続いて、図面を参照しながら本発明に係る実施形態について説明する。図1は、本発明に係る介護用トイレ装置100の構成例を示す断面図である。図2は、介護用トイレ装置100の構成例を示す背面図である。図1に示す介護用トイレ装置100は、排泄された汚物や使用済みのトイレットペーパを受容する便器本体1の下部に設けられた粉砕装置2で、便器本体1に供給される洗浄水と共に汚物及びトイレットペーパを粉砕した後に排出するものである。
介護用トイレ装置100は、便器本体1、粉砕装置2、圧送タンク3及び給水タンク4を備えている。給水タンク4には、2〜3リットルの水が貯えられる。給水タンク4の給水口には、給水用電磁弁4aが設けられている。また、給水タンク4の給水口から便器本体1の内部に向けて不図示の給水管が設けられている。給水用電磁弁4aを開閉することにより、給水タンク4に貯えられた洗浄水が給水管を通じて便器本体1の内部に流れ込むことを制御する。
便器本体1には、便蓋1a及び便座1bが設けられている。便蓋1aの開動作に応じて介護用トイレ装置100の処理を開始する。便器本体1の下方側には、粉砕装置2が配置されている。粉砕装置2は粉砕機構部の一例であり、容器部材の一例である収容容器22nを備える。この収容容器22nは、開閉蓋機構部2a及び鍋底形状の筐体2fから構成されている。開閉蓋機構部2aは、筐体2fの開口部を覆うようにネジによって固定され、筐体2fの内部を密閉している。
開閉蓋機構部2aは、便器本体1との結合部分に略円形状の開口部2gを有している。開閉蓋機構部2aには、この開口部2gの外周から延出された結合筒2dが設けられている。結合筒2dの一部分は、便器本体1の内部に挿入されて、便器本体1と粉砕装置2の開閉蓋機構部2aが結合されている。
粉砕装置2の内部には、トイレットペーパ及び汚物を細かく擂り潰しながら粉砕する石臼(挽き臼)機構2jが設けられている。この石臼機構2jは粉砕機構の一例であり、固定臼2h及び回転臼2iを有している。上側の固定臼2hは固定盤部材の一例であり、略円盤状を成して収容容器22nに固定されている。下側の回転臼2iは回転盤部材の一例であり、略円盤状を成してシャフト23aに固定されて回転する。固定臼2hには、第1貫通孔部の一例である流入口2m,2m(図4参照)が中心部近傍に設けられ、この流入口2m,2mから洗浄水と共に汚物が流入して、固定臼2hと回転臼2iの間隙に洗浄水と共に汚物及びトイレットペーパが入り込む。固定臼2hと回転臼2iの間隙に入り込んだトイレットペーパ及び汚物は、固定臼2hと回転臼2iとの対面し合う凹部と凸部により、細かく擂り潰されて洗浄水と混合し、流動性の高い状態(汚物流動体)となる。
粉砕装置2の下方側には圧送タンク3が配置されている。圧送タンク3はタンク部の一例であり、例えば金属製のタンクを用いる。圧送タンク3と粉砕装置2は、連結管3gにより結合されている。この連結管3gには、流入口の一例である圧送タンク開閉電磁弁3aが設けられている。この圧送タンク開閉電磁弁3aの開閉に基づいて、細かく擂り潰されて洗浄水と混合した汚物及びトイレットペーパを圧送タンク3に流し込む。
圧送タンク3と図2に示すエアーコンプレッサー6は、エアー管3iにより連結されている。エアー管3iは、圧送タンク3の連結部3hに結合されている。この連結部3hには、圧縮空気吸入用電磁弁3cが設けられている。この圧縮空気吸入用電磁弁3cの開閉により、圧送タンク3の内部の空気圧を調整する。
圧送タンク3は支持台3d,3dにより傾斜して支持されている。圧送タンク3の最下位置には排出部3eが設けられている。この排出部3eは、排出口の一例である排出用電磁弁3bを介して排出管3fが連結されている。排出管3fの終端は、汚物の廃棄場所の一例である備え付けトイレ5の便器に接続されている。排出用電磁弁3bの開閉に基づいて、圧送タンク3内の流動体化された汚物を排出管3fに排出する。この例では、傾斜した圧送タンク3の最下位置に設けられた排出部3eの近傍に、流動体化された汚物が自然と寄り集まる。この状態で、エアーコンプレッサー6により圧縮空気を圧送タンク3の内部に充填して排出用電磁弁3bを開くと、流動体化された汚物が排出管3fから備え付けトイレ5に排出される。
このように、本発明に係る介護用トイレ装置100は、汚物を粉砕する機構と粉砕された汚物を圧送排出する機構とを一体に構成せずに、図1及び図2に示す粉砕装置2と圧送タンク3のように別体に構成したので、個々の機構を単純化することができる。すなわち、粉砕装置2は、汚物を粉砕する機能だけを持たせているので、圧縮空気を粉砕装置2の内部に閉じ込める必要がない。これにより、粉砕装置2の構造は、圧縮空気の圧力に耐える強度を必要とせず、さらに圧縮空気を密閉させる必要もない。従って、粉砕装置2の開閉蓋機構部2aも簡素な構造となる。
また、圧送タンク3は、流動体化された汚物を排出管3fに圧送排出する機能のみを持たせているので、圧送排出する機能に特化して設計することができる。これにより、圧縮空気漏れや空気圧不足を解消でき、流動体化された汚物を確実に圧送排出できるようになる。
