JP2015121530A - 情報取得装置及び情報取得方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 データベースを参照せずに被検体の状態を判別できる情報取得装置を提供する。
【解決手段】 被検体の情報を取得する情報取得装置100であって、異なる複数の周波数又はビーム径を有するテラヘルツ波を集光して前記被検体に照射する照射部104と、前記被検体を透過又は前記被検体で反射したテラヘルツ波を検出する検出部107と、検出部の検出結果を用いて前記被検体の光学特性のスペクトルを取得するスペクトル取得部123と、スペクトル取得部が取得したスペクトルに基づいて前記被検体の状態を判別する判別部124と、を有し、判別部は、スペクトル取得部が取得した前記被検体の異なる複数の位置それぞれにおける複数のスペクトル間の差異に基づいて前記被検体の状態を判別する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、テラヘルツ波を用いて被検体の情報を取得する情報取得装置及び情報取得方法に関する。
テラヘルツ波は、30GHz以上30THz以下の範囲のうち、任意の周波数帯域の成分を有する電磁波である。近年、テラヘルツ波を用いた非破壊なセンシング技術が開発されている。この周波数帯の電磁波の応用分野として、透視検査装置でイメージングを行う技術、物質内部の吸収スペクトルや複素誘電率を求めて分子の結合状態などの物性を調べる分光技術等が開発されている。こうした技術の応用先として、テラヘルツ波の非侵襲性を活かした医療分野が注目されている。
特許文献1では、生体組織に照射したテラヘルツ波を観測することで、各被検体固有の組織成分濃度の空間分布を取得する方法が開示されている。この方法では、対象とする被検体の状態が既知の部分の周波数スペクトルを予め取得してデータベースを作成し、組織成分濃度の空間分布取得ではこのデータベースを参照する。このように、テラヘルツ波を用いた生体組織の状態判別では、事前に取得したデータベースを参照する方法が基本となっている。これは、テラヘルツ領域に限らず赤外分光やラマン分光によるスペクトルを用いた状態判別でも同様である。
特開2006−90863号公報
しかしながら、生体組織の周波数スペクトルのテラヘルツ波領域には、特徴的なピークが特に少なく、さらに正常組織部と異常組織部とでスペクトルの差が小さいことがある。また、スペクトルの形状や光学特性の値に個体差が現れる傾向が観測されている。そのため、データベースを参照しない状態判別方法が求められる。
特許文献1では、複数の被検体の平均値から作製したデータベースは使用せず、対象とする被検体の状態が既知の部分のテラヘルツスペクトルをデータベースとして使用している。そのため、個体差による違いは含まれない。しかし、状態が既知の部分を予め把握してデータベースを取得しておく必要があるため、全領域において状態が未知の被検体には適用できないことがあった。
本発明は係る課題を鑑みてなされたもので、データベースを参照せずに被検体の状態を判別できる情報取得装置及び情報取得方法を提供することを目的とする。
本発明の一側面としての情報取得装置は、被検体の情報を取得する情報取得装置であって、異なる複数の周波数又はビーム径を有するテラヘルツ波を集光して前記被検体に照射する照射部と、前記被検体を透過又は前記被検体で反射した前記テラヘルツ波を検出する検出部と、前記検出部の検出結果を用いて前記被検体の光学特性のスペクトルを取得するスペクトル取得部と、前記スペクトル取得部が取得したスペクトルに基づいて前記被検体の状態を判別する判別部と、を有し、前記判別部は、前記被検体の異なる複数の位置それぞれにおける複数のスペクトル間の差異に基づいて前記被検体の状態を判別することを特徴とする。
本発明の一側面としての情報取得装置によれば、データベースを参照せずに被検体の状態を判別できる。
第1の実施形態の情報取得装置の全体構成図。 第1の実施形態の情報取得方法を表すフローチャート。 (a)は第1の実施形態の被検体の正常組織部における反射率スペクトル、(b)は第1の実施形態の被検体の異常組織部における反射率スペクトル、(c)は第1の実施形態の複数のスペクトル間の差異を説明する図。 (a)は第1の実施形態のテラヘルツ波のビーム径の周波数依存性を説明する図、(b)はテラヘルツ波のビーム径と被検体の正常組織部との関係を説明する図、(c)はテラヘルツ波のビーム径と被検体の異常組織部との関係を説明する図。 (a)は第1の実施形態の生体組織の正常組織部の構成要素の構成比率とビーム径との関係を示す図、(b)は第1の実施形態の生体組織の異常組織部の構成要素の構成比率とビーム径との関係を示す図、(c)は第1の実施形態の生体組織の各構成要素の反射率スペクトル。 第1の実施形態の被検体のHE染色像。 第1の実施形態のスペクトル間の差異の程度の指標例を示す図。 (a)は第1の実施形態の別の被検体としての気孔率が高いセラミック多孔体を説明する図、(b)は第1の実施形態の別の被検体としての気孔率が低いセラミック多孔体を説明する図。 第2の実施形態の画像取得装置の発生部及び検出部の構成図。 (a)、(b)及び(c)は、実施例1の異なる被検体それぞれについて、複数のスペクトル間の差異の程度を説明する図。 (a)は実施例2の被検体の正常組織部における反射率スペクトル、(b)は実施例2の被検体の異常組織部における反射率スペクトル、(c)は実施例2の被検体の周波数毎の複数のスペクトル間の差異を説明する図。 (a)は実施例2の被検体の正常組織部のHE染色像、(b)は実施例2の被検体の異常組織部のHE染色像。 実施例2の複数のスペクトル間の差異の程度を説明する図。
(第1の実施形態)
第1の実施形態の情報取得装置100(以下、「装置100」と呼ぶ)について、図1を参照して説明する。本実施形態では、装置100としてテラヘルツ波パルスを用いた時間領域分光(THz−TDS:THz Time―Domain Spectroscopy)装置を使用する。
まず、装置100の構成について、図1を参照して説明する。図1は、装置100の全体構成図である。装置100は、光源101、照射部104、サンプル部105、検出部107、制御部121、時間波形取得部122(以下、「取得部122」と呼ぶ)、スペクトル取得部123(以下、「取得部123」と呼ぶ)、判別部124、画像形成部125を有する。照射部104は、バイアス電源141と発生部142と放物面鏡143とを有する。
光源101は、超短パルス光を出力する部分である。超短パルス光は、パルス幅がフェムト秒オーダのパルス光を指す。本実施形態の光源101は、パルス幅が10フェムト秒以上100フェムト秒以下のフェムト秒レーザ(以下、レーザと呼ぶ)を出力する。光源101からのレーザは、ハーフミラー102で分岐され、一方はレンズ103により集束して発生部142に照射する。
発生部142は、レーザが入射するとパルス状のテラヘルツ波(以下、パルス波と呼ぶことがある)を発生する部分で、本実施形態では、半導体膜に導体でアンテナを形成した光伝導素子を用いる。これに限らず、半導体基板や有機結晶の表面にレーザを照射する形態や、非線形結晶にレーザを導波させる形態の発生素子等を用いても良い。発生部142は、レーザの入力によりパルス波を発生させれば良く、この目的を実現できる既知の技術が適用できる。
発生部142が発生するパルス波は、複数の異なる周波数成分を含む広帯域なテラヘルツ波である。このようなパルス波を集束して被検体に照射する場合、周波数によって回折限界が異なるため、周波数に応じてそのビーム径が異なることになる。すなわち、パルス波は、異なるビーム径を有する複数の周波数成分を含むテラヘルツ波である。
