JP2015114473A - 色調補正フィルム及びこれを用いた透明導電性フィルム - Google Patents

色調補正フィルム及びこれを用いた透明導電性フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】透過光の着色を抑え、全光線透過率が高く、且つ熱処理時のヘイズ値の上昇を抑えることの出来る透明導電性フィルムを提供する。
【解決手段】オリゴマー低析出ポリエステルフィルムからなる透明基材フィルムの表面に、高屈色調補正層が積層されている。高屈色調補正層は、波長400nmの光に対する屈折率が1.66〜1.76、膜厚が0.4〜1.5μmである。また、高屈色調補正層上に、シリカ微粒子と活性エネルギー線硬化型樹脂を含み、波長400nmの光に対する屈折率が1.33〜1.53、膜厚が10〜55nmの低屈色調補正層を積層することもできる。そして、高屈色調補正層または低屈色調補正層上に、屈折率が1.85〜2.35、膜厚が5〜50nmの錫ドープ酸化インジウム層を積層してなる。
【選択図】なし

Description

本開示は、タッチパネル用の色調補正フィルムと、当該色調補正フィルム上に透明導電層を積層した透明導電性フィルムに関する。
現在、画像表示部に直接触れることにより、情報を入力できるデバイスとしてタッチパネルが広く用いられている。タッチパネルは光を透過する入力装置を液晶表示装置等のディスプレイ画面上に配置したものであり、代表的な形式として、透明電極と指との間に生じる電流容量の変化を利用した静電容量式タッチパネルがある。
タッチパネル用の透明導電性フィルムとしては、透明基材フィルム上に、酸化錫を含有するインジウム酸化物(錫ドープ酸化インジウム、ITO)や酸化亜鉛等の金属酸化物による透明導電層を積層したものが一般的に用いられている。このような透明導電性フィルムは、透明導電層における反射及び吸収に由来する可視光短波長領域の透過率の低下により、全光線透過率が低下すると同時に、黄色の呈色が見られることが多い。そのため、タッチパネルの下に配置される表示装置の発色を正確に表現することが難しいという問題があった。
この問題を解決するために、透明導電層を多層光学膜と組み合わせた透明導電性フィルムが、特許文献1に提案されている。特許文献1に記載の透明導電性フィルムは、透明基材フィルムであるポリエステルフィルムの表面から順に、高屈折率層(第一色調補正層)、低屈折率層(第二色調補正層)、及び錫ドープ酸化インジウム層が積層された構成である。高屈折率層は、金属酸化物微粒子と紫外線硬化性バインダーにより形成され、光の波長400nmにおける屈折率が1.63〜1.86、膜厚が40〜90nmである。低屈折率層は、光の波長400nmにおける屈折率が1.33〜1.53、膜厚が10〜50nmである。錫ドープ酸化インジウム層は、光の波長400nmにおける屈折率が1.85〜2.35、膜厚が5〜50nmである。このような構成により、透過光の着色低減効果を実現している。
特開2011−98563号公報
しかし、特許文献1の透明導電性フィルムでは、透明基材フィルムとして一般的なポリエステルフィルムを使用しているため、透明導電層としてITO層を積層する場合、ITOを結晶化する際の熱処理によって、透明基材フィルムの表面にポリエステルフィルム由来のオリゴマーが析出し、透明導電性フィルムが白化して全光線透過率が低下するという課題があることが判明した。
そこで、本発明の目的とするところは、透過光の着色を抑え、且つ加熱処理による白化を抑制することで全光線透過率の高い透明導電性フィルム、及びその下地フィルムとして用いられる色調補正フィルムを提供することにある。
そのための手段として、本発明の色調補正フィルムは、透明基材フィルムの一方の面上に、高屈色調補正層が積層されている。当該高屈色調補正層は、金属酸化物微粒子と活性エネルギー線硬化型樹脂とを含み、波長400nmの光に対する屈折率が1.66〜1.76、膜厚が0.4〜1.5μmである。そのうえで、前記透明基材フィルムが、オリゴマー低析出ポリエステルフィルムであることを特徴とする。
オリゴマーの析出量が少ない前記透明基材フィルムとしては、具体的には環状三量体の含有量が1.0wt%未満の低オリゴマーポリエステルフィルムを好適に使用できる。なお、前記透明基材フィルムは、オリゴマーの析出を封止するオリゴマー封止膜によって被覆することが好ましい。
なお、前記高屈色調補正層上には、低屈色調補正層を積層することもできる。この場合、前記低屈色調補正層は、シリカ微粒子と活性エネルギー線硬化型樹脂とを含み、波長400nmの光に対する屈折率を1.33〜1.53、膜厚を10〜55nmとする。
また、本発明によれば、前記色調補正フィルムの最表面に、波長400nmの光に対する屈折率が1.85〜2.35、膜厚が5〜50nmの錫ドープ酸化インジウム層(ITO層)を積層した透明導電性フィルムを提供することもできる。
なお、本明細書において数値範囲を示す「○○〜××」とは、特に明示しない限り「○○以上××以下」を意味する。
本発明の色調補正フィルムないし透明導電フィルムでは、透明基材フィルムに積層する各層の屈折率および膜厚を適切に設定したことで、透過光の着色を抑制することができる。
なお、屈折率には波長分散性があり、短波長領域では屈折率が高くなる傾向がある。一般に、各層の屈折率調整ではナトリウムのD線(波長589nmの光)の値を用いることが多いが、本発明の第一色調補正層や錫ドープ酸化インジウム層のように金属酸化物微粒子を含む層においては、屈折率の波長分散の影響が大きくなる。一方、透過光の黄色味を抑えるには波長400nmの透過率制御が重要である。しかし、波長589nmの屈折率で各層の屈折率を調整した場合、波長400nmの透過率を的確に調整することは出来ないため、黄色味低減効果が十分に得られない。そこで、各層の屈折率を波長400nmの光を基準として設定することで、透過光の着色抑制効果を最大限発揮させることができる。
そのうえで、透明基材フィルムとしてオリゴマーの含有量が少ないポリエステルフィルムを使用したことで、ITO層形成時の加熱処理において析出し得るオリゴマーが根本的に少なくなり、ポリエステルフィルム由来のオリゴマーが析出することによる白化を抑制し、以って高い全光線透過率を得ることが出来る。また、前記透明基材フィルムをオリゴマー封止膜によって被覆しておけば、オリゴマーの析出自体を抑制することができるので、より確実に白化を抑制することができる。
熱処理後の反りの定義を説明する模式図である。
≪色調補正フィルム≫
[実施形態1]
本実施形態1の色調補正フィルムは、透明基材フィルムの一方面(表面側)に、高屈色調補正層が積層されている。以下に、この色調補正フィルムの構成要素について順に説明する。
<透明基材フィルム>
