本発明の実施の形態を、添付図面に例示した本発明の実施例に基づいて以下に具体的に説明する。
図1,図2には、作業車両としての塵芥収集車Vが示され、これは、ベース車両Vbと、そのベース車両Vbの組立完成後にその車体F上に架装される塵芥収集作業用の架装物Kとから構成される。そして、ベース車両Vbには車両側制御装置UVが、また架装物Kには架装物側制御装置UKがそれぞれ配備される。
図3,図4も併せて参照して、ベース車両Vbの車体Fには、車輪Wに駆動力を付与可能な走行用エンジンEと、バッテリBと、そのバッテリBにインバータ12を介して接続されてバッテリBからの電力で作動する電動モータMと、それらエンジンE及び電動モータMを含む駆動系としての車輪駆動系DからエンジンE又は電動モータMの動力を選択的に取出可能な動力選択取出機構PSと、それらエンジンE、電動モータM及び動力選択取出機構PSを制御可能な、マイクロコンピュータを主要部とする前記車両側制御装置UVとが少なくとも搭載されている。
前記車輪駆動系Dは、エンジンEの出力側に変速機10を介して車輪即ち後輪Wが連動、連結されて成るものであり、その変速機10の入力側とエンジンEの出力側との間には、その間を断接する電磁クラッチ11が設けられ、またそのクラッチ11と変速機10との間には、電動モータMのモータ軸(図示せず)が直列に介装される。
そして、車両側制御装置UVにより、電磁クラッチ11を接続した状態で電動モータMを非通電にしてモータ軸を空回りさせれば、エンジンEの出力は、電磁クラッチ11、モータ軸及び変速機10を経て車輪W側に伝動されるから、車輪WをエンジンEで走行駆動することができる。一方、電磁クラッチ11を遮断した状態で電動モータMにバッテリBから通電すれば、その電動モータMの出力は変速機10を経て車輪W側に伝動されるため、車輪Wを電動モータMで走行駆動することができる。このように塵芥収集車Vは、エンジンEと電動モータMの何れを動力源としても車輪Wを走行駆動し得るハイブリッド式作業車両である。
また、車輪WをエンジンEで走行駆動しているときに、電動モータMは、モータ軸の前記空回りに伴い起電力を発生し得るので、これをバッテリBに充電可能である。尚、電動モータMを上記のように発電機に兼用してもよいし、或いは、エンジンEで駆動される充電専用発電機を電動モータMとは別個に設けて、その発電機で発電した電力でバッテリBに充電するようにしてもよい。
エンジンE、電動モータM、バッテリB及び電磁クラッチ11は、車両側制御装置UVに接続され、またエンジンEを始動操作するためのスタータスイッチS−SWも車両側制御装置UVに接続される。
また、図4のブロック図に示されるバッテリBには、バッテリBの状態を検出する電圧計、電流計等よりなるバッテリセンサや、バッテリBと電動モータM間での給電・充電を車両側制御装置UVからの制御信号に基づき制御する給充電回路部が含まれるものであり、それらセンサや給充電回路部は車両側制御装置UVに接続され、また特にバッテリ残量を検知するバッテリセンサは、架装物側制御装置UK(後述する第2制御装置UK2)にも接続される。
また、図4のブロック図に示されるエンジンEには、エンジン各部の状態を検出するセンサや、車載の他のバッテリとエンジンの電気的な負荷部(例えば点火プラグ、スタータモータ、ジェネレータ等)との間での給電・充電を車両側制御装置UVからの制御信号に基づき制御する給充電回路部が含まれるものであり、それらエンジン側のセンサや給充電回路部は車両側制御装置UVに接続される。またエンジンEに設けられるセンサのうち、特にエンジンが運転中であることを検出してエンジン作動中信号を出力するセンサは、架装物側制御装置UK(第2制御装置UK2)にも接続される。
而して、車両側制御装置UVと、エンジンE、電動モータM及びバッテリBとの各間は、実際には複数の電力線及び/又は信号線で各々接続されるが、その表示を図4では簡略的に示す。
前記変速機10には、その変速機出力を随時取出可能な動力取出装置PTOが付設されており、その動力取出装置PTOの出力側は、架装物Kの一部である、後述する油圧ポンプPに連動、連結される。また、その動力取出装置PTOは、車両側制御装置UVに接続されており、同じく車両側制御装置UVに接続される動力取出スイッチP−SWへの操作入力に応じて変速機10の出力を車輪W側と油圧ポンプP側とに選択的に切替えて伝達できるようになっている。即ち、その動力取出スイッチP−SWがオフの状態では変速機10の出力が車輪W側に伝達されて走行駆動に利用されるが、同スイッチP−SWがオン操作された状態では、変速機10の出力が油圧ポンプP側に伝達されてポンプ駆動に利用される。尚、斯かる動力取出装置PTOの構造機能は従来周知であるので、これ以上の説明を省略する。
而して、前記した電磁クラッチ11、動力取出装置PTO及び動力取出スイッチP−SWは、互いに協働して前記動力選択取出機構PSを構成している。また、動力取出スイッチP−SWは、作業機としての油圧ポンプPに対し走行用エンジンE又は電動モータMから駆動力を伝達し得る作業準備状態と同駆動力を伝達し得ない待機状態とを任意に選択操作するための作業準備操作スイッチを構成しており、その出力信号は、架装物側制御装置UKにも入力される。尚、動力取出スイッチP−SWは、本実施形態では運転席の適所に設置されるが、これを必要に応じて前記架装物Kに設置してもよい。
尚また、図示例の車輪駆動系Dでは、エンジンE及び電動モータMが互いに直列に配置されるが、本発明では、電動モータM及びエンジンEを互いに並列に変速機10側に接続するようにしてもよい。
ところで前記架装物Kは、後端を開放したボックス状の塵芥収容箱1をベース体(即ち架装物本体)としており、この塵芥収容箱1は、ベース車両Vbの車体F上に後付けで搭載、固定される。その塵芥収容箱1の後端には、塵芥を塵芥収容箱1内に投入するための塵芥投入口3aを後端に有する塵芥投入箱3が連設され、その塵芥投入口3aは開閉扉3tで開閉可能である。この塵芥投入箱3の上端部は塵芥収容箱1の後端上部に回動可能に軸支されており、その軸支部回りに塵芥投入箱3を投入箱回動用の第1シリンダA1により上下回動させることで、塵芥投入箱3が、図1実線で示す如く塵芥収容箱1の後端開口1aを閉じる積込位置(下げ位置)と、図1鎖線で示す如く同後端開口1aを開放する排出位置(上げ位置)との間を随時に移動可能である。
