以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。
図1は、本実施の形態における照明装置10の外観を示す図である。図2は、図1に示された照明装置10の構成を示すブロック図である。この照明装置10は、商用交流電源20からの電力供給の下で動作し、非接触で点灯及び消灯の操作をすることができる照明装置であり、電源11、光源12、制御部13、及び、近接センサ14を備える。
電源11は、商用交流電源20からの交流電力を光源12に適した形態の電力に変換し、変換した電力を、制御部13からの制御の下で、光源12に供給する回路であり、例えば、整流回路、チョッパ回路などを含む。なお、この電源11は、制御部13及び近接センサ14の動作用電圧も生成し、それぞれに供給している。
光源12は、光を発する発光部であり、例えば、LED(Light Emitting Diode)、有機EL(Electro−Liminescence)素子、蛍光灯、又は、白熱灯などである。
近接センサ14は、物体が接近したことを検知するセンサであり、電磁波を放射し、放射した電磁波が物体で反射した反射電磁波を検知し、反射電磁波の検知を示す検知信号を出力する近接センサの一例である。本実施の形態では、近接センサ14は、電磁波として、赤外線を放射し、反射電磁波として、反射赤外線を検知する。そのために、近接センサ14は、赤外線を放射する発光素子、反射赤外線を検知する受光素子、制御部13からの指示に従って発光素子を発光させ、受光素子からの信号を制御部13に出力するための制御回路などを備える。検知信号は、例えば、図3に示されるような特性を有する信号である。図3は、近接センサ14の出力特性を示す図であり、ここでは、略0〜50cmの検知距離(物体から近接センサ14までの距離)に対して、略5〜1Vの波高の信号(パルス信号)が出力される例が示されている。
より詳しくは、この近接センサ14は、図4に示される動作をする。図4は、近接センサ14の動作タイミングを示す図である。近接センサ14は、制御部13から、赤外線を放射し反射赤外線の検知を行うことを指示する信号(図4の(a)における「検知指示信号」)を受信すると、パルス的(間欠的)に赤外線を放射することを繰り返す(図4の(b))。たとえば、検知指示信号がHighの期間に、近接センサ14は、500Hzの繰り返し周波数(周期2ms)で、約17%のオンデューティ比で、赤外線を放射し、反射赤外線を検知する。そして、物体を検知した場合には、近接センサ14は、図4の(c)に示されるように、最大応答時間(ここでは、40ms)以内に、検知信号を生成し、制御部13に出力する。ここで、「最大応答時間」とは、近接センサ14が反射電磁波(ここでは、反射赤外線)を検知してから制御部13に検知信号を出力するまでの時間(応答時間)について起こり得る最大時間である。近接センサ14は、反射赤外線を受光した受光素子からの信号を内部のタイミング回路に同期して積分することによって検知信号を生成するために、応答時間として、幅(20〜40ms)を有する。
なお、近接センサ14としては、赤外線を用いたセンサに限られず、電磁波を用いたセンサであってもよい。たとえば、近接センサ14は、マイクロ波等の無線を用いて距離を検知する測距センサであってもよい。
制御部13は、近接センサ14の制御、及び、近接センサ14からの検知信号に基づいて電源11を制御することで光源を点灯及び消灯させる制御を行う回路であり、プロセッサ13a、D/A変換器13b、及び、比較器13cを有する。D/A変換器13bは、プロセッサ13aからの指示(デジタル信号)に応じたアナログ電圧を発生するデジタル・アナログ変換器である。比較器13cは、D/A変換器13bからのアナログ電圧を閾値として、近接センサ14からの検知信号が閾値を超えたかどうかを判断し、その結果をプロセッサ13aに出力するコンパレータである。プロセッサ13aは、制御プログラム及びタイマなどを内蔵する1チップマイクロコンピュータなどであり、比較器13cからの信号に基づいて近接センサ14及び電源11を制御したり、D/A変換器13bを制御したりする。
