JP2015112653A - 帯鋸の加工装置、帯鋸の加工方法および帯鋸 - Google Patents
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Abstract
【課題】 簡単な操作で、溶接部の良好な圧延加工ができる帯鋸の加工装置、帯鋸の加工方法および帯鋸を提供すること。【解決手段】 両端部を溶接することによって環状に形成された帯鋸30の溶接部31を圧延加工する加工装置Aに、回転軸14c,16cを平行させて上下に設置された上側ロール18と下側ロール17を設けた。そして、帯鋸30の周方向を上側ロール18と下側ロール17の軸方向に沿わせて、帯鋸30を上側ロール18と下側ロール17の間に設置し、下側ロール17を回転させることにより帯鋸30が溶接部31の長手方向に沿った幅方向に移動するようにした。【選択図】 図1
Description
本発明は、切断装置の鋸取付部に取り付けられて回転することにより被切断物を切断加工する帯鋸に圧延加工を施すための帯鋸の加工装置、帯鋸の加工方法および帯鋸に関する。
従来から、切断装置の鋸取付部に環状に形成された帯鋸を取り付けて回転させることにより被切断物を切断する切断装置が用いられている。この切断装置で用いられる帯鋸は、所定の幅を備え長手方向の一方に刃が形成された細長い板状の鋸の両端部を溶接で溶着することにより環状に形成されている。この帯鋸を製造する際には、歪みをなくして帯鋸の走行を安定させたり切削精度を向上させたりするために、帯鋸を長手方向にロールで圧延する、いわゆる「腰入れ」が行われる(例えば、特許文献1参照)。
この腰入れは、帯鋸を上方から押圧する上部ロールと、帯鋸を下方から押圧する下部ロールを備えた帯鋸用ロール機を用いて行われており、上部ロールと下部ロールの幅方向に帯鋸の幅を揃えて帯鋸を設置し、両ロールの回転により、帯鋸を周方向に走行させながら押圧している。また、下部ロールは、調整ネジの操作によって上部ロールに対して前後に移動可能になっており、下部ロールの位置を調整することにより、帯鋸の被押圧部が上方に撓んだり下方に撓んだりすることを防止している。
しかしながら、帯鋸には、溶接部があり、この溶接部は、熱影響により内部応力が不均一になって歪みが生じ易くなっている。また、溶接後にビードを削る処理が行われるが、溶接部は帯鋸の他の部分よりも膨らんだ状態になっている。このため、この溶接部を両ロールの押圧により歪みのない平坦面にする必要があるが、このような場合、従来は、帯鋸を両ロールに対して幅方向に位置をずらしながら周方向に移動させて溶接部を圧延加工することが行われている。このため、小刻みに何度も圧延加工を繰り返さなければならず、作業が煩雑になるという問題が生じていた。また、溶接部だけを圧延加工することが難しく、帯鋸における溶接部の近傍の母材部分を必要以上に押圧してしまい、不要な残留応力が発生してしまうという問題も生じていた。
本発明は、前述した問題に対処するためになされたもので、その目的は、簡単な操作で、溶接部の良好な圧延加工ができる帯鋸の加工装置、帯鋸の加工方法およびそれによって得られる帯鋸を提供することである。なお、下記本発明の各構成要件の記載においては、本発明の理解を容易にするために、実施形態の対応箇所の符号を括弧内に記載しているが、本発明の構成要件は、実施形態の符号によって示された対応箇所の構成に限定解釈されるべきものではない。
前述した目的を達成するため、本発明に係る帯鋸の加工装置の構成上の特徴は、軸部(14c,16c)を平行させて上下に設置された下側ロール(17)と上側ロール(18)からなる一対のロールを備え、両端部を溶接することによって環状に形成された帯鋸(30)を、一対のロールの間に配置して一対のロールを軸周り方向に回転させることにより帯鋸の溶接部(31)を圧延加工する帯鋸の加工装置(A)であって、帯鋸の周方向を一対のロールの軸方向に沿わせて、帯鋸を一対のロール間に設置し、一対のロールを回転させることにより帯鋸が溶接部の長手方向に沿った幅方向に移動するようにしたことにある。
