JP2015124094A - ゼオライト微粒粉末の製造方法及びゼオライト微粒粉末 - Google Patents
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Abstract
Description
そこで本発明は、結晶性を保持しながら、小さな粒子径を有し、液体媒体中に容易に再分散可能な微粒ゼオライトの製造方法、微粒ゼオライトを提供することを課題とする。
すなわち、本発明は、以下の〔1〕〜〔5〕に関する。
〔1〕 下記工程(1)及び(2)を有するゼオライト微粒粉末の製造方法。
工程(1):ゼオライトを液体媒体中で湿式粉砕してゼオライトスラリーを得る工程
工程(2):工程(1)で得られたゼオライトスラリーをスプレードライ法で乾燥し、ゼオライト微粒粉末を得る工程
〔2〕 前記スプレードライ法で、前記ゼオライトスラリーを多流体ノズルから噴出する、〔1〕に記載のゼオライト微粒粉末の製造方法。
〔3〕 前記ゼオライト微粒粉末の体積平均粒子径d90が1.5μm以下である、〔1〕又は〔2〕に記載のゼオライト微粒粉末の製造方法。
〔4〕 有機物質の含有量が0.1質量%以下である、体積平均粒子径d90が1.5μm以下のゼオライト微粒粉末。
〔5〕 前記有機物質の含有量が0.04質量%以下である、〔4〕に記載のゼオライト微粒粉末。
本発明のゼオライト微粒粉末の製造方法は、下記工程(1)及び(2)を有する。
工程(1):ゼオライトを液体媒体中で湿式粉砕してゼオライトスラリーを得る工程
工程(2):工程(1)で得られたゼオライトスラリーをスプレードライ法で乾燥し、ゼオライト微粒粉末を得る工程
このように湿式粉砕(工程(1))とスプレードライ法(工程(2))を組み合わせることで、結晶性を保持しながら、小さな粒子径を有し、液体媒体中に容易に再分散可能な微粒ゼオライトが得られる。
本発明に用いる原料及び各工程について、以下に詳細に説明する。
本発明において用いられるゼオライトは、特に制限されるものではないが、フォージャサイト、A型ゼオライト、L型ゼオライト、ゼオライトβ、モルデナイト、チャバサイト、フェリエライト、クリノプチロライト、ZSM−5型ゼオライト、ZSM−11型ゼオライト、ZSM−22型ゼオライト、ZSM−48型ゼオライトが挙げられる。なお、フォージャサイトとしては、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、超安定化Y型ゼオライト(Ultra Stable Y;USY)が挙げられる。ゼオライトは、天然であっても、合成であってもよい。これらの中でも、A型ゼオライト、X型ゼオライト、ZSM−5型ゼオライト、Y型ゼオライトが好ましい。
本発明に使用するゼオライトの比表面積は、特に制限されないが、200m2/g以上が好ましく、250m2/g以上がより好ましく、300m2/g以上がより好ましく、400m2/g以上が更に好ましい。なお、比表面積の上限は特に制限されないが、例えば、1000m2/gである。なお、比表面積は窒素吸着BET法(なお、有効細孔径3Å以下のゼオライトはヘリウム吸着BET法)により求められる。
湿式粉砕に用いる液体媒体としては水系液体媒体、非水系液体媒体いずれも用いることができるが、粉砕効率の観点からは水系液体媒体が好ましい。水系液体媒体としては、水、並びに、アルコール、アセトン等ケトン類等の水溶性有機液体媒体が挙げられる。これらの中でも、水が好ましい。液体媒体として、水単独で用いることができるが、必要に応じて水と水溶性有機液体媒体を混合して使用することもできる。それにより粉砕後の乾燥効率を上げられる場合がある。
また水を用いず、有機液体媒体単独あるいは混合物を粉砕用液体媒体として用いることもできる。その場合の有機液体媒体としてはメタノール、エタノール、1−プロパノール等のアルコール類、アセトン、MIBK等のケトン類、トルエン等の炭化水素類等が挙げられる。
工程(1)では、ゼオライトを液体媒体中で湿式粉砕してゼオライトスラリーを得る。ゼオライトを湿式粉砕することで、ゼオライトの結晶性を維持しながら、小さな粒子径の粉末を得ることができる。
