JP2015098145A - 印面形成装置、印面材ホルダおよび印面形成方法 - Google Patents

印面形成装置、印面材ホルダおよび印面形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】印面材ホルダに保持されている印面材に印面を形成する。【解決手段】加熱により非多孔質化可能な多孔質の印面材及び印面材を着脱可能に保持する保持体を有する印面材ホルダの印面材が保持された面に沿う方向に配列された複数の発熱体と、印面材ホルダの面に当接する高さを有する突起と、が設けられた印面材に印面を形成する印面形成部と、印面形成部に対して印面材ホルダを相対的に移動させる搬送部と、を有する。突起は、印面材ホルダに近いほど、細い形状を有する。または、突起は、弾性部材からなる。印面材ホルダの面に当接する高さを有する突起により、印面材ホルダ後方部の上昇を防止する。【選択図】図10

Description

本発明は、印面材ホルダに保持されている印面材に印面を形成する印面形成装置、印面材ホルダおよびその印面形成方法に関する。
従来、押し印を捺印する際にその都度スタンプインキを押し印の印面に付着させる手数を省くために、スポンジゴム等の多孔性シートを印面材として用い、これに予めインキを含浸させた押し印が知られている。
例えば、多孔性シートからなる印版(印面材)を台木に取り付けたスタンプを製版装置の上に固定し、多孔性シートの表面にサーマルヘッドを圧接させて移動させ、サーマルヘッドの発熱体を選択的に加熱して、印版にインクの透過しない溶融固化部とインクの透過する非溶融部とからなる印面を製版する装置が提案されている。(特許文献1参照。)
特開平10―100464号公報
特許文献1の印面形成装置は、印面材を台木に取り付けた状態で固定するものであり、高価な部品である端面ヘッドを用いる必要があること、装置全体が大がかりなものになることなどから、生産コストを下げることが難しい。
本発明は、上記従来の課題を解決するものであって、印面材ホルダに保持されている印面材に印面を形成する印面形成装置及びその印面形成方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく、本発明に係る印面形成装置は、加熱により非多孔質化可能な多孔質の印面材及び該印面材を着脱可能に保持する保持体を有する印面材ホルダの前記印面材が保持された面に沿う方向に配列された複数の発熱体と、前記印面材ホルダの面に当接する高さを有する突起と、が設けられた前記印面材に印面を形成する印面形成部と、前記印面形成部に対して、前記印面材ホルダを相対的に移動させる搬送部と、を有する。
また、本発明に係る印面材ホルダは、加熱により非多孔質化可能な多孔質の印面材と、該印面材を着脱可能に保持し、左右対称に斜めの切欠を持つ保持体と、を有する。
また、本発明に係る印面形成方法は、加熱により非多孔質化可能な多孔質の印面材を保持体に着脱可能に保持する印面材ホルダを、前記印面材に熱を加えて印面を形成する印面形成部に対して相対的に移動させつつ、前記印面材ホルダの面に当接する高さを有する突起により、前記印面材ホルダが前記相対的に移動されている方向とは異なる方向へ移動することを防止する印面形成工程を有する。
本発明は、簡単な構成の印面形成装置と簡便な構造の印面材ホルダとを用い、印面形成装置に挿入された印面材ホルダに保持されている印面材に対して印面形成を行う印面形成装置、印面形成方法を提供することができる。
とりわけ、印面材に印面形成を行う過程において、印面材ホルダに起こり得る挙動を安定させ、良好な印面形成を行うことができる。
本発明の一実施形態に係る印面形成装置を印面材ホルダとともに示す外観斜視図(図1(a))及び搬送方向に沿った鉛直面で切断して描いた斜視図(図1(b))である。 本実施形態に係る印面形成装置の印面材ホルダの排出口周辺の構造を示す断面図(図2(a))及び排出口を正面から見た外観拡大図(図2(b))である。 本実施形態に係る印面形成装置に適用される印面形成部の要部構成を示す斜視図である。 本実施形態に係る印面形成装置に適用される印面形成部の要部構成の平面図(図4(a))及び搬送方向に沿った鉛直面で切断した断面図(図4(b))である。 本実施形態に係る印面形成装置のシステム構成のブロック図である。 本実施形態に係る印面形成装置により印面が形成される印面材を保持する印面材ホルダの一例を示す概略図である。図6(a)は、平面図である。図6(b)は、VIB―VIB断面図、すなわち搬送方向を含む鉛直面で切った断面図である。図6(c)は、図6(b)において円で囲ったVIC部詳細を示す断面図である。 印面形成が完了して印面材ホルダから取り出された印面がスタンプの台木に取り付けられて印鑑として完成した状態を示す図である。図7(a)は、外観斜視図である。図7(b)は、側面図である。 本実施形態に係るプリンタによる印面の形成状態を示す概略断面図である。特に、印面材ホルダが搬送される際の挙動を説明している。図8(a)は、印面材ホルダがプリンタ(印面形成装置)に挿入した直後の状態であり、印面材ホルダは、まだサーマルヘッドにもプラテンローラにも接していない。図8(b)は、サーマルヘッドの押圧部分(発熱体)と、ドライバIC(駆動回路)とが両方とも印面材に当接している状態を示す。図8(c)は、サーマルヘッドの押圧部分(発熱体)が印面材に当接しているが、ドライバICが印面材から離れる状態を示す。図8(c)の白抜き矢印は、印面材ホルダの後ろ側(搬送方向についての後ろ側)が持ち上がる挙動を示す。 本発明の課題を説明すべく、サーマルヘッド(図9(a))、印面材ホルダ(図9(b))、起こり得る印刷不良(図9(c))について説明する斜視図である。 印面材ホルダの搬送方向後ろ側の左右両側に斜めの切欠を設けた様子(図10(a))、プリンタ側に印面材ホルダに当接する突起を設けた様子(図10(b))、その部分拡大図(図10(c))を示す。(実施例1)。 プリンタ側の突起が印面材ホルダの切欠テーパに沿って徐々に印面材ホルダの上から外れる様子を示す斜視図(図11(a))、およびその部分拡大図(図11(b))である。(実施例1)。 実施例1を適用した場合に、印面材ホルダが搬送される際の挙動を説明すべく、横から見た概念図である。図12(a)は、ドライバICが印面材から離れる状態を示す。図12(b)は、その後、引き続いてプリンタ側突起が印面材ホルダの上に当接している状態を示す。図12(c)は、プリンタ側突起が印面材ホルダの後方切欠の摺動斜行部に沿って徐々に外れ始めることにより印面材ホルダが徐々に傾く様子を示す。図12(d)は、プリンタ側突起が印面材ホルダの後方切欠の摺動直行部に沿って徐々に離れていく様子を示す。(実施例1)。 バネ状突起の実施例2を示す。図13(a)は、プリンタ側にバネ状突起を設けた様子を示す斜視図である。図13(b)は、横から見た概念図である。(実施例2)。
《概念・用語の定義》
以下、本発明の実施形態を説明するにあたって、重要な概念・用語の定義を与える。
印面形成装置は、印面材に対して所望の像を形成して印面を形成する装置である。本発明にあっては、いわゆるサーマルプリンタを用いることができる。サーマルプリンタは、サーマルヘッドを有し、複数の発熱体及びそれらを駆動する駆動回路(ドライバ)により、個々の発熱体を選択的に加熱することができる。また、サーマルヘッドは、その近傍に温度センサ(サーミスタ)を有し、環境温度(主にサーマルヘッドの発熱に起因して上昇する温度)を測定し、後述する制御部に環境温度の情報を与え、制御部は、それに基づいて駆動回路を制御する。
印面材は、液状のインクを含浸可能な多孔質のスポンジ体からなり加熱により非多孔質化する熱可塑性の部材である。例えば、多孔質エチレン酢酸ビニル・コポリマー(EVA)を用いることができる。
印面材ホルダは、印面材に対して所望の像を形成すべく印面形成装置に通すために用いる治具である。例えば、印面材を印面材ホルダに保持した状態のものが印面形成装置のユーザに供給される。本明細書にあっては、便宜上、印面材ホルダは、印面材と、それを保持する保持体とを有するものとする。