透明基材フィルムには、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルからなるフィルムを基本的に使用し、特に、透明基材フィルム表面へのオリゴマー析出量が少ないポリエステルフィルムを使用する。すなわち、オリゴマーとなる環状三量体の含有量ができるだけ少ないポリエステルフィルム、具体的には環状三量体の含有量が少なくとも1.0wt%未満、好ましくは0.6wt%未満、より好ましくは0.3wt%未満の低オリゴマーポリエステルフィルムを使用する。環状三量体の含有量が1.0wt%を超えると、ITO層の形成時にオリゴマーの析出による白化が顕著となる。例えば透明基材フィルムとしてポリエチレンテレフタレートフィルムを使用した場合、析出し得るオリゴマーはエチレンテレフタレート環状三量体である。
原料となるポリエステルは、溶融重合反応で得られたものであってもよいが、溶融重合後、チップ化したポリエステルを固相重合して得られた原料を用いれば、原料中に含まれるオリゴマー量が低減できるので好ましい。ポリエステル原料中に含有するオリゴマー量は0.7wt%以下であるのが好ましく、さらに好ましくは0.5wt%以下、特に好ましくは0.2wt%以下である。ポリエステル原料中のオリゴマー量が少なければ、本発明のポリエステルフィルム中に含まれるオリゴマー量も低減する。なお、2種類以上のポリエステル原料を用いてポリエステルフィルムを得てもよい。
例えばPETフィルムであれば、テレフタル酸を含むジカルボン酸と、エチレングリコールを含むジオールとを液相重縮合させる液相重縮合工程と、液相重縮合工程で得られたポリマーから環状三量体を低減するため、不活性雰囲気下で溶融点以下の温度に加熱する固相重縮合工程とを経て製造することができる。なお、テレフタル酸とエチレングリコールとをエステル化するエステル化工程を、液相重縮合工程の前に行うこともできる。
ジカルボン酸としては、テレフタル酸を主成分(例えばテレフタル酸の全ジカルボン酸に対する含有量が90モル%以上)として、その他にフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニル−4,4−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸を共に用いることができる。
ジオールとしては、モノエチレングリコールを主成分(例えばモノエチレングリコールの全ジオールに対する含有量が90モル%以上)として、その他にトリメチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンメチレングリコール、ドデカメチレングリコールなどの脂肪族グリコールを用いることができる。
また、芳香族ジカルボン酸とともに、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸などを原料として使用することもでき、脂肪族ジオールとともに、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族グリコール、ビスフェノール、ハイドロキノン、2,2−ビス(4−β−ヒドロキシフェニル)プロパン類などの、芳香族ジオールなどを原料として使用することもできる。さらに、トリメシン酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールメタン、ペンタエリスリトールなどの多官能性化合物を原料として使用することもできる。
なお、全ジオール成分中において、ジエチレングリコール(DEG)を1.0〜5.0モル%程度含有することが好ましい。この範囲であれば、固相重縮合工程において環状三量体の低減化速度が高くなるからである。DEGの生成を抑制するためには、添加剤として塩基性化合物、例えばトリエチルアミンなどの3級アミン、水酸化テトラエチルアンモニウムなどの4級アンモニウム塩、又は炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属化合物等を添加することも有効である。また、エステル化反応工程におけるジカルボン酸とジオールの比率により、DEGの生成量を制御することもできる。エステル化工程において得られる、ジカルボン酸とジオールとのエステル化反応物(低次縮合物)は、液相重縮合工程に供給される。当該液相重縮合反応において得られたPETは、通常、水冷後、粒状(チップ状)に切断される。そのうえで、不活性雰囲気下で溶融点以下の温度に加熱する固相重縮合工程を経ることで、オリゴマーであるエチレンテレフタレート環状三量体の含有量を低減することができる。
なお、液相重縮合反応は、重縮合触媒および安定剤の存在下で行うことが好ましい。重縮合触媒としては、ゲルマニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物等が挙げられる。ゲルマニウム化合物としては、例えば無定形二酸化ゲルマニウム、結晶性二酸化ゲルマニウム等が挙げられる。チタン化合物としては、例えばテトラエチルチタネ−ト、テトライソプロピルチタネ−ト、テトラ−n−プロピルチタネ−ト、テトラ−n−ブチルチタネ−ト等のテトラアルキルチタネ−ト、及びこれらの部分加水分解物、蓚酸チタニル、蓚酸チタニルアンモニウム、蓚酸チタニルナトリウム、蓚酸チタニルカリウム、蓚酸チタニルカルシウム、蓚酸チタニルストロンチウム等の蓚酸チタニル化合物、トリメリット酸チタン、硫酸チタン、塩化チタン等が挙げられる。アンチモン化合物としては、例えば三酸化アンチモン、酢酸アンチモン、酒石酸アンチモン、酒石酸アンチモンカリ、オキシ塩化アンチモン、アンチモングリコレ−ト、五酸化アンチモン、トリフェニルアンチモン等が挙げられる。
安定剤としては、例えばトリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ−n−ブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;トリフェニルホスファイト、トリスドデシルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイトなどの亜リン酸エステル類;メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ジブチルホスフェート、モノブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジエチルホスホノ酢酸エチル等の酸性リン酸エステル、及びリン酸、ポリリン酸などのリン化合物等が挙げられる。
