JP2015102181A - 波動歯車減速機 - Google Patents
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Abstract
【課題】フレクスプラインのコーニングによる傾斜を抑制し、歯面同士の接触状態を線接触に近付けて接触応力を下げることで寿命の長期化を図ることができる波動歯車減速機を提供する。
【解決手段】円環状で内歯41を有するサーキュラスプライン40と、可撓性を有する円筒部51及び内歯41に噛合可能な外歯55を有するフレクスプライン50と、円筒部51を楕円形に弾性変形させることにより外歯55を内歯41に噛合させフレクスプライン50及びサーキュラスプライン40を差動可能な波動発生器80と、を備え、円筒部51は、波動発生器80から与えられる押圧力の合力の作用位置57よりも開口部54側に、作用位置57での肉厚よりも厚い肉厚部56を備える。
【選択図】図5
【解決手段】円環状で内歯41を有するサーキュラスプライン40と、可撓性を有する円筒部51及び内歯41に噛合可能な外歯55を有するフレクスプライン50と、円筒部51を楕円形に弾性変形させることにより外歯55を内歯41に噛合させフレクスプライン50及びサーキュラスプライン40を差動可能な波動発生器80と、を備え、円筒部51は、波動発生器80から与えられる押圧力の合力の作用位置57よりも開口部54側に、作用位置57での肉厚よりも厚い肉厚部56を備える。
【選択図】図5
Description
本発明は、互いに噛み合う内歯歯車と外歯歯車との差動を利用して高減速比を得られる波動歯車減速機に関する。
近年、比較的少ない部品点数でありながらバックラッシュレスで高減速比を得ることができる波動歯車減速機が、普及しつつある。波動歯車減速機は、剛性内歯歯車であるサーキュラスプラインと、サーキュラスプラインよりも歯数の少ない可撓性外歯歯車であるフレクスプラインと、フレクスプラインの内側に接触する波動発生器であるウェーブジェネレータとを備えている。フレクスプラインとサーキュラスプラインとは、一般に平歯車により構成されている。
フレクスプラインは、軸方向の一方側は開放されて開口部が形成されていると共に、他方側は縮径又は拡径されてダイヤフラム部が形成されている。フレクスプラインがウェーブジェネレータによって楕円に撓められると、楕円の長軸を含む回転軸断面における形状は、ダイヤフラム部側から開口部側にかけて漸増して撓む。このような3次元的な撓み方は、コーニングと呼ばれている。このコーニングによって、フレクスプラインの開口部ではフレクスプライン歯先とサーキュラスプライン歯元とが、またサーキュラスプライン歯先とフレクスプライン歯元とがそれぞれ干渉し、寿命が低下する可能性があるという問題があった。
これを解決するために、フレクスプライン及びサーキュラスプラインの各歯先面の形状を改良した波動歯車減速機が開発されている(特許文献1参照)。この波動歯車減速機では、フレクスプラインの歯先面が、ダイヤフラム側よりも開口部側の歯丈を徐々に減少するように、テーパ状になっている。また、この波動歯車減速機では、サーキュラスプラインの歯先面が、ダイヤフラム側よりも開口部側の歯丈を徐々に減少するように、テーパ状になっている。これらフレクスプライン及びサーキュラスプラインにより、コーニングで引き起こされるフレクスプライン歯先とサーキュラスプライン歯元との干渉と、サーキュラスプライン歯先とフレクスプライン歯元との干渉とを、いずれも回避することができる。
しかしながら、特許文献1に記載された波動歯車減速機では、コーニングによってフレクスプラインの外歯歯車がサーキュラスプラインに対して傾き、コーニング角が大きくなってしまうため、これら歯面同士の接触状態が線接触から点接触になってしまう。しかも、フレクスプライン及びサーキュラスプラインのいずれも歯丈がテーパ状になっているため、これらの歯の噛み合いでは、歯の開口部側のエッジあるいは歯先のテーパ面のエッジにより点接触してしまう。このような歯面同士の点接触により、フレクスプラインとサーキュラスプラインとの歯面同士の接触応力が上がり、局所摩耗が発生し、波動歯車減速機の寿命が低下する可能性があるという問題があった。
本発明は、フレクスプラインのコーニングによる傾斜を抑制し、歯面同士の接触状態を線接触に近付けて接触応力を下げることで寿命の長期化を図ることができる波動歯車減速機を提供することを目的とする。
