JP2015124204A - 油性固形化粧料の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】相溶性のない成分や、不安定成分を含む油性固形化粧料を安定的に製造できる方法を提供すること。【解決手段】本発明の油性固形化粧料の製造方法は、25℃において固体の油性成分を1種以上含む第一の流動体と、第一の流動体に含まれる成分と相溶しない成分を1種以上含む第二の流動体とを、振動式撹拌混合装置内で又は該装置に導入する前に混合し、混合液を得る工程;得られた混合液を振動式撹拌混合装置内にて撹拌し、第三の流動体を得る工程、並びに振動式撹拌混合装置から排出された第三の流動体を固化させる工程を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、油性固形化粧料の製造方法に関する。
固形状態の油性化粧料としては、口紅、アイシャドウ、ファンデーション等が挙げられ、これらは油性原料を混合し、その後冷却して固化させて製造されている。かかる混合においては、原料を所定の配合量にて撹拌槽に仕込み、撹拌して均一性を保った、いわゆるマスターバッチを用意し、順次型に仕込み、冷却して製品を得ることが一般的である。一方、マスターバッチを使用せずに連続処理が可能な撹拌装置として、スタティックミキサー等が知られている。
本出願人は先に、振動式撹拌混合装置を用いて、固体の油性成分を含む流動体を混合撹拌し、液状化粧料、クリーム状化粧料及びW/O乳化化粧料等を製造する方法を種々提案した(特許文献1ないし3等)。例えば特許文献1には、25℃において固体の油性成分を1種以上含む配合原料を加熱下に混合させて流動体となし、得られた流動体を冷却する工程を有する化粧料の製造方法に振動式撹拌混合装置を用い、該流動体を該振動式撹拌混合装置内に通過させることで、該流動体を連続的に油性成分の固化温度以下まで冷却することが記載されている。この方法によれば、固体の油性成分の含有量が高い場合においても、油性成分の粒子が均一微細化され、使用感が良好で、つやが高い化粧料を製造できるという利点がある。
特許文献2には、加熱下で油性成分に水性成分を添加し、乳化分散して得られた流動体を冷却する工程を有する油中水型乳化化粧料の製造方法に振動式撹拌混合装置を用い、該流動体を該振動式撹拌混合装置内に通過させることで、該流動体を連続的に冷却することが記載されている。この方法によれば、冷却工程中において乳化滴の合一が抑制され、外観色の明度が高く、乳化粒径が細かくクリーミーな使用感で、保存安定性の優れた油中水型乳化化粧料を製造できるという利点がある。
特許文献3では、25℃において固体の油性成分を1種以上含む第一の配合原料を加熱溶融し、混合させた第一の流動体と、第一の流動体の供給温度より低い温度で溶融されている第二の流動体とを連続的に混合して流動体となし、振動式撹拌混合装置内にこの流動体を通過させる工程において、該振動式撹拌混合装置の内部を外壁から冷却し、該流動体を、第一の流動体と第二の流動体を混合した時点での温度よりも低い温度まで冷却している。この方法によれば、固体の油性成分の含有量が高い場合においても、該油性成分の粒子が均一微細化された化粧料を、生産性よく、かつ安全に製造することができるという利点がある。
特開2008−214212号公報 特開2010−077114号公報 特開2012−11680号公報
ところで、前述した各製造方法は、液状やクリーム状等の流動性を有する油性化粧料の製造方法に関するものである。これに対し、固形状態の油性化粧料の製造方法においては、該油性化粧料を構成する成分中に、互いに相溶性のない2種以上の成分が含まれている場合、冷却過程において、該成分どうしの分離が生じやすく、油性化粧料の均一性が低下するという課題がある。また、固形状態の油性化粧料の製造においては、構成成分を加熱下にバルク配合し、一旦冷却した後、冷却物を加熱して再融解させてから容器や型に充填する場合が多い。このような再融解を行うと、バルク配合時には微細であった乳化滴が再融解時に合一してしまい、そのことに起因して油性化粧料の均一性が低下するという課題がある。また、折れや欠けという成形不良が発生する割合が高くなり、使用感の低下、外観の悪化という課題が発生することが見いだされた。
したがって本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る油性固形化粧料の製造方法を提供することにある。
本発明は、(A)25℃において固体の油性成分を1種以上含む第一の流動体と、第一の流動体に含まれる成分と相溶しない成分を1種以上含む第二の流動体とを、振動式撹拌混合装置内又は該装置の直前で合流させて、混合液を得る工程、
(B)得られた混合液を振動式撹拌混合装置内にて撹拌し、第三の流動体を得る工程、並びに
(C)振動式撹拌混合装置から排出された第三の流動体を固化させる工程、
を含む油性固形化粧料の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、相溶性のない成分や、不安定成分を含む油性固形化粧料を安定的に製造することができる。そして、本発明に係る製造方法により乳化粒径が細かく、成形不良率、使用感、外観の評価において優れた油性固形化粧料を提供することができる。
図1は、本発明の製造方法を実施するための好ましい装置の一実施形態を示す模式図である。 図2は、図1に示す製造装置における振動式の撹拌混合装置の縦断面の模式図である。 図3は、図2に示す振動式の撹拌混合装置における撹拌体の要部拡大図である。 図4は、第三の流動体の冷却装置の一例を示す模式図である。 図5は、第三の流動体の冷却装置の他の例を示す模式図である。 図6は、第三の流動体の冷却装置の更に他の例を示す模式図である。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1には、本発明の製造方法を実施するための好ましい装置の一実施形態が示されている。同図に示す装置100は、第一の流動体の供給部10、第二の流動体の供給部20、及び撹拌混合部30を備えている。