なお、本明細書の「ビーム径」は、テラヘルツ波を集束して被検体に照射した場合、被検体のうち情報の取得や状態の判別を行いたい面に照射されたテラヘルツ波のビーム径のことである。すなわち、被検体のうち情報の取得や状態の判別を行いたい面でテラヘルツ波が最も集束するように構成した場合、テラヘルツ波が最も集束したときのビーム径を指す。
発生部142のバイアス電圧は電源141により変調されており、変調されたパルス波は放物面鏡143によりサンプル部105の被検体に照射される。その後、被検体を透過又は被検体で反射したパルス波は、放物面鏡106によりテラヘルツ波の検出部107に照射される。
サンプル部105は、被検体としての生体組織を含むサンプルを配置する部分である。不図示の放物面鏡等の組み合わせにより発生部142からのパルス波が被検体に照射され、被検体を透過又は被検体で反射したパルス波が検出部107に入射するように構成されている。被検体は、パルス波の照射位置を選択できる可動式のステージに配置する。可動式のステージに被検体を配置することで、被検体に対するパルス波の照射位置(測定点)を適宜変更できる。
装置100は、パルス波の照射位置を変更しても、パルス波に対する面の傾き及び高さ方向の位置が一定となるように調整可能な形態にすることが望ましい。これは、検出部107として光伝導素子を使用する場合、被検体の傾きやリファレンス面との位置の違いが、周波数に依存した影響をスペクトルに与えるためである。後に述べるスペクトル間の差異による被検体の状態を判別する方法では、スペクトルの周波数依存性に着目するため、装置性能やサンプル形態を要因としたスペクトルの変化をできる限り抑制することが望ましい。
ハーフミラー102で分岐されたレーザの他方は、固定のミラー対108と可動ステージ109に搭載されたミラー対110によって遅延制御されたのち、ミラー111、レンズ112を介して、検出部107に照射される。ミラー対110が搭載された可動ステージ109は、テラヘルツ波帯のパルス波が検出部107で検出されるタイミングを調整する調整部である。具体的には、検出部107に入力されるレーザと、発生部142に入力されるレーザとの相対的な光路長を変化させる。
本実施形態では、光源101と検出部107との間にミラー対110及び可動する可動ステージ109を設け、光源101からのレーザが検出部107に到達するまでの光路長を調整する。この方法に限らず、発生部142に入力されるレーザの経路上にミラー対110と可動ステージ109とを設け、発生部142に入力されるレーザの光路長を変化させても良い。また、光路長を調整する方法として、伝播経路中の屈折率等を変化させることで光路長を変化させる方法等も適用できる。
検出部107は、パルス波とレーザとの入射によりテラヘルツ波を検出する部分である。詳細には、検出部107は、レーザが入射する際に到達するパルス波の電界強度の瞬間値を検出する。本実施形態では、検出部107として光伝導素子を用いる。検出部107は、レーザによりパルス波を検出できれば良く、この目的を実現できる既知の技術が適用できる。
検出部107の検出結果であるテラヘルツ波帯のパルス波による信号は、アンプ113、ロックインアンプ114を通して取得部122、取得部123、判別部124、画像形成部125を経て画像情報などの情報に変換される。
なお、装置100は、CPU、メモリ、記憶デバイス等を備えたコンピュータを有し、このコンピュータが、制御部121、取得部122、取得部123、判別部124、及び、画像形成部125等の機能を有する。また、コンピュータは、記憶部126を有し、検出部107の検出結果やテラヘルツ波の時間波形などを記憶する。また、記憶部126には、図2のフローチャートの各ステップに対応するプログラムが記憶されており、CPUがそのプログラムを読み込んで実行することで各処理が行われる。図2の各ステップについては後述する。
制御部121は、装置100の各構成を制御する部分で、主に、可動ステージ109及びサンプル部105のステージの駆動を制御する。
取得部122は、テラヘルツ波の時間波形を取得する部分である。可動ステージ109及びミラー対110を含む光学遅延部による光路長の調整量と検出部107の検出結果とを用いて時間波形を取得する。
取得部123は、取得部122で取得した時間波形を用いて被検体の光学特性を取得して、横軸を周波数とした光学特性のスペクトルを取得する部分である。取得したスペクトルは、判別部124に伝送される。本実施形態では、光学特性のスペクトルとして、横軸が周波数の反射率スペクトルを用いる。しかし、これに限らず、本実施形態の「光学特性のスペクトル」は、横軸を周波数又は波長又はビーム径としたものを含むと定義する。なお、本明細書の光学特性は、被検体の複素振幅反射率、複素屈折率、複素誘電率、反射率、屈折率、吸収係数、誘電率、電気伝導率等を含むと定義する。
判別部124は、時間波形及び反射率スペクトルを解析して被検体の情報を取得する部分である。具体的には、各照射位置における被検体の状態を判別する。例えば、被検体が生体組織である場合、生体組織に異常が無い正常組織部と、細胞にがん化等の異常が発生している異常組織部を判別する。
装置100では、複数の異なる周波数成分を含む広帯域なテラヘルツ波を被検体に集光する。その際、周波数によって回折限界が異なるため、集光されるビーム径が異なることとなる。周波数によって異なるビーム径に依存した光学特性の変化を用いて被検体の状態を判別する。周波数によって異なるビーム径に依存した光学特性の変化は、反射率スペクトル間の差異を指標にする。スペクトル間の差異から、被検体の状態を判別する方法の詳細は後述する。
画像形成部125は、サンプル部105に含まれるステージを走査することによって変更されたパルス波の照射位置の情報と、判別部124で取得した情報とを用いて画像を生成する部分である。上述のコンピュータの各機能で取得したパルス波の時間波形及びスペクトル、被検体の情報、画像等は、コンピュータと接続されている表示部(不図示)に必要に応じて表示することができる。
以上が、本実施形態の装置100の構成である。ここからは、装置100を用いて、被検体の状態を判別する判別方法について図2を参照して説明する。図2は、装置100を用いて被検体としての生体組織を用い、被検体の状態を判別して、生体組織の状態ごとに色分けした2次元画像を得るためのフローチャートである。
判別方法は、被検体21のうち状態の判別を行いたい対象領域22を決定する第一の処理と、対象領域22全体について、生体組織の状態を判別する第二の処理と、に分けられる。なお、本実施形態の第二の処理は、生体組織の状態を判別した結果を用いて生体組織の状態ごとに色分けした二次元画像を得るステップを有しているが、このステップが必要ない場合は無くしてもよい。
ここで、対象領域は正常組織部と異常組織部とを共に含む領域とする。対象領域の大きさは被検体である生体組織に適した大きさとする。例えば肝細胞がんでは進行度により腫瘍の大きさが異なるが、初期では20mm以下であるため、20mm×40mm程度の大きさであれば正常組織部と異常組織部とを共に含むことができる。
