JP2015107553A - 切削タップ - Google Patents
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Abstract
Description
オープニング概算値とは、オープニング(メッシュの目開)を求める計算の結果を概数で表した概算値。本発明および本明細書では対比説明を分かり易くするために、オープニング概算値を砥粒の「平均粒径」として説明する。平均粒径という記述が無いもの、単に粒径との記述も特別な断りがない場合は平均粒径である。
この摩擦係数低減被膜層は、切削タップのすくい面にも施されている。
よって、摩擦係数の低い(よく滑る)すくい面に接触しすくわれカールしながら延びてゆく切削屑は長い切屑形態となり、その長い切屑が切削タップに大量に絡みつき(図15の(b)図参考。)、切削抵抗を増大させ切削タップを折損させてしまう、切削タップの耐久性の著しい低下を招いてしまうという欠点を有するものであった。
この切屑の長片化と絡み付きは切削速度が高速になるほど顕著になり、切削速度が高速になるほど耐久性は著しく低下してしまう傾向にあるものである。
また、切削タップの折損を防ぐために、タップに絡みついた切屑を取り除くという煩雑な作業が必要なものであった。
また、前記目的に加え、切削速度(加工速度)を上げても切屑がタップに巻きつかず、加工能率の向上を実現する切削タップを提供することを目的としている。
切削直後の切屑が接触するすくい面に、メッキ層に該メッキ層の硬度よりも硬い硬度の硬質粒子を含有した装甲層を設け、前記メッキ層から前記硬質粒子の一部が突出した硬質粒子突出部位が形成され、前記切屑が前記すくい面に当たり通るときに、前記切屑に対して前記硬質粒子突出部位が引っ掻き作用をすることで摩擦抵抗を与えるようにしたことを特徴とする切削タップである。
切削直後の切屑が接触するすくい面に、メッキ層に該メッキ層の硬度よりも硬い硬度の硬質粒子を含有した装甲層を設け、前記メッキ層から前記硬質粒子の一部が突出した硬質粒子突出部位が形成され、前記切屑が前記すくい面に当たり通るときに、前記切屑に対して前記硬質粒子突出部位が引っ掻き作用をすることで摩擦抵抗を与えるようにし、前記摩擦抵抗により前記切屑のカール径の減少および短片化あるいはいずれか一方を図って、回転するタップへの巻きつきが生じない切屑形態を実現することを特徴とする切削タップである。
前記硬質粒子がSiC粒子とCBN粒子の混合からなるあるいはいずれか一方の硬質粒子であり、前記メッキ層が無電解メッキ層あるいは電解メッキ層のいずれかであることを特徴とする請求項1、2のいずれか1項に記載の切削タップである。
前記硬質粒子の大きさが5μm以下であり、前記メッキ層の厚みが10μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の切削タップである。
前記硬質粒子の大きさが3μm〜1μmであり、前記メッキ層の厚みが6μm〜1μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の切削タップである。
前記メッキ層を形成するメッキ液中の前記硬質粒子の含有量は25パーセント〜35パーセントであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の切削タップである。
前記メッキ層が無電解メッキ層あるいは無電解メッキ層を主体とするものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の切削タップである。
前記装甲層が、前記硬質粒子よりも大きく、かつ、粒度が#1500(平均粒径10.16μm)以下のCBN砥粒(立方晶窒化ホウ素砥粒)の一層形態からなるCBN砥粒群を、前記メッキ層によって固定した、前記硬質粒子、前記CBN砥粒群および前記メッキ層を有する形態であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の切削タップである。
摩擦係数を高くするための、硬質粒子を含有したメッキ層からなる装甲層が、ねじ切削形成部の全体全周あるいは一部全周に施され、ねじ山の逃げ面部位の装甲層である逃げ面装甲層の厚さが、すくい面部位の装甲層であるすくい面装甲層の厚さよりも薄い厚さである、あるいは前記逃げ面装甲層が無い構成であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の切削タップである。
<請求項1記載の発明の効果>
すくい面に該すくい面に当り通る切屑に対して引っ掻き作用をして摩擦抵抗を与える硬質粒子突出部位を形成したことによって、従来の切削タップであるホモ処理切削タップや、TiCN被膜切削タップに比べて、切屑にかかる摩擦抵抗が大きなものとできる。これによって、切屑のカール径の減少と切屑の短片化あるいはいずれか一方が図られて、回転する切削タップに巻きつかない形態の切屑形態を実現するという効果を奏する。