第一の流動体の供給部10は、混合タンク11を備えている。混合タンク11は、該タンク11の外側に付設されたジャケット12によって加熱又は冷却され、所定温度に調整されるようになっている。混合タンク11内には撹拌翼13が設置されている。撹拌翼13は、シャフト14を介して混合タンク11外に設置されたモータ15に接続されており、回転可能になっている。混合タンク11の底部には、該タンク11内に充填されている第一の流動体1を取り出すための管16が接続されている。管16は、ピストンポンプ17を介して後述する撹拌混合部30に接続されている。第一の流動体1は、ピストンポンプ17の駆動によって、管16を通じて撹拌混合部30に供給されるようになっている。
混合タンク11内には、目的とする油性固形化粧料の配合原料の一部(後述する第一の配合原料)が充填される。充填された原料は、混合タンク11内において加熱下に溶融混合されて第一の流動体1となる。混合タンク11内に充填される原料及び該原料から得られる第一の流動体1の詳細については後述する。
第二の流動体の供給部20は、タンク21を備えている。タンク21内には、目的とする油性固形化粧料の配合原料のうち、先に述べた混合タンク11に充填される成分以外の成分(後述する第二の配合原料)が充填されている。これらの成分が混合されて第二の流動体2となる。タンク21の底部には、該タンク21内に充填されている第二の流動体2を取り出すための管22が接続されている。先に述べた管16と同様に、管22も、ピストンポンプ23を介して、後述する撹拌混合部30に接続されている。第二の流動体2は、ピストンポンプ23の駆動によって、管22を通じて撹拌混合部30に供給されるようになっている。
撹拌混合部30は撹拌混合装置31を備えている。撹拌混合装置31としては、振動式のものを用いる。振動式撹拌混合装置31を用いることで、先に述べた第一の流動体1及び第二の流動体2を均一にかつ素早く混合することができる。また振動式撹拌混合装置31は、撹拌混合の対象物に対して作用する剪断力が低いにもかかわらず、混合を高効率で行い得る観点からも有利である。
本実施形態の撹拌混合装置31は、略筒状の構造を有し、その一端側に、管16及び管22がそれぞれ接続する流入口32a,32bを有し、他端側に吐出口33を有している。吐出口33は吐出用管34に接続されている。図1においては、撹拌混合装置31が、異なる位置に2つの流入口32a,32bを有しているように表されているが、流入口の配置はこれに限られない。例えば撹拌混合装置31の一端側に流入口を1つ設け、1つの該流入口に管16及び管22の双方を接続してもよい。また、図1においては、2つの流入口32a,32bのうち、管16が接続する流入口32aが上流側に位置し、管22が接続する流入口32bが下流側に位置しているが、管16,22と流入口32a,32bとの接続関係はこの逆でもよい。ここで言う「上流」及び「下流」とは、撹拌混合装置31内を流動する流動体の流動方向に関してのものである。
本発明は第一の流動体と第二の流動体を混合し、混合液を得る工程を含む。
第一の流動体及び第二の流動体の混合は、振動式撹拌混合装置に用意された複数の流入口32a,32bから行うことができ、この場合は混合が振動式撹拌混合装置内で行われる。あるいは、第一の流動体及び第二の流動体の混合は、これらが振動式撹拌混合装置に導入される直前であってもよい。いずれの場合であっても、得られた混合液は、該装置31内を通過する間に、連続的に撹拌されて第三の流動体になる。そして、この第三の流動体は吐出口33を通じて吐出用管34の端部から吐出される。混合液が撹拌混合装置31内を流動する間、該混合液が所定の温度以上に温度が保たれるようにする。この目的のために、撹拌混合装置31を加熱、保温、あるいは冷却することができる。例えば図1に示すとおり、撹拌混合装置31に、その略筒状の構造の外側に、流入口32a,32b側から吐出口33側に向けて4つのジャケット35,36,37,38をこの順で取り付け、各ジャケットにそれぞれ熱媒を循環させることができる。熱媒の温度は、目的とする油性固形化粧料の配合原料の種類に応じて適宜設定することができる。これらのジャケットを循環させる熱媒の温度は、ジャケット毎に異ならせてもよく、あるいは同一温度にしてもよい。
後述するように、振動式撹拌混合装置から吐出された第三の流動体が速やかに固化し、より均一な化粧料が得られるように、第三の流動体の吐出口における温度は、該第三の流動体の固化温度よりも1℃以上高いことがより好ましく、2℃以上高いことが更に好ましく、3℃以上高いことが更に好ましく、固化温度よりも50℃高い温度よりも低いことが好ましく、固化温度よりも30℃高い温度よりも低いことがより好ましく、固化温度よりも10℃高い温度よりも低いことが更に好ましい。「第三の流動体の固化温度」とは、第三の流動体を、示差走査熱量計(DSC)を用い、1℃/minの加熱速度で95℃まで昇温した後、1℃/minの冷却速度で降温したときの、発熱ピークのピーク位置での温度で定義される。
図2には、振動式の撹拌混合装置31の縦断面の模式図が示されている。装置31は、管状のケーシング51内に、駆動軸52と、該駆動軸52に取り付けられた撹拌羽根53とからなる撹拌体54を備えている。駆動軸52は、バイブレータ55aによって軸方向に沿って上下振動するようになされている。
ケーシング51は、その横断面が円形である管状のものであり、その下部付近に流入口32a,32bが設けられている。ケーシング51の上部付近には吐出口33が設けられている。流入口32a,32bからそれぞれ流入した第一及び第二の流動体は、ケーシング51内を通る間に混合されて混合液となる。該混合液は連続的に撹拌されてされ第三の流動体となり、該第三の流動体が吐出口33から吐出される。