本発明に係る帯鋸の加工装置は、下側ロールと上側ロールからなる一対のロールの軸方向に帯鋸の幅方向を合わせて、一対のロールの回転により帯鋸を周方向に移動させるのではなく、一対のロールの軸方向に帯鋸の周方向を合わせて、一対のロールの回転により帯鋸を幅方向に移動させるようにしている。このため、帯鋸の溶接部を歪みのない平坦面に圧延加工する際に、帯鋸を一対のロールに対して幅方向に位置を少しずつずらしながら周方向に何度も移動させて溶接部を押圧するといった煩雑な作業をすることなく、帯鋸を幅方向に一回移動させるだけの操作で溶接部全体を圧延加工できる。これによって、帯鋸の溶接部を歪みのない平坦面に加工する作業が極めて簡単になる。また、従来の方法によると、溶接部だけでなく溶接部の両側の母材部分も押圧により圧延されて不要な残留応力が発生することがあるが、本発明によるとこのようなことは生じなくなる。
本発明に係る帯鋸の加工装置の他の構成上の特徴は、上下に間隔を保ってそれぞれ前後に延びる下部支持台(10a)と上部支持片(12)との後端部を上下に延びる後部連結片(11)で連結して支持台(10)を構成し、下部支持台に軸部(14c)を左右に向けた状態で下側ロールを支持させるとともに、上部支持片に軸部(16c)を左右に向け下側ロールとの間隔を位置調整手段(12a,15)を介して調整可能な状態で上側ロールを支持させ、さらに、下側ロールの最上部および上側ロールの最下部と、後部連結片との間の距離を帯鋸の幅よりも長くしたことにある。
本発明によると、下側ロールと上側ロールを簡単な構造の支持台で支持できる。また、上側ロールと下側ロールの間隔の調整は、上側ロールを位置調整手段を介して上部支持片に支持させることにより可能になる。この位置調整手段としては、例えば、上部支持片にネジ穴を設けて、このネジにネジを螺合させ、このネジに所定の取付部材を介して上側ロールを取り付けてネジと上側ロールが一緒に上下移動するように構成したものを用いることができる。これによると、厚みの異なる複数種類の帯鋸の加工が可能になる。また、帯鋸を圧延加工する際の圧力を調整することもできる。
本発明に係る帯鋸の加工装置のさらに他の構成上の特徴は、一対のロールのうちの一方のロールの外周部の幅を1.5mm〜10mmに設定し、他方のロールの外周部の幅を一方のロールと同じかそれよりも長くしたことにある。
本発明によると、下側ロールと上側ロールからなる一対のロールの少なくとも一方のロールの外周部の幅を、通常帯鋸に形成される溶接部の幅に対応した長さに設定できるため、ロールを必要以上に大きくすることがなくなる。この場合、一対のロールの外周部の幅は同じであっても異なっていてもよいが、異なる場合、帯鋸の溶接部を圧接するのは、一対のロールのうちの外周部の幅が狭いロールと、外周部の幅が広いロールにおける外周部の幅が狭いロールに対向する部分になる。このため、一方のロールの外周部の幅を溶接部の幅に対応させておけば、他方のロールの外周部の幅は自由に設定できる。
本発明に係る帯鋸の加工装置のさらに他の構成上の特徴は、一対のロールのうちの一方のロールの軸方向に沿った断面の外周部を曲率半径が50mm〜300mmの円弧状に形成し、他方のロールの軸方向に沿った断面の外周部を曲率半径が一方のロールの曲率半径と同じかそれよりも長い円弧状または直線状にしたことにある。
本発明によると、帯鋸における他の部分よりも歪んだり盛り上がったりした溶接部をより効果的に圧延加工することができる。この場合、下側ロールと上側ロールからなる一対のロールのうちの一方のロールだけであっても外周部の曲率半径が小さすぎると溶接部が溝状に窪んでしまい、両方のロールの外周部の曲率半径が大きすぎて平面に近くなると溶接部を圧延加工するときの効果が出にくくなって効果的な圧延加工ができなくなる。本発明のように、一方のロールにおける軸方向に沿った断面の外周部を曲率半径が50mm〜300mmの円弧状に形成し、他方のロールの軸方向に沿った断面の外周部を曲率半径が一方のロールの曲率半径と同じかそれよりも長い円弧状または直線状にすることにより、効果的な圧延加工が可能になる。
また、本発明に係る帯鋸の加工方法の構成上の特徴は、前述した帯鋸の加工装置を用いて、両端部を溶接することによって環状に形成された帯鋸の溶接部を圧延加工する帯鋸の加工方法であって、帯鋸の周方向を一対のロールの軸方向に沿わせて、帯鋸を一対のロール間に設置し、一対のロールを回転させて帯鋸を幅方向に移動させることにより、帯鋸の溶接部を圧延する溶接部圧延工程を備えたことにある。
