JP2015100249A - 系統連系インバータ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】インバータ回路部と商用電力系統との間に設置する連系開閉器の故障を確実に検出できる系統連系インバータ装置を得ること。
【解決手段】制御回路6aは、インバータ回路部2の運転前に、連系開閉器3を開路させた状態において、第1の電圧検出部7がゼロボルトから大きく外れた電圧値を検出した場合には、連系開閉器3の異常と判断してインバータ回路部2の運転開始への移行を中止する。一方、第1の電圧検出部7がゼロボルトに近い電圧値を検出した場合には、インバータ回路部2に或る定めた電圧を出力させ、その或る定めた電圧に対応した電圧値を第2の電圧検出部8または第3の電圧検出部9が検出した場合に、連系開閉器3に異常があると判断してインバータ回路部2の運転開始への移行を中止する。
【選択図】図1

Description

本発明は、太陽電池や燃料電池などの外部直流電源を用いた直流発電システムを商用電力系統に連系させるのに使用される系統連系インバータ装置に関するものである。
太陽電池や燃料電池などの外部直流電源を用いた直流発電システムを商用電力系統に連系させるのに使用される系統連系インバータ装置として、2つの例を示す。1つは、商用電力系統との連系運転機能と商用電力系統を切り離した自立運転機能とを切り替えて実施できる系統連系インバータ装置である。これを「第1の系統連系インバータ装置」とする。もう1つは、例えば特許文献1に示されているように、系統連系インバータ装置と商用電力系統との間に接続された負荷に対する交流電力を、系統連系インバータ装置および商用電力系統の連系運転により供給する場合と、商用電力系統のみの単独運転により供給する場合とを切り替えて制御する系統連系インバータ装置である。これを「第2の系統連系インバータ装置」とする。
第1の系統連系インバータ装置は、太陽電池や燃料電池などの外部直流電源が発生する直流電力を交流電力へ変換し、それを一般交流負荷に供給し、その際の余剰電力を商用電力系統に供給する。その場合、一般交流負荷に必要とされる交流電力が太陽電池や燃料電池による直流電力だけでは不足するときは商用電力系統から賄うという連系運転を行う。そして、商用電力系統が事故や災害等で停電した場合に、商用電力系統を切り離し、太陽電池や燃料電池による直流電力が十分であればそれを変換した交流電力を一般交流負荷に供給して運転を継続する自立運転を行うことができるようになっている。
このような商用電力系統との連系運転機能と商用電力系統を切り離した自立運転機能とを切り替えて実施できる系統連系インバータ装置では、インバータ回路部の出力端に連系開閉器と自立開閉器とが並列に接続され、連系開閉器を介して商用電力系統が接続され、自立開閉器を介して一般交流負荷が接続される構成となる。すなわち、連系運転モード時は連系開閉器が閉路し自立開閉器が開路するように制御され、自立運転モード時は自立開閉器が閉路し連系開閉器が開路するように制御される。
そして、連系開閉器が溶着故障した場合に自立運転モードを実施すると、自立運転出力が溶着故障した連系開閉器を介して商用電力系統へ流出するので、それを防止するため、連系開閉器を2段直列構成とすることが行われている。
また、特許文献1に開示される第2の系統連系インバータ装置においても、インバータ回路部の出力端と商用電力系統との間に2段直列構成の連系開閉器(特許文献1では「解列開閉器」と称している)を介在させ、1台の連系開閉器が溶着故障した場合に対処する構成が示されている。
特開2004−187362号公報
しかし、連系開閉器は、1台当たりのサイズが大きいので、その連系開閉器を2段直列構成とする場合、例えばAC200Vの商用電力系統に連系する容量4kWの系統連系インバータ装置であれば、20アンペア以上の電流容量のものが必要となる。よって、大きなスペースが必要であり、コストアップを招来するという問題がある。
