JP2015108371A - 気流発生装置、移動体、および、風力発電システム - Google Patents

気流発生装置、移動体、および、風力発電システム Download PDF

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Abstract

【課題】剥離流れの発生を効果的に抑制することが可能であって、効率の向上を容易に実現可能な、気流発生装置等を提供する。【解決手段】実施形態の気流発生装置は、第1電極621と、第1電極から離れて設けられた第2電極622と、第1電極と第2電極との間にパルス変調された電圧を印加することによって気流を発生させる電圧印加部とを有する。電圧印加部は、第1のデューティ率で電圧の印加を開始した後に、第1のデューティ率よりも小さい第2のデューティ率で電圧の印加を行う。【選択図】図4

Description

本発明の実施形態は、気流発生装置、移動体、および、風力発電システムに関する。
放電によってプラズマを生成して気流を発生させる気流発生装置が提案されている。この気流発生装置は、たとえば、風力発電システムにおいてブレード(風車翼)などの移動体に設置される。
風力発電システムは、再生可能エネルギーである風力エネルギーを利用して発電を行う。風力発電システムは、定格風速(一般に12〜13m/s)よりも風速が低い風が、年間において最も多く吹く場所に設置されることが多い。このため、風速が低速域および中速域であるときに、発電出力を増加することが求められている。
風力発電システムにおいては、ブレードの表面に剥離流れが発生し、発電量が変動する場合がある。たとえば、風速や風向きが急に変動したときには、ブレードの周りにおいて速度三角形が定格点から大きくずれて、剥離流れが広い範囲で発生する場合がある。風速や風向きが急に変動したときには、ヨー角やピッチ角の調整では十分に対応ができない。このため、風力発電システムにおいては、ブレードの揚力の低下などにより、発電出力を安定に維持できずに、効率を高めることが容易でない場合がある。
この対策として、気流発生装置をブレードの表面に設置することが提案されている(たとえば、特許文献1,2,3参照)。気流発生装置では、一対の電極間に電圧を印加し、バリア放電によりプラズマを生成することによって、気流を発生させる。たとえば、低周波のパルス変調波でパルス変調された高周波の電圧を一対の電極間に印加することによって、気流を間歇的に発生させる。気流発生装置においては、一対の電極間に印加する電圧について、電圧値、周波数、デューティ率などの特性を制御することで、適宜、気流を調整することができる。また、パルス変調周波数を所定の関係を満たすように設定することで、高い発電出力になるように、気流を調整することができる。この他に、電圧値を増加させることで、気流の速度を更に増すことができる。
このように、気流発生装置を用いて気流を発生させることによって、剥離流れの発生を抑制することにより、風力発電システムの高効率化を実現することができる。
図11,図12は、気流発生装置を用いて気流を発生させた場合と、発生させない場合との結果を示す図である。ここでは、小型の風車においてブレードの前縁付近に気流発生装置を設置し、そのブレードの周りにおいて速度三角形が定格点からずれる条件で風洞実験を行った結果を示している。
図11では、気流発生装置を駆動させた時間tと、風車の回転数r(rpm)との関係を示しており、横軸が時間tであって、縦軸が風車の回転数r(rpm)である。
図12では、ブレードに流入する風の風速と、風力発電システムの発電出力との関係を示しており、横軸が風速vであり、縦軸が発電出力Eである。図12において、実線は、気流発生装置を駆動させて気流を発生させた場合(On)を示し、破線は、気流発生装置を駆動させずに気流を発生させない場合(Off)を示している。
図11に示すように、気流発生装置を駆動させて気流を発生させた場合(Onのとき(t0以降))には、発生させない場合(Offのとき(t0よりも前))と比べて、ブレードが設置されたロータの回転数rが増加する。これは、気流発生装置によって発生した気流により、ブレードの周囲において剥離流れの発生が抑制され、ブレードの揚力が増加したからであると考えられる。図12に示すように、気流発生装置を駆動させることによって、特に、風速が低速域および中速域において発電出力Eを増加することができる(たとえば、非特許文献1参照)。
上記と同様に、中型の風車(定格30kW)に気流発生装置を適用してフィールド実験を行ったところ、風速および風向きが変動する実際の条件の下でも、高効率化を実現することができるが確認されている(たとえば、非特許文献2参照)。
特開2008−25434号公報 特開2012−249510号公報(たとえば、図7,図9,図17) 特開2007−317656号公報(たとえば、図14B)
Matsuda,H., Tanaka,M., Goshima,S., Amemori,K., Nomura,M., and Osako,T., (2012), Experimental Study on Plasma Aerodynamic Control for Improving Wind Turbine Performance, Asian Congress on Gas Turbine 2012-Tradition, Challenge and Future, Shanghai,R.P.China, ACGT2012-1058. Tanaka,M., Amemori,K., Matsuda,H., Shimura,N., Yasui,H., Osako,T., Kamada,Y. and Maeda,T. (2013),"Field test of plasma aerodynamic controlled wind turbine",EWEA 2013, Viena.
