以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係るシート給送装置を備えた画像形成装置の一例であるレーザビームプリンタ(LBP)の全体構成を示す図である。
図1において、50はレーザビームプリンタ、50Aはレーザビームプリンタ本体(以下、プリンタ本体という)である。そして、プリンタ本体50Aは、画像形成部50Bを備えると共に、プリンタ本体50Aの下部には給紙カセット1に積載収納された記録紙等のシートSを画像形成部50Bに給送するシート給送装置50Cが設けられている。
ここで、画像形成部50Bは、感光体ドラム509a、帯電器509b、現像スリーブ509c、クリーナ509d等を備えたプロセスカートリッジ509を備えている。また、感光体ドラム509aの表面を露光して感光体ドラム509a上に静電潜像を形成する露光手段であるレーザスキャナ508を備えている。また、このプリンタ本体50Aは、感光体ドラム509aと当接し、感光体ドラム509aと共に転写部を構成する転写ローラ510、転写部にて転写されたトナー画像をシートSに定着させる定着部511等を備えている。
シート給送装置50Cは、シート収納部である給紙カセット1に積載されたシートSを最上側より送り出すピックアップローラ(給送ローラ)2を備えている。さらに、シート給送装置50Cは、シート搬送方向に回転するシート搬送ローラであるフィードローラ3と、フィードローラ3に圧接してフィードローラ3との間でシートを1枚ずつ分離する分離部3aを形成する分離部材である分離ローラ6とを備えている。ここで、フィードローラ3と共にピックアップローラ2のシート給送方向下流に設けられた分離ローラ6は、トルクリミッタを備え、フィードローラ3に対して追従回転可能(従動回転可能)となっている。なお、図1において、50Dはプリンタ本体50Aの画像形成動作及びシート給送装置50Cのシート給送動作を制御する制御部である。
次に、このように構成されたレーザビームプリンタ50における画像形成動作について説明する。画像形成動作が開始されると、まず感光体ドラム509aは矢印方向に回転して表面が帯電器509bにより帯電され、この後、感光体ドラム509aに対し、レーザスキャナ508から画像情報に基づいてレーザ光が発光される。これにより、感光体ドラム上には静電潜像が形成される。次に、この静電潜像は、現像スリーブ509cの回転に伴い適度の帯電を受けたトナーが感光体ドラム509a上に供給されて静電潜像に付着することにより、現像されてトナー画像として可視化される。
一方、このようなトナー像形成動作に並行してシート給送装置50Cのピックアップローラ2が回転し、給紙カセット1上の最上位シートS1を送り出す。そして、ピックアップローラ2により送り出されたシートS1は、フィードローラ3及び分離ローラ6により分離搬送された後、搬送ローラ41により、停止しているレジストレーションローラ対507に搬送され、先端位置合わせ(斜行補正)が行われる。
次に、画像形成部50Bにおいて感光体ドラム509aに形成される画像とシートの位置が合うようにレジストレーションローラ対507により所定のタイミングでシートS1が転写部に搬送される。そして、転写ローラ510により感光体ドラム509aの画像がシートS1に転写される。次に、トナー画像が転写されたシートS1は、定着部511に搬送され、未定着トナー像が加熱・加圧されてシート表面に定着される。なお、トナー像が定着された後のシートS1は、排紙ローラ512により排紙トレイ513上に排出される。
図2の(a)〜(c)は、シート給送装置50Cの構成を示す図である。図2において、18はプリンタ本体50Aに設けられた不図示のモータの駆動をピックアップローラ2及びフィードローラ3に伝達する給送駆動列である。また、5は、給送駆動列18により伝達される不図示のモータの駆動により回転する給送軸である。この給送軸5の一端には、後述するようにシートを給送する際、給紙カセット1に昇降可能に設けられた中板を昇降させるカム4と、給送軸ギア17が取り付けられている。なお、給送軸ギア17は、プリンタ本体50Aに設けられたフレーム51に回転自在に支持されているコントロールギア15と噛合している。ここで、給送軸ギア17と、コントロールギア15は1:1の減速比で連結されているため、給送軸ギア17とコントロールギア15は常に同期した角度位相で回転する。