また、圧送タンク3の容積を、流動体化された汚物を貯えるのに必要とされる容積と圧縮空気を充填するために必要とされる容積とを満たせば良い容積とすることができる。これにより、圧縮空気の圧力が作用して強固に設ける必要がある圧送タンク3の容積を、必要最低限の容積として小型化することができる。従って、圧送タンク3を軽量、安価に製造することができる。
また、圧送タンク3の内部には、流動体化した汚物と圧縮空気が貯えられるのみであって、粉砕装置2が設けられていないので圧送タンク3の部材として汎用品のタンク部材を適用することができ、安価に設けることが可能である。
続いて、粉砕装置2の開閉蓋機構部2aの構成について詳細に説明する。図3Aは、粉砕装置2の開閉蓋機構部2aの構成例を示す表面側の斜視図である。図3Bは、粉砕装置2の開閉蓋機構部2aの構成例を示す裏面側の斜視図である。
図3A及び図3Bに示す開閉蓋機構部2aは、円盤部22r、結合筒2d、略円形状の開口部2g、開閉蓋2b及び開閉用モータ2cを備えている。結合筒2dは、開口部2gの外周から延設され、便器本体1に結合される。開閉蓋2bは略扇状に形成され、開閉蓋2bの幅狭部分が開閉用モータ2cの軸部材2eに結合されている。開閉蓋2bは、開閉用モータ2cの軸部材2eの回動と共に回動して、開口部2gを開閉する。これにより、便器本体1から粉砕装置2に流入するトイレットペーパ、汚物及び洗浄水を通過又は停止させる。
続いて、石臼機構2jの構成を詳細に説明する。図4は、石臼機構2jを上方側から見た分解斜視図である。図5は、石臼機構2jを下方側から見た分解斜視図である。
石臼機構2jの固定臼2hは、第1貫通孔部の一例である略半月形状を成す2つの流入口2m,2m、挿通孔20c、4個の突起板2n、凹凸面22pを備えている。固定臼2hの突起板2nは均等の間隔を有して、本体20mの周囲に4箇所設けられている。これらの突起板2nは、収容容器22nの溝部2p(図8参照)に嵌合される。
固定臼2hの本体20mの中央部には、ボルト20dを挿通する挿通孔20cが設けられている。図6は、ボルト20dの構成例を示す拡大図である。この挿通孔20cには、図6に示すボルト20dの円柱部20qが挿通される。
固定臼2hの本体20mの中央領域には、トイレットペーパ、汚物及び洗浄水が流入する流入口2m,2mが設けられている。この流入口2m,2mから流入した汚物などは、固定臼2hと回転臼2iの間隙に入り込む。
本体20mの一側面には、図5に示すように凹凸面22pが設けられている。この凹凸面22pは第2の凹凸面の一例であり、複数の凸部20h及び複数の凹部20iから構成されている。凹凸面22pの領域は6分割されており、1/6の領域ずつ凸部20h及び凹部20iの延在する方向を変更している。6分割された領域のうち、挿通孔20cを介して向かい合う領域は、凸部20h及び凹部20iの延在する方向が同一に形成されている。例えば、図5に示す領域20sの凸部20h及び凹部20iと、領域20tの凸部20h及び凹部20iは互いに同一方向に延在するように形成されている。
石臼機構2jの回転臼2iは、第2貫通孔部の一例である4箇所の流出口20u、非円形状の挿通孔20w、2つの攪拌翼20g,20g及び凹凸面22qを備えている。回転臼2iの攪拌翼20g,20gは、本体20vの底面側の2箇所に略平行に設けられている。これらの攪拌翼20g,20gは、粉砕装置2の収容容器22nにおけるトイレットペーパ、汚物及び洗浄水を攪拌しつつ外側に向けて水流を発生させ、汚物などを循環させる。
回転臼2iの本体20vの中央部には、ボルト20dを挿通する非円形状の挿通孔20wが設けられている。この挿通孔20wには、図6に示すボルト20dの非円柱部20rが挿通される。回転臼2iと固定臼2hの間隙は、ボルト20dによって調整されている。例えば、回転臼2iの上下位置はボルト20dの平面部21aで規定され、固定臼2hの上下位置はボルト20dの平面部21bで規定される。すなわち、平面部21aと平面部21bの距離によって、回転臼2iと固定臼2hの間隙が定まる。
図7A及び図7Bに示すように、回転臼2iの中央領域には、トイレットペーパ、汚物及び洗浄水が流出する第2貫通孔部の一例としての流出口20uが4箇所に設けられている。図7A及び図7Bは、回転臼2iを別の角度から見た斜視図である。固定臼2hの凹凸面22pと回転臼2iの凹凸面22qの間隙に入り込めない大きさの汚物は、この流出口20uから流出して再び固定臼2hの流入口2m,2mに流入する。
回転臼2iの本体20vの一側面には、図4に示すように凹凸面22qが設けられている。この凹凸面22qは第1の凹凸面の一例であり、複数の凸部20j及び複数の凹部20kから構成されている。凹凸面22qの領域は6分割されており、1/6の領域ずつ凸部20j及び凹部20kの延在する方向を変更している。6分割された領域のうち、挿通孔20wを介して向かい合う領域は、凸部20j及び凹部20kの延在する方向が互いに同一に形成されている。例えば、図4に示す領域20xの凸部20j及び凹部20kと、領域20yの凸部20j及び凹部20kは同一方向に延在するように形成されている。
