT0又は第2再遊技確率変動遊技状態RT2であってATフラグがオフのときは通常演出状態D0であり、通常遊技状態RT0又は第2再遊技確率変動遊技状態RT2であってATフラグがオンのときは誘導演出状態D1であり、第3再遊技確率変動遊技状態RT3であるときは第1特定演出状態D2であり、第4再遊技確率変動遊技状態RT4であるときは第2特定演出状態D3であり、ボーナス内部中状態RT5であるときは内部中演出状態D4であり、特別遊技状態RT6であるときは特別演出状態D5であると判断される。それでは、各演出状態における演出決定手段315及び演出実行手段316の処理について説明する。
−通常演出処理S6300−
図21(a)に示すように、演出決定手段315は、現在の演出状態が通常演出状態D0であると判断すると、通常演出処理S6300を実行する。この通常演出処理S6300において演出決定手段315は、演出制御基板300の乱数発生器320から乱数値を取得し、この乱数値と演出抽選テーブル記憶手段337に記憶されている演出抽選テーブルとを用いて演出パターンを決定する。そして、演出実行手段316は、スタートレバー32の操作から次の単位遊技のベットまでの間において、演出決定手段315で決定された演出パターンを演出パターン記憶手段338から取り出して、画像音響生成基板400を介して画像表示装置41、演出用ランプ42及び放音部43からなる演出手段40を制御して通常演出を実行する(ステップS6301)。なお、以降の演出処理において、演出決定手段315及び演出決定手段316による演出パターンの選択及び実行は同じである。
−内部中演出処理S6310−
図21(b)に示すように、演出決定手段315は、現在の演出状態が内部中演出状態D4であると判断すると、内部中演出処理S6310を実行する。この内部中演出処理S6310において演出決定手段315は、通常演出処理S6300と同様に演出パターンを決定し、内部中における演出を演出実行手段316により実行する(ステップS6311)。この内部中における演出としては、特別役に当選して特別遊技が実行されることが確定していることを報知する演出が行われる。そして、演出決定手段315は、全てのリール21a〜21cが停止して、作動図柄表示コマンドC514に含まれる結果から特別役の図柄が有効ライン上に揃ったと判断すると(ステップS6312)、演出実行手段316により、次の単位遊技から特別遊技が開始されることを報知する演出(特別演出開始演出)を実行する(ステップS6313)。
−特別演出処理S6320−
図21(c)に示すように、演出決定手段315は、現在の演出状態が特別演出状態D5であると判断すると、特別演出処理S6320を実行する。この特別演出処理S6320において演出決定手段315は、通常演出処理S6300と同様に演出パターンを決定し、特別遊技における演出を演出実行手段316により実行する(ステップS6321)。この特別演出処理S6320において、ストック抽選手段312は、全てのリール21a〜21cが停止した後にメイン制御基板100から送信される作動図柄表示コマンドC514を監視しており、この作動図柄表示コマンドC514に含まれる結果からリプレイFの図柄の組合せが有効ライン上に揃ったと判断したときにだけ(ステップS6322)、ストック数記憶手段331に記憶されているストック数STに1を加算する(ステップS6323)。なお、上述したように、この特別演出処理S6320では、当選役であるリプレイSP1又はリプレイSP2に対するアシストは行われない(あるいは、リプレイSP1においてリプレイFの図柄の組み合わせを有効ライン上に揃えるための押し順(左中右)とリプレイSP2においてリプレイFの図柄の組み合わせを有効ライン上に揃えるための押し順(中左右)の2択により、リプレイFの図柄の組み合わせを揃えることが可能であることを示唆する演出を行っても良い)。そして、演出決定手段315は、特別遊技終了したか否かを判断し(ステップS6324)、特別遊技が終了したときは、特別遊技が終了したことを報知する演出(特別遊技終了演出)を演出実行手段316により実行する(ステップS6325)。
