JP2015125252A - 偏光板およびそれを用いた液晶プロジェクタ - Google Patents

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Abstract

【課題】
偏光コントラスト比を向上し、S偏光反射率を低減した偏光板を提供する。
【解決手段】
液晶プロジェクタに好適な偏光板であって、2次元の周期構造パターンを有し、構造周期の少なくとも1つは、基板の屈折率n,入射光の波長λとしたとき、λ/n以上である。そして、膜厚方向に多層構造として、基板と、2次元の周期構造からなる金属パターンと、反射防止構造パターンを備え、前記反射防止構造のパターンの金属は、タングステン、モリブデンを含む金属材料である。
【選択図】図1

Description

本発明は、液晶プロジェクタに代表される光学装置に好適な反射防止機能を有する偏光板およびそれを用いた液晶プロジェクタに関する。
非特許文献1および特許文献1(特表2003−508813号公報)には、透光性を有する基板上に直線状の金属ワイヤの周期構造を有するワイヤグリッド素子(偏光フィルタ)に関する技術が記載されている。
特許文献2(WO 2012/053754号公報)には、透明性を有する基板上に形成された直線状の金属ワイヤの周期構造と、その上に形成された光吸収材料(金属酸化物)/金属/光吸収材料(金属酸化物)からなる吸収層を有し、室内照明に代表される外光(環境光)の反射を抑制することにより、液晶ディスプレイに好適なワイヤグリッド素子に関する技術が記載されている。
特許文献3(特開2012−27221号公報)には、吸収型偏光板を、基板上に形成された直線状の金属ワイヤの周期構造と、その上に低屈折率材料と高屈折率材料の2層のワイヤ構造を有することにより、S偏光の反射率を増加させたワイヤグリッド素子に関する技術が記載されている。
特許文献4(特表2010−530995号公報)には、透明性を有する基板上に形成された直線状の金属ワイヤの周期構造と、その上に形成された透明誘電体/光吸収体/透明誘電体からなるワイヤ周期構造を有し、ワイヤ構造側から入射した偏光の反射を選択的に抑制するワイヤグリッド素子に関する技術が記載されている。
特許文献5(特開2012−98468号公報)には、透明性を有する基板上に形成された直線状の金属ワイヤの周期構造と、それを覆う透明誘電体と、その上に形成された光吸収体/透明誘電体からなるワイヤ周期構造を有し、ワイヤ構造側から入射した偏光の反射を選択的に抑制するワイヤグリッド素子に関する技術が記載されている。
特表2003−508813号公報 WO 2012/053754号公報 特開2012−27221号公報 特表2003−530995号公報 特開2012−98468号公報
H. Tamada et al.,"Al wire-grid polarizer using the s-polarization resonance effect at the 0.8-μm-wavelength band", Optics Letters, Vol.22, No.6, pp.419-421(1997)
光学装置は広く一般に普及しており、例えば、液晶プロジェクタ、液晶ディスプレイ、光ピックアップ、光センサ等には、光を制御する光学素子が多く用いられている。そして、これらの装置の高機能化に伴い、光学素子においても高機能化、高付加価値化、低コスト化が求められている。
液晶プロジェクタおよび液晶ディスプレイでは、透過光の強度を表示画像に合わせて強度変調するために、液晶素子の前後に偏光板が配置される。偏光板としては、有機材料を用いたものの他に、透明性を有する基板上に直線状の金属ワイヤ(主としてアルミニウム)の周期構造を有するワイヤグリッド素子がある。非特許文献1には、ワイヤグリッド素子の定義が次のように記載されている。「A wire grid is a simple one-dimensional metal grating and is quite promising as a microminiaturized polarization component in the field of integrated optics」。すなわち、ワイヤグリッド素子は1次元の金属グレーティングである。ワイヤグリッド素子は、有機材料を用いた偏光板に比較して、無機物で構成されるため、耐熱性および耐光性に優れるという特長をもつ。
本発明ではワイヤグリッド素子に代表される偏光制御素子について、その反射と透過の特性について記述するため、ここで定義を統一する。基板の厚さ方向をz軸、基板上にx、y軸をとり、基板上に形成された金属ワイヤが延伸する方向をy軸、それに垂直な方向をx軸とする。このとき、x軸方向に電場の振動方向をもつ偏光をP偏光、y軸方向に電場の振動方向をもつ偏光をS偏光とする。透過率と反射率に関しては、P偏光の透過率をTp、反射率をRp、S偏光の透過率をTs、反射率をRsとする。非特許文献1に記載されるように、ワイヤグリッド素子はP偏光を透過し、S偏光を反射する偏光分離機能を有する。本発明は、液晶プロジェクタに搭載するのに好適な無機偏光板に関するものであり、重要な性能は偏光コントラスト比Tp/Tsが大きく、不要光を発生するRsが小さいことである。