ケーシング51内には、上述の撹拌体54が配されている。撹拌体54の駆動軸52は、ケーシング51の長手方向(縦方向)に延びている。駆動軸52の上端は、ジョイント55bを介してバイブレータ55aに接続されている。バイブレータ55aは、モータ(図示せず)とその出力軸に接続された公知のカム機構(図示せず)を備えている。カム機構は、回転部(図示せず)と揺動部(図示せず)からなる。回転部は、モータの出力軸に対して偏心して取り付けられている。揺動部は、回転部の偏心回転によって揺動するようになっている。そして、揺動部の揺動が駆動軸52に上下振動として伝達される。
ケーシング51の内壁には、円環状の仕切部56が複数設けられている。仕切部56はいずれも同形であり、ケーシング51の内壁から水平方向へ突出している。仕切部56の中央に形成された円孔には、駆動軸52が挿入される。この円孔の直径は、駆動軸52の直径よりも大きくなっている。隣り合う2つの仕切部によってケーシング51の内部は複数の混合室57が画成される。混合室57は、ケーシング51の長手方向(縦方向)に沿って直列配置される。
図3(a)及び(b)には、撹拌体54の要部拡大図が示されている。撹拌体54は、駆動軸52とその周面に螺旋状に取り付けられた撹拌羽根53とを備えている。同図においては、撹拌羽根53は3周の螺旋状に取り付けられている。この状態の撹拌体54を一組として、ケーシング内には、各混合室57内に撹拌体54が配されている。したがって撹拌体54の組数は、混合室57の数と同じになっている。それぞれの組の撹拌体54において、撹拌羽根53の螺旋の方向は同じになっている。
それぞれの組の撹拌体54における撹拌羽根53には1個以上の開孔58及び/又は1個以上の切り欠き59が設けられている。開孔58及び切り欠き59は、撹拌体54を駆動軸52の軸心方向からみたときに(図3(a)参照)、上下で隣り合う撹拌羽根どうしで形成位置が一致しないように設けられている。この理由は、軸方向での短絡流の発生を防止して、撹拌混合効果を高めるためである。
以上のとおりの構成を有する振動式の撹拌混合装置31としては、例えば特開平4−235729号公報に記載のもの等を用いることができる。また振動式の撹拌混合装置31として市販品を用いることもできる。そのような市販品としては、例えば冷化工業(株)製のバイブロミキサー(登録商標)が挙げられる。
以上の構成を有する装置100を用いた油性固形化粧料の製造方法について説明すると、先ず混合タンク11内に目的とする油性固形化粧料の配合原料の一部を充填する。以下、この配合原料の一部のことを「第一の配合原料」と言う。第一の配合原料は、25℃において固体の油性成分(以下、「固体油性成分」とも言う。)を1種以上含んでいる。第一の配合原料は、目的とする油性固形化粧料の具体的な用途に応じ適切なものが用いられる。例えば第一の配合原料としては、25℃において固体の油性成分の他に、25℃において液体の油性成分や、顔料及び光輝性粉体などの粉体成分などが用いられる。第一の配合原料の充填が完了したら、混合タンク11を加熱して第一の配合原料中に含まれている固体油性成分を溶融状態にする。加熱温度は、固体油性成分の融点に応じて適宜設定することができる。一般的には最も融点の高い固体油性成分の融点よりも10℃程度高めに設定することが好ましい。加熱によって固体油性成分が融解し、第一の配合原料全体が溶融して油性成分を含む第一の流動体となる。この状態下に撹拌翼13を回転させることで混合タンク11内を撹拌し、第一の配合原料を十分に均一混合分散させる。特に限定されるものではないが、第一の流動体の温度は、例えば70〜100℃に設定することができる。
別法として、第一の配合原料のうち、主として固体油性成分を予めホモミキサーやディスパーなどの予備分散手段(図示せず)を用いて予備分散させた後、これによって得られた予備分散物を混合タンク11内に充填するとともに、第一の配合原料のうちの残部、例えば粉体成分を該タンク11に充填し、両者を該タンク11内で加熱混合して第一の流動体1を得てもよい。
固体油性成分を含む第一の流動体1は、第一の配合原料の種類に応じ、例えば油性の溶液や、油性成分を含む分散液であり得る。第一の流動体1に含まれる成分は互いに相溶性を有するものである。第一の流動体1に含まれる成分と相溶しない成分は、後述する第二の配合原料から得られる第二の流動体2中に含まれる。
ここで言う「相溶しない」とは、加熱によって溶融し、流動状態となっている第一の流動体1に含まれる液体成分を対象としたものであり、第一の流動体1に含まれる固体成分、例えば顔料等は相溶の有無の対象外である。
本発明において用いられる固体油性成分の例としては、目的とする油性固形化粧料の種類に応じ、ワックス及び高級アルコールの少なくとも1種が用いられる。
ワックスとしては、例えばマイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、シリコーンワックス、セレシン、カルナウバロウ、ライスワックス、ホホバワックス、キャンデリラロウ、鯨ロウ、ミツロウ、雪ロウ等が挙げられる。などが用いられる。
高級アルコールとしては、例えば、平均炭素数12〜36のアルコールが挙げられる。特に平均炭素数18〜24を有するものが好適に用いられる。更に好ましいものとしては、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールなどが挙げられる。
固体油性成分以外に第一の流動体1に含まれる成分としては、目的とする油性固形化粧料の種類に応じ、シリコーン油、炭化水素油、動植物油、ポリオール、酸化防止剤、防腐剤、香料、紫外線吸収剤、エキス、無機粉体、有機粉体、色素、界面活性剤を用いることができる。界面活性剤としては、化粧品一般に用いられる非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。これらの成分は、目的とする油性固形化粧料の種類に応じ、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