メッキ層の硬度が硬質粒子の硬度よりも低いので、硬度の低いメッキ層が硬度の高い硬質粒子よりも先に減り、よって、常に硬質粒子突出部位が形成される。
また、装甲層による耐摩耗性の向上と切屑の工具への巻きつき解消、あるいは切屑の工具への巻きつき解消によって、50m/mimという高速切削でも十分な切削性能を実現するという効果を奏する。
切屑のカール径の減少と切屑の短片化あるいはいずれか一方を図ることで、切削タップへの巻きつき現象を起こさない切屑形態とするための、好適な摩擦抵抗を与える切屑に好適な引っ掻き作用を与えるメッキ層中の硬質粒子の、好適な分布密度は主に硬質粒子の大きさによって好適値が異なる。
また、メッキ層中の硬質粒子の好適な分布密度を得るための、メッキ液中の硬質粒子の含有量も、同様に主に硬質粒子の大きさによって好適値が異なる。
請求項1記載の発明と同様な効果を奏する。
硬質粒子がSiC粒子とCBN粒子の混合からなるあるいはいずれか一方の硬質粒子であるものであり、このような構成とすることにより、請求項1、2のいずれか1項に記載の発明のと同様な効果を奏する。
請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明と同様な効果を奏するとともに、硬質粒子の大きさが5μm以下であり、メッキ層の厚みが10μm以下であるので、切れ味を保ちながら、耐久性のある切削タップを実現する。
また、切屑への良好な引っ掻き作用を得る硬質粒子の大きさである。
請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明と同様な効果を奏するとともに、硬質粒子の大きさが3μm〜1μmであり、メッキ層の厚みが6μm〜1μmであるので、より切れ味のよい切削タップとすることができる。
また、切屑へのより良好な引っ掻き作用を得る硬質粒子の大きさである。
請求項1〜5のいずれか1項に記載の発明と同様な効果を奏するとともに、メッキ液中の前記硬質粒子の含有量を25パーセント〜35パーセントとしたことによって、タップに巻きつかない切屑を形成するための、硬質粒子突出部位による切屑への好適な引っ掻き作用による、該切屑に好適な摩擦抵抗を付与する、無電解メッキ層中の硬質粒子の好適な分布密度を実現するという効果を奏する。
請求項1〜6のいずれか1項に記載の発明と同様な効果を奏するとともに、メッキ層が無電解メッキ層あるいは無電解メッキ層を主体とするものである。無電解メッキ層は、電解メッキ層(電着メッキ層)より硬度が高いので耐久性および硬質粒子保持力が大きく、耐久性のある切削タップを実現しやすい。
請求項1〜7のいずれか1項に記載の発明と同様な効果を奏するとともに、硬質粒子よりも大きく、かつ、粒度が#1500(平均粒径10.16μm)以下のCBN砥粒(立方晶窒化ホウ素砥粒)の一層形態からなるCBN砥粒群を、メッキ層によって固定したので、より摩擦係数を大きくでき、切屑の巻きつきの解消をより確実なものにできる。
する請求項1〜5のいずれか1項に記載の切削タップである。
請求項1〜8のいずれか1項に記載の発明と同様な効果を奏するとともに、ねじ山の逃げ面部位の装甲層である逃げ面装甲層の厚さが、すくい面部位の装甲層であるすくい面装甲層の厚さよりも薄い厚さである、あるいはすくい面装甲層が無い構成で、切れ味のよいかつ切れ味が損なわれ難いタップを可能とする。
すくい面装甲層の厚みを形成されるメスねじの精度に影響を与えずに形成できるので、例えば、すくい面装甲層の厚みを20μmというような分厚いすくい面装甲層とすることが可能となり、分厚いすくい面装甲層とすることでより長寿命化を図ることを可能とする。
ねじ切削形成部8はシャンク部2を延長したハイス鋼あるいは超硬合金などからなる台金11に形成されている。
仮着メッキ層16と埋込メッキ層20と最表面メッキ層17とで固定メッキ層18を形成している。
固定メッキ層18とCBN砥粒群15とで装甲層10を形成している。
硬質粒子の電解メッキ液中の含有量は25パーセント〜35パーセントが好適である。
また、硬質粒子の大きさは、5μm以下がよい、より良くは3μm〜1μmがよい。
電解液が硬質粒子の混合浮遊状態液であることにより、固定メッキ層18(電着メッキ層)内の硬質粒子の分布は均一な分布密度を形成する。
この均一な硬質粒子の分布密度により、固定メッキ層18が摩耗していっても、固定メッキ層表面には常に略同じ分布密度の硬質粒子突出部位が形成されて行く。
よって、固定メッキ層18が摩耗していっても切屑に対しては、常に同じ程度の引っ掻き作用による摩擦抵抗を与えることができる。
固定メッキ層18を、CBN砥粒14の全く無いものとするのもよい。また、固定メッキ層18を1回のメッキ処理による一層形態とするのもよい。