この制御部13は、次のような特徴的な動作をする。図5は、制御部13による特徴的な制御を説明するタイミング図である。ここで、図5に示されるように、近接センサ14が赤外線の放射及び反射赤外線の検知を行う期間を検知期間と呼び、近接センサ14が赤外線の放射を止めて反射赤外線の検知を行わない期間を非検知期間と呼ぶ。図5には、近接センサ14が反射赤外線を検知しないとき(図5の(a))、及び、近接センサ14が反射赤外線を検知したとき(図5の(b)及び(c))におけるタイミング図が示されている。図5の(b)は、近接センサ14が通常の検知期間(最大応答時間)よりも十分に早いタイミングで反射赤外線を検知したときのタイミング図である。図5の(c)は、近接センサ14が通常の検知期間(最大応答時間)が終了する直前で反射赤外線を検知したときのタイミング図である。図5の(a)〜(c)において、上側に配置されたタイミング図は、制御部13から近接センサ14に送信される検知指示信号のタイミングを示し、下側に配置されたタイミング図は、近接センサ14から制御部13に出力される検知信号の波形を示している。
第一の特徴として、制御部13は、検知期間と非検知期間との合計(周期)を一定時間にしたうえで検知期間と非検知期間とが交互に繰り返され、かつ、近接センサ14による検知に関する状態に応じて検知期間の長さが変化するように、近接センサ14を制御する。図5の(a)〜(c)に示されるように、検知期間と非検知期間とは交互に繰り返され、一つの検知期間とそれに続く非検知期間とからなる区間(一つの検知サイクル)の時間(周期)は常に一定(ここでは、250ms)である。ただし、近接センサ14による検知の状態に応じて、一つの検知サイクルにおける検知期間の長さが変動する。このような特徴により、検知期間と非検知期間とが交互に繰り返されるので、検知期間だけが継続するケースに比べ、省電力化が図られる。また、近接センサ14による物体の検知の有無に拘わらず、検知期間が繰り返される周期が一定となるので、ユーザが近接センサ14に手などの物体を近付けてから照明装置10が反応するまでの時間についてのばらつきが抑制される。つまり、どんな状態(近接センサ14の検知状態)であっても、近接センサ14の反応に対するユーザの使用感が変わることが回避される。
第二の特徴として、図5の(a)に示されるように、制御部13は、近接センサ14から検知信号が出力されてこないときには検知期間が最大応答時間で終了するように、近接センサ14を制御する。つまり、通常(待機時)の検知期間は、最大応答時間に設定されている。このような特徴により、物体が近接センサ14に接近したかどうかが、一周期ごとに、確実に判定される。
第三の特徴は、図5の(b)に示される動作である。制御部13は、検知期間が最大応答時間に達するまでに、近接センサ14から検知信号が出力されてその検知信号が予め定められた安定状態になったときには、検知期間が最大応答時間に達するのを待つことなく終了するように、近接センサ14を制御する。図5の(b)では、図5の(a)に比べ、検知期間がより短い期間で終了している。このような特徴により、一つの検知サイクルにおいて、近接センサ14が反射赤外線を検知したにも拘わらず無駄な赤外線の放射が継続されてしまうことが回避され、さらなる省電力化が図られる。なお、「予め定められた安定状態」とは、近接センサ14が確実に物体を検知したことを示す検知信号の状態であり、言い換えると、近接センサ14から有効な検知信号が出力された状態である。ここでは、検知信号の波高が予め定められた閾値(電圧)を超えた場合に、検知信号が「予め定められた安定状態」になったと判断される。
第四の特徴は、図5の(c)に示される動作である。制御部13は、検知期間が最大応答時間に達するまでに近接センサ14から検知信号が出力されてきた場合には、検知信号が予め定められた安定状態になるまで検知期間が継続するように近接センサ14を制御する。つまり、制御部13は、近接センサ14からの検知信号が立ち上がったが、その検知信号が安定状態になるまでに検知期間が最大応答時間に達したときには、検知期間が最大応答時間より長く継続するように近接センサ14を制御する。図5の(c)では、図5の(a)に比べ、検知期間がより長く継続している。これにより、通常の検知期間の終了直前で反射赤外線が検知された場合であっても完全な検知信号が生成されるまで検知期間が延長されるので、制御部13での検知処理が次の周期に回されてしまうことが回避され、より早い反応(検知処理)が実現される。
