JP2015121095A - 便器装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】異物が誤って流されてしまった場合であっても使用を継続することが可能な圧送式便器装置を提供する。
【解決手段】 便器本体と、洗浄水を供給する給水手段と、搬送された汚物を粉砕して排水管へ排出する粉砕処理装置を備えた便器装置であって、粉砕処理装置は、搬送された汚物を溜める貯留槽と、搬送された汚物を貯留槽内へ導入する供給口と、貯留槽に流入した汚物を粉砕する粉砕手段と、粉砕された汚物を貯留槽から排出するための排出口とを有し、給水手段は、最大給水流量が排出流量よりも多くなるように構成され、粉砕処理装置は、粉砕手段によって貯留槽内で洗浄水を攪拌させて汚物を粉砕し、粉砕した汚物を排出する。
【選択図】図6

Description

本発明は、便器装置に係り、特に誤って流された異物による噛み込み防止を図った便器装置に関する。
従来、一般家庭用等のトイレでは、便器から下水までの排水管の傾斜勾配を利用して排水が行われている。しかしながら、家庭内に追加のトイレを設置するような場合には、レイアウト等の関係から傾斜勾配を確保できない場合や、水洗ポータブルトイレのように汚物を小さくしないと小径の排水ホースから排水できないようなものがある。このような場合に対応できるトイレとして、便器から排出される汚物を粉砕し、粉砕された汚物と洗浄水を下水へ圧送する粉砕圧送処理装置を備えた圧送式便器装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
図7は、従来の圧送式便器装置の粉砕圧送処理装置の一例を示している。この粉砕圧送処理装置204は、貯留槽210内に、モータ224,このモータ224に連結された回転軸225,この回転軸225に取り付けられた粉砕歯(カッター)226及びインペラ228を備えている。
使用者が便器の使用後に洗浄水を流すと、洗浄水と共に汚物が貯留槽210の供給口213を介して粉砕室221内へ搬送される。このとき、モータ224の作動により、回転軸225が回転し、これにより、粉砕歯226及びインペラ228が回転する。
粉砕歯226は、粉砕室221の空間内で回転可能なように、底部から斜め上方へ向けて延びるように構成されている。汚物は、モータ224により回転駆動された粉砕歯226によって粉砕され、粉砕室221の周壁及び底壁に設けられた孔を通過し、粉砕室221から流れ出る。粉砕室221から流れ出た粉砕後の汚物は、モータ224により駆動されたインペラ228の回転によって、洗浄水と共に排水管216を介して圧送することができる。
特開2006−328641号公報
ところで、便器には汚物以外の異物(例えば、硬質のライターや、軟質のオムツやハンカチ等)が誤って流される場合がある。このような異物は粉砕歯では粉砕し難い。このため、このような異物が便器内に誤って流されると、異物が可動する粉砕歯と固定部分となる貯留槽の間などに噛み込んだりして、モータが回転できなくなる不具合が発生していた。
しかも、粉砕歯に絡みついたり噛み込んだりした異物を、一般の使用者が取り除くことは非常に困難であるため、専門のサービススタッフを呼んで、異物を取り除いてもらう必要があった。さらに、異物を粉砕歯から取り除く作業は大変手間が掛かる作業である。したがって、一旦、異物の噛み込み等に起因したモータ不作動により圧送式便器装置が使用できなくなると、長期間に亘って圧送式便器装置を使用できない状態が継続するという問題があった。このため、圧送式便器装置自体の需要はあるにもかかわらず、上記問題が圧送式便器装置の普及を妨げていた。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、異物が誤って流されてしまった場合であっても使用を継続することが可能な便器装置を提供することを目的としている。
