JP2015099538A - タッチパネル用ハードコートフィルム、及び、タッチパネル - Google Patents
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Abstract
Description
ところが、このような従来のタッチパネルに用いられる透明導電性積層体は、高屈折率層と低屈折率層との間の密着性に劣るという問題があり、積層体としての膜強度にも問題があった。
また、従来のタッチパネルに用いられる透明導電性積層体は、通常、形成加工時に巻き取りロール状にされるが、その際に貼り付き(ブロッキング)を防止する必要があり、更に、低抵抗化及び抵抗値のバラツキが小さいことが求められていた。
微粒子aの平均粒子径>微粒子bの平均粒子径>微粒子cの平均粒子径 (1)
また、上記アンダーコート層に含有される微粒子aの平均粒子径が0.1〜3.0μm、上記高屈折率層に含有される微粒子bの平均粒子径が15〜50nm、上記低屈折率層に含有される微粒子cの平均粒子径が5nm以上30nm未満であることが好ましい。
また、上記アンダーコート層に含有される微粒子aは、シリカ微粒子であり、上記高屈折率層に含有される微粒子bは、酸化ジルコニウム微粒子であり、上記低屈折率層に含有される微粒子cは、シリカ微粒子であることが好ましい。
また、上記アンダーコート層に含有される微粒子aは、球状シリカ微粒子又はコロイダルシリカ微粒子であり、上記高屈折率層に含有される微粒子bは、不定形酸化ジルコニウム微粒子であり、上記低屈折率層に含有される微粒子cは、コロイダルシリカであることが好ましい。
また、上記高屈折率層と上記低屈折率層との界面には、上記微粒子b及び上記微粒子cのいずれも存在しない領域が形成されていることが好ましい。
また、本発明のタッチパネル用ハードコートフィルムは、上記アンダーコート層の屈折率が1.45〜1.60であり、上記高屈折率層の屈折率が1.55〜1.75であり、上記低屈折率層の屈折率が1.35〜1.55であり、上記高屈折率層、上記アンダーコート層及び上記低屈折率層は、それぞれの屈折率が下記式(2)の関係を満たすことが好ましい。
高屈折率層の屈折率>アンダーコート層の屈折率>低屈折率層の屈折率 (2)
また、本発明のタッチパネル用ハードコートフィルムは、上記低屈折率層の高屈折率層側と反対側面上に、導電層が形成されていることが好ましい。
以下に、本発明を詳細に説明する。
上記光透過性基材としては特に限定されず、例えば、ポリエステル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂等が挙げられる。なかでも、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂が好適に用いられる。
本発明のタッチパネル用ハードコートフィルムは、上記微粒子a、微粒子b及び微粒子cは、それぞれの平均粒子径が、下記式(1)の関係を満たす。
微粒子aの平均粒子径>微粒子bの平均粒子径>微粒子cの平均粒子径 (1)
上記式(1)の関係を満たすことで、本発明のタッチパネル用ハードコートフィルムは、高屈折率層と低屈折率層との密着性に極めて優れるとともに、膜強度にも優れたものとなる。
上記高屈折率層及び低屈折率層には、それぞれ所望の屈折率となるよう適切な量の微粒子b及び微粒子cが含有されているが、このような高屈折率層及び低屈折率層において、それぞれの層の断面を観察すると、上記微粒子bは、上記微粒子cよりも平均粒子径が大きいため、上記高屈折率層の断面に現れる微粒子bの断面積は、上記低屈折率層の断面に現れる低屈折率層の断面積よりも小さくなる。これは、上記高屈折率層中における微粒子bは、より粗密に含まれることとなり、その結果、上記高屈折率層と上記低屈折率層との界面において、上記高屈折率層に含まれる後述するバインダー樹脂bが上記低屈折率層と接する部分が多くなり、上記高屈折率層と低屈折率層との密着性が優れたものとなると推測される。
また、上記微粒子cを含有する低屈折率層は、上記式(1)より最も平均粒子径が小さい微粒子であるため、上記低屈折率層の表面(高屈折率層側と反対側表面)における上記微粒子cに起因した凹凸形状は殆ど形成されず、平滑性が極めて優れたものとなる。この低屈折率層が平滑であると、後述する導電層を形成する場合、該導電層の成膜性が良くなり、クラック等の欠点や膜厚ムラが生じにくく、低抵抗化しやすいとともに抵抗値のばらつきも小さく抑えられる。
