JP2015101716A - オルガノシロキサン化合物 - Google Patents

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樹 小笠原
Tatsuki Ogasawara
樹 小笠原
小嶋 一宏
Kazuhiro Kojima
一宏 小嶋
宮下 直人
Naoto Miyashita
直人 宮下
松川 公洋
Koyo Matsukawa
公洋 松川
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Abstract

【課題】本発明は、保存安定性に優れた新規なオルガノシロキサン化合物を提供する。【解決手段】下記式(I)で示され、【化1】(式(I)中、R1は、炭素数1〜10の二価の炭化水素基を示し、該炭化水素基は、その炭素−炭素結合がヘテロ原子で分断されていてもよく、R2は、水素原子又は炭素数1〜5の一価の炭化水素基を示し、R3は、夫々独立して、炭素数1〜3の一価の炭化水素基を示し、R4は、水素原子又は式(II)で示される基を示し、かつ、xは、0〜5の整数を示す。)、かつ、重量平均分子量が3,000〜10,000である化合物。【選択図】なし

Description

本発明は、オルガノシロキサン化合物に関し、更に詳しくは、ウレタン結合を介して末端にアルコキシシリル基を有するオルガノシロキサン化合物に関する。
ウレタン結合を介して末端にアルコキシシリル基を有するオルガノシロキサン化合物としては、例えば、シリカマトリックス中に分散(相溶)された、ジメチルシリコーンの末端にウレタン結合を介してシランカップリング剤を結合させてなる滑水成分が知られている(特許文献1)。ここで、ジメチルシリコーンは、シラノール末端ジメチルシリコーンであり、かつ、シランカップリング剤は、イソシアネート基含有アルコキシシランである。該滑水成分は、シリカマトリックスとの相溶性が改善されており、それにより、該滑水成分がシリカ膜に良好にハイブリッド化されて、膜中の滑水成分の保持性がよくなり、高滑水性と共に高耐久性の高滑水性被膜を形成し得るものである。そして、該滑水成分の製造において、シラノール末端ジメチルシリコーンのシラノール基(−SiOH基)と、イソシアネート基含有アルコキシシランのイソシアネート基(−N=C=O基)との反応を促進するために、触媒として、ルイス塩基、有機金属化合物、例えば、ジブチル錫ジラウレート、トリメチル錫ハイドロオキシド、ジメチル錫ジクロライド等の有機錫化合物が挙げられている。
イ)シラノール末端ポリオルガノシロキサン化合物、ロ)2個又はそれ以上のSi−NCO基を有するシリルイソシアネート化合物、ハ)カルボン酸又はその無水物、3価又は5価のリン酸又はその誘導体及びアルキルスルホン酸又はアリールスルホン酸の中の少なくとも1種の化合物、ニ)上記イ)、ロ)、ハ)の化合物を溶解し、かつ上記ロ)の化合物と反応しない有機溶剤を含有する室温乾燥性シリコン組成物が知られている(特許文献2)。該シリコン組成物は、上記イ)シラノール末端ポリオルガノシロキサン化合物と、ロ)2個又はそれ以上のSi−NCO基を有するシリルイソシアネート化合物とを反応させて、固体物質の表面に塗膜を形成するものである。
特開2002−294151号公報 特開昭61−19660号公報
本発明は、保存安定性に優れた新規なオルガノシロキサン化合物を提供するものである。
上記の特許文献1及び2に記載されているような、シラノール基末端を有するポリオルガノシロキサンにイソシアネート化合物を反応させてなる化合物を含む被膜形成剤は、比較的良好な滑水性を有するものの、上記のシラノール基末端を有するポリオルガノシロキサンにイソシアネート化合物を反応させてなる化合物は、その保存安定性が十分ではなく、保存中にゲル化し易いと言う欠点を有していた。そこで、本発明者らは、被膜形成成分として使用したときに良好な滑水性を付与することはもちろんのこと、併せて、優れた保存安定性をも有するオルガノシロキサン化合物を開発すべく、種々検討した結果、下記所定のオルガノシロキサン化合物が、上記いずれの性状をも兼ね備えることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は
(1)下記式(I)で示され
Figure 2015101716
(式(I)中、Rは、炭素数1〜10の二価の炭化水素基を示し、該炭化水素基は、その炭素−炭素結合がヘテロ原子で分断されていてもよく、Rは、水素原子又は炭素数1〜5の一価の炭化水素基を示し、Rは、夫々独立して、炭素数1〜3の一価の炭化水素基を示し、Rは、水素原子又は下記式(II)で示される基
Figure 2015101716
を示し、xは、0〜5の整数を示し、かつ、nは繰り返し構造を示す符号であり、ここで、式(II)中、R及びxは、上記と同じである。)、かつ、重量平均分子量が3,000〜10,000である化合物である。
好ましい態様として、
(2)Rが、炭素数1〜6のアルキレン基を示し、該アルキレン基は、その炭素−炭素結合がヘテロ原子で分断されていてもよい、上記(1)記載の化合物、
(3)Rが、炭素数3〜6のアルキレン基を示し、該アルキレン基は、その炭素−炭素結合がヘテロ原子で分断されていてもよい、上記(1)記載の化合物、
(4)Rが、炭素数3〜6のアルキレン基を示し、該アルキレン基は、その炭素−炭素結合が酸素原子で分断されていてもよい、上記(1)記載の化合物、
(5)重量平均分子量が5,000〜8,000である、上記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の化合物、
(6)重量平均分子量が6,000〜8,000である、上記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の化合物、
(7)Rが、夫々独立して、炭素数1〜3のアルキル基を示す、上記(1)〜(6)のいずれか一つに記載の化合物、
(8)Rが、夫々独立して、エチル基又はプロピル基を示す、上記(1)〜(6)のいずれか一つに記載の化合物、
