JP2015105614A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料カットの際のトルクショックを抑制しつつ、燃料カット条件成立から燃料カット開始までの遅延時間中の失火の発生を防止する制御装置を提供する。
【解決手段】吸気バルブタイミングを変更可能な可変バルブタイミング機構、及び排気通路を流れる排気ガスの一部を吸気通路に還流させ得る排気ガス再循環装置が付帯した内燃機関を制御するものであって、燃料カット条件が成立した場合、遅延時間の経過を待ってから気筒への燃料供給を停止するものとし、燃料カット条件成立時の吸気のEGR率が低いほど、またはEGRバルブの開度が小さいほど、遅延時間において吸気バルブタイミングをアイドル時の基準タイミングよりも大きく遅角させる構成とした。
【選択図】図3

Description

本発明は、可変バルブタイミング(Variable Valve Timing)機構及び排気ガス再循環(Exhaust Gas Recirculation)装置が付帯した内燃機関を制御する制御装置に関する。
気筒での混合気の燃焼温度を低下させてNOxの排出量を削減しつつ、ポンピングロスの低減を図るEGR装置が公知である(例えば、下記特許文献1を参照)。EGR装置は、排気経路と吸気経路とを外部EGR通路を介して接続し、気筒内で発生する燃焼ガスの一部をEGR通路経由で吸気経路に還流させて吸気に混交するものである。
また、車両に搭載される内燃機関では、その運転状況に応じて燃料噴射を一時的に停止する燃料カットを行うことが知られている。通常、アクセルペダルの踏込量が0または0に近い閾値以下となり、かつエンジン回転数が燃料カット許可回転数以上あるときに、燃料カット条件が成立したものとして燃料カットを開始する。そして、アクセルペダルの踏込量が閾値を上回った、エンジン回転数が燃料カット復帰回転数まで低下した等の何れかの燃料カット終了条件が成立したときに、燃料カットを終了、燃料噴射を再開する。
エンジントルクが比較的大きい段階で、急に燃料供給を遮断すると、エンジン回転数や車速がステップ的に急落するトルクショックが発生し、運転者を含む搭乗者に衝撃を感じさせる。このトルクショックを軽減するべく、従来より、燃料カット条件が成立しても即時には燃料噴射を停止せず、ある程度の遅延時間の経過を待ってから燃料噴射を停止するようにしている(例えば、下記特許文献2を参照)。
特開2012−167601号公報 特開平10−030477号公報
燃料カット条件の成立から実際に燃料カットを開始するまでの遅延時間にも、燃料噴射及び燃焼は継続されている。よって、その分だけ実効燃費が悪化することになる。であるから、この遅延時間中には、可及的速やかにエンジントルクを低下させることが求められる。
エンジントルクを速やかに低下させる有効な手立てとして、吸気VVT機構の利用が挙げられる。吸気バルブの開タイミングを排気上死点よりも大きく遅らせ、及び/または、吸気バルブの閉タイミングを吸気下死点よりも大きく遅らせれば、気筒に充填され圧縮される吸気の量を十分に減少させることができ、その分だけ燃料噴射量が少なく済み、燃料の燃焼により発生するエンジントルクも小さくなる。
しかしながら、燃料カット条件成立後の遅延時間中に吸気バルブタイミングを顕著に遅角すると、相対的に吸気のEGR率が上昇する中で気筒に供給される酸素の絶対量が不足し、燃焼の不安定ないし失火を招く懸念があった。
燃料カット条件が成立する際には、アクセルペダルの踏み込みが緩められる減速要求が生じている。このとき、スロットルバルブとともにEGRバルブの開度も縮小するのであるが、吸気に混入するEGRガスの量の減少は、EGRバルブの開度を縮小する操作に対して遅れる。しかも、EGRバルブの開閉速度(即ち、開度の単位時間あたりの変化量)がスロットルバルブの開閉速度よりも遅いというハードウェア上の制約もあって、単にEGRバルブを全閉するだけでは燃焼の不安定化を回避できない。