次に、以上のように構成された本実施の形態における照明装置10の動作について説明する。図6は、本実施の形態における照明装置10の動作を示すフローチャートである。
まず、制御部13は、近接センサ14に検知指示信号(Highレベル)を送信することで、近接センサ14による赤外線の放射及び反射赤外線の検知をオンする(S10)。これにより、検知期間が開始される。
続いて、制御部13は、近接センサ14から出力されてくる検知信号が立ち上がったか否かを判断する(S11)。具体的には、制御部13は、近接センサ14から出力されてくる検知信号が予め定められた閾値を超えたか否かを判断する。ここで、「予め定められた閾値」は、検知信号が立ち上がったことを検知するための閾値であり、例えば、検知信号のノイズレベルよりもわずかに高い電圧であって、上述した「予め定められた安定状態」を判定するための閾値と同じか、低い電圧に設定されている。このステップでは、より詳しくは、制御部13において、プロセッサ13aから予め定められた閾値の指示(デジタル値)を受けたD/A変換器13bは、そのデジタル値をアナログ電圧に変換し、比較器13cに出力する。比較器13cは、そのアナログ電圧と近接センサ14から出力されてくる検知信号とを比較し、検知信号がアナログ電圧を超えた場合に、そのことを示す信号をプロセッサ13aに出力する。これにより、プロセッサ13aは、検知信号が予め定められた閾値を超えているか否かを判断する。
その結果、検知信号が立ち上がっていないと判断した場合には(S11でNo)、制御部13は、近接センサ14をオン(S10)してからの経過時間(つまり、検知期間)が最大応答時間に達したか否かを判断する(S12)。具体的には、制御部13において、プロセッサ13aは、近接センサ14をオンしたときにスタートさせた内蔵のタイマの値が最大応答時間を超えた(例えば、45ms以上になった)か否かを判断する。その結果、検知期間が最大応答時間に達していない場合には(S12でNo)、制御部13は、再び検知信号の立ち上がりを判断する(S11)。一方、検知期間が最大応答時間に達している場合には(S12でYes)、制御部13は、近接センサ14をオフする(S15)。これにより、近接センサ14から検知信号が出力されてこないとき(待機時)には、検知期間が最大応答時間で終了する(図5の(a)参照)。
一方、検知信号が立ち上がったと判断した場合には(S11でYes)、制御部13は、立ち上がった検知信号が予め定められた安定状態になったか否かを確認する(S13)。具体的には、制御部13は、検知信号が、予め定められた安定状態になったことを確認するための予め定められた閾値(≧上記立ち上がりの判定のための閾値)を超えたか否かを判断する。より詳しくは、予め定められた安定状態になったことを確認するための予め定められた閾値に相当する指示(デジタル値)がプロセッサ13aからD/A変換器13bに出力され、D/A変換器13bで変換されたアナログ電圧が比較器13cに出力される。そして、比較器13cで、そのアナログ電圧と検知信号とが比較され、その比較結果がプロセッサ13aに出力される。これにより、プロセッサ13aは、検知信号が予め定められた閾値を超えているか否かを判断することで、検知信号が予め定められた安定状態になったか否かを判断する。
その結果、検知信号が予め定められた安定状態にならなかったと判断した場合には(S13でNo)、制御部13は、その検知信号が有効な検知信号でないと判断し、元の処理に戻り、検知期間の判断を行う(S12)。一方、検知信号が予め定められた安定状態になったと判断した場合には(S13でYes)、制御部13は、電源11を制御することで、光源12を点灯/消灯(光源12が消灯していた場合には点灯し、点灯していた場合には消灯)する(S14)。
