JP2015121495A - ミルクアレルギー個体の属性の予測方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ミルクアレルギー個体に関しその属性の予測に有用な方法を提供する。【解決手段】ミルクアレルギー個体の属性の予測方法を、ミルクアレルギー個体由来の抗体を含有する被験試料と、ミルクアレルギーの自然寛解群に対して肯定的な第1のエピトープセット、ミルクアレルギーの持続性群に対して肯定的な第2のエピトープセット及びミルクアレルギーの経口免疫療法における非耐性獲得群に対して肯定的な第3のエピトープセットからなる群から選択される1又は2以上のエピトープセットに含まれる1又は2以上のエピトープペプチドと接触させる工程と、前記1又は2以上のエピトープペプチドと前記被験試料中の抗体との特異的結合に関する結合情報を取得する工程と、を備えるようにする。【選択図】なし

Description

本明細書は、ミルクアレルギー個体の属性の予測方法及びその利用に関する。
アレルギー疾患は、近年、日本において広範に認められている。乳児から小児期において、特に食物アレルギーが問題である。ミルクは子供における食物アレルギーの主な原因食物である。ミルクアレルギーの重症度は個体によって様々であり、皮膚、消化器系や呼吸器系の炎症を引き起こす恐れがある。
ミルクアレルギーは、多くの場合、年齢とともに症状が軽減しアレルゲン食物を食べることができるようになる(自然寛解あるいは耐性獲得)。多くのアレルギー個体は、6才未満に寛解する。
従来、ミルクアレルギーを治療するためには、医師の指示のもとミルクアレルゲンを除いた除去食を摂取し、定期的に継続的なアレルギー症状や抗原特異的IgE量の検査を実施していくことが主流となっている。また、近年、アレルギーの治療方法としては、経口免疫療法が一部の専門病院で実施されている。これはアレルゲンとなる食物を少量ずつ継続的に摂取することで耐性を獲得させる方法である。経口免疫療法は、アレルゲンの除去でも耐性を獲得しえなかった個体につき、学童期(6才ごろ)に治療を開始することが多い。
こうしたミルクアレルギー疾患の検出方法には、IgEとIgGの反応性を利用できることが報告されている(特許文献1)。
国際公開第2010/110454
しかしながら、経口免疫療法は、治療中にアレルギー症状が必ず現れる。このため、個体にとって危険であるだけでなく、個体である小児の親としては子供が苦しむ状況を目の当たりにすることになるため精神的苦痛も大きい。しかも、経口免疫療法で必ずしも耐性を獲得するわけでもなく、耐性獲得が困難な個体も存在する。すなわち、経口免疫療法で耐性を獲得するか否かは実際に実施しないとわからない。
アレルギー個体において、自然寛解するか、経口免疫療法で耐性を獲得するか、あるいは経口免疫療法でも治療困難であるかを特徴付けることが極めて有用である。
そこで、本明細書は、ミルクアレルギー個体の属性の予測方法を提供する。また、本明細書は、ミルクアレルギー個体に関しその治療経過に有用なエピトープセット及びその利用を提供する。特に、ミルクアレルギー個体に関し、自然寛解群、持続アレルギー群、さらには持続アレルギー群内でも経口免疫療法による耐性獲得群と耐性獲得困難群とを判別するためのエピトープ及びその利用を提供する。
本発明者らは、ミルクアレルギー個体から経時的に血清を採取し、エピトープペプチドとの特異的結合を検出し、種々の解析を行った結果、ミルクアレルギー個体の属性を特徴付けるいくつかのエピトープペプチドを特定することができた。さらに、これらのエピトープペプチドを用いることにより、ミルクアレルギー個体の属性を判別し予測できることがわかった。本明細書によれば以下の手段が開示される。
(1) ミルクアレルギー個体の属性の予測方法であって、
ミルクアレルギー個体由来の抗体を含有する被験試料と、以下に示すエピトープセット:
ミルクアレルギーの自然寛解群に対して肯定的な第1のエピトープセット、
ミルクアレルギーの持続性群に対して肯定的な第2のエピトープセット、及び
ミルクアレルギーの経口免疫療法における非耐性獲得群に対して肯定的な第3のエピトープセット
からなる群から選択される1又は2以上のエピトープセットに含まれる1又は2以上のエピトープペプチドと接触させる工程と、
前記1又は2以上のエピトープペプチドと前記被験試料中の抗体との特異的結合に関する結合情報を取得する工程と、
を備える、方法。
(2) さらに、前記結合情報に基づいて前記ミルクアレルギー個体が、ミルクアレルギーに関して、自然寛解群、持続性群、経口免疫療法における耐性獲得群及び経口免疫療法における非耐性獲得群のいずれであるかの属性情報を取得する工程と、
を備える、(1)に記載の予測方法。
(3) 前記第1のエピトープセットは、配列番号337〜357で表されるアミノ酸配列をそれぞれ有するエピトープペプチドからなる群から選択される1又は2以上のエピトープペプチドからなる、(1)又は(2)に記載の予測方法。
(4) 前記第2のエピトープセットは、配列番号358〜372で表されるアミノ酸配列をそれぞれ有するエピトープペプチドからなる群から選択される1又は2以上のエピトープペプチドからなる、(1)〜(3)のいずれかに記載の予測方法。
(5) 前記第3のエピトープセットは、配列番号373〜376で表されるアミノ酸配列をそれぞれ有するエピトープペプチドからなる群から選択される1又は2以上のエピトープペプチドからなる、(1)〜(4)のいずれかに記載の予測方法。
(6) 前記検出工程は、さらに、ミルクアレルギー個体に対して肯定的な第4のエピトープセットを構成する1又は2以上のエピトープペプチドと前記抗体との特異的結合を検出する工程である、(1)〜(5)のいずれかに記載の予測方法。
(7) 前記第4のエピトープセットは、配列番号377〜383で表されるアミノ酸配列をそれぞれ有するエピトープペプチドからなる群から選択される1又は2以上のエピトープペプチドからなる、(6)に記載の予測方法。
(8) ミルクアレルギー個体の属性を予測するための装置であって、
以下に示すエピトープセット:
配配列番号337〜357で表されるアミノ酸配列をそれぞれ有するエピトープペプチドからなる群から選択される1又は2以上のエピトープペプチドからなり、ミルクアレルギーの自然寛解群に対して肯定的な第1のエピトープセット、
配列番号358〜372で表されるアミノ酸配列をそれぞれ有するエピトープペプチドからなる群から選択される1又は2以上のエピトープペプチドからなり、ミルクアレルギーの持続性群に対して肯定的な第2のエピトープセット、及び
配列番号373〜376で表されるアミノ酸配列をそれぞれ有するエピトープペプチドからなる群から選択から選択される1又は2以上のエピトープペプチドからなり、経口免疫療法における非耐性獲得群に対して肯定的な第3のエピトープセット
からなる群から選択される1又は2以上のエピトープセットを固相担体上に備え、
前記エピトープペプチドと前記ミルクアレルギー個体から採取した被験試料中の抗体との特異的結合に関する結合情報に基づき、前記ミルクアレルギー個体が、ミルクアレルギーに関して、自然寛解群、持続性群、経口免疫療法における耐性獲得群及び経口免疫療法における非耐性獲得群のいずれであるかの属性情報を取得するための装置。
(9) さらに、配列番号377〜383で表されるアミノ酸配列をそれぞれ有するエピトープペプチドからなる群から選択される1又は2以上のエピトープペプチドからなり、前記ミルクアレルギー個体に肯定的な第4のエピトープセットをさらに、備える、(8)に記載の装置。
(10) ミルクアレルギー個体の属性を予測するためのペプチドセットであって、
以下に示すエピトープセット:
配列番号337〜357で表されるアミノ酸配列をそれぞれ有するエピトープペプチドからなる群から選択される1又は2以上のエピトープペプチドからなり、ミルクアレルギーの自然寛解群に対して肯定的な第1のエピトープセット、
配列番号358〜372で表されるアミノ酸配列をそれぞれ有するエピトープペプチドからなる群から選択される1又は2以上のエピトープペプチドからなり、ミルクアレルギーの持続性群に対して肯定的な第2のエピトープセット、及び
配列番号373〜376で表されるアミノ酸配列をそれぞれ有するエピトープペプチドからなる群から選択から選択される1又は2以上のエピトープペプチドからなり、ミルクアレルギーの経口免疫療法における非耐性獲得群に対して肯定的な第3のエピトープセット
からなる群から選択される1又は2以上のエピトープセットを含む、ペプチドセット。