対象領域22を決める第一の処理では、まず、制御部121が、被検体21上で、近接した2点以上の測定点を含む測定点グループA〜Eを複数選択する(S200)。そして、選択した各測定点にテラヘルツ波を照射して、取得部123が各測定点における反射率スペクトルを取得する(S201)。1つの測定点グループA〜E内の各測定点間の距離は、被検体21に照射するテラヘルツ波のビーム径以上とし、複数の測定点グループA〜Eの配置は被検体の面内でランダムに選択する。
選択した測定点全てについて反射率スペクトルを取得したら、判別部124が、各測定点グループ30〜34内の各測定点について取得した複数のスペクトル間の差異を求める(S202)。続いて判別部124は、ステップS202の差異取得ステップで取得した各測定点グループ30〜34の複数のスペクトル間の差異から、各測定点グループ30〜34における被検体の状態を判別する(S203)。
ここで、「複数のスペクトル間の差異」とは、各測定点について測定によって取得した各スペクトルについて、周波数又はビーム径に応じて変化する被検体の光学特性の変化の差異のことを言う。「周波数又はビーム径に応じて変化する被検体の光学特性の変化」は、各周波数又は各ビーム径における被検体の光学特性が、周波数又はビーム径の変化に応じてどのように変化するかという傾向のことである。すなわち、「複数のスペクトル間の差異」は、2点以上の測定点のスペクトルを比較した場合に、この傾向がどの程度異なっているか、すなわち、周波数又はビーム径に依存した被検体の光学特性の変化のばらつきの程度を示す指標である。以降、「複数のスペクトル間の差異」のことを「スペクトルのばらつき」と呼ぶことがあり、両者は同義である。
スペクトルのばらつきは、各測定点グループ30〜34が正常組織部210又は異常組織部211又は正常組織部210と異常組織部211との境界部のどこに存在するかによって異なる傾向がある。そのため、スペクトルのばらつきから各測定点グループ30〜34が被検体21のどの状態の部分に存在しているかを判別できる。本実施形態では、複数のスペクトル間の差異(スペクトルのばらつき)として、スペクトルの形状の違いについて着目する。スペクトルのばらつきを求める方法の詳細については後述する。
具体的には、異常組織部211、境界部、正常組織部210の順にスペクトルのばらつきが大きい傾向がある。そのため、被検体21上の各測定点グループ30〜34について取得されるスペクトルのばらつきの値は、測定点グループ31が最も大きい値、測定点グループ30、34が最も小さい値、測定点グループ32、33がその中間値となる。すなわち、各測定点グループ30〜34について取得されたスペクトルのばらつきの値を比較し、3つに分類することで、被検体21の状態の判別が可能である。
なお、ここで得られた各測定点グループ30〜34のスペクトルのばらつきの値は、測定点グループ31の値を異常組織部211の値、測定点グループ30、34の値を正常組織部210の値、測定点グループ32、33の値を境界部の値として記憶しておく。そうすれば各値を、第二の処理で使用できる。
もし、選択した測定点グループ30〜34全てでスペクトルのばらつきが同等であれば、その領域は全て正常組織部210又は異常組織部211の可能性がある。そのため、別の領域で複数の測定点グループを再度選択し、測定点グループごとにスペクトルのばらつきが異なり、正常組織部210と異常組織部211とが共に含まれると判断できるまでS201からS203までの手順を繰り返す。
正常組織部210と異常組織部211とが含まれる領域が見つかれば、各測定点グループ30〜34の被検体面内における位置と状態の判別結果から、第二の処理で状態の判別を行う対象領域22を決定する。状態の判別を行った色分け画像を取得する必要がない場合は、この時点で操作を終了しても良い。
被検体21の対象領域22について状態の判別及びそれに基づく色分け画像の形成を行う第二の処理では、初めに第一の処理で決定した対象領域22について、2次元ラインスキャン測定を行う(S205)。本実施形態における二次元ラインスキャンを行う際の近接する測定点間距離は、テラヘルツ波のビーム径(〜φ1mm程度)の1/4以上1/5以下に相当する200μm以上250μm以下とする。これによって、大きさが数10μm以上100μm以下程度の細胞の集団である生体組織の状態変化を捉えることができる。
第一の処理と同様に、判別部124が、複数の測定点のスペクトルのばらつきの比較から生体組織21の正常組織部210、異常組織部211、境界部のいずれかを判定する。その際、比較する測定点グループは同一ライン上の隣り合う2つ以上の測定点とする。判別部124は、同一ライン上の隣り合う2つ以上の測定点それぞれのスペクトルのばらつきを、第一の処理で得られた正常組織部210の値及び異常組織部211の値、境界部の値と比較することで状態の判別を行う。
例えば、判別部124は、3つの測定点24のスペクトルのばらつきが小さく、第一の処理における測定点グループ30のばらつきの値及び測定点グループ34のばらつきの値と一致又は近い場合、正常組織部210と判別する(S207)。同様に、判別部124は、3つの測定点25のスペクトルに関しては、3つのスペクトルのばらつきが大きく、測定点グループ31のばらつきの値の範囲内に含まれるため、異常組織部211であると判別する(S208)。また、判別部124は、3つの測定点26のスペクトルのばらつきの値は、測定点グループ32のばらつきの値又は測定点グループ33のばらつきの値と近くなるため、境界部と判別する(S209)。
このような方法で判別部124が全測定点について状態の判別を行う。画像形成部125は、その結果に基づいて全測定点を各々の状態に対応した色で表示するようにすることで、被検体である生体組織の対象領域22を状態ごとに色分けした画像27を得る(S210)。
本実施形態のステップS207、S208、S209では、第一の処理で得た被検体21の状態ごとのスペクトルのばらつきの値を利用しているが、これを利用せずに被検体21の状態を判別することも可能である。例えば、ラインスキャンを行った対象領域22内で複数の測定点グループを作り、第一の処理のように各測定点グループのスペクトルのばらつきを比較して状態を判別できる。
しかし、第一の処理なしでステップS205の2次元ラインスキャン測定を行う場合は、対象領域22に正常組織部210及び異常組織部211が共に含まれているとは限らない。そのため、確実に正常組織部210及び異常組織部211を共に含む領域を対象領域22としたい場合は第一の処理を経ることが望ましい。
このように、本実施形態の装置100によれば、データベースを参照しなくても、異なる複数の測定点にテラヘルツ波を照射して取得したスペクトルのばらつきに基づいて、被検体21の状態を判別できる。
ここからは、被検体の状態を判別する方法の概要として、生体組織の状態によりスペクトルのばらつきが異なる理由、及び、スペクトルのばらつきの取得方法について、図3及び図4を参照して述べる。
図3(a)は、パラフィン包埋のヒト肝臓固定ブロックにおける正常組織部内の3点を装置100により測定することで得られた反射率スペクトルである。図3(b)は、パラフィン包埋のヒト肝臓固定ブロックにおける異常組織部内の3点を装置100により測定することで得られた反射率スペクトルである。反射率スペクトルの横軸は周波数、縦軸は反射率である。周波数は、0.8THz、1.2THz、1.5THz、2.0THz、2.5THzの5点について示した。図3(c)は、図3(a)及び図3(b)の反射率スペクトルそれぞれについて周波数ごとの反射率のばらつき(スペクトル間の差異)を標準偏差(σ1)として表したものである。