とりわけ、EGR通路の入口を排気マニホルドまたはその下流に接続し、出口をスロットルバルブの下流またはサージタンクに接続している高圧ループEGR装置においては、スロットルバルブの開度を絞ることで生じる吸気負圧がEGRガスを吸気通路側に引き込んでしまう。
遅延時間中に失火を引き起こしてしまうと、トルクショックが発生して運転者を含む搭乗者に衝撃を感じさせる。のみならず、未燃の燃料成分が排気通路に排出されて、エミッションの悪化をもたらす。
本発明は、上述の問題に着目してなされたものであり、燃料カットの際のトルクショックを抑制しつつ、遅延時間中の失火の発生を防止することを所期の目的としている。
本発明では、吸気バルブタイミング(吸気バルブの開タイミング及び/または閉タイミング)を変更可能なVVT機構、及び排気通路を流れる排気ガスの一部を吸気通路に還流させ得るEGR装置が付帯した内燃機関を制御するものであって、燃料カット条件が成立した場合、遅延時間の経過を待ってから気筒への燃料供給を停止するものとし、燃料カット条件成立時の吸気のEGR率が低いほど、またはEGRバルブの開度が小さいほど、前記遅延時間において吸気バルブタイミングをアイドル時の基準タイミングよりも大きく遅角させる内燃機関の制御装置を構成した。
並びに、本発明では、吸気バルブタイミングを変更可能なVVT機構、及び排気通路を流れる排気ガスの一部を吸気通路に還流させ得るEGR装置が付帯した内燃機関を制御するものであって、燃料カット条件が成立した場合、遅延時間の経過を待ってから気筒への燃料供給を停止するものとし、前記遅延時間において、EGRバルブが全閉するまでの間スロットルバルブを全閉することを遅らせるとともに、吸気バルブタイミングをアイドル時の基準タイミングよりも遅角させる内燃機関の制御装置を構成した。
本発明によれば、燃料カットの際のトルクショックを抑制しつつ、燃料カット条件成立から燃料カット開始までの遅延時間中の失火の発生を防止することができる。
本発明の一実施形態における内燃機関の概略構成を示す図。 同実施形態の内燃機関に付随する可変バルブタイミング機構の構成を示す図。 同実施形態の制御装置が実行する制御を示すタイミング図。 同実施形態の制御装置が実施する制御の変形例を示すタイミング図。
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。図1に、本実施形態における車両用内燃機関の概要を示す。本実施形態における内燃機関は、火花点火式ガソリンエンジンであり、複数の気筒1(図1には、そのうち一つを図示している)を具備している。各気筒1の吸気ポート近傍には、燃料を噴射するインジェクタ11を設けている。また、各気筒1の燃焼室の天井部に、点火プラグ12を取り付けてある。点火プラグ12は、点火コイルにて発生した誘導電圧の印加を受けて、中心電極と接地電極との間で火花放電を惹起するものである。
吸気を供給するための吸気通路3は、外部から空気を取り入れて各気筒1の吸気ポートへと導く。吸気通路3上には、エアクリーナ31、電子スロットルバルブ32、サージタンク33、吸気マニホルド34を、上流からこの順序に配置している。
排気を排出するための排気通路4は、気筒1内で燃料を燃焼させた結果発生した排気を各気筒1の排気ポートから外部へと導く。この排気通路4上には、排気マニホルド42及び排気浄化用の三元触媒41を配置している。
本実施形態の内燃機関には、外部EGR装置2が付帯している。外部EGR装置2は、いわゆる高圧ループEGRを実現するものであり、排気通路4における触媒41の上流側と吸気通路3におけるスロットルバルブ32の下流側とを連通するEGR通路21と、EGR通路21上に設けたEGRクーラ22と、EGR通路21を開閉し当該EGR通路21を流れるEGRガスの流量を制御するEGRバルブ23とを要素とする。EGR通路21の入口は、排気通路4における排気マニホルド42またはその下流の所定箇所に接続している。EGR通路21の出口は、吸気通路3におけるスロットルバルブ32の下流の所定箇所、具体的にはサージタンク33に接続している。