塵芥投入箱3内には、該投入箱3が前記積込位置にあるときに該投入箱3内の投入塵芥を塵芥収容箱1内に強制的に積込む積込工程を実行可能な作業装置としての塵芥積込装置2が設けられる。この塵芥積込装置2の構造は、圧縮板式と呼ばれる従来周知のもので、図示例では、塵芥収容箱1の後端開口1aに臨む位置で塵芥投入箱3の左右両側壁に昇降可能に支持される昇降体4と、その昇降体4を強制昇降させる昇降体昇降用の第2シリンダA2と、塵芥投入箱3内でその横幅一杯に延び且つ昇降体4の下部に前後回動可能に軸支される圧縮板5と、この圧縮板5を強制回動させる圧縮板進退用の第3シリンダA3とを備える。
而して圧縮板5を後方位置に保持した状態で昇降体4を上昇位置から下降位置まで下降させることにより行なわれる一次圧縮作用と、昇降体4を下降位置に保持した状態で行なう圧縮板5の後方位置から前方位置への前方回動により行なわれる二次圧縮作用と、圧縮板5を前方位置に保持した状態で昇降体4を下降位置から上昇位置まで上昇させることにより行なわれる積込作用とからなる一連の塵芥積込サイクルを実行することで、塵芥投入箱3内の投入塵芥が塵芥収容箱1内に強制的に押し込まれる。そして、上記各作用を順次動作させるために、塵芥投入箱3内の適所には、昇降体4の上昇位置及び下降位置、並びに圧縮板5の後方位置及び前方位置を各々検出する複数の近接スイッチ(図示せず)が設けられ、これら近接スイッチは、後述する第1制御装置UK1に接続される。
また塵芥収容箱1には、その内部に収容された塵芥を外部に排出させる作業装置としての塵芥排出装置7が設けられる。この塵芥排出装置7は、塵芥収容箱1内でその横幅一杯に延び且つ前記積込位置にある塵芥投入箱3に対して進退可能な排出板6と、その排出板6の背面と塵芥収容箱1の前部との間に介装されて排出板6を塵芥投入箱3に対し進退駆動する第4シリンダA4と、前記第1シリンダA1とで構成される。そして、塵芥投入箱3が前記排出位置(上げ位置)にあるときに排出板6を塵芥収容箱1内で後退させることで、塵芥収容箱1内の収容塵芥をその後端開口1aより強制的に排出可能である。
図6を併せて参照して、ベース車両Vbの運転室には前部操作盤CFが設けられ、この前部操作盤CFには、塵芥積込装置2及び塵芥排出装置7の作動態様を任意に選択操作するための各種操作スイッチCF−SW1〜3と、油圧ポンプPをエンジンEで駆動するエンジン駆動状態と電動モータMで駆動するモータ駆動状態とを選択操作するための動力源選択スイッチM−SWAと、各種の報知ランプL1〜L5とが設けられる。その動力源選択スイッチM−SWAは、オルタネイト式スイッチであって、モータ駆動状態を選択するモータ選択位置と、エンジン駆動状態を選択するエンジン選択位置を任意に選択操作可能で且つその選択位置を保持できるようになっており、そして、動力取出スイッチP−SWが動力取出側(即ち作業準備状態選択位置)にオン操作された状態で、動力源選択スイッチM−SWAがモータ選択位置にあればモータ選択信号を、またエンジン選択位置にあればエンジン選択信号を架装物側制御装置UKにそれぞれ出力する。
この前部操作盤CFの前記各種操作スイッチには、例えば、作業選択操作のためのメインスイッチCF−SW1、塵芥投入箱3を上下回動される上下選択スイッチCF−SW2、排出板6を前進・後退動作させる進退選択スイッチCF−SW3、その他の操作スイッチ(図示せず)が含まれる。そのメインスイッチCF−SW1は、塵芥積込装置2の積込作動を許可する積込選択位置と、塵芥排出装置7の排出作動を許可する排出選択位置と、塵芥積込装置2及び塵芥排出装置7の各作動を休止させるオフ位置とを任意に選択操作可能であり、その3位置に各々選択保持できるように構成してもよいし、或いは積込選択位置又は排出選択位置からオフ位置に自動復帰できるように構成してもよい。而して、メインスイッチCF−SW1〜3、上下選択スイッチCF−SW2及び進退選択スイッチCF−SW3は、塵芥排出工程の作業終了スイッチとして機能する。
また図7を併せて参照して、塵芥投入箱3の塵芥投入口3a周辺の外面には後部操作盤CRが固定、支持される。この後部操作盤CRには、塵芥積込装置2の作動態様を任意に選択操作するための各種操作スイッチCR−SW1〜3と、作業装置(塵芥積込装置2又は塵芥排出装置7)の稼働中すなわち油圧ポンプPの作動中において油圧ポンプPをエンジンEで駆動するエンジン駆動状態と電動モータMで駆動するモータ駆動状態とを交互に随時切替操作するための動力源切替スイッチM−SWBと、各種報知ランプL1〜L5とが設けられる。その動力源切替スイッチM−SWBは、モーメンタリ式スイッチであって、図示例では押しボタンスイッチで構成され、これを押圧操作される度毎に駆動源切替信号を(即ちエンジン駆動中であれば駆動源を電動モータMに切替えるためのトリガーとなる切替信号を、またモータ駆動中であれば駆動源をエンジンEに切替えるためのトリガーとなる切替信号を)架装物側制御装置UKに出力する。尚、後部操作盤CRは、図示例では塵芥投入箱3の塵芥投入口3a左側に配設しているが、これに加えて(又は代えて)、塵芥投入口3右側に後部操作盤CRを配設するようにしてもよい。
この後部操作盤CRの前記各種操作スイッチには、例えば塵芥積込装置2に積込作動を開始させる指令信号を出力する積込スイッチCR−SW1、塵芥積込装置2の前記積込サイクルを1回だけ運転するか連続運転するかを選択する連単スイッチCR−SW2、塵芥積込装置2の積込作動や塵芥排出装置7の排出作動を緊急停止させる指令信号を出力する緊急停止スイッチCR−SW3、その他の操作スイッチ(説明は省略)が含まれる。而して、連単スイッチCR−SW2を連続運転位置に保持して前記積込サイクルを連続運転している状態で連単スイッチCR−SW2を1回運転位置に切替えると、塵芥積込装置2の積込作動は実行中の積込サイクルの終了と同時に終了するので、この連単スイッチCR−SW2が連続運転時の作業終了スイッチを兼ねる。
また前、後部操作盤CF,CRにおける前記各種報知ランプ群には、車両のキースイッチ(図示せず)がオン操作されている状態で、油圧ポンプPが電動モータMで正常に駆動可能な状態である旨を報知する第1の報知手段としての第1報知ランプL1と、バッテリBの残量が所定値以下に低下した旨を報知する第2の報知手段として第2報知ランプL2と、油圧ポンプPが電動モータMで駆動された状態(即ちモータ駆動中)にある旨を報知する第3の報知手段としての第3報知ランプL3と、バッテリBの残量が所定値を超えて十分にある旨を報知する第4の報知手段として第4報知ランプL4と、架装物側制御装置UK(第2制御装置UK2)から車両側制御装置UVにモータ駆動指令信号を送信している旨を報知する第5の報知手段としての第5報知ランプL5とが含まれ、また前、後部操作盤CF,CRには、これら報知ランプL1〜L5の報知内容の表示がそれぞれ付されている。
