JP2015127262A - 作業台装置及び作業台装置の積層構造 - Google Patents

作業台装置及び作業台装置の積層構造 Download PDF

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Abstract

【課題】安定性が高く、昇降する高低差の大きい作業台装置を提供する。
【解決手段】高さ調整可能な作業台装置1である。作業台装置1は、人又は物が載置される作業台2と、作業台2を支持する上フレーム3と、上フレーム3の下方に配置される下フレーム4と、上フレーム3と下フレーム4とを連繋する、第1のX字型リンク枠5及び第2のX字型リンク枠6と、を備える。そして、第1のX字型リンク枠5と第2のX字型リンク枠6とが互いに交差するようになっている。
【選択図】図5

Description

本発明は、高さ調整可能な作業台装置に関するものである。
従来、高い場所での作業に使用する脚立、踏み台、梯子等(以下、「脚立等」という)には、一般的に作業者が昇降するための固定されたステップが付いている。
作業者が上下縦方向に移動する場合には、作業者はステップを一段ずつ昇降する。ステップを昇降する際に、作業者はステップを踏み外さないように注意しながら昇降する。また、作業者がステップに載った状態で、手足や背を伸縮したり、腰をかがめたりして、手の届く範囲で作業をする。
一方、脚立等を使って、横方向に移動する場合には、ステップの範囲が狭いため、ステップ上では横方向の移動ができない。そうすると、作業者はその都度、地面まで降りて脚立等を横に移動させた後に、再度、ステップを昇り直すことになるため面倒であった。
例外として、図1に示すような、上部に横長の台を具備した台形の脚立であれば、作業者が台上で横に移動することで一定幅の横方向の作業ができる。
しかし、図1に示す従来の構造では、台の高さを変えられないため、高さ方向の作業範囲については、固定された高さから届く範囲しか作業ができない、という問題があった。
高い場所で上下左右の縦横両方向に作業できるようにするには、作業者が載るゴンドラをアームやワイヤで持ち上げる方法、又は井桁状にパイプを組んで仮設足場を形成する方法などが一般的である。
ゴンドラをアーム等で持ち上げるためには、重機等の大きな装備が必要であり、また、現状では足場を組み上げるのも大掛かりな作業になる。いずれにしても、作業をするために相当の費用がかかってしまう。さらに、重機等は設置場所の制約も多い。
また、現状では、図2のように、下部に車輪がついた台又は箱が、Xの中心を介して開閉するX字型リンク枠に下方から支持され、X字型リンク枠の開閉によって台又は箱が上下に昇降する、垂直昇降型の高所作業車がある。また、下部に車輪がない場合もあるが、台の昇降方法についてはX字型リンク枠を用いた同様の構造の昇降作業台もある。
これらは、正面から見ると、X字型リンクを正面及び背面に配置した単体のX字型リンク枠が縦に積まれている構造である。したがって、正面及び背面の単体のX字型リンクに荷重が分散されているに過ぎず、X字型リンク枠の構成部材として強度の高い部材を用いる必要があるため、重厚な装備となっている。
しかも、単体のX字型リンク枠が縦に積み重なっている構造のため、台又は箱の高さを高くした状態では、支持するX字型リンク枠が棒状になり、不安定な構造となる。これを避けるためには、X字型リンク枠が閉じすぎないように、X字型リンク枠の少しの開閉で上下の高さを稼ぐ必要がある。
このため、X字型リンク枠の1つ1つの部材の長さを短くして、多数段を積み重ねる構造にしなくてはならず、このことも装備が重厚となる要因となっている(例えば、特許文献1を参照)。
さらに、現状では、図3のように、支柱等に沿って台を移動させて台を昇降させる方法がある。この装置であれば、取り扱いは容易だが、足場は狭いうえに、梯子や支柱をしっかりと固定しなければ危険性が高い、横幅が狭いため動ける範囲が狭い、といった問題がある。このため、現状では、人間を載せるよりも、物を載せて昇降する手段として多く使われている。
特開2008−162365号公報
本発明は、上述したような事情に鑑み、高い場所における縦方向及び横方向の作業において、従来の脚立等のように、作業者が狭いステップ上で作業するのではなく、一定の幅と長さをもった支持が安定した台の上で作業ができ、また、作業者自身がステップに足をかけて昇降するのではなく、作業台自体が昇降し、作業者は昇降する作業台の上に載ったまま作業できるようにした、しかも、構造がシンプルで取扱いが簡便な作業台装置を提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本発明の作業台装置は、高さ調整可能な作業台装置であって、人又は物が載置される作業台と、前記作業台を支持する上フレームと、前記上フレームの下方に配置される下フレームと、前記上フレームと前記下フレームとを連繋する、第1のX字型リンク枠及び第2のX字型リンク枠と、を備え、前記第1のX字型リンク枠と前記第2のX字型リンク枠とが、互いに交差できるように構成されている。
このように、本発明の作業台装置は、高さ調整可能な作業台装置であって、人又は物が載置される作業台と、作業台を支持する上フレームと、上フレームの下方に配置される下フレームと、上フレームと下フレームとを連繋する、第1のX字型リンク枠及び第2のX字型リンク枠と、を備え、第1のX字型リンク枠と第2のX字型リンク枠とが、互いに交差できるように構成されている。
このような構成によって、作業に合わせて作業台の高さを調整でき、かつ、作業に必要な幅と長さをもった作業台を安定して支持できる。さらに、交差するX字型リンク枠のXの径の長さを、台の長さ程度まで長くできるため、高低差を大きくとることができる。
