JP2015106481A - リチウムイオン二次電池の製造方法およびリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】長期信頼性に優れるリチウムイオン二次電池を提供する。【解決手段】リチウムイオン二次電池の製造方法は、酸素吸収材を酸素非透過性の保護部材で被覆する工程と、電池外装体の内部に該酸素吸収材を配置する工程と、該電池外装体を封止する工程と、を備え、該封止する工程の後に、該保護部材を破断して該酸素吸収材を露出させる工程をさらに備える。【選択図】図9
Description
本発明はリチウムイオン二次電池の製造方法およびリチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池の外装体は密閉構造を有している。電池内部に酸素が侵入すると電池の信頼性が低下するからである。しかし諸般の事情により電池内部に酸素が侵入することがあり得る。このような問題に対応するため、特開平7−220698号公報(特許文献1)には、外装体内に酸素吸収剤を入れて密封した積層型リチウム二次電池が提案されている。
ところでリチウムイオン二次電池における電極体の基本構成は、正極合材層と負極合材層とがセパレータを挟んで対向配置されたものである。現在、電極合材層に含まれる正極活物質としてはリチウム含有酸化物材料が、負極活物質としては黒鉛等の炭素系材料が一般的である。この電極体構成において安定した充放電を行なうためには、正極合材層と対峙する負極合材層の面積が正極合材層の面積よりも大きい必要がある。すなわち正極合材層の端部は負極合材層の端部よりも内側に配置される必要がある。そのため負極合材層は正極合材層と対向する対向部と、正極合材層と対向しない非対向部とを有することになる。
本発明者の研究によれば、電池内に侵入した酸素は次のようなメカニズムにより電池の信頼性を低下させる。まず電池内に酸素が存在すると負極合材層の非対向部において、次式のようにリチウムイオン(Li+)と酸素(O2)とが反応してLi+が消費される(式:2Li++2e-→Li2O2)。これにより負極合材層の非対向部と近接する正極合材層の端部では、局所的に正極電位が上昇することとなる。次いで正極電位の上昇により正極活物質を構成する金属元素が溶出し、この金属元素が負極上に析出する。そして金属元素の析出量が多くなると微小短絡の原因となり電池の信頼性が低下する。このような酸素による信頼性低下のメカニズムは従来知られたものではなく、本発明者が新たに見出したものである。
ここで電池内から酸素を除去するために、電池外装体の内部をアルゴンや窒素等の不活性ガスで置換することも考えられる。しかしながらこの場合は、不活性ガスのコストおよび外部から隔離された生産環境の管理コストが新たに発生する。さらに無酸素環境は作業の安全性の観点からも好ましくない。
また電池外装体を密閉(封止)する際に、減圧することによって電池内部を無酸素状態とすることも考えられるが、完全に酸素を除去するためには超高真空を実現する設備と長時間に亘る減圧工程とが必要であり、この場合も生産コストの上昇を招来する。
他方、酸素含有雰囲気下での製造を考慮すると、特許文献1に開示される技術では電池の長期信頼性を期待できない。なぜなら電池の製造過程で酸素吸収材が酸素と接触してしまい、その酸素吸収能が失われ、密閉後の電池内部において前述のLi+と酸素との反応を防止するために必要な酸素吸収能を発揮できないからである。
本発明は上記のような課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、電池外装体の内部に酸素吸収材を備えるリチウムイオン二次電池であって、長期信頼性に優れるリチウムイオン二次電池を提供することにある。
(1)本発明のリチウムイオン二次電池の製造方法は、酸素吸収材を酸素非透過性の保護部材で被覆する工程と、電池外装体の内部に該酸素吸収材を配置する工程と、該電池外装体を封止する工程と、を備え、該封止する工程の後に、該保護部材を破断して該酸素吸収材を露出させる工程をさらに備える。
上記の製造方法によれば、酸素吸収材は酸素非透過性の保護部材で被覆され、電池外装体が密閉(封止)されるまでの間、酸素との接触から保護される。そして保護部材を電池外装体が封止された後に破断することにより、それまで酸素と未接触であった酸素吸収材を電池内部において露出させることができる。これにより密閉後の電池内部において十分な酸素吸収能を発揮することができ、以って電池の長期信頼性を実現することができる。
ここで「酸素非透過性」とは、酸素透過度[単位:cm3/m2・day・atm]が概ね10000以下であることを示す。保護部材の酸素透過度は低いほど望ましい。保護部材の酸素透過度は、好ましくは5000以下であり、より好ましくは3000以下であり、さらに好ましくは1000以下である。なお酸素透過度は「JIS K 7126」に準拠して標準状態(20℃、65%RH)において測定された値を厚さ25μmの値に換算して用いるものとする。
また上記の製造方法における「破断」には、保護部材の少なくとも一部に酸素が通気できる開孔を形成することが含まれる。
(2)上記露出させる工程は、電池外装体の外部から超音波を印加することにより保護部材を破断する工程を含むことが好ましい。この製造方法は、電池内部に、電極体に保持されていない余剰電解液が存在している場合に有効である。すなわち保護部材の周辺が余剰電解液で満たされるように電池を転向させ、その状態で余剰電解液に超音波を印加することにより該余剰電解液中にキャビテーション(cavitation)を生起させ、これにより生じた気泡が保護部材に衝突して弾ける瞬間の衝撃波によって、容易に保護部材を破断することができる。
(3)上記露出させる工程は、電池外装体の外部から保護部材を加熱することにより保護部材を破断する工程を含むことが好ましい。この製造方法は保護部材が、たとえば熱可塑性樹脂フィルム等である場合に有効である。すなわち電池外装体は、通常、熱伝導率の高い金属製であることから、酸素吸収材が配置される部位に対応する部分を外部から加熱することにより、保護部材を溶融し容易に破断することができる。
本発明には上記(1)〜(3)のいずれかの製造方法によって得られたリチウムイオン二次電池が含まれる。当該リチウムイオン二次電池には、保護部材を破断した結果、たとえば保護部材が酸素吸収材から脱離したものや、保護部材が電解液に溶解したもの、あるいは保護部材が溶融して不定形となったもの等が包含され得る。
(4)本発明のリチウムイオン二次電池は、電池外装体と、該電池外装体の内部に配置された酸素吸収材と、該酸素吸収材の一部を覆う酸素非透過性の保護部材と、を備え、該保護部材は破断部を有し、該破断部から該酸素吸収材が露出している。
上述のように電池外装体が封止されるまでの間、酸素吸収材が酸素非透過性の保護部材によって被覆され、電池外装体が封止された後、保護部材が破断されて酸素吸収材が露出したリチウムイオン二次電池であることにより、酸素吸収材が従来に比し長期に亘って高い酸素吸収能を発揮することができる。これにより本発明のリチウムイオン二次電池は長期信頼性に優れる。
(5)上記酸素吸収材は、金属リチウム(Li)、リチウム−アルミニウム合金(Li−Al合金)、リチウム−シリコン合金(Li−Si合金)、Li挿入炭素およびLi挿入黒鉛からなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。
従来、酸素吸収材として用いられてきた有機系酸素吸収材や酸素欠損型金属酸化物(たとえばMgOx、Al2O3-x等)は酸素を吸収する速度が遅く、前述のようなLi+と酸素との反応が起こる前に酸素を捕捉することは困難である。これに対して、金属Li、Li−Al合金、Li−Si合金、Li挿入炭素およびLi挿入黒鉛は、いずれも酸素を吸収する速度が十分速く、Li+と酸素との反応を抑制する効果が高い。したがって酸素吸収材としてこれらの材料を採用することにより、リチウムイオン二次電池の長期信頼性をより一層高めることができる。
なおここで「Li挿入炭素」とは炭素材料に電気化学的にLi+が挿入された材料を示し、「Li挿入黒鉛」とは黒鉛材料に電気化学的にLi+が挿入された材料を示す。またここでいう「Li挿入炭素」とは「Li挿入黒鉛」以外の「Li挿入炭素」を示すものとする。
(6)上記酸素吸収材が含有するLi量をM[単位:mmol]とし、電池内部の空間体積をV[単位:cm3]としたとき、「M/V」が0.03≦M/V≦0.21を満たすことが好ましい。この関係を満たすことにより、十分なエネルギー密度を確保しつつ電池の長期信頼性を実現することができる。
(7)電池外装体は蓋体と筐体とから構成され、蓋体に設けられた保持部に酸素吸収材が配置されることが好ましい。これにより酸素吸収材を電池外装体の内部に容易に配置することができる。なお保持部は保護部材としての機能を兼ねていてもよく、あるいは保持部と保護部材とが一体となっていてもよい。
本発明によれば、長期信頼性に優れるリチウムイオン二次電池が提供される。