このように、本実施形態に係るスロットマシン1においては、特別遊技が実行されているときに、リプレイSP1又はリプレイSP2に当選し、その当選役に含まれるリプレイFの図柄の組合せを有効ライン上に揃えると、第3又は第4再遊技確率変動遊技状態RT3,RT4に移行させるための誘導演出を実行する権利(ストック)を1つ得ることができるように構成されている。なお、リプレイSP1又はリプレイSP2の当選時にリプレイFの図柄の組み合わせが有効ライン上に揃わなくても、この図柄の組み合わせを揃えるための押し順でストップボタン33a〜33cが操作されたときにストックを1つ与えるように構成しても良い。また、当選役がリプレイSP1であるかリプレイSP2であるかに応じて、それぞれ付与されるストック数を変化させても良いし、抽選で付与されるストック数を決定するように構成しても良い。この際、ストックを付与しない(ストック数=0)という抽選結果を含むように構成しても良い(以下に説明する第1及び第2特定演出処理S6340,S6360においても同様である)。
−誘導演出処理S6330−
演出決定手段315は、現在の演出状態が誘導演出状態D1であると判断すると、誘導演出処理S6330を実行する。この誘導演出処理S6330は、遊技状態を移行させる役であって、押し順が設定されている役(以下、「アシスト役」と呼ぶ)が当選したときに、その押し順を報知して、メイン制御基板100における遊技状態を、第3再遊技確率変動遊技状態RT3又は第4再遊技確率変動遊技状態RT4に誘導するものである。ここで、アシスト役としては、図9に示すように、第2再遊技確率変動遊技状態RT2においては、遊技状態を通常遊技状態RT0に移行させるためのリプレイAB1〜リプレイAB6であり、通常遊技状態RT0においては、遊技状態を第3又は第4再遊技確率変動遊技状態RT3,RT4に移行させるためのリプレイCD1〜リプレイCD5及びリプレイDE1〜リプレイDE3と、第2再遊技確率変動遊技状態RT2への転落を防ぐためのリプレイBD1〜リプレイBD6及びSB−1〜SB−6である。ここで、通常遊技状態RT0、第3再遊技確率変動遊技状態RT3及び第4再遊技確率変動遊技状態RT4へ移行させるためのアシスト役においては、その役の図柄の組み合わせが有効ライン上に揃う押し順を報知し、第2再遊技確率変動遊技状態RT2への転落を防ぐためのアシスト役においては、その役の図柄の組み合わせが有効ライン上に揃わない押し順を報知するように構成されている。また、この誘導演出状態D1においては、押し順が設定されている小役1−1〜小役1−5が当選したときも、小役1−Aの図柄の組み合わせが有効ライン上に3連複表示されるための押し順を報知するように構成されている(すなわち、アシスト役には小役1−1〜小役1−5も含まれる)。なお、リプレイDE1〜DE3については、図8(c)に示すように、ストップボタン33a〜33cのうち、第1停止時に操作されるボタンでリプレイDの図柄の組み合わせが有効ライン上に揃うのか、リプレイEの図柄の組み合わせが有効ライン上に揃うのかが決定されるため、これらの役が当選したときは、リプレイDE1〜リプレイDE3のいずれかが当選していることだけを報知し、どのストップボタン33a〜33cから操作を開始するのかは遊技者の選択に委ねるように構成することも可能である。
図22に示すように、誘導演出処理S6330において演出決定手段315は、通常演出処理S6300と同様に演出パターンを決定して演出実行手段316により通常演出を実行する(ステップS6331)。そして、演出決定手段315は、条件装置状態番号記憶手段333に記憶されている条件装置状態番号が、上述のアシスト役の当選を示すものであるか否かを判断し(ステップS6332)、アシスト役が当選しているときは、遊技者がストップボタン33a〜33cの操作を開始する前までに、当選しているアシスト役に応じた押し順を、画像表示装置41等を用いて報知する演出を演出実行手段316により実行する(ステップS6333)。一方、アシスト役が当選していないときは、通常の演出を実行する(ステップS6334)。