ポリエステルフィルム中には、易滑性付与を主たる目的として粒子を配合してもよい。配合する粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えばシリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粒子が挙げられる。ポリエステルフィルム中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、ポリエステルフィルムを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後、重縮合反応工程において添加することもできる。また、ポリエステルフィルム中には、上述の粒子以外に、必要に応じて従来公知の酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料、紫外線吸収剤、特にベンゾオキサジノン系紫外線吸収剤等を添加することもできる。
透明基材フィルムの膜厚は通常25〜400μm程度、好ましくは25〜188μm程度とすればよい。なお、透明基材フィルムがPET樹脂で形成された場合、波長400nmの光に対する屈折率は1.72である。
<オリゴマー封止膜>
また、透明基材フィルムは、オリゴマーとして析出する環状三量体を封止するオリゴマー封止膜(プライマー層)によって被覆することが好ましい。これにより、オリゴマーの析出をより抑制することができる。オリゴマー封止膜は、金属元素を含む有機化合物およびバインダーポリマーを含有して成る。金属元素を含む有機化合物に関しては、特に限定されるわけではないが、好ましくは周期表中、IVA族、IIIB族に属する金属元素を有する有機化合物を用いるのがよく、中でも特にオリゴマー封止性に優れる点で、アルミニウム、チタン、ジルコニウムを含む有機化合物がよい。
アルミニウム元素を有する有機化合物の具体例としては、(CHO)Al、(CO)Al等のアルミニウムアルコラート、ステアリン酸、オクチル酸、安息香酸等のアルミニウム塩、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウム−ジ−n−ブトキシド−モノエチルアセトアセテート、アルミニウム−ジ−イソプロポキシド−モノメチルアセトアセテート、アルミニウム有機酸キレート等のアルミニウムキレートが例示される。その中でも、オリゴマー析出防止性が特に良好となる点で、アルミニウムキレートをオリゴマー封止膜中に含有することが好ましい。
チタン元素を有する有機化合物の具体例としては、例えば、テトラノルマルブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、テトラメチルチタネート等のチタンオルソエステル類;チタンアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナート、ポリチタンアセチルアセトナート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネート、チタンエチルアセトアセテート等のチタンキレート類等が挙げられる。
ジルコニウム元素を有する有機化合物の具体例としては、例えば、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムノルマルプロピレート、ジルコニウムノルマルブチレート、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムモノアセチルアセトナート、ジルコニウ
ムビスアセチルアセトナート等が挙げられる。上記金属元素を含む有機化合物は、一種類のみを用いてもよく、適宜、二種類以上を混合して用いてもよい。
オリゴマー封止膜中に含有される金属元素を含む有機化合物の含有量は、10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%、より好ましくは30〜70重量%とすればよい。10重量%未満ではオリゴマー析出防止効果が不十分となる場合がある。一方、90重量%を超えると不必要に多くなり、オリゴマー封止膜の光学性能が低下する傾向にある。
バインダーポリマーの具体例としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンイミン、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、でんぷん類、ポリウレタン、ポリアクリレート、塩素系ポリマー(ポリ塩化ビニル、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体等)等が挙げられる。上述のバインダーポリマーの中では、特にポリビニルアルコールを塗布層中に含有することによれば、オリゴマー析出防止性能がさらに向上するので好ましい。
オリゴマー封止膜中に含有されるバインダーポリマーの含有量は特に限定される訳ではないが、金属元素を含む有機化合物との合計含有量が100重量%を超えない範囲で、好ましくは10〜80重量%程度の範囲がよい。バインダーポリマーの含有量が10重量%未満では、物理強度が不十分となり傷つき易くなる場合がある。一方、80重量%を超えるとオリゴマー析出防止効果が不十分となる場合がある。また、バインダーポリマーの重合度は特に限定されるわけではないが、通常100以上、好ましくは300〜40000のものが用途上好適に用いられる。
また、オリゴマー封止膜中には、本発明の主旨を損なわない範囲において、架橋剤を併用してもよい。その具体例としては、メチロール化またはアルキロール化した尿素系、メラミン系、グアナミン系、アクリルアミド系、ポリアミド系化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、ブロックポリイソシアネート、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコ−アルミネートカップリング剤等が挙げられる。これらの架橋成分はバインダーポリマーと予め結合していてもよい。
さらに、オリゴマー封止膜の固着性、滑り性改良を目的として、無機系粒子を含有してもよい。その具体例としては、シリカ、アルミナ、カオリン、炭酸カルシウム、酸化チタン、バリウム塩等が挙げられる。また、必要に応じて消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、有機系高分子粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤発泡剤、染料等が含有されてもよい。
本発明において、オリゴマー封止膜の厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲あれば特に限定されるものではないが、好ましくは、5nm〜1000nm、さらに好ましくは5nm〜500nmの範囲である。オリゴマー封止膜が5nm未満の場合には、オリゴマー封止が不十分な場合があり、熱処理後、表面から析出するオリゴマー量が多く白化する場合がある。一方、1000nmを超えて塗布する場合には、滑り性低下等の不具合を生じる場合がある。
