JP6448322B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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本発明は、車両等に搭載される内燃機関を制御する制御装置に関する。
一般に、内燃機関の排気通路には、気筒から排出される排気ガス中に含まれる有害物質HC、CO及びNOxを酸化/還元して無害化する三元触媒が装着されている。HC、CO及びNOxの全てを効率よく浄化するには、ガスの空燃比を理論空燃比近傍の一定範囲に収める必要がある。
そのために、触媒の上流及び下流にそれぞれ空燃比センサを配し、それら空燃比センサの出力信号を用いる二重のフィードバックループを構築して、空燃比をフィードバック制御する。燃料噴射量を決定するに際しては、気筒に充填される吸気(新気)の量に比例する基本噴射量に、空燃比センサを介して検出される空燃比に応じて変動するフィードバック補正係数を乗じることが通例である(例えば、下記特許文献を参照)。
また、インジェクタを気筒の吸気ポート近傍に配置したポート噴射式の内燃機関では、インジェクタから噴射された燃料の一部が液状となって吸気ポートの壁面や吸気バルブの傘部等に付着するポートウェットが生じる。ポート噴射式の内燃機関の制御では、このポートウェットの発生を見越して、ポートウェット分だけ燃料噴射量を増量する。
特開2014−181599号公報
ポート噴射式の内燃機関において、インジェクタから燃料を噴射するタイミングは、対象の気筒の吸気バルブが開弁するタイミングに合わせる必要がある。具体的には、吸気バルブの開弁前からインジェクタを開弁して燃料噴射を開始し、吸気バルブが開弁する直前または吸気バルブの開弁と略同時にインジェクタを閉弁して燃料噴射を終了する。最適な燃料噴射タイミングは、可変バルブタイミング(Variable Valve Timing)機構が具現する吸気バルブの開弁タイミングに応じて変化する。また、内燃機関の暖機が完了しているか否かによっても異なる。
内燃機関の運転中には、時として、燃料噴射が適正なタイミングからずれてしまうことが起こる。燃料噴射タイミングが吸気バルブタイミングに対して早すぎ、燃料噴射の終了と吸気バルブの開弁との間に時間差が生じると、インジェクタから噴射された霧化燃料のかなりの部分が液化して吸気ポートの壁面等に付着してしまい、適切に気筒に吸引されない。さすれば、空燃比がリーンとなり、混合気の燃焼が不安定化するおそれを招く。加えて、NOxの排出量も増加する。しかもその後に、吸気ポートの壁面等に付着した液化燃料が遅れて気筒に導入されることにより、今度は空燃比がリッチとなって、HCやCOの排出量が増加する。
逆に、燃料噴射タイミングが吸気バルブタイミングに対して遅すぎ、燃料噴射が吸気バルブの開弁期間に重なると、本来ポートウェットとなるはずだった燃料までもが気筒に吸引されることとなる。インジェクタから噴射される燃料の量は予めポートウェット分だけ増量してあるため、その分の燃料が気筒に導入されることで空燃比がリッチ化し、HCやCOの排出量が増加する。
従来、このような燃料噴射タイミングのずれに起因した空燃比の乱れを感知して修正する手段は存在していなかった。
本発明は、以上の点に初めて着目してなされたものであり、燃料噴射タイミングと吸気バルブタイミングとの相対的なずれの発生による空燃比の乱れを抑制することを所期の目的としている。
本発明では、燃料を噴射するインジェクタを気筒の吸気ポート近傍に配置したポート噴射式の内燃機関を制御するものであって、排気通路に装着した排気浄化用の触媒に流入するガスの空燃比を検出する空燃比センサの出力信号が所定空燃比よりもリーンであることを示している期間の長さが判定閾値を上回り、かつその後に同空燃比センサの出力信号が所定空燃比よりもリッチであることを示している期間の長さが判定閾値を上回ったことを条件として、インジェクタから燃料を噴射するタイミングを遅角補正する内燃機関の制御装置を構成した。
並びに、本発明では、燃料を噴射するインジェクタを気筒の吸気ポート近傍に配置したポート噴射式の内燃機関を制御するものであって、