しかしながら、上記の気流発生装置においては、剥離流れの発生を十分に抑制することが容易でない場合がある。特に、風車が大型である場合には、ブレードの翼コード長は、1〜4mであって、中型の風車の場合に対して2〜5倍であるので、剥離流れが大きくなり、剥離流れの発生を効果的に抑制することができない場合がある。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、剥離流れの発生を効果的に抑制することが可能であって、効率の向上を容易に実現可能な、気流発生装置、移動体、および、風力発電システムを提供することである。
実施形態の気流発生装置は、第1電極と、第1電極から離れて設けられた第2電極と、第1電極と第2電極との間にパルス変調された電圧を印加することによって気流を発生させる電圧印加部とを有する。電圧印加部は、第1のデューティ率で電圧の印加を開始した後に、第1のデューティ率よりも小さい第2のデューティ率で電圧の印加を行う。
図1は、第1実施形態に係る風力発電システムの全体を示す図である。 図2は、第1実施形態に係る風力発電システムにおいて、気流発生装置を示す図である。 図3は、第1実施形態に係る風力発電システムにおいて、気流発生装置を示す図である。 図4は、第1実施形態に係る風力発電システムの気流発生装置において、電圧印加部が印加する電圧の波形を示している。 図5は、第1実施形態に係る風力発電システムにおいて、パルス変調された電圧の印加を気流発生装置が行ったときに、ブレードの周囲における風の流れを示す図である。 図6は、第1実施形態に係る風力発電システムにおいて、パルス変調された電圧の印加を気流発生装置が行ったときに、ブレードの周囲における風の流れを示す図である。 図7は、第1実施形態に係る風力発電システムにおいて、ストローハル数と圧力係数との関係を示す図である。 図8は、第2実施形態に係る風力発電システムの気流発生装置において、電圧印加部が印加する電圧の波形を示している。 図9は、第3実施形態に係る風力発電システムの気流発生装置において、電圧印加部が印加する電圧の波形を示している。 図10(a)および図10(b)は、パルス変調波の各周期(T1,T2,・・・)において、印加時間Taに印加される高周波の電圧の波数kと、揚力係数CLとの関係を示す図である。 図11は、気流発生装置を用いて気流を発生させた場合と、発生させない場合との結果を示す図である。 図12は、気流発生装置を用いて気流を発生させた場合と、発生させない場合との結果を示す図である。
実施形態について、図面を参照して説明する。
<第1実施形態>
[A]風力発電システム1の全体構成
図1は、第1実施形態に係る風力発電システム1の全体を示す図である。
風力発電システム1は、図1に示すように、アップウィンド形のプロペラ風車であって、タワー2、ナセル3、ロータ4、および、風向風速計測部5を備えている。
風力発電システム1を構成する各部について順次説明する。
[A−1]タワー2
タワー2は、垂直方向に沿って延在しており、地中に埋め込まれた基台(図示省略)に下端部が固定されている。
[A−2]ナセル3
ナセル3は、タワー2の上端部に設置されており、ヨー角の調整のために、垂直方向を軸にして回転するように支持されている。
図示を省略しているが、ナセル3の内部には、発電機(図示省略)が収容されている。
[A−3]ロータ4
ロータ4は、ナセル3の一方の側端部に回転可能に支持されており、たとえば、水平方向を回転軸として回転方向Rに回転する。ロータ4は、ナセル3の内部に収容された発電機(図示省略)の回転軸に連結されており、ロータ4の回転によって発電機が駆動し、発電が行われる。
ロータ4は、ハブ41と複数のブレード42とを備えている。
ロータ4において、ハブ41は、外形が半楕円体状の先端カバーを含み、水平方向において風上から風下へ向かうに伴って外周面の外径が大きくなるように形成されている。
ロータ4において、複数のブレード42のそれぞれは、ハブ41を中心にして径方向に延在しており、回転方向Rにおいて等間隔に並ぶように設置されている。たとえば、3枚のブレード42が設けられており、それぞれは、ピッチ角の調整のために、一端がハブ41に回転可能に支持されている。
また、複数のブレード42のそれぞれにおいては、図1に示すように、気流発生装置6の本体部61が、複数、翼スパン方向に並ぶように設置されている。気流発生装置6の詳細については後述するが、気流発生装置6は、発生した気流がブレード42の前縁側から後縁側へ向かって流れるように構成されている。
[A−4]風向風速計測部5
風向風速計測部5は、図1に示すように、ブレード42の風下において、ナセル3の上面に取付けられている。
風向風速計測部5は、風速および風向きについて計測することによって、風速データおよび風向きデータを得る。
[B]気流発生装置6の詳細構成
図2,図3は、第1実施形態に係る風力発電システムにおいて、気流発生装置を示す図である。
図2では、ブレード42の翼厚方向に沿った断面において、気流発生装置6が設置された様子を示している。これに対して、図3(a),図3(b)では、気流発生装置6の本体部61を拡大して示しており、図3(a)は、断面図であり、図3(b)は、上面図である。図3(a)は、図3(b)においてX−X部分の断面に相当する。
図2に示すように、気流発生装置6は、本体部61と、電圧印加部62と、接続部63と、制御部64とを備えている。
また、気流発生装置6の本体部61は、図2,図3(a),図3(b)に示すように、基体611と、第1電極621(表面電極)と、第2電極622(内挿電極)とを含む。
気流発生装置6を構成する各部について順次説明する。
[B−1]本体部61
気流発生装置6において、本体部61は、図2に示すように、ブレード42に設置されている。たとえば、本体部61は、ブレード42の背側の面(図2では上面)のうち、前縁LEの側の部分に形成された溝の内部に収容されている。ここでは、本体部61は、第1電極621が第2電極622よりもブレード42の外側に位置すると共に、第1電極621と第2電極622とが前縁LEから後縁TEに向かって順次並ぶように設置されている。