(9)Rがエチル基を示す、上記(1)〜(6)のいずれか一つに記載の化合物、
(10)xが2〜4の整数を示す、上記(1)〜(9)のいずれか一つに記載の化合物、
(11)xが3を示す、上記(1)〜(9)のいずれか一つに記載の化合物、
(12)Rが水素原子である、上記(1)〜(11)のいずれか一つに記載の化合物、
(13)被膜形成剤用の、上記(1)〜(12)のいずれか一つに記載の化合物
を挙げることができる。
本発明の新規なオルガノシロキサン化合物は、被膜形成剤用の成分として使用したときに良好な滑水性を有するとともに、それ自体優れた保存安定性を有する。
図1は、実施例1で得られた反応後の混合物のIRスペクトルである。 図2は、実施例1で得られた反応後の混合物の H−NMRスペクトルである。 図3は、実施例1で得られた反応後の混合物のMALDI−TOF MSスペクトルである。 図4は、実施例1で得られた反応後の混合物のAPCI−FT−MSスペクトルである。 図5は、実施例2で得られた反応後の混合物のIRスペクトルである。 図6は、比較例1で得られた反応後の混合物のIRスペクトルである。
本発明の化合物は、下記式(I)
Figure 2015101716
で示される。
式(I)中、Rは、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数3〜6の二価の炭化水素基、好ましくはアルキレン基を示す。ここで、該炭化水素基は、その炭素−炭素結合がヘテロ原子、例えば、酸素、硫黄、窒素等で分断されていてもよい。該炭素−炭素結合は、好ましくは酸素原子により分断されていてよい。Rは、より好ましくは炭素数3〜6のアルキレン基、更に好ましくは炭素数5〜6のアルキレン基であって、該アルキレン基の炭素−炭素結合が、酸素原子で分断されているものを示す。Rは、水素原子又は炭素数1〜5の一価の炭化水素基であることができる。Rは、好ましくは、炭素数1〜4のアルキル基を示す。Rとして、より好ましくはn−ブチル基が挙げられる。Rは、夫々独立して、炭素数1〜3の一価の炭化水素基、好ましくはアルキル基を示す。より好ましくは、2個のRがエチル基であって残りの1個のRがプロピル基であり、更に好ましくは、全てのRがエチル基である。また、Rは、水素原子又は下記式(II)で示される基
Figure 2015101716
を示す。また、xは、0〜5、好ましくは2〜4の整数を示し、より好ましくは3を示す。ここで、上記の式(II)中、Rは、上記と同じであり、夫々独立して、炭素数1〜3の一価の炭化水素基、好ましくはアルキル基を示す。より好ましくは、2個のRがエチル基であって残りの1個のRがプロピル基であり、更に好ましくは、全てのRがエチル基である。また、上記の式(II)中、xも、上記と同じであり、0〜5、好ましくは2〜4の整数を示し、より好ましくは3を示す。また、nは繰り返し構造を示す符号であり、括弧内の構造の繰り返し数を示す数を意味し、GPCによる重量平均分子量測定から計算されるnの値は、好ましくは20〜150、より好ましくは30〜120、更に好ましくは35〜100である。
上記式(I)で示される本発明の化合物の重量平均分子量(Mw)は、上限が10,000、好ましくは8,000、より好ましくは7,000であり、下限が3,000、好ましくは5,000、より好ましくは6,000である。上記上限を超えては、良好な滑水性を付与し得ず、上記下限未満では、優れた保存安定性を発揮し得ない。ここで、重量平均分子量(Mw)は、下記条件において、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によりポリスチレン換算の相対分子量分布を測定して得たものである。
測定機種 TOSOH HLC−8120GPC
カラム TSKgel SuperMultipore HZ−M(4本)
溶離液 THF
温度 カラム恒温槽 40℃
流速 0.35mL/min
注入量 40μL
検出器 示差屈折計(RI)
本発明の式(I)で示される化合物は、下記式(III)
Figure 2015101716
で示される片末端にカルビノール基を有するオルガノシロキサン化合物と、下記式(IV)
Figure 2015101716
で示される末端にイソシアネート基を有するシラン化合物とを反応させることにより製造することができる。ここで、式(III)及び(IV)中、R、R及びR、並びに、n及びxは、上記の式(I)で示したものと同じである。式(III)で示される片末端にカルビノール基を有するオルガノシロキサン化合物の重量平均分子量(Mw)は、上記式(I)で示される本発明の化合物の重量平均分子量(Mw)とほぼ等しく、上限が10,000、好ましくは8,000、より好ましくは7,000であり、下限が3,000、好ましくは5,000、より好ましくは6,000である。式(III)で示される片末端にカルビノール基を有するオルガノシロキサン化合物としては、市販品を使用することができ、例えば、信越化学工業株式会社製片末端反応性シリコーンオイルX−22−170DX(商標)、JNC株式会社製サイラプレーンFM−0421、FM−0425(いずれも商標)等を使用することができる。また、式(IV)で示される末端にイソシアネート基を有するシラン化合物としては、好ましくは、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等を使用することができる。
上記反応は、有機溶媒中で、上記の式(III)及び(VI)で示される化合物、並びに、触媒を撹拌混合することにより実行される。有機溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、へプタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が使用される。これらのうち、好ましくはヘキサン、より好ましくはn−ヘキサンが使用される。また、触媒としては、有機チタン化合物、有機ジルコニウム化合物、有機スズ化合物等が使用される。これらのうち、好ましくは有機ジルコニウム化合物、例えば、ジルコニウムテトラノルマルプロポキシド、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート等が使用される。反応は、通常、室温、例えば、25℃で、10〜300時間、好ましくは10〜100時間程度撹拌混合することにより実行される。