保持体は、例えば、コートボールからなる厚板紙により構成される。印面形成後、印面材ホルダから印面材を取り出した後は、廃棄される部材である。
印面形成部は、サーマルヘッドにより選択的に熱を加えることにより、印面材の表面の所望の箇所を非多孔質化させて、その部分のインクの通過を禁止する処理を施す機構部分である。
印刷(サーマルプリンタによる印刷)は、インクを用いる印刷ではなくて、画像データに応じて、サーマルヘッドの発熱体が選択的に加熱されることにより、印面材の表面を所定の大きさ(サーマルヘッドの発熱体の大きさ)のドットごとに、非多孔質化するか、しないかの処理をすることを意味する。
印字データは、印面を形成しようとするユーザが所望する印面を印面材の上に形成するためのデータである。サーマルヘッドによる印刷が、インクの通過を禁止する処理であることに留意すると、印字データは、ユーザが作った印面により押印する印影から見ると、白黒反転及び左右反転した画像データである。
搬送部は、印面材ホルダを搬送する機構部分であり、例えばプラテンローラとそれを動かすステッピングモータにより構成することができる。
制御部とは、印面形成装置の制御部(CPU)をいう。印面形成装置の制御部は、有線通信(USB(登録商標))又は無線通信(Wi―Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、WLAN(登録商標)など)により、パソコン(PC)、スマートフォン、タブレットコンピュータなどと接続されて、連携して機能することができる。
印面材保持工程は、印面材が印面材ホルダに保持された状態でユーザに供給される場合には、印面材ホルダを製造する工場においてなされる工程である。
印面形成工程は、印面形成装置のユーザが印面材ホルダを用いて印面形成を実行する際になされる工程である。
《本発明の核心について》
本発明の課題は、印面材を印面材ホルダに保持した状態で印面形成をする印面形成装置、印面形成方法を提供することである。そして、とりわけ、印面材ホルダを搬送する際の印面材ホルダの挙動を安定させて、良好な印面を形成することについてのものである。
以下、本発明に係る印面形成装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
《図1、図2、図3、図4を参照しつつ、印面形成装置(サーマルプリンタ)の機械構成について説明する》
図1は、本発明の一実施形態に係る印面形成装置を印面材ホルダとともに示す概略斜視図である。ここで、図1(a)は、本実施形態に係る印面形成装置の外観斜視図であり、図1(b)は、そのX―Z面(搬送方向を含む鉛直面)における断面構造を示す斜視断面図である。図2は、本実施形態に係る印面形成装置の印面材ホルダの排出口周辺の構造を示す概略図である。ここで、図2(a)は、図1(b)に示したIIA部(本明細書においては、図1(b)中に示したローマ数字の「2」に対応する記号として便宜的に「II」を用い、ローマ数字の「5」に対応する記号として便宜的に「V」を用いる。以下、同様。)における断面構造を示す要部断面図である。図2(b)は、排出口を含む印面形成装置の外観を示す正面図である。図3は、本実施形態に係る印面形成装置に適用される印面形成部の要部を示す斜視図である。図4は、本実施形態に係る印面形成装置に適用される印面形成部の要部構成の平面図及び断面図である。図4(a)は、印面形成部の平面図であり、図4(b)は、そのX―Z面(搬送方向を含む鉛直面)における断面構造を示す概略断面図である。
本実施形態に係る印面形成装置(以下、「プリンタ」と称す)1は、いわゆるサーマルプリンタであって、例えば図1(a)、図1(b)に示すように、挿入口10cから挿入された印面材ホルダ20(詳しくは、図6を参照しつつ後述するが、印面材21と、印面材21を保持する保持体22と、印面材21を保護するフイルム24とを有する。)を排出口10dに向けて搬送する。そして、プリンタ1は、搬送中の印面材ホルダ20上の印面材21にフイルム24の上からサーマルヘッド4を所定の荷重で押し付け、サーマルヘッド4が有する複数の発熱体を選択的に加熱することにより、所望の像(文字、記号、図形など)を表す印面(印章やスタンプを押した時に、文字、記号、図形などからなる印影を形成する部分)を、印面材ホルダ20上の印面材21に形成する。
図1(a)、図1(b)に示すように、互いに直交するX、Y、Z方向を設定する。図面中に記載された方向を示すX、Y、Zの符号について、矢視方向を「+」を付して示し、矢視方向に対する逆方向を「−」を付して示し、両方向を示す場合には、符号(「+」または「−」)を付さない。X方向は、印面を形成する対象物である印面材21を含む印面材ホルダ20を搬送する方向と同じ方向であり、前後方向とも呼ぶ。Y方向は、プリンタ1の幅方向と同じ方向であり、左右方向とも呼ぶ。Z方向は、印面材ホルダ20にサーマルヘッド4を押し付ける方向と同じ方向であり、上下方向とも呼ぶ。
図1(a)、図1(b)に示すように、プリンタ1は、下ケース10aと上ケース10bとから構成されるケース10を備えており、下ケース10aの前後面に印面材ホルダ20を通すための挿入口10cと、排出口10dが形成されている。上ケース10bの上面には入力操作部6が設けられている。入力操作部6は、操作者による操作が行われると、操作内容に応じた信号を出力する。
下ケース10aの排出口10dには、例えば図2(a)、(b)に示すように、排出口10dを構成する下側の内面10eに、排出口10d内に所定の高さで突出するように形成された複数のリブ(支持部)10fが、排出口10dの開口方向(Y方向)に沿って、所定の間隔で配置されている。ここで、複数のリブ10fは、排出口10dから排出される印面材ホルダ20の搬送路上に配置されている。すなわち、複数のリブ10fは、挿入口10cから挿入された印面材ホルダ20がプリンタ1内部を搬送されて、少なくとも、サーマルヘッド4の印面材ホルダ20への押し付け状態が特定の状態に変化した時点で、印面材ホルダ20の一端側(+X方向側)近傍の裏面側(サーマルヘッド4が押し付けられる印面の形成側とは反対側の面、すなわち図2の下側)に接触して支持するように設けられている。このとき、複数のリブ10fは、印面材ホルダ20が湾曲(変形)しない程度に印面材ホルダ20の裏面に接触するように設けられ、より好ましくは、印面材ホルダ20の搬送(送り量)に影響が及ばない程度に、例えば摩擦が少ない状態で軽く接触する程度に印面材ホルダ20を支持するように設けられている。
プリンタ1のケース10に組み込まれる印面形成部は、例えば図3、図4に示すように、大別してサーマルヘッド(印面形成部)4と、ステッピングモータ9と、ガイド14と、プラテンローラ(搬送ローラ)12と、を備えている。サーマルヘッド4、ガイド14、プラテンローラ12の両脇には、Y方向に対向する一対の板状のサイドフレーム13が設けられている。
プラテンローラ12は、図4(a)、図4(b)に示すように、印面材ホルダ20をX方向に搬送するものであり、両サイドフレーム13、13間に渡されて設けられており、両端が各サイドフレーム13を貫通している。プラテンローラ12の両端部は、サイドフレーム13に対して回転自在になるように、サイドフレーム13に支持されている。なお、プラテンローラ12の回転軸の+Y軸の端部には、例えばローラ歯車(図示を省略)が一体的に取り付けられ、ステッピングモータ9の駆動軸に取り付けられた駆動歯車(図示を省略)の回転に伴う駆動力が、複数の電動歯車を介して伝達されることにより、プラテンローラ12が所定の回転速度で回転する。
ガイド14には、印面材ホルダ20(印面材21)をプラテンローラ12に導くための傾斜面14aが形成されている。傾斜面14aは、図4(b)に示すY方向視(+Y方向から見た場合の断面)において、傾斜面14aの延長線EL(図中、一点鎖線にて表記する。搬送経路に相当する。)がプラテンローラ12の外周面に接するように配置されている。ここで、図4(b)に示すように、排出口10dの内面10eに設けられたリブ10fは、その上面が傾斜面14aの延長線ELに接するように、突出高さや形状、配置が設定されている。