石臼機構2jの上方には、荒破砕用の回転刃2rが、固定臼2hの流入口2m,2mの少なくとも一部に重合するように回転駆動自在に配置される。この回転刃2rの孔部21yは、図6に示すボルト20dの切欠部20pに嵌合される。荒破砕用の回転刃2rは、板状の部材の両端20z,20zを略直角に折り曲げて形成されている。この回転刃2rは、石臼機構2jで汚物を細かく擂り潰して流動体化する前に、汚物を荒く破砕する。
続いて、粉砕装置2の構成及び動作について詳しく説明する。図8は、粉砕装置2の構成例を示す一方向からの断面図である。図9は、粉砕装置2の構成例及び動作例を示す他方向からの断面図である。粉砕装置2の固定臼2hと回転臼2iは対峙して配置されている。
粉砕装置2は、上述した回転刃2r及び回転臼2iを駆動する機構として、破砕用モータ2s、第1プーリー2y,第2プーリー20a及びベルト2zを備えている。破砕用モータ2sの回転軸には、ピニオンギヤ2tが固定されている。このピニオンギヤ2tから延出した軸部の先端は、ガイドプレート2vに回転自在に取り付けられている。ピニオンギヤ2tには、平歯車2wが噛み合わされている。この平歯車2wには、同期して回転することができるように第1プーリー2yが固定されている。平歯車2w及び第1プーリー2yは、軸部材2xに回転自在に取り付けられている。この軸部材2xの先端は、ガイドプレート2vに固定されている。第1プーリー2yと第2プーリー20aには、ベルト2zが掛け回されている。第2プーリー20aの中央部には軸20bが固定されている。この軸20bには、摩擦圧接などの手段によってボルト20dが溶着されて連結されてシャフト23aを成している。ボルト20dの先端部にはネジ部20nが設けられ、ネジ部20nにナット23bを螺合することでボルト20dに、回転臼2i及び荒破砕用の回転刃2rが固定されている。
このように粉砕装置2を構成することにより、破砕用モータ2sを回転させると、回転臼2i及び荒破砕用の回転刃2rが回転する。すなわち、破砕用モータ2sを回転させると、ピニオンギヤ2t、平歯車2wを介して第1プーリー2yが回転する。この第1プーリー2yの回転により、ベルト2zを介して第2プーリー20aが回転すると共に、シャフト23aが回転する。これにより、シャフト23aを成しているボルト20dに固定された回転臼2i及び荒破砕用の回転刃2rが回転する。荒破砕用の回転刃2rは、石臼機構2jで汚物を細かく擂り潰して流動体化する前に、トイレットペーパ及び汚物を荒く破砕する。
石臼機構2jの固定臼2hの突起板2nは、収容容器22nの溝部2pに嵌合されて固定されている。固定臼2hの挿通孔20cは、ボルト20dに挿通されている。ボルト20dは、固定臼2hに対して空転する。
図8に示す粉砕装置2の開閉蓋機構部2aにおける開閉用モータ2cの軸部材2eにはストッパー20f及び圧縮バネ2qが設けられている。また、この軸部材2eの先端側には、開閉蓋機構部2aを介在して開閉蓋2bが取り付けられている。この開閉蓋2bは、圧縮バネ2qの付勢力により開閉蓋機構部2aの円盤部22rの裏面に密接している。開閉蓋2bは、開閉用モータ2cの軸部材2eの回動と共に回動して、開口部2g(図3A参照)を開閉する。
粉砕装置2は、図9に示す連結管3gにより圧送タンク3に連結されている。この連結管3gには、圧送タンク開閉電磁弁3aが設けられている。この圧送タンク開閉電磁弁3aの弁3jの開閉に基づいて、細かく擂り潰されて流動体化された汚物を圧送タンク3に流し込む。この例では、流動体化された汚物を圧送タンク3に流し込む場合、圧送タンク開閉電磁弁3aの弁3jを開いた状態で、回転臼2iを低速回転させて回転臼2iの攪拌翼20g,20gにより、流動体化された汚物を連結管3gから圧送タンク3に送り出す。これにより、粉砕装置2の収容容器22nの底に溜まった汚物を満遍なく圧送タンク3に送り出すことができる。
収容容器22nの底部は、弁3jの側へ向かって傾斜している。この傾斜により、流動体化された汚物が自然と弁3jの側へ流れ込んで圧送タンク3へ流下する。このため、弁3jの開弁によって流動体化された汚物を圧送タンク3へ流下する際、必ずしも上述した回転臼2iの攪拌翼20g,20gにより、流動体化された汚物を送り出す必要はない。しかしながら、回転臼2iの攪拌翼20g,20gにより流動体化された汚物を送り出すことで、流動体化された汚物を圧送タンク3へ流下する時間が短縮できる。
また、図9に示すように、粉砕装置2は回転臼2iの攪拌翼20g,20gによって汚物及び洗浄水を攪拌する。攪拌翼20g,20gによって汚物及び洗浄水を攪拌することで、図9に示すように対流の如き循環流P1が生じる。