上記の目的を達成するために、本発明は、便器と、前記便器から汚物を搬送するための洗浄水を供給する給水手段と、前記便器から搬送された汚物を粉砕し、粉砕された汚物を排出管へ排出する粉砕処理装置と、を備えた便器装置であって、前記粉砕処理装置は、前記便器から搬送された汚物を溜める貯留槽と、前記給水手段によって搬送された汚物を前記貯留槽内へ導入する供給口と、前記貯留槽に流入した汚物を粉砕する粉砕手段と、粉砕された汚物を前記貯留槽から排出するための排出口と、有し、
前記粉砕手段は、洗浄水の力によって汚物を粉砕するために、前記貯留槽に供給される洗浄水の瞬間給水流量を前記排出口からの瞬間排出流量よりも多くして前記貯留槽に洗浄水が貯留された状態を形成するとともに、前記貯留槽に洗浄水および汚物が貯留された状態において、前記貯留槽内で洗浄水を汚物とともに攪拌して、該汚物を前記貯留槽の内周壁に衝突させるように構成されていることを特徴としている。
このように構成された本発明によれば、供給口から前記粉砕処理装置に供給される洗浄水の瞬間給水流量が前記排出口からの瞬間排出流量よりも多くなるように構成されているため、洗浄動作中には、貯留槽内の洗浄水の水位が一時的に上昇し、さらに、粉砕手段により、貯留槽内で洗浄水が攪拌される。
このように本発明では、便器から貯留槽内へ流された汚物が、貯留槽内で洗浄水と共に攪拌されることによって、汚物は軟らかいので、貯留槽の内壁に衝突して細かく破砕することができる。
従来は、汚物の粉砕が粉砕歯による破砕であったため、ライターやハンカチ、オムツ等の異物が誤って便器に流されると、粉砕手段(モータ)によって回転駆動された粉砕歯と囲の構造物との間で噛み込みを起こして、モータが回転不能になったりするという不具合が生じていた。
これに対して、本発明では、粉砕歯によって汚物を破砕するのではなく、水流による攪拌によって汚物を貯留槽の内壁に衝突させて汚物を破砕するように構成したものであるため、異物が誤って流されたとしても引っ掛かるようなことがない。具体的には、異物は水と壁の間に存在しているだけであるため、引っ掛かる所がないため、排水が完了するまで貯留槽内に滞留し、粉砕手段がロックして使えなくなるようなことがない。
また、本発明では、異物が誤って流された場合に、その異物は、上述のように粉砕手段に絡みついたり噛み込んだりすることがないので、粉砕手段を継続的に駆動し続けることができる。したがって、従来は、モータロックにより便器装置そのものが使用できなくなっていたが、本発明では、使用者は便器装置の使用を継続することができる。これは、特に体が不自由な方が使用されるポータブルトイレ等にあっては極めて有用な効果と言えるものである。
さらに、本発明では、破砕歯が設けられていないので、異物が複雑に絡み合ったり、噛み込んだりすることがないので、異物を取り除くことが従来と比べて容易となり、煩雑であったメンテナンス性を向上させることができる。
本発明の便器装置によれば、異物が誤って流されてしまった場合であっても使用を継続することができる。
本発明の実施形態による圧送式便器装置の概略構成図である。 本発明の実施形態による粉砕圧送処理装置の説明図である。 本発明の実施形態による底板の上面図である。 本発明の実施形態による底板の側面図である。 本発明の実施形態による洗浄時の給水流量と排出流量の時間変化を表すグラフである。 本発明の実施形態による粉砕圧送処理装置の動作説明図である。 従来例に掛かる粉砕圧送処理装置の説明図である。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
まず、図1〜図4を参照して、本発明の一実施形態に係る圧送式便器装置1の構成を説明する。
図1に示すように、本発明の一実施形態による圧送式便器装置1は、便器本体2と、この便器本体2に便器給水路3aを介して洗浄水を給水する給水装置3と、便器本体2から洗浄水と共に搬送されてきた汚物を粉砕し、粉砕された汚物を洗浄水と共に排水管16へ圧送する粉砕圧送処理装置4と、粉砕圧送処理装置4等を制御する制御装置5を備えている。