本発明は、円環状で内歯を有する剛性内歯歯車と、前記内歯の内周側に配置され可撓性を有する円筒部と、前記円筒部の外周面に形成され前記内歯に噛合可能な外歯と、前記円筒部の前記外歯に対する軸方向一方側で径方向に延設されるダイヤフラム部と、前記円筒部の前記外歯に対する軸方向他方側で前記円筒部が軸方向に開口する開口部と、を有する可撓性外歯歯車と、前記円筒部の内周側に配置され、前記円筒部の径方向反対側の2箇所を外周側に向けて押圧し前記円筒部を楕円形に弾性変形させることにより、楕円の長径部に配置される前記外歯を前記内歯に噛合させ、噛合位置を周方向に移動することにより前記可撓性外歯歯車と前記剛性内歯歯車とを差動可能な波動発生器と、を備え、前記円筒部は、前記波動発生器から与えられる押圧力の合力の作用位置よりも前記開口部の側に、前記作用位置での肉厚よりも厚い肉厚部を備えることを特徴とする。
本発明によれば、波動発生器から与えられる押圧力の合力の作用位置よりも開口部の側(開口部側)に肉厚部が設けられているので、円筒部の開口部側の剛性が合力の作用位置の剛性よりも大きくなり、円筒部の開口部側が弾性変形しにくくなる。これにより、可撓性外歯歯車(フレクスプライン)がコーニングにより開口部側を広げるように弾性変形しようとしても、合力の作用位置よりも開口部側は広がりにくくなり、外歯の傾斜が抑制され、コーニング角が減少する。このため、可撓性外歯歯車がコーニングして剛性内歯歯車(サーキュラスプライン)と噛合する際に、外歯と内歯とが平行に近くなるので、歯面同士の接触状態が線接触に近くなり、接触応力が下がって外歯及び内歯の寿命の長期化を図ることができる。
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、ロボット装置1は、多関節ロボットであるロボット本体2と、ロボット本体2の動作を制御する制御装置3とを備えている。
ロボット本体2は、6軸の多関節アーム(以下、アームと呼ぶ)20と、エンドエフェクタであるハンド21とを有している。本実施の形態では、アーム20として6軸の多関節アームを適用しているが、軸を複数有していれば軸数は用途や目的に応じて適宜変更してもよい。また、本実施の形態では、エンドエフェクタとしてハンド21を適用しているが、これには限られず、ワークWを移動させたり、あるいはワークWに対して作業等を施すことが可能なツールの全般を含めることができる。
ハンド21は、アーム20の先端リンク67に取り付けられて支持され、アーム20の動作により位置及び姿勢の少なくとも一自由度が調整されるようになっている。ハンド21は、2本の指23と、これら指23の間隔を開閉可能に支持するハンド本体24とを備え、指23同士が接近する閉動作によりワークWを把持可能になっている。
アーム20は、7つのリンク61〜67と、各リンク61〜67を揺動又は回動可能に連結する6つの関節71〜76とを備えている。各リンク61〜67としては、長さが固定されたものを採用している。但し、例えば、直動アクチュエータにより伸縮可能なリンクを採用してもよい。
図2に示すように、各関節71〜76には、各関節71〜76を各々駆動するモータ(アクチュエータ)71a〜76aと、波動歯車減速機である減速機71b〜76bと、関節機構71c〜76cとが設けられている。また、各関節71〜76には、モータ71a〜76aの回転角度を検知するエンコーダと、各モータ71a〜76aに供給する電流を検知する電流センサと、各関節71〜76のトルクを検知するトルクセンサとが設けられている。各モータ71a〜76a、エンコーダ、電流センサ、トルクセンサは、いずれも制御装置3に接続されている。
尚、本実施の形態では、全ての関節71〜76が減速機71b〜76bを備えるようにしているが、これには限られず、全ての関節71〜76のうちの少なくとも1つが備えていればよい。また、本実施の形態では、関節は回転関節としているが、これには限られず直動関節としてもよい。
モータ71a〜76aは、制御装置3により算出した駆動量に基づく駆動回路からの駆動電流に応じた回転速度及びトルクを発生するようになっている。減速機71b〜76bは、モータ71a〜76aからの回転速度を減速して出力可能であり、モータ71a〜76aからのトルクを所定の伝達効率で増幅するようになっている。関節機構71c〜76cは、減速機71b〜76bで増幅されたトルクを回転支持する軸受部や、駆動力を他の関節に伝達するフレーム、構成によってはプーリやベルト等を含んでいる。モータ71a〜76aの回転は、減速機71b〜76bで減速されて出力され、関節機構71c〜76cを駆動するようになっている。