図2に示すように、本実施形態における内燃機関では、クランクスプロケット71、吸気側スプロケット72及び排気側スプロケット73にタイミングチェーン74を巻き掛け、このタイミングチェーン74により、クランクシャフトからもたらされる回転駆動力を吸気側スプロケット72を介して吸気カムシャフトに、排気側スプロケット73を介して排気カムシャフトに、それぞれ伝達している。
その上で、吸気側スプロケット72と吸気カムシャフトとの間に、VVT機構6を介設している。本実施形態におけるVVT機構6は、クランクシャフトに対する吸気カムシャフトの回転位相を変化させることにより吸気バルブの開閉タイミングを変化させるものである。
VVT機構6のハウジング61は、吸気側スプロケット72に固着しており、吸気側スプロケット72とハウジング61とは一体となってクランクシャフトに同期して回転する。これに対し、吸気カムシャフトの一端部に固着したロータ62は、ハウジング61内に収納され、吸気側スプロケット72及びハウジング61に対して相対的に回動することが可能である。ハウジング61の内部には、作動液が流出入する複数の流体室が形成され、各流体室は、ロータ62の外周部に成形されたベーン621によって進角室612と遅角室611とに区画されている。
VVT機構6の液圧(油圧)回路には、オイルパン81内に蓄えられた作動液が液圧ポンプ82より供給される。液圧ポンプ82は、内燃機関からの動力で駆動される。液圧ポンプ82とVVT機構6との間には、切換制御弁であるOCV(Oil Control Valve)9を設けている。作動液の流量及び方向をこのOCV9を介して操作することで、オイルパン81から汲み上げた作動液を進角室612または遅角室611に選択的に供給することができる。さすれば、ハウジング61がロータ62に対して相対回動し、吸気バルブの開閉タイミングを進角または遅角させることができる。
OCV9は、いわゆる電磁式の四方向スプール弁である。図2に示すように、OCV9は、液圧ポンプ82の吐出口と接続する供給ポート91、ハウジング61の進角室612と接続するAポート92、ハウジング61の遅角室611と接続するBポート93、並びにオイルパン81と接続するドレインポート94、95を有している。OCV9のスプールは、進退動作により内部粒体経路を切り換えて、Aポート92及びBポート93をそれぞれ供給ポート91、ドレインポート94、95の何れかに連通させる。また、スプール96が中立位置をとるときには内部流体経路が断絶し、Aポート92及びBポート93を供給ポート91にもドレインポート94、95にも連通させない。図2では、スプール96が中立位置にある状態を示している。
スプール96はソレノイド97によって駆動する。即ち、制御信号mとしてソレノイド97に入力するパルス電流(または、電圧)のデューティ比に応じて、スプール96の進退の距離が変化する。
制御信号mのデューティ比が比較的大きい場合には、液圧ポンプ82から吐出される作動液圧がAポート92を通じて進角室612に供給される一方、既に遅角室611に貯留していた作動液がBポート93を通じてオイルパン81に向けて流下することとなり、進角室612の容積が拡大、遅角室611の容積が縮小するようにベーン621及びロータ62が回動する。結果、吸気カムシャフトの回転位相、換言すれば吸気カムシャフトのクランクシャフトに対する変位角が進角して、吸気バルブのバルブタイミングが進角化する。
逆に、制御信号mのデューティ比が比較的小さい場合には、液圧ポンプ82から吐出される作動液圧がBポート93を通じて遅角室611に供給される一方、既に進角室612に貯留していた作動液がAポート92を通じてオイルパン81に向けて流下することとなり、遅角室611の容積が拡大、進角室612の容積が縮小するようにベーン621及びロータ62が回動する。結果、吸気カムシャフトのクランクシャフトに対する変位角が遅角して、吸気バルブのバルブタイミングが遅角化する。
総じて言えば、制御信号mのデューティ比が中立より大きいほど吸気バルブのバルブタイミングが速く進角し、デューティ比が中立より小さいほど吸気バルブのバルブタイミングが速く遅角する。