便器本体2は、上方が開口し、下方に洗浄水と共に汚物を排出する排出口2aが設けられた構成である。便器本体2は、排出口2aにフラップ弁が設けてもよい。また、便器本体2は、サイホン式やサイホンジェット式の便器であってもよい。
給水装置3の給水方式については、水道に直結して給水する水道直結方式であってもよいし、貯水したタンクから給水するタンク方式であってもよい。便器本体2への給水量は、制御装置5が電磁バルブ等からなる給水弁3bを開閉制御することにより調整される。
使用者がトイレ使用後、便器本体2を洗浄するために、リモコン(図示せず)等に設けられた洗浄指令用の洗浄スイッチをオンにすると、これに基づいて、制御装置5が給水弁3bへ給水指令を出力し、給水装置3から便器本体2内へ所定時間給水が行われ、便器本体2内に所定量の洗浄水が供給される。
図2に示すように、粉砕圧送処理装置4は、貯留槽10を備えており、この貯留槽10内に、粉砕圧送部20が設けられている。
貯留槽10は、便器本体2から搬送されてきた洗浄水と汚物を溜めるように構成された中空の容器である。貯留槽10は、側壁11及び底壁12によって囲まれている。
側壁11には、管状の供給口13が貫通して設けられ、この供給口13に便器本体2の排出口2aが連結されている。
また、貯留槽10には、便器本体2から排水された洗浄水を滞りないようにして排水するべく、貯留槽10内に存在している空気を貯留槽10の外部へと排出させる通気管(図示せず)なるものが設けられている。
また、底壁12には、開口12aが形成されており、この開口12aを塞ぐと共に、底壁12から下方へ突出するように、ポンプ室14が取り付けられている。このポンプ室14には、排出口15が形成されており、この排出口15に排水管16が連結されている。排水管16は、図1に示すように、排出口15から上方へ延びており、さらに、下水へ連結される。
粉砕圧送部20は、貯留槽10内に配置された有底円筒状の粉砕室21と、ポンプ室14の下部に配置された駆動手段としてのモータ24と、モータ24から貯留槽10の中央付近まで延びる回転軸25と、回転軸25の基端部付近でポンプ室14内に取り付けられたインペラ29と、回転軸25の途中部分に取り付けられ粉砕室21の底部付近に位置する円板状の底板26と、を備えている。なお、本実施形態では、モータ24がポンプ室14の下部に配置されているが、回転軸25を回転できれば、任意の位置に配置されてもよい。
回転軸25は、モータ24からポンプ室14内を通って粉砕室21まで上方へ延びている。また、回転軸25には、底板26の上方から先端にかけて、表面の摩擦を大きくするために刻み目が形成されている。なお、摩擦を大きくするために、回転軸25の表面にラバー等の他の部材を取り付けてもよい。回転軸25の底板26よりも上方の部分25aは、異物捕集手段として機能する部位であり、表面の摩擦を大きくすることにより、繊維状のやわらかい異物を引っ掛けて絡ませ易くするように構成されている。
粉砕室21は、筒状の周壁22と、周壁22の下側の円形開口を塞ぐ底壁23とを有する。貯留槽10は、貯留槽10の外側の壁である側壁11と、その内側に設けられ内側の壁を構成する周壁22を備えている。
底板26は、粉砕室21の底壁23の上部に位置するように設けられており、底板26の上方には、洗浄水及び汚物を受け入れる空間が確保されている。
本実施形態では、周壁22は、底板26の周方向の少なくとも一部に沿って、波状となるような凹凸形状を有している。この凹凸形状は曲面状である。この凹凸形状は、異物が引っかからないように、滑らかな曲面状であることが好ましい。なお、上記凹凸形状は、周壁22の高さ方向全域にわたって形成してもよいし、周壁22のうち底板26の側方に対応する高さ位置及びその上下の所定範囲のみに形成してもよい。
