JP5728678B2 - アレルギー疾患を診断するための方法 - Google Patents

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Description

本発明は、IgE及びIgG4のアレルゲンタンパク質又はその一部から得られるエピトープペプチドに対する結合パターンを解析してアレルギー疾患を診断する方法に関する。
花粉や食品由来のタンパク質に対するアレルギー疾患の診断や治療のため、アレルゲン特異的な抗体量の測定が行われている。例えば、患者の血中のアレルゲンに特異的なIgA、IgG、IgEなどの抗体量やその比を測定する方法(特許文献1)がある。また、同様の目的のために、抗原タンパク質のうちIgGやIgEのペプチド断片のアレイを作製し、このペプチドアレイを用いて、IgE及びIgGがそれぞれ特異的に結合するIgEエピトープ及びIgGエピトープを特定できることも開示されている(非特許文献1)。また、ペプチドアレイを用いたピーナッツ抗原タンパク質(Ara h2)のペプチドスキャンアレイを用いた抗原エピトープ特異的IgEおよびIgG4の測定することが開示されている(非特許文献2)。
特開2008−107154
J. Allergy, Clin. Immunol., 122, 589-594 (2008) J. Allergy, Clin. Immunol., 116, 893-899 (2005)
上記特許文献1に記載の方法ではIgG4やIgEの量を測定し、その比(IgE/IgG)をインデックスとして用いるものであり、数値指標であるため簡易かつ明確であるが、その反面、患者毎あるいは患者のアレルゲンタンパク質に対する反応性の変化を検出するのが不可能である。また、非特許文献1は特定のエピトープに対する反応強度(IgE/IgG4)を感受性個体と耐性個体とについて開示しているものの、感受性個体に特異的なエピトープを開示するに留まっている。さらに、非特許文献2は、重篤な症状をもつ患者において特異的IgEエピトープ数が多いことが明らかとなったことが開示されているに留まっている。
各種のアレルギー疾患は、年齢、季節、体調の変化、疾患の罹患等、免疫系の変化によりその症状が変化するものであり、重症化する場合も耐性を獲得する場合もある。このような経時変化等に伴うアレルゲンタンパク質に対する反応性の変化を感度よく検出して、アレルギー疾患の予防、発症予測、予後、耐性獲得予測を行うことが、効果的な治療に有効である。しかしながら、そのような診断のための有効な方法は現状において提供されていない。また、個体間のアレルゲンタンパク質に対する反応性の相違を感度よく検出する方法も未だ提供されていない。
そこで、本発明は、アレルゲンタンパク質に対する反応性の変化を感度よく検出できるアレルギー疾患の診断方法を提供することを一つの目的とする。また、アレルゲンタンパク質に対する反応性の変化又は相違を検出する方法を提供することを他の一つの目的とする。
本発明者らは、アレルゲンタンパク質に対してエピトープペプチドを取得して固相担体に固定化して、エピトープペプチドに結合する検体中のIgE及びIgG4の量をシグナルとして取得し、これらをIgE対IgG4のシグナルスキャッタープロットを得ることで、抗原抗体反応の反応性の変化を感度よく検出できることを見出し、本発明を完成した。本明細書の開示によれば以下の手段が提供される。
(1)アレルギー疾患の診断方法であって、
1種又は2種以上のアレルゲンタンパク質又はその一部のアミノ酸配列に基づいて取得した複数のエピトープペプチドを固定化した固相担体にアレルギー疾患の可能性のある個体由来の抗体を含有する被験試料を供給して前記エピトープペプチドと前記抗体とを接触させる工程と、
前記エピトープペプチドと前記抗体との特異的結合を検出する工程と、
前記各エピトープペプチドに関し、IgEとの結合に基づく第1の強度情報と、IgG4との特異的結合に基づく第2の強度情報とを取得する工程と、
前記第1の強度情報及び前記第2の強度情報を利用して前記被験試料の前記1種又は2種以上のアレルゲンタンパク質に対する反応性を検出する工程と、
検出した前記被験試料の前記1種又は2種以上のアレルゲンタンパク質に対する反応性に基づいて前記個体の前記アレルギー疾患に関する状況を診断する工程と、
を備える、方法。
(2)前記検出工程は、前記第1の強度情報と前記第2の強度情報とがそれぞれ所定の数値指標を充足する前記エピトープペプチドの個数に基づいて前記被験試料の前記1種又は2種以上のアレルゲンタンパク質に対する反応性を検出する工程である、(1)に記載の方法。
(3)前記検出工程は、前記第1の強度情報と前記第2の強度情報との比を利用する工程である、(1)又は(2)に記載の方法。
(4) 前記検出工程は、前記比が所定の数値指標を充足する前記エピトープペプチドの個数に基づいて前記被験試料の前記1種又は2種以上のアレルゲンタンパク質に対する反応性の相違又は変化を検出する工程である、(3)に記載の方法。
(5) 前記検出工程は、前記第1の強度情報及び前記第2の強度情報を用いて得られる分布図を利用する工程である、(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6) 2種類以上の前記アレルゲンタンパク質に対してそれぞれ取得した前記複数のエピトープペプチドを固定化した前記固相担体を準備する、(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(7) 前記アレルギー疾患は、牛乳に対するアレルギー疾患である、(1)〜(6)のいずれかに記載の方法。
(8) 前記アレルゲンタンパク質は、αs1-カゼイン、αs2-カゼイン、β−カゼイン、κ−カゼイン及びβ−ラクトグロブリンからなる群から選択される1種又は2種以上である、(7)に記載の方法。
(9) 前記アレルゲンタンパク質は、αs1-カゼイン、β−カゼイン及びκ−カゼインからなる群から選択される1種又は2種以上を含む、(8)に記載の方法。
(10) 前記アレルゲンタンパク質は、αs1-カゼインを含む、(9)に記載の方法。
(11) 複数のエピトープペプチドは、配列番号1〜340で表されるアミノ酸配列から選択される2種以上のアミノ酸配列をそれぞれ有する複数のペプチドを含む、(7)〜(10)のいずれかに記載の方法。
(12) 前記複数のエピトープペプチドは、以下の表に記載の2種以上のアミノ酸配列をそれぞれ有する複数のペプチドを含む、(11)に記載の方法。
(13) 牛乳に対するアレルギー疾患の診断装置であって、
配列番号1〜340で表されるアミノ酸配列から選択される2種以上のアミノ酸配列をそれぞれ有する複数のペプチドを固定化した固相担体を備える、装置。
第1の強度情報及び第2の強度情報に基づく分布図の一例を示す図である。 第1の強度情報及び第2の強度情報に基づく分布図の他の一例を示す図である。 第1の強度情報及び第2の強度情報に基づく分布図の他の一例を示す図である。 実施例1における持続性牛乳アレルギー群、全12検体において各ペプチドに対する蛍光強度値の平均を示す図である。ペプチドはタンパク配列のN末からC末の順に並んでいる。BLG 、ALA 、aS1C 、aS2C 、BC 、KC はそれぞれb−lactoglobulin 、a−lactalbumin 、as1−casein、as2−casein、b−casein、k−caseinを示す。 実施例1における各群の分布図を示す図((a)〜(c))である。破線はコントロール血清(3検体)から得られた全ペプチドのデータをもとに95パーセンタイルの蛍光強度値をカットオフ値として示す。また、カットオフ値によって区画された各象限の、IgEシグナルポジティブ・IgG4シグナルネガティブ、IgEシグナルネガティブ・IgG4シグナルポジティブ、IgE・IgG4シグナルダブルポジティブのペプチドが全ペプチドに占める割合をそれぞれ示す。 牛乳アレルギー疾患陽性群でIgE結合性が有意であるエピトープペプチドを用いた分布図を示す図((a)〜(c))である。破線はコントロール血清(3検体)から得られた全ペプチドのデータをもとに95パーセンタイルの蛍光強度値をカットオフ値として示す。また、カットオフ値によって区画された各象限の、IgEシグナルポジティブ・IgG4シグナルネガティブ、IgEシグナルネガティブ・IgG4シグナルポジティブ、IgE・IgG4シグナルダブルポジティブのペプチドが全ペプチドに占める割合をそれぞれ示す。 IgG4のシグナル強度/IgEのシグナル強度(比)を指標とした識別線の設定と判定結果を示す表である。 実施例2における各群の分布図を示す図((a)〜(c))である。コントロール血清(3検体)から得られた全ペプチドのデータをもとに95パーセンタイルの蛍光強度値をカットオフ値として破線(薄)で示す。IgG4のシグナル強度/IgEのシグナル強度(比)(強度比=2)を指標とした識別線を、破線(濃)で示す。識別線を設けた後の破線で囲まれた領域(領域A、領域B)に分布するペプチドが全ペプチドに占める割合をそれぞれの領域に示した。 個々の被験試料(血清)における識別線(IgG4のシグナル強度/IgEのシグナル強度(比)=2)による群間の分類結果を示す表である。 識別線の設定に用いていない血清の群間分類結果(ブラインド試験)(IgG4のシグナル強度/IgEのシグナル強度(比)=2による)を示す表である。 牛乳アレルギー個体が耐性を獲得するまでの領域A,Bにおけるエピトープペプチドの分布図を示す図((a)〜(d))である。 牛乳アレルギー個体が耐性を獲得するまでの領域A,Bにおけるエピトープペプチド数の経時変化を示す表である。 図13(a)は、ある患者(患者番号19)についての、IgE高発現エピトープの抽出結果を示し、図13(b)は、前記患者のIgG4高発現エピトープの抽出結果を示す図である。各図における点線は、2つのカットオフ値に相当している。 図14(a)は、CAP−RASTによる患者群について症状(左側が負荷陽性患者、右側が陰性患者、以下同じ。)別のデータの分布を示し、図14(b)は、患者群のIgE高発現エピトープペプチド数の症状別の分布を示し、図14(c)は、患者群のIgG4高発現エピトープペプチド数の症状別の分布を示す。 図15(a)は、患者群におけるIgE高発現エピトープ数とIgG4高発現エピトープ数とのプロットを示し、図15(b)は、(a)のプロットの一部拡大図を示し、図15(c)は、IgG4/IgEを症状(左側が負荷陽性患者、右側が陰性患者)別にプロットした図を示す。 中和抗体の考え方による補正後のIgE高発現エピトープペプチド数とIgG4高発現エピトープペプチド数とによるプロットを示す図である。白抜き三角は補正前の陽性患者のスポットであり、塗りつぶし三角は補正後の陽性患者のスポットである。白抜き円は補正前の陰性患者のスポットであり、塗りつぶし円は補正後の陰性患者のスポットである。 図17(a)は、中和抗体の考え方に基づく補正の導入前の症状(左側が負荷陽性患者、右側が陰性患者)別のIgG4/IgEのプロットを示し、図17(b)は、補正の導入後の症状別のIgG4/IgEのプロットを示す。 被験試料との撹拌しながらの接触工程の工程時間を10分〜60分(a)〜(c)で異ならせたときの蛍光強度値を示す図である。 二次抗体との撹拌しながらの検出工程の工程時間を、15分(a)及び30分(b)としたときの蛍光強度値を示す図である。 二次抗体との撹拌しながらの検出工程の工程時間を、1時間(a)及び3時間(b)実施したときの蛍光強度値を示す図である。