以下、本発明の実施形態についてより詳細に説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。本明細書では、まず実施形態1として本発明の製造方法によって得られるリチウムイオン二次電池について説明し、その後実施形態2として本発明の製造方法について説明する。
<実施形態1:リチウムイオン二次電池>
図1は本実施形態のリチウムイオン二次電池の一例である電池101の構成を示す模式的な斜視図である。図1に示すように電池101は、有底角形の筐体10と蓋体20とから構成される電池外装体100を備えている。
図1は本実施形態のリチウムイオン二次電池の一例である電池101の構成を示す模式的な斜視図である。図1に示すように電池101は、有底角形の筐体10と蓋体20とから構成される電池外装体100を備えている。
筐体10と蓋体20とは、たとえばレーザ溶接によって接合されている。蓋体20には電解液を注液するための注液孔(図示せず)が設けられており、注液孔は封止栓20bによって封止されている。このように電池101は密閉構造を有している。
図2は、図1のII−II線に沿う電池101の模式的な断面図である。図2に示すように、筐体10の内部には正極板31と負極板32とから構成される電極体30が内蔵されている。電極体30において正極板31の正極集電体31aは正極集電リード21aを介して正極端子21に電気的に接続されている。同様に負極板32の負極集電体32aは負極集電リード22aを介して負極端子22に電気的に接続されている。
蓋体20には、酸素吸収材50を保持するための保持部20aが設けられている。そして酸素非透過性の保護部材51は酸素吸収材50の一部を覆っている。また図6に示すように保護部材51は破断部51aを有しており、破断部51aからは酸素吸収材50が電池内に露出している。酸素吸収材50および保護部材51は保持部20a内に配置されることにより、電池外装体100の内部に配置されるその他の構成、たとえば電極体30との接触が防止されている。
酸素吸収材50と保持部20aとは、酸素吸収材50が保持されやすいように嵌合構造を有していてもよい。ただし、酸素吸収材50と蓋体20および保持部20aとの間には、酸素吸収材50が上下に移動できるように所定の遊び(隙間)が設けられることが好ましい。これにより、後述するように破断部51aの形成が容易となる。
本実施形態の電池101は、このように酸素吸収材50が破断部51aから露出していることにより、酸素吸収材50が電池内部に残存・侵入する酸素を吸収するため長期信頼性を有することができる。また本実施形態において破断部51aは電池外装体100が封止された後に形成されたものである。したがって酸素吸収材50は電池の製造過程において酸素との接触が回避されており、酸素吸収材50は封止後の電池内部において十分な酸素吸収能を発揮することができる。
また酸素吸収材50の一部が保護部材51によって被覆されていることにより、たとえば酸素吸収材50が粉体を成形したペレットである場合、電池に加わる振動によって酸素吸収材50の一部が脱落して保持部20a外へと放出されることを防止することができる。
以下、本実施形態の電池101を構成する各部について説明する。
(電池外装体)
電池外装体100は筐体10と蓋体20とから構成されている。電池外装体100の材質は特に制限されず、耐電圧や強度を考慮して各種金属または合金材料等から適宜選択すればよい。電池外装体100の材質は、たとえば、アルミニウム(Al)およびその合金、鉄(Fe)、ステンレス材等を用いることができる。なお電池外装体100の形状は角形に限られず、円筒形とすることも可能である。
(電池外装体)
電池外装体100は筐体10と蓋体20とから構成されている。電池外装体100の材質は特に制限されず、耐電圧や強度を考慮して各種金属または合金材料等から適宜選択すればよい。電池外装体100の材質は、たとえば、アルミニウム(Al)およびその合金、鉄(Fe)、ステンレス材等を用いることができる。なお電池外装体100の形状は角形に限られず、円筒形とすることも可能である。
蓋体20は前述のように酸素吸収材50を保持するための保持部20aを備えることが好ましい。保持部20aの構造は特に制限されず酸素吸収材50を保持し得る構造であればよいが、酸素吸収材50と電池101内部のガスとが接触しやすい構造とすることが好ましい。たとえば、酸素吸収材50がガスと接触しやすいように保持部20aをパンチングメタルから構成することもできる。
さらに保持部20aの周囲には、断熱性を有する緩衝材(図示せず)や振動を減衰・吸収し得る構造(図示せず)を配置することが好ましい。断熱性を有する緩衝材を配置することにより、加熱によって保護部材51を破断して酸素吸収材50を露出させる際に、周囲の部材へのダメージが軽減される。また振動を減衰・吸収し得る構造を配置することにより、超音波によって保護部材51を破断して酸素吸収材50を露出させる際に、周囲の部材へのダメージが軽減される。
(酸素吸収材)
酸素吸収材50としては、たとえば活性炭等の吸着作用を利用するもの、金属の酸化反応を利用するもの、糖等の有機化合物の酸化反応を利用するもの等を用いることができる。これらのうち金属の酸化反応を利用するものが、酸素との反応速度が速く好ましい。
酸素吸収材50としては、たとえば活性炭等の吸着作用を利用するもの、金属の酸化反応を利用するもの、糖等の有機化合物の酸化反応を利用するもの等を用いることができる。これらのうち金属の酸化反応を利用するものが、酸素との反応速度が速く好ましい。
酸素吸収材50は電池性能に悪影響を及ぼさないものが望ましい。たとえばFe系の酸素吸収材や酸素欠損型金属酸化物(たとえばCuOx、Fe2O3-x等)は酸素吸着能が高いが、その反面、電池内部で正極と接触した場合に金属元素の溶出が懸念されるため好ましくない。
金属Li、Li−Al合金、Li−Si合金、Li挿入炭素およびLi挿入黒鉛はその構成元素が電池内に溶出し難く、また溶出したとしてもその影響が非常に小さいため、本実施形態の酸素吸収材として特に好適である。またこれらの物質は酸素の吸収速度が非常に速く、負極の非対向部でのLi+と酸素との反応を効果的に抑制することができる。なお金属Li、Li−Al合金、Li−Si合金、Li挿入炭素およびLi挿入黒鉛は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
酸素吸収材50の形状は特に制限されない。たとえばペレット状であってもよいし、シート状であってもよい。また酸素との接触面積を確保するとの観点から、酸素吸収材50の形態は表面積を大きくしやすい形態が好ましい。たとえば、その形態は多孔質体や積層シートとすることもできる。
酸素吸収材50の物質量は、封止後の電池101の内部の空間体積との関係から決定されることが好ましい。ここで「空間体積」とは電池外装体100の内容積から、電池外装体100の内部に収容される気体を除くすべての物質(液体および固体)の占める体積を差し引いた値である。なお空間体積の算出にあたり液体および固体の密度は20℃、1atmの環境下で測定された値を採用するものとする。
酸素吸収材50がたとえばLi−Al合金のようにLiを含有する物質である場合、酸素吸収材50の物質量は次のように決定されることが好ましい。すなわち酸素吸収材が含有するLi量をM[単位:mmol]とし、電池内部の空間体積をV[単位:cm3]としたとき、「M/V」が0.03≦M/V≦0.21を満たすことが好ましい。M/Vが0.03以上であることにより、酸素の影響を更に長期に亘って抑制することができる。またM/Vが0.21以下であることにより、電池内において酸素吸収材の占める体積が大きくなり、電池のエネルギー密度が過度に低下することがない。なおM/Vは、より好ましくは0.05以上0.19以下であり、さらに好ましくは0.07以上0.17以下である。
(保護部材)
保護部材51は、酸素吸収材50の一部を覆っており、酸素吸収材50を振動や衝撃から保護する。また保護部材51は破断部51aを有しており、破断部51aから酸素吸収材50が露出することにより、電池内に残存・侵入する酸素が吸収される。
保護部材51は、酸素吸収材50の一部を覆っており、酸素吸収材50を振動や衝撃から保護する。また保護部材51は破断部51aを有しており、破断部51aから酸素吸収材50が露出することにより、電池内に残存・侵入する酸素が吸収される。
破断部51aは電池外装体100が封止された後に形成されたものであることが好ましい。これにより電池外装体100が封止されるまでの間に酸素吸収材50が酸素と接触し、酸素吸収能が減退することを回避することができる。このように保護部材51の当初の役割は酸素吸収材50と酸素との接触を防止することにある。したがって保護部材51は酸素非透過性(酸素ガスバリア性)であることが望ましい。