本発明によると、一対のロールの回転により帯鋸を幅方向に移動させて溶接部を圧延加工するため、従来のように、帯鋸を一対のロールに対して幅方向に位置をずらしながら周方向に何度も移動させて溶接部を圧延加工するといった煩雑な作業をする必要が無くなる。これによって、帯鋸の溶接部を歪みのない平坦面に加工する作業が極めて簡単になる。また、溶接部の両側の母材部分を必要以上に圧延することにより不要な残留応力が発生して歪みが生じ強度が低下することも防止できる。
また、本発明に係る帯鋸の構成上の特徴は、前述した帯鋸の加工装置を用いて、両端部を溶接することによって環状に形成された圧延加工前の帯鋸の溶接部を圧延加工して得られる帯鋸であって、圧延加工前の帯鋸の周方向を一対のロールの軸方向に沿わせて、圧延加工前の帯鋸を一対のロール間に設置し、一対のロールを回転させて圧延加工前の帯鋸を幅方向に移動させることにより、圧延加工前の帯鋸の溶接部を圧延して得られたことにある。
本発明によると、一対のロールの回転により圧延加工前の帯鋸を幅方向に移動させて溶接部を圧延加工することにより帯鋸を得るため、従来のように、圧延加工前の帯鋸を一対のロールに対して幅方向に位置をずらしながら周方向に何度も移動させて溶接部を圧延加工するといった煩雑な作業をする必要が無くなる。これによって、帯鋸の溶接部を歪みのない平坦面に加工する作業が極めて簡単になる。また、溶接部の両側の母材部分を必要以上に圧延することにより不要な残留応力が発生することを防止できる。
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る加工装置Aを示しており、この加工装置Aは、支持台10、支持台10にそれぞれ支持された下側ロール17と上側ロール18、下側ロール17を回転駆動させるモータ19(図2参照)および移動クランプ機構20を備えている。以下の説明では、加工装置Aの前後、左右および上下の各方向は、図1に示した状態に基づいたものとし、図1における左下方が前方で右上方が後方、左上方が左側で右下方が右側とする。
支持台10は、前後に延びる下部支持台10aと、下部支持台10aの後端から上方に延びる後壁部11と、後壁部11の上端から下部支持台10aに平行して前方に延びる上部支持片12からなるコ字状の高強度の台部材で構成されている。また、下部支持台10aの前面と上部支持片12の前面との間には前カバー13が設置されている。下部支持台10aは、前部側内部が空間になり前面が開口した箱状に形成されており、天井部10bの前後方向および左右方向の中央には、左右よりも前後が長くなって天井部10bを上下に貫通する矩形の窓部10cが形成されている。そして、窓部10cから上方に上部を突出させた状態で、下側ロール17が下部支持台10aの内部に設置されている。
下側ロール17は、図3および図4(a),(b)に示したように、中心に左右に貫通する軸固定穴17aが設けられた略円板状に形成されており、外径が60〜120mm、厚みが8〜20mmで、軸固定穴17aの直径が約30mmに設定されている。この軸固定穴17aには、後述する直径が約30mmの回転軸14cが両端を下側ロール17の両側に突出させた状態で固定されている。また、下側ロール17の外周面17bにおける軸方向に沿った部分(軸方向に沿った断面の外周部で、図4(a)の外周部と同じ形状)は、曲率半径が80mmの円弧状に形成されている。この下側ロール17は、図2に示したように、下部支持台10aの内部に設置された下側ロール支持部14に回転自在に支持されている。
下側ロール支持部14は、左右に間隔を保って下部支持台10a内の底部から上方に延びる一対の支持片14a,14bと回転軸14cで構成されている。支持片14a,14bの上部にはそれぞれ対向して軸穴が形成され、回転軸14cは、下側ロール17の軸固定穴17a内に固定されている。そして、下側ロール17に固定された回転軸14cの両側部分は、支持片14a,14bの両軸穴に回転可能に挿通している。回転軸14cの左端部には、モータ19の回転軸が連結されている。このため、モータ19の駆動により、下側ロール17は回転軸14cを中心として回転する。モータ19はスイッチ(図示せず)の切り換えにより正逆いずれの方向にも回転可能になっており、下側ロール17は、モータ19の回転方向にしたがって回転する。