本実施形態の内燃機関の制御装置たるECU(Electronic Control Unit)0は、プロセッサ、メモリ、入力インタフェース、出力インタフェース等を有したマイクロコンピュータシステムである。
入力インタフェースには、車両の実車速を検出する車速センサから出力される車速信号a、クランクシャフトの回転角度及びエンジン回転数を検出するエンジン回転センサから出力されるクランク角信号b、アクセルペダルの踏込量をアクセル開度(運転者が要求する機関出力、いわば要求負荷)として検出するセンサから出力されるアクセル開度信号c、シフトレバーのレンジを知得するためのセンサ(シフトポジションスイッチ)から出力されるシフトレンジ信号d、吸気通路3(特に、サージタンク33)内の吸気温及び吸気圧を検出する温度・圧力センサから出力される吸気温・吸気圧信号e、内燃機関の温度を示唆する冷却水温を検出する水温センサから出力される冷却水温信号f、吸気カムシャフトまたは排気カムシャフトの複数のカム角にてカム角センサから出力されるカム角信号g、ブレーキペダルの踏込量を検出するセンサから出力されるブレーキ踏量信号h等が入力される。
出力インタフェースからは、点火プラグ12のイグナイタ13に対して点火信号i、インジェクタ11に対して燃料噴射信号j、スロットルバルブ32に対して開度操作信号k、EGRバルブ23に対して開度操作信号l、OCV9に対して制御信号m等を出力する。
ECU0のプロセッサは、予めメモリに格納されているプログラムを解釈、実行し、運転パラメータを演算して内燃機関の運転を制御する。ECU0は、内燃機関の運転制御に必要な各種情報a、b、c、d、e、f、g、hを入力インタフェースを介して取得し、エンジン回転数を知得するとともに気筒1に充填される吸気量を推算する。そして、それらエンジン回転数及び吸気量等に基づき、要求される燃料噴射量、燃料噴射タイミング(一度の燃焼に対する燃料噴射の回数を含む)、燃料噴射圧、要求EGR率(または、EGR量)、点火タイミング、吸気バルブタイミングといった各種運転パラメータを決定する。ECU0は、運転パラメータに対応した各種制御信号i、j、k、l、mを出力インタフェースを介して印加する。
気筒1に充填される吸気について要求されるEGR率は、中負荷運転領域において最も高く、そこから要求負荷が低くなるほど低下し、また要求負荷が高くなるほど低下する。アイドル時やアイドルに近い低負荷運転領域、並びに全負荷運転領域では、要求EGR率は0となり、EGRバルブ23を全閉する。
吸気バルブタイミングは、内燃機関の始動時、アイドル時及び低負荷運転領域において、基準タイミングをとる。基準タイミングでは、吸気バルブが排気上死点またはその近傍のタイミングにて開き、吸気下死点後所定のクランク角度(例えば、45°CA)が経過したタイミングにて閉じる。中負荷ないし高負荷の運転領域では、吸気バルブタイミングを基準タイミングよりも進角させる。但し、高回転域では、エンジン回転数が高くなるほど吸気バルブの閉タイミングを遅らせることが好ましい。
また、本実施形態のECU0は、運転状況に応じてインジェクタ11からの燃料噴射を一時的に停止する燃料カットを実行する。通常、アクセルペダルの踏込量が0または0に近い閾値以下となり、かつエンジン回転数が燃料カット許可回転数以上あるときに、燃料カット条件が成立したものとする。
但し、燃焼カット条件が成立したとしても、即座に気筒1への燃料噴射を停止するわけではない。ECU0は、燃料カット条件の成立後も気筒1に燃料を噴射して燃焼させる運転を維持しつつ、燃料噴射を停止してよい状況が整ったときにはじめて燃料噴射(及び、点火)を停止する。燃料噴射を停止してよい状況とは、エンジントルクが必要十分に低下し、燃料噴射を停止しても大きなトルクショックを引き起こさないような状況のことである。
