本発明の実施形態に係る記録媒体搬送装置の一例について説明する。
図1には、本実施形態に係る画像形成装置10を正面側右斜め上方向から見た外観が示されている。画像形成装置10は、カラー画像又は白黒画像を形成するものであり、正面視で境界Hを基準として左側に配置された第1処理部10Aと、第1処理部10Aと着脱可能とされ境界Hを基準として右側に配置された第2処理部10Bとを有している。第1処理部10A及び第2処理部10Bは、複数のフレーム材からなる装置本体の一例としての筐体11(図8参照)を有している。
第1処理部10Aには、図示しないヒンジ部材によって左端と右端がそれぞれ支持され観音扉式に開閉可能とされた第1扉21A、21Bと、第1扉21A、21Bの下側で矢印−Y方向に引き出し可能とされた第2扉23A、23Bとが設けられている。なお、矢印+R方向が平面視で時計回り方向、矢印−R方向が平面視で反時計回り方向となっており、第1扉21Aは矢印+R方向(左側)、第1扉21Bは矢印−R方向(右側)へそれぞれ独立して開放されるようになっている。
一方、第2処理部10Bには、図示しないヒンジ部材によって左端と右端がそれぞれ支持され、境界Jを基準(合わせ位置)として観音扉式に開閉可能とされた第3扉25と、第3扉25の上側で矢印+R方向に開放可能とされた第4扉27とが設けられている。ここで、第3扉25は、筐体11の前面の開口部11A(図8参照)の水平方向の一部を被覆するとともに後述する吸気口123の水平方向の一部を被覆し、矢印+R方向(左側)に開放される第1被覆部材の一例としての左扉25Aと、左扉25Aと水平方向に隣接して開口部11Aの他の一部及び吸気口123の他の一部を被覆するとともに、矢印−R方向(右側)に開放される第2被覆部材の一例としての右扉25Bとで構成されており、左扉25Aと右扉25Bはそれぞれ独立して開放するようになっている。なお、境界Jは、画像形成装置の正面視にて吸気口123を左右に分割する位置に配置されている。
図5に示すように、第3扉25は、左扉25A及び右扉25Bを閉止したときの正面視における境界Jにおいて、左扉25Aの右側面31と右扉25Bの左側面33とが矢印X方向に隙間d1をあけて配置されるようになっている。ここで、本実施形態における隙間とは、空気が流れることができる大きさの隙間のことを意味している。なお、図5では、後述する排出部196の図示を省略している。
図2には、画像形成装置10内部の全体構成が示されている。第2処理部10Bの内部であって鉛直方向上側には、コンピュータから送られてくる画像データに画像処理を施す画像信号処理部を含み、画像形成装置10の各部の駆動制御を行う制御部13が設けられている。また、制御部13の下側には、電源ユニット230が設けられている。電源ユニット230は、外部から取り込んだ交流電流を直流電流に変えて、画像形成装置10の各部へ給電を行っている。
一方、第1処理部10Aの内部であって鉛直方向上側には、第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各トナーを収容するトナーカートリッジ14V、14W、14Y、14M、14C、14Kが水平方向に並んで交換可能に設けられている。なお、第1特別色及び第2特別色には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック以外の特別色(透明を含む)から選択される。また、以後の説明では、V、W、Y、M、C、Kを区別する場合は、数字の後にV、W、Y、M、C、Kのいずれかの英字を付して説明し、V、W、Y、M、C、Kを区別しない場合は、V、W、Y、M、C、Kを省略する。
トナーカートリッジ14の下側には、各色のトナーに対応する画像形成手段の一例としての6つの画像形成ユニット16が、各トナーカートリッジ14と対応して水平方向に並んで設けられ、各トナーカートリッジ14の下側には、画像形成ユニット16毎に画像形成手段の一例としての露光ユニット40が設けられている。露光ユニット40は、前述した制御部13から画像処理を施された画像データを受け取り、半導体レーザ(図示省略)を色材階調データに応じて変調して、これらの半導体レーザから露光光Lを出射するように構成されている。詳細には、後述する感光体18(図3参照)の表面に各色に対応した露光光Lを照射して感光体18上に静電潜像を形成するようになっている。