後壁部11は肉厚の壁部で構成されており本発明に係る後部連結片を構成する。上部支持片12は、平面視が下部支持台10aと同じで肉厚が後壁部11と略同じになった肉厚の板状に形成されている。上部支持片12における下部支持台10aの窓部10cの中央に対向する部分には、上下に貫通する取付孔が形成され、この取付孔の内部に、内周面にネジが形成された円筒状の雌ネジ部12aが固定されている。そして、この雌ネジ部12aに、ハンドル15と上側ロール支持部16を介して上側ロール18が回転自在に支持されている。上側ロール18は、軸固定穴18aを備えた略円板状に形成されており、下側ロール17と同じもので構成されている。したがって、図3および図4(a),(b)に符号を記して説明は省略する。なお、上側ロール18の軸固定穴18aには、後述する回転軸16cが両端を上側ロール18の両側に突出させた状態で固定されている。
ハンドル15は、外周面に雌ネジ部12aのネジに螺合する雄ネジが形成された棒状の雄ネジ部15aと、環状の操作部15bと、操作部15bの内周面に連結された十字状の連結部15cで構成されており、雄ネジ部15aの上端に連結部15cの中心部が連結されている。上側ロール支持部16は、支持片14a,14bと同じ間隔で左右に配置された支持片16a,16bの上端部を水平に延びる連結片(図示せず)で連結した構成をしており、連結片の上面中央は、雄ネジ部15aの下端部に連結されている。また、支持片16a,16bの下部にはそれぞれ対向して軸穴が形成され、上側ロール18の軸固定穴18aには、回転軸16cが固定されている。そして、上側ロール18に固定された回転軸16cの両側部分は、支持片16a,16bの両軸穴に回転可能に挿通している。
このため、ハンドル15の回転操作により、上側ロール18は上下に移動する。この場合、ハンドル15を、図2に矢印aで示した方向(上方から見た状態で時計周り方向)に回転すると、上側ロール18は、矢印bで示した下方に移動する。また、ハンドル15を、矢印aと反対の方向に回転すると、上側ロール18は上昇する。さらに、上側ロール18を下降させて下側ロール17に当接させ、その状態で、モータ19を作動させて下側ロール17を、例えば、矢印cで示した方向(右側から見た状態で時計周り方向)に回転させると、上側ロール18は下側ロール17と反対の方向(右側から見た状態で反時計周り方向)に回転する。なお、雌ネジ部12aとハンドル15で本発明に係る位置調整手段が構成される。
また、下部支持台10aの前端下部の中央側には、円筒状の支軸10dが形成され、上部支持片12の前面中央の上部にはネジ穴(図示せず)が形成されてこのネジ穴に固定ネジ12bが螺合している。そして、支軸10dと固定ネジ12bを介して前カバー13が取り付けられている。前カバー13は、下部支持台10aの前面開口を開閉できる開閉部13aと、開閉部13aの上部に形成され、上端が上部支持片12の前面中央まで延びる支持部13bとで構成されている。開閉部13aは下部中央に凹部13cが形成された板状に形成され、凹部13cの両側部分には左右に延びる挿通穴が形成されている。そして、開閉部13aは、凹部13c内に支軸10dを位置させて、支軸10dと挿通穴に軸部13dを挿通させることによって支軸10dの軸周り方向に回転可能になっている。
支持部13bは剛性を備えた略A字状の枠体で構成されており、上端部が、上部支持片12の前面中央の上部に着脱可能に取り付けられた固定ネジ12bによって固定されている。固定ネジ12bは、上部支持片12のネジ穴に螺合する棒状の胴部と、胴部の前端に形成された肉厚の略円板状の頭部とからなっている。そして、支持部13bの上端近傍には、固定ネジ12bの胴部が挿通できるネジ挿通穴が形成されている。このため、固定ネジ12bは、上部支持片12の前面と頭部の間に支持部13bを位置させた状態で、胴部をネジ挿通穴に通し、ネジ穴に螺合させることにより、前カバー13を固定できる。前カバー13は、下部支持台10aの前面開口を開閉する他、下部支持台10aに対して上部支持片12が撓んで、下部支持台10aの前端と上部支持片12の前端との間隔が変化すること、特に開く方に変化することを防止する機能を備えている。
