JP2015122358A - コイル部品 - Google Patents

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【課題】 ギャップ内部への充填材の充填性が良好なコイル部品を提供すること。【解決手段】 コイル20の周囲は、軟磁性コアである上部コア13、下部コア14、内部コア11、12、外部コア15により構成された磁気回路を構成し、コイル部品1を構成している。また、内部コア11、12の間にスペーサ30のギャップ部32を介在し、コイル20と、内部コア11、12との間にスペーサ30の絶縁部31を介在している。ギャップ部32と絶縁部31が一体成形したスペーサ30は、内部コア11と内部コア12との間を遮らない開口部を有している。【選択図】図1

Description

本発明は、昇圧回路の構成に用いられるコイル部品に関する。
複数の磁性体コアとコイルとから成る従来のコイル部品は、磁性体コアと磁性体コアとの間にギャップ形成用のスペーサを配置し、磁性体コアとコイルとの間に絶縁性のボビンやスペーサを配置した構造のものが多く用いられている。この場合、それぞれの箇所に個別のスペーサが配置されるのが一般的である。
しかし、従来の方法では部品点数が多くなり、管理工数の増加や、コストが高くなるという問題があった。また、組み立て作業の効率が悪いという問題があった。
その対策として、特許文献1に開示された方法がある。特許文献1では、磁性体ブロック間にスペーサを配置して磁性体ブロック間のギャップを確保すると共に、該スペーサにコアとコイルの絶縁機能を持たせるようにした方法が記載されている。
特開2009−259986号公報
複数の磁性体コアとコイルとからなるコイル部品では、磁性体コアの間や、磁性体コアとコイルとの間の隙間に、樹脂から成る充填材を流し込む方法が一般的である。
従来技術は、磁性体コア間の外周部を覆っている枠体に切り欠きを設けることで、充填材をギャップ内部に流し込む方法をとっている。しかしながら、ギャップである磁性体コア間の間隔が狭いため、切り欠きを設けていても枠体が邪魔となり、充填材のギャップ内部への充填率が悪いという課題がある。
そこで本発明は、ギャップ内部への充填材の充填性が良好なコイル部品を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明のコイル部品は、第1の軟磁性コアと、第2の軟磁性コアと、導体線を巻き回したコイルと、スペーサとを備え、前記スペーサはギャップ部と絶縁部を有し、前記第1の軟磁性コアと前記第2の軟磁性コアとの間の一部に前記ギャップ部を配置し、前記第1の軟磁性コア、前記第2の軟磁性コアおよびギャップ部の周囲に前記コイルを配置し、前記第1の軟磁性コアと前記コイルとの間および前記第2の軟磁性コアと前記コイルとの間の一部に前記絶縁部を配置し、前記スペーサは、前記第1の軟磁性コアと前記第2の軟磁性コアとの間を遮らない開口部を有していることを特徴とする。
また、本発明のコイル部品のギャップ部は、放射形状であることが望ましい。
また、本発明のコイル部品は、放射状に少なくとも3本の前記ギャップ部を有していることが望ましい。
また、本発明のコイル部品の絶縁部は、前記第1の軟磁性コアおよび前記第2の軟磁性コアを挟み込むバネ状の係止爪を有していることが望ましい。
本発明によれば、第1の軟磁性コアと第2の軟磁性コアとの間を遮らない開口部を有することにより、充填材の流れ込みを邪魔するものがないため、ギャップ内部への固定樹脂の充填が良好に行われる。
以上のことより、ギャップ内部への充填材の充填性が良好なコイル部品が得られる。
本発明における第1の実施形態によるコイル部品であり、コイルの中心軸を含む断面図である。 本発明の第1の実施形態における内部コアとスペーサの斜視図である。 本発明の第1の実施形態において、変形例のスペーサを用いた場合のコイル部品であり、コイルの中心軸を含む断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明における第1の実施形態によるコイル部品であり、コイルの中心軸を含む断面図である。
図1に示すように、本実施形態によるコイル部品1は、軟磁性コアからなる内部コア11、内部コア12、上部コア13、下部コア14および外部コア15と、コイル20と、スペーサ30、33、34を備えている。