ワイヤグリッド素子を用いた偏光板の高機能化技術として、アルミニウムワイヤの上に、さらに複数の層状構造を形成して、外光やS偏光の反射率を制御する等の付加機能を追加したものがあり、代表的なものは特許文献2から5に記載されている。
液晶プロジェクタと液晶ディスプレイでは、偏光板に求められる付加機能が異なる。図2は、液晶プロジェクタと液晶ディスプレイの摸式図である。図2(a)に示す液晶プロジェクタ50では、液晶パネル54を挟んで入射側偏光板55と出射側偏光板56が配置されている。ここでは、入射側と出射側の偏光板が直行ニコル配置にされているとする。入射側偏光板55を透過した直線偏光は、液晶パネル54の画素に印加される電圧によって偏光方向が回転し、出射側偏光板56で選択された偏光成分だけがスクリーンに到達して強度変調された画像が投影される。このとき、スクリーンが遠方にあるため外光の影響は無視できる。スクリーン上の画像の照度を向上するために、液晶パネルと2枚の偏光板を透過する光の密度は極めて大きくなる。このため、出射側偏光板56で反射された光(S偏光)は不要光となり、一部が液晶パネル54を加熱して動作を不安定にしてしまう。この問題を避けるために、液晶プロジェクタ50に搭載される出射側偏光板56には、S偏光の反射を抑止する付加機能が求められる。また光の密度が大きいため、偏光板には高い耐熱性と対光性(主として紫外光劣化耐性)が求められる。液晶プロジェクタに搭載するのに好適な偏光板としては、ワイヤグリッド素子のように無機偏光板が良い。
図2(b)に示す液晶ディスプレイ52においても、液晶パネル54と2枚の偏光板55,56の配置と基本機能は同じである。液晶ディスプレイにおいては、画像の表示部位がディスプレイそのものであるため、液晶プロジェクタに比較して、液晶パネルおよび2枚の偏光板を透過する光の密度が極めて小さい。このため、出射側偏光板56で反射されたS偏光の影響は小さい。一方で、外光の反射があるとコントラストや色再現性といった表示性能の低下に直接結びつくため、外光の反射低減機能等が求められる。液晶プロジェクタに搭載するのに好適な偏光板としては、大型化が容易でコストメリットの大きい有機物を主体とした偏光板が良い。
本発明では、液晶プロジェクタに搭載するのに好適なS偏光の反射防止機能を有する無機偏光板として、偏光コントラスト比の向上、S偏光反射率の低減、および加工プロセスの簡素化による製造コストの低減を同時に実現する無機偏光板を提供する。
上記の目的に照らして、従来の技術の課題を述べる。
非特許文献1および特許文献1に記載される、アルミニウムを用いたワイヤグリッド素子では、ワイヤの周期、幅、高さによってTpとTsの光学性能が定まる。平行な直線状のワイヤ構造は干渉露光法を用いてレジストマスクを形成できるため、製造コストの低減の意味で優れたものであるが、一方で、形状の簡素さによって光学性能が制限を受けているとも言える。液晶プロジェクタの画質向上のためには、偏光コントラスト比のさらなる向上が望まれることは言うまでもない。
特許文献2に記載の技術では、光源の光は基板側から入射し、光吸収層によって、室内照明に代表される外光(環境光)の反射を抑制することができる。この技術は液晶ディスプレイに搭載するのに好適な技術である。素子構造としては、金属ワイヤの下に有機高分子材料からなる第1のワイヤ構造を有しており、耐熱性と対光性の点において液晶プロジェクタへの搭載が困難である。また、マジックミラーの例に見られるように、光学技術者の一般常識として、基板上に形成された層状構造の部材に対して、基板側から光を入射した場合の反射率と、層状構造側から入射した光の反対率は異なる。基板/ワイヤグリッド/光吸収層で形成された素子において、基板側から入射したS偏光は最初のワイヤグリッドによって大きく反射されてしまう。液晶プロジェクタに搭載するのに好適な無機偏光板においては、層状構造側から光源の光を入射するのに適した素子構造を持たない場合、S偏光の反射を低減することができない。特許文献2では光吸収層に用いられる金属材料として第1にAlを掲げているが、後述するように、記載されている素子に対して開示技術と逆の層状構造側から光を入射した場合についても、多層膜干渉計算の結果から、AlではS偏光の反射抑制の機能が十分でないという課題がある。
特許文献3に記載の技術では、S偏光の反射率を増加させたワイヤグリッド素子が提供されているが、S偏光の反射率低減を目的とする本発明とは異なる。
特許文献4に記載の技術では、ワイヤ構造側から入射した偏光の反射を選択的に抑制するワイヤグリッド素子が提供される。光吸収体としてはケイ素(Si)のほかに炭素、ケイ化ニオビウム、タンタルが開示されている。特許文献4に記載の素子は、段落[0035]に記載されているように、ケイ素の入射光に対する光学的指標および光学的吸収特性により、S偏光の反射率Rsを低減することができ、液晶プロジェクタに搭載するのに好適な無機偏光板である。しかしながら、光吸収体として開示されているケイ素や炭素などの場合、複素屈折率の波長依存性が大きいため、S偏光反射率Rsの波長依存性が顕著となり、R,G,Bの波長幅(≒100nm)の範囲において、Rsの平均値が増加するという課題がある。