移動クランプ機構20は、下部支持台10aを挟んで左右に配置された一対のレール部21R,21Lと、レール部21R,21Lの対応する一方の上部にそれぞれ摺動自在に設置されたクランプ部22R,22Lとで構成されている。レール部21Rは、下部支持台10aの右側面に沿って前後に延びる台部23と、台部23の上面における左右方向の中央部で前後に延び、上部の幅が下部の幅よりも長くなったレール23aで構成されている。レール部21Lは、下部支持台10aの左側面に沿って形成されており、レール部21Rと同様、台部24とレール24aで構成されている。
クランプ部22Rは、摺動部25とクランプ26で構成され、クランプ部22Lは、摺動部27とクランプ28で構成されている。摺動部25は、下面における左右方向の中央に上部の幅が下部の幅よりも長くなって前後に延びる凹部25aが形成された略矩形のブロック体で構成されており、凹部25aをレール23aに摺動可能に係合させて図2に矢印dで示した前後方向に移動可能になっている。クランプ26は、摺動部25の上面中央で前後に延びる厚板状の固定片26aの後部を、摺動部25に設けられた支軸26bに回転可能に取り付けて構成されている。この固定片26aは、図2に矢印eで示した上下方向に回転でき、上方に位置しているときには、その状態を維持するが、前方に傾くと付勢手段(図示せず)によって下方に付勢されて摺動部25に圧接する。
クランプ部22Lを構成する摺動部27とクランプ28は、それぞれクランプ部22Rを構成する摺動部25とクランプ26と同じ構成をしており、摺動部27は凹部27aを備えた略矩形のブロック体で構成され、クランプ28は、固定片28aの後部を、摺動部27に設けられた支軸(図示せず)に回転可能に取り付けて構成されている。摺動部27は、レール24aに沿って前後に移動でき、固定片28aは、支軸を中心に回転でき、かつ、前方に傾倒すると、摺動部27の上面側に付勢される。
このように構成された加工装置Aは、図5に示した帯鋸30の溶接部31(図6参照)の圧延加工に用いられる。帯鋸30は、一方の縁部に複数の刃32が形成された細長い鋸を環状に形成したもので、一対のプーリ33a,33bに掛け渡されて被切断物34の切断に用いられる。図5において、帯鋸30の刃32を示した部分は、帯鋸30が設置される切断装置から外部に露出した部分で、それ以外の部分は切断装置の内部に位置している。そして、プーリ33a,33bを矢印fの方向に回転させると、帯鋸30は矢印gの方向に走行する。このため、帯鋸30を走行させながら外部に露出した刃32に被切断物34を矢印hの方向に移動させながら押し付けることにより、被切断物34を切断できる。
また、帯鋸30を製造する際には、細長い鋸の両端部を溶接したのちに、焼きなまし処理や溶接部のビートを削る処理などが行われるが、溶接部31は他の部分よりも肉厚になっていたり、熱影響により内部応力が不均一になっていたりして歪みが生じていたり、歪みが生じやすい状態になっていたりする。このため、溶接部31を圧延して、歪みのない平坦面に加工する必要があり、このための処理が、加工装置Aを用いて行われる。また、帯鋸30は周方向の長さが2m以上、幅が30〜210mm、厚みが0.1〜2.0mmに設定されている。さらに、帯鋸の溶接部の幅(溶接により熱影響を受けている部分の幅)は、通常、1.5mm〜10mmであるが、この帯鋸30の溶接部31の幅は、下側ロール17と上側ロール18の厚みと同じ8mmである。
次に、加工装置Aを用いて、帯鋸30の溶接部31を圧延加工する方法を説明する。まず、図7に示したように、移動クランプ機構20に帯鋸30を取り付ける。この場合、ハンドル15の回転操作により、上側ロール18を上方に移動させ、クランプ部22R,22Lを前方に移動させるとともに、固定片26a,28aを上方に回転させる。そして、帯鋸30の溶接部31を下側ロール17と上側ロール18の間の前方に位置させて、溶接部31の左右両側部分を、摺動部25,27の上面に載せ、固定片26a,28aを下方に回転させる。これによって、帯鋸30は、クランプ部22R,22Lに固定される。なお、加工装置Aにおける下部支持台10aとレール部21R,21Lの前部の下方には空間になっており、帯鋸30は、下部支持台10aとレール部21R,21Lを囲った状態で設置される。
