JP2015107602A - 積層シート及び成形容器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも二層の熱可塑性樹脂層が積層されてなる積層シートにおいて、少なくとも一つの熱可塑性樹脂層に、平均粒径が0.5〜100μmである無機フィラーを、同層を形成する熱可塑性樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部添加し、JIS−K7105法で測定したHAZE値が70%以下であり、総厚みが300〜1300μmである積層シートとする。
【選択図】図1
Description
このようなバリが生じた容器は排除されるため、製品歩留まりが低下するという不具合があった。
積層シートを形成する熱可塑性樹脂は、前述のゴム変性MS系樹脂に限定されるものではなく、本発明の分野で従来から使用されている任意の熱可塑性樹脂を利用することが可能であるが、一実施態様では、スチレン系単量体、ジエン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体のホモポリマーもしくは同ホモポリマーのアロイ、又はこれらの共重合体もしくは同共重合体のアロイ、更には同ホモポリマーと同共重合体のアロイを好適に用いることができる。また、一実施形態では、無機フィラーが添加された熱可塑性樹脂層に破断線が形成される。
図1中の断面図は、本発明の一実施形態に係る熱可塑性樹脂積層シートの断面を示すもので、V字溝等の破断線が形成されることとなる面を構成する基材層と、該基材層のV字溝等の破断線形成面とは反対側の面に積層された表皮層との二層の積層構造とされている。
上記ジエン系単量体としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、ペンタジエン、ヘキサジエン等を挙げることができるが、好ましくはブタジエンである。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−メチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート等が挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステル系単量体は単独で用いてもよいが2種以上を併用してもよい。透明性を保ちながら耐衝撃性を上げるためには、好ましくはメチルメタクリレート単独又はメチルメタクリレートとn−ブチルアクリレートとの併用である。
一例では、好ましいゴム変性MS系樹脂は、ブタジエン単量体単位を70〜50質量%含有するスチレン−ブタジエンブロック共重合体の分散相と、スチレン系単量体35〜75質量%及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体65〜25質量%(両者の合計が100質量%)の共重合体であるMS樹脂の連続相とからなるゴム変性MS系樹脂である。なかでも、V字溝等の破断線が形成されることとなる面を構成する基材層と、該基材層の破断線形成面とは反対側の面に積層された表皮層とでは、スチレン−ブタジエンブロック共重合体の分散相の含有量を異なるようにするのが好ましい。すなわち、破断線が形成される基材層には、得られる積層シートに十分な耐衝撃強度を付与するために、基材層における樹脂の合計100質量部に対してスチレン−ブタジエンブロック共重合体の含有量を9〜15質量部とする。一方、表皮層は破断線に沿って手で容易に折れかつ破断分離されるように、樹脂の合計100質量部に対してスチレン−ブタジエンブロック共重合体の含有量を5〜8質量部とする。
(a)ブタジエン単量体単位を70〜50質量%含有するスチレン−ブタジエンブロック共重合体の分散相10〜15質量部と、スチレン系単量体35〜75質量%及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体65〜25質量%(両者の合計が100質量%)の共重合体であるMS樹脂の連続相90〜85質量部とからなるゴム変性MS樹脂と、
(b)スチレン系単量体単位35〜75質量%及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体65〜25質量%(両者の合計が100質量%)の共重合体であるMS樹脂と
の混合物であり、
基材層は上記ゴム変性MS樹脂が70〜95質量%でMS樹脂が30〜5質量%(両者の合計が100質量%)であり、表皮層はゴム変性MS樹脂が50〜70質量%でMS樹脂が50〜30質量%(両者の合計が100質量%)である。
添加される無機フィラーは、熱可塑性樹脂に配合することによって該樹脂をある程度、脆性化することができ、かつ食品包装分野で使用できるものであれば、如何なるフィラーでも構わない。このような無機フィラーとしては、周期律表第I族からVIII族までの金属原子、例えば、Fe、Na、K、Cu、Mg、Ca、Zn、Ba、Al、Ti等もしくはケイ素の単体、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、亜硫酸塩、これらの化合物の何れか1種以上が存在する各種粘土鉱物等が挙げられ、具体的には、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、シリカ、炭酸カルシウム、酸化鉄、アルミナ、チタン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、亜硫酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、クレー、ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスパウダー、雲母、モンモリナイト、ケイ砂、ケイ石、石英粉等を挙げることができ、またこれらのうち、シリカ、ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスパウダーは、視認性に優れるため、好ましく、なかでもシリカが特に好ましい。また、これら無機フィラーは、単独でも2種類以上併用してもよい。