以下、実施例において本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
物質
実施例及び比較例において使用した各物質は下記の通りである。
<片末端にカルビノール基を有するオルガノシロキサン化合物>
(i)下記式(V)で示される化合物、但し、式(V)中、Rはn−ブチル基であり、重量平均分子量は6,400である。また、該重量平均分子量から算出したnは約80である。[信越化学工業株式会社製X−22−170DX(商標)相当品]
(ii)下記式(V)で示される化合物、但し、式(V)中、Rはメチル基であり、重量平均分子量は3,500である。また、該重量平均分子量から算出したnは約45である。[信越化学工業株式会社製X−22−170BX(商標)相当品]
Figure 2015101716
<両末端にカルビノール基を有するオルガノシロキサン化合物>
(i)下記式(VI)で示される化合物、但し、重量平均分子量は1,700である。また、該重量平均分子量から算出したnは約20である。[信越化学工業株式会社製X−22−160AS(商標)相当品]
(ii)下記式(VI)で示される化合物、但し、重量平均分子量は2,900である。また、該重量平均分子量から算出したnは約35である。[信越化学工業株式会社製KF6001(商標)相当品]
(iii)下記式(VI)で示される化合物、但し、重量平均分子量は5,700である。また、該重量平均分子量から算出したnは約75である。[信越化学工業株式会社製KF6002(商標)相当品]
(iv)下記式(VI)で示される化合物、但し、重量平均分子量は7,800である。また、該重量平均分子量から算出したnは約100である。[信越化学工業株式会社製KF6003(商標)相当品]
Figure 2015101716
<両末端にシラノール基を有するオルガノシロキサン化合物>
(i)下記式(VII)で示される化合物、但し、重量平均分子量は1,600である。また、該重量平均分子量から算出したnは約20である。[信越化学工業株式会社製X−21−5841(商標)相当品]
(ii)下記式(VII)で示される化合物、但し、重量平均分子量は4,300である。また、該重量平均分子量から算出したnは約55である。[信越化学工業株式会社製KF−9701(商標)相当品]
Figure 2015101716
<イソシアネート基を有するシラン化合物>
3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン[信越化学工業株式会社製KBE−9007(商標)]
<触媒>
ジルコニウムテトラノルマルプロポキシド[マツモトファインケミカル株式会社製オルガチックスZA−45(商標)、濃度:75重量%/1−プロパノール]
評価方法
実施例及び比較例において製造した各物質の評価に使用した試験法は、下記の通りである。
<保存安定性>
実施例及び比較例において製造した生成物を含む混合物を、40℃で1ヶ月間保持した後、該混合物の状態を目視で観察した。評価結果を下記の記号で示した。
G:沈殿物なし
M:僅かに沈殿物が認められる
B:全体が白濁し沈殿物あり
<滑水性>
実施例及び比較例において製造した生成物を含む混合物を、約0.01ミリリットル/cmとなるように平坦なガラス面上に滴下しガラス面全体に薄く塗り広げた。次いで、これを25℃、35%RH環境下で30分間保持し試験片とした。試験片上にスポイトで蒸留水を一滴滴下し、次いで、試験片を徐々に傾けて水滴が流れ出すときの試験片の水平面からの角度(滑水角)を測定して滑水性を評価した。
G:滑水角が45度未満
B:滑水角が45度以上
実施例及び比較例において各測定は下記のようにして実施した。
H−NMR>
使用した装置は、ブルカーバイオスピン株式会社製AVANCE
III-600 with Cryo Probe(商標)である。測定周波数は600MHzであり、測定温度は300Kであった。溶媒としては重水素化クロロホルムを使用した。
<IR>
使用した装置は、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製Nicolet 6700 FT−IR(商標)、検出器MCT/A(商標)である。ビームスプリッターとしてKBrを使用した。
<MALDI−TOF MS>
使用した装置は、ブルカー・ダルトニクス株式会社製autoflex(商標)である。試料はTHFで希釈して、マトリックス溶液を作成した。レーザー光源としてNレーザ(波長337nm)を使用した。
<APCI−FT−MS>
使用した装置は、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製LTQ orbitrap XL(商標)である。試料はTHFで希釈して使用した。正イオンモード、シリンジ流速10μL/分、ベーポライザー温度300℃、キャピラリー温度を250℃とした。
(実施例1)