本明細書の開示は、アレルギー疾患の診断方法及びアレルゲンタンパク質に対する反応性の相違又は変化を検出する方法に関する。本明細書の開示によれば、固相担体に固定化した各エピトープペプチドに関し、IgEとの特異的結合に基づく第1の強度情報とIgG4との特異的結合に基づく第2の強度情報とに基づいて、IgE及びIgG4の前記各エピトープペプチドに対する特異的な結合強度情報を取得することで、アレルゲンタンパク質に対するIgE及びIgG4の反応性の変化や相違を感度よく検出できる。これは、抗体の結合対象がエピトープペプチドであるため、反応性の相違や変化が強調されるからである。加えて、第1の強度情報と第2の強度情報との比を利用することで、さらに精度よくアレルゲンタンパク質に対する反応性の変化や相違を検出できるようになる。この結果、アレルギー疾患の診断を高い確度で行うことができる。
また、第1の強度情報と第2の強度情報とを分布図(スキャッタープロット)として取得することでより感度よく反応性の相違や変化を確認することができるようになる。さらに、こうした分布図を用いることで、アレルゲンタンパク質に対する反応性の相違や変化を検出したり診断したりするのに好適なエピトープペプチド(エピトープ)を決定することもできる。
以上のことから、本明細書の開示によれば、各種のアレルギー疾患の予防、発症予測、予後、耐性獲得予測の診断を容易にし、ひいては効果的な予防や治療が可能となる。以下、本明細書の開示を実施するための最良の形態について説明する。
(アレルギー疾患の診断方法)
本発明の診断方法を適用するアレルギー疾患としては、特に限定されないで、アレルゲンタンパク質が特定されているアレルギー疾患であればよい。例えば、牛乳に対するアレルギー疾患、各種花粉に対するアレルギー疾患、卵に対するアレルギー疾患、ダニ抗原に対するアレルギー疾患、喘息など、年齢や季節的な変化があると考えられるアレルギー疾患について本明細書に開示の診断方法は有用である。本明細書の開示の方法は、アレルゲンタンパク質に対する反応性の有無だけでなく、反応性の変化や相違を容易に検出できるからである。
(抗原抗体反応工程)
本明細書に開示されるアレルギー疾患の診断方法は、所定のエピトープペプチドが固定化された固相担体に対して、アレルギー疾患の可能性のある個体由来の抗体を含有する被験試料を供給して抗原抗体反応を実施する。エピトープペプチドと前記抗体とを接触させる工程を備えている。
被験試料は、アレルギー疾患の可能性のある個体に由来する抗体を含有する。被験試料は、少なくともIgEとIgG4を含んでいればよいが、これら以外の免疫グロブリンを含んでいてもよい。このような被験試料は、特に限定されないが、例えば、アレルギー疾患の可能性のある個体から採取される血液や血清などが用いられる。アレルギー疾患の可能性のある個体は、アレルギー疾患の可能性があればよい。被験試料は、複数であってもよい。すなわち、診断対象となる個体につき2以上の被験試料を本明細書の開示の診断方法に供してもよい。なお、個体は、ヒトの他、非ヒト動物であってよい。
アレルゲンタンパク質は、当該アレルギー疾患に関連すると考えられるものであればよく、1種類であっても2種類以上であってもよい。複数種類のアレルゲンタンパク質に対する反応性を取得することで、感度が向上する場合もあり、単独のアレルゲンタンパク質に対する反応性を取得することで十分な感度を確保できる場合もある。少なくとも、本明細書に開示の検出方法における検出性能を確認するためには、2種類以上のアレルゲンタンパク質に対して抗体の強度情報を取得し、その上で、特定のアレルゲンタンパク質を選択して用いることが好ましい。
例えば、牛乳に対するアレルギー疾患の診断にあたって用いるアレルゲンタンパク質としては、主要な6つのミルクアレルゲンタンパク質であるα−ラクトアルブミン、β−ラクトグロブリン、αs1−カゼイン、αs2−カゼイン、β−カゼイン、κ−カゼインから選択される1種又は2種以上が挙げられる。好ましくは、アレルゲンタンパク質は、αs1-カゼイン、αs2-カゼイン、β−カゼイン、κ−カゼイン及びβ−ラクトグロブリンからなる群から選択される1種又は2種以上である。これらのアレルゲンタンパク質は、本発明者らの検討によれば、反応性の相違や変化を検出するのにより好ましいことがわかっている。さらに好ましくは、αs1-カゼイン、β−カゼイン及びκ−カゼインからなる群から選択される1種又は2種以上であり、また、一層好ましくは、αs1-カゼインである。αs1-カゼインは、強度情報を分布図として取得したときに、アレルギー陽性個体と、耐性獲得個体と、感作個体との間において、分布状態が最も大きく相違するからである。
エピトープペプチドは、可能性あるアレルゲンタンパク質に関しアレルギー疾患に関連のあるエピトープと考えられる部位のアミノ酸配列を含むかあるいは当該部位のアミノ酸配列からなっていればよく、特に限定されない。可能性あるアレルゲンタンパク質又はその部分のアミノ酸配列に基づいて、適当な長さ(例えば、12〜20残基程度)で、そのアミノ酸配列に関しオーバーラップが8〜17残基程度となるような必要な数のオーバーラップペプチドの集団から選択されることが好ましい。より好ましくは、アレルゲンタンパク質の一次構造をカバーするアミノ酸配列にわたって必要数のオーバーラップペプチドを準備する。一つのアレルゲンタンパク質について準備するオーバーラップペプチドの数は、カバーする一次構造の大きさやオーバーラップペプチドの長さ及びオーバーラップ残基数によって異なる。牛乳アレルギーなど複数のタンパク質がアレルゲンとして関与する場合には、これらの複数のアレルゲンタンパク質から選択される1種又は2種以上のアレルゲンタンパク質につき、オーバーラップペプチドを準備することができる。そして、準備したオーバーラップペプチドに対するアレルギー陽性個体群(特定の抗原に対して感受性持続状態)の被験試料(血清等)とアレルギー陰性個体群の被験試料(血清等)の比較から、アレルギー陽性個体を特徴付けることができる判定されたオーバーラップペプチドがエピトープペプチドとして選択される。こうしたオーバーラップペプチドから選択されるエピトープペプチドを用いることにより、アレルギー疾患の異なる状況に関し特徴付けが容易になる。
本発明のエピトープペプチドは、配列番号で特定されるアミノ酸配列を少なくとも部分配列として含んでいる限り、そのアミノ酸残基数は特に限定されない。典型的には、特定されるアミノ酸配列からなる。なお、本発明のエピトープペプチドは、公知の手法によりアミノ酸置換、欠失あるいは付加などの修飾が加えられていてもよい。治療用途に適した溶解性や抗原抗体反応性を付与することも可能である。
本発明のエピトープペプチドは公知のペプチド合成方法、例えば全自動ペプチド合成装置、酵母、大腸菌、哺乳動物細胞等による遺伝子組換えを用いた方法により製造することができる。
本発明のエピトープペプチド、必要に応じて塩の形態、好ましくは生理学的に許容される酸付加塩の形態であってもよい。そのような塩としては、無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)の塩、有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、シュウ酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸)の塩等が挙げられる
例えば、ヒトの牛乳アレルギーのアレルゲンタンパク質であるβ−ラクトグロブリン、α−ラクトアルブミン、αs1−カゼイン、αs2−カゼイン、β−カゼイン、κ−カゼインに関し、それぞれ、配列番号1〜51、52〜91、92〜154、155〜220、221〜287及び288〜340のエピトープペプチドを用いることができる。これらのエピトープペプチドは、これらのアレルゲンタンパク質のアミノ酸配列に対して作製したオーバーラップペプチド群である。これらの全てを用いることもできるし、一部を用いてもよい。一部を用いる場合には、各アレルゲンタンパク質からそれぞれ選択してもよいし、一部のアレルゲンタンパク質のエピトープペプチドを選択してもよい。なかでも、以下の表に示す73種の配列のエピトープペプチドをヒト牛乳アレルギーのアレルゲンタンパク質に関し用いることができる。73種の配列は、牛乳アレルギー疾患に関し関連の高いエピトープとしてオーバーラップペプチドから選択された配列である。これらの73種の一部を用いることもできるが、全てを用いることもできる。
エピトープペプチドは、適当な固相担体に固定化される。固相担体は、抗原抗体反応の反応系で溶媒に不溶な担体であれば、その材質及び形状は特に制限されず、公知の固相担体が使用できる。固相担体の形状としては、使用目的に応じて適宜の形状を選択すれば良く、例えば、テストプレート状、ビーズ状、球状、ディスク状、チューブ状、フィルター状等が挙げられる。好ましくは、固相担体は、テストプレート状、ディスク状、フィルター状等の平板状である。また、その材質としては、通常の免疫測定法用担体として用いられるもの、例えば、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリルアミド等の合成樹脂、または、これらに公知の方法によりスルホン酸基、アミノ基などの反応性官能基を導入したもの、ガラス、多糖類、シリカゲル、多孔性セラミックス、金属酸化物等が挙げられる。
固相担体へのエピトープペプチドの固定化方法は、物理的吸着法、共有結合法、イオン結合法、架橋法などの公知の方法が使用できるが、特に限定されない。当業者であれば、公知の方法から適宜選択してエピトープペプチドを固相担体に固定化することができる。
固相担体に固定化されたエピトープペプチドに対して被験試料をそれぞれ供給して、エピトープペプチドと抗体との抗原抗体反応を生じさせる条件を付与する。抗原抗体反応が生じる条件は、当業者であれば容易に設定でき、例えば、適当な緩衝液でpHを調整し、適当な時間程度反応させることで、抗原抗体反応を生じさせることができる。なお、被験試料中の抗体とエピトープペプチドとの特異的結合を検出するには、非特異的な結合を排除するためのコントロール実験を実施する。典型的には、適当なコントロール液を準備し、当該コントロール液も被験試料に用いるのと同様の固相担体に対して供給し、以下の手順に従い、各エピトープペプチドについてシグナル強度を測定することが行われる。