ここで酸素非透過性とは酸素透過度が概ね10000cm3/m2・day・atm以下であることを示す。保護部材51の酸素透過度は低いほど望ましい。保護部材51の酸素透過度は好ましくは5000cm3/m2・day・atm以下であり、より好ましくは3000cm3/m2・day・atm以下であり、さらに好ましくは1000cm3/m2・day・atm以下である。
一般に金属箔は酸素透過度が非常に小さく(10cm3/m2・day・atm以下)、本実施形態の保護部材51に適している。金属箔としては、たとえばAl箔、スチール箔、銅(Cu)箔等を例示することができる。これらのうち破断しやすさ等の観点からAl箔が特に好適である。
また樹脂フィルムも保護部材51として用いることができる。保護部材51として使用できる樹脂フィルムとしては、たとえばポリエチレン(PE:Polyethylene)、ポリプロピレン(PP:Polypropylene)、ポリアクリロニトリル、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブタジエン、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン(PVdF:Polyvinylidene difluoride)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC:Polyvinylidene Chloride)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE:Polytetrafluoroethylene)、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、アイオノマー、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)等からなる樹脂フィルムを例示することができる。
保護部材51が樹脂フィルムである場合、フィルムを構成する樹脂は熱可塑性樹脂であることが好ましい。加熱によって破断しやすいからである。さらに破断を容易にするとの観点から、熱可塑性樹脂の融点は低いことが好ましい。具体的には熱可塑性樹脂の融点は200℃以下であることが好ましく、160℃以下であることがより好ましく、130℃以下であることが特に好ましい。このような融点を有する熱可塑性樹脂としては、たとえばPE、PP等を挙げることができる。PE、PPからなる樹脂フィルムは酸素透過度が低く、かつ電解液に対して耐性を有するため本実施形態の保護部材51として好適である。
保護部材51の厚さは特に限定されず、破断の容易性や酸素透過度を考慮して適宜変更することができる。たとえば保護部材51が金属箔である場合、その厚さは5μm以上10μm以下であることが好ましく、5μm以上8μm以下であることがより好ましく、5μm以上7μm以下であることが特に好ましい。またたとえば保護部材51が樹脂フィルムである場合、その厚さは5μm以上20μm以下であることが好ましく、5μm以上15μm以下であることがより好ましく、5μm以上10μm以下であることが特に好ましい。
なお保護部材51は金属箔と樹脂フィルムとを組み合わせたラミネートフィルムとすることもできる。
(電極体)
電極体30は電池外装体100の内部に収容されており、蓋体20に設けられた正極端子21および負極端子22と電気的に接続されている。電極体30は、正極板31と負極板32とがセパレータ33を挟んで対向配置されるように巻回または積層されることにより構成される。図7は電極体30の一例として巻回式の電極体を示す模式図である。また図8は図7におけるI−I線に沿う断面における正極板31と負極板32との対向関係を示す模式的な断面図である。
電極体30は電池外装体100の内部に収容されており、蓋体20に設けられた正極端子21および負極端子22と電気的に接続されている。電極体30は、正極板31と負極板32とがセパレータ33を挟んで対向配置されるように巻回または積層されることにより構成される。図7は電極体30の一例として巻回式の電極体を示す模式図である。また図8は図7におけるI−I線に沿う断面における正極板31と負極板32との対向関係を示す模式的な断面図である。
電極体30において、正極板31、負極板32およびセパレータ33はいずれも帯状のシート部材である。正極板31は正極集電体31aとその上に形成された正極合材層31bを有している。正極合材層31bは正極板31の長手方向に連続して形成されている。そして正極板31は、正極板31の幅方向の一方の端部に正極集電体31aが露出した未塗工部を有している。
また負極板32は負極集電体32aとその上に形成された負極合材層32bを有している。負極合材層32bは負極板32の長手方向に連続して形成されている。そして負極板32は、負極板32の幅方向の一方の端部に負極集電体32aが露出した未塗工部を有している。図8に示すように、電極体30の巻回軸方向において、正極板31の未塗工部と負極板32の未塗工部とは互いに異なる方向からセパレータ33の外に露出している。
また図8に示すように負極合材層32bは正極合材層31bより幅が大きく(すなわち面積が大きく)形成されている。そのため負極合材層32bは、正極合材層31bと対向する対向部Fと、正極合材層31bと対向しない非対向部NFとを有している。
以下、電極体30を構成する正極板31、負極板32およびセパレータ33について説明する。
(正極板)
正極板31は正極集電体31aと正極合材層31bとからなる。正極集電体31aとしては、導電性が高く、耐食性の高い金属箔を用いることができる。そのような金属箔としては、たとえばAl箔やAl合金箔が好ましい。Al箔を用いる場合、強度と導電性の観点から、箔の厚さは10μm〜30μm程度であることが好ましい。
正極板31は正極集電体31aと正極合材層31bとからなる。正極集電体31aとしては、導電性が高く、耐食性の高い金属箔を用いることができる。そのような金属箔としては、たとえばAl箔やAl合金箔が好ましい。Al箔を用いる場合、強度と導電性の観点から、箔の厚さは10μm〜30μm程度であることが好ましい。
正極合材層31bは、正極活物質と導電助材と結着材とを含む正極合材が正極集電体31a上に固着されることにより形成される。正極合材層31bの塗工量および合材密度は特に限定されず、正極活物質の種類や電池仕様に合わせて適宜変更することができる。正極合材層31bの合材密度は、たとえば2.0〜4.0g/cm3程度である。
正極活物質としては、Li+を電気化学的に吸蔵および放出可能であるリチウム含有遷移金属酸化物を用いることができる。このようなリチウム含有遷移金属酸化物としては、たとえば、LiCoO2、LiNiO2、LiNiaCobO2(a+b=1、0<a<1、0<b<1)、LiMnO2、LiMn2O4、LiNiaCobMncO2(a+b+c=1、0<a<1、0<b<1、0<c<1)、LiFePO4等を挙げることができる。正極合材層31bにおける正極活物質の含有率は、たとえば80〜99質量%程度であり、電池のエネルギー密度の観点から好ましくは90〜99質量%程度である。なお本実施形態の正極合材層31bは2種以上の正極活物質を含んでいてもよい。
正極合材層31bに含まれる導電助材は、正極活物質同士および正極活物質と正極集電体31aとの電気伝導を補助するためのものであり、導電性の高い炭素材料が好ましい。炭素材料としては、たとえばアセチレンブラック(AB:Acetylene Black)、ケッチェンブラック(KB:Ketjen Black)、グラファイト(graphite)、気相成長炭素繊維(VGCF:Vapor Growth Carbon Fiber)等を用いることができる。正極合材層31bにおける導電助材の含有率は、たとえば1〜10質量%程度であり、電池のエネルギー密度の観点から好ましくは1〜5質量%程度である。
正極合材層31bに含まれる結着材は、正極活物質同士を固着するとともに、正極活物質と正極集電体31aとを固着するためのものであり、たとえば、PVdF、PTFE、PVDC、ポリエチレンオキサイド(PEO:Polyethylene Oxide)等を挙げることができる。これらのうち、塗工性の観点からPVdFが好ましい。正極合材層31bにおける結着材の含有率は、たとえば1〜10質量%程度であり、電池のエネルギー密度の観点から好ましくは1〜5質量%程度である。
(負極板)
負極板32は負極集電体32aと負極合材層32bとからなる。負極集電体32aとしては、導電性が高く、化学的および電気化学的な安定性が高い金属箔を用いることができる。そのような金属箔としては、たとえばCu箔やCu合金箔が好ましい。Cu箔を用いる場合、強度と導電性の観点から箔の厚さは5〜20μm程度であることが好ましい。
負極板32は負極集電体32aと負極合材層32bとからなる。負極集電体32aとしては、導電性が高く、化学的および電気化学的な安定性が高い金属箔を用いることができる。そのような金属箔としては、たとえばCu箔やCu合金箔が好ましい。Cu箔を用いる場合、強度と導電性の観点から箔の厚さは5〜20μm程度であることが好ましい。