続いて、制御部13は、近接センサ14に出力していた検知指示信号(High)を終了する(Lowレベルにする)することで、近接センサ14による赤外線の放射を止めて反射赤外線の検知をオフする(S15)。これにより、検知期間が終了し、非検知期間が開始される。
このように、立ち上がった検知信号が予め定められた安定状態になった場合には(S13)、光源12の点灯/消灯した後に(S14)、経過時間に依存することなく、検知期間が終了する(S15)。よって、このようなケースでは、検知信号が立ち上がるタイミングに依存して、検知期間が最大応答時間に達するまでに終了することもあるし(図5の(b)参照)、検知期間が最大応答時間を超えて終了することもある(図5の(c)参照)。これにより、検知期間が最大応答時間に達するまでに終了した場合には、省電力化が図られ、一方、検知期間が最大応答時間を超えて終了した場合には、制御部13での検知処理が次の周期に回されることが回避され、より早い反応(検知処理)が実現される。
最後に、制御部13は、近接センサ14をオン(S10)してからの経過時間(つまり、検知期間と非検知期間との合計)が予め定められた一定の周期に達したか否かを判断する(S16)。具体的には、制御部13において、プロセッサ13aは、近接センサ14をオンしたときにスタートさせた内蔵のタイマの値が一定の周期に達した(例えば、250ms以上になった)か否かを判断する。その結果、制御部13は、経過時間が一定の周期に達していない場合には(S16でNo)、その判断を繰り返し(S16)、経過時間が一定の周期に達した場合には(S16でYes)、再び、上記一連の処理を繰り返す(S11〜S16)。
図7は、本実施の形態における照明装置10を構成する構成要素間での通信のやり取りの一例を示す通信シーケンス図である。
制御部13からの検知指示信号(High)により(S20)、近接センサ14において赤外線の放射がオン(検知期間が開始)される(S21)。そして、ここでは、この検知期間の開始後、最大応答時間が経過するまでに近接センサ14から検知信号が出力されなかったので、最大応答時間が経過した時点で、制御部13からの近接センサ14に検知指示信号(Low)が入力される(S22)。これにより、近接センサ14において、赤外線の放射がオフ(検知期間が終了、つまり、非検知期間が開始)する(S23)。なお、検知指示信号(High)が入力されてから赤外線の放射がオンされるまで間の時間、及び、検知指示信号(Low)が入力されてから赤外線の放射がオフされるまで間の時間は、検知期間及び非検知期間に比べて無視できる程度に短い。よって、検知指示信号(High)の入力と赤外線の放射がオンされるタイミング、及び、検知指示信号(Low)の入力と赤外線の放射がオフされるタイミングは、同時と見なせる。
続いて、直前の検知期間が開始(S21)してから一定の周期が経過した時点で、再び、制御部13からの検知指示信号(High)により(S24)、近接センサ14において検知期間が開始される(S25)。その後、この検知期間の開始後、最大応答時間が経過するまでに、手などの物体が近接センサ14に接近し、近接センサ14からの検知信号が立ち上がる(S26)。そして、制御部13において、この検知信号が予め定められた安定状態になったと判断され、制御部13によって電源11が制御され(S27)、その結果、光源12が点灯/消灯される(S28)。続いて、制御部13から近接センサ14に送信されていた検知指示信号がLowとなり(S29)、検知期間が終了(非検知期間が開始)する(S30)。
その後、直前の検知期間が開始(S25)してから一定の周期が経過した時点で、再び、制御部13からの検知指示信号(High)により(S31)、近接センサ14において検知期間が開始される(S32)。
