JP2015120175A - 780MPa級高張力鋼のサブマージアーク溶接方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 溶接欠陥の無い良好なビード形状および溶接作業性および優れた機械性能の溶接金属が得られる780MPa級高張力鋼のサブマージアーク溶接方法を提供する。【解決手段】 780MPa級高張力鋼のサブマージアーク溶接方法において、質量%で、SiO2:10〜20%、CaO:8〜20%、MgO:20〜30%、Al2O3:21〜35%、CaF2:10〜15%、CaCO3およびMgCO3のCO2換算:2〜7%、Si:0.3〜0.7%を含有する焼成型フラックスと、質量%で、C:0.03〜0.10%、Si:0.1〜0.3%、Mn:1.5〜3.5%、Ni:2.0〜3.0%、Cr:0.9〜1.5%、Mo:0.3〜1.5%、Ti:0.05〜0.15%を含有し、炭素当量(Ceq)が0.35〜0.55からなり、残部Feおよび不可避不純物からなるソリッドワイヤとを組合せて溶接することを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、海洋構造部、低温用機器、水圧鉄管、橋梁などの溶接に使用される780MPa級高張力鋼の多層溶接用サブマージアーク溶接方法に関し溶接作業性が良好で溶接欠陥が無く健全で優れた機械性能の溶接金属が得られる780MPa級高張力鋼のサブマージアーク溶接方法に関する。
サブマージアーク溶接は、高能率で良好な溶接作業性および優れた機械性能を有する溶接金属が得られることから、造船、鉄骨、造管、橋梁、車両など幅広い分野で適用されている。
近年、エネルギー産業の発展に伴い、鋼材の高強度化および高靭性化、また構造物の大型化に伴う板厚の極厚化などが検討されており、品質および生産性の面からサブマージアーク溶接の適用比率が年々増加している。このような高張力鋼のサブマージアーク溶接では、溶接施工における生産性の向上や安全性、耐久性の確保のため、更なる品質向上が求められており、その中でも溶接の高能率化と鋼材特性に見合った溶接金属の強度および靭性が要望されている。
サブマージアーク溶接は、被覆アーク溶接やガスシールドアーク溶接に比べ、溶接入熱量が多く、母材希釈率が大きいため、溶接作業性や溶接金属の性能は、フラックスとワイヤの成分組成でほぼ決定される。高張力鋼のサブマージアーク溶接では、鋼材に見合った溶接金属の強度および靭性を確保するため、溶接金属の化学成分を自由に調整することができる焼成型フラックスが適用されている。しかし、高張力鋼の溶接においては焼成型フラックスに合金成分を添加するだけでは溶接金属の高強度化および高靭性を得ることはできない。そのため溶接金属の適正な強度および靭性を得るためには、組合せるソリッドワイヤにSi、Mn等の合金成分を含有させるとともに、フラックスおよびソリッドワイヤそれぞれの化学成分を併せて考慮し、最適な組合せを選定する必要がある。
これらの点を考慮し良好な溶接作業性および溶接金属機械性能が得られる高張力鋼のサブマージアーク溶接方法については従来から種々の技術開発が行われてきた。
例えば、特許文献1には、焼成型フラックス組成とワイヤ組成を適正化することにより0.2%耐力が690MPa以上、引張強さが780MPa以上、−60℃における吸収エネルギーが69J以上の優れた低温靭性を有する溶接金属が得られるサブマージアーク溶接用焼成型フラックスおよびワイヤが開示されている。しかし、特許文献1に記載の焼成型フラックスにはAlが少量しか添加されていないため、良好なスラグ剥離性およびビード外観を得ることはできない。また、組合せたソリッドワイヤのCが高いので高温割れが発生しやすいという問題がある。
また、特許文献2には、ソリッドワイヤと焼成型フラックスの組合せで得られる溶接金属の成分を適正化することで、溶接金属の強度と安定した靭性が得られ、溶接時の作業性も良好で溶接欠陥のないサブマージアーク溶接で多層盛溶接される溶接金属が開示されている。しかし、特許文献2に記載の焼成型フラックスは、MgOが高いのでスラグ剥離性が不良となるという問題がある。