上記微粒子aは、上記微粒子b及びcよりも平均粒子径が大きい。このような大きな平均粒子径を有する微粒子aを含有するアンダーコート層が上記光透過性基材上に積層されていることで、本発明のタッチパネル用ハードコートフィルムは、後述する低屈折率層の表面に、上記微粒子aによる凹凸形状aを形成することができる。
このような凹凸形状aが上記低屈折率層の表面に形成されていることで、本発明のタッチパネル用ハードコートフィルムの易滑性を優れたものとすることができる。本発明のタッチパネル用ハードコートフィルムの易滑性が優れることで、本発明のタッチパネル用ハードコートフィルムの成形加工時の生産性向上等の観点より、巻き取ってロールとしたときに、重なったフィルム同士がくっついてしまう現象(いわゆるブロッキング)が発生することを好適に防止することができる。
また、本発明のタッチパネル用ハードコートフィルムでは、上記アンダーコート層上の表面に、後述する凹凸形状aよりも微細な凹凸形状(高周波成分)が存在していたとしても、該凹凸形状の高周波成分は、上述した高屈折率層及び低屈折率層が該アンダーコート層上に形成されることで埋められる。このため、上記低屈折率層の表面に上記アンダーコート層の表面の高周波成分に起因した凹凸形状が形成されることはない。よって、上述したように、導電層を形成した場合、成膜性が良くなり、低抵抗化しやすいとともに抵抗値のばらつきも小さく抑えられるという効果を充分に得ることができる。
なお、上記微粒子aは、単粒子の状態で上記アンダーコート層に含有されていてもよく、凝集粒子の状態で上記アンダーコート層に含有されていてもよいが、いずれの状態であっても、平均粒子径が上記関係を満たすものである。
なお、上記凹凸形状aの算術平均粗さは、JIS B0601(1994)に基づいて処理して算出した値であり、走査型白色干渉顕微鏡を用い、測定視野0.05〜0.3mm□として測定された値である。また、上記走査型白色干渉顕微鏡としては、具体的には、Zygo Corporation社製の“Zygo New View 6300”や“Zygo New View 7300”が挙げられる。なお、上記凹凸形状aの算術平均粗さは、JIS B0601(2001)に規定のRaに基づいて処理して算出しても同様の値が得られる。
上記無機微粒子としては特に限定されず、例えば、無機酸化物微粒子が好適に用いられ、該無機酸化物粒子としては、例えば、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、ジルコニア微粒子、チタニア微粒子、酸化スズ微粒子、ATO粒子、酸化亜鉛微粒子、コロイダルシリカ微粒子等が挙げられる。
上記無機微粒子としては、分散や凝集の制御が容易であり、適度な屈折率を有し、更にコスト的に安価であることから、シリカ微粒子がより好ましく、後述する低屈折率層の表面の凹凸形状を形成し、易滑性を好適に付与できることから、球状シリカ微粒子又はコロイダルシリカ微粒子であることが更に好ましい。
なお、上記「球状」とは、例えば、真球状、楕円球状等が挙げられ、いわゆる不定形を除く意味である。
なお、本明細書において、「樹脂」とは、特に言及しない限り、モノマー、オリゴマー、ポリマー等も包含する概念である。
上記電離放射線硬化型樹脂と併用して使用することができる溶剤乾燥型樹脂としては特に限定されず、一般に、熱可塑性樹脂を使用することができる。
上記熱可塑性樹脂としては特に限定されず、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂及びゴム又はエラストマー等を挙げることができる。上記熱可塑性樹脂は、非結晶性で、かつ有機溶媒(特に複数のポリマーや硬化性化合物を溶解可能な共通溶媒)に可溶であることが好ましい。特に、透明性や耐候性という観点から、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類等)等が好ましい。
上記熱硬化性樹脂としては特に限定されず、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂等を挙げることができる。