10は、ピックアップローラ2により送り出されたシートを、既述した図1に示す分離部3aに案内する前ガイド、14は前ガイド10の移動を規制する移動規制部材、19は給紙ガイドである。移動規制部材14は、給紙ガイド19とフレーム51により回転自在に支持される軸14aと、軸14aの一端に設けられた図2の(c)のA−A断面図である図3の(a)に示す突き当て部22を備えている。また、移動規制部材14は、軸14aの中央部に設けられた図2の(c)のB−B断面図である図3の(b)に示すカム部21及び突起部23を備えている。
また、前ガイド10は、図3の(a)に示すように給紙ガイド19に設けられた支持部8により、軸10aを介して上下方向に回動自在に支持されると共に、第1受け面20を備えている。そして、後述するように移動規制部材14が回転し、移動規制部材14の突き当て部22が第1受け面20の下方に移動した際、この第1受け面20と移動規制部材14の突き当て部22とにより、前ガイド10の下方への移動量が規制される。
コントロールギア15のボス部には、図3の(b)に示すようにレバー24が取り付けられている。給紙ガイド19は、図3の(a)に示すシート先端位置規制部26と、前ガイド10の上面に突き当たる突き当て部11と、図3の(b)に示す突起部受け面25とを備えている。そして、通常、前ガイド10は、付勢手段である前ガイド付勢バネ12により付勢されて突き当て部11に突き当たった状態で、分離部3aのニップ部にシートを案内する位置に支持される。これら突き当て部11と前ガイド付勢バネ12により位置決め手段が構成される。なお、この位置に前ガイド10があるとき、前ガイド10とフィードローラ3との間にはシートの受入れ空間Gが形成される。
図3において、9は分離ローラ6を回転自在に支持する分離ローラホルダであり、分離ローラホルダ9は支持部8により、移動規制部材14とは別の個所で上下方向に回動自在に支持されると共に、分離ローラ押圧バネ7により上方に付勢されている。これにより、分離ローラ6は所定の分離圧でフィードローラ3に接離可能に圧接する。
1aは給紙カセット1に上下方向に回動自在に設けられたシート積載手段である中板(トレイ)である。中板1aに積載された最上位シートは中板1aが上昇することにより、中板1aの回動中心よりもシート給送方向下流に配されるピックアップローラ2に当接し、ピックアップローラ2の回転により送り出される。なお、中板1aは不図示の中板加圧バネにより上方に付勢されており、中板1aの回動位置は、給送軸5に固定されたカム4と中板1aに形成された不図示のカムフォロアが係合することにより決定される。また、中板1a上のシートの先端位置は、給紙ガイド19のシート給送方向上流側の側壁面により構成されるシート先端位置規制部26により規制される。
なお、ピックアップローラ2により送り出されたシートは、前ガイド付勢バネ12により突き当て部11に突き当たった状態で支持されている前ガイド10に案内され、分離部3aのニップ部へと搬送される。この後、シートは分離部3aにより分離、搬送され、給紙ガイド19に案内されて搬送ローラ41に向かう。
ところで、このような構成のシート給送装置50Cにおいて、ピックアップローラ2によってシートを給送する際、複数枚のシートが送り出され、複数枚のシートがフィードローラ3と前ガイド10間の受入れ空間Gに進入する場合がある。この場合、シートにより前ガイド10を突き当て部11側に付勢している前ガイド付勢バネ12の付勢力に抗して前ガイド10が押し下げられる。
そして、前ガイド10が押し下げられると、シート束先端において分離ローラ6が力を受け、分離ローラホルダ9をフィードローラ3側に付勢している分離ローラ押圧バネ7の力に抗して分離ローラ6が押し下げられる。このように分離ローラ6が押し下げられると、分離ローラ6とフィードローラ3の当接圧が低下し、搬送不良が発生する。
ここで、前ガイド付勢バネ12の付勢力を大きくすれば、前ガイド10の押し下げを防ぐことができるが、付勢力を大きくすると、前ガイド10と突き当て部11のクリープ変形により、前ガイド10の位置を所定位置に保持できなくなる。そこで、本実施の形態では、前ガイド10が押し下げられる際、すなわち前ガイド10が受入れ空間Gが拡がる方向に移動する際、前ガイド10に設けられた第1受け面20に移動規制部材14に設けられた突き当て部22を当接させるようにしている。これにより、前ガイド付勢バネ12の付勢力に頼らず、前ガイド10の移動量(押し下げ量)を規制することができる。
