JP2015123592A - 撥水性フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】撥水性、透明性、および耐傷性に優れる撥水性ガラス層を備え、樹脂基材と撥水性ガラス層との密着性に優れる撥水性フィルムおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】樹脂基材と、酸化ケイ素、ヒドロシルセスキオキサン、および有機ケイ素化合物からなる群より選択される少なくとも1種のケイ素化合物を含む密着層と、少なくとも一方の表面にスピノーダル型多孔構造を有し、前記スピノーダル型多孔構造の空孔に撥水剤を有する、相分離可能なガラスを含む撥水性ガラス層と、をこの順に有する撥水性フィルムであって、前記スピノーダル多孔構造の表面における前記空孔の空孔径が10〜200nmであり、前記空孔は前記スピノーダル型多孔構造の表面から前記撥水性ガラス層の厚さ方向に向かって前記空孔径が減少しており、前記空孔の深さが200〜500nmであり、かつ前記撥水性ガラス層は前記空孔がなく相分離が生じていない部分を一部に有する、撥水性フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、撥水性フィルムおよびその製造方法に関する。
一般的に、外部に露出された状態で使用される自動車の安全ガラス、建物用ガラス、鏡などの多様なガラスは、その表面に雨や各種の水分で汚染される場合が多くなり、それにより視野も悪くなる。したがって、これを防ぐために、そのガラス表面に撥水機能を付与した撥水性ガラスや、ガラス表面に貼付する撥水性フィルムが用いられている。
撥水性ガラスとして、スピノーダル分解により得られる多孔質ガラスの表面および空孔部に撥水剤を有する撥水性多孔質ガラスは知られている。例えば、スピノーダル型多孔構造による平均空孔径が10nm以上100nm以下の空孔を有する多孔質ガラスの表面および内部に存在する空孔の表面に撥水剤を有する撥水性多孔質ガラスが提案されている(特許文献1参照)。また、別の技術として、ガラス全体にスピノーダル型相分離構造を形成させ、そのスピノーダル型相分離構造の表面部分のみを酸処理し、相分離構造の表面部分に多孔構造を形成し、多孔構造部に撥水剤をコートすることが開示されている(特許文献2参照)。さらに、特許文献3には、基材上にスピノーダル分解による多孔質ガラス層を形成し、撥水剤をコートすることが開示されている。
加えて、特許文献4には、表面からイオンを拡散させて表面ほどイオンの濃度を高めてエッチングされやすくすることで、深さ方向に遠くなるほど空孔率が小さくなっている多孔質ガラスの製造方法が提案されている。
特開2011−251870号公報 特表2008−508181号公報 米国特許出願公開第2012/0088066号明細書 特開2012−131695号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、ガラス全体を一定の温度に加熱することによりスピノーダル分解を行っているために、ガラス全体が相分離し、ガラス全体に亘って多孔化されている。空孔部は光を散乱の原因となるが、その空孔部がガラス全体に形成されているため、ヘイズが高いガラスとなってしまう。
特許文献2に記載の技術では、空孔が形成される部分が限定されることから、ある程度ヘイズを低く抑えることができる。しかし、エッチングされてない相分離構造の部分は、異なる相間の屈折率差から光が散乱し、ヘイズが高くなってしまうという問題がある。
また、特許文献3に記載の技術では、高い撥水性を出すために、比較的大きな空孔径と比較的厚い相分離層とが必要となる。しかしながら、大きな空孔径と厚い相分離層は、ヘイズを高くする原因となるという問題がある。さらに、特許文献1〜3に記載の撥水性ガラスや撥水性フィルムでは、主に微小な砂粒が高速でぶつかることが原因で生じる傷に対する耐性が低いことが判明した。
加えて、特許文献4に記載の技術では、穴の深さが数十μm〜数百μmのスケールであれば空孔率を制御できるが、それに伴い、多孔質ガラスのヘイズが低下するという問題があった。
このように、撥水性ガラスや撥水性フィルムにおいて、高い撥水性を維持しながら透明性を向上させ、さらには耐傷性を向上させる技術が求められていた。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、撥水性、透明性、および耐傷性に優れる撥水性ガラス層を備え、撥水性ガラス層と樹脂基材との密着性に優れる撥水性フィルムおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は鋭意研究を行った。その結果、樹脂基材と、ケイ素化合物を含む密着層と、少なくとも一方の表面にスピノーダル型多孔構造を有し、前記スピノーダル型多孔構造の空孔に撥水剤を有する撥水性ガラス層であって、前記スピノーダル型多孔構造の表面における前記空孔の空孔径および空孔の深さを特定の範囲とし、空孔の形が、スピノーダル型多孔構造の表面から撥水性ガラス層の厚さ方向に向かって空孔径が減少している形態とし、かつ空孔がなく相分離が生じていない部分を一部に有する撥水性ガラス層と、を含む撥水性フィルムにより、上記課題が解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の上記課題は、以下の手段により達成される。
1.樹脂基材と、酸化ケイ素、ヒドロシルセスキオキサン、および有機ケイ素化合物からなる群より選択される少なくとも1種のケイ素化合物を含む密着層と、少なくとも一方の表面にスピノーダル型多孔構造を有し、前記スピノーダル型多孔構造の空孔に撥水剤を有する、相分離可能なガラスを含む撥水性ガラス層と、をこの順に有する撥水性フィルムであって、前記スピノーダル多孔構造の表面における前記空孔の空孔径が10〜200nmであり、前記空孔は前記スピノーダル型多孔構造の表面から前記撥水性ガラス層の厚さ方向に向かって前記空孔径が減少しており、前記空孔の深さが200〜500nmであり、かつ前記撥水性ガラス層は前記空孔がなく相分離が生じていない部分を一部に有する、撥水性フィルム。
2.前記相分離可能なガラスはホウケイ酸ガラスである、上記1.に記載の撥水性フィルム。
3.前記有機ケイ素化合物は、シロキサン化合物またはシルセスキオキサン化合物である、上記1.または2.に記載の撥水性フィルム。
4.樹脂基材上に酸化ケイ素、ヒドロシルセスキオキサン、および有機ケイ素化合物からなる群より選択される少なくとも1種のケイ素化合物を含む密着層を形成する工程と、前記密着層上に相分離可能なガラスを含む層を形成する工程と、前記相分離可能なガラスを含む層の表面を局所加熱する工程と、前記局所加熱後の前記相分離可能なガラスを含む層をエッチング処理しスピノーダル型多孔構造を形成する工程と、前記スピノーダル型多孔構造の空孔に撥水剤を付与する工程と、を含む、撥水性フィルムの製造方法。
5.前記局所加熱する工程は、パルス光を繰り返し照射することにより行う、上記4.に記載の撥水性フィルムの製造方法。
6.前記パルス光は、レーザー光源から出射される光である、上記5.に記載の撥水性フィルムの製造方法。
7.前記レーザー光源から出射される光の波長が150〜400nmである、上記6.に記載の撥水性フィルムの製造方法。
8.前記局所加熱する工程の前に、前記相分離可能なガラスを含む層の前記局所加熱を施す表面上に光熱変換層を形成する工程をさらに含む、上記4.〜7.のいずれか1つに記載の撥水性フィルムの製造方法。
9.前記光熱変換層は、バンドギャップが1.0eV以上4.0eV以下である材料を含む、上記8.に記載の撥水性フィルムの製造方法。
本発明によれば、撥水性、透明性、および耐傷性に優れる撥水性ガラス層を備え、撥水性ガラス層と樹脂基材との密着性に優れる撥水性フィルムおよびその製造方法が提供される。
本発明の撥水性フィルムは、樹脂基材と、酸化ケイ素、ヒドロシルセスキオキサン、および有機ケイ素化合物からなる群より選択される少なくとも1種のケイ素化合物を含む密着層と、少なくとも一方の表面にスピノーダル型多孔構造を有し、前記スピノーダル型多孔構造の空孔に撥水剤を有する、相分離可能なガラスを含む撥水性ガラス層と、をこの順に有する。そして、該撥水性ガラス層のスピノーダル多孔構造の表面における空孔の空孔径が10〜200nmであり、前記空孔は前記スピノーダル型多孔構造の表面から前記撥水性ガラス層の厚さ方向に向かって前記空孔径が減少しており、前記空孔の深さが200〜500nmであり、かつ前記撥水性ガラス層は前記空孔がなく相分離が生じていない部分を一部に有する。このような構成とすることにより、撥水性、透明性、および耐傷性に優れる撥水性ガラス層を備え、撥水性ガラス層と樹脂基材との密着性に優れる撥水性フィルムとなる。