図3(a),図3(b)に示すように、本体部61は、断面が矩形形状であって、基体611に第1電極621と第2電極622とが設けられている。
本体部61において、基体611は、絶縁材料(誘電体)で形成されている。たとえば、基体611は、シリコーン樹脂(シリコンゴム)、エポキシ樹脂、フッ素樹脂などの有機材料を用いて形成されている。この他に、基体611について、アルミナ、ガラス、マイカなどの無機材料を用いて形成してもよい。
本体部61において、第1電極621と第2電極622とのそれぞれは、たとえば、金属材料などの導電材料で形成されている。
第1電極621は、板状体であって、基体611の表面(上面)に設けられている。ここでは、第1電極621は、図3(a)に示すように、上面が露出しており、上面以外の面(下面,側面)が、基体611に接するように配置されている。また、第1電極621は、図3(b)に示すように、直線状に延在している。
第2電極622は、第1電極621と同様に、板状体である。第2電極622は、図3(a)に示すように、第1電極621と異なり、基体611の内部に設けられている。つまり、第2電極622は、上面、下面,側面が基体611に接しており、第1電極621よりも深い位置に配置されている。また、第2電極622は、図3(b)に示すように、第1電極621が延在する延在方向(第1の方向,長手方向)と同じ方向(図3(b)では縦方向)に、直線状に延在している。ここでは、第2電極622は、第1電極621の延在方向(第1の方向)に直交する方向(第2の方向)(図3(b)では横方向)にて、第1電極621と並ぶように配置されている。
[B−2]電圧印加部62
気流発生装置6において、電圧印加部62は、図2に示すように、接続部63を介して、第1電極621と第2電極622とのそれぞれに電気的に接続されており、第1電極621と第2電極622との間に電圧を印加する。
電圧印加部62は、第1電極621と第2電極622との間に電圧を印加することによって、本体部61において第1電極621の表面(上面)の近傍に、バリア放電によってプラズマを発生させて、気流(プラズマ誘起流)を誘起する。気流は、第1電極621側から第2電極622側へ向かって流れるように誘起される。
図示を省略しているが、電圧印加部62は、たとえば、ブレード42の翼根部に設置されており、複数の本体部61のそれぞれ(図1参照)において電圧を印加するように構成されている。
[B−3]接続部63
気流発生装置6において、接続部63は、一対の接続配線631,632を含む。
接続部63のうち、一方の接続配線631は、一端が第1電極621に電気的に接続されており、他端が電圧印加部62に電気的に接続されている。
接続部63のうち、他方の接続配線632は、一端が第2電極622に電気的に接続されており、他端が電圧印加部62に電気的に接続されている。
図示を省略しているが、一対の接続配線631,632は、気流発生装置6を構成する複数の本体部61(図1参照)のそれぞれに対応して、複数組が設けられており、ロータ4のハブ41の側からブレード42の先端側に延在するように配置されている。
[B−4]制御部64
気流発生装置6において、制御部64は、図2に示すように、電圧印加部62に制御信号CTL64を出力することによって、電圧印加部62の動作を制御する。
制御部64は、風向風速計測部5から風速データおよび風向データが入力される。この他に、制御部64は、風力発電システム1の発電出力と、ブレード42のトルクと、ブレード42の回転数との少なくとも1つを計測することによって得た計測データが入力される。制御部64は、その入力された各データに基づいて、ヨー角やピッチ角の調整を行う。この他に、制御部64は、その入力された各データに基づいて、電圧印加部62に制御信号CTL64を出力して制御を行う。
制御部64は、上記の計測データが風速データに応じて定められる基準データよりも低い状態になり、その状態を保持した時間が予め設定された時間を超えたときに、パルス変調した電圧の印加を行うように、電圧印加部62を制御する。
そして、制御部64は、上記の計測データが風速データに応じて定められる基準データ以上である状態になり、その状態を保持した時間が予め設定された時間を超えたときには、パルス変調した電圧の印加を停止するように、電圧印加部62を制御する。なお、制御部64は、メモリ装置が記憶しているプログラムを用いて演算器が演算処理を行うように構成されており、上記のように、演算器が入力信号に基づいて演算処理を実行することによって制御信号CTL64を出力信号として出力する。
[C]電圧印加部62が印加する電圧について
図4は、第1実施形態に係る風力発電システムの気流発生装置において、電圧印加部が印加する電圧の波形を示している。図4において、横軸は時間であり、縦軸は電圧の値である。
気流発生装置6において、電圧印加部62は、制御部64(図2参照)から出力される制御信号CTL64に基づいて、図4に示すように、高周波の電圧(交番電圧)を、第1電極621と第2電極622との間に、予め設定された周波数(基本周波数)で印加する。高周波の電圧は、その高周波の電圧の周波数よりも低周波なパルス変調波(図示省略)でパルス変調され、そのパルス変調波の各周期(T1,T2,・・・)において印加される。
本実施形態においては、図4に示すように、パルス変調された高周波の電圧は、第1のデューティ率D1から、その第1のデューティ率D1よりも小さい第2のデューティ率D2へ変化されて、第1電極621と第2電極622との間に印加される。
具体的には、まず、第1の周期T1では、高周波の電圧が、第1のデューティ率D1で印加される。ここでは、第1の時点t1に電圧の印加が開始される。そして、その第1の時点t1から第2の時点t2の間の時間t12(第1のオン時間)に、予め設定された周波数(基本周波数)で高周波の電圧が印加される。つまり、時間に応じて正極性と負極性とに変化する電圧を周期的に繰り返し印加することによって、気流を発生させる。その後、第2の時点t2から第3の時点t3の間の時間t23(第1のオフ時間)においては、高周波の電圧を印加することが停止され、気流の発生が止められる(T1=t12+t23)。