湿式粉砕に用いる粉砕機は、例えば、ビーズミル、アトライター、サンドミル、ボールミル等のメディア型粉砕機が挙げられる。これらの中でも、ゼオライトを微粉末化する観点から、好ましくはビーズミルである。
ビーズミルの市販品としては、スターミル(商品名、アシザワ・ファインテック株式会社製、循環式粉砕機)が挙げられる。
使用するビーズの径は、好ましくは100〜600μm、より好ましくは150〜500μm、更に好ましくは200〜400μmである。
ビーズミルのベッセル内に対するビーズの充填率は、好ましくは40〜90容量%、より好ましくは50〜80容量%、更に好ましくは60〜75容量%である。
ビーズミルのベッセル内の回転速度は、好ましくは1000〜6000rpm、より好ましくは1500〜5000rpm、更に好ましくは2000〜4000rpmである。
ビーズミルによる粉砕処理時間は、通常30分〜48時間、好ましくは1〜24時間、より好ましくは3〜12時間である。
湿式粉砕後のスラリー中のゼオライト粉末の体積平均粒子径d90は、好ましくは10μm以下、より好ましくは1.5μm以下、更に好ましくは1.0μm以下、更により好ましくは0.9μm以下である。また、当該体積平均粒子径d90は、生産性のため、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.3μm以上、更に好ましくは0.5μm以上である。
スラリー中の体積平均粒子径d90の測定方法は実施例に記載の方法による。
工程(2)では、工程(1)で得られたゼオライトスラリーをスプレードライ法で乾燥し、ゼオライト微粒粉末を得る。
スプレードライ法により乾燥する装置の市販品としては、藤崎電機株式会社製、四流体ノズル型噴霧乾燥装置が挙げられる。
温度が低すぎると乾燥が不十分となり、取得したゼオライトパウダーの水あるいは有機液体媒体の残存量が多くなりすぎることがある。また温度が高すぎると、エネルギー効率上好ましくないうえ、ゼオライトの二次凝集が起こることがある。
気体とスラリーの流体を用いる方法においては、以下の給気風量、エア流量、送液流量が好ましい。
給気風量は、好ましくは0.1〜10m3/分であり、より好ましくは0.3〜5m3/分であり、更に好ましくは0.5〜3m3/分である。
エア流量は、生産性のため、好ましくは1〜100L/分、より好ましくは10〜80L/分、更に好ましくは20〜60L/分である。
上記工程(1)及び工程(2)を経ることで、液体媒体中に容易に再分散可能なゼオライト微粒粉末が得られる。
ゼオライト微粒粉末の体積平均粒子径d90は、好ましくは10μm以下、より好ましくは1.5μm以下、更に好ましくは1.0μm以下、更により好ましくは0.9μm以下である。また、体積平均粒子径d90は、生産性のため、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.3μm以上、更に好ましくは0.5μm以上である。
ゼオライト微粒粉末には、1.0μm以上の粗大粒子は含まれていないことが好ましい。
ゼオライト微粒粉末の粒度分布のピークの極大値は、1つであることが好ましい。
得られたゼオライト微粒粉末の体積平均粒子径d90の測定方法、並びに1.0μm以上の粗大粒子及び粒度分布のピークの極大値の確認方法は実施例に記載の粒子径測定方法による。
ゼオライト微粒粉末中の有機物質の含有量は、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.04質量%以下、更に好ましくは0.015質量%以下である。また当該含有量は、生産性のため、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.003質量%以上、更に好ましくは0.005質量%以上である。
有機物質の含有量の測定方法は、実施例に記載の方法による。
また、本発明のゼオライト微粒粉末によれば、粉末中に含まれる有機物質の含有量が極めて少ないため、有機物質の混入を避けるべき用途において特に好ましく用いられる。