制御装置3は、コンピュータにより構成され、ロボット本体2を制御するようになっている。制御装置3を構成するコンピュータは、例えばCPU31と、データを一時的に記憶するRAM32と、各部を制御するためのプログラムを記憶するROM33と、入出力インタフェース回路(I/F)34とを備えている。
ロボット制御装置30は、モータ71a〜76aの動作に要求される要求電力を、不図示の電源本体からモータ71a〜76aに供給させて、多関節アーム20の位置姿勢を移動させるようになっている。
次に、減速機71b〜76bの構成について、図3〜図5に基づいて詳細に説明する。尚、本実施の形態では、いずれの減速機71b〜76bも同様の構成であるので、関節71に内蔵される減速機71bについてのみ説明し、他の減速機72b〜76bについては詳細な説明を省略する。
減速機71bは、図3に示すように、剛性内歯歯車であるサーキュラスプライン40と、可撓性外歯歯車であるフレクスプライン50と、波動発生器80と、これらを収容するフレーム90とを備えている。フレーム90は、軸方向に分割可能な第1のフレーム91と、第2のフレーム92とを備えている。これらを組み合わされて形成されたフレーム90の内部に、入力軸11、波動発生器80、フレクスプライン50、サーキュラスプライン40、出力軸13等の構成部品が収容されている。
第1のフレーム91には、入力軸11を回転自在に保持するベアリング12が設けられており、入力軸11はモータ71aに連結されている。第2のフレーム92には、出力軸13を回転自在に保持するベアリング14が設けられており、出力軸13は関節機構71cに連結されている。
波動発生器80は、図3及び図4に示すように、可撓性を有するベアリング81と、該ベアリング81の内周側に配置されると共に、ベアリング81を外周側に弾性変形可能な楕円カム82とを備えている。ベアリング81は、可撓性を有する内輪83と、可撓性を有し、内輪83の外周側に配置される外輪84と、内輪83及び外輪84の間に自転及び公転可能に挟持される複数のボール85と、リテーナ86とを有する玉軸受からなる。リテーナ86は、ボール85を互いに離隔して保持するようになっている。ベアリング81は、楕円カム82が設けられていない状態では真円形状になっている。
楕円カム82は、長径はベアリング81の内輪83の内径より大きく、短径は内輪83の内径より小さく設定されている。このため、楕円カム82が内輪83の内周側に配置されることにより、長径部の2箇所で内輪83を外周側に押圧して内輪83を楕円形に弾性変形させるようになっている。また、楕円カム82の内周面は、入力軸11の先端部に対して一体回転可能にねじ止め等により連結されている。更に、楕円カム82が回転することに伴って長径部が回転し、弾性変形した内輪83も一体回転するようになっている。
外輪84は、フレクスプライン50の内周側に固定されており、フレクスプライン50と一体回転するようになっている。内輪83と外輪84とは独立して回転可能であるので、内輪83は楕円カム82の回転と一体的に回転し、外輪84は内輪83により楕円形に撓められる。これにより、波動発生器80は、フレクスプライン50を略楕円形に撓ませると共にその長径部の2箇所でサーキュラスプライン40とフレクスプライン50を係合させるようになっている。即ち、波動発生器80は、フレクスプライン50の径方向反対側の2箇所を外周側に向けて押圧し楕円形に弾性変形させることにより、長径部の外歯55を内歯41に噛合させる。そして、波動発生器80は、噛合位置を周方向に移動することにより、フレクスプライン50とサーキュラスプライン40とを差動可能になっている。
フレクスプライン50は、図5に示すように、薄肉のカップ状に形成されて、可撓性を有する円筒部51と、可撓性を有するダイヤフラム部52と、出力軸13に一体回転可能に取り付けられるフランジ部53と、開口部54と、外歯55とを備えている。円筒部51は、内歯41の内周側に配置されている。円筒部51の詳細な構成については、後述する。