溶媒としてn−ヘキサン2,500質量部を用意した。該n−ヘキサン中に、式(V)で示され、かつ、重量平均分子量が6,400である化合物[片末端にカルビノール基を有するオルガノシロキサン化合物(i)]100質量部、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン50質量部及びジルコニウムテトラノルマルプロポキシド12.5質量部を添加した。次いで、該混合物を、室温で12時間撹拌しながら反応を進めた。得られた混合物についてIR測定を実施した。図1(1)には、そのIRスペクトルを示した。該IRスペクトルには、約2,200cm−1に認められる、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランに基づくイソシアネート基(−N=C=O)のピークは殆ど認められなかった。また、約1,500〜1,750cm−1付近に現れたピークからウレタン結合の存在が認められた。従って、使用した3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランはほぼ全量が、式(V)で示され、かつ、重量平均分子量が6,400である化合物の水酸基と反応してウレタン結合を形成したと考えられる。参考として、図1(2)には、上記反応が完結していない状態のIRスペクトルを示した。図1(1)とは異なり、約2,200cm−1に3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランに基づくイソシアネート基(−N=C=O)のピークが認められている。これからも、使用した3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランが、ほぼ全量反応したことが認められる。また、該混合物についてH−NMR測定を実施した。図2には、そのNMRスペクトルを示した。その結果、3.0〜5.0ppm付近にウレタン結合に基づくピークが確認された。該H−NMR測定からも、式(V)で示され、かつ、重量平均分子量が6,400である化合物[片末端にカルビノール基を有するオルガノシロキサン化合物(i)]と3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランとが反応して、ウレタン結合が形成されたことが明らかである。
更に、該混合物についてMALDI−TOF MS測定及びAPCI−FT MS測定を実施した。図3には、そのMALDI−TOF MSスペクトルを示し、かつ、図4には、そのAPCI−FT MSスペクトルを示した。
図3のMALDI−TOF MSスペクトルにおいて、上段が実施例1の反応混合物のスペクトル[式(I)におけるn=43付近の部分的なスペクトル]であり、下段が片末端にカルビノール基を有するオルガノシロキサン化合物(i)のスペクトル[式(V)におけるn=43付近の部分的なスペクトル]である。実施例1のように、触媒としてジルコニウムテトラノルマルプロポキシドを使用して、式(V)で示される片末端にカルビノール基を有するオルガノシロキサン化合物(i)と、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランとを反応せしめて得られる反応生成物としては、第一に、式(I)で示される化合物であって、Rが−CH−CH−O−CH−CH−CH−であり、Rが−CH−CH−CH−CHであり、Rが−CH−CHであり、Rが水素であり、かつ、xが3である化合物(1)が推定される。そして、化合物(1)において、式(I)中のnを種々変化させたナトリウムイオン付加分子の分子量を算出して、この分子量と、MALDI−TOF MSスペクトルで求めた実測値(質量)とを比較すると、両者がほぼ一致したことから、上記の化合物(1)が生成していることが分かった。例えば、n=43のときの分子量の計算値は約3671であり、MALDI−TOF MSスペクトルにおける実測値は3676.1[ピーク(a)]であった。図3のMALDI−TOF MSスペクトルにおいて、上段の反応混合物のスペクトルは、式(I)で示される化合物(1)のnが43のピーク(a)を示したものであり、一方、下段の片末端にカルビノール基を有するオルガノシロキサン化合物(i)のスペクトルは、対応する式(V)においてnが43のピーク(e)を示したものである。式(V)中のnが43である片末端にカルビノール基を有するオルガノシロキサン化合物(i)のピーク(e)の実測値(質量)は3429.0(計算値とほぼ一致)であり、一方、nが43である化合物(1)のピーク(a)の実測値(質量)は3676.1である故、両者の差は247.1uである。この差は、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン1分子の分子量(約247)にほぼ相当することからも、化合物(1)が生成していることが認められた。同様に、図3の実測値3898.1のピーク(計算値:約3893)及び実測値3454.0のピーク(計算値:約3449)は、夫々、化合物(1)のn=46及びn=40のピークであることが確かめられた。
次いで、図3のMALDI−TOF MSスペクトルにおける実測値3690.1のピーク(b)について検討した。上記化合物(1)のピーク(a)の質量とピーク(b)の質量との差は14uであった。この質量はメチレン基(−CH−)の質量に相当する。そこで、触媒としてジルコニウムテトラノルマルプロポキシドを使用して、式(V)で示される片末端にカルビノール基を有するオルガノシロキサン化合物(i)と、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランとを反応せしめて得られる反応生成物として、化合物(1)に対してメチレン基が1つ多く結合した化合物を推定したところ、第二に、式(I)で示される化合物であって、式(I)中のRが−CH−CH−O−CH−CH−CH−であり、Rが−CH−CH−CH−CHであり、Rが水素であり、かつ、xが3であって、3個のRのうち、2個のRが−CH−CHであり、かつ、残りの1個のRが−CH−CH−CHである化合物(2)が推定された。即ち、3個のエトキシル基の1個が、触媒のジルコニウムテトラノルマルプロポキシドに起因すると推定されるプロポキシル基で置換された化合物である。化合物(2)の例えば、n=43のときの計算値は約3685であり、MALDI−TOF MSスペクトルにおける実測値は3690.1である[ピーク(b)]。図3のMALDI−TOF MSスペクトルにおいて、上段の反応混合物のスペクトルは、式(I)で示される化合物(2)のnが43のピーク(b)を示したものであり、一方、下段の片末端にカルビノール基を有するオルガノシロキサン化合物(i)のスペクトルは、対応する式(V)においてnが43のピーク(e)を示したものである。式(V)中のnが43である片末端にカルビノール基を有するオルガノシロキサン化合物(i)のピーク(e)の実測値(質量)は3429.0(計算値とほぼ一致)であり、一方、nが43である化合物(2)のピーク(b)の実測値(質量)は3690.1である故、両者の差は261.1uである。この差は、3−イソシアネートプロピルジエトキシプロポキシシラン1分子の分子量(約261)にほぼ相当することからも、化合物(2)が生成していると考えられる。同様に、図3の実測値3912.2のピーク(計算値:約3907)及び実測値3468.0のピーク(計算値:約3463)は、夫々、化合物(2)のn=46及びn=40のピークであることが確かめられた。