また、本実施の形態において、フィードローラ3と分離ローラ6によりシートを挟持搬送している時には、突き当て部22を前ガイド10の移動量(押し下げ量)を規制する位置から前ガイド10の移動規制を解除する位置に移動させるようにしている。これにより、最上位シートの搬送中、前ガイド10とフィードローラ3間の受入れ空間Gに複数枚のシートが挟まることによって発生し得る搬送中の最上位シートへのバックテンションを軽減するようにしている。
このように、本実施の形態においては、移動規制部材14、駆動軸である給送軸5、コントロールギア15、給送軸ギア17等により、前ガイド10の移動規制及び規制解除を行う規制手段である移動規制機構50Eが構成される。そして、移動規制機構50Eは、コントロールギア15の回転に伴って移動規制部材14の位置を制御することにより、前ガイド10の移動規制及び移動規制解除を行う。
次に、このような構成の移動規制機構50Eを備えたシート給送装置50Cのシート給送動作について説明する。まず、給送軸5、給送軸ギア17の1回転に同期したシート搬送動作について説明する。図4の(a)は給送待機状態である。このとき、前ガイド10は既述した図3に示す前ガイド付勢バネ12により突き当て部11に当接し、分離ローラ6は既述した図3に示す分離ローラ押圧バネ7によりフィードローラ3に当接している。この後、制御部50Dは、図4の(b)に示すように、ピックアップローラ2を回転駆動する。そして、ピックアップローラ2が回転駆動されると、同時にフィードローラ3の回転駆動が開始され、分離ローラ6の連れまわりが始まる。
次に、図4の(c)に示すように、中板1aが上方回動し、中板1aに積載されたシートSの最上位シートS1がピックアップローラ2に押し付けられる。この後、ピックアップローラ2の回転により最上位シートS1はピックアップローラ2とシート間の摩擦力により搬送され、図4の(d)に示すように、シート先端が前ガイド10に当たり、前ガイド10に案内されて分離部3aのニップ部へと案内される。
次に、図5の(a)に示すように、分離部3aによる最上位シートS1の搬送、分離動作が開始される。なお、この後、図5の(b)に示すように、中板1aがピックアップローラ2から離間するよう下方回動し、最上位シートS1のピックアップローラ2側への圧接が解除される。そして、この状態で図5の(c)に示すように、分離部3aでの最上位シートS1の搬送、分離動作が引き続き行われる。この後、給送軸5、給送軸ギア17の所定回転後、フィードローラ3によるシートの搬送が終了するタイミングで、ピックアップローラ2、フィードローラ3の回転駆動が終了する。なお、これら回転駆動が終了するまでに、最上位シートS1は下流側の搬送ローラ41に受け渡され、シート給送装置50Cは既述した図4の(a)に示す給送待機状態へと移る。
次に、このシート給送動作の際の移動規制機構50Eの、給送軸5、給送軸ギア17の1回転に同期した前ガイド10の移動規制及び規制解除動作について説明する。図4の(a)から図4の(b)の間において、給送軸5の回転を伝達する伝達手段であるコントロールギア15の回転に伴い、既述した図3の(b)に示すようにコントロールギア15に設けられたレバー24が矢印Y方向に回転する。そして、このレバー24の回転により、カム部21がレバー24を外れ、これに伴い移動規制部材14は移動規制部材バネ16の付勢力によって図3の(b)で示すT方向に回転する。この後、突起部23が突起部受け面25に当接することにより、移動規制部材14の位置が決定される。
移動規制部材14が回転すると、移動規制部材14に設けられた突き当て部22が図4の(b)に示すように前ガイド10の第1受け面20の下方に移動する。なお、突き当て部22が回転する際、前ガイド10は図4の(a)に示すように前ガイド付勢バネ12により突き当て部11に当接しているため、突き当て部22の移動を邪魔することはない。
このような位置に突き当て部22が移動することにより、複数のシートがフィードローラ3と前ガイド10の受入れ空間に進入し、進入したシートにより前ガイド10が押し下げられた場合でも、前ガイド10の移動量(押し下げ量)を規制することができる。この結果、フィードローラ3と前ガイド10の受入れ空間Gの拡がりを規制でき、分離部3aのニップ部に複数のシートが進入するのを防ぐことができる。
また、図5の(b)から図5の(c)の間においては、コントロールギア15の回転に伴い、既述した図3の(b)で示すようにカム部21がコントロールギア15のレバー24により押圧されてU方向に回転する。つまり、コントロールギア15の回転に伴い、移動規制部材14は移動規制部材バネ16の付勢力に抗してU方向に回転する。