図3に示すように、画像形成ユニット16は、矢印A(図3の時計回り)方向に回転駆動される感光体18を備えている。そして、感光体18の周囲には、感光体18を帯電するコロナ放電方式(非接触帯電方式)のスコロトロン帯電器20と、露光ユニット40によって出射された露光光Lにより感光体18上に形成された静電潜像を各色の現像剤(トナー)で現像する現像装置22と、転写後の感光体18の表面をクリーニングするクリーニングブレード24と、転写後の感光体18の表面に光を照射して除電を行うイレーズランプ26が設けられている。そして、スコロトロン帯電器20、現像装置22、クリーニングブレード24、イレーズランプ26は、感光体18の表面と対向して、感光体18の回転方向上流側から下流側へ向けてこの順番で配置されている。
また、現像装置22は、画像形成ユニット16の側方(本実施形態では紙面右側)に配置され、トナーを含んだ現像剤Gが充填された現像剤収容部材22Aと、現像剤収容部材22Aに充填されたトナーを感光体18の表面に移動させる現像ロール22Bとを含んで構成されている。そして、現像剤収容部材22Aは、トナーカートリッジ14(図2参照)とトナー供給路(図示省略)を通して接続されており、トナーカートリッジ14からトナーが供給されるようになっている。
図2に示すように、各画像形成ユニット16の下側には、転写部32が設けられている。転写部32は、各感光体18と接触する無端状の中間転写ベルト34と、中間転写ベルト34の内側に配置され、各感光体18上に形成されたトナー画像を中間転写ベルト34に多重転写させる6つの1次転写部材としての1次転写ロール36とを含んで構成されている。中間転写ベルト34は、図示しないモータで駆動される駆動ロール38と、中間転写ベルト34の張力を調整する張力付与ロール41と、後述する2次転写ロール62と対向配置された支持ロール42と、複数個の支持ロール44とに巻き掛けられており、駆動ロール38により、図2の矢印B方向(反時計回り方向)に循環移動されるようになっている。
詳細には、各1次転写ロール36は、中間転写ベルト34を挟んでそれぞれの各画像形成ユニット16の感光体18と対向配置されている。また、1次転写ロール36は、給電ユニット(図示省略)によって、トナー極性とは逆極性の転写バイアス電圧が印加されるようになっている。この構成により感光体18上に形成されたトナー画像が中間転写ベルト34に転写されるようになっている。また、駆動ロール38と中間転写ベルト34を挟んで反対側には、先端部が中間転写ベルト34と接触するクリーニングブレード46が設けられおり、このクリーニングブレード46は、循環移動する中間転写ベルト34上の残留トナーや紙粉等を除去するようになっている。
一方、転写部32の下方で第1処理部10Aの下側には、冷却対象及び記録媒体の一例としてのシート部材Pが収納される大型の給紙カセット48が水平方向に並んで2個設けられており、シート部材Pが大量に収納可能とされている。なお、2個の給紙カセット48は、同様の構成とされているため、一方の給紙カセット48について説明し、他方の給紙カセット48については説明を省略する。
給紙カセット48は、第1処理部10Aから第2扉23A、23B(図1参照)を手前側へ引き出すことにより引き出し自在とされており、給紙カセット48を第1処理部10Aから引き出すと、給紙カセット48内に設けられシート部材Pが載せられるボトムプレート50が、図示せぬ制御手段の指示によって下降するようになっている。ボトムプレート50が下降することで、ユーザーがシート部材Pを補充可能となっている。また、給紙カセット48を第1処理部10Aに取り付けると、ボトムプレート50が、制御手段の指示によって上昇する。給紙カセット48の一端側の上方には、給紙カセット48からシート部材Pを搬送経路60へ送り出す送出ロール52が設けられており、上昇するボトムプレート50に載せられた最上位のシート部材Pと送出ロール52が接触するようになっている。さらに、送出ロール52のシート部材搬送方向下流側(以下単に「下流側」という)には、シート部材Pの重送を防止する分離ロール56が設けられ、分離ロール56の下流側には、シート部材Pを搬送方向下流側に搬送する複数個の搬送ロール54が設けられている。
給紙カセット48の上側に設けられる搬送経路60は、給紙カセット48から送出されたシート部材Pを第1折返部60Aで反対側(図示の左側)に折り返し、さらに、第2折返部60Bで反対側(図示の右側)に折り返して、2次転写ロール62と支持ロール42で挟まれた転写位置Tに向けて延びるようになっている。
第2折返部60Bと転写位置Tとで挟まれる部位には、搬送されるシート部材Pの傾き等を修正するアライナー(図示省略)が設けられており、このアライナーと転写位置Tとで挟まれる部位には、中間転写ベルト34上のトナー画像の移動タイミングとシート部材Pの搬送タイミングを合わせるための位置合せロール64が設けられている。