排気通路に装着した排気浄化用の触媒に流入するガスの空燃比を検出する空燃比センサの出力信号が所定空燃比よりもリッチであることを示している期間の長さが判定閾値を上回ったことを条件として、インジェクタから燃料を噴射するタイミングが適正なタイミングから遅れているとしてインジェクタから燃料を噴射するタイミングを進角補正する内燃機関の制御装置を構成した。
本発明によれば、ポート噴射式の内燃機関において、燃料噴射タイミングと吸気バルブタイミングとの相対的なずれの発生による空燃比の乱れを抑制することが可能となる。
本発明の一実施形態の内燃機関及び制御装置の概略構成を示す図。 同実施形態の内燃機関に付帯する可変バルブタイミング機構を示す図。 空燃比センサの出力信号を基に燃料噴射タイミングのずれに起因した空燃比の乱れを感知する手法を説明するタイミング図。 空燃比センサの出力信号を基に燃料噴射タイミングのずれに起因した空燃比の乱れを感知する手法を説明するタイミング図。 空燃比センサの一種であるリニアA/Fセンサの入出力特性を例示する図。
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。図1に、本実施形態における車両用内燃機関の概要を示す。本実施形態における内燃機関は、火花点火式の4ストロークエンジンであり、複数の気筒1(図1には、そのうち一つを図示している)を具備している。各気筒1の吸気ポート近傍には、燃料を噴射するインジェクタ11を設けている。また、各気筒1の燃焼室の天井部に、点火プラグ12を取り付けてある。点火プラグ12は、点火コイルにて発生した誘導電圧の印加を受けて、中心電極と接地電極との間で火花放電を惹起するものである。
吸気を供給するための吸気通路3は、外部から空気を取り入れて各気筒1の吸気ポートへと導く。吸気通路3上には、エアクリーナ31、電子スロットルバルブ32、サージタンク33、吸気マニホルド34を、上流からこの順序に配置している。
排気を排出するための排気通路4は、気筒1内で燃料を燃焼させた結果発生した排気を各気筒1の排気ポートから外部へと導く。この排気通路4上には、排気マニホルド42及び排気浄化用の三元触媒41を配置している。
排気通路4における触媒41の上流及び下流には、排気通路4を流通する排気ガスの空燃比を検出するための空燃比センサ43、44を設置する。空燃比センサ43、44はそれぞれ、排気ガスの空燃比に対して非線形な出力特性を有するO2センサであってもよく、排気ガスの空燃比に比例した出力特性を有するリニアA/Fセンサであってもよい。本実施形態では、触媒41の上流側及び下流側の各空燃比センサ43、44について、排気ガス中の酸素濃度に応じた電圧信号を出力するO2センサを想定している。O2センサ43、44の出力特性は、理論空燃比近傍の一定範囲(ウィンドウ)では空燃比に対する出力の変化率が大きく急峻な傾きを示し、それよりも空燃比が大きいリーン領域では低位飽和値に漸近し、空燃比が小さいリッチ領域では高位飽和値に漸近する、いわゆるZ特性曲線を描く。
排気ガス再循環(Exhaust Gas Recirculation)装置2は、高圧ループEGRを実現するものであり、排気通路4における触媒41の上流側と吸気通路3におけるスロットルバルブ32の下流側とを連通する外部EGR通路21と、EGR通路21上に設けたEGRクーラ22と、EGR通路21を開閉し当該EGR通路21を流れるEGRガスの流量を制御するEGRバルブ23とを要素とする。EGR通路21の入口は、排気通路4における排気マニホルド42またはその下流の所定箇所に接続している。EGR通路21の出口は、吸気通路3におけるスロットルバルブ32の下流の所定箇所、具体的にはサージタンク33に接続している。
図2に示すように、本実施形態における内燃機関では、クランクスプロケット71、吸気側スプロケット72及び排気側スプロケット73にタイミングチェーン74を巻き掛け、このタイミングチェーン74により、クランクシャフトからもたらされる回転駆動力を吸気側スプロケット72を介して吸気カムシャフトに、排気側スプロケット73を介して排気カムシャフトに、それぞれ伝達している。