従来の脚立である。 従来の移動タイプの作業台である。(a)はX字型リンク枠を折りたたんだ状態であり、(b)はX字型リンク枠を伸張した状態である。 従来のリフターである。 単体の不安定なX字型リンク枠の説明図である。(a)は中央に寄っている状態であり、(b)は片方に寄っている状態である。 実施例1の作業台装置の全体構成を説明する説明図である。(a)は分解斜視図であり、(b)はX字型リンク枠が閉じた状態であり、(c)はX字型リンク枠が開いた状態である。 比較例の作業台装置の構成を説明する正面視の説明図である。(a)はX字型リンク枠が開いた状態であり、(b)はX字型リンク枠が閉じた状態である。 2つのX字型リンク枠の幅を変えて、X字型リンク枠を交差させる方法について説明する上面視の説明図である。(a)はX字型リンク枠が閉じた状態であり、(b)はX字型リンク枠が開いた状態である。 2つのX字型リンク枠を前後にずらして、X字型リンク枠を交差させる方法について説明する上面視の説明図である。(a)はX字型リンク枠が閉じた状態であり、(b)はX字型リンク枠が開いた状態である。 X字型リンク枠のさまざまな形態を説明する説明図である。 比較例の作業台装置の構成を説明する正面視の説明図である。(a)は、左右のX字型リンク枠を別々のフレームに接続した場合であり、(b)は左右のX字型リンク枠のフレームとの回転可能な支点が一方は外側で他方は内側の場合であり、(c)は左右のX字型リンク枠とフレームとの回転可能な支点が両方とも内側にある場合であり、(d)は左右のX字型リンク枠がフレームの中央点を越えて閉じることができる場合である。 実施例1の作業台装置の構成を説明する正面視の説明図である。 フレームの構成を説明する説明図である。(a)は全体斜視図であり、(b)は部分断面図である。 高さ調整機構の構造を説明する説明図である。(a)は全体斜視図であり、(b)は構造を模式的に示した模式図である。 実施例2の作業台装置を重ねて構成される作業台装置の積層構造である。 実施例2のエレベータである。(a)はX字型リンク枠が開いて低くなった状態であり、(b)はX字型リンク枠が閉じて高くなった状態である。 実施例2の作業台装置の構成を説明する説明図である。(a)は正面図であり、(b)及び(c)は同一平面内にフレームがある場合の断面図である。 2つのX字型リンク枠の幅を変えて、すり抜けさせる方法について説明する上面視の説明図である。(a)はX字型リンク枠が閉じた状態であり、(b)はX字型リンク枠が開いた状態である。 2つのX字型リンク枠を前後にずらして、すり抜けさせる方法について説明する上面視の説明図である。(a)はX字型リンク枠が閉じた状態であり、(b)はX字型リンク枠が開いた状態である。 実施例3の仮設足場の説明図である。(a)は設置前の正面図であり、(b)は設置完了後の正面図であり、(c)は設置完了後の側面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
まず、図5(a)、(b)、(c)を用いて本実施例の作業台装置1の全体構成を説明する。以下、明細書の図面において、黒丸は回転可能な支点(例えば、ヒンジ)であり、白丸はスライド移動可能な支点(例えば、レールに沿って移動する車輪)である。
本実施例の作業台装置1は、高さ調整可能な作業台装置1である。そして、作業台2と、作業台2を支持する上フレーム3と、上フレーム3の下方に配置される下フレーム4と、上フレーム3と下フレーム4とを連繋する、第1のX字型リンク枠5及び第2のX字型リンク枠6と、を備えている。
ここにおいて、本実施例の「X字型リンク枠」とは、2つのX字型リンクを正面側と背面側に重なるように配置したうえで、2つのX字型リンクを互いに連結して構成される枠構造であって、回転軸位置を軸等で連結する場合には対応するXの端部位置を連結した枠構造でも連結しない枠構造でもよいが、回転軸位置を軸等で連結しない場合には少なくとも2か所の対応するXの端部位置を軸等によって連結した枠構造をいうものと定義する(後述の図9を参照)。したがって、周囲を包囲するような日字状の完全な枠構造だけではなく、H字状やロ字状やコ字状のものも含む。さらに、それぞれのX字型リンクとは、長さの等しい2つの棒状のリンク部材を長さの中央で重ねて、重なった中央に回転軸を挿通して、回転軸を中心として回転できるようにした構成をいうものと定義する。
作業台2は、人又は物などを載せるための台である。作業台2は、上フレーム3の上面に載置されて、上フレーム3に固定されている。なお、図示しないが、人や物が落ちないように柵や手すりなどを周囲に配置することもできる。その場合には、入口扉を設けることもできる。
上フレーム3は、コ字状の断面を有する金属製の枠部材を、矩形に組み立てることによって構成される。コ字状の枠部材の長辺には、X字型リンク枠5、6の内側に配置される上側の4つの支点52、52、62、62が嵌め込まれており、枠部材に沿ってスライドできるようになっている。また、長辺の端部には、X字型リンク枠5、6の外側の4つの支点51、51、61、61が回転可能に支承されている。
同様に、下フレーム4は、コ字状の断面を有する金属製の枠部材を、矩形に組み立てることによって構成される。コ字状の枠部材の長辺には、X字型リンク枠5、6の内側に配置される下側の4つの支点54、54、64、64が嵌め込まれており、枠部材に沿ってスライドできるようになっている。また、長辺の端部には、X字型リンク枠5、6の外側の4つの支点53、53、63、63が回転可能に支承されている。
そして、上フレーム3と下フレーム4とが、第1のX字型リンク枠5及び第2のX字型リンク枠6によって連繋されている。
第1のX字型リンク枠5は、2つのX字型リンク50、50を前面側と背面側に配置して、中心軸57及びXの先端どうしを結ぶ軸で連結して完全な枠体として構成される。各X字型リンク50は、2つのリンク部材55、56をX字型に交差させて、交点に回転軸を挿通して構成される。したがって、リンク部材55、56は、交点を中心として互いに回転する。リンク部材55、56は、閉じた状態、すなわち水平方向の幅が狭くなった状態で垂直方向の高さが高くなり、開いた状態、すなわち水平方向の幅が広くなった状態で垂直方向の高さが低くなる。
そして、一方のリンク部材55の上端の支点51が上フレーム3の長辺の端部に回転可能に取り付けられ、下端の支点54が下フレーム4に移動可能に取り付けられている。さらに、他方のリンク部材56の上端の支点52が上フレーム3に移動可能に取り付けられ、下端の支点53が下フレーム4の長辺の端部に回転可能に取り付けられている。このように、支点51、53が長辺の端部に取り付けられることで、台の長さに応じて上下昇降の差を最大にとることができる。さらに、第1のX字型リンク枠5は、後述する第2のX字型リンク枠6と比べて、中心軸57の長さが長く、奥行方向の長さ(幅)が広くなっている。これにより、X字型リンク枠どうしが互いに交差する。