無電解メッキ層とした固定メッキ層18は熱処理することによって、メッキ層の硬度を900±100Hv(400℃,1hr)以上に強化したものがよい。
硬質粒子の電解メッキ液中の含有量は25パーセント〜35パーセントが好適である。
また、硬質粒子の大きさは、5μm以下がよい、より良くは3μm〜1μmがよい。
CBN砥粒群15の層厚の80%〜120%である固定メッキ層18の深い埋込形態によって、CBN砥粒14の堅固な固定安定性が得られている。また、より堅固な固定安定性を得る場合は固定メッキ層18の層厚はCBN砥粒群15の層厚100%〜120%とするのがよい。
「略一重形態(略一層形態)」とは、隣り合うCBN砥粒の向きによっては、その一部分同士が部分的に重なることが生じる可能性を排除しない趣旨である。
#1500(12μm〜8μmの平均粒径10.16μm)以下としているが、好ましくは平均粒径7.62μm(#2000)〜平均粒径5.08μm(#3000)、より好ましくは平均粒径5.08μm(#3000)〜平均粒径2.18μm(#7000)がよい。
また、硬質粒子12の大きさは、3μm〜1.0μmが好ましい。
硬質粒子12の最表面メッキ層17にあるものは、その一部を最表面メッキ層17の表面から突出させた硬質粒子突出部位を形成している。
すくい面3の硬質粒子突出部位は、切削直後の切屑に当たり食い込み、引っ掻き作用によって切屑の進行に抵抗(摩擦抵抗)を与えるとともに、切屑排出溝9の全体にも硬質粒子突出部位が多数散在しているので、カールしながら延びて行く切屑に対して切屑排出溝9部位の硬質粒子突出部位が当たり引っ掻き作用をおよぼす。
これら硬質粒子突出部位の引っ掻き作用による、切削屑の進行抵抗の付加によって、切屑のカール径の減少と切屑の短片化を図られ、これらによって、切削タップへの切屑の巻きつき現象が生じ難い切削タップを実現している。
それは、CBN砥粒14の大きさおよび分布密度、硬質粒子12の大きさなどによって、最適な硬質粒子のメッキ層内の硬質粒子の分布密度がことなる。
最適な前記分布密度を得るためのメッキ液中の硬質粒子の含有量の最適値は異なる。
タップのねじ研は、有効径寸法を規格に入れることを重視しねじ谷(ねじ溝)は、ねじ山の切り取り高さがH/6以下になっていれば合格である。(ねじ研は、総型砥石を使用するため、有効径寸法のバラツキに連動しねじ谷の径も変化している。)
これに対し、雌ねじ加工では、下穴寸法をひっかかり率で85〜90%(規格は85〜100%)の寸法に入るドリルを選定して加工し、タッピングを行う。(タップのねじ谷と下穴の間にクリアランスがないと、タッピングトルクが大きくなり、切屑つまり等で折損する。)
本実施例では、ねじ研後にCBN砥粒群15を保持した固定メッキ層18からなる装甲層10でねじ切削形成部8の全面を被覆するめ、当然タップのねじ谷は浅くなってしまう、よってタップのねじのピッチに応じた最適の砥粒径のCBN砥粒14の選定が必要になる。
CBN砥粒14の砥粒径の算定には、タップの使用条件の加味も必要であるので、タップの振れを10μm、下穴とタップの芯ずれはWPM3未満で20μm、M3〜M4で30μm、それ以上は50μmと想定し、下穴寸法をひっかかり率で87.5%とするとねじ谷の切り取り高さに換算すると、H/4+(5/8H×0.125)=0.28416Pになるので、図5の表により、ねじ研時のねじ谷の切り取り高さをH/6→H/8と深くする必要がある。
P=0.2はシングル砥石の使用が必要である。
ピッチ0.6mm以上では#1500(平均粒径10.16μm)以下で基準のねじ谷でよく、
ピッチ0.5mmでは#2000(平均粒径7.62μm)以下で基準のねじ谷でよく、
ピッチ0.4mmでは#3000(平均粒径5.08μm)以下で基準のねじ谷でよく、
ピッチ0.3mmでは#7000(平均粒径2.18μm)で基準のねじ谷でよく、
ピッチ0.2mmでは#7000(平均粒径2.18μm)が使用できるところまでねじ谷を深くねじ研する。
以上のことから、ピッチ0.7mm以下にあっては、固定メッキ層18の層厚はCBN砥粒群15の層厚の80%〜100%とするのがよい。
大きい摩擦係数が必要な場合には、CBN砥粒14の固定メッキ層18の最表面からの最大突出を、CBN砥粒14の最大高さHaの30%〜10%(CBN砥粒14の70%〜90%は固定メッキ層18に埋まっている状態)にするのが好適である。
(1)先ず、所定の処理槽にてシャンク部2にマスキング25(図7)が施された台金11の脱脂、洗浄等の前処理が施され、その後に台金11のねじ切削形成部8の表面に、厚さ0.1μm〜0.5μmの下地メッキ層13(ニッケルメッキ)を形成する。(図6の(a)図)