その上で、吸気側スプロケット72と吸気カムシャフトとの間に、VVT機構6を介設している。本実施形態におけるVVT機構6は、クランクシャフトに対する吸気カムシャフトの回転位相を変化させることにより吸気バルブの開閉タイミングを変化させるものである。
VVT機構6のハウジング61は、吸気側スプロケット72に固着しており、吸気側スプロケット72とハウジング61とは一体となってクランクシャフトに同期して回転する。これに対し、吸気カムシャフトの一端部に固着したロータ62は、ハウジング61内に収納され、吸気側スプロケット72及びハウジング61に対して相対的に回動することが可能である。ハウジング61の内部には、作動液が流出入する複数の流体室が形成され、各流体室は、ロータ62の外周部に成形されたベーン621によって進角室612と遅角室611とに区画されている。
VVT機構6の液圧(油圧)回路には、オイルパン81内に蓄えられた作動液が液圧ポンプ82より供給される。液圧ポンプ82は、内燃機関からの動力で駆動される。液圧ポンプ82とVVT機構6との間には、切換制御弁であるOCV(Oil Control Valve)9を設けている。作動液の流量及び方向をこのOCV9を介して操作することで、オイルパン81から汲み上げた作動液を進角室612または遅角室611に選択的に供給することができる。さすれば、ハウジング61がロータ62に対して相対回動し、吸気バルブの開閉タイミングを進角または遅角させることができる。
OCV9は、いわゆる電磁式の四方向スプール弁である。図2に示すように、OCV9は、液圧ポンプ82の吐出口と接続する供給ポート91、ハウジング61の進角室612と接続するAポート92、ハウジング61の遅角室611と接続するBポート93、並びにオイルパン81と接続するドレインポート94、95を有している。OCV9のスプールは、進退動作により内部流体経路を切り換えて、Aポート92及びBポート93をそれぞれ供給ポート91、ドレインポート94、95の何れかに連通させる。また、スプール96が中立位置をとるときには内部流体経路が断絶し、Aポート92及びBポート93を供給ポート91にもドレインポート94、95にも連通させない。図2では、スプール96が中立位置にある状態を示している。
スプール96はソレノイド97によって駆動する。即ち、制御信号mとしてソレノイド97に入力するパルス電流(または、電圧)のデューティ比に応じて、スプール96の進退の距離が変化する。
制御信号mのデューティ比が比較的大きい場合には、液圧ポンプ82から吐出される作動液圧がAポート92を通じて進角室612に供給される一方、既に遅角室611に貯留していた作動液がBポート93を通じてオイルパン81に向けて流下することとなり、進角室612の容積が拡大、遅角室611の容積が縮小するようにベーン621及びロータ62が回動する。結果、吸気カムシャフトの回転位相、換言すれば吸気カムシャフトのクランクシャフトに対する変位角が進角して、吸気バルブのバルブタイミングが進角化する。
逆に、制御信号mのデューティ比が比較的小さい場合には、液圧ポンプ82から吐出される作動液圧がBポート93を通じて遅角室611に供給される一方、既に進角室612に貯留していた作動液がAポート92を通じてオイルパン81に向けて流下することとなり、遅角室611の容積が拡大、進角室612の容積が縮小するようにベーン621及びロータ62が回動する。結果、吸気カムシャフトのクランクシャフトに対する変位角が遅角して、吸気バルブのバルブタイミングが遅角化する。
総じて言えば、制御信号mのデューティ比が中立より大きいほど吸気バルブのバルブタイミングが速く進角し、デューティ比が中立より小さいほど吸気バルブのバルブタイミングが速く遅角する。
本実施形態の内燃機関の制御装置たるECU(Electronic Control Unit)0は、プロセッサ、メモリ、入力インタフェース、出力インタフェース等を有したマイクロコンピュータシステムである。