本実施形態では、内部コア11が第1の軟磁性コア、内部コア12が第2の軟磁性コアを示している。
内部コア11と内部コア12の間に、スペーサ30のギャップ部32を介在し、内部コア11、内部コア12の外側には、スペーサ30の絶縁部31を挟んでコイル20が配置されている。さらに、コイル20の外側には外部コア15が配置されている。
上部コア13は、スペーサ33を介して内部コア11に接し、内部コア11と外部コア15を相互に連結している。同様に、下部コア14は、スペーサ34を介して内部コア12に接し、内部コア12と外部コア15を相互に連結している。
上部コア13、下部コア14、外部コア15はそれぞれ結合して、一つの軟磁性コアを形成している。この結合方法に制限はなく、接着等で適宜行えばよい。
また、図示していないが、断面全体は充填材である固定樹脂が充填されている。
上部コア、内部コアおよび下部コアの間にそれぞれ磁気ギャップを構成することで、各々の軟磁性コアの磁気飽和を抑制し、コイルへの直流重畳電流に対して必要なインダクタンスが得られる。
また、内部コア11と内部コア12の間にギャップ部32が介在することで、内部コア間のギャップのバラツキを抑制できる。
また、コイル20と、内部コア11、12との間に絶縁部31を介在することで、内部コアとコイル間との望ましい距離を維持でき、絶縁性を保つことが容易となる。
さらに、スペーサ30がギャップ部32と絶縁部31を有することで、内部コア間および内部コアとコイルとの間にそれぞれスペーサを介在させる場合に比べて、部品点数を削減できるため、それに伴い、コストの削減および管理工数の削減が可能となる。
ここで、スペーサ30、33、34は、例えばポリアミド等により構成することができる。また、樹脂等の有機物で構成して、ある程度の柔軟性を持たせることで、コイル20表面との衝突による損傷を防ぐことができる。
スペーサ30の絶縁部31およびギャップ部32は同一の材料で構成してもよいし、それぞれ別の材料で構成してもよい。
また、上記軟磁性コアは、例えば鉄系の圧粉磁心による構成することができる。
図2は、本発明の第1の実施形態における内部コアとスペーサの斜視図である。
図2に示すように、本実施形態のスペーサ30、33、34は4本のスペーサが放射状にあることで十字を形成している。本実施形態のスペーサ30は、前述したように、この十字状の枝部分がギャップ部32で、十字状の枝部分の先端部がコイル巻き軸方向に延長した部分が絶縁部31である。
ギャップ部32の隣り合う十字状の枝の先端部と、第1の軟磁性コアと、第2の軟磁性コアとで囲まれた空間が開口部であり、開口部は、第1の軟磁性コアと第2の軟磁性コア間を遮るものがないため、一方の十字状の枝側から他方の十字状の枝側へと固定樹脂が流れ込みやすい。そのため、内部コア11と内部コア12の間における固定樹脂の充填率が高くなる。固定樹脂が高い熱伝導率を有する場合、コア間の熱伝導率が上がり、コアからの放熱性が向上する。
また、絶縁部31は十字状の枝の先端部がコイル巻き軸方向に延長した形状をしているため、隣り合う絶縁部31間に固定樹脂が流れ込みやすい。そのため、コイル20と、内部コア11、12との間における固定樹脂の充填率が高くなり、コイルとコア間の絶縁性が向上する。
スペーサ30がギャップ部32と絶縁部31を一体形成していることで、内部コア間および内部コアとコイルとの間にそれぞれスペーサを介在させる場合に比べて、組み立て作業の効率が向上する。また、内部コア11と内部コア12、およびコイル20と、内部コア11、12との正確な位置決めを容易に行える。
次に、第1の実施形態でのスペーサ30の変形例について説明する。
図3は、本発明の第1の実施形態において、変形例のスペーサを用いた場合のコイル部品であり、コイルの中心軸を含む断面図である。つまり、第1の実施形態のコイル部品において、スペーサ30を本変形例でのスペーサ54に置き換えた場合の断面図である。
本変形例のスペーサ54の形状は、第1の実施形態でのスペーサ30と同じである。ただし、本変形例のスペーサ54は、絶縁部71の端部に一体形成された係止爪70を有しており、絶縁部71と係止爪70とでL字型の形状をしている。また、係止爪70は挟み込む内部コア11、12側である、ギャップ部72の中心を向くように設けられており、内部コア11、12の接触面の背面側はテーパ形状を有している。