Robust Z-score解析による各患者群におけるエピトープ分布を示す図である。 αS1カゼイン及びαS2カゼインのエピトープに対する各群におけるスコアが2以上となるペプチドを有する患者陽性率%を示す図である。耐性獲得群(T)及び非耐性獲得群(P)については、濃色ラインは経口免疫療法開始前(0M)を示し、淡色ラインは治療後(12M)を示す。自然寛解群(G3、G6)については、濃色ラインは発症時(一才前後)を示し、淡色ラインは寛解時を示す。 βカゼイン及びκカゼインのエピトープに対する各群におけるスコアが2以上となるペプチドを有する患者陽性率%を示す図である。耐性獲得群(T)及び非耐性獲得群(P)については、濃色ラインは経口免疫療法開始前(0M)を示し、淡色ラインは治療後(12M)を示す。自然寛解群(G3、G6)については、濃色ラインは発症時(一才前後)を示し、淡色ラインは寛解時を示す。 αラクトアルブミン及びβラクトアルブミンのエピトープに対する各群におけるスコアが2以上となるペプチドを有する患者陽性率%を示す図である。耐性獲得群(T)及び非耐性獲得群(P)については、濃色ラインは経口免疫療法開始前(0M)を示し、淡色ラインは治療後(12M)を示す。自然寛解群(G3、G6)については、濃色ラインは発症時(一才前後)を示し、淡色ラインは寛解時を示す。 自然寛解群に特徴的なエピトープを示す図である。 持続性群に特徴的なエピトープを示す図である。 経口免疫療法での非耐性獲得群に特徴的なエピトープを示す図である。 全群に共通するエピトープを示す図である。 自然寛解群に特徴的なエピトープに関する各群のスコアマップを示す図である。 持続性群及び非耐性獲得群に特徴的なエピトープに関する各群のスコアマップを示す図である。 エピトープを解析した患者群における、自然寛解群と持続性群についての判別結果と正診率の結果を示す図である。 別の患者群における、自然寛解群と持続性群についての判別結果と正診率の結果を示す図である。 エピトープを解析した患者群における、耐性獲得群と非耐性獲得群についての判別結果と正診率の結果を示す図である。 別の患者群における、耐性獲得群と非耐性獲得群についての判別結果と正診率の結果を示す図である。
本明細書の開示は、ミルクアレルギー個体(以下、単に個体ともいう。)のアレルギー状態診断、治療経過(予後)の診断に際して、ミルクアレルギーに関し自然寛解群、持続性群、さらには持続性群内でも経口免疫療法による耐性獲得群と非耐性獲得群のいずれであるかに関する属性情報を予測して診断を補助する方法に関する。すなわち、本開示によれば、個体のミルクアレルギーの状態や治療経過を予測するのに好ましいエピトープセット及びその利用を提供する。個体由来の抗体試料と本明細書に開示されるエピトープセットとの反応性(結合情報)を取得することで、個体のミルクアレルギーに関する状況ないし予後、すなわち、例えば、自然寛解するか(自然寛解しやすさ)、学童期(6才ごろ)までアレルギーを持続するか(アレルギーの持続しやすさ)、経口免疫療法で耐性を獲得するか(同療法による耐性の獲得しやすさ)、同療法によっても耐性獲得困難か(同療法による耐性獲得しにくさ)について予測することができる。
このため、本開示によれば、個体の治療を、アレルギー状況や予後の予測に基づいて行うことができるため、個体及びその家族並びに医療従事者にも負担が少なく好ましい方向性で治療を受ける(施す)ことができる。また、医療コストも低減することができる。特に、本開示は、経口免疫療法などの個体負担の大きい治療を実施するのに有用な指針を提供することができる。
さらに、本開示によれば、こうした特定のエピトープペプチドを保持した、ミルクアレルギーの予後を予測するためのアレイなどの装置(デバイス)も提供される。また、本開示によればこうした特定エピトープペプチドのエピトープセットの利用も提供する。
以下、本明細書の開示を実施するための形態について説明する。なお、本明細書及び図面において、α−ラクトアルブミン、β−ラクトグロブリン、αs1−カゼイン(αS1カゼイン)、αs2−カゼイン(αS2カゼイン)、β−カゼイン、κ−カゼインは、それぞれaL、bLg、aS1C、aS2C、bC、kCなどと表記されることがある。また、図面においては、持続性群は持続性アレルギー群と表記されることがあり、耐性獲得群は耐性化群と表記されることがあり、非耐性獲得群は非寛解群と表記されることがある。
(ミルクアレルギー個体の属性の判別方法)
本明細書に開示されるミルクアレルギー個体の属性の予測方法は、ミルクアレルギー疾患と診断された個体のほかミルクアレルギー疾患の可能性のある個体について適用することができる。ミルクアレルギー疾患とは、ヒトにおいては、ウシ、ヒツジ、ヤギなど、ヒト以外の哺乳動物、典型的にはウシの乳、その加工品(飲料のほか食品も含む。)にアレルギー症状を呈する疾患をいう。本明細書において、個体とは、哺乳動物個体をいい、典型的にはヒトである。
ミルクアレルギー疾患の可能性のある個体とは、既にアレルギー症状を呈する個体のほか、アレルギー症状を呈しない個体も包含する。こうした個体の年齢は特に限定しないが、乳幼児から学童期(0才以上6才以下程度)において有用である。こうした年齢期において、ミルクアレルギー疾患の予後の予測が、治療方針や個体における治療負担に影響が大きいからである。
(接触工程)
本予測方法は、個体由来の抗体を含有する被験試料と、特定の1又は2以上のエピトープセットを構成する1又は2以上のエピトープペプチドとを接触させる工程を備えることができる。接触工程により、被験試料中に存在する抗体とエピトープペプチドとが特異的結合を形成することができる。
被験試料は、個体由来の抗体を含有する。被験試料は、抗体として少なくともIgEを含んでいればよい。本予測方法では、IgEとエピトープとの特異的結合を利用するからである。被験試料は、IgE以外の免疫グロブリンを含んでいてもよい。被験試料は、こうした抗体を含んでいる限り特に限定されないが、例えば、ミルクアレルギー疾患の可能性のある個体から採取される血液や血清などが用いられる。被験試料は、複数であってもよい。すなわち、予測対象となる個体につき2以上の被験試料を本明細書の開示の予測方法に供してもよい。
本予測方法では、被験試料とミルクアレルギーの所定の属性群に関連付けられたエピトープペプチドとを接触させる。エピトープペプチドは、ミルクアレルギーのアレルゲンタンパク質のアミノ酸配列の一部により構成されている。ミルクアレルギー疾患においては、診断補助に用いるアレルゲンタンパク質としては、主要な6つのミルクアレルゲンタンパク質であるα−ラクトアルブミン、β−ラクトグロブリン、αs1−カゼイン、αs2−カゼイン、β−カゼイン、κ−カゼインから選択される。好ましくは、アレルゲンタンパク質は、αs1-カゼイン、αs2-カゼイン、β−カゼイン及びκ−カゼインからなる群から選択される1種又は2種以上である。これらのアレルゲンタンパク質は、本発明者らの検討によれば、ミルクアレルギーにおいて個体群の判定及び予後予測により好ましいことがわかっている。これらの特定のアレルゲンタンパク質からエピトープペプチドのアミノ酸配列からエピトープペプチドを構成することが好ましい。
エピトープペプチドは、可能性あるアレルゲンタンパク質に関しアレルギー疾患に関連のあるエピトープと考えられる部位のアミノ酸配列を含むかあるいは当該部位のアミノ酸配列からなっていればよく、その長さや配列は特に限定されない。可能性あるアレルゲンタンパク質又はその部分のアミノ酸配列に基づいて、適当な長さ(例えば、12〜20残基程度)で、そのアミノ酸配列に関しオーバーラップが8〜17残基程度となるような必要な数のオーバーラップペプチドの集団から選択されることが好ましい。より好ましくは、アレルゲンタンパク質の一次構造をカバーするアミノ酸配列にわたって必要数のオーバーラップペプチドを準備する。一つのアレルゲンタンパク質について準備するオーバーラップペプチドの数は、カバーする一次構造の大きさやオーバーラップペプチドの長さ及びオーバーラップ残基数によって異なる。
ミルクアレルギーなど複数のタンパク質がアレルゲンとして関与する場合には、これらの複数のアレルゲンタンパク質から選択される1種又は2種以上のアレルゲンタンパク質につき、オーバーラップペプチドをエピトープペプチドとして準備することができる。そして、準備したエピトープペプチドに対するミルクアレルギー個体の被験試料(血清等)の結合性(結合量)などの結合情報の比較から、ミルクアレルギー個体及びミルクアレルギー個体における各群を特徴付けるエピトープペプチドを見出すことができる。
本予測方法では、被験試料と、以下のエピトープセットから選択される1又は2以上のエピトープセットに含まれる1又は2以上のエピトープペプチドと、を接触させる。エピトープセットは、ミルクアレルギー疾患に関し、第1のエピトープセット、第2のエピトープセット及び第3のエピトープセットから構成することができる。
(第1のエピトープセット)
