JP2015127354A - 共重合ポリエステル - Google Patents

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Abstract

【課題】難燃剤の成形時・使用時のブリードアウトが抑制され、機械的物性が損なわれず、燃焼時に有害なガスを発生させるリン化合物の量を低減可能な、難燃性共重合ポリエステル及び難燃性ポリエステル成形品の提供。【解決手段】芳香族ジカルボン酸成分と、ジオール化合物成分から誘導される繰り返し単位を含む共重合ポリエステルであって、式(A)で示される有機リン化合物が、リン原子含有量として0.1〜1.2wt%となる範囲で共重合されており、かつ、3官能以上の有機窒素化合物が、芳香族ジカルボン酸成分のモル数に対して0.01〜3.0mol%となる範囲で共重合されている共重合ポリエステル。【選択図】なし

Description

本発明は難燃性共重合ポリエステル等に関する。さらに詳しくは、共重合性リン化合物および有機窒素化合物を含有し、高い難燃性を有し、重合性が良好でありポリエステルとしての主要な用途に使用可能な固有粘度を有しつつ、高い難燃性を有する難燃性共重合ポリエステルに関する。さらには、各種産業製品に利用可能な難燃性ポリエステル成形品、難燃性ポリエステル繊維に関する。
ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレートおよびポリテトラメチレンテレフタレートは、その機械的、物理的および化学的性能が優れているため、繊維、フィルムまたはその他の成形物に広く利用されている。ポリエステルは多くの優れた特性を有するがゆえに繊維、フィルム、その他の成形品として広く用いられているが、燃焼性が「可燃性」に分類され、空気中で燃焼する。このため従来からポリエステルの難燃性を高める方法が種々開発されている。例えばポリエチレンテレフタレートを主とするポリエステル繊維ついて説明すると、その難燃性を高める方法として、難燃性化合物の(1)後加工法、(2)ブレンド法、(3)共重合法の3つの方法を挙げることが出来る。
(1)の後加工法は糸や織編物を処理する方法であり、ハロゲン系難燃剤を浴中法もしくはパディング法により繊維に吸尽もしくは付着させる方法(例えば、特許文献1参照。)や、または地球環境保全に対する意識の高まりから、より環境負荷の少ない難燃加工技術としてリン系難燃剤を浴中法もしくはパディング法により繊維に吸尽もしくは付着させる方法(例えば、特許文献2参照。)が提案されている。(2)のブレンド法は難燃剤をポリエステルの製造段階もしくは紡糸段階でポリマーに練り込む方法であるが、難燃性化合物のポリエステルに対する親和性が低く、ポリエステルの溶融成形工程においてブリードアウトするなどの欠点を有する。(3)の共重合法としては、リンを含む共重合性のモノマー(難燃剤)をポリエステルの製造段階で反応系に添加してポリエステルにランダムに共重合する方法が実用化されており、このようなモノマーとしてはカルボキシホスフィン酸系化合物(例えば、特許文献3参照。)やフォスファフェナントレン系化合物(例えば、特許文献4参照。)が提案されている。
(3)の共重合法によって高い難燃性能のポリエステルを製造するには、ハロゲン原子含有共重性化合物を高濃度化することが必要となり、共重合量の増加によってポリエステル本来の強度・伸度・タフネス・ヤング率といった機械物性の低下を引き起こす。また共重合量の増加に伴い、融点の低下、結晶性の低下、ガラス転移温度の低下が生じ、ポリエステルを溶融成形する前の乾燥工程に置いて、ポリエステルチップ同士が融着するなど、工程不調を引き起こしていた。またリン化合物は、一般的なポリエステルの重合に使用される触媒の安定剤として作用するため、安定剤とは比較にならないほどの添加量を要するリン系難燃剤には、重合反応性を著しく阻害する、という問題があった。
特開昭62−057985号公報 特開2001−011775号公報 特公昭53−013479号公報 特公昭55−041610号公報
本発明は、上記課題を考慮した上で、ポリエステルにリン化合物により難燃性を付与した難燃性ポリエステルであって、リン化合物の添加量を減らしつつ、難燃性に優れた共重合ポリエステルを提供することである。さらに、その難燃性ポリエステルから得られるポリエステル成形品の使用時に、難燃性ポリエステルに添加された化合物が成形品表面に滲み出してくる、いわゆるブリードアウト現象が抑制された、難燃性ポリエステルを提供することである。
本発明者らは、有機リン化合物だけでなく、従来困難であった窒素化合物をも重合反応時に共重合することで、従来の課題が解決できることを見出した。