<高屈色調補正層>
高屈色調補正層は、屈折率と膜圧を所定の範囲(詳細は後述する)に調整することで、透明導電性フィルムの透過色の着色を抑えることができる。高屈色調補正層は、金属酸化物微粒子と、活性エネルギー線硬化型樹脂と、光重合開始剤とを含む高屈色調補正層用塗液を、活性エネルギー線(例えば紫外線、電子線)により硬化させた硬化物からなる。
活性エネルギー線硬化型樹脂は、高屈色調補正層のバインダーとなる。活性エネルギー線硬化型樹脂としては、(メタ)アクリレートの単官能単量体、多官能単量体の中から1種又は2種以上が選択して用いられる。単官能単量体として具体的には、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸(ポリ)エチレングリコール基含有(メタ)アクリル酸エステル等が好ましい。多官能単量体としては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物、ウレタン変性アクリレート等の(メタ)アクリロイル基を2個以上含む多官能重合性化合物等が挙げられる。なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。「(メタ)アクリル酸」や「(メタ)アクリロイル基」も同様である。活性エネルギー線硬化型樹脂は、波長400nmの光に対する屈折率が1.4〜1.7であることが好ましい。
活性エネルギー線硬化型樹脂は、高屈色調補正層中に10〜50wt%(溶媒を除く高屈色調補正層用塗液100重量部中に10〜50重量部)含まれる。活性エネルギー線硬化型樹脂の含有量が10wt%未満では、塗膜に対する活性エネルギー線硬化型樹脂の相対量が少なく塗膜がもろくなるため好ましくない。一方、活性エネルギー線硬化型樹脂の含有量が50wt%を超えると、高屈色調補正層の屈折率が所定の範囲外となるため好ましくない。
金属酸化物微粒子は、高屈色調補正層の屈折率を調整するために配合されるものである。このような金属酸化物微粒子としては、酸化チタンや酸化ジルコニウムが好ましい。波長400nmの光に対する酸化チタンや酸化ジルコニウムの屈折率は製法によって異なるが、1.9〜3.0である。
金属酸化物微粒子は、高屈色調補正層中に45〜85wt%(溶媒を除く高屈色調補正層用塗液100重量部中に45〜85重量部)含まれる。金属酸化物微粒子の含有量が45wt%未満では、高屈色調補正層の屈折率が所定の範囲外となるため好ましくない。一方、金属酸化物微粒子の含有量が85wt%を超えると、塗膜に対する金属酸化物微粒子の相対量が多くなり、塗膜がもろくなるため好ましくない。
光重合開始剤は、紫外線(UV)等の活性エネルギー線により高屈色調補正層用塗液を硬化させて塗膜を形成する際の重合開始剤として用いられる。光重合開始剤としては、活性エネルギー線照射により重合を開始するものであれば特に限定されず、公知の化合物を使用できる。例えば、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフェリノプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン等のアセトフェノン系重合開始剤、ベンゾイン、2,2−ジメトキシ1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のベンゾイン系重合開始剤、ベンゾフェノン、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系重合開始剤、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系重合開始剤等が挙げられる。
光重合開始剤は、溶媒を除く高屈色調補正層用塗液100重量部中に1〜10重量部含まれる。光重合開始剤の含有量が1重量部未満では、活性エネルギー線硬化型樹脂の硬化が不十分となる。一方、光重合開始剤の含有量が10重量部を超えると、光重合開始剤が不必要に多くなり好ましくない。
高屈色調補正層中、金属酸化物微粒子、活性エネルギー線硬化型樹脂、及び光重合開始剤の総和は、99〜100wt%である。これらの総和が99wt%の場合、塗面の均一性を向上するためにその他の添加物としてフッ素系やシリコン系のレベリング剤を1wt%未満添加することもできる。
高屈色調補正層用塗液の溶媒は、この種の色調補正フィルム等において各層形成用の塗液に従来から使用されている公知のものであれば特に制限は無く、例えばアルコール系、ケトン系、エステル系の溶媒が適時選択できる。
高屈色調補正層は、金属酸化物微粒子及び活性エネルギー線硬化型樹脂をそれぞれ上記範囲で含むことによって、波長400nmの光に対する屈折率が1.66〜1.76になるように形成される。高屈色調補正層の屈折率がこの範囲外では、JIS Z 8729に規定されているL*a*b表色系における透過色のb*の値が大きくなってしまい、透明導電性フィルムの透過色の黄色味が明瞭に認識されるようになる。また、高屈色調補正層の乾燥硬化後の膜厚は0.4〜1.5μmであることが必要である。高屈色調補正層の膜厚が0.4μm未満でも、L*a*b表色系における透過色のb*の値が大きくなってしまい、透明導電性フィルムの透過色の黄色味が明瞭に認識されるようになる。一方、高屈色調補正層の膜厚が1.5μmより大きい場合は、熱処理後の反りが大きくなってしまう。
[実施形態2]
本発明の色調補正フィルムでは、上記高屈色調補正層上に、これよりも屈折率の低い低屈色調補正層を積層することもできる。
<低屈色調補正層>
低屈色調補正層は、高屈色調補正層の屈折率との相対関係によって、色調補正フィルムないし透明導電フィルムの色調を補正(透過色の着色を抑制)する層である。低屈色調補正層は、シリカ微粒子と活性エネルギー線硬化型樹脂とを含む低屈色調補正層用塗液を、活性エネルギー線(例えば紫外線、電子線)により硬化させた硬化物からなる。
シリカ微粒子は、低屈色調補正層の屈折率を積極的に低減させるために配合されるものである。このようなシリカ微粒子としては、コロイダルシリカや中空シリカ微粒子が好ましい。波長400nmの光に対するコロイダルシリカ及び中空シリカ微粒子の屈折率は製法によって異なるが、1.25〜1.55であることが好ましい。シリカ微粒子は、低屈色調補正層中に20〜90wt%含まれることが好ましい。シリカ微粒子の含有量が20wt%未満では、低屈色調補正層の屈折率が所定の範囲(詳細は後述する)とすることが出来ない。一方、シリカ微粒子の含有量が90wt%より多いと、塗膜強度が弱くなる。