同様に、第2のX字型リンク枠6は、2つのX字型リンク60、60を前面側と背面側に配置して、中心軸67及びXの先端どうしを結ぶ軸で連結して完全な枠体として構成される。各X字型リンク60は、2つのリンク部材65、66をX字型に交差させて、交点に回転軸を挿通して構成される。したがって、リンク部材65、66は、交点を中心として互いに回転する。リンク部材65、66は、閉じた状態、すなわち水平方向の幅が狭くなった状態で垂直方向の高さが高くなり、開いた状態、すなわち水平方向の幅が広くなった状態で垂直方向の高さが低くなる。
そして、一方のリンク部材65の上端の支点61が上フレーム3の長辺の端部に回転可能に取り付けられ、下端の支点64が下フレーム4に移動可能に取り付けられている。さらに、他方のリンク部材66の上端の支点62が上フレーム3に移動可能に取り付けられ、下端の支点63が下フレーム4の長辺の端部に回転可能に取り付けられている。このように、支点61、63が長辺の端部に取り付けられることで、台の長さに応じて上下昇降の差を最大にとることができる。さらに、第2のX字型リンク枠6は、前述した第1のX字型リンク枠5と比べて、中心軸67の長さが短く、奥行方向の長さ(幅)が狭くなっている。これにより、X字型リンク枠どうしが互いに交差する。
このように、第1のX字型リンク枠5及び第2のX字型リンク枠6のそれぞれは、外側に配置される上下4つの支点51、51、53、53(61、61、63、63)がそれぞれ上フレーム3の長辺の端部及び下フレーム4の長辺の端部に回転可能に取り付けられている。さらに、それぞれ内側に配置される上下4つの支点52、52、54、54(62、62、64、64)がそれぞれ上フレーム3及び下フレーム4に沿ってスライド可能に取り付けられている。
さらに、X字型リンク枠5、6は、正面側のX字型リンク50、60と背面側のX字型リンク50、60とが、第1の中心軸57、第2の中心軸67及びXの対応する先端どうしを結ぶ軸によって互いに連結されている。このため、X字型リンク枠5、6の全体として、完全な枠体となるから、特に剛性が大きくなる。なお、X字型リンク枠5、6は、日字状、ロ字状、コ字形状の枠構造、又はH字状の枠構造であればよく、枠構造とすることによってそれぞれのX字型リンク枠5、6の剛性を高めることができる。
第1のX字型リンク枠5の内側の上下4つの支点52、52、54、54は、第2のX字型リンク枠6の内側の上下4つの支点62、62、64、64よりも第2のX字型リンク枠6の外側の支点61、61、63、63に近い側でスライド可能になっている。他方、第2のX字型リンク枠6の内側の上下4つの支点62、62、64、64は、第1のX字型リンク枠5の内側の上下4つの支点52、52、54、54よりも第1のX字型リンク枠5の外側の支点51、51、53、53に近い側でスライド可能になっている。
これらの構成によって、第1のX字型リンク枠5と第2のX字型リンク枠6とが互いに交差するようになっている。具体的には、第1のX字型リンク枠5のリンク部材55が、第2のX字型リンク枠6のリンク部材65の幅方向の外側で交差するとともに、第1のX字型リンク枠5のリンク部材56が、第2のX字型リンク枠6のリンク部材66の幅方向の外側で交差する。すなわち、幅の広い第1のX字型リンク枠5の内部空間において、幅の狭い第2のX字型リンク枠6が開閉移動するのである。
上述のように、左右2つのX字型リンク枠5、6を交差させることによって、台全体の支持範囲が狭まることはないから、X字型リンク枠5、6が閉じた状態で不安定になることを防止できる。逆に言うと、図4に示すように、正面と背面に一対のX字型リンクを重なるように配置した単体のX字型リンク枠だけの場合、X字型リンク枠が閉じた状態の形態が細くなる。そうすると、台を支持する全体の安定性が損なわれることになる。
これに対して、本実施例の作業台装置1を用いれば、X字型リンク枠5、6が閉じた状態でも、台は常に上下フレームの左右の端部を含む4点で支持されるうえ、台の重心は常に中央にあるため、作業台装置1の安定性を高くすることができる。
(X字型リンク枠を交差させる方法について)
次に、左右のX字型リンク枠5、6を、各X字型リンク枠5、6が開閉する際に干渉せずに交差させる方法について説明する。
一般的に左右2つの同じ大きさのX字型リンク枠5、6を互いに近接して配置し、X字型リンク枠5、6を開閉すると、当然ながらすぐに干渉しあって動かなくなってしまう。単純に干渉しないようにするには、図6(a)、(b)のようにX字型リンク枠5、6どうしを相当離せばよいが、そうすると最上部の作業台が上下できる高さに比較して、作業台やフレームの長さを相当長くする必要がある。
近接するX字型リンク枠5、6を干渉させず一定幅を交差させる方法はいくつかあるが、本実施例では(1)X字型リンク枠5、6それぞれが頑丈な枠体を形成し、(2)X字型リンク枠5、6の開閉による高さの差がある程度大きくとれ、(3)左右のX字型リンク枠5、6の同期がとれ、(4)同じ構造のものを積み重ねることが可能である、という利点を兼ね備える構造として、上面視の図7(a)、(b)のような構造を採用した。(a)はXが閉じた場合であり、(b)はXが開いた場合である。
すなわち、左右のX字型リンク枠5、6の幅(奥行)を変えて、一方を外枠とし、他方を内枠として、奥行方向にみて内枠が外枠の内側に入れる大きさとするか(図7)、又は、上面視の図8(a)、(b)に示すように、同じ大きさにする場合は左右のX字型リンク枠5、6をX字型リンク枠5、6の部材の太さ以上前後にずらして配置して、X字型リンク枠5、6どうしの交差を可能とする。
さらに、左右それぞれのX字型リンク枠5、6は、前後のX字型リンク50、60どうしを中心軸57及び中心軸67及び先端どうしを結ぶすべての軸によって連結することで、完全な枠構造を構成するため、特に剛性の高い枠体となる。
そして、左右のX字型リンク枠5、6の移動する上側の支点52、52、62、62をあらかじめ交差させ、かつ、下側の支点54、54、64、64をあらかじめ交差させる構成を採用する。この構成によれば、X字型リンク枠5、6の先端どうしがあらかじめ交差しているので、互いに交差しはじめた状態以降の反対側がX字型リンク枠5、6の先端の移動範囲になるため、X字型リンク枠5、6の内側の支点52、62、54、64どうしが中央付近で干渉しあう寸前が最も閉じた状態になる。すなわち、上部の作業台2が最高の高さとなる。