−第1特定演出処理S6340−
図23に示すように、第1特定演出処理S6340において演出決定手段315は、まず、遊技回数記憶手段332に記憶されている第3再遊技確率変動遊技状態RT3の遊技回数Nから1を減算し(ステップS6341)、通常演出処理S6300と同様に演出パターンを決定して演出実行手段316によりART用の演出(第1特定演出)を実行する(ステップS6342)。また、演出決定手段315は、条件装置状態番号記憶手段333に記憶されている条件装置状態番号が、小役1−1〜小役1−5の当選を示すものであるか否かを判断し(ステップS6343)、小役1−1〜小役1−5のいずれかが当選しているときは、遊技者がストップボタン33a〜33cの操作を開始する前までに、演出実行手段316により小役1−Aの図柄の組合せが有効ライン上に3連複表示されるための押し順を、画像表示装置41等を用いて報知する演出を実行する(ステップS6344)。一方、小役1−1〜小役1−5が当選していないときは、演出実行手段316により通常の演出を実行する(ステップS6345)。このときも、ストック抽選手段312は、全てのリール21a〜21cが停止した後にメイン制御基板100から送信される作動図柄表示コマンドC514を監視しており、この作動図柄表示コマンドC514に含まれる結果からリプレイFの図柄の組合せが有効ライン上に揃ったと判断したときにだけ(ステップS6346)、ストック数記憶手段331に記憶されているストック数に1を加算する(ステップS6347)。なお、上述したように、この第1特定演出処理S6340においても、当選役であるリプレイSP1又はリプレイSP2に対するアシストは行われない。さらに、演出決定手段315は、遊技数回数記憶手段334に記憶されている遊技回数Nが0であるか否かを判断し(ステップS6348)、0であると判断したときは、演出実行手段316によりART遊技(第1特定遊技)が終了することを報知する演出(第1特定演出終了演出)を実行し(ステップS6349)、この第1特定演出処理を終了する。
このように、本実施形態に係るスロットマシン1においては、第1特定遊技が実行されているときに、リプレイSP1又はリプレイSP2に当選し、この当選役に含まれるリプレイFの図柄の組合せを有効ライン上に揃えると、第3又は第4再遊技確率変動遊技状態RT3,RT4に移行させるための誘導演出を実行する権利(ストック)を1つ得ることができるように構成されている。
−第2特定演出処理S6350−
図24に示すように、第2特定演出処理S6350において演出決定手段315は、まず、遊技回数記憶手段332に記憶されている第4再遊技確率変動遊技状態RT4の遊技回数Mから1を減算し(ステップS6351)、通常演出処理S6300と同様に演出パターンを決定して演出実行手段316によりART用の演出(第2特定演出)を実行する(ステップS6352)。また、演出決定手段315は、条件装置状態番号記憶手段333に記憶されている条件装置状態番号が、リプレイSP1、リプレイSP2、又は小役1−1〜小役1−5(ここでは「アシスト役」と呼ぶ)の当選を示すものであるか否かを判断する(ステップS6353)。さらに、アシスト役に当選していときは、その当選役が、リプレイSP1又はリプレイSP2であるか否かを判断し(ステップS6354)、リプレイSP1又はリプレイSP2でないとき(すなわち、小役1−1〜小役1−5であるとき)は、遊技者がストップボタン33a〜33cの操作を開始する前までに、演出実行手段316により小役1−Aの図柄の組合せが有効ライン上に3連複表示されるための押し順を、画像表示装置41等を用いて報知する演出を実行する(ステップS6356)。また、ステップS6354で当選した役がリプレイSP−1又はリプレイSP−2であると判断したときは、設定値記憶手段336に記憶されている設定値変更フラグがオンであるかいなかを判断し(ステップS6355)、オフされているときは、リプレイFの図柄の組合せが有効ライン上に揃う押し順を、画像表示装置41等を用いて報知する演出を実行する(ステップS6356)。