この際、図7に示すように、電源の陽極に接続されたニッケル棒26を収納してなる電着仮着メッキ槽27においては、電源の陰極に接続された台金11が支持容器28内に横置きにされ、そのねじ切削形成部8にCBN砥粒14が振り掛けられた状態で電着が施される。そして、必要に応じて、台金11を反転(裏返し)させて、下地メッキ層13の上に均一にCBN砥粒14が略一重形態(略一層形態)に敷き詰められてなるCBN砥粒群15を仮着した仮着メッキ層16を形成する。
予め金属メッキが施されたCBN砥粒14が電解液内に多数浮遊させた状態下で行う方法もよい。
また、メッキ槽内に予め金属メッキがほどこされたCBN砥粒14を多数沈殿させ、その後メッキ液を撹拌して、CBN砥粒14を浮遊させた状態下でメッキを行うのもよい。
予め銅、ニッケル、チタン等の金属メッキが施されて表面に導電性をもたされたCBN砥粒は、その導電性によって電着速度の向上、メッキ層との強い密着力による保持強度および熱の拡散性の向上を図る利点があり、これらの利点によりメッキ層の形成速度の向上(生産性の向上)、耐久性能の向上およびタップの寿命をのばすことができる。
この際、図8に示すように、電源の陽極に接続されたニッケル棒26を収容してなる電着埋込メッキ槽29においては、電源の陰極に接続された台金11が吊り下げられた状態でメッキ液中に浸漬され、埋込メッキが施される。
仮着メッキ層16と埋込メッキ層20と最表面メッキ層17とで固定メッキ層18を形成し、固定メッキ層18とCBN砥粒群15とで装甲層10を形成する。
これらは、用途、コストなどの条件によって選択される。
また、固定メッキ層18としては、Niメッキ、Ni−WメッキなどのNi合金メッキ、Ni−PメッキまたはNi−BメッキなどのNi合金無電解メッキ、Cuメッキ、Cu−SnメッキなどのCu合金メッキ、Crメッキ、Snメッキ、及びSn−CuメッキなどのSn合金メッキなどがある。但し、これらに限定する趣旨ではない。
少なくとも、埋込メッキ層20を熱処理した無電解二ケルメッキ層(Hv975〜1075 400℃、1時間で最高高度が得られる。)とするのがよい。こうすることにより、CBN砥粒14はHv975〜1075の高度の高い埋込メッキ層20に中ほどを固定され、上下を電解ニッケルメッキ層(硬度:Hv100〜150)に支持された構造ということになり、この構造はCBN砥粒14を高硬度の埋込メッキ層20によって強固に動かないように保持しながら、衝撃を上下の硬度の低い最表面メッキ層17と仮着メッキ層16で緩衝する構造を実現しているものである。
硬さHv 加熱温度℃ 加熱後の硬度Hv
ニッケル・リン 600 400 1000
ニッケル・タングステン 700 600 1400
コバルト・タングステン 800 650 1300
ニッケル・ホウ素 750 400 1250
鉄・タングステン 900 650 1400
クロム・炭素 1000 700 2000
仮着メッキ層16と埋込メッキ層20と最表面メッキ層33とで固定メッキ層30を形成し、固定メッキ層30とCBN砥粒群15とで装甲層31を形成している。
硬質粒子32の最表面メッキ層33にあるものは、その一部を最表面メッキ層32の表目から突出させた、切屑に当たり引っ掻き作用による摩擦抵抗を与えるための硬質粒子突出部位を形成している。
また、硬質粒子32が分散保持さている最表面メッキ層33は硬度が高くなるので、耐摩耗性・耐久性の向上とCBN砥粒14の保持力の向上を実現するものである。この硬質粒子32の分散は最表面メッキ層33の熱伝導性を高めるので、その摩耗性・耐久性の向上との相乗効果によってCBN砥粒14への切削負荷を軽減することになるので、CBN砥粒14の摩耗の少ない、すなわち耐久性が高くかつ高速切削にも対応可能な切削タップを実現している。
尚、硬質粒子32が微細すぎて金属メッキを施せない場合は、例えば、金属メッキが施せる最少粒度の微細CBN砥粒に金属メッキを施し、その処理後に粉砕して硬質粒子32を得るようにする。
最表面メッキ層34が固定メッキ層となっていて、固定メッキ層(最表面メッキ層34)とCBN砥粒群15とで装甲層36を形成する。
これによれば、仮着メッキ層、埋込メッキ層を形成する工程(図6の(b)、(c)の工程)が行われないのでコストダウンが図れる。
マスキング25を施す工程および取り除く工程をなくすことができコストの軽減となる。
硬質粒子の大きさ(幅)は、装甲層の厚さの半分以下の大きさとするのがよい。
また、Ni−Pに変えてNi−Bの無電解ニッケルメッキ液を使用するのもよい。
この無電解メッキ層41の表面に突出した硬質粒子40の突出部位である硬質粒子突出部位39が、切屑に当たり食い込み状態となることで摩擦抵抗が増大して、カール径の減少、切屑の短辺化等が促進され、切削タップへの切屑の巻きつきが起き難くなる、ないし殆ど起きないようになる。
それは、切屑の表面に多数の引っ掻き傷が形成されていることから明らかである。