次いで、図3のMALDI−TOF MSスペクトルにおけるピーク(a)と、ピーク(b)以外のピークとの関係を検討した。まず、ピーク(a)と実測値3701.1及び実測値3715.2のピークとの質量差を算出し、その構造を、各原料を反応させたときに得られる構造から推定したが、nが43と想定した場合においては、当該分子量となるような適切な構造が見つからなかった。そこで、次に、図3のMALDI−TOF MSスペクトルにおける実測値3924.2のピーク(c)について検討した。上記化合物(1)のピーク(a)の質量とピーク(c)の質量との差は248.1uであった。そこで、化合物(1)の窒素に結合した水素が、更に、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(分子量:約247)と反応した化合物(3)を推定した。即ち、第三に、式(I)で示される化合物であって、式(I)中のRが−CH−CH−O−CH−CH−CH−であり、Rが−CH−CH−CH−CHであり、Rが−CH−CHであり、かつ、xが3であって、かつ、Rが式(II)で示される基であり、式(II)中のRが−CH−CHであり、xが3である化合物(3)が推定された。化合物(1)の場合と同様に、式(I)中のnを種々変化させたナトリウムイオン付加分子の分子量を算出して、この分子量と、MALDI−TOF MSスペクトルで求めた実測値(質量)とを比較すると、両者がほぼ一致したことから、上記の化合物(3)が生成していることが分かった。例えば、n=43のときの計算値は約3918であり、MALDI−TOF MSスペクトルにおける実測値は3924.2である[ピーク(c)]。図3のMALDI−TOF MSスペクトルにおいて、上段の反応混合物のスペクトルは、式(I)で示される化合物(3)のnが43のピーク(c)を示したものであり、一方、下段の片末端にカルビノール基を有するオルガノシロキサン化合物(i)のスペクトルは、対応する式(V)においてnが43のピーク(e)を示したものである。式(V)中のnが43である片末端にカルビノール基を有するオルガノシロキサン化合物(i)のピーク(e)の実測値(質量)は3429.0(計算値とほぼ一致)であり、一方、nが43である化合物(3)のピーク(c)の実測値(質量)は3924.2である故、両者の差は495.2uである。この差は、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン2分子の分子量(約494)にほぼ相当することからも、化合物(3)が生成しているとことが認められた。同様に、図3の実測値3701.1のピーク(計算値:約3696)及び実測値3480.1のピーク(計算値:約3474)は、夫々、化合物(3)のn=40及びn=37のピークであることが確かめられた。
最後に、図3のMALDI−TOF MSスペクトルにおける実測値3938.2のピーク(d)について検討した。上記化合物(3)のピーク(c)の質量とピーク(d)の質量との差は14uであった。この質量はメチレン基(−CH−)の質量に相当する。そこで、ピーク(b)の場合と同様に、触媒としてジルコニウムテトラノルマルプロポキシドを使用して、式(V)で示される片末端にカルビノール基を有するオルガノシロキサン化合物(i)と、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランとを反応せしめて得られる反応生成物として、化合物(3)に対してメチレン基が1つ多く結合した化合物を推定したところ、第四に、式(I)で示される化合物であって、式(I)中のRが−CH−CH−O−CH−CH−CH−であり、Rが−CH−CH−CH−CHであり、かつ、xが3であって、かつ、Rが式(II)で示される基であり、式(II)中のxが3であり、そして、6個のRのうちの1個が−CH−CH−CHであり、残りの5個のRが−CH−CHである化合物(4)が推定された。即ち、6個のエトキシル基の1個が、触媒のジルコニウムテトラノルマルプロポキシドに起因すると推定されるプロポキシル基で置換された化合物である。化合物(4)の例えば、n=43のときの計算値は約3932であり、MALDI−TOF MSスペクトルにおける実測値は3938.2である[ピーク(d)]。図3のMALDI−TOF MSスペクトルにおいて、上段の反応混合物のスペクトルは、式(I)で示される化合物(4)のnが43のピーク(d)を示したものであり、一方、下段の片末端にカルビノール基を有するオルガノシロキサン化合物(i)のスペクトルは、対応する式(V)においてnが43のピーク(e)を示したものである。式(V)中のnが43である片末端にカルビノール基を有するオルガノシロキサン化合物(i)のピーク(e)の実測値(質量)は3429.0(計算値とほぼ一致)であり、一方、nが43である化合物(4)のピーク(d)の実測値(質量)は3938.2である故、両者の差は509.2uである。この差は、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン1分子と3−イソシアネートプロピルジエトキシプロポキシシラン1分子とを加えた分子量(約508)にほぼ相当することからも、化合物(4)が生成していると考えられる。同様に、図3の実測値3715.2のピーク(計算値:約3710)及び実測値3494.1のピーク(計算値:約3488)は、夫々、化合物(4)のn=40及びn=37のピークであることが確かめられた。