つぎに、第2の周期T2(=T1)では、高周波の電圧が、第1のデューティ率D1よりも小さい第2のデューティ率D2で印加される。ここでは、第3の時点t3に電圧の印加が開始される。そして、その第3の時点t3から第4の時点t4の間の時間t34(第2のオン時間)に、第1の周期T1と同様に、予め設定された周波数(基本周波数)で高周波の電圧が印加され、気流が発生する。その後、第4の時点t4から第5の時点t5の間の時間t45(第2のオフ時間)においては、高周波の電圧を印加することが停止され、気流の発生が止められる(T2=t34+t45)。
第2の周期T2において気流の発生を行う時間t34(第2のオン時間)は、第1の周期T1において気流の発生を行う時間t12(第1のオン時間)よりも短い(t34<t12)。これに対して、第2の周期T2において気流の発生を停止する時間t45(第2のオフ時間)は、第1の周期T1において気流の発生を停止する時間t23(第2のオフ時間)よりも長い(t45>t23)。つまり、第2の周期T2において気流を発生させる時間t34(第2のオン時間)の割合である第2のデューティ率D2(t34/(t34+t23)=D2)は、第1の周期T1において気流を発生させる時間t12(第1のオン時間)の割合である第1のデューティ率D1(t12/(t12+t23)=D1)よりも小さくなっている(D2<D1)。
第2の周期T2よりも後の周期(第3の周期以降)では、第2の周期T2の場合と同様に、第2のデューティ率D2で電圧の印加が行なわれる。
このように、本実施形態においては、まず、第1の周期T1では第1のデューティ率D1で高周波の電圧を印加し、その第1の周期T1よりも後の第2の周期T2以降の各周期では、第1のデューティ率D1よりも小さい第2のデューティ率D2で高周波の電圧の印加を行う。
たとえば、第1のデューティ率D1は、10%であり、第2のデューティ率D1は、1%である。
図5,図6は、第1実施形態に係る風力発電システムにおいて、パルス変調された電圧の印加を気流発生装置が行ったときに、ブレードの周囲における風の流れを示す図である。
図5,図6では、ブレード42の周りにおいて速度三角形が定格点から外れて剥離流れが生ずる条件で気流発生装置を用いて気流を発生させたときに、ブレード42の周囲を流れる風の流れについて観測した様子を示している。ここでは、粒子画像流速計(PIV(Particle Image Velocimetry))を用いて、流れを観測した結果を模式的に示している。図5,図6においては、図2の場合と同様に、上方がブレード42の背側である。図5,図6では、ブレード42の表面に生じた剪断層SLの境界を破線で示すと共に、発生する渦の強さ、および、剪断層SLに形成された増速域の強さを矢印の大きさで示している。
ここで、図5(a)および図5(b)は、第1のデューティ率D1が10%の条件で高周波の電圧の印加を行った場合(D1=10%)を示しており、図6(a)および図6(b)は、第2のデューティ率D2が1%の条件で高周波の電圧の印加を行った場合(D2=1%)を示している。また、図5(a)と図6(a)とのそれぞれは、印加開始直後(開始から7ms後)の様子を示し、図5(b)と図6(b)とのそれぞれは、印加開始後に定常状態になったときの様子を示している。
図5(a),図6(a)に示すように、電圧の印加を開始することによって、ブレード42の背側に渦が発生する。そして、図5(b),図6(b)に示すように、電圧の印加を繰り返し行って定常状態になったときには、その渦が合体して成長して、剪断層SLに増速域が形成される。
電圧印加の開始直後においては、図5(a)と図6(a)とを比較して判るように、第1のデューティ率D1の場合(図5(a)参照)の方が、第2のデューティ率D2の場合(図6(a)参照)よりも、強い渦が形成される。このため、電圧印加の開始直後では、よりデューティ率が大きい方が、流れをより増速させることができる。
これに対して、電圧印加の開始後に定常状態になったときには、図5(b)と図6(b)とを比較して判るように、第1のデューティ率D1の場合(図5(b)参照)よりも第2のデューティ率D2の場合(図6(b)参照)の方が、剪断層SLが翼の近くに位置するため、流れをより増速させることができる。
本実施形態では、上述したように、第1のデューティ率D1での電圧の印加を開始した後に、第2のデューティ率D2(D2<D1)での電圧の印加を行う。
これから判るように、本実施形態では、まず、図5(a)に示すように、第2のデューティ率D2よりも高い第1のデューティ率D1で電圧の印加を開始するため、第2のデューティ率D2の場合(図6(a)参照)よりも流れを増速させることができる。その後、本実施形態では、図6(b)に示すように、第1のデューティ率D1よりも低い第2のデューティ率D2で電圧の印加を繰り返し行うため、第1のデューティ率D1の場合(図5(b)参照)よりも流れを増速させることができる。すなわち、本実施形態では、電圧の印加を開始した直後において、プラズマによる気流の速度を効果的に増加させることができると共に、電圧の印加を繰り返して行って定常状態になるときにおいても、プラズマによる気流の速度を効果的に増加させることができる。
その結果、本実施形態では、気流発生装置により発生した気流によって、ブレード42の周囲において剥離が発生することを容易に抑制することができる。
本実施形態において、電圧印加部62が印加する高周波の電圧は、周波数(基本周波数)が、たとえば、10kHz〜15kHzに設定されている。そして、気流は、第1電極621の直下において、たとえば、1〜3m/sの風速になるように誘起される。
[D]パルス変調周波数fについて
本実施形態において、パルス変調周波数f(パルス変調波の周波数)については、たとえば、ストローハル数Stが下記に示す関係式(A)を満たす値になるように設定される。
0.25≦St≦5 ・・・(A)
ストローハル数Stは、下記の関係式(B)に示すように、パルス変調周波数fと代表長さcと代表速度Uとに基づいて求められる。このうち、代表長さcは、ブレード42の翼コード長である。また、代表速度Uは、主流速度であり、回転するブレード42の周速と、ブレード42に流入する風の風速とを合成した速度である。なお、ブレード42が、たとえば、テーパー翼等であって、翼根と翼端との間において翼コード長が変化する場合には、ブレード42のスパン方向において気流発生装置6の本体部61の中心が位置する部分の翼コード長を、上記の代表長さcとして用いる。