特許文献5に記載の技術では、金属ワイヤの周期構造を透明誘電体で覆っているため、特許文献4に記載の素子に比較して、耐環境性に優れるという特長をもち、これも、液晶プロジェクタに搭載するのに好適な無機偏光板である。光吸収体として、特許文献4に記載されているケイ素のほかに、金属材料であるクロムも開示されている。後述するように、クロムの場合、S偏光反射率の波長依存性がケイ素に比較して小さいという利点がある。素子の作製プロセスは、基板上に金属ワイヤを形成するステップ1、それを透明誘電体で覆うステップ2、およびその上に光吸収体/透明誘電体からなるワイヤ構造を形成するステップ3になる。このとき、ステップ1とステップ3においてパターニングのためのレジストマスクの形成が必要となる。特にステップ3においては、下部に形成された金属ワイヤと上部の吸収体/透明誘電体の位置合わせをする高精度位置合わせ機構を有するレジストマスクの形成が必須となる。半導体回路向けのステッパを用いれは可能であるが、特許文献4に記載の素子では、比較的安価な干渉露光法やナノインプリント法による1回のみのレジストマスクの形成で素子作製が可能であることを考慮すると、作製プロセスの複雑化による製造コストの増加が課題である。また、後述するように、クロムは透明誘電体のワイヤ加工に一般的なフッ素系ガスを用いたRIE(Reactive Ion Etching)法で加工が困難であるため、さらなる作製プロセスの複雑化が必要になる。
本発明は、液晶プロジェクタに搭載するのに好適なS偏光の反射防止機能を有する無機偏光板であって、偏光コントラスト比の向上、S偏光反射率の低減、および加工プロセスの簡素化による製造コストの低減を同時に実現する無機偏光板を提供すること、および当該無機偏光板を搭載した液晶プロジェクタ装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本発明は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、本発明の偏光板の一例を挙げるならば、第1の偏光を透過し、第2の偏光の反射を抑制する偏光フィルタ機能を有する偏光板であって、入射光に対して透光性を有する基板と、前記基板上に形成された周期構造からなる金属パターンと、前記金属パターンの上に形成され、前記金属パターンと同じ周期構造を有する誘電体/金属/誘電体からなる反射防止構造パターンと、を有し、前記第1の偏光と第2の偏光は、前記基板と反対側から入射するものであり、前記金属パターンが延伸する第1方向に直交する第2の方向の周期pが、前記第1および第2の偏光の波長λと前記基板の屈折率nとして表される周期λ/nよりも小さく、前記反射防止構造パターンの前記金属はタングステン、モリブデンを含む金属材料または合金材料であることを特徴とするものである。
また、本発明の他の偏光板の1例を挙げるならば、第1の偏光を透過し、第2の偏光の反射を抑制する偏光フィルタ機能を有する偏光板であって、入射光に対して透光性を有する基板と、前記基板上に形成された2次元の周期構造からなる金属パターンと、前記金属パターンの上に形成され、前記金属パターンと同じ周期構造を有する誘電体/金属/誘電体からなる反射防止構造パターンと、を有し、前記第1の偏光と第2の偏光は、前記基板と反対側から入射するものであり、前記金属パターンが延伸する第1方向、またはそれに直交する第2の方向の少なくとも一方の周期が、前記第1および第2の偏光の波長λと前記基板の屈折率nとして表される周期λ/nよりも大きく、前記反射防止構造パターンの前記金属はタングステン、モリブデンを含む金属材料または合金材料であることを特徴とするものである。
本発明の液晶プロジェクタは、これらの偏光板を、出射側の偏光板として備えるものである。
本発明によれば、液晶プロジェクタに搭載するのに好適な耐熱性と対光性を有する無機偏光板であって、大きな偏光コントラスト比と、小さく波長依存性の小さなS偏光反射率とを有し、簡易な製造プロセスで作製が可能な無機偏光板を提供することができる。
また、本発明の無機偏光板を搭載することによって、液晶プロジェクタ装置の照度と画質の向上を図ることができる。
本発明の実施例1の光学素子の平面および断面構造を示す摸式図である。 液晶プロジェクタと液晶ディスプレイに求められる偏光板の性能を説明する摸式図である。 ワイヤグリッド素子の平面構造を示す摸式図である。 FDTD計算方法を使用し、垂直入射光に関して、ワイヤグリッド素子の構造周期pとの光学性能の関係を計算した結果である。 本発明の実施例1の光学素子の平面構造を示す摸式図である。 本発明の実施例1の光学素子の構造周期と偏光コントラスト比の関係を表す計算結果である。 本発明の変形例の光学素子の平面構造を示す摸式図である。 本発明の光学素子の金属ワイヤの高さと光学性能の関係を表す計算結果である。 本発明の光学素子の反射防止機能の考え方を示す摸式図である。 アルミニウム上に形成した3層構造の反射率の波長依存性を示す計算結果である。 アルミニウム上に形成した3層構造の反射率の波長依存性を示す計算結果である。 本発明の光学素子の作製プロセスを示す摸式図である。 本発明の光学素子の偏光コントラスト比とS偏光反射率の波長依存性を示す計算結果である。 本発明の実施例2における液晶プロジェクタの光学系を示す模式図である。