このように周壁22を構成することで、本実施形態では、対流や旋回を伴う攪拌によって、又は、底板26の回転による遠心力によって、汚物が周壁22へ押し付けられたときに、汚物へ局所的な又は集中的な応力を与えることができる。また、汚物が周壁22内を水流と共に旋回するときに、周壁22の凸部に衝突することにより、汚物へ局所的な又は集中的な応力を与えることができる。すなわち、平面視で円形の周壁22に汚物が衝突した場合には、汚物と周壁22との接触面積が大きく、また、汚物が周壁22の周面に沿って移動し易いので、汚物に対する衝撃が弱まるおそれがある。これに対して、本実施形態では、汚物Aが凹凸面のうち内側へ突出する頂部へ衝突することにより、より汚物Aを砕き易くすることができる。
なお、本実施形態では、周壁22が曲面状の凹凸形状を有しているが、これに限らず、凹凸形状を有しない円筒面を構成するように形成してもよい。
また、本実施形態の貯留槽の壁としての周壁22には、洗浄水や小さな汚物が通過できる複数の孔22aが形成されている。さらに、底壁23には、粉砕され小さくなった汚物が通過できる複数の孔23aが形成されている。
周壁22に形成された孔22aは、周壁22のうち、底板26の高さ付近には設けられておらず、底板26よりも所定高さだけ上方から更に上方の領域に形成されている。また、孔22aは、下方よりも上方に形成されたものほど、孔開口面積が大きくなるように形成されている。
さらに、周壁22には供給口13が連結されており、粉砕室21は、供給口13を介して洗浄水や汚物を受け入れるようになっている。
モータ24は、制御装置5からの制御信号により所定方向に回転するように構成されている。
図2〜図4に示すように、底板26は、複数の貫通孔27aが形成された円板部材27と、円板部材27の上面に固定された攪拌促進手段としての複数の可動突起28を備えている。可動突起28は、円板部材27から上方へ突出するように取り付けられた略直方体の部材であり、円板部材27の中心を挟んで対向する2箇所に回動自在に取り付けられている。円板部材27には、その平面に垂直な方向に向くように支持軸28aが取り付けられており、可動突起28は、支持軸28aに回動自在に取り付けられている。底板26が回転したときに可動突起28が底板26上で回動するように、支持軸28aは、可動突起28を、その中央部分から長手方向に所定距離だけ変位した位置で支持している。
なお、可動突起28の形状は、略直方体に限らず、立方体、多角柱体、半円柱体等の各種形状とすることができる。また、可動突起28は、後述する異物が絡み付かないように、角部が滑らかに面取りされていることが好ましい。さらに、可動突起28の個数は、2個に限らず、1個以上とすることができる。
また、貫通孔27aは、排水管16を通して圧送できる程度の大きさの汚物を通過させることが可能な寸法に設定されている。さらに、貫通孔27aを多数設けることにより、円板部材27をメッシュ状に形成してもよい。
円板部材27は、周壁22との間に所定の隙間Gが形成されるように、粉砕室21の周壁22よりも径寸法が小さく設定されている。この隙間Gは、粉砕され小さくなった汚物Aが通過可能な寸法である。
図2に示すように、インペラ29は、ポンプ室14内に配置されており、底板26と共に回転するように回転軸25に取り付けられている。貯留槽10からポンプ室14内へ流入した汚水は、インペラ29の回転により排水管16へ圧送される。
なお、本実施形態では、底板26に可動突起28が設けられているが、これに限らず、底板26に固定突起を設けた構成としてもよいし、このような突起を設けない構成としてもよい。突起を設けない場合、円板部材から突起が突出しないので、異物と絡まったり、異物が噛み込んだりするおそれをより低減することができる。
次に、図5及び図6を参照して、本実施形態の圧送式便器装置1の作用を説明する。