St=fc/U ・・・(B)
図7は、第1実施形態に係る風力発電システムにおいて、ストローハル数と圧力係数との関係を示す図である。
図7では、2次元翼を用いた風洞実験の結果を示している。具体的には、下記に示す条件で風洞実験を行い、その結果を図7に示している。
・翼型:NREL S825
・翼コード長:400mm
・流入風速:Re=4.1×10条件(U=15m/s)
・迎角:26度
本風洞実験では、パルス変調周波数fを変えることによってストローハル数Stを変化させて、ブレード42の背側(翼背側)における静圧データをモニターすることにより、モニター位置の圧力係数Cpを求めている。なお、圧力係数Cpは、下記の関係式(C)に示すように、局所壁面静圧Psと空気密度ρと代表速度Uとに基づいて求められる。
Cp=2Ps/ρU ・・・(C)
図7から判るように、ストローハル数Stが関係式(A)に示す範囲(0.25≦St≦5)であるときには、圧力係数Cpが低くなり、剥離流れを効果的に制御することができる。特に、関係式(A)に示す範囲(0.25≦St≦5)のうち、下記の関係式(A1)に示す範囲では、圧力係数Cpが更に小さく、剥離流れを更に効果的に制御することができる(図7参照)。
0.5≦St≦1.0 ・・・(A1)
本実施形態では、制御部64が、風向風速計測部5で計測された風速データおよび風向データと、ブレード42の周速を計測することによって計測データとして得た周速データと、予め記憶しているブレード42の翼コード長のデータなどの各データに基づいて、上記の関係式(A)を満たすパルス変調周波数fを求めて設定する。そして、そのパルス変調周波数fでパルス変調された高周波の電圧を上記のように印加するように、制御部64が電圧印加部62の動作を制御する。
たとえば、風力発電システム1が2MW級の大型風車を備える場合において、代表長さcが1.5m程度(50%スパン)であり、代表速度Uが定格風速時を考慮して40m/s程度であるときに、ストローハル数Stを1.0に設定した場合には、パルス変調周波数fは、27Hzに設定される。このとき、電圧の周波数(基本周波数)が、たとえば、15kHzである場合には、デューティ率が10%のときには、56個の撹乱が発生し、デューティ率が1%のときには5.5個の撹乱が発生することになる。
[E]電圧印加の開始と停止について
本実施形態では、パルス変調された電圧の印加については、ブレード42の表面に剥離流れが多く発生したと判断されるときに開始する。そして、剥離流れの発生が少なくなったと判断されるときには、その電圧の印加を停止する。
ブレード42の表面に剥離流れが発生したときには揚力が低下する。このため、風力発電システム1の発電機(図示省略)から出力される発電出力、ブレード42が設置されたロータ4が回転することによって生じるトルク、および、そのロータ4の回転数(風車回転数)のそれぞれが低下する。このため、本実施形態では、発電出力などの因子について実測して得た計測データに基づいて、パルス変調された電圧印加の開始および停止を行う。
具体的には、本実施形態では、発電出力などの因子を実測して得た計測データが、風速データに応じて定められる基準データよりも低い状態になり、その状態を保持した時間が予め設定された時間になったときには、パルス変調した電圧の印加を開始して、剥離流れの発生を抑制させる。
たとえば、剥離流れの発生がない状態で発電出力などの因子について計測される基準データ(設計データ)と、風速データとの間を関連付けたデータベースを予め記憶させておき、そのデータベースを用いて、実測された風速データに対応する基準データを、制御部64が求める。そして、発電出力などの因子について実測された計測データが、その求めた基準データよりも低い状態になった時間(たとえば、計測データが基準データに対して80%未満になった時間)をカウントする。そして、その低い状態を保持した時間が、予め設定された時間(たとえば、5〜10秒)になったか否かを判定する。そして、その予め設定された時間になったときには、制御部64が制御信号CTL64を電圧印加部62に出力して、パルス変調された電圧の印加を電圧印加部62に開始させる。つまり、図4に示したように、第1のデューティ率D1での電圧の印加後に第2のデューティ率D2での電圧の印加を繰り返し行う動作を、開始させる。
そして、パルス変調された電圧の印加を開始した後に、発電出力などの因子を実測して得た計測データが、風速データに応じて定められる基準データ以上の状態になり、その状態を保持した時間が予め設定された時間になったときには、そのパルス変調した電圧の印加を停止する。
たとえば、上記と同様に風速データから基準データを求めた後に、実測された計測データが、その基準データ以上の状態になった時間(たとえば、計測データが基準データに対して80%以上になった時間)をカウントする。そして、その状態を保持した時間が、予め設定された時間(たとえば、5〜10秒)になったか否かを判定する。そして、その予め設定された時間になったときには、制御部64が制御信号CTL64を電圧印加部62に出力して、パルス変調された電圧の印加を、電圧印加部62に停止させる。つまり、図4に示したように、第1のデューティ率D1での電圧の印加後に第2のデューティ率D2での電圧の印加を繰り返し行う動作を、停止させる。
[F]まとめ
以上のように、本実施形態の風力発電システム1(図1参照)において、気流発生装置6は、第1電極621と第2電極622とがブレード42(移動体)に設置されており、電圧印加部62(図2,図3参照)が第1電極621と第2電極622との間に、パルス変調された電圧を印加して気流を発生する。本実施形態では、電圧印加部62(図2,図3参照)は、その電圧の印加を第1のデューティ率D1で開始した後に、その第1のデューティ率D1よりも小さい第2のデューティ率D2で電圧の印加を行う(図4参照)。このため、本実施形態では、上述したように、電圧の印加を開始した直後において、プラズマによる気流の速度を効果的に増加させることができると共に、定常状態においても、プラズマによる気流の速度を効果的に増加させることができる(図5(a),図6(b)参照)。