また、第2の系統連系インバータ装置では、2台の連系開閉器が同時に溶着した場合には系統連系インバータ装置が運転を開始してしまう可能性があるという問題があり、それを解決するため、特許文献1では、インバータ回路部と商用電力系統との間に接続された1台の連系開閉器と、インバータ回路部の出力を制御する制御回路と、連系開閉器のインバータ回路部側の端子間電圧を検出する電圧検出器とを備え、制御回路が、インバータ動作を停止させるとともに連系開閉器をオフにした連系運転を開始する直前の状態において、電圧検出器が検出した端子間電圧をもとに連系開閉器が正常か否かを判断する系統連系インバータ装置が提案されている。
しかし、この特許文献1に記載の技術では、電圧検出器の電圧または周波数を比較して連系開閉器の異常を検出しているため、連系開閉器の2つの接片の内いずれか一方が溶着しているような場合には、異常を検出できない場合があるという問題がある。また、商用電力系統が停電状態であった場合には、連系開閉器の溶着状態の有無にかかわらず、連系開閉器前後の電圧検出器の検出電圧は概ねゼロとなるため、連系開閉器の溶着の有無を検出できないという問題もある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、インバータ回路部と商用電力系統との間に設置する連系開閉器の故障を確実に検出できる系統連系インバータ装置を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる系統連系インバータ装置は、外部直流電源の直流電力をスイッチング素子のオン/オフによって交流電力に変換するインバータ回路部と、前記インバータ回路部と商用電力系統との間に設置される1台の連系開閉器と、前記インバータ回路部内のインバータ回路を構成するスイッチング素子をオン/オフ制御して当該インバータ回路部の出力を制御するとともに、前記連系開閉器を開閉制御して当該インバータ回路部と前記商用電力系統との間の連系とその解除とを制御する制御回路と、前記連系開閉器の前記インバータ回路部側の両端電圧を検出する第1の電圧検出部と、前記連系開閉器の系統側の一方端と前記インバータ回路部の一方の直流入力との間の電圧を検出する第2の電圧検出部と、前記連系開閉器の系統側の他方端と前記インバータ回路部の一方の直流入力との間の電圧を検出する第3の電圧検出部とを備え、前記制御回路は、前記インバータ回路部の運転前に、前記連系開閉器を開路させた状態において、前記第1の電圧検出部がゼロボルトから大きく外れた電圧値を検出した場合には、前記連系開閉器の異常と判断して前記インバータ回路部の運転開始への移行を中止し、一方、前記第1の電圧検出部がゼロボルトに近い電圧値を検出した場合には、前記インバータ回路部に或る定めた電圧を出力させ、その或る定めた電圧に対応した電圧値を前記第2の電圧検出部または前記第3の電圧検出部が検出した場合に前記連系開閉器に異常があると判断して前記インバータ回路部の運転開始への移行を中止することを特徴とする。
本発明によれば、インバータ回路部の運転開始前に、インバータ回路部と商用電力系統との間に設置する連系開閉器の故障を確実に検出できる。よって、安全を確保するためインバータ回路部と商用電力系統との間に、連系開閉器の他に交流開閉器を追加する必要がなくなるので、連系開閉器を1台設置する構成としても、安全を確保することができる共に、小型化、低コスト化が図れるという効果を奏する。
図1は、本発明の実施の形態1による系統連系インバータ装置の要部構成を示すブロック図である。 図2は、本発明の実施の形態2による系統連系インバータ装置の要部構成を示すブロック図である。 図3は、本発明の実施の形態3による系統連系インバータ装置の要部構成を示すブロック図である。
以下に、本発明にかかる系統連系インバータ装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1による系統連系インバータ装置の要部構成を示すブロック図である。図1では、太陽光発電システムで用いた系統連系インバータ装置の構成例が示されている。この点は、以下に示す実施の形態2,3においても同様である。また、図1では、商用電力系統との連系運転機能と商用電力系統を切り離した自立運転機能とを切り替えて実施できる系統連系インバータ装置が示されている。この点も、以下に示す実施の形態2,3において同様である。
図1において、実施の形態1による系統連系インバータ装置1aは、インバータ回路部2と、1台の連系開閉器3と、自立開閉器4と、自立出力端5と、制御回路6aと、第1の電圧検出部7と、第2の電圧検出部8と、第3の電圧検出部9とを備えている。