なお、このステップS6355において、設定値変更フラグがオンされていると判断したときの処理は後述する。一方、アシスト役が当選していないときは、演出実行手段316により通常の演出を実行する(ステップS6358)。このときも、ストック抽選手段312は、全てのリール21a〜21cが停止した後にメイン制御基板100から送信される作動図柄表示コマンドC514を監視しており、この作動図柄表示コマンドC514に含まれる結果からリプレイFの図柄の組合せが有効ライン上に揃ったと判断したときにだけ(ステップS6359)、ストック数記憶手段331に記憶されているストック数STに1を加算する(ステップS6360)。さらに、演出決定手段315は、遊技数回数記憶手段334に記憶されている遊技回数Mが0であるか否かを判断し(ステップS6361)、0であると判断したときは、演出実行手段316により第2特定遊技が終了することを報知する演出(第2特定演出終了演出)を実行し(ステップS6362)、この第2特定演出処理を終了する。
このように、本実施形態に係るスロットマシン1においては、第2特定遊技が実行されているときにも、特定役であるリプレイSP1又はリプレイSP2に当選し、当該当選役に含まれるリプレイFの図柄の組合せを有効ライン上に揃えると、第3又は第4再遊技確率変動遊技状態RT3,RT4に移行させるための誘導演出を実行する権利(ストック)を1つ得ることができるように構成されている。このとき、リプレイFの図柄の組合せを有効ライン上に揃えるための押し順が報知されるため、この第2特定遊技においては、ストック数を容易に増加させることができる。
以上のように、本実施形態に係るスロットマシン1では、第3又は第4再遊技確率変動遊技状態RT3,RT4に移行させるための誘導演出を実行する権利であるストック数を獲得すると、このストック数が0になるまで第3又は第4再遊技確率変動遊技状態RT3,RT4における遊技(第1又は第2特定演出状態D2,D3による演出が実行される遊技)を行うことができる。図9に示すように、この第3又は第4再遊技確率変動遊技状態RT3,RT4においては、リプレイ(再遊技役)の当選確率が高く設定されており、遊技者は、遊技メダルの減少を抑えた遊技を行い、特別役の当選を狙うことができる。また、第4再遊技確率変動遊技状態RT4では、リプレイSP−1又はリプレイSP−2に当選したときに、遊技者は、リプレイFの図柄を狙ってストップボタン33a〜33cを操作することにより、ストック数を増加させることができるので、このスロットマシン1に対して遊技者の興味を惹きつけることができる。なお、ストック数が残っている状態で特別遊技を行ったときは、その特別遊技の終了後もストック数は維持されるので、第1再遊技確率変動遊技状態RT1から第2再遊技確率変動遊技状態RT2に移行した後、再度、ストック数が0になるまで繰り返し、第3又は第4再遊技確率変動遊技状態RT3,RT4における遊技を行うことができる。
(設定値が設定されたときの演出制御基板300の処理)
上述したように、メイン制御基板100の設定値設定手段150により設定値が設定されると、その処理の開始時及び終了時に制御コマンドが送信される。図25に示すように、演出制御手段311の設定値変更検出手段314は、設定値変更の開始及び終了コマンドを受信すると、設定値変更開始コマンドによりメイン制御基板100のRAM103が正常に動作しているか否かを判断し(ステップS640)、異常であると判断すると、メイン制御基板100で異常が発生していることを報知する(ステップS641)。次に、演出制御基板300のRAM330の状態を、メイン制御基板100のRAM103と同様の方法でチェックし(ステップS642)、このRAM330に異常があると判定すると、演出制御基板300で異常が発生していることを報知してこの処理を終了する(ステップS646)。一方、RAM330に異常がないと判断すると、設定値記憶手段336に記憶されている設定値変更フラグをオンにし(ステップS644)、さらに、RAM330に記憶されている情報のうち、ATに関する情報を初期化してこの処理を終了する(ステップS645)。初期化の対象としては、例えば、ストック数記憶手段331に記憶されているストック数を0にし、ATフラグ記憶手段335に記憶されているATフラグをオフにする。なお、設定値変更フラグとともに、メイン制御基板100から送信された設定値を設定値記憶手段336に記憶しても良い。
