JP2015099745A - 二次電池、その製造方法および二次電池用電解液 - Google Patents

二次電池、その製造方法および二次電池用電解液 Download PDF

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Abstract

【課題】フッ素系溶媒を含む電解液の電極に対する含浸性を向上させ、生産性に優れた二次電池、および効率の良い製造方法を提供する。
【解決手段】リチウムを吸蔵・放出可能な正極と負極、非水電解溶媒を含む電解液とを有する二次電池であって、前記正極は、リチウムに対して4.5V以上で動作する正極活物質を有し、前記負極は、負極活物質として炭素質材料、およびバインダとして水分散型重合体および水溶性セルロース誘導体を含有する混合物を有し、前記電解液は、フッ素系溶媒を20体積%以上含有する非水電解溶媒、およびこの非水電解溶媒100重量%に対して、ノニオン系界面活性剤を0.1重量%以上含有することを特徴とする二次電池。
【選択図】なし

Description

本発明は、二次電池、特にリチウムイオン二次電池に関し、さらにはその製造方法、および二次電池用電解液に関する。
リチウムイオン二次電池は小型で大容量であるという特徴を有しており、携帯電話、ノート型パソコン等の電子機器の電源として広く用いられ、携帯用IT機器の利便性向上に貢献してきた。近年では、自動車などの動力源や、スマートグリッドのための蓄電装置といった、大型化した用途での利用にも注目を集めている。
リチウムイオン二次電池は、集電体上に形成された正極活物質を含有する正極活物質層と、集電体上に形成された負極活物質を含有する負極活物質層とが、セパレーターを介して対向して配置され、これらが電解液に浸漬されて外装体に収納された構造を有する。リチウムイオン二次電池の生産性を向上させるには、電極に対する電解液の含浸性が良好であることが求められる。
一般的なリチウムイオン電池では、正極には金属酸化物が活物質として用いられるため、カーボネート系電解液とは親和性が高く含侵性は問題とならない。これに対し、負極の活物質には、黒鉛などの炭素材料が使用される。一般に、炭素系活物質の表面エネルギーは小さく、電解液との親和性が低いため、電解液の含浸性が悪い。このため、界面活性剤を用いて濡れ性を改善する手法が開示されている。
例えば、特許文献1(特開2006−339010号公報)には、特定のリチウム塩(即ち、ジフルオロ(トリフルオロ−2−オキシド−2−トリフルオロ−メチルプロピオナト(2−)−0,0)ホウ酸リチウム)を支持塩として用いた電解液の含浸性を高めるために、非イオン性界面活性剤としてトリアルキルフォスフェートを添加することで、負極に対する電解液の含浸性が向上することが記載されている。
また、特許文献2(特開平7−263027号公報)には、電解液に、界面活性剤、特にフッ素系界面活性剤を添加することで電極への含浸が向上することが記載されている。
また、界面活性剤を添加することで、電池特性を向上させる提案として、特許文献3(特開平9−161844号公報)には、電解液にHLB値が15以下の非イオン系界面活性剤を添加することで、電解液と電極間の界面エネルギーを低下させ、電池の負荷特性を向上させることが記載されている。
特許文献4(特開2002−33124号公報)には、フッ素系界面活性剤を添加することで、電極への濡れ性が向上することが記載されている。
一方、リチウムイオン二次電池の更なる性能の向上のため、エネルギー密度を上げる方法として、容量の大きな活物質を用いる方法や、電池の動作電位を上げる方法、充放電効率、サイクル寿命などを向上させる方法などが挙げられる。この中でも電池の動作電位を上げる方法は、従来の組電池よりも直列数の少ない組電池を提供できるため、電気自動車等に使用される電池モジュールの小型化、軽量化に有効な手段である。
リチウムイオン二次電池の正極活物質として、コバルト酸リチウムやマンガン酸リチウムといった動作電位が4V級(平均動作電位=3.6〜3.8V:対リチウム電位)にあるものが用いられている。これは、CoイオンまたはMnイオンの酸化還元反応(Co3+←→Co4+もしくはMn3+←→Mn4+)によって発現電位が規定されるためである。これに対して、例えばスピネル型マンガン酸リチウムのMnをNi、Co、Fe、Cu、Crなどで置換した化合物を活物質として用いることで、5V級(平均動作電位=4.6V以上:対リチウム電位)を示すことが知られている。このような化合物中で、Mnは4価の状態で存在し、Mnの酸化還元反応に代わって、置換元素の酸化還元によって動作電位が規定されることになる。
例えば、LiNi0.5Mn1.5は、容量が130mAh/g以上あり、平均動作電位がLi金属に対して4.6V以上あり、高いエネルギー密度を持つ材料として期待できる。更に、スピネル型リチウムマンガン酸化物は三次元のリチウム拡散経路を持ち、他の化合物より、熱力学的安定性に優れている、合成が容易、原料が比較的安価で資源量が豊富、といった利点もある。
一方、5V級の正極を用いた場合、長期サイクルや高温条件下において、電解液の分解によるガス発生や容量低下といった問題が顕著に現れてくる。電解液の分解を防止するため、耐酸化性の高い電解液の開発が進められている。
特許文献5、6(特開2003−100342号公報、特開2003−168480号公報)には、4.5V以上の充放電領域を示す正極活物質を用いた際に、フッ素化エーテル、フッ素化炭酸エステル、フッ素化エステル、フッ素化アクリレート、フッ素化環状カーボネートといったフッ素化物を溶媒として用いた二次電池が記載されている。
特許文献7(WO08/078626号公報)には、フッ素系溶媒を含む電解液に、フッ素系界面活性剤を添加することで、難燃性を保ちながら、電池容量およびレート特性が向上することが記載されている。
特開2006−339010号公報 特開平7−263027号公報 特開平9−161844号公報 特開2002−33124号公報 特開2003−100342号公報 特開2003−168480号公報 WO08/078626号公報
特許文献5、6に記載されたフッ素化合物系溶媒は、耐電圧性に優れるために、高電位で動作する正極活物質と共に使用することが可能である。しかしながら、フッ素系溶媒は、カーボネート系の溶媒と比較して粘度が高く、電極への含浸性が悪いため、電池の生産性が低下する問題がある。
特許文献1〜4には、前述のとおり電解液に界面活性剤を添加することが提案されているが、フッ素系溶媒を用いた電解液に、単純に添加しても、電解液の電極に対する含浸性の向上は達成できなかった。
本発明は、フッ素系溶媒を含む電解液の電極に対する含浸性を向上させ、生産性に優れた二次電池、および効率の良い製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一実施形態は、リチウムを吸蔵・放出可能な正極と負極、非水電解溶媒を含む電解液とを有する二次電池であって、
前記正極は、リチウムに対して4.5V以上で動作する正極活物質を有し、
前記負極は、負極活物質として炭素質材料、およびバインダとして水分散型重合体および水溶性セルロース誘導体を含有する混合物を有し、
前記電解液は、フッ素系溶媒を20体積%以上含有する非水電解溶媒、およびこの非水電解溶媒100重量%に対して、ノニオン系界面活性剤を0.1重量%以上含有すること
を特徴とする二次電池に関する。
本発明の一実施形態によれば、電極への電解液の含浸工程が容易で効率的に生産することのでき、かつ4.5V以上の高電位を示す正極材料を用いた二次電池を提供することができる。