すなわち本発明は、芳香族ジカルボン酸または芳香族ジカルボン酸のエステル形成誘導体と、ジオール化合物から誘導される繰り返し単位を含む共重合ポリエステルであって、下記構造式(A)で示される有機リン化合物が共重合ポリエステルの重量に対して、リン原子含有量として0.1〜1.2wt%となる範囲で共重合されており、かつ、3官能以上の有機窒素化合物が、ポリエステル中の芳香族ジカルボン酸成分に対して0.01〜3.0mol%となる範囲で共重合されていることを特徴とする共重合ポリエステルであり、当該共重合ポリエステルにより上記課題を解決することができた。
Figure 2015127354
[上記式中、nは1〜2の自然数を示す。Rは炭素数2〜6の2価の炭化水素残基を示す。Rは水素原子、ヒドロキシル基、ハロゲン基、カルボキシル基、アミノ基、アルキルエステル基または炭素数1〜6の1価の炭化水素残基を示す。複数ある官能基Rは互いに同一の官能基であっても異なる官能基であっても良い。Yはエステル形成官能基を示す。]
本発明の共重合ポリエステルによれば、リン化合物の共重合・配合量を減らしつつ十分な難燃性を有している共重合ポリエステルを提供することができる。また、難燃性を付与しているリン化合物および3官能以上の有機窒素化合物を共にポリエステルに共重合させることにより、その共重合ポリエステルの成形品を長期間使用しても、その難燃性を付与する化合物のブリードアウトを防ぎ、成形品の外観を損なうことがなく、難燃性も長期間維持することができる。またリン化合物はポリエステルに共重合されているので、リン元素由来の化合物の揮発性ガスの発生量の低減が期待できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
(ジオール化合物成分)
本発明において用いられるジオール化合物成分としてはアルキレングリコールを挙げる事ができ、具体的にはエチレングリコール、トリメチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール(テトラメチレングリコール)、ネオペンチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノール、デカメチレングリコールを挙げる事ができる。その中でも特に、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールを主たる対象とする場合が好ましい。この時には例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリ(オキシ)エチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリメチレングリコール等のアルキレングリコールの1種、または2種以上を混合して用いてもよく、目的により任意に選ぶことができる。
更に共重合芳香族ポリエステルの構成する高分子鎖が実質的に線状である範囲内で3価以上の多官能ヒドロキシ化合物、例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等を共重合してもよい。また、必要に応じて単官能ヒドロキシ化合物、例えばデシルアルコール、ドデシルアルコール、2−フェニルエタノールなどを用いても良い。
(芳香族ジカルボン酸成分)
本発明において用いられる芳香族ジカルボン酸成分としては、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を挙げることができる。具体的には芳香族ジカルボン酸としてテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸を挙げることができる。更にこれらのエステル形成性誘導体としては、ジメチルエステル、ジエチルエステル、ジ−n−プロピルエステル、ジ−iso−プロピルエステル、ジ−n−ブチルエステル、ジ−sec−ブチルエステル、ジ−tert−ブチルエステル、ジペンチルエステル、ジヘキシルエステル、ジフェニルエステル、ジベンジルエステル、ジナフチルエステル、酸ジクロリド、酸ジブロミド、酸ジアイオダイド等を挙げることができる。これらの化合物群の中でもテレフタル酸を主たる対象とし、実際に用いる際には、炭素数1〜6のアルコールやフェノールを用いて、ジエステル化した化合物を用いることが好ましい。この時には、更に、ヘキサヒドロテレフタル酸、デカリンジカルボン酸等のごとき脂環族ジカルボン酸;アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸等のごとき脂肪族ジカルボン酸等で示されるジカルボン酸成分の1種、または2種以上を混合して用いてもよく、目的により任意に選ぶことができる。