そして、移動規制部材14がU方向に回転すると、前ガイド10の第1受け面20の下方に位置していた突き当て部22の先端が前ガイド10の移動を規制する位置から、図5の(c)に示す移動の規制を解除する位置に移動する。このように、移動規制部材14が回転すると、前ガイド10は移動規制部材14により移動を規制される状態から、下方に移動可能な移動規制が解除された状態へと切り換えられる。
ここで、分離部3aによりシートS1を搬送しているとき、移動規制部材14による移動規制が解除され、このように移動規制が解除された状態のとき、前ガイド10とフィードローラ3の間に次のシートを含む複数のシートが入り込む場合がある。この場合、前ガイド10は前ガイド付勢バネ12の付勢力に抗して下方に移動することができるので、前ガイド10とフィードローラ3間に複数のシートが挟まった場合でも、搬送中の最上位シートS1へのバックテンションを軽減することができる。
以上説明したように、本実施の形態では、シート給送動作が開始されると移動規制部材14を、前ガイド10が、受入れ空間Gが拡がる方向へ移動する際の前ガイド10の移動量を規制する位置に移動させる。そして、シートの給送が終了したときには、移動規制部材14を、前ガイド10の移動量の規制を解除する位置に移動させる。これにより、複数のシートが分離部3aに進入するのを防ぐことができると共に、搬送中の最上位シートへのバックテンションを軽減することができ、分離部3aの分離性能の低下を防ぐことができる。つまり、本実施の形態のように、シートが給送されているときには前ガイド10の移動量を規制し、シートの給送が終了したときには移動量の規制を解除することにより、前ガイド10の位置変化による分離部3aの分離性能の低下を防ぐことができる。これにより、シートが分離できなくなったり、シートが重送して送り出されることが防止される。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図6は、本実施の形態に係るシート給送装置の構成を説明する図である。なお、図6において、既述した図2と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
図6の(a)〜(c)において、27は分離ニップ部のシート搬送方向下流に配置された搬送ローラ対(下流側搬送ローラ対)である。28は戻しレバーであり、戻しレバー28は移動規制部材14の軸14aの中央部に設けられている。29は前ガイド10の軸10aに設けられた当接離間カム、30はコントロールギア15に設けられた第1カムである。そして、コントロールギア15が回転すると、後述する図7の(c)に示すように当接離間カム29は、矢印V又は矢印Wの方向に回転し、このように当接離間カム29が回転すると移動規制部材14も一体に回転する。なお、コントロールギア15には、既述した第1の実施の形態におけるレバー24の代わりに後述する図7の(b)に示すように、第2カム31が設けられている。また、前ガイド10は、後述する図7の(a)に示すように、第2受け面33が設けられている。
このような構成のシート給送装置50Cにおいて、例えば、2枚以上のシートが分離部に入り込み、フィードローラ3側のシートのみ搬送された後、分離部付近にシートを残したままの状態で連続してシート給送動作が行われる場合がある。この場合、複数のシートが同時に搬送されてしまい、シートの重送が発生することがある。これを防止するため、本実施の形態において、図6の(c)のA−A断面図である図7の(a)に示すように移動規制部材14に設けた戻しレバー28の先端部を分離部3aのシート搬送方向上流側からシート搬送経路Rに進入させるようにしている。
なお、この戻しレバー28は、図6の(c)のB−B断面図である図7の(b)に示すように移動規制部材14のカム部21が、コントロールギア15の第2カム31によりU方向に回転することにより、シート搬送経路Rに進入する。そして、戻しレバー28をシート搬送経路Rに進入させることにより、分離部3aに入り込んだ複数のシートの端に戻し力を加えてシートを図7の(a)に示すシート先端位置規制部26まで戻すことができる。これにより、最上位シートの給送に伴う複数のシートの重送を防ぐことができる。このように、本実施の形態において、戻しレバー28を備える移動規制部材14と、コントロールギア15と、移動規制部材バネ16とから、シートの重送を防ぐ重送防止部50Fが構成される。