バインダーとして用いられる活性エネルギー線硬化型樹脂は、波長400nmの光に対する屈折率が1.4〜1.7であることが好ましい。活性エネルギー線硬化型樹脂としては、高屈色調補正層で使用する活性エネルギー線硬化型樹脂と同種のものを使用することができる。低屈色調補正層中の活性エネルギー線硬化型樹脂の含有量は5〜80wt%程度である。
低屈色調補正層用塗液、は光重合開始剤も含む。当該光重合開始剤も、高屈色調補正層用塗液で使用する光重合開始剤と同種のものを使用すればよい。光重合開始剤は、低屈色調補正層用塗液中に1〜10wt%含まれることが好ましい。低屈色調補正層用塗液における光重合開始剤の含有量が1wt%未満では活性エネルギー線硬化型樹脂の硬化が不十分となり、10wt%を超えると不必要に多くなり好ましくない。
低屈色調補正層は、シリカ微粒子及び活性エネルギー線硬化型樹脂をそれぞれ波長400nmの光に対する屈折率が1.33〜1.53となるように配合されることで形成される。低屈色調補正層の屈折率が1.33未満の場合は、塗膜中の粒子の割合が多くなり、ヘイズ値が上昇してしまうため全光線透過率が低下する。また、低屈色調補正層の屈折率が1.53より大きい場合は、JIS Z 8729に規定されているL*a*b表色系における透過色のb*の値が大きくなってしまい、透明導電性フィルムの透過色の黄色味が明瞭に認識されるようになる。また、低屈色調補正層の乾燥硬化後の膜厚は10〜55nmであることが必要である。低屈色調補正層の膜厚がこの範囲外では、b*の値が大きくなってしまい、透明導電性フィルムの透過色の黄色味の着色が明瞭に認識されるようになる。
<各層の形成方法>
高屈色調補正層は、透明基材フィルムに高屈色調補正層用塗液を塗布した後に、活性エネルギー線照射により硬化することで形成される。当該高屈色調補正層上へさらに低屈色調補正層も積層する場合は、形成された高屈色調補正層上に低屈色調補正層用塗液を塗布した後に、活性エネルギー線照射により硬化することで形成される。高屈色調補正層用塗液、低屈色調補正層用塗液の塗布方法は特に制限されず、例えばロールコート法、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ダイコート法、インクジェット法、グラビアコート法等公知のいかなる方法も採用できる。また、活性エネルギー線の種類は特に制限されないが、利便性等の観点から紫外線を用いることが好ましい。なお、高屈色調補正層の密着性を向上させるために、予め透明基材フィルム表面にコロナ放電処理等の前処理を施すことも可能である。
≪透明導電性フィルム≫
透明導電性フィルムは、上記実施形態1の色調補正フィルムでは高屈色調補正層に、上記実施形態2の色調補正フィルムでは低屈色調補正層上に、それぞれ錫ドープ酸化インジウム層を有する。透明導電性フィルムの透過光の着色は、JIS Z 8729に規定されるLab表色系のb*で評価でき、好ましくは−1≦b*≦1である。b*>1の場合、透明導電性フィルムが黄色に着色して見えるため好ましくない。一方、b*<−1の場合、透明導電性フィルムが青色に着色して見えるため好ましくない。
透明導電性フィルムの全光線透過率は、好ましくは88%以上である。全光線透過率が88%未満の場合、視認性が悪化するため好ましくない。また、ヘイズ値は1%未満である。ヘイズ値が1%以上の場合、白化し視認性が悪化するため好ましくない。
<錫ドープ酸化インジウム層>
錫ドープ酸化インジウム層(ITO層)は透明導電層であり、波長400nmの光に対する屈折率が1.85〜2.35、膜厚が5〜50nmである。屈折率がこの範囲を外れると、高屈色調補正層や低屈色調補正層との光学干渉が適切に作用しなくなるため、透明導電性フィルムの透過色が着色を呈し、全光線透過率も低下する。ITO層の膜厚が5nmより薄い場合は、ITO層を均一の厚みに成形することが難しく、安定した抵抗が得られないため好ましくない。また、ITO層の膜厚が50nmより厚い場合は、ITO層自身による光の吸収が強くなり、透過色の着色低減効果が薄れると共に、全光線透過率が小さくなる傾向があるため好ましくない。
<錫ドープ酸化インジウム層の形成>
錫ドープ酸化インジウム層の製膜方法は特に限定されず、例えば蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法を採用できる。これらの中では、層の厚み制御の観点より蒸着法及びスパッタリング法が特に好ましい。尚、錫ドープ酸化インジウム層を形成した後に、100℃〜200℃の範囲内でアニール処理を施して結晶化する。具体的には、高い温度で結晶化すると錫ドープ酸化インジウム層の屈折率は小さくなる傾向を示す。従って、錫ドープ酸化インジウム層の屈折率は、アニール処理の温度と時間を制御することで調整可能である。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の範囲に限定されるものではない。また、各例における、屈折率、透過色、全光線透過率、膜厚、ヘイズ値は下記に示す方法により測定した。
<屈折率(高屈色調補正層、低屈色調補正層)>
(1)波長400nmの光に対する屈折率が1.72のPETフィルム(商品名「A4100」、東洋紡績株式会社製)上に、ディップコーター(杉山元理化学機器株式会社製)により、各層用塗液をそれぞれ乾燥硬化後の膜厚で100〜500nm程度になるように層の厚さを調整して塗布した。
(2)乾燥後、紫外線照射装置(岩崎電気株式会社製)により窒素雰囲気下で120W高圧水銀灯を用いて、400mJの紫外線を照射して硬化した。硬化後のPETフィルム裏面をサンドペーパーで荒らし、黒色塗料で塗りつぶしたものを反射分光膜厚計(「FE-3000」、大塚電子株式会社製)により、反射スペクトルを測定した。
(3)反射スペクトルより読み取った反射率から、下記に示すn-Cauchyの波長分散式(式1)の定数を求め、光の波長400nmにおける屈折率を求めた。
N(λ)=a/λ+b/λ+c (式1)
(N:屈折率、λ:波長、a、b、c:波長分散定数)
<屈折率(ITO層)>
(1)波長400nmの光に対する屈折率が1.72のPETフィルム(商品名「A4100」、東洋紡績株式会社製)上にインジウム:錫=10:1のITOターゲットを用いてスパッタリングを行い、実膜厚20nmの透明導電層としての錫ドープ酸化インジウム層(ITO層)を形成し、下記実施例および比較例のそれぞれの条件でアニーリングを施し、透明導電性フィルムを作製した。
(2)上記透明導電性フィルム裏面をサンドペーパーで荒らし、黒色塗料で塗りつぶしたものを反射分光膜厚計(「FE-3000」、大塚電子株式会社製)により、反射スペクトルを測定した。