そして、この構成であれば、左右それぞれのX字型リンク枠5、6の移動範囲が、上フレーム3又は下フレーム4の中央付近の位置で制限されるため、それ以上にX字型リンク枠5、6が閉じて棒状になることがない。逆に、左右のX字型リンク枠5、6は常に交差しているため、互いに離れ離れになることもない。つまり、X字型リンク枠5、6どうしが開閉交差しても、左右のX字型リンク枠5、6の高さが相違することがない。
なお、交点を介して開閉する枠構造のX字型リンク枠5、6は、図9(a)、(b)、(c)、(d)のように、前後に対称をなす2つのXのそれぞれ少なくとも2つの先端どうしを横軸棒で連結したものであってもよく、必ずしもXの中心どうしを中心軸57、67で連結したものでなくてもよい。図9において、破線は中央軸がないことを示す。
(作業台の昇降度合について)
ここで、X字型リンク枠5、6の開閉による作業台2の昇降範囲について考察する。左右のX字型リンク枠5、6の部材長を矩形の上フレーム3及び下フレーム4の長辺の長さと略同一とすると、作業台2をフレーム3、4の長さの約3/4の長さに相当する高さまで上昇させることができ、約1/5の高さまで下降させることができる。このように、作業台2を広範囲に昇降させることができる。
なお、X字型リンク枠5、6は、完全に開閉しきってしまうと、開から閉、閉から開へと戻す際の初期動力として大きな力が必要になる。このため、完全に開閉する少し手前で開閉を止めるストッパを設けておくことが好ましい。
本実施例では、閉方向は閉じきる前に内側の支点52、62、54、64が干渉するのでストッパは必要ないが、開方向は開ききる前にストッパが必要である。ただし、X型リンク50、60のXの径の長さをフレーム3、4の長さよりも長くした場合のように、X字型リンク枠5、6が開ききる前にX字型リンク枠5、6どうしが干渉して動かなくなるのでストッパが必要ない場合もある。
(作業台の安定性について)
ここでX字型リンク枠5、6の開閉によって最上部の作業台2が常に水平に保たれる構造になっているかどうか確認する。まず、X字型リンク枠5、6は、前後で対となっている単体のX字型リンク50、50、60、60の先端どうしが少なくとも2つが連結されているので一体の枠構造と考えることができるため、前後の単体のX字型リンク50、50(60、60)どうしは同期がとれているといえる。
次に、第1のX字型リンク枠5と第2のX字型リンク枠6、すなわち、左右のX字型リンク枠5、6どうしの同期とり及び安定性について考察する。まず、上下フレームとX字型リンク枠との関係について考察する。交点を介して開閉する単体のXは、開閉しても常にXの先端の上どうし及び下どうしを結ぶ線は互いに平行線を形成する。従って、Xの上下にフレームを設ければ、この上下のフレームどうしは平行線を形成する。他方、この上下のフレームの延長線内に交点を介して開閉する同じ大きさのXを設け、この2つのXを左右に配し、左右の各Xの一方の上下の先端をフレームの外側端部に回転可能に取付け、もう一方の上下の先端をフレーム内側に沿って移動可能に取り付けると、左右のXは上下のフレーム高に応じて全く同じ開閉度のXとなる。つまり、Xは上下に平行なフレームを形成する性質から逆に平行な共通の上下フレーム間に左右に同じ大きさのXを配すると、この左右のXは同期することを見出した。従って、この構造をとる限り左右のXは支持が頑丈であり、同期がとれているといえる。逆に言えば、これ以外の左右のXの取付方法では、同期がとれなかったり、支持の安定性を欠いたりするなどの問題が生じる。
以下、図10(a)〜図10(d)を参照しながら、具体的に説明する。
図10(a)は、共通のフレームへの連結ではなく、2つの別々のフレームに連結している場合である。この場合、左右のX字型リンク枠が別々に動くため、フレーム間に段差が生じる場合がある。
図10(b)は、共通のフレームを用いるが、左右両側のX字型リンク枠の外側の支点を回転可能に取り付けるのではなく、左側のX字型リンク枠は外側の支点を回転可能に取り付け、右側のX字型リンク枠は内側の支点を回転可能に取り付ける場合である。左右のX字型リンク枠が別々の動きをするため、作業台が傾くようになる場合がある。
図10(c)は、共通のフレームを用いるが、左右両側のX字型リンク枠の内側の支点を回転可能に取り付け、外側の支点をスライド移動可能に取り付けた場合である。左右のX字型リンク枠は同じ動きをしようとするため、作業台が傾くことはない。しかし、X字型リンク枠が閉じた場合には、左右のX字型リンク枠が作業台の中央付近に集まるため、支持が中央寄りだけになり、作業台が不安定になる。
図10(d)は、共通のフレームを用いるが、左右のX字型リンク枠をあらかじめ交差させずに、X字型リンク枠の支点の移動範囲をフレームの中間位置を越えて、より閉じる側にもとれるようにした場合である。左右のX字型リンク枠が離れるため、一方のX字型リンク枠のみが閉じた状態で、他方のX字型リンク枠が開いたままになって、作業台が傾く場合がある。
このように、交差する左右のX字型リンク枠を設けて台の高さを変える場合、左右のX字型リンク枠の同期がとれて、作業台を水平に安定して支持できる条件には、以下のように3つの条件がある。
すなわち、図11に示すように、(1)上下に左右のX字型リンク枠5、6にとって共通な上フレーム3及び下フレーム4を設けること、(2)左右それぞれのX字型リンク枠5、6は、フレーム3、4と外側の支点51、53、61、63において回転可能に取り付けられ、内側の支点52、54、62、64において、上フレーム3又は下フレーム4に沿って移動可能に取り付けられていること、(3)左右のX字型リンク枠5、6が、常に互いに交差していること、という条件がある。
これらの条件を満たせば、上下のフレーム3、4を介して左右のX字型リンク枠5、6は、互いに同期をとりつつ、上下のフレーム3、4を平行に保持した状態で昇降する。本実施例では、これらの条件を満たしている。
さらに、後述する作業台2の高さ調整機構によっても、左右のX字型リンク枠5、6が同期するように動かされるため、高さにかかわらず、いっそう作業台2の安定性が向上する。
また、上下のフレーム3、4の枠部材を、図12に示すように、断面がコ字型(又はH字型)の溝レールとし、スライド支点が溝レールに嵌合してスライド移動するように構成することが好ましい。このようにすれば、X字型リンク枠5、6の移動する支点52、54、62、64が、フレーム3、4に対して沈んだり浮いたりせず、すべてのスライド支点52、54、62、64が、フレーム3、4に沿って水平に移動するため、上下フレーム3、4の平行が保たれる。このように、コ字型の溝レールは、最上部の作業台2を水平に安定的に保持する機能がある。