図4のAPCI−FT MSスペクトルは、実施例1の反応混合物のスペクトルであって、式(I)におけるn=43付近のスペクトルを拡大して示したものである。上記のMALDI−TOF MSスペクトルにより確認された化合物(1)、(2)、(3)及び(4)において、式(I)中のnを種々変化させた脱エトキシ基分子の分子量を算出して、この分子量とAPCI−FT MSスペクトルで求めた分子量を比較したところ、各化合物について両者がほぼ一致したことから、化合物(1)、(2)、(3)及び(4)が生成していることが分かった。式(I)におけるn=43において、スペクトル(a)が化合物(1)に相当するピークであり、スペクトル(b)が化合物(2)に相当するピークであり、スペクトル(c)が化合物(3)に相当するピークであり、かつ、スペクトル(d)が化合物(4)に相当するピークである。例えば、スペクトル(a)の脱エトキシ基分子の実測値(質量)は3608.0687であり、これにエトキシ基の分子量約45を加えると3653.0687となる。これは、化合物(1)のn=43のときの分子量の計算値約3648にほぼ一致している。また、上記で説明したMALDI−TOF MSスペクトルから得られた化合物(1)の分子量3653.1(図3において示されているスペクトル(a)の質量はNaイオン付加分子である故、化合物(1)の分子量はこの質量3676.1からNaイオンの質量約23を差し引いた値である。)ともほぼ一致する。ここで、APCI法とは、高温加熱によって試料溶液を強制的に気化させた後、コロナニードルの放電を利用してイオンを生成させる方法であり、MALDI法とは、試料を芳香族有機化合物などのマトリックス中に混ぜて結晶を作り、これにレーザーを照射することでイオン化する方法である。これらの測定原理の異なる質量分析において、同一の分子量の物質が確認されたことから、目的とする化合物が生成していることが裏付けられた。
また、該混合物から反応生成物を分離し、該反応生成物について重量平均分子量(Mw)測定した。その結果、該反応生成物の重量平均分子量は約6,900であった。
これらの分析結果から、式(I)中のRが−CH−CH−O−CH−CH−CH−であり、Rが−CH−CH−CH−CHであり、Rが−CH−CHであり、Rが水素であり、かつ、xが3である化合物(1)、式(I)中のRが−CH−CH−O−CH−CH−CH−であり、Rが−CH−CH−CH−CHであり、Rが水素であり、かつ、xが3であって、3個のRのうち、2個のRが−CH−CHであり、かつ、残りの1個のRが−CH−CH−CHである化合物(2)、式(I)中のRが−CH−CH−O−CH−CH−CH−であり、Rが−CH−CH−CH−CHであり、かつ、Rが式(II)で示される基であって、全てのxが3であり、かつ、6個のRの全てが−CH−CHである化合物(3)、及び、式(I)中のRが−CH−CH−O−CH−CH−CH−であり、Rが−CH−CH−CH−CHであり、Rが式(II)で示される基であって、かつ、全てのxが3であって、かつ、6個のR中の1個のRが−CH−CH−CHであり、残りの5個のRが−CH−CHである化合物(4)が得られたことが分かった。
(実施例2)
式(V)で示され、かつ、重量平均分子量が6,400である化合物に代えて、式(V)で示され、かつ、重量平均分子量が3,500である化合物[片末端にカルビノール基を有するオルガノシロキサン化合物(ii)]を使用した。溶媒としてn−ヘキサン4,500質量部を使用し、上記のオルガノシロキサン化合物100質量部に対して、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン90質量部及びジルコニウムテトラノルマルプロポキシド22.5質量部を添加して使用した以外、実施例1と同じに実施した。得られた混合物についてIR測定を実施した。図5には、そのIRスペクトルを示した。該IRスペクトルには、約2,200cm−1に認められる、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランに基づくイソシアネート基(−N=C=O)のピークは若干残存しており、反応が不十分であることが確認された。また、約1,500〜1,750cm−1付近に現れたピークからウレタン結合の存在が認められた。従って、使用した3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランは、式(V)で示され、かつ、重量平均分子量が3,500である化合物の水酸基と反応してウレタン結合を形成したと考えられる。
(比較例1)
式(V)で示され、かつ、重量平均分子量が6,400である化合物に代えて、式(VI)で示され、かつ、重量平均分子量が1,700である化合物[両末端にカルビノール基を有するオルガノシロキサン化合物(i)]を使用した。溶媒としてn−ヘキサン20,000質量部を使用し、上記のオルガノシロキサン化合物100質量部に対して、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン400質量部及びジルコニウムテトラノルマルプロポキシド100質量部を添加して使用した以外、実施例1と同じに実施した。得られた混合物についてIR測定を実施した。図6には、そのIRスペクトルを示した。該IRスペクトルには、約2,200cm−1に認められる、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランに基づくイソシアネート基(−N=C=O)のピークは殆ど認められなかった。また、約1,500〜1,750cm−1付近に現れたピークからウレタン結合の存在が認められた。従って、使用した3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランはほぼ全量が、式(VI)で示され、かつ、重量平均分子量が1,700である化合物の水酸基と反応してウレタン結合を形成したと考えられる。
(比較例2)