したがって、本実施形態では、気流発生装置6により発生した気流によって、ブレード42の周囲において剥離が発生することを容易に抑制することができる。その結果、本実施形態の風力発電システム1では、発電出力が安定に維持し、発電効率を向上することができる。特に、本実施形態では、翼コード長が1m〜4m程度になる大型風車においても、境界層に擾乱を効果的に発生させることができるため、好適である。
本実施形態では、電圧印加部62は、上述した関係式(A)に示すストローハル数Stを満たすように設定されたパルス変調周波数fでパルス変調された高周波の電圧を印加する。このため、本実施形態では、剥離流れの発生を効果的に抑制することができる(図7参照)。
本実施形態では、上記したように、気流発生装置6の本体部61が、ブレード42の翼スパン方向に複数が並ぶように設置されている。つまり、第1電極621と第2電極622とのそれぞれが、ブレード42の翼スパン方向に、複数設置されている(図1参照)。このため、本実施形態では、ブレード42の翼スパン方向において、剥離流れの発生を効果的に抑制することができる。
本実施形態では、上記したように、気流発生装置6は、風力発電システム1の発電出力とブレード42のトルクとブレード42の回転数との少なくとも1つを計測することによって得られた計測データに基づいて、制御部64が電圧印加部62の動作を制御する。ここでは、風速データに応じて定められた基準データよりも計測データが低い時間が予め設定された時間になったときには、剥離が発生したと判断して、電圧印加部62に電圧の印加を開始させる。また、風速データに応じて定められた基準データ以上に計測データがなった時間が予め設定された時間になったときには、剥離の発生が抑制されたと判断して、電圧印加部62に電圧の印加を停止させる。このように、本実施形態では、剥離流れの発生状況に応じて電圧の印加を制御するので、剥離流れを効果的に抑制することができる。また、剥離の発生が抑制されたときには電圧の印加を停止するため、電力を効率的に利用することができる。
[G]変形例
上記の実施形態では、気流発生装置6の本体部61をブレード42の表面に形成された溝の内部に収容する場合(図2参照)について説明したが、これに限らない。たとえば、ブレード42に表面に溝を形成せずに、気流発生装置6の本体部61をブレード42の表面に設置してもよい。また、上記のように、気流発生装置6の本体部61をブレード42とは別に作製し、その本体部61をブレード42に設置する場合の他に、第1電極621と第2電極622とをブレード42に直接設けることによって、気流発生装置6を構成してもよい。
上記の実施形態では、ブレード42の前縁LEの近傍に、第1電極621と第2電極622と設置する場合について説明したが、これに限らない。たとえば、ブレード42の背側の面のうち、後縁側の部分に、第1電極621と第2電極622と設置してもよい。
上記の実施形態では、風力発電システムの発電出力とブレード42のトルクとブレード42の回転数との少なくとも1つを計測することによって得られた計測データに基づいて、制御部64が電圧印加部62の動作を制御する場合について説明したが、これに限らない。上記以外の因子について計測することによって得た計測データに基づいて、電圧印加部62の動作を制御してもよい。たとえば、ブレード42の表面における圧力を計測することで得た計測データに基づいて、剥離流れの発生有無を判断し、電圧印加部62の動作を制御してもよい。この他に、計測データに基づいて電圧印加部62の動作を制御しなくてよい。たとえば、第1のデューティ率D1での電圧の印加を1回行った後に、第2のデューティ率D2での電圧の印加を予め設定した回数行う動作を繰り返し行うように、電圧印加部62の動作を制御してもよい。
上記の実施形態では、気流発生装置6を構成する第1電極621と第2電極622とのそれぞれをブレード42に設置する場合について説明したが、これに限らない。気流発生装置6を構成する第1電極621と第2電極622とのそれぞれを、ブレード42以外の移動体に設置してもよい。
<第2実施形態>
[A]構成等
図8は、第2実施形態に係る風力発電システムの気流発生装置において、電圧印加部が印加する電圧の波形を示している。
本実施形態は、図8に示すように、気流発生装置6(図2参照)において、電圧印加部62が印加する電圧の波形の一部が、第1実施形態の場合と異なる(図4参照)。本実施形態は、上記の点、及び、関連する点を除き、上記の実施形態の場合と同様である。このため、本実施形態において重複する個所については、適宜、記載を省略する。
電圧印加部62は、図8に示すように、上記の実施形態の場合と同様に、第1の周期T1においては、第1のデューティ率D1で電圧の印加を開始する。そして、第1の周期T1よりも後の第2の周期T2では、その第1のデューティ率D1よりも小さい第2のデューティ率D2で電圧の印加を行う(図4参照)。つまり、第2の周期T2において気流を発生させる時間t34(第2のオン時間)の割合(t34/(t34+t23)=D2)は、第1の周期T1において気流を発生させる時間t12(第1のオン時間)の割合(t12/(t12+t23)=D1)よりも小さくなっている(D2<D1)。
しかし、本実施形態では、図8に示すように、上記の実施形態(図4参照)の場合と異なり、電圧印加部62は、第1のデューティ率D1で印加する電圧の値よりも、第2のデューティ率D2で印加する電圧の値の方が大きくなるように、高周波の電圧の印加を行う。
具体的には、上記の実施形態では、高周波の電圧は、パルス変調波の各周期(T1,T2,・・・)において同じ最大値(波高値)で繰り返し印加されている(図4参照)。これに対して、本実施形態では、図8に示すように、高周波の電圧の最大値(波高値)は、第1の周期T1よりも第2の周期T2以降の周期の方が大きい。
[B]まとめ