第1のエピトープセットは、3才又は6才ごろには自然寛解するミルクアレルギー個体群(自然寛解群)を特徴付けるエピトープセットである。第1のエピトープセットに含まれるエピトープペプチドは、ミルクアレルギーが6才ごろまでには自然寛解するという個体群を特徴付けるエピトープペプチドである。すなわち、自然寛解したことが確定診断された個体群のアレルギー発症時に採取した被験試料が特異的に結合するエピトープペプチドである。第1のエピトープセットは、以下のエピトープペプチドから構成される。第1のエピトープセットを構成する1又は2以上のエピトープペプチドを第1のエピトープセットとして用いることができる。
これらのエピトープペプチドは、ミルクアレルギー個体であって、6才ごろまでに自然寛解しなかったミルクアレルギー個体群(持続性群)の経口免疫療法前の結合情報に基づくRobust Z score解析によるZスコア(以下、単にスコアともいう。)と自然寛解群の発症時のスコアにおいて有意差(耐性獲得群(T),非耐性獲得群(P):治療前vs6歳までに自然寛解する群(G6),3歳までに自然寛解する群(G3):発症時(1才ごろ))(p<0.05)があり、自然寛解群における平均スコアが2超(G3,G6>2)であり、持続性群のスコアの平均値の2倍よりも、自然寛解群におけるスコアが大きい(2AVE(T,P)<AVE(G6、G3)であるエピトープペプチドとして、後述するエピトープペプチド集団から選択されたものである。自然寛解群における平均スコアが1超であって2以下(2≧G3,G6>1)であるものも併せて示す。こうしたエピトープは、少数の個体において自然寛解群を特徴付けるエピトープであり、このようなエピトープを用いることで、自然寛解群かどうかを判別しにくい個体についての判別の精度が向上する場合がある。
なお、結合情報は、診断確定個体から採取した抗体含有試料とエピトープペプチドとの特異的結合に基づくものであり、一般的には、後述する標識物質を検出することよって得られるシグナルの強度(大きさ)に関する情報である。
第1のエピトープセットにおいては、好ましくは、aS2C48、同49、同50、同51、同61、同62、同63、bC32、同33,同34,bLG21,同22,kC33,同34、同35、同36及び同37が挙げられ、これらからエピトープペプチドが選択されることが好ましい。
(第2のエピトープセット)
第2のエピトープセットは、6才ごろまでに自然寛解しなかったミルクアレルギー個体であるアレルギー持続性群(持続性群)を特徴付けるエピトープセットである。第2のエピトープセットに含まれるエピトープペプチドは、ミルクアレルギーが6才ごろまでに自然寛解しないで持続されるという個体群を特徴付けるエピトープペプチドである。すなわち、6才ごろまでに自然寛解しなかったことが確定診断された個体群の経口免疫療法前に採取した被験試料が特異的に結合するエピトープペプチドである。第2のエピトープセットは、以下のエピトープペプチドから構成される。第2のエピトープセットを構成する1又は2以上のエピトープペプチドを第2のエピトープセットとして用いることができる。
これらのエピトープペプチドは、ミルクアレルギー個体であって、持続性群の経口免疫療法前と自然寛解群の発症時とのスコアにおいて有意(T,P:治療前vsG6,G3:発症時)(p<0.05)であり、持続性群における平均スコアが2超(T,P>2)であり、自然寛解群のスコアの平均値の2倍よりも、持続性群のスコアの平均値が大きい(AVE(T,P)>2AVE(G6、G3)あるエピトープペプチドとして、後述するエピトープペプチド集団から選択されたものである。さらに、持続性群における平均スコアが1超であり2以下(2≧T、P>1)であるものも併せて示す。こうしたエピトープは、少数の個体において持続性群を特徴付けるエピトープである、こうしたエピトープを用いることで、持続性群かどうかを判別しにくい個体についての判別の精度が向上する場合がある。
第2のエピトープセットにおいては、好ましくは、aS2C57−2、aS1C34、同38、同46−48、同57−62、bC1、同28、kC50が挙げられ、これらからエピトープペプチドが選択されることが好ましい。
(第3のエピトープセット)
第3のエピトープセットは、持続性群にあって経口免疫療法によって耐性を獲得できなかった個体群を特徴付けるエピトープセットである。第3のエピトープセットに含まれるエピトープペプチドは、ミルクアレルギーが6才ごろまでに自然寛解せず持続され、しかも経口免疫療法を行っても耐性を獲得しない個体群を特徴付けるエピトープペプチドである。すなわち、自然寛解せずにアレルギーを持続し、経口免疫療法によって耐性を獲得しなかったことが確定診断された個体群の経口免疫療法前に採取した被験試料が特異的に結合するエピトープペプチドである。第3のエピトープセットは、以下のエピトープペプチドから構成される。第3のエピトープセットを構成する1又は2以上のエピトープペプチドを第3のエピトープセットとして用いることができる。
これらのエピトープペプチドは、持続性アレルギー個体であって、経口免疫療法によって耐性を獲得した個体群(耐性獲得群)の治療前におけるスコアと、持続性アレルギー個体であって、経口免疫療法によって耐性を獲得しなかった個体群(非耐性獲得群)の治療前における平均スコアにおいて有意(T治療前vsP治療前)(p<0.05)であり、耐性獲得群(治療前)の平均スコアが2超であり(P>2)、非耐性獲得群のスコアの平均値が耐性獲得群のスコアの平均値の2倍よりも大きい(AVE(P)>2AVE(T))であるエピトープペプチドとして、後述するエピトープペプチド集団から選択されたものである。
これら第1〜第3のエピトープセットから選択される1又は2以上のエピトープセットに含まれる1又は2以上のエピトープペプチドを用いることで、ミルクアレルギー個体において、自然寛解群、持続性群、耐性獲得群及び非耐性獲得群を判別することができ、ミルクアレルギー疾患に関する診断を補助することができる。
属性予測に用いるエピトープペプチドは、少なくとも第1〜第3のエピトープセットから選択される1又は2以上のエピトープセットから選択される1又は2以上である。第1〜第3のエピトープセットのうち1種の属性に特徴的な単独のエピトープセットを用いてアレルギー個体の属性を予測してもよいし、2又は3のエピトープセットを用いてアレルギー個体の属性を予測してもよい。また、1つのエピトープセットからは、少なくとも1つのエピトープペプチドを用いるが、好ましくは、複数個のエピトープペプチドを用いることが好ましい。例えば、既述したように、平均スコアが2超のエピトープペプチドから2以上を選択して用いることができる。
さらに、ミルクアレルギー個体群に対して肯定的な第4のエピトープセットから選択される1又は2以上のペプチドをエピトープとして用いてもよい。第4のエピトープセットを用いることで、確度の高い群判別と経口免疫療法の効果予測(予後予測)が可能となる。特に、第4のエピトープセットは予後予測に有用である。第4のエピトープセットは、以下のエピトープペプチドから構成される。第4のエピトープセットを構成する1又は2以上のエピトープペプチドを第4のエピトープセットとして用いることができる。
第4のエピトープセットに含まれるエピトープペプチドは、ミルクアレルギー個体(自然寛解群、持続性群(耐性獲得群、非耐性獲得群))において共通性の高いエピトープペプチドであり、ミルクアレルギー個体群(共通群)と特徴付けるエピトープセットである。すなわち、ミルクアレルギーであると確定診断された個体群のうち、持続性群の経口免疫療法前及び自然寛解群の発症時に採取した被験試料が特異的に結合するエピトープペプチドである。第4のエピトープセットを構成する1又は2以上のエピトープペプチドを第4のエピトープセットとして用いることができる。
これらのエピトープペプチドは、持続性群(耐性獲得群及び非耐性獲得群)の経口免疫療法治療前の平均スコアが2超であって、自然寛解群の発症時の平均スコアが2超である(T,P治療前>2、寛解群(発症時)>2)であるエピトープペプチドとして、後述するエピトープペプチド集団から選択されたものである。
エピトープペプチドは、配列番号で特定されるアミノ酸配列を少なくとも部分配列として含んでいる限り、そのアミノ酸残基数は特に限定されない。エピトープペプチドは、公知の手法によりアミノ酸置換、欠失あるいは付加などの修飾が加えられていてもよい。用途に適した溶解性や抗原抗体反応性を付与することも可能である。
エピトープペプチドは、連続するナンバリングが付与されている場合には、3アミノ酸残基がC末端側にずれたアミノ酸配列(16アミノ酸残基)を有している。したがって、表1〜4において、連続するナンバリングが付与されているエピトープペプチドは、連続するナンバリングのエピトープペプチドのアミノ酸配列を1つのアミノ酸配列としてまとめることができる。好ましくは、後述する実施例において言及する図2〜図4における患者陽性率が相対的に高く(例えば、好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上、さらに好ましくは30%以上、一層好ましくは40%以上)の高さが近似している連続するエピトープペプチドをセットとすることが好ましい。また、同様に後述する図5〜図8に示すように、エピトープ選択時におけるP値が低くて近似している連続しているエピトープペプチドをセットとすることが好ましい。