上記光重合開始剤としては特に限定されず、公知のものを用いることができ、具体例には、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、チオキサントン類、プロピオフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、アシルホスフィンオキシド類が挙げられる。また、光増感剤を混合して用いることが好ましく、その具体例としては、例えば、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホスフィン等が挙げられる。
上記レベリング剤としては、例えば、シリコーンオイル、フッ素系界面活性剤等が、アンダーコート層がベナードセル構造となることを回避することから好ましい。溶剤を含む樹脂組成物を塗工し、乾燥する場合、塗膜内において塗膜表面と内面とに表面張力差等を生じ、それによって塗膜内に多数の対流が引き起こされる。この対流により生じる構造はベナードセル構造と呼ばれ、形成するアンダーコート層にゆず肌や塗工欠陥といった問題の原因となる。
また、上記ベナードセル構造は、アンダーコート層の表面の凹凸が大きくなりすぎて本発明のタッチパネル用ハードコートフィルムの外観を損なう恐れがある。前述のようなレベリング剤を用いると、この対流を防止することができるため、欠陥やムラのないアンダーコート層が得られるだけでなく、アンダーコート層表面の凹凸形状の調整も容易となる。
上記の方法のいずれかでアンダーコート層用組成物を塗布した後、形成した塗膜を乾燥させるために加熱されたゾーンに搬送され各種の公知の方法で塗膜を乾燥させ溶剤を蒸発させる。ここで溶剤相対蒸発速度、固形分濃度、塗布液温度、乾燥温度、乾燥風の風速、乾燥時間、乾燥ゾーンの溶剤雰囲気濃度等を選定することにより、微粒子aの分布状態を調整できる。
特に、乾燥条件の選定によって微粒子aの分布状態を調整する方法が簡便で好ましい。具体的な乾燥温度としては、30〜120℃、乾燥風速では0.2〜50m/sであることが好ましく、この範囲内で適宜調整した乾燥処理を、1回又は複数回行うことで微粒子aの分布状態を所望の状態に調整することができる。
また、紫外線の波長としては、190〜380nmの波長域を使用することができる。電子線源の具体例としては、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、又は直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が挙げられる。
上記アンダーコート層の厚さとしては、0.5〜8.0μmであることが好ましい。0.5μm未満であると、上記光透過性基材からのオリゴマー等の低分子量成分の析出を充分に防止できず、また、アンダーコート層表面が傷付きやすくなることがあり、8.0μmを超えると、アンダーコート層の薄膜化を図れないだけでなく、アンダーコート層が割れやすくなったりすることがある。上記アンダーコート層の厚さのより好ましい範囲は1.0〜5.0μmである。なお、上記アンダーコート層の厚さは、断面顕微鏡観察により測定することができる。
また、上記アンダーコート層は、屈折率が1.45〜1.60であることが好ましい。上記アンダーコート層の屈折率が上記範囲外であると、光透過性基材等との屈折率差が顕著となり、干渉縞発生の原因となることがある。
また、上記別のアンダーコート層の光透過性基材側と反対側面上には、後述する機能層が積層されていることも好ましい。
更に、上記別のアンダーコート層は、上述したアンダーコート層と略同一な表面凹凸形状を有することが好ましい。
本発明のタッチパネル用ハードコートフィルムは、後述するように静電容量方式の場合、所定のパターン化された導電層を有することが好ましいが、タッチパネルに用いられる部材であるため、上記パターン化された導電層の不可視化等の要求により、本発明のタッチパネル用ハードコートフィルムには厳密な光学特性が要求される。このため、上記高屈折率層及び低屈折率層には、厚みや屈折率の厳密な制御が要求される。具体的には、上記高屈折率層は、厚み10〜100nmで、屈折率1.55〜1.75であることが好ましく、上記低屈折率層は、厚み10〜100nmで、屈折率1.35〜1.55であることが好ましい。上記高屈折率層及び上記低屈折率層の厚みは、30〜70nmであることがより好ましい。