本実施形態に係る二次電池の断面構造を示す図である。 二次電池を搭載した電気自動車の概念図である。 HLBと含浸時間の関係を示す図である。
電解液の電極に対する含浸性を向上させるために、電解液に界面活性剤を添加することが考えられるが、本発明者の検討では、フッ素系溶媒を用いた電解液に、界面活性剤を単に添加しても、電解液の電極に対する含浸性の向上は達成できなかった。例えば特許文献2および特許文献4に記載されたようなフッ素系の界面活性剤は、非フッ素系溶媒には効果的であるが、フッ素系溶媒を用いた電解液に対しては、含浸性の向上は認められなかった(実施例参照)。フッ素系溶媒の添加効果で、既に表面張力が低くなっているため、さらに界面活性剤を添加しても濡れ性を改善する効果が得られないものと推定される。
そこで、本発明者は、電解液の含浸性を改善する方法としては、活物質間の空隙を大きくする方法を検討した。例えば、SBRなどのゴム系材料は、活物質をゴム粒子が点で接着するため、広く用いられているPVdFに比べ少量で結着力が得られ、その結果活物質間の空隙を大きく取れる。しかし、ゴム系バインダを用いた空隙率の改良は、フッ素系の電解液に対して、染み込み時間を改善する効果はあるものの、従来型のカーボネート系溶媒に比べると、その改善効果は十分ではなかった。さらに、負極バインダによって界面活性剤の影響が大きく異なることも判明した。
本発明者は、さらに検討を進めた結果、負極活物質として炭素質材料を含有する負極において、バインダとして水分散型重合体および水溶性セルロース誘導体を含有する混合物を使用し、フッ素系溶媒を20体積%以上含有する非水電解溶媒、およびノニオン系界面活性剤を非水電解溶媒に対して0.1重量%以上含有する電解液を使用することで、前記課題が達成されることを見いだしたものである。
以下に、本実施形態の二次電池の構成材料、二次電池の構成、および製造方法等について、詳細に説明する。
<負極>
負極活物質としては、コークス類、ガラス状炭素類、黒鉛類、難黒鉛化性炭素類、熱分解炭素類、炭素繊維等の炭素質材料;Al、Si、Pb、Sn、Zn、Cd、Sb等の金属またはこれらとリチウムとの合金;LiFe、WO、MoO、SiO、SiO、CuO、SnO、SnO、Nb、LiTi2−x(0≦x≦1)、PbO、PbO等の金属酸化物;SnS、FeS等の金属硫化物;金属リチウム、リチウム合金;Li(LiN)、LiMnN、LiFeN、Li2.5Co0.5N、LiCoN等の窒化リチウム;ポリアセン、ポリチオフェン等の有機半導体または導電体;およびこれらと炭素の複合体が挙げられる。これらの材料は、単独で、または二種以上を混合して、使用することができる。
本実施形態においては、負極活物質として炭素質材料を含むことが好ましく、負極活物質の全てが炭素質材料であってもよい。負極活物質として使用される炭素質材料としては、特に黒鉛材料が好ましく、負極活物質表面に形成させる皮膜とバインダ・電解液界面に形成される皮膜の界面の抵抗を低減して、リチウムイオンの移動をよりスムーズにすることができる。黒鉛材料は、表面を核材より結晶性の低い炭素で被覆しても良い。負極活物質を含む負極活物質層には、インピーダンスを低下させる目的で、導電補助材を添加してもよい。導電補助材としては、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン等の炭素質微粒子が挙げられる。これらのBET比表面積は、10m/g以上であることが好ましい。
負極バインダとしては、水分散型重合体および水溶性セルロース誘導体を含有する混合物が好ましい。
水分散型重合体とは、重合体が水系分散媒体中に分散したものであり、エマルジョン(ラテックス)と呼ばれる形態が好ましい。例えば、アクリル系樹脂エマルジョン、スチレン系樹脂エマルジョン、酢酸ビニル系重合体エマルジョン、ウレタン系樹脂エマルジョン、ジエン系重合体(合成ゴム系)エマルジョン等が挙げられる。フッ素を含有しないものが好ましい。特にジエン系重合体が好ましく、特にブタジエン、クロロプレンおよびイソプレン等のジエンモノマーを構成ユニットとして含む重合体が好ましい。具体的には、ポリブタジエン系合成ゴム、クロロプレン系合成ゴム、イソプレン系合成ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、(メタ)アクリル酸エステル−ブタジエンゴムなどが挙げられる。これらは必要により、スチレンおよびアクリロニトリル等のビニルモノマーの少なくとも1種を共重合したものであってもよい。特に好ましくは、スチレンおよびブタジエンを含むSBR(必要により他のビニルモノマーを含んでもよい)である。
水溶性セルロース誘導体としては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、シアノエチルセルロース、アクリルアミドセルロース等の水溶性のセルロース誘導体が使用される。特に好ましくは、カルボキシメチルセルロースである。これらの水溶性セルロース誘導体は、増粘剤としても機能する。
水溶性セルロース誘導体の使用量は、通常、水分散型重合体100質量部(固形分)に対して、好ましくは10〜1000重量部(固形分)、より好ましくは10〜400重量部である。
バインダとしては、水分散型重合体(好ましくはジエン系重合体)および水溶性セルロース誘導体に加えて、その他のバインダを添加してもよい。また、バインダが水分散型重合体および水溶性セルロース誘導体のみで構成されてもよい。
使用する負極用結着剤の量は、トレードオフの関係にある「十分な結着力」と「高エネルギー化」の観点から、負極活物質100質量部に対して、0.5〜5質量部が好ましい。
負極は、負極活物質としての炭素質材料、バインダとして少なくとも水分散型重合体および水溶性セルロース誘導体、および必要により導電補助材等を含むスラリー(水分散スラリー)を調製し、スラリーを負極集電体上に塗布し、乾燥することで製造することができる。
<正極>
4.5V以上の電位で動作する正極活物質として、スピネル型、オリビン型、Si複合酸化物、層状構造を有する正極活物質等が挙げられる。
本実施形態においては、例えば、下記式(4)で表されるスピネル型のリチウムマンガン複合酸化物を用いることができる。
Li(MMn2−x−y)(O4−w) (4)
(式(4)中、0.4≦x≦1.2、0≦y、x+y<2、0≦a≦1.2、0≦w≦1である。MはCo、Ni、Fe、Cr及びCuよりなる群から選ばれる少なくとも一種である。Yは、Li、B、Na、Mg、Al、Ti、Si、K及びCaからなる群より選ばれる少なくとも一種である。Zは、F又はClの少なくとも一種である。)。
なお、式(4)において、aが0のとき、Yは少なくともLiを含み、0<yであることが好ましい。yが0のとき、0<aであることが好ましい。
4.5V以上の電位で動作する正極活物質は、十分な容量を得ることと高寿命化の観点から、下記式(4−1)で表されるスピネル型のリチウムマンガン複合酸化物であることがより好ましい。
LiNiMn2−x−y (4−1)
(式(4−1)中、0.4<x<0.6、0≦y<0.3、Aは、Li、B、Na、Mg、Al、Ti及びSiから選ばれる少なくとも一種である。)。
式(4−1)において、0≦y<0.2または0<y<0.3であることが好ましい。また、式(4−1)において、Aは、Li、Ti、およびSiから選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
4.5V以上の電位で動作するスピネル型の正極活物質としては、例えば、LiNi0.5Mn1.5、LiCrMn2−x(0.4≦x≦1.1)、LiFeMn2−x(0.4≦x≦1.1)、LiCuMn2−x(0.3≦x≦0.6)、LiCoMn2−x(0.4≦x≦1.1)、LiCrMnO、LiFeMnO、LiCoMnO、または、LiCu0.5Mn1.5等及びこれらの固溶体が挙げられる。これらの正極活物質は高容量である。