なお、図4(b)に示すように、傾斜面14(a)の凹部14bには、センサ3が設けられている。センサ3は、印面材ホルダ20と接触しないように印面材ホルダ20の軌道よりも若干−Z側に配置されている。また、図4(a)に示すZ方向視(+Z側から見た場合の平面図)において、センサ3は、印面材ホルダ20の切欠22aがセンサ3上を通過するように左側のサイドフレーム13よりも若干+Y側であってプラテンローラ12よりも若干−側に配置されている。図4(a)に破線で示す検知走査線SLはセンサ3の光軸Lと交叉しX方向に延びる線である。センサ3は、反射型光学センサであり、+Z方向に光を出射する発光素子と、センサ対象物(ここでは、印面材ホルダ20)に当たって―Z方向に反射した光を受光する受光素子とを有する。センサ3は、受光素子において受光した光の光量に応じた信号を出力する。この信号に基づいて、印面材ホルダ20に嵌め込まれた印面材21の種類(サイズ)が特定される。
サーマルヘッド4は、図2(a)、図4(b)に示すようにプラテンローラ12に対向するように設けられる。サーマルヘッド4は、X方向に搬送される印面材ホルダ20上の印面材21をフイルム24を介して押圧する。サーマルヘッド4における印面材21を押圧する押圧部4aは、Y方向に沿った直線帯状に設けられている。ここで、押圧部4aの長さ(Y方向の長さ)は、印面材21の幅(Y方向に沿った長さ)よりも長くなるように設けられている。これにより、印面材21の幅方向に沿って延びる直線帯状の部分が一様に、押圧部4aによって押圧されて変形する。そして押圧部4aには、印面の形成(製版)時に選択的に加熱される複数の発熱体(図示を省略)が、押圧部4aの延在方向(Y方向)に沿って配列されている。また、サーマルヘッド4には、押圧部4aに配列される複数の発熱体の各々の発熱状態を制御するための駆動回路を備えたICチップ(ドライバIC)4bが設けられている。ドライバIC4bは、複数の発熱体が設けられた押圧部4aに対して、例えば印面材ホルダ20の搬送方向とは逆方向(−X方向)の位置に配置されている。このような構成により、印面材21の直線帯状の部分(押圧部4aによって押圧され変形する部分)では、加熱され発熱する発熱体に対応した箇所が加熱されることになる。
ここで、一般的なサーマルヘッド4は、プリント基板(PCB)の一面側に、複数の発熱体が設けられた押圧部4aと、各発熱体の発熱状態を制御するためのドライバIC4bとが近接して配置されている。これは、プリント基板のサイズを小さくするとともに、コストアップを抑制するための構成であり、汎用品はほとんどこの形態を採用している。
なお、サーマルヘッド4とプラテンローラ12との間隔(図2(a)中に、「H」と表記する)は、後述する印面材ホルダ20の構成に応じて、予め設定された一定値に設定されているものであってもよいし、サーマルヘッド4、又は、プラテンローラ12をZ方向に移動させて、サーマルヘッド4とプラテンローラ12との間隔Hを調整するための機構(図2(a)中に、「32」と表記する。)を備えているものであってもよい。このようなサーマルヘッド4とプラテンローラ12との間隔Hの調整機構32を用いることにより、サーマルヘッド4の印面材21への押圧力を変化させることができる。特に、印面材21のサイズ(特に、幅方向の寸法)が異なる印面材ホルダ20に印面を形成(製版)する場合においては、印面材21のサイズによってサーマルヘッド4の押圧部4aの押し付け状態が変化することがあるため、サーマルヘッド4とプラテンローラ12との間隔Hの調整機構32は、適切な印面形成を行うために極めて有益である。このような間隔Hの調整機構32は、例えば、センサ3により印面材ホルダ20の切欠22aを走査することにより、制御部2により特定された印面材ホルダ20の印面材21のサイズに基づいて、間隔Hが調整制御される。ここで、間隔Hが小さく設定されるほど、サーマルヘッド4の印面材21への押圧力は大きくなる。
《制御部(CPU)によって制御されて機能する機能構成について》
次に、本実施形態に係るプリンタ1の機能構成、すなわち制御部(CPU)によって制御されて機能する機能構成について説明する。
図5は、本実施形態に係る印面形成装置(プリンタ1)のシステム構成のブロック図である。
図5に示すように、プリンタ1は、中央制御回路2を備え、中央制御回路2には、センサ3、サーマルヘッド4、電源回路5、モータードライバ8、表示画面制御回路47、メモリ制御回路48、UI(ユーザインターフェイス)制御回路49、USB制御回路40(USBは登録商標)、Bluetoothモジュール・無線LANモジュール41(Bluetoothは登録商標)を有している。
また、モータードライバ8にはステッピングモータ9が接続され、表示画面制御回路47には表示デバイス43が接続され、USB制御回路40(USBは登録商標)には、PC(パーソナルコンピュータ)44が接続されている。
なお、センサ3は、本例の場合、反射型光学センサで構成されており、印面材ホルダ20に設けられた切欠22aの検出を行う。中央制御回路2は、センサ3からの信号を検出することで、印字開始位置や印面材サイズなどを検出するとともに、サーマルヘッド4への通電制御を行う。
また、表示デバイス43、表示画面制御回路47、UI制御回路49、USB通信制御回路(USB通信制御回路)40(USBは登録商標)、又はBluetoothモジュール・無線LANモジュール41(Bluetoothは登録商標)等は、必ずしも全てが必要な訳ではない。
図1において、中央制御回路(制御部)2は、システム全体の制御を行っている。なお、この図では各回路のほとんどは中央制御回路2とのみ接続されているが、バスを通じて各回路同士がデータ通信を行うことももちろん可能である。中央制御回路2は、CPU(central processing unit)を含む回路であり、当該CPUが必要に応じてコンピュータプログラムを読み込んで実行することにより、さまざまな機能(例えば、搬送量検出、寸法設定、寸法判定、位置検出、加熱制御、押圧力制御など)を実現する。
メモリ制御回路48は、ROM(read only memory)やRAM(Random Access Memory)等のデバイスを含み、それらの制御を行っている。表示デバイス43は、例えばLCD(liquid crystal display)等の表示装置を指し、表示画像制御回路47では、表示デバイス43へのデータ転送等やバックライトの点灯、消灯等の制御をしている。
また、さまざまな機能を実現するために必要なコンピュータプログラムは、ROM等に格納されており、必要に応じてRAMに書き込まれて参照され、利用される。この印面形成装置は、パソコン(又はスマートフォン)側にドライバソフトおよびアプリケーションプログラムをインストールし、USB接続(USBは登録商標)などにより連携して動作するものである。したがって、印面形成装置内のコンピュータプログラムと、パソコンなどの外部機器にインストールされたコンピュータプログラムとが連携してさまざまな機能を実現する。
例えば、PC44と接続または無線接続が必須の構成を有する機種の印面形成装置(プリンタ)の場合は、ユーザは、PC44又は不図示の携帯電話端末等のGUI(Graphical User Interface)上で操作を実施するため、ハ―ドウェア側において表示画面制御回路47と表示デバイス43は必須ではない。
UI(ユーザインターフェイス)制御回路49は、キーボードやマウス、リモコンやボタン、タッチパネル等の入力デバイスからユーザがパソコンなどを介して、又は本印面形成装置(プリンタ)に設けた入力装置を介して入力した情報をもとに、メニュ―画面表示等の制御を行う。電源回路5は、電源IC(integrated circuit)等からなり、各回路に必要な電源を作り出して供給する。