(抗原抗体反応の検出工程)
次に、各エピトープペプチドと被験試料中の抗体(少なくともIgG4とIgE)との特異的結合を検出する工程を実施する。固相担体上の抗原抗体反応は、イムノアッセイに用いられる標識物質を利用して検出することができる。標識物質としては、蛍光物質、発光物質、色素、酵素、補酵素、あるいはラジオアイソトープ等が挙げられる。標識物質は、エピトープペプチドに結合する抗体に対する二次抗体に直接結合して用いることもできる。また、標識物質を認識する抗体やアビジン−ビオチン系などを利用して間接的に用いることもできる。
(強度情報の取得工程)
次いで、各エピトープペプチドに関し、IgEとの特異的結合に基づく第1の強度情報とIgG4との特異的結合に基づく第2の強度情報とを取得する工程を備えることができる。こうした強度情報を取得することで、それぞれの抗体のアレルゲンタンパク質に対する特異的結合の強度に関する全体的な情報とアレルゲンタンパク質の個々の部位(エピトープペプチド)に対する特異的結合の強度に関する個別の情報とを利用して、アレルゲンタンパク質に対する反応性の変化や相違を検出できるようになる。
特異的結合に基づく強度情報は、こうした標識物質に基づくシグナルの種類に応じた検出装置を用いて所定のシグナルの大きさとして取得できる。第1の強度情報及び第2の強度情報は、それぞれ、強度情報は、被験試料中のエピトープペプチドに特異的に結合したIgEやIgG4の抗体量に関連付けすることができる。
(反応性を検出する工程)
本明細書に開示の診断方法は、第1の強度情報及び第2の強度情報を利用して被験試料のアレルゲンタンパク質に対する反応性を検出する工程を備えることができる。本工程によれば、被験試料中のエピトープペプチドに対するIgE量、IgG4量及びそれらの大小を得ることができる。オーバーラップペプチドから選択されたエピトープペプチドに対するこれらの情報を得ることができると、被験試料のアレルゲンタンパク質の所定の部位(エピトープ)に対する反応性が強調又は顕在化させることができる。この結果、アレルゲンタンパク質に対する反応性を感度よくまた確度よく検出できる。
(分布図)
強度情報を利用して反応性を検出するには、以下に示すようなカットオフ値や強度比を利用した数値処理によることができる。しかしながら、例えば、図1に示すように、X軸及びY軸のいずれかにそれぞれIgE及びIgG4の強度情報のバーを配したグラフにおいて、各エピトープペプチドについて取得された2つの免疫グロブリンに関する第1の強度情報と第2の強度情報に基づきプロットし、分布図を作製することが好ましい。こうすることで、被験試料のアレルゲンタンパク質とIgE及びIgG4との反応性を目視により容易に直感的に把握することができ、また、被験者に状況を容易に説明することができる。また、分布図にカットオフ値や強度比に基づく情報(境界線)を挿入することで、これらの情報を利用したエピトープペプチドの分類を目視で容易に視認でき、反応性の特徴を直感的に把握できるようになる。
同一個体からの被験試料につき、複数のアレルゲンタンパク質についてのエピトープペプチドについて強度情報を取得した場合には、各アレルゲンタンパク質毎に分布図を作成してもよいし、一つの分布図にまとめてよい。一つの分布図にまとめるときには、アレルゲンタンパク質毎に区別可能な表示(ドットの色や形態)を変化させてもよい。この場合、アレルゲンタンパク質毎の反応性を変化や相違を容易に検出できる。また、全てのアレルゲンタンパク質についての分布情報を一つの分布図にまとめるとともに、各アレルゲンタンパク質に由来するドットを区別不能に構成してもよい。こうすることで、複数のアレルゲンタンパク質に対する反応性の変化や相違を視認しやすくなる。
このような分布図は、各エピトープペプチドにつき取得された第1の強度情報及び第2の強度情報に基づいて、コンピュータ等のCPUが適当なプログラムを実行させることにより作成してもよい。こうした分布図は、コンピュータが保持するディスプレイ等の表示手段やコンピュータに付属する表示手段において表示させることができる。
(第1の強度情報及び第2の強度情報に関する所定の数値指標:カットオフ値)
第1の強度情報及び第2の強度情報を利用するには、前記アレルギー疾患に関し陰性の診断が確定している個体から採取した被験試料(以下、陰性被験試料という。好ましくは複数用いる。)につき各エピトープペプチドに関し取得した強度情報に基づき、IgE及びIgG4のそれぞれについてポジティブ/ネガティブを判定するための境界値(カットオフ値)を設定することが好ましい。例えば、あるエピトープペプチドのIgEの強度情報が、このような境界値よりも高いシグナル強度を有するときは、IgEポジティブであり、このような境界値よりも低いシグナル強度を有するときは、IgEネガティブであると分類できる。IgEについても同様である。
IgE及びIgG4につきそれぞれカットオフ値を定めることで、IgEポジティブ/ネガティブ、IgEポジティブ/ネガティブに関して、エピトープペプチドを4つに分類することができ、これらの分類に基づいて、アレルゲンタンパク質に対する反応性の変化や相違をより明確に判断できるようになる。
以下、カットオフ値の利用に関し、分布図を用いて説明する。たとえば、図2には、IgE及びIgG4のそれぞれのカットオフ値が挿入された分布図を示す。あるエピトープペプチドについての第1及び第2の強度情報がIgE及びIgG4についてのそれぞれのカットオフ値以上(又はより大きい)であるとき、当該エピトープペプチドは、IgG4・IgEダブルポジティブであり、また、第1及び第2のIgEのカットオフ値以上(またはより大きい)であり、IgG4のカットオフ値よりも小さい(またはそれ以下)であるとき、当該エピトープペプチドは、IgEポジティブ・IgEネガティブ(IgEシングルポジティブ)となる。同様に、IgEネガティブ・IgG4ポジティブ(IgG4シングルポジティブ)及びIgE・IgG4ダブルネガティブも分類することができる。
さらに、カットオフ値に基づいて4つに分類されたエピトープペプチドの各分類(特に、IgE・IgG4ダブルネガティブを除く3分類)されたエピトープペプチドの個数に基づくことができる。すなわち、当該個数、その大小及び比率を利用して、アレルゲンタンパク質に対する反応性を容易に把握できる。なお、分布図に、IgEとIgG4のカットオフ値に相当するシグナル強度を挿入することで、分布図をIgE・IgG4ダブルポジティブ、IgEシングルポジティブ、IgG4シングルポジティブ及びIgG4・IgEダブルネガティブの4つの象限に分類できる。この結果、IgE及びIgG4のエピトープペプチドに対する反応性の相違を容易に理解できる。
カットオフ値は種々の方法で設定できる。IgEとIgG4について、それぞれ同じ手法でカットオフ値を設定することが好ましい。例えば、陰性被験試料について得られた、所定のエピトープペプチドのIgEに由来するシグナル強度の平均値及び標準偏差に基づき標準偏差+2SD(2×標準偏差)等としてもよい。また、陰性被験試料につき所定のエピトープペプチドに関して得られたIgEに由来するシグナル強度の90パーセンタイル値あるいは95パーセンタイル値等、適切なパーセンタイル値としてもよい。
カットオフ値は、IgE及びIgG4のそれぞれにつき設定される。一つのアレルギー疾患に関連する複数のアレルゲンタンパク質に共通のカットオフ値を定めてもよいし、アレルゲンタンパク質毎にカットオフ値を定めてよい。複数のアレルゲンタンパク質に対する反応性を利用して確度高い診断が期待できる場合には、これらアレルゲンタンパク質に共通のカットオフ値を定めることが好ましい。例えば、陰性被験試料に関して取得した、こうした複数のアレルゲンタンパク質についての全てのエピトープペプチドのIgE由来のシグナル強度に基づいてカットオフ値を決定する。
カットオフ値は、本明細書の開示の診断方法を実施するにあたり、診断対象とするアレルギー疾患につき、予め取得しておくことが好ましい。
例えば、ヒトの牛乳アレルギーに関し、α−ラクトアルブミン、β−ラクトグロブリン、αs1−カゼイン、αs2−カゼイン、β−カゼイン、κ−カゼインに関する全部で340種(配列番号1〜340)のエピトープペプチドにつき、陰性被験試料のIgE由来のシグナル強度及びIgG4由来のシグナル強度について、それぞれ95パーセンタイル値をカットオフ値に用いることができた。その場合、IgE・IgG4ネガティブを利用して、持続性牛乳アレルギー群、感作群、耐性獲得群をそれぞれ特徴付けでき、区別することができる。
(第1の強度情報及び第2の強度情報に関する所定の数値指標:IgG4の強度情報/IgEの強度情報(比))
IgG4の強度情報/IgEの強度情報(比)(以下、単に、強度比という。)は、第1の強度情報と第2の強度情報との比に基づくものでポジティブ/ネガティブによる分類だけで、常に反応性の検出が容易でない場合もあるからである。特に、経時的に、アレルゲンタンパク質に対するIgE及びIgG4の反応性が変化する場合には、その変化のレベル若しくは途中経過を検出するには、強度比を利用するのが好適である。強度比は、第1の強度情報である所定の標識物質等のシグナル強度と第2の強度情報である所定の標識物質(第1の強度情報の取得に用いたのと同一の標識物質である。)等のシグナル強度から取得できる。
強度比は、例えば、IgG4のシグナル強度/IgEのシグナル強度(比)を所定の数値に定めることができる。この場合、用いたエピトープペプチドを、当該エピトープペプチドに対して有する被験試料中のIgE及びIgG4の反応性(量)に基づいて分類することができる。すなわち、用いたエピトープペプチドを、所定数値以上(あるいは所定数値を超える)のエピトープペプチドと所定数値未満(あるいは所定数値以下)のエピトープペプチドとに分類することが可能となる。
このような強度比を用いたエピトープペプチドの分類は、カットオフ値のよるエピトープペプチドの分類と組み合わせることができる。こうすることで、被験試料のアレルゲンタンパク質に対する反応性をより明確に特徴付けして検出できる。特に、IgE・IgG4ダブルポジティブのエピトープペプチドをさらに分類することも可能となる。ダブルポジティブのエピトープペプチドにつき、強度比でさらに分類することで、経時的なIgE及びIgG4の量的変化を利用した反応性の検出が可能となる。