ところで、既述したように分離部3aによりシートS1を搬送しているとき、移動規制部材14による移動規制が解除され、移動規制が解除された状態のとき、前ガイド10とフィードローラ3の間に複数のシートが入り込む場合がある。このとき、前ガイド10が前ガイド付勢バネ12により突き当て部11に付勢されていたり、移動規制部材14の突き当て部22により前ガイド10の移動が規制されていたりすると、複数のシートは前ガイド10とフィードローラ3の受入れ空間に挟まる。
この状態のとき、戻しレバー28によるシート先端への戻し力が加わると、シート先端が大きなダメージを受ける。そこで、本実施の形態では、戻しレバー28によりシートを戻す時には、前ガイド10を突き当て部11から離間させ、シート先端への戻しレバー28によるダメージを軽減させるようにしている。
また同様に、分離ローラ6が分離ローラ押圧バネ7によりフィードローラ3に付勢されている状態で、戻しレバー28によるシート先端への戻し力が加わると、シート先端が大きなダメージを受ける。そこで、本実施の形態では、戻しレバー28にてシートを戻す時には、分離ローラ6をフィードローラ3から離間させ、戻しレバー28によってシートを戻す際のシート先端への戻しレバー28によるダメージを軽減させるようにしている。
ここで、前ガイド10を突き当て部11から離間させる際には、図6の(c)のC−C断面図である図7の(c)及び図8の(a)に示すように、第1カム30により当接離間カム29を押し下げるようにしている。これにより、当接離間カム29と一体に前ガイド10が矢印Vに示す方向に回動し、突き当て部11から離間する。なお、図8の(b)に示すように分離ローラホルダ9には、前ガイド10が押し下げられる際、前ガイド10の押圧部である第2受け面33が当接する突き当て部32が設けられている。これにより、前ガイド10が下方回動すると、すなわちフィードローラ3から離間する方向に移動すると、前ガイド10の第2受け面33により突き当て部32が押し下げられる。この結果、図8の(b)に示すように分離ローラホルダ9と一体で分離ローラ6が下降し、フィードローラ3から離間する。
このように、本実施の形態においては、前ガイド10の突き当て部11からの離間動作に連動して分離ローラ6をフィードローラ3から離間させるようにしている。なお、分離ローラ6がフィードローラ3と当接している時、前ガイド10が分離ローラ6と独立して移動できるようにするため、図8の(c)に示すように第2受け面33と突き当て部32間には所定のクリアランスG1を設けている。また、第1カム30の回転により第1カム30と当接離間カム29との係合が解除されると、図8の(d)に示すように、当接離間カム29と一体に前ガイド10が矢印Wに示す方向に回動し、前ガイド10及び分離ローラ6は図8の(c)に示す状態に戻る。
ここで、分離ローラ6の離間が行われると、分離部3aでシートを挟持することができず、シートの搬送ができなくなってしまう。このため、本実施の形態では、搬送ローラ対27を、分離部3aよりもシート搬送方向下流で、分離ローラ6の離間が行われる前にシートが挟持できるような位置に配置している。これにより、分離ローラ6が離間した後もシートの搬送を継続することができる。さらに、分離ローラ6の離間が行われ、戻しレバー28によりシートの戻し動作が終了すると、戻しレバー28をシート搬送経路Rから退避させるようにしている。これにより、戻しレバー28がシート搬送の障害となるのを防ぐことができる。
次に、このような構成のシート給送装置50Cの給送軸5、給送軸ギア17の1回転に同期したシート搬送動作について説明する。図9の(a)は給送待機状態である。このとき、前ガイド10は突き当て部11と離間し、分離ローラ6はフィードローラ3と離間した状態となっている。次に、図9の(b)に示すように、ピックアップローラ2の回転駆動と同時に、フィードローラ3の回転駆動が開始され、分離ローラ6の連れまわりが始まる。
また、これに伴いコントロールギア15が回転し、このコントロールギア15の回転に伴い、前ガイド10の当接離間カム29がコントロールギア15の第1カム30を外れる。これにより、当接離間カム29は前ガイド付勢バネ12により、既述した図8の(d)に示すW方向に回転し、これに伴い前ガイド10が上方回動して突き当て部11に当接する。なお、前ガイド10が上方回動すると、分離ローラホルダ9に設けられた突き当て部32の、前ガイド10に設けられた第2受け面33による押圧が解除される。これにより、分離ローラ6は、図9の(b)及び既述した図8の(c)に示すように分離ローラ押圧バネ7により付勢されてフィードローラ3に圧接する。