図3に示すように、本実施形態のECU0は、燃料カット条件の成立時点t0から燃料カットの開始(燃料噴射の停止)時点t1までの遅延時間において、VVT機構6を介して吸気バルブタイミングを基準タイミングよりも遅角させる操作を行う。この操作により、吸気バルブが、排気上死点よりも遅く開くとともに、吸気下死点を大きく超えた後に閉じるようになる。吸気バルブの開タイミングの遅角化は、吸気通路3から気筒1への吸気の流入の開始を遅らせる。並びに、吸気バルブの閉タイミングの遅角化は、一旦気筒1に吸引した吸気を一部吸気通路3に吐き戻す(吹き返す)現象を生じさせる。何れも、気筒1に充填され圧縮される実効的な吸気量を減少させる働きをし、燃料噴射量の削減及びエンジントルクの低下をもたらす。
しかしながら、燃料カット条件の成立に伴って単純に吸気バルブタイミングを大きく遅らせると、相対的に吸気のEGR率が上昇する中で気筒1に供給される酸素の絶対量が不足し、燃焼の不安定ないし失火を招く懸念がある。
そこで、本実施形態のECU0は、燃料カット条件成立時点t0から燃料カット開始時点t1までの遅延時間における、吸気バルブタイミングの基準タイミングからの遅角量ΔAを、その燃料カット条件成立時(燃料カット条件の成立直前、成立時または成立直後の時期)の吸気のEGR率が低いほど、または、その燃料カット条件成立時のEGRバルブ23の開度が小さいほど、大きく設定するようにしている。
燃料カット条件成立時点t0において吸気のEGR率が低い、またはEGRバルブの開度23が小さいならば、吸気バルブタイミングを大きく遅角させたとしても、燃料を燃焼させるために最小限必要な量の酸素が気筒1に供給されることから、燃焼の不安定ないし失火を招く危険は低い。よって、遅延時間において吸気バルブタイミングの遅角量ΔAを大きくとり、エンジントルクの可及的速やかな低下を促す。
これに対し、燃料カット条件成立時点t0において吸気のEGR率が高い、またはEGRバルブの開度23が大きいならば、吸気バルブタイミングを大きく遅角させることで、燃料を燃焼させるために最小限必要な量の酸素が気筒1に供給されなくなり、燃焼の不安定ないし失火を招く危険がある。よって、遅延時間において吸気バルブタイミングの遅角量ΔAを小さくし、失火の発生を抑止する。
遅延時間が経過し、燃料カットを開始した時点t1後は、VVT機構6を介して吸気バルブタイミングを基準タイミングまで戻す。
本実施形態では、吸気バルブタイミングを変更可能な可変バルブタイミング機構6、及び排気通路4を流れる排気ガスの一部を吸気通路3に還流させ得る排気ガス再循環装置2が付帯した内燃機関を制御するものであって、燃料カット条件が成立した場合、遅延時間の経過を待ってから気筒1への燃料供給を停止するものとし、燃料カット条件成立時の吸気のEGR率が低いほど、またはEGRバルブの開度が小さいほど、前記遅延時間において吸気バルブタイミングをアイドル時の基準タイミングよりも大きく遅角させる内燃機関の制御装置0を構成した。
本実施形態によれば、燃料カットの際のトルクショックを抑制しつつ、遅延時間中の失火の発生を防止することができる。燃焼不安定ないし失火の危険が低い場合には、吸気バルブタイミングの遅角量ΔAを大きくとって、トルクショックが軽減されるのに必要十分な遅延時間を短縮することが可能となり、当該遅延時間における燃料の浪費を削減できる。
遅延時間中に吸気バルブタイミングを基準タイミングよりも遅角化することで、エンジントルクの低減を目的とした点火タイミングの遅角補正量を小さくすることができるので、熱機械変換効率の向上にも寄与し得る。
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。例えば、図3に示す制御例では、燃料カット条件成立時、アクセルペダルの踏込量が0または0に近いことに対応して、スロットルバルブ32の開度を急速に0または0に近い大きさまで縮小していたが、図4に示すように、スロットルバルブ32の開度の縮小を、EGRバルブ23が全閉するまで遅らせるようにしてもよい。
