JP2015109370A - 電界発光素子 - Google Patents

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美紀 大沢
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Abstract

【課題】正孔注入層への電子アクセプターの使用による低電圧駆動を維持しながら、発光面積の減少を解決し、高温動作や高温保存に耐えうる電界発光素子を提供する。【解決手段】陽極3および陰極11からなる一対の電極間に、少なくとも1層の発光層8と、電子アクセプター及びアントラセン誘導体を含む正孔注入層6を有する電界発光素子において、陽極と正孔注入層との間に緩衝層5を有する電界発光素子。【選択図】図1

Description

本発明は、電界発光素子に関するものである。
電界発光素子は、例えば、数V〜数十V程度の低電圧で発光が可能であり、また、蛍光性有機化合物の種類を選択することにより種々の色の発光が可能なことから、様々な発光素子、表示素子などへの応用が期待されている。
電界発光素子は、陽極から正孔を、陰極から電子を注入し、それぞれを発光層まで輸送した後に、両キャリアを再結合させて発光を得るデバイスである。陽極から発光層へ正孔を注入、輸送するためには、通常0.3から1eV程度のエネルギー障壁を越えねばならず、デバイス構成に相応した電圧を必要とする。このため、青色発光素子や燐光発光素子のような障壁の大きな素子では、駆動電圧に起因する消費電力の大きさが問題であった。
このようなエネルギー障壁に起因する駆動電圧を低減する目的で、電子アクセプター、あるいは電子ドナーを有機材料中にドーピングする手法が試みられている。これらのデバイスでは、有機材料を強制的に酸化、あるいは還元することで、それぞれ正孔、あるいは電子を有機層中に発生させ、注入障壁を大幅に低下することが可能となった。
電子アクセプターを使用する場合、通常は、銅フタロシアニンやスターバーストアミンなどのトリアリールアミン誘導体、ポリチオフェンやポリアニリンなどの高分子化合物などの典型的な正孔注入材料、あるいは正孔輸送材料であるトリアリールアミンにドーピングする場合がほとんどであるが、特許文献1にはアントラセン誘導体にドーピングした事例が示されている。電子アクセプターを、イオン化ポテンシャルの大きなアントラセン誘導体にドーピングして正孔注入層とし、かつ正孔輸送層にもアントラセン誘導体を用いることで、陽極から発光層までの正孔注入障壁の改善に成功している。
しかしながら、陽極とアントラセン誘導体を用いた正孔注入層を直接接触させた素子では、長期保存後の発光面積の減少が大きい。特に、85℃動作試験や100℃保存試験の結果は悪く、自動車用途など高温環境利用下での適用は困難となる。
特開2012−99830号公報
そこで本発明は、正孔注入層への電子アクセプターの使用による低電圧駆動を維持しながら、発光面積の減少の原因となる、陽極と正孔輸送層の密着性や、水分の浸入による電子アクセプターの劣化を解決し、高温動作や高温保存に耐えうる電界発光素子を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明の電界発光素子は、陽極および陰極からなる一対の電極間に、少なくとも1層の発光層と、電子アクセプターおよびアントラセン誘導体を含む正孔注入層を有する電界発光素子において、前記陽極と前記正孔注入層との間に緩衝層を有することを特徴とする。
陽極と正孔注入層の間に緩衝層を有することにより、両者の密着性を向上させ、水分の浸入による正孔注入層中に含まれる電子アクセプターの劣化を防ぐことができる。この結果、高温動作や高温保存に耐えうる電界発光素子の作成が可能となる。
アントラセン誘導体は、キャリア輸送性や熱安定性が高い材料として知られており、電界発光素子のホスト材料として良好な素子特性を得られる材料である。そのため、アントラセン誘導体を用いることで高い特性の素子の作成が可能となる。
また、本発明の電界発光素子は、前記緩衝層が高分子材料により形成されていることを特徴とする。