ホモ処理タップおよびTiCN被膜タップの切屑にはそのような引っ掻き傷は無く綺麗な平面である。
SiCの硬度は2350Hvであり、Ni−Pメッキ層の硬度は1000Hv〜1400HvとSiCの半分程度であるので、常に先にNi−Pメッキ層が減り常にSiCがメッキ層からその一部を突出させるので、常に硬質粒子突出部位39が存在する状態となる。
すくい面に施された装甲層42は、切屑が押し付けられながら移動して行くだけの動作であるので、装甲層42に加わる衝撃、圧力、抵抗は、刃先に加わるものに比べて圧倒的に小さいものであり、装甲層42が剥がれることは殆ど生じない、もしくは生じ難い。
実験での最適な構成は、SiC粒子は#10000(平均粒度1.5μm)、無電解メッキ層は5μmであった。
硬質粒子突出部位39に切屑が当たり、切屑への引っ掻き傷を与える引っ掻き作用によって、切屑にたいして摩擦抵抗を与え、カール径の減少および短片化あるいはいずれか一方が図られた、回転するタップに巻きつかない切屑形態を実現する。その結果、50m/minの高速切削においても切屑の巻きつけが生じさせず、切れ味、耐久性ともに良好な結果を得た。
よって、装甲層42の厚さは10μm以下、好ましくは7μm〜2μm、より好ましくは6μm〜1μmであり、さらに好ましくは5μm〜1μmであり、硬質粒子40の大きさは3μm以下、好ましくは2μm〜1μmとするのがよい。
この好適な分布密度およびそれを実現するための無電解液中の硬質粒子の含有量は、硬質粒子の大きさによって異なる。
この均一な硬質粒子の分布密度により、メッキ層が摩耗していっても、メッキ層表面には常に略同じ分布密度の硬質粒子突出部位が形成されて行く。
よって、メッキ層が摩耗していっても切屑に対しては、常に同じ程度の引っ掻き作用による摩擦抵抗を与えることができる。
また、好適な分布密度を実現することができる電解メッキ液中あるいは無電解液中の硬質粒子の含有量を好適な含有量(B)にするというところにあるものである。
前記好適な分布密度(A)、前記好適な含有量(B)は、硬質粒子の大きさなどによって、その好適値が異なる。
また、硬度も無電解メッキ(熱処理:+H)の半分と低いことから、硬質粒子の保持力が弱く該硬質粒子が欠落する可能性も、無電解メッキより大きい。
よって、メッキ層は無電解メッキ層が好ましい。
装甲層42を装甲した切削タップ(以下「SiC装甲切削タップ」という。)の他に、ホモ処理タップ(Homo)とTiCN被膜タップを用い比較対象とした。切削タップの呼び径はM6を使用した。
被削材料には炭素鋼S45C(硬度211〜285Hv)を用いた。
切削速度は、従来の5倍の高速切削条件である50m/mimとした。
加工実験は、エマルジョン型の水溶性切削油を用いて、寿命を迎えるまで加工し続けた。
また、加工時に切削タップへの切屑の巻き付きが発生する場合には、100穴ごとに切屑を除去した。
ホモ処理タップや、TiCN被膜タップでは、切屑の巻きつきが発生するのに対して、SiC装甲切削タップでは切屑の巻きつきが発生しない。
切屑の巻きつきが発生したホモ処理タップや、TiCN被膜タップでは、正規化した切屑のカール直径値が1を大きく上回っている。
一方、切屑の巻きつきが発生しなかたSiC装甲切削タップでは、正規化した切屑のカール直径値が1程度である。これは、切屑とタップのすくい面間の摩擦が高いために、切屑のカール径が顕著に減少したためであると考えられる。
同図より、ホモ処理タップとSiC装甲切削タップでは徐々に切削トルクが増加し、寿命を迎えていることが分かる。
加工中の切削トルクは、タップ刃先の摩耗に伴い増加することから、SiC装甲切削タップはホモ処理タップよりも耐摩耗性に優れていると考えられる。
同図により、TiCN被膜タップでは、従来ホモ処理タップに比べて、寿命が著しく低下する。
一方、SiC装甲切削タップでは、ホモ処理タップに比べて、3倍に寿命が向上している。
図19に、加工終了後におけるタップ工具刃先のSEM像を示す。
ホモ処理タップでは刃先で大きな欠けが発生しているのに対して、SiC装甲切削タップでは刃先の形状が保たれている。
以上のことから、装甲層42を施したSiC装甲切削タップは、タップ表面の耐摩耗性が向上しており、その結果工具寿命の大幅な向上効果が得られた。
本発明は、この摺動部材を抵抗を軽減するための目的ではなく、逆に、切削タップにおいて、切削形成される切削屑に対しての抵抗を増加させることを目的とし、切削屑が形成直後に接触するすくい面の摩擦抵抗を増大させることで、その切屑の短片化、切屑のカール径の減少をもたらし、それによって切屑の切削タップへの巻きつき現象が生じないようにすることを実現したものである。
それは、切削タップの摩擦係数を小さくすることによって、切削能力を高めようとしてきた従来の考え方とは、本質的に異なる考えかたによるものである。