ダイヤフラム部52は、円筒部51の外歯55に対する軸方向一方側において径方向内周側に延設されている。フランジ部53は、ダイヤフラム部52より内径側に連続して形成されており、ダイヤフラム部52より厚く形成され、大きな剛性を有するようになっている。フランジ部53の内周面は出力軸13の先端部にねじ止めされ、一体回転可能に連結されている。
開口部54は、円筒部51の外歯55に対する軸方向他方側で、円筒部51が軸方向に開口する部位としている。外歯55は、円筒部51の開口部54側(開口部の側)の外周面に形成されると共に、内歯41に噛合可能になっている。
サーキュラスプライン40は、図3及び図4に示すように、円環状で、第2のフレーム92に固定されている。サーキュラスプライン40の内周面には、フレクスプライン50の外歯55と噛み合う内歯41が形成されている。サーキュラスプライン40の歯数は、フレクスプライン50の歯数より2n枚(nは正の整数)多くなっている。サーキュラスプライン40の内歯41は、波動発生器80により楕円形に弾性変形したフレクスプライン50の外歯55と、楕円の長径付近の2箇所で噛み合うようになっている。
次に、フレクスプライン50の円筒部51の構成について、図5に基づいて詳細に説明する。
円筒部51は、図5(a)に示すように、外歯55が形成された外歯形成領域51aと、外歯55が形成されていない外歯非形成領域51bとの2つの領域に分けられている。外歯形成領域51aは開口部54側、外歯非形成領域51bはダイヤフラム部52側(ダイヤフラム部側)にそれぞれ配置されており、軸方向に連続している。
本実施の形態では、外歯形成領域51aでの肉厚は、外歯非形成領域51bでの厚さよりも厚くなっている。このため、図5(b)に示すように、フレクスプライン50のコーニングの際には、外歯形成領域51aよりも外歯非形成領域51bの方が大きく撓むようになっている。但し、外歯形成領域51aと外歯非形成領域51bとの厚さの関係は、これには限られず、外歯形成領域51aの方が薄かったり、あるいは両領域51a,51bが同じ厚さであってもよい。
図5(b)に示すように、円筒部51の外歯形成領域51aの開口部54側の端部には、波動発生器80から与えられる押圧力の合力の作用位置57での肉厚よりも厚い肉厚部56が形成されている。波動発生器80からはベアリング81の外周面の全体から円筒部51の内周面に押圧力が発生し得る。このため、押圧力の合力は、ベアリング81の軸方向の中心面上に合成されることになる。よって、作用位置57は、円筒部51の内周面と、ベアリング81の軸方向の中心面と、の重なった一周に亘る線になる。
肉厚部56の寸法は、肉厚部56の軸方向の長さL1、外歯形成領域51aの軸方向長さL、肉厚部56の厚さt1、外歯形成領域51aの肉厚部56の以外の厚さtを用いて、次の式のように定義される。尚、外歯55の歯丈は厚さtの2倍としている。
0<L1/L≦0.5、かつ、1.0<t1/t≦2.0
0<L1/L≦0.5、かつ、1.0<t1/t≦2.0
ここで、肉厚部56の軸方向の長さL1については、0.5<L1/Lの場合は、肉厚部56が開口部54側から作用位置57を超えてダイヤフラム部52側にまで形成されることになり、作用位置57に合力が作用してもモーメント力が増加しない。このため、コーニング角は減少せず、歯面の最大接触応力はそれより低下しないので、L1/L≦0.5としている。
また、L1/L=0の場合はコーニング角を減少させる力が発生しないが、0<L1/Lであればコーニング角を減少させる力が僅かでも発生するので、0<L1/Lとしている。ここで、図7に示すように、0.33≦L1/Lであると、コーニング角を減少させる力が顕著に大きくなるので、肉厚部56の軸方向の長さL1については、0.33≦L1/L≦0.5であることがより好ましい。
また、肉厚部56の厚さt1については、2.0<t1/tの場合は、肉厚部56が内歯41と干渉してしまうので、t1/t≦2.0としている。更に、t1/t=1.0の場合はコーニング角を減少させる力が発生しないが、1.0<t1/tであればコーニング角を減少させる力が僅かでも発生するので、1.0<t1/tとしている。ここで、図7に示すように、1.1≦t1/tであると、コーニング角を減少させる力が顕著に大きくなるので、肉厚部56の厚さt1については、1.1≦t1/t≦2.0であることがより好ましい。
尚、ここでは、外歯形成領域51aの軸方向長さをLと定義しているが、これには限られない。例えば、外歯55のテーパ部を除外した実際の歯幅をLとしたり、あるいは、外歯55のうちの内歯41と噛合する範囲をLとしてもよい。