本発明のタッチパネル用ハードコートフィルムでは、上記高屈折率層、上記アンダーコート層及び上記低屈折率層は、それぞれの屈折率が下記式(2)の関係を満たすことが好ましい。下記式(2)を満たすことで、上記低屈折率層上に形成した導電層の不可視化を好適に図ることができる。
高屈折率層の屈折率>アンダーコート層の屈折率>低屈折率層の屈折率 (2)
なお、本発明のタッチパネル用ハードコートフィルムは、更に、導電層直下等に粘着層やバリアー層等の機能層を有していてもよい。
上記微粒子bとしては、所望の屈折率を有する粒子を適宜選択すればよい。屈折率の比較的高い粒子としては、例えば、酸化亜鉛(1.90)、酸化チタン(2.3〜2.7)、酸化セリウム(1.95)、スズドープ酸化インジウム(1.95〜2.00)、アンチモンドープ酸化スズ(1.75〜1.85)、酸化イットリウム(1.87)、酸化ジルコニウム(2.10)等を原料とする微粒子が挙げられる。なお、上記かっこ内は、各粒子の材料の屈折率を示す。なかでも、上記微粒子bとしては、酸化ジルコニウム微粒子であることが好ましく、上述した高屈折率層中で粗密に含ませる観点から、微粒子bは、不定形酸化ジルコニウム微粒子であることがより好ましい。不定形酸化ジルコニウム微粒子であることで、高屈折率層中で最密充填されにくく、該高屈折率層中のバインダー樹脂bと低屈折率層との接触割合が高まり、これらの層間の密着性の向上につながる。
上記熱硬化型性樹脂組成物としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等の硬化型樹脂と、必要に応じて添加する硬化剤を含んでなるもの、あるいは、上記硬化型樹脂を構成するモノマーと、硬化剤とを含んでなるもの等が挙げられる。
さらに、上記化合物のほかに、不飽和二重結合を有する比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等も電離放射線硬化型樹脂組成物として使用することができる。
上記光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α−アシルオキシムエステル、α−ヒドロキシケトン、チオキサンソン類等が挙げられる。本発明では、高屈折率層及び低屈折率層の高硬度化の観点から、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オンが好適である。
また、上記光重合促進剤は、硬化時の空気による重合障害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルなどが挙げられる。
ここで、上記「微粒子b及び微粒子cのいずれも存在しない領域」とは、上記高屈折率層及び低屈折率層の厚さ方向の断面顕微鏡観察したときに観察される、上記高屈折率層と低屈折率層との界面を挟んで、これらの層の厚み方向に微粒子b及び微粒子cのいずれも存在しない領域を意味する。
本発明のタッチパネル用ハードコートフィルムにおいて、上記高屈折率層と低屈折率層との界面に形成されている上記微粒子b及び微粒子cのいずれも存在しない領域は、該界面の全体に対し5%以上であることが好ましい。5%未満であると、上記高屈折率層と低屈折率層との層間密着性が劣ることがある。より好ましい下限は15%である。なお、上記微粒子b及び微粒子cのいずれも存在しない領域の割合は、例えば、上記高屈折率層及び低屈折率層の厚み方向の断面を顕微鏡観察することで算出することができる。
上記バインダー樹脂cとしては、上記高屈折率層で例示したバインダー樹脂bを使用することができる。また、フッ素原子を導入した樹脂や、オルガノポリシロキサン等の屈折率の低い材料をバインダー樹脂cとして混合してもよい。
上記低屈折率層に用いる微粒子cとしては、例えば、シリカ微粒子、フッ化マグネシウム微粒子、あるいはこれらの中空粒子等が挙げられ、シリカ微粒子であることが好ましく、コロイダルシリカ微粒子であることがより好ましい。コロイダルシリカ微粒子であることで、分散安定性の観点から、低屈折率層の形成時に、有機溶媒にコロイダルシリカを分散させたコロイド溶液が好ましく使用されるが、形成する低屈折率層の硬度の観点から、更に表面に反応性官能基を有する反応性シリカ粒子を使用することができる。この反応性シリカ粒子は、バインダー樹脂cとの間で架橋構造を構成することが可能となり、形成する低屈折率層の硬度を極めて優れたものとすることができる。