この切屑の巻きつき現象の解消と、切削耐久性、耐摩耗性の向上とによって、50m/minないし60m/minという高速切削においても、十分に使用できる切削タップを実現するものである。
SiC粒子とCBN粒子の混合からなる硬質粒子とするのもよい。
CBN粒子はSiC粒子よりも硬度が4倍以上であり、摩擦係数も高いことから、無電解メッキ液との混合最適値、温度などのメッキ条件の最適値等を見出すことによって、SiC装甲切削タップよりも高性能の装甲切削タップを実現することが期待できる。
そのことは、図20に示す実験結果表の(9)からも明らかである。
この実験による無電解メッキによるCBN装甲切削タップは、最適な無電解メッキ条件を特定しての実験結果ではない。よって、最適条件を特定するならより高性能のタップを実現できると考えられる。
この形態の場合、装甲層42はすくい面を含む切屑排出溝のみとするのが、切れ味、切削抵抗の点で有利であり、切屑の絡みつきの生じない超合金切削タップを実現する。
また、結晶ダイヤモンドなどの超硬質皮膜を施したタップの、すくい面のみに装甲層42を設けるのもよい。
例えば、逃げ面装甲層の厚さを0.5μm〜6μmの間程度とし、すくい面装甲層の厚さを5μm〜20μmとするなどである。ねじ谷の装甲層厚さも逃げ面装甲層の厚さと同様にするのが好ましい。
その逃げ面装甲層の形成は、全体に5μm〜20μmの装甲層を形成し、逃げ面の装甲層を研磨して0.5μm〜6μmの間程度にしているものである。
このような構成とすることにより、切れ味がよく、切れ味の寿命を大きく延ばし、耐久性があり、切屑とすくい面との接触抵抗を増大させて、工具への巻きつけが起きない切屑の形成を実現する切削タップを可能とするものである。
<付記1>
すくい面と逃げ面で作る稜である切刃が形成さている食付き部あるいは食付き部と完全山部とからなるねじ切削形成部を有する切削タップであって、
前記ねじ切削形成部を直接的に覆うようにあるいは該ねじ切削形成部に被覆した下地メッキ層を介して覆うように設けられた、粒度が#1500(平均粒径10.16μm)以下のCBN砥粒(立方晶窒化ホウ素砥粒)の一層形態からなるCBN砥粒群と、
このCBN砥粒群を固定している、層厚が前記CBN砥粒群の層厚の80%〜120%の電解メッキ層あるいは無電解メッキ層からなる固定メッキ層と
前記CBN砥粒群と前記固定メッキ層からなる装甲層と、を備えたことを特徴とする切削タップである。
「電解メッキ層あるいは無電解メッキ層からなる固定メッキ層」とは、電解メッキ層のみからなる固定メッキ層、無電解メッキ層のみからなる固定メッキ層、電解メッキ層と無電解メッキ層との複数メッキ層からなる固定メッキ層を含むものである。
「CBN砥粒(立方晶窒化ホウ素砥粒)の一層形態」とは、CBN砥粒同士の重なりが殆ど無い一重形態ということである。
ねじ切削形成部を覆うCBN砥粒群は、粒度が#1500(平均粒径10.16μm)以下のCBN砥粒(立方晶窒化ホウ素砥粒)の一層形態からなるものであるので、その平均層厚は10.16μm以下と極薄層であり、あるいは固定メッキ層はその120%以下(平均層厚12.19μm)という極薄装甲層であるので、切刃の鋭利さを損なわずよって切削能力が低下することが無く、むしろ、ダイヤモンドに次ぐ高度(Hv4700程度)を有しかつ耐熱温度(1300℃程度)が高いCBN砥粒によって、切削能力、切削耐久および耐熱性が著しく向上する。
かつ、装甲層によるねじ切削形成部の谷部の埋まり量は20.32μm(固定メッキ層100%以下)〜24.38μm(固定メッキ層120%)と、特許文献1の技術の50.8μmの半分以下の谷の埋まり量であるので、雌ねじの形成精度を損なうことがないという効果を奏する。
切刃によって切削された切屑が接触するすくい面もCBN砥粒を有する装甲層であるので、切屑との摩擦が増大するので攻撃性が高くなり(切屑が摩擦によって熱くなり)、結果切屑のカールの小径化と発熱温度と冷却温度の温度差によってせん断が早く生じることになり、よって切屑の長さが短くなる短片化が実現され、切屑の短片化は切屑詰まりによる切屑のタップへの絡み付きを減少させ、切屑の噛み込によるタップの破損が起こり難いものにするという効果を奏する。
試作の切削タップ(スパイラルタップM6)、被切削材料がアルミニウムでは、切削速度50m/mimで最大切屑長さは39mmであり、従来のハイスタップ(スパイラルタップM6)では76mmであるのに対し格段の短片化を実現している。従来のハイスタップは切屑が巻き付いて目詰まりを起こしてしまうのに対して、本発明の切削タップは切屑が早く折損(せん断)短片化されるので目詰まりが確実に防止された。
これらによって、工具寿命の向上や加工速度の向上に加えて難削材(例えば、チタン、インコネル(登録商標)、ハステロイ(登録商標)、ワスバロイなど。)加工等に容易に対応することができるという効果を奏する。