図3(c)を見ると、周波数1.2THzの場合を除いて、異常組織部は、正常組織部と比較して標準偏差σ1が大きい傾向があることが分かる。また、正常組織部では周波数が異なっていても標準偏差σ1の変化が小さいのに対し、異常組織部では標準偏差σ1の周波数ごとの変化が大きい。すなわち、周波数に応じて変化する反射率の変化の傾向にばらつきがある。
異常組織部でスペクトルのばらつきの程度が大きくなる主な要因として、テラヘルツ波のビーム径と生体組織の細胞の大きさとの関係が挙げられる。図4(a)に、装置100におけるテラヘルツ波のビーム径の周波数依存性を示す。なお、図4(a)において、テラヘルツ波の伝播方向をX軸、伝播方向と垂直な方向をY軸としている。
本実施形態のテラヘルツ波はパルス波であるため、複数の異なる周波数成分を含む。波長の長い(1THzで300μm)テラヘルツ波領域では、放物面鏡等のミラーで集束したテラヘルツ波のビーム径はミリ単位となり、さらに周波数に対してサブミリ単位で変化する。一方、生体組織を形成する細胞個々の大きさは数10μm以上100μm以下程度である。つまり、ビーム径がミリ単位のテラヘルツ波では、個々の細胞ではなく細胞の集団を捉えて観測していることになり、観測する領域の大きさ、すなわちビーム径は周波数により異なる。
THz−TDS法を応用する装置100では、ビーム径の異なる複数の周波数の光が、ビーム径の中心が同一になるように集束される。そのため、周波数又はビーム径が異なっていてもビーム径の中心が略一致し、様々な周波数、ビーム径による生体組織のスペクトルの違いを比較することができる。
生体組織の異常組織部211では、一般的に細胞が増殖期にあるため核酸が増加し、正常組織部210と比較して細胞核が大きくなる。また、異常組織部211では、正常組織部210の細胞と比較して細胞の重積や細胞配列の乱れが観測され細胞が密集する傾向がある。
図4(b)は、細胞の重責や細胞配列の乱れがなく細胞が均一に分布する正常組織部210に対するテラヘルツ波のビームを模式的に表した図である。また、図4(c)は、細胞が部分的に密集し不均一に分布する異常組織部211に対するテラヘルツ波のビームを模式的に示した図である。細胞の存在しない部分には、コラーゲン線維などの線維成分及び糖たんぱく質などで構成された間質が存在する。
細胞が均一に分布する正常組織部210と比較して、細胞が不均一に分布する異常組織部211では、細胞や間質の構成比率がビーム径ごとに大きく変化することが分かる。このビーム径による生体組織の細胞や間質の構成比率の違いは、テラヘルツ領域における各周波数の反射率又は透過率等の光学特性に反映され、結果として正常組織部210と異常組織部211でスペクトルの形状に違いが現れる。
さらに、細胞が均一に分布する正常組織部210では同じ被検体であれば測定点により細胞の分布状態はそれほど変わらないが、細胞が不均一に分布する異常組織部211では同じ被検体であっても測定点により細胞の分布状態が異なる。
以上のことから、生体組織の異常組織部211におけるテラヘルツ領域のスペクトルは、正常組織部210と比較して、スペクトルの形状が異なり、さらに測定点によるスペクトル形状の違いも観測される。つまり、生体組織の正常組織部210と異常組織部211におけるテラヘルツ領域のスペクトルには、その形状に測定点による違いが観測されるため、スペクトルのばらつきに基づいて生体組織の状態の判別が可能である。
また、ビーム径に依存した構成比率の変化に加えて、周波数に依存した散乱もスペクトルのばらつきの要因となり得る。前述のように、生体組織の異常組織部211では細胞が部分的に密集し不均一に分布する傾向がある。細胞個々の大きさは、数10μm以上100μm以下程度であるため、部分的に密集した細胞の大きさは100μmから数100μm程度となる。テラヘルツ波の波長は1THzで300μmであり、波長と同程度の粒子が存在するとミー散乱(Mie scattering)が生じる。そのため、テラヘルツ波の波長程度に相当する数100μm程度の大きさに密集した細胞が異常組織部211に存在すると、テラヘルツ波が散乱されスペクトルの形状に影響を与える。
反射又は透過測定の場合、被検体21で散乱されたテラヘルツ波は、検出部107に到達しないため検出されない。そのため、反射率スペクトル又は透過率スペクトルにおいて散乱の影響を受けた周波数の反射率又は透過率は異常に低くなる。具体的には、部分的に密集した細胞の大きさが100um程度の場合は約3THz、300um程度の場合は約1THzのテラヘルツ波を含めた高周波側で、反射率又は透過率が低くなる。
反射率又は透過率等の光学特性の値が低くなる周波数帯域は、散乱体となる密集した細胞の大きさに依存して変化し、散乱体が大きいほど低周波側になる。密集した細胞の大きさは、異常組織部211内でも様々であるため、異常組織部211では正常組織部210と比較して散乱を要因としたスペクトルのばらつきが生じ得る。
本実施形態の装置100は、ビーム径の異なる複数の周波数の光が同一点に集束する構成である。つまり、ビーム径と周波数とが同時に変化する。細胞が部分的に密集し不均一に分布する傾向がある異常組織部211では、ビーム径により構成比率の変化が正常組織部210と比較して大きくなり、測定点ごとのスペクトルのばらつきが大きくなる。また、異常組織部211内に、被検体21に照射するテラヘルツ波の波長程度の大きさの密集した細胞が存在している場合、密集した細胞の大きさが大きいほど低周波側、小さいほど高周波側の周波数帯域で散乱が生じやすくなる。そのため、正常組織部210と比較して、測定点ごとのスペクトルのばらつきが大きくなる。
すなわち、THz−TDS装置100を使用する本実施形態では、異常組織部211における細胞の密集を、構成成分の成分比率の変化量の大きさと、テラヘルツ波の波長程度の密集した細胞が存在することによる散乱の程度と、の両面から捉えることができる。
本実施形態の装置100によって、スペクトルのばらつきに基づいて生体組織の状態を判別する方法は、異常組織部211における細胞の不均一な分布がテラヘルツ波の波長程度であることが重要である。装置100では、30GHz以上30THz以下の周波数領域のうち任意の広い周波数領域のスペクトルが得られ、また、周波数によりビーム径に相当する観測領域がサブミリ単位で変化する。そのため、各測定点につき一つの反射率スペクトルがあれば、サブミリ単位の不均一な分布を持つ生体組織の状態を判別できる。
生体組織を構成する細胞の大きさと比較して波長の短い光を用いた場合、一度の測定で複数のサブミリ単位で異なるビーム径を含む光を照射することは難しく、単一の反射率スペクトルを用いた生体組織の状態判別は困難である。
被検体としての生体組織の正常組織部と異常組織部における構成物質の構成比率の違いについてより詳細に説明する。図3(a)及び図3(b)は、パラフィン包埋のヒト肝臓固定ブロックの反射率スペクトルであった。パラフィン包埋の固定ブロックの場合、被検体の間質部分はほぼパラフィンに置き換わるため、生体組織の構成物質は、細胞核、細胞質、パラフィンの3成分に分けることができる。
図5(a)は、反射率スペクトルの測定に用いたパラフィン包埋ヒト肝臓固定ブロックの正常組織部3点それぞれにおける上記3成分の構成比率とビーム径との関係を示す図である。図5(b)は、反射率スペクトルの測定に用いたパラフィン包埋ヒト肝臓固定ブロックの異常組織部3点それぞれにおける上記3成分の構成比率とビーム径との関係を示す図である。これは、パラフィン包埋ヒト肝臓固定ブロックのHE(ヘマトキシリン・エオジン)染色像の画像解析から算出した結果である。