入力インタフェースには、車両の実車速を検出する車速センサから出力される車速信号a、クランクシャフトの回転角度及びエンジン回転数を検出するエンジン回転センサから出力されるクランク角信号b、アクセルペダルの踏込量またはスロットルバルブ32の開度をアクセル開度(運転者が要求するエンジン出力、いわば要求負荷)として検出するセンサから出力されるアクセル開度信号c、吸気通路3(特に、サージタンク33)内の吸気温及び吸気圧を検出する温度・圧力センサから出力される吸気温・吸気圧信号d、内燃機関の温度を示唆する冷却水温を検出する水温センサから出力される冷却水温信号e、触媒41の上流側における排気ガスの空燃比を検出する空燃比センサ43から出力される空燃比信号f、触媒41の下流側における排気ガスの空燃比を検出する空燃比センサ44から出力される空燃比信号g、吸気カムシャフトの複数のカム角にてカム角センサから出力されるカム角信号h等が入力される。
出力インタフェースからは、点火プラグ12のイグナイタ13に対して点火信号i、インジェクタ11に対して燃料噴射信号j、スロットルバルブ32に対して開度操作信号k、EGRバルブ23に対して開度操作信号l、OCV9に対して制御信号m等を出力する。
ECU0のプロセッサは、予めメモリに格納されているプログラムを解釈、実行し、運転パラメータを演算して内燃機関の運転を制御する。ECU0は、内燃機関の運転制御に必要な各種情報a、b、c、d、e、f、g、hを入力インタフェースを介して取得し、エンジン回転数を知得するとともに気筒1に充填される吸気(新気)量を推算する。そして、それらエンジン回転数及び吸気量等に基づき、要求される燃料噴射量、燃料噴射タイミング(一度の燃焼に対する燃料噴射の回数を含む)、燃料噴射圧、要求EGR率(または、EGR量)、点火タイミング、吸気バルブタイミング等といった各種運転パラメータを決定する。ECU0は、運転パラメータに対応した各種制御信号i、j、k、l、mを出力インタフェースを介して印加する。
ECU0は、気筒1に充填される混合気の空燃比、ひいては気筒1から排出され触媒41へと導かれる排気ガスの空燃比をフィードバック制御する。ECU0は、まず、気筒1に充填される新気の量に見合った基本噴射量TPを決定する。次いで、この基本噴射量TPを、触媒41の上流側の空燃比に応じて定まるフィードバック補正係数FAFで補正する。さらに、内燃機関の運転状況、環境条件等に応じて定まる各種補正係数Kや、ポートウェット分の燃料を補うための補正係数Xで補正した上、インジェクタ11の無効噴射時間TAUVを加味して、最終的な燃料噴射時間(インジェクタ11に対する通電時間)Tを算定する。燃料噴射時間Tは、
T=TP×FAF×K×X+TAUV
となる。しかして、燃料噴射時間Tだけインジェクタ11に信号jを入力、インジェクタ11を開弁して燃料を噴射させる。
触媒41の上流側の空燃比信号fを参照する空燃比フィードバック制御の実施にあたり、ECU0は、触媒41の上流側のガスの空燃比を検出するセンサであるフロントO2センサ43の出力電圧fを、触媒41の上流側におけるガスの目標空燃比に相当する目標値(目標電圧値)と比較する。通常、この目標値は、理論空燃比またはその近傍に対応した所定値である。ECU0は、フロントO2センサ43の出力電圧fが目標値よりも高ければリッチと判定し、目標値よりも低ければリーンと判定する。
そして、触媒41の上流側のガスの空燃比の判定結果に基づき、フィードバック補正係数FAFを増減調整する。即ち、空燃比の判定結果がリッチであるときにはフィードバック補正係数FAFを減少させて燃料噴射量Tを絞る一方、空燃比の判定結果がリーンであるときにはフィードバック補正係数FAFを増加させて燃料噴射量Tを上積みする。
また、ECU0は、サージタンク33内吸気圧(または、アクセル開度若しくは気筒1に充填される吸気(新気)量)の単位時間(または、制御サイクル、演算サイクル)あたりの変化量に応じて、基本噴射量TPに乗ずる補正係数Xを調整する。
インジェクタ11から噴射された霧化燃料が液化して吸気ポートの壁面等に付着するポートウェットは、アクセル開度が拡大する加速要求がなされ、それに応じて燃料噴射量を増加させるときに多く生じやすい。故に、ECU0は、吸気圧が増大する過程において、その単位時間あたりの増加量が多いほど当該補正係数Xを大きくして燃料噴射量Tを増量する。このときの補正係数Xは、1より大きな値をとる。