連続するナンバリングのエピトープのセットとしては、2つの連続するナンバリングのエピトープのセット、3つの連続するナンバリングのエピトープのセット、4つの連続するナンバリングのエピトープのセット、5つの連続するナンバリングのエピトープのセット及び6つの連続するナンバリングのエピトープのセット等が挙げられる。これらのセットから、それぞれ、19アミノ酸残基のエピトープペプチド、22アミノ酸残基のエピトープペプチド、25アミノ酸残基のエピトープペプチド、28アミノ酸残基のエピトープペプチド及び31アミノ酸残基のエピトープペプチドを構成することができる。
例えば、表1においては、aS2C48、同49、同50、同51、同52は連続している。この場合、aS248及び同49のエピトープペプチドは、共通するアミノ酸配列「EVFTKKTKLTEEE」(13アミノ酸残基)を有し、このN末端側に同48に基づいて、「EST」を有し、このC末端側に同49に基づいて「KNR」を有する、「EST EVFTKKTKLTEEEKNR KNR」のというアミノ酸19残基の配列を有するエピトープペプチドを構成することができる。同様にして連続するナンバリングのエピトープペプチドのセットである、同49と同50、同50と同51、同51と同52の各セットについて、3種類の各19アミノ酸残基の配列を有するエピトープペプチドを構成することができる。
さらに、同48〜50の3つの連続するナンバリングのエピトープペプチドのセットから、いずれにも共通する「TKKTKLTEEE」(10アミノ酸残基)を有し、このN末端側に、同48に基づいて、「ESTEVF」を有し、このC末端側に、同50に基づいて「KNRLNF」を有する、「ESTEVFTKKTKLTEEEKNRLNF」というアミノ酸22残基の配列を有するエピトープペプチドを構成することができる。同様にして、3つ連続するナンバリングのエピトープセットである、同49〜51、同50〜52の各セットについても、それぞれ22アミノ酸残基の配列を有するエピトープペプチドを構成することができる。
以上のようにして、表1のbC32〜35、bLG21〜22,kC33〜37について、2以上の連続するナンバリングのエピトープセットから新たなエピトープペプチドを構成することができる。また、表2のaS1C46〜48、同57〜62、表3のaS1C27〜30、表4のaS1C22、23、23−2、24、同35〜37についても、同様に2以上の連続するナンバリングのエピトープセットから新たなエピトープペプチドを構成することもできる。なお、これらの連続するナンバリングのエピトープペプチドセットに基づくエピトープペプチドのアミノ酸配列は個々には記載しないが、上述した表1の例に基づいて個々のアミノ酸配列を取得することができる。
以上のようにして、新たに第1〜第4(自然寛解群、持続性群、非耐性獲得群及び共通群)の各エピトープセットに基づいて取得したエピトープペプチドも、それぞれ各群(第1〜第4)のエピトープペプチドを構成することができる。
以上のようにして得られる、第1〜第4のエピトープセットは、それぞれがミルクアレルギー患者の属性予測に有用なエピトープセットであるほか、これから選択される2以上のエピトープセットから選択される2以上のエピトープペプチドのセットもミルクアレルギー患者の属性予測に有用である。好ましくは第1〜第3のエピトープセットから選択される2又は3以上のエピトープペプチドのセットがミルクアレルギー患者の属性予測に有用であり、より好ましくは第1〜第3のエピトープセットから選択される3又は4以上のエピトープペプチドのセットがミルクアレルギー患者の属性予測に有用である。
エピトープペプチドは公知のペプチド合成方法、例えば全自動ペプチド合成装置、酵母、大腸菌、哺乳動物細胞等による遺伝子組換えを用いた方法により製造することができる。
エピトープペプチド、必要に応じて塩の形態、好ましくは生理学的に許容される酸付加塩の形態であってもよい。そのような塩としては、無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)の塩、有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、シュウ酸、安息香酸)、この他、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸)の塩等が挙げられる
エピトープセットを構成するエピトープセットを選択するエピトープペプチド集団としては、ヒトのミルクアレルギーのアレルゲンタンパク質であるα−ラクトアルブミン、αs1−カゼイン、αs2−カゼイン、β−カゼイン、β−ラクトグロブリン及びκ−カゼインに関し、それぞれ配列番号1〜42、配列番号43〜104、配列番号105〜169、配列番号170〜234、配列番号235〜284及び配列番号285〜336で表されるアミノ酸配列のエピトープペプチドを用いることができる。これらのエピトープペプチドは、これらのアレルゲンタンパク質のアミノ酸配列に対して作製したオーバーラップペプチド群である。オーバーラップペプチドは、アレルゲンタンパク質のN末端側からC末端側へと3アミノ酸残基づつずらして16アミノ酸残基のアミノ酸配列となるように構成され、連続するナンバリングが付与されている。特に、aS1C等のタンパク質名に続くナンバリング「××」のさらに後に「−2」などの枝番が付与されている場合には、「××」のナンバリングのアミノ酸配列から2残基C末端側にずらした16アミノ酸残基のアミノ酸配列からなるオーバーラップペプチドを意味している。これらの全てを用いることもできるし、一部を用いてもよい。一部を用いる場合には、各アレルゲンタンパク質からそれぞれ選択してもよいし、一部のアレルゲンタンパク質のエピトープペプチドを選択してもよい。
こうしたエピトープペプチド集団から本明細書に開示される特定のエピトープペプチドを選択するには、自然寛解群、持続性群、耐性獲得群及び非耐性獲得群として確定診断されたアレルギー個体から採取(自然寛解群については発症時(おおよそ1才前後)、持続性群(耐性獲得群及び非耐性獲得群については経口免疫療法前(おおよそ6才前後))した抗体(IgE)を含む被験試料と、エピトープペプチド集団を構成するエピトープペプチドとの接触工程を行い、抗原抗体反応に基づく特異的結合に関する結合情報を取得し、結合情報に関してRobust Z−scoreに基づく解析を行い、さらに、各群に特徴的なエピトープペプチドを抽出するための検定(t-test)等を行うことによって得ることができる。
被験試料とエピトープペプチドとの接触工程に関し、公知の抗原抗体反応における種々の実施態様を適宜適用することができる。例えば、複数個のエピトープペプチドを適合な材料で構成された基板状の固相担体上にアレイ化した状態で被験試料と接触させてもよいし、エピトープペプチドをビーズ状の固相担体に固定化した状態で被験試料と接触させてもよい。また、固相担体を用いることなく液性媒体内で接触反応を行ってもよい。
接触工程に供されるエピトープペプチドは、適当な固相担体に固定化されていることが好ましい。固相担体は、抗原抗体反応の反応系で溶媒に不溶な担体であれば、その材質及び形状は特に制限されず、公知の固相担体が使用できる。固相担体の形状としては、使用目的に応じて適宜の形状を選択すれば良く、例えば、テストプレート状、ビーズ状、球状、ディスク状、チューブ状、フィルター状等が挙げられる。好ましくは、固相担体は、テストプレート状、ディスク状、フィルター状等の平板状である。また、その材質としては、通常の免疫測定法用担体として用いられるもの、例えば、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリルアミド等の合成樹脂、または、これらに公知の方法によりスルホン酸基、アミノ基などの反応性官能基を導入したもの、ガラス、多糖類、シリカゲル、多孔性セラミックス、金属酸化物等が挙げられる。
固相担体へのエピトープペプチドの固定化方法は、物理的吸着法、共有結合法、イオン結合法、架橋法などの公知の方法が使用できるが、特に限定されない。当業者であれば、公知の方法から適宜選択してエピトープペプチドを固相担体に固定化することができる。
接触工程では、固相担体に固定化されたエピトープペプチドに対して被験試料をそれぞれ供給して、エピトープペプチドと抗体との抗原抗体反応を生じさせる条件を付与する。抗原抗体反応が生じる条件は、当業者であれば容易に設定でき、例えば、適当な緩衝液でpHを調整し、適当な時間程度反応させることで、抗原抗体反応を生じさせることができる。なお、被験試料中の抗体とエピトープペプチドとの特異的結合を検出するには、非特異的な結合を排除するためのコントロール実験を実施する。典型的には、適当なコントロール液を準備し、当該コントロール液も被験試料に用いるのと同様の固相担体に対して供給し、各エピトープペプチドについてシグナル強度を測定することが行われる。