本発明の撥水性フィルムにおける効果発現の詳細なメカニズムは不明であるが、以下のような理由によるものと考えられる。
すなわち、本発明に係る撥水性ガラス層は、スピノーダル型多孔構造の表面における空孔の空孔径が10〜200nmである。これにより、撥水剤が容易に空孔内に入り込むことが可能となり、安定して撥水性が発現するものと考えられる。しかしながら、空孔径が10〜200nmの空孔は、透明性(ヘイズ)低下の原因となりうる。そこで、前記スピノーダル型多孔構造の表面から撥水性ガラス層の厚さ方向に向かって空孔径を減少させることにより、透明性(ヘイズ)の低下を抑制することができた。また、ガラスが相分離した部分も透明性(ヘイズ)の低下の原因となりうるが、本発明に係る撥水性ガラス層は、空孔がなく相分離が生じていない部分を一部に有しており、これによっても、透明性(ヘイズ)の低下を抑制することができたと考えられる。
さらに、本発明に係る撥水性ガラス層は、耐傷性に優れる。このメカニズムの詳細は不明であるが、砂粒等が撥水性ガラス層の表面にぶつかった際、スピノーダル型多孔構造のそれぞれの突起が板バネのように変形してその力を吸収すると考えられる。本発明に係る撥水性ガラス層のスピノーダル型多孔構造の空孔は、スピノーダル型多孔構造の表面から撥水性ガラス層の厚さ方向に向かって前記空孔径が減少している。換言すれば、スピノーダル型多孔構造のそれぞれの突起は、撥水性ガラス層の厚さ方向に向かって徐々に太くなり、最終的にその下部にあり、突起の土台となる相分離していない部分と一様の組成を形成することになる。したがって、それぞれの突起が壊れにくく、耐傷性が向上すると考えられる。例えば、特許文献2や3に記載の撥水性ガラスや撥水性フィルムの構造では、ガラス層の厚さ方向で空孔径が一定であるため突起の強度が上がらず、また、ばね板と同じように表面から離れるほど砂粒等の衝突の応力が大きくなり、その応力に耐えられなくなると考えられ、耐傷性が低下すると考えられる。また、特許文献2の撥水性ガラスは、いわばガラス表面の突起が、相分離している土台につながっている構造になっていると言える。相分離している土台部におけるそれぞれの相は、突起と同様のナノオーダーの径であり強度が上がらず、さらに、相分離した不連続面が土台部に存在するために、その不連続面に応力が集中して突起が壊れやすく、耐傷性が低下すると考えられる。
また、本発明の撥水性フィルムは、樹脂基材と撥水性ガラス層との間に、酸化ケイ素、ヒドロシルセスキオキサン、および有機ケイ素化合物からなる群より選択される少なくとも1種のケイ素化合物を含む密着層を有する。当該密着層は、ケイ素化合物を含有することから、特に撥水性ガラス層との密着性に優れる。したがって、かような密着層を有する本発明の撥水性フィルムは、樹脂基材と撥水性ガラス層との密着性に優れる。さらに、ケイ素化合物としてシロキサン化合物やシルセスキオキサン化合物を用いた場合、該化合物は3次元構造を有し得ることから、本発明に係る密着層は、撥水性ガラス層にかかる衝撃を緩和する、いわば衝撃緩衝層のような役割も果たし得る。
なお、上記のメカニズムは推定によるものであり、本発明は上記メカニズムに何ら限定されるものではない。
以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施形態のみには限定されない。
また、本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味し、「重量」と「質量」、「重量%」と「質量%」および「重量部」と「質量部」は同義語として扱う。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%RHの条件で測定する。
[樹脂基材]
樹脂基材としては、従来公知の種々の樹脂を含むフィルムを用いることができる。樹脂の例としては、例えば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、変性ポリエステル等のポリエステル、ポリエチレンカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン、シクロオレフィンポリマー、ポリノルボルネン、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、フッ素樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリル樹脂等を挙げることができる。これら樹脂は、1種でもよいしまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。また、樹脂基材は単層構造でもよいし2層以上の多層構造であってもよい。多層構造の場合、それぞれの層に含まれる樹脂は、同じでもよいし異なっていてもよい。
これらの中でも、熱収縮が少ないという観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、およびポリエチレンカーボネートからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂を含むことが好ましい。該樹脂基材は、溶融流延製膜で製造されたフィルムであっても、溶液流延製膜で製造されたフィルムであってもよい。また、該樹脂基材は、未延伸フィルムでもよく、延伸フィルムでもよい。
樹脂基材の上面および/または下面には、アンカーコート層、平滑層、クリアハードコート層、接着剤を含む接着層、粘着剤を含む粘着層等、他の層が適宜形成されていてもよい。
樹脂基材の厚さは、樹脂の種類および目的等に応じて適宜選択することができる。例えば、一般的には10〜250μmの範囲であり、好ましくは20〜200μmである。
[密着層]
本発明の撥水性フィルムは、樹脂基材と撥水性ガラス層との間に、酸化ケイ素、ヒドロシルセスキオキサン、および有機ケイ素化合物からなる群より選択される少なくとも1種のケイ素化合物を含む密着層を有する。当該密着層は、ケイ素化合物を含有することから、特に撥水性ガラス層との密着性に優れる。したがって、かような密着層を有する本発明の撥水性フィルムは、樹脂基材と撥水性ガラス層との密着性に優れる。さらに、ケイ素化合物としてシロキサン化合物やシルセスキオキサン化合物を用いた場合、該化合物は3次元構造を有し得ることから、本発明に係る密着層は、撥水性ガラス層にかかる衝撃を緩和する、いわば衝撃緩衝層のような役割も果たし得る。
本発明に係る密着層は、酸化ケイ素、ヒドロシルセスキオキサン、および有機ケイ素化合物からなる群より選択される少なくとも1種のケイ素化合物を含む。前記有機ケイ素化合物としては、シロキサン化合物、シルセスキオキサン化合物、シランカップリング剤等が挙げられる。密着層に含まれるケイ素化合物としては、撥水性ガラス層にかかる衝撃をより緩和するという観点から、シロキサン化合物またはシルセスキオキサン化合物が好ましい。
<酸化ケイ素>
酸化ケイ素としては、特に制限されないが、コロイダルシリカが好ましい。コロイダルシリカは、比較的低温の乾燥条件であっても造膜性が高いという利点があるためである。
コロイダルシリカとしては、水分散品、アルコール等の溶剤分散品のいずれも用いることができる。これらは市販品として、例えば、日産化学工業株式会社より入手でき、具体的には下記の製品を好ましく用いることができる。
スノーテックス(登録商標)30、スノーテックス(登録商標)S、スノーテックス(登録商標)XS、スノーテックス(登録商標)20L、スノーテックス(登録商標)XL、スノーテックス(登録商標)ZL、スノーテックス(登録商標)N、スノーテックス(登録商標)NS、スノーテックス(登録商標)NXS、スノーテックス(登録商標)O、スノーテックス(登録商標)OS、スノーテックス(登録商標)OXS、スノーテックス(登録商標)C。
また、溶剤分散のコロイダルシリカとして、日産化学工業株式会社製のメタノールシリカゾル(メタノール分散)、IPA−ST(イソプロパノール分散)、IPA−ST−ZL(イソプロパノール分散)を挙げることができる。
<シロキサン化合物>
シロキサン化合物としては、特に制限されず、公知のものが用いられうる。中でも、下記一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサンを用いることが好ましい。