翻って、吸気圧が減少する過程では、その単位時間あたりの減少量が多いほど当該補正係数Xを小さくして燃料噴射量Tを減量する。このときの補正係数Xは、1より小さな値をとる。吸気圧の単位時間あたりの変化量の絶対値が0または0に近い所定値以下、要するに吸気圧が増えも減りもしないときには、当該補正係数Xを1として、ポートウェット分の補正を燃料噴射量Tに加えない。
インジェクタ11から燃料を噴射するタイミングは、対象の気筒1の吸気バルブが開弁するタイミングに合わせる。つまり、当該気筒1における吸気バルブの開弁前からインジェクタ11を開弁して燃料噴射を開始し、同気筒1の吸気バルブが開弁する直前または吸気バルブの開弁と略同時にインジェクタ11を閉弁して燃料噴射を終了する。当然ながら、最適な燃料噴射タイミングは、現在VVT機構6が具現している吸気バルブタイミングに応じて変動する。
また、最適な燃料噴射タイミングは、現在の内燃機関の温度によっても異なる。冷間始動直後等、内燃機関が低温であるときには、より多くのポートウェットが生じ得る。そこで、ECU0は、現在の内燃機関の温度に応じて、インジェクタ11から燃料を噴射するタイミングを調整する。具体的には、内燃機関の温度が低い場合における燃料噴射タイミングを、内燃機関の温度がより高い場合における燃料噴射タイミングよりも遅角する。例えば、冷却水温が所定温度(例えば、80℃)未満である暖機完了前と、冷却水温が所定温度以上となった暖機完了後とで、燃料噴射タイミングを変更する。
しかしながら、内燃機関の運転中、常に適正なタイミングで燃料噴射を実行できているとは限らない。燃料噴射タイミングが吸気バルブタイミングに対して早すぎ、燃料噴射の終了と吸気バルブの開弁との間に時間差が生じると、インジェクタ11から噴射された燃料のかなりの部分が液化して吸気ポートの壁面等に付着し、適切に気筒1に吸引されなくなる。その結果、空燃比が目標空燃比よりもリーンとなる。しかもその後に、吸気ポートの壁面等に付着した液化燃料が遅れて気筒1に導入されるため、今度は空燃比が目標空燃比よりもリッチとなる。
逆に、燃料噴射タイミングが吸気バルブタイミングに対して遅すぎ、燃料噴射が吸気バルブの開弁期間に重なると、本来ポートウェットとなるはずだった燃料までもが直に気筒1に吸引されてしまう。既に述べた通り、インジェクタ11から噴射される燃料の量は予めポートウェット分だけ増量してあるため、その分の燃料が気筒に導入されることで空燃比がリッチ化し、HCやCOの排出量が増加する。
従来、このような燃料噴射タイミングのずれに起因した空燃比の乱れを感知して修正する手段は存在していなかった。本実施形態のECU0は、フロントO2センサ43の出力電圧fを参照して空燃比の乱れを感知し、その空燃比の乱れを修正するように燃料噴射タイミングを調整する。
燃料噴射タイミングの補正に関して詳述する。ECU0は、フロントO2センサ43が既に活性化して空燃比フィードバック制御の実行を開始しており、エンジン回転数、サージタンク33内吸気圧、アクセル開度、VVT機構6が具現する吸気バルブタイミングがそれぞれ一定である定常運転状態の下で、燃料噴射タイミングが適正であるか否かの判定を実施する。定常運転状態とは、エンジン回転数、サージタンク33内吸気圧、アクセル開度または吸気バルブタイミングの単位時間あたりの変化量が0または0に近い所定値以下である状態がある一定期間以上継続していることを意味する。なお、既に述べた通り、定常運転状態では、燃料噴射量Tの補正係数Xを1として、ポートウェット分を補うための補正を燃料噴射量Tに加えない。
図3に示すように、定常運転状態において、
(i)フロントO2センサ43の出力電圧fが目標値よりも低く、触媒41に流入するガスの空燃比がリーンであると判定される期間の長さPLが判定閾値thLを上回り、
(ii)しかる後、フロントO2センサ43の出力電圧fが目標値よりも高く、触媒41に流入するガスの空燃比がリッチであると判定される期間の長さPRが判定閾値thRを上回り、
(iii)なおかつ、前者(PL>thL)の期間と後者(PR>thR)の期間との間の遅れ期間PIの長さがある範囲内に収まっている。即ち、当該範囲の最小値をminPI、最大値をmaxPIとおくと、minPI≦PI≦maxPIが成立している