上記微粒子cにより上記低屈折率層の表面に形成される凹凸形状cとしては、算術平均粗さが3.0nm以下であることが好ましい。上記算術平均粗さが3.0nmを超えると、導電層を形成する場合、該導電層の成膜性が悪化し、クラック等の欠点や膜厚ムラが生じることがある。上記算術平均粗さのより好ましい上限は2.5nmである。
なお、上記凹凸形状cの算術平均粗さは、JIS B0601(2001)に基づいて処理して算出した値であり、走査型プロ−ブ顕微鏡を用い、測定視野1〜10μm□で測定された値である。また、上記走査型プロ−ブ顕微鏡としては、具体的には、島津製作所製 SPM−9600等が挙げられる。なお、上記凹凸形状cの算術平均粗さは、JIS B0601(1994)に規定のRaに基づいて処理して算出しても同様の値が得られる。
上記微粒子cの含有量のより好ましい下限は75質量部、より好ましい上限は125質量部である。
上記導電層を構成する材料としては特に限定されず、例えば、インジウム、スズ、亜鉛、ガリウム、アンチモン、チタン、珪素、ジルコニウム、マグネシウム、アルミニウム、金、銀、銅、パラジウム、タングステンからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を含む金属或いは金属酸化物が好適に用いられる。当該金属酸化物には、必要に応じて、更に上記群に示された金属原子を含んでいてもよい。例えば、酸化スズを含有する酸化インジウム(ITO)、アンチモンを含有する酸化スズ(ATO)等が好ましく用いられる。
なお、本発明のタッチパネル用ハードコートフィルムでは、上記導電層は上記低屈折率層上に積層されるが、該低屈折率層の表面に形成された上記微粒子aに起因した凹凸形状aは、上述の通り、上記導電層の表面においても維持されている。例えば、上記導電層がスパッタリング法等のドライプロセスによって上記低屈折率層上に形成されることで、形成される導電層の表面は、上記低屈折率層表面の凹凸形状を同じ範囲で維持する。そのため、低屈折率層上に形成された導電層表面に、耐ブロッキング性や易滑性を付与することができる。
また、上記低屈折率層の表面に、上述した微粒子cに起因した上記パラメータを満たす凹凸形状cが、上記微粒子aに起因した凹凸形状aと合わせて形成されている場合、導電層の成膜時のクラック等の欠点や膜厚ムラの発生を防止しやすく、該導電層の低抵抗化とともに、抵抗値のばらつきを抑えることができる。
なお、上記導電層のパターン化により、パターン部と非パターン部とが形成されるが、パターン部の形状としては、例えば、ストライプ状、格子状等が挙げられる。
上記導電層を結晶化することで、導電層が低抵抗化されることに加えて、透明性及び耐久性が向上する。
なお、上述したエッチングにより導電層をパターン化する場合、先に導電層の結晶化を行うと、エッチングによるパターン化が困難となる場合がある。そのため、導電層の加熱処理は、導電層をパターン化した後に行うことが好ましい。
ここで、本発明のタッチパネル用ハードコートフィルムを、後述するような長尺シートがロール状に巻回された巻回体とした場合、上記一方の導電層と他方の導電層とが直に接触した状態となる。このように導電層同士が直に接触すると、導電層同士の密着(ブロッキング性や易滑性)や、上記導電層が金属材料からなる場合、導電層の傷付きが問題となる。これに対して、本発明のタッチパネル用ハードコートフィルムでは、上記低屈折率層の表面に形成された凹凸形状が反映された所定の凹凸形状が、上記導電層の表面に形成されており、優れた耐ブロッキング性及び易滑性が付与されているため、巻回体とした場合であっても、光透過性基材の両側に設けた導電層同士の密着(ブロッキング性や易滑性)が問題となることはなく、更に導電層の傷付きの問題も効果的に防止できる。
このような、本発明のタッチパネル用ハードコートフィルムを用いてなるタッチパネルもまた、本発明の一つである。