4.5V以上の電位で動作するオリビン型の正極活物質としては、例えば、
LiMPO (5)
(式(5)中、MはCo及びNiの少なくとも一方である。)
が挙げられ、LiCoPO4、又はLiNiPO等が好ましい。
また、4.5V以上の電位で動作する正極活物質としては、Si複合酸化物も挙げられ、Si複合酸化物としては、例えば、LiMSiO(M:Mn、Fe、Coのうちの少なくとも一種)が挙げられる。
また、4.5V以上の電位で動作する正極活物質としては、層状構造を有するものも挙げられ、例えば、
Li(Li1−x−zMn)O (6)
(式(6)中、0≦x<0.3、0.3≦z≦0.7であり、MはCo、Ni、Feから選ばれる少なくとも一種である。)
が挙げられる。
正極活物質を含む正極活物質層には、インピーダンスを低下させる目的で、導電補助材を添加してもよい。導電補助材としては、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン等の炭素質微粒子が挙げられる。これらのBET比表面積は、10m/g以上であることが好ましい。
バインダとしては、正極に用いられるものであれば、特に限定はされない。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミドイミド等が挙げられる。中でも、汎用性や低コストの観点から、ポリフッ化ビニリデンが好ましい。使用する正極用結着剤の量は、トレードオフの関係にある「十分な結着力」と「高エネルギー化」の観点から、正極活物質100質量部に対して、2〜10質量部が好ましい。
正極の製造は、例えばN−メチルピロリドン等の有機溶媒を分散媒体として、正極活物質、バインダおよび必要によりとして導電補助材等を含むスラリーを調製し、このスラリーを正極集電体上に塗布し、乾燥することで実施することができる。
<電解液>
本実施形態の電解液は、少なくとも支持塩、非水電解溶媒および界面活性剤を含む。
本実施形態において使用可能な支持塩としては、典型的にはLiPFが挙げられるが、その他にも、LiAsF、LiAlCl、LiClO、LiBF、LiSbF、LiCFSO、LiCSO、LiC(CFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiB10Cl10等のリチウム塩が挙げられる。また、支持塩としては、他にも、低級脂肪族カルボン酸カルボン酸リチウム、クロロボランリチウム、四フェニルホウ酸リチウム、LiBr、LiI、LiSCN、LiCl等が挙げられる。支持塩は、一種を単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。
非水電解溶媒は、フッ素系溶媒を20体積%以上の範囲で含有する。さらに耐電圧性を向上するためには、非水電解溶媒が、好ましくはフッ素系溶媒を30体積%以上、より好ましくは50体積%以上の範囲で含有する。非水電解溶媒中のフッ素系溶媒の割合が100重量%であってもよいが、通常、非フッ素系溶媒も含有することが好ましい。フッ素系溶媒の割合は、好ましくは90体積%以下、より好ましくは80体積%以下、さらに好ましくは70体積%以下である。
本明細書において、フッ素系溶媒とは、溶媒である化合物(エーテル、エステル等)において、炭化水素部分の水素の少なくとも1つがフッ素で置換されている化合物を意味する。
フッ素系溶媒としては、フッ素化エーテル、フッ素化リン酸エステル、フッ素化カルボン酸エステル、フッ素化カーボネート等が挙げられる。これらは、エーテル、リン酸エステル、カルボン酸エステル、カーボネート等の化合物中の水素の少なくとも1つがフッ素で置換された化合物である。
フッ素化エーテルとしては、特に限定されないが、例えば、CFOCH、CFOC、F(CFOCH、F(CFOC、CF(CF)CHO(CF)CF、F(CFOCH、F(CFOC、F(CFOCH、F(CFOC、F(CFOCH、F(CFOC、F(CFOCH、F(CFOC、F(CFOCH、CFCHOCH、CFCHOCHF、CFCFCHOCH、CFCFCHOCHF、CFCFCHO(CFH、CFCFCHO(CFF、HCFCHOCH、(CF)(CF)CHO(CFH、H(CFOCHCH、H(CFOCHCF、H(CFCHOCHF、H(CFCHO(CFH(FE1と略記)、H(CFCHO(CFH、H(CFCHO(CFH、H(CHF)CHO(CFH、(CFCHOCH、(CFCHCFOCH、CFCHFCFOCH、CFCHFCFOCHCH、CFCHFCFCHOCHF、CFCHFCFOCH(CFF、CFCHFCFOCHCFCFH、H(CFCHO(CFH(FE2と略記)、CHCHO(CFF、F(CFCHO(CFH、H(CFCHOCFCHFCF、F(CFCHOCFCHFCF、H(CFCHO(CF)H、CFOCH(CFF、CFCHFCFOCH(CFF、CHCFOCH(CFF、CHCFOCH(CFF、CHO(CFF、F(CFCHOCH(CFF、F(CFCHOCH(CFF、H(CFCHOCH(CFH、CHCFOCH(CFHなどが挙げられる。
フッ素化リン酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、トリス(トリフルオロメチル)リン酸エステル、トリス(ペンタフルオロエチル)リン酸エステル、トリス(2,2,2−トリフルロオロエチル)リン酸エステル(FPと略記)、トリス(2,2,3,3−テトラフルオロエチル)リン酸エステル、トリス(3,3,3−トリフルロオロペンチル)リン酸エステル、トリス(2,2,3,3,3−ペンタフルロオロペンチル)リン酸エステル等のフッ素化アルキルリン酸エステル化合物が挙げられる。中でも、フッ素化リン酸エステル化合物として、トリス(2,2,2−トリフルロオロエチル)リン酸エステル(FP)が好ましい。フッ素化リン酸エステルは、一種を単独で、または二種以上を組み合わせて使用することができる。
フッ素化カルボン酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、ペンタフルオロプロピオン酸エチル、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸エチル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピオン酸メチル、酢酸2,2−ジフルオロエチル、ヘプタフルオロイソ酪酸メチル、2,3,3,3−テトラフルオロプロピオン酸メチル、ペンタフルオロプロピオン酸メチル、2−(トリフルオロメチル)−3,3,3−トリフルオロプロピオン酸メチル、ヘプタフルオロ酪酸エチル、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸メチル、酢酸2,2,2−トリフルオロエチル、トリフルオロ酢酸イソプロピル、トリフルオロ酢酸tert−ブチル、4,4,4−トリフルオロ酪酸エチル、4,4,4−トリフルオロ酪酸メチル、2,2−ジフルオロ酢酸ブチル、ジフルオロ酢酸エチル、トリフルオロ酢酸n−ブチル、酢酸2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、3−(トリフルオロメチル)酪酸エチル、テトラフルオロ−2−(メトキシ)プロピオン酸メチル、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸3,3,3トリフルオロプロピル、ジフルオロ酢酸メチル、トリフルオロ酢酸2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、酢酸1H,1H−ヘプタフルオロブチル、ヘプタフルオロ酪酸メチル、トリフルオロ酢酸エチル、などが挙げられる。