以上のように、本実施形態の風力発電システム1(図1参照)では、第1のデューティ率D1で印加する電圧の値よりも、第2のデューティ率D2で印加する電圧の値の方が大きい。
上述したように、第1電極621および第2電極622の間に印加する電圧の値を増加させることで、気流の速度を更に増すことができるが、電圧の値が増加するに伴って、第1電極621および第2電極622は、寿命が短くなる。
しかし、本実施形態では、第1実施形態の場合と同様に、第2のデューティ率D2は、第1のデューティ率D1よりも小さい。このため、第2のデューティ率D2で印加するときの電圧の値が、第1のデューティ率D1のときよりも大きくても、第1電極621および第2電極622の寿命に対して与える影響は、小さい。
したがって、本実施形態では、気流発生装置6において、第1電極621および第2電極622の寿命が低下することを抑制可能であるので、安定に駆動させることができる。その結果、本実施形態の風力発電システム1では、発電出力を安定に維持し、発電効率の向上を容易に実現することができる。
<第3実施形態>
[A]構成等
図9は、第3実施形態に係る風力発電システムの気流発生装置において、電圧印加部が印加する電圧の波形を示している。
本実施形態は、図9に示すように、気流発生装置6(図2参照)において、電圧印加部62が印加する電圧の波形の一部が、第1実施形態の場合(図4参照)、および、第2実施形態の場合(図8参照)と異なる。本実施形態は、上記の点、及び、関連する点を除き、上記の実施形態の場合と同様である。このため、本実施形態において重複する個所については、適宜、記載を省略する。
気流発生装置6において、電圧印加部62は、上記の実施形態の場合と同様に、図9に示すように、予め設定された周波数(基本周波数)で高周波の電圧(交番電圧)を第1電極621と第2電極622との間に印加する。ここでは、高周波の電圧は、パルス変調波(図示省略)でパルス変調され、そのパルス変調波の各周期(T1,T2,・・・)において印加される。
しかしながら、本実施形態においては、上記の実施形態(図4,図8参照)と異なり、電圧印加部62は、パルス幅が一定なパルス変調波でパルス変調された高周波の電圧を、第1電極621と第2電極622との間に繰り返し印加する。つまり、本実施形態では、高周波の電圧は、第1実施形態(図4参照)のように、時間に応じてデューティ率が変化するパルス変調波でパルス変調が行なわれていない。また、第2実施形態(図8参照)のように、時間に応じて振幅が変化するパルス変調波でパルス変調が行なわれていない。本実施形態では、高周波の電圧は、デューティ率が一定であって振幅が一定であるパルス変調波でパルス変調されている。
特に、本実施形態では、電圧印加部62は、パルス変調波の各周期(T1,T2,・・・)において高周波の電圧を印加する印加時間Taと、その電圧の基本周期Tbとが、下記式(X)に示す関係を満たすように、電圧の印加を行う。換言すると、パルス変調波の各周期(T1,T2,・・・)で電圧の印加を行う印加時間Taにおいて、電圧の波数が1以上であって10以下になるように、電圧印加部62が電圧の印加を行う。
Tb≦Ta≦10・Tb ・・・(X)
たとえば、図9に示すように、第1の周期T1の印加時間t12(=Ta)において印加される高周波の電圧の波数は、2である。同様に、第2の周期T2(=Ta)の印加時間t34(=Ta)において印加される電圧の波数は2である。図示を省略しているが、第2の周期T2よりも後の周期(第3の周期以降)においても、電圧の波数は2である。
[B]作用および効果
図10(a)および図10(b)は、パルス変調波の各周期(T1,T2,・・・)において、印加時間Taに印加される高周波の電圧の波数kと、揚力係数CLとの関係を示す図である。図10(a)および図10(b)において、横軸は、波数kを示し、縦軸は、揚力係数CLを示している。図10(a)では、翼型Aのブレードに関してレイノルズ数が低い条件(低Re数)と高い条件(高Re数)とのそれぞれで風洞実験を行った結果を示している。これに対して、図10(b)は、翼型Bのブレードに関して風洞実験を行った結果を示している。揚力係数CLの計測は、電圧を印加しないときの失速角以降に迎角を固定した条件で風洞実験を行うことで求めた。また、揚力係数CLの絶対値は、翼型、レイノルズ数などの条件に応じて変化するため、各条件で得られた揚力係数の最大値で正規化した値を各図で示している。たとえば、図10(a)では、翼型Aのブレードに関して、レイノルズ数が低い条件(低Re数)の場合にはkが3であるデータを基準にした割合を示すとともに、レイノルズ数が低い条件(低Re数)の場合にはkが2であるデータを基準にした割合を示している。
図10(a)に示すように、波数kが10よりも大きい場合よりも10以下である場合には、揚力係数CLが大きい。また、図10(b)に示すように、波数kが70を超える場合よりも、波数kが小さい場合の方が、揚力係数CLが大きい。図10(a)および図10(b)において、波数kは、パルス変調波の各周期(T1,T2,・・・)において高周波の電圧を印加する印加時間Taを、その電圧の基本周期Tbで割った値に相当する(つまり、k=Ta/Tb)。このため、上記の式(X)に示す関係を満たすように、電圧の印加を行うことによって、揚力係数CLを効果的に向上させることができる。
したがって、本実施形態では、気流発生装置6により発生した気流によって、ブレード42の周囲において剥離が発生することを容易に抑制することができる。その結果、本実施形態の風力発電システム1では、発電出力が安定に維持し、発電効率を向上することができる。
特に、大型な風車を備える風力発電システム1において、上記の式(X)に示す関係を満たすように、電圧の印加を行うことが好ましい。
表1は、2MW級の大型な風車において、ブレード位置と波数k等との関係を示している。表1では、定格風速時において、デューティ率Dを制御したときの結果を示している。
Figure 2015108371
表1に示すように、翼根部から翼端部へ向かうに伴って、コード長cは短くなるのに対して、主流速度Uは高くなる。そして、上記した式(B)に基づいてストローハル数Stが1になるようにパルス変調周波数fが設定される。具体的には、パルス変調周波数fは、上記の場合には、翼根部が5Hzに設定され、翼中央部が20Hzに設定され、翼端部が80Hzに設定される。また、表1に示すように、印加する電圧の基本周波数Fは、たとえば、15000kHzに設定される。