また、特許文献3には、高張力鋼のサブマージアーク溶接方法に関し焼成型フラックスの成分とワイヤの炭素当量を規定することにより高靭性で良好な強度を有する溶接金属が得られることが開示されている。しかし、特許文献3に記載の焼成型フラックスはCaFが高いのでビード形状が不良となるという問題がある。
さらに、特許文献4には、780MPa級高張力鋼のサブマージアーク溶接に関し、焼成型フラックスのSiO、CaF、金属炭酸塩中のCOを適正範囲添加し、さらに合金元素(Si、Mn、Al、Ti)規定し、また組合せるソリッドワイヤのSi、Nを低く、炭素当量(Ceq)が適正範囲にあるワイヤを組合せることによって高靭性で良好な強度を有する溶接金属が得られる技術が開示されている。しかし、特許文献4に記載の焼成型フラックスは、Siが多くスラグ巻込み欠陥が発生しやすくなるという問題があった。
特開2013−39604号公報 特開2007−260696号公報 特開平8−257789号公報 特開平5−212583号公報
本発明は、引張強さが780MPa以上の高張力鋼のサブマージアーク溶接で、溶接欠陥の無い良好なビード形状および溶接作業性および優れた機械性能の溶接金属が得られる780MPa級高張力鋼のサブマージアーク溶接方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために、焼成型フラックスの化学組成および組合せるソリッドワイヤの化学成分について種々試作して検討した。その結果、焼成型フラックス中の合金元素量の限定とフラックスの粒度を適性化することによってスラグ巻込みのない良好なビード形状が得られることを見出した。また、組合せるソリッドワイヤの化学成分も限定することで引張強さ780MPa以上の高強度で良好な低温靭性の溶接金属を得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明の要旨は、焼成型フラックスとソリッドワイヤとを組合せて溶接する780MPa級高張力鋼のサブマージアーク溶接方法において、焼成型フラックス全質量に対する質量%で、SiO:10〜20%、CaO:8〜20%、MgO:20〜30%、Al:21〜35%、CaF:10〜15%、CaCOをおよびMgCOの1種または2種のCO換算:2〜7%、Si:0.3〜0.7%を含有し、その他はアルカリ金属酸化物および不可避不純物からなる焼成型フラックスと、ソリッドワイヤ全質量に対する質量%で、C:0.03〜0.10%、Si:0.1〜0.3%、Mn:1.5〜3.5%、Ni:2.0〜3.0%、Cr:0.9〜1.5%、Mo:0.3〜1.5%、Ti:0.05〜0.15%を含有し、下記(1)式で示すCeqが0.35〜0.55、Al:0.05%以下、P:0.015%以下、S:0.011%以下を含有し、残部はFeおよび不可避不純物からなり、ワイヤ表面に銅めっきを有するソリッドワイヤと組合せて溶接することを特徴とする780MPa級高張力鋼のサブマージアーク溶接方法。
また、焼成型フラックスの粒度は、1.4mmを超える粒度が焼成型フラックス全質量に対して15質量%以下であることも特徴とする780MPa級高張力鋼のサブマージアーク溶接方法にある。
Ceq=C+0.028Si+0.06Mn+0.04Ni+0.11Cr+0.14Mo ・・・(1)式
本発明の780MPa級高張力鋼のサブマージアーク溶接方法によれば、引張強さが780MPa以上の高張力鋼のサブマージアーク溶接において、溶接欠陥の無い良好なビード形状および溶接作業性および優れた機械性能の溶接金属が得られるなど、高能率に高品質な溶接部を提供することが可能となる。
本発明者らは、780MPa級高張力鋼のサブマージアーク溶接方法において、溶接作業性が良好で溶接欠陥が無く健全で優れた機械性能の溶接金属を得るため焼成型フラックスの化学組成と粒度構成および組合せるソリッドワイヤの化学成分などについて種々検討を行った。