サーマルヘッド4は、中央制御回路2から出力されたデータと印刷信号を受け取り、ヘッド内部のドライバIC4bにて通電ドットの制御を行い、ヘッドに接している多孔質エチレン酢酸ビニル・コポリマー(以下、EVA)などの印面材に対して印刷(印面形成又は印字、以下同様)を行う。本印面形成装置における「印刷」は、インクを用いる印刷ではなくて、画像データに応じて、サーマルヘッド4の発熱体が選択的に加熱されることにより、印面材21の表面をドット(発熱体の単位)ごとに、非多孔質化するか、しないかの処理をすることを意味する。
なお、本システムの構成例では、中央制御回路2から他の回路が受け取るのはデータと信号のみであり、印刷に必要な電力は電源回路5から得ている。因みに、本例の装置では、サーマルヘッド4は、200dpi、すなわち200ドット/25.4mmの解像度(1dot当たり0.125mmの解像度)で48mmの有効印字幅を有している。
モータードライバ8は、ステッピングモータ9を駆動する駆動回路であり、中央制御回路2から出力される信号を受け取り、駆動用のパルス信号及び電力をステッピングモータ9に供給する。なお、中央制御回路2から受け取るのは励磁信号のみで、実際の駆動電力は電源回路5から得ている。
制御部(中央制御回路)2は、モータードライバ8に出力した信号のパルス数を数えることによりステッピングモータ9をどれだけ回転させたか、つまりプラテンローラ12により印面材ホルダを何mm搬送したかを正確に把握することが出来る。
本実施形態におけるプリンタ1は、1―2相励磁駆動を採用しており、ギア比は1ライン(0.125mm)当たり16ステップとなるように構成されている。すなわち、1ステップで、0.0078mmの搬送を行う。
なお、制御部2におけるプラテンローラ12による搬送距離の算出を、パルス数に基づいて行わずに他の方法を用いても良い。例えば、プラテンローラ12の回転数をロータリーエンコーダにより検出し、検出された回転数に基づいてプラテンローラ12による搬送距離を算出しても良い。
《印面材ホルダの構成について》
次に、プリンタ1により印面を形成(製版)する印面材ホルダ20について、図6及び図7を参照しつつ説明する。
図6は、本実施形態に係るプリンタにより印面が形成される印面材ホルダの一例を示す概略図である。図6(a)は、印面材ホルダ20の印面形成側(印面材21を保持する側)を示す平面図である。図6(b)は、図6(a)に示したVIB―VIB線(本明細書にVを用いる。)に沿った断面構造を示す概略断面図である。図6(c)は、図6(b)に示したVIC部における断面構造を示す要部断面図である。図7は、印面を形成した印面材を貼り付けた押し印の一例を示す概略図である。図7(a)は、印面材側から見た押し印の斜視図であり、図7(b)は、印面材側を底面とした時(押し印として使用する際に紙などに置く時)の押し印の側面図である。
印面材ホルダ20は、印面材21と、印面材21を保持する保持体22と、印面材21を保護するフイルム24とを有する。図6(a)、(b)に示すように、保持体22は、印面材21を中央部に固定して保持している。
印面材21は、実際に印面となる主面21aを有する。印面材21は、液状のインクを含浸可能な多孔質のスポンジ体、例えば、多孔質エチレン酢酸ビニル・コポリマー(以下、「EVA」と記す。)で構成され、押圧により変形可能となっている。EVAは無数の気泡を有しており、この気泡の中にインクを含浸する。
印面材ホルダ20のうち、保持体22とフイルム24とは、印面材21の印面形成時に用いられる治具であり、印面形成の終了後には印面材21と分離されて廃棄(又は再利用)される。保持体22は、図6(b)、(c)に示すように、コートボールからなる上部厚板紙22cと下部厚板紙22dとを貼り合わせて構成されている。
ここで、保持体22は、センサ3からの光を高い反射率で反射させるために、その表面が例えば、白色に形成されている。
上部厚板紙22cには、図6(b)、(c)に示すように、その中央部に印面材21を固定するための位置決め孔22eが形成されている。この位置決め孔22eに、印面材21が嵌め込まれて固定される。下部厚板紙22dは、図6(a)、(b)に示すように、上部厚板紙22cと外形が同一に形成されており、位置決め孔22が設けられていない。下部厚板紙22dと上部厚板紙とが張り合わされた状態において、下部厚板紙22dは、印面材21の裏面21b全体に接している。
印面材21の主面21a(図6(b)の左側の面、又は、図6(c)の上側の面)は、図6(b)、(c)に示すように、上部厚板紙22cの上面(図6(b)の左側の面、又は、図6(c)の上側の面)から若干突出するように構成されている。本実施形態においては、上部厚板紙22cと下部厚板紙22dとを合わせた厚さは、例えば、1.2mmに設定され、これに対して、フイルム24、印面材21をも含む印面材ホルダ20の全体の厚さは、例えば1.8mmに設定されている。すなわち、この例においては、上部厚板紙22cに対して印面材21が0.6mm突出するように設定されている。
また、図6(b)、(c)に示すように、印面材ホルダ20は、保持体22の上面及び印面材21の上面を被覆するフイルム24を有する。フイルム24は、PET(Polyethylene Terephtalate)またはポリイミド等を基材として作られており、耐熱性と熱伝導性と表面平滑性とを有している。ここで、フイルム24の耐熱性に関しては、印面形成時のサーマルヘッド4の温度及び印面材21の溶融点よりも高い温度に耐えられるものが用いられている。また、フイルム24の熱伝導性に関しては、印面形成時のサーマルヘッド4の熱を印面材21に伝達して、印面材21を良好に溶融させられるものが用いられている。フイルム24の表面平滑性に関しては、印面形成時に接触するサーマルヘッド4の押圧部4aが摩擦の少ない状態で程良く滑るものが用いられている。
図6(c)に示すように、上部厚板紙22cと下部厚板紙22dとは、例えば両面粘着シート25により貼り合わされている。また、フイルム24は、保持体22の周囲部の表面、つまり印面材21が嵌め込まれている上部厚板紙22cの表面に両面粘着シート26により粘着されている。フイルム24と印面材21との間、印面材21と下部厚板紙22dとの間は、接触しているだけであって、貼り合わされてはいない。
このように、印面材21は、印面材ホルダ20に嵌め込まれて固定されているが、印面形成後、印面材ホルダ20から取り出せるようになっている。その取出しを可能にすべく、図6(a)の破線で示すミシン目27が保持体22に設けられている。
なお、図6においては、本実施形態に係るプリンタ1において印面形成の対象となる印面材ホルダ20の一例を示したが、印面材21のサイズ(図6(a)の縦方向及び横方向の寸法)が異なる、複数の種類の媒体20を印面形成の対象とすることができる。ここで、各種類の印面材ホルダ20の厚さ、及び、幅寸法(図6(a)の横方向の寸法)は、それぞれ同一に設定され、印面材ホルダ20の長さ寸法(図6(a)の縦方向の寸法)は、印面材21のサイズに応じて異なるように設定される。また、各種類の印面材ホルダ20の印面材21のサイズに対応して、1対1の関係で、保持体22にサイズ(例えば縦方向の寸法)の異なる切欠22aが設けられている。そして、プリンタ1のセンサ3により保持体22の切欠22aを走査して、そのサイズを検出することにより、印面材ホルダ20の印面材21の種類(サイズ)が特定される。また、センサ3が切欠22aを走査することにより、印字開始位置(X方向の開始位置)を制御部2が取得して、印字開始(印面形成)のタイミングを取得するようになっている。
印面材21は、プリンタ1における印面の形成が終了した後に、ミシン目27で保持体22を折ることにより、保持体22から取り出される。そして、取り出された印面材21は、例えば図7(a)、(b)に示すように、球状の持ち手51と方形の台木52とから構成される押し印50の台木52の下面(図7(b)における台木52の下方側の面)に両面粘着シート53等により貼り付けられる。
《印面形成の原理について》
次に、印面材21に印面を形成する原理について説明する。
印面材21は、EVAで構成されている。EVAは熱可塑性の物性を有するので、例えば70℃〜120℃の熱で加熱すると、熱を加えた箇所は軟化し、一度軟化した箇所は冷えると硬化する。そして、硬化した箇所は気泡部分が埋まり非多孔質化され、その部分はインクを通さなくなる。