インバータ回路部2は、コンバータ回路2aと、インバータ回路2bと、フィルタ回路2cとを備えている。
コンバータ回路2aは、コンデンサ11と、リアクトル12と、スイッチング素子13と、出力ダイオード14とで構成される。これらの素子は、図示例では昇圧回路を構成するように配置されている。すなわち、コンデンサ11は、外部直流電源である太陽電池25の正極および負極の出力端間に並列接続の関係で配置されている。リアクトル12の一端はコンデンサ11の正極端に接続され、リアクトル12の他端はスイッチング素子13の一端と出力ダイオード14のアノードとの接続端に接続されている。出力ダイオード14のカソードは、コンバータ回路2aの正極出力端として正極母線Pに接続されている。コンバータ回路2aの負極出力端は、コンデンサ11の負極端とスイッチング素子13の他端と共に負極母線Qに接続されている。
インバータ回路2bは、コンデンサ15と複数のスイッチング素子とを備えている。コンデンサ15は、当該インバータ回路2bの入力端を構成すべく、正極母線Pと負極母線Qとの間に接続されている。複数のスイッチング素子は、図示例では、正極母線Pと負極母線Qとの間に直列に接続されたスイッチング素子「16a,16b」「16c,16d」の2アームで構成されている。各アームの上端正極側スイッチング素子16a,16cと下端負極側スイッチング素子16b,16dとの各接続端は、それぞれインバータ回路2bの出力端を構成している。なお、図1では、スイッチング素子「16a,16b」の直列回路をアーム17aとし、スイッチング素子「16a,16b」の直列回路をアーム17bとしている。
フィルタ回路2cは、図示例では、インバータ回路2bの2つ出力端に一端がそれぞれ接続されるリアクトル18a,18bと、リアクトル18a,18bの他端間に接続されるコンデンサ19とで構成されている。リアクトル18a,18bの各他端は、インバータ回路部2の交流出力端であり、連系開閉器3と自立開閉器器4とが並列に接続されている。
以上のように構成されるインバータ回路部2では、コンバータ回路2aにて、太陽電池25が発生する直流電圧がインバータ回路2bの動作に必要な直流電圧まで昇圧される。インバータ回路2bでは、コンバータ回路2aから入力される直流電圧がコンデンサ15にて母線電圧として平滑保持され、その母線電圧が2つのアーム17a,17bにおける各スイッチング素子のオンオフ動作により交流電圧へ変換される。フィルタ回路2cは、インバータ回路2bから入力されるパルス幅変調された交流電圧が正弦波状の滑らかな交流波形をした交流電圧に整形して平滑化する。
フィルタ回路2cの交流出力は、連系開閉器3の接片3a,3bの一端に印加され、並行して、自立開閉器4の接片4a,4bの一端に印加される。連系開閉器3の接片3a,3bの他端には商用電力系統26が接続され、自立開閉器4の接片4a,4bの他端には自立出力端5が接続されている。自立出力端5は、家庭や工場などで用いる一般電気機器の電源コードのプラグを差し込むコンセントであり、例えば、建物の壁面などに用意されている。
ここで、リアクトル18aの他端(インバータ回路部2の一方の交流出力端)をRと表記し、リアクトル18bの他端(インバータ回路部2の他方の交流出力端)をSと表記すれば、第1の電圧検出部7は、リアクトル18aの他端Rとリアクトル18bの他端Sとの間の電圧(つまりインバータ回路部2の出力電圧)を検出し制御回路6aに出力する。
また、商用電力系統26の一方端を連系開閉器3の接片3aの他端に接続する系統接続ラインをTと表記し、商用電力系統26の他方端を連系開閉器3の接片3bの他端に接続する系統接続ラインをUと表記すれば、第2の電圧検出部8は、系統接続ラインTと負極母線Qとの間の電圧を検出し、制御回路6aに出力する。同様に第3の電圧検出部9は、系統接続ラインUと負極母線Qとの間の電圧を検出し、制御回路6aに出力する。