フッ素化カーボネートとしては、鎖状フッ素化カーボネートおよび環状フッ素化カーボネートのどちらも使用可能である。
鎖状フッ素化カーボネートは、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(DMC)等の鎖状カーボネートの水素原子の一つまたは複数がフッ素原子で置換されたものである。環状フッ素化カーボネートは、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)等の環状カーボネートの水素原子の一つまたは複数がフッ素原子で置換されたものである。
環状フッ素化カーボネートの具体例としては、下記のものを挙げることができる。即ち、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、等のフルオロエチレンカーボネート;
4−フルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−ジフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロ−4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロ−4−フルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロ−4−ジフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロ−4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、5−フルオロ−4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、5−フルオロ−4−フルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、5−フルオロ−4−ジフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、5−フルオロ−4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、等のフルオロプロピレンカーボネート;4−(2−フルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−(2,2−ジフルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−(2,2,2−トリフルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−(1−フルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−(1,1−ジフルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−(1,2−ジフルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−(1,1,2−トリフルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロ−4−(2−フルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロ−4−(2,2−ジフルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロ−4−(2,2,2−トリフルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロ−4−(1−フルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロ−4−(1,1−ジフルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロ−4−(1,2−ジフルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロ−4−(1,1,2−トリフルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロ−4−(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロ−4−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、5−フルオロ−4−(2−フルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、5−フルオロ−4−(2,2−ジフルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、5−フルオロ−4−(2,2,2−トリフルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、5−フルオロ−4−(1−フルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、5−フルオロ−4−(1,1−ジフルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、5−フルオロ−4−(1,2−ジフルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、5−フルオロ−4−(1,1,2−トリフルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、5−フルオロ−4−(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、5−フルオロ−4−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジフルオロ−4−(2−フルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジフルオロ−4−(2,2−ジフルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジフルオロ−4−(2,2,2−トリフルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジフルオロ−4−(1−フルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジフルオロ−4−(1,1−ジフルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジフルオロ−4−(1,2−ジフルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジフルオロ−4−(1,1,2−トリフルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジフルオロ−4−(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジフルオロ−4−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、5,5−ジフルオロ−4−(2−フルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、5,5−ジフルオロ−4−(2,2−ジフルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、5,5−ジフルオロ−4−(2,2,2−トリフルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、5,5−ジフルオロ−4−(1−フルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、5,5−ジフルオロ−4−(1,1−ジフルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、5,5−ジフルオロ−4−(1,2−ジフルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、5,5−ジフルオロ−4−(1,1,2−トリフルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、5,5−ジフルオロ−4−(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、5,5−ジフルオロ−4−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5,5−トリフルオロ−4−(2−フルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5,5−トリフルオロ−4−(2,2−ジフルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5,5−トリフルオロ−4−(2,2,2−トリフルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5,5−トリフルオロ−4−(1−フルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5,5−トリフルオロ−4−(1,1−ジフルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5,5−トリフルオロ−4−(1,2−ジフルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5,5−トリフルオロ−4−(1,1,2−トリフルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5,5−トリフルオロ−4−(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5,5−トリフルオロ−4−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、等のフルオロブチレンカーボネート;4−フルオロ−1,3−ジオキソール−2−オン、4,4−ジフルオロ−1,3−ジオキソール−2−オン、等のフルオロビニレンカーボネート等である。これらの環状フッ素化カーボネートは、一種を単独で、または二種以上を組み合わせて使用することができる。
非水電解溶媒は、非フッ素系溶媒を含有してもよい。特に、カーボネート化合物(非フッ素化)を含むことが好ましい。カーボネート化合物を用いることにより、電解液のイオン解離性が向上し、また電解液の粘度が下がる。そのため、イオン移動度を向上することができる。
電解液の分解によるガス発生を抑制するためには、フッ素系溶媒が有効と考えられるが、一般的にフッ素系溶媒は誘電率が低く、フッ素系溶媒の含有量を増やすとLiPFなどのリチウム塩を溶解させることが困難になる場合がある。一方、リチウム塩の溶解性の観点からはカーボネート系溶媒が有効と考えられる。
カーボネート化合物としては、環状カーボネート類および鎖状カーボネート類が挙げられる。カーボネート化合物としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(MEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)等が挙げられる。電解液は、カーボネート化合物を主溶媒として含むことが好ましい。非水電解溶媒中のカーボネート化合物の含有量は、10体積%以上であることが好ましく、20体積%以上であることがより好ましく、30体積%以上であることが特に好ましい。
非水電解溶媒中に含有してもよい非フッ素系溶媒(カーボネート化合物以外のもの)としては、例えば、γ−ブチロラクトン等のγ−ラクトン類、1,2−エトキシエタン(DEE)、エトキシメトキシエタン(EME)等の鎖状エーテル類、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等の環状エーテル類、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、プロピルニトリル、ニトロメタン、エチルモノグライム、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エチルエーテル、1,3−プロパンスルトン、アニソール、N−メチルピロリドン、フッ素化カルボン酸エステルなどの非プロトン性有機溶媒を挙げることができる。これらは、一種又は二種以上を混合して用いることができる。
<界面活性剤>
本実施形態において、界面活性剤としては、イオンを有しないノニオン系界面活性剤が最も好適である。
フッ素置換溶媒は非フッ素置換溶媒にくらべ、一般に極性が低いため、イオン系界面活性剤は解離しにくいため溶解性が劣る。また、イオンは、電池の充放電の駆動力であるリチウムイオンの吸蔵・放出を阻害するなどの副反応が懸念される。したがって、使用する界面活性剤の構造において、親水基部分は、カチオン基、アニオン基ではなく、ポリエーテル基のような非イオン系の官能基をもつ、所謂ノニオン系界面活性剤が好ましい。
また、さらに疎水基部分としては、一般にフッ素置換アルキル基が高い両親媒効果があるとされるが、水分散型重合体(例えばジエン系重合体)および水溶性セルロース誘導体(例えばカルボキシメチルセルロース)を含有する混合バインダを用いた負極に対しては、フッ素置換したアルキル基をもつ界面活性剤を用いても効果がない。フッ素置換した溶媒は、十分界面張力が低いため、フッ素系の界面活性剤を用いても、電解液の界面張力には影響しないためと考えられる。
非フッ素系の界面活性剤が効果を持つ理由は、必ずしも明らかではないが、疎水基の構造は、非ハロゲン置換の炭化水素基が好適であり、電池内で反応しないものが好ましいので、不飽和基のないものが望ましく、直鎖状でなくてもよいが、炭素と水素のみで構成される炭化水素基が好ましい。
疎水基部分としては、例えば、アルキル基、アルキルアリール基、アリールアルキル基等を挙げることができるが、好ましくはアルキル基である。疎水基の炭素数は、親水基とのバランスで選択することができるが、例えば4〜40、好ましくは6〜30、より好ましくは8〜25であり、最も好ましくは10〜20である。
親水基部分としては、ポリアルキレンオキサイド鎖が好ましく、例えばポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド鎖およびその混合鎖から選ばれることが好ましい。ポリアルキレンオキサイド鎖の重合度はおよそ3〜30程度である。
親水基部分と疎水基部分の接合は、電池の寿命への影響を考慮すると、耐電圧性や耐薬品性に優れる構造が好ましい。したがって、エステル基ではなくエーテル基による結合が好ましい。