このように、本実施形態に係るスロットマシン1においては、設定値が変更されると、演出制御基板300で管理している演出に関する情報のうち、ATに関する情報が初期化される。すなわち、設定値を変更すると、設定値の変更前までに得ていたストック数やATフラグが初期化されるため、第3又は第4再遊技確率変動遊技状態RT3,RT4に移行させるための誘導演出を実行する権利を失うことになる。そのため、設定値が変更されたときの第4再遊技確率変動遊技状態RT4での残りの遊技に対する第2特定演出状態D3における演出では、リプレイSP−1及びリプレイSP−2に当選すると押し順を報知するが、その押し順はリプレイFの図柄の組合せが有効ライン上に揃わないようにする押し順を報知するように構成されている。具体的には、演出決定手段315は、図24のステップS6355において、設定値記憶手段336の設定値変更フラグがオンであると判断したときは、リプレイFの図柄の組合せが有効ライン上に揃わない押し順を、画像表示装置41等を用いて報知する演出として演出実行手段316により実行する(ステップS6357)。これにより、リプレイSP−1又はリプレイSP−2が当選しても、リプレイFの図柄の組合せが有効ライン上に揃うことはなく、ステップS6360の処理(ストック数を1増加させる処理)も実行されなくなるため、設定値が変更されてATに関連する情報が初期化されたにも関わらず、特定役の図柄の組合せ(本実施形態ではリプレイFの図柄の組み合わせ)が揃うことによる利益(ストック数が増加する)を得られるという不整合の発生を防止することができる。なおこの場合、リプレイSP−1又はリプレイSP−2の当選に対して押し順を報知しない場合でも、当選した役に割り当てられた押し順でストップボタン33a〜33cの操作をすると、有効ライン上にリプレイFの図柄が揃うことになり、遊技者はストックを得ることができる。そのため、設定値が変更された場合には、すなわち、設定記憶手段336の設定値変更フラグがオンになっているときは、ストック抽選手段312は、例えばリプレイFの図柄の組み合わせが有効ライン上に揃ったとしても、ストックを与えないように構成することもできる。
以上のように、本実施形態に係るスロットマシン1における演出制御手段311は、通常演出状態D0又は誘導演出状態D1にあるときに設定値が変更されると、設定値の変更前までに獲得していたストック及びATフラグが初期化されるため、設定値の変更後の遊技は通常演出状態D0で行われる。一方、第1及び第2の特定演出状態D2,D3にあるときに設定値が変更されると、第3又は第4再遊技確率変動遊技状態RT3,RT4が再開されるため、それぞれの演出状態が保持、再開され、小役1に対するアシストは行われるが、リプレイSP−1及びリプレイSP−2に対してはアシストが行われないという、条件付きのART遊技が行われることになる。なお、メイン制御基板100で管理している遊技状態や特別役の当選フラグ等は、設定値が変更されても保持されるため、内部中演出状態D4における演出は設定値の変更の影響を受けることはない。また、特別遊技状態RT6においては設定値の変更ができないため、特別演出状態D5における演出も設定値の変更の影響を受けることはない。
(第1の変形例)