また、2次転写ロール62は、給電ユニット(図示省略)によって、トナー極性とは逆極性の転写バイアス電圧が印加されるようになっている。この構成により中間転写ベルト34上に多重転写された各色のトナー画像が、2次転写ロール62によって搬送経路60に沿って搬送されてきたシート部材Pに2次転写される構成となっている。さらに、搬送経路60の第2折返部60Bへ合流するように、第1処理部10Aの側面から延びる予備経路66が設けられており、第1処理部10Aに隣接して配置された外付けの大容量集積部(図示省略)から送出されたシート部材Pが、予備経路66を通って搬送経路60に入り込めるようになっている。
一方、転写位置Tの下流側には、トナー画像が転写されたシート部材Pを第2処理部10Bに向けて搬送する複数個の搬送装置70が設けられている。搬送装置70は、図示しない駆動ロールと従動ロールに巻き掛けられる複数本のベルト部材が備えられており、駆動ロールを回転駆動させてベルト部材を回転させることで、シート部材Pを下流側に向けて搬送するようになっている。
搬送装置70の下流側は、第1処理部10Aから第2処理部10Bへ延びており、搬送装置70によって送り出されたシート部材Pが、第2処理部10Bに設けられた搬送装置80によって受取られ、さらに下流側に搬送されるようになっている。また、搬送装置80の下流側には、シート部材Pの表面に転写されたトナー画像をシート部材Pに熱と圧力で定着させる定着手段の一例としての定着ユニット82が設けられている。そして、定着ユニット82の周囲には、定着ユニット82を囲むようにして、排気のためのダクト83が設けられている。
定着ユニット82は、定着ベルトと複数の加熱ロールを備える加熱手段と、定着ベルトに圧接配置された加圧ロールからなる加圧手段とで構成されている。定着ユニット82では、シート部材Pが加圧及び加熱されてトナー画像が定着されるようになっている。
図2に示すように、定着ユニット82の下流側には、定着ユニット82から送出されたシート部材Pを下流側へ搬送する搬送装置108が設けられ、搬送装置108の下流側には、定着ユニット82によって加熱されたシート部材Pを下流側へ搬送する搬送ユニット112が設けられている。また、搬送ユニット112の下流側には、シート部材Pの反りを矯正するデカール処理ユニット140が設けられている。
搬送ユニット112は、搬送経路60を挟んで上側に、シート部材Pと接触しシート部材Pの熱を吸収する無端状の受熱ベルト116が設けられており、搬送経路60を挟んで下側に、シート部材Pと接触しシート部材Pを受熱ベルト116へ押し付ける無端状の押付ベルト130が設けられている。受熱ベルト116は、複数個の支持ロール118と、受熱ベルト116へ駆動力を伝達する駆動ロール120とが内側に設けられており、シート部材Pの搬送方向へ向けて循環移動可能に支持されている。また、押付ベルト130は、バネなどの付勢手段(図示省略)で受熱ベルト116に向けて付勢された複数個の支持ロール132が内側に設けられており、複数の支持ロール132によって循環移動可能に支持されている。
一方、デカール処理ユニット140の下流には、片面に画像が形成されたシート部材Pを第2処理部10Bの側面に取り付けられた排出部196に排出する排出ロール198が設けられている。ここで、シート部材Pの両面に画像を形成させる場合は、デカール処理ユニット140の下流に設けられた反転ユニット200へシート部材Pが搬送される。
反転ユニット200には、反転経路202が設けられている。反転経路202には、搬送経路60から分岐する分岐パス202Aと、分岐パス202Aに沿って搬送されるシート部材Pを第1処理部10A側に向けて搬送する用紙搬送パス202Bと、用紙搬送パス202Bに沿って搬送されるシート部材Pを逆方向に向けて折返してスイッチバック搬送させ表裏を反転させる反転パス202Cとが設けられている。この構成により、反転パス202Cでスイッチバック搬送されたシート部材Pは、第1処理部10Aに向けて搬送され、さらに、給紙カセット48の上方に設けられた搬送経路60に入り込み、転写位置Tへ再度送り込まれるようになっている。
次に、冷却装置100について説明する。
図6(a)に示すように、冷却装置100は、シート部材Pの搬送経路で搬送ユニット112の部位に設けられた冷却手段の一例としての冷却ユニット110と、搬送ユニット112の部位で画像形成装置10の前面を構成する第3扉25(左扉25A、右扉25B)と、第3扉25の裏面側に取り付けられ冷却ユニット110に空気を流すための流路部材の一例としての扉側ダクト131とにより構成されている。