上記一般式(1)において、R〜Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜8の有機基を表す。この際、前記R〜Rの少なくとも1つは、アルコキシ基または水酸基であり、mは1以上の整数である。炭素数1〜8の有機基としては、特に制限されないが、γ−クロロプロピル基、3,3,3−トリフロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基;ビニル基等のアルケニル基;フェニル基等のアリール基;γ−メタクリルオキシプロピル基等の(メタ)アクリル酸エステル基;γ−グリシドキシプロピル基等のエポキシ含有アルキル基;γ−メルカプトプロピル基等のメルカプト含有アルキル基;γ−アミノプロピル基等のアミノアルキル基;γ−イソシアネートプロピル基等のイソシアネート含有アルキル基;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等の直鎖または分岐鎖アルキル基;シクロヘキシル基、シクロペンチル基等の脂環状アルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基等の直鎖状または分岐状アルコキシ基;アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、カプロイル基等のアシル基が挙げられる。
上記一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサンのうち、mが1以上、かつ、重量平均分子量(ポリスチレン換算)が1000〜20000であるオルガノポリシロキサンを用いることがより好ましい。オルガノポリシロキサンの重量平均分子量が1000以上であると、形成される密着層に亀裂が生じにくくなり、一方、オルガノポリシロキサンの重量平均分子量が20000以下であると、形成される密着層の硬度が十分となることから好ましい。
該シロキサン化合物は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。また、該シロキサン化合物は、市販品を用いてもよいし合成品を用いてもよい。
<ヒドロシルセスキオキサン、シルセスキオキサン化合物>
ヒドロシルセスキオキサン、シルセスキオキサン化合物とは、通常RSiX(Rは、水素原子、炭素数1〜20の非置換のアルキル基、アリール基、アルケニル基、アラルキル基等の非置換の1価炭化水素基、または該非置換の1価炭化水素基の水素原子の少なくとも1個がエポキシ基、グリシドキシ基等のエポキシ官能性基、オキセタニル基、もしくはトリオルガノシロキシ基で置換された置換1価炭化水素基であり、Xはハロゲン、アルコキシ基等の加水分解性基)で表される3官能性有機ケイ素化合物の加水分解、縮(重)合により合成される、RSiO1.5単位を基本構成単位とするポリシロキサン樹脂である。オルガノポリシルセスキオキサン樹脂の分子配列の形状は、代表的には無定形構造(三次元網状構造)、ラダー型構造、かご型(完全縮合ケージ型)構造、またはその部分開裂構造体(かご型構造からケイ素原子のうちの一部が欠けた構造やかご型構造の一部のケイ素−酸素結合が切断された構造のもの)等が知られている。なお、基本構成単位とは、通常、(A)成分を構成するオルガノポリシルセスキオキサン樹脂中の80モル%以上(80〜100モル%)、好ましくは90モル%以上(90〜100モル%)、より好ましくは95モル%以上(95〜100モル%)、さらに好ましくは98モル%以上(98〜100モル%)が上記のRSiO1.5単位であることを示す。なお、シルセスキオキサン化合物中の該基本構成単位以外の残余の単位としては、RSiO1/2単位、RSiO2/2単位、SiO4/2単位、(OH)RSiO1/2単位、(OH)RSiO1/2単位、(OH)RSiO2/2単位等を適宜含有してもよい。
本発明で用いられるシルセスキオキサン化合物は、これらのシルセスキオキサン化合物のうち、いずれの構造のものであってもよく、またそれらの混合物であってもよい。しかしながら、3次元構造を有し撥水性ガラス層にかかる衝撃をさらに効率よく緩和するという観点から、かご型構造を有するシルセスキオキサン化合物であることが好ましく、メチルシルセスキオキサン、ヒドロシルセスキオキサン、オキセタニル基含有シルセスキオキサンがより好ましい。オキセタニル基含有シルセスキオキサンは、密着層の架橋剤やバインダーとして用いられうる脂環式エポキシ樹脂との相溶性に富んでいるため、均一な混合が可能になり、その結果、光学特性に優れた密着層が得られる。このようなオキセタニル基含有シルセスキオキサンの市販品としては、例えば、OX−SQ、OX−SQ−H、OX−SQ−F(いずれも東亞合成株式会社製)等が挙げられる。
また、構造単位中にかご型構造を有するポリオルガノシルセスキオキサンであって、ポリオルガノシルセスキオキサンのシロキシ基(SiO−)の少なくとも一部に、一般式(RSiO3/2(但し、Rは炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、アクリル基、メタクリル基、アリル基、またはビニル基)で示される反応性官能基を有するシルセスキオキサンも好ましく用いることができる。反応性官能基は、一分子中に1〜4個を有することが好ましく、架橋構造の共重合体を得るためには1.1個以上有することがよい。この化合物は、多くの有機化合物に対し良好な相溶性を有しているため、アクリレート、メタクリレート、アリル化合物、ビニル化合物等の不飽和基を有する化合物と任意の比率で混合し、組成物とすることができる。
上記不飽和基を有する化合物は、分子中に不飽和基を少なくとも1個含み、シルセスキオキサンとラジカル共重合が可能な不飽和化合物であることが好ましい。好ましい不飽和基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、およびビニル基からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。
該シルセスキオキサン化合物は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。また、該シルセスキオキサン化合物は、市販品を用いてもよいし合成品を用いてもよい。
<シランカップリング剤>
シランカップリング剤の例としては、例えば、テトラメチルシラン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラメトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、1,1−ジメチル−1−シラシクロブタン、トリメチルビニルシラン、メトキシジメチルビニルシラン、トリメトキシビニルシラン、エチルトリメトキシシラン、ジメチルジビニルシラン、ジメチルエトキシエチニルシラン、ジアセトキシジメチルシラン、ジメトキシメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、アリールトリメトキシシラン、エトキシジメチルビニルシラン、メチルトリビニルシラン、ジアセトキシメチルビニルシラン、メチルトリアセトキシシラン、アリールオキシジメチルビニルシラン、ジエチルビニルシラン、ブチルトリメトキシシラン、テトラビニルシラン、トリアセトキシビニルシラン、テトラアセトキシシラン、3−トリフルオロアセトキシプロピルトリメトキシシラン、ジアリールジメトキシシラン、ブチルジメトキシビニルシラン、トリメチル−3−ビニルチオプロピルシラン、フェニルトリメチルシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、フェニルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ジメチルイソペンチロキシビニルシラン、2−アリールオキシエチルチオメトキシトリメチルシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ジメチルエトキシフェニルシラン、ベンゾイロキシトリメチルシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ジメチルエトキシ−3−グリシドキシプロピルシラン、ジブトキシジメチルシラン、ジビニルメチルフェニルシラン、ジアセトキシメチルフェニルシラン、ジメチル−p−トリルビニルシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、ジエチルメチルフェニルシラン、ベンジルジメチルエトキシシラン、ジエトキシメチルフェニルシラン、デシルメチルジメトキシシラン、ジエトキシ−3−グリシドキシプロピルメチルシラン、オクチロキシトリメチルシラン、フェニルトリビニルシラン、テトラアリールオキシシラン、ドデシルトリメチルシラン、ジアリールメチルフェニルシラン、ジフェニルメチルビニルシラン、ジフェニルエトキシメチルシラン、ジアセトキシジフェニルシラン、ジベンジルジメチルシラン、ジアリールジフェニルシラン、オクタデシルトリメチルシラン、メチルオクタデシルジメチルシラン、ドコシルメチルジメチルシラン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,4−ビス(ジメチルビニルシリル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アセトキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリビニルシクロトリシロキサン、1,3,5−トリス(3,3,3−トリフルオロプロピル)−1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラエトキシ−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等が挙げられる。