本変形例の場合、係止爪70が絶縁部71よりギャップ部72の中心側へ飛び出しているため、絶縁部71はバネ性を有しているのが望ましい。
本変形例のスペーサ54を用いた場合、内部コア11をスペーサ54の係止爪70側からギャップ部72側へ挿入すると、内部コア11は係止爪70と接触する。しかし、絶縁部71はバネ性を有しており、係止爪70はテーパ形状を有しているため、内部コア11によって外側に押し広げられる。
内部コア11が係止爪70を通り過ぎると、係止爪70はバネの弾性によって内側に戻り、内部コア11をギャップ部72側へ押さえ込むようにして固定する。
内部コア12も内部コア11と同様に、係止爪70によってギャップ部72側へ押さえ込むようにして、スペーサ54に固定される。
このように、内部コア11と、内部コア12とを、係止爪70で挟み込み、スペーサ54と一体化できるため、容易に組み立てを行うことができる。また、コイル部品を組み立てる際に、スペーサ34から順番に内部コア12、スペーサ54、内部コア11、スペーサ33と、一つずつ組み立てる必要がなく、先に、内部コア11、12と、スペーサ54とを組み立てておくことができるため、作業効率を向上できる。
本発明における係止爪は、本変形例の形状に限らず、軟磁性コアをスペーサ内に固定できれば、どのような形状であってもよい。
本実施形態では、下部コア14と、上部コア13と、内部コア11、12と、外部コア15とはそれぞれ独立した軟磁性コアを用いて、一つの軟磁性コアを形成しているが、これに限らない。つまり、本発明による軟磁性コアは、E型の軟磁性コアを二つ向き合わせて結合するEE形状の軟磁性コアであっても構わない。
また、コイル20は、本発明におけるコイルとしての機能を有する限り、どのようなコイルであってもよい。つまり、丸線を巻き回したコイル、フラットワイズ巻き1層のコイル、エッジワイズ巻きのコイルやダブルパンケーキ状に巻き回されたコイルであっても構わない。
本実施形態ではケースおよび蓋を用いていないため、冷却部材をコイル部品に密着させて放熱を促進させる構成の場合、ケースや蓋を介さない分、内部の熱が効率的に放熱できる。
一方、コイル部品が振動等の外部からの力が加わる環境下において用いられる場合には、本実施形態のコイル部品をアルミ等より成るケースおよび蓋によって形成される収容空間に収容しても構わない。
この場合、収容空間の内部に残った隙間を埋めるように、充填材として熱伝導体からなる絶縁性樹脂を充填させてもよい。絶縁性樹脂を充填することによって、軟磁性コアとコイルは、ケースおよび蓋と間接的に接触する。絶縁性樹脂が高い熱伝導率を有する場合、軟磁性コアやコイルから放出された熱は、効果的にケースおよび蓋に伝わり、外部へと放出される。
また、振動等の外部からの力が加えられる環境下で用いられる場合などにおいては、軟磁性コアおよびコイルは所定の位置に維持される。
本実施形態では、ケースおよび蓋を用いていないため、上部コア13と下部コア14、外部コア15は接着等を用いてそれぞれ結合して、一つの軟磁性コアを形成しているが、ケースおよび蓋を用いた場合、接着剤等で固定しなくても構わない。つまり、上部コア13と下部コア14、外部コア15の位置が固定されていればよく、ケースと外部コア15との間、ケースと下部コア14との間、蓋と上部コア13との間に弾性体を介在させてもよい。
ケースと蓋の固定方法に制限はなく、接着や螺子止め等で適宜行えばよい。
また、本実施形態および本変形例のギャップ部は、4本のスペーサが放射状にあることで十字を形成しているが、これに限らず、本発明におけるスペーサは第1の軟磁性コアと第2の軟磁性コアとの間を遮らない開口部を有していればよい。つまり、放射状の3本のスペーサで形成していても、放射状の5本のスペーサで形成してもよく、放射状の本数に制限はない。ただし、本数が多ければ多いほど開口部は狭くなるため、充填材の粘度等の仕様に応じて適宜設定すれば良い。