尚、前記第1報知ランプL1が報知する「電動モータMで正常に駆動可能な状態」とは、バッテリBの残量(即ち充電されている電気量)が十分に、即ち所定下限値以上、確保されており、且つ電動モータMをバッテリBからの電力で作動させるための、電動モータM及びバッテリBを含む電気系統(以下、本明細書では単に「電気系統」という)が故障していない状態(即ち断線、短絡、素子破損等の故障がなくて、該電気系統が正常に機能する状態)をいう。
而して、前部操作盤CFのメインスイッチCF−SW1を積込選択位置に切替えた上で、後部操作盤CRの積込スイッチCR−SW1をオン操作すれば、塵芥積込装置2の積込作動を開始させることができ、またメインスイッチCF−SW1を排出選択位置に切替えた上で、上下選択スイッチCF−SW2を上げ位置に操作すれば塵芥投入箱3を上方回動させ、しかる後に、進退選択スイッチCF−SW3を排出位置に操作すれば、排出板6を後退動作させて塵芥収容箱1内の収容塵芥を排出することができる。
尚、以上説明した報知ランプL1〜L5は、報知機能を視覚的により識別し易くするために報知機能毎に適宜色分けしたり、或いは、少なくとも一部の報知ランプの点滅態様を変更(例えば点滅間隔を変更)してもよい。また第1〜第5の報知手段としては、図示例の第1〜第5報知ランプL1〜L5に代えて(或いは加えて)、所定の報知音又はアナウンス音を発する音声発生手段を用いることも可能である。尚、本明細書で報知ランプL1〜L5とは、電球やパイロットランプは元より、LED(発光ダイオード)やバックライト付き液晶をも含む広い概念で使用される。
ところで図示例では、前部操作盤CFは、運転室に設置したが、この配置構成に加えて、或いは代えて、後部操作盤CRまたは前部操作盤CFと同様のスイッチ構成の第3の操作盤(図示せず)を運転室外で且つ塵芥投入箱3から離間した部位に配置してもよい。例えば、第3の操作盤を塵芥収容箱1の側面適所に設置、固定すると、後部操作盤CRの積込スイッチCR−SW1等にも比較的近くなり、配線も纏め易くなる利点がある。また第3の操作盤を塵芥収容箱1の前部、例えば後述する制御ユニットボックスUKBの近くに設置、固定すると、架装物側制御装置UKに比較的近くなり、配線も纏め易くなる利点がある。また第3の操作盤をマグネット着脱式の有線リモコン又は無線リモコンとして、これを作業員が塵芥投入箱3から離れた車両(例えば塵芥収容箱1外面)又は車外固定物の任意の位置に吸着固定したり、或いは作業員が携帯するようにしてもよい。これにより、塵芥投入箱3が図1点線示の如く上昇して動力源切替スイッチM−SWBが後部操作盤CRと共に上昇変位しても、前部操作盤CFの動力源選択スイッチM−SWA或いは前記第3の操作盤の動力源切替スイッチM−SWB(前部操作盤CFに代えて前記第3の操作盤を備える場合には動力源選択スイッチM−SWA)で駆動源の切替操作を支障なく行うことができる。
更に塵芥収容箱1には、車載の油圧作動式の各作業装置、即ち塵芥積込装置2及び塵芥排出装置7(以下、単に作業装置2,7と呼ぶ)を作動させるための、油圧ポンプPを含む油圧回路Cが搭載される。この油圧回路Cは、図5に示すように、吸込側が油タンクTに接続された作業機としての油圧ポンプPと、この油圧ポンプPの吐出側を前記第1〜第4シリンダA1〜A4の作動油室に並列に接続する油路に各々介装される第1〜第4バルブv1〜v4と、油圧ポンプPの吐出圧を所定値以下に抑えるべく油圧ポンプPの吐出側と油タンクT間に介装されるリリーフ弁Rとを備える。
その第1〜第4バルブv1〜v4は、対応するシリンダA1〜A4の作動を各独立して切替制御すべく、該シリンダA1〜A4の作動油室と油圧ポンプPとの各間での作動油の給排制御を行えるように構成される。そして、その各バルブv1〜v4が中立位置に切替えられると、それと同時に各バルブv1〜v4と対応するシリンダA1〜A4の作動油室との間が遮断されてシリンダA1〜A4が油圧ロックされ、これにより、対応する作業装置2,7がその時点の作業位置に停止、ロックされる。尚、図示例では、第1〜第4バルブv1〜v4は、マルチバルブMVとして単一の基体内に集中配備されてユニット化されており、このマルチバルブMVがバルブ装置を構成する。
油圧ポンプPは、吐出容量可変型の油圧ポンプで構成され、特に本実施形態では、図示しないポンプケーシングに環状配列されて各々摺動可能に嵌装される複数のプランジャと、それらプランジャの端部に摺接する、ポンプケーシングに対し相対回転可能な斜板とを有する斜板式プランジャポンプから構成されていて、その斜板の傾斜角度の変更により各プランジャの作動ストローク、延いてはポンプ吐出容量を変更可能となっている。前記斜板には、その傾斜角度を変更すべく斜板を駆動する電動式のアクチュエータAが連動、連結される。このような斜板式プランジャポンプの構造は、従来周知であるので、これ以上の説明は省略する。斯かる斜板式プランジャポンプを油圧ポンプPとして使用すれば、吐出容量の変更が容易で、その切替制御を迅速且つ的確に行い得る利点がある。尚、前記アクチュエータAとしては、電磁アクチュエータ、電動モータ等より適宜選定可能であり、本実施形態では電磁アクチュエータが用いられる。
ところで前記架装物Kは、車両側制御装置UVから独立した架装物側制御装置UKを備えるものであり、これは、塵芥収容箱1の適所(図示例では前端部)に付設した制御ユニットボックスUKBに内蔵される。この架装物側制御装置UKは、前、後部操作盤CF,CRの各種操作スイッチCF−SW1〜3,CR−SW1〜3への操作入力に応じて作業装置2,7を作動制御すべく前記マルチバルブMVにバルブ制御信号を出力可能な、マイクロコンピュータを主要部とする第1制御装置UK1と、その第1制御装置UK1及び車両側制御装置UV間に介装されてその間の信号授受、即ちインターフェース機能を発揮し得る第2制御装置UK2とより構成される。尚、車両側制御装置UV及び架装物用制御装置UKは、何れも車両のキースイッチがオン操作されるのに応じて車載電源に通電されて起動され、そのキースイッチがオフ操作されるのに応じて非通電となって作動停止する。
前記第1制御装置UK1は、作業装置2,7を作動制御すべく塵芥収集車Vに従来普通に搭載、使用される制御装置と基本的に同一構造の制御装置であり、これには、前、後部操作盤CF,CRに設けた各種操作スイッチCF−SW1〜3;CR−SW1〜3がその操作入力信号を受信できるように接続される。また、第1制御装置UK1は、作業装置2,7を作動させる各種シリンダA1〜A4を作動制御するマルチバルブMV(各バルブv1〜v4)に接続され、該バルブv1〜v4に作動指令信号を個別に出力可能である。