その結果、アークの安定性には焼成型フラックスのAlおよび焼成型フラックス粒度の適量化、ビード外観およびド形状にはSiO、CaO、MgO、CaFおよび焼成型フラックス粒度の適量化、さらにスラグ剥離性にはAl、SiOを適量含有することによってこれらの溶接作業性が良好になることを見出した。
また、溶接金属の機械性能を維持するためには焼成型フラックスに脱酸剤、合金剤等を添加し、溶接金属の酸素量を低く抑え、焼き入れ性を高める必要がある。しかし、焼成型フラックス中にSi、Mn、Al等の合金剤を添加するとスラグ巻込みが発生しやすくなる。そこで、上記の課題を改善するため組合せるソリッドワイヤの合金成分およびCeqを適量含有することで効果があることを見出して、本発明を完成した。
まず、以下に本発明に用いる焼成型フラックス成分組成の限定理由について説明する。なお、以下成分についての%は、焼成型フラックス全質量に対する質量%を示す。
[SiO:10〜20%]
SiOは、スラグの粘性を増加させ、良好な溶接ビードを形成するための重要な成分である。また、スラグをガラス質の性状にして、砕けやすく剥離性の良好なスラグが得られる。SiOが10%未満では、ビード趾端部のなじみが悪くなり、スラグ剥離性が劣化し、また特に高速度の溶接においてはアンダーカットも生じする。一方、SiOが20%を超えると、溶接金属の酸素量が増加して靭性が劣化する。したがって、SiOは10〜20%とする。
[CaO:8〜20%]
CaOは、スラグの融点および流動性を調整するために重要な成分である。CaOが8%未満では、ビード趾端部のなじみが悪くビード外観が不良となり、高速度の溶接ではアンダーカットも生じる。一方、CaOが20%を超えると、スラグ流動性が不良となり、ビード高さが不均一でスラグ剥離性も不良になる。したがって、CaOは8〜20%とした。
なお、CaOは、CaCOのCaO分を含む。
[MgO:20〜30%]
MgOは、スラグの耐火性および塩基度を向上させる効果がある。MgOが20%未満では、フラックスの塩基度が低くなり、溶接金属中の酸素量が増加して靭性が劣化する。一方、MgOが30%を超えると、フラックスの軟化溶融点が高くなり、ビード表面に突起物の発生や波目が粗くなり、スラグ剥離性およびビード外観が不良となる。したがって、MgOは20〜30%とする。
なお、MgOは、MgCOのMgO分を含む。
[Al:21〜35%]
Alは、良好なスラグ剥離性およびビード外観を得るためには極めて重要な成分である。また、アークの安定性を良好にする効果もある。Alが21%未満では、アークが不安定で、スラグ剥離性およびビード外観が不良となる。一方、Alが35%を超えると、凸ビードとなりスラグ剥離性も不良になる。したがって、Alは21〜35%とする。
[CaF:10〜15%]
CaFは、靭性改善に効果があるが、融点が低いため過多になるとビードの平滑性が損なわれる。CaFが10%未満では、靭性改善の効果がない。一方、CaFが15%を超えると、ビード形状が不良となる。したがって、CaFは10〜15%とする。
[CaCOおよびMgCOの1種または2種のCO換算:2〜7%]
CaCOやMgCOからのCO換算は、溶接金属の靭性向上に重要な元素であり、溶接中にCaCOやMgCOが分解してCOまたはCOガスがアーク雰囲気中の窒素分圧を下げ、溶接金属の窒素量を低減する効果がある。CaCOおよびMgCOの1種または2種のCO換算が2%未満では、溶接金属中の窒素量が高くなり靭性が低下する。一方、CaCOおよびMgCOの1種または2種のCO換算が7%を超えると、溶接ビード表面にポックマークやピット、アンダーカットなどの溶接欠陥が発生する。したがって、CaCOおよびMgCOの1種または2種のCO換算は2〜7%とする。
[Si:0.3〜0.7%]
金属SiおよびFe−Si、Fe−Si−Mn等のフェロアロイを原料とするSiは、脱酸元素であり溶接金属の酸素量を低減する。Siが0.3%未満では、脱酸効果が得られずビード表面にポックマークが生じるようになる。一方、Siが0.7%を超えると、スラグ巻き込みを生じるようになる。したがって、Siは0.3〜0.7%とする。