その状態で、ハンドル15の回転操作により、上側ロール18を下方に移動させて、上側ロール18の下端部を下側ロール17の上端部に接近させる。そして、モータ19を作動させて下側ロール17を回転させた状態で、帯鋸30を矢印iで示した後方に押して、クランプ部22R,22Lとともに後方に移動させる。溶接部31の後端部が、下側ロール17と上側ロール18に当接すると、溶接部31は下側ロール17と上側ロール18の隙間に巻き込まれる。これによって、上側ロール18が、下側ロール17と反対方向に回転し、溶接部31は上側ロール18と下側ロール17に上下から押圧されながら後方に移動していく。
そして、溶接部31は、全体が略均一に押圧されて帯鋸30の他の部分と同様の平坦で歪みのない状態に圧延加工される。この場合、下側ロール17と上側ロール18の外周部の幅が溶接部31の幅と同じになっているとともに、下側ロール17と上側ロール18の外周部が厚み方向の中央側が緩やかに膨らんだ円弧状に形成されているため、溶接部31は上下から効果的に押圧される。溶接部31の圧延加工が終了すると、前述した操作と逆の操作により、帯鋸30を、加工装置Aから取り外す。また、帯鋸30の全体に圧縮応力を付与して強度を向上させる場合には、加工装置Aとは、下側ロール17と上側ロール18の角度が90度異なる従来の腰入れ装置を用いて、帯鋸30の幅方向の所定部分(複数個所)を周方向に沿って全周圧延加工する処理を行う。これによって、歪みがなく、強度の大きな帯鋸30が得られる。
以上のように、本実施形態に係る加工装置Aは、下側ロール17と上側ロール18の回転により帯鋸30を溶接部31に沿って移動させるようにしている。このため、帯鋸30を幅方向に一回移動させるだけの簡単な操作で溶接部31全体を押圧でき、これによって、帯鋸30の溶接部31を圧延加工する作業が極めて簡単になる。また、下側ロール17と上側ロール18が押圧するのは溶接部31だけであるため、溶接部31以外の部分を押圧してその部分に不要な残留応力が発生して歪みが生じ強度が低下するといったことは生じなくなる。
また、加工装置Aには、上側ロール18を上下に移動させるための雌ネジ部12aとハンドル15が備わっているため、厚みの異なる帯鋸30の圧延加工が可能になる。さらに、下側ロール17と上側ロール18の間隔を狭くして、1回の圧延加工で済ませたり、下側ロール17と上側ロール18の間隔を広めにして、複数回の圧延加工を施すことで徐々に薄肉にしていったりすることもできる。また、加工装置Aには、移動クランプ機構20が備わっているため、帯鋸30を適正位置に固定できるとともに、帯鋸30を移動させる操作が容易になる。
さらに、本実施形態では、下側ロール17と上側ロール18の厚みを溶接部31の幅と同じ8mmに設定している。このため、下側ロール17と上側ロール18の厚みを必要以上に大きくすることがなく、帯鋸30の溶接部31を圧延加工できる。また、下側ロール17と上側ロール18の外周部を厚み方向の中央側が緩やかに膨らんだ円弧状に形成したため、これによっても溶接部31は上下から効果的に押圧される。
本発明に係る帯鋸の加工装置および加工方法は、前述した実施形態に限定するものでなく、適宜、変更して実施することが可能である。例えば、前述した実施形態では、下側ロール17と上側ロール18の厚みを8mmに設定しているが、この厚みは溶接部31の幅が8mmでない場合には溶接部31の幅に応じて変更する。また、下側ロール17と上側ロール18の厚みは、同じでなくてもよく、一方のロールの厚みが溶接部31の幅に対応した厚みであれば、他方のロールの厚みは一方のロールの厚みよりも厚くしてもよい。
さらに、下側ロール17と上側ロール18の断面の外周部を曲率半径が80mmの円弧状に形成しているが、この曲率半径は、溶接部31の幅や厚みに応じて、50mm〜300mmの範囲に設定することが好ましい。また、下側ロール17と上側ロール18の一方の外周部だけを円弧状に形成し、他方を直線状に形成してもよいし、双方を直線状に形成してもよい。さらに、帯鋸の加工装置を構成するそれ以外の部分についても、本発明の技術的範囲で、適宜変更することができる。
10…支持台、10a…下部支持台、11…後壁部、12…上部支持片、12a…雌ネジ部、14c,16c…回転軸、15…ハンドル、17…下側ロール、18…上側ロール、30…帯鋸、31…溶接部、A…加工装置。
Claims (6)