従って、最も好ましい界面活性剤は、ポリオキシアルキレン(モノまたはジ)アルキルエーテルである。
バインダとして水分散型重合体および水溶性セルロース誘導体の混合バインダを用いた場合に効果的な界面活性剤の親水部分と疎水部分のバランスは、HLB値で規定できる。本実施形態において、電極の含浸性向上の目的のためには、HLB値で7以上17以下の範囲であることが好ましい。さらに9以上14以下の範囲であることがより好ましい。
HLB値とは、Hydrophile−Lipophile−Balance、親水性−親油性−バランスのことであり、化合物の親水性又は親油性の大きさを示す値である。HLB値が小さいほど親油性が高く、値が大きいほど親水性が高くなる。また、HLB値は以下のような計算式:
HLB値=20×親水部の式量の総和/分子量
(グリフィン法:J.Soc.Cosmetic Chem.,5(1954),294)等によって求めることができる。
好ましい界面活性剤の具体的な例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセシルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンイソデシルエーテル、ポリオキシエチレン−2−エチルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−アルキルエーテル、ポリオキシプロピレン−ステアリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはポリオキシプロピレンアルキルエーテルがあげられる。これらは、界面活性剤分子の一方が親水基で、もう一方が疎水基の構造をしているが、中央部に親水基があり、疎水基が両端部に位置している構造(ポリオキシエチレンジアルキルエーテルやポリオキシプロピレンジアルキルエーテルなど)でもよい。
界面活性剤の添加量は、非水電解溶媒100重量%に対して、少なくとも0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、さらに好ましくは、1.0重量%以上の量で含有される。また、好ましくは5.0重量%以下であり、より好ましくは3.0重量%以下である。
<セパレータ>
セパレータとしては、特に制限されるものではないが、ポリプロピレン、ポリエチレン、フッ素系樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド等の多孔質フィルムや不織布、また、これらを基材としてシリカやアルミナ、ガラスなどの無機物を、付着もしくは接合したものや、単独で不織布や布として加工したものを用いることができる。また、セパレータとしては、それらを積層したものを用いることもできる。
<集電体>
負極の集電体の材質としては、公知のものを任意に用いることができるが、例えば、銅、ニッケル、SUS等の金属材料が用いられる。中でも加工し易さとコストの点から特に銅が好ましい。また、負極の集電体も、予め粗面化処理しておくのが好ましい。さらに、集電体の形状も任意であり、箔状、平板状、メッシュ状等が挙げられる。また、エキスパンドメタルやパンチングメタルのような穴あきタイプの集電体を使用することもできる。
<外装体>
本実施形態における外装体としては、電解液に安定で、かつ十分な水蒸気バリア性を持つラミネートフィルムを用いることができる。例えば、このような外装体として、アルミニウム、シリカをコーティングしたポリプロピレン、ポリエチレン等のラミネートフィルムを用いることができる。特に、体積膨張を抑制する観点から、アルミニウムラミネートフィルムを用いることが好ましい。
電池内でガスが発生した際、外装体としてラミネートフィルムを用いた二次電池の場合、外装体として金属缶を用いた二次電池に比べて、電極の歪みが非常に大きくなる。これは、ラミネートフィルムが金属缶に比べて二次電池の内圧により変形しやすいためである。さらに、外装体としてラミネートフィルムを用いた二次電池を封止する際には、通常、電池内圧を大気圧より低くし、内部に余分な空間がないため、電池内でガスが発生した際には直ちに電池の体積変化や電極の変形が起きやすい。本実施形態によれば、フッ素系溶媒を含む電界液を用いるため、電池内のガス発生が抑えられこのような問題を解決することができる。積層ラミネート型のリチウムイオン二次電池は、放熱性に優れるため安全性に優れ、安価に提供でき、セル容量の設計の自由度が高く(積層数によりセル容量を変更でき)、金属缶を用いた巻回型の電池に対して種々の有利な特徴をもつが、このような積層ラミネート型のリチウムイオン二次電池のサイクル特性を向上できる。
<二次電池の基本構造>
本実施形態によるラミネート型のリチウムイオン二次電池の断面図を図1に示す。図1に示すように、本実施形態によるリチウムイオン二次電池は、アルミニウム箔等の金属からなる正極集電体3と、その上に設けられた正極活物質を含有する正極活物質層1とからなる正極、および銅箔等の金属からなる負極集電体4と、その上に設けられた負極活物質を含有する負極活物質層2とからなる負極を有する。正極および負極は、正極活物質層1と負極活物質層2とが対向するように、不織布やポリプロピレン微多孔膜などからなるセパレータ5を介して積層されている。この電極対は、アルミニウムラミネートフィルム等の外装ラミネート6で形成された容器内に収容されている。正極集電体3には正極リード端子8が接続けられ、負極集電体4には負極リード端子7が接続され、これらのタブは容器の外に引き出されている。容器内には電解液が注入され封止される。複数の電極対が積層された電極群が容器内に収容された構造とすることもできる。
<二次電池の製造方法>
本実施形態による二次電池は、通常の方法に従って作製することができる。例えば、次のようにして積層ラミネート型のリチウムイオン二次電池を作製することができる。
まず、前述に従って、正極集電体上に正極活物質層が設けられた正極と、負極集電体上に負極活物質層が設けられた負極を作製する。
次に、乾燥空気または不活性雰囲気において、正極および負極をセパレータを介して対向配置して電極対を形成し、所定の容量に応じた積層数の電極積層体を形成する。この電極積層体は、正極集電体に接続する正極端子と、負極集電体に接続する負極端子を有する。
次に、この電極積層体を、外装体(容器)に収容し、非水電解液を注入して、電極に電解液を含浸させる。その後、外装体の開口部を封止して二次電池を完成する。
<組電池>
本実施形態に係る組電池は、本実施形態の二次電池を複数備える。具体的には、本実施形態に係る二次電池を少なくとも2つ以上用いて、直列、並列又はその両方で接続して構成されるものである。直列および/または並列接続することで容量及び電圧を自由に調節することが可能になる。組電池が備える二次電池の個数については、電池容量や出力に応じて適宜設定することができる。本実施形態に係る組電池は、定置用途の大型蓄電池、後述する車両などに用いることができる。
<車両>
本実施形態に係る車両は、本実施形態に係る二次電池を備える。本実施形態に係る車両は、本実施形態に係る組電池を備えてもよい。本実施形態に係る車両としては、ハイブリット車、燃料電池車、電気自動車(いずれも四輪車(乗用車、トラック、バスなどの商用車、軽自動車など)のほか、二輪車(バイク)や三輪車を含む)が挙げられる。これらの車両は本実施形態に係る二次電池を備えるため、高寿命で信頼性が高い。なお、本実施形態に係る車両は自動車に限定されるわけではなく、他の車両、例えば電車などの移動体の各種電源であってもよい。