このため、本発明のタッチパネル用ハードコートフィルムは、タッチパネル、特に静電容量方式のタッチパネルに好適に適用することができる。
以下のように、実施例及び比較例で得られたタッチパネル用ハードコートフィルムの物性測定及び評価を行った。それぞれの結果を表1に示す。
微粒子a、b及びcの平均粒子径は、アンダーコート層、高屈折率層及び低屈折率層の厚み方向の断面電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製 S−4800使用)の倍率20万倍の画像から、該電子顕微鏡に内蔵された画像処理ソフトウェアーを用いて、上記微粒子a、b及びcの長径と短径とをそれぞれ10個測定し、算出した数平均値である。なお、上記平均粒子径の測定は、測定対象の微粒子が単粒子の場合のみならず、該微粒子が凝集した凝集粒子である場合、該凝集粒子を1つとして同様に測定した。
密着性評価として、碁盤目密着試験を行い、密着率を算出した。碁盤目密着試験は、以下のようにして行われた。
各実施例及び比較例で得られたタッチパネル用ハードコートフィルムの低屈折率層側の表面に1mm角で合計100目の碁盤目を入れ、ニチバン社製工業用24mmセロテープ(登録商標)を用いて5回連続剥離試験を行い、剥がれずに残ったマス目の割合(密着率)を求め、以下の基準により評価した。なお、密着率は、以下の式に基づいて算出された。
密着率(%)=(剥がれなかったマス目の数/合計のマス目数100)×100
○:密着率で75%以上
×:密着率で75%未満
各実施例及び比較例で得られたタッチパネル用ハードコートフィルムを、それぞれ5cm×5cmの大きさにカットした。一方のタッチパネル用ハードコートフィルムのアンダーコート層のみを設けた側と、他方のタッチパネル用ハードコートフィルムの低屈折率層側とを対向するようにして重ね合わせ、圧力3.0kgf/cm2、50℃の条件で30時間密着させた後、以下の基準で評価した。
○:貼り付きなし
×:貼り付きあり
各実施例及び比較例で得られたタッチパネル用ハードコートフィルムを、それぞれ10cm×10cmの大きさにカットした。一方のタッチパネル用ハードコートフィルムのアンダーコート層のみを設けた側と、他方のタッチパネル用ハードコートフィルムの低屈折率層側とを対向するようにして重ね合わせ、擦り合わせて滑り性を確認することにより、下記の基準にて、易滑性を評価した。
○:滑り性が良好で、貼り付きがなく易滑性良好であった。
×:滑り性が不充分で、一部に貼り付きが発生し易滑性不良であった。
各実施例及び比較例で得られたタッチパネル用ハードコートフィルムの低屈折率層上に、下記の条件のスパッタリングを行い、インジウムスズ酸化物(ITO)からなる透明導電膜(厚み25nm)を形成した。その後、150℃で30分間、アニーリング処理を行い、三菱化学社製の表面抵抗計(ロレスタMCP:四端子プローブ)を用い、JIS R1637(ファインセラミックス薄膜の抵抗率試験方法:4探針法による測定方法)に基づき、表面抵抗率を測定し、以下の基準で評価した。
○:表面抵抗率が150Ω/□未満
×:表面抵抗率が150Ω/□以上
実施例及び比較例で得られた各タッチパネル用ハードコートフィルムの低屈折率層と逆の面を、透明粘着剤を介して、黒アクリル板に貼り、暗室にて卓上スタンド(3波長蛍光灯管)の下で、白濁感を観察し、以下の基準により評価した。
○:白さが観察されなかった。
×:白さが観察された。
厚み100μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡社製、A4300;プライマ−層付き)の一方の面上に、下記処方のアンダーコート層塗布液を、乾燥後の厚みが1.5μmとなるように塗布し、塗膜の乾燥及び紫外線照射をして、アンダーコート層(屈折率1.52 鉛筆硬度H)を形成した。なお、紫外線の照射量は300mJ/cm2であり、塗膜の乾燥条件は、70℃、60秒とした。
また、上記二軸延伸ポリエステルフィルムの他方の面上に、下記処方のアンダーコート層塗布液を用いて、上記一方の面上に形成したアンダーコート層と同様の条件でアンダーコート層を形成し、次いで、高屈折率層(厚み50nm、屈折率1.66)及び低屈折率層(厚み30m、屈折率1.49)をインラインで連続的に二軸延伸ポリエステルフィルムの他方の面上に形成したアンダーコート層上に形成し、タッチパネル用ハードコートフィルムを得た。