高分子材料は、陽極に用いられる材料および正孔注入層に用いられるアントラセン誘導体との密着性が良いため、陽極と正孔注入層との密着を高めた素子の作成が可能となる。
また、本発明の電界発光素子は、前記緩衝層がトリアリールアミン誘導体により形成されていることを特徴とする。
トリアリールアミン誘導体は、陽極に用いられる材料および正孔注入層に用いられるアントラセン誘導体との密着性が良く、また、高い正孔注入性、正孔輸送性を有しているため、陽極と正孔注入層との密着を高め、且つ高い特性の素子の作成が可能となる。また、トリアリールアミン誘導体は、外部からの水分の浸入を防ぐ効果を有し、浸入した水分による正孔注入層中に含まれる電子アクセプターの劣化を防ぐことができる。
本発明によれば、電子アクセプターの使用による低電圧駆動を維持しながら、正孔注入層と陽極の間の密着性や、電子アクセプターへの水分の影響に関する問題点を解決し、高温動作や高温保存による発光面積の減少を抑制した電界発光素子の提供が可能である。
本実施形態の素子の概略である。
本発明の実施の形態について図1を参照しながら説明する。図1に示すように、電界発光素子1は、基板2上に、陽極3、隔壁4、緩衝層5、正孔注入層6、正孔輸送層7、発光層8、電子輸送層9、電子注入層10、陰極11を順次有する。
基板2は、透明または半透明の材料から形成されていることが好ましく、例えば、ガラス板、透明プラスチックシート、半透明プラスチックシート、石英、透明セラミックスあるいはこれらを組み合わせた複合シートがある。なお、基板2は、不透明な材料から形成されていてもよい。この場合は、基板2の反対側から光を取り出す素子構造とすればよい。さらに、基板2に、例えば、カラーフィルター膜、色変換膜、誘電体反射膜などを組み合わせることにより、発光色をコントロールしてもよい。基板2の膜厚は、特に限定されないが、0.1〜50mm程度であるのが好ましく、0.1〜10mmであるのがより好ましい。
陽極3は、比較的仕事関数の大きい金属、合金または電気電導性化合物を電極物質として使用することが好ましい。陽極3に使用する電極物質としては、例えば、金、白金、銀、銅、コバルト、ニッケル、パラジウム、バナジウム、タングステン、酸化錫、酸化亜鉛、ITO(インジウム・ティン・オキサイド)、ポリチオフェン、ポリピロールなどがある。これらの電極物質は、単独で使用してもよく、複数併用してもよい。陽極3は、これらの電極物質を、例えば、蒸着法、スパッタリング法などの気相成長法により、基板2の上に形成することができる。また、陽極3は、一層構造であっても、多層構造であってもよい。このような陽極3の膜厚は、特に限定されないが、10〜500nm程度であるのが好ましく、30〜200nm程度であるのがより好ましい。
隔壁4は、陽極と陰極の間の電導を妨げて、電極面積を固定できる物質であることが好ましい。また、電極面積を固定するために、開口部を精度良く、任意の形状に作成することが可能な物質で有ることが好ましい。例えば、たとえば酸化ケイ素、酸化錫、酸化亜鉛、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、テフロン(登録商標)、アクリル樹脂、ポリプロピレン樹脂などが有るが、コスト面や成膜の簡便さなどから、樹脂化合物の使用が好ましい。また、樹脂化合物は、陽極3の上に付着している素子短絡の原因となりうるパーティクルを覆って短絡を防ぐことで、歩留まりを向上させることもできる。ただし、樹脂化合物は、水分を含んでいたり、水分透過率が高かったりするものが多く、正孔注入層6に含まれている電子アクセプターを劣化させてしまう。そのため、水分含有率や水分透過率の低いポリイミド樹脂やポリプロピレン樹脂などの使用が好ましい。これらの物質は、単独で使用してもよく、複数併用してもよい。隔壁4は、これらの物質を、例えば、蒸着法、スパッタリング法などの気相成長法や、スピンコート、ディップコートなどの塗布により、陽極3の上に形成することができる。また、隔壁4は、一層構造、多層構造、または数種類を組み合わせた複合構造をとることができる。隔壁4の膜厚は、特に限定されないが、100〜4000nm程度であるのが好ましく、500〜2000nm程度であるのがより好ましい。