以下、強度比の利用に関し、分布図を用いて説明する。たとえば、図3には、強度比が挿入された分布図を示す。例えば、被験試料につき、IgEシングルポジティブ又はIgE・IgG4ダブルポジティブであって、強度比(IgG4のシグナル強度/IgEのシグナル強度)が所定値以下(又は未満)に該当するエピトープペプチド(以下、エピトープペプチドAという。)の個数と、IgG4シングルポジティブ又はIgE・IgG4ダブルポジティブであって、強度比(IgG4のシグナル強度/IgEのシグナル強度)が所定値超(又は以上)に該当するエピトープペプチド(以下、エピトープペプチドBという。)の個数、すなわち、その個数のほか、その個数の大小若しくは個数の比率に基づいて、細かく反応性を特徴付けて検出することができるようになる。なお、分布図に強度比を挿入することで、エピトープペプチドA,Bの分布状態を容易に把握できる。
例えば、ヒトの牛乳アレルギーに関し、α−ラクトアルブミン、β−ラクトグロブリン、αs1−カゼイン、αs2−カゼイン、β−カゼイン、κ−カゼインに関する表1に示すエピトープペプチドにつき、陰性被験試料のIgE由来のシグナル強度及びIgG4由来のシグナル強度につき、強度比(IgG4のシグナル強度/IgEのシグナル強度)が0.6以上3.2以下の範囲で持続性牛乳アレルギー群とIgE感作群とをそれぞれ特徴付けして区別できる。より確度高く診断するには、1.0以上3.0以下とすることができる。
(個体のアレルギー疾患に関する状況を判断する工程)
上記工程で検出した被験試料のアレルゲンタンパク質に対する反応性に基づいて、個体のアレルギー疾患に関する状況を診断することができる。診断にあたっては、予め、アレルギー疾患のいずれかの状況、すなわち、特定の抗原に対して感受性持続状態、同感作状態及び同耐性獲得状態等のいずれかの状況につき、本明細書の開示の診断方法と同様の抗原抗体反応工程、抗原抗体反応の検出工程、強度情報の取得工程及び反応性を検出する工程により得られたエピトープペプチドに対する被験試料の反応性の特徴を基準として利用することが好ましい。上記のとおり、これらの工程によれば、エピトープペプチドに対するIgE及びIgG4の強度情報等に基づいて被験試料のアレルゲンタンパク質に対する反応性を容易にかつ明確に特徴付けできるからである。そして、こうした基準を用いることで、個体がアレルギー疾患に関してどのような状況、すなわち、持続的なアレルギー状態にあるのか、IgE感作状態にあるのか、耐性を獲得した状態にあるのか、あるいはこれらの中間的状態にあるのかを、容易に判断することができる。
診断基準は、例えば、以下のようにして取得する。すなわち、アレルギー疾患の異なる状況について診断の確定している複数の群を準備し、これらの各群につき、上記した抗原抗体反応工程、抗原抗体反応の検出工程、強度情報の取得工程及び反応性を検出する工程を行い、エピトープペプチドに対するIgE及びIgG4の強度情報を予め取得する。そして、各群につき、確定した診断と関連付けられる反応性の特徴を抽出し、これをアレルギー疾患の特定の状況についての診断基準とする。診断基準としては、例えば、アレルギー疾患の各状況と関連付けられたカットオフ値を用いたIgE・IgG4ダブルポジティブ、IgEシングルポジティブ及びIgG4シングルポジティブのそれぞれに分類されるエピトープペプチドの各個数、比率及び/又は大小が挙げられる。また、カットオフ値と強度比を利用したエピトープペプチドA及びエピトープペプチドBの各個数、比率及び/又は大小が挙げられる。
診断基準を、アレルギー疾患の各種状況、例えば、特定の抗原に対して感受性持続状態、同感作状態及び同耐性獲得状態等につき取得しておくことで、各種のアレルギー疾患の予防、発症予測、予後、耐性獲得予測の診断が容易になる。したがって、本明細書の開示の診断方法は、効果的な治療に貢献することができる。
なお、本明細書の開示によれば、上記のようにして接触工程、検出工程、強度情報取得工程を実施後、以下のような検出工程、診断工程を実施することができる。こうした診断方法によれば、各患者のアレルギー疾患におけるIgEやIgGの状況に応じた診断が期待できる。
検出工程は、第1の強度情報と第2の強度情報とがそれぞれ所定の数値指標を充足するエピトープペプチドの個数を利用することができる。所定の数値指標としては、例えば、ネガティブコントロールとなりうる検体(患者)(1又は2以上、このましくは2以上)から取得されたこれらの強度情報から取得できる。
IgEとの結合に基づく第1の強度情報に適用する所定の数値指標として、第1の閾値情報を設定することができる。第1の閾値情報は、2種類のカットオフ値を含むことができる。各検体につき、各エピトープペプチドについて得られる第1の強度情報はこれらの2種類のカットオフ値と同値以上及び/又は超えるとき、IgE結合に基づく有意なエピトープペプチド(IgE高発現エピトープペプチド(第1のエピトープペプチド)ともいう。)として抽出される。
第1のカットオフ値は、強度情報取得工程までにおいて得られている各エピトープペプチドについて、予め取得されているネガティブコントロールの蛍光強度値などの強度情報の平均値(平均強度情報)を取得し、この平均強度情報に基づいて取得できる。第1のカットオフ値は、これらの平均強度情報を降順に配列して、適切な有意水準(例えば、90%以上、このましくは95%程度)に相当する平均強度情報とすることができる。この第1のカットオフ値は、有意なエピトープペプチドを抽出するのに好適なカットオフ値である。
第2のカットオフ値も、予め取得されているネガティブコントロールから各エピトープペプチド毎に取得した平均強度情報に基づいて設定することができる。第2のカットオフ値は、エピトープペプチド毎の平均強度情報の所定の数値を乗算したものとしてエピトープペプチド毎に設定される。個々で所定の数値、すなわち、乗算される数値は、負荷陽性及び陰性が予め他の方法で確定診断がついている群(確定診断群)から取得された、第1の強度情報及び第2の強度情報に基づいて設定される。
例えば、確定診断群につき、接触工程、検出工程、強度情報取得工程を実施するとともに、種々に異ならせた乗算のための数値を用いて検出工程を実施し、さらに後述する診断工程を実施し、その診断結果と確定診断結果とを照らし合わせる。そして、一定以上の正診率、例えば、75%以上、好ましくは77%以上、より好ましくは78%以上、さらに好ましくは79%以上、一層好ましくは80%以上の正診率が得られる、乗算値を設定するようにする。本明細書に開示する実施例によれば、牛乳アレルギーに関するエピトープペプチドを用いた診断においては、この検出工程における第2のカットオフ値を設定するための乗算値は、4以上15以下程度の範囲において、一定以上、すなわち、80%程度を確保できることがわかっている。かかる乗算値は、好ましくは、5以上12以下であり、より好ましくは5以上10以下であり、さらに好ましくは6以上10以下である。
IgG4との結合に基づく第2の強度情報に適用する所定の数値指標として、第2の閾値情報を設定することができる。第2の閾値情報は、2種類のカットオフ値を含むことができる。各検体につき、各エピトープペプチドについて得られる第2の強度情報はこれらの2種類のカットオフ値と同値以上及び/又は超えるとき、IgG4結合に基づく有意なエピトープペプチド(IgG4高発現エピトープペプチド(第2のエピトープペプチド)ともいう。)として抽出される。
第2の閾値情報としても、第1の閾値情報と同様に、第1のカットオフ値と第2のカットオフ値とを設定することができる。第2の閾値情報における第1のカットオフ値は、第1の強度情報の第1のカットオフ値に適用されたのと同様の有意水準を適用することが好ましい。また、第2の閾値情報における第2のカットオフ値は、第1の強度情報の第2のカットオフ値の設定に適用されたのと同様の乗算値を適用することが好ましい。なお、第2の閾値情報の各カットオフ値に関し、それぞれ第1の閾値情報におけるのと異なる有意水準及び乗算値が適用されることを排除するものではない。
以上説明したように、この検出工程では、第1の強度情報及び第2の強度情報に対して、これらの第1の閾値情報及び第2の閾値情報を適用することで、IgE高発現エピトープペプチド及びIgG4高発現エピトープペプチドを得ることができる。すなわち、目的とするアレルゲンタンパク質に対する反応性を検出することができる。これらの高発現エピトープペプチドは、それ自体、目的のアレルゲンタンパク質に対する反応性を特徴付けることができる。
また、こうして抽出された高発現エピトープペプチドの個数やその比(IgG4高発現エピトープ数/IgE高発現エピトープペプチド数(以下、IgG4/IgEともいう。)も目的のアレルゲンタンパク質に対する反応性を特徴付けることができる。
なお、IgE高発現エピトープの抽出に際しては、中和抗体の考え方に基づく補正を適用することができる。中和抗体の考え方とは、特定のエピトープに対するIgEが多いとき発症するが、同時に同じエピトープを認識するIgG4が存在すると発症に至らない、という考え方である。こうした考え方によれば、このような特定エピトープをIgE高発現エピトープとしてカウントしない、すなわち、除することになる。したがって、中和抗体の考え方に基づく補正方法は、特定のエピトープペプチドに関し、IgE高発現エピトープペプチドでもありIgG4高発現エピトープペプチドでもあるとして抽出されたときには、そのエピトープペプチドをIgE高発現エピトープペプチドとしてはカウントしないようにする。この補正方法によれば、適切なIgE高発現エピトープペプチドが抽出されることになり、後述する診断工程における正診率の向上のほか、第3のカットオフ値の設定精度を高めることができる。
(診断工程)
この診断工程では、ここで説明した検出工程において得られた情報、すなわち、アレルゲンタンパク質に対する反応性を利用してアレルギー疾患に関する状況を診断することができる。より具体的には、比験試料についての、IgE高発現エピトープペプチド、IgG4高発現エピトープペプチド、これらの各個数及び/又はIgG4/IgEを利用してアレルギー疾患に関する状況を診断できる。この診断工程によれば、診断材料が、比験試料のアレルゲンタンパク質に対する反応性がより特徴的であると考えられるため、多様な患者に対してより確度の高い診断が可能になると考えられる。
この診断工程では、例えば、比験試料につき、IgE高発現エピトープペプチド数とIgG4高発現エピトープ数との比であるIgG4/IgEを用いることができる。そしてIgG4/IgEが所定の数値指標以上又は当該数値指標を超えるとき、アレルゲン陰性又はこれに類した状況であると診断できる。
IgG4/IgEに適用する数値指標として、第3の閾値情報を設定できる。第3の閾値情報は、上記のとおりのカットオフ値(第3のカットオフ値)である。このカットオフ値は、負荷陽性及び陰性が予め他の方法で確定診断がついている群(確定診断群)から取得された、第1の強度情報及び第2の強度情報に基づいて設定される。