また、少なくとも固定メッキ層が電解メッキ層である場合は、電解槽で逆電解を行うことにより、容易に固定メッキ層および該固定メッキ層に保持されているCBN砥粒を除去し、再度電解メッキによる装甲層を再度形成して再利用ができる。
前記固定メッキ層の層厚が前記CBN砥粒群の層厚の100%〜120%であることを特徴とする付記1の切削タップある。
付記1記載の発明と同様な効果を奏するとともに、固定メッキ層の層厚がCBN砥粒群の層厚の100%〜120%であるので、固定メッキ層によるCBN砥粒の保持がより深くよってその保持力および固定力がより堅固であり、よってCBN砥粒が脱落するということが起きないとい効果を奏する。
前記ねじ切削形成部の表面に前記下地メッキ層を形成した後、前記CBN砥粒群を仮着した仮着メッキ層を形成し、その後前記CBN砥粒群を固定する該CBN砥粒群の60%〜90%を前記仮着メッキ層とで埋込形態とする埋込メッキ層を形成し、その後前記最表面メッキ層を形成し、前記仮着メッキ層と前記埋込メッキ層と前記最表面メッキ層とで前記固定メッキ層を形成してなることを特徴とする付記1、2のいずれかの切削タップである。
このような構成としても、付記1、2のいずれかと同様な効果を奏する。
前記CBN砥粒の粒度が#2000(平均粒径7.62μm)以下であることを特徴とする付記1〜3のいずれかの切削タップである。
付記1〜3のいずれかと同様な効果を奏するとともに、装甲層の層厚が7.62μm(100%)〜9.14μm(120%)という極薄装甲層(谷部の埋めは15.24μm〜18.2μm)であるので、切削性および雌ねじ形成精度をより損なうことがないという効果を奏する。
前記最表面メッキ層に前記CBN砥粒よりも微細な微細CBN砥粒が分散保持されてなることを特徴とする付記1〜4のいずれかの切削タップである。
付記1〜4のいずれかと同様な効果を奏するとともに、微細な微細CBN砥粒が分散保持されている最表面メッキ層によって、固定メッキ層の減り速度が少なくなるので耐久性が大きく向上し、かつ、微細CBN砥粒によるすくい面の摩擦が増大するので、切屑とすくい面との増大した摩擦によって切屑のすくい面側の摩擦温度が上昇し、よって、切屑の表側面とすくい面側の温度差が増大することになり、この増大した温度差によって切屑の表側への反りが増大する、すなわち切屑のカールが小さくなる。この切屑のカールが小さくなることと発熱温度と冷却温度の温度差が大きくなることによってより早くせん断が起こり、よって切屑のより短片化を実現するという効果を奏する。
また、微細CBN砥粒によってすくい面の耐熱性も著しく向上するので、切屑との摩擦熱に十分耐えるすくい面を実現する。
すくい面と逃げ面で作る稜である切刃が形成さている食付き部および完全山部とからなるねじ切削形成部を有する切削タップの、前記ねじ切削形成部に直接的に覆うようにあるいは該ねじ切削形成部に被覆した下地メッキ層を介して覆うように設けられた、#1500(平均粒径10.16μm)以下のCBN砥粒(立方晶窒化ホウ素砥粒)の一層形態からなるCBN砥粒群を支持し、
前記CBN砥粒群の層厚の80%〜120%の層厚の電解メッキ層あるいは無電解メッキ層からなる固定メッキ層で前記CBN砥粒群を固定して、前記CBN砥粒群と前記固定メッキ層からなる装甲層を形成することを特徴とする切削タップの製造方法である。
「電解メッキ層あるいは無電解メッキ層からなる固定メッキ層」とは、電解メッキ層のみからなる固定メッキ層、無電解メッキ層のみからなる固定メッキ層、電解メッキ層と無電解メッキ層との複数メッキ層からなる固定メッキ層を含むものである。
「CBN砥粒(立方晶窒化ホウ素砥粒)の一層形態」とは、CBN砥粒同士の重なりが殆ど無い一重形態ということである。
切削タップの製造方法によって製造された切削タップは、付記1の切削タップと同様な効果を奏する。
前記固定メッキ層の層厚が前記CBN砥粒群の層厚の100%〜120%であることを特徴とする付記6記載の切削タップの製造方法である。
製造された切削タップは、付記2の切削タップと同様な効果を奏する。
前記ねじ切削形成部の表面に前記下地メッキ層を形成した後、前記CBN砥粒群を仮着した仮着メッキ層を形成し、その後前記CBN砥粒群を固定する該CBN砥粒群の60%〜90%を前記仮着メッキ層とで埋込形態とする埋込メッキ層を形成し、その後前記最表面メッキ層を形成し、前記仮着メッキ層と前記埋込メッキ層と前記最表面メッキ層とで前記固定メッキ層を形成してなることを特徴とする付記7、8いずれかの切削タップの製造方法である。
「CBN砥粒群の60%〜90%を埋込形態とする埋込メッキ層」とは、CBN砥粒群の60%〜90%を仮着メッキ層と埋込メッキ層とで60%〜90%を埋込形態とするという意味である。
製造された切削タップは、付記3の切削タップと同様な効果を奏する。