緩衝層5に用いる材料は、陽極3と正孔注入層6の密着を改善できるだけではなく、陽極3から正孔注入層6への正孔の輸送を妨げない物質である必要がある。このような材料としては、例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性高分子化合物や、高分子量あるいは低分子量のトリアリールアミン誘導体、銅フタロシアニン誘導体などを用いることができる。また、正孔注入層6に用いている電子アクセプターは、吸水性が強く、隔壁4や素子外周などから浸入する水分の影響を受けて劣化しやすいため、緩衝層5に用いる材料は、水分の侵入を防御できる物質である必要があり、成膜時に水を溶媒として用いるポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)や、銅フタロシアニン誘導体などの錯体、ヒドロキシ基を持つ有機化合物などは不適当である。よって、このような全ての条件を同時に満たすことができる材料としては、高分子量あるいは低分子量のトリアリールアミン誘導体が特に好ましい。
以下に、トリアリールアミン誘導体の具体例を示すが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。
Figure 2015109370
(構造式A−10〜A−12において、nは100〜10000の整数である。)
緩衝層5は、これらの物質を、例えば、スピンコート、ディップコートなどの塗布や、電気化学重合、真空蒸着法などにより陽極3及び隔壁4の上に形成することができるが、水分の浸入を防ぐためには、有機溶剤を用いた塗布や真空蒸着法がより好ましい。これらの材料には、成膜後に加熱処理や乾燥処理を加えても良い。緩衝層5の膜厚は、陽極3から正孔注入層6への正孔注入の妨げにならない程度の薄い膜厚であることが好ましい。特に限定されないが、1〜200nm程度であるのが好ましく、1〜100nm程度であるのがより好ましい。
正孔注入層6は、陽極3からの正孔の注入を容易にする機能、注入された正孔を輸送し正孔輸送層7に注入する機能を含有する層である。本実施形態で用いる正孔注入層6は、電子アクセプターとアントラセン誘導体を含む混合層である。混合する物質は、電子アクセプターとアントラセン誘導体のそれぞれ単独の2種類であっても、電子アクセプターもしくはアントラセン誘導体が2種類以上の混合層であっても良い。正孔注入層6の膜厚は、厚い場合には陽極3から正孔輸送層7への正孔注入が妨げられるため、正孔注入の機能を果たしつつ、できるだけ薄い方が好ましい。具体的な膜厚は、特に限定されないが、5〜150nm程度であるのが好ましく、10〜80nm程度であるのがより好ましい。
電子アクセプターとしては、塩化アンチモン、塩化鉄、酸化バナジウム、酸化ルテニウム、酸化タングステン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化鉄、酸化モリブデンなどの無機化合物の他、ヘキサシアノアザトリフェニレンやその誘導体のような有機物を用いることもできるが、電子アクセプターとしての能力が高く、アントラセン誘導体と共蒸着によって成膜することのできる塩化鉄、酸化バナジウム、酸化モリブデンが最良である。
アントラセン誘導体は大きなイオン化ポテンシャル(Ip)を有する材料であり、電子アクセプターと組み合わせることで高いIp準位を持つ正孔を発生させることができる。これによって、正孔輸送層7や発光層8への正孔注入障壁を大幅に低下することができる。
以下に、アントラセン誘導体の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2015109370