以上の説明において、設定値が変更された後の遊技であっても、第3再遊技確率変動遊技状態RT3若しくは特別遊技状態RT6にあるときに、特定役であるリプレイSP−1又はリプレイSP−2に当選してリプレイFの図柄の組合せが有効ライン上に揃うと、ストックが付与されるように構成していたが、抽選によりストックを付与するか否かを決定するように構成するとともに、設定値が変更されたときの遊技状態においては、この当選確率を低くするように構成することも可能である。これにより設定値が変更された遊技状態では、リプレイFの図柄の組合せが有効ライン上に揃うことによりストックを得る可能性が残るが、当該遊技ではストックを得られる確率が低くなるため、設定値の変更によるATに関するする情報の初期化との整合性を取ることができる。また、第4再遊技確率変動遊技状態RT4においても、設定値変更フラグがオンのときはストックを付与しない構成ではなく、抽選による当選確率を低くするように構成しても良い。同様に、小役当選時のストックの抽選においても、設定値の変更がされた遊技状態の残りの遊技においては、当選確率を変化させるように構成しても良い。
(第2の変形例)
また、以上の説明において、設定値が変更された後の遊技であっても、第3及び第4再遊技確率変動遊技状態RT3,RT4においては、小役1−1〜小役1−5に当選したときに小役1−Aの図柄の組合せを有効ライン上に3連複表示させる押し順を報知するように構成していたが、設定値が変更されたときの遊技状態での残りの遊技においては、小役1−1〜小役1−5に対する押し順の報知も行わないように構成することも可能である(すなわち、いずれの役が当選したとしても、アシストは行わないように構成することも可能である)。或いは、当該遊技状態の残り遊技回数により、小役1−1〜小役1−5の押し順を報知する・しないを決定しても良い。例えば、残り遊技回数が5ゲーム以下であれば、小役1−1〜小役1−5の押し順の報知を行わない(ART遊技を行わない)ように構成することも可能である。残り遊技回数が少なければ、押し順の報知がされなくても、遊技者に違和感を与える可能性が少ないからである。この場合、残り遊技数が5ゲームより多い場合は、上述した条件付きのART遊技が行われ、小役1−1〜小役1−5の押し順が報知される。或いは、第3再遊技確率変動遊技状態RT3にあるときに設定値が変更されたときは、当該変更がされた遊技状態での遊技において小役1−1〜小役1−5の押し順報知をするが、第4再遊技確率変動遊技状態RT4にあるときに設定値が変更されたときは、当該押し順報知をしないように構成することも可能である。上述したように、第4再遊技確率変動遊技RT4の遊技回数は少なく、小役1−1〜小役1−5の押し順報知をしなくても遊技者に違和感を与える可能が少ないからである。また、上述したように、第4再遊技確率変動遊技状態RT4における遊技は特殊な遊技であり(ストック数を増加させることができる遊技であり)、この遊技状態において設定値が変更されたときは、ストックと同様に、小役1−1〜小役1−5に対する利益も与えないことにより、設定値の変更によるATに関する情報の初期化との整合性を取ることができる。
(第3の変形例)
第3再遊技確率変動遊技状態RT3に対する第1特定演出状態D2での演出は、リプレイSP−1又はリプレイSP−2が当選してもリプレイFの図柄の組合せを揃えるための押し順の報知はされない。その代わりとして、第3再遊技確率変動遊技状態RT3においては、各単位遊技でストック抽選を行うように構成することができる。このとき、第3再遊技確率変動遊技状態RT3に移行した最初の遊技において抽選を行い、各単位遊技でのストック抽選の当選確率の高低を決定するように構成することも可能である。さらにこの場合、最も高いストック抽選での当選確率に当選したときは、第3再遊技確率変動遊技状態RT3が終了するときに、当該遊技状態において、最低でも1つのストック数が付与されるように保証するように構成することもできる。なお、このように構成した場合に、この第3再遊技確率変動状態RT3で設定値が変更されたときは、上記ストック数の保証をしないように構成することが好ましい。また、設定値が変更された時点で、それまで蓄積したストック数も初期化されるため、当該遊技状態での残りの遊技でのストック抽選の当選確率を最も低い確率にするか、若しくは、当該遊技状態の残りの遊技では、ストック抽選をしないように構成することが好ましい。