フレクスプライン50の円筒部51の外歯55及び肉厚部56を形成する際は、例えば、ホブ盤を利用する。この時、円筒部51の外周面のダイヤフラム部52側からホブを移動させ、ホブの中心が作用位置57を超えてから所望の位置に達してから、ホブを円筒部51から(t1−t)だけ離隔する。そして、そのまま円筒部51に平行に開口部54側に抜くようにする。これにより、図5に示すような肉厚部56が形成される。尚、歯面について、適宜な追加工を施してもよい。
上述した減速機71bの作動時には、モータ71aの回転により、回転力が入力軸11から楕円カム82に伝達される。楕円カム82は回転し、回転に伴いベアリング81を楕円形に弾性変形させる。ベアリング81はフレクスプライン50の円筒部51及びダイヤフラム部52を弾性変形させ、円筒部51はコーニングされる。
ここで、円筒部51の開口部54側には肉厚部56が形成されて剛性が大きくなっているので、円筒部51の開口部54側の方が作用位置57よりも楕円形に変形しにくい。このため、作用位置57では拡径する方向、ダイヤフラム部52及び肉厚部56では縮径する方向に力が作用し、これらは径方向には反対で軸方向にはずれていることからモーメント力となり、円筒部51のコーニング角が減少する。
上述したように本実施の形態の減速機71bによれば、波動発生器80から与えられる押圧力の合力の作用位置57よりも開口部54側に肉厚部56が設けられている。このため、円筒部51の開口部54側の剛性が合力の作用位置57の剛性よりも大きくなり、円筒部51の開口部54側が弾性変形しにくくなる。これにより、フレクスプライン50がコーニングにより開口部54側を広げるように弾性変形しようとしても、作用位置57よりも開口部54側は広がりにくくなり、外歯55の傾斜が抑制され、コーニング角が減少する。よって、フレクスプライン50がコーニングしてサーキュラスプライン40と噛合する際に、外歯55と内歯41とが平行に近くなり、歯面同士の接触状態が線接触に近くなって、接触応力が下がって外歯55及び内歯41の寿命の長期化を図ることができる。
また、本実施の形態の減速機71bによれば、肉厚部56は、円筒部51の開口部54側の端部に配置されているので、作用位置57から離れた位置で大きなモーメント力を得ることができる。このため、肉厚部56を作用位置57の近傍に形成する場合に比べて肉厚部56の剛性が小さくて足りるので、肉厚部56の厚さを薄くすることができる。
上述した実施の形態では、肉厚部56は円筒部51の開口部54側の端部に形成されているが、これには限られず、肉厚部56は作用位置57よりも開口部54側に配置されていればよい。このため、肉厚部56は、例えば、開口部54側の端部よりも作用位置57寄りに配置されていたり、広範囲に亘るテーパ状になっていてもよい。
また、上述した実施の形態では、フレクスプライン50はカップ型であり、ダイヤフラム部52及びフランジ部53は円筒部51の内周側に形成されているが、これには限られない。例えば、図6に示すように、フレクスプライン150をシルクハット型にして、ダイヤフラム部152及びフランジ部153を円筒部151の外周側に形成するようにしてもよい。この場合、円筒部151の開口部154側に外歯155を形成すると共に、外歯形成領域151aに肉厚部156を設け、作用位置157を設定する。このようなシルクハット型のフレクスプライン150であっても、歯面同士の接触状態が線接触に近くなって、接触応力が下がって外歯55及び内歯41の寿命の長期化を図ることができる。
また、上述した実施の形態では、減速機71bをロボット装置1の多関節アーム20に適用しているが、これには限られず、減速機の全般に適用することができる。
(実施例1)
図3に示すカップ型のフレクスプライン50を利用した減速機71bにおいて、肉厚部の厚さ比t1/tと、歯面の最大接触応力との関係を求めた。ここでは、肉厚部の軸方向の長さ比L1/Lを0.17とした。その結果を、図7に示す。同図に示すように、厚さ比t1/tが1.0を超え、2.0以下の範囲で、歯面の最大接触応力の若干の低下が確認された。
図3に示すカップ型のフレクスプライン50を利用した減速機71bにおいて、肉厚部の厚さ比t1/tと、歯面の最大接触応力との関係を求めた。ここでは、肉厚部の軸方向の長さ比L1/Lを0.17とした。その結果を、図7に示す。同図に示すように、厚さ比t1/tが1.0を超え、2.0以下の範囲で、歯面の最大接触応力の若干の低下が確認された。