該シランカップリング剤は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。また、該シランカップリング剤は、市販品を用いてもよいし合成品を用いてもよい。
密着層は、ケイ素化合物以外の他の成分を含んでもよい。他の成分の例としては、例えば、ビスフェノールA、エピクロルヒドリン型のエポキシ系樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジアミングリシジルアミン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1,3−ビス(N,N’−ジアミングリシジルアミノメチル)等の架橋剤;アルミニウム三価、鉄三価、コバルト三価、亜鉛二価、ジルコニウム四価、ビスマス三価の有機酸塩、アルコキシド、またはキレート化合物等の架橋反応触媒;界面活性剤;トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等のケイ素化合物と共重合が可能な不飽和化合物等が挙げられる。
密着層中の上記ケイ素化合物の含有量は、密着層の全固形分に対して、25〜95質量%であることが好ましく、40〜90質量%であることがより好ましい。
密着層は単層構造でもよく、互いに異なる組成を有する2層以上の複層構造であってもよい。
密着層の厚さは、0.1〜10μmが好ましく、0.5〜5μmがより好ましい。密着層が複層構造の場合、その合計の厚さを密着層の厚さとする。
密着層の形成方法については、後述の[撥水性フィルムの製造方法]の項で詳述する。
[撥水性ガラス層]
〔相分離可能なガラス〕
本発明に係る撥水性ガラス層は、相分離可能なガラスを含む。
本発明で用いられる相分離可能なガラスの具体例としては、酸化ケイ素−酸化ホウ素−アルカリ金属酸化物、酸化ケイ素−酸化ホウ素−アルカリ金属酸化物−(アルカリ土類金属酸化物、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム)、酸化ケイ素−リン酸塩−アルカリ金属酸化物、酸化ケイ素−酸化ホウ素−酸化カルシウム−酸化マグネシウム−酸化アルミニウム−酸化チタン、酸化ホウ素−アルカリ金属酸化物−(酸化セリウム,酸化トリウム,酸化ハフニウム,酸化ランタン))などを挙げることができる。中でも、比較的広い組成領域で相分離し、安定して相分離を起こしやすいことから、また、局所加熱に紫外光を用いる際は、紫外域に吸収を持つために効率的に表層から紫外光を吸収して熱に変換できることから、酸化ケイ素−酸化ホウ素−アルカリ金属酸化物、酸化ケイ素−酸化ホウ素−アルカリ金属酸化物−(アルカリ土類金属酸化物、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム)等のホウケイ酸塩ガラスを好ましく用いることができる。
特に好ましくは、酸化ケイ素(SiO);60〜85質量%、酸化ホウ素(B);10〜30質量%、NaO;3〜10質量%、および他の組成を5質量%未満で含む、ホウケイ酸塩ガラスである。
これら相分離可能なガラスは、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
〔スピノーダル型多孔構造〕
本発明に係る撥水性ガラス層は、その少なくとも一方の表面に、スピノーダル型多孔構造を有する。
ガラスの相分離は、スピノーダル型とバイノーダル型とに分類される。バイノーダル型は母相と異なる第2ガラス相が球状組織を形成するのに対して、スピノーダル型は組成の異なる2つのガラス相が絡み合い3次元網目状組織を形成する。本発明において、スピノーダル型多孔構造とは、このスピノーダル型3次元網目状組織を、酸溶液等と接触させることにより酸可溶成分を溶出除去して形成した多孔構造を表している。酸化ケイ素、酸化ホウ素、アルカリ金属を有する酸化物を含むホウケイ酸塩ガラスを用いた場合は、アルカリ金属を有する酸化物と酸化ホウ素を相分離前の組成より多く含有する相(非シリカリッチ相)が酸により溶出除去できる。
スピノーダル型の相分離由来の空孔とバイノーダル型の相分離由来の空孔とは、電子顕微鏡による形態観察結果より判断され区別されうる。主に、ガラスの組成で、スピノーダル型の相分離かバイノーダル型の相分離かが決まる。
本発明の撥水性フィルムにおいては、その製造の際、相分離可能なガラスを含む層の少なくとも一方の表面に対して、後に説明する局所加熱を行う。これにより、スピノーダル型多孔構造の表面における空孔径が、10〜200nmの範囲となる。また、空孔がスピノーダル型多孔構造の表面から撥水性ガラス層の厚さ方向に向かって空孔径が減少する構造を有する。さらに、空孔の深さが200〜500nmの範囲となり、かつ撥水性ガラス層は、空孔がなく相分離が生じていない部分を一部に有している構造となる。このような構造を有することにより、安定して撥水性が発現し、また、透明性および耐傷性に優れた撥水性フィルムとなる。
本発明に係る撥水性ガラス層のスピノーダル型多孔構造の表面における空孔径は、10〜200nmである。表面における空孔径が10nm未満では、撥水剤を空孔内部まで浸透させることができなくなり、撥水耐久性が低下する。一方、200nmを超えると、表面ヘイズが低下し、耐傷性も低下する。該空孔径は、好ましくは30〜180nmであり、より好ましくは40〜150nmであり、さらに好ましくは60〜100nmである。なお、本明細書において、該空孔径は、撥水性ガラスの超薄切片を作製し、その透過型電子顕微鏡(TEM)の断面写真から、最表面の突起構造の距離を50個測定し、その平均を算出した値とする。
本発明に係る撥水性ガラス層のスピノーダル型多孔構造の空孔の深さは、200〜500nmである。空孔の深さが200nm未満である場合、撥水性のこすれに対する耐久性が悪くなる。一方、500nmを超えると、主に微小な砂粒が高速でぶつかることが原因で生じる傷に対する耐性が悪くなる。該空孔の深さは、好ましくは250〜480nmであり、より好ましくは270〜470nmであり、さらに好ましくは300〜450nmである。なお、本明細書において、該空孔の深さは、撥水性ガラス層の超薄切片を作製し、その透過型電子顕微鏡(TEM)の断面写真から、空孔が見られなくなる深さを50個の空孔について測定し、その平均を算出した値とする。
また、本発明に係る撥水性ガラス層のスピノーダル型多孔構造の空孔の形は、スピノーダル型多孔構造の表面から撥水性ガラス層の厚さ方向に向かって空孔径が減少する構造となっている。このような構造とすることにより、たとえ表面の空孔径が10〜200nmの範囲であっても、透明性に優れた撥水性フィルムとなる。空孔径の減少がなく、空孔径が撥水性ガラス層の厚さ方向で一定である場合、透明性が低下する。
このような空孔径の減少は、段階的であってもよいし連続的であってもよく、特に制限されない。なお、空孔の形は、撥水性ガラスの超薄切片を作製し、その透過型電子顕微鏡(TEM)の断面写真から、空孔の深さの50nmおきに、空孔径を50個測定し、その平均をその深さにおける空孔径とする。そして、表面から深さ方向に空孔径が減少しているかどうかを調べることにより、確認することができる。
該スピノーダル型多孔構造は、本発明に係る撥水性ガラス層の少なくとも一方の表面に有していればよく、両面に有していてもよい。