本実施形態に係るプリンタ1は、この印面材21(EVA)の特性を利用して、サーマルヘッドでEVAの表面の任意の箇所を約1msecから5msec程度加熱することにより、EVAの表面の任意の箇所を非多孔質化させて、その部分のインクの通過を禁止する。なお、印面材21は、熱裁断機によって予め方形に裁断されている。このため、印面材21の4つの側面(端面)は、いずれも裁断の際に加えられた熱によって非多孔質化されており、インクを通過させない。なお、印面材21の裏面21bも加熱処理が施されており、インクを通過させない。これによって、印面となる主面21a以外の面からインクが滲み出ることを防止している。
印面の形成(熱印刷)において、インクを透過させる部分は加熱せず、透過させない部分は加熱することで、スタンプ押印時に得たい印影に応じたインク透過部分を形成することができる。なお、印面の形成時に誤差が生じ得ること、および、印面材21の側面(端面)がインクを通過しないことを考慮して、印面材21のサイズは、所望の印影サイズよりも若干大きく設定されている。例えば、印影のサイズが45mm×45mmの場合には、印面材21のサイズは48mm×48mmに設定される。
《印面形成動作について》
次に、本実施形態に係るプリンタ1において、所望の印面を形成する印面形成動作について説明する。なお、以下に示す各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で制御部2(さらに詳しく言えば、ROM)に格納されており、このプログラムコードにしたがった動作が逐次実行される。なお、この印面形成装置(プリンタ1)は、通常はパソコンやスマートフォンなどと連携して動作するものである。ここでは、煩雑な説明となるのを防ぐべく、プリンタ1内における動作に限定して説明する。
図8は、本実施形態に係るプリンタによる印面の形成状態を示す概略断面図である。
プリンタ1の印面形成動作においては、まず、制御部2は、入力操作部6が押圧され、入力操作部6からプリンタ1を起動する信号が入力されると、プリンタ1のイニシャル動作を実行する。プリンタ1のイニシャル動作においては、制御部2は、モータードライバ8に駆動信号を送り、ステッピングモータ9を所定時間回転させる。これにより、プラテンローラ12が所定時間回転し、プリンタ1内に印面材ホルダ20が残っていた場合でも、その印面材ホルダ20が排出口10dからプリンタ1外に排出される。
イニシャル動作の終了後、制御部2は、図8(a)に示すように、プリンタ1の操作者により印面材ホルダ20が挿入口10cからプリンタ1に挿入された状態において、入力操作部6から印面形成を開始する開始信号(例えば、上記イニシャル動作後において、入力操作部6から出力される、入力操作部6を押圧操作したことを示す信号)が入力されると、ステッピングモータ9を回転させて、プラテンローラ12を回転させる。これにより、印面材ホルダ20は、ガイド14(傾斜面14a)に沿って+X方向に搬送される。
ここで、複数の種類(サイズ)の印面材ホルダ20を印面形成の対象とする場合には、制御部2は、センサ3により印面材ホルダ20(保持体22)の切欠22aの長さを検出し、印面材ホルダ20の種類(印面材21のサイズ)、および印字開始位置についての情報を特定する。そして、制御部2は、特定された印面材ホルダ20の種類に基づいて、サーマルヘッド4とプラテンローラ12との間隔Hの調整機構32を制御して、印面材ホルダ20の種類に応じた間隔Hを設定する。これにより、印面材ホルダ20の種類に応じて、サーマルヘッド4の印面材21への押圧力が適切に設定される。
そして、図8(b)に示すように、印面材ホルダ20が+X方向にさらに搬送されると、サーマルヘッド4の押圧部4aが保持体22の上面を経由して、印面材21に達する。印面材ホルダ20の印面材21は、サーマルヘッド4の下に引き込まれ、予め設定された所定の押圧力で押圧されながら搬送され、サーマルヘッド4の押圧部4aにY方向に配列された発熱体からの熱を受けて印面形成が行われる。印字開始のタイミングは、切欠22aの検出により得た情報に基づいて決定される。
具体的には、制御部2は、入力された画像データに基づいて、印面材ホルダ20の搬送(ステッピングモータ9の回転)と、サーマルヘッド4の複数の発熱体のいずれを発熱されるかと、を連携させながら制御し、印面材21の画像データに応じた位置を選択的に加熱して、インクの透過部分と非透過部分とを画像データに応じて形成することで、印面を形成する。
このとき、印面材21に適用されるEVAは、多孔質のスポンジ体で非常に柔らかいため、適切に印面形成(熱印刷)を行うために、通常の熱印刷を行うプリンタよりも強くサーマルヘッド4の発熱体を、印面材ホルダ20の印面材21に押し付ける必要がある。そのため、図6(b)、(c)に示したように、印面材21の主面21aが保持体22の上面から突出するように構成されている。また、印面材ホルダ20の印面材21に対するサーマルヘッド4の押し付け状態は、図8(b)に示すように、サーマルヘッド4の発熱体が配列された押圧部4aに加え、発熱体の近傍に配置されたドライバIC4bも印面材21に押し付けられて、印面材21に食い込んだ状態にある。
そして、印面材21に印面を形成しつつ、印面材ホルダ20が+X方向にさらに搬送されると、図8(c)に示すように、サーマルヘッド4が印面材21の−X方向の端部(終端部)に達し、印面材21と保持体22との間の境界部分を通過する。このとき、印面材ホルダ20の保持体22の搬送方向(+X方向)の端部側は、少なくとも排出口10dに達し、その近傍の裏面側(サーマルヘッド4が押し付けられる印面の形成側とは反対側の面、図面下面側)に、排出口10dの内面10eに設けられた複数のリブ10fが接触して、印面材ホルダ20を支持している。
ここで、印面材21は、保持体22よりも厚み方向に突出して構成されているため、この境界部分には段差が存在する。また、サーマルヘッド4の押圧部4aの近傍(−X方向)にはドライバIC4bが配置されている。加えて、印面材21に対してサーマルヘッド4が強く押し付けられているため、上記の境界部分をサーマルヘッド4が通過することによって、まず、サーマルヘッド4のドライバIC4bが段差を降りる状態となる。このとき、印面材ホルダ20(印面材21)へのサーマルヘッド4のドライバIC4bによる押圧力が瞬間的に解除された状態となり、図8(c)中に矢印Fで示すように、印面材ホルダ20を回転(+X方向の端部を下方に付勢させ、−X方向の端部を情報に付勢)させる力が加わる。
ここで、プリンタ1の排出口10dに、リブ10fが配置されていない構成においては、印面材ホルダ20の+X方向の端部側が支持されていない状態にあるため、サーマルヘッド4のドライバIC4bが印面材21と保持体22との間の段差を降りた瞬間に、印面材ホルダ20に生じる力Fによって印面材ホルダ20が回転して、プラテンローラ12による印面材ホルダ20の送り量(送り密度)が変化する。そのため、印面が形成される印面材21の主面21aに、送り量の変化に起因する印刷ムラ(例えばY方向にライン状に延在する凹凸)が生じて、適切な印面形成が行われない可能性がある。
これに対して、本実施形態にあっては、図2および図4に示したように、排出口10dの下側の内面10eに、印面の形成動作中に搬送される印面材ホルダ20の搬送経路である傾斜面14aの延長線ELに上面が接するように形成された複数のリブ(突出部材)10fが配置されている。これにより、印面材ホルダ20は、傾斜面14aとプラテンローラ12と排出口10dに設けられた複数のリブ10fとにより、搬送経路上に支持されている。したがって、サーマルヘッド4のドライバIC4bが、印面材21と保持体22との間の段差を降りた瞬間に、印面材ホルダ20に生じる力Fによって印面材ホルダ20が回転する現象が抑制されて、適切な印面形成が行われる。