また、フレーム3、4としてコ字型(又はH字型)の溝レールを採用することによって、作業台2の傾きを防止できるだけでなく、X字型リンク枠5、6に故障が生じたときに、機構全体が動かなくなるため、安全機構としても機能する、という効果もある。
さらに、エレベータとして使用する場合は、昇降する作業台2が生み出す空間(昇降路)は、人間等が誤って入る空洞スペースを作らないことが法律によって規定されている。本実施例では、昇降する空間は、常に左右のX字型リンク枠5、6と上下のフレーム3、4が形成する枠構造によって囲まれているため、昇降路に入りにくい構造となっている。したがって、意識的に幅方向から出入りしない限り空洞スペースに人間等が入ることがないため安全である。また、必要に応じて幅形成面に障害面(板)を取り付け対応することもできる。
(作業台の高さ調整機構)
次に、X字型リンク枠5、6を開閉して最上部の作業台2の高さを調整する方法について説明する。
高さを調整する場合の条件としては、台の上に載った作業者が常に操作できる位置に高さ調整ツールが設置されていること、台の水平を保つために左右のX字型リンク枠5、6に同時に同等の動きをさせて同期をとること、が求められる。
これらの条件を満たす方法の一例として、本実施例では、図13(a)、(b)に示すように、作業台2が取り付けられる上フレーム3の短辺の中央に回転ハンドル付のネジ軸棒7を架け渡す手法を採用する。
ネジ軸棒7には、長さの中央位置を境にして半分に正方向のネジ溝が刻まれ、残り半分に逆方向のネジ溝が刻まれている。ネジ軸棒7の一方の端部には、ネジ軸棒7を手動で回転させるための回転手段としてのハンドル71が取り付けられている。なお、回転手段としては、回転ハンドル71ではなく、ペダルとラチェットを組み合わせてペダル操作によって歯車を回転させるように構成してもよい。また、電動モータやコントローラを用いることもできる。
さらに、前面側のX字型リンク50、60と背面側のX字型リンク50、60の先端どうしを接続する第1の軸59及び第2の軸69には、長さの中央位置にナット58、68が取り付けられている。ナット58は、ネジ軸棒7の正方向のネジ溝に螺合し、ナット68は、ネジ軸棒7の逆方向のネジ溝に螺合する。
したがって、ネジ軸棒7を正方向に回転させると、左右の第1の軸59及び第2の軸69が互いに近寄るように移動する。ネジ軸棒7を逆方向に回転させると、左右の第1の軸59及び第2の軸69が互いに遠ざかるように移動する。すなわち、ネジ軸棒7を正方向に回転させると作業台2が上昇し、ネジ軸棒7を逆方向に回転させると作業台2が下降する。
このように、ハンドル71を回転させると、左右のX字型リンク枠5、6の先端の支点が常に同時かつ同じ幅だけ移動するので、左右のX字型リンク枠5、6は同期をとりながら開閉する。また、ハンドル71の回転を止めると止めた位置でネジ軸棒7と螺合するナット58、68の移動も停止し、X字型リンク枠5、6の開閉が停止する。
作業者がこの作業台装置1を使用する際には、まず、折り畳まれている作業台装置1を作業場所まで運んだうえで、作業者が作業台2の上に載って、ハンドル71を回して、又はペダルを操作して作業台2を作業しやすい高さまで上昇させる。次に、水平方向の移動については、作業台2上で横に移動することで対応するが、届かない場合にはいったん作業台2を下降させて、作業者が地上に下りてから作業台装置1を横に移動させる。なお、作業台装置1の下部にストッパ付の車輪を設けることで、横移動や運搬が容易になる。
また、この作業台装置1の全体を台車に載せることによって、作業台2が上昇・下降する台車として利用できる。この台車は、単体X字型リンク枠のみの構造の既存の昇降台車と比較して、台の高低差を大きくとれるほか、台の支持がより強く安定している。さらに、作業台装置1の安定性を高めるために、接地部分の前後左右に水平方向に突き出す突起又はアウトリガを設けることができる。使用時に突起又はアウトリガを突き出して接地面積を広げることによってさらに安定性を高めることができる。
(効果)
次に、実施例1の作業台装置1の効果を列挙して説明する。
(1)実施例1の作業台装置1は、高さ調整可能な作業台装置1であって、人又は物が載置される作業台2と、作業台を支持する上フレーム3と、上フレーム3の下方に配置される下フレーム4と、上フレーム3と下フレーム4とを連繋する、Xの交点を介して開閉する第1のX字型リンク枠5及び第2のX字型リンク枠6と、を備えている。そして、第1のX字型リンク枠と第2のX字型リンク枠とが、互いに交差できるように構成されている。
このような構成によって、作業に合わせて作業台2の高さを調整でき、かつ、作業に必要な幅と長さをもった作業台2を安定して支持できる。さらに、回転可能に支承する支点を外端部に取り付けることにより、交差するX字型リンク枠5、6の径の長さを、作業台2の長さ程度まで長くできるため、高低差を大きくとることができる。
(2)また、実施例1の作業台装置1は、上面視の図7(a)、(b)に示すように、第1のX字型リンク枠5の奥行方向の幅は、第2のX字型リンク枠6の奥行方向の幅よりも広くされ、奥行方向でみて第1のX字型リンク枠5の内側で第2のX字型リンク枠6を開閉するようになっている。このため、簡易な構成によってX字型リンク枠5、6を交差させることができ、作業台2を安定して支持できるうえ、高低差を大きくとることができる。さらに、連結する軸の長さを除いて、第1のX字型リンク枠5と第2のX字型リンク枠6とを同じ形状にできる。
(3)さらに、実施例1の作業台装置1は、上面視の図8(a)、(b)に示すように、第1のX字型リンク枠5の奥行方向の幅は、第2のX字型リンク枠6の奥行方向の幅と略同一にされ、互いに奥行方向にずれて配置されて開閉するようになっている。このため、簡易な構成によってX字型リンク枠5、6を交差させることができ、作業台2を安定して支持できるうえ、高低差を大きくとることができる。さらに、第1のX字型リンク枠5と第2のX字型リンク枠6とを同じ形状にできる。