(結合情報取得工程)
本予測方法は、被験試料中の抗体(少なくともIgE)とエピトープペプチドとの特異的結合に関する結合情報を取得する工程を備えることができる。結合情報を取得することで、それぞれの被験試料中の抗体のエピトープペプチドに対する特異的結合の強度(換言すれば、エピトープペプチドに対して反応する抗体量)に基づき、被験試料の採取源であるミルクアレルギー個体の群判別及び予後予測に用いることができるようになる。
抗体とエピトープペプチドとの特異的結合に基づく結合情報は、こうした標識物質に基づくシグナルの種類に応じた検出装置を用いて所定のシグナルの大きさとして取得できる。結合情報は、被験試料中のエピトープペプチドに特異的に結合したIgE量に関連付けすることができる。特異的結合に関する結合情報は、抗原抗体反応等における公知の方法により取得できる。概して、固相担体上の抗原抗体反応は、イムノアッセイに用いられる周知の標識物質などを利用して検出することができる。標識物質としては、蛍光物質、発光物質、色素、酵素、補酵素、あるいはラジオアイソトープ等が挙げられる。標識物質は、エピトープペプチドに結合する抗体に対する二次抗体に直接結合して用いることもできる。また、標識物質を認識する抗体やアビジン−ビオチン系などを利用して間接的に用いることもできる。
(属性情報取得工程)
本予測方法は、結合情報に基づいて前記ミルクアレルギー個体が、ミルクアレルギーに関して、自然寛解群、持続性群、経口免疫療法における耐性獲得群及び経口免疫療法における非耐性獲得群のいずれであるかの属性情報を取得する工程を備えることができる。属性情報を取得することで、ミルクアレルギー個体の属性、すなわち、自然寛解群、持続性群、耐性獲得群及び非耐性獲得群のいずれであるかを判別又は予測することができる。ミルクアレルギー個体の属性を判別し予測することにより、ミルクアレルギー個体についての診断を補助することができ、効果的な治療方針を決定できる。
ミルクアレルギー個体の属性情報の取得、すなわち、属性の判別ないし予測は、例えば以下のように行うことができる。
(1)第1のエピトープセットを用いたアレルギー個体が自然寛解群であるかどうかの判別
自然寛解群を特徴付けることができる第1のエピトープセットをミルクアレルギー個体に適用することで、アレルギー個体が自然寛解群であるかどうかを判別できる。アレルギー個体が自然寛解群であるか否かを判別できれば、負担の多い経口免疫療法を予定せずにすみ、個体負担も軽減され医療コストも低減される。
例えば、アレルギー個体の被験試料において第1のエピトープセットに含まれる1又は2以上のエピトープペプチドの結合情報の総和や平均値に基づいて、当該総和又は平均値が予め確定診断された自然寛解群の結合情報の閾値(総和又は平均値)以上あるいはより大きい場合には、自然寛解群と判断することができる。すなわち、ミルクアレルギー個体が将来的に自然寛解するであろうという予後の予測が可能になる。なお、アレルギー個体が、自然寛解群に相反する群である持続性群であることも同時に判別できる。
さらに、アレルギー個体の被験試料から取得した、第1のエピトープセット及び第4のエピトープセットに含まれる2以上のエピトープペプチドに対する結合情報の総和又は平均値に基づいて、当該総和又は平均値が予め確定診断された自然寛解群の対応する結合情報の閾値(総和又は平均値)以上あるいはより大きい場合には、自然寛解群と判断することができる。
また、アレルギー個体が自然寛解群であるか否かについて、同時に、相反する群である持続性群を特徴付ける第2のエピトープセットを用いて、第2のエピトープセットのエピトープペプチドに対する結合情報を組み合わせることで、より高い確度で自然寛解群か持続性群かを判別できる。第1のエピトープセットと第2のエピトープセットとを組み合わせて用いる場合、例えば、第2のエピトープセットにおける結合情報の平均値/第1のエピトープセットにおける結合情報の平均値を用いることができる。この比が1以上である場合には、アレルギー個体を持続性群と判別でき、同比が1未満である場合には、自然寛解群と判別できる。
以上の自然寛解群の判別に関しては、2以上の判別手法を組み合わせて用いることもできる。2以上の判別手法を組み合わせるときにおいて、それらの判別結果が相違する場合には、予め取得した正診率等に基づいて判別結果の優先順位を決めておくことが好ましい。
(2)第2のエピトープセットを用いたアレルギー個体が持続性群であるかどうかの判別
持続性群を特徴付けることができる第2のエピトープセットをミルクアレルギー個体に適用することで、アレルギー個体が持続性群であるかどうかを判別できる。
例えば、アレルギー個体の被験試料において第2エピトープセットに含まれる1又は2以上のエピトープペプチドの結合情報の総和や平均値に基づいて、当該総和又は平均値が予め確定診断された持続性群の結合情報の閾値(総和又は平均値)以上あるいはより大きい場合には、持続性群と判断することができる。すなわち、ミルクアレルギー個体が将来的に自然寛解せずアレルギー症状を持続するであろうという予後の予測が可能になる。
さらに、アレルギー個体の被験試料から取得した、第2のエピトープセット及び第4のエピトープセットに含まれる2以上のエピトープペプチドに対する結合情報の総和又は平均値に基づいて、当該総和又は平均値が予め確定診断された持続性群の対応する結合情報の閾値(総和又は平均値)以上あるいはより大きい場合には、持続性群と判断することができる。
また、アレルギー個体が持続性群であるか否かについて、同時に、相反する群である自然寛解群を特徴付ける第1のエピトープセットを用いて、第2のエピトープセットのエピトープペプチドに対する結合情報を組み合わせることで、より高い確度で自然寛解群か持続性群かを判別できる。第1のエピトープセットと第2のエピトープセットとを組み合わせて用いる場合、例えば、第2のエピトープセットにおける結合情報の平均値/第1のエピトープセットにおける結合情報の平均値を用いることができる。この比が1以上である場合には、アレルギー個体を持続性群と判別でき、同比が1未満である場合には、自然寛解群と判別できる。
以上の持続性群の判別に関しては、2以上の判別手法を組み合わせて用いることもできる。2以上の判別手法を組み合わせるときにおいて、それらの判別結果が相違する場合には、予め取得した正診率等に基づいて判別結果の優先順位を決めておくことが好ましい。例えば、自然寛解群か持続性群かの判別にあたり、2以上の判別手法を組み合わせるとき、持続性群とする判別結果を優先すると規定しておくことができる。持続する可能性がある場合には経過観察が好ましいからである。
(3)第3のエピトープセットを用いたアレルギー個体が非耐性獲得群であるかどうかの判別
持続性群のなかでも非耐性獲得群を特徴付けることができる第3のエピトープセットをミルクアレルギー個体に適用することで、アレルギー個体が非耐性獲得群であるかどうかを判別できる。アレルギー個体が非耐性獲得群であると判別できることで、経口免疫療法を回避するなど治療方針の決定に役立てることができる。
例えば、アレルギー個体の被験試料において第3のエピトープセットに含まれる1又は2以上のエピトープペプチドの結合情報の総和や平均値に基づいて、当該総和又は平均値が予め確定診断された非耐性獲得群の結合情報の閾値(総和又は平均値)以上あるいはより大きい場合には、非耐性獲得群と判断することができる。すなわち、ミルクアレルギー個体が将来的に自然寛解せずアレルギー症状を持続ししかも経口免疫療法を行っても耐性を獲得できないであろうという予後の予測が可能になる。
さらに、アレルギー個体の被験試料から取得した、第3のエピトープセット及び第4のエピトープセットに含まれる2以上のエピトープペプチドに対する結合情報の総和又は平均値に基づいて、当該総和又は平均値が予め確定診断された非耐性獲得群の対応する結合情報の閾値(総和又は平均値)以上あるいはより大きい場合には、非耐性獲得群と判断することができる。
さらにまた、アレルギー個体の被験試料から取得した、第2のエピトープセット、第3のエピトープセット及び第4のエピトープセットに含まれる3以上のエピトープペプチドに対する結合情報の総和又は平均値に基づいて、当該総和又は平均値が予め確定診断された非耐性獲得群の対応する結合情報の閾値(総和又は平均値)以上あるいはより大きい場合には、非耐性獲得群と判断することができる。