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、応用例、詳細説明、補足説明等の関係にある。
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではない。
同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数等(個数、数値、量、範囲等を含む)についても同様である。
また、実施の形態で用いる図面において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
光学素子の性能計算にはマクスウェル方程式の数値的解法であるFDTD(Finite Differential Time Domain)法、および多層膜の性能計算には特性行列法を用いる。
金属や半導体材料の屈折率としては、特に断わらない限り、Palikのハンドブック「Palik E.D. (ed.) (1991) Handbook of Optical Constants of Solids II. Academic Press、 New York.」を参照するものとする。また、特に記載しない場合、透光性を有する基板は標準的なガラス材として、その屈折率は1.525であり、金属ワイヤの材質はアルミニウムとして話を進めることにする。
本発明の実施例1における技術的思想は、マクスウェル方程式に記述される電磁波に幅広く適用することができるが、特に、実施例1では、電磁波の一種である光(可視光)を例に挙げて説明する。まず、実施例1における技術的思想を説明する前に、ワイヤグリッド素子について説明し、その後、実施例1における技術的思想について説明する。
また、ワイヤグリッド素子の動作原理については周知のものとして、ここでは説明を加えない。
<ワイヤグリッド素子の制限>
図3にワイヤグリッド素子の平面構造を摸式的に示す。定義によって、金属ワイヤはy方向に延伸された平行直線パターンであって、幅w,周期p,および図示しない高さhが構造パラメータである。ワイヤグリッド素子の構造周期はpであり、光波の共鳴現象あるいは回折現象と大きな関係があり、その性能はレイリー共鳴条件の制約を受ける。透光性を有する基板の屈折率をn、入射される光波の波長をλ、x方向の入射角をθxとすると、レイリー共鳴現象が発生する周期prは、
pr=λ/(n±sinθx) ・・・(式1)
で与えられる。これは透光性を有する基板内に回折光が発生する条件に一致する。ワイヤグリッド素子が偏光分離性能を有するための制限条件は、構造周期p<prである。光波が垂直入射(θx=0)の場合、最も緩和された制限条件が得られ、
p<λ/n ・・・(式2)
となる。
図4は、上述したFDTD法を使用し、垂直入射光(θx=0に関して、ワイヤグリッド素子の構造周期pとの光学性能の関係を計算した結果である。ここでは、ワイヤグリッド素子の構造周期pを150nm、金属ワイヤの材料をアルミニウム、金属ワイヤの幅を50nm、金属ワイヤの高さを150nm、透光性を有する基板として石英基板(n=1.47)を使用し、入射される光波の波長を460nmとしている。
図4(a)は、ワイヤグリッド素子の構造周期pと透過率Tp、Tsの関係を示すグラフであり、図4(b)は、ワイヤグリッド素子の構造周期pと偏光コントラスト比Tp/Tsの関係を示すグラフである。両図において、横軸はレイリー共鳴現象が発生する周期prで規格化した構造周期(p/pr)となっている。
図4(a)において、縦軸は、p偏光光の透過率とs偏光光の透過率を示している。図4(a)に見られるように、p/pr<0.5の場合には、TpとTsに顕著な変化は見られないが、p/pr=1の近傍領域では、レイリー共鳴現象に起因する急激なTpの減少とTsの増加が発生し、レイリー共鳴現象によって偏光フィルタとしての性能が著しく低下することがわかる。
また、図4(b)に示すように、偏光コントラスト比は、ワイヤグリッド素子の構造周期pの増加とともに減少し、レイリー共鳴現象が発生すると1未満となり、もはや偏光フィルタとして機能を果たさなくなることが確認される。以上のことから、ワイヤグリッド素子においては、レイリー共鳴現象を回避する制限(式2)が必要である。
図4の結果は、もし金属ワイヤを2次元構造として、不要なS偏光に対してのみレイリー共鳴を発現させることができれば、ワイヤグリッド素子よりも、偏光コントラスト性能の高い偏光素子を提供することが可能なことを示唆している。
ここでは先ず、ワイヤグリッド素子に比較して高い偏光コントラスト比を得るために、基板上に形成した金属ワイヤの構造について考察する。
<本発明者による新規な着目点1>
上述したように、ワイヤグリッド素子においては、偏光素子の機能を充分に発揮する観点から、ワイヤグリッド素子の構造周期pは(式2)の制限を受ける。また、加工プロセスの制限を加味すると、現状のワイヤグリッド素子(直線状の金属グレーティング)では、さらなる偏光コントラスト比の向上を図ることが困難であることがわかる。