混合タンク11内において第一の配合原料が十分に混合し、かつ所定の温度に達したら、混合タンク11の底部に取り付けられた管16を通じて混合タンク11内の第一の流動体1を取り出す。第一の流動体1はピストンポンプ17によって定量的に押し出され、流入口32aを通じて撹拌混合装置31に供給される。撹拌混合装置31へ供給される第一の流動体1の温度は、流動性が保たれる温度以上であればよいが、固体油性成分の分散性の向上の観点から、目的とする油性固体化粧料の固化温度以上とすることが好ましく、更に該油性固体化粧料の固化開始温度以上とすることが好ましい。
上述した「油性固体化粧料の固化開始温度」とは、該油性固体化粧料を、示差走査熱量計(DSC)を用い、1℃/minの加熱速度で95℃まで昇温した後、1℃/minの冷却速度で降温したときの、発熱ピークの立ち上がる温度で定義される。また「油性固体化粧料の固化温度」とは、発熱ピークのピーク位置での温度で定義される。したがって、固化温度よりも、固化開始温度の方が高温である。以下の説明で各種の「固化温度」及び「固化開始温度」というときは、この定義が適用される。
混合タンク11内に第一の配合原料を充填する工程とは別に、タンク21内に、第一の配合原料以外の原料(以下、「第二の配合原料」と言う)を充填する。第二の配合原料は、第一の流動体に含まれる成分と相溶しない成分(以下、この成分のことを「非相溶成分」とも言う。)を1種以上含む。第二の配合原料から、第二の流動体2が得られる。
本発明においては、油性固体化粧料を構成する成分を、互いに相溶性を有する成分と、該成分に対して相溶性を有しない非相溶成分とに分け、それぞれを別の流動体の状態にして振動式撹拌混合装置に導入することで、乳化状態や、固体成分(例えば顔料)の分散状態が良好な油性固形化粧料を首尾よく製造することができる。
第二の流動体2に含まれる非相溶成分としては、フッ素系油剤、及び水性成分の少なくとも1種から選ばれるものが挙げられる。また、第一の流動体1に極性油が含まれる場合は、第二の流動体2に含まれる非相溶成分として非極性油も挙げられる。また、第一の流動体1に非極性油が含まれる場合は、第二の流動体2に含まれる非相溶成分として極性油も挙げられる。
非相溶成分は、第一の流動体に含まれる成分と相溶しないものである限り、非相溶成分どうしが相溶性を有していることに差し支えはない。非相溶成分は25℃において液体であってもよく、あるいは固体であってもよい。いずれの場合であっても、非相溶成分は、溶融状態になっている第一の流動体1の温度において、該第一の流動体に含まれる各液体成分(溶融状態になっている成分)と非相溶性である。
非相溶成分であるフッ素系油剤としては、例えばフッ素エーテル、パーフルオロアルキルエーテルシリコーン等のフッ素変性シリコーンなどが挙げられる。また、水性成分としては、水、植物エキスの抽出水などが挙げられる。水性成分は、水溶性高分子、防腐剤、一価及び多価アルコールなどを含んでいてもよい。
極性油としては、オリーブ油等の油脂類、ラノリン等のロウ類、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン等のエステル類、オレイン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸類、セタノール等の常温で固体の高級アルコール類などが挙げられる。また、非極性油としては、スクワラン、ワセリン、流動パラフィン等の炭化水素類、鎖状又は環状のシリコーン油などが挙げられる。
第二の流動体2は、非相溶成分のみからなっていてもよく、あるいは非相溶成分に加えて他の成分を含んでいてもよい。好ましくは、第二の流動体2は、非相溶成分のみからなる。
非相溶成分が25℃において液体である場合には、第二の流動体2をそのままの状態で撹拌混合装置31に導入することができる。一方、非相溶成分が25℃において固体である場合には、タンク21を加熱して非相溶成分を融解させ流動体にした状態で撹拌混合装置31に導入する。いずれの場合であっても、第二の流動体2は、タンク21の底部に取り付けられた管22を通じて取り出される。第二の流動体2はピストンポンプ23によって定量的に押し出され、流入口32bを通じて撹拌混合装置31に供給される。撹拌混合装置31へ供給される第二の流動体2の温度は、先に述べた第一の流動体1が撹拌混合装置31へ供給されるときの温度と同じでもよく、あるいはそれよりも高温又は低温であってもよい。
第一の流動体1と第二の流動体2とは、撹拌混合装置31内において合流して混合撹拌される。この撹拌によって第一の流動体1と第二の流動体2とが混合され混合液が得られ、該混合液が撹拌され第三の流動体が得られる。撹拌混合装置31には、上述のとおり4つのジャケット35,36,37,38が取り付けられており、それぞれのジャケットには、所定温度の熱媒が循環して、第三の流動体の加温、保温、又は冷却が行われる。撹拌混合装置31内を撹拌されながら流動する第三の流動体は、その温度を、第一の流動体1が撹拌混合装置31へ供給されるときの温度と同じにしてもよく、あるいはそれよりも高温又は低温にしてもよい。撹拌混合装置31を保温する温度は、4つのジャケット35,36,37,38の温度が同一になるように設定してもよく、あるいは、流入口側から吐出口側に向けて漸次温度が低下する勾配が設けられるように設定してもよい。いずれの場合であっても、撹拌混合装置31内を流動する第三の流動体の温度を、その固化温度よりも高い温度に保つことが好ましい。
撹拌混合装置31においては撹拌体54がその軸方向に沿って上下に振動することで、ケーシング51内を通過する第三の流動体の各成分が撹拌体54に沿った流れと、撹拌羽根53に設けられた開孔58及び切り欠き59を通る流れの乱れによって混合される。この場合、第三の流動体は、撹拌体54に沿った流れと、撹拌羽根53に設けられた開孔58及び切り欠き59を通る流れの乱れによって混合されるので、熱伝導性が良好になる。更に撹拌混合装置31内にはデッドスペースが殆ど存在しないので、撹拌むらが生じにくい。しかも撹拌混合装置31は、第三の流動体の流動性が高い場合でも低い場合でも良好な撹拌混合を行うことができる。撹拌混合装置31が有するこれらの利点は、使用感及び外観が良好な油性固形化粧料を首尾よく得ることができるという好ましい効果をもたらす。