(3)反射スペクトルより読み取った反射率から、上記(式1)を用いて、光の波長400nmにおける屈折率を求めた。
なお、各表(後述)に記載の各層の屈折率は、上記屈折率測定用サンプルから求めた屈折率である。
<透過色>
色差計(「SQ−2000」、日本電色工業株式会社製)を用いて透明導電性フィルムの透過色、b*を測定した。このb*は、JIS Z 8729に規定されているL*a*b*表色系における値である。
<全光線透過率・ヘイズ値>
ヘイズメーター(「NDH2000」、日本電色工業株式会社製)により透明導電性フィルムの全光線透過率(%)及びヘイズ値を測定した。
<熱処理後の反り>
縦50mm、横100mmにカットした透明導電性フィルムを150℃の恒温槽に1時間静置して熱処理を行う。その後、図1に示すように、透明導電性フィルムを平坦面にITO層を上にして置き、四隅の反り上がり量(1)、(2)、(3)及び(4)を測定し、それらの平均値(反り平均値)を測定する。反りの平均値が10mm未満を○、反りの平均値が10mm以上を×、として判定した。
〔オリゴマー封止膜用組成物(E−1)の調整〕
下記原料を混合し、オリゴマー封止膜用組成物(E−1)を調整した。
・チタン元素を含む有機化合物:チタンラクテート TC−310(松本製薬工業社製) 50重量%
・PVA系樹脂:けん化度=88モル%、重合度=500のポリビニルアルコール 25重量%
・架橋剤:ガンマ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン 20重量%
・粒子:平均粒径65nmのシリカゾル 5重量%
〔オリゴマー封止膜組成物(E−2)の調整〕
下記原料を混合し、オリゴマー封止膜用組成物(E−2)を調整した。
・高屈折率微粒子分散液[商品名:酸化チタンスラリー(固形分20%分散液)CIKナノテック(株)製]0.9重量%
・ポリエステル樹脂の水分散体20.7重量%
・水78.4重量%
〔高屈色調補正層の調製〕
高屈色調補正層用塗液として以下の原料を使用し、各原料を下記表1に記載した組成で混合して、高屈色調補正層用塗液C−1〜C−5を調製した。得られた高屈色調補正層用塗液C−1〜C−5を用いて形成される高屈色調補正層の屈折率を測定した。その結果も表1に示す。
金属酸化物微粒子として、酸化ジルコニウム微粒子分散液(シーアイ化成(株)製 ZRMEK25%−F47)または酸化チタン微粒子分散液(シーアイ化成(株)製 RTTMIBK15WT%−N24)を使用した。また活性エネルギー線硬化型樹脂として、6官能ウレタンアクリレートである(日本合成化学工業(株)製紫光UV−7600B)を使用した。金属酸化物微粒子及び活性エネルギー線硬化型樹脂と、光重合開始剤と、溶媒とを、重量比で95:5:100の割合で混合した。光重合開始剤として、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製IRGACURE184(I−184)を使用した。また溶媒としてメチルイソブチルケトンを使用した。
Figure 2015114473
〔低屈色調補正層用塗液の調製〕
低屈色調補正層用塗液として以下の原料を使用し、各原料を下記表2に記載した組成で混合して、低屈色調補正層用塗液L−1〜L−5を調製した。得られた低屈色調補正層用塗液L−1〜L−5を用いて形成される低屈色調補正層の屈折率を測定した。その結果を表2に示す。
シリカ微粒子として、扶桑化学工業(株)製「PL−1」または日揮触媒化成(株)製 アクリル修飾中空シリカ微粒子「スルーリアNAU」を使用した。また金属酸化物微粒子として、酸化ジルコニウム微粒子分散液(シーアイ化成(株)製 ZRMEK25%−F47)を使用した。また、活性エネルギー線硬化型樹脂として、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製DPHA)を使用した。光重合開始剤として、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製IRGACURE907(I−907)を使用した。溶媒として、イソプロピルアルコールを使用した。微粒子成分(シリカ微粒子又は金属酸化物微粒子)及び活性エネルギー線硬化型樹脂と、光重合開始剤と、溶媒とを、重量比で95:5:4000の割合で混合した。
Figure 2015114473
[透明基材フィルム(低オリゴマーポリエステルフィルム(PET−OL1))の形成]
テレフタル酸ジメチル100重量部、エチレングリコール60重量部とを出発原料とし、テレフタル酸ジメチル量100重量部に対して酢酸マグネシウム0.09重量部、三酸化二アンチモン0.008重量部を添加して、加熱昇温してエステル交換反応を行なった。次いで、該エステル交換反応生成物に、テレフタル酸ジメチル量100重量部に対して、リン酸トリメチル0.026重量部を添加した後、重縮合反応層に移行する。次いで、加熱昇温しながら反応系を徐々に減圧して1mmHgの減圧下、290℃で重合し、固有粘度0.54のポリエステルを得た。その得たポリエステルを、1mmHgの減圧下、225℃で30時間加熱処理することにより固相重合を行ない、固有粘度1.1のポリエステルCを得た。
上記ポリエステルCを押出機に供給し、各々285℃で溶融した後、40℃に冷却したキャスティングドラム上に押出し次いで、リニアモーター駆動式の同時二軸延伸機を有するテンターに導いて、さらに95℃の熱風で予熱・加温を行い、95℃で縦方向3.5倍、横方向4.3倍に同時二軸延伸を行った。その後、両面にオリゴマー封止膜用組成物(E−2)をロールコーターにて均一に塗布し、同じテンター内で240℃の熱風雰囲気下で3秒間、熱固定を行い、同じ温度で縦方向および横方向に各々3%弛緩処理を行った後、フィルムをロール状に巻き上げることで、オリゴマー封止膜によって被覆された、厚さ100μmの積層低オリゴマーポリエステルフィルム(PET−OL1)を得た。尚、オリゴマー封止膜の膜厚は両面ともに80nmであった。
[透明基材フィルム(低オリゴマーポリエステルフィルム(PET−OL2))の形成]
[ポリエステルAの調整]
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒としてテトラブトキシチタネート0.01重量部を加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物を重縮合槽に移し、平均粒子径2.5μmのシリカ粒子のエチレングリコールスラリーを、粒子のポリエステルに対する含有量が0.06重量%となるように添加し、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、固有粘度0.55に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、固有粘度0.55のポリエステルを得た。その得たポリエステルを1mmHgの減圧下、220℃で30時間加熱処理することにより固相重合を行い、固有粘度0.67のポリエステルAを得た。