式(V)で示され、かつ、重量平均分子量が6,400である化合物に代えて、式(VI)で示され、かつ、重量平均分子量が2,900である化合物[両末端にカルビノール基を有するオルガノシロキサン化合物(ii)]を使用した。溶媒としてn−ヘキサン10,000質量部を使用し、上記のオルガノシロキサン化合物100質量部に対して、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン200質量部及びジルコニウムテトラノルマルプロポキシド50質量部を添加して使用した以外、実施例1と同じに実施した。得られた混合物についてIR測定を実施したところ、約2,200cm−1に認められる、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランに基づくイソシアネート基(−N=C=O)のピークは殆ど認められなかった。また、約1,500〜1,750cm−1付近に現れたピークからウレタン結合の存在が認められた。従って、使用した3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランはほぼ全量が、式(VI)で示され、かつ、重量平均分子量が2,900である化合物の水酸基と反応してウレタン結合を形成したと考えられる。
(比較例3)
式(V)で示され、かつ、重量平均分子量が6,400である化合物に代えて、式(VI)で示され、かつ、重量平均分子量が5,700である化合物[両末端にカルビノール基を有するオルガノシロキサン化合物(iii)]を使用した。溶媒としてn−ヘキサン5,000質量部を使用し、上記のオルガノシロキサン化合物100質量部に対して、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン100質量部及びジルコニウムテトラノルマルプロポキシド25質量部を添加して使用した以外、実施例1と同じに実施した。得られた混合物についてIR測定を実施したところ、約2,200cm−1に認められる、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランに基づくイソシアネート基(−N=C=O)のピークは殆ど認められなかった。また、約1,500〜1,750cm−1付近に現れたピークからウレタン結合の存在が認められた。従って、使用した3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランはほぼ全量が、式(VI)で示され、かつ、重量平均分子量が5,700である化合物の水酸基と反応してウレタン結合を形成したと考えられる。
(比較例4)
式(V)で示され、かつ、重量平均分子量が6,400である化合物に代えて、式(VI)で示され、かつ、重量平均分子量が7,800である化合物[両末端にカルビノール基を有するオルガノシロキサン化合物(iv)]を使用した。溶媒としてn−ヘキサン3,750質量部を使用し、上記のオルガノシロキサン化合物100質量部に対して、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン75質量部及びジルコニウムテトラノルマルプロポキシド20質量部を添加して使用した以外、実施例1と同じに実施した。得られた混合物についてIR測定を実施したところ、約2,200cm−1に認められる、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランに基づくイソシアネート基(−N=C=O)のピークは殆ど認められなかった。また、約1,500〜1,750cm−1付近に現れたピークからウレタン結合の存在が認められた。従って、使用した3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランはほぼ全量が、式(VI)で示され、かつ、重量平均分子量が7,800である化合物の水酸基と反応してウレタン結合を形成したと考えられる。
(比較例5)
式(V)で示され、かつ、重量平均分子量が6,400である化合物に代えて、式(VII)で示され、かつ、重量平均分子量が1,600である化合物[両末端にシラノール基を有するオルガノシロキサン化合物(i)]を使用した。溶媒としてn−ヘキサン20,000質量部を使用し、上記のオルガノシロキサン化合物100質量部に対して、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン400質量部及びジルコニウムテトラノルマルプロポキシド100質量部を添加して使用した以外、実施例1と同じに実施した。得られた混合物についてIR測定を実施したところ、約2,200cm−1に認められる、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランに基づくイソシアネート基(−N=C=O)のピークは殆ど認められなかった。また、約1,500〜1,750cm−1付近に現れたピークからウレタン結合の存在が認められた。従って、使用した3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランはほぼ全量が、式(VII)で示され、かつ、重量平均分子量が1,600である化合物の水酸基と反応してウレタン結合を形成したと考えられる。
(比較例6)
式(V)で示され、かつ、重量平均分子量が6,400である化合物に代えて、式(VII)で示され、かつ、重量平均分子量が4,300である化合物[両末端にシラノール基を有するオルガノシロキサン化合物(ii)]を使用した。溶媒としてn−ヘキサン10,000質量部を使用し、上記のオルガノシロキサン化合物100質量部に対して、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン200質量部及びジルコニウムテトラノルマルプロポキシド50質量部を添加して使用した以外、実施例1と同じに実施した。得られた混合物についてIR測定を実施したところ、約2,200cm−1に認められる、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランに基づくイソシアネート基(−N=C=O)のピークは殆ど認められなかった。また、約1,500〜1,750cm−1付近に現れたピークからウレタン結合の存在が認められた。従って、使用した3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランはほぼ全量が、式(VII)で示され、かつ、重量平均分子量が4,300である化合物の水酸基と反応してウレタン結合を形成したと考えられる。