ゼオライトの結晶性は、X線回折法(XRD)により測定した。ゼオライトパウダーサンプルを200℃で30分予備乾燥した後、X線回折測定を行った。原料ゼオライトパウダーのピーク面積を100%としてし、結晶性を求めた。
ゼオライトの粒度分布は、マイクロトラック測定装置を用いて測定を行った。ゼオライトパウダー小さじ一杯を50mlのイオン交換水に加え、ホモジナイザーで3分間分散させ、分散されたサンプルを少量マイクロトラック測定装置にセットし、粒度分布を測定した。
なお、ゼオライトのスラリーの場合は、スラリーを溶媒(水スラリーのときはイオン交換水)で希釈して、固形分4質量%のスラリーとした後、パウダーの場合と同様ホモジナイザー処理後、測定した。
ゼオライトに含まれる有機物質の含有量を、金属中炭素分析装置を用いて測定した。測定ボートにサンプル粉末0.5gと助燃剤のスズ粉0.3gを入れ、1250℃に加熱した装置にセットし、酸素ガスを供給して燃焼させ、発生した一酸化炭素及び二酸化炭素を定量し、ゼオライト中の有機物質の含有量(炭素原子含有量:質量%)を求めた。
体積平均粒子径d90が12.7μmのゼオライト3Aの粉末を、40質量%の水スラリーとして、アシザワ・ファインテック社製、スターミルを用いて粉砕した。
粉砕用のビーズはジルコニア製を用いた。10分ごとにスラリーの一部をサンプリングして粒子径を測定したところ、50分後にd90が1.0μm以下となったので、60分で粉砕を終了した。得られた水スラリーの体積平均粒子径d90を上記の方法にて測定したところ0.78μmであった。
ゼオライト3Aの粉末を、Y型ゼオライト(UOP社製Y型ゼオライト)、ZSM型ゼオライト(UOP社製ZSM−5型ゼオライト)とした以外は、製造例1と同様の条件で粉砕を行なって、製造例2,3の水スラリーを得た。用いたゼオライト及び得られた水スラリーの特性を表1に示す。
上記製造例1で得られたゼオライトの水スラリーをスプレードライ法により乾燥した。
なお、スプレードライは藤崎電機社製四流体ノズル型噴霧乾燥装置を用い、入り口温度200℃、給気風量0.98m3/分、ノズルエア圧力0.6MPa、エア流量40L/分、送液流量25ml/分で行った。ゼオライトがほぼ定量的に乾燥装置のバグフィルターにトラップされた。
得られた粉末を電子顕微鏡で観察したところ、凝集を起こし、球形になっていたものの、上記に示した方法により粒子径を測定したところ、容易に凝集が解け、1.0μm以上の粒子は存在していなかった。また、粒度分布のピークの極大値は一つであった。各種評価を行って、その結果を表2に示した。
表2に示すスラリーを用いた以外は、実施例1と同様にして実施例2及び3を行った。各種評価を行って、その結果を表2に示した。
上記製造例1で得られた粉砕後の水スラリーを濾過したところ、目詰まりを起こし、濾過できなかった。
比較例2
上記製造例1で得られた水スラリーをバットに空け、200℃で2時間乾燥させた。
得られたパウダーは凝集を起こし、一部固まっていた。粒子径を測定したところ、一部数ミクロン以上の粒子が発生していた。
Claims (5)
- 下記工程(1)及び(2)を有するゼオライト微粒粉末の製造方法。
工程(1):ゼオライトを液体媒体中で湿式粉砕してゼオライトスラリーを得る工程
工程(2):工程(1)で得られたゼオライトスラリーをスプレードライ法で乾燥し、ゼオライト微粒粉末を得る工程 - 前記スプレードライ法で、前記ゼオライトスラリーを多流体ノズルから噴出する、請求項1に記載のゼオライト微粒粉末の製造方法。
- 前記ゼオライト微粒粉末の体積平均粒子径d90が1.5μm以下である、請求項1又は2に記載のゼオライト微粒粉末の製造方法。
- 有機物質の含有量が0.1質量%以下である、体積平均粒子径d90が1.5μm以下のゼオライト微粒粉末。
- 前記有機物質の含有量が0.04質量%以下である、請求項4に記載のゼオライト微粒粉末。
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