[ポリエステルBの調整]
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.09重量部を加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物を重縮合槽に移し、正リン酸0.02部を添加した後、二酸化ゲルマニウム0.02部加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、固有粘度0.63に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、固有粘度は0.63のポリエステルBを得た。
上記ポリエステルA,Bをそれぞれ95重量%、5重量%の割合で混合した混合原料を押出機に供給し、各々285℃で溶融した後、40℃に冷却したキャスティングドラム上に押出し、冷却固化させて無配向シートを得た。次いで、リニアモーター駆動式の同時二軸延伸機を有するテンターに導いて、さらに95℃の熱風で予熱・加温を行い、95℃で縦方向3.5倍、横方向4.3倍に同時二軸延伸を行った。その後、片面にオリゴマー封止膜用組成物(E−1)、他面にオリゴマー封止膜用組成物(E−2)をロールコーターにて均一に塗布し、同じテンター内で240℃の熱風雰囲気下で3秒間、熱固定を行い、同じ温度で縦方向および横方向に各々3%弛緩処理を行った後、フィルムをロール状に巻き上げることで、オリゴマー封止膜によって被覆された、厚さ100μmの積層低オリゴマーポリエステルフィルム(PET−OL2)を得た。尚、オリゴマー封止膜の膜厚は両面ともに80nmであった。
(実施例1−1)
低オリゴマーポリエステルフィルム(PET−OL1)の一方の面に、高屈色調補正層用塗液(C−1)をバーコーターにて塗布し、120W高圧水銀灯にて400mJの紫外線を照射して硬化させることにより高屈色調補正層を形成し、色調補正フィルムを作製した(下記表3を参照)。
(実施例1−2〜実施例1−5)
高屈色調補正層を下記表3に記載した材料及び膜厚とした以外は、実施例1−1と同様にして、色調補正フィルムを作製した。
(実施例1−6)
透明基材フィルムを低オリゴマーポリエステルフィルム(PET−OL2)とした以外は、実施例1−1と同様にして、色調補正フィルムを作製した。
Figure 2015114473
(実施例2−1)
低オリゴマーポリエステルフィルム(PET−OL1)の一方の面に、高屈色調補正層用塗液(C−1)をバーコーターにて塗布し、120W高圧水銀灯にて400mJの紫外線を照射して硬化させることによりハードコート層を形成した。続いて、上記ハードコート層上に、低屈色調補正層用塗液(L−1)をバーコーターにて塗布し、120W高圧水銀灯にて400mJの紫外線を照射して硬化させることにより低屈色調補正層を形成し、色調補正フィルムを作製した(下記表4を参照)。
(実施例2−2〜実施例2−9)
高屈色調補正層、低屈色調補正層を下記表4に記載した材料及び膜厚とした以外は、実施例2−1と同様にして、色調補正フィルムを作製した。
(実施例2−10)
透明基材フィルムを低オリゴマーポリエステルフィルム(PET−OL2)とした以外は、実施例2−1と同様にして、色調補正フィルムを作製した。
Figure 2015114473
(実施例3−1)
実施例1−1の色調補正フィルムの高屈色調補正層上に、インジウム:錫=10:1のITOターゲットを用いてスパッタリングを行うことにより、膜厚が20nmの錫ドープ酸化インジウム層(ITO層)を形成し、150℃、30分のアニール処理を施し、透明導電性フィルムを作製した。得られた透明導電性フィルムについて透過色b*、全光線透過率、ヘイズ値、熱処理後の反りを前記方法で測定した。その結果を下記表5に示す。
(実施例3−2〜実施例3−6)
色調補正フィルムとして表5に示すものを使用した以外は、実施例3−1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。
(実施例3−7)
実施例1−1の色調補正フィルムの高屈色調補正層上に、インジウム:錫=10:1のITOターゲットを用いてスパッタリングを行うことにより、膜厚が30nmの錫ドープ酸化インジウム層(ITO層)を形成し、150℃、100分のアニール処理を施し、透明導電性フィルムを作製した。
(実施例3−8)
実施例1−1の色調補正フィルムの高屈色調補正層上に、インジウム:錫=10:1のITOターゲットを用いてスパッタリングを行うことにより、膜厚が20nmの錫ドープ酸化インジウム層(ITO層)を形成し、120℃、60分のアニール処理を施し、透明導電性フィルムを作製した。
Figure 2015114473
(実施例4−1)
実施例2−1の色調補正フィルムの低屈色調補正層上に、インジウム:錫=10:1のITOターゲットを用いてスパッタリングを行うことにより、膜厚が20nmの錫ドープ酸化インジウム層(ITO層)を形成し、150℃、30分のアニール処理を施し、透明導電性フィルムを作製した。得られた透明導電性フィルムについて透過色b*、全光線透過率、ヘイズ値、熱処理後の反りを前記方法で測定した。その結果を下記表6に示す。
(実施例4−2〜実施例4−10)
色調補正フィルムとして表6に示すものを使用した以外は、実施例3−1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。
(実施例4−11)
実施例2−1の色調補正フィルムの低屈色調補正層上に、インジウム:錫=10:1のITOターゲットを用いてスパッタリングを行うことにより、膜厚が30nmの錫ドープ酸化インジウム層(ITO層)を形成し、150℃、100分のアニール処理を施し、透明導電性フィルムを作製した。
(実施例4−12)
実施例2−1の色調補正フィルムの低屈色調補正層上に、インジウム:錫=10:1のITOターゲットを用いてスパッタリングを行うことにより、膜厚が20nmの錫ドープ酸化インジウム層(ITO層)を形成し、120℃、60分のアニール処理を施し、透明導電性フィルムを作製した。
Figure 2015114473
(比較例1−1〜比較例1−4)
高屈色調補正層を下記表7に記載した材料及び膜厚とした以外は、実施例1−1と同様にして、色調補正フィルムを作製した。
(比較例1−5)
低オリゴマーポリエステルフィルム(PET−OL1)の変わりに、東洋紡社製PETフィルム「A4100」を用いた以外は、実施例1−1と同様にして、色調補正フィルムを作製した。
Figure 2015114473