既に述べた通り、吸気についての要求EGR率は、内燃機関に対する要求負荷即ちアクセルペダルの踏込量の大きさに応じて変化する。アクセルペダルの踏込量が0またはほぼ0となったとき、要求EGR率も0となるが、EGRバルブ23の開閉速度はスロットルバルブ32のそれと比較して遅いというハードウェアの制約上がある。それ故、EGRバルブ23及びスロットルバルブ32の開度を純粋にアクセルペダルの踏込量に応じて各々操作すると、スロットルバルブ32がEGRバルブ23よりも早く全閉し、燃料カット条件成立後の遅延時間においてEGRバルブ23のみが開弁している期間が発生してしまう。この場合、気筒1に充填される吸気に占めるEGRガスの割合が高くなり、燃料の燃焼の不安定化を招き、失火に繋がる可能性が高い。
そのような失火の危険を回避するべく、図4に示したように、アクセルペダルの踏込量が所定以上の速度で減少して0またはほぼ0となったときには、EGRバルブ23の開度が0またはほぼ0となる前にスロットルバルブ32の開度が0またはほぼ0とならないよう、スロットルバルブ32の開度の縮小速度(単位時間あたりの縮小量)を設定し、現在のアクセルペダルの踏込量によらずスロットルバルブ32を緩やかに閉じるようにすることが好ましい。
さらに、上に述べた通りにスロットルバルブ32を緩やかに閉じる制御を実施するならば、気筒1に充填される吸気中にある程度以上の量の新気即ち酸素を確保でき、吸気のEGR率を抑制することができることから、燃料カット条件成立後の遅延時間において、吸気バルブタイミングの基準タイミングからの遅角量ΔAを、VVT機構6により実現可能な最大量まで増す(即ち、吸気バルブタイミングを限界まで最遅角する)ことが許容される。
総じて言えば、内燃機関の制御装置たるECU0が、燃料カット条件成立後の遅延時間において、EGRバルブ23が全閉するまでの間スロットルバルブ32を全閉することを遅らせるとともに、吸気バルブタイミングをアイドル時の基準タイミングよりも遅角させる制御を実施する。その際の遅角量ΔAは、VVT機構6により実現可能な最大量まで増すことが可能である。
上記実施形態におけるVVT機構6は、作動液圧(油圧)により吸気カムシャフトのクランクシャフトに対する回転位相角を変化させるベーン式のものであったが、その回転位相角の変化を電動機によって実現するモータドライブVVTをVVT機構6として採用してもよい。この他にも、吸気バルブをECU0から制御信号を入力することにより開閉制御できる電磁ソレノイドバルブとする等、種々のVVT機構を用いることが可能である。
その他、各部の具体的構成や処理の手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
本発明は、車両に搭載される内燃機関の制御に適用することができる。
0…制御装置(ECU)
1…気筒
11…インジェクタ
12…点火プラグ
2…排気ガス再循環(EGR)装置
23…EGRバルブ
3…吸気通路
32…スロットルバルブ
4…排気通路
6…可変バルブタイミング(VVT)機構

Claims (2)

  1. 吸気バルブタイミングを変更可能な可変バルブタイミング機構、及び排気通路を流れる排気ガスの一部を吸気通路に還流させ得る排気ガス再循環装置が付帯した内燃機関を制御するものであって、
    燃料カット条件が成立した場合、遅延時間の経過を待ってから気筒への燃料供給を停止するものとし、
    燃料カット条件成立時の吸気のEGR率が低いほど、またはEGRバルブの開度が小さいほど、前記遅延時間において吸気バルブタイミングをアイドル時の基準タイミングよりも大きく遅角させる内燃機関の制御装置。
  2. 吸気バルブタイミングを変更可能な可変バルブタイミング機構、及び排気通路を流れる排気ガスの一部を吸気通路に還流させ得る排気ガス再循環装置が付帯した内燃機関を制御するものであって、
    燃料カット条件が成立した場合、遅延時間の経過を待ってから気筒への燃料供給を停止するものとし、
    前記遅延時間において、EGRバルブが全閉するまでの間スロットルバルブを全閉することを遅らせるとともに、吸気バルブタイミングをアイドル時の基準タイミングよりも遅角させる内燃機関の制御装置。
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