JP2015098098A - 保護膜、移動体、鉄道車両および保護膜の形成方法 - Google Patents

保護膜、移動体、鉄道車両および保護膜の形成方法 Download PDF

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Nobuhito Katsumura
宣仁 勝村
英男 外川
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英男 外川
岡田 智仙
Tomonori Okada
智仙 岡田
直治 植木
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直治 植木
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Abstract

【課題】砂塵、金属粉などの硬質な異物、金属塩などの親水性汚れ、カーボン、有機物等の疎水性汚れの付着・堆積および錆の発生が起こりうる表面に対して、硬質な異物に対して堅牢でかつ防汚性を有する保護膜およびその製造方法を提供する。
【解決手段】基材1上の保護膜2を、基材1上に形成され、シロキサン結合を有するガラスコーティング膜2aと、ガラスコーティング膜2a上に形成され、シロキサン結合と、シロキサン結合を構成するSiに結合する基と、を有するシランカップリング膜2bとで構成する。Siに結合する基は、親水基HIである。また、シランカップリング膜2bは、Siに結合する基が親水基HIであるシロキサン結合と、Siに結合する基が疎水基HOであるシロキサン結合との両者を有してもよい。
【選択図】図4

Description

本発明は、保護膜、移動体、鉄道車両および保護膜の形成方法に関するものである。
鉄道車両や自動車などの移動体においては、汚れの付着、堆積または錆の発生が問題となる。
例えば、特開2003−145669号公報(特許文献1)には、表面がガラス、セラミックス、金属およびこれらの複合体からなり、表面に凹凸や突起を有する基材の表面にフッ化炭素系基を主とする厚さ0.1マイクロメートル未満の有機材料系薄膜を形成する技術が開示されている。
特開2003−145669号公報
本発明者は、鉄道車両や自動車などの防汚性について、検討している。その過程において、防汚性を向上させるためには、種々の汚れに対応可能な表面構造を有するように保護膜を構成する必要があることが分かった。
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
代表的な実施の形態による保護膜は、基材上に形成され、シロキサン結合を有するガラスコーティング膜と、ガラスコーティング膜上に形成され、シロキサン結合およびシロキサン結合を構成するSiに結合する基を有するシランカップリング膜と、を有する。Siに結合する基は、親水基である。また、シランカップリング膜は、Siに結合する基が親水基であるシロキサン結合と、Siに結合する基が疎水基であるシロキサン結合との両者を有してもよい。
また、代表的な実施の形態による保護膜の形成方法は、基材上にガラスコーティング剤を塗布し、乾燥させることにより、ガラスコーティング膜を形成する工程と、ガラスコーティング膜上に、シランカップリング剤を塗布し、乾燥させることにより、シランカップリング膜を形成する工程とを有する。
代表的な実施の形態によれば、保護膜を設けた基体の防汚性を向上することができる。また、防汚性を有する保護膜を形成することができる。
実施の形態の保護膜の第1構成例を示す断面図である。 実施の形態の保護膜の第2構成例を示す断面図である。 鉄道車両の側面図である。 保護膜上に付着した汚れが除去される様子を模式的に示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態)
以下、本実施の形態の保護膜および保護膜の形成方法について説明する。
[保護膜]
図1は、本実施の形態の保護膜の第1構成例を示す断面図である。本実施の形態の保護膜2は、基材1の表面に形成される。基材1は、例えば、金属、セラミックス、樹脂またはこれらの複合体からなる。
保護膜2は、ガラスコーティング膜(ガラスコーティング被膜ともいう)2aと、このガラスコーティング膜2a上のシランカップリング膜(シランカップリング剤を含有する被膜ともいう)2bとを有する。
ガラスコーティング膜2aは、ガラス様の被膜(ガラス層、ガラスコーティング層ともいう)であり、ガラスコーティング剤を基材1の表面に塗布し、乾燥させることにより形成することができる。ガラスコーティング膜2aは、シロキサン結合(Si−O−Si)を主とする膜である。なお、膜中には、有機物などが混入している場合もある。
このガラスコーティング膜2aは、堅牢(例えば、鉛筆高度5H以上)であり、砂塵、金属粉などの硬質な異物を跳ね返し、これらの異物の付着(例えば、突き刺さり、食い込みなど)を防止することができる。また、これにより、金属粉などの硬質な異物が付着し、錆びることを防止することができる。
シランカップリング膜2bは、親水基を有するシランカップリング剤を、ガラスコーティング膜2aの表面に、化学的に結合させた膜である。図1に示すように、シランカップリング膜2bは、シロキサン結合(Si−O−Si)を有する。そして、親水基HIが結合したSiを有する。
親水基を有するシランカップリング膜2bは、保護膜表面の帯電を抑制する。これにより、微細な異物や塵埃の吸着を防止することができる。また、金属塩などの親水性汚れ、カーボン、有機物等の疎水性汚れなどの付着性を低減すことができる。また、これらの汚れが付着した場合でも、雨水や洗浄水などが、汚れと保護膜との界面に浸入しやすくなり、簡単に汚れを落とすことができる。
このように、保護膜を、ガラスコーティング膜2aと、このガラスコーティング膜2a上の親水基を有するシランカップリング膜2bとの積層構造とすることで、防汚性を向上させることができる。具体的には、砂塵、金属粉などの硬質な異物による基材表面の損傷を低減し、金属塩などの親水性汚れ、カーボン、有機物等の疎水性汚れなどの付着性を低減し、また、これらの異物や汚れが付着した場合の洗浄性を向上することができる。