次に、図9の(c)に示すように、各回転駆動が継続され、この後、図9の(d)に示すように、中板1aが上方回動し、中板1aに積載されたシートSの最上位シートS1がピックアップローラ2に押し付けられる。この後、ピックアップローラ2の回転により最上位シートS1はピックアップローラ2とシート間の摩擦力により搬送される。
次に、図10の(a)に示すように、シート先端が前ガイド10に当たり、前ガイド10に案内されて分離部3aへと案内され、この後、図10の(b)に示すように分離部3aでシートS1の搬送、分離動作が開始される。次に、図10の(c)に示すように、中板1aが下方回動し、最上位シートS1のピックアップローラ2側への圧接が解除され、この後、図10の(d)に示すように、給送軸5、給送軸ギア17の所定回転後、搬送ローラ対27によりシートS1を挟持搬送する。
次に、図11の(a)に示すように、搬送ローラ対27によりシートS1が所定量搬送されると、コントロールギア15の回転に伴い、既述した図8の(a)に示すように当接離間カム29が第1カム30により押圧されてV方向に回転する。これにより、第2受け面33が分離ローラ押圧バネ7の力に抗しながら突き当て部32を押圧し、図11の(b)に示すように前ガイド10が突き当て部11から、また分離ローラ6がフィードローラ3から離間する。
この状態でシートS1が通過し、この後、図11の(c)に示すように、分離ローラ6とフィードローラ3の受入れ空間をシート後半が通過する。このとき、分離ローラ6がフィードローラ3から離間しているため、分離部3aでのシート保持力はなくなるが、シートS1は搬送ローラ対27で挟持しているため、シートS1の搬送を継続することができる。
また、本実施の形態において、分離ローラ6を、シートS1のシート搬送方向上流側部分である後半部分が分離部3aを通過するタイミングでフィードローラ3から離間させるようにしている。このため、搬送ローラ対27によりシートS1を搬送中、シートS1が分離ローラ6とフィードローラ3の間、前ガイド10とフィードローラ3の間の受入れ空間で挟持された状態で発生しうるバックテンションを軽減できる。この後、給送軸5、給送軸ギア17の所定回転によって搬送ローラ対27によりシートS1が所定量搬送されると、ピックアップローラ2、フィードローラ3、搬送ローラ対27の回転駆動が終了する。これら回転駆動が終了するまでに、シートS1は下流側の搬送ローラ41に受け渡され、既述した図9の(a)に示す給送待機状態に戻る。
次に、このようなシート給送動作の際の移動規制機構50Eの給送軸5、給送軸ギア17の1回転に同期した前ガイド10の移動規制及び規制解除動作について説明する。図9の(b)から図9の(c)の間において、コントロールギア15の回転に伴い、既述した図7の(b)に示すようにカム部21がコントロールギア15の第2カム31を外れ、移動規制部材14は移動規制部材バネ16の付勢力によってT方向に回転する。この後、突起部23が突起部受け面25に当接することにより、移動規制部材14の位置が決定される。
ここで、このように移動規制部材14が回転すると、移動規制部材14に設けられた突き当て部22が、図9の(c)に示すように前ガイド10の第1受け面20の下方に移動する。なお、前ガイド10は前ガイド付勢バネ12により付勢されて突き当て部11に圧接しているため、突き当て部22の移動を邪魔することはない。
また、図10の(d)から図11の(a)の間においては、コントロールギア15の回転に伴い、既述した図7の(b)に示すようにカム部21がコントロールギア15の第2カム31により押圧され、U方向に回転する。つまり、コントロールギア15の回転に伴い、移動規制部材14は移動規制部材バネ16の付勢力に抗してU方向に回転する。そして、移動規制部材14がU方向に回転すると、前ガイド10の第1受け面20の下方に位置していた突き当て部22の先端が前ガイド10の移動を規制する位置から、移動の規制を解除する位置に移動する。このように、移動規制部材14が回転すると、前ガイド10は移動規制部材14により移動を規制される状態から、下方に移動可能な移動規制が解除された状態へと切り換えられる。