そして、印面材ホルダ20が+X方向にさらに搬送されて、印面材ホルダ20への印面の形成が完了すると、印面材ホルダ20がプリンタ1の排出口10dから排出される。その後、制御部2は、ステッピングモータ9を停止することによりプラテンローラ12を停止させて、一連の印面形成動作を終了する。ここで、制御部2においてステッピングモータ9を停止するタイミングは、例えば、印面材ホルダ20の後端がセンサ3を通過してから所定時間経過後に設定される。
《保持体22及びフイルム24の役割について》
EVAは1.5mmの厚さを持つ部材であり、高い弾性と摩擦係数を有する。このため、EVAをそのままサーマルプリンタに挿入して搬送を行おうとしても、サーマルヘッドとEVAとの摩擦力が大きく、安定した直進性の搬送を行うことが出来ない。つまり、EVAは摩擦力が大きいことと、ゴムのように柔らかいため、たとえサーマルプリンタ側に直進安定性を得るためのガイドが取り付けられていても、搬送中に少しでも曲がりができると、EVA自体が屈曲してしまい、結果的にすぐに斜行が発生する。
上記のEVAの搬送上の困難は、サーマルヘッドが発熱していない非加熱の状態の場合でも起きる現象であるが、サーマルヘッドが発熱した場合、サーマルヘッドは発熱開始後の数ミリ秒で約200度近くまで温度が上がるため、EVA表面を加熱した瞬間に表面が軟化し、軟化した部分にサーマルヘッドが埋まってしまい、EVAの搬送が全く出来なくなってしまうという現象が生じる。
端面ヘッドを用いる方式や、ヘッドを移動駆動するためにキャリッジを組み込む方式の場合は、上記の問題が起きないが、この方式は、機構の大型化と使用部材のコストの大幅な上昇を招くという不都合がある。
本発明においては、機構の大型化とコストの大幅上昇を招くことなく、通常のサーマルヘッドを用いたプリンタ1により、上記のように搬送性に難のあるEVAを印面版として印面形成を行うために、印面材ホルダ20、保持体22を用い、フイルム24で保護することとしたものである。
また、印面材21は、上部厚板紙22cの位置決め孔24で位置固定され、下部厚板紙22dにより下面から保持されると共に上面をフイルム24により被覆されているので印面材ホルダ20に保持された状態のままの形を維持し、X方向、Y方向の外力が加わっても変形しない。
したがって、印面材ホルダ20が搬送される通りに印面材21もまた、それにしたがって搬送される。印面材ホルダ20が直進搬送されれば、印面材21もその通りに直進搬送される。また、フイルム24は、印面材21、つまりEVAの溶融点よりも高い温度に耐熱性を有している。
したがって、サーマルヘッド4の発熱で印面材21の表面が溶融してもフイルム24は溶融しない。つまりフイルムとしての被覆性を失うことはない。また、フイルム24は、サーマルヘッド4との摩擦力は極めて低い。
このため、サーマルヘッド4は、フイルム24の被覆性により、溶融して軟化した印面材21の中に埋没することなく、また、フイルム24との間の低摩擦性により、フイルム24の面に沿って容易に発熱印字(印面形成)を続けていくことができる。このようにして印面材21への印面形成が完了する。
《印面形成後の印面材を取り出した後の用い方》
印面材に印面を形成して出来上がった印面版を印面材ホルダ20から取り出すには、保持体22をミシン目27(図6(a)参照)に沿って折り曲げて、印面材21を引き出すだけでよい。その後、台木52に印面形成後の印面材を貼り付けて、印面を一定時間インクに浸す。あるいはインクの粘性によっては、塗り付けておいて放置する。所定時間が経過すれば、インクが印面版の内部に含浸する。ユーザは、印面表面の余剰のインク汚れをふき取った後(あるいは何度か試し押しをした後)、持ち手51を指で持って、押印対象物に押し付けると、印面から含浸インクが押し出されて印影が押印される。
《印面材ホルダが搬送される際の挙動について》
図8、とりわけ図8(c)を参照しつつ、印面材ホルダが搬送される際の挙動、すなわち、ドライバIC4bが印面材21の後方の段差を降りる際に、印面材ホルダの後方が上昇する向きに力が加わること、そのために印字不良が起こる可能性があること、それを防止するためにリブ10fを設けたことを説明した。
本発明においては、この課題を解決するもう一つの手段として、プリンタ側(印面形成部側)のドライバICよりもやや後方(搬送方向を前方とした時の後方、すなわち―X方向)に印面材ホルダに向けての突起を設けることを提案する。
《サーマルヘッドの形状、印面材ホルダ、起こり得る印刷不良》
突起の実施例2つを以下に説明するが、その前提として、図9を参照しつつ、サーマルヘッドの形状(図9(a))、印面材ホルダ(図9(b))、起こり得る印刷不良(図9(c))について説明する。
サーマルヘッド4は、汎用電子部品として入手可能なものである。図9(a)は、サーマルヘッド4の押圧部(発熱体)4aが下を向いている状態のものを下側から見上げた状態を示す斜視図である。押圧部4aは、本実施形態にあっては、発熱体を200dpiの解像度で、48mmの長さで配列させたものであり、配列方向がサーマルヘッド4の主走査方向となる。本発明に係るプリンタ(印面形成装置)1では、主走査方向がY方向と一致するように、サーマルヘッド4を配置する。
サーマルヘッドの副走査方向は、X方向、すなわちプラテンローラ12により印面材ホルダ20を搬送する方向と一致する。本発明に係るプリンタでは、プラテンローラ12の動力であるステッピングモータ9が16ステップの動作をする間に、1ドット分の移動をするように設計されている。
ドライバIC4bが印面材21から離れるタイミングで、図8(c)に示す白抜き矢印の向きの力が加わると、1ドット分が16ステップという送り密度に変化が生じるために、その時の押圧部4aが接している印面材21の部分である箇所に印刷不良が生じるものと説明できる。図9(c)は、印刷不良部分21nを描いたものである。
図9(b)、図9(c)は、印面材ホルダ20を描いた斜視図であり、図中に入れた矢印は、搬送方向(+X方向)を示す。印面材ホルダ20は、保持体22に印面材21を固定したものである。印面材21は、EVAからなる柔らかい部材であり、印影画像を白黒左右反転させた画像を熱により印刷することで、印面を形成させるべく、サーマルヘッドの押圧部4aが印面材21の中に食い込むようになっている。それを可能にするため、印面材21は、保持体22から1mm程度上に、はみ出た状態となっている。
《突起を設ける解決手段のリブ10fとの独立性について》
この突起を設ける解決手段は、リブ10fを設けずにこの突起によりこの課題を解決することも可能なものであるが、既に述べたリブ10fと併せて用いる場合には、印面材ホルダ20が比較的ゆっくりと緩慢な動作により、リブ10fに接触することができるように作用する。つまり、突起を設けることは、リブ10fを設ける手段とは、独立に実施可能であり、さらに組み合わせて用いることも可能なものである。
以下、この突起について、実施例1、実施例2に分けて説明する。
《実施例1:プリンタ側(印面形成部)に突起を設けて、印面材ホルダ側の後方左右両端に後方切欠を設ける》
図10(a)は実施例1の印面材ホルダの平面図であり、図の下方が挿入方向の前方(+X方向)となる。挿入方向(搬送方向)を前方とすると後方(−X方向の側)になる部分の左右両端に斜めの面を含む切欠(後方切欠23)を付けてある。後方切欠23は、望ましくは、左右対称の位置に、形状も左右対称になるように設けられ、斜めの部分である摺動斜行部23pと、X方向に延びる摺動直行部23rとを有している。摺動斜行部23pと摺動直行部23rとは、いずれもプリンタ側に設ける突起が当接して、当たった状態を保ちながら滑って動く部分である。突起は、印面材ホルダ20に近い側がより細く、プリンタ側(印面形成部側)に近い方がより太く形成されており、印面材ホルダ20がプラテンローラ12による搬送で送られる過程において、摺動斜行部23p、摺動直行部23rと連続して摺り合いながら動いて、印面材ホルダ20のZ方向についての回転に類似する挙動がより緩慢な動きになるように作用する。
《プリンタ側に設ける突起について》
図10(b)およびその部分拡大図である図10(c)は、プリンタ側に印面材ホルダ20に当接する突起を設けた様子を示す図であり、―X方向、―Y方向かつ―Z方向から見上げるようにして描いた斜視図である。この状態では、印面形成途中であり、サーマルヘッド4の押圧部4aがまだ印面材21の上にある。印面材ホルダ20の保持体22は、プラテンローラ12により向こう側へ搬送される。つまり、図10(b)、図10(c)では、手前側が挿入側、向こう側が排出側である。