上記の実施例1〜2及びに比較例1〜6で得られた混合物についての保存安定性及び滑水性を評価した。評価結果を表1に示す。
Figure 2015101716
実施例1は、重量平均分子量が6,400である片末端にカルビノール基を有するオルガノシロキサン化合物(i)と3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランとを、触媒としてジルコニウムテトラノルマルプロポキシドを使用して反応させたものである。得られた生成物は、40℃で1ヶ月間保持した後に全く沈殿物が認められず、非常に良好な保存安定性を示した。また、滑水性も良好であった。実施例2においては、実施例1と同様の片末端にカルビノール基を有するオルガノシロキサン化合物(ii)であって、重量平均分子量が3,500であるものを使用した。得られた生成物は、40℃で1ヶ月間保持した後に僅かに沈殿物が認められる程度であり、良好な保存安定性を示した。また、滑水性も良好であった。
一方、比較例1は、重量平均分子量が1,700である両末端にカルビノール基を有するオルガノシロキサン化合物(i)を使用したものである。得られた生成物は、40℃で1ヶ月間保持した後に全体が白濁して沈殿物が生じ、保存安定性は非常に悪くなった。また、滑水性も悪いものであった。比較例2は、重量平均分子量が2,900である両末端にカルビノール基を有するオルガノシロキサン化合物(ii)を使用したものである。比較例1と同様に保存安定性及び滑水性は非常に悪くなった。比較例3は、重量平均分子量が5,700である両末端にカルビノール基を有するオルガノシロキサン化合物(iii)を使用したものである。比較例1と同様に保存安定性及び滑水性は非常に悪くなった。比較例4は、重量平均分子量が7,800である両末端にカルビノール基を有するオルガノシロキサン化合物(iv)を使用したものである。該オルガノシロキサン化合物(iv)は、実施例1で使用したオルガノシロキサン化合物より重量平均分子量が大きいものであったが、やはり比較例1と同様に保存安定性及び滑水性は非常に悪くなった。比較例5は、重量平均分子量が1,600である両末端にシラノール基を有するオルガノシロキサン化合物(i)を使用したものである。比較例1と同様に保存安定性及び滑水性は非常に悪くなった。比較例6は、重量平均分子量が4,300である両末端にシラノール基を有するオルガノシロキサン化合物(ii)を使用したものである。比較例1と同様に保存安定性及び滑水性は非常に悪くなった。
本発明の化合物は、良好な滑水性を付与するとともに、保存安定性に優れているところから、例えば、被膜形成剤用の成分として、今後、大いに使用されることが期待される。
a 化合物(1)のピーク(図3)
b 化合物(2)のピーク(図3)
c 化合物(3)のピーク(図3)
d 化合物(4)のピーク(図3)
e 片末端にカルビノール基を有するオルガノシロキサン化合物(i)のピーク(図3)
化合物(1)のピーク(図4)
化合物(2)のピーク(図4)
化合物(3)のピーク(図4)
化合物(4)のピーク(図4)

Claims (8)

  1. 下記式(I)で示され
    Figure 2015101716
    (式(I)中、Rは、炭素数1〜10の二価の炭化水素基を示し、該炭化水素基は、その炭素−炭素結合がヘテロ原子で分断されていてもよく、Rは、水素原子又は炭素数1〜5の一価の炭化水素基を示し、Rは、夫々独立して、炭素数1〜3の一価の炭化水素基を示し、Rは、水素原子又は下記式(II)で示される基
    Figure 2015101716
    を示し、xは、0〜5の整数を示し、かつ、nは繰り返し構造を示す符号であり、ここで、式(II)中、R及びxは、上記と同じである。)、かつ、重量平均分子量が3,000〜10,000である化合物。
  2. が、炭素数3〜6のアルキレン基を示し、該アルキレン基は、その炭素−炭素結合が酸素原子で分断されていてもよい、請求項1記載の化合物。
  3. 重量平均分子量が5,000〜8,000である、請求項1又は2記載の化合物。
  4. が、夫々独立して、炭素数1〜3のアルキル基を示す、請求項1〜3のいずれか一つに記載の化合物。
  5. xが2〜4の整数を示す、請求項1〜4のいずれか一つに記載の化合物。
  6. が水素原子である、請求項1〜5のいずれか一つに記載の化合物。
  7. 被膜形成剤用の、請求項1〜6のいずれか一つに記載の化合物。
  8. 下記式(III)
    Figure 2015101716
    (式(III)中、Rは、炭素数1〜10の二価の炭化水素基を示し、該炭化水素基は、その炭素−炭素結合がヘテロ原子で分断されていてもよく、Rは、水素原子又は炭素数1〜5の一価の炭化水素基を示し、かつ、nは繰り返し構造を示す符号である。)
    で示される、重量平均分子量が3,000〜10,000である片末端にカルビノール基を有するオルガノシロキサン化合物と、
    下記式(IV)
    Figure 2015101716
    (式(IV)中、Rは、夫々独立して、炭素数1〜3の一価の炭化水素基を示し、かつ、xは、0〜5の整数を示す。)
    で示される末端にイソシアネート基を有するシラン化合物とを、有機チタン化合物、有機ジルコニウム化合物及び有機スズ化合物より成る群から選ばれる1種以上の触媒の存在下に有機溶媒中で反応させて得られる化合物。
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