また、アレルギー個体が耐性獲得群か非耐性獲得群であるか否かについて、耐性獲得群を特徴付ける第2のエピトープセットを組み合わせて用いて、より高い確度で自然寛解群か持続性群かを判別できる。第3のエピトープセットと第2のエピトープセットとを組み合わせて用いる場合、例えば、第3のエピトープセットにおける結合情報の平均値/第2のエピトープセットにおける結合情報の平均値を用いることができる。この比が予め確定診断された非耐性獲得群の個体から得られた所定の閾値以上あるいはより大きい場合には、アレルギー個体を非耐性獲得群と判別でき、同比が所定値未満あるいは以下である場合には、耐性獲得群と判別できる。
以上の非耐性獲得群の判別に関しては、2以上の判別手法を組み合わせて用いることもできる。この場合においても、それらの判別結果が相違する場合には、予め取得した正診率等に基づいて判別結果の優先順位を決めておくことが好ましい。例えば、耐性獲得群と非耐性獲得群の判別にあたり、2以上の判別手法を組み合わせるとき、非耐性獲得群とする判別結果を優先すると規定しておくことができる。例えば、アレルギー重症化に寄与するエピトープペプチド(共通群+持続性群+非耐性獲得群)に対するIgE抗体結合量が高い場合、又は非耐性獲得群を特徴付けるエピトープペプチドに対するIgE抗体結合量が高い場合には、いずれも非耐性獲得群と予測されるからである。
以上の属性情報取得工程は、結合情報取得工程で得られたシグナル情報を利用してコンピュータを用いて行うこともできる。
(ミルクアレルギー個体の属性を予測するための装置)
本明細書の開示によれば、ミルクアレルギー個体の属性を予測するための装置も提供される。本装置は、以下に示すエピトープセット:
配配列番号337〜357で表されるアミノ酸配列をそれぞれ有するエピトープペプチドからなる群から選択される1又は2以上のエピトープペプチドからなり、自然寛解群に対して肯定的な第1のエピトープセット、
配列番号358〜372で表されるアミノ酸配列をそれぞれ有するエピトープペプチドからなる群から選択される1又は2以上のエピトープペプチドからなり、持続性アレルギー群に対して肯定的な第2のエピトープセット、及び
配列番号373〜376で表されるアミノ酸配列をそれぞれ有するエピトープペプチドからなる群から選択から選択される1又は2以上のエピトープペプチドからなり、経口免疫療法における非耐性獲得群に対して肯定的な第3のエピトープセット
からなる群から選択される1又は2以上のエピトープセットを固相担体上に備えている。
本装置によれば、エピトープペプチドとミルクアレルギー個体から採取した被験試料中の抗体との特異的結合に関する結合情報に基づき、ミルクアレルギー個体の属性、すなわち、自然寛解群、持続性群、経口免疫療法における耐性獲得群及び非耐性獲得群のいずれかであるかの属性情報を取得することができる。
本装置は、さらに、配列番号377〜383で表されるアミノ酸配列をそれぞれ有するエピトープペプチドからなる群から選択される1又は2以上のエピトープペプチドからなり、前記ミルクアレルギー疾患に共通性の高い第4のエピトープセットをさらに、備えることもできる。
判別を効率的に行うために、第1のエピトープセット、第2のエピトープセット、第3のエピトープセットを、固相担体上においてそれぞれ別々の領域に固定化されていてもよい。また、同様に、第4のエピトープセットもこれらの領域と別個に同一の固相担体上に固定化されていてもよい。
(ミルクアレルギー個体の属性を予測するためのペプチドセット)
本明細書の開示によれば、ミルクアレルギー個体の属性を検査するためのペプチドセットも提供される。本ペプチドセットは、以下に示すエピトープセット:
配列番号337〜357で表されるアミノ酸配列をそれぞれ有するエピトープペプチドからなる群から選択される1又は2以上のエピトープペプチドからなり、自然寛解群に対して肯定的な第1のエピトープセット、
配列番号358〜372で表されるアミノ酸配列をそれぞれ有するエピトープペプチドからなる群から選択される1又は2以上のエピトープペプチドからなり、持続性アレルギー群に対して肯定的な第2のエピトープセット、及び
配列番号373〜376で表されるアミノ酸配列をそれぞれ有するエピトープペプチドからなる群から選択から選択される1又は2以上のエピトープペプチドからなり、経口免疫療法における非耐性獲得群に対して肯定的な第3のエピトープセット
からなる群から選択される1又は2以上のエピトープセットを含むことができる。さらに、本ペプチドセットは、配列番号377〜383で表されるアミノ酸配列をそれぞれ有するエピトープペプチドからなり、ミルクアレルギー個体に対して肯定的な第4のエピトープセットを備えていてもよい。本ペプチドセットによれば、ミルクアレルギー個体の群を判別し予後を予測することができるようになる。本ペプチドセットについては、各エピトープセットについて既に説明した各種実施態様を適用することが可能である。
以下、本発明を、具体例を挙げて説明するが、以下の実施例は、本発明を説明するものであって本発明を限定するものではない。
牛乳タンパク質全6種類(a-S1 casein、a-S2 casein 、a-lactalbumin、b-lactoglobulin、b-casein、k-casein、)由来のペプチド336種(16残基の長さ、3残基ずらし)(配列番号1〜336)を全網羅したペプチドアレイを作製し、ミルクアレルギー患者血清のIgEエピトープ解析を行った。抗原である牛乳を摂取する経口免疫療法(経口免疫療法)を実施し、牛乳200mlに到達した患者群、200ml摂取困難群、経口免疫療法を行わずに除去食を継続した対照群について解析を行い、患者群の判別に有用なエピトープ配列を決定した。
(血清試料の種類)
以下の4群のミルクアレルギー患者血清を用いた。
(1)自然寛解群1(3歳までの間に自然寛解した群(略称G3、11名))
発症前後“1歳”と医師の判断によるアレルゲン解除日の前後に採血を行った“寛解前後”の2経時のサンプルでアッセイを行った。
(ミルク特異的IgE量)
発症時(1歳前後) 0.35〜12 UA/ml (CAP-RAST クラス1-3)
寛解時(1-2歳) 0.35〜1.6 UA/ml (CAP-RAST クラス1-3)
(2)自然寛解群2(6歳までの間に自然寛解した群(略称G6、9名))
(発症時 “1歳”時と“寛解前後”の2経時のサンプルでアッセイを行った。
(ミルク特異的IgE量)
発症時(1歳前後) 0.35〜21 UA/ml (CAP-RAST クラス1-4)
寛解時(2-5歳) 0.35〜18.8 UA/ml (CAP-RAST クラス1-3)
(3)耐性獲得群(アレルギーを維持して自然寛解しなかったが経口免疫療法を実施した後、2〜3週間の牛乳除去期間を経て牛乳200ccを摂取できた耐性獲得群、略称T、8名))
4名は経口免疫療法を行う直前を0Mとした時の1年前、0M、12M、24Mの4経時、残りの4名は0M、12Mの2経時のサンプルでアッセイを行った。
(ミルク特異的IgE量)
治療前 3.8〜65 UA/ml (CAP-RAST クラス3-5)
1年後 1.3〜32 UA/ml (CAP-RAST クラス2-4)
(4)非耐性獲得群(アレルギーを維持して自然寛解しなかったが経口免疫療法により耐性を獲得できなかった群:略称P、9名)
4名は、1年前、0M、12M、24Mの4経時、残りの5名は0M、12Mの2経時のサンプルでアッセイを行った。
(ミルク特異的IgE量)
治療前 14〜>100 UA/ml (CAP-RAST クラス3-6)
1年後 5.0〜82 UA/ml (CAP-RAST クラス3-5)
(ペプチドアレイの作製)
ペプチドは化学合成し、精製率70%以上で精製した。ペプチド濃度2.0mg/mlで、0.1%(w/v) sodium dodecyl sulfate (SDS)、1-Ethyl-3-(3-dimethylaminopropyl)carbodiimide(EDC)を含む20mMリン酸緩衝溶液(pH8.5)をスポッティング溶液として用いて、ガラス基板上にペプチド336種を固定化した高集密なミルクペプチドアレイを作製した。
(ペプチドの固定化)
アレイ上へのペプチド固定化のため、ドライオーブンで加熱処理(1h、80℃)した後、2×SSC(0.3 M NaCl and 0.03 M sodium citrate), 0.2 % SDS, 100 mM dithiothreitol (DTT)溶液に浸漬(15 min、室温)後、95℃に加熱した2×SSC, 0.2 %SDS溶液に浸漬(5 min)した。次に、滅菌水中でアレイを10回振とうさせる操作を3回行った。その後、遠心乾燥を行った。
(イムノアッセイ)