プリンタ側突起62は、ドライバ4bよりも少し後方の位置に左右両端にそれぞれ近い位置に二か所設けられる。図10(b)、図10(c)の状態では、サーマルヘッド4の押圧部4aが印面材21上にあるので、それに呼応して、プリンタ側突起62は、保持体22の上にその先端が接する状態にあり、まだ摺動斜行部23pに至ってはいない。
《プリンタ側突起の第一の形状:二つの円柱部とそれをつなぐテーパ部を有するものについて》
拡大図である図10(c)では、プリンタ側突起62の形状(第一の形状)を詳しく描いてある。プリンタ側突起62は、印面材ホルダ20の保持体22に当接して滑る部分である先端部62a(図10(c)では隠れている)、先端部62aにつながる細い円柱である第1円柱部62b、第1円柱部62bの太さから次第にプリンタ1の印面形成部に近づくにつれて太くなっていくテーパ部62c、テーパ部62cの最も太い部分からつながる太い円柱である第2円柱部を有している。
したがって、印面材ホルダ20がプラテンローラ12により搬送されていくにつれて、まず第1円柱部62bが摺動斜行部23pに沿って降下し、続いてテーパ部62cが摺動斜行部23pに沿って摺り動きながら徐々に降下し、最後に第2円柱部62dの側面が摺動直行部23rと摺り動きながら排出動作に向けて搬送が進行する。
ここで、プリンタ側突起の形状は、印面材ホルダ20に接する側が細くて、プリンタ側に近い側が太いものであって、だんだんとその太さが変化するものであれば、様々な形状が使用可能である。例えば、図9(c)に示す印刷不良が起こらないように、ドライバIC4bが印面材21から離れるタイミングの前後で印面材ホルダ20のZ方向についての動きが緩慢になるように、プリンタ側突起の形状が設計される。
または、リブ10fの存在を前提とする場合に、印面材ホルダ20の先端が排出口近く(特に、リブ10f)に到達するタイミングで、印面材ホルダ20のZ方向の動きを緩慢にするように、プリンタ側突起の形状を設計することもできる。
したがって、図10(c)におけるテーパ部が摺動斜行部23pと接して、摺り動きながら徐々に降下するタイミングは、望ましくはドライバIC4bが印面材21から離れるタイミング、または印面材ホルダ20の先端が排出口に到達するタイミング同期するように設計される。
《プリンタ側突起の第二の形状:半球+円柱の形状を有するものについて》
図11は、プリンタ側の突起64が印面材ホルダ20の摺動斜行部23pに沿って、摺動し始める状態を示す。図11(a)の部分拡大図が図11(b)である。図11に示すプリンタ側突起64は、図11(b)に詳しく描いているように、先端に半球部64a、それに続くプリンタ側に円柱部64b(第二の形状)を有している。摺動斜行部23pが半球部64aの外形に沿って摺動しつつ、印面材ホルダ20の後方部が上に持ち上がっていく。この段階では、印面材ホルダ20の搬送は、終わりに近い状態であるので、印面材ホルダ20の半分以上がプラテンローラ12の位置を越えているため、印面材ホルダ20の前半の部分が重力により下に引っ張られ、そのために後ろ部分が上に持ち上がると説明できる。
図11において、プリンタ側突起64の形状以外は、図10と同様である。
《プリンタ側突起と後方切欠との間の摺動について》
図12は、実施例1を適用した場合に、印面材ホルダが搬送される際の挙動を説明すべく、横から見た概念図である。図12(a)は、押圧部4aが印面材21上にあり、ドライバIC4bが印面材21から離れる状態を示す。図12(b)は、その後、引き続いてプリンタ側突起64が印面材ホルダ20の上に当接している状態を示す。図12(c)は、プリンタ側突起64が印面材ホルダ20の後方切欠23の摺動斜行部23pに差し掛かり始めた状態を示しており、これから摺動斜行部23pに沿って徐々に外れることにより印面材ホルダが徐々に傾く様子を示す。図12(d)は、プリンタ側突起64が印面材ホルダ20の後方切欠23の摺動斜行部23pから摺動直行部23rに移り始める状態を示しており、これから摺動直行部23rに沿って徐々に離れていく様子を示す。
図12(a)に示されるように、実施例1を適用することにより、プリンタ側突起64が印面材ホルダ20の上に載っていることにより、図8(c)のように印面材21がドライバIC4bの上から離れても図8(c)の矢印の向きに印面材ホルダが回転するような挙動を示さずに、安定して搬送される。
その状態からさらに印面材ホルダ20を搬送してもしばらくの間は図12(b)のようにプリンタ側突起64が印面材ホルダ20の上に乗っているので、左右対称の位置に設けられた二つのプリンタ側突起とドライバIC4bの3つの部材により支持されて、印面材ホルダ20は安定した動作により搬送される。これにより、図8(c)の白抜き矢印に示すような印面材ホルダ20が回転する挙動をさせずに安定した搬送ができるので、その結果、図9(c)に示すような印字不良を解決できる。
次に、図12(c)に示すように、プリンタ側突起64が後方切欠23の摺動斜行部23pに差し掛かると、プリンタ側突起64が印面材ホルダ20の上に当たっている状態から、印面材ホルダ20の後方の左右両端に設けられた後方切欠23の斜めの面(摺動斜行部23p)に接触しつつ、印面材ホルダ20の後方が上昇していく。この印面材ホルダ20の上昇は、摺動斜行部23pとプリンタ側突起64との摺動により、緩慢な動作となり、印面材ホルダ20の先端が排出口(リブ10f)にゆっくりと降りていくことを助ける。
そして、さらに図12(d)に示すように、プリンタ側突起64が後方切欠23の摺動直行部23rに差し掛かると、プリンタ側突起64が摺動直行部23rに接触しつつ、さらに印面材ホルダ20の後方が上昇する。この時、印面材ホルダ20の上昇により、保持体22にドライバIC4dが若干食い込むことが考えられるが、保持体22は、コートボールなどの材質からなるものであり、若干の可撓性を有するので、撓むことまたは凹むことが可能である。さらに、この段階にあっては、既に印面材21への印面形成が終了しているので、保持体22の平面性が損なわれても不都合はない。印面形成後の保持体22は、廃棄または資源として再利用される部材だからである。
《実施例2:バネ状突起をプリンタ側に設け、印面材ホルダには後方切欠を設けない》
図13(a)、(b)は実施例2を示す。図13(a)は、プリンタ側にバネ状突起を設けた様子を−Y側から見た斜視図である。図13(b)は、+Y側から見た概念図である。実施例2では、プリンタ側突起74をバネ(板バネ)状の突起とし、印面材ホルダ20には、図10(a)のような後方切欠は設けない。他の部分は、実施例1と同様である。
実施例2の構成にあっては、プリンタ側突起74は、ドライバIC4bの後方に位置し、ドライバIC4bの高さと同程度の高さを有しているので(図13(b)参照)、ドライバIC4bが印面材21から離れるタイミングで保持体22の後方部が上昇しようとするのを防ぐ役割をする。したがって、図9(c)に示すような印刷不良を防止することができる。
なお、実施例2にあっては、印面材ホルダ20の後端が搬送によりプリンタ側突起74の位置を通過した直後、またはドライバIC4bの位置を通過した直後に、保持体22の後方部が上昇し、印面材ホルダ20の先端部が下降することになる。
なお、プリンタ側突起74をバネ状としたが、図示した板バネに限らず、つるまきバネでもよい。さらに、他の弾性部材、例えば、ゴムなどからなる突起でもよい。
《発明の作用、効果について》
本発明における突起は、少なくとも印面形成部により印面材に印面を形成している際は、印面材ホルダの面に当接している。
そして、発熱体と突起との間の印面材ホルダ移動方向における距離は、保持体に保持された印面材の移動方向後端と印面材ホルダの移動方向後端との間の印面材ホルダ移動方向における距離よりも短い。
したがって、本発明を適用すると、印面材ホルダの搬送の過程で印面材ホルダの急激な挙動を抑制でき、印刷不良を防ぐことができる。