撹拌混合装置31を用いた撹拌においては、撹拌混合装置31の振動数は5Hz(ストローク/s)以上であることが好ましく、5Hz以上40Hz以下であることが更に好ましく、10Hz以上30Hz以下であることが一層好ましい。また、撹拌混合装置31で撹拌される間に与えられる総振動量は、100ストローク以上10000ストローク以下、更に300ストローク以上10000ストローク以下であることが好ましい。
撹拌混合装置31内において、第三の流動体は、次第に出口側へ次第に押し出されながら撹拌が進行する。つまり本実施形態では、第3の流動体の調製を連続式で行っている。そして第三の流動体は、撹拌混合装置31の吐出口33を経て吐出用管34から排出される。第一の流動体1と第二の流動体2とを合流させた時点から、第三の流動体を撹拌混合装置31より排出する時点までの時間、つまり滞留時間は、5秒以上であることが好ましく5秒以上600秒以下であることが更に好ましく、30秒以上180秒以下であることが一層好ましい。このような時間にわたって撹拌を行うと、混合性と生産性とが両立可能となるので好ましい。
撹拌混合装置31からの排出時における第三の流動体の温度は、第三の流動体の固化温度よりも1℃高い温度から50℃高い温度までの範囲とすることが好ましく、固化温度よりも2℃高い温度から30℃高い温度までの範囲であることが更に好ましく、固化温度よりも3℃高い温度から10℃高い温度までの範囲であることが一層好ましい。排出時の第三の流動体の温度をこの範囲に設定することで使用感及び外観が良好な油性固形化粧料を首尾よく得ることができるという点で好ましい。
撹拌混合装置31から排出された第三の流動体は冷却されて固化する。冷却時に、第三の流動体を容器又は型に充填することで、所望の形状に固化した油性固形化粧料となすことができる。この場合、第三の流動体が撹拌混合装置31より排出された時点から、第三の流動体の冷却を開始する時点までの時間を60分以内とすることが好ましく、10分以下とすることが更に好ましく、1分以下とすることが一層好ましい。このように冷却開始までの時間を比較的短時間に設定することで、使用感及び外観が良好な油性固形化粧料を首尾よく得ることができるという点で好ましい。
第三の流動体の冷却方法に特に制限はなく、公知の冷却方法を適宜採用することができる。そのような方法とは、例えば空冷、水冷、自然冷却、などが挙げられる。冷却は一段階でもよく、異なる冷却温度を採用した多段階でもよい。いずれも場合であっても第三の流動体が25℃以下になるまで冷却することが好ましい。冷却速度は、第三の流動体の種類に応じて適切に設定すればよい。
図4には、第三の流動体を冷却する装置の一例が示されている。同図に示すとおり、吐出用管34はバルブ40に接続されている。バルブ40は、モータ41によって開閉自在になっている。バルブ40の下部には、第三の流動体を充填するための型42が設置されている。型42は有底の中空状であり、その上部がバルブ40に向けて開口している。型42は枠体43によって支持されており、該枠体43とともに、水をたたえた冷却槽44内に設置されている。
図4に示すバルブ40を開くことで、撹拌混合装置31から排出された第三の流動体は型42内に充填される。所定量の第三の流動体が型42内に充填されたら、バルブ40を閉じて充填を停止する。型42内に充填された第三の流動体は冷却槽44によって水冷されて、目的とする油性固形化粧料45が得られる。
図5には、冷却装置の別の実施形態が示されている。同図に示す冷却装置200は、油性固形化粧料を連続生産するためのものである。装置200は、第三の流動体の充填部201を備えている。また装置200は、成形型220を充填部201へ搬送するための搬送部202を備えている。更に装置200は、成形型220に充填された第三の流動体を冷却する冷却部203を備えている。
充填部201は、充填ノズル221を複数備えている。各充填ノズル221は、成形型220に形成された各凹部に対応する位置に配置されている。成形型220は、搬送部202によって充填部201の直下に搬送されるようになっている。搬送部202は、第一無端ベルト204を備えている。第一無端ベルト204上には複数の成形型220が所定の間隔をおいて載置されている。成形型220は、その凹部の列の方向が、第一無端ベルト104の走行方向と平行になるように載置されている。成形型220が充填部201の直下に搬送されると、該成形型220は昇降装置(図示せず)によって上昇して充填部201に対向近接する。この状態下に、各充填ノズル221を通じ、成形型220に形成された各凹部内に第三の流動体を充填できるようになっている。
成形型220の凹部内に第三の流動体が充填されたら、成形型220は降下して充填部201から離間する。更に成形型220は、第一無端ベルト204と直交する方向に走行する第二無端ベルト205上に載置され、冷却部203へ搬送される。成形型220は、その凹部の列の方向が、第二無端ベルト205の走行方向と直交する方向になるように、第二無端ベルト205上に載置される。
冷却部203は、水をたたえた冷却槽(図示せず)を備えている。第二無端ベルト205はこの冷却槽内に設置されている。第二無端ベルト205によって搬送される成形型220は、冷却槽内の水によって冷却される。この冷却とともに、再加熱も行われる。再加熱は、成形型220の上部に配置されたヒータ222によって行われる。再加熱は、ひけ防止の目的で行われる。
冷却部203によって冷却された成形型220は、更に第二冷却部206において冷却される。第二冷却部206は、冷却部203と同様に水をたたえた冷却槽(図示せず)を備えている。ただし、第二冷却部206は、冷却部203と異なり、ヒータを備えていない。つまり第二冷却部206においては冷却のみが行われ、再加熱は行われない。以上の各冷却によって、成形型220に充填されている第三の流動体が冷却固化されて、目的とする油性固形化粧料が得られる。目的とする油性固形化粧料が得られたら、該油性固形化粧料を成形型220から取り出す。