正孔輸送層7は、正孔を輸送し発光層8へ注入する機能、および電子が発光層8から正孔輸送層7に注入されるのを妨げる機能を有する化合物を含有する層である。また、正孔注入層6に含まれる電子アクセプターは、発光層8の発光ドーパントと接触することで、励起状態の発光ドーパントを消光してしまうため、電子アクセプターと発光ドーパントを接触させない機能も持つ。本実施形態では炭化水素化合物を用いる。特に、高い熱安定性やキャリア輸送性を有しているアントラセン誘導体が好ましい。アントラセン誘導体はトリアリールアミン誘導体に比べて遥かに大きなイオン化ポテンシャル(Ip)を有するため、正孔注入層6で発生した高いIp準位を有する正孔を、Ip準位を低下させることなく発光層8まで輸送することができる。正孔輸送層7の膜厚は、特に限定されないが、0.1〜200nm程度であるのが好ましく、0.1〜100nm程度がより好ましい。
発光層8は、注入された正孔および電子の輸送機能、正孔と電子の再結合により励起子を生成させる機能を有する化合物を含有する層であり、キャリアの輸送や薄膜構造体としての機能を有するホスト材料と、発光の機能を有する発光ドーパントを含んでいる。一般的なホスト材料としては、トリス(8−キノリノラト)アルミニウムなどの有機金属錯体、ナフタレン、アントラセン、ナフタセン、ピレン、ペリレンなどの炭化水素化合物の他、カルバゾールやチオフェン、フランなどの複素環誘導体やトリアリールアミン誘導体なども用いることができる。
発光ドーパントは、正孔と電子の再結合により生成した励起子エネルギーにより発光する化合物である。高い発光量子収率を有する材料が好ましく、加えて正孔や電子をトラップする機能を有する材料がより好ましい。本実施形態では、通常の電界発光素子で用いられている発光ドーパントを用いることができ、具体的には、芳香族炭化水素、芳香族アミン化合物、スチリルアミン化合物、シアノ基を置換基に有する芳香族炭化水素化合物、キナクリドン、クマリン、ローダミンなどを用いることができる。特に正孔トラップ性ドーパントである芳香族アミン化合物、スチリルアミン化合物、あるいは電子トラップ性ドーパントであるシアノ基を置換基に有する芳香族炭化水素化合物などがより好ましい。発光ドーパントのホスト材料に対する含有量は、0.01〜20wt%であり、さらには0.1〜15wt%であることが好ましい。
発光層8には、さらにその他の化合物を含有させても良い。キャリア輸送材料を混ぜることで発光層のキャリア輸送性を調節でき、蛍光色素を混ぜることで発光色を変換して使用することができる。このような化合物としては、例えば、キナクリドン、ルブレン、スチリル系色素などの色素化合物、トリアリールアミン誘導体などのキャリア輸送性化合物が挙げられる。発光層8の膜厚は、特に限定されないが、0.1〜100nm程度が好ましく、1〜50nm程度がより好ましい。
電子輸送層9は、注入された電子を輸送する機能および発光層8から正孔が注入されるのを妨げる機能を有するものである。電子輸送層9は、トリス(8−キノリノラト)アルミニウムなどの8−キノリノールなしいその誘導体を配位子とする有機金属錯体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、ペリレン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレノン誘導体、チオピランジオキサイド誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、イミダゾピリジン誘導体、イミダゾピリミジン誘導体、フェナントロリン誘導体などの複素環化合物、アントラセンやナフタセン、フルオランテン、アセナフトフルオランテンなどの炭化水素化合物などを少なくとも1種類を用いて形成することができる。電子輸送層9の膜厚は、特に限定されないが、0.1〜200nm程度であるのが好ましく、1〜100nm程度がより好ましい。