図2は、本実施の形態の保護膜の第2構成例を示す断面図である。本実施の形態の保護膜2は、基材1の表面に形成される。基材1は、例えば、金属、セラミックス、樹脂またはこれらの複合体からなる。
この場合も、保護膜2は、ガラスコーティング膜2aと、このガラスコーティング膜2a上のシランカップリング膜(シランカップリング剤を含有する被膜ともいう)2bとを有する。
ガラスコーティング膜2aは、前述したように、ガラス様の被膜であり、ガラスコーティング剤を基材1の表面に塗布し、乾燥させることにより形成することができる。ガラスコーティング膜2aは、シロキサン結合(Si−O−Si)を主とする膜である。なお、膜中には、有機物などの不純物が含有している場合もある。
シランカップリング膜2bは、親水基を有するシランカップリング剤と疎水基を有するシランカップリング剤とを、ガラスコーティング膜2aの表面に、化学的に結合させた膜である。図2に示すように、シランカップリング膜2bは、シロキサン結合(Si−O−Si)を有する。そして、親水基HIが結合したSiおよび疎水基HOが結合したSiを有する。
親水基および疎水基を有するシランカップリング膜2bは、親水基を有する領域において、保護膜表面の帯電を抑制する。これにより、微細な異物や塵埃の吸着を防止することができる。また、金属塩などの親水性汚れ、カーボン、有機物等の疎水性汚れなどの付着性を低減すことができる。また、これらの汚れが付着した場合でも、雨水や洗浄水などが、汚れと保護膜との界面に浸入しやすくなり、簡単に汚れを落とすことができる。また、親水基および疎水基を有するシランカップリング膜2b上においては、汚れの付着の仕方が不安定になりやすい。即ち、汚れは、疎水基には付着し難いため、親水基と疎水基とが入り混じることで、汚れの付着性を低減できる。また、これらの汚れが付着した場合でも、付着性が低減している箇所から、雨水や洗浄水などが浸入しやすくなり、簡単に汚れを落とすことができる(後述の図4参照)。
このように、保護膜を、ガラスコーティング膜2aと、このガラスコーティング膜2a上の親水基および疎水基を有するシランカップリング膜2bとの積層構造とすることで、防汚性を向上させることができる。具体的には、砂塵、金属粉などの硬質な異物による基材表面の損傷を低減し、金属塩などの親水性汚れ、カーボン、有機物等の疎水性汚れなどの付着性を低減し、また、これらの異物や汚れが付着した場合の洗浄性を向上することができる。
特に、上記保護膜を屋外で使用する移動体や構造体(例えば、後述する鉄道車両など)に用いた場合には、防汚性を向上させることで、その表面のメンテナンスが容易となり、その費用を低減することができる。
例えば、塗料の塗り変え頻度を低減でき、また、定期的な洗浄を行う場合には、その期間を延長することができる。また、洗浄回数を低減することにより、鉄道車両などの使用効率(稼働率)を向上させることができる。また、ブラシ洗浄などを行う場合には、その表面の磨耗が進行する場合があり、洗浄回数を低減することにより、移動体や構造体の耐用年数を向上することができる。
なお、塗料のみでもある程度の防汚性を有するが、塗料は一般的に有機物であるため表面が軟らかく、屋外で使用する場合は、硬質な砂塵や金属粉が表面に突き刺さって汚れとなり、表面の美観が損なわれやすい。そのため、塗料材上を上記保護膜で覆うことにより、防汚性を向上させることができる。また、塗料などの絶縁体の表面は、親水性が低く、静電気を帯びやすい。この静電気により、微細な異物や塵埃を吸着しやすいため、塗料材上を上記保護膜で覆うことにより、防汚性を向上させることができる。
また、塗装コストの削減、意匠性の観点から、金属材(アルミニウム、ステンレスなど)に塗装を施さずに移動体や構造体として用いる場合がある。このような場合においても、金属材上を上記保護膜で覆うことにより、防汚性を向上させることができる。特に、金属材は、大気中の水分、大気汚染物質、環境中に存在する鉄成分などによる腐食や錆びなどが発生しやすいが、上記保護膜で覆うことにより、このような腐食や錆びなどを効果的に防止することができる。
以下に、ガラスコーティング膜2aとシランカップリング膜2bについて詳細に説明する。
<1>ガラスコーティング膜2aは、保護膜2の下層膜である。このように、保護膜2の下層に、ガラスコーティング膜2aを形成することで、基材1の表面に水酸基が多数配置されるため、上層のシランカップリング膜2bを構成するシランカップリング剤の結合箇所が増加し、ガラスコーティング膜2a上に、シランカップリング膜2bを安定的に形成することができる。
また、ガラスコーティング膜2aは硬度が高いため、硬質な砂塵や金属粉などの付着を防止することができる。硬度としては、鉛筆硬度5H以上のガラスコーティング膜2aを用いることが好ましい。
ガラスコーティング剤としては、常温で硬化(SiO化)が進行する化合物が好ましいが、これに限定されるものではない。例えば、加熱により硬化が促進するガラスコーティング剤を用いてもよい。加熱硬化を行う場合には、基材1を構成する、金属、セラミックス、樹脂またはこれらの複合体を損なわない温度で行う。
また、ガラスコーティング膜2aが剥離しやすい材料を基材1として用いる場合には、基材1の表面に、プライマ層を形成した後、ガラスコーティング剤を塗布してもよい。このプライマ層とは、ガラスコーティング剤の塗布に際し、ガラスコーティング剤の付着力を向上させるための層である。具体的には、アクリル系、フェノール系、ウレタン系、エポキシ系、ポリエステル系等、種々の樹脂層を用いることができる。
ガラスコーティング剤としては、例えば、ポリシラザン、テトラエトキシシラン、水ガラス、有機シラン化合物などを用いることができる。また、シラン化合物に触媒などの添加剤を含み、ガラス様の被膜を形成できるガラスコーティング剤が市販されているが、これを使用しても