HE染色像は、反射率スペクトルの測定に使用したパラフィン包埋のヒト肝臓ブロックを、その表面から3μm程度切削して薄膜化した後に染色したものを撮像した画像である。HE染色像では、ヘマトキシリン染色部分が主に細胞核、エオジン染色部分が主に細胞質、非染色部分がパラフィン包埋固定ブロックのパラフィン部分に相当する。そのため、測定点におけるHE染色像を様々なビーム径でくり抜き画像解析することで上記3成分の構成比率を算出できる。
図5(a)から、正常組織部3点では細胞質の構成比率が高く、3成分の構成比率は測定点により大きく変わらないことが分かる。また、ビーム径による構成比率の変化にも大きな差はない。これは、上述したように、細胞が均一に分布する正常組織部では同じ被検体であれば測定点により細胞の分布状態はそれほど変わらないということを示している。
一方、図5(b)から、異常組織部3点では正常組織部と比較して、各測定点で3成分の構成比率が異なり、また、ビーム径による構成比率の変化の傾向が測定点により異なることが分かる。これは、上述したように、細胞が不均一に分布する異常組織部では同じ被検体であっても測定点により細胞の分布状態が異なるということを示している。
図5(c)は、上述のHE染色像の画像解析の結果と反射率スペクトルとの比較により得た細胞核領域の反射率スペクトル及び細胞質領域の反射率スペクトルと、別途取得したパラフィンの反射率スペクトルである。この図から、3成分で反射率スペクトルの値が異なることが分かる。そのため、3成分の構成比率が異なれば、測定によって得られる反射率スペクトルの値も異なる。
図6は、図3(b)の異常組織部211の反射率スペクトルを得た3測定点のうちの1点のHE染色像である。2.5THzにおけるビーム径に相当する直径1.0mmの領域を示している。異常組織部211には、がん化した肝細胞が凝集している複数の領域601と、炎症細胞などを含む間質が存在する領域602がある。異常組織部211には、領域601のように色が濃い楕円形の領域が不均一に分布している。このように、テラヘルツ波の波長程度となるサブミリ単位で細胞が不均一に密集している異常組織部211では、密集する細胞の大きさが大きいほど低周波まで散乱の影響を受けて、反射率や透過率等の物性値が低く算出される。密集する細胞の大きさにはばらつきがあるため、スペクトルの形状にばらつきが生じ得る。
以上のことから、テラヘルツ領域における生体組織のスペクトルのばらつきから、組織状態の判別が可能であることが示せた。
次に、スペクトルのばらつきを求める方法の一例を説明する。図3(c)は、図3(a)及び図3(b)に示した反射率スペクトルそれぞれについて、スペクトルのばらつきを各周波数における3測定点の標準偏差(σ1)として表わしたものであった。同様に、ステップS200で選択した複数の測定点グループA〜Eそれぞれにおいても、複数の周波数ごとに標準偏差σ1を求めることができる。
正常組織部に存在する測定点グループA及び測定点グループEの標準偏差σ1は、図3(c)における正常組織部3点と同様の傾向となり、異常組織部に存在する測定点グループBの標準偏差σ1は、図3(c)における異常組織部3点と同様の傾向となる。境界部に存在する測定点グループC及び測定点グループDの標準偏差σ1は、それらを混合した傾向となる。
ここでさらに、各測定点グループで得られた周波数ごとの標準偏差(以降、第1の標準偏差と呼ぶ)σ1について第2の標準偏差σ2を求め、これを複数のスペクトル間の差異として用いることができる。上述したように、異常組織部では測定点ごとにスペクトルの形状が異なるため、測定点グループに異常組織部の測定点が含まれれば第1の標準偏差σ1の値のばらつき、つまり第2の標準偏差σ2が大きくなる。そのため、第2の標準偏差σ2の値を正常組織部と異常組織部とを判別するためのスペクトルのばらつきを比較するための指標とすることができる。
図7に、図2に示した各測定点グループ30〜34で得られる第2の標準偏差σ2の例を示す。第2の標準偏差σ2の値は、異常組織部に存在する測定点グループ31で最も大きく、正常組織部に存在する測定点グループ30、34では小さくなる。そして、正常組織部と異常組織部との境界部に存在する測定点グループ32、33では、その中間値となる。
図7の例においては、第2の標準偏差σ2が0.0006以上の場合は異常組織部、0.0002より大きく0.0006より小さい場合は境界部、0.0002以下の場合は正常組織部と判別できる。このように第2の標準偏差σ2は、図2の第一の処理及び第二の処理における被検体の状態の判別及び第二の処理における色分けの指標とすることができる。
図6に示したように、サブミリ単位で細胞が不均一に凝集している異常組織部では、ビーム径が変化すると構成物質の構成比率が数%程度の範囲で変化し、散乱の影響も反映され得る。そのため、第2の標準偏差σ2のようなスペクトルのばらつきを示す指標を用いて状態を判別できる。
前述したように、数10μm以上100μm以下程度の細胞の集合体である生体組織の場合、異常組織部における細胞の不均一性はサブミリ程度である。これは、肝臓の肝細胞がんのみに限らず、大腸や胃の腺がんでも同様である。大腸や胃の腺がんでは、正常組織部の粘膜層と比較して、異常組織部の粘膜上皮細胞の形状と粘膜の間質に相当する粘膜固有層の形状とにサブミリ単位で乱れが生じ、肝細胞がんと同様にその乱れは位置により異なり不均一である。そのため、肝臓に限らず、異常組織部でサブミリ単位の不均一性が生じる生体組織であれば、ビーム径がミリ単位であるテラヘルツ波のスペクトルのばらつきから状態の判別が可能である。
生体組織の状態の判別の場合、ばらつきの程度の取得に利用するテラヘルツ領域の周波数は、構成物質のサブミリ単位の不均一性を観測できるビーム径が0.5mm以上3.0mm以下の周波数が適当である。この周波数帯域には、散乱を要因としたばらつきを捉えるためには、密集した細胞の大きさとして予測される100um程度以上の波長に相当する3.0THz以下の帯域が含まれることが望ましい。
スペクトルのばらつきを取得するための周波数は、少なくとも2点必要であり、判別の精度を上げるためにはビーム径の異なる周波数点を追加していく必要がある。装置100で得られるスペクトルの帯域と周波数分解能は、使用する発生素子、及び検出素子、時間波形を取得する際の遅延光学系の掃引距離等に依存するが、数THzまでのスペクトルを数10GHzの分解能で得られる。そのため、周波数点の追加は容易である。
また、本実施形態の装置100及び判別方法における被検体21は、生体組織に限らず、サブミリ単位の不均一性を持つ生体組織以外の物質にも適用可能である。例えば、サブミリ単位の気孔が存在する金属やセラミック、樹脂などの気孔の分布の状態の判別にも適用できる。
セラミック多孔体の場合、用途に合わせて数Åから数mmの様々な大きさの気孔を持つものが存在する。図8(a)はサブミリ単位の気孔が存在し気孔率が高い場合の断面図で、図8(b)はサブミリ以下の気孔が存在し気孔率が低い場合の断面図である。
上述した生体組織の状態の判別方法と同様の手順で、図8(a)及び図8(b)の各セラミック多孔体内に複数の測定点グループを選択し、反射率スペクトルのばらつきとして第2の標準偏差σ2を算出できる。
不均一に分布するサブミリ単位の気孔が存在し気孔率が高い場合、テラヘルツ波のビーム径内に気孔が含まれる確率が高くなり、測定点ごとにその割合は異なる。セラミック多孔体では、セラミック領域と気孔領域とでテラヘルツ波スペクトルが異なる。そのため、気孔率が高い場合は測定点ごとのテラヘルツ波スペクトルのばらつきの程度に違いが現れる。一方、サブミリ以下の気孔が存在し気孔率が低い場合、テラヘルツ波のビーム径内に気孔が含まれる確率は低くなり、測定点ごとにその割合に大きな変化はない。そのため、気孔率が低い場合は測定点ごとのテラヘルツ波スペクトルのばらつきに大きな違いが現れない。