以上のように、本実施の形態の照明装置10によれば、制御部13からの検知指示信号による制御によって、近接センサ14での検知期間と非検知期間との合計(周期)を一定時間にしたうえで検知期間と非検知期間とが交互に繰り返される。これにより、検知期間だけが継続するケースに比べ、省電力化が図られる。そして、近接センサ14による検知に関する状態に応じて検知期間の長さは変化するが、検知期間が繰り返される周期は一定である。よって、ユーザが近接センサ14に手などの物体を近付けてから照明装置10が反応するまでの時間についてのばらつきが抑制され、どんな状態(近接センサ14の検知状態)であっても、近接センサ14の反応に対するユーザの使用感が変わることがない。つまり、近接センサ14の反応速度は常に一定となる。
また、近接センサ14から検知信号が出力されてこないとき(待機時)には、検知期間が最大応答時間で終了するので、物体が近接センサ14に接近したかどうかが、一周期ごとに、確実に判定される。
また、検知期間が最大応答時間に達するまでに、近接センサ14から検知信号が出力され、出力された検知信号が予め定められた安定状態になったときには、検知期間が最大応答時間に達するのを待つことなく終了する。これにより、一つの検知サイクルにおいて、近接センサ14が反射赤外線を検知したにも拘わらず無駄な赤外線の放射が継続されてしまうことが回避され、さらなる省電力化が図られる。つまり、本発明を使用しない場合、検知期間は最大応答時間と安定時間(検知信号が出力されてから安定状態になるまでの時間)との合計になるが、本発明によれば、検知期間はより短い時間となり、省電力化が図られる。同時に、近接センサ14にとっては、無駄な赤外線の放射が抑制され、赤外線を放射する発光素子が長寿命化される。
また、検知期間が最大応答時間に達するまでに近接センサ14から検知信号が出力されてきた場合には、検知信号が予め定められた安定状態になるまで検知期間が継続するように近接センサ14が制御される。つまり、近接センサ14からの検知信号が立ち上がり、安定状態になるまでに検知期間が最大応答時間に達したときには、検知期間が最大応答時間より長く継続するように延長される。これにより、通常の検知期間の終了直前で反射赤外線が検知された場合であっても完全な検知信号が生成されるまで検知期間が延長されるので、制御部13での検知処理が次の周期に回されてしまうことが回避され、より早い反応(検知処理)が実現される。
なお、上記実施の形態では、検知信号が有効に出力されたか否かの判断に用いられる閾値、つまり、検知信号が予め定められた安定状態になったことを確認するための閾値は、検知サイクルに依存することなく一定であった。しかしながら、この閾値は、検知サイクルに依存して変化させてもよい。以下、検知信号が有効に出力されたか否かの判断に用いられる閾値を変更する形態について、上記実施の形態の変形例として、説明する。なお、本変形例は、基本的には、上記実施の形態と同じ構成要素によって実現される。ただし、照明装置10が備える制御部13(厳密には、プロセッサ13a)の機能が上記実施の形態と本変形例とで異なる。以下、異なる点を中心に説明する。
図8は、本変形例における照明装置10の制御部13による特徴的な制御を説明するタイミング図であり、上記実施の形態における図5に対応する。この図8には、近接センサ14が反射赤外線を検知しないとき(図8の(a))、及び、近接センサ14が反射赤外線を検知したとき(図8(b))におけるタイミング図が示されている。図8の(a)及び(b)において、上側に配置されたタイミング図は、制御部13から近接センサ14に送信される検知指示信号のタイミングを示し、下側に配置されたタイミング図は、近接センサ14から制御部13に出力される検知信号の波形を示している。
ここでは、制御部13は、検知信号が予め定められた安定状態になったことを確認するための閾値の初期値(待機時における閾値)として、低い値(例えば、ユーザが設定した値より低い値)を用いる。つまり、制御部13は、待機時においては、低い値に設定した閾値を用いて、近接センサ14から有効な検知信号が出力されたか否かを高感度で監視する(図8の(a))。そして、そのような低い値を超える検知信号を検出したときには、制御部13は、次の検知期間では、閾値をより高い値(例えば、ユーザが設定した値)に変更する。そして、制御部は、変更後の閾値(高い値に設定した閾値)を用いて(通常感度で)、近接センサ14から有効な検知信号が出力されたか否かを監視する(図8の(b)における後の検知期間)。検知信号が低い閾値と高い閾値とを連続で(連続する検知サイクルで)超えた場合に、制御部13は、有効な検知信号が出力されたと判断し、光源12を点灯/消灯する。