そこで、本発明者は、x方向だけでなく、各金属ワイヤが延在するy方向においても、構造周期を導入することを考えた。S偏光に対して選択的にレイリー共鳴を発現させるためには、y方向の構造周期Λについて
Λ≧λ/n ・・・(式3)
とすればよい。
図5は金属ワイヤ幅を周期的に変調した2次元構造素子20の平面パターンを示す摸式図である。ここで、金属ワイヤ22はx方向に幅w1とw2(w1<w2)を持ち、それぞれy方向に長さL1とL2をもつ。y方向の構造周期ΛはL1+L2である。
図6は、図5に示した2次元構造素子について、構造周期Λと偏光コントラスト比Tp/Tsの関係を計算した結果である。図3に示したワイヤグリッド素子と可能な限り同一条件で比較するため、x方向の構造周期p=150nm、金属ワイヤの材料をアルミニウム、金属ワイヤの高さを150nm、基板を石英基板、入射光波の波長を460nmとした。また、金属ワイヤの平均幅が50nmになるようにw1=40nm、w2=60nm、L1=L2=Λ/2とした。図6に見られるように、構造周期Λが概ねλ/n〜λの範囲において、同一条件のワイヤグリッド素子(点線)よりも大きな偏光コントラスト比が得られ、その最大値は約3500で、ワイヤグリッドの場合の10倍に近い性能となることが判る。これにより(式3)に示した条件の2次元構造素子が、ワイヤグリッド素子に比較して、偏光コントラスト比の向上に有効であることが判る。
図7は、金属ワイヤに周期的な間隙を形成した2次元構造素子20の平面パターンを示す別の摸式図である。本素子においては、y方向に周期的に形成された間隙sを有するワイヤがx方向に周期的で配置されている。本素子においてx方向の構造周期は、隣接するワイヤ周期p1と間隙を挟む周期p2(=2p1)である。y方向の構造周期は、間隙の形成周期Λ、隣接するワイヤに形成された間隙のy方向間隔δである。上と同様にΛに関する(式3)の制限を満たすことが重要である。
図8は、図7に示した2次元構造素子について、ワイヤの高さと光学性能の関係を示すシミュレーション結果である。比較のため、図中には間隙が存在しない直線ワイヤから構成されるワイヤグリッド素子の結果も示している。ここでは、入射光の波長λ=460nm、隣り合うワイヤのx方向の周期p1=150nm、ワイヤの幅w=50nm、y方向の周期Λ=400nm、間隙s=30nmとした。また、透光性を有する基板の屈折率を1.525とし、ワイヤはアルミニウムから構成されているとしている。
図8(a)は、ワイヤの高さとTpの関係を示すグラフである。図に示すように、本2次元構造素子のTpは、同じ幅、高さ、ピッチを有する直線ワイヤから構成されるワイヤグリッド素子とほぼ一致することがわかる。このことは、2次元構造化によってp偏光との相互作用に関して、ワイヤグリッドと同等であることを示している。
一方、図8(b)は偏光コントラストTp/Tsのワイヤ高さ依存性である。直線ワイヤで形成されたワイヤグリッド素子の場合、偏光コントラスト比がワイヤの高さに応じて単調に指数的に増加するのに対して、2次元構造素子では、S偏光光に対する共鳴を示す複数のピークが存在することがわかる。隣接する極大値と極小値の差は、基準となるワイヤグリッド素子の偏光コントラスト比の10倍以上であり、y方向の構造周期による共鳴が偏光コントラストを決める主要因になっていることが示される。
<本発明者による新規な着目点2>
前述の2次元構造素子の上に形成するS偏光の反射防止構造について考える。特許文献4,5に記載の技術において、S偏光の反射防止機能を果たすのは、ワイヤグリッド素子上に形成された光吸収構造によるS偏光の吸収である。光吸収構造は基本的に誘電体/光吸収体/誘電体の3層構造となっており、光吸収体としては、ケイ素,クロム等が優れたものとして開示されている。特許文献4によれば[0035]に記載されているように、ケイ素の入射光に対する光学的吸収特性により、S偏光の反射を抑止していることが確認される。一方で、光吸収層の厚さはワイヤグリッドを構成するアルミニウムよりも小さくなっている。こうした素子において、液晶プロジェクタのように大きな密度の光が照射されると、熱浴である基板から遠く、体積の大きなアルミニウムでもなく、熱伝導率の小さな誘電体で断熱された、小さな体積をもつ光吸収体で、大きな光エネルギーを吸収することになり、光吸収体の温度上昇による劣化が懸念される。
そこで発明者らは、光吸収ではなく、光干渉を主体として反射防止の機能を実現することを考えた。図9はアルミニウム上に形成された3層の層状構造において光干渉を主体として反射防止をするための考え方の摸式図である。図において、基板24上に、金属膜22および反射防止構造25が設けられている。ここで、反射防止構造25は、誘電体26、AR材料27および誘電体28から成る。広く普及しているARコートは反射体の上に光吸収のない誘電体を1層以上形成することで、2つ以上の反射面を形成し、それらが互いに打消し合うように、1/2波長程度の位相差をつけている。無機偏光板の場合、アルミニウムの反射率が可視光に対して約90%以上と大きいため、同等の反射率を得るには非常に大きな層数の誘電体層を形成する必要がある。