なお、高屈折率層及び低屈折率層の塗布液は、以下のものを用いた。
高屈折率層の乾燥条件は、50℃、60秒、低屈折率層の乾燥条件は、50℃、60秒とした。また、アンダ−コート層、高屈折率層及び低屈折率層の各層を乾燥した後に、それぞれ紫外線照射(100mJ/cm2)を行った。
アルゴンガス99容量%と酸素ガス1容量%とからなる0.5Paの雰囲気中で、温度100℃の条件で加熱しながら、放電出力:5W/cm2、で反応性スパッタリング法により、厚さ25nmのITO膜(光の屈折率2.00)を形成した。
ペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬社製、KAYARAD−PET−30) 50部
光重合開始剤(BASF社製、イルガキュア184) 2部
シリコーン系レベリング剤(大日精化工業社製、セイカビーム10−28、固形分10%) 0.1部
微粒子a含有液 1.5部
メチルイソブチルケトン 60部
シクロヘキサノン 15部
なお、微粒子a含有液は、アクリル系樹脂微粒子(綜研化学社製、MX−300、平均粒子径3.0μm)を、メチルイソブチルケトンに分散させ、固形分15%としたものである。
ペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬社製、KAYARAD−PET−30) 10部
光重合開始剤(BASF社製、イルガキュア127) 0.7部
シリコーン系レベリング剤(大日精化工業社製、セイカビーム10−28、固形分10%) 0.3部
微粒子b含有液 50部
メチルイソブチルケトン 500部
シクロヘキサノン 250部
メチルエチルケトン 500部
なお、微粒子b含有液は、住友大阪セメント社製、MZ−230X(酸化ジルコニウム分散液、固形分32.5%、平均粒子径27nm)を用いた。
ペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬社製、KAYARAD−PET−30) 5部
光重合開始剤(BASF社製、イルガキュア127) 1部
シリコーン系レベリング剤(大日精化工業社製、セイカビーム10−28、固形分10%) 0.2部
微粒子c含有液 15部
メチルイソブチルケトン 1000部
シクロヘキサノン 250部
なお、微粒子c含有液は、日産化学工業社製、MIBK−SD(シリカ微粒子分散液、固形分30%、平均粒子径15nm)を用いた。
実施例1の微粒子aを、綜研化学社製、MX−180TA(平均粒子径:1.8μm)に変更した以外は、実施例1と同様にして、タッチパネル用ハードコートフィルムを得た。
実施例1の微粒子aを、綜研化学社製、MP−1000(平均粒子径:0.4μm)に変更した以外は、実施例1と同様にして、タッチパネル用ハードコートフィルムを得た。
実施例1の微粒子aを、CIKナノテック社製、製品名「SIRMIBK−H84」、固形分30%をメチルイソブチルケトンで固形分15%(平均凝集粒子径:0.15μm)としたものに変更した以外は、実施例1と同様にして、タッチパネル用ハードコートフィルムを得た。
実施例1の微粒子aを、日産化学社製、MIBK−SD(シリカ微粒子分散液、固形分30%、平均粒子径15nm)をメチルイソブチルケトンで固形分15%としたものに変更した以外は、実施例1と同様にして、タッチパネル用ハードコートフィルムを得た。
実施例1の微粒子aを添加しなかった以外は、実施例1と同様にして、タッチパネル用ハードコートフィルムを得た。
実施例1の微粒子aを、綜研化学社製、MX−180TA(平均粒子径:1.8μm)に変更し、微粒子cを日産化学工業社製、MIBK−SD−L(固形分30%、平均粒子径45nm)に変更した以外は、実施例1と同様にして、タッチパネル用ハードコートフィルムを得た。
比較例3の微粒子a(綜研化学社製、MX−180TA(平均粒子径:1.8μm))を添加しなかった以外は、比較例3と同様にして、タッチパネル用ハードコートフィルムを得た。
実施例1の微粒子aを、綜研化学社製、MX−500(平均粒子径:5.0μm)に変更した以外は、実施例1と同様にして、タッチパネル用ハードコートフィルムを得た。