負極合材層32bは、負極活物質と結着材とを含む負極合材が負極集電体32a上に固着されることにより形成される。負極合材層32bの塗工量および合材密度は特に限定されず、負極活物質の種類や電池仕様に合わせて適宜変更することができる。負極合材層32bの合材密度は、たとえば0.5〜2.5g/cm3程度である。
負極活物質としては、Li+が電気化学的に挿入・脱離できる黒鉛、コークス等の炭素系材料や、Liと合金化・脱合金化が可能である珪素(Si)、錫(Sn)およびこれらの酸化物等を用いることができる。負極合材層32bにおける負極活物質の含有率は、たとえば90〜99質量%程度であり、電池のエネルギー密度の観点から好ましくは95〜99質量%程度である。なお本実施形態の負極合材層32bは2種以上の負極活物質を含んでいてもよい。
負極合材層32bに含まれる結着材は、負極活物質同士を固着するとともに、負極活物質と負極集電体32aとを固着するためのものであり、たとえば、カルボキシメチルセルロース(CMC:Carboxymethylcellulose)、PVdF、PTFE、スチレンブタジエンゴム(SBR:Styrene-Butadiene Rubber)等を用いることができる。これらのうち、塗工性の観点から、CMCとSBRとを併用することが特に好ましい。負極合材層32bにおける結着材の含有率は、たとえば1〜10質量%程度であり、電池のエネルギー密度の観点から好ましくは1〜5質量%程度である。
(セパレータ)
セパレータ33はLi+を透過させるとともに、正極板31と負極板32との電気的な接触を防止するためものである。セパレータ33としては機械的な強度と化学的な安定性の観点からポリオレフィン系材料からなる微多孔膜が好ましい。ここでポリオレフィン系材料としては、PE、PP等を用いることができ、これらを組み合わせて用いることもできる。さらに複数の微多孔膜を積層して用いてもよい。またセパレータ33はその表面に無機粒子(たとえばアルミナ(Al2O3)、マグネシア(MgO)、チタニア(TiO2)等)と結着材とからなる多孔層を有していてもよい。セパレータ33の厚さは、たとえば5〜40μm程度とすることができる。セパレータ33の孔径および空孔率は、セパレータ33の透気度が所望の値となるように適宜調整すればよい。
セパレータ33はLi+を透過させるとともに、正極板31と負極板32との電気的な接触を防止するためものである。セパレータ33としては機械的な強度と化学的な安定性の観点からポリオレフィン系材料からなる微多孔膜が好ましい。ここでポリオレフィン系材料としては、PE、PP等を用いることができ、これらを組み合わせて用いることもできる。さらに複数の微多孔膜を積層して用いてもよい。またセパレータ33はその表面に無機粒子(たとえばアルミナ(Al2O3)、マグネシア(MgO)、チタニア(TiO2)等)と結着材とからなる多孔層を有していてもよい。セパレータ33の厚さは、たとえば5〜40μm程度とすることができる。セパレータ33の孔径および空孔率は、セパレータ33の透気度が所望の値となるように適宜調整すればよい。
(電解液)
電解液(図示せず)は、電極体30とともに電池外装体100に収容されている。電池101の内部において電解液は、電極体30内に保持される保持電解液と、電極体30外に存在する余剰電解液とに区分される。
電解液(図示せず)は、電極体30とともに電池外装体100に収容されている。電池101の内部において電解液は、電極体30内に保持される保持電解液と、電極体30外に存在する余剰電解液とに区分される。
電解液は、非プロトン性溶媒と溶質(リチウム塩)とからなり、リチウム塩は非プロトン性溶媒に溶解している。非プロトン性溶媒としては、たとえばエチレンカーボネート(EC:Ethylene Carbonate)、プロピレンカーボネート(PC:Propylene Carbonate)、ブチレンカーボネート(BC:Buthylene Carbonate)、γ−ブチロラクトン(GBL:Gamma-Butyrolactone)およびビニレンカーボネート(VC:Vinylene Carbonate)等の環状カーボネート類や、ジメチルカーボネート(DMC:Dimethyl Carbonate)、エチルメチルカーボネート(EMC:Ethyl Methyl Carbonate)およびジエチルカーボネート(DEC:Diethyl Carbonate)等の鎖状カーボネート類等を用いることができる。これらの非プロトン性溶媒は電気伝導率や電気化学的な安定性の観点から、2種以上を適宜併用して用いることができる。特に環状カーボネートと鎖状カーボネートとを混合して用いることが好ましく、環状カーボネートと鎖状カーボネートの体積比は1:9〜5:5程度が好ましい。具体例を挙げれば、たとえばEC、DMCおよびEMCの3種を混合して用いることができる。
また溶質であるリチウム塩としては、たとえば、ヘキサフルオロ燐酸リチウム(LiPF6)、テトラフルオロ硼酸リチウム(LiBF4)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、ヘキサフロオロ砒酸リチウム(LiAsF6)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(Li(CF3SO2)2N)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(Li(CF3SO3))等を用いることができる。また、これらの溶質についても2種以上を併用してもよい。電解液中における溶質の濃度は特に限定されないが、放電特性および保存特性の観点から0.5〜2.0mol/L程度であることが好ましい。なお本実施形態では電解液に代えてゲル状または固体状の電解質を用いることもできる。
<実施形態2:リチウムイオン二次電池の製造方法>
以上に説明したリチウムイオン二次電池は以下のような製造方法によって製造することができる。すなわち以下の製造方法によって製造されるリチウムイオン二次電池は長期信頼性に優れる。
以上に説明したリチウムイオン二次電池は以下のような製造方法によって製造することができる。すなわち以下の製造方法によって製造されるリチウムイオン二次電池は長期信頼性に優れる。
図9は本実施形態のリチウムイオン二次電池の製造方法の概略を示すフローチャートである。図9に示すように本実施形態の製造方法は、工程S100、工程S200、工程S300および工程S400を備える。そして当該製造方法は工程S400の後に工程S500を備えることができ、好ましくは工程S100〜工程S500をこの順に備える。さらに当該製造方法は、工程S10、工程S20、工程S30、工程S40および工程S50を含み得るものである。
本実施形態の製造方法は、酸素吸収材50を酸素非透過性の保護部材51で被覆することにより、製造途中において酸素吸収材50が酸素と接触して酸素吸収能が低下することを防止することができる。そして電池外装体100内に保護部材51で被覆された酸素吸収材を配置し、電池外装体100を封止した後に保護部材51を破断することにより、活性な酸素吸収材50を電池101内に露出させることができる。これにより電池101内に残留・侵入する酸素が効率的に吸収され電池101の長期信頼性が実現される。
以下、各工程について説明する。
(工程S100)
図5を参照して工程S100では、酸素吸収材50が酸素非透過性の保護部材51で被覆される。酸素吸収材50を保護部材51で被覆する方法は特に限定されず、従来公知の方法を採用することができる。一例を挙げれば、保護部材51が熱可塑性樹脂フィルムである場合、熱溶着法(ヒートシール法)によって酸素吸収材50を保護部材51で被覆することができる。このとき保護部材51の気密性を高めるため減圧等を行なってもよい。
(工程S100)
図5を参照して工程S100では、酸素吸収材50が酸素非透過性の保護部材51で被覆される。酸素吸収材50を保護部材51で被覆する方法は特に限定されず、従来公知の方法を採用することができる。一例を挙げれば、保護部材51が熱可塑性樹脂フィルムである場合、熱溶着法(ヒートシール法)によって酸素吸収材50を保護部材51で被覆することができる。このとき保護部材51の気密性を高めるため減圧等を行なってもよい。
また酸素吸収材50を保護部材51で被覆する際、保護部材51に引張応力が残留するように被覆を行なうことが好ましい。保護部材51に引張応力が残留していることにより、後の工程S400において保護部材51の破断が容易になるとともに、破断によって形成される破断部51aをより大きくすることができる。このような引張応力は、たとえば金属箔や樹脂フィルムを伸長させながら、酸素吸収材50を被覆することにより残留させることができる。引張応力の大きさは適宜調整すればよいが、たとえば保護部材51が破断されたとき、酸素吸収材50の大半が露出するように、その大きさを調整することが好ましい。
ここで「大半が露出する」とは「酸素吸収材の表面積のうち50%以上が露出する」ことを示す。電池101内における酸素吸収材50の酸素吸収能を高めるとの観点から、破断によって露出する部分の面積が表面積の60%以上となるように引張応力を調整することが好ましく、70%以上となるように引張応力を調整することがより好ましい。