すなわち、攪拌翼20g,20gによって洗浄水を攪拌することで、洗浄水が収容容器22nの内壁面側へ送出される。このとき、攪拌翼20g,20gにより送出された洗浄水は、回転臼2iの中心部(挿通孔20w)を中心とした渦状流を成して循環流P1が生じる。また、トイレットペーパ及び汚物は洗浄水と共に、図4に示す固定臼2hの流入口2m,2mを通過して回転臼2iの流出口20u(図7A参照)を通過して循環流P1を成す。同時に、トイレットペーパ、汚物及び洗浄水の一部は、図9の破線矢印P2に示すように、固定臼2hの凹凸面22pと回転臼2iの凹凸面22qの間隙にも流入する。図4に示す固定臼2hの凸部20h及び凹部20iと、回転臼2iの凸部20j及び凹部20kとが相対回転をすることで、固定臼2hと回転臼2iの間隙に入り込んだトイレットペーパ及び汚物は細かく擂り潰される。擂り潰された汚物などは、破線矢印P2に示すように収容容器22nの内壁面へ向かって送出される。
また、図4に示す固定臼2hの凹部20iと回転臼2iの凹部20kの間に入り込めない大きさの汚物は、回転臼2iにおける4箇所の流出口20u(図7A参照)から回転臼2iの下方へ送出できる。この流出口20uから送出された大きな汚物は、洗浄水と共に循環流P1の流れに乗って収容容器22nの内壁面を伝わって上昇した後、荒破砕用の回転刃2rの側へ流れ込み、荒破砕用の回転刃2rによって細かく破砕される。
このように、収容容器22nに収容されたトイレットペーパ、汚物及び洗浄水が収容容器22nの内部で循環するので、回転臼2iを回転駆動している間、汚物は洗浄水と共に凹凸面22pと凹凸面22qの間隙に幾度も流入する。これにより、汚物は、凹凸面22pと凹凸面22qの相対回転によって幾度も擂り潰されるので、例えば粉砕し難い豆類などの固形物や繊維質の野菜を含んだ汚物であっても細かく粉砕できる。また、トイレットペーパ、汚物及び洗浄水が循環するので、細かく粉砕した汚物及びトイレットペーパと洗浄水の混合が好適に行われ、汚物などを流動性の高い状態とすることができる。これにより、排出管3fの管径を細くできるので、排出管3fを配設した際に目立たなくすることができ室内の美観を損ねることがない。また、細い排出管3fであるので、排出管3fを曲げることが容易であって、排出管3fを引き回して配設する作業を容易に行える。
続いて、他の実施形態としての石臼機構21jの構成を詳細に説明する。図10は、石臼機構21jを上方側から見た分解斜視図である。図11は、石臼機構21jを下方側から見た分解斜視図である。
図4に示した石臼機構2jと構造上の主な違いは、図10に示す固定臼21hが循環流の生成を促進する循環流促進板21na,21nbを備えることである。また、図10に示す回転臼21iが図4に示した流出口20uを備えていないことである。
図10に示す石臼機構21jの固定臼21hは、略半月状を成す2つの流入口21m,21m、挿通孔22c、4つの循環流促進板21na,21nb及び凹凸面22sを備えている。固定臼21hの循環流促進板21na,21nbは、図12に示す収容容器22nの内壁部から収容容器22nの中心側へ向けて設置され、攪拌翼22g,22gにより循環される洗浄水を固定臼21hの流入口21m,21mに向ける。循環流促進板21na,21nbは、固定臼21hの外周部の4箇所に立設され、収容容器22nの内壁部に設けられた溝部2p(図12参照)に嵌合される。なお、溝部2pは取付部の一例である。
循環流促進板21naは、循環流促進板21nbよりも大きく形成され、より循環流の生成を促進するのに貢献する。もちろん、循環流促進板として循環流促進板21nbを4つ用いたとしても、循環流の促進における相応の効果を発揮できる。また、循環流促進板として循環流促進板21naを4つ用いた場合、循環流の促進における顕著な効果を発揮できる。また、図4に示す4つの突起板2nに代えて、図10に示す循環流促進板21na,21nbを適用したとしても、図9に示す実施例の如く、循環流P1の生成を促進する効果を発揮できる。
これらの循環流促進板21na,21nbの平面部22pa,22pbは、略円形状の本体22mの中心部に位置する流入口21m,21mの側へ向かうように延設されている。循環流促進板21na,21nbは、図9に示した循環流P1の生成を促進させる作用がある。この例では、トイレットペーパ、汚物及び洗浄水が循環流促進板21na,21nbに当たることで、トイレットペーパ、汚物及び洗浄水の流れる方向が本体22mの中心部に位置する流入口21m,21mの側へ向けられる。これにより、汚物や洗浄水などを勢いよく流入口21m,21mに送り込むことができる。流入口21m,21mから入り込んだトイレットペーパ及び汚物は、固定臼21hの凹凸面22sと回転臼21iの凹凸面22tの間隙に入り込んで、細かく擂り潰されて流動体化される。
固定臼21hの本体22mの中央部には、ボルト20dを挿通する挿通孔22cが設けられている。この挿通孔22cには、図6に示すボルト20dの円柱部20qが挿通される。
本体22mの一側面には、図11に示すように凹凸面22sが設けられている。この凹凸面22sは、複数の凸部22h及び複数の凹部22iから構成されている。凹凸面22sの領域は6分割されており、1/6の領域ずつ凸部22h及び凹部22iの延在する方向を変更している。6分割された領域のうち、挿通孔22cを介して向かい合う領域は、凸部22h及び凹部22iの延在する方向が互いに同一に形成されている。