図に示すように、AR材料として、アルミニウムよりも薄い金属を用いると、AR材料を透過しアルミニウムで反射し、再びAR材料を透過した光の強度と、AR材料の表面で反射された光の強度を同等にでき、かつ1/2波長の位相差をつけることができるはずである。こうした構造において、図中の上方から入射したS偏光は、反射ができないため、AR材料とアルミニウムを透過して基板方向に進行する。このとき、AR材料とアルミニウムは大きな消衰係数をもつため、概ねその膜厚に比例してS偏光を吸収すると考えてよい。このように形成された素子においては、発熱が光吸収材料に集中することを避けることができ、熱浴である基板に近く熱伝導率の大きなアルミニウムに発熱を分散することができるようになる。こうした条件を満たすためには、アルミニウム表面での反射光がAR層の往復透過によって減衰することを考慮して、AR材料の反射率がアルミニウムよりも小さいことが必要となる。したがって、AR材料としては貴金属のように反射率の高い材料でなく、タングステン、モリブデンのように、アルミニウムに比較して反射率の小さな材料が好ましい。また、ここでは誘電体材料としてSiOを示しているが、これは後述するように素子の作製プロセスを簡素化するための選択である。原理的には、透明誘電体であればよく、Al,SiN,ZnS,およびZnSとSiOの混合物も使用することができる。
以上の考え方に沿った場合、S偏光の反射率Rsは小さくなるが、透過率Tsが増加して偏光コントラスト比を低下させるという逆の効果も発生する。前述の2次元構造素子を下地に用いれば、ワイヤグリッド素子よりも大きな偏光コントラスト比が得られるので、結果的に小さなRsと大きな偏光コントラスト比の両立が可能なはずである。
図10は図9に示した層状構造に対して基板と反対側から光を入射した場合の反射率の計算結果である。計算は多層膜の特性計算に広く用いられている特性行列法を使った。各層の膜厚はそれぞれ0〜100nmの範囲において1nm単位で変化させながら、可視光領域における平均反射率が最小になるように、それぞれ定めた。AR材料としては、特許文献1に記載のアルミニウム、特許文献3,5に記載のケイ素(ここではアモルファスSi)、およびこれらに記載のないタングステンを比較している。図に見られるように、反射率はアルミニウム>ケイ素>タングステンの順になることが判る。アルミニウムの場合、下地のアルミニウムと同じ反射率をもつので、前述の光干渉による反射防止条件を満たすことができない。ケイ素の場合、反射率は小さくなるが、半導体材料の屈折率の波長依存性を反映して、反射率の波長依存性が大きくなる。これらに比較してタングステンを用いた場合、反射率が最小でかる波長依存性が小さくなることが判る。
図11は同様な計算を、種々の金属材料に対して実施した結果である。ここでは、タングステン,モリブデン,クロム,鉄,コバルト,ニッケルに対する結果を示した。図に見られるように、可視光域に対する反射率が小さい順に、タングステン<モリブデン<鉄<クロム<コバルト<ニッケルとなることが判る。鉄は酸化による劣化が激しいため、AR材料として好適なものは、タングステン,モリブデン,クロムである。
2次元構造素子の上に形成する反射防止構造として説明してきたが、図3に示される従来のストレートワイヤグリッド構造の上に、タングステン,モリブデン,クロムを含むAR構造を付けたものも、吸収型偏光板として機能する。
AR材料として選択される金属材料としては、素子の作製プロセスが簡素にできるという検討が必要である。
図12は本発明の光学素子の作製プロセスを摸式的に示したものである。最初のステップ(a)で、基板上にアルミニウム/SiO/タングステン/SiOの順にスパッタリング法で順次積層した層状構造を作製する。次のステップ(b)では、2次元構造素子に対応したレジストパターンをナノインプリント法等で形成する。このとき、干渉露光法は、ワイヤグリッド素子の直線パターンにしか対応しない点に留意する必要がある。次のステップ(c)では、フッ素系ガスを用いたRIE法によって、SiO/タングステン/SiOからなるAR構造を2次元パターン加工する。フッ素系ガスとしては、C、C、C、C、C、CH、CHF、CF、SFなどを用いることができる。フッ素系ガスによるSiO2の加工は確立されたプロセスである。このとき、タングステンおよびモリブデンはフッ化物沸点が室温程度であるので、同時に3層加工が可能となる。一方で、特許文献5に記載されているクロムに関しては、フッ化物沸点が1000℃以上と高いため、3層同時加工をすることができないため、作製プロセスの複雑化を招いてしまう。最後のステップ(d)では、最上部のSiOをマスクとして、アルミニウムのRIE加工をする。このときCl、BClなどの塩素系ガスをエッチングガスとして用いることによって、大きなエッチング選択比を得ることができる。したがって、最初のレジストマスクは上部の3層を加工するために必要十分な高さがあればよい。発明者らが実験的に見積もった必要レジスト厚さは110nmから150nm程度であり、これは、ナノインプリント法を用いてレジストマスクを形成することが十分に可能な条件である。