つまり、安定した印刷品位をもつ印面を作成することが出来る。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明は特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
加熱により非多孔質化可能な多孔質の印面材及び該印面材を着脱可能に保持する保持体を有する印面材ホルダの前記印面材が保持された面に沿う方向に配列された複数の発熱体と、前記印面材ホルダの面に当接する高さを有する突起と、が設けられた前記印面材に印面を形成する印面形成部と、
前記印面形成部に対して、前記印面材ホルダを相対的に移動させる搬送部と、
を有することを特徴とする印面形成装置。
[付記2]
前記突起は、少なくとも前記印面形成部により前記印面材に印面を形成している際は、前記印面材ホルダの面に当接する位置に設けられることを特徴とする請求項1記載の印面形成装置。
[付記3]
前記発熱体と前記突起との間の前記印面材ホルダ移動方向における距離は、前記保持体に保持された前記印面材の移動方向後端と前記印面材ホルダの移動方向後端との間の前記印面材ホルダ移動方向における距離よりも短いことを特徴とする請求項1または2に記載の印面形成装置。
[付記4]
前記突起は、前記印面材ホルダに近いほど、細い形状を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の印面形成装置。
[付記5]
前記突起は、弾性部材からなるものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の印面形成装置。
[付記6]
加熱により非多孔質化可能な多孔質の印面材と、
該印面材を着脱可能に保持し、左右対称に斜めの切欠を持つ保持体と、
を有することを特徴とする印面材ホルダ。
[付記7]
加熱により非多孔質化可能な多孔質の印面材を保持体に着脱可能に保持する印面材ホルダを、前記印面材に熱を加えて印面を形成する印面形成部に対して相対的に移動させつつ前記印面材ホルダの面に当接する高さを有する突起により、前記印面材ホルダが前記相対的に移動されている方向とは異なる方向へ移動することを防止する印面形成工程を有することを特徴とする印面形成方法。
[付記8]
前記突起は、少なくとも前記印面形成部により前記印面材に印面を形成している際は、前記印面材ホルダの面に当接していることを特徴とする請求項7記載の印面形成方法。
[付記9]
前記印面形成部と前記突起との間の前記印面材ホルダ移動方向における距離は、前記保持体に保持された前記印面材の移動方向後端と前記印面材ホルダの移動方向後端との間の前記印面材ホルダ移動方向における距離よりも短いことを特徴とする請求項7または8に記載の印面形成方法。
[付記10]
前記突起は、前記印面材ホルダに近いほど、細い形状を有することを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載の印面形成方法。
[付記11]
前記突起は、弾性部材からなるものであることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載の印面形成方法。
本発明は、適正な印面形成を行うために、印面形成装置に挿入された印面版ホルダに保持されている印面材に印面を形成する印面形成装置、印面材ホルダ及び印面形成方法に利用することができる。
1 印面形成用サーマルプリンタ(プリンタ、印面形成装置)
2 中央制御回路(制御部)
3 センサ
4 サーマルヘッド
4a 押圧部(発熱体)
4b ドライバIC(駆動回路)
5 電源回路
6 入力操作部
8 モータードライバ(ステッピングモータ駆動回路)
9 ステッピングモータ
10a 下ケース
10b 上ケース
10c 挿入口
10d 排出口
10f リブ
12 プラテンローラ
13 サイドフレーム
14 ガイド
14a 傾斜面
20 印面材ホルダ
21 印面材
21a 主面
21b 裏面
21n 印刷不良部分
22 保持体
22a 切欠
22c 上部厚板紙
22d 下部厚板紙
22e 位置決め孔
23 後方切欠
23p 摺動斜行部
23r 摺動直行部
24 フイルム
25、26 両面粘着シート
27 ミシン目
32 間隔H調整機構
40 USB制御回路
41 Bluetoothモジュール・無線LANモジュール(Bluetoothは登録商標)
43 表示デバイス
44 PC(パーソナルコンピュータ)
47 表示画面制御回路
48 メモリ制御回路
49 UI(ユーザインターフェイス)制御回路
50 押し印
51 持ち手
52 台木
53 両面粘着シート
62 プリンタ側突起
62a 先端部
62b 第1円柱部
62c テーパ部
63d 第2円柱部
62 プリンタ側突起(2つの円柱部+テーパ部)
62a 先端部
62b 第1円柱部
62c テーパ部
62d 第2円柱部
64 プリンタ側突起(半球+円柱)
64a 半球部
64b 円柱部
74 バネ状突起

Claims (11)

  1. 加熱により非多孔質化可能な多孔質の印面材及び該印面材を着脱可能に保持する保持体を有する印面材ホルダの前記印面材が保持された面に沿う方向に配列された複数の発熱体と、前記印面材ホルダの面に当接する高さを有する突起と、が設けられた前記印面材に印面を形成する印面形成部と、
    前記印面形成部に対して、前記印面材ホルダを相対的に移動させる搬送部と、
    を有することを特徴とする印面形成装置。
  2. 前記突起は、少なくとも前記印面形成部により前記印面材に印面を形成している際は、前記印面材ホルダの面に当接する位置に設けられることを特徴とする請求項1記載の印面形成装置。
  3. 前記発熱体と前記突起との間の前記印面材ホルダ移動方向における距離は、前記保持体に保持された前記印面材の移動方向後端と前記印面材ホルダの移動方向後端との間の前記印面材ホルダ移動方向における距離よりも短いことを特徴とする請求項1または2に記載の印面形成装置。
  4. 前記突起は、前記印面材ホルダに近いほど、細い形状を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の印面形成装置。
  5. 前記突起は、弾性部材からなるものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の印面形成装置。
  6. 加熱により非多孔質化可能な多孔質の印面材と、
    該印面材を着脱可能に保持し、左右対称に斜めの切欠を持つ保持体と、
    を有することを特徴とする印面材ホルダ。
  7. 加熱により非多孔質化可能な多孔質の印面材を保持体に着脱可能に保持する印面材ホルダを、前記印面材に熱を加えて印面を形成する印面形成部に対して相対的に移動させつつ前記印面材ホルダの面に当接する高さを有する突起により、前記印面材ホルダが前記相対的に移動されている方向とは異なる方向へ移動することを防止する印面形成工程を有することを特徴とする印面形成方法。
  8. 前記突起は、少なくとも前記印面形成部により前記印面材に印面を形成している際は、前記印面材ホルダの面に当接していることを特徴とする請求項7記載の印面形成方法。
  9. 前記印面形成部と前記突起との間の前記印面材ホルダ移動方向における距離は、前記保持体に保持された前記印面材の移動方向後端と前記印面材ホルダの移動方向後端との間の前記印面材ホルダ移動方向における距離よりも短いことを特徴とする請求項7または8に記載の印面形成方法。
  10. 前記突起は、前記印面材ホルダに近いほど、細い形状を有することを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載の印面形成方法。
  11. 前記突起は、弾性部材からなるものであることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載の印面形成方法。
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