石臼機構21jの回転臼21iは、非円形状の挿通孔22w、2枚の攪拌翼22g,22g及び凹凸面22tを備えている。回転臼21iの攪拌翼22g,22gは、本体22vの底面側の2箇所に略平行に設けられている。これらの攪拌翼22g,22gは、粉砕装置2の収容容器22nにおけるトイレットペーパ、汚物及び洗浄水を攪拌する。
回転臼21iの本体22vの中央部には、ボルト20dを挿通する非円形状の挿通孔22wが設けられている。この挿通孔22wには、ボルト20dの非円柱部20rが挿通される。
回転臼21iの本体22vの一側面には、図10に示すように凹凸面22tが設けられている。この凹凸面22tは、複数の凸部22j及び複数の凹部22kから構成されている。凹凸面22tの領域は6分割されており、1/6の領域ずつ凸部22j及び凹部22kの延在する方向を変更している。6分割された領域のうち、挿通孔22wを介して向かい合う領域は、凸部22j及び凹部22kの延在する方向が互いに同一に形成されている。
石臼機構21jの上部には荒破砕用の回転刃21rが設置される。この回転刃21rの孔部22yは、図6に示すボルト20dの切欠部20pに嵌合される。荒破砕用の回転刃21rは、略S字状に形成されている。この回転刃21rは、石臼機構21jで汚物を細かく擂り潰して流動体化する前に、トイレットペーパ及び汚物を荒く破砕する。
図12は、石臼機構21jを用いた粉砕装置21の動作例を示す断面図である。粉砕装置21の固定臼21hと回転臼21iは対峙して配置されている。粉砕装置21は回転臼21iの攪拌翼22g,22gによって汚物及び洗浄水を攪拌する。攪拌翼22g,22g(図11参照)によって汚物及び洗浄水を攪拌することで、図12に示すように対流の如き循環流P3が生じる。すなわち、攪拌翼22g,22gによって洗浄水を攪拌することで、洗浄水が収容容器22nの内壁面側へ送出される。このとき、攪拌翼20g,20gにより送出された洗浄水は、回転臼21iの中心部(挿通孔22w)を中心とした渦状流を成して循環流P3を生じる。
また、循環流P3を成した洗浄水は汚物やトイレットペーパと共に、循環流促進板21na,21nbの平面部22pa,22pbに当たって、洗浄水の流れる方向が本体22mの中心部に位置する流入口21m,21mに向けられる。これにより、洗浄水、汚物及びトイレットペーパの循環が促進される。流入口21m,21mに向かって流れる汚物及びトイレットペーパは、荒破砕用の回転刃21rにより破砕される。破砕された汚物及びトイレットペーパは洗浄水と共に、固定臼21hの流入口21m,21mに流れ込む。流入口21m,21mに流れ込んだトイレットペーパ及び汚物は、固定臼21hの凹凸面22sと回転臼21iの凹凸面22tとの間隙に流入し、細かく擂り潰されて流動体化される。
なお、この例では、循環流促進板21na,21nbを固定臼21hに設けたが、収容容器22nの内壁面に設けるようにしても良い。この場合、循環流促進板は、収容容器22nの内壁面から収容容器22nの中心側へ向けて延設されるように、循環流促進板を構成する。
続いて、図1に示した排出管3fの終端に設けられる排出具7を、備え付けトイレ5の便器本体5aに設置する方法について説明する。図13Aは、排出具7の設置例を示す備え付けトイレ5の全体図である。図13Bは、排出具7の設置例を示す備え付けトイレ5の一部の断面図である。図13Bに示す備え付けトイレ5の便器本体5aの内壁部5eには、排出具7が設置されている。
この例で、アラビア数字の略「7」字形状を成す排出管支持部材5fが便器本体5aの縁に引っ掛けられている。この排出管支持部材5fの先端に設けられた保持部5gにより、排出具7の近傍の排出管3fを挟み込んで保持している。
図13Aには、排出管3fの途中までを図示しているが、排出管3fの図示を省略した部分の先には、図1に示した圧送タンク3が接続されている。圧送タンク3の排出用電磁弁3bを開くと、圧送タンク3内の流動体化された汚物が排出管3fを通じて排出具7から排出される。流動体化された汚物を排出具7から排出した後、備え付けトイレ5の不図示の給水タンクから洗浄水を流す。この場合、手動操作で給水タンクから洗浄水を流すようにしても良いし、自動制御で給水タンクから洗浄水を流すようにしても良い。自動制御で行う場合、給水タンクから洗浄水を自動的に流す装置を設置し、圧送タンク3の排出用電磁弁3bを閉じた後に、自動的に流す装置を作動させる。
図13Aは、備え付けトイレ5の便座5bを下げた状態である。図13Aに示す排出具7の排出管3fは、便座5bと便器本体5aの隙間に収容される。例えば、図13Bに示すように便座5bは複数個の突起5dを有する。この突起5dにより便座5bと便器本体5aの内壁部5eとの間には隙間が生じる。排出具7の排出管3fは、この隙間に収容されるので、備え付けトイレ5に簡単に設置することができる。