更に共重合芳香族ポリエステルの構成する高分子鎖が実質的に線状である範囲内で3価以上の多官能カルボン酸化合物、例えばトリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリカルバリル酸または没食子酸等を共重合してもよい。また、必要に応じて単官能カルボン酸化合物、例えば安息香酸、トルイル酸、1−ナフトエ酸、2−ナフトエ酸、о−ベンゾイル安息香酸などを用いても良い。他にも、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシ安息香酸のようなヒドロキシカルボン酸またはそのアルキルエステル等を少量使用しても良い。
(第三成分)
また、別種の共重合成分として、p−オキシ安息香酸、m−オキシ安息香酸、サリチル酸、マンデル酸、ヒドロオキシアクリル酸、乳酸、グリコール酸、3−ヒドロオキシプロピオン酸、アシアチン酸、キノバ酸などのヒドロオキシカルボン酸を例示することができる。
(製造方法)
上記芳香族ポリエステルは、後に述べる有機リン化合物および3官能以上の有機窒素化合物を製造工程に添加し、共重合させる以外は、以下に示すようなポリエステルの製造方法を用いて製造すればよい。例えば、芳香族ジカルボン酸または芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステルもしくは低級アリールエステルと、ジオール化合物成分を用いて、エステル化反応またはエステル交換反応を行い、得られた反応生成物を更に高温、高真空、溶融下で重縮合を進める製造方法である。より好ましい態様である、共重合ポリエステルを構成する主たるポリエステル成分がポリエチレンテレフタレート(PET)の場合には以下の通りである。テレフタル酸およびエチレングリコールを用いてエステル化反応を行い、またはテレフタル酸の低級アルキルエステル(例えばジメチルエステル)およびエチレングリコールを用いてエステル交換反応を行って、得られた反応生成物を更に重縮合反応させることによって製造できる。また、溶融重縮合工程で得られたポリエチレンテレフタレートはペレット化されたのち、必要に応じて、さらなる平均分子量増加の為、結晶化処理を行った後、固相重合工程で重縮合されていてもよい、固相重合の実施方法に関しては、公知のいずれの方法を採用してもよい。もちろんPETに限定されず、他の芳香族ポリエステルの場合であっても必要に応じて固相重合を行っても良い。
(EI触媒/重縮合触媒/安定剤)
これらの製造方法により共重合芳香族ポリエステルを製造する際に、エステル交換触媒、重縮合触媒、および必要であれば安定剤などを使用することが好ましい。これらの触媒、安定剤などは共重合芳香族ポリエステル、特に公知のポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートの触媒、安定剤などとして知られているものを用いることができる。
(その他添加剤)
また、本発明における共重合ポリエステルは、必要に応じて少量の添加剤、例えば酸化防止剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、遮光剤または艶消し剤などを含んでいても良い。特に酸化防止剤、紫外線吸収剤、艶消し剤などは特に好ましく添加される。
(添加剤(難燃性付与))
本発明ついては、以下に示す下記構造式(A)で示される有機リン化合物および3官能以上の有機窒素化合物を共重合することによって、ポリエステルに難燃性を付与することができる。またこれらの化合物がポリエステルに共重合されていることから、その難燃性ポリエステルから得られるポリエステル成形品の使用時に、ブリードアウトを抑制することが実現することができる。さらにリン化合物も共重合されているので、リン元素由来の化合物の揮発性ガスの発生量の低減が期待できる。
<共重合性リン化合物の化学構造について>
本発明の共重合ポリエステルは、下記一般式(A)で表される共重合性リン化合物を、ポリエステルの構成成分として共重合されていることが必要である。
Figure 2015127354
[上記式中、nは1〜2の自然数を示す。Rは炭素数2〜6の2価または3価の炭化水素残基を示す。Rは水素原子、ヒドロキシル基、ハロゲン基、カルボキシル基、アミノ基、アルキルエステル基または炭素数1〜6の1価の炭化水素残基を示す。複数ある官能基Rは互いに同一の官能基であっても異なる官能基であっても良い。Yはエステル形成官能基を示す。]