(工程S200)
工程S200は電池外装体100の内部に酸素吸収材50を配置する工程である。工程S200は工程S100の後に実行されることが好ましい。すなわち工程S200は保護部材51で被覆された酸素吸収材50を電池外装体100の内部に配置する工程であることが好ましい。酸素吸収材50と酸素との接触をできる限り回避するためである。
工程S200は電池外装体100の内部に酸素吸収材50を配置する工程である。工程S200は工程S100の後に実行されることが好ましい。すなわち工程S200は保護部材51で被覆された酸素吸収材50を電池外装体100の内部に配置する工程であることが好ましい。酸素吸収材50と酸素との接触をできる限り回避するためである。
前述のように電池外装体100の蓋体20には酸素吸収材50を配置するための保持部20aが設けられていることが好ましい。これにより予め蓋体20に酸素吸収材50を保持させた状態で、蓋体20と筐体10とを接合することにより、電池外装体100の内部に酸素吸収材50を容易に配置することができる。蓋体20と筐体10との接合はたとえばレーザ溶接によって行なうことができる。
また、たとえば次のような方法によれば、蓋体20と筐体10とを接合した後に酸素吸収材50を電池外装体100の内部に配置することができる。すなわち蓋体20に設けられた注液孔を酸素吸収材50が通過できる大きさとし、かつ保持部20aを注液孔の下に設けることにより、蓋体20と筐体10とを接合した後、注液孔から酸素吸収材50を保持部20aへと挿入することができる。
(工程S300)
工程S300は電池外装体100を封止する工程である。図9に示すように工程S300は、工程S200ならびに後述する工程S40および工程S50の後に実行される。具体的には筐体10と蓋体20とを隙間なく接合し、さらに蓋体20に設けられた注液孔を封止栓20bによって塞ぐことにより、電池外装体100を封止・密閉することができる。封止栓20bによって注液孔を塞ぐ方式は特に限定されない。たとえば封止栓20bを蓋体20に溶接して注液孔を塞ぐ方式としてもよいし、ネジ止めによって注液孔を塞ぐ方式としてもよい。
工程S300は電池外装体100を封止する工程である。図9に示すように工程S300は、工程S200ならびに後述する工程S40および工程S50の後に実行される。具体的には筐体10と蓋体20とを隙間なく接合し、さらに蓋体20に設けられた注液孔を封止栓20bによって塞ぐことにより、電池外装体100を封止・密閉することができる。封止栓20bによって注液孔を塞ぐ方式は特に限定されない。たとえば封止栓20bを蓋体20に溶接して注液孔を塞ぐ方式としてもよいし、ネジ止めによって注液孔を塞ぐ方式としてもよい。
(工程S400)
工程S400は酸素吸収材50を被覆する保護部材51を破断して酸素吸収材50を電池101内に露出させる工程である。
工程S400は酸素吸収材50を被覆する保護部材51を破断して酸素吸収材50を電池101内に露出させる工程である。
工程S400は、電池外装体100が封止された後、任意のタイミングで実行できるが、初回の充電すなわち工程S500の前に行なわれることが好ましい。充電後の負極板32ではLi+と酸素との反応が起こる可能性がある。したがって工程S400を初回の充電(S500)により前に実行し、予め電池内の酸素を吸収・捕捉しておくことが好ましい。これにより負極板32でのLi+と酸素との反応を未然に防止することができる。
工程S400は、図10に示すように以下の工程S410および工程S420の少なくともいずれかを含むことが好ましい。また工程S400は以下の工程S430を含むこともできる。
(工程S410)
工程S410は、電池外装体100の外部から超音波を印加することにより保護部材51を破断する工程である。この方法は保護部材51が如何なる材質であっても適用可能である。
工程S410は、電池外装体100の外部から超音波を印加することにより保護部材51を破断する工程である。この方法は保護部材51が如何なる材質であっても適用可能である。
図3を参照して工程S410は実行される。すなわち電池101を上下反転するように転向させることにより、保護部材51で被覆された酸素吸収材50が蓋体20側へと移動しかつ酸素吸収材50の周囲は余剰電解液(図示せず)で満たされた状態とすることができる。この状態で酸素吸収材50に近接する位置(すなわち図3中の直線矢印の位置)に超音波を印加することにより、酸素吸収材50の周囲の余剰電解液にキャビテーションが生起され、生成された気泡が保護部材51に衝突して保護部材51が破断される。超音波の周波数および印加時間は保護部材51の材質や厚さならびに電池101内のその他の構成要素への影響を考慮して適宜調整することができる。なおこの工程では、酸素吸収材50が上下に移動しやすいように、酸素吸収材50と保持部20aおよび蓋体20との間には所定の隙間が設けられていることが好ましい。
(工程S420)
工程S420は、電池外装体100の外部から保護部材51を加熱することにより保護部材51を破断する工程である。この方法は保護部材51が熱可塑性樹脂フィルムから構成される場合に好適である。
工程S420は、電池外装体100の外部から保護部材51を加熱することにより保護部材51を破断する工程である。この方法は保護部材51が熱可塑性樹脂フィルムから構成される場合に好適である。
図4を参照して工程S420は実行される。すなわち酸素吸収材50に近接する位置(すなわち図4中の直線矢印の位置)を加熱することにより、蓋体20の伝熱によって保護部材51を加熱し溶融して破断することができる。加熱温度および加熱時間は保護部材51の材質や厚さならびに電池101内のその他の構成要素への影響を考慮して適宜調整することができる。なおこの工程おいても、蓋体20から保護部材51へと熱が伝わりやすいように電池101を上下反転させてもよい。
(工程S430)
保護部材51が電解液に可溶な素材である場合には、工程S400は次の工程S430を含むことができる。工程S430は、保護部材51を電解液と接触させることにより、保護部材51の少なくとも一部を溶解させ破断する工程である。すなわち図3のように電池101を上下反転させ余剰電解液と保護部材51とを接触させることにより、保護部材51が溶解して酸素吸収材50を露出させることができる。
保護部材51が電解液に可溶な素材である場合には、工程S400は次の工程S430を含むことができる。工程S430は、保護部材51を電解液と接触させることにより、保護部材51の少なくとも一部を溶解させ破断する工程である。すなわち図3のように電池101を上下反転させ余剰電解液と保護部材51とを接触させることにより、保護部材51が溶解して酸素吸収材50を露出させることができる。
このように保護部材51が電解液に可溶である場合、保護部材51は溶解後に電池反応に影響を及ぼさない素材であることが好ましい。そのような素材としては、たとえばポリエステル、ポリアクリロニトリル等を例示することができる。これらの素材は酸素透過度も低く好適である。
(工程S500)
工程S500は電池101に対して初回の充電を行なう工程である。工程S500は工程S400が実行され、かつ酸素吸収材50が電池101内の酸素をすべて吸収できるだけの時間が経過した後に実行されることが好ましい。
工程S500は電池101に対して初回の充電を行なう工程である。工程S500は工程S400が実行され、かつ酸素吸収材50が電池101内の酸素をすべて吸収できるだけの時間が経過した後に実行されることが好ましい。
以上のようにして電池の内部において酸素吸収材50が十分な酸素吸収能を有し、長期信頼性に優れるリチウムイオン二次電池を製造することができる。以下、再び図9を参照して、本実施形態に含まれ得るその他の工程について説明する。
(工程S10)
工程S10は正極板31を作製する工程である。正極板31は従来公知の方法によって作製することができる。たとえば、正極活物質と導電助材と結着材と有機溶媒(たとえばN−メチル−2−ピロリドン(NMP:N-methylpyrrolidone))とを混練することにより得た正極合材スラリーを、正極集電体31a上に塗工、乾燥して正極合材層31bを正極集電体31a上に形成した後、正極合材層31bを所定の厚さに圧縮することによって作製することができる。
工程S10は正極板31を作製する工程である。正極板31は従来公知の方法によって作製することができる。たとえば、正極活物質と導電助材と結着材と有機溶媒(たとえばN−メチル−2−ピロリドン(NMP:N-methylpyrrolidone))とを混練することにより得た正極合材スラリーを、正極集電体31a上に塗工、乾燥して正極合材層31bを正極集電体31a上に形成した後、正極合材層31bを所定の厚さに圧縮することによって作製することができる。
(工程S20)