更に、該導電層の表面には、微粒子cによる凹凸形状(凹凸形状c)が形成されており、該凹凸形状cは、走査型プローブ顕微鏡(島津製作所社製、SPM−9600)を用い、測定視野5μm□で測定した、JIS B0601(2001)に規定する算術平均粗さ(Ra)が3.0nm以下であったため、導電層の成膜性が良くなり、クラック等の欠点や膜厚ムラがなく、抵抗値が低いものであった。
一方、比較例1に係るタッチパネル用ハードコートフィルムは、微粒子aの平均粒子径が小さかったため、また、比較例2に係るタッチパネル用ハードコートフィルムは、微粒子aを含有しなかったため、導電層表面に微粒子aによる凹凸形状(凹凸形状a)が充分に形成されず、耐ブロッキング性及び易滑性に劣っていた。また、比較例3に係るタッチパネル用ハードコートフィルムは、微粒子cの平均粒子径が大きすぎたため、高屈折率層と低屈折率層との密着性に劣り、また、導電層の成膜性が悪化し、クラック等の欠点や膜厚ムラが生じており、その結果、低抵抗化を図ることができなかった。比較例4に係るタッチパネル用ハードコートフィルムは、微粒子aを含有せず、また、微粒子cの平均粒子径が大きすぎたため、耐ブロッキング性、高屈折率層と低屈折率層との密着性及び易滑性に劣り、また、低抵抗化を図ることができなかった。
また、参考例1に係るタッチパネル用ハードコートフィルムは、微粒子aの平均粒子径が5.0μmと大きく、白濁感の評価に劣っていた。
Claims (9)
- 光透過性基材上に、微粒子aを含有するアンダーコート層、微粒子bを含有する高屈折率層及び微粒子cを含有する低屈折率層がこの順に積層されたタッチパネル用ハードコートフィルムであって、
前記微粒子a、前記微粒子b及び前記微粒子cは、それぞれの平均粒子径が、下記式(1)の関係を満たす
ことを特徴とするタッチパネル用ハードコートフィルム。
微粒子aの平均粒子径>微粒子bの平均粒子径>微粒子cの平均粒子径 (1) - 低屈折率層の表面には、アンダーコート層に含有される微粒子aによって形成された凹凸形状aと、前記低屈折率層に含有される微粒子cによって形成された凹凸形状cとが形成されており、
前記凹凸形状aの算術平均粗さが0.5〜10.0nmであり、
前記凹凸形状cの算術平均粗さが3.0nm以下である
請求項1記載のタッチパネル用ハードコートフィルム。 - アンダーコート層に含有される微粒子aの平均粒子径が0.1〜3.0μm、高屈折率層に含有される微粒子bの平均粒子径が15〜50nm、低屈折率層に含有される微粒子cの平均粒子径が5nm以上30nm未満である請求項1又は2記載のタッチパネル用ハードコートフィルム。
- アンダーコート層に含有される微粒子aは、シリカ微粒子であり、高屈折率層に含有される微粒子bは、酸化ジルコニウム微粒子であり、低屈折率層に含有される微粒子cは、シリカ微粒子である請求項1、2又は3記載のタッチパネル用ハードコートフィルム。
- アンダーコート層に含有される微粒子aは、球状シリカ微粒子又はコロイダルシリカ微粒子であり、高屈折率層に含有される微粒子bは、不定形酸化ジルコニウム微粒子であり、低屈折率層に含有される微粒子cは、コロイダルシリカである請求項4記載のタッチパネル用ハードコートフィルム。
- 高屈折率層と低屈折率層との界面には、微粒子b及び微粒子cのいずれも存在しない領域が形成されている請求項1、2、3、4又は5記載のタッチパネル用ハードコートフィルム。
- アンダーコート層の屈折率が1.45〜1.60であり、高屈折率層の屈折率が1.55〜1.75であり、低屈折率層の屈折率が1.35〜1.55であり、
前記高屈折率層、前記アンダーコート層及び前記低屈折率層は、それぞれの屈折率が下記式(2)の関係を満たす請求項1、2、3、4、5又は6記載のタッチパネル用ハードコートフィルム。
高屈折率層の屈折率>アンダーコート層の屈折率>低屈折率層の屈折率 (2) - 低屈折率層の高屈折率層側と反対側面上に、導電層が形成されている請求項1、2、3、4、5、6又は7記載のタッチパネル用ハードコートフィルム。
- 請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載のタッチパネル用ハードコートフィルムを用いてなることを特徴とするタッチパネル。
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