例えば、確定診断群につき、接触工程、検出工程、強度情報取得工程及び検出工程を実施し、種々に第3のカットオフ値を異ならせたときの診断結果(正診率)と確定診断結果とを照らし合わせる。そして、一定以上の正診率、例えば、75%以上、好ましくは77%以上、より好ましくは78%以上、さらに好ましくは79%以上、一層好ましくは80%以上の正診率が得られる、カットオフ値を設定するようにする。本明細書に開示する実施例によれば、牛乳アレルギーに関するエピトープペプチドを用いた診断においては、この診断工程における第3のカットオフ値は、1.5〜10以下程度の範囲で、一定以上、すなわち、80%程度を確保できることがわかっている。
なお、本発明者らによれば、第3のカットオフ値は、第2のカットオフ値、すなわち、乗算値によって変化することもわかっている。したがって、第2のカットオフ値のための乗算値を種々に異ならせつつ、同時に第3のカットオフ値を種々に異ならせたときの診断結果と確定診断結果から得られる正診率に基づいて、これらの数値を設定することが好ましい。
好ましい第3のカットオフ値としては、例えば、第2のカットオフ値の設定に用いる乗算値にもよるが、5以上12以下程度、より好ましくは、5以上10以下程度とすることができる。
本明細書の開示によれば、また、アレルゲンタンパク質に対する反応性の相違又は変化を検出する方法も提供される。本明細書に開示の診断方法の抗原抗体反応工程、抗原抗体反応の検出工程、強度情報の取得工程及び反応性を検出する工程は、アレルギー疾患の診断でなく、単に、アレルゲンタンパク質に対する反応性の相違又は変化を検出するのに用いることができる。例えば、実験的にあるいは研究的にこのような相違や変化を検出するのにも用いることができる。
本明細書の開示によれば、アレルギー疾患の診断基準の作成方法も提供される。本明細書の開示の作成方法は、アレルギー疾患の異なる状況に関し診断の確定している複数の群を準備し、これらの各群につき、上記した抗原抗体反応工程、抗原抗体反応の検出工程、強度情報の取得工程、反応性を検出する工程及び確定した診断と関連付けられる反応性の特徴を抽出し、これを前記異なる状況についての診断基準とする工程を備えることができる。こうした作成方法によれば、アレルギー疾患の異なる状況に関し、容易にかつ明確な特徴付けが可能であるため、明確な診断基準を作成することができる。診断基準は、確定した診断内容を他の確定した診断内容を区別可能に作成される。診断基準は、第1の強度情報及び第2の強度情報並びにその分布のほか、必要に応じてカットオフ値や強度比を含んで作成する。なお、本明細書の開示の診断基準の作成方法における上記した抗原抗体反応工程、抗原抗体反応の検出工程、強度情報の取得工程、反応性を検出する工程は、本明細書の開示の診断方法のこれら対応する工程の実施態様を含むことができる。
なお、本明細書の開示の作成方法においては、アレルギー疾患の異なる状況としては、現在又は既往のアレルギー症状やIgE抗体レベルが、異なる状況が挙げられる。典型的には、特定の抗原に対して感受性持続状態、同感作状態及び同耐性獲得状態等が挙げられる。アレルギー疾患の異なる状況に診断が確定している群は、複数の被験試料の集合であることが好ましい。
本明細書の開示によれば、牛乳アレルギー疾患の診断装置も提供される。すなわち、配列番号1〜340で表されるアミノ酸配列から選択される2種以上のアミノ酸配列をそれぞれ有する複数のペプチドを固定化した固相担体を備える診断装置も提供される。こうした固相担体としては、本明細書の開示の診断方法において記載したのと同様の態様が挙げられる。
以下、本発明を、具体例を挙げて説明するが、以下の実施例は、本発明を説明するものであって本発明を限定するものではない。
主要な6つのミルクアレルゲン蛋白(αs1−カゼイン、αs2−カゼイン、β−カゼイン、κ−カゼイン、α−ラクトアルブミン、β−ラクトグロブリン)の全アミノ酸配列を網羅した16残基、3−オフセットからなるペプチドをガラス基板に固定化したペプチドアレイを準備した。このペプチドアレイを用いて、持続性牛乳アレルギー個体から採取した血清、牛乳IgE感作個体から採取した血清及び牛乳耐性獲得個体から採取した血清中のIgE、IgG4の分析を行った。グループ毎にIgE対IgG4シグナルのスキャッタープロットを作成し、パターンの違いを評価した。各群を構成する個体の要件は以下の通りとした。
1.持続性牛乳アレルギー陽性個体群(12検体)
(1)採血時年齢が4歳以上
(2)牛乳IgE(CAP−RAST)クラス5以上
(3)過去に、以下に定義される「牛乳アレルギー症状」が確認されていること
(i)牛乳負荷試験で、30ml以下の牛乳摂取で即時型反応陽性
(ii)30ml以下の牛乳又はそれに相当する乳製品(育児用ミルクでは、60mlに該当)摂取で即時型反応
(iii)牛乳を含む加工品で即時型反応あり、そこに含まれる他の成分のアレルギーが否定されている
(iv)いずれの場合も、摂取から2時間以内に症状が確認されていること
なお、本個体群には、以下の牛乳「超」過敏症個体も含んでいる。
1−1.牛乳「超」過敏症個体
(1)乳幼児期から牛乳アレルギーの既往(誘発症状)があって牛乳アレルギーの診断が確定している
(2)年齢が5歳を超えてから、牛乳の摂取・接触又は吸入によって即時型のアレルギー症状の経験がある。現在の年齢は問わない
(3)症状は、体の広範囲に及ぶ皮膚症状(紅斑・膨疹・浮腫)、呼吸器症状(咳、喘鳴、呼吸困難)、消化器症状(腹痛、嘔吐)、循環器症状の一つ以上を含む(湿疹の悪化、口腔粘膜症状のみ、接触部位に限定した蕁麻疹、下痢のみ、は除く)
(4)摂取から2時間以内に症状が出現している
(5)症状を誘発した牛乳含有食品が、以下のいずれかに該当する(負荷試験か誤食かは問わない)
10ml以下の牛乳又はそれに相当する乳製品、牛乳をわずかに含む加工品(ただし、同時に含まれる他の成分(卵や小麦など)のアレルギーが否定されていること)、乳成分のコンタミネーションや牛乳との接触・乳製品を加熱した水蒸気の吸入、乳成分を含有することがわかっている医薬品(ラックB、エンテロノン、メイアクト)(いずれも商品名である。)
(6)牛乳特異的IgE抗体陽性(クラス1以上)
(7)乳幼児期から現在まで、牛乳完全除去を継続している。ただし、乳糖と治療用加水分解乳(ミルフィー、MA−1、MA−mi、ペプディエット)(いずれも商品名である。)は摂取可能であってもよい
2.牛乳IgE感作個体群(7検体)
(1)牛乳IgE(CAP−RAST)クラス2以上
(2)過去に、牛乳アレルギーを疑わせる誘発症状の既往がない
(3)現在、30ml以上の牛乳又はそれに相当する乳製品が日常的に摂取可能
(4)過去に未摂取の患児で初めての牛乳負荷試験が陰性(30ml以上摂取)であった場合は、その後の乳製品摂取で誘発症状のないことが複数回確認されていること
(5)現在の年齢は問わない
3.牛乳耐性獲得個体群(5検体)
(1)過去に「牛乳アレルギー症状」に該当する既往がある
(2)現在は「牛乳IgE感作血清」の定義を満たす
4.コントロール血清(3検体)
(1)牛乳IgE(CAP−RAST)陰性(クラス0)
(2)ヤケヒョウヒダニ、ネコノフケ、卵白、小麦、カモガヤ、スギIgE抗体がすべて測定されていて、すべて陰性
(3)総IgE値が30IU/ml以下
(4)年齢、性別、基礎疾患は問わない
対象者の多くは喘息や湿疹の訴えがあってアレルギーのスクリーニングをした症例。アレルギーらしい症状が全くない対象者ではない。
(1)ペプチドアレイの作製
ペプチドアレイは、β−ラクトグロブリン、α−ラクトアルブミン、αs1−カゼイン、αs2−カゼイン、β−カゼイン及びκ−カゼインの6種のアレルゲンタンパク質につき、それぞれ、配列番号1〜51、配列番号52〜91、配列番号92〜154、配列番号155〜220、配列番号221〜287、配列番号288〜340に記載のペプチドを化学合成し、ペプチドアレイを作製した。ペプチドへのアレイへの固定化は以下の通りとした。なお、固相担体としては、ガラス基板を用いた。その後、イムノアッセイ(検体の供給及び蛍光検出)を行い、検出した蛍光強度を数値化した。なお、蛍光スキャナーは、Agilent社製scanner model G2505B, software G2565BA/DAを用い、数値解析ソフトとしては、Axon社製Gene Pix.Proを用いた。
(2)ペプチドの固定化
a)80℃で1時間加熱処理をした
b)(2×SSC,0.2%SDS)溶液に15分間浸漬した(室温)
c)(2×SSC,0.2%SDS)溶液に5分間浸漬した(95℃)
d)滅菌水中で10回程度振とうした(3回)
e)遠心乾燥する
(3)イムノアッセイ
a)(50mM Ethanolamine,0.1% SDS,0.1M Tris(hydroxymethyl)aminomethane)溶液に90分間浸漬した(室温)
b)PBS−T(1×PBS,0.1% Tween20)溶液に5分間浸漬した(室温、3回)
c)(1% OVA,PBS−T)溶液で希釈した患者血清(1:10)200μLをアプライした担体をマイクロカバーガラス(松浪ガラス社製size24×60mm、thickness No.4)で覆い、Humid chamber(Sigma社)内で1時間静置した(37℃)
d)c)で反応中の担体を4℃の環境下に移し、一晩静置した
e)PBS−T溶液中でマイクロカバーガラスを外した。
f)PBS−T溶液に5分間浸漬した(室温、3回)
g)(1%OVA、PBS−T)溶液で希釈したGoat anti-human IgE-Alexa647 polyclonal antibodiesとMouse anti-human IgG4-Alexa555 monoclonal antibodiesの混合液(1:1:500)200μlをc)と同様の手順で反応させ、暗所にて3時間静置した(室温)
h)PBS−T溶液中でマイクロカバーガラスを外す
i)PBS−T溶液に5分間浸漬した(室温、3回)
j)滅菌水中で10回程度振とうした(3回)
(4)各群毎に、IgE対IgG4のシグナル強度のスキャッタープロット(分布図)を作成し、その各ドットの分布状態(分布パターン)の相違を評価した。
持続性牛乳アレルギー群(12検体)の各ペプチドにおける平均蛍光強度値を図4に示す。図4に示すように、αs1−カゼイン、β−カゼイン由来のペプチドに対する反応性が特に強く、β−ラクトアルブミン、αs2−カゼイン、κ−カゼインに関してはほとんどのペプチドで同一ペプチドに対するIgE結合がIgG4結合より強かった。α−ラクトアルブミンに関してはほとんど反応がみられなかった。