更に第1制御装置UK1は、前記各種操作スイッチの操作入力状況から作業装置2,7が作動中であると判断したときにエンジンEをアイドルアップするためのアイドルアップ信号を第2制御装置UK2に出力可能であり、このアイドルアップ信号の入力に応じて、第2制御装置UK2は、作業装置2,7が作動中である旨の作業装置作動中信号を車両側制御装置UVのモータ制御部に出力可能とし、更に車両側制御装置UVのエンジン制御部に電子ガバナ信号を出力してエンジン回転数を増大(アイドルアップ)制御可能とする。
一方、第2制御装置UK2には、動力源選択スイッチM−SWA及び動力源切替スイッチM−SWBがその出力信号を受信できるように接続され、また前記第1〜第3報知ランプL1〜5が第2制御装置UK2からの出力電流により報知(点灯)作動できるよう接続される。
また、第2制御装置UK2からは、動力取出スイッチP−SWが動力取出側に操作(即ち作業準備状態位置に選択)された状態で、動力源選択スイッチM−SWA又は動力源切替スイッチM−SWBからモータ選択信号が出力されるのに応じてモータ駆動指令信号を車両側制御装置UVのモータ制御部に出力可能とし、そのモータ駆動指令信号と前記作業装置作動中信号とに基づいて、バッテリBから電動モータMへの通電(従ってモータ作動)を実行可能としている。即ち、車両側制御装置UVは、第2制御装置UK2からモータ駆動指令信号を受けると、油圧ポンプPの駆動源を電動モータMとするようエンジンE、電動モータM及び動力選択取出機構PSを制御可能であり、また第2制御装置UK2からモータ駆動指令信号を受けない場合は、油圧ポンプPの駆動源をエンジンEとするようエンジンE、電動モータM及び動力選択取出機構PSを制御可能である。かくして、第2制御装置UK2は、動力取出スイッチP−SWが動力取出側に操作(即ち作業準備状態位置に選択)された状態で、動力源選択スイッチM−SWA又は動力源切替スイッチM−SWBへの操作入力に応じて、且つ車両側制御装置UVと協働して、油圧ポンプPをエンジンEで駆動するエンジン駆動状態と電動モータMで駆動するモータ駆動状態とを切替制御可能である。
また車両側制御装置UVから第2制御装置UK2側へは、モータ駆動許可信号が出力可能となっている。但し、そのモータ駆動許可信号は、前記電気系統が正常であり且つバッテリBが電池切れ(即ち残量が所定下限値未満に低下)していない場合と、前記電気系統は正常であるがバッテリBの残量がある程度(即ち前記所定下限値よりは高い所定値以下に)低下した場合とで出力態様(例えば出力信号のデューティ比)が互いに異なるよう設定され、また、前記電気系統が故障したり或いはバッテリBが前記電池切れを起こした場合にはモータ駆動許可信号が出力されなくなる。尚、モータ駆動許可信号は、車両側制御装置UVが前記作業装置作動中信号を受信中にだけ出力するようにしてもよい。
また、図示はしないが、バッテリB及び電動モータM間には、前記電気系統の故障の有無を検出する故障診断回路が設けられており、この故障診断回路や、バッテリBに設けた前記バッテリセンサからの各検出信号が車両側制御装置UVに入力されることにより、該車両側制御装置UVで何れの出力態様のモータ駆動許可信号を出力すべきか、或いは出力を停止すべきかの各判断がなされる。
更に架装物側制御装置UKの第2制御装置UK2には、エンジンEが運転中にあるか停止中であるかを識別させるエンジン作動中信号が、エンジンEに設けたセンサから入力可能であり、またバッテリBの残量を示すバッテリ残量信号が、バッテリBに設けたセンサから入力可能であり、またエンジンEがスタータスイッチS−SWへの操作入力で始動操作されたときに出力されるエンジン始動信号が、スタータスイッチS−SWに設けたセンサから入力可能である。
そして、第2制御装置UK2は、これに入力される車両側制御装置UVからの前記モータ駆動許可信号や動力源選択スイッチM−SWA及び動力源切替スイッチM−SWBからのモータ選択信号等に基づき、前、後部操作盤CF,CRの第1〜第5報知ランプL1〜L5を報知(点灯)制御することができる。
而して、本実施形態の架装物側制御装置UKにおいては、動力源選択スイッチM−SWA及び動力源切替スイッチM−SWBへの操作入力に応じて油圧ポンプPのモータ駆動状態とエンジン駆動状態とを切替制御するに際して、架装物側制御装置UKと車両側制御装置UVとの間で授受すべき全信号の、架装物側制御装置UK側の信号入,出力部が第2制御装置UK2にのみ設けられる。
従って、架装物側制御装置UKにおいて、これと車両側制御装置UVとの間で情報(信号)を授受すべきインターフェース機能部分を第2制御装置UK2に集約させることができるため、前、後部操作盤CR,CFの各種操作スイッチ群CF−SW1〜3;CR−SW1〜3への操作入力に基づき作業装置2,7を作動制御する従来公知の作業装置用制御装置(即ち第1制御装置UK1に相当する制御装置)をそのまま流用した上で、これに新開発の第2制御装置UK2を単に追加、接続するだけで、ハイブリッド式作業車両に対応した新たな架装物側制御装置UKを簡単に構築可能となる。その結果、開発コストの節減と開発期間の短縮が図られ、また、エンジンのみで作業装置駆動用作業機としての油圧ポンプを駆動する通常タイプの作業車両と、ハイブリッド式作業車両との間で、部品(即ち第1制御装置UK1に相当する制御装置)の共通化が図られる。
また、前記第2制御装置UK2は、油圧ポンプPの前記した斜板駆動用の電磁アクチュエータAに接続されていて、斜板角度変更信号を該アクチュエータAに出力可能である。そして、その斜板角度変更信号に基づき電磁アクチュエータAは斜板角度を変更駆動して油圧ポンプPの各プランジャのストローク、延いては吐出容量を、油圧ポンプPがエンジン駆動状態にあるかモータ駆動状態にあるかに応じて変更制御する。
例えば、図示例では、第2制御装置UK2は、斜板角度変更信号を前記モータ駆動状態でのみ斜板駆動用アクチュエータAに出力し、これにより、油圧ポンプPの前記モータ駆動状態での吐出容量(例えば80cc/rev )を前記エンジン駆動状態での吐出容量(例えば63cc/rev )よりも大きくなるように設定する。これにより、そのモータ駆動状態では、騒音対策等のために電動モータMを低回転としても、油圧ポンプPを比較的高い吐出容量に設定したことで作業装置駆動に必要な吐出油量が確保可能となる。また、エンジン駆動状態では、エンスト防止等のためにエンジンEをある程度は高回転としても、油圧ポンプPを比較的低い吐出容量に設定したことで、吐出油量が過剰となるのを効果的に防止可能となる。