これにより、分離部3aによりシートS1を搬送しているときに、前ガイド10とフィードローラ3の間に複数のシートが挟まった場合、前ガイド10は前ガイド付勢バネ12の付勢力に抗して下方に移動することができる。この結果、前ガイド10とフィードローラ3間に複数のシートが挟まった場合でも、搬送中の最上位シートS1へのバックテンションを軽減することができる。
また、図11の(a)から図11の(b)の間において、コントロールギア15の回転に伴い、既述した図8の(a)に示すように前ガイド10の当接離間カム29がコントロールギア15の第1カム30により押圧され、V方向に回転する。これにより、図11の(b)に示すように前ガイド10が突き当て部11から、また分離ローラ6がフィードローラ3から離間する。この後、突き当て部22は、既述した図9の(a)に示す待機状態に戻る。なお、前ガイド10の離間は、突き当て部22の先端部が移動した後、行われるため、突き当て部22が前ガイド10の離間動作を邪魔することはない。
次に、シート給送動作の際の重送防止部50Fの給送軸5、給送軸ギア17の1回転に同期したシート戻し及び退避動作について説明する。図9の(b)から図9の(c)間において、コントロールギア15の回転に伴い、既述した図7の(b)に示すようにカム部21がコントロールギア15の第2カム31を外れる。これにより、カム部21と一体に、移動規制部材14に設けられた戻しレバー28が移動規制部材バネ16の付勢力によってT方向に回転し、図9の(c)に示すようにシート搬送経路Rから退避する。
このとき、突起部23が突起部受け面25に当接し、移動規制部材14が停止することにより戻しレバー28の退避位置が決定される。ここで、給送軸5、給送軸ギア17の所定回転後、戻しレバー28がシート搬送経路Rから完全に退避した後、中板1aが上方回動し、シートの給送が開始されるため戻しレバー28がシート給送の際の障害になることはない。
次に、図10の(d)から図11の(a)の間において、給送軸5、給送軸ギア17の所定回転後、既述した図7の(b)に示すようにカム部21がコントロールギア15の第2カム31によりU方向に回転する。この時、戻しレバー28の先端がシート搬送経路Rへの進入を開始するが、このとき戻しレバー28の先端は図11の(a)に示すように分離部3aには到達せず、分離部3aに入り込んだ複数のシートの先端に戻し力を加えない。なお、シート搬送経路Rに進入した際、戻しレバー28は搬送されるシートS1の底面を押し上げながらシート搬送経路Rに進入するので、シートS1の搬送を妨げることはない。
次に、カム部21が第2カム31により押圧されて、さらにU方向に回転すると図11の(a)から図11の(b)の間において、戻しレバー28の先端がシート搬送方向下流側から分離部3aを通過する。このように分離部3aを通過する際、戻しレバー28は、最上位シートS1の底面に先端部が重なった状態で分離部3aに入り込んだ複数のシートの先端に当接し、戻し力を加える。このとき、既述したように前ガイド10を突き当て部11から、また分離ローラ6をフィードローラ3から離間させた状態でシート先端に戻し力を加えるため、分離部3aでのシート保持力がなくなる。このため、戻しレバー28により戻す際の、複数のシートの先端へのダメージが軽減される。
次に、図11(c)に示すように、給送軸5、給送軸ギア17の所定回転後、既述した図7の(b)に示すようにカム部21が第2カム31により押圧され、移動規制部材14と一体で戻しレバー28もU方向に回転する。これにより、分離部3aに入り込んだ複数のシートの先端がシート先端位置規制部26まで戻される。この後、コントロールギア15の回転に伴い、戻しレバー28は、既述した図9の(a)に示す待機状態に戻る。
以上説明したように、本実施の形態においては、既述した第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。さらに、戻しレバー28の戻し動作により、最上位シートの給送に伴う複数のシートの重送を防ぐことができる。
なお、これまで説明した第1及び第2の実施の形態においては、シート給送装置50Cは最上位のシートから1枚ずつ給送する構成について説明したが、本発明は、これに限らず最下位シートから順に給送するものにも適用することができる。また、本発明のシート給送装置はプリンタ、複写機、印刷装置、ファクシミリ、スキャナ等の画像形成装置の他画像読取装置に用いられるシート給送装置にも適用することができる。さらに、第1及び第2の実施の形態においては、フィードローラ3と共に分離部を構成する分離部材として分離ローラ6を用いたが、分離部材として高摩擦部材である分離パッドを用いても良い。