ペプチドによりIgG4/IgE蛍光強度比が様々であることから、その割合を見るためグループ毎(持続性牛乳アレルギー群12検体、牛乳IgE感作群7検体、牛乳耐性獲得群5検体)における各ペプチドのIgE対IgG4シグナルのスキャッタープロットを作製した。これらのプロットを図5(a)〜(c)に示す。
図5に示すように、これらの群のスキャッタープロットはそれぞれ特有の分布を示した。コントロール血清(3検体)から得られた全ペプチドのデータをもとに95パーセンタイルの蛍光強度値をカットオフ値と定めて(図5中の破線)、それ以上の蛍光強度を示すペプチドをポジティブとみなした。持続性牛乳アレルギー群でIgEシグナルポジティブ・IgG4シグナルネガティブ(以下、IgEシングルポジティブ)のペプチドが全ペプチドの7.5%を占めるのに対し(図5(a)参照)、牛乳IgE感作群、牛乳耐性獲得群ではそれぞれ1.2%、1.8%であった(図5(b)及び(c)参照)。また、IgG4シグナルポジティブ・IgEシグナルネガティブ(以下、IgG4シングルポジティブ)のペプチドは持続性牛乳アレルギー群、牛乳耐性獲得群でそれぞれ6.7%、7.5%に対し、牛乳IgE感作群では21.5%と高値であった。IgE・IgG4シグナルダブルポジティブ(以下、IgE・IgG4ダブルポジティブ)のペプチドは持続性牛乳アレルギー群、牛乳IgE感作群でそれぞれ8.0%、6.1%であり、牛乳耐性獲得群は2.4%であった。牛乳耐性獲得群はポジティブシグナルの割合が全体的に低かった。
これらの差をより明確にするため、別に準備した牛乳アレルギー陰性群(22検体)と比較して、牛乳アレルギー陽性群(61検体)で有意にIgEの結合が認められたエピトープペプチド(表1参照)のみで同様のスキャッタープロットを作成した。このプロットを図6(a)〜(c)に示す。図6(a)に示すように、IgEシングルポジティブは持続性牛乳アレルギー群で7.5%から16.2%に上昇した。IgG4シングルポジティブは牛乳IgE感作群で21.5%から23.1%とあまり変わらなかったものの(図6(b)参照)、持続性牛乳アレルギー群、牛乳耐性獲得群ではそれぞれ6.7%、7.5%から1.5%、3.3%に減少し(図6(a)及び(b)参照)、その差はより顕著になった。図6(a)〜(c)に示すように、IgE・IgG4ダブルポジティブは持続性牛乳アレルギー群、牛乳IgE感作群でそれぞれ20.4%、10.0%であった。
図6(a)〜(c)から、ペプチドの分布パターンが持続性牛乳アレルギー群ではIgEに、牛乳IgE感作群ではIgG4における蛍光強度値が相対的に高く、両者の分布パターンが異なることから、IgEとIgG4の蛍光強度比を識別線として用いて群間を分類した。
すなわち、図6の各プロットにおいて、IgEシングルポジティブとIgE・IgG4ダブルポジティブでIgEとIgG4の所定の蛍光強度比で設定した識別線より蛍光強度比が低いペプチドを領域Aのペプチドとし、IgG4シングルポジティブとIgE・IgG4ダブルポジティブで識別線より蛍光強度比が高いペプチドを領域Bのペプチドとそれぞれ定めた。本実施例のペプチドアレイを適用したときに得られるポジティブなペプチドが領域Bより領域Aに分布するペプチドを多く含む血清を持続性牛乳アレルギー群、領域Aより領域Bに分布するペプチドを多く含む血清を牛乳IgE感作群と分類した。これらの分類結果を図7及び図8に示す。
図7に示すように、IgG4/IgE=0.6〜3.2の識別線(IgEとIgG4の蛍光強度比)を用いることで偽陽性も偽陰性も排除して分類をすることが可能であった。一例として、IgE・IgG4ダブルポジティブの領域を、一例としてIgG4/IgE=2で分割したときのスキャッタープロット図を図8に示す。図8に示すように、領域Aに分布するペプチドの割合は持続性牛乳アレルギー群で35.2%、牛乳IgE感作群で2.0%であり、一方、領域Bは持続性牛乳アレルギー群で2.9%、牛乳IgE感作群で31.7%と最もよく分類することが可能となった。牛乳耐性獲得血清はいずれの領域も5.5%以下に分布し、持続性牛乳アレルギー群、牛乳IgE感作群の中間に分布するものと考えられる。
次に各グループの個々の血清において識別線を設けることにより、各領域に分類されるペプチドの数を図9に示す。図9に示すように、個体差はあるものの、持続性牛乳アレルギー血清では領域Aに分布するペプチドが領域Bに分布するペプチドより多く、牛乳IgE感作血清ではその逆であった。牛乳耐性獲得血清は領域Aにより多く分布するもの、領域Bにより多く分布するものと検体により様々であった。
さらに、識別線の設定に用いていない持続性牛乳アレルギー血清、牛乳IgE感作血清をそれぞれ3検体ずつ用いて、ブラインド試験により識別線を利用した分類を試みた。結果を図10に示す。
図10に示すように、持続性牛乳アレルギー血清は領域Aにより多くのペプチドが分布し、牛乳IgE感作血清は領域Bにより多くのペプチドが分布した。
以上の結果から持続性牛乳アレルギー血清と牛乳IgE感作血清をIgE対IgG4シグナルのスキャッタープロットのパターンの違いから蛍光強度比による識別線を設けることにより、これらのアレルギー群を明確に分類することが可能であることがわかった。牛乳耐性獲得血清はその中間に位置するものと考えられた。
実施例1で用いたのと同一のペプチドアレイを用いて、牛乳アレルギー患者が耐性を獲得するまでの血清中IgE、IgG4の分析を行った。IgE対IgG4シグナルのスキャッタープロットを作成し、経時変化による分布パターンの違いを評価した。血清の採取の要件は以下の通りとした。
採取時期:同一患者の血清(1検体)で牛乳アレルギーから耐性を獲得するまで(3ヵ月、5ヵ月、9ヵ月、1歳6ヶ月)の4点。なお、3ヵ月、5ヵ月及び9ヵ月の各採取血清は、牛乳アレルギー血清に相当し、1歳6ヶ月採取血清は、牛乳耐性獲得血清に相当する。こうした血清を採取する個体は次の要件を充足するものとした。
1.牛乳アレルギー血清採取個体
実施例1における「1.持続性牛乳アレルギー陽性個体群の(3)に記載の要件の全てを充足する個体から採取されるものとした。
2.牛乳耐性獲得血清採取個体
(1)過去に「牛乳アレルギー症状」に該当する既往がある
(2)現在は30ml以上の牛乳又はそれに相当する乳製品が日常的に摂取可能
(3)牛乳IgE(CAP−RAST)クラス2以上
(4)現在の年齢は問わない
各血清を、実施例1と同様の方法でペプチドアレイに適用し、ハイブリダイゼーション実施後、イムノアッセイを行い、シグナルを蛍光スキャナーで測定し蛍光強度の数値化を実施し、IgE対IgG4シグナルのスキャッタープロットを作成し、経時変化による分布パターンの違いを評価した。
牛乳アレルギー陽性群61例と牛乳アレルギー陰性群22例の比較により、陽性検体でIgE結合が有意なペプチドを用いて、牛乳アレルギー患者が耐性を獲得するまでのIgE対IgG4シグナルのスキャッタープロットの経時変化を図11(図11;(a)3ヵ月、(b)5ヵ月、(c)9ヵ月、(d)1歳6ヵ月)に示す。図11では、実施例1で示したカットオフ値(コントロール血清3検体から得られた全ペプチドのデータによる95パーセンタイルの蛍光強度値)とIgG4/IgE蛍光強度比(一例としてIgG4/IgE=2)の識別線より、IgEシングルポジティブとIgE・IgG4ダブルポジティブで識別線より蛍光強度比が低い領域、IgG4シングルポジティブとIgE・IgG4ダブルポジティブで識別線より蛍光強度比が高い領域をそれぞれ領域A、領域Bとして表示されている。
図11に示すように、経過とともに全ペプチドに対し領域Aに占めるペプチドの割合は34.2%(3ヵ月)から24.7%(5ヵ月)、17.8%(9ヵ月)と徐々に減少し、耐性獲得が判明した1歳6ヵ月時には2.7%と急激に減少した。一方、領域Bに占めるペプチドの割合は3ヵ月で6.8%と若干のシグナルがみられるものの、5ヵ月、9ヵ月の1.4%以下から耐性獲得時(1歳6ヵ月)で12.3%と増加が観察された。
図12に領域A及びBに分布するペプチド数の経時変化を示した。牛乳アレルギー時である3ヵ月、5ヵ月、9ヵ月では領域Bより領域Aに分布するペプチド数の方が多く、逆に耐性獲得時である1歳6ヵ月では領域Aより領域Bに分布するペプチド数の方が多かった。
以上の結果から、所定のIgG4/IgE蛍光強度比(識別線)を指標として、領域A、Bに分布するペプチド数の変遷により牛乳アレルギー患者の耐性獲得を推定できることがわかった。
以上の実施例によれば、個体群につき確認された各アレルゲンタンパク質のエピトープペプチドと特異的に反応するIgE及びIgG4の強度情報に基づく診断手法は、各個体におけるアレルゲンタンパク質に対する反応性の相違や変化を検出するのに好ましいことがわかった。
また、以上の実施例によれば、エピトープペプチドについて得られるIgE及びIgG4の強度情報を利用して各種の指標を設定してエピトープペプチドを分類することで、アレルギー疾患において異なる症状レベルにある個体及び個体群の反応性をそれぞれ明確に特徴付けできることがわかった。したがって、こうした手法によれば、偽陽性や偽陰性の診断結果を排除できるとともに、アレルギー患者が耐性獲得していく傾向など、従来は判断が困難であった状況も判断できるようになる。
本実施例では、表1に示す陽性検体でIgE結合が有意なペプチドを一様に適用するのではなく、各患者ごとの蛍光強度値の大きいIgE結合及びIgG4結合が有意なエピトープペプチドを利用した解析を試みた。
1.各患者における個別の高発現エピトープペプチドの抽出
1−1.高発現エピトープ抽出のためのIgEに関する第1の閾値情報及び第2の閾値情報の取得
まず、実施例1と同様に、患者として全体で65名からなる患者群(実施例1の患者を含む。また、負荷陽性患者37名及び負荷陰性患者28名を含む。)から採取した検体を、実施例1と同様に操作してペプチドアレイに供して、牛乳アレルギーに関連するエピトープペプチド毎のIgE結合に基づく蛍光強度値を取得した。なお、患者群には、IgEクラス判定においてクラス1(偽陽性)であって、牛乳アレルギー負荷試験における陰性患者(以下、クラス1負荷陽性患者という。)を3名含んでいた。これらのクラス1負荷陽性患者をネガティブコントロールとし、全エピトープペプチドに対する蛍光強度値を、エピトープペプチド毎に平均化し、各エピトープペプチドにつき、平均蛍光強度値を取得した。すべての平均蛍光強度値を降順し配列して95%有意水準に該当した平均蛍光強度値を、高発現エピトープ抽出用のIgEに関する第1の閾値情報とした。すなわち、各患者から抽出されるIgE高発現エピトープは、少なくとも第1の閾値情報である蛍光強度値以上の蛍光強度値を有することとなる。第1の閾値情報となる蛍光強度値は、本実施例においては、189であった。