さらに、本発明に係る撥水性ガラス層は、空孔がなくかつ相分離が生じていない部分を一部に有する。これにより、相分離が生じている部分に起因する光の散乱が抑えられ、透明性が向上する。また、相分離が生じていない部分を有することにより撥水性ガラス層の強度は向上する。加えて、相分離が生じている部分は不連続面を有することになるため、表面のスピノーダル型多孔構造に砂粒等がぶつかった場合、その不連続面に応力が集中して、いわば空孔の壁となっている表面の突起構造が壊れやすくなる。本発明に係る撥水性ガラス層は、相分離が生じていない部分を有するため、上記のような現象を抑えることができ、耐傷性が向上すると考えられる。なお、空孔がなくかつ相分離が生じていない部分の厚さ、大きさ等は特に制限されない。
相分離が生じていない部分を有しているかどうかは、撥水性ガラス層のTEMの画像の目視による色の濃淡から判断することができる。濃淡がない部分があれば、そのガラス部分は、相分離していない構造を有すると判断することができる。
上記のような撥水性ガラス層の空孔径、空孔の深さ、空孔の形、および相分離が生じていない構造の制御は、相分離可能なガラスの構成材料の選択、局所加熱の条件の制御、エッチング処理の条件の制御等により制御することができる。
〔撥水剤〕
本発明に係る撥水性ガラス層は、上記スピノーダル型多孔構造の空孔に撥水剤を有する。撥水剤としては、特に制限されないが、単分子膜を形成する化合物であることが好ましい。単分子膜とは、自己組織化単分子膜(Self−Assembled Monolayer(SAM))に代表されるような物質であり、分子中の一官能基が基板と化学結合を形成し,その他の部分は分子間で化学結合を形成せず、一分子分の厚さの膜しか形成されないものである。
単分子膜を形成する化合物としては、シリコーン化合物、フッ素含有化合物であることが好ましく、フッ素含有化合物であることがより好ましい。
単分子膜を形成するフッ素含有化合物としては、フッ素結合基を有するとともに末端にはアルコキシシリル基を有するシランカップリング剤であり、シランカップリング反応を経て、シラノール結合を形成することができる化合物であることがより好ましい。また、その化合物(シランカップリング剤)の中でも、シラン化合物中のフルオロアルキル基が、Si原子1つに対し、1つ以下の割合でSi原子と結合されており、残りは加水分解性基もしくはシロキサン結合基であるシラン化合物が好ましい。ここでいう加水分解性基としては、例えばアルコキシ基等であり、加水分解によってヒドロキシル基となり、それに応じてシラン化合物は重縮合物を形成する。
該撥水剤は、市販品を用いてもよいし、合成品を用いてもよい。例えば、上記したシラン化合物を、室温(25℃)〜100℃の範囲で副生するアルコールを留去しながら、水と(必要なら酸触媒の存在下)反応させる。これにより、アルコキシシランは(部分的に)加水分解し、一部縮合反応が起こり、ヒドロキシル基を有する加水分解物として得ることができる。加水分解、縮合の程度は、反応させる水の量により適宜調節することができる。本発明においては、シラン化合物溶液に積極的には水を添加せず、調製後、主として乾燥時に、空気中の水分等により加水分解反応を起こさせるため、溶液の固形分濃度を薄く希釈して用いることが好ましい。
用いられる撥水剤の具体例としては、例えば、CF(CHSi(OCH、CF(CHSi(OC、CF(CHSi(OC、CF(CHSi(OC、CF(CF(CHSi(OCH、CF(CF(CHSi(OC、CF(CF(CHSi(OC、CF(CF(CHSi(OCH、CF(CF(CHSi(OC、CF(CF(CHSi(OC、CF(CF(CHSi(OCH)(OC、CF(CF(CHSi(OCHOC、CF(CF(CHSiCH(OCH、CF(CF(CHSiCH(OC、CF(CF(CHSiCH(OC、(CFCF(CF(CHSi(OCH、C15CONH(CHSi(OC、C17SONH(CHSi(OC、C17(CHOCONH(CHSi(OCH、CF(CF(CHSi(CH)(OCH、CF(CF(CHSi(CH)(OC、CF(CF(CHSi(CH)(OC、CF(CF(CHSi(C)(OCH、CF(CF(CHSi(C)(OC、CF(CHSi(CH)(OCH、CF(CHSi(CH)(OC、CF(CHSi(CH)(OC、CF(CF(CHSi(CH)(OCH、CF(CF(CHSi(CH)(OC、CF(CFO(CF(CHSi(OC)、C15CHO(CHSi(OC、C17SOO(CHSi(OC、C17(CHOCHO(CHSi(OCH、CF(CFCHCHSiClなどが挙げられるが、これらに制限されるものではない。
また、アルコキシ基を有するパーフルオロアルキルシラン(信越化学工業株式会社製:KBM−7803(化学式はCF(CFCHCHSi(OCH))、塩素原子を有するパーフルオロアルキルシラン(東芝シリコーン株式会社製:TSL8232(化学式はCF(CFCHCHSiCl)、オプツールシリーズ(ダイキン工業株式会社製)、FG−5020(株式会社フロロテクノロジー製)などを、市販品の例として挙げることができる。
これら撥水剤は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。中でも、CF(CFCHCHSiCl、CF(CHSi(OCH、CF(CF(CHSi(OCHが好ましい。
上記スピノーダル型多孔構造の空孔に撥水剤を付与する方法としては、例えば、真空蒸着法に代表される乾式プロセスや、撥水剤を含む液を用いディップコート法やスピンコート法により塗布したり、含浸させたりする湿式プロセスがある。この空孔に撥水剤を付与する方法については、後述の[撥水性フィルムの製造方法]の項で詳述する。
撥水性ガラス層の厚さは、500nm〜200μmであることが好ましく、700nm〜100μmであることがより好ましい。この範囲であれば、フレキシブル性に優れる。
[撥水性フィルムの製造方法]
本発明における撥水性フィルムの製造方法は、特に制限されないが、樹脂基材上に酸化ケイ素、ヒドロシルセスキオキサン、および有機ケイ素化合物からなる群より選択される少なくとも1種のケイ素化合物を含む密着層を形成する工程と、前記密着層上に相分離可能なガラスを含む層を形成する工程と、前記相分離可能なガラスを含む層の表面を局所加熱する工程と、前記局所加熱後の前記相分離可能なガラスを含む層をエッチング処理しスピノーダル型多孔構造を形成する工程と、前記スピノーダル型多孔構造の空孔に撥水剤を付与する工程と、を含む製造方法が好適に用いられる。以下、かような製造方法について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
〔密着層を形成する工程〕
本工程では、樹脂基材上に密着層を形成する。密着層の形成方法は、特に制限されないが、ケイ素化合物、溶媒、および必要に応じて他の成分を含む密着層形成用組成物を樹脂基材上に塗布し乾燥する方法が好ましい。
上記溶媒としては、特に制限されないが、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン、ジエチルケトン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジプロピルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、安息香酸メチル等のエステル類;N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類が挙げられる。これらの溶媒は単独でも、または2種以上を混合して用いてもよい。
密着層形成用組成物の製造方法としては、各成分を溶媒に添加し、攪拌混合する方法が好ましい。
密着層形成用組成物の塗布方法も特に制限されず、ロールコート法、ダイコート法、フローコート法、インクジェット法、スピンコート法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等が挙げられる。
その後の乾燥を行い、密着層を形成する。乾燥温度は、適用する樹脂基材の熱による変形等がなければ特に限定されず、例えば50〜200℃であることが好ましく、50〜140℃であることがより好ましい。乾燥時間は、溶媒の沸点や乾燥温度との兼ね合いもあるが、短時間に設定することが好ましく、例えば30秒〜15分であることが好ましく、1分〜10分であることがより好ましい。密着層が熱硬化性を有する架橋剤や不飽和化合物等を含む場合、当該乾燥により、これら化合物の少なくとも一部が熱硬化されうる。
塗布厚さは、上記したような密着層の好ましい厚さの範囲になるように適宜設定すればよい。
〔相分離可能なガラスを含む層を形成する工程〕