図6には、冷却装置の更に別の実施形態が示されている。同図に示す冷却装置300は、ロータリー式のものである。冷却装置300は、円環状の支持体301を備えている。支持体301は、同図中、矢印Rで示す方向に回転可能になっている。支持体301には、その周方向に沿って複数の開口部302が所定間隔をおいて形成されている。この開口部302には成形型303が挿入される。成形型303は、その上面が開口している。上面が開口している成形型303には、充填装置304によって第三の流動体が充填されるようになっている。充填装置304は鉛直方向に沿って昇降可能になっている。支持体301の回転とともに移動する成形型303が充填装置304の直下に到達すると、支持体301の回転が停止して、それとともに充填装置304が待避位置から降下する。そして、充填装置304の先端が成形型303内に挿入される。この状態下に第三の流動体の充填が行われる。所定量の充填が完了したら、充填装置304が待避位置まで上昇し、それとともに支持体301が再び回転し、次の成形型303が充填装置の直下に到達する。
成形型303の上部には、複数のノズル305を有する送風装置306が備えられている。各送風装置306の各ノズル305からは冷却風が噴出するようになっている。噴出した冷却風によって、成形型303に充填されている第三の流動体が冷却固化されて、目的とする油性固形化粧料が得られる。
以上の方法によって得られる油性固形化粧料としては、例えば口紅、リップクリーム、スティックファンデーション、美白スティック及びコンシーラなどのスティック状化粧料が挙げられる。また、保湿クリーム、ポイント美白剤、油性固形アイシャドウ、油性固形ファンデーションなどの容器内で充填・固化された化粧料が挙げられる。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前記実施形態では、第一の流動体と第二の流動体とを、振動式撹拌混合装置内で合流させるとともに撹拌したが、これに代えて、第一の流動体と第二の流動体とを、これらが振動式撹拌混合装置内に導入される直前で合流させ、振動式撹拌混合装置内において撹拌してもよい。直前とは、第一の流動体と第二の流動体との混合液、すなわち第三の流動体の冷却固化が開始する前であればよく、合流後60分以内であることが好ましく、10分以内であることが更に好ましく、1分以内であることが一層好ましい。「第三の流動体の冷却固化が開始する前」とは、第三の流動体を、示差走査熱量計(DSC)を用い、1℃/minの加熱速度で95℃まで昇温した後、1℃/minの冷却速度で降温したときの、発熱ピークの立ち上がる前のことである。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」は「質量%」を意味する。
〔実施例1〕
本実施例では、F/O乳化口紅を製造した。以下の表1に示す組成において、3〜12の成分を85℃で加熱混合した後、13〜15の成分を加え、ディスパー翼で分散した。次いで減圧下で脱泡し、第一の流動体とした。これとは別に、1〜2の成分を85℃で加熱混合し、第二の流動体とした。第一の流動体と第二の流動体をそれぞれピストンポンプで図1ないし図3に示す構造の振動式撹拌混合装置に所定の比率で供給した。第一の流動体と第二の流動体は、振動式撹拌混合装置内で合流して混合撹拌された。振動式撹拌混合装置の各ジャケット35,36,37,38には温水を循環させ、装置内を流動する第三の流動体の温度が85℃に維持されるようにした。振動式撹拌混合装置を振動数30Hzで駆動させ、第三の流動体の連続乳化を行った。乳化状態になった第三の流動体を振動式撹拌混合装置から吐出して、そのまま直接成形型に充填し、45℃で5分間水冷した後、5℃で5分間水冷した。これによってスティック状のF/O乳化型口紅を得た。連続乳化時の振動式撹拌混合装置内部での第三の流動体の滞留時間は約30秒であった。また、第三の流動体が振動式撹拌混合装置から吐出されてから成形型に充填するまでの待機時間は約30秒であった。F/O乳化型口紅の固化温度は58℃であった。
Figure 2015124204
〔実施例2ないし4〕
実施例1において、連続乳化を行う際の振動式撹拌混合装置の振動数を20Hz(実施例2)、10Hz(実施例3)、及び5Hz(実施例4)とした以外は実施例1と同様にして、スティック状のF/O乳化型口紅を得た。
〔実施例5ないし8〕
実施例1において、振動式撹拌混合装置内部の滞留時間を300秒(実施例5)、100秒(実施例6)、10秒(実施例7)、5秒(実施例2)とした以外は実施例1と同様にして、スティック状のF/O乳化型口紅を得た。
〔実施例9及び10〕
実施例1において、振動式撹拌混合装置から吐出されてから充填するまでの待機時間を10分(実施例9)、60分(実施例10)とした以外は実施例1と同様にして、スティック状のF/O乳化型口紅を得た。
〔実施例11及び12〕
実施例1において、振動式撹拌混合装置内の第三の流動体の温度を70℃(実施例11)、60℃(実施例12)に維持し、成形型ではなく容器に充填した以外は実施例1と同様にして、スティック状のF/O乳化型口紅を得た。
〔比較例1〕
本比較例は、第一の流動体と第二の流動体をホモミキサーで混合した後に、一旦固化させ、その後再融解してから振動式撹拌混合装置で乳化を行った例である。表1に示す組成において、3〜12の成分を85℃で加熱混合した後、13〜15の成分を加え、ディスパー翼で分散し、次いで減圧下で脱泡し、第一の流動体とした。これとは別に、1〜2の成分を85℃で加熱混合し、第二の流動体とした。第一の流動体と第二の流動体をホモミキサーで乳化し、F/O乳化物とした。このF/O乳化物を、室温まで静置冷却した後、再融解させてから、ピストンポンプで図1ないし図3に示す構造の振動式撹拌混合装置に供給した。振動式撹拌混合装置の各ジャケット35,36,37,38には温水を循環させ、装置内を流動する第三の流動体の温度が85℃に維持されるようにした。振動式撹拌混合装置を振動数30Hzで駆動させ、第三の流動体の連続乳化を行った。乳化状態になった第三の流動体を振動式撹拌混合装置から吐出して、そのまま直接成形型に充填し、45℃で5分間水冷した後、5℃で5分間水冷した。これによってスティック状のF/O乳化型口紅を得た。連続乳化時の振動式撹拌混合装置内部での第三の流動体の滞留時間は約30秒であった。また、第三の流動体が振動式撹拌混合装置から吐出されてから成形型に充填するまでの待機時間は約30秒であった。