次に、各エピトープペプチドの平均蛍光強度値の10倍となる蛍光強度値をIgEに関する第2の閾値情報とした。したがって、IgEに関する第2の閾値情報は、エピトープペプチド毎に存在することとなる。
なお、本実施例の患者群につき、閾値を0倍(第1の閾値情報である蛍光強度以上のエピトープをすべて高発現エピトープとして抽出した場合に相当する)〜20倍にまで設定したときの正診率のシミュレーションにより、この閾値が5倍〜20倍においておおよそ一定であることがわかっている。
以上のことから、各患者から抽出されるIgE高発現エピトープは、全エピトープペプチドに共通して設定された第1の閾値情報である蛍光強度値以上の蛍光強度値を有し、かつ、各エピトープペプチドに個別に設定された第2の閾値情報である蛍光強度値以上の蛍光強度値を有するエピトープペプチドとなる。
1−2.高発現エピトープ抽出のためのIgGに関する第1の閾値情報及び第2の閾値情報の取得
1−1.と同様に、患者群中のクラス1負荷陽性患者をネガティブコントロールとし、全エピトープペプチドに対するIgG結合に基づく蛍光強度値をエピトープペプチド毎に平均化し、各エピトープペプチドにつき、平均蛍光強度値を取得した。すべての平均蛍光強度値を降順し配列して95%有意水準に該当した平均蛍光強度値を、高発現エピトープ抽出用のIgG4に関する第1の閾値情報とした。すなわち、各患者から抽出されるIgG4高発現エピトープは、少なくとも第1の閾値情報である蛍光強度値以上の蛍光強度値を有することとなる。第1の閾値情報となる蛍光強度値は、本実施例においては、567であった。また、IgEに関する第2の閾値情報と同様、各エピトープペプチドの平均蛍光強度値の10倍となる蛍光強度値をIgG4に関する第2の閾値情報とした。なお、IgG4に関する第2の閾値情報についても、正診率のシミュレーションにより、この閾値が5倍〜20倍においておおよそ一定であることがわかっている。
以上のことから、各患者から抽出されるIgG4高発現エピトープは、全エピトープペプチドに共通して設定された第1の閾値情報である蛍光強度値以上の蛍光強度値を有し、かつ、各エピトープペプチドに個別に設定された第2の閾値情報である蛍光強度値以上の蛍光強度値を有するエピトープペプチドとなる。
1−3.IgE及びIgG4についての高発現エピトープの取得
IgE及びIgG4のそれぞれについて設定した第1の閾値情報と第2の閾値情報とに基づき、全患者65名のそれぞれにつきIgE及びIgG4高発現エピトープを抽出した。ある患者(患者番号19)についての、高発現エピトープの抽出結果を図13に示す。図13(a)には、IgEの高発現エピトープの抽出解析結果を示し、図13(b)には、IgG4の高発現エピトープの抽出解析結果を示す。これらの図においては、X軸は、ネガティブコントロールからエピトープペプチド毎に取得された平均蛍光強度値をX軸とし、各患者のエピトープペプチド毎に取得された蛍光強度値をY軸としている。したがって、第1の閾値情報の蛍光強度値以上であり第2の閾値情報の蛍光強度値以上となるエピトープペプチドは、これらの図において点線で示される境界線以上の領域にあるエピトープペプチド(スポット)となる。
なお、以上の解析にあたり、各患者においては、各エピトープペプチドにつき3連でIgG4及びIgEにつき蛍光強度値を取得し、各エピトープペプチド毎にこれらの3つの蛍光強度値を用いた。
2.IgE及びIgG4高発現エピトープペプチドによる診断解析
2−1.高発現エピトープペプチド数の分布解析
患者群のうち負荷陽性患者と陰性患者のそれぞれについてのIgE高発現エピトープペプチド数をプロットした(IgE高発現エピトープペプチド数をY軸とした。)。また、同様にして、IgG4高発現エピトープペプチド数をプロットした。これらの結果を図14に示す。なお、図14には、CAP−RASTによる患者群の評価結果を併せて示す。
図14に示すように、負荷陽性患者では、IgE高発現エピトープペプチド数が多く、陰性患者では、IgG4高発現エピトープペプチド数が多いことがわかった。これらのことから、これらのエピトープペプチド数の比(IgG4/IgE:IgG4高発現エピトープペプチド数/IgE高発現エピトープペプチド数
)を用いた解析を行うこととした。
2−2.高発現エピトープペプチド数の比による解析
次に、患者群のうち、負荷陽性患者と陰性患者のそれぞれについてのIgE高発現エピトープペプチド数をX軸に、IgG4の高発現エピトープ数をY軸に取ってプロットした。これらのプロットを、図15に示す。図15(a)は、全患者についてのIgE高発現エピトープペプチド数とIgG4高発現エピトープ数とのプロットを示し、図15(b)は、その一部を拡大して示し、図15(c)は、負荷陽性患者と陰性患者に分けてIgG4/IgEをプロットした図を示す。
図15に示すように、陰性患者は、傾き(IgG4/IgE)が大きく、負荷陽性患者は傾きが小さい傾向があることがわかった。この傾きを利用して正診率を検証した。検証の結果、IgG4/IgEを10以上とし、IgG4/IgEが10以上を陰性患者とし、10未満を負荷陽性患者とし、さらに、0/0も陽性(陰性でない)として判定したとき、擬陰性1名、擬陽性10名であった。患者群は、陽性患者は37名、陰性患者28名であるから、擬陰性率(負荷陽性であるのに陰性と判定された率)、擬陽性率(陰性であるのに陽性と判定された率)及び正診率は以下のとおりとなった。
擬陰性率=2.7%(1/37:負荷陽性患者37名中、36名正解、1名不正解)
擬陽性率=43%(12/28:陰性患者28名中、16名正解、12名不正解)
正診率=80.0%(52/65:全患者数65名中、52名正解)
以上のように、患者個別にIgE及びIgG4高発現エピトープペプチドを抽出することによっても、高い正診率を得られることがわかった。
なお、負荷陽性患者と陰性患者とを識別するための高発現エピトープ数の比である「IgG4/IgE」は、適正な正診率が得られる範囲で設定することができる。例えば、高発現エピトープペプチドを抽出するための第2の閾値情報が相対的に低い場合には、IgG4/IgEも相対的に低くなる傾向があり、第2の閾値情報が相対的に高い場合には、IgG4/IgEも相対的に高くなる傾向がある。
さらに、本発明者らは、中和抗体という考え方、すなわち、特定のエピトープに対するIgEが高いときにアレルギーが発症するが、同時に同じエピトープを認識するIgG4が存在すると発症に至らない)を導入した補正を行った。すなわち、個々の患者において、IgE高発現エピトープペプチドとIgG4高発現エピトープペプチドとが一致するとき、換言すれば、一つのエピトープペプチドにIgE結合に基づいて所定以上の蛍光強度値を示しIgG4結合に基づいても高い所定以上の蛍光強度値を示すとき、当該エピトープペプチドに関しては、IgG4が中和抗体として機能しているものとした。すなわち、これらのエピトープペプチドは、蛍光強度値からしてIgE高発現エピトープであっても実際にはIgE高発現エピトープとして作用していないものとして、その数をIgEエピトープペプチド数から除した。こうした中和抗体の考え方に基づく補正を各患者から取得した蛍光強度値に適用して、各患者について、改めてIgE高発現エピトープペプチド数を取得した。IgG4高発現エピトープペプチド数と補正後のIgE高発現エピトープペプチド数とによるプロットを図16に示す。
こうした補正の結果、補正前の判定では、擬陽性(陰性患者であるのに陽性患者として判定)であった患者が陰性として正しく判定された。一方、補正前の判定において、陽性患者として正しく判定された負荷陽性患者が、擬陰性(負荷陽性患者であるのに陰性患者として判定)として判定された。結果として、正診率は、83.1%(54/65:全患者数65名中、54名正解)となった。
なお、中和抗体の考え方による補正は、高発現IgEエピトープペプチドを適切にカウントすることができるため、直接正診率の向上に寄与する場合があるほか、高発現エピトープペプチド数に依存する診断においてより直接的な貢献が期待できる。
例えば、適切にカウントされたIgE高発現エピトープペプチド数を取得できることで、IgG4/IgEは、陰性患者はより陰性側にシフトするため、より精度の高い判定が可能となる。より具体的には、本実施例での患者群から取得された蛍光強度値データに関し、IgE及びIgG4に関する第1の閾値情報を各エピトープペプチドについてのネガティブコントロールの平均蛍光強度値の95%有意水準に想到する平均蛍光強度値とし、第2の閾値情報を各エピトープペプチドについてのネガティブコントロールの平均蛍光強度値の8倍以上の蛍光強度値として抽出されるIgE高発現エピトープペプチドとIgG4高発現エピトープペプチドを抽出し、この結果得られる、負荷陽性患者及び陰性患者についてのIgG4/IgEのプロットを図17(a)に示し、中和抗体の考え方に基づく補正後のプロットを図17(b)に示す。に示す。また、これらのデータに基づいて、正診率81.5%となるIgG4/IgEを、補正前は5、補正後は8と設定した。
図17(a)に示すように、負荷陽性患者を正しく陽性と判定できた最大のIgG4/IgE〜陰性患者を正しく陰性と判定できた最小のIgG4/IgEの範囲(正答率の閾値範囲)は、3.67〜5.46であった。一方、図17(b)に示すように、中和抗体の考え方による補正後においては、当該正答率の閾値範囲は、7.33〜13にまで拡大する。すなわち、より明確に負荷陽性患者と陰性患者とを判定できるようになる。このように、中和抗体の考え方に基づく補正によって、IgG4/IgEに関する閾値がより設定しやすくかつより適切な閾値設定ができるようになることがわかった。
本実施例では、固相担体に固定化されたエピトープペプチドと被験試料との接触工程及び強度情報取得のための特異的結合の検出工程を、撹拌を伴って実施することについて評価した。操作手順は以下の通りとした。下記(1)〜(5)の工程で用いた患者血清は、いずれも、IgEクラス6であった。
(1)1%OVA(ovalbumin)、PBS-T)溶液で希釈した患者血清(1:10) 100mlを、撹拌用マイクロカバーガラス(Agilent社製 Hybridization Gasket Slide G2534--60013)の1ブロックに滴下し、このカバーガラスと1ブロックに実施例1で用いたエピトープペプチドを3個づつ固定化したスポットを備えるペプチドアレイを張り合わせ、撹拌用チャンバー(Agilent社製 Hybridization Chamber G2534A)にセットし37℃、10分間、30分間及び60分間それぞれ撹拌した(接触工程の実施)。