工程S20は負極板32を作製する工程である。負極板32は従来公知の方法によって作製することができる。たとえば負極活物質と結着材と溶媒(たとえば水)とを混練することにより得た負極合材スラリーを、負極集電体32a上に塗工、乾燥して負極合材層32bを負極集電体32a上に形成した後、負極合材層32bを所定の厚さに圧縮することによって作製することができる。
工程S20は負極板32を作製する工程である。負極板32は従来公知の方法によって作製することができる。たとえば負極活物質と結着材と溶媒(たとえば水)とを混練することにより得た負極合材スラリーを、負極集電体32a上に塗工、乾燥して負極合材層32bを負極集電体32a上に形成した後、負極合材層32bを所定の厚さに圧縮することによって作製することができる。
(工程S30)
工程S30は電極体30を作製する工程である。図7を参照して電極体30は正極板31と負極板32とをセパレータ33を挟んで対向配置させつつ巻回することにより作製することができる。
工程S30は電極体30を作製する工程である。図7を参照して電極体30は正極板31と負極板32とをセパレータ33を挟んで対向配置させつつ巻回することにより作製することができる。
(工程S40)
工程S40は電極体30を電池外装体100の内部に配置する工程である。図2に示す構造の場合、電極体30を正極集電リード21aおよび負極集電リード22aを介して蓋体20に電気的に接続してから、電極体30を筐体10に挿入することが好ましい。そして蓋体20と筐体10とを接合することにより、電極体30を電池外装体100の内部に配置することができる。
工程S40は電極体30を電池外装体100の内部に配置する工程である。図2に示す構造の場合、電極体30を正極集電リード21aおよび負極集電リード22aを介して蓋体20に電気的に接続してから、電極体30を筐体10に挿入することが好ましい。そして蓋体20と筐体10とを接合することにより、電極体30を電池外装体100の内部に配置することができる。
(工程S50)
工程S50は電解液を電池外装体100に注液する工程である。電解液の注液は、蓋体20に設けられた注液孔から行なうことができる。この工程では、電極体30への電解液の浸透を促進するために、減圧や加圧あるいは加温を伴うこともできる。
工程S50は電解液を電池外装体100に注液する工程である。電解液の注液は、蓋体20に設けられた注液孔から行なうことができる。この工程では、電極体30への電解液の浸透を促進するために、減圧や加圧あるいは加温を伴うこともできる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
[実験1:酸素吸収材の検討]
実験1では酸素吸収材の有無および酸素吸収材の種類が電池の長期信頼性に与える影響を評価した。
実験1では酸素吸収材の有無および酸素吸収材の種類が電池の長期信頼性に与える影響を評価した。
<実施例1:電池Aの作製>
以下のようにして実施例1に係る電池Aを複数作製した。
以下のようにして実施例1に係る電池Aを複数作製した。
(工程S10:正極板の作製)
まず正極活物質としてLiNi1/3Mn1/3Co1/3O2と、導電助材としてABと、結着材としてのPVdFをNMPに溶解させた溶液とを準備した。そしてこれらを質量比で、正極活物質:AB:PVdF=90:8:2となるように混合し、混練することにより正極合材スラリーを得た。
まず正極活物質としてLiNi1/3Mn1/3Co1/3O2と、導電助材としてABと、結着材としてのPVdFをNMPに溶解させた溶液とを準備した。そしてこれらを質量比で、正極活物質:AB:PVdF=90:8:2となるように混合し、混練することにより正極合材スラリーを得た。
正極集電体31aとして帯状のAl箔を準備した。このAl箔の両面に正極合材スラリーを塗工し、乾燥することにより正極合材層31bを形成した。続いてロール圧延機を用いて正極集電体31aおよび正極合材層31bを圧延することにより正極板31を得た。正極板31は幅方向の一方の端部に正極集電体31aが露出した未塗工部を有するものであった。
(工程S20:負極板の作製)
まず負極活物質として球形化処理が施された天然黒鉛粒子(表面が人造黒鉛によって被覆されたもの)と、結着材としてCMCおよびSBRとを準備した。そしてこれらを質量比で、負極活物質:CMC:SBR=98:1:1となるように混合し、さらに水中で混練することにより負極合材スラリーを得た。
まず負極活物質として球形化処理が施された天然黒鉛粒子(表面が人造黒鉛によって被覆されたもの)と、結着材としてCMCおよびSBRとを準備した。そしてこれらを質量比で、負極活物質:CMC:SBR=98:1:1となるように混合し、さらに水中で混練することにより負極合材スラリーを得た。
負極集電体32aとして帯状のCu箔を準備した。このCu箔の両面に負極合材スラリーを塗工し、乾燥することにより負極合材層32bを形成した。続いてロール圧延機を用いて負極集電体32aおよび負極合材層32bを圧延することにより負極板32を得た。負極板32は幅方向の一方の端部に負極集電体32aが露出した未塗工部を有するものであった。またこのとき負極合材層32bの塗工長さおよび塗工幅は、正極合材層31bの塗工長さおよび塗工幅よりも大きくした。
(セパレータの準備)
まずPE/PP/PPの3層構造を有するセパレータ(厚さ16μm)を準備した。このセパレータの片面に、アクリル樹脂が溶解した溶液にアルミナ粒子を分散させたスラリーを塗工することにより、アルミナ粒子とアクリル樹脂の質量比が96:4であり、厚さが5μmである多孔層を形成した。これによりセパレータ33を得た。
まずPE/PP/PPの3層構造を有するセパレータ(厚さ16μm)を準備した。このセパレータの片面に、アクリル樹脂が溶解した溶液にアルミナ粒子を分散させたスラリーを塗工することにより、アルミナ粒子とアクリル樹脂の質量比が96:4であり、厚さが5μmである多孔層を形成した。これによりセパレータ33を得た。
(工程S30:電極体の作製)
正極板31と負極板32とがセパレータ33を挟んで対向するように巻回して巻回体を得た。次いで巻回体を加圧成形して偏平形とすることにより電極体30を得た。このときセパレータ33の多孔層は正極板31と接するように配置した。また図7に示すように正極板31および負極板32の未塗工部が、電極体30の巻回軸方向においてそれぞれ異なる方向から露出するように正極板31および負極板32を配置した。なお電極体30の巻き終わり部(最外周)は負極板32によって構成されており、負極合材層32bは正極合材層31bと対向しない非対向部NFを有していた。
正極板31と負極板32とがセパレータ33を挟んで対向するように巻回して巻回体を得た。次いで巻回体を加圧成形して偏平形とすることにより電極体30を得た。このときセパレータ33の多孔層は正極板31と接するように配置した。また図7に示すように正極板31および負極板32の未塗工部が、電極体30の巻回軸方向においてそれぞれ異なる方向から露出するように正極板31および負極板32を配置した。なお電極体30の巻き終わり部(最外周)は負極板32によって構成されており、負極合材層32bは正極合材層31bと対向しない非対向部NFを有していた。
(電解液の調整)
ECとDMCとEMCとを、体積比でEC:DMC:EMC=3:4:3となるように混合して非プロトン性溶媒を得た。次いで該非プロトン性溶媒に、溶質としてLiPF6(1.0mol/L)を溶解させることにより電解液を調整した。
ECとDMCとEMCとを、体積比でEC:DMC:EMC=3:4:3となるように混合して非プロトン性溶媒を得た。次いで該非プロトン性溶媒に、溶質としてLiPF6(1.0mol/L)を溶解させることにより電解液を調整した。
(工程S100:酸素吸収材を酸素非透過性の保護部材で被覆する)
酸素吸収材50として平板状の金属Li(厚さ250μm)を準備した。この金属Liを幅1cm×長さ1cmの正方形状に切り出し酸素吸収材50とした。そして蓋体20の内側に酸素吸収材50を樹脂製のスペーサ(保持部20a)を介しで密着させ、さらにその上から酸素吸収材50を保護部材51であるPEフィルム(酸素透過度3000cm3/m2・day・atm以下、厚さ10μm)で被覆した。
酸素吸収材50として平板状の金属Li(厚さ250μm)を準備した。この金属Liを幅1cm×長さ1cmの正方形状に切り出し酸素吸収材50とした。そして蓋体20の内側に酸素吸収材50を樹脂製のスペーサ(保持部20a)を介しで密着させ、さらにその上から酸素吸収材50を保護部材51であるPEフィルム(酸素透過度3000cm3/m2・day・atm以下、厚さ10μm)で被覆した。
(工程S200:電池外装体の内部に酸素吸収材を配置する)
電極体30の巻回軸方向の両端部から露出した未塗工部(正極集電体31aおよび負極集電体32a)を束ねてそれぞれ正極集電リード21aおよび負極集電リード22aに接合した。さらに正極集電リード21aおよび負極集電リード22aを蓋体20に設けられた正極端子21および負極端子22にそれぞれ電気的に接続した。