電子注入層10は、陰極11からの電子の注入を容易にし、さらに、陰極11との密着性を高める機能を有するものである。電子注入層10は、トリス(8−キノリノラト)アルミニウムなどの8−キノリノールなしいその誘導体を配位子とする有機金属錯体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、ペリレン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレノン誘導体、チオピランジオキサイド誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、イミダゾピリジン誘導体、イミダゾピリミジン誘導体、フェナントロリン誘導体などを少なくとも1種類を用いて形成することができる。また、電子注入層10と電子輸送層9の機能を併せ持つ材料を用いることで、電子注入輸送層として単層で二層分の機能を果たすことができる。素子構成によっては電子注入層10や電子輸送層9を更に機能分離した形態で使用することもできる。
また、電子ドナーとして機能する無機化合物を電子注入層10にドーピングする手法も電子注入量の向上に有効である。電子注入層10中の有機化合物が電子ドナーにより還元されることで、電子注入層10中にキャリアが発生し、陰極11からの電子注入障壁を無視できるようになるためである。この場合は、トリス(8−キノリノラト)アルミニウムなどの通常の電子注入材料に加えて、アントラセンなどの炭化水素材料を用いることもできる。電子ドナーとして機能する無機化合物としては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、およびその酸化物やハロゲン化物、あるいはカルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、およびその酸化物やハロゲン化物などを用いることが好ましい。
電子注入層10の膜厚は、特に限定されないが、0.1〜100nm程度であるのが好ましく、0.1〜50nm程度がより好ましい。
陰極11は、比較的仕事関数の小さい金属およびその塩、合金、または電気電導性化合物を電極構成物質として使用することができる。例えば、金属として、リチウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、インジウム、ルテニウム、チタニウム、マンガン、イットリウム、アルミニウム、酸化物として酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、弗化物として、弗化リチウム、弗化ナトリウム、弗化カルシウム、弗化マグネシウム、合金として、リチウム−インジウム合金、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金、アルミニウム−カルシウム合金、アルミニウム−マグネシウム合金、電気電導性化合物としてグラファイト薄膜などを挙げることができる。
これらの電極構成物質は、単独で使用してもよく、あるいは複数併用してもよい。陰極9は、これらの電極構成物質を、例えば、蒸着法、スパッタリング法、イオン化蒸着法、イオンプレーティング法、クラスターイオンビーム法などの方法により、電子注入層10の上に形成することができる。また、陰極11は一層構造であっても、多層構造であってもよい。なお、電界発光素子の発光を効率よく取り出すために、陽極3または陰極11の少なくとも一方の電極が、透明ないし半透明であることが好ましく、一般に、400nmから800nmまでの可視光波長領域での光の透過率が80%以上となるように陽極3または陰極11の材料、厚みを設定することがより好ましい。
陰極11の厚さは、電極としての機能を十分に果たせる程度に低抵抗となる厚みが必要である。特に限定されないが、10〜3000nm程度であるのが好ましく、10〜1000nm程度がより好ましい。
以下、本実施形態の具体的な実施例を比較例とともに示し、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
厚み1.1mmのガラス基板2の上に、RFスパッタ法でITO透明電極薄膜を100nmの厚さに成膜し、その後パターニングして陽極3を形成した。その上に、ポリイミド系樹脂を用いて、2ミリ角の開口部を設けて1000nmの厚さに成膜して、隔壁4を形成した。この陽極3と隔壁4を形成したガラス基板2を、中性洗剤、アセトン、エタノールを用いて超音波洗浄し、煮沸エタノール中から引き上げて乾燥した。その後、ITO表面をUV/O洗浄した。