ブロッキング溶液(50 mM Ethanolamine)、0.1%SDS、0.1 M Tris(hydroxymethyl)aminomethane)に浸漬した(90 min、室温)後、PBS-T(1×PBS、0.1 % Tween20)に浸漬した(5 min、室温、3回)。これにより、スライド基板上の未反応アミノ基のブロッキングを行った。次に、ミルクアレルギー患者から採取した血清を1 %Ovalbumin(OVA, Albumin, Chicken Egg)を含むPBS-T溶液で10倍希釈した後、その溶液をカバーガラス(Gasket slide 4 microarray/slide format、G2534-60013、Agilent Technologies)に100 mlアプライし、その上にアレイのペプチドが固定されている面を重ね合わせ、ハイブリダイゼーション用チャンバ(Microarray hybridization chamber, stainless steel、G2534A、Agilent Technologies)で固定した後、ハイブリダイゼーションオーブン(Hybridization Oven、G2545A、Agilent Technologies)で撹拌しながら反応させた(30 min、37 ℃、20 rpm)。血清反応後、ハイブリダイゼーションオーブンからアレイを取り出し、PBS-T中でカバーガラスを外し、PBS-T(1×PBS、0.1 %Tween20)に浸漬した(5min、室温、3回)。
次に、Alexa555で標識したMouse Anti-Human IgG4,Fc Fragment Specific(HP6025、Calbiochem)とAlexa 647で標識したAffinity Purified Secondary Antibodies against Human IgE(Fc)(A116UN、American Qualex Antibodies)を1 %OVA、PBS-T溶液で500倍希釈した後、血清を作用させた場合と同様の手順にて、ハイブリダイゼーションオーブンで撹拌した(30 min、37 ℃、20rpm)。抗体反応後、オハイブリダイゼーションーブンからアレイを取り出し、PBS-T中でカバーガラスを外した。PBS-T(1×PBS、0.1% Tween20)で洗浄(5 min、室温、3回)後、さらに、滅菌水中でアレイを10回程度振とうさせる操作を3回行い、900 rpmで3 min遠心乾燥させた。以上の操作を終えたペプチドアレイを,マイクロアレイスキャナー(scanner model G2505B、software G2565BA/DA、Agilent Technologies)で検出した。
得られた画像データは,数値解析ソフト(Gene Pix Pro 7、Agilent Technologies)を用いて解析し,それぞれのスポットの蛍光強度を数値化した。基板内n=3の平均蛍光強度をペプチドに対する蛍光強度値として評価した。また、イムノアッセイのコントロール実験として、血清を作用させずに二次抗体のみを反応する条件(血清無し)についても実験を実施し、“血清あり−血清無し”の蛍光強度を用いて解析を行った。
(アレイデータの標準化)
各患者を特徴づけるエピトープを解析し、患者群間を判別する有用なペプチドを取得するため、各患者のIgE蛍光シグナル強度を標準化した。ミルクペプチドアレイを用いたアレルギー患者のIgE蛍光シグナルは、ほとんどのペプチドで数十〜数百付近のノイズレベルの値をとるが、数十種類のエピトープとなるペプチドが数千、数万のシグナル値をとる非正規分布をとる。そこで、非正規分布サンプルに対して標準化を行う解析方法として、Robust Z-score解析を適用した。Robust Z-scoreは以下の計算式で算出した。この解析によれば、非正規分布をとる蛍光シグナル値の標準化が可能となり、中央値から距離をスコア化して患者間の比較が可能となる。
また、上記式のmはサンプル群の中央値である。また、式中のXは次の式で表される。
以上の式で算出されたスコアが2以上となるペプチドをエピトープペプチドとし、各群におけるかかるエピトープペプチドの分布を調べた。なお、本アレイのペプチドアライブラリーは、16残基長、3残基シフトで合成しているため、各13残基の共通配列を有する。抗体エピトープは複数の配列にまたがってシグナルとして検出されると考えられることから、今回のRobust Z-score解析ではあるペプチドの前後2配列がZ-score<2の場合は、その配列を含めた5配列の中央値をとって値を置き換えることによりノイズ除去を行った。ただし、タンパク由来の末端配列に関しては前後2配列が取れる範囲内で中央値に置き換えた。Z-score=2を閾値とし、2以上のペプチドは黄色に2未満は黒色に色づけした結果を図1に示す。
図1に示すように、スコアによって選択されたエピトープペプチドについての蛍光強度は、血清サンプルの経時変化に対して変化が少ないことがわかった。各患者群に共通して、治療の前後(0Mと12M)でヒートマップに大きな変化はみられなかった。また、持続性群と自然寛解群のエピトープは異なり、a-S1 caseinおよびb-caseinに主に持続性群のエピトープが多く、自然寛解群はa-S1 casein のほか、a-lactalbumin以外に散在していることが示唆された以上のことから、患者群判別にエピトープ解析が有用であることが示唆された。
また、図2〜図4に、各群におけるスコアが2以上となるペプチドを有する患者割合率%を示す。図2〜図4に示すように、図1と同様、患者群ごとに陽性率の高いエピトープは特徴的であり、患者群判別にエピトープ解析が有用であることが示唆された。
(患者群判別に有効なエピトープの解析)
そこで、各スコアによるT検定を行い、各患者群に有用なエピトープを解析した。
自然寛解群については、T及びP(治療前:経口免疫療法による治療開始前(以下、同じ。))のスコアと、G6及びG3(いずれも発症時(1才前後、以下、同じ。))のスコアと、において有意差があり(p<0.05)、かつ、G3及びG6の平均スコアが2超であり、G6及びG3のスコアの平均値がT及びPにおけるスコアの平均値の2倍よりも大きくなるエピトープ(セット1)を解析した。さらに、上記の有意差を有し、かつG3及びG6の平均スコアが1超であり、G6及びG3のスコアの平均値が、T及びPにおけるスコアの平均値の2倍よりも、大きくなるエピトープも解析した(セット2)。結果を図5に示す。
持続性群については、T及びP(いずれも治療前)のスコアと、G6及びG3(いずれも発症時)のスコアとにおいて有意差があり(p<0.05)、かつ、T及びPの平均スコアが2超であり、T及びPの治療前のスコアの平均値が、G3及びG6の発症時のスコアの平均値の2倍よりも大きいエピトープを解析した(セット1)。さらに、上記の有意差を有し、かつT及びPの平均スコアが1超であり、T及びPの治療前のスコアの平均値が、G3及びG6の発症時のスコアの平均値の2倍よりも大きいエピトープを解析した(セット2)。結果を図6に示す。
非耐性獲得群については、T(治療前)のスコアとP(治療前)のスコアにおいて有意差があり(p<0.05)、かつ、Pのスコアが2超であり、Pのスコアの平均値がTのスコアの平均値の2倍以上大きいエピトープを解析した。結果を図7に示す。
さらに、全群に共通性の高いエピトープとして、T及びP(いずれも治療前)の平均スコアが2超であって、G3及びG6(いずれも発症時)のスコアが2超であるエピトープを解析した。結果を図8に示す。
さらに、各群について自然寛解群に特徴的であるとしたエピトープペプチドに関するスコア(2未満、2以上、5以上)のマップを図9に示し、各群について持続性群及び非耐性獲得群に特徴的であるとしたエピトープペプチドに関するスコア(2未満、2以上、5以上)のマップを図10に示す。
図5及び図6に示すように、自然寛解群に特徴的なエピトープペプチドと持続性群について特徴的なエピトープは異なっていることがわかった。自然寛解群には、aS2C46-52、aS2C61-63、bC32-35、bLG21,22、kC33-37などが有用であることがわかった。持続性群に特徴的な配列は主にa-S1 caseinにあり、特にaS1C46-48, aS1C57-62が有用であることがわかった。
また、図7に示すように、持続性群における非耐性獲得群に特徴的なエピトープペプチドも見出すことができた。すなわち、治療前のT群とP群の判別にはaS1C27,28,30が有用であることが示唆された。さらに、図8に示すように、全群に共通性の高い、すなわち、アレルギー患者に共通する特徴的なエピトープ(共通群)も見出すことができた。aS1C22-24およびaS1C35-37は、各群の平均Z-score≧2であり、患者群によらずエピトープになりやすいことが示唆された。
また、図9及び図10に示すように、自然寛解群、持続性群及び非耐性獲得群にそれぞれ特徴的であると解析されたエピトープのスコア分布によって各群を容易に視認できることもわかった。
以上のことから、これらのペプチド配列を用いて患者群の判別が可能であり、各群のエピトープパターンを解析することで治療指針を提供できる可能性が示唆された。