以上のことから、セラミック多孔体における複数の測定点グループにテラヘルツ波を照射して取得した反射率スペクトルについて第2の標準偏差σ2を求め、それらを比較することで気孔率の違いを調べることができる。これを換言すると、図2に示した判別方法と同様の手順によれば、サブミリ単位の気孔が存在する金属やセラミック、樹脂などの気孔の気孔率の違いから、気孔の分布の状態を判別することができる。
本実施形態の装置100及びそれを用いた判別方法によれば、データベースを参照せずに被検体の状態を判別できる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態の情報取得装置910(以下、「装置910」と呼ぶ)について図9を用いて説明する。第1の実施形態の装置100は、テラヘルツ波パルスを用いてテラヘルツ波の時間波形を取得していた。本実施形態では、複数の異なる周波数のテラヘルツ波の連続波を各周波数に対応したビーム径に変調し、複数の異なるビーム径のテラヘルツ波を被検体に照射して測定する。なお、第1の実施形態と同様の構成については、説明を省略する。装置910も、図2のフローチャートの各ステップに対応するプログラムが記憶されている記憶部126を有しており、CPUがそのプログラムを読み込んで実行することで各処理が行われる。
図9は、装置910の照射部と検出部の構成図である。本実施形態の照射部900は、異なる複数の周波数の連続波を発生する光源を含む連続波光源901とビーム径変調部902とを含む。連続波光源901から発生したテラヘルツ波の連続波は、ビーム径変調部902により様々なビーム径に変調され、サンプル部903で被検体に照射される。その後、被検体を透過又は被検体で反射したテラヘルツ波を、検出部としての検出器904で検出する。
テラヘルツ波の連続波を発生する光源901としては、共鳴トンネルダイオード発振器や量子カスケードレーザなどがある。ビーム径変調部902は、異なる周波数ごとにビーム径を変化させる手段を用意する。具体的には、異なる周波数の連続波を集光するために使用するミラーやレンズの焦点距離を調整すること等により、ビーム径を変調できる。異なる周波数の連続波を発生する複数の光源を用意した場合、異なる周波数でもビームの中心位置を合わせる手段が必要となる。検出器904としては、CMOS型やショットキー型などが挙げられる。
本実施形態では、異なる周波数の連続波を発生させる光源を複数用意することで、各測定点グループの第2の標準偏差σ2を求めることができる。すなわち、複数の異なるビーム径のテラヘルツ波を被検体に照射してビーム径ごとの光学特性を取得することができるため、上述した第1の実施形態と同様のシーケンスによりスペクトルのばらつきに基づいて生体組織の状態を判別できる。
本実施形態では、2つ以上の周波数が異なるテラヘルツ波の連続波を各周波数に応じたビーム径に変調して被検体に照射することで測定を行っている。しかし、これに限らず、同じ周波数のテラヘルツ波の連続波のビーム径を変調して、被検体に照射して測定しても良い。この場合でも、ビーム径を横軸とした反射率のデータを取得できれば、ビーム径の違いによる被検体の光学特性の変化の傾向のばらつきを調べることができ、被検体の状態を判別できる。ここで得られる正常組織部及び異常組織部それぞれの反射率データは、図3(a)、図3(b)のスペクトルから周波数に依存した散乱による影響が除かれ、横軸がビーム径に変換されたものに相当する。
また、同じビーム径の異なる周波数のテラヘルツ波の連続波を被検体に照射して測定しても良い。この場合は、周波数による散乱の影響の違いによる被検体の光学特性の変化の傾向のばらつきを調べることができる。ここで得られる正常組織部と異常組織部の反射率データは、横軸が周波数であり図3(a)、図3(b)に示したスペクトルと類似しているが、異なる周波数でもビーム径が同一であるため構成成分の変化は反映されていないデータとなる。
本実施形態の装置910及びそれを用いた判別方法によれば、データベースを参照せずに被検体の状態を判別できる。
(実施例1)
実施例1として、第1の実施形態の装置100について、より具体的に説明する。本実施例では、被検体として生体組織を用い、生体組織としてパラフィン包埋のヒト肝臓固定ブロックを用いる。また、5つの周波数のテラヘルツ波(0.8THz、1.2THz、1.5THz、2.0THz、2.5THz)を含むパルス波を用いて測定を行い、それらのテラヘルツ波の検出結果からスペクトルのばらつきとして第2の標準偏差σ2を求める。
図3(c)は、図3(a)及び図3(b)に示した反射率スペクトルを用いて、各周波数における反射率のばらつきを第1の標準偏差σ1として表わしたものである。これら正常組織部と異常組織部それぞれにおける3つの測定点の各周波数における第1の標準偏差σ1について、スペクトルのばらつきの指標としてさらに第2の標準偏差σ2を求めた結果を図10(a)に示した。正常組織部3点における第2の標準偏差σ2はD、異常組織部3点の第2の標準偏差σ2はAである。図10(a)にはさらに、異常組織部2点と正常組織部1点からなる測定点グループ、及び、異常組織部1点と正常組織部2点からなる測定点グループを測定して取得した第2の標準偏差σ2をそれぞれB、Cとして示した。
上述したように、異常組織部では測定点ごとにスペクトルの形状が異なるため、第1の標準偏差σ1を算出する際の測定点の組み合わせに異常組織部の測定点が含まれれば第1の標準偏差σ1の値のばらつき、つまり第2の標準偏差σ2が大きくなる。そのため、第2の標準偏差σ2の値を正常組織部と異常組織部とを判別するためのスペクトルのばらつきを比較する指標とすることができる。
実際に、図10(a)に示したように、第2の標準偏差σ2は、3測定点全てが異常組織部の場合(A)に最も大きい値となり、逆に3測定点全てが正常組織部の場合(D)に最も小さい値となる。また、異常組織部と正常組織部とが混在する場合(B、C)ではその中間値となっている。この傾向は、他の被検体にも当てはまる。図10(b)及び図10(c)は、図10(a)に示した第2の標準偏差σ2の取得に用いた被検体とは異なる個体の2つの被検体を装置100で測定して、上述と同様の方法で第2の標準偏差σ2を取得した結果である。被検体により第2の標準偏差σ2の値に差はあるが、その傾向はいずれも同様である。
このような第2の標準偏差σ2の傾向から、各測定点グループについて第2の標準偏差σ2の値を求めれば被検体の状態を判別できる。具体的には、被検体がパラフィン包埋のヒト肝臓固定ブロックの場合は、第2の標準偏差σ2が0.0002以下の測定点グループは正常組織部、第2の標準偏差σ2が正常組織部の3倍以上の測定点グループは異常組織部と判別できる。また、第2の標準偏差σ2がそれらの値の間の測定点グループは境界部と判別できる。
3検体のヒト肝臓固定ブロックにおける第1の標準偏差σ1と生体組織内の構成物質の構成比率変化量との関係について説明する。第1の標準偏差σ1の値は、各周波数における測定点ごとの生体組織構成物質の構成比率の違いを反映している。
図3(c)で正常組織部3点の組み合わせの場合、第1の標準偏差σ1の値は2.5THz以外では周波数に依らずほぼ0.0005である。図5(c)の3つの構成物質の反射率スペクトルを利用して第1の標準偏差σ1の値が0.0005の場合の構成比率変化量を見積もると、細胞核では±0.9%、細胞質では±1.0%、パラフィンでは±1.2%の違いに相当する。