次に、真空蒸着装置のホルダーに基板2を固定して、槽内を1×10−4Pa以下まで減圧した。減圧状態を保ったまま、例示化合物A−1を蒸着速度0.1nm/secとして30nmの厚さに蒸着し、緩衝層5とした。
次に、減圧状態を保ったまま、例示化合物B−2と、電子アクセプターとして塩化鉄を、塩化鉄の含有量を15wt%で、全体の蒸着速度0.1nm/secとして60nmの厚さに蒸着し、正孔注入層6とした。
次いで、例示化合物B−2のみを蒸着速度0.1nm/secで10nmの厚さに蒸着し、正孔輸送層7とした。
さらに、減圧状態を保ったまま、ホスト材料としての例示化合物B−2と、発光ドーパントとしての下記構造のC−1とを、発光ドーパントの含有量を3wt%で、全体の蒸着速度0.1nm/secとして40nmの厚さに蒸着し、発光層8とした。
Figure 2015109370
次に、減圧状態を保ったまま、電子輸送層9として例示化合物B−2のみを蒸着速度0.1nm/secで25nmの厚さに蒸着した。続けて、電子注入層10としてトリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(Alq3)を5nmの厚さに蒸着速度0.1nm/secで蒸着し、次いで、LiFを0.5nmの厚さに蒸着速度0.01nm/secで蒸着した。陰極11としてアルミニウムを100nm蒸着し、最後にガラス封止して電界発光素子を得た。
この電界発光素子に10mA/cmの直流電流を印加し、発光面を顕微鏡で観察して初期の発光面積を測定した。その後、温度環境条件を室温(23℃)と85の二水準として、10mA/cmの直流電流を500時間印加し続け、再び発光面を顕微鏡で観察して500時間後の発光面積を測定した。500時間後の発光面積を、初期の発光面積で割った値を発光面積残存率とした。この電界発光素子の発光面積残存率は、室温では88%、85℃では76%だった。緩衝層5の効果により、陽極3と正孔注入層6との密着が向上し、さらに、素子外部からの水分の浸入による正孔注入層6中の電子アクセプターの劣化を防ぐことで、85℃の高温下で素子を動作させても、高い発光面積を保持できる素子が得られた。
(実施例2〜5)
緩衝層5に用いた化合物を例示化合物A−1から、例示化合物A−4、A−5、A−6、A−8に変えた以外は、実施例1と同様に電界発光素子を作成した。
(実施例6〜9)
正孔注入層6に含まれる電子アクセプターに用いた化合物を塩化鉄から、酸化バナジウムに変更し、緩衝層5に用いた化合物を、例示化合物A−1から、例示化合物A−5、A−6、A−8、A−9に変えた以外は、実施例1と同様に電界発光素子を作成した。
(実施例10〜18)
正孔注入層6に含まれる電子アクセプターに用いた化合物を塩化鉄から、三酸化モリブデンに変更し、緩衝層5に用いた化合物を、例示化合物A−1から、例示化合物A−1〜A−9に変えた以外は、実施例1と同様に電界発光素子を作成した。
実施例2〜18の電界発光素子について、実施例1と同様の方法で室温と85℃での発光面積残存率を求めた。その結果を表1に示す。
Figure 2015109370
表1に示すように、各実施例の電界発光素子は、いずれも85℃の温度条件において、高い発光面積残存率を示した。緩衝層5の効果により、陽極3と正孔注入層6との密着が向上し、さらに、素子外部からの水分の浸入による正孔注入層6中の電子アクセプターの劣化を防ぐことで、85℃の高温下で素子を動作させても、高い発光面積残存率を示す電界発光素子を作成することができた。
(実施例19)
緩衝層5に用いた化合物を例示化合物A−1から、例示化合物A−10に、成膜方法を真空蒸着からスピンコート法に変えた以外は、実施例1と同様に電界発光素子を作成した。A−10の成膜方法は以下の手順で行った。ITO透明電極表面をUV/O洗浄後、A−10溶液をスピンコートにより成膜し、150℃で真空加熱乾燥して、緩衝層5を作成した。なお、スピンコートに用いた溶媒は乾燥トルエンを用いた。その後、真空蒸着装置のホルダーに基板を固定して、槽内を1×10−4Pa以下まで減圧して、緩衝層5以降の層の成膜を行い、電界発光素子を作成した。