焼成型フラックスのその他の成分は、水ガラスからのKOおよびNaO等のアルカリ金属酸化物を4%以下、P、S等の不可避不純物であり、PおよびSは共に低融点の化合物を生成して靭性を低下させるので、できるだけ低いことが好ましい。
なお、焼成型フラックスの粒度は、特に1.4mmを超える粒度が焼成型フラックス全質量に対して15質量%以下であることが好ましい。焼成型フラックスの1.4mmを超える粒度が15質量%を超えると、ビードが広がらずビード形状が不良となるからである。
次に、前記焼成型フラックスと組合せるソリッドワイヤの成分について述べる。なお、以下成分についての%は、ソリッドワイヤ全質量に対する質量%を示す。
[C:0.03〜0.10%]
Cは、固溶強化により溶接金属の強度を確保する重要な元素であると共に、アーク中の酸素と反応しアーク雰囲気および溶接金属の酸素量を低減する効果がある。Cが0.03%未満では、脱酸および強度確保の効果が不十分であり、靭性も低下する。一方、Cが0.10%を超えると、溶接金属がマルテンサイト主体の組織となり、強度が高くなり靭性が低下する。また、高温割れが生じやすくなる。したがって、Cは0.03〜0.10%とする。
[Si:0.1〜0.3%]
Siは、溶接金属の酸素量を低減する効果があり靭性向上に重要な元素である。Siが0.1%未満であると、溶接金属の靭性が低下する。一方、Siが0.3%を超えると、溶接金属のマトリックスを固溶強化するが、フェライト結晶粒を粗大化させるため著しく靭性が低下する。したがって、Siは0.1〜0.3%とする。
[Mn:1.5〜3.5%]
Mnは、溶接金属の強度を高めるのに有効な成分である。Mnが1.5%未満では、強度が低くなる。一方、Mnが3.5%を超えると、溶接金属の強度が高くなり靭性が劣化する。したがって、Mnは1.5〜3.5%とする。
[Ni:2.0〜3.0%]
Niは、溶接金属の強度および靭性確保を目的とする。Niが2.0%未満では、溶接金属の強度および靭性が低下する。一方、Niが3.0%を超えると、溶接金属のオーステナイト粒径を粗大化させて靭性を低下させる。したがって、Niは2.0〜3.0%とする。
[Cr:0.5〜1.5%]
Crは、溶接金属中に歩留り強度の確保と靭性を安定させる効果がある。Crが0.5%未満では、安定した靭性は得られない。一方、Crが1.5%を超えると、溶接金属の強度が過剰となり靱性が劣化する。したがって、Crは0.5〜1.5%とする。
[Mo:0.3〜1.5%]
Moは、溶接金属の強度確保を目的とする。Moが0.3%未満では、溶接金属の強度が低くなる。一方、Moが1.5%を超えると、溶接金属中に金属間化合物を生成して溶接金属を著しく硬化し靭性が低下する。したがって、Moは0.3〜1.5%とする。
[Ti:0.05〜0.15%]
Tiは、溶接金属の靭性を向上する。Tiが0.05%未満であると、溶接金属の靭性が低下する。一方、Tiが0.15%を超えると、溶接金属の固溶Tiが多くなって靭性が低下する。したがって、Tiは0.05〜0.15%とする。
[Ceq:0.35〜0.55]
Ceq(炭素当量)は780MPa鋼用として適正な強度を確保するため下記(1)式で示すワイヤのCeqが0.35〜0.55であることが必要である。Ceqが0.35未満では、目標の強度が得られない。一方、Ceqが0.55を超えると、強度が高くなり高温割れが生じるようになる。したがって、ワイヤのCeqは0.35〜0.55とする。
Ceq=C+0.028Si+0.06Mn+0.04Ni+0.11Cr+0.14Mo ・・・(1)式
[Al:0.05%以下、P:0.015%以下、S:0.015%以下]
Al、PおよびSは共に低融点の化合物を生成して靭性を低下させるため、できるだけ低いことが望ましい。したがって、Alは0.05%以下、Pは0.015%以下、Sは0.015%以下とする。