図2に、本実施形態に係る二次電池を搭載した電気自動車の概念図を示す。図2に示したように、本実施形態に係る電気自動車9は、二次電池を複数備える組電池10を電気自動車9の車体中央部の座席下に搭載している。組電池10を座席下に搭載することで、車内空間及びトランクルームを広く取ることができる。なお、組電池10を搭載する場所は、座席下に限らず、後部トランクルームの下部でもよく、車両前方のエンジンルームでもよい。組電池10を備える電気自動車9は高い耐久性を有し、長期間使用しても十分な出力を提供しうる。さらに、燃費、走行性能に優れた電気自動車9を提供できる。
以下、本発明を適用した具体的な実施例について説明するが、本発明は、本実施例に限定されるものではない。
<比較例1〜4>
エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)およびフッ素化エーテル(FE1:1,1,2,2−tetrafluoroethyl−2,2,3,3−tetrafluoropropyl ether)を4:1:5の体積比で混合した溶媒にLiPFを支持塩として1モル加えたものを基本電解液とした。この電解液中の溶媒重量100重量%に対し界面活性剤として、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(HLB 4.9)を表1に示した重量(0、0.5、1.0、2.0重量%)で加えたものを調製した。
次に、合剤層として、黒鉛をスチレンブタジエンゴム(SBR)およびカルボキシメチルセルロース(CMC)で結着した電極(A)を作成した。この電極は、まず、黒鉛、SBRおよびCMCを、98:1:1の重量比(固形分として)で含有する水溶液スラリーを調合し、銅箔に塗布した後に、水分を乾燥除去することにより得られた。この電極(A)に上述の電解液を1マイクロリットル滴下し、含浸するまでの時間を測定した。
<実施例1〜3>
界面活性剤として、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(HLB 9)を表1に示す重量(0.5、1.0、2.0重量%)で加えた以外は、比較例1と同様に試験を行った。
<実施例4〜7>
界面活性剤として、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(HLB 9.7)を表1に示した重量(0.1、0.5、1.0、2.0重量%)で加えた用いた以外は、比較例1と同様に試験を行った。
<実施例8〜11>
界面活性剤として、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(HLB 13.3)を表1に示した重量(0.1、0.5、1.0、2.0重量%)で加えた用いた以外は、比較例1と同様に試験を行った。
<実施例12〜15>
界面活性剤として、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(HLB 14.2)を表1に示した重量(0.1、0.5、1.0、2.0重量%)で加えた用いた以外は、比較例1と同様に試験を行った。
<実施例16〜18>
界面活性剤として、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(HLB 17.0)を表1に示した重量(0.5、1.0、2.0重量%)で加えた用いた以外は、比較例1と同様に試験を行った。
<比較例5〜7>
界面活性剤として、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(HLB 18.0)を表1に示した重量(0.5、1.0、2.0重量%)で加えた用いた以外は、比較例1と同様に試験を行った。
<比較例8>
界面活性剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム塩を表1に示した重量(1.0重量%)で加えた用いた以外は、比較例1と同様に試験を行った。
<比較例9>
界面活性剤として、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸を表1に示した重量(1.0重量%)で加えた用いた以外は、比較例1と同様に試験を行った。
<比較例10>
界面活性剤として、ジ2エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムを表1に示した重量(1.0重量%)で加えた用いた以外は、比較例1と同様に試験を行った。
<比較例11>
界面活性剤として、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインを表1に示した重量(1.0重量%)で加えた用いた以外は、比較例1と同様に試験を行った。
<比較例12>
界面活性剤として、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライドを表1に示した重量(1.0重量%)で加えた用いた以外は、比較例1と同様に試験を行った。
<比較例13>
界面活性剤として、ポリオキシエチレンパーフルオロアルキルエーテルを表1に示した重量(1.0重量%)で加えた用いた以外は、比較例1と同様に試験を行った。
<比較例14>
基本電解液として、エチレンカーボネート(EC)およびジエチルカーボネート(DEC)を4:6の体積比で混合した溶媒にLiPFを支持塩として1モル加えたものを用いた(界面活性剤の添加なし)。それ以外は、比較例1と同様に試験を行った。
<比較例15>
基本電解液として、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)およびフッ素化エーテル(FE2:1H,1H,5H−Octafluoropentyl 1,1,2,2−tetrafluoroethyl ether)を4:4:2の体積比で混合した溶媒にLiPFを支持塩として1モル加えたものを用いた(界面活性剤の添加なし)。それ以外は、比較例1と同様に試験を行った。
<実施例19〜22>
基本電解液として、比較例15の電解液を用い、これに界面活性剤として、実施例4〜7と同様にポリオキシエチレンオレイルエーテル(HLB 9.7)を表1に示した重量(0.1、0.5、1.0、2.0重量%)で加えた用いた以外は、比較例1と同様に試験を行った。
<比較例16>
基本電解液として、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)およびフッ素化エーテル(FP:Tris(2,2,2−trifluoroethyl)phosphate)を4:4:2の体積比で混合した溶媒にLiPFを支持塩として1モル加えたものを用いた(界面活性剤の添加なし)。それ以外は、比較例1と同様に試験を行った。
<実施例23〜26>
基本電解液として、比較例16の電解液を用い、これに界面活性剤として、実施例4〜7と同様にポリオキシエチレンオレイルエーテル(HLB 9.7)を表1に示した重量(0.1、0.5、1.0、2.0重量%)で加えた用いた以外は、比較例1と同様に試験を行った。
<比較例17>
電極の合剤層として、黒鉛をPVdF(ポリフッ化ビニリデン)で結着した電極(B)用いた以外、比較例1と同様に試験を行った。この電極(B)は、まず、黒鉛とPVdFを96:4の重量比で含有するNMP(N−メチルピロリドン)溶液スラリーを調合し、銅箔に塗布した後に、NMPを乾燥除去することにより得た。この電極(B)に上述の電解液を1マイクロリットル滴下し、含浸するまでの時間を測定した。なお、含浸時間が600秒を超えるものは、評価を中止した。(表には>600秒と表記した。)
<比較例18〜24>