次に前記実施形態の作用について説明する。
[積込工程]
塵芥積込装置2による、塵芥投入箱3内の投入塵芥の積込工程は、塵芥投入箱3を積込位置(図1実線)に、また排出板6を塵芥収容箱1の後端近くの所定後退位置にそれぞれ保持した状態で開始される。この場合、前部操作盤CFのメインスイッチCF−SW1を積込位置に操作した上で、後部操作盤CRの積込スイッチCR−SW1をオン操作することで積込工程が開始となり、前記した積込サイクルが、連短切替スイッチCR−SW2の操作位置に応じて1回だけ又は連続で運転される。尚、連続運転中、連短切替スイッチCR−SW2を1回運転位置に切替操作すれば、当該積込サイクルの終了時点で塵芥積込装置2は停止する。
上記積込工程の実行により塵芥収容箱1内に押し込まれた塵芥は、排出板6と塵芥積込装置2との間で適度に圧縮されつつ塵芥収容箱1内に収容される。この場合、図示例では、排出板6が収容塵芥より受ける圧縮反力で排出シリンダA4が徐々に収縮作動して排出板6を徐々に前進させる。
[排出工程]
塵芥収容箱1内が収容塵芥で満杯になると、塵芥収集車Vを塵芥処分場まで走行移動させる。その塵芥処分場では、前部操作盤CFのメインスイッチCF−SW1を排出選択位置に操作した上で、上下選択スイッチCF−SW2を上げ位置に操作すれば塵芥投入箱3を上方回動させ、しかる後に、進退選択スイッチCF−SW3を排出位置に操作すれば、排出板6を後退動作させて塵芥収容箱1内の収容塵芥を排出することができる。そして、斯かる排出工程の終了後は、上下選択スイッチCF−SW2を下げ操作して塵芥投入箱3を積込位置まで復帰回動させると共に、進退選択スイッチCF−SW3を前進操作して排出板6を塵芥収容箱1後部の所定後退位置に戻した状態で排出板6を静止、待機させる。その後、塵芥収集車Vを塵芥収集場所まで走行させ、前記待機状態から、次回の塵芥積込装置2による積込工程を開始させる。
而して、上記積込・排出工程は、架装物側制御装置UKの主として第1制御装置UK1が、前、後部操作盤CF,CRの操作スイッチ群CF−SW1〜3,CR−SW1〜3への操作入力に応じてマルチバルブMVにバルブ制御信号を出力して作業装置2,7の各シリンダA1〜A4を作動制御することで実行可能であり、その制御手順は従来周知であるので説明を省略する。
次に架装物側制御装置UK及び車両側制御装置UVが互いに協働して油圧ポンプPの駆動源をエンジンEと電動モータMとに切替制御する際の制御手順の一例を図8のフローチャートを参照して説明する。尚、これらの制御は、何れも車両のキースイッチ(図示せず)がオン操作されて走行用エンジンEが運転され且つ車両側制御装置UV及び架装物用制御装置UK(第1,第2制御装置UK1,2)に通電されている状態において実行される。
而して、駆動源切替制御の基本フローは、車両を走行可能とすべく車両の前記キースイッチをオン操作して走行用エンジンEを運転状態(動力取出装置PTOは遮断状態)としたときにスタートする。
先ず、図8において、動力取出スイッチP−SWがオン操作されて作業準備状態が選択されたか否かがステップS1で判断され、オン操作された場合にはステップS2に進んで、動力取出装置PTOの出力側が油圧ポンプPと連動、連結状態、即ち作業準備状態とされ、作業機としての油圧ポンプPがエンジンEで駆動される。尚、この時点では、油圧ポンプPがエンジンEで駆動されていても、マルチバルブMVの各バルブv1〜v4は中立位置にあるため、油圧ポンプPの吐出油はリリーフ弁Rを経て油タンクT側に戻されるだけであり、作業装置2,7の各シリンダA1〜A4は静止状態、即ち作業準備状態に置かれる。一方、前記ステップS1で、動力取出スイッチP−SWがオン操作されていない(即ちオフ操作されている)と判断された場合は、ステップS3に進んで、動力取出装置PTOの出力側が油圧ポンプPと遮断状態、即ち待機状態となる。
前記ステップS2の後はステップS4に進んで、動力源選択スイッチM−SWAの現時点での選択位置がエンジン駆動側とモータ駆動側の何れの位置であるか判断される。このステップS4でモータ駆動側の選択位置にあると判断された場合は、ステップS5に進んで、モータ駆動可能な状態か(例えばバッテリBが電池切れ(即ち残量が所定下限値未満に低下)しておらず且つ前記電気系統が正常であって電動モータMを正常に駆動可能な状態にあるか)否かが判断され、そこでモータ駆動可能と判断された場合は、ステップS6に進んで、電動モータMが正常に駆動可能な状態であることを示す第1ランプL1を点灯させる。
次いで、ステップS7に進んで、作業機としての油圧ポンプPがエンジンEで現在駆動中か否かが判断される。このステップS7において、エンジンEで駆動中であると判断された場合は、ステップS8に進んで今回の処理が初回(即ち前記ステップS1で動力取出スイッチP−SWが最初にオン操作されたと判断された最初のサイクル)か否かが判断され、初回であればステップS9に進む。このステップS9においては、作業装置2,7が稼働中である場合には、作業装置2,7を一時停止させるべくマルチバルブMVの各バルブv1〜v4を一斉に中立位置に切替える。
次いで、ステップS10に進んで、架装側制御装置UK(特に第2制御装置UK2)から車両側制御装置UVにモータ駆動指令信号が出力されることで、エンジンEの運転を停止させると共にクラッチ11を遮断状態としてから、電動モータMを始動して油圧ポンプPを電動モータMで駆動する。次いでステップS11に進んで、電動モータMが現在駆動中であることを示す第3ランプL3を点灯させ、ステップS12に進む。
そのステップS12では、作業装置2,7の操作スイッチが、作業指令、即ち積込工程又は排出工程を実行すべく操作入力され(例えばメインスイッチCF−SW1が積込操作され且つ積込スイッチCR−SW1がオン操作され)たか否かが判断され、その操作入力(作業指令)がなされたと判断された場合はステップS13に進んで、該操作入力に応じてマルチバルブMVのバルブv1〜v4を切替制御することで、作業装置2,7のシリンダA1〜A4を作動させて作業装置2,7の所定の作業(例えば積込作業)を実行処理する。一方、前記ステップS12で否と判断された場合は、リターンとなるので、作業装置2,7は作業開始されずに待機状態に置かれる。尚、前記ステップS12においては、それ以前より電動モータMで油圧ポンプPが駆動されて作業装置2,7が作動している場合には、前記操作入力(作業指令)があるものと判断して、ステップS13に進むようにしている。