制御回路6aは、コンバータ回路2aに昇圧動作を行わせるようにスイッチング素子13にスイッチング動作を行わせる。また、制御回路6aは、インバータ回路2bの2つのアーム17a,17bを構成するスイッチング素子「16a,16b」「16c,16d」に、コンバータ回路2aから入力される直流電力を交流電力に変換するスイッチング動作を行わせる。そして、制御回路6aは、連系運転モード時では連系開閉器3を閉路制御して自立開閉器4を開路制御し、変換した交流電力を商用電力系統26に対して供給する制御を行う。また、制御回路6aは、自立運転モード時では自立開閉器4を閉路制御して連系開閉器3を開路制御し、変換した交流電力を自立出力端5から一般電気機器に対して供給する制御を行う。
要するに、本実施の形態による系統連系インバータ装置は、太陽電池25にて発電された直流電力を交流電力へ変換し、その変換した交流電力を、商用電力系統26に対して供給する連系運転モードと、自立出力端5から図示しない負荷(各種電気機器)に対して供給する自立運転モードとを切り替えて実施できる機能を備えているが、この動作は公知であるから、詳細説明は割愛し、この明細書では、本実施の形態に関わる部分、つまり、インバータ回路部2の出力端と商用電力系統26との間に介在させる連系開閉器が、1台の連系開閉器に他の交流開閉器を直列接続した2段直列構成ではなく、1台の連系開閉器3のみによる1段構成となっている点について説明する。
図1において、制御回路6aは、インバータ回路部2の運転を開始する前に、3つの電圧検出部(7,8,9)の検出値に基づき連系開閉器3の異常有無を判定し、正常であると判定したとき、インバータ回路部2の運転を開始し、例えば商用電力系統26との連系動作制御へ移行する。当然、異常であると判定したときは、運転を開始しないで、異常である旨を図示しない表示器に表示するようになっている。以下、具体的に説明する。
制御回路6aは、インバータ回路部2の運転を開始する前に、つまり、コンバータ回路2aおよびインバータ回路2bの各スイッチング素子をオフ状態に制御している場合に、連系開閉器3を開路状態に制御しておく。この状態で、3つの電圧検出部(7,8,9)の検出値を監視し、次のような措置を採る。
第1の電圧検出部7が検出した電圧値がゼロボルトから大きく外れた値である場合は、連系開閉器3が短絡故障していると判断できるので、制御回路6は、インバータ回路部2の運転開始への移行を中止し、異常である旨を図示しない表示器に表示する。
また、第1の電圧検出部7が検出した電圧値がゼロボルトに近い値である場合は、制御回路6aは、インバータ回路部2が正極母線Pと負極母線Qとの間の母線電圧の例えば略1/2の直流電圧を出力するように、コンバータ回路2aおよびインバータ回路2bの各スイッチング素子を制御し、リアクトル18aの他端Rおよびリアクトル18bの他端Sの負極母線Qに対する電圧が、いずれも正極母線Pと負極母線Qとの間の母線電圧の略1/2となるようにする。そして、第2の電圧検出部8と第3の電圧検出部9の各検出値を監視する。
すなわち、第2の電圧検出部8の検出値は、負極母線Qに対する系統接続ラインTの電圧値であり、これが正極母線Pと負極母線Qとの間の母線電圧の略1/2であれば、連系開閉器3の接片3aが溶着などして導通状態にあると判断できる。同様に、第3の電圧検出部9の検出値は、負極母線Qに対する系統接続ラインUの電圧値であり、これが正極母線Pと負極母線Qとの間の母線電圧の略1/2であれば、連系開閉器3の接片3bが溶着などして導通状態にあると判断できる。
なお、連系開閉器3の接片3a,3bの故障有無を検出する目的でインバータ回路部2に出力させる電圧は、正極母線Pと負極母線Qとの間の母線電圧の略1/2の直流電圧として説明したが、それに限定するものではなく、インバータ回路部2が出力可能な任意の電圧でよい。
また、第2の電圧検出部8や第3の電圧検出部9は、負極母線Qと連系開閉器3の系統側との間の電圧を検出するとしたが、インバータ回路部2の電圧を代表していればよいから、負極母線Qに代えて正極母線Pとしてもよい。
このように、本実施の形態1によれば、インバータ回路部の運転前に、連系開閉器の短絡故障や各接片の故障有無を確実に検出することができる。この故障有無判定動作は、商用電力系統が通電状態であるか、停電状態であるかに関係なく実施することができる。
よって、安全を確保するためインバータ回路部と商用電力系統との間に、連系開閉器の他に交流開閉器を追加する必要がなくなるので、連系開閉器を1台だけ設置する構成としても、安全を確保することができ、同時に小型化、低コスト化が図れる。
実施の形態2.