比較例17と同様に製造した電極(B)を用いる以外は、表2に示すとおりの界面活性剤、その添加量、基本電解液を用いて、比較例1と同様に試験を行った。比較例18〜24は、それぞれ、比較例3、実施例2、実施例6、実施例10、実施例14、実施例17および比較例6において、電極(A)に代えて電極(B)を用いた例である。
<比較例25>
界面活性剤として、ポリオキシエチレンパーフルオロアルキルエーテルを用いた以外は、比較例18と同様に試験を行った。
<比較例26>
電極(B)を用いる以外は、比較例13と同様に試験を行った。
<比較例27>
基本電解液として、エチレンカーボネート(EC)およびジエチルカーボネート(DEC)を4:6の体積比で混合した溶媒にLiPFを支持塩として1モル加えたものを用いた以外は、比較例17と同様に試験を行った。
<比較例28>
界面活性剤として、ポリオキシエチレンパーフルオロアルキルエーテルを1.0重量%用いた以外は、比較例27と同様に試験を行った。
表1に、SBRバインダおよびCMCバインダを用いた電極(A)に対する、電解液の含浸性を示す。
Figure 2015099745
比較例1〜7および実施例1〜18を比較すると、ノニオン系界面活性剤の効果が明確となる。HLB値が9から17の界面活性剤は、添加量を増やすに従って、含浸時間が短くなったのに対し、HLB値がこの範囲を外れる4.9や18の場合は、添加量とともに含浸時間が長くなり、むしろ逆効果となることが判る。これらの中から比較例1,3,12および実施例2、6、10、14の値を、図3にプロットした。HLB値が7から17の範囲で改善効果が認められた。
実施例19〜26および、比較例15,16に、上記とは異なるフッ素系電解液を用いた例を示す。含侵時間は電解液の粘度等が異なるため、その絶対値は多少変化するが、先のフッ素化電解液の場合と同様、HLB値が7から17の範囲界面活性剤の添加に伴い含浸時間が短くなった。
比較例8〜12には、親水基にイオンを持つ、アニオン系、カチオン系および両性界面活性剤を用いた例を示す。何れも、フッ素系電解液に溶解することができなかった。塩の解離が出来ずに溶解できなかったためと推察する。また、比較例13には、フッ素化ノニオン界面活性剤を用いた例をしめす。含侵時間は、500秒と大幅に長くなり、逆効果であることが判った。
次に、表2に、比較例17〜28の結果、即ちPVdFバインダを用いた電極(B)に対する電解液の含浸性を示す。
Figure 2015099745
比較例27および28から、PVdFバインダを用いた電極(B)の場合では、非フッ素系電解液にフッ素系の界面活性剤を添加すると、僅かながら、公知のとおり含侵性を改善する効果が認められた。
これに対して、比較例17〜26に示すように、フッ素系電解液に界面活性剤として、非フッ素系ノニオン系界面活性剤またはフッ素系の界面活性剤を添加した場合、何れも含浸時間は、600秒を超えていた。即ち、電解液がフッ素系溶媒を含む場合にPVdFバインダを用いた電極(B)を用いた場合は、界面活性剤の添加による含浸性の改良効果は認められなかった。
比較例14と比較例27を比較すると、非フッ素系電解液では、電極(B)の方が電極(A)より含浸時間が短かった。この結果から、電極(B)の合剤層の空隙率が小さいわけではないことが明らかであるが、比較例18〜26の結果は、電極(A)を使用した表1の対応する結果にくらべて、含浸時間が倍以上となっていた。従って、電極バインダ種類も、フッ素系電解液の含浸性に大きく影響している。
以上から、フッ素系電解液の含浸性を改善するためには、PVdFバインダに代えて、SBRとCMCの混合バインダ用いることが効果的であり、さらにこのバインダを用いた電極には、フッ素を含有しないHLB値が7〜17のノニオン系界面活性剤が、効果的であることが分かった。
本発明による電池は、例えば、電源を必要とするあらゆる産業分野、ならびに電気的エネルギーの輸送、貯蔵および供給に関する産業分野にて利用することができる。具体的には、携帯電話、ノートパソコンなどのモバイル機器の電源;電気自動車、ハイブリッドカー、電動バイク、電動アシスト自転車などの電動車両を含む、電車や衛星や潜水艦などの移動・輸送用媒体の電源;UPSなどのバックアップ電源;太陽光発電、風力発電などで発電した電力を貯める蓄電設備;などに、利用することができる。
1 正極活物質層
2 負極活物質層
3 正極集電体
4 負極集電体
5 セパレータ
6 外装ラミネート
7 負極リード端子
8 正極リード端子
9 自動車車体
10 組電池

Claims (11)

  1. リチウムを吸蔵・放出可能な正極と負極、非水電解溶媒を含む電解液とを有する二次電池であって、
    前記正極は、リチウムに対して4.5V以上で動作する正極活物質を有し、
    前記負極は、負極活物質として炭素質材料、およびバインダとして水分散型重合体および水溶性セルロース誘導体を含有する混合物を有し、
    前記電解液は、フッ素系溶媒を20体積%以上含有する非水電解溶媒、およびこの非水電解溶媒100重量%に対して、ノニオン系界面活性剤を0.1重量%以上含有すること
    を特徴とする二次電池。
  2. 前記ノニオン界面活性剤のHLB値が7から14の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
  3. 前記ノニオン界面活性剤がポリオキシアルキレンアルキルエーテルから選ばれることを特徴とする請求項1または2に記載の二次電池。
  4. 前記バインダが、前記水分散型重合体としてジエン系重合体を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の二次電池。
  5. 前記ジエン系重合体が、モノマーユニットとしてスチレンおよびブタジエンを含有する重合体であることを特徴とする請求項4に記載の二次電池。
  6. 前記バインダが、水溶性セルロース誘導体としてカルボキシメチルセルロースを含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の二次電池。
  7. 前記フッ素系溶媒が、フッ素化エーテル、フッ素化リン酸エステル、フッ素化カルボン酸エステルおよびフッ素化カーボネートからなる群より選ばれることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の二次電池。
  8. リチウムを吸蔵・放出可能な正極と負極、非水電解溶媒を含む電解液とを有する二次電池の製造方法であって、
    リチウムに対して4.5V以上で動作する正極活物質を有する正極を形成する工程と、
    負極活物質として炭素質材料、およびバインダとして水分散型重合体および水溶性セルロース誘導体を含有する混合物を有する負極を形成する工程と、
    フッ素系溶媒を20体積%以上含有する非水電解溶媒、およびこの非水電解溶媒100重量%に対して、ノニオン系界面活性剤を0.1重量%以上含有する電解液を、前記正極および負極に含浸させる工程と
    を有することを特徴とする二次電池の製造方法。
  9. フッ素系溶媒を20重量%以上含有する非水電解溶媒、およびこの非水電解溶媒100重量%に対して、HLB値が7から14の範囲にあるポリオキシアルキレンアルキルエーテルから選ばれるノニオン系界面活性剤を0.1重量%以上含有することを特徴とする電解液。
  10. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の二次電池を搭載した自動車。
  11. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の電源を搭載した大型蓄電システム。
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