前記ステップS13において、電動モータMで油圧ポンプPを駆動した状態での作業装置2,7の実行中に、作業を終了させる条件が整った場合、例えば操作スイッチへの、作業終了のための操作入力(例えば、メインスイッチCF−SW1のオフ位置への切替操作や、積込工程の連続運転中に連単スイッチCR−SW2を1回運転側への切替操作)があった場合や積込工程の1回運転が終了した場合であるか否かが、ステップS14で判断され、否でないと判断されたときは、ステップS15に進んで、マルチバルブMVの各バルブv1〜v4を一斉に中立位置に切替えることで作業装置2,7の実行中の作業を終了させた後にリターンとなり、油圧ポンプPの動力源は切替えられずに現状維持(即ちモータ駆動状態のまま)となる。
一方、前記ステップS14で否(即ち作業終了のための操作入力がなかった)と判断された場合は、ステップS16に進んで、動力源切替スイッチM−SWBがオン操作された(即ち油圧ポンプPの駆動源を作動中のもの(電動モータM)から非作動中のもの(エンジンE)へ切替える操作意思が示された)か否かが判断される。そして、そのステップS16でオン操作されたと判断された場合には、ステップS17に進み、また前記ステップS16でオン操作されないと判断された場合はステップS18に進む。
前記ステップS17においては、前記ステップS9と同様に、作業装置2,7が稼働中である場合には作業装置2,7を一時停止させるべくマルチバルブMVの各バルブv1〜v4を一斉に中立位置に切替え、しかる後にステップS19に進む。そのステップS19では、架装側制御装置UK(特に第2制御装置UK2)から車両側制御装置UVにモータ駆動指令信号が出力されなくなることで、電動モータMを作動停止させると共に、エンジンEを始動し且つクラッチ11を接続状態とし、これにより油圧ポンプPはエンジンEによる駆動状態に切替わる。次いで、ステップS20に進んで、第3ランプL3が消灯した後、ステップS21に進む。
一方、前記ステップS18では、動力源選択スイッチM−SWAがモータ駆動側からエンジン駆動側に選択操作されたか否かが判断され、否の場合にはリターンとなり、油圧ポンプPの動力源が切替えられずに現状維持(即ちモータ駆動状態のまま)となる。また前記ステップS18で、否でない(即ち動力源選択スイッチM−SWAがモータ駆動側からエンジン駆動側に選択操作されたと判断された)と判断された場合には、前記ステップS17に進む。
また前記ステップS21では、前記ステップS12と同様に、作業指令、即ち積込工程又は排出工程を実行すべく操作入力され(例えばメインスイッチCF−SW1が積込操作され且つ積込スイッチCR−SW1がオン操作され)たか否かが判断され、その操作入力(作業指令)がなされたと判断された場合はステップS22に進んで、該操作入力に応じてマルチバルブMVのバルブv1〜v4を切替制御することで、作業装置2,7のシリンダA1〜A4を作動させて作業装置2,7の作業(例えば積込作業)を実行処理する。前記ステップS21で否と判断された場合は、リターンとなるので、作業装置2,7は作業開始されずに待機状態に置かれる。尚、前記ステップS21においては、それ以前よりエンジンEで油圧ポンプPが駆動されて作業装置2,7が作動している場合には、前記操作入力(作業指令)があるものと判断して、ステップS22に進むようにしている。
前記ステップS22において、エンジンEで油圧ポンプPを駆動した状態での作業装置2,7の実行中に、作業を終了させる条件が整った場合、例えば操作スイッチへの、作業終了のための操作入力(例えば、メインスイッチCF−SW1のオフ位置への切替操作や、積込工程の連続運転中に連単スイッチCR−SW2を1回運転側への切替操作)があった場合や積込工程の1回運転が終了した場合であるか否かが、ステップS23で判断され、否でないと判断されたときは、ステップS24に進んで、マルチバルブMVの各バルブv1〜v4を一斉に中立位置に切替えることで作業装置2,7の実行中の作業を終了させた後にリターンとなり、油圧ポンプPの動力源は切替えられずに現状維持(即ちエンジン駆動状態のまま)となる。
また、前記ステップS23で否(即ち作業終了のための操作入力がなかった)と判断された場合は、ステップS25に進んで、動力源切替スイッチM−SWBがオン操作された(即ち油圧ポンプPの駆動源を作動中のもの(エンジンE)から非作動中のもの(電動モータM)へ切替える操作意思が示された)か否かが判断され、オン操作されたと判断された場合には、油圧ポンプPの駆動源を電動モータMに切替えるために前記ステップS5に進む。
また前記ステップS25で、動力源切替スイッチM−SWBがオン操作されないと判断された場合はステップS26に進む。そのステップS26では、動力源選択スイッチM−SWAがエンジン駆動側からモータ駆動側に選択操作されたか否かが判断され、否の場合にはリターンとなり、油圧ポンプPの動力源が切替えられずに現状維持(即ちエンジン駆動状態のまま)となる。一方、前記ステップS26で否でない(即ち動力源選択スイッチM−SWAがエンジン駆動側からモータ駆動側に選択操作されたと判断された)と判断された場合には、油圧ポンプPの駆動源を電動モータMに切替えるために前記ステップS5に進む。
ところで、前記ステップS4において、動力源選択スイッチM−SWAの選択位置がエンジン駆動側の位置であると判断された場合には、ステップS27に進んで、油圧ポンプPが電動モータMで現在駆動中か否かが判断される。このステップS27において、電動モータMで現在駆動中であると判断された場合は、動力源選択スイッチM−SWAの選択位置がエンジン駆動側であるにも拘わらず以前の動力源切替スイッチM−SWBのオン操作により油圧ポンプPの駆動源が電動モータMに切替えられたものと想定されるので、その駆動源を現状維持(即ち電動モータMによる駆動状態のまま)とするためにステップS5に進む。
一方、前記ステップS27において、油圧ポンプPが電動モータMで現在駆動中でない(即ちエンジン駆動中である)と判断された場合は、油圧ポンプPの駆動源を現状維持(即ちエンジンEによる駆動状態のまま)とするために、前記ステップS20に進む。
また、前記ステップS5において、モータ駆動可能な状態でない(例えばバッテリBが電池切れ(即ち残量が所定下限値未満に低下)したり、或いは前記電気系統に異常が生じてモータ駆動が困難になっている)と判断された場合は、ステップS28に進んで、電動モータMが駆動可能な状態であることを示す第1ランプL1を消灯させた上で、油圧ポンプPの駆動源をエンジンEに切替えるために前記ステップS17へ進む。