図2は、本発明の実施の形態2による系統連系インバータ装置の要部構成を示すブロック図である。なお、図2では、図1(実施の形態1)に示した構成要素と同一ないし同等である構成要素には同一の符号が付されている。ここでは、本実施の形態2に関わる部分を中心に説明する。
図2において、実施の形態2による系統連系インバータ装置1bは、図1(実施の形態1)に示した構成において、第2の電圧検出部8に代えて、系統電圧検出部10が設けられている。それに伴い、制御回路6aに代えて、制御回路6bが設けられている。その他の構成は、図1と同様である。
系統電圧検出部10は、連系開閉器3の系統側電圧、つまり系統接続ラインTと系統接続ラインUとの間の系統電圧を検出し、それを制御回路6bに出力する。
制御回路6bは、第3の電圧検出部9が検出した電圧値に系統電圧検出部10が検出した電圧値を加算することで、実施の形態1にて示した第2の電圧検出部8が検出した電圧値に相当する電圧値を検出することができる。
本実施の形態2では、連系開閉器3の異常有無を実施の形態1と同様の手順で判定することができる。つまり、制御回路6bは、インバータ回路部2の運転前に、連系開閉器3を開路させた状態において、第1の電圧検出部7がゼロボルトから大きく外れた電圧値を検出した場合には、連系開閉器の異常と判断して運転開始への移行を中止し、異常である旨を図示しない表示器に表示する。
一方、第1の電圧検出部7がゼロボルトに近い電圧値を検出した場合には、インバータ回路部2に或る定めた電圧を出力させ、その或る定めた電圧に対応した電圧を第3の電圧検出部9または系統電圧検出部10が検出した場合に連系開閉器3に異常があると判断して運転開始への移行を中止し、異常である旨を図示しない表示器に表示する。
ここで、系統連系インバータ装置では、系統連系運転時では商用電力系統26の電圧を検出して運転制御を行う必要があるので、系統電圧検出部10は、通常装備されており、その常備されている系統電圧検出部10を活用できる。よって、本実施の形態2では、実施の形態1にて示した第2の電圧検出部8を追加する必要がなくなるという特徴がある。
実施の形態3.
図3は、本発明の実施の形態3による系統連系インバータ装置の要部構成を示すブロック図である。なお、図3では、図2(実施の形態2)に示した構成要素と同一ないし同等である構成要素には同一の符号が付されている。ここでは、本実施の形態3に関わる部分を中心に説明する。
図3に示すように、実施の形態3による系統連系インバータ装置1cは、単相三線式系統27に連系するように構成されている。単相三線式系統27は、2つの単相系統27a,27bを直列に接続した構成で示され、単相系統27a,27bの直列回路の一端(単相系統27a側)に接続される系統接続ラインTと、単相系統27a,27bの直列回路の他端(単相系統27b側)に接続される系統接続ラインUと、単相系統27a,27bの接続端に繋がる系統接続ラインOとの三線を有する。
単相三線式系統27に連系する系統連系インバータ装置1cでは、系統開閉器3の接片3aに系統接続ラインTを通して単相系統27a,27bの直列回路の一端(単相系統27a側)が接続され、系統開閉器3の接片3bに系統接続ラインUを通して単相系統27a,27bの直列回路の他端(単相系統27b側)が接続される。
そして、図2に示した第1の電圧検出部7と第3の電圧検出部9は、変更なく同様の電圧を検出するように配置されるが、図2に示した系統電圧検出部10は、系統電圧検出部10a,10bに分割される。
系統電圧検出部10aは、系統接続ラインTと単相系統27a,27bの接続端に繋がる系統接続ラインOとの間の電圧を検出し、制御回路6cに出力する。また系統電圧検出部10bは、系統接続ラインUと系統接続ラインOとの間の電圧を検出し、制御回路6cに出力する。
制御回路6cは、系統電圧検出部10a,10bの各検出値を合計して図2に示した系統電圧検出部10の検出値と等しい検出値を得ることができるので、実施の形態2と同様の手順で、インバータ回路部2の運転開始前に連系開閉器3の故障有無を判定することができる。
実施の形態4.