冷却ユニット110は、搬送ユニット112における受熱ベルト116の内側に設けられており、画像形成装置10(図2参照)の前面側から後面側へ空気を流すための排気流路の一例としての排気ダクト121と、排気ダクト121の排気方向の途中に設けられ吸熱及び放熱を行うヒートシンク122と、ヒートシンク122で放熱された空気を筐体11(図8参照)の外部へ排気する排気手段の一例としての排気ファン128と、で構成されている。
排気ダクト121は、画像形成装置10の前面側に設けられた吸気口123から、画像形成装置10の後面側に設けられた排気口125まで延びる筒体であり、排気方向(矢印+Y方向)と交差する方向の断面が矩形状となっている。また、排気ダクト121は、画像形成装置10の前面側に配置され排気方向の断面が一定の第1ダクト121Aと、画像形成装置10の後面側に配置され排気方向の断面がテーパ状の第2ダクト121Bとが接続された構成となっている。なお、画像形成装置10は、内部の前面側で第3扉25と対向配置された板材である対向部材の一例としての前面パネル113と、画像形成装置10の後面を覆って保護する保護部材の一例としての後面カバー117と、後面カバー117よりも排気方向上流側で後面カバー117と対向配置された板材である後面パネル115とを有している。
第1ダクト121Aは、前面パネル113から後面パネル115まで設けられており、内部にはヒートシンク122が取り付けられている。また、第2ダクト121Bは、後面パネル115から後面カバー117の手前側まで設けられており、後面パネル115が設けられた部位には、排気ファン128が取り付けられている。なお、排気ダクト121の排気口125から後面カバー117までは隙間d2があけられており、後面カバー117における排気口125と対向する部位には、排気孔の一例としての排気用の複数の排気孔119が形成されている。
図6(a)、(b)に示すように、第2ダクト121Bにおける排気方向で排気ファン128側の位置をE1、排気口125側の位置をE2とし、位置E1での矢印X方向(図2参照)の幅をX1、矢印Z方向の高さをZ1、位置E2での矢印X方向の幅をX2、矢印Z方向の高さをZ2とする。ここで、上記した如く、テーパ状の第2ダクト121Bは、X1=X2、Z2>Z1となるように排気口125に向けて拡大されており、位置E1での断面積S1(=X1×Z1)よりも位置E2での断面積S2(=X2×Z2)の方が大きくなっている。
一方、図4に示すように、ヒートシンク122は、上方が開放された断面コ字状で底面に受熱ベルト116が接触し且つ受熱ベルト116をシート部材Pに当てるための接触部材124と、接触部材124の凹部から立設され接触部材124から熱が伝わる複数枚の放熱板126とを含んで構成されている。一例として、接触部材124及び放熱板126はアルミニウム製となっている。
図6(a)、図7、図8に示すように、左扉25Aの裏面側には、床37から吸気口123へ空気を流すための扉側ダクト131が設けられている。扉側ダクト131は、左扉25Aの右側面31側で吸気口123と対向する高さから下端部まで至る中空構造物であり、底壁には床37に向けて開口の一例としての導入口131Aが形成されている。また、扉側ダクト131は、吸気口123と対向する位置に、吸気口123と接触して一体となる形状及び大きさの供給口131Bが形成されている。
一方、図7、図8に示すように、右扉25Bの裏面側には、画像形成装置10(図2参照)の装置本体内部から吸気口123(図6(a)参照)へ空気を流すための補助ダクト133が設けられている。補助ダクト133は、右扉25Bの左側面33側で吸気口123と対向する部位を覆う中空構造物であり、吸気口123と対向する位置で上下方向に並ぶ複数の供給口133Aが形成され、側壁には画像形成装置10内からの吸気のための開口(図示省略)が形成されている。なお、右扉25Bの裏面側で補助ダクト133を除く部位は、吸気口123から前面側(矢印−Y方向)へ離間配置されており、前面パネル113(図6(a)参照)と右扉25Bとの間に空間部137が形成されている。