(4)実施例1の作業台装置1は、具体的には、第1のX字型リンク枠5及び第2のX字型リンク枠6のそれぞれは、外側に配置される上下4つの支点51、51、53、53(61、61、63、63)がそれぞれ上フレーム3及び下フレーム4の外端部に回転可能に取り付けられ、内側に配置される上下4つの支点52、52、54、54(62、62、64、64)がそれぞれ上フレーム3及び下フレーム4に沿ってスライド可能に取り付けられている。そして、第1のX字型リンク枠5の内側の上下4つの支点52、52、54、54は、第2のX字型リンク枠6の内側の上下4つの支点62、62、64、64よりも第2のX字型リンク枠6の外側の支点61、61、63、63に近い側でスライド可能になっており、これによって第1のX字型リンク枠5と第2のX字型リンク枠6とが互いに交差するようになっている。
(5)また、2つのX字型リンク枠5、6が、第1のX字型リンク枠5の内側に配置される上下4つのスライド可能な支点52、54は、第2のX字型リンク枠6の内側に配置される上下4つのスライド可能な支点62、64と、あらかじめ交差させておくこと、及び、共通の溝に嵌め込まれることによって、第1のX字型リンク枠5の内側の上下4つの支点52、54は、第2のX字型リンク枠6の内側の上下4つの支点62、64よりも第1のX字型リンク枠5の外側の支点51、53に近い側に移動しないようになっている。したがって、2つのX字型リンク枠5、6が常に交差しており、左右に分離しないようになる。これによって、左右のX字型リンク枠5、6が同期をとりつつ昇降するようになる。
(6)さらに、作業台装置1は、前面側の第1のX字型リンク50と背面側の第1のX字型リンク50とを互いに接続する第1の軸59と、前面側の第2のX字型リンク60と背面側の第2のX字型リンク60とを互いに接続する第2の軸69であって、第1の軸59とスライド方向に対称な位置に配置される第2の軸69と、第1の軸59に固定される第1のナット58と、第2の軸69に固定される第2のナット68であって、第1のナット58とスライド方向に対称な位置に配置される第2のナット68と、第1のナット58及び第2のナット68に螺合するネジ軸棒7であって、長さの中央近傍でネジ溝が正方向から逆方向に反転しているネジ軸棒7と、ネジ軸棒7を回転させる回転手段としてのハンドル71と、をさらに備えている。
これによって、ハンドル71を回転させることで、左右のX字型リンク枠5、6は同期をとりつつ、第1の軸59と第2の軸69が互いにネジ軸棒7の中央に近寄ったり中央から離れたりして、作業台2を昇降させることができる。さらに、ハンドル71の回転を抑止する回転抑止手段があれば、作業台2の昇降をいっそう確実に止めることができるため、ハンドル71を作業台2の昇降をいっそう確実に抑止する昇降抑止手段として使用することもできる。
以下、図14−18を用いて、実施例1で説明した作業台装置の一部を変更して組み合わせて構成される作業台装置の積層構造としてのエレベータ8について説明する。なお、実施例1で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
まず、構成について説明する。図14に示すように、作業台装置81、82を積み重ねることによって、また、左右のXが左右に分離できるようにして実施例1と比べていっそう広範囲に作業台2の高さを変えることができる。
また、上段の作業台装置81の下部のスライド移動可能な支点54、64と、下段の作業台装置82の上部のスライド移動可能な支点52、62と、をそれぞれ連結することが好ましい。このように連結することによって、上段の作業台装置81のX字型リンク枠5、6と下段の作業台装置82のX字型リンク枠5、6との同期がとれて全体の動作が安定する。
図15(a)、(b)に示すように、作業台装置81、82、・・・を数段積み重ねることによって、作業台装置の積層構造をエレベータ8として利用することもできる。この場合の動力としては、最下部にジャッキを配置して第1の中心軸57などを持ち上げることもできるし、ワイヤ、プーリー、ギヤ、電動モータなどによってX字型リンク枠5、6の中心軸間の距離を水平方向に締め付けて、あるいは解放して左右X字型リンク枠を開閉することによってもよい。なお、図15(a)では、1つのX字型リンク枠だけが存在しているように見えるが、これは左右2つのX字型リンク枠がほぼ重なっているためである。
本実施例の作業台装置1は、図16(a)に示すように、第1のX字型リンク枠5と第2のX字型リンク枠6とが、交差もするが、交差せずにすり抜けて左右に離れる状態になるように構成されている。すなわち、まず上下のフレーム構造は、図16(b)、(c)の断面図に示すように、H字型構造(内外のコ字型)の上フレーム31、32及び下フレーム41、42は、同じ高さの異なる面上に移動可能なXの先端の受けレールを配置することにより、すり抜けが可能となる。
次に、本実施例のX字型リンク枠5、6は、互いにすり抜けて左右に離れるようにX字型リンク枠が配置構成されている。近接するX字型リンク枠5、6を干渉させず左右に離れるようにする方法はいくつかあるが、本実施例では図17(a)、(b)又は図18(a)、(b)のようにX字型リンク枠が配置された構造を採用する。
すなわち、図17(a)、(b)及び図16(b)に示すように、左右のX字型リンク枠5、6の幅(奥行方向)を変えて、一方を外枠とし、他方を内枠として、奥行方向でみて内枠が外枠の内側に入れる大きさとし、さらに対応するスライド支点を連結しない構成とするか、又は、図18(a)、(b)及び図16(c)に示すように、同じ幅(奥行方向)にする場合は左右のX字型リンク枠5、6をX字型リンク枠5、6の部材の太さ以上前後(奥行方向)にずらして配置し、さらに対応する一部のスライド支点を連結しない構成とする。このように、対応するスライド支点を軸によって連結しないようにすれば、軸が相互に干渉することがなくなるため、すり抜けることができるようになる。図17(a)および図18(a)は、X字型リンク枠が閉じた図であり、図17(b)および図18(b)はX字型リンク枠が開いた図である。
次に、効果について説明する。
(1)実施例2の作業台装置の積層構造としてエレベータ8は、第1の作業台装置82の上フレーム3の上に、別の第2の作業台装置81の下フレーム4を重ねて構成されている。
この構成によれば、エレベータ8は、単純な構造でありながらも、昇降する高さ範囲の広い構造となる。さらに、X字型リンク枠5、6を構成する1つ1つのリンク部材55、56、65、66として比較的剛性が小さく軽い部材を用いることができるから、従来のエレベータと比較して、軽量で簡易なエレベータとなる。