官能基Rは、具体的には炭素数2〜10の炭化水素基を挙げることができる。具体的には、エステル形成官能基を1つ有する場合には、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、1,2−ブチレン基、1,3−ブチレン基、テトラメチレン基、1,2−ペンチレン基、1,3−ペンチレン基、1,4−ペンチレン基、1,5−ペンチレン基、2,3−ペンチレン基、2,4−ペンチレン基、3,4−ペンチレン基、1,2−ヘキシレン基、1,3−ヘキシレン基、1,4−ヘキシレン基、1,5−ヘキシレン基、1,6−ヘキシレン基、2,3−ヘキシレン基、2,4−ヘキシレン基、2,5−ヘキシレン基、3,4−ヘキシレン基等を挙げることができ、これらの2価のうち1つがリン原子に、他の1つが官能基Yに結合していることになる。またエステル形成官能基を2つ有する場合には、エチレン基、1,2位もしくは1,3位にエステル形成官能基を有するプロピレン基、1,2位、1,3位、1,4位もしくは2,3位にエステル形成官能基を有するブチレン基、1,2位、1,3位、1,4位、1,5位、2,3位、2,4位もしくは3,4位にエステル形成官能基を有するペンチレン基、1,2位、1,3位、1,4位、1,5位、2,3位、2,4位、2,5位もしくは3,4位にエステル形成官能基を有するヘキシレン基を挙げることができる。これらの2価の置換基を有する1つまたは2つの位置が官能基Yに結合して、同じ炭素原子又は他の任意の炭素原子うち1つがリン原子に結合しているような化学構造をとることになる。これらの中でも共重合ポリエステルを溶融紡糸等、細いもしくは肉薄の成形品を溶融成形しやすいという観点から、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基を選択するのが好ましく、より好ましくはプロピレン基を選択することである。
官能基Rは、具体的には水素原子、ヒドロキシル基、ハロゲン基、カルボキシル基、アミノ基、アルキルエステル基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、フェニル基を挙げることができる。これらの中でも成形性の容易さ、良好な難燃性を示す観点から水素原子もしくはメチル基が好ましい。
更にYのエステル形成官能基とは、エステル基を形成可能な官能基を表す。一般式(I)で示される酸ハロゲンの残基、一般式(II)で示されるカルボキシル基、エステル基または水酸基を挙げることができる。
Figure 2015127354
[上記式中、Xは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を示す。]
Figure 2015127354
[上記式中、Rは炭素数1〜6の炭化水素残基または水素原子を示す。]
一般式(II)の具体例としては、カルボキシル基、メチルエステルの残基、エチルエステルの残基、n−プロピルエステルの残基、イソプロピルエステルの残基、エチレングリコールエステルの残基、一般式(III)で示されるフェニルエステルの残基を挙げることが出来る。これら官能基は、ポリエステルを製造する上で、エステル化反応またはエステル交換反応において、反応性を有するため、好ましく使用される。中でも、反応系から沸点差を利用し、除去しやすいメチルエステルの残基、エチレングリコールエステルの残基を好ましく例示できる。
Figure 2015127354
<共重合性リン化合物の例>
このような共重合性リン化合物としては、下記一般式(IV)、(V)、(B)で示される共重合性リン化合物を例示することが出来る。
Figure 2015127354
[上式中、n1はリン化合物の繰り返し単位の重合度を示す。]
用いる共重合性有機リン化合物としては、上述の中から1種類であっても、2種類以上の複数を組み合わせることもできる。好ましくは上記化学構造式(B)で表される化合物を用いることである。重合度n1は好ましくは2〜30、より好ましくは3〜20であり、更により好ましくは4〜10である。
<共重合性リン化合物の共重合量>
上記の共重合性を有する有機リン化合物の共重合量としては、共重合ポリエステルの重量に対して、リン原子含有量として0.1〜1.2wt%となる範囲で共重合されていることが必要である。リン原子含有量が0.1wt%未満の場合、難燃性が低く好ましくない。リン原子含有量が1.2wt%を超える場合、得られる難燃性共重合ポリエステルの機械的物性や重合反応性が劣り、さらに乾燥工程において融着を発生させるため、好ましくない。好ましくは0.05〜1.0wt%であり、より好ましくは0.1〜0.9wt%であり、更により好ましくは0.2〜0.8wt%である。
<共重合性リン化合物の添加時期>
ここで共重合ポリエステル製造時における共重合性を有する有機リン化合物の添加時期としては特に限定はない。エステル交換反応の開始前から重合反応が終了する任意の段階で添加することができ、あるいは直接エステル化反応の開始前から重合反応が終了する任意の段階で添加することができる。好ましくは、エステル交換反応終了後または直接エステル化反応の終了後から重縮合反応の終了までであり、より好ましくは、ステル交換反応終了後または直接エステル化反応の終了後から重縮合反応の開始までである。或いは一旦重縮合反応の終了したポリエステルチップを再溶融し、この共重合性を有する有機リン化合物を添加し溶融混練することにより共重合させることも好ましい。