また、前記ステップS7において、油圧ポンプPがエンジンEで現在駆動中でない(即ちモータ駆動中である)と判断された場合は、油圧ポンプPの駆動源を現状維持(即ち電動モータMによる駆動状態のまま)とするために、前記ステップS8〜S10を飛ばして前記ステップS11に進む。
また、前記ステップS8において、今回の処理が初回(即ちステップS1で動力取出スイッチP−SWが最初にオン操作されたと判断されたときに実行される最初のサイクル)でないと判断された場合は、ステップS29に進む。このステップS29では、動力源選択スイッチM−SWAおよび動力源切替スイッチM−SWBの直前の各操作履歴、特に直前に動力源選択スイッチM−SWAがエンジン駆動側からモータ駆動側に切替操作されたか或いは動力源切替スイッチM−SWBがオン操作されたかが判断され、その少なくとも一方の操作がなされたと判断された場合には、油圧ポンプPの駆動源をエンジンEから電動モータMに切替えるために前記ステップS9に進む。
一方、前記ステップS29において、否である(即ち直前に、動力源選択スイッチM−SWAがエンジン駆動側からモータ駆動側に切替操作されておらず且つ動力源切替スイッチM−SWBもオン操作されていない)と判断された場合には、油圧ポンプPの駆動源を現状維持(即ちエンジンEによる駆動状態のまま)とするために、前記ステップS20に進む。
上記した油圧ポンプPの駆動源の選択・切替のための制御フローによれば、制御装置としての架装物側制御装置UKは、車両のキースイッチをオン操作して走行用エンジンEを運転(動力取出装置PTOは遮断)している状態で、作業準備操作スイッチP−SWがオン操作(即ち作業準備状態が選択)されたとステップS1で判断されたときには、その時点での動力源選択スイッチM−SWAの選択位置がエンジン駆動側とモータ駆動側の何れにあるかをステップS4で判断し、その選択位置がモータ駆動側である場合には、ステップS5〜13により作業機としての油圧ポンプPの動力源を電動モータMに切替え、またその選択位置がエンジン側である場合には、ステップS27,20〜22により油圧ポンプPの駆動源をエンジン側に選択、維持する。
またその後、油圧ポンプPを電動モータMで駆動中に、動力源切替スイッチM−SWBがオン操作されたとき(ステップS16でオンと判断した場合)は、そのオン操作に応じて油圧ポンプPの動力源を作動中の電動モータMから非作動中のエンジンEへ切替えることができる(ステップS17,19〜22)。また同じく油圧ポンプPを電動モータMで駆動中に、動力源選択スイッチM−SWAがエンジン駆動側へ切替操作されたとき(ステップS18で否でないと判断した場合)は、その切替操作に応じて油圧ポンプPの動力源を作動中の電動モータMから非作動中のエンジンEへ切替えることができる(ステップS17,19〜22)。
一方、油圧ポンプPをエンジンEで駆動中に、動力源切替スイッチM−SWBがオン操作されたとき(ステップS25でオンと判断した場合)は、そのオン操作に応じて油圧ポンプPの動力源を作動中のエンジンEから非作動中の電動モータMへ切替えることができる(ステップS5〜8,29,9〜13)。また同じく油圧ポンプPを電動モータMで駆動中に、動力源選択スイッチM−SWAがモータ駆動側へ切替操作されたとき(ステップS26で否でないと判断した場合)は、その切替操作に応じて油圧ポンプPの動力源を作動中のエンジンEから非作動中の電動モータMへ切替えることができる(ステップS5〜8,29,9〜13)。
さらに油圧ポンプPをエンジンEで駆動中において、動力源切替スイッチM−SWBがオン操作されたとき(ステップS25でオンと判断した場合)、或いは動力源選択スイッチM−SWAがモータ駆動側へ切替操作されたとき(ステップS26で否でないと判断した場合)には、先ず電動モータMで油圧ポンプPを駆動可能な状態か否かをステップS5で確認し、駆動可能な状態であると判断した場合だけ油圧ポンプPの駆動源を電動モータMに切替えるようにしている。このように油圧ポンプPをエンジンEで駆動中にモータ駆動へ切替える際には、油圧ポンプPをモータ駆動可能な状態か否かの事前チェックが自動で行なわれ、モータ駆動可能と判断された場合に限りモータ駆動への切替えを支障なく的確に行うことができるため、モータ駆動へ切替えたことによる不測の作業中断を効果的に回避可能となる。
而して、本実施形態によれば、作業機としての油圧ポンプPの動力源を走行用エンジンE及び電動モータMのうちから選択するための動力源選択スイッチM−SWAへの操作入力に基づいて、油圧ポンプPを走行用エンジンE及び電動モータMの何れの動力でも選択的に駆動できるので、油圧ポンプPの駆動源を作業状況に応じて適宜使い分けることができて便利であり、例えばエンジンEの騒音排気が問題となる場所では電動モータMで、また問題とならない場所ではエンジンEでそれぞれ油圧ポンプP(従って作業装置2,7)を駆動することが可能となる。
しかも本実施形態では、上記動力源選択スイッチM−SWAに加えて、作業装置2,7(従って油圧ポンプP)の稼働中において油圧ポンプPの駆動源を随時に切替えるための動力源切替スイッチM−SWBと、動力源選択スイッチM−SWA及び動力源切替スイッチM−SWBへの各操作入力、並びに動力源選択スイッチM−SWAの選択位置に基づいて油圧ポンプPの動力源を選定可能な制御装置としての架装物用制御装置UKとを備えている。そして、その架装物用制御装置UKは、塵芥収集車が停車してから油圧ポンプPが駆動力を受けるまでの間で予め定められた、作業装置2,7の作業開始の準備のための所定操作(本実施形態では作業準備操作スイッチとしての動力取出スイッチP−SWのオン操作)が行われたときは、その時点での動力源選択スイッチM−SWAの選択位置に基づいて油圧ポンプPの動力源を選定するので、油圧ポンプPを作動させる前段階では、作業装置2,7の作業開始の準備のための上記所定操作が単に行われるだけで、動力源選択スイッチM−SWAの選択位置に応じて油圧ポンプPの駆動源が自動的に選定されてスイッチ操作が簡便となる。