本実施形態では、モータ24によって回転駆動される底板26、周壁22及び可動突起28等が、便器本体2から粉砕室21内へ搬送された汚水中の汚物(糞やトイレットペーパー等の固形物)を粉砕する粉砕手段として機能するように構成されている。
また、本実施形態では、モータ24によって回転駆動されるインペラ29とポンプ室14が、粉砕された汚物を含む汚水を排水管16へ圧送する圧送手段として機能する。
使用者が洗浄スイッチ(図示せず)をオンにすると、制御装置5は、給水弁3bの弁の位置を閉状態から開状態へ所定時間だけ切り換える。このとき、制御装置5は、モータ24へ制御信号を出力し、所定時間だけモータ24を作動させる。
図5に示すように、圧送手段による排出流量Fb(破線)は一定である。一方、1回の給水操作又は給水処理における、給水手段3から給水弁3bを介して供給される洗浄水の給水流量Fa(実線)は、瞬間的に圧送手段による排出流量Fbを超える最大給水流量まで上昇し、その後減少する。一方、このため、洗浄水が貯留槽10へ供給されると、排出流量Fbよりも給水流量Faが大きい期間は、貯留槽10内の洗浄水Wの水位が一時的に上昇する。図6は、水位が上昇した状態を示している。
粉砕室21内に汚物と共に供給された洗浄水は、粉砕室21の底方向へ流入すると共に、一部は、周壁22の孔22aを通して貯留槽10へ流れ出る。また、モータ24の駆動によりインペラ29が回転することにより、周壁22内の洗浄水及び汚物が貯留槽10の底部へ向けて吸引される。
図6に示すように、モータ24によって底板26が回転駆動されると、貯留槽10又は粉砕室21内には渦流が形成される。すなわち、一時的に水位が上昇した洗浄水Wには、底板26の回転によって旋回力が与えられ、洗浄水Wは周壁22に沿って回転しながら周壁22へ押しやられる。底板26の回転によっても洗浄水Wは攪拌されるが、本実施形態では、攪拌促進手段としての可動突起28が底板26と共に回転することにより攪拌力が高められ、攪拌を促進できる。可動突起28は、底板26上の洗浄水に対する抵抗力が大きいので、可動突起28が回転移動することにより、洗浄水Wに対して大きな旋回力を付与することができ、強い水流を生成することが可能となる。これにより、図6に示すように、底板26の回転中心付近で洗浄水Wの水位が低く、径方向外側の水位が高くなるように洗浄水Wが攪拌される。
このとき、底板26付近では洗浄水及び汚物は径方向外側へ移動し、周壁22に当たった洗浄水の一部は周壁22に沿って上方へ流れる。そして、周壁22に沿って上方へ移動した洗浄水は、再び粉砕室21の中心へ向けて移動し、回転軸25付近から下方へ移動する。このようにして、粉砕室21内で洗浄水が旋回及び対流する。
汚物Aは、図3及び図6に示されているように、底板26上で水流や底板26の回転による遠心力により粉砕室21の周壁22へ押しやられる。また、このとき、汚物Aは、回転する可動突起28と衝突し、移動方向を変えながら、最終的に粉砕室21の周壁22へ押しやられる。
そして、汚物Aは、粉砕室21内で洗浄水の攪拌による旋回及び対流によって移動しつつ、強い水流に晒されることにより破砕されていく。
また、粉砕室21内で洗浄水が旋回すると、周壁22に設けられた曲面状の凹凸に水流が衝突し、周壁22付近に乱流又は旋回方向に対して不規則な流れが生じる。汚物Aが周壁22付近を移動する際には、この乱流又は不規則な流れによってせん断力を受け、破砕が促進される。
なお、本実施形態では、周壁22に設けられた凹凸形状が曲面状であるので、旋回する洗浄水が周壁22の凹凸形状に衝突しても、洗浄水の旋回力の勢いが減衰され難くなっている。これにより、本実施形態では、洗浄水の旋回力を維持しつつ、乱流又は不規則な流れを生じさせ、洗浄水の攪拌によって効率的に汚物を粉砕することができる。
また、水流や遠心力によって移動する際に、凹凸面の周壁22や可動突起28等と衝突を繰り返すことにより汚物の破砕が助長され、十分に小さい状態まで粉砕することができ、粉砕効率を向上させることが可能となる。