(実施例2)
図3に示すカップ型のフレクスプライン50を利用した減速機71bにおいて、肉厚部の厚さ比t1/tと、歯面の最大接触応力との関係を求めた。ここでは、肉厚部の軸方向の長さ比L1/Lを0.33とした。その結果を、図7に示す。同図に示すように、厚さ比t1/tが1.0を超え、2.0以下の範囲で、歯面の最大接触応力の大きな低下が確認された。
図3に示すカップ型のフレクスプライン50を利用した減速機71bにおいて、肉厚部の厚さ比t1/tと、歯面の最大接触応力との関係を求めた。ここでは、肉厚部の軸方向の長さ比L1/Lを0.33とした。その結果を、図7に示す。同図に示すように、厚さ比t1/tが1.0を超え、2.0以下の範囲で、歯面の最大接触応力の大きな低下が確認された。
(実施例3)
図3に示すカップ型のフレクスプライン50を利用した減速機71bにおいて、肉厚部の厚さ比t1/tと、歯面の最大接触応力との関係を求めた。ここでは、肉厚部の軸方向の長さ比L1/Lを0.50とした。その結果を、図7に示す。同図に示すように、厚さ比t1/tが1.0を超え、2.0以下の範囲で、歯面の最大接触応力の非常に大きな低下が確認された。
図3に示すカップ型のフレクスプライン50を利用した減速機71bにおいて、肉厚部の厚さ比t1/tと、歯面の最大接触応力との関係を求めた。ここでは、肉厚部の軸方向の長さ比L1/Lを0.50とした。その結果を、図7に示す。同図に示すように、厚さ比t1/tが1.0を超え、2.0以下の範囲で、歯面の最大接触応力の非常に大きな低下が確認された。
以上の結果より、0<L1/L≦0.5、かつ、1.0<t1/t≦2.0の範囲で、歯面の最大接触応力の低下が認められた。また、0.33≦L1/L≦0.5、又は、1.1≦t1/t≦2.0の範囲では、歯面の最大接触応力の顕著な低下が認められた。
1…ロボット装置、20…多関節アーム、40…サーキュラスプライン(剛性内歯歯車)、41…内歯、50…フレクスプライン(可撓性外歯歯車)、51…円筒部、51a…外歯形成領域、52…ダイヤフラム部、54…開口部、55…外歯、56…肉厚部、57…合力の作用位置、71〜76…関節、71a〜76a…モータ(アクチュエータ)、71b〜76b…波動歯車減速機、71c〜76c…関節機構、80…波動発生器
Claims (4)
- 円環状で内歯を有する剛性内歯歯車と、
前記内歯の内周側に配置され可撓性を有する円筒部と、前記円筒部の外周面に形成され前記内歯に噛合可能な外歯と、前記円筒部の前記外歯に対する軸方向一方側で径方向に延設されるダイヤフラム部と、前記円筒部の前記外歯に対する軸方向他方側で前記円筒部が軸方向に開口する開口部と、を有する可撓性外歯歯車と、
前記円筒部の内周側に配置され、前記円筒部の径方向反対側の2箇所を外周側に向けて押圧し前記円筒部を楕円形に弾性変形させることにより、楕円の長径部に配置される前記外歯を前記内歯に噛合させ、噛合位置を周方向に移動することにより前記可撓性外歯歯車と前記剛性内歯歯車とを差動可能な波動発生器と、を備え、
前記円筒部は、前記波動発生器から与えられる押圧力の合力の作用位置よりも前記開口部の側に、前記作用位置での肉厚よりも厚い肉厚部を備える、
ことを特徴とする波動歯車減速機。 - 前記肉厚部は、前記円筒部の開口部の側の端部に配置される、
ことを特徴とする請求項1記載の波動歯車減速機。 - 前記肉厚部の軸方向の長さをL1、前記円筒部の前記外歯が形成されている外歯形成領域の軸方向長さをL、前記肉厚部の厚さをt1、前記外歯形成領域の前記肉厚部の以外の厚さをtとして、
0<L1/L≦0.5、かつ、1.0<t1/t≦2.0である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の波動歯車減速機。 - 複数の関節を有する多関節アームを備えるロボット装置において、
前記複数の関節のうちの少なくとも1つは、アクチュエータと、前記アクチュエータからの回転速度を減速して出力可能な請求項1乃至3のいずれか1項に記載の波動歯車減速機と、前記波動歯車減速機から出力された駆動力により駆動される関節機構と、を備える、
ことを特徴とするロボット装置。
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