場合には、インジェクタ11から燃料を噴射するタイミングが早すぎ、そのような燃料噴射タイミングのずれに起因した空燃比の乱れが発生していると考えられる。よって、ECU0は、条件(i)、(ii)及び(iii)がおしなべて成立した場合、燃料噴射タイミングをより遅らせるように補正する。VVT機構6が具現している吸気バルブタイミングや内燃機関の冷却水温等に応じて定まる燃料噴射の終了のタイミングの基本値をIBとおき、基本値IBに加味する補正量をIXとおくと、当該補正量IXを加味した燃料噴射の終了タイミングIは、
I=IB+IX
と表される。燃料噴射の開始のタイミングは、この終了タイミングIから燃料噴射時間Tだけ遡ったタイミングとなる。I及びIBを各気筒1の排気上死点からの進角量と定義し、進角方向を正方向、遅角方向を負方向とすると、燃料噴射タイミングを遅角させる補正量IXは負値をとる。ECU0は、図3に示したようなフロントO2センサ43の出力電圧fの変動、即ち燃料噴射タイミングの進角方向へのずれを感知する都度、燃料噴射タイミングの補正量IXを遅角方向に所定量ΔRだけ変化させる、つまりは補正量IXをΔRだけ減算する。
並びに、ECU0は、図4に示すように、定常運転状態において、
(iv)フロントO2センサ43の出力電圧fが目標値よりも高く、触媒41に流入するガスの空燃比がリッチであると判定される期間の長さPRが判定閾値thR’を上回り、
(v)なおかつ、上述の条件(i)、(ii)及び(iii)は成立していない
場合には、インジェクタ11から燃料を噴射するタイミングが遅すぎ、そのような燃料噴射タイミングのずれに起因した空燃比の乱れが発生していると考えられる。よって、ECU0は、条件(iv)及び(v)がともに成立した場合、燃料噴射タイミングをより早めるように補正する。燃料噴射タイミングを進角させる補正量IXは正値をとる。ECU0は、図4に示したようなフロントO2センサ43の出力電圧fの変動、即ち燃料噴射タイミングの遅角方向へのずれを感知する都度、燃料噴射タイミングの補正量IXを進角方向に所定量ΔAだけ変化させる、つまりは補正量IXをΔAだけ加増する。
空燃比リーン期間の判定閾値thL、空燃比リッチ期間の判定閾値thR、thR’、遅れ期間の範囲minPI、maxPIは何れも、定常運転状態にある内燃機関の運転領域[エンジン回転数,サージタンク33内吸気圧(または、アクセル開度若しくは気筒1に充填される吸気(新気)量)]に応じて調整する。ECU0のメモリには予め、内燃機関の運転領域を示すパラメータであるエンジン回転数及び吸気圧(または、アクセル開度若しくは吸気(新気)量)と、判定閾値thL、thR、thR’及び遅れ期間の範囲minPI、maxPIとの関係を規定したマップデータが格納されている。燃料噴射タイミングが適正であるか否かの判定を実施するにあたり、ECU0は、現在の内燃機関の運転領域をキーとして当該マップを検索し、判定に用いるべきthL、thR、thR’、minPI、maxPIの値を知得する。但し、条件(iv)の判定閾値thR’は、条件(ii)の判定閾値thRと同じ値であってもよい。
燃料噴射タイミングの補正量IXは、内燃機関の運転領域毎に学習する。即ち、ECU0は、ある運転領域[エンジン回転数,サージタンク33内吸気圧(または、アクセル開度若しくは気筒1に充填される吸気(新気)量)]において得た補正量IXを、当該運転領域を示すエンジン回転数及び吸気圧(または、アクセル開度若しくは吸気(新気)量)に関連づけてメモリに記憶保持する。以後、再度同じ運転領域に遷移した暁には、先に学習した、同一の運転領域に関連づけられている補正量IXをメモリから読み出し、これを用いて補正した燃料噴射タイミングIに則ってインジェクタ11から燃料を噴射する。
燃料噴射タイミングの補正量IXの学習値の更新もまた、内燃機関の運転領域毎に行う。ある運転領域での定常運転中に、図3または図4に示したようなフロントO2センサ43の出力電圧fの変動を感知したときには、当該運転領域に対応する、当該運転領域に関連づけてメモリに記憶保持する補正量IXの学習値をΔRだけ減少させ、またはΔAだけ増加させる。