さらに、底板26がモータ24によって回転駆動されると、可動突起28は、支持軸28aを挟んだ重量バランスが不均一であるため、円板部材27上で回動する。汚物Aが底板26上に到達すると、回動する可動突起28と衝突して、大きな衝撃力を受けて粉砕されると共に、水流方向又は遠心力が掛かった方向とは異なる方向の周壁22へさらに衝突させられる。これにより、底板26及び可動突起28によって、より効率的に汚物を粉砕することができる。
なお、回動する可動突起128が硬い異物や大きな汚物と衝突した場合には、可動突起28は、異物や汚物から反発力を受け、その反発力の大きさによっては、衝突時の回動方向と逆方向に回動させられる。これにより、異物や汚物が、可動突起28と周壁22との間に噛み込んでしまうことを防止することができる。
このようにして、破砕室21内で破砕された汚物Aの小片は隙間Gを通過し、さらに底
壁23の孔23aを通過して、ポンプ室14へ運ばれる。粉砕された汚物Aは、ポンプ室
14でインペラ29によって圧送され、排水管16を通して下水まで排出される。
また、本実施形態では、可動突起28の外側端部と周壁22との径方向の距離が、隙間Gよりも大きく設定されており、粉砕手段は、可動突起28と周壁22との間で汚物をすり潰して粉砕することを主機能とはしていない。むしろ、本実施形態の粉砕手段は、底板26の回転に起因する洗浄水の攪拌力によって、汚物を粉砕している。さらには、可動突起28との衝突による衝撃力や、底板26の回転による遠心力によって周壁22へ衝突させる際の衝撃力等によって、汚物の粉砕が補助されている。
また、本実施形態では、粉砕手段が、円板状の底板26及び周壁22で形成されており、従来のように汚物を破断するための粉砕歯を有していない。従来は、粉砕室の空間内へ粉砕歯が斜め上方へ延びる構成であったが、本実施形態では、単に底板26に可動突起28が設けられた構成を有している。この可動突起28は、粉砕室21の空間内へ延びるように構成されておらず、底板26の円板部材27から上方に僅かに突出し、粉砕室21の底部で回転するだけである。
このため、オムツ等の異物が誤って便器本体2内へ流された場合であっても、底板26は、異物と絡まることがない。特に、繊維状の異物であるハンカチ、紙製及び布製オムツ、紐状物、布状物、ゴム製品等は、従来、粉砕歯に絡み易く、これによりモータのトルクが足りなくなってモータが回転不能になっていた。これに対して、本実施形態では、底板26には粉砕歯は設けられておらず、単に可動突起28が形成されているだけであるので、繊維状異物が流入してきた場合であっても、この繊維状異物が底板26に絡み付いて、モータ24が回転不能になることがない。
また、本実施形態では、粉砕手段が、回転体として円板状の底板26を有し、底板26と周壁22との間に所定の隙間Gが設けられた簡単な構成であるので、異物が繊維状異物であっても、底板26と周壁22との間に噛み込むことを大幅に抑制することができる。これにより、本実施形態では、従来のように異物が噛み込んでモータが停止してしまうおそれを、極めて低減することができる。
また、本実施形態では、上述のように使用者が洗浄スイッチをオンにすると、図6に示すように、粉砕室21内の水位が上昇するので、繊維状の異物が粉砕室21内の洗浄水中に浮遊し、さらに対流する。そして、この対流によって異物が回転軸25付近に到達すると、回転中の回転軸25に異物を絡ませることができる。本実施形態では、回転軸25の部分25aは、繊維状の異物を捕え易いように、表面の摩擦力を高めた異物捕集手段を構成している。