(比較例2−1〜比較例2−7)
高屈色調補正層、低屈色調補正層を下記表8に記載した材料及び膜厚とした以外は、実施例2−1と同様にして、色調補正フィルムを作製した。
(比較例2−8)
低オリゴマーポリエステルフィルム(PET−OL1)の変わりに、東洋紡社製PETフィルム「A4100」を用いた以外は、実施例2−1と同様にして、色調補正フィルムを作製した。
Figure 2015114473
(比較例3−1〜比較例3−5)
色調補正フィルムとして表9に示すものを使用した以外は、実施例2−1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。得られた透明導電性フィルムについて透過色b*、全光線透過率、ヘイズ値、熱処理後の反りを前記方法で測定した。その結果を下記表9に示す。
(比較例3−6)
実施例1−1の色調補正フィルムの高屈色調補正層上に、インジウム:錫=10:1のITOターゲットを用いてスパッタリングを行うことにより、膜厚が30nmの錫ドープ酸化インジウム層(ITO層)を形成し、150℃、130分のアニール処理を施し、透明導電性フィルムを作製した。
(比較例3−7)
実施例1−1の色調補正フィルムの高屈色調補正層上に、インジウム:錫=10:1のITOターゲットを用いてスパッタリングを行うことにより、膜厚が20nmの錫ドープ酸化インジウム層(ITO層)を形成し、100℃、60分のアニール処理を施し、透明導電性フィルムを作製した。
(比較例3−8)
実施例1−1の色調補正フィルムの高屈色調補正層上に、インジウム:錫=10:1のITOターゲットを用いてスパッタリングを行うことにより、膜厚が70nmの錫ドープ酸化インジウム層(ITO層)を形成し、150℃、30分のアニール処理を施し、透明導電性フィルムを作製した。
Figure 2015114473
(比較例4−1〜比較例4−8)
色調補正フィルムとして表10に示すものを使用した以外は、実施例4−1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。得られた透明導電性フィルムについて透過色b*、全光線透過率、ヘイズ値、熱処理後の反りを前記方法で測定した。その結果を下記表10に示す。
(比較例4−9)
実施例2−1の色調補正フィルムの低屈色調補正層上に、インジウム:錫=10:1のITOターゲットを用いてスパッタリングを行うことにより、膜厚が30nmの錫ドープ酸化インジウム層(ITO層)を形成し、150℃、130分のアニール処理を施し、透明導電性フィルムを作製した。
(比較例4−10)
実施例2−1の色調補正フィルムの低屈色調補正層上に、インジウム:錫=10:1のITOターゲットを用いてスパッタリングを行うことにより、膜厚が20nmの錫ドープ酸化インジウム層(ITO層)を形成し、100℃、60分のアニール処理を施し、透明導電性フィルムを作製した。
(比較例4−11)
実施例2−1の色調補正フィルムの低屈色調補正層上に、インジウム:錫=10:1のITOターゲットを用いてスパッタリングを行うことにより、膜厚が70nmの錫ドープ酸化インジウム層(ITO層)を形成し、150℃、30分のアニール処理を施し、透明導電性フィルムを作製した。
Figure 2015114473
(結果および考察)
実施例3−1〜3−8では、高屈色調補正層及び錫ドープ酸化インジウム層の屈折率と膜厚の相対バランスが好適であることから、透過色b*の値が小さく、着色を十分に抑え、優れた全光線透過率を実現するとともに、熱処理後の反りの小さな透明導電性フィルムとすることが出来た。
実施例4−1〜4−12でも、高屈色調補正層及び低屈色調補正層、錫ドープ酸化インジウム層の屈折率と膜厚の相対バランスが好適であることから、透過色b*の値が小さく、着色を十分に抑え、優れた全光線透過率を実現するとともに、熱処理後の反りの小さな透明導電性フィルムとすることが出来た。
更に、実施例3−1〜3−8、及び実施例4−1〜4−12では、透明基材フィルムとして、オリゴマー低析出ポリエステルフィルムを用いていることから、白化を抑制しヘイズを低くすることが出来た。
その一方、比較例3−1、比較例3−3〜3−4、比較例3−6〜3−8は、高屈色調補正層、錫ドープ酸化インジウム層の屈折率、及び膜厚のいずれかの相対バランスが悪いため、透過色b*の値が大きく、透明導電性フィルムが着色する、若しくは、全光線透過率が低い結果となった。
比較例4−1〜4−4、比較例4−6〜4−7、比較例4−9〜4−11は、高屈色調補正層、低屈色調補正層、錫ドープ酸化インジウム層の屈折率、及び膜厚のいずれかの相対バランスが悪いため、透過色b*の値が大きく、透明導電性フィルムが着色する、若しくは、全光線透過率が低い、若しくは、ヘイズ値が高い結果となった。
比較例3−2、比較例4−5では、高屈色調補正層の膜厚が大きすぎるため、熱処理後の反りが大きい結果となった。比較例3−5、比較例4−8では、オリゴマー低析出ポリエステルフィルムを使用していないため、ヘイズが高い結果となった。

Claims (5)

  1. 透明基材フィルムの一方の面上に、高屈色調補正層が積層されている色調補正フィルムであって、
    前記高屈色調補正層は、金属酸化物微粒子と活性エネルギー線硬化型樹脂とを含み、波長400nmの光に対する屈折率が1.66〜1.76、膜厚が0.4〜1.5μmであり、
    前記透明基材フィルムが、オリゴマー低析出ポリエステルフィルムであることを特徴とする、色調補正フィルム。
  2. 前記透明基材フィルムが、環状三量体の含有量が1.0wt%未満の低オリゴマーポリエステルフィルムであることを特徴とする、請求項1に記載の色調補正フィルム。
  3. 前記透明基材フィルムが、オリゴマーの析出を封止するオリゴマー封止膜によって被覆されている、請求項1または請求項2に記載の色調補正フィルム。
  4. 前記高屈色調補正層上に低屈色調補正層が積層されており、
    前記低屈色調補正層は、シリカ微粒子と活性エネルギー線硬化型樹脂とを含み、波長400nmの光に対する屈折率が1.33〜1.53、膜厚が10〜55nmである、請求項1ないし請求項3のいずれかに色調補正フィルム。
  5. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の色調補正フィルムの前記高屈色調補正層上、または請求項4に記載の色調補正フィルムの前記低屈色調補正層上に、錫ドープ酸化インジウム層が積層されており、
    前記錫ドープ酸化インジウム層は、波長400nmの光に対する屈折率が1.85〜2.35、膜厚が5〜50nmである、透明導電性フィルム。

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