(2)PBS-T溶液中でマイクロカバーガラスを外し、PBS-T溶液に5分間浸漬(室温、3回)し、(1%OVA、PBS-T)溶液で希釈したGoat anti-human IgE-Alexa647 polyclonal antibodiesとkMouse anti-human IgG4-Alexa555 monoclonal antibodiesの混合液(1:1:500) 200μlを(1)と同様の手順で、37℃で15分間、30分間、1時間及び3時間それぞれ撹拌をした(検出工程の実施)。
(3)次に、PBS-T溶液中でマイクロカバーガラスを外し、PBS-T溶液に5分間浸漬(室温、3回)し、さらに、滅菌水中で10回程振とうすることを3回繰り返した。その後、遠心分離(900rpm、3分)で液切りした。
(4)液切り後のペプチドアレイを蛍光スキャナー(Agilent社製 scanner model G2505B,software G2565BA/DA)で蛍光強度を測定した。
(5)数値解析ソフト(Axon社製 Gene Pix.Pro)にて蛍光強度の数値化を実施し、n=3の平均蛍光強度をペプチドに対する蛍光強度値として評価に用いた。
対照として、上記(1)の接触工程を、撹拌なしで3時間と一晩の間静置する以外は上記(1)〜(5)と同様に操作して接触工程対照試料を作製した。また、上記(2)の検出工程を、撹拌なしで3時間静置する以外は上記(1)〜(5)と同様に操作して検出工程対照試料とした。これらから得られる蛍光強度の測定結果を図18〜図20に示す。
図18(a)、(b)及び(c)には、各エピトープペプチドにつき、接触工程を撹拌なしで3時間と一晩静置したときに得られた蛍光強度値と接触工程で10分、30分及び60分の範囲で撹拌して行ったときの蛍光強度値とのプロットをそれぞれ示す。図18(a)〜(c)に示すように、30分間撹拌しながら接触工程を実施することで、3時間と一晩静置したのと同様の効果が得られることがわかった。さらに、60分間撹拌しながら接触工程を実施することで、3時間と一晩静置したときよりも高い蛍光強度値が得られることがわかった。
図19(a)、(b)には、各エピトープにつき、検出工程を撹拌なしで3時間静置したときの蛍光強度値と検出工程を撹拌しながら15分間及び30分間実施したときの蛍光強度値とのプロットをそれぞれ示す。図19から明らかなように、15分間撹拌しながら検出工程を実施すると、3時間静置したときの約0.6倍の蛍光強度値を示し、30分間撹拌しながら検出工程を実施すると、3時間静置したときとほぼ同等の蛍光強度値が得られることがわかった。
図20(a)、(b)には、各エピトープにつき、検出工程を撹拌なしで3時間静置したときの蛍光強度値と検出工程を撹拌しながら1時間及び3時間実施したときの蛍光強度値とのプロットをそれぞれ示す。図20から明らかなように、1時間撹拌しながら検出工程を実施すると、3時間静置したときの約3倍の蛍光強度値を示す一方、3時間撹拌しながら検出工程しても、それ以上蛍光強度値が増大しないことがわかった。
以上のことから、撹拌しながら接触工程を実施したり検出工程を実施したりすることで、撹拌しないで静置してこれらの工程を実施したときに比べて、飛躍的に所要時間を短縮できることがわかった。また、従来よりも、蛍光強度を増強できることがわかった。

Claims (16)

  1. アレルギー疾患の診断のための方法であって、
    前記方法は、検出した被験試料の1種又は2種以上のアレルゲンタンパク質に対する反応性に基づいて、個体の前記アレルゲンタンパク質に対する感受性持続状態、感作状態及び耐性獲得状態に関して診断するための方法であり、
    前記1種又は2種以上のアレルゲンタンパク質又はその一部のアミノ酸配列に基づいて取得した複数のエピトープペプチドを固定化した固相担体にアレルギー疾患の可能性のある前記個体由来の抗体を含有する前記被験試料を供給して前記エピトープペプチドと前記抗体とを接触させる工程と、
    前記エピトープペプチドと前記抗体との特異的結合を検出する工程と、
    前記各エピトープペプチドに関し、IgEとの結合に基づく第1の強度情報と、IgG4との特異的結合に基づく第2の強度情報とを取得する工程と、
    前記第1の強度情報と前記第2の強度情報とがそれぞれ所定の数値指標を充足する前記エピトープペプチドの個数に基づいて前記被験試料の前記1種又は2種以上のアレルゲンタンパク質に対する反応性を検出する工程と、
    備える、方法。
  2. アレルギー疾患の診断のための方法であって、
    前記方法は、検出した被験試料の1種又は2種以上のアレルゲンタンパク質に対する反応性に基づいて個体の前記アレルゲンタンパク質に対する感受性持続状態、感作状態及び耐性獲得状態に関して診断するための方法であり、
    前記1種又は2種以上のアレルゲンタンパク質又はその一部のアミノ酸配列に基づいて取得した複数のエピトープペプチドを固定化した固相担体にアレルギー疾患の可能性のある前記個体由来の抗体を含有する前記被験試料を供給して前記エピトープペプチドと前記抗体とを接触させる工程と、
    前記エピトープペプチドと前記抗体との特異的結合を検出する工程と、
    前記各エピトープペプチドに関し、IgEとの結合に基づく第1の強度情報と、IgG4との特異的結合に基づく第2の強度情報とを取得する工程と、
    前記第1の強度情報と前記第2の強度情報とがそれぞれ所定の数値指標を充足する前記エピトープペプチドの前記個数と、前記第1の強度情報と前記第2の強度情報との比が所定数値を充足する前記エピトープペプチドの個数と、に基づいて前記被験試料の前記1種又は2種以上のアレルゲンタンパク質に対する反応性を検出する工程と、
    備える、方法。
  3. アレルギー疾患の診断のための方法であって、
    前記方法は、検出した被験試料の1種又は2種以上のアレルゲンタンパク質に対する反応性に基づいて個体の前記アレルゲンタンパク質に対する感受性持続状態、感作状態及び耐性獲得状態に関して診断するための方法であり、
    前記1種又は2種以上のアレルゲンタンパク質又はその一部のアミノ酸配列に基づいて取得した複数のエピトープペプチドを固定化した固相担体にアレルギー疾患の可能性のある前記個体由来の抗体を含有する前記被験試料を供給して前記エピトープペプチドと前記抗体とを接触させる工程と、
    前記各エピトープペプチドに関し、IgEとの結合に基づく第1の強度情報と、IgG4との特異的結合に基づく第2の強度情報とを取得する工程と、
    前記第1の強度情報が所定の数値指標を充足する第1のエピトープペプチドの個数と前記第2の強度情報が所定の数値指標を充足する第2のエピトープペプチドの個数とに基づいて前記被験試料の前記1種又は2種以上のアレルゲンタンパク質に対する反応性を検出する工程と、
    備える、方法。
  4. アレルギー疾患の診断のための方法であって、
    前記1種又は2種以上のアレルゲンタンパク質又はその一部のアミノ酸配列に基づいて取得した複数のエピトープペプチドを固定化した固相担体にアレルギー疾患の可能性のある前記個体由来の抗体を含有する前記被験試料を供給して前記エピトープペプチドと前記抗体とを接触させる工程と、
    前記各エピトープペプチドに関し、IgEとの結合に基づく第1の強度情報と、IgG4との特異的結合に基づく第2の強度情報とを取得する工程と、
    前記第1の強度情報が所定の数値指標を充足する第1のエピトープペプチドの個数と前記第2の強度情報が所定の数値指標を充足する第2のエピトープペプチドの個数とに基づいて前記被験試料の前記1種又は2種以上のアレルゲンタンパク質に対する反応性を検出する工程と、
    を備え、
    前記第1の強度情報に適用される前記所定の数値指標は、前記エピトープペプチドに共通の第1のカットオフ値と前記エピトープペプチド毎の第2のカットオフ値であり、
    前記第2の強度情報に適用される前記所定の数値指標は、前記エピトープペプチドに共通の第1のカットオフ値と前記エピトープペプチド毎の第2のカットオフ値である、方法。
  5. 前記第1の強度情報についての前記第2のカットオフ値は、前記エピトープペプチド毎に得られる1又は2以上のネガティブコントロールのIgEとの結合に基づく強度情報に基づいて取得され、
    前記第2の強度情報についての前記第2のカットオフ値は、前記エピトープペプチド毎に得られる1又は2以上のネガティブコントロールのIgG4との結合に基づく強度情報に基づいて取得される、請求項4に記載の方法。
  6. 前記診断工程は、前記第1のエピトープペプチドの個数と前記第2のエピトープペプチドの個数のとの比に基づいて前記個体の前記アレルギー疾患に関する状況を診断する工程である、請求項4又は5に記載の方法。
  7. 前記検出工程は、前記第1の強度情報及び前記第2の強度情報を用いて得られる分布図を利用する工程である、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 2種類以上の前記アレルゲンタンパク質に対してそれぞれ取得した前記複数のエピトープペプチドを固定化した前記固相担体を準備する、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  9. 前記アレルギー疾患は、牛乳に対するアレルギー疾患である、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
  10. 前記アレルゲンタンパク質は、αs1-カゼイン、αs2-カゼイン、β−カゼイン、κ−カゼイン及びβ−ラクトグロブリンからなる群から選択される1種又は2種以上である、請求項9に記載の方法。
  11. 前記アレルゲンタンパク質は、αs1-カゼイン、β−カゼイン及びκ−カゼインからなる群から選択される1種又は2種以上を含む、請求項10に記載の方法。
  12. 前記アレルゲンタンパク質は、αs1-カゼインを含む、請求項11に記載の方法。
  13. 複数のエピトープペプチドは、配列番号1〜340で表されるアミノ酸配列から選択される2種以上のアミノ酸配列をそれぞれ有する複数のペプチドを含む、請求項9〜12のいずれかに記載の方法。
  14. 前記複数のエピトープペプチドは、以下の表に記載のアミノ酸配列から選択される2種以上のアミノ酸配列をそれぞれ有する複数のペプチドを含む、請求項13に記載の方法。
  15. 前記第1のエピトープペプチドが前記第2のエピトープペプチドでもあるとき、その前記第1のエピトープペプチドは、前記第1のエピトープペプチドとはしない、請求項4〜6のいずれかに記載の方法。
  16. 請求項1〜15のアレルギー疾患の診断のための方法に用いる牛乳に対するアレルギー疾患の診断装置であって、
    以下の表に記載のアミノ酸配列から選択される2種以上のアミノ酸配列をそれぞれ有する複数のペプチドを固定化した固相担体を備える、装置。
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