(実施例20〜22)
正孔注入層6に含まれる電子アクセプターに用いた化合物を塩化鉄から、三酸化モリブデンに変更し、緩衝層5に用いた化合物をA−10から、例示化合物A−10〜A−12に変えた以外は、実施例19と同様に電界発光素子を作成した。
実施例19〜22の電界発光素子について、実施例1と同様の方法で室温と85℃での発光面積残存率を求めた。その結果を表2に示す。
Figure 2015109370
表2に示すように、各実施例の電界発光素子は、いずれも85℃の温度条件において、高い発光面積残存率を示した。緩衝層5の効果により、陽極3と正孔注入層6との密着が向上し、さらに、素子外部からの水分の浸入による正孔注入層6中の電子アクセプターの劣化を防ぐことで、85℃の高温下で素子を動作させても、高い発光面積残存率を示す電界発光素子を作成することができた。
(比較例1)
緩衝層5を設置しないこと以外は、実施例1と同様に電界発光素子を作成した。
(比較例2)
緩衝層に用いた化合物を例示化合物A−1から、例示化合物B−2に、正孔注入層6に含まれる電子アクセプターに用いた化合物を塩化鉄から三酸化モリブデンに変えた以外は、実施例1と同様に電界発光素子を作成した。
(比較例3)
緩衝層に用いた化合物を例示化合物A−1から、例示化合物B−10に、正孔注入層6に含まれる電子アクセプターに用いた化合物を塩化鉄から三酸化モリブデンに変えた以外は、実施例1と同様に電界発光素子を作成した。
(比較例4)
緩衝層に用いた化合物を例示化合物A−1から、銅フタロシアニンに、正孔注入層6に含まれる電子アクセプターに用いた化合物を塩化鉄から三酸化モリブデンに変えた以外は、実施例1と同様に電界発光素子を作成した。
(比較例5)
緩衝層に用いた化合物を例示化合物A−10から、PEDOT/PSSに、スピンコートに用いた溶媒を乾燥トルエンから水とエタノールの混合溶媒(1:1)に、正孔注入層6に含まれる電子アクセプターに用いた化合物を塩化鉄から三酸化モリブデンに変えた以外は、実施例19と同様に電界発光素子を作成した。
比較例1〜5の電界発光素子について、実施例1と同様の方法で室温と85℃での発光面積残存率を求めた。その結果を表3に示す。
Figure 2015109370
表3に示すように、各比較例の電界発光素子は、いずれも85℃の温度条件において、著しく低い発光面積残存率を示した。85℃の高温条件下では、陽極3と正孔注入層6との密着が失われたり、外部から浸入した水分や成膜時のスピンコートに用いた水によって正孔注入層6に含まれる電子アクセプターが劣化したりして、発光面積の減少が発生した。また、比較例全ての電界発光素子において、実施例の電界発光素子に比べて、電流の印加前後で著しい駆動電圧の上昇が見られた。
以上のように、本発明に係る電界発光素子は、陽極と電子アクセプター及び炭化水素化合物からなる混合層である正孔注入層の間に緩衝層を有することで、素子を高温保存下で長時間発光させた際の発光面積残存率を、向上させることができ、自動車のインパネなどの表示部、テレビや携帯電話などのディスプレイ、照明などに好適に使用できる。
1 電界発光素子
2 基板
3 陽極
4 隔壁
5 緩衝層
6 正孔注入層
7 正孔輸送層
8 発光層
9 電子輸送層
10 電子注入層
11 陰極

Claims (3)

  1. 陽極および陰極からなる一対の電極間に、少なくとも1層の発光層と、電子アクセプターおよびアントラセン誘導体を含む正孔注入層を有する電界発光素子において、前記陽極と前記正孔注入層との間に緩衝層を有することを特徴とする電界発光素子。
  2. 前記緩衝層が高分子材料により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電界発光素子。
  3. 前記緩衝層がトリアリールアミン誘導体により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電界発光素子。
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