<3官能以上の有機窒素化合物について>
本発明においては、上記の特定の化学構造式を有する有機リン化合物に加えて、3官能以上の有機窒素化合物が共重合されていることが必要である。このとき、3官能の官能基の種類としては、共重合ポリエステルのモノマー、オリゴマー、ポリマー末端基等との反応性を有する官能基であれば良く、ヒドロキシル基、エステル基、カルボキシル基、アミノ基、イミノ基を挙げることができる。さらに具体的には、3官能以上の有機窒素化合物としては、メラミン、シアヌル酸、ポリリン酸メラミン、グアニジン化合物(スルファミン酸グアニジン、リン酸グアニジン、メチロールリン酸グアニジンなど)を挙げることができる。
<3官能以上の有機窒素化合物の共重合量>
これらの3官能以上の有機窒素化合物の量としては、重合ポリエステルを構成する芳香族ジカルボン酸成分のモル数に対して0.01〜3.0mol%である必要がある。3官能以上の有機窒素化合物の量が0.01mol%未満の場合、難燃性が低く好ましくない。3.0mol%を超える場合、架橋化が進みゲル化してしまうため、重合反応や成形時に不具合が生じるため、好ましくない。好ましくは0.05〜2.5mol%であり、より好ましくは0.1〜2.0mol%であり、更により好ましくは0.5〜1.8mol%である。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれによりなんら限定を受けるものでは無い。なお、実施例中の各物性値は以下の方法により求めた。なお実施例、比較例において「部」とは重量部を表す。
(1)固有粘度(IV)
極限粘度数は、共重合ポリエステルチップを一定量計量し、o−クロロフェノールに0.012g/mlの濃度に溶解した後、一旦冷却させ、その溶液をウベローデ式粘度計を用いて35℃の温度条件で測定した溶液粘度から算出した。
(2)ポリエステル繊維の製造:北Pレベル
共重合ポリエステルチップを140℃、8時間乾燥後、紡糸温度285℃、口金孔径0.27mm、ホール数24、巻取速度400m/分で紡糸を行った。ついで、未延伸糸を160℃でヒートセットしながら、最大延伸倍率(以下、MDRと標記する)の75%で延伸した。得られたポリエステル繊維を常法により、筒編み機で筒網試験片を作成後し、試験片の燃焼試験を実施した。
(3)LOI値
共重合ポリエステルを紡糸・延伸して得たポリエステル糸を用い、JIS L 1091 E−3号に従い、LOI値を測定した。LOI値が26以上の場合、一般に難燃性高分子材料として認められている。
[実施例1]:ポリマーブレンド後、重縮合反応実施
固有粘度0.65dL/g、DEG含有量0.60重量%のPETのペレット189.4質量部を、1500〜2000Paの弱真空下、285℃で30分間撹拌溶解した。その後、常圧に戻し、ペレットが完全に溶解するまで加熱した。目視で溶解確認後、さらに常圧で5分間加熱した。その後、1500〜2000Paの弱真空下で5分撹拌溶解した。次いで、常圧から60Pa以下の高真空の圧力を下げながら、固有粘度が0.60dL/g以上となるような溶融粘度になるまで重合反応を進めた後、最終的に得られる共重合ポリエステル量に対して、添加量としてリン原子濃度が0.40質量%となるよう、難燃剤である上記化学構造式(B)で示される有機リン化合物と、3官能以上の有機窒素化合物で、難燃補助剤であるシアヌル酸1.0質量部(最終的に得られる共重合ポリエステル量に対して0.5質量%)を添加した。その後、再度60Pa以下の高真空で、固有粘度が0.60dL/g以上となるような溶融粘度になるまで重合反応が進んだ時点で反応を終了し、溶融ポリマーを反応器より取り出し、ペレット状に切断した。結果を表1に示した。
[実施例2〜6、比較例1]:ポリマーブレンド後、重縮合反応実施
上記化学構造式(B)で示される有機リン化合物に由来する共重合ポリエステル中のリン原子の濃度、およびシアヌル酸等の難燃補助剤の種類・共重合量が、表1となるように変更した以外は、実施例1と同様に実施した。結果を表1に示した。
[比較例2]:エステル交換反応後、重縮合反応実施
ジメチルテレフタレート194質量部とエチレングリコール124質量部との混合物に、ジメチルテレフタレートのモル数に対し、酢酸マンガンをマンガン原子として30.0mmol%を、撹拌機、精留塔およびメタノール留出コンデンサーを設けた反応器に仕込み、140℃から徐々に昇温しつつ、反応の結果生成するメタノールを系外に留出させながら、エステル交換反応を行った。精留塔頭頂部の温度の低下が見られた時点で、安定剤としてヒドロキシエチレンジメチルホスヘートをジメチルテレフタレートのモル数に対し35.0mmol%添加し、エステル交換反応を終了した。