本発明の実施の形態4では、図1(実施の形態1)、図2(実施の形態2)および図3(実施の形態3)に示した構成において、インバータ回路2bの動作を変更した故障検出動作の例を示す。ここでは、図1を用いて説明する。
図1において、制御回路6aは、インバータ回路部2が運転を開始する前に、連系開閉器3を開路状態にしておく。この状態で、制御回路6aは、第1の電圧検出部7で検出された電圧がゼロボルトから大きく外れている場合は、連系開閉器3が短絡故障しているものと判断し、インバータ回路部2の運転開始への移行を中止する。
一方、第1の電圧検出部7で検出した電圧がゼロボルトに近い場合には、制御回路6aは、インバータ回路2bの両方のアーム17a,17bの動作を次の(1)(2)のように制御する。
(1)制御回路6aは、インバータ回路2bの一つのアーム17aから、或る定めた電圧(インバータ回路2bが出力可能な電圧)として、インバータ回路2bの正極母線Pと負極母線Qとの間の母線電圧の例えば略2分の1の直流電圧を出力するように、コンバータ回路2aのスイッチング素子13およびインバータ回路2bのアーム17aを構成するスイッチング素子16a,16bを制御する一方、インバータ回路2bのもう一つのアーム17bについてはスイッチング素子16c,16dをオフ状態に制御する。
そうすると、リアクトル18aの他端Rの負極母線Qに対する電圧は、正極母線Pと負極母線Qとの間の母線電圧の略2分の1となり、リアクトル18bの他端Sの負極母線Qに対する電圧は不定となる。
この場合に、連系開閉器3の接片3aが溶着するなどして導通状態であれば、第2の電圧検出部8が検出する負極母線Qに対する系統接続ラインTの電圧は、正極母線Pと負極母線Qとの間の母線電圧の略2分の1となるので、接点3aの異常を検出することができる。
このとき、さらに接片3bが溶着している場合でもインバータ回路2bの片側のアーム17bをオフ状態としているので、インバータ回路2bのアーム17aからフィルタ回路2c、連系開閉器3の接片3a、商用電力系統26、連系開閉器3の接片3b、およびフィルタ回路2cを介してインバータ回路2bのアーム17bに至る回路に過大な電流は流れない。
(2)制御回路6aは、インバータ回路2bの一つのアーム17bから、或る定めた電圧(インバータ回路2bが出力可能な電圧)として、インバータ回路2bの正極母線Pと負極母線Qとの間の母線電圧の例えば略2分の1の直流電圧を出力するように、コンバータ回路2aのスイッチング素子13およびインバータ回路2bのアーム17bを構成するスイッチング素子16c,16dを制御する一方、インバータ回路2bのもう一つのアーム17aについてはスイッチング素子16a,16bをオフ状態に制御する。
そうすると、リアクトル18bの他端Sの負極母線Qに対する電圧は、正極母線Pと負極母線Qとの間の母線電圧の略2分の1となり、リアクトル18aの他端Rの負極母線Qに対する電圧は不定となる。
この場合に、連系開閉器3の接片3bが溶着するなどして導通状態であれば、第3の電圧検出部9が検出する負極母線Qに対する系統接続ラインUの電圧は、正極母線Pと負極母線Qとの間の母線電圧の略2分の1となるので、接点3bの異常を検出することができる。
このとき、さらに接片3aが溶着している場合でもインバータ回路2bの片側のアーム17aをオフ状態としているので、インバータ回路2bのアーム17bからフィルタ回路2c、連系開閉器3の接片3b、商用電力系統26、連系開閉器3の接片3a、およびフィルタ回路2cを介してインバータ回路2bのアーム17aに至る回路に過大な電流は流れない。
なお、インバータ回路2bのスイッチング回路は、本実施の形態1,2,3では、2アームで構成される場合を示したが、3アームで構成される場合もある。その3アームで構成される場合は、1つのアームはオフ状態に制御し、残りの2つのアームを用いて上記した(1)(2)の動作制御を行うことになることは言うまでもない。
このように、本実施の形態4によれば、インバータ回路部の運転開始前に、インバータ回路部内のインバータ回路が有するアームのうちの2つのアームの一方を或る定めた電圧を出力するように動作させ、他方のアームをオフ状態に動作させることにより、連系開閉器のそれぞれの接片の故障の有無を確実に検出できる。この故障検出動作は、商用電力系統が通電状態であるか、停電状態であるかに関係なく同様に行える。そして、連系開閉器のすべての接片が短絡状態だった場合に、インバータ回路を動作させても、片側のアームはオフ状態にするので、過大な電流が流れる恐れがない。
なお、以上の説明では、直流発電システムとして、太陽電池発電システムを示したが、本発明にかかる系統連系インバータ装置は、燃料電池発電システムにて用いる系統連系インバータ装置にも同様に適用することができることは言うまでもない。
また、以上の説明では、連系開閉器の故障を検出するためにインバータが出力する或る定めた電圧として直流電圧を出力する例を示したが、交流の電圧などでも同様の効果を得ることができる。