前記最表面メッキ層の形成時に、メッキ槽内に予め浮遊された粒度が前記CBN砥粒よりも微細な微細CBN砥粒が、前記最表面メッキ層に分散保持されるようにしたことを特徴とする付記6〜9のいずれかの切削タップの製造方法である。
前記CBN砥粒の粒度が#2000(平均粒径7.62μm)以下であることを特徴とする付記6〜8のいずれかの切削タップの製造方法である。
製造された切削タップは、付記4の切削タップと同様な効果を奏する。
前記最表面メッキ層の形成時に、メッキ槽内に予め浮遊された粒度が前記CBN砥粒よりも微細な微細CBN砥粒が、前記最表面メッキ層に分散保持されるようにしたことを特徴とする付記6〜9のいずれかの切削タップの製造方法である。
製造された切削タップは、付記5の切削タップと同様な効果を奏する。
2:シャンク部、
3:すくい面、
4:逃げ面、
5:切刃、
6:食付き部、
6a、6b、6c:食付き刃、
7:完全山部、
7a、7b:完全山刃、
8:ねじ切削形成部、
9:切屑排出溝、
10:装甲層、
11:台金、
12:硬質粒子、
13:下地メッキ層、
14:CBN砥粒、
15:CBN砥粒群、
16:仮着メッキ層、
17:最表面メッキ層、
18:固定メッキ層、
20:埋込メッキ層、
21:切屑、
22:せん断、
23:切屑、
25:マスキング、
26:ニッケル棒、
27:電着仮着メッキ槽、
28:支持容器、
29:電着埋込メッキ槽、
30:固定メッキ層、
31:装甲層、
32:硬質粒子、
33:最表面メッキ層、
34:最表面メッキ層、
36:装甲層、
39:硬質粒子突出部位、
40:硬質粒子、
41:無電解メッキ層、
42:装甲層。
Claims (9)
- 切削直後の切屑が接触するすくい面に、メッキ層に該メッキ層の硬度よりも硬い硬度の硬質粒子を含有した装甲層を設け、前記メッキ層から前記硬質粒子の一部が突出した硬質粒子突出部位が形成され、前記切屑が前記すくい面に当たり通るときに、前記切屑に対して前記硬質粒子突出部位が引っ掻き作用をすることで摩擦抵抗を与えるようにしたことを特徴とする切削タップ。
- 切削直後の切屑が接触するすくい面に、メッキ層に該メッキ層の硬度よりも硬い硬度の硬質粒子を含有した装甲層を設け、前記メッキ層から前記硬質粒子の一部が突出した硬質粒子突出部位が形成され、前記切屑が前記すくい面に当たり通るときに、前記切屑に対して前記硬質粒子突出部位が引っ掻き作用をすることで摩擦抵抗を与えるようにし、前記摩擦抵抗により前記切屑のカール径の減少および短片化あるいはいずれか一方を図って、回転するタップへの巻きつきが生じない切屑形態を実現することを特徴とする切削タップ。
- 前記硬質粒子がSiC粒子とCBN粒子の混合からなるあるいはいずれか一方の硬質粒子であり、前記メッキ層が無電解メッキ層あるいは電解メッキ層のいずれかであることを特徴とする請求項1、2のいずれか1項に記載の切削タップ。
- 前記硬質粒子の大きさが5μm以下であり、前記メッキ層の厚みが10μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の切削タップ。
- 前記硬質粒子の大きさが3μm〜1μmであり、前記メッキ層の厚みが6μm〜1μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の切削タップ。
- 前記メッキ層を形成するメッキ液中の前記硬質粒子の含有量は25パーセント〜35パーセントであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の切削タップ。
- 前記メッキ層が無電解メッキ層あるいは無電解メッキ層を主体とするものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の切削タップ。
- 前記装甲層が、前記硬質粒子よりも大きく、かつ、粒度が#1500(平均粒径10.16μm)以下のCBN砥粒(立方晶窒化ホウ素砥粒)の一層形態からなるCBN砥粒群を、前記メッキ層によって固定した、前記硬質粒子、前記CBN砥粒群および前記メッキ層を有する形態であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の切削タップ。
- 摩擦係数を高くするための、硬質粒子を含有したメッキ層からなる装甲層が、ねじ切削形成部の全体全周あるいは一部全周に施され、ねじ山の逃げ面部位の装甲層である逃げ面装甲層の厚さが、すくい面部位の装甲層であるすくい面装甲層の厚さよりも薄い厚さである、あるいは前記逃げ面装甲層が無い構成であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の切削タップ。
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