(2)第1の作業台装置82の第1のX字型リンク枠5の内側の上側の支点52は、第2の作業台装置81の第1のX字型リンク枠5の内側の下側の支点54と連繋されて一体にスライド移動するとともに、第1の作業台装置82の第2のX字型リンク枠6の内側の上側の支点62は、第2の作業台装置81の第2のX字型リンク枠6の内側の下側の支点64と連繋されて一体にスライド移動するようになっている。
したがって、作業台装置の積層構造を構成するすべての作業台装置81、82の第1及び第2のX字型リンク枠5、6どうしが同期をとって、作業台2を水平に保持しつつ、上下に昇降させることができる。さらに、多数の作業台装置を積層する場合には、1つの作業台装置を駆動することによって、連動してすべての作業台装置を駆動することができる。
なお、この他の構成および作用効果については、実施例1と略同様であるため説明を省略する。
(比較)
ここで、実施例1に示したようなX字型リンク枠5、6が常に交差しており交差しない状態を含まない構成(構成I)と、実施例2で示したようなX字型リンク枠5、6が交差しない状態を含む構成(構成II)とを比較する。
まず、交差しない状態を含まない構成(構成I)について説明する。構成Iは、同期取りの完璧性が高く、従って台の安定性がどの高さでも高いことがメリットである。また、X字型リンク枠の完全な立方体枠化が可能なため、装置全体の強靭性が高いこともメリットである。構成IIに比べて台の最高の高さが若干低く設定されることがデメリットである。
次に、交差しない状態を含む構成(構成II)について説明する。構成IIは、構成Iよりも、最高の高さを若干高くまで設定できることがメリットである。Xを閉にして最高に近づくとかなり鋭角になり、Xの開への戻しに大きな初期力が必要になることと、左右のXの同期取りが構成Iに比べて低いので、若干の不安定リスクがあることがデメリットである。但し、コ字型(又はH字型)フレームの採用によってこのリスクは大幅に下げられる。また、第1、第2のX字型リンク枠の少なくとも一方は立方体枠の一部が開放されており、完全な立方体枠ではないため、構成Iに比べ若干強靭性が劣ることもデメリットである。
次に、図19(a)、(b)、(c)を用いて、実施例1、2で説明した作業台装置の積層構造としての仮設足場9について説明する。なお、実施例1、2で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
まず、構成について説明する。本実施例の作業台装置の積層構造としての仮設足場9は、単位構造である作業台装置1を縦方向(鉛直方向)および横方向(水平方向)に複数並設して構成されるものである。具体的には、縦4連、横3連の構造となっている。単位構造である作業台装置1どうしは、接続金具などによって互いに連結されており、相互に安定性を高めるようにされている。そして、作業員が歩行するための足場板91、・・・が各段に配置され、最上段には手摺が配置されている。また、作業する方向に補助用の足場板911を突出させてもよい。また、本実施例では、作業員が歩行する際の支障となるため、X字型リンク枠の前後を接続する中心軸57、67(図5参照)はないが、前後それぞれのリンク部材がそれぞれ回転する構造となっている(図19(c)参照)。さらに、最下部に位置する単位構造(作業台装置1)には、設置場所の不陸、高さの不揃いを調整する調整手段としてジャッキベースが取り付けられる。
次に、仮設足場9の設置手順について説明する。まず、作業台装置1を縦に4つ積み重ねて連結した積層体を3組準備して現場に運搬する。次に、3組の積層体を横に並べて地上に設置する。この際、最下部に位置する単位構造のジャッキベースを用いて、隣接する積層体と高さを揃えておく。最後に、3組それぞれを立上げて高さを揃え、連結用の金具などによって横の組と連結して設置が完了する。上記の設置手順によると、現場へ積層体を運搬した後、短時間で仮設足場9を設置することができる。
本実施例の仮設足場9では、作業台装置1が昇降する機能を利用するというよりも、むしろ一定の高さに固定した台として使用するものである。現行の仮設足場の設定時間と比べて大幅な時間短縮が図れる。すなわち、現行の仮設足場(枠組足場:鳥居型建て枠、筋交い、鋼製布板、ジャッキベース等で構成される)と比べると、部品点数が少なく(本実施例の仮設足場9は単位構造から構成されるため)、全体の組み立ても簡単であるため、きわめて短時間で設置できる。
なお、この他の構成および作用効果については、実施例1、2と略同様であるため説明を省略する。
以上、図面を参照して、本発明の実施例を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
例えば、実施例2の作業台装置1は、第1のX字型リンク枠5と第2のX字型リンク枠6とが、交差せずに左右に離れる状態になるように構成する場合について説明したが、これに限定されるものではない。実施例2の作業台装置1として、実施例1の作業台装置1のように、常に交差しており交差しない状態にならない構成を採用することもできる。
さらに、実施例1、2の作業台装置又は作業台装置の積層構造は、作業台やエレベータとして使用する場合について説明したが、これに限定されるものではなく昇降台車、又は、仮設足場(実施例3)としても利用できる。
また、実施例2では、作業台装置を2つ又は3つ重ねる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、4つ以上重ねてもよい。
さらに、作業台装置は2つのX字型リンク枠5、6を横に並べた構成に限定されず、2つのX字型リンク枠5、6を1組として、2組以上のX字型リンク枠を横に並べるものであってもよい。
また、実施例2では、上下同一形状の作業台装置81、82を用いる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、各層ごとのリンク部材の長さが異なる作業台装置を積層することもできる。
なお、実施例3では、設置手順において縦4連の積層体を運搬するものとして説明したが、これに限定されるものではない。単位構造(作業台装置1)ごとに運搬して現場で組み立てることもできる。そうすることで、下層から順に組み上げていくことができ、手作業で仮設足場9(枠組足場)を組み上げることができる。
1 作業台装置
2 作業台
3 上フレーム
4 下フレーム
5 第1のX字型リンク枠
51、52 支点
53、54 支点