図14Aは、排出具7の構成例を示す拡大図である。図14Aに示す排出具7は台形状に形成され、入口部7hには、排出管3fが接続されている。排出具7は、上蓋部7a及び下蓋部7bを備えている。上蓋部7aと下蓋部7bは、4個のネジ7jにより固定されている。
図14Bは、排出具7の分解例を示す斜視図である。図14Bに示す下蓋部7bは、緩衝板7c〜7f及び排出口7gを備えている。緩衝板7c〜7fは、入口部7hから所定間隔を有して隣り合う緩衝板の一部が互いに重なりあうように設置されている。すなわち、緩衝板7cと緩衝板7dは、その一部が重なりあっている。これは、圧送タンク3から圧縮空気により排出管3fを介して排出される流動体化した汚物が飛び散らないように、流動体化した汚物の排出時の勢いを抑えるためである。緩衝板7c〜7fにより流勢が抑えられた汚物は、排出口7gから排出される。
このように、汚物が排出口7gから勢い良く排出されないので、備え付けトイレ5の便器本体5a(図13A参照)の内部に確実に流し込むことができる。
なお、上蓋部7aも、下蓋部7bと同様の構成を有している。すなわち、上蓋部7aは緩衝板7c〜7f及び排出口7gを備え、上蓋部7aの緩衝板7c〜7fは、下蓋部7bの緩衝板7c〜7fと同じ位置に設置されている。また、上蓋部7aの排出口7gも、下蓋部7bの排出口7gと同じ位置に設置されている。
続いて、介護用トイレ装置100の制御系について説明する。図15は、介護用トイレ装置100の制御系の構成例を示すブロック図である。図15に示す介護用トイレ装置100は、制御ユニット8を有している。制御ユニット8は図示せずも、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリと、演算機能を有するCPU(Central Processing Unit)と、インタフェースとを有して構成される。
制御ユニット8には、便蓋開閉検知センサ1cが接続される。この便蓋開閉検知センサ1cは一例として透過型のセンサであり、図1に示した便蓋1aの開閉に応じて回動するスリット円盤のスリットを透過型のセンサにより検出して開閉検知信号S1cを制御ユニット8に出力する。この開閉検知信号S1cは、便蓋1aの開閉を示す信号である。
また、制御ユニット8には、モータ駆動部9a及びモータ駆動部9bが接続される。モータ駆動部9aは、制御ユニット8からモータ駆動データD2cを入力し、モータ駆動データD2cをデコードしてモータ制御信号S2cを生成する。モータ駆動部9aには開閉用モータ2cが接続される。モータ駆動部9aは、モータ制御信号S2cに基づいて開閉用モータ2cを駆動する。開閉用モータ2cが回動すると、図3Bに示した開閉蓋2bが回動して、図3Aの開口部2gを開閉する。これにより、便器本体1から粉砕装置2に流入するトイレットペーパ、汚物及び洗浄水を通過又は停止する。
モータ駆動部9bは、制御ユニット8からモータ駆動データD2sを入力し、モータ駆動データD2sをデコードしてモータ制御信号S2sを生成する。モータ駆動部9bには破砕用モータ2sが接続される。モータ駆動部9bは、モータ制御信号S2sに基づいて破砕用モータ2sを駆動する。破砕用モータ2sが回転すると、図8に示した回転臼2i及び回転刃2r、図10に示した回転臼2i及び回転刃21rが回転して汚物を粉砕する。
また、制御ユニット8には、圧送タンク開閉電磁弁3a、給水用電磁弁4a、圧縮空気吸入用電磁弁3c、排出用電磁弁3b及びエアーコンプレッサー6が接続される。
圧送タンク開閉電磁弁3aは、制御ユニット8から制御信号S3aを入力し、この制御信号S3aに基づいて開閉する。圧送タンク開閉電磁弁3aを開くと、粉砕装置2の内部に在る流動化体の汚物が圧送タンク3に流れ込む。
給水用電磁弁4aは、制御ユニット8から制御信号S4aを入力し、この制御信号S4aに基づいて開閉する。給水用電磁弁4aを開くと、給水タンク4に貯えられた洗浄水が給水管を通じて便器本体1の内部に流れ込む。
圧縮空気吸入用電磁弁3cは、制御ユニット8から制御信号S3cを入力し、この制御信号S3cに基づいて開閉する。圧縮空気吸入用電磁弁3cを開くと、エアーコンプレッサー6からエアー管3iを通じて圧縮空気が圧送タンク3に供給される。
排出用電磁弁3bは、制御ユニット8から制御信号S3bを入力し、この制御信号S3bに基づいて開閉する。排出用電磁弁3bを開くと、圧送タンク3内の流動体化された汚物が排出管3fを通じて備え付けトイレ5に排出される。エアーコンプレッサー6は、制御ユニット8から制御信号S6を入力し、この制御信号S6に基づいて空気を圧縮する。
続いて、介護用トイレ装置100の制御系の動作について説明する。図16は、介護用トイレ装置100の制御系の動作例を示すタイミングチャートである。介護用トイレ装置100は、図16に示す「CLK」の時刻に基づいて動作する。この例では、介護用トイレ装置100の動作開始前の待機状態において、全ての電磁弁が閉じた状態である。また、この待機状態において便蓋1aは閉じている。使用者によりこの便蓋1aが開かれると制御系の動作が開始する。