電極体30の巻回軸方向の両端部から露出した未塗工部(正極集電体31aおよび負極集電体32a)を束ねてそれぞれ正極集電リード21aおよび負極集電リード22aに接合した。さらに正極集電リード21aおよび負極集電リード22aを蓋体20に設けられた正極端子21および負極端子22にそれぞれ電気的に接続した。
酸素吸収材50を蓋体20の保持部20aに嵌着させた後、電極体30を筐体10に挿入し(工程S40)、筐体10と蓋体20との嵌合部をレーザ溶接により接合した。これにより電池外装体100の内部に酸素吸収材50を配置した。
(工程S50:電池外装体に電解液を注液する)
蓋体20に設けられた注液孔から上記で調整した電解液を注液した。
蓋体20に設けられた注液孔から上記で調整した電解液を注液した。
(工程S300:電池外装体を封止する)
続いて注液孔を封止栓20bで塞ぎ、電池外装体100を封止した。
続いて注液孔を封止栓20bで塞ぎ、電池外装体100を封止した。
(工程S400:酸素吸収材を露出させる)
図3を参照して電池101を上下反転させ、酸素吸収材50が蓋体20に接する状態とした。この状態のまま保持部20aに対応する蓋体20の部位を加熱した。これにより保護部材51を溶融して破断した。そして再度電池101を反転させて酸素吸収材50を電池101の内部に露出させた。そして所定時間放置して電池101の内部に存在する酸素を酸素吸収材50に吸収させた。
図3を参照して電池101を上下反転させ、酸素吸収材50が蓋体20に接する状態とした。この状態のまま保持部20aに対応する蓋体20の部位を加熱した。これにより保護部材51を溶融して破断した。そして再度電池101を反転させて酸素吸収材50を電池101の内部に露出させた。そして所定時間放置して電池101の内部に存在する酸素を酸素吸収材50に吸収させた。
(工程S500:初回の充電を行なう)
その後電池101に対して初回の充電を行なった。以上のようにして実施例1に係る角形リチウムイオン二次電池(定格容量25Ah)である電池Aを得た。なお電池A内の空間体積(V)は50cm3であり、酸素吸収材50のLi量(M)は1.5mmolであった。すなわち電池Aにおける「M/V」は0.030mmol/cm3であった。
その後電池101に対して初回の充電を行なった。以上のようにして実施例1に係る角形リチウムイオン二次電池(定格容量25Ah)である電池Aを得た。なお電池A内の空間体積(V)は50cm3であり、酸素吸収材50のLi量(M)は1.5mmolであった。すなわち電池Aにおける「M/V」は0.030mmol/cm3であった。
<実施例2:電池Bの作製>
酸素吸収材50として平板状のLi−Al合金を用いることを除いては実施例1(電池A)と同様にして電池Bを得た。
酸素吸収材50として平板状のLi−Al合金を用いることを除いては実施例1(電池A)と同様にして電池Bを得た。
<実施例3:電池Cの作製>
Si粉末を結着材を用いてペレット状に成形し、これをLiと合金化させることにより得たペレット状のLi−Si合金を酸素吸収材50として用いることを除いては実施例1(電池A)と同様にして電池Cを得た。
Si粉末を結着材を用いてペレット状に成形し、これをLiと合金化させることにより得たペレット状のLi−Si合金を酸素吸収材50として用いることを除いては実施例1(電池A)と同様にして電池Cを得た。
<実施例4:電池Dの作製>
黒鉛粉末を結着材を用いてペレット状に成形し、これにLi+を電気化学的に挿入することにより得たペレット状のLi挿入黒鉛を酸素吸収材50として用いることを除いては実施例1(電池A)と同様にして電池Dを得た。
黒鉛粉末を結着材を用いてペレット状に成形し、これにLi+を電気化学的に挿入することにより得たペレット状のLi挿入黒鉛を酸素吸収材50として用いることを除いては実施例1(電池A)と同様にして電池Dを得た。
<実施例5:電池Eの作製>
炭素粉末を結着材を用いてペレット状に成形し、これにLi+を電気化学的に挿入することにより得たペレット状のLi挿入炭素を酸素吸収材50として用いることを除いては実施例1(電池A)と同様にして電池Eを得た。
炭素粉末を結着材を用いてペレット状に成形し、これにLi+を電気化学的に挿入することにより得たペレット状のLi挿入炭素を酸素吸収材50として用いることを除いては実施例1(電池A)と同様にして電池Eを得た。
<実施例6:電池Fの作製>
酸素欠損型の無機酸化物であるMgO0.8を結着材を用いてペレット状に成形し、これを酸素吸収材50として用いることを除いては実施例1(電池A)と同様にして電池Fを得た。
酸素欠損型の無機酸化物であるMgO0.8を結着材を用いてペレット状に成形し、これを酸素吸収材50として用いることを除いては実施例1(電池A)と同様にして電池Fを得た。
<比較例:電池Gの作製>
酸素吸収材50を電池外装体100の内部に配置しないことを除いては実施例1(電池A)と同様にして電池Gを得た。
酸素吸収材50を電池外装体100の内部に配置しないことを除いては実施例1(電池A)と同様にして電池Gを得た。
<評価>
以上のようにして得た電池A〜電池Gの高温保存後の自己放電速度を計測することにより各電池の長期信頼性を評価した。すなわち充電状態で電池の高温保存を行なった後、再び電池を充電状態として室温で放置してSOC(State Of Charge)低下速度を計測した。この評価方法を採用した理由は次の通りである。
以上のようにして得た電池A〜電池Gの高温保存後の自己放電速度を計測することにより各電池の長期信頼性を評価した。すなわち充電状態で電池の高温保存を行なった後、再び電池を充電状態として室温で放置してSOC(State Of Charge)低下速度を計測した。この評価方法を採用した理由は次の通りである。
電池内に酸素が存在すると、前述のように負極合材層32bの非対向部NFでのLi+と酸素との反応を発端として、正極活物質から金属元素の溶出が起こり微小短絡の原因となる。そのため電池内に存在する酸素が多いほど自己放電速度すなわちSOC低下速度は速くなると考えられる。したがってSOC低下速度を比較することにより、電池内の酸素量および酸素吸収材の酸素吸収能を比較することができる。
この評価方法の具体的な手順は次の通りである。
[1]以下の容量測定条件に従って電池の「初期容量」を測定する。
[2]以下の高温保存前充電条件に従って電池を充電した後、80℃に設定された恒温槽内で3日間保存する。
[3]恒温槽から電池を取り出し、2時間室温で放置した後、容量測定条件に従って「保存後容量」を測定する。
[4]容量測定条件の充電条件に従って電池を4.1V充電状態(SOC100%)とし、25℃の環境下で100日間放置する。100日間経過後、容量測定条件の放電条件に従って「残存容量」を測定する。
[5]「初期容量」、「保存後容量」および「残存容量」を次式に代入することにより、25℃環境下における100日あたりのSOC低下速度[単位:%/100日]を算出する。式:(SOC低下速度)={(保存後容量)−(残存容量)}/(初期容量)。
[1]以下の容量測定条件に従って電池の「初期容量」を測定する。
[2]以下の高温保存前充電条件に従って電池を充電した後、80℃に設定された恒温槽内で3日間保存する。
[3]恒温槽から電池を取り出し、2時間室温で放置した後、容量測定条件に従って「保存後容量」を測定する。
[4]容量測定条件の充電条件に従って電池を4.1V充電状態(SOC100%)とし、25℃の環境下で100日間放置する。100日間経過後、容量測定条件の放電条件に従って「残存容量」を測定する。
[5]「初期容量」、「保存後容量」および「残存容量」を次式に代入することにより、25℃環境下における100日あたりのSOC低下速度[単位:%/100日]を算出する。式:(SOC低下速度)={(保存後容量)−(残存容量)}/(初期容量)。
<高温保存前充電条件>
高温保存前の充電は次の条件で行なった
充電方式:CC−CV充電(CC電流値20A、CV電圧4.3V)
終了条件:時間カット(3時間カットオフ)
周囲温度:25℃
なおここで「CC」とは「Constant Current」すなわち「定電流」を示し、「CV」とは「Constant Voltage」すなわち「定電圧」を示す。
高温保存前の充電は次の条件で行なった
充電方式:CC−CV充電(CC電流値20A、CV電圧4.3V)
終了条件:時間カット(3時間カットオフ)
周囲温度:25℃
なおここで「CC」とは「Constant Current」すなわち「定電流」を示し、「CV」とは「Constant Voltage」すなわち「定電圧」を示す。
<容量測定条件>
SOC低下速度の算出に用いる電池の放電容量(初期容量、保存後容量および残存容量)は次の条件で測定した
(充電条件)
充電方式:CC−CV充電(CC電流値20A、CV電圧4.1V)
終了条件:時間カット(2時間カットオフ)
周囲温度:25℃
(放電条件)
放電方式:CC放電(電流値25A)
終了条件:電圧カット(3.0Vカットオフ)
周囲温度:25℃。