本工程では、密着層の上部に相分離可能なガラスを含む層を形成する。その方法としては、密着層上に原料を蒸着させる蒸着法を用いることができる。蒸着法としては、特に限定されず、公知の薄膜堆積技術を利用することが出来る。例えば、蒸着法、反応性蒸着法、スパッタ法、反応性スパッタ法、化学気相堆積法などが挙げられる。
組成の均一性からスパッタ法が好ましい。例えば、所望する組成のガラスを用いてターゲットを作製し、マグネトロンスパッタ装置で成膜することができる。
〔局所加熱する工程〕
本工程では、相分離可能なガラスを含む層の少なくとも一方の表面を局所加熱する。局所加熱された部分は、スピノーダル型の相分離が生じる。
従来技術のような、ガラス全体を一定の温度に加熱する方法では、ガラス全体が相分離してしまうために、本発明の構造は得られない。本発明においては、相分離可能なガラスを含む層の表面のみを局所加熱することにより、表層ほどスピノーダル型の相分離が進み、空孔径が大きくすることができる。また、ガラスの厚さ方向の内部になるにつれ、加熱による温度の上昇が低く抑えられる。そのため、相分離の構造が厚さ方向の内部に行くほど成長せず、スピノーダル型多孔構造の表面から撥水性ガラス層の厚さ方向に向かって空孔径が減少し(小さくなり)、撥水性ガラス層において空孔がなく相分離が生じていない部分を一部に有する構造とすることができる。
また、局所加熱を利用することにより、加熱する表面近傍のみしか高温にならないことから、高温には耐えられないような樹脂基材の上部に相分離可能なガラス層を形成し、そのガラス層の基材側とは反対側の表面を撥水性とした撥水性ガラス層を備える、本発明の撥水性フィルムを製造することが可能となる。
局所加熱の方法としては、特に制限されないが、スピノーダル型多孔構造を形成させる表面の側から、パルス光を繰り返し照射する方法、マイクロ波を照射する方法、プラズマを照射する方法等を挙げることができる。中でも、光の吸収により加熱範囲を制御しやすいことから、パルス光を繰り返し照射することが好ましく、効率の点からレーザー光源から出射されるパルス光を用いることがより好ましい。
用いることができる活性エネルギー線としては、KrFエキシマレーザー(波長:248nm)、ArFエキシマレーザー(波長:193nm)、Fエキシマレーザー(波長:157nm)、XeClエキシマレーザー(波長:308nm)、XeFレーザー(波長:351nm)もしくは固体UVレーザー(波長:355nm)等のレーザー光源から発せられる光、またはg線(波長:436nm)、h線(波長:405nm)、もしくはi線(波長:365nm)などが挙げられる。
レーザー光による照射処理の場合、用いるレーザー光の波長は、効率、素材の光吸収波長の観点から、150〜400nmの範囲が好ましい。また、レーザー光のエネルギー密度は10〜200mJ/cmが好ましく、レーザー光のパルス幅は5〜30nsecが好ましく、レーザー光のパルスの繰り返し周波数は1〜100Hzが好ましい。また、レーザー光の照射時間は、10〜60secが好ましい。
また、可視光域の波長を主体とするフラッシュ光照射を用いることもできる。フラッシュ光照射で用いられるフラッシュランプの放電管としては、キセノン、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の放電管を用いることが出来るが、キセノンランプを用いることが好ましい。
フラッシュランプの好ましいスペクトル帯域としては、240nm〜2000nmでフラッシュランプの光照射条件は任意であるが、光照射エネルギーの総計が0.1〜50J/cmであるのが好ましく、0.5〜10J/cmであるのがより好ましい。光照射時間は10μsec〜100msecが好ましく、100μsec〜10msecで行うのがより好ましい。光照射回数は1回でも複数回でも良く、1〜1000回の範囲で行うのが好ましい。
<光熱変換層>
本発明の製造方法においては、上記の局所加熱する工程の前に、局所加熱を施す相分離可能なガラス層の表面上に光熱変換層を形成する工程をさらに含むことが好ましい。局所加熱の際、ガラスが吸収できる波長の光源を利用する場合は、ガラス自身が光のエネルギーを吸収可能であり、かつ、表面に近いほど吸収する光の量が多くなるため、特に光熱変換層を設けなくてもよい。例えば、酸化ケイ素、酸化ホウ素、およびアルカリ金属を有する酸化物を含むホウケイ酸塩ガラスを用いた場合、270nmよりも短波長の光はある程度吸収するので、270nmよりも短波長の光源を用いる場合は、特に光熱変換層を設けなくてもよい。
しかしながら、ガラスが吸収できない波長の光源を利用する、あるいはガラスの吸収が弱い場合は、光熱変換層を設けることが好ましい。また、ガラスが吸収できる波長の光源を利用する場合でも、効率的に光を熱に変換する、加熱領域をより表面に制限する、あるいはガラスへのダメージを軽減する等の目的から、光熱変換層を設けることが好ましい。
光熱変換層は、光エネルギーを熱に変換する機能を有する層であり、局所加熱を行う前に、好ましくは相分離可能なガラスを含む層の局所加熱を施す表面上に形成される。光熱変換層の層厚は、特に制限されないが、5〜1000nmであることが好ましく、10〜500nmであることがより好ましい。
光熱変換層の材料としては、光エネルギーを熱に変換する機能を光熱変換層に付与することができる限りにおいて、従来公知の任意の材料を用いることができる。光熱変換層の材料は、光照射によって効率よく発熱させることができるという観点から、バンドギャップが1.0eV以上4.0eV以下であることが好ましく、バンドギャップが2.0eV以上3.5eV以下であることがより好ましい。
このような性質の材料としては、金属材料や半導体材料を挙げることができる。金属材料としては、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物等を挙げることができる。金属酸化物としては、TiO(3.1eV)(カッコ内はバンドギャップを表す、以下同様)、SrTiO(3.27eV)、ZnO(3.37eV)、WO(2.5eV)、Bi(2.8eV)、CeO(3.4eV)、BaTiO(3.3eV)、PbTiO(2.5−3.2eV)、CdO(2.42eV)、In(2.5eV)、ITO(3.75eV)、ZnO−Al(AZO)(3.4−3.8eV)等を用いることができる。また、金属窒化物としては、GaN(3.45eV)、AlN(6.2eV)、SiN(5.17eV)等を用いることができ、金属炭化物としては、TiC(4.62eV)、AlC(3.7eV)、SiC(3.0eV)等を用いることができる。なお、金属材料は、例えば、GaAsO、GaSbO,GaPO,InGaOなど、金属元素を2種以上含んでいてもよい。
半導体材料としては、CdS(2.42eV)、GaP(2.25eV)、InP(1.35eV)、ZnSe(2.6eV)、Si(1.2eV)、GaAs(1.43eV)、GaSb(0.67eV)、等を用いることができる。
好ましくは、光熱変換層の材料は、Ti、Ga、As、PおよびSからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含む。
光熱変換層の形成方法は、特に制限されず、電子ビーム蒸着法(EB蒸着法)による方法、蒸着法、反応性蒸着法、スパッタ法、反応性スパッタ法、化学気相堆積法等が挙げられる。中でも、成膜速度の速さから、電子ビーム蒸着法(EB蒸着法)による方法を好ましく利用できる。
フラッシュ光照射を用いる場合は、その波長に吸収を有する物質若しくはカーボンブラックのように広い吸収領域を有する物質を光熱変換層に用いることが好ましい。中でも、カーボンブラックは熱分解温度が高く、広い吸収領域を有することから好ましく利用できる。
〔エッチング処理しスピノーダル型多孔構造を形成する工程〕
本工程では、上記局所加熱を行った後の相分離可能なガラスを含む層に対しエッチング処理を行い、当該層の少なくとも一方の表面にスピノーダル型多孔構造を形成する。
エッチング処理は、局所加熱したガラスを酸溶液と接触(浸漬)させて、酸可溶成分(ホウケイ酸塩ガラスの場合は非シリカリッチ相)を溶出除去する。上記酸溶液としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸等を単独または2種以上組み合わせて用いることができる。酸溶液の濃度は、好ましくは0.1〜5mol/L(0.1〜5規定)であり、より好ましくは0.5〜2mol/L(0.5〜2規定)である。浸漬の場合の酸溶液の温度は20〜100℃の範囲が好ましく、浸漬時間は5分〜12時間の範囲が好ましい。