図16に示す時刻t1で、図15に示した便蓋開閉検知センサ1cは、便蓋1aが開いたこと検出して、便蓋1aが開いたことを示す開閉検知信号S1cを制御ユニット8に出力する。また、図3Bに示した開閉蓋2bを回動させて図3Aの開口部2gを開く。これにより、便器本体1から粉砕装置2にトイレットペーパ、汚物及び洗浄水が流入可能な状態になる。
時刻t2で、給水用電磁弁4aを開いて給水タンク4に貯えられた洗浄水を給水管から便器本体1を経て粉砕装置2の内部に流し込んで溜め水とする。時刻t3で、給水用電磁弁4aを閉じて給水タンク4の洗浄水を粉砕装置2へ供給することを停止する。これにより、粉砕装置2の内部に洗浄水が一定量溜まる。この時に供給される洗浄水は、便器本体1の内側や粉砕装置2の内部を湿らせる。これにより、排泄された汚物が、便器本体1や粉砕装置2の内部に付着し難くなる。使用者は、この状態で用便を済ませる。排泄された汚物や使用済みのトイレットペーパは便器本体1の内部や粉砕装置2の内部に溜められることになる。
使用者の用便が済み、便蓋1aの閉じ操作がされたことにより、時刻t4で、図15に示した便蓋開閉検知センサ1cは、便蓋1aが閉じたこと検出して、便蓋1aが閉じたことを示す開閉検知信号S1cを制御ユニット8に出力する。便蓋1aが閉じたことにより、給水用電磁弁4aを開いて給水タンク4の洗浄水を給水管から便器本体1及び粉砕装置2の内部に流し込む。
時刻t5で、給水用電磁弁4aを閉じて給水タンク4の洗浄水を便器本体1、粉砕装置2の内部に流し込むことを停止する。これにより、便器本体1の内部に溜められている汚物や使用済みのトイレットペーパを粉砕装置2の内部へと流し込む。図3Bに示した開閉蓋2bを回動させて図3Aの開口部2gを閉じる。粉砕装置2の内部に汚物、使用済みのトイレットペーパ及び洗浄水が貯まった状態で、図8に示した回転臼2i及び回転刃2rを回転させて洗浄水と共にトイレットペーパ及び汚物を細かく擂り潰して流動体化する。例えば、荒破砕用の回転刃2rが、トイレットペーパ及び汚物を荒く破砕する。そして、図9に示す固定臼2hと回転臼2iとが相対回転をすることで、固定臼2hと回転臼2iの間隙に入り込んだトイレットペーパ及び汚物を細かく擂り潰して流動体化する。
時刻t6で、圧送タンク開閉電磁弁3aを開き、粉砕装置2の内部の流動体化された汚物を圧送タンク3に流し込む。この例では、図9に示したように、粉砕装置2の回転臼2iを低速回転させて回転臼2iの攪拌翼20g,20gにより、流動体化された汚物を連結管3gから圧送タンク3に送り出す。
時刻t7で、圧送タンク開閉電磁弁3aを閉じる。また、エアーコンプレッサー6を起動する。時刻t8で、圧縮空気吸入用電磁弁3cを開いて、エアーコンプレッサー6からエアー管3iを通じて圧縮空気を圧送タンク3に供給する。時刻t9で、排出用電磁弁3bを開いて、圧送タンク3内の流動体化された汚物を圧縮空気により排出管3fから備え付けトイレ5に排出する。
時刻t11で、エアーコンプレッサー6を停止すると共に、圧縮空気吸入用電磁弁3cを閉じる。これにより、エアーコンプレッサー6から圧送タンク3への圧縮空気の供給が停止する。また、排出用電磁弁3bを閉じて、圧送タンク3から備え付けトイレ5への排出を停止する。このとき、圧送タンク3の中の流動体化された全ての汚物は、備え付けトイレ5へ排出されている。
一方時刻t7で、洗浄動作を開始する。粉砕装置2内の流動体化された汚物を送り出す回転臼2iの回転を停止すると共に圧送タンク開閉電磁弁3aを閉じる。また、図3Bに示した開閉蓋2bを回動させて図3Aの開口部2gを開くと共に、給水用電磁弁4aを開いて給水タンク4の洗浄水を粉砕装置2の内部に流し込む。
時刻t10で、図3Bに示した開閉蓋2bを回動させて図3Aの開口部2gを閉じると共に、給水用電磁弁4aを閉じて給水タンク4から粉砕装置2への洗浄水の供給を停止する。このとき、粉砕装置2の収容容器22nには一定量の洗浄水が貯まっている。この状態で、図8に示した回転臼2i及び回転刃2rを回転させて粉砕装置2の内部を洗浄する。
時刻t12で、粉砕装置2の回転臼2i及び回転刃2rを停止すると共に、圧送タンク開閉電磁弁3aを開いて粉砕装置2内の洗浄後の濯ぎ水を圧送タンク3に流し込む。時刻t13で、圧送タンク開閉電磁弁3aを閉じて、エアーコンプレッサー6を起動する。
時刻t14で、圧縮空気吸入用電磁弁3cを開いてエアーコンプレッサー6からエアー管3iを通じて圧縮空気を圧送タンク3に供給する。また、排出用電磁弁3bを開いて、圧送タンク3内の洗浄後の濯ぎ水を排出管3fから備え付けトイレ5に排出する。
時刻t15で、エアーコンプレッサー6を停止すると共に、圧縮空気吸入用電磁弁3cを閉じる。また、排出用電磁弁3bを閉じて圧送タンク3から備え付けトイレ5への濯ぎ水の排出を停止する。このとき、圧送タンク3内の濯ぎ水は全てトイレ5へ排出されている。これで、介護用トイレ装置100における一連の汚物処理が終了する。