本実施形態では、燃料を噴射するインジェクタ11を気筒1の吸気ポート近傍に配置したポート噴射式の内燃機関を制御するものであって、排気通路4に装着した排気浄化用の触媒41に流入するガスの空燃比を検出する空燃比センサ43の出力信号fが所定空燃比よりもリーンであることを示している期間PLの長さが判定閾値thLを上回り、かつその後に同空燃比センサ43の出力信号fが所定空燃比よりもリッチであることを示している期間PRの長さが判定閾値thRを上回ったことを条件として、インジェクタ11から燃料を噴射するタイミングを遅角補正する内燃機関の制御装置0を構成した。
本実施形態によれば、燃料噴射タイミングが吸気バルブタイミングに対して相対的に進角していることに起因した空燃比の乱れを修正することができ、エミッションの良化即ち有害物質の排出量の削減に貢献できる。
並びに、本実施形態では、燃料を噴射するインジェクタ11を気筒1の吸気ポート近傍に配置したポート噴射式の内燃機関を制御するものであって、排気通路4に装着した排気浄化用の触媒41に流入するガスの空燃比を検出する空燃比センサ43の出力信号fが所定空燃比よりもリッチであることを示している期間PRの長さが判定閾値thR’を上回ったことを条件として、インジェクタ11から燃料を噴射するタイミングを進角補正する内燃機関の制御装置0を構成した。
本実施形態によれば、燃料噴射タイミングが吸気バルブタイミングに対して相対的に遅角していることに起因した空燃比の乱れを修正することができ、エミッションの良化即ち有害物質の排出量の削減に貢献できる。
加えて、内燃機関の排気通路4に実装されている既存の空燃比センサ43を利用して燃料噴射タイミングのずれを感知することから、新たなハードウェアの追加を必要とせず、徒なコスト増を招かない。
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。上記実施形態では、触媒41に流入するガスの空燃比を検出するための空燃比センサ43はO2センサであったが、これに代えて、例えば図5に示すような線形的な入出力特性を持つリニアA/Fセンサを用いてもよいことは言うまでもない。その場合、制御装置たるECU0は、当該リニアA/Fセンサ43の出力電圧fが高位の判定値よりも高いことを以て触媒41に流入するガスの空燃比が所定空燃比よりもリーンであると判定する一方、同リニアA/Fセンサ43の出力電圧fが低位の判定値よりも低いことを以て触媒41に流入するガスの空燃比が所定空燃比よりもリッチであると判定する。
その他各部の具体的構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
本発明は、車両等に搭載される内燃機関の制御に適用することができる。
0…制御装置(ECU)
1…気筒
11…インジェクタ
3…吸気通路
4…排気通路
41…触媒
43…空燃比センサ(フロントO2センサ)
f…空燃比センサの出力信号

Claims (2)

  1. 燃料を噴射するインジェクタを気筒の吸気ポート近傍に配置したポート噴射式の内燃機関を制御するものであって、
    排気通路に装着した排気浄化用の触媒に流入するガスの空燃比を検出する空燃比センサの出力信号が所定空燃比よりもリーンであることを示している期間の長さが判定閾値を上回り、かつその後に同空燃比センサの出力信号が所定空燃比よりもリッチであることを示している期間の長さが判定閾値を上回ったことを条件として、インジェクタから燃料を噴射するタイミングを遅角補正する内燃機関の制御装置。
  2. 燃料を噴射するインジェクタを気筒の吸気ポート近傍に配置したポート噴射式の内燃機関を制御するものであって、
    排気通路に装着した排気浄化用の触媒に流入するガスの空燃比を検出する空燃比センサの出力信号が所定空燃比よりもリッチであることを示している期間の長さが判定閾値を上回ったことを条件として、インジェクタから燃料を噴射するタイミングが適正なタイミングから遅れているとしてインジェクタから燃料を噴射するタイミングを進角補正する内燃機関の制御装置。
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