本実施例では、エピトープを解析した各群の各個体の自然寛解群に特徴的なエピトープ(セット1)についての蛍光シグナル(T,P:治療前、G3、G6:発症時)の平均値と、同じく各個体の持続性群に特徴的なエピトープ(セット1)についての蛍光シグナルの平均値と、をそれぞれ算出した。そして、シグナル比として(持続性群に特徴的なエピトープの蛍光シグナルの平均値)/(自然寛解群に特徴的なエピトープの蛍光シグナルの平均値)を算出した。そして、当該シグナル比が1以上のとき持続性群とし、1未満のとき自然寛解群として判別した。判別結果と正診率の結果を図11に示す。
図11に示すように、各群を、シグナル比でそれぞれ特徴付けることができた。また、シグナル比1以上及び1未満で判別した持続性群と自然寛解群についての正診率は、それぞれ94.1%(16/17)及び84.2%(16/19))であった。
さらに、別に準備された確定診断(T,P、G3、G6)済みのミルクアレルギー患者(20人)の血清(T,P:治療前、G3、G6:発症時)につき、実施例1と同様にアレイを用いた解析を行い、さらに、上記と同様にしてシグナル比を得て、上記と同様に持続性群と自然寛解群とを判別した。判別結果と正診率の結果を図12に示す。
図12に示すように、エピトープを解析した群でないミルクアレルギー患者においても、シグナル比によって持続性群と自然寛解群とを特徴付けることができた。また、シグナル比1以上及び1未満で判別した持続性群と自然寛解群についての正診率は、それぞれ76.9%(10/13)及び100%(7/7)であった。
以上の結果から、実施例1で取得したエピトープセットは、ミルクアレルギー患者について持続性群と自然寛解群とを判別できることがわかった。
本実施例では、エピトープを解析した持続性群の各個体(17名)の持続性群、非耐性獲得群及び共通群のそれぞれに特徴的なエピトープ(持続性群についてはセット1)についての蛍光シグナル(治療前)の総和(データ1)と、各個体の非耐性獲得群に特徴的なエピトープについての蛍光シグナルの総和(データ2)と、をそれぞれ算出した。そして、データ1については、26000以上を非耐性獲得群と判別し、26000未満を耐性獲得群と判別した。また、データ2については、1000以上を非耐性獲得群と判別し、1000未満を耐性獲得群と判別した。さらに、データ1とデータ2の判別結果のうち、非耐性獲得群との判別結果を優先して採用して最終的な判別結果とした。判別結果と個体の正診状況との対比結果を図13に示す。
図13に示すように、データ1及びデータ2を利用しても、概ね検体症状(耐性獲得群及び非耐性獲得群)を判別できた。耐性獲得群と非耐性獲得群とについての正診率は、それぞれ87.5%(7/8)及び77.8%(7/9)であった。
さらに、別に準備された確定診断済みのミルクアレルギー患者(13人)の血清(治療前)につき、実施例1と同様にアレイを用いた解析を行い、さらに、上記と同様にしてデータ1及びデータ2を得て、上記と同様に耐性獲得群と非耐性獲得群とを判別した。判別結果と正診率の結果を図14に示す。
図14に示すように、エピトープを解析した群でないミルクアレルギー患者においても、データ1及びデータ2を用いて、概ね耐性獲得群と非耐性獲得群とを判別できた。耐性獲得群と非耐性獲得群とについての正診率は、それぞれ71.4%(5/7)及び83.3%(5/6)であった。
以上の結果から、実施例1で取得したエピトープセットは、ミルクアレルギー患者について耐性獲得群と非耐性獲得群とを判別できることがわかった。これにより、経口免疫療法による治療効果を予測できるようになることがわかった。
配列番号1〜383:エピトープペプチド

Claims (11)

  1. ミルクアレルギー個体の属性の予測方法であって、
    ミルクアレルギー個体由来の抗体を含有する被験試料と、以下に示すエピトープセット:
    ミルクアレルギーの自然寛解群に対して肯定的な第1のエピトープセット、
    ミルクアレルギーの持続性群に対して肯定的な第2のエピトープセット、及び
    ミルクアレルギーの経口免疫療法における非耐性獲得群に対して肯定的な第3のエピトープセット
    からなる群から選択される1又は2以上のエピトープセットに含まれる1又は2以上のエピトープペプチドと接触させる工程と、
    前記1又は2以上のエピトープペプチドと前記被験試料中の抗体との特異的結合に関する結合情報を取得する工程と、
    を備える、方法。
  2. さらに、前記結合情報に基づいて前記ミルクアレルギー個体が、ミルクアレルギーに関して、自然寛解群、持続性群、経口免疫療法における耐性獲得群及び経口免疫療法における非耐性獲得群のいずれであるかの属性情報を取得する工程、
    を備える、請求項1に記載の予測方法。
  3. 前記第1のエピトープセットは、配列番号337〜357で表されるアミノ酸配列をそれぞれ有するエピトープペプチドからなる群から選択される1又は2以上のエピトープペプチドからなる、請求項1又は2に記載の予測方法。
  4. 前記第2のエピトープセットは、配列番号358〜372で表されるアミノ酸配列をそれぞれ有するエピトープペプチドからなる群から選択される1又は2以上のエピトープペプチドからなる、請求項1〜3のいずれかに記載の予測方法。
  5. 前記第3のエピトープセットは、配列番号373〜376で表されるアミノ酸配列をそれぞれ有するエピトープペプチドからなる群から選択される1又は2以上のエピトープペプチドからなる、請求項1〜4のいずれかに記載の予測方法。
  6. 前記検出工程は、さらに、ミルクアレルギー個体に対して肯定的な第4のエピトープセットを構成する1又は2以上のエピトープペプチドと前記抗体との特異的結合を検出する工程である、請求項1〜5のいずれかに記載の予測方法。
  7. 前記第4のエピトープセットは、配列番号377〜383で表されるアミノ酸配列をそれぞれ有するエピトープペプチドからなる群から選択される1又は2以上のエピトープペプチドからなる、請求項6に記載の予測方法。
  8. ミルクアレルギー個体の属性を予測するための装置であって、
    以下に示すエピトープセット:
    配列番号337〜357で表されるアミノ酸配列をそれぞれ有するエピトープペプチドからなる群から選択される1又は2以上のエピトープペプチドからなり、ミルクアレルギーの自然寛解群に対して肯定的な第1のエピトープセット、
    配列番号358〜372で表されるアミノ酸配列をそれぞれ有するエピトープペプチドからなる群から選択される1又は2以上のエピトープペプチドからなり、ミルクアレルギーの持続性群に対して肯定的な第2のエピトープセット、及び
    配列番号373〜376で表されるアミノ酸配列をそれぞれ有するエピトープペプチドからなる群から選択から選択される1又は2以上のエピトープペプチドからなり、経口免疫療法における非耐性獲得群に対して肯定的な第3のエピトープセット
    からなる群から選択される1又は2以上のエピトープセットに含まれる1又は2以上のエピトープペプチドを固相担体上に備え、
    前記エピトープペプチドと前記ミルクアレルギー個体から採取した被験試料中の抗体との特異的結合に関する結合情報に基づき、前記ミルクアレルギー個体が、ミルクアレルギーに関して、自然寛解群、持続性群、経口免疫療法における耐性獲得群及び経口免疫療法における非耐性獲得群のいずれであるかの属性情報を取得するための装置。
  9. さらに、配列番号377〜383で表されるアミノ酸配列をそれぞれ有するエピトープペプチドからなる群から選択される1又は2以上のエピトープペプチドからなり、前記ミルクアレルギー個体に肯定的な第4のエピトープセットを、備える、請求項8に記載の装置。
  10. ミルクアレルギー個体の属性を予測するためのペプチドセットであって、
    以下に示すエピトープセット:
    配列番号337〜357で表されるアミノ酸配列をそれぞれ有するエピトープペプチドからなる群から選択される1又は2以上のエピトープペプチドからなり、ミルクアレルギーの自然寛解群に対して肯定的な第1のエピトープセット、
    配列番号358〜372で表されるアミノ酸配列をそれぞれ有するエピトープペプチドからなる群から選択される1又は2以上のエピトープペプチドからなり、ミルクアレルギーの持続性群に対して肯定的な第2のエピトープセット、及び
    配列番号373〜376で表されるアミノ酸配列をそれぞれ有するエピトープペプチドからなる群から選択から選択される1又は2以上のエピトープペプチドからなり、ミルクアレルギーの経口免疫療法における非耐性獲得群に対して肯定的な第3のエピトープセット
    からなる群から選択される1又は2以上のエピトープセットを含む、ペプチドセット。
  11. さらに、配列番号377〜383で表されるアミノ酸配列をそれぞれ有するエピトープペプチドからなる群から選択される1又は2以上のエピトープペプチドからなり、前記ミルクアレルギー個体に肯定的な第4のエピトープセットを、備える、請求項10に記載のペプチドセット。
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