次いで、得られた反応生成物を撹拌装置、窒素導入口、減圧口および蒸留装置を備えた反応容器に移し、ジメチルテレフタレートのモル数に対し、三酸化アンチモンを40.0mmol%添加した後、210℃から285℃に徐々に昇温すると共に、常圧から60Pa以下の高真空の圧力を下げながら重合反応を行った。固有粘度が0.60dL/g以上となるような溶融粘度になるまで重合反応を進めた後、最終的に得られる共重合ポリエステル量に対して、添加量としてリン原子濃度が0.24質量%となるよう、上記化学構造式(B)で示されるリン系難燃剤を添加した。その後、再度オイルポンプにて60Pa以下の高真空で、固有粘度が0.60dL/g以上となるような溶融粘度になるまで重合反応が進んだ時点で、反応を終了し溶融ポリマーを反応器より取り出し、ペレット状に切断した。結果を表1に示した。
[実施例7、比較例3〜5]:エステル交換反応後、重縮合反応実施
上記化学構造式(B)で示される有機リン化合物に由来する共重合ポリエステル中のリン原子の濃度、および3官能以上の有機窒素化合物であるメラミン酸、酸化アルミニウム、または酢酸マンガン等の難燃補助剤の種類・共重合量が、表1となるように有機リン化合物とシアヌル酸等の燃補助剤をリン系難燃剤と同時に添加するよう変更した以外は、比較例2と同様に実施した。結果を表1に示した。
Figure 2015127354
本発明の共重合ポリエステルによれば、リン化合物の共重合・配合量を減らしつつ十分な難燃性を有している共重合ポリエステルを提供することができる。また、難燃性を付与しているリン化合物および3官能以上の有機窒素化合物を共にポリエステルに共重合させることにより、その共重合ポリエステルの成形品を長期間使用しても、その難燃性を付与する化合物のブリードアウトを防ぎ、成形品の外観を損なうことがなく、難燃性も長期間維持することができる。またリン化合物はポリエステルに共重合されているので、リン元素由来の化合物の揮発性ガスの発生量の低減が期待できる。これらの事項が同時に達成することができるのは産業上の意義が大きい。

Claims (8)

  1. 芳香族ジカルボン酸成分と、ジオール化合物成分から誘導される繰り返し単位を含む共重合ポリエステルであって、下記構造式(A)で示される有機リン化合物が共重合ポリエステルの重量に対して、リン原子含有量として0.1〜1.2wt%となる範囲で共重合されており、かつ、3官能以上の有機窒素化合物が、共重合ポリエステルを構成する芳香族ジカルボン酸成分のモル数に対して0.01〜3.0mol%となる範囲で共重合されていることを特徴とする、共重合ポリエステル。
    Figure 2015127354
    [上記式中、nは1〜2の自然数を示す。Rは炭素数2〜6の2価または3価の炭化水素残基を示す。Rは水素原子、ヒドロキシル基、ハロゲン基、カルボキシル基、アミノ基、アルキルエステル基または炭素数1〜6の1価の炭化水素残基を示す。複数ある官能基Rは互いに同一の官能基であっても異なる官能基であっても良い。Yはエステル形成官能基を示す。]
  2. 前記芳香族ジカルボン酸成分が、テレフタル酸、テレフタル酸ジメチルエステル、テレフタル酸ジエチルエステル、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル、または2,6−ナフタレンジカルボン酸ジエチルエステルであることを特徴とする、請求項1に記載の共重合ポリエステル。
  3. 前記ジオール化合物成分が、一般式(C)で表されることを特徴とする、請求項1〜2のいずれか1項に記載の共重合ポリエステル。
    HO−(CH)m−OH(mは4以下) (C)
  4. 前記3官能以上の有機窒素化合物がシアヌル酸であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の共重合ポリエステル。
  5. リン原子含有量が0.5wt%以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の共重合ポリエステル。
  6. 前記有機リン化合物が下記構造式(B)であらわされる化合物成分であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の共重合ポリエステル。
    Figure 2015127354
    [上記式中、n1はリン化合物の繰り返し単位の重合度nを示す。]
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の共重合ポリエステルを溶融成形して、得られるポリエステル成形品。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の共重合ポリエステルを溶融紡糸して、得られるポリエステル繊維。
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