57 第1の中心軸
58 ナット
59 第1の軸(スライド軸)
6 第2のX字型リンク枠
61、62 支点
63、64 支点
67 第2の中心軸
68 ナット
69 第2の軸(スライド軸)
7 ネジ軸棒
71 ハンドル
8 エレベータ
81 作業台装置(上段)
82 作業台装置(下段)
9 仮設足場

Claims (12)

  1. 高さ調整可能な作業台装置であって、
    人又は物が載置される作業台と、
    前記作業台を支持する上フレームと、
    前記上フレームの下方に配置される下フレームと、
    前記上フレームと前記下フレームとを連繋する、Xの交点を介して開閉する第1のX字型リンク枠及び第2のX字型リンク枠と、を備え、
    前記第1のX字型リンク枠と前記第2のX字型リンク枠とが、互いに交差できるように構成されている、作業台装置。
  2. 前記第1のX字型リンク枠の奥行方向の幅は、前記第2のX字型リンク枠の奥行方向の幅よりも広くされ、奥行方向で前記第1のX字型リンク枠の内側において前記第2のX字型リンク枠が開閉するようになっている、請求項1に記載の作業台装置。
  3. 前記第1のX字型リンク枠の奥行方向の幅は、前記第2のX字型リンク枠の奥行方向の幅と略同一にされ、互いに奥行方向にずれて配置され、開閉するようになっている、請求項1に記載の作業台装置。
  4. 前記第1のX字型リンク枠及び前記第2のX字型リンク枠のそれぞれは、外側に配置される上下4つの支点がそれぞれ前記上フレーム及び前記下フレームに回転可能に取り付けられ、内側に配置される上下4つの支点がそれぞれ前記上フレーム及び前記下フレームに沿ってスライド可能に取り付けられ、
    前記第1のX字型リンク枠の内側の上下4つの支点は、前記第2のX字型リンク枠の内側の上下4つの支点よりも前記第2のX字型リンク枠の外側の上下4つの支点に近い側でスライド可能になっているとともに、
    前記第2のX字型リンク枠の内側の上下4つの支点は、前記第1のX字型リンク枠の内側の上下4つの支点よりも前記第1のX字型リンク枠の外側の上下4つの支点に近い側でスライド可能になっている、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の作業台装置。
  5. 前記第1のX字型リンク枠の内側に配置される上下4つのスライド可能な支点は、前記第2のX字型リンク枠の内側に配置される上下4つのスライド可能な支点と、共通の溝に嵌め込まれることによって、
    前記第1のX字型リンク枠の内側の上下4つの支点は、前記第2のX字型リンク枠の内側の上下4つの支点よりも前記第2のX字型リンク枠の外側の支点から遠い側に移動しないようになっている、請求項4に記載の作業台装置。
  6. 前記第1のX字型リンク枠及び第2のX字型リンク枠のそれぞれは、前記上フレームと前記下フレームの間に左右に配置され、各X字型リンク枠の左右の一方の上下の先端が、前記上フレーム及び前記下フレームの外端部に回転可能に取付けられ、他方の上下の先端が前記上フレーム及び前記下フレームに沿ってスライド可能に取付けられた請求項4に記載の作業台装置。
  7. 前記X字型リンク枠は開閉する際に干渉する枠体であり、前記枠体はあらかじめ交差させられ、前記他方の上下の先端が同一の溝に嵌め込まれることによって、前記第1のX字型リンク枠の内側の上下4つの支点は、前記第2のX字型リンク枠の内側の上下4つの支点よりも前記第2のX字型リンク枠の外側の支点から遠い側に移動しないようになっている、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の作業台装置。
  8. 前記X字型リンク枠は開閉する際に干渉しない枠体であり、前記もう一方の先端が別々の溝に嵌め込まれ、前記第1のX字型リンク枠と前記第2のX字型リンク枠が交差したり互いにすり抜けて分離したりするようになっている、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の作業台装置。
  9. 前記第1のX字型リンク枠は、前面側の第1のX字型リンク及び背面側の第1のX字型リンクを有し、前記前面側の第1のX字型リンクと前記背面側の第1のX字型リンクとを互いに接続する第1の軸と、
    前記第2のX字型リンク枠は、前面側の第2のX字型リンク及び背面側の第2のX字型リンクを有し、前記前面側の第2のX字型リンクと前記背面側の第2のX字型リンクとを互いに接続する第2の軸であって、前記第1の軸とスライド方向に対称な位置に配置される第2の軸と、
    前記第1の軸に固定される第1のナットと、
    前記第2の軸に固定される第2のナットであって、前記第1のナットとスライド方向に対称な位置に配置される第2のナットと、
    前記第1のナット及び前記第2のナットに螺合するネジ軸棒であって、長さの中央近傍でネジ溝が正方向から逆方向に反転しているネジ軸棒と、
    前記ネジ軸棒を回転させる回転手段と、
    をさらに備える、請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の作業台装置。
  10. 請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載された第1の作業台装置の上フレームの上に、請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載された別の第2の作業台装置の下フレームを重ねて構成される、作業台装置の積層構造。
  11. 前記第1の作業台装置の前記第1のX字型リンク枠の内側の上側の支点は、前記第2の作業台装置の前記第1のX字型リンク枠の内側の下側の支点と連繋されて一体にスライド移動し、
    前記第1の作業台装置の前記第2のX字型リンク枠の内側の上側の支点は、前記第2の作業台装置の前記第2のX字型リンク枠の内側の下側の支点と連繋されて一体にスライド移動する、請求項10に記載の作業台装置の積層構造。
  12. 作業台、昇降台車、エレベータ、又は、仮設足場である、請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の作業台装置又は請求項10若しくは請求項11に記載の作業台装置の積層構造。
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