以上により、本発明の光学素子に用いるAR材料として好ましい金属はタングステンもしくはモリブデンであると言える。ここに示していない金属種として、例えばチタン,ニオブ,アンチモン,テルル,ジルコニウム,タンタル等がある。これらはフッ素系ガスによるRIE処理において、フッ化物の沸点が概ね200℃以上であり、ドライエッチングレートが小さい。これらを使用することも可能であるが、ワイヤ加工の形状精度の緩和や、膜厚を20nm以下に薄くする等の設計上の配慮が必要である。
以上の検討結果をまとめて、本発明の光学素子の平面および断面形状を摸式的に表したものを図1に示す。図1(a)は図5に示した2次元構造素子20の平面パターンである。図1(b)は上部の3層AR構造を含んだ素子の断面形状である。ここではAR材料としてタングステンを用いる場合を示した。この他に図7に示した2次元構造やAR材料としてモリブデンを用いることも可能である。また、本発明の光学素子の2次元構造としては(式3)に示した条件に沿うものであれば、他の2次元周期性をもつものを用いることができる。その他、金属材料としてはタングステン,モリブデンを含む金属材料または合金材料を使用することが好ましいが、前述のように、例えばチタン,ニオブ,アンチモン,テルル,ジルコニウム,タンタル等を使用する場合については、膜厚を薄く設計する等の注意が必要である。
図13は、本発明の光学素子の偏光コントラスト比Tp/TsとRsの波長依存性を示すFDTD計算結果である。ここで素子構造は図1に示したものを用い、x方向の構造周期p=135nm,w1=35nm,w2=45nm,y方向の構造周期Λ=400nm,L1=300nm,L2=100nmとした。アルミニウムワイヤの高さは170nmである。また、基板の屈折率を1.525とし各層の基板側からアルミニウム(170nm)、SiO(60nm)/タングステン(20nm)/SiO(80nm)とした。比較のため、直線状ワイヤからなるワイヤグリッド素子上にアモルファスSiを光吸収材料に用いた場合の計算結果についても示している。この場合、x方向の構造周期p=135nm、w=40nm、アルミニウムワイヤの高さを170nmとして、断面の平均形状を上と同じにした。また、基板の屈折率を1.525で同じとして、各層の基板側からアルミニウム(170nm)、SiO(5nm)/アモルファスSi(25nm)/SiO(20nm)とした。これら2つの場合において、上部3層の膜厚は、波長範囲400〜600nmにおいて、平均Rsが最小、かつ偏光コントラスト比が500以上になる条件を各層の膜厚を5nm単位で計算した結果の中から選択したものである。図に見られるように、本発明の光学素子が、偏光コントラスト比が大きく、不要光であるS偏光の反射率Rsが小さく、その波長依存性も小さいことが確認できる。
本発明の実施例2では、前記実施例1における光学素子を適用した光学装置について、図面を参照しながら説明する。実施例2では、液晶プロジェクタを例に挙げて説明する。
<液晶プロジェクタの構成>
図14は、実施例2における液晶プロジェクタの光学系を示す模式図である。図14において、実施例2における液晶プロジェクタは、光源LS、導波光学系LGS、ダイクロイックミラーDM(B)、DM(G)、反射ミラーMR1(R)、MR1(B)、MR2(R)、偏光板PF1(B)、PF1(G)、PF1(R)、PF2(B)、PF2(G)、PF2(R)、液晶パネルLCP(B)、LCP(G)、LCP(R)、投影レンズLENを有している。このうち、実施例1に示した出射側無機偏光板はPF2(B)、PF2(G)、PF2(R)である。
光源LSは、ハロゲンランプなどから構成され、青色光と緑色光と赤色光とを含む白色光を射出するようになっている。そして、導波光学系LGSは、光源LSから射出された光分布の一様化やコリメートなどを実施するように構成されている。
ダイクロイックミラーDM(B)は、青色光に対応した波長の光を反射し、その他の緑色光や赤色光を透過するように構成されている。同様に、ダイクロイックミラーDM(G)は、緑色光に対応した波長の光を反射し、その他の赤色光を透過するように構成されている。また、反射ミラーMR1(R)は、赤色光を反射するように構成されている。
偏光板PF1(B)、PF2(B)は、青色光を入射して図示しない画像制御信号に応じて強度変調するように構成されており、偏光板PF1(G)、PF2(G)は、緑色光を入射して強度変調するように構成されており。また、偏光板PF1(R)、PF2(R)は、赤色光を入射して強度変調するように構成されている。
反射ミラーMR1(B)は、青色光を反射するように構成されており、反射ミラーMR1(R)および反射ミラーMR2(R)は、赤色光を反射するように構成されている。
液晶パネルLCP(B),LCP(G),LCP(R)は、青色,緑色,赤色の各色の、図示しない画像制御信号に応じて入射光の偏光状態を制御する作用をもつ。投影レンズLENは、画像を投影するためのレンズである。
こうした構成の液晶プロジェクタを用いれば、図示しないスクリーン上に、高輝度、高精彩の画像を投影することができる。
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