図9に示すように、前面パネル113は、吸気口123から外側へ広がっており、前面パネル113上の吸気口123の周縁部には、矩形状に吸気口123を囲む密封部材の一例としてのシール部材129が固定されている。シール部材129は、一例として、直方体状のスポンジで構成されている。ここで、左扉25Aと右扉25Bを閉止したとき、図6(a)に示すように、シール部材129に扉側ダクト131が接触すると共にシール部材129を圧縮するため、扉側ダクト131と排気ダクト121がシール部材129で密封状態とされる。また、左扉25Aと右扉25Bを閉止したとき、図9に示すように、右側面31と左側面33が対向する部位に隙間が形成されるため、冷却ユニット110で排気を行うと排気ダクト121が負圧となり、この隙間から吸気口123へ向けて空気が流入する。なお、本実施形態における密封とは、冷却ユニット110での冷却に影響を与えない程度に空気が洩れる状態も含んでいる。
図10に示すように、左扉25A(扉側ダクト131)の右側面31、及び右扉25B(補助ダクト133)の左側面33には、吸気のための複数の孔部141、143が上下方向に形成されている。そして、複数の孔部141、143は、吸気口123の高さ方向の位置に合わせて形成されている。ここで、排気ダクト121の排気が行われると、左扉25Aと右扉25Bの隙間に存在する空気は、矢印Q1で示すように、孔部141から扉側ダクト131に流入すると共に吸気口123から排気ダクト121へ流れ、または、矢印Q2で示すように、孔部143から補助ダクト133に流入すると共に吸気口123から排気ダクト121へ流れるようになる。
図11に示すように、上述した如く、画像形成装置10の後面は後面カバー117で覆われており、後面カバー117には、排気用の複数の排気孔119が形成されている。なお、図11において、排気口125を明確にするために、排気口125及び周辺部の排気孔119の図示を一部省略している。後面カバー117における複数の排気孔119が形成された領域は、横の長さがX3(>X2)、縦の長さがZ3(Z2)の矩形状であるため、この領域の面積S3=X3×Z3となる。一方、排気ダクト121の排気口125は、図6(a)、(b)で説明したように、横の長さがX2、縦の長さがZ2の矩形状で、排気方向と交差する方向の断面積S2(開口面積)=X2×Z2となっている。ここで、X2<X3、Z2<Z3であるため、排気口125の断面積S2よりも排気孔119の形成領域の面積S3の方が大きくなっている。
次に、本実施形態の作用について説明する。
まず、画像形成装置10の画像形成工程について説明する。
図1に示すように、画像形成装置10の各ユニットが作動状態になると、制御部13で画像処理が施された画像データは、各色の色材階調データに変換され、露光ユニット40に順次出力される。各露光ユニット40では、各色の色材階調データに応じて各露光光Lを出射して、スコロトロン帯電器20(図2参照)によって帯電した各感光体18に走査露光を行い、静電潜像が形成される。そして、感光体18(図2参照)上に形成された静電潜像は、現像装置22によってそれぞれ第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像(現像剤像)として顕在化され現像が行われる。
続いて、各画像形成ユニット16V、16W、16Y、16M、16C、16Kの感光体18上に順次形成された各色のトナー画像は、6つの1次転写ロール36V、36W、36Y、36M、36C、36Kによって中間転写ベルト34上に順次多重転写される。そして、中間転写ベルト34上に多重転写された各色のトナー画像は、2次転写ロール62によって、給紙カセット48から搬送されてきたシート部材P上に2次転写される。トナー画像が転写されたシート部材Pは、搬送装置70によって第2処理部10Bの内部に設けられた定着ユニット82に向けて搬送される。
続いて、シート部材P上の各色のトナー画像が定着ユニット82により加熱、加圧されることでシート部材Pに定着される。さらに、トナー画像が定着されたシート部材Pは、冷却ユニット110を通過して冷却された後、デカール処理ユニット140に送り込まれ、シート部材Pに生じた反りが矯正される。そして、反りが矯正されたシート部材Pは、排出ロール198によって排出部196に排出される。
一方、画像が形成されていない非画像面に画像を形成させる場合(両面印刷の場合)は、切替部材(図示省略)によってシート部材Pを反転ユニット200に送り出す。反転ユニット200へ送り出されたシート部材Pは、反転経路202を通過して反転され、給紙カセット48の上方に設けられた搬送経路60に送り込まれて、前述した手順で裏面にトナー画像が形成される。
次に、冷却装置100の冷却作用について説明する。