ガラス組成によっては、層の表面にエッチングを阻害するシリカ層が数百nm程度の厚さで発生する場合がある。このシリカ層は、研磨やアルカリ処理などで除去することができる。また、ガラス組成によっては、シリカ骨格にシリカゲルが堆積する場合がある。必要であれば、酸性度が異なる酸エッチング液または水を用い、多段階でエッチングする方法を用いることもできる。また、必要であれば、エッチング処理中に超音波を印加して本工程を行うこともできる。
酸溶液との接触処理の後、ガラス中に付着した酸や溶出せずに残った酸可溶成分を除去する目的で、水によるリンスを行うのが一般的である。
なお、上記の光熱変換層を設けた場合は、このエッチング処理により光熱変換層も除去される。
〔スピノーダル型多孔構造の空孔に撥水剤を付与する工程〕
本工程では、スピノーダル型多孔構造の空孔に撥水剤を付与する。空孔に撥水剤を付与する方法としては、真空蒸着法に代表される乾式プロセスや、スピンコート法、ディップコート法、エクストルージョン法、ロールコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、ワイヤーバーコート法、エアナイフコート法等の湿式プロセスが挙げられ、特に制限されない。しかしながら、空孔の内部まで撥水剤を存在させる簡便な方法であるという観点から、湿式プロセスが好ましく、撥水剤を溶剤中に溶解または分散させ、その中にガラスを浸漬して塗布するディップコート法がより好ましい。以下、ディップコート法について説明する。
上記の撥水剤を溶解または分散させる有機溶剤としては、特に制限されず、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;ヘプタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類等が挙げられる。これら有機溶剤は、単独でもまたは2種以上混合しても用いることができる。
また、撥水剤としてフルオロアルキルシランを用いる場合は、上記有機溶剤に溶解させた上で、必要に応じて水を添加して加水分解させ、さらに縮合させたものを用いてもよい。水の添加量はフルオロアルキルシランに対して3〜5倍当量であることが好ましい。必要に応じて、フルオロアルキルシランの加水分解のための触媒として、適宜酸触媒やアルカリ触媒などを含有させてもよい。酸触媒としては塩酸、アルカリ触媒としてはアンモニア等が挙げられる。
上記撥水剤を溶解または分散させた液中の撥水剤の含有量は、特に制限されないが、0.001〜10質量%であることが好ましく、0.01〜5質量%であることがより好ましく、0.05〜1質量%であることがさらに好ましい。この含有量であれば、撥水効果が十分発揮され、相分離可能なガラスを含む層にクラックが発生したり、失透したりするのを抑制することができる。また、液の調製が容易となり、液の安定性が向上する。このような撥水剤を含む液中に、スピノーダル型多孔構造を形成したガラス層を含浸させ、必要に応じて加熱、還流し、1分〜48時間含浸させておく。含浸後はガラス層を液から引上げ、60〜200℃で、数時間程度乾燥または熱処理する。このようにして、スピノーダル型多孔構造の空孔に撥水剤が付与される。
空孔に付与された撥水剤は、空孔表面に存在する官能基(シラノール基など)と静電的相互作用により吸着していてもよいし、または乾燥や熱処理により空孔表面の官能基と化学結合を形成して存在していてもよい。
本発明の撥水性フィルムは、車の窓ガラス、太陽電池のフロントガラスなど屋外で使用されるガラスや、カーブミラー、集光型太陽電池用ミラーなどの屋外で使用されるミラーの表面保護フィルム、あるいはこれらガラスやミラーを樹脂化した際の表面保護フィルムとして使用することができる。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。また、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。また、下記操作において、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%RHの条件で行う。
(実施例1)
〔密着層の形成〕
<密着層形成用塗布液の作製>
トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(エポライト(登録商標)100MF、共栄社化学株式会社製)8.0g、エチレングリコールジグリシジルエーテル(エポライト(登録商標)40E、共栄社化学株式会社製)5.0g、オキセタニル基を有するシルセスキオキサン:OX−SQ−H(東亞合成株式会社製)12.0g、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン 32.5g、Al(III)アセチルアセトネート 2.2g、メタノールシリカゾル(日産化学工業株式会社製、固形分濃度30質量%) 134.0g、BYK333(ビックケミー・ジャパン株式会社製、シリコン系界面活性剤) 0.1g、ブチルセロソルブ 125.0g、および0.1モル/Lの塩酸水溶液を15.0g混合し、充分に攪拌した。これを室温でさらに静置脱気して、密着層形成用組成物を得た。
樹脂基材として、厚さ100μmのPETフィルム(A4300、東洋紡株式会社製)の上に、上記密着層形成用組成物を、スピンコーターを用いて、乾燥後の膜厚が1000nm(1μm)となる条件で塗布した。塗布後、120℃で10分乾燥させて、PETフィルム上に密着層を形成した。
(ターゲットの作製)
ガラス原料として、炭酸ナトリウム(NaO)、ホウ酸(B)、二酸化珪素(SiO)、およびアルミナ(Al)を、NaO:B:SiO:Al=6:28:63:3(質量比)で均一に混合し、1350〜1450℃で加熱溶融し、その後板状に成形した状態で自然冷却し、厚さ約1mmの板状ガラスを得た。
この板状ガラスから直径15cm、厚さ0.5cmのターゲットを作製した。このターゲットを用いてマグネトロンスパッタ装置により、密着層を有する基材の上に、ターゲットと同様の組成のガラス層を、厚さ1μmで形成した。
得られたガラス層の表面に、KrFエキシマレーザーから波長248nm、パルス幅(同一領域に対する光の照射時間)20nsec、照射強度30mJ/cmの光を50Hzで30秒間照射した(局所加熱)。その後、80℃の1mol/L(1規定)の硝酸水溶液中に10分間浸漬し(エッチング)、流水で洗浄し、得られたガラス層の片方の表面にスピノーダル型多孔構造を形成した。
上記で作製したスピノーダル型多孔構造が形成されたガラス層を有する樹脂基材を、別途調製した撥水剤を含む液に室温(25℃)で24時間含浸させた後、取り出し、60℃で乾燥させた。上記の撥水剤を含む液は、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリクロロシラン(CF(CFCHCHSiCl)を用い、溶剤としてヘキサンを用い、さらに希塩酸と水とを添加したものである。1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリクロロシランの濃度は0.1質量%とした。これにより、撥水性フィルムを完成させた。
(実施例2)
密着層を下記の方法で形成したこと以外は、実施例1と同様にして、撥水性フィルムを作製した。
0.5molのフェニルトリクロロシラン105gを500ccのベンゼンに溶解し加水分解生成物を水洗後、0.003molの30%ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキサイド溶液16.6ccを加え、加熱し冷却放置した後濾過し、篭型オクタフェニルシルセスキオキサン 75gを得た。得られたかご型オクタフェニルシルセスキオキサン 8質量部、1,3−ビス(3−メタクリロキシプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン 8質量部、トルエン 32質量部、水酸化セシウム 0.16質量部、および重合禁止剤(精工化学株式会社製、メトキノン)0.03質量部を加熱しながら攪拌した。その後、常温(20℃)まで冷却した後、水酸化セシウムを濾過により除去したものを、メタノール500ccに注ぎ込み、沈殿したものを除去、乾燥することで、末端にメタクリル基を有する単一構造のかご型シリル化ポリフェニルシルセスキオキサン 14質量部を得た。
さらに、メタクリル基を有するかご型シリル化ポリフェニルシルセスキオキサン 50質量部、およびトリメチロールプロパントリアクリレート 50質量部を混合し、透明な樹脂組成物を得た。樹脂組成物を、スピンコーターを用いて乾燥後の厚さが2μmになるように樹脂基材である厚さ100μmのPETフィルム(A4300、東洋紡株式会社製)上に塗布し、窒素雰囲気下のオーブンにて、120℃で30分間加熱乾燥し、樹脂基材上に密着層を形成した。