また、異常組織部3点の測定点グループの場合、第1の標準偏差σ1は、ビーム径が1.0mm程度である2.5THzで最大値0.002となり、ビーム径が1.5mm程度である1.2THzで最小値0.0002となる。前者の場合の構成比率変化量を見積もると、細胞核では±4.0%、細胞質では±4.5%、パラフィンでは±5.5%の違いに相当する。後者の場合の構成比率変化量を見積もると、細胞核では±0.4%、細胞質では±0.4%、パラフィンでは±0.5%の違いに相当する。
つまり、図10(a)の第2の標準偏差σ2の値は、測定点ごとの細胞核、細胞質、パラフィンの構成比率変化量が±1.0%程度となる正常組織部と、±0.4%から±5.5%程度の範囲となる異常組織部とを判別する指標となっている。この範囲は、被検体に依存して変化するが、本実施例で示した程度の値の場合、構成物質の測定点ごとの構成比率変化量が数%の範囲で変化する対象物の状態を判別できる。
以上、本実施例の装置100及びそれを用いた判別方法によれば、データベースを参照せずに被検体の状態を判別できる。
(実施例2)
実施例2として、第1の実施形態の装置100の別の一例について、より具体的に説明する。実施例1では被検体となる生体組織としてパラフィン1203で包埋したヒト肝臓固定ブロックを用いたが、本実施例では、被検体となる生体組織としてパラフィン包埋のヒト大腸固定ブロックを用いる。5つの周波数のテラヘルツ波(0.8THz、1.0THz、1.2THz、1.6THz、2.0THz)を含むパルス波を用いて測定を行い、それらのテラヘルツ波の検出結果からスペクトルのばらつきとして第2の標準偏差σ2を求める。
本実施例における異常組織部は、大腸の粘膜層にがんが形成される大腸腺がんである。図11(a)は、パラフィン包埋のヒト大腸固定ブロックにおける正常組織部3点における、横軸を周波数とした反射率スペクトルである。図11(b)は、パラフィン包埋のヒト大腸固定ブロックにおける異常組織部3点における横軸を周波数とした反射率スペクトルである。図12(a)、図12(b)は、それぞれ大腸の正常粘膜層1201周辺と、大腸腺がん領域におけるHE染色像である。大腸の正常粘膜層1201は厚さが1mm程度であるが、異常組織部ではがん化した細胞が増殖し、厚さが数mmから数10mmに達する。
前述のように、テラヘルツ波のビーム径はサブミリ単位である。そのため、ビーム径が正常粘膜層1201の厚さよりも大きい周波数帯域では、正常粘膜層1201を測定点の中心としたスペクトルに周囲の粘膜下層1202領域、パラフィン1203領域の影響が含まれる。そのため、図11(a)の正常組織部の反射率スペクトルでは、画像解析により周囲の粘膜下層1202領域、パラフィン1203領域の成分を除去している。
図11(c)は、正常組織部及び異常組織部それぞれについての第1の標準偏差σ1である。第一の実施形態のヒト肝臓固定ブロックと同様に、異常組織部では正常組織部と比較して第1の標準偏差σ1が大きい傾向があることが分かる。
また、図11(c)に示した第1の標準偏差σ1から算出される第2の標準偏差σ2を図13に示す。正常組織部と異常組織部各3測定点のみの第2の標準偏差σ2が図中のDとAである。異常組織部2点と正常組織部1点からなる測定点グループ、及び、異常組織部1点と正常組織部2点からなる測定点グループについて取得した第2の標準偏差σ2が図中のBとCである。
ヒト大腸固定ブロックの場合、第2の標準偏差σ2が0.0001以下の測定点グループは正常組織部、第2の標準偏差σ2が正常組織部の5倍以上の測定点グループは異常組織部と判別できる。第2の標準偏差σ2がそれらの値の間の測定点グループは正常組織部と異常組織部との境界部と判別できる。すなわち、本実施例の装置100及びそれを用いた判別方法によれば、データベースを参照せずに被検体の状態を判別できる。
実施例1のヒト肝臓固定ブロックと比較して、本実施例のヒト大腸固定ブロックでは第1の標準偏差σ1の値が大きい。これは、正常組織部において肝細胞が多くを占める均一性が高い肝臓と、正常組織部であっても粘膜層内でさらに上皮や固有層等に細分され不均一性がある大腸の組織構造の違いを反映していると考えられる。つまり、対象とする臓器やがんの種類によりばらつきの指標となる第1の標準偏差σ1や第2の標準偏差σ2の値は異なる。
実施例1のヒト肝臓固定ブロックの場合、異なる検体であっても第2の標準偏差σ2が0.0002以下であれば正常組織部、第2の標準偏差σ2が正常組織部の3倍以上であれば異常組織部を有する肝細胞がんと判別できた。そのため、対象とする臓器とがんの種類が同一であれば、新たな検体の組織状態の判別に、他検体で取得したばらつきの指標の値を参照することも可能である。対象とする臓器やがんの種類によりばらつきの指標となる値が異なるため、様々な臓器、がんについてばらつきの指標となる値を蓄積し備えておけば、臓器自体が未知の場合であっても、臓器と生体組織の状態を同時に判別することができる。
実施例1、実施例2ともに第1の実施形態に記述した装置100を用いた例であった。しかし、異常組織部において密集した細胞による散乱が大きく、検出されるテラヘルツ波強度が弱くなると信号取得精度が劣化し、スペクトルのばらつきを算出することが難しくなることがある。この場合は、第2の実施形態のように、連続波のビーム径を変調することにより構成成分の構成比率変化からばらつきを得る形態が望ましい。連続波の周波数として、散乱の影響が小さい低周波側を選択し、第2の実施形態に記述したようにビーム径を変化させることでばらつきを得る。
装置100のようなTHz−TDS装置は、ビーム径と周波数とが同時に変化するため、異常組織部における構成成分の構成比率変化の大きさと密集した細胞の大きさの両面から、異常組織部におけるスペクトルのばらつきが捉えられる。しかし、異常組織部における構成成分の構成比率の変化が正常組織部における変化と区別がつかないほど小さい場合や、密集した細胞による散乱が強く信号取得精度が保証できない場合は、連続波の使用が望ましいことがある。前者の場合は同一のビーム径の異なる周波数成分を有する複数の連続波、後者の場合は同一の周波数の異なるビーム径を有する複数の連続波を使用すると良い。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
例えば、上述の実施形態では、スペクトルのばらつきとして第1の標準偏差及び第2の標準偏差を取得しているが、これに限らず、ビーム径又は周波数の変化に応じた光学特性の変化の傾向を比較できれば良い。
また、上述の実施形態では、スペクトルとして反射率スペクトルを用いてスペクトルのばらつきを取得しているが、これに限らず、被検体の光学特性のスペクトルであれば、いずれも被検体の状態の判別に用いることができる。例えば、透過率スペクトル又は屈折率スペクトルを取得し、上述の方法と同様にスペクトルのばらつきを求めれば、スペクトルのばらつきに基づいて被検体の状態を判別できる。スペクトルの種類は、被検体の種類や状態、装置性能等に基づいて適宜選択することが望ましい。
なお、本発明は例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施態様をとることが可能である。また、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