図12に示すように、画像形成装置10が作動すると、制御部13(図1参照)により冷却装置100の排気ファン128が駆動される。排気ファン128の駆動により、排気ダクト121内が負圧状態となり、排気ダクト121と連続した扉側ダクト131内も負圧状態となる。ここで、左扉25Aと右扉25Bが閉じた状態で、導入口131Aから扉側ダクト131内へ空気が導入される。導入された空気は、扉側ダクト131内を上方へ流れ、さらに、吸気口123から排気ダクト121内へ吸気される。このように、画像形成装置10の底面側にある導入口131Aから空気を導入するため、左扉25A又は右扉25Bに空気を導入するための孔部を形成しなくてもよい。よって、画像形成装置10を正面視したときの外観が損なわれることはない。なお、補助ダクト133から吸気口123へも吸気が行われる。
続いて、図4に示すように、排気ダクト121内では、ヒートシンク122の接触部材124が受熱ベルト116と面状に接触し、受熱ベルト116がシート部材Pから吸収した熱が、排気ダクト121内を流れる空気に放熱板126から放熱されることにより、シート部材Pの熱が奪われて冷却される。そして、図6(a)及び図12に示すように、放熱板126からの放熱で高温状態となった排気ダクト121内の空気は、排気ファン128によって、排気口125から排気されると共に、後面カバー117の排気孔119から排気される。
ここで、冷却装置100では、左扉25Aと右扉25Bのうち、シート部材Pの搬送方向の上流側(定着ユニット82(図2参照)に近い側)に位置する左扉25Aに扉側ダクト131が設けられているので、搬送方向の下流側よりも高温状態にある上流側に外気が流される。これにより、シート部材Pの搬送方向の下流側に扉側ダクト131を設ける場合に比べて、シート部材Pの冷却及び画像形成装置10内部の冷却の効率が上がる。また、吸気口123の前面側に境界Jが設けられ、左扉25A及び右扉25Bが観音扉式に開放されるため、扉側ダクト131、排気ダクト121、及びヒートシンク122の保守点検が簡単な作業で済む。
また、シート部材Pの搬送方向の下流側に位置する右扉25Bの大部分を吸気口123から前面側へ離して、空間部137を形成しているので、吸気口123と右扉25Bが密着する場合に比べて、吸気される空気の流れに伴う圧力損失が減少する。これにより、吸気口123への空気の流量が増加する。さらに、左扉25Aと右扉25Bが境界Jで隙間d1をあけて配置されると共に、左扉25Aの右側面31と右扉25Bの左側面33に孔部141、143が形成されており、外気が隙間d1から孔部141、143を経由して吸気口123に流入して、導入口131Aから流入した空気に追加されるので、吸気口123への空気の流量が増加する。
また、孔部141、143が、吸気口123の高さに合わせて形成されているので、右側面31及び左側面33の上下方向全体に孔部141、143を形成した場合に比べると、空気の流通範囲は限定されている。これにより、画像形成装置10内の高温となった空気(定着ユニット82から流れてくる空気)が孔部141、143を通って再度、画像形成装置10内へ流入することが抑制される。
また、吸気口123の周囲をシール部材129が囲むと共に、吸気口123から外側へ広がる前面パネル113(図9参照)を設けているため、画像形成装置10内の高温の空気(定着ユニット82から流れてくる空気)が、扉側ダクト131と排気ダクト121との接触部(吸気口123含む)から排気ダクト121内へ流入しようとしたときに抵抗を受ける。これにより、高温の空気が排気ダクト121内へ流入することが抑制される。
図6(a)、(b)に示すように、排気ダクト121の第2ダクト121Bにおいて、排気方向下流側の流路断面の断面積S2が上流側の流路断面の断面積S1よりも大きくなっている。また、排気口125と後面カバー117が離間配置されている。さらに、図11に示すように、排気口125の断面積S2よりも後面カバー117の排気孔119が形成された領域の面積S3の方が大きくなっている。これらの構成のいずれによっても、排気口125での排気の圧力損失が低減されるので、排気口125における排気流量が増加する。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されない。
扉側ダクト131は、シート部材Pの搬送方向上流側に位置している左扉25Aに設けるだけでなく、右扉25Bに設けてもよい。また、シール部材129は、スポンジに限らず、空気を遮断可能な弾性体であればよく、例えばゴムであってもよい。さらに、第3扉25に代えて、筐体11に装着又は筐体11から離脱可能とされたカバー部材を用いてもよい。また、排気ダクト121の一部をヒートシンク122が構成していてもよい。