また、本実施形態および本変形例の絶縁部についても、内部コアとコイル間との望ましい距離を維持でき、絶縁性を保つことができればどのようなものでもよい。絶縁部の本数については、ギャップ部の本数に応じて適宜設定すればよい。つまり、放射状に形成された枝部分の全ての先端部がコイル巻き軸方向に延長していてもよく、一部の枝部分の先端部だけがコイル巻き軸方向に延長していてもよい。また、絶縁部の形状や太さについては、充填材の粘度や熱伝導等の仕様に応じて適宜設定すれば良い。
さらに、絶縁部の端部に一体形成された係止爪は、内部コアを固定できればよく、形成される数に制限はない。つまり、絶縁部の全ての端部に係止爪が形成されていてもよく、一部の端部にのみ係止爪が形成されていてもよい。また、形状についても、軟磁性コアをスペーサ内に収めて、固定するのを妨げない形状であればよい。さらに、係止爪は第1の軟磁性コア側または第2の軟磁性コア側のどちらか一方だけに形成されていてもよい。
次に、第1の実施形態でのスペーサ30の他の変形例について説明する。
本変形例のスペーサは、ギャップ部がC字型の形状をしており、C字型の外周をギャップ部の中心位置から3等分に分ける位置に、絶縁部を形成している。絶縁部はスペーサ30と同様に矩形であり、C字型の外周部からコイル巻き軸方向に延びて、ギャップ部と一体形成している。
本変形例では、ギャップ部がC字型であるため、C字型の輪の開いている空隙部と、第1の軟磁性コアと、第2の軟磁性コアとで囲まれた空間が開口部であり、開口部はコア間を遮るものがないため、固定樹脂が流れ込みやすい。
本変形例では、ギャップ部の3箇所からコイル巻き軸方向に延長して絶縁部を形成しているが、コイル巻き軸方向に延長する絶縁部の形成位置や形成本数、形成太さに制限はない。つまり、内部コアとコイル間との望ましい距離を維持でき、絶縁性を保つことができるものであれば、どのようなものでもよく、適宜設定すればよい。
隣り合う絶縁部間が広いと、隣り合う絶縁部間への充填材の充填率が高くなり、内部コアとコイル間との絶縁性が向上する。また、充填材が高い熱伝導率を有する場合、内部コアとコイル間との熱伝導率も向上するため、隣り合う絶縁部間は広い方が望ましい。
また、本変形例のC字型の空隙部の大きさに制限はなく、内部コア間のギャップのバラツキを抑制できればよく、ギャップ内部に流れ込む充填材を阻害しないよう、充填材の粘度に合わせて適宜設定すればよい。
また、本変形例では、絶縁部に係止爪を設けていないが、作業効率が向上できるので係止爪を設けてもよい。
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は、上記に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の変更や修正が可能である。すなわち、当業者であれば成し得るであろう各種変形、修正もまた本発明に含まれることは勿論である。
1 コイル部品
11、12 内部コア
13 上部コア
14 下部コア
15 外部コア
20 コイル
30、33、34、54 スペーサ
31、71 絶縁部
32、72 ギャップ部
70 係止爪

Claims (4)

  1. 第1の軟磁性コアと、第2の軟磁性コアと、導体線を巻き回したコイルと、スペーサとを備え、
    前記スペーサはギャップ部と絶縁部を有し、
    前記第1の軟磁性コアと前記第2の軟磁性コアとの間の一部に前記ギャップ部を配置し、
    前記第1の軟磁性コア、前記第2の軟磁性コアおよびギャップ部の周囲に前記コイルを配置し、
    前記第1の軟磁性コアと前記コイルとの間および前記第2の軟磁性コアと前記コイルとの間の一部に前記絶縁部を配置し、
    前記スペーサは、前記第1の軟磁性コアと前記第2の軟磁性コアとの間を遮らない開口部を有していることを特徴とするコイル部品。
  2. 前記ギャップ部は放射形状であることを特徴とする請求項1に記載のコイル部品。
  3. 放射状に少なくとも3本の前記ギャップ部を有していることを特徴とする請求項1または2に記載のコイル部品。
  4. 前記絶縁部は前記第1の軟磁性コアおよび前記第2の軟磁性コアを挟み込むバネ状の係止爪を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコイル部品。
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