なお、ソリッドワイヤ成分のその他は、Feおよび不可避不純物である。そして、ソリッドワイヤの表面には銅めっきが施されている。銅めっきは、常法通り行うことができ、製造時の伸線性の向上、耐錆性向上、溶接時給電安定性の向上や溶接時ワイヤ表面滑り性(送給性)の向上等を目的とするものである。
以下、実施例により本発明の効果をさらに詳細に説明する。
表1に示す各種成分の焼成型フラックスと表2に示すソリッドワイヤを試作し、これらを組み合せて溶接作業性および機械性能評価をするため表3に示す化学成分からなる、板厚25mmの780MPa級鋼板を、開先角度を30°、ルート間隔を13mmの開先形状に加工し、裏当金を当てて表4に示す溶接条件で多層盛溶接試験を実施した。
なお、表1に示す焼成型フラックスは各種鉱物原材料を配合、混合した後、水ガラスを固着剤として造粒した後、400〜550℃で2時間焼成して1.4×0.15mmに整粒した。また、表2に示すワイヤは原線を縮径、焼鈍、めっきして素線とし、それらの素線を4.0mmまで伸線して用いた。
Figure 2015120175
Figure 2015120175
Figure 2015120175
Figure 2015120175
表5に各種試作焼成型フラックスと各種試作ソリッドワイヤの組合せを示す。各試験の評価は、多層盛溶接時のビード外観、ビード形状、スラグ剥離性およびX線透過試験による溶接欠陥の有無を調査し、さらに溶接金属の引張強さおよび靭性を調査した。
溶接金属の機械性能評価は、溶接試験体の鋼板厚板の中央を中心から衝撃試験片(JIS Z 2242 Vノッチ試験片)および引張試験片(JIS Z 2241 10号)を採取して機械試験を実施した。靭性の評価は−60℃における衝撃試験により行い、各々繰返し数3本の平均より評価した。なお、衝撃試験の吸収エネルギーは80J以上を良好とした。また、引張強さの評価は780〜950MPaを良好とした。これらの調査結果も表5にまとめて示す。
Figure 2015120175
表5中試験記号T1〜T13が本発明例、試験記号T14〜T26は比較例である。 本発明例である試験記号T1〜T13は、フラックス記号F1〜F7および組合せたワイヤ記号W1〜W13が本発明の構成用件を満たしているので、アークが安定し、ビード外観、ビード形状およびスラグ剥離性等の溶接作業性が良好で、溶接部に欠陥も無く、溶接金属の引張強さおよび吸収エネルギーも良好であり極めて満足な結果(総合評価○)であった。
なお、本発明例の試験記号T5は、フラックス記号F5の1.4mmを超える粒度が多いので、ビード形状がやや乱れたが、溶接作業性としては問題となるほどのものではなかった(総合評価○)。
比較例中試験記号T14は、フラックス記号F8のMgOが少ないので溶接金属の吸収エネルギーが低値であった。また、SiOが少ないのでビード形状およびスラグ剥離性が不良であった。さらに、CaCOのCO換算が多いのでビード表面にポックマークが生じてビード外観が不良であった。
試験記号T15は、フラックス記号F12のMgOが多いのでビード表面の波目が粗くなりスラグ剥離性が不良で、スラグ巻き込み欠陥も生じた。また、Siが少ないのでビード表面にポックマークが生じビード外観が不良でピットも発生した。さらに、組合せたワイヤ記号W14のSiが少ないので溶接金属の吸収エネルギーが低値であった。
試験記号T16は、フラックス記号F10のCaOが少ないのでビード趾端部のなじみが悪くビード外観が不良であった。また、CaCOのCO換算が少ないので溶接金属の吸収エネルギーが低値であった。さらに、組合せたワイヤ記号W15のCが多いのでクレータ部に高温割れが生じ、溶接金属の引張強さが高かった。
試験記号T17は、フラックス記号F11のCaOが多いのでビード高さが不均一でビード外観およびスラグ剥離性が不良であった。また、CaFが少ないので溶接金属の吸収エネルギーが低値であった。さらに、組合せたワイヤ記号W16のMoが少ないので溶接金属の引張強さが低かった。