ここで、平均粒径とは、電子顕微鏡で観察することにより測定した一次粒子の平均最大粒子径である。また、無機フィラーの形状は、球形、立方形等の粒状、針状、板状、繊維状等種々のものを用いることができるが、粒状のものが、所望の平均粒径を達成しやすく、好ましい。
積層シートにおける無機フィラーを添加しない表皮層の厚みは300μm以下が好ましく、より好ましくは200μm以下である。300μmを越えると、連接容器打ち抜き時に同層が延伸されてバリが発生する恐れがある。
図2に、本発明に係る積層シートから得られる本発明に係る連接容器の一例を示す。
本発明の連接容器は、複数(図示例では3つ)の容器部1が連接されてなる。各容器部1の開口部2の周縁には、破断線3を介して連なったフランジ部4が張り出している。破断線3は、例えばV字溝、ミシン目、断続したスリット等で構成されているもので、フランジ部4にヒートシールされて開口部2を塞いでいるカバーフィルム5上からフランジ部4に対して形成されている。
(1)基材層
・MBS樹脂「TH23S」(電気化学工業株式会社製、スチレン−ブタジエンブロック共重合体含有量:12.5%、ST/MA/n−BAの組成比(%):55/38/7、Mw:13万)
・MS樹脂「TX800LF」(電気化学工業株式会社製、ST/MAの組成比(%):52/48、Mw:13万)
・炭酸カルシウム系フィラー「ソフトン2200」(白石カルシウム社製、平均粒径:1.0μm、形状:球形)
・シリカ系フィラー「ミネックス7」(白石カルシウム社製、平均粒径4.0μm、形状:球形)
・炭酸カルシウム系フィラー「Vigot−10」(白石カルシウム社製、平均粒径0.1μm、形状:立方形)
(2)表皮層
・MBS樹脂「TP801」(電気化学工業株式会社製、スチレン−ブタジエンブロック共重合体含有量:10%、ST/MA/n−BAの組成比(%):55/38/7、Mw:16万)
・MS樹脂「TX800LF」(電気化学工業株式会社製)
φ65mm単軸押出機とφ40mm単軸押出機を使用し、フィードブロック法により、基材層780μm/表皮層40μmという層構成を有する総厚み820μmの熱可塑性樹脂積層シートを得た。
尚、ゴム変性MS系樹脂としては、基材層にはMBS樹脂「TH23S」とMS樹脂「TX800LF」を質量比90/10(MBS/MS)、表皮層にはMBS樹脂「TP801」とMS樹脂「TX800LF」を質量比60/40(MBS/MS)で混合したものを用いた。
また、基材層樹脂量に対するシリカ系無機フィラー「ミネックス7」の添加量は、5.0PHRとした。
使用機器:CFF−300(CKD株式会社製)
上熱盤温度:165℃
下熱盤温度:165℃
V字溝部分加熱温度:160℃
V字溝深さ:300μm
容器打ち抜き刃上側構造:雄刃
容器打ち抜き刃下側構造:雌刃
容器打ち抜き刃の上側下側間の間隙:20μm
JIS−K−7127(1999年)に準拠して4号評価を行った。
(2)シートのHAZE
JIS−K−7150に準拠して評価を行った。
(3)断面平滑性
・打ち抜き断面平滑性
連接容器の打ち抜き断面を観察し、以下の基準で官能評価を行った。
◎:バリが全くなく、断面が平滑であるもの
○:バリはないが、やや凹凸接触感があるもの
×:大きなバリがあるもの
・破断面平滑性
3連のゼリー用連接容器を成形し、内容物であるゼリーを充填してカバーフィルムで密封し、ミシン目を入れた後、手折り試験を行って破断面を観察し、以下の基準で官能評価を行った。
◎:バリが全くなく、断面が平滑であるもの
○:バリはないが、やや凹凸接触感があるもの
×:大きなバリがあるもの
(4)連接容器中身の視認性
3連のゼリー用連接容器を成形し、内容物であるゼリーを充填してカバーフィルムで密封し、ミシン目を入れた後、中身を確認し、以下の基準で視認性の官能評価を行った。
◎:透明性が高く、中身が明瞭に確認できるもの
○:やや透明性が低いものの、中身が確認できるもの
×:中身が確認できないもの
無機フィラーの添加量、種類、添加の有無を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、積層シートを成形した。
また、得られた積層シートを用いて、実施例1と同様にして連接容器を成形した。
2 開口部
3 破断線
4 フランジ部
5 カバーフィルム
Claims (6)
- 少なくとも二層の熱可塑性樹脂層が積層されてなる積層シートにおいて、少なくとも一つの熱可塑性樹脂層に、平均粒径が0.5〜100μmである無機フィラーが、同層を形成する熱可塑性樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部添加され、JIS−K7105法で測定したHAZE値が70%以下であり、総厚みが300〜1300μmである積層シート。
- 破断点伸び率が60%以下である請求項1に記載の積層シート。
- 無機フィラーが添加されない層の厚みが300μm以下である請求項1又は2に記載の積層シート。
- 熱可塑性樹脂が、スチレン系単量体、ジエン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体のホモポリマーもしくは同ホモポリマーのアロイ、又はこれらの共重合体もしくは同共重合体のアロイ、さらには同ホモポリマーと同共重合体のアロイからなる請求項1から3の何れか一項に記載の積層シート。
- 開口部周縁に張り出したフランジ部同志が破断線を介して連なった複数個の容器部からなる連接容器において、請求項1から4の何れか一項に記載の積層シートの成型品であることを特徴とする連接容器。
- 無機フィラーが添加された熱可塑性樹脂層に破断線が備えられる請求項5に記載の連接容器。
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