このように、制御部13は、繰り返される検知期間の一つを第1検知期間とした場合に、検知信号が第1検知期間において予め定められた第1閾値を超え、かつ、第1検知期間に続く第2検知期間において第1閾値よりも大きい第2閾値を超えたときに、近接センサ14が物体を検知したと判断し、光源12の点灯及び消灯を制御する。これにより、高感度な検知信号の検出が可能となり、かつ、検知信号の検出におけるチャタリングが防止される。また、検出信号の最初の検出に用いられる閾値は、通常の設定値よりも低い値であるので、通常の検知よりも早いタイミングで有効な検知信号が検出される可能性が高い。よって、その分だけ、検知期間が短く終了する可能性があり(図5の(b)参照)、省電力化が図られる。同時に、近接センサ14にとっては、検知期間が短くなった分だけ赤外線の放射が抑制され、赤外線を放射する発光素子が長寿命化される。
図9Aは、本変形例における照明装置10の動作を示すフローチャートである。
まず、制御部13は、高感度で検知信号を検知すべき状態(Flag=0)であるか、通常感度で検知信号を検知すべき状態(Flag=1)であるかを管理するためのフラグFlagを初期化(フラグFlagを「0」にセット)する(S40)。なお、フラグFlagは、プロセッサ13aの内部メモリに一時的に記憶される変数である。
続いて、制御部13は、フラグFlagの値が「1」にセットされているか否かを判断する(S41)。その結果、フラグFlagの値が「1」でない場合には(S41でNo)、制御部13は、高感度で、近接センサ14からの検知信号が有効に出力されてきたか否かを監視する(S42)。
ステップS42(高感度での検知信号の監視)の詳細は、図9Bに示されるフローチャートの通りである。図9Bのフローチャートは、図6のフローチャートに対して、ステップS13の直前にステップS50が挿入されている点、ステップS14に代えてステップS51が実行される点、及び、ステップS16からステップS10へ戻る流れがない点だけが異なる。図6と同じステップには、図6と同じ符号が付されている。ここでは、制御部13は、検知信号の立ち上がりを検出すると(S11でYes)、検知信号が予め定められた安定状態になったことを確認するための閾値を低い値(例えば、ユーザが設定した値より低い値)に設定する(S50)。そして、制御部13は、低い値に設定した閾値を用いて、検知信号が予め定められた安定状態になったか否か、つまり、近接センサ14から有効な検知信号が出力されたか否かを高感度で監視する(S13)。検知信号が予め定められた安定状態になったと判断した場合には(S13でYes)、制御部13は、フラグFlagを「1」にセットする(S14)。他の処理は、図6のフローチャートと同様である。このように、高感度での検出信号の監視においては(S42、図9B)、有効な検知信号が検知された場合にはフラグFlagが「1」にセットされ、そうでない場合にはフラグFlagが「0」のまま維持される。
その後、再び図9Aを参照して、再びフラグFlagの判定が行われる(S41)。ここで、もし、直前の検知期間における高感度での検知信号の監視(S42)において有効な検知信号が検出されていた場合には、フラグFlagが「1」にセットされるので、制御部13は、フラグFlagの値が「1」であると判断する(S41でYes)。その結果、制御部13は、続く検知期間では、通常感度で、近接センサ14からの検知信号が有効に出力されてきたか否かを監視する(S43)。