試験記号T18は、ワイヤ記号W17のMnが多いので溶接金属の引張強さが高く吸収エネルギーが低値であった。
試験記号T19は、ワイヤ記号W18のMnが少ないので溶接金属の引張強さが低かった。また、Niが少ないので溶接金属の吸収エネルギーが低値であった。
試験記号T20は、フラックス記号F13のAlが少ないのでアークが不安定でスラグ剥離性およびビード外観が不良であった。また、CaFが多いのでビード形状が不良であった。さらに、組合せたワイヤ記号W19のCrが少ないので溶接金属の引張強さが低く吸収エネルギーも低値であった。
試験記号T21は、ワイヤ記号W20のCrが多いので、試験記号T22は、ワイヤ記号W21のMoが多いので、いずれも溶接金属の引張強さが高く吸収エネルギーが低値であった。
試験記号T23は、ワイヤ記号W22のCが少ないので溶接金属の引張強さが低く吸収エネルギーも低値であった。
試験記号T24は、ワイヤ記号W23のSiが多いので溶接金属の吸収エネルギーが低値であった。
試験記号T25は、フラックス記号F9のSiOが多いので溶接金属の吸収エネルギーが低値であった。また、Alが多いのでビード形状およびスラグ剥離性が不良であった。さらに、組合せたワイヤ記号W24のCeqが低いので溶接金属の引張強さが低かった。
試験記号T26は、ワイヤ記号W25のNiが多いので溶接金属の吸収エネルギーが低値であった。また、Ceqが高いので引張強さが高く、クレータ部に高温割れが生じた。
試験記号T27は、ワイヤ記号W26のTiが少ないので溶接金属の吸収エネルギーが低値であった。また、組合せたフラックス記号F5の1.4mmを超える粒度が多いのでビード形状がやや乱れた。
試験記号T28は、ワイヤ記号W27のTiが多いので溶接金属の吸収エネルギーが低値であった。
以上のように、比較例は、溶接作業性であるアークが安定性、ビード外観、ビード形状およびスラグ剥離性等のいずれかが不良で、溶接金属の機械性能である溶接金属の引張強さおよび吸収エネルギーも劣るものがあり、総合評価が劣っていた(総合評価×)。

Claims (2)

  1. 焼成型フラックスとソリッドワイヤとを組合せて溶接する780MPa級高張力鋼のサブマージアーク溶接方法において、
    焼成型フラックス全質量に対する質量%で、
    SiO:10〜20%、
    CaO:8〜20%、
    MgO:20〜30%、
    Al:21〜35%、
    CaF:10〜15%、
    CaCOおよびMgCOの1種または2種のCO換算:2〜7%、
    Si:0.3〜0.7%を含有し、
    その他はアルカリ金属酸化物および不可避不純物からなる焼成型フラックスと、
    ソリッドワイヤ全質量に対する質量%で、
    C:0.03〜0.10%、
    Si:0.1〜0.3%、
    Mn:1.5〜3.5%、
    Ni:2.0〜3.0%、
    Cr:0.5〜1.5%、
    Mo:0.3〜1.5%、
    Ti:0.05〜0.15%を含有し、
    下記(1)式で示すCeqが0.35〜0.55、
    Al:0.05%以下、
    P:0.015%以下、
    S:0.015%以下、
    を含有し、残部はFeおよび不可避不純物からなり、ワイヤ表面に銅めっきを有するソリッドワイヤとを組合せて溶接することを特徴とする780MPa級高張力鋼のサブマージアーク溶接方法。
    Ceq=C+0.028Si+0.06Mn+0.04Ni+0.11Cr+0.14Mo ・・・(1)式
    (但し、それぞれの成分は、ソリッドワイヤ全質量に対する質量%を示す。)
  2. 前記焼成型フラックスの粒度は、1.4mmを超える粒度が焼成型フラックス全質量に対して15質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の780MPa級高張力鋼のサブマージアーク溶接方法。
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