したがって、繊維状の異物が回転軸25の表面に接触すると、異物は、回転する回転軸25に素早く絡み取られる。そして、異物は一旦回転軸25に絡み取られると、その状態に保持される。また、異物が回転軸25に絡み付いていても、異物が底板26の中心部に位置することになるので、モータ24が底板26を回転駆動する際のトルク増大を抑制することができ、モータ24が過負荷状態となることを防止することができる。このように、本実施形態では、繊維状異物が粉砕室21に留まっている間は、異物を回転軸25に絡ませた状態にすることができるので、異物が底板26と周壁22との間に噛み込むことを確実に防止することができる。
さらに、本実施形態では、異物が底板26と周壁22との間に引っ掛かることで噛み込みによるロックが発生することをより確実に防止するため、底板26の高さ付近の周壁22に孔22aを形成しない構成としている。すなわち、孔22aは、滑らかな壁面よりも異物が引っ掛かり易いので、底板26付近には孔22aを形成していない。これにより、底板26付近では周壁22には、孔22aが形成されておらず、滑らかな曲面状の凹凸形状に形成されているから、底板26や可動突起28と周壁22との間で異物が引っ掛かりが生じることがより確実に防止される。
なお、周壁22のうち、底板26よりも所定高さ以上高く、底板26との間で挟み込みが生じない領域には、上方ほど孔開口面積が大きくなるように孔22aが形成されているので、貯留槽10の上部からは、洗浄水や浮遊汚物を排出し易くすることができる。
このように、本実施形態では、繊維状の異物が流されてしまった場合には、異物捕集手段としての回転軸25の部分25aが異物を絡め取り、固定状(例えば、ライター等)の異物が流されてしまった場合には、この異物は底板26上で留まり続ける。このように、本実施形態では、どのような異物が流されてしまった場合であっても、この異物が底板26の回転を妨げず、モータ24がロックしてしまうことがないので、異物が貯留槽10内にあっても、モータ24を駆動させることが可能である。したがって、本実施形態では、使用者は、異物を誤って流してしまった後でも、サービススタッフが来るまでの間、圧送式便器装置1の使用を継続することが可能である。
次に、本実施形態は以下のように改変してもよい。
上記実施形態では、貯留槽10が、外側の壁である側壁11と内側の壁である周壁22を備えており、周壁22が粉砕圧送部20の一部を構成しているが、これに限らず、周壁22を設けない構成としてもよい。なお、この場合、底板26の径を側壁11に合わせて拡大することが好ましい。
1 圧送式便器装置
2 便器本体
3 給水装置(給水手段)
4 粉砕圧送処理装置
5 制御装置
10 貯留槽
11 側壁
13 供給口
14 ポンプ室
15 排出口
16 排水管
20 粉砕圧送部
21 粉砕室
22 周壁(貯留槽の壁)
23 底壁
24 モータ(駆動手段)
25 回転軸
25a回転軸の部分(異物捕集手段)
26 底板
27 円板部材
28 可動突起(攪拌促進手段)
29 インペラ
A 汚物
G 隙間
W 洗浄水

Claims (1)

  1. 便器と、前記便器から汚物を搬送するための洗浄水を供給する給水手段と、前記便器から搬送された汚物を粉砕し、粉砕された汚物を排出管へ排出する粉砕処理装置と、を備えた便器装置であって、
    前記粉砕処理装置は、
    前記便器から搬送された汚物を溜める貯留槽と、
    前記給水手段によって搬送された汚物を前記貯留槽内へ導入する供給口と、
    前記貯留槽に流入した汚物を粉砕する粉砕手段と、
    粉砕された汚物を前記貯留槽から排出するための排出口と、
    を有し、
    前記粉砕手段は、洗浄水の力によって汚物を粉砕するために、
    前記貯留槽に供給される洗浄水の瞬間給水流量を前記排出口からの瞬間排出流量よりも多くして前記貯留槽に洗浄水が貯留された状態を形成するとともに、前記貯留槽に洗浄水および汚物が貯留された状態において、前記貯留槽内で洗浄水を汚物とともに攪拌して、該汚物を前記貯留槽の内周壁に衝突させるように構成されていることを特徴とする便器装置。
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