ところで、上記『作業装置2,7の作業開始の準備のための所定操作』として、本実施形態では作業準備操作スイッチとしての動力取出スイッチP−SWのオン操作を例示したが、本発明の所定操作は、本実施形態に限定されず、「塵芥収集車が停車してから油圧ポンプPが駆動力を受けるまでの間で予め定められた、作業装置2,7の作業開始の準備のための種々の所定操作」が含まれる。例えば、作業車両のキースイッチに対するイグニッション位置からアクセサリ位置への切替操作、作業車両の駐車ブレーキ操作又はフットブレーキ操作、作業車両の車速をゼロ又は極低速(例えば10km/h以下)にする減速操作、変速用シフトレバーをN又はPレンジにするシフト操作、メインスイッチCF−SW1のオフ位置から積込選択位置又は排出選択位置への切替操作などが前記所定操作に含まれる。従って、これら操作を検出するセンサからの検出信号を架装物用制御装置UKに出力することで、該制御装置UKは、上記所定操作が行われたことを認識可能となる。またこれら操作は、何れも動力取出スイッチP−SWのオン操作よりも先行して行われることが多いため、これら操作に応じて油圧ポンプPの動力源を予め(即ち動力取出スイッチP−SWのオン操作で動力取出装置PTOが接続状態となるよりも前に)選定して、その選定した駆動源から動力取出装置PTOまでの動力伝達経路を確立しておけば、その状態から次に動力取出スイッチP−SWをオン操作するのと同時に油圧ポンプPの駆動が開始され、作業装置2,7の作業を迅速に開始できる利点がある。
その上、この架装物用制御装置UKは、作業装置2,7(油圧ポンプP)の稼働中に動力源切替スイッチM−SWBが切替操作されたときは、その切替操作に応じて油圧ポンプPの動力源を作動中のものから非作動中のものへ切替えるので、作業装置2,7の稼働中においては、駆動源選択スイッチM−SWAの選択位置が、実際に作動している駆動源と一致しない場合であっても、動力源切替スイッチM−SWBの切替え操作、即ち現場作業者の動力源切替意思に基づいて油圧ポンプPの動力源を簡単且つ迅速に切替えることができ、スイッチの操作性が更に簡便化される。
更に本実施形態では、動力源選択スイッチM−SWAの操作部を有する第1の操作盤としての前部操作盤CFと、動力源切替スイッチM−SWBの操作部を有する、第1の操作盤とは別個独立した第2の操作盤としての後部操作盤CRとを備えるので、動力源選択スイッチM−SWAに対する操作入力と、動力源切替スイッチM−SWBに対する操作入力とを異なる操作盤CF,CR(従って別の離れた場所)で別々の作業者が個別に行うことができ、スイッチ操作ミスを少なくする上で有効である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はそれら実施形態に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施形態が可能である。
例えば、前記実施形態では、作業車両として所謂圧縮板式の塵芥収集車を例示したが、本発明では、塵芥積込装置2を回転板と押込板との協働による所謂回転板式の塵芥積込装置としたり、或いは塵芥排出装置7を、塵芥収容箱1を傾動させる所謂ダンプ式の塵芥排出装置としたりしてもよい。また本発明では、作業車両が塵芥収集車に限定されず、作業機としての油圧ポンプの出力で作業装置を駆動する他の種々の作業車両、例えばコンクリートミキサー車、コンクリートポンプ車、コンテナの積み降ろし機能付きコンテナ運搬車、自動車の積み降ろし機能付き自動車卸運搬車等の作業車両に適用可能である。
また、前記実施形態では、電動モータMの動力を油圧ポンプの駆動の他、車輪の駆動にも利用できるようにしたハイブリッド車両に実施したものを示したが、本発明では、電動モータの動力を油圧ポンプの駆動のみに用いるようにしてもよい。この場合、そのポンプ駆動専用の電動モータと、該電動モータに電力供給するバッテリと、車輪に駆動力を付与する走行用エンジンから別個独立に構成されて油圧ポンプの駆動のみに用いられるエンジンと、そのエンジン又は電動モータの動力を選択的に取出可能な動力選択取出機構とを架装物Kに搭載した実施形態も採用可能であり、この実施形態では、前記実施形態における車両側制御装置UVのエンジン・モータ制御部の機能は、架装物UK側のエンジン・モータの制御に関して架装物側制御装置UK、特に第2制御装置UK2が担うように構成すればよい。
また、前記実施形態では、作業機としての油圧ポンプPの動力源をエンジンE及び電動モータMのうちから選択するための動力源選択スイッチM−SWAを運転席の前部操作盤CF(第1の操作盤)に、また油圧ポンプPの稼働中において駆動源を作動中のものから非作動中のものへ随時に切替えるための動力源切替スイッチM−SWBを塵芥投入口3a周辺の後部操作盤CR(第2の操作盤)及び図示しない第3の操作盤にそれぞれ配設したものを示したが、本発明では、動力源選択スイッチM−SWAおよび動力源切替スイッチM−SWBの配設部位は前記実施形態に限定されない。即ち、本実施形態で動力源選択スイッチM−SWAを運転席の操作盤CFに設置した理由は、車両運転者が作業装置2,7の作業全体を管理している場合(例えば塵芥収集車であれば次の塵芥収集場所では何れの駆動源を使う方がよいか運転席で決める場合)に好都合なためである。一方、次の塵芥収集場所では何れの駆動源を使う方がよいかを現場作業者が決める場合は、動力源選択スイッチM−SWAを架装物K側の作業現場に近い適所(この場合のスイッチM−SWAの設置部位は、後部操作盤CRや塵芥投入口3aの周辺に限定されない)に配置した方が作業上便利であり、例えば塵芥収集車であれば、今の塵芥収集場所での作業が終了した時に、次の塵芥収集場所では何れの駆動源を使う方がよいかを塵芥積込装置2の作業終了直後に現場作業者が決めるような場合に好都合である。尚、本発明では、前、後部操作盤CF,CRの両方に動力源切替スイッチM−SWBを設けるようにしてもよい。
また前記実施形態では、動力源選択スイッチM−SWAおよび動力源切替スイッチM−SWBを相異なる操作盤CF,CRに別々に設置したものを示したが、本発明では、同一の操作盤(CF又は/及びCR)に動力源選択スイッチM−SWAおよび動力源切替スイッチM−SWBを両方とも設置してもよい。
また前記実施形態では、動力源選択スイッチM−SWAが剥き出しとなっているが、本発明では、動力源選択スイッチM−SWAを開放可能なカバーで覆ったり、或いは電子回路基板上に設けたディップスイッチで動力源選択スイッチM−SWAを構成してもよい。これにより、動力源選択スイッチM−SWAが不用意に触られて、優先的に駆動する動力源を誤って変更してしまう虞れを減らすことができる。
また前記実施形態では、動力源切替スイッチM−SWBを押しボタンで構成したものを示したが、本発明では、トグル式スイッチで構成してもよい。