続いて、粉砕装置2による汚物を粉砕する処理について詳細に説明する。図17は、粉砕装置2の回転臼2i及び回転刃2rを回転させる破砕用モータ2sの駆動例を示すタイミングチャートである。図17に示す時間Tは、図16に示す粉砕装置2における粉砕処理の時間T、すなわち時刻t5〜時刻t7の間を示している。図17に示す粉砕装置2における粉砕処理の時間Tにおいては、ほぐし粉砕処理(時間T1)、本粉砕処理(時間T2)及び排出粉砕処理(時間T3)が実施される。
図18Aは、図17の時間T1の間に実施されるほぐし粉砕処理一例を示すタイミングチャートである。時間T1の間に実施されるほぐし粉砕処理は、破砕用モータ2sを交互に正転及び逆転させて、粉砕装置2の回転臼2i及び回転刃2rを正転及び逆転させる。この例で、破砕用モータ2sにはDCモータを用い、流す電流の方向で正転又は逆転させる。
この例では、時間T1は10秒程度を想定している。図18Aに示すように、破砕用モータ2sを0.5秒間正転させ、次に0.5秒間停止させてその後0.5秒間逆転させて0.5秒間停止させる動作を1サイクルとして、正転、停止、逆転、停止、正転、・・・とこれらの動作を繰り返し、10秒間に5サイクル作動する。これにより、粉砕装置2の内部の水流の向きが交互に正反対に変わる。従って、粉砕装置2の中の汚物をほぐすことができる。このように水流の向きが交互に正反対に変わるので、特にトイレットペーパと洗浄水とを素早く馴染ませることができ、トイレットペーパの繊維をほぐして水溶化することが好適に行われる。
図18Bは、図17の時間T2の間に実施される本粉砕処理の一例を示すタイミングチャートである。時間T2の間に実施される本粉砕処理は、破砕用モータ2sの時間幅を変えて交互に正転及び逆転させて、粉砕装置2の回転臼2i及び回転刃2rを正転及び逆転させる。
この例では、時間T1は96秒程度を想定している。図18Bに示すように、破砕用モータ2sを10秒間正転させ、次に0.5秒間停止させてその後5秒間逆転させて0.5秒間停止させる動作を1サイクルとして、正転、停止、逆転、停止、正転、・・・とこれらの動作を96秒間に6サイクル繰り返している。これにより、図9に示す荒破砕用の回転刃2rが、トイレットペーパ及び汚物を荒く破砕する。そして、図9に示す固定臼2hと回転臼2iとが相対回転をすることで、固定臼2hと回転臼2iの間隙に入り込んだトイレットペーパ及び汚物を細かく擂り潰して流動体化する。
図18Cは、図17の時間T3の間に実施される排出粉砕処理一例を示すタイミングチャートである。時間T3の間に実施される排出粉砕処理は、破砕用モータ2sを低速正回転(本粉砕処理の回転速度の1/2〜1/4の回転速度)させて、粉砕装置2の回転臼2i及び回転刃2rを回転させる。
この例では、時間T3は30秒程度を想定している。図18Cに示すように、破砕用モータ2sを30秒間だけ低速正回転させる。これにより、図9に示した回転臼2iの攪拌翼20g,20gによって、流動体化された汚物を連結管3gから圧送タンク3に送り出す。
なお、図9に示す収容容器22nの底部は、弁3jの側へ向かって傾斜している。この傾斜により、流動体化された汚物が自然と弁3jの側へ流れ込んで圧送タンク3へ流下する。このため、弁3jの開弁によって流動体化された汚物を圧送タンク3へ流下する際、必ずしも回転臼2iの攪拌翼20g,20gの低速回転により、流動体化された汚物を送り出す必要はない。しかしながら、回転臼2iの攪拌翼20g,20gにより流動体化された汚物を送り出すことで、流動体化された汚物を圧送タンク3へ流下する時間を時間T3(30秒程度)に短縮できる。
このようにして、図16及び図17に示した時間Tにおいて、粉砕装置2は、破砕用モータ2sを駆動してトイレットペーパ及び汚物を細かく擂り潰して流動体化して圧送タンク3へ排出する。なお、図17に示す時間T4,T5は処理のインターバルであり、時間T4は0.5秒〜1.0秒程度を想定し、時間T5は1.0秒程度を想定している。
このように、本発明に係る介護用トイレ装置100によれば、粉砕装置2における回転臼2iの凹凸面22qと、この凹凸面22qに対面して配置された固定臼2hの凹凸面22pにより、汚物を擂り潰すものである。
これにより、汚物を細かく粉砕できると共に汚物を流動性の高い状態とすることができる。従って、汚物を排出する排出管3fの径を細くできるので、室内の美観を損ねることがない。また、細い排出管3fであるので排出管3fを曲げることができ、排出管3fの配設を容易にできる。もちろん、排出管3fが詰まることを防止できる。
また、本発明に係る介護用トイレ装置100によれば、洗浄水と共に汚物を粉砕する粉砕装置2と、この粉砕装置2により粉砕された流動体化された汚物が流入すると共に圧縮空気を充填可能な圧送タンク3を備えるものである。
この構成によって、汚物を粉砕して流動体化する粉砕機構とこの流動体化された汚物を圧送する機構とを分離でき、各機構が粉砕処理又は圧送処理に特化することができる。これにより、粉砕装置2と圧送タンク3の機構を単純化できると共に精度良く流動体化された汚物を排出できるようになる。