- 軸部を平行させて上下に設置された下側ロールと上側ロールからなる一対のロールを備え、両端部を溶接することによって環状に形成された帯鋸を、前記一対のロールの間に配置して前記一対のロールを軸周り方向に回転させることにより前記帯鋸の溶接部を圧延加工する帯鋸の加工装置であって、
前記帯鋸の周方向を前記一対のロールの軸方向に沿わせて、前記帯鋸を前記一対のロール間に設置し、前記一対のロールを回転させることにより前記帯鋸が溶接部の長手方向に沿った幅方向に移動するようにしたことを特徴とする帯鋸の加工装置。 - 上下に間隔を保ってそれぞれ前後に延びる下部支持台と上部支持片との後端部を上下に延びる後部連結片で連結して支持台を構成し、前記下部支持台に軸部を左右に向けた状態で前記下側ロールを支持させるとともに、前記上部支持片に軸部を左右に向け前記下側ロールとの間隔を位置調整手段を介して調整可能な状態で前記上側ロールを支持させ、さらに、前記下側ロールの最上部および前記上側ロールの最下部と、前記後部連結片との間の距離を前記帯鋸の幅よりも長くした請求項1に記載の帯鋸の加工装置。
- 前記一対のロールのうちの一方のロールの外周部の幅を1.5mm〜10mmに設定し、他方のロールの外周部の幅を前記一方のロールと同じかそれよりも長くした請求項1または2に記載の帯鋸の加工装置。
- 前記一対のロールのうちの一方のロールの軸方向に沿った断面の外周部を曲率半径が50mm〜300mmの円弧状に形成し、他方のロールの軸方向に沿った断面の外周部を曲率半径が前記一方のロールの曲率半径と同じかそれよりも長い円弧状または直線状にした請求項1ないし3のうちのいずれか一つに記載の帯鋸の加工装置。
- 請求項1ないし4のうちのいずれか一つに記載の帯鋸の加工装置を用いて、両端部を溶接することによって環状に形成された帯鋸の溶接部を圧延加工する帯鋸の加工方法であって、
前記帯鋸の周方向を前記一対のロールの軸方向に沿わせて、前記帯鋸を前記一対のロール間に設置し、前記一対のロールを回転させて前記帯鋸を幅方向に移動させることにより、前記帯鋸の溶接部を圧延する溶接部圧延工程を備えたことを特徴とする帯鋸の加工方法。 - 請求項1ないし4のうちのいずれか一つに記載の帯鋸の加工装置を用いて、両端部を溶接することによって環状に形成された圧延加工前の帯鋸の溶接部を圧延加工して得られる帯鋸であって、
前記圧延加工前の帯鋸の周方向を前記一対のロールの軸方向に沿わせて、前記圧延加工前の帯鋸を前記一対のロール間に設置し、前記一対のロールを回転させて前記圧延加工前の帯鋸を幅方向に移動させることにより、前記圧延加工前の帯鋸の溶接部を圧延して得られたことを特徴とする帯鋸。
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JP2013254617A JP2015112653A (ja) | 2013-12-10 | 2013-12-10 | 帯鋸の加工装置、帯鋸の加工方法および帯鋸 |
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Citations (3)
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JPS4917950B1 (ja) * | 1968-12-23 | 1974-05-07 | ||
JPS58188152U (ja) * | 1982-06-10 | 1983-12-14 | 株式会社ギケン | バンドソ−の突合わせ溶接ビ−ムの研削装置 |
US20020017166A1 (en) * | 2000-07-05 | 2002-02-14 | Bohler Ybbstal Band Gmbh And Co., Kg | Process for producing supply stock and supply stock for saw blades or saw belts |
-
2013
- 2013-12-10 JP JP2013254617A patent/JP2015112653A/ja active Pending
Patent Citations (3)
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