以上のように、本発明にかかる系統連系インバータ装置は、インバータ回路部と商用電力系統との間に設置する連系開閉器の故障を確実に検出できる系統連系インバータ装置として有用である。
1a,1b,1c 系統連系インバータ装置、2 インバータ回路部、2a コンバータ回路、2b インバータ回路、2c フィルタ回路、3 連系開閉器、4 自立開閉器、5 自立出力端、6a,6b,6c 制御回路、7 第1の電圧検出部、8 第2の電圧検出部、9 第3の電圧検出部、10,10a,10b 系統電圧検出部、11,15,19 コンデンサ、12,18a,18b リアクトル、13,16a,16b,16c,16d スイッチング素子、14 出力ダイオード、25 太陽電池(外部直流電源)、26 商用電力系統、27 単相三線式系統。

Claims (4)

  1. 外部直流電源の直流電力をスイッチング素子のオン/オフによって交流電力に変換するインバータ回路部と、
    前記インバータ回路部と商用電力系統との間に設置される1台の連系開閉器と、
    前記インバータ回路部内のインバータ回路を構成するスイッチング素子をオン/オフ制御して当該インバータ回路部の出力を制御するとともに、前記連系開閉器を開閉制御して当該インバータ回路部と前記商用電力系統との間の連系とその解除とを制御する制御回路と、
    前記連系開閉器の前記インバータ回路部側の両端電圧を検出する第1の電圧検出部と、
    前記連系開閉器の系統側の一方端と前記インバータ回路部の一方の直流入力との間の電圧を検出する第2の電圧検出部と、
    前記連系開閉器の系統側の他方端と前記インバータ回路部の一方の直流入力との間の電圧を検出する第3の電圧検出部とを備え、
    前記制御回路は、
    前記インバータ回路部の運転前に、前記連系開閉器を開路させた状態において、
    前記第1の電圧検出部がゼロボルトから大きく外れた電圧値を検出した場合には、前記連系開閉器の異常と判断して前記インバータ回路部の運転開始への移行を中止し、
    一方、前記第1の電圧検出部がゼロボルトに近い電圧値を検出した場合には、前記インバータ回路部に或る定めた電圧を出力させ、その或る定めた電圧に対応した電圧値を前記第2の電圧検出部または前記第3の電圧検出部が検出した場合に、前記連系開閉器に異常があると判断して前記インバータ回路部の運転開始への移行を中止する
    ことを特徴とする系統連系インバータ装置。
  2. 外部直流電源の直流電力をスイッチング素子のオン/オフによって交流電力に変換するインバータ回路部と、
    前記インバータ回路部と商用電力系統との間に設置される1台の連系開閉器と、
    前記インバータ回路部内のインバータ回路を構成するスイッチング素子をオン/ オフ制御して当該インバータ回路部の出力を制御するとともに、前記連系開閉器を開閉制御して当該インバータ回路部と前記商用電力系統との間の連系とその解除とを制御する制御回路と、
    前記連系開閉器の前記インバータ回路部側の両端電圧を検出する第1の電圧検出部と、
    前記連系開閉器の系統側の一方端と前記インバータ回路部の一方の直流入力との間の電圧を検出する第2の電圧検出部と、
    前記連系開閉器の系統側の両端電圧を検出する系統電圧検出部とを備え、
    制御回路は、
    前記インバータ回路部の運転前に、前記連系開閉器を開路させた状態において、
    前記第1の電圧検出部がゼロボルトから大きく外れた電圧値を検出した場合には、前記連系開閉器の異常と判断して前記インバータ回路部の運転開始への移行を中止し、
    一方、前記第1の検出部がゼロボルトに近い電圧値を検出した場合には、前記インバータ回路部に或る定めた電圧を出力させ、その或る定めた電圧に対応した電圧を前記第2の電圧検出部または前記系統電圧検出部が検出した場合に、前記連系開閉器に異常があると判断して前記インバータ回路部の運転開始への移行を中止する
    ことを特徴とする系統連系インバータ装置。
  3. 前記制御回路は、
    前記インバータ回路部の運転前に、前記連系開閉器を開路させた状態において、
    前記インバータ回路内の2つのアームのうち一方のアームから或る定めた電圧を出力させ、前記インバータ回路の他方のアームを構成するスイッチング素子をオフ状態に制御し、続いて前記インバータ回路の前記2つのアームの動作を入れ替えて同様に制御し、その過程での前記3つの電圧検出部の検出値に基づき、前記連系開閉器の異常有無を判定する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の系統連系インバータ装置。
  4. 前記制御回路は、
    前記連系開閉器に異常があると判断した場合に、異常である旨を表示する
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の系統連系インバータ装置。
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