また、本発明はソフトウェアのプログラムをシステム或いは装置に直接或いは遠隔から供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータが該供給されたプログラムコードを読み出して実行することによって前述した実施形態の機能が達成される場合を含む。この場合、供給されるプログラムは実施形態で図に示したフローチャートに対応したコンピュータプログラムである。従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。
つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であっても良い。
コンピュータプログラムを供給するためのコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、例えば、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ等でも良い。また、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM、DVD−R)などでも良い。
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、該ホームページから本発明のコンピュータプログラムをハードディスク等の記憶媒体にダウンロードすることが挙げられる。この場合、ダウンロードされるプログラムは、圧縮され自動インストール機能を含むファイルであっても良い。また、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
104 照射部
107 検出部
123 スペクトル取得部
124 判別部

Claims (14)

  1. 被検体の情報を取得する情報取得装置であって、
    異なる複数の周波数又はビーム径を有するテラヘルツ波を集光して前記被検体に照射する照射部と、
    前記被検体を透過又は前記被検体で反射した前記テラヘルツ波を検出する検出部と、
    前記検出部の検出結果を用いて前記被検体の光学特性のスペクトルを取得するスペクトル取得部と、
    前記スペクトル取得部が取得したスペクトルに基づいて前記被検体の状態を判別する判別部と、を有し、
    前記判別部は、前記スペクトル取得部が取得した前記被検体の異なる複数の位置それぞれにおける複数のスペクトル間の差異に基づいて前記被検体の状態を判別する
    ことを特徴とする情報取得装置。
  2. 前記差異は、前記複数のスペクトルそれぞれにおける前記テラヘルツ波の周波数又はビーム径に応じた前記被検体の光学特性の変化の前記複数のスペクトル間の差異である
    ことを特徴とする請求項1に記載の情報取得装置。
  3. 前記テラヘルツ波は、前記被検体に照射されたときのビーム径が、いずれも0.5mm以上3.0mm以下である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報取得装置。
  4. 前記テラヘルツ波は、異なる複数の周波数それぞれに応じて異なる複数のビーム径を有するパルス波であり、
    前記スペクトル取得部は、前記検出部の検出結果から取得した時間波形を用いて前記スペクトルを取得する
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の情報取得装置。
  5. 前記照射部は、前記テラヘルツ波のビーム径の中心が同一になるように前記テラヘルツ波を集光して前記被検体に照射する
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の情報取得装置。
  6. 前記被検体の画像を形成する画像形成部を有し、
    前記画像形成部は、前記判別部で判別した前記被検体の状態に基づいて前記被検体の画像を形成する
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の情報取得装置。
  7. 被検体の情報を取得する情報取得方法であって、
    異なる複数の周波数又はビーム径を有するテラヘルツ波を集光して前記被検体に照射し、前記被検体を透過又は前記被検体で反射した前記テラヘルツ波を検出した検出結果を用いて前記被検体の光学特性のスペクトルを取得するスペクトル取得ステップと、
    前記スペクトル取得ステップで取得したスペクトルに基づいて前記被検体の状態を判別する判別ステップと、を有し、
    前記判別ステップでは、前記被検体の異なる複数の位置それぞれにおける複数のスペクトル間の差異に基づいて前記被検体の状態を判別する
    ことを特徴とする情報取得方法。
  8. 前記判別ステップでは、前記差異と、予め取得した前記被検体の第1の領域における複数のスペクトル間の差異と、前記第1の領域と状態が異なる第2の領域における複数のスペクトル間の差異及び前記第1の領域と前記第2の領域との境界における複数のスペクトル間の差異と、を比較することによって前記被検体の状態を判別する
    ことを特徴とする請求項7に記載の情報取得方法。
  9. 前記被検体の異なる複数の位置を含む測定点グループを任意に選択する選択ステップと、
    前記測定点グループに含まれる各位置に前記テラヘルツ波を照射して取得した複数のスペクトル間の差異を取得する差異取得ステップと、を更に有し、
    前記選択ステップと前記差異取得ステップとを繰り返し行うことにより、前記第1の領域の前記差異、前記第2の領域の前記差異及び前記第1の領域と前記第2の領域との境界の前記差異を取得する
    ことを特徴とする請求項8に記載の情報取得方法。
  10. 前記判別ステップでは、
    前記複数のスペクトルの前記テラヘルツ波の各周波数又は各ビーム径における光学特性の値に基づいて標準偏差を取得し、
    前記標準偏差と、予め取得しておいた前記第1の領域の標準偏差、前記第2の領域の標準偏差及び前記第1の領域と前記第2の領域との境界の標準偏差と、を前記複数の異なる周波数又はビーム径ごとに比較することにより、前記被検体の状態を判別する
    ことを特徴とする請求項8又は9に記載の情報取得方法。
  11. 前記判別ステップでは、
    前記複数のスペクトルの前記テラヘルツ波の各周波数又は各ビーム径における光学特性の値に基づいて取得した第1の標準偏差から第2の標準偏差を取得し、
    前記第2の標準偏差と、予め取得しておいた前記第1の領域の標準偏差、第2の領域の標準偏差及び前記第1の領域と前記第2の領域との境界の標準偏差と、を比較して前記被検体の状態を判別する
    ことを特徴とする請求項8又は9に記載の情報取得方法。
  12. 前記被検体は生体組織であり、
    前記判別ステップでは、前記被検体の状態として前記生体組織の正常組織部と、異常組織部と、前記正常組織部と前記異常組織部との境界と、を判別する
    ことを特徴とする請求項7乃至11のいずれか一項に記載の情報取得方法。
  13. 前記判別ステップの判別結果に基づいて、前記被検体の画像を形成する画像形成ステップを有する
    ことを特徴とする請求項7乃至12のいずれか一項に記載の情報取得方法。
  14. 請求項7乃至13のいずれか一項に記載の情報取得方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
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