SOC低下速度の算出に用いる電池の放電容量(初期容量、保存後容量および残存容量)は次の条件で測定した
(充電条件)
充電方式:CC−CV充電(CC電流値20A、CV電圧4.1V)
終了条件:時間カット(2時間カットオフ)
周囲温度:25℃
(放電条件)
放電方式:CC放電(電流値25A)
終了条件:電圧カット(3.0Vカットオフ)
周囲温度:25℃。
以上のようにして測定された電池A〜GのSOC低下速度を表1に示す。なお表1に示す値は10セルの平均値である。
<結果と考察>
表1に示すように、電池外装体100の内部に酸素吸収材50を配置した電池A〜Fは酸素吸収材50を有しない電池Gに比してSOC低下速度が明らかに遅く、長期信頼性に優れていた。この結果から、電池A〜Fでは蓋体20を外部から加熱することにより保護部材51が破断され、破断部51aから酸素吸収材50が露出していたことが明らかである。また電池外装体100が封止されるまでの間、酸素吸収材50が酸素非透過性の保護部材51によって被覆されていたことにより、酸素吸収材50が失活せずに十分な酸素吸収能を発揮できたともいえる。
表1に示すように、電池外装体100の内部に酸素吸収材50を配置した電池A〜Fは酸素吸収材50を有しない電池Gに比してSOC低下速度が明らかに遅く、長期信頼性に優れていた。この結果から、電池A〜Fでは蓋体20を外部から加熱することにより保護部材51が破断され、破断部51aから酸素吸収材50が露出していたことが明らかである。また電池外装体100が封止されるまでの間、酸素吸収材50が酸素非透過性の保護部材51によって被覆されていたことにより、酸素吸収材50が失活せずに十分な酸素吸収能を発揮できたともいえる。
さらに電池A〜Eは電池Fに比してSOC低下速度が遅く、より一層長期信頼性に優れるものであった。この結果から、Liを含有する酸素吸収材は、酸素欠損型の金属酸化物よりも酸素吸収速度が速いといえる。したがって酸素吸収材は、金属Li、Li−Al合金、Li−Si合金、Li挿入炭素およびLi挿入黒鉛からなる群より選ばれる1種以上であることが好ましいといえる。
[実験2:酸素吸収材が含有するLi量の検討]
実験2ではLiを含有する酸素吸収材を用いる場合において、酸素吸収材が含有するLi量が電池の長期信頼性に与える影響を評価した。
実験2ではLiを含有する酸素吸収材を用いる場合において、酸素吸収材が含有するLi量が電池の長期信頼性に与える影響を評価した。
<実施例7:電池D1〜D5の作製>
酸素吸収材50としてLi挿入黒鉛粉末(LiC6)を用いて、酸素吸収材50の質量をそれぞれ78mg、118mg、423mg、846mg、4230mgとすることを除いては実施例4と同様にして、電池D1、D2、D3、D4およびD5をそれぞれ作製した。
酸素吸収材50としてLi挿入黒鉛粉末(LiC6)を用いて、酸素吸収材50の質量をそれぞれ78mg、118mg、423mg、846mg、4230mgとすることを除いては実施例4と同様にして、電池D1、D2、D3、D4およびD5をそれぞれ作製した。
このとき電池D1〜D5における空間体積(V)と酸素吸収材が含有するLi量(M)との比率(M/V)はそれぞれ0.019、0.030、0.107、0.214、1.07であった。
<評価>
実施例1と同様にして電池D1〜D5のSOC低下速度を測定した。結果を表2に示す。
実施例1と同様にして電池D1〜D5のSOC低下速度を測定した。結果を表2に示す。
<結果と考察>
表2から分かるように、M/Vが0.030未満である電池D1では、SOC低下速度がやや速い傾向があった。これは酸素吸収材に含まれる未反応のLi量と酸素吸収速度との間に相関があるからであると考えられる。すなわち電池D1では電池内の酸素量に対するLi量は理論上足りてはいるが、酸素吸収材に含まれるLiが酸素と反応してLi量が減少するとこれに対応して酸素吸収速度が低下するため、しだいに負極板32でのLi+と酸素との反応を抑制する効果が小さくなったものと考えられる。したがって酸素吸収材に含まれるLi量は電池内の酸素量から計算される理論量よりも多いことが好ましく、具体的にはLi量はM/Vが0.030以上となるように調整することがより好ましい。
表2から分かるように、M/Vが0.030未満である電池D1では、SOC低下速度がやや速い傾向があった。これは酸素吸収材に含まれる未反応のLi量と酸素吸収速度との間に相関があるからであると考えられる。すなわち電池D1では電池内の酸素量に対するLi量は理論上足りてはいるが、酸素吸収材に含まれるLiが酸素と反応してLi量が減少するとこれに対応して酸素吸収速度が低下するため、しだいに負極板32でのLi+と酸素との反応を抑制する効果が小さくなったものと考えられる。したがって酸素吸収材に含まれるLi量は電池内の酸素量から計算される理論量よりも多いことが好ましく、具体的にはLi量はM/Vが0.030以上となるように調整することがより好ましい。
他方、電池D5の結果から、M/Vが0.21を超えてもSOC低下速度の変化は小さい。M/Vが大きくなるほど電池内で酸素吸収材が占める体積が大きくなり電池のエネルギー密度が低下することを考慮すると、M/Vは必要な範囲で可能な限り小さい方が好ましい。したがってM/Vは0.21以下であることが好ましいといえる。ただし電池のエネルギー密度を無視する限りM/Vが0.21を超えても差し支えはない。
以上のように本発明の実施形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施形態および実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 筐体、20 蓋体、20a 保持部、20b 封止栓、21 正極端子、21a 正極集電リード、22負極端子、22a 負極集電リード、30 電極体、31 正極板、31a 正極集電体、31b 正極合材層、32 負極板、32a 負極集電体、32b 負極合材層、50 酸素吸収材、51 保護部材、51a 破断部、100 電池外装体、101 電池、F 対向部、NF 非対向部。
Claims (4)
- 酸素吸収材を酸素非透過性の保護部材で被覆する工程と、
電池外装体の内部に前記酸素吸収材を配置する工程と、
前記電池外装体を封止する工程と、を備え、
前記封止する工程の後に、前記保護部材を破断して前記酸素吸収材を露出させる工程をさらに備える、リチウムイオン二次電池の製造方法。 - 前記露出させる工程は、前記電池外装体の外部から超音波を印加することにより前記保護部材を破断する工程を含む、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
- 前記露出させる工程は、前記電池外装体の外部から前記保護部材を加熱することにより前記保護部材を破断する工程を含む、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
- 電池外装体と、
前記電池外装体の内部に配置された酸素吸収材と、
前記酸素吸収材の一部を覆う酸素非透過性の保護部材と、を備え、
前記保護部材は破断部を有し、前記破断部から前記酸素吸収材が露出している、リチウムイオン二次電池。
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JP2013247491A JP2015106481A (ja) | 2013-11-29 | 2013-11-29 | リチウムイオン二次電池の製造方法およびリチウムイオン二次電池 |
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JP2013247491A Pending JP2015106481A (ja) | 2013-11-29 | 2013-11-29 | リチウムイオン二次電池の製造方法およびリチウムイオン二次電池 |
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Country | Link |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019175631A (ja) * | 2018-03-28 | 2019-10-10 | Tdk株式会社 | リチウムイオン二次電池用正極およびこれを用いたリチウムイオン二次電池 |
CN113871687A (zh) * | 2021-09-26 | 2021-12-31 | 蜂巢能源科技有限公司 | 一种低产气电池及制备方法 |
JP2022086615A (ja) * | 2020-11-30 | 2022-06-09 | プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社 | 非水電解質二次電池 |
-
2013
- 2013-11-29 JP JP2013247491A patent/JP2015106481A/ja active Pending
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