ステップS43の詳細は、図9Cに示されるフローチャートの通りである。図9Cのフローチャートは、図6のフローチャートに対して、ステップS13の直前にステップS55が挿入されている点、ステップS16からステップS10へ戻る流れがない点、及び、ステップS16の後にステップS56が挿入されている点だけが異なる。図6と同じステップには、図6と同じ符号が付されている。ここでは、制御部13は、検知信号の立ち上がりを検出すると(S11でYes)、検知信号が予め定められた安定状態になったことを確認するための閾値をより高い値(例えば、ユーザが設定した値より低い値)に変更する(S55)。そして、制御部13は、高い値に設定した閾値を用いて、検知信号が予め定められた安定状態になったか否か、つまり、近接センサ14から有効な検知信号が出力されたか否かを通常感度で監視する(S13)。検知信号が予め定められた安定状態になったと判断した場合には(S13でYes)、制御部13は、電源11を制御することで、光源12を点灯/消灯(光源12が消灯していた場合には点灯し、点灯していた場合には消灯)する(S14)。そして、ここでの最後の処理として(ステップS16の後に)、制御部13は、フラグFlagを「0」に戻す(S56)。他の処理は、図6のフローチャートと同様である。このように、この検知期間における通常感度での検出信号の監視においては(S43、図9C)、有効な検知信号が検知された場合にだけ光源12が点灯/消灯される(S14)。そして、最後に、有効な検知信号が検知されたか否かに拘わらず、必ずフラグFlagが「0」に戻される(S56)。
その後、再び図9Aを参照して、再びフラグFlagの判定(S41)と、その結果に応じた処理(S42/S43)とが繰り返される。このような流れにより、低い閾値で検知信号が検出され、かつ、その検知期間に続く検知期間においてより高い閾値で検出信号が検出された場合にだけ、近接センサ14から有効な検知信号が出力されたと判断され、光源12が点灯/消灯される。
このように、制御部13は、繰り返される検知期間の一つを第1検知期間とした場合に、検知信号が第1検知期間において予め定められた第1閾値を超え、かつ、第1検知期間に続く第2検知期間において第1閾値よりも大きい第2閾値を超えたときに、近接センサ14が物体を検知したと判断し、光源12の点灯及び消灯を制御する。これにより、高感度な検知信号の検出が可能となり、かつ、検知信号の検出におけるチャタリングが防止される。また、検出信号の最初の検出に用いられる閾値は、通常の設定値よりも低い値であるので、通常の検知よりも早いタイミングで有効な検知信号が検出される可能性が高い。よって、その分だけ、検知期間が短く終了する可能性があり(図5の(b)参照)、省電力化が図られる。
以上、本発明に係る照明装置について、実施の形態及び変形例に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施の形態及び変形例に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態及び変形例に施したものや、実施の形態及び変形例における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明に含まれてもよい。
たとえば、上記実施の形態及び変形例では、検知信号の波高が予め定められた閾値(電圧)を超えた場合に、検知信号が「予め定められた安定状態」になったと判断されたが、「予め定められた安定状態」の判定手法は、これに限られない。検知信号が立ち上がった後に、検知信号の波高が一定時間以上、変化しない状態が続いた場合に、検知信号が「予め定められた安定状態」になった(つまり、近接センサ14から有効な検知信号が出力された)と判断してもよい。
また、上記実施の形態では、制御部13は、4つの特徴(第一〜第四の特徴)を有したが、4つの特徴の少なくとも一つを有していればよい。さらに、上記変形例では、上記4つの特徴を有する制御部13の変形動作を説明したが、この変形例においても、制御部13は、4つの特徴の少なくとも一つを有していればよい。
また、上記実施の形態では、近接センサ14は、検知信号として、アナログ電圧を出力したが、アナログ電圧の出力と共に、あるいは、それに代えて、デジタル値を出力してもよい。この場合には、制御部13では、近接センサ14から出力されたデジタル値がプロセッサ13aに入力され、プロセッサ13aにおいて検知信号と各種閾値との比較が行われるので、D/A変換器13b及び比較器13cは不要となる。