この場合、デューティ率Dが10%であるときには、印加する電圧の波数kは、表1に示すように、翼根部が300個であり、翼中央部が75個であり、翼端部が18.75個になる。また、デューティ率Dが1%であるときには、印加する電圧の波数kは、翼根部が30個であり、翼中央部が7.5個であり、翼端部が1.875個になる。このように、大型な風車の場合にデューティ率Dを制御したときには、上記した式(X)に示す関係を満たさない場合がある。揚力係数が同程度になるのであれば、波数が多い場合よりも波数が少ない場合の方が消費電力を低減可能であるので、より高い効率な風力発電システムを実現することができる。このため、特に、大型な風車の場合には、上記した式(X)に示す関係を満たすように、パルス変調波の各周期(T1,T2,・・・)において印加時間Taに印加される高周波の電圧の波数kを制御することが好ましい。
[C]変形例
本実施形態では、高周波の電圧は、デューティ率が時間に応じて変化せずに一定なパルス変調波でパルス変調されている場合について説明したが、これに限らない。第1実施形態の場合(図4参照)と同様に、高周波の電圧は、時間に応じてデューティ率が変化するパルス変調波でパルス変調が行なわれていてもよい。つまり、電圧印加部62は、第1実施形態の場合(図4参照)と同様に、第1のデューティ率で電圧の印加を開始した後に、その第1のデューティ率よりも小さい第2のデューティ率で電圧の印加を行うように構成されていてもよい。
また、本実施形態では、高周波の電圧は、振幅が時間に応じて変化せずに一定なパルス変調波でパルス変調されている場合について説明したが、これに限らない。第2実施形態の場合(図8参照)と同様に、高周波の電圧は、時間に応じて振幅が変化するパルス変調波でパルス変調が行なわれていてもよい。つまり、電圧印加部62は、第2実施形態の場合(図8参照)と同様に、第1のデューティ率で印加する電圧よりも、第2のデューティ率で印加する電圧の方が高くなるように、電圧の印加を行ってもよい。
<その他>
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…風力発電システム、2…タワー、3…ナセル、4…ロータ、5…風向風速計測部、6…気流発生装置、41…ハブ、42…ブレード、61…本体部、62…電圧印加部、63…接続部、64…制御部、611…基体、621…第1電極、622…第2電極、631,632…接続配線

Claims (11)

  1. 第1電極と、
    前記第1電極から離れて設けられた第2電極と、
    前記第1電極と前記第2電極との間に、パルス変調された電圧を印加することによって気流を発生させる電圧印加部と
    を有し、
    前記電圧印加部は、第1のデューティ率で電圧の印加を開始した後に、前記第1のデューティ率よりも小さい第2のデューティ率で電圧の印加を行うことを特徴とする、
    気流発生装置。
  2. 前記第1のデューティ率で印加する電圧よりも、前記第2のデューティ率で印加する電圧の方が高いことを特徴とする、
    請求項1に記載の気流発生装置。
  3. 前記電圧印加部は、パルス変調の周期において電圧を印加する印加時間Taと、電圧の基本周期Tbとが、下記式(X)に示す関係を満たすように、電圧の印加を行うことを特徴とする、
    請求項1または2に記載の気流発生装置。
    Tb≦Ta≦10・Tb ・・・(X)
  4. 第1電極と、
    前記第1電極から離れて設けられた第2電極と、
    前記第1電極と前記第2電極との間に、パルス変調された電圧を印加することによって気流を発生させる電圧印加部と
    を有し、
    前記電圧印加部は、パルス変調の周期において電圧を印加する印加時間Taと、電圧の基本周期Tbとが、下記式(X)に示す関係を満たすように、電圧の印加を行うことを特徴とする、
    気流発生装置。
    Tb≦Ta≦10・Tb ・・・(X)
  5. 前記電圧印加部は、下記の関係式(A)に示すストローハル数Stを満たすように設定されたパルス変調周波数によってパルス変調された電圧を印加することを特徴とする、
    請求項1から4のいずれかに記載の気流発生装置。
    0.25≦St≦5 ・・・(A)
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の気流発生装置
    を有し、
    前記気流発生装置の前記第1電極と前記第2電極とが設置されていることを特徴とする、
    移動体。
  7. 前記第1電極と前記第2電極とのそれぞれが複数設置されていることを特徴とする、
    請求項6に記載の移動体。
  8. ブレードと、
    請求項1から5のいずれかに記載の気流発生装置と
    を有し、
    前記気流発生装置の前記第1電極と前記第2電極とが前記ブレードに設置されていることを特徴とする、
    風力発電システム。
  9. 前記気流発生装置は、
    前記風力発電システムの出力と前記ブレードのトルクと前記ブレードの回転数との少なくとも1つを計測することによって得られた計測データに基づいて、前記電圧印加部の動作を制御する制御部
    を有することを特徴とする、
    請求項8に記載の風力発電システム。
  10. 前記制御部は、風速データに応じて定められた基準データよりも前記計測データが低くなった時間が予め設定された時間になったときに、前記電圧印加部に電圧の印加を開始させることを特徴とする、
    請求項9に記載の風力発電システム。
  11. 前記制御部は、前記風速データに応じて定められた基準データ以上に前記計測データがなった時間が予め設定された時間になったときに、前記電圧印加部に電圧の印加を停止させることを特徴とする、
    請求項10に記載の風力発電システム。
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