〔比較例2〕
本比較例は、第一の流動体と第二の流動体をホモミキサーで混合乳化した例である。表1に示す組成において、3〜12の成分を85℃で加熱混合した後、13〜15の成分を加え、ディスパー翼で分散し、次いで減圧下で脱泡し、第一の流動体とした。1〜2の成分を85℃で加熱混合し、第二の流動体とした。第一の流動体と第二の流動体をホモミキサーで乳化し、F/O乳化物とした。このF/O乳化物を、室温まで静置冷却した後、再融解させてから、ピストンポンプで成形型に充填し、45℃で5分間水冷した後、5℃で5分間水冷し、スティック状のF/O乳化型口紅を得た。
〔比較例3〕
本比較例は、第一の流動体と第二の流動体をホモミキサーで混合乳化した例である。表1に示す組成において、3〜12の成分を85℃で加熱混合した後、13〜15の成分を加え、ディスパー翼で分散し、次いで減圧下で脱泡し、第一の流動体とした。1〜2の成分を85℃で加熱混合し、第二の流動体とした。第一の流動体と第二の流動体をホモミキサーで乳化し、F/O乳化物とした。このF/O乳化物を85℃に保ったまま、ピストンポンプで成形型に充填し、45℃で5分間水冷した後、5℃で5分間水冷し、スティック状のF/O乳化型口紅を得た。
〔実施例13〕
本実施例ではS/O乳化口紅を製造した。以下の表2に示す組成において、1〜9の成分を85℃で加熱混合した後、15〜17の成分を加え、ディスパー翼で分散し、次いで減圧下で脱泡し、第一の流動体とした。これとは別に10〜14の成分を85℃で加熱混合し、第二の流動体とした。第一の流動体と第二の流動体をそれぞれピストンポンプで図1ないし図3に示す構造の振動式撹拌混合装置に所定の比率で供給した。第一の流動体と第二の流動体は、振動式撹拌混合装置内で合流して混合撹拌された。振動式撹拌混合装置の各ジャケット35,36,37,38には温水を循環させ、装置内を流動する第三の流動体の温度が85℃に維持されるようにした。振動式撹拌混合装置を振動数20Hzで駆動させ、第三の流動体の連続乳化を行った。乳化状態になった第三の流動体を振動式撹拌混合装置から吐出して、そのまま直接成形型に充填し、45℃で5分間水冷した後、5℃で5分間水冷した。これによってスティック状のS/O乳化型口紅を得た。連続乳化時の振動式撹拌混合装置内部での第三の流動体の滞留時間は約30秒であった。また、第三の流動体が振動式撹拌混合装置から吐出されてから成形型に充填するまでの待機時間は約30秒であった。S/O乳化型口紅の固化温度は62℃であった。
Figure 2015124204
〔比較例4〕
本比較例は、第一の流動体と第二の流動体をホモミキサーで混合乳化した例である。表2に示す組成において、1〜9の成分を85℃で加熱混合した後、15〜17の成分を加え、ディスパー翼で分散し第一の流動体とした。これとは別に10〜14の成分を85℃で加熱混合し、第二の流動体とした。第一の流動体と第二の流動体をホモミキサーで乳化し、S/O乳化物とした。このS/O乳化物を、室温まで静置冷却した後、再融解させてから、ピストンポンプで成形型に充填し、45℃で5分間水冷した後、5℃で5分間水冷し、スティック状のS/O乳化型口紅を得た。
〔実施例14〕
本実施例ではスキンケア用W/O乳化スティックを製造した。以下の表3に示す組成において、1〜10の成分を85℃で加熱混合した後、11の成分を加え、ディスパー翼で分散した後、減圧下で脱泡し、第一の流動体とした。これとは別に12〜13の成分を25℃で混合し、第二の流動体とした。第一の流動体と第二の流動体をそれぞれピストンポンプで図1ないし図3に示す構造の振動式撹拌混合装置に所定の比率で供給した。第一の流動体と第二の流動体は、振動式撹拌混合装置内で合流して混合撹拌された。振動式撹拌混合装置の各ジャケット35,36,37,38には温水を循環させ、装置内を流動する第三の流動体の温度が85℃に維持されるようにした。振動式撹拌混合装置を振動数20Hzで駆動させ、第三の流動体の連続乳化を行った。乳化状態になった第三の流動体を振動式撹拌混合装置から吐出して、そのまま直接成形型に充填し、45℃で5分間水冷した後、5℃で5分間水冷した。これによってスキンケア用W/O乳化スティック乳化型口紅を得た。連続乳化時の振動式撹拌混合装置内部での第三の流動体の滞留時間は約30秒であった。また、第三の流動体が振動式撹拌混合装置から吐出されてから成形型に充填するまでの待機時間は約30秒であった。スキンケア用W/O乳化スティックの固化温度は65℃であった。
Figure 2015124204
〔比較例5〕
表3に示す組成において、1〜10の成分を85℃で加熱混合した後、11の成分を加え、ディスパー翼で分散し第一の流動体とした。これとは別に、12〜13の成分を25℃で混合し、第二の流動体とした。第一の流動体と第二の流動体をホモミキサーで乳化し、W/O乳化物とした。このW/O乳化物を、室温まで静置冷却した後、再融解させてから、ピストンポンプで成形型に充填し、45℃で5分間水冷した後、5℃で5分間水冷し、スキンケア用W/O乳化スティックを得た。
〔評価〕
実施例及び比較例で得られた化粧料について、以下の方法で乳化粒径及び成形不良率を測定した。また以下の方法で使用感及び外観を評価した。それらの結果を以下の表4ないし7に示す。
〔乳化粒径〕
充填ノズルから吐出された流動体をスライドガラスに少量採取し、対物レンズ400倍の光学顕微鏡で撮影した画像を、画像解析ソフトウェアを用いて任意の乳化粒子約1000個の粒径を測定した平均値を乳化粒径とした。実施例2〜14並びに比較例1、2、4、及び5については、充填開始後0〜30分の流動体を対象に測定した。実施例1及び比較例3については、充填開始後0〜30分の流動体及び充填開始後90〜120分の流動体を対象に測定した。