例えば、実施例2では、本発明の偏光板を液晶プロジェクタに適用した例を説明したが、本発明の偏光板は、光ピックアップ、光センサ、顕微鏡等の光学装置に適用できる。
また、前記実施の形態では、可視光から近赤外線光に対応する光学素子や光学装置について説明したが、これに限らず、マクスウェル方程式に従う電磁波であれば、本願発明の技術的思想を同様に適用することができる。具体的には、77GHzの無線デバイスでは、電磁波の波長は約4mmであり、このような電磁波に対しても、例えば、本発明の光学素子を偏光フィルタとして適用することができる。
10 ワイヤグリッド素子
12 金属ワイヤ
20 2次元構造素子
22 金属ワイヤ
23 金属ワイヤ
24 基板
25 反射防止膜
26 誘電体
27 AR材料
28 誘電体
50 液晶プロジェクタ
52 液晶ディスプレイ
54 液晶
55 入射側偏光板
56 出射側偏光板
DM(B) ダイクロイックミラー
DM(G) ダイクロイックミラー
LCP(B) 液晶パネル
LCP(G) 液晶パネル
LCP(R) 液晶パネル
LEN 投影レンズ
LGS 導波光学系
LS 光源
MR1(R) 反射ミラー
MR1(B) 反射ミラー
MR2(R) 反射ミラー
PF1(B) 偏光板
PF1(G) 偏光板
PF1(R) 偏光板
PF2(B) 偏光板
PF2(G) 偏光板
PF2(R) 偏光板

Claims (10)

  1. 第1の偏光を透過し、第2の偏光の反射を抑制する偏光フィルタ機能を有する偏光板であって、
    入射光に対して透光性を有する基板と、
    前記基板上に形成された周期構造からなる金属パターンと、
    前記金属パターンの上に形成され、前記金属パターンと同じ周期構造を有する誘電体/金属/誘電体からなる反射防止構造パターンと、を有し、
    前記第1の偏光と第2の偏光は、前記基板と反対側から入射するものであり、
    前記金属パターンが延伸する第1方向に直交する第2の方向の周期pが、前記第1および第2の偏光の波長λと前記基板の屈折率nとして表される周期λ/nよりも小さく、
    前記反射防止構造パターンの前記金属はタングステン、モリブデンを含む金属材料または合金材料であることを特徴とする偏光板。
  2. 請求項1に記載の偏光板において、
    レイリー共鳴現象が発生する周期prで規格化した前記金属パターンの周期p/prが、0.5よりも小さいことを特徴とする偏光板。
  3. 第1の偏光を透過し、第2の偏光の反射を抑制する偏光フィルタ機能を有する偏光板であって、
    入射光に対して透光性を有する基板と、
    前記基板上に形成された2次元の周期構造からなる金属パターンと、
    前記金属パターンの上に形成され、前記金属パターンと同じ周期構造を有する誘電体/金属/誘電体からなる反射防止構造パターンと、を有し、
    前記第1の偏光と第2の偏光は、前記基板と反対側から入射するものであり、
    前記金属パターンが延伸する第1方向、またはそれに直交する第2の方向の少なくとも一方の周期が、前記第1および第2の偏光の波長λと前記基板の屈折率nとして表される周期λ/nよりも大きく、
    前記反射防止構造パターンの前記金属はタングステン、モリブデンを含む金属材料または合金材料であることを特徴とする偏光板。
  4. 請求項3に記載の偏光板において、
    前記少なくとも一方の周期が、前記第1および第2の偏光の波長λよりも小さいことを特徴とする偏光板。
  5. 請求項3に記載の偏光板において、
    前記金属パターンが延伸する第1方向の周期Λが、前記第1および第2の偏光の波長λと前記基板の屈折率nとして表される周期λ/nよりも大きく、
    前記第1方向に直交する第2の方向の周期pが、前記周期λ/nよりも小さいことを特徴とする偏光板。
  6. 請求項3〜5の何れか1つに記載の偏光板であって、
    前記金属パターンは、金属パターンが延伸する方向に金属パターンの幅を周期的に変調したものであることを特徴とする偏光板。
  7. 請求項3〜5の何れか1つに記載の偏光板であって、
    前記金属パターンは、金属パターンが延伸する方向に周期的な間隙を形成したものであることを特徴とする偏光板。
  8. 請求項1〜7の何れか1つに記載の偏光板であって、
    前記金属パターンの材料は、アルミニウムであることを特徴とする偏光板。
  9. 請求項1〜7の何れか1つに記載の偏光板であって、
    前記第1の偏光はp偏光であり、前記第2の偏光はs偏光であることを特徴とする偏光板。
  10. 光源、
    前記光源から射出される光から特定の偏光光を選択透過する第1偏光素子、
    前記第1偏光素子から射出された前記偏光光を入射し、前記偏光光の偏光方向を変化させる液晶パネル、
    前記液晶パネルを透過することによって偏光方向が変化した前記偏光光を入射する第2偏光素子、
    前記第2偏光素子から射出された前記偏光光を入射して画像を投影する投影レンズ、
    を備え、
    前記第2偏光素子は、前記請求項1〜9の何れか1つに記載の偏光板であることを特徴とする液晶プロジェクタ。
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