(実施例3)
KrFエキシマレーザーによる局所加熱処理をする前に、KrFエキシマレーザー照射処理をする面に、電子ビーム蒸着法(EB蒸着法)により、層厚100nmの酸化チタン(TiO)からなる光熱変換層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、撥水性フィルムを作製した。
(実施例4)
エッチングの際の硝酸への浸漬時間を3分に変更したこと以外は、実施例3と同様にして、撥水性フィルムを作製した。
(実施例5)
KrFエキシマレーザーの代わりにキセノンフラッシュランプを用い、表1に記載の条件で照射を行ったこと以外は、実施例3と同様にして、撥水性ガラスを作製した。
(比較例1)
密着層を設けなかったこと以外は、実施例1と同様にして、撥水性フィルムを作製した。
各実施例および比較例の局所加熱の条件を、下記表1に示す。
[評価]
《空孔の測定、観察》
上記で作製した撥水性フィルムについて、空孔の空孔径、空孔径の厚さ方向の変化、空孔の深さ、および空孔がなくかつ相分離が生じていない構造の有無について測定、観察を行った。
空孔の空孔径は、超薄切片を作製し、その透過型電子顕微鏡(TEM)の断面写真から、最表面の突起構造の距離を50個測定し、その平均を空孔の空孔径とした。
空孔の形(空孔径の厚さ方向の変化)は、超薄切片を作製し、透過型電子顕微鏡(TEM)の断面写真から、空孔の深さの50nmおきに、空孔径を50個測定し、その平均をその深さにおける空孔径とした。そして、表面から深さ方向に空孔径が小さくなっているかどうかを確認した。結果を下記表2の「空孔の形」の欄に示す。下記表2の「空孔の形」の欄中の「均一」とは、スピノーダル型多孔構造の表面から撥水性ガラス層の厚さ方向に向かって空孔径が一定である構造を示し、「漸減」とは、スピノーダル型多孔構造の表面から撥水性ガラス層の厚さ方向に向かって空孔径が減少する構造であることを示す。
空孔の深さは、超薄切片を作製し、透過型電子顕微鏡(TEM)の断面写真から、空孔が見られなくなる深さを50個の空孔について測定し、その平均を空孔の深さとした。
撥水性ガラス層が、相分離が生じていない構造を有しているかどうかは、TEMの画像の目視による色の濃淡から判断した。濃淡がない部分があれば、その撥水性ガラス層部分は、相分離していない構造を有すると判断した。下記表2の「未相分離構造」の欄の「なし」とは、相分離が生じていない構造を有さないことを、「あり」とは、相分離が生じていない構造を有することを示す。
《撥水性》
JIS R3257:1999に基づき、水を3μL滴下して各撥水性ガラスの表面の接触角を、接触角計DM300(協和界面科学株式会社製)を用いて測定し、以下の指標で評価した。
○;140°以上
○△;120°以上140°未満
△;90°以上120°未満
×;90°未満。
《撥水耐久性》
JIS R3257:1999に基づき、水を3μL滴下して各撥水性フィルムの表面の接触角を、接触角計DM300(協和界面科学株式会社製)を用いて測定する。次に、65℃、80%RH環境下で30日間保存した後、往復摩耗試験機(新東科学株式会社製、HEIDON 14DR)に不織布を取り付け、荷重300g/cmの条件で各撥水性フィルムの表面を速度10mm/secで1000回往復させた。往復処理後に再度接触角を測定し、その低下幅を撥水耐久性として下記の指標で評価した。
○:0°以上20°未満
○△;20°以上30°未満
△;30°以上40°未満
△×;40°以上60°未満
×;60°以上。
《ヘイズ》
65℃、80%RH環境下で30日間保存した後の、各撥水性フィルムのヘイズ値を、有限会社東京電色製 HAZE METER NDH5000を用いて測定し、以下の指標で評価した。なお、基材であるPETのヘイズ値をあらかじめ測定し、撥水性フィルム全体のヘイズ値との差分を、該撥水性フィルムのヘイズ値とした。
○:0%以上1%未満
○△;1%以上3%未満
△;3%以上5%未満
△×;5%以上10%未満
×;10%以上30%未満
××;30%以上。
《耐傷性(サンドブラスト試験)》
フィルムミラーの所定の位置に、傾斜角60°となるように作製した各撥水性フィルムを取り付け、そのフィルムミラーの反射面(撥水性ガラスの撥水剤を有する面)に向けて、#60のガラスビーズ(JIS Z8901:2006準拠のGBL#60)を、風速20m/秒で5分間吹き付けた。その後、エタノールにて表面に付着した砂を取り除いた試料(フィルムミラー)の反射率を測定した。そして、サンドブラスト試験前後の波長250〜2500nmの光の平均反射率の差を評価した。サンドブラスト試験前後の反射率の低下を、以下の指標で評価した。
○:0%以上2%未満
○△;2%以上4%未満
△;4%以上6%未満
△×;6%以上10%未満
×;10%以上。
≪密着性≫
上記作製した各撥水性フィルムに対して、JIS K5600:1999に準拠した碁盤目試験により、密着性の評価を行った。
撥水性フィルムの撥水性ガラス層を形成した面に、片刃のカミソリの刃で表面に対して90度の切り込みを1mm間隔で縦横に11本ずつ入れ、1mm角の碁盤目を100個作製した。この碁盤目上に市販のセロハンテープを貼り付け、その一端を手でもって垂直にはがし、切り込み線からの貼られたテープ面積に対する撥水性ガラス層が剥がされた面積の割合を測定し、下記の評価基準に従って密着性を評価した。
○;撥水性ガラス層の剥離が全く認められなかった
○△;剥離した撥水性ガラス層の面積割合が1%未満であった
△;剥離した撥水性ガラス層の面積割合が1%以上3%未満であった
△×;剥離した撥水性ガラス層の面積割合が3%以上10%未満であった
×;剥離した撥水性ガラス層の面積割合が10%以上であった。
各評価結果を、下記表2に示す。
上記表2から明らかなように、本発明の撥水性ガラスは、撥水性、撥水耐久性、透明性(ヘイズ)、および耐傷性に優れることが分かった。

Claims (9)

  1. 樹脂基材と、
    酸化ケイ素、ヒドロシルセスキオキサン、および有機ケイ素化合物からなる群より選択される少なくとも1種のケイ素化合物を含む密着層と、
    少なくとも一方の表面にスピノーダル型多孔構造を有し、前記スピノーダル型多孔構造の空孔に撥水剤を有する、相分離可能なガラスを含む撥水性ガラス層と、
    をこの順に有する撥水性フィルムであって、
    前記スピノーダル多孔構造の表面における前記空孔の空孔径が10〜200nmであり、前記空孔は前記スピノーダル型多孔構造の表面から前記撥水性ガラス層の厚さ方向に向かって前記空孔径が減少しており、前記空孔の深さが200〜500nmであり、かつ前記撥水性ガラス層は前記空孔がなく相分離が生じていない部分を一部に有する、撥水性フィルム。
  2. 前記相分離可能なガラスはホウケイ酸ガラスである、請求項1に記載の撥水性フィルム。
  3. 前記有機ケイ素化合物は、シロキサン化合物またはシルセスキオキサン化合物である、請求項1または2に記載の撥水性フィルム。
  4. 樹脂基材上に酸化ケイ素、ヒドロシルセスキオキサン、および有機ケイ素化合物からなる群より選択される少なくとも1種のケイ素化合物を含む密着層を形成する工程と、
    前記密着層上に相分離可能なガラスを含む層を形成する工程と、
    前記相分離可能なガラスを含む層の表面を局所加熱する工程と、
    前記局所加熱後の前記相分離可能なガラスを含む層をエッチング処理しスピノーダル型多孔構造を形成する工程と、
    前記スピノーダル型多孔構造の空孔に撥水剤を付与する工程と、
    を含む、撥水性フィルムの製造方法。
  5. 前記局所加熱する工程は、パルス光を繰り返し照射することにより行う、請求項4に記載の撥水性フィルムの製造方法。
  6. 前記パルス光は、レーザー光源から出射される光である、請求項5に記載の撥水性フィルムの製造方法。
  7. 前記レーザー光源から出射される光の波長が150〜400nmである、請求項6に記載の撥水性フィルムの製造方法。
  8. 前記局所加熱する工程の前に、前記相分離可能なガラスを含む層の前記局所加熱を施す表面上に光熱変換層を形成する工程をさらに含む、請求項4〜7のいずれか1項に記載の撥水性フィルムの製造方法。
  9. 前記光熱変換層は、バンドギャップが1.0eV以上4.0eV以下である材料を含む、請求項8に記載の撥水性フィルムの製造方法。
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