〔成形不良率〕
目的物を約1000本成形したうち、折れや欠けの発生した本数の割合を成形不良率とした。実施例2〜14並びに比較例1、2、4、及び5については、充填開始後0〜30分の目的物を対象に成形不良率を算出した。実施例1及び比較例3については、充填開始後0〜30分の目的物及び充填開始後90〜120分の目的物を対象に成形不良率を算出した。
〔使用感〕
専門パネラーが実際に使用し、唇への塗布時のなめらかさの観点から、使用感を評価した。実施例2〜14並びに比較例1、2、4、及び5については、充填開始後0〜30分の目的物を対象に評価した。実施例1及び比較例3については、充填開始後0〜30分の目的物及び充填開始後90〜120分の目的物を対象に評価した。以下に示すとおり、比較例1で得られた製品を基準として相対評価した。
4点:比較例1で得られた製品と比べて、なめらかさが非常によい。
3点:比較例1で得られた製品と比べて、なめらかさがよい。
2点:比較例1で得られた製品と同程度のなめらかさである。
1点:比較例1で得られた製品と比べて、なめらかさが劣る。
〔外観〕
専門パネラーに、色むらの程度を、目視で外観評価させた。以下に示すとおり、比較例1で得られた製品を基準として相対評価した。
4点:比較例1で得られた製品に比べて、色むらが非常に少ない。
3点:比較例1で得られた製品に比べて、色むらが少ない。
2点:比較例1で得られた製品と同程度の色むらである。
1点:比較例1で得られた製品に比べて、色むらが多い。
Figure 2015124204
Figure 2015124204
Figure 2015124204
Figure 2015124204
表4ないし7に示す結果から明らかなとおり、各実施例で得られた化粧料は、充填開始後0〜30分の状態において、乳化粒径が小さく、乳化滴の合一が生じていないことが判る。また、成形不良率が低く、円滑な製造が行えることが判る。更に使用感及び外観が良好であることが判る。更に、実施例1で示されるように、充填開始後90〜120分の状態の化粧料も、充填開始後0〜30分の状態の化粧料と同様、乳化粒径、成形不良率、使用感、及び外観の各評価が、良好であったことが判る。一方、比較例1、2、4、及び5で得られた化粧料は、充填開始後0〜30分の状態において、乳化粒径、成形不良率、使用感、及び外観の各評価が、各実施例で得られた化粧料に比べて劣ることが判る。更に、比較例3で得られた化粧料は、充填開始後0〜30分の状態において、乳化粒径、成形不良率、使用感、及び外観の各評価が良好であるものの、次第にホモミキサー内で乳化滴の合一や顔料の凝集が進み、経時的に各評価が劣化することが判る。
1 第一の流動体
2 第二の流動体
10 第一の流動体の供給部
20 第二の流動体の供給部
30 撹拌混合部
31 振動式撹拌混合装置
100 製造装置

Claims (11)

  1. (A)25℃において固体の油性成分を1種以上含む第一の流動体と、第一の流動体に含まれる成分と相溶しない成分を1種以上含む第二の流動体とを、振動式撹拌混合装置内又は該装置の直前で合流させて、混合液を得る工程、
    (B)得られた混合液を振動式撹拌混合装置内にて撹拌し、第三の流動体を得る工程、並びに
    (C)振動式撹拌混合装置から排出された第三の流動体を固化させる工程、
    を含む油性固形化粧料の製造方法。
  2. 第一の流動体と第二の流動体とを、振動式撹拌混合装置内で合流させる、請求項1に記載の油性固形化粧料の製造方法。
  3. 第一の流動体と第二の流動体とを、振動式撹拌混合装置内に導入される前60分以内に合流させる、請求項1に記載の油性固形化粧料の製造方法。
  4. 第一の流動体が、ワックス、及び高級アルコールの少なくとも1種を含む、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の油性固形化粧料の製造方法。
  5. 第一の流動体に含まれる成分と相溶しない成分が、フッ素系油剤、及び水性成分の少なくとも1種から選ばれるものである、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の油性固形化粧料の製造方法。
  6. 第一の流動体が更に極性油を含み、かつ第二の流動体が非極性油を含む、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の油性固形化粧料の製造方法。
  7. 第一の流動体が更に非極性油を含み、かつ第二の流動体が極性油を含む、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の油性固形化粧料の製造方法。
  8. 振動式撹拌混合装置内での撹拌を振動数5Hz以上で行う、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の油性固形化粧料の製造方法。
  9. 振動式撹拌混合装置からの排出時における第三の流動体の温度を、第三の流動体の固化温度よりも1℃高い温度から50℃高い温度までの範囲とする、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の油性固形化粧料の製造方法。
  10. 第三の流動体が振動式撹拌混合装置より排出された時点から、第三の流動体の冷却を開始する時点までの時間を60分以内とする、請求項1ないし9のいずれか一項に記載の油性固形化粧料の製造方法。
  11. 第一の流動体と第二の流動体とを合流させた時点から、第三の流動体を振動式撹拌混合装置より排出する時点までの時間を5秒以上とする、請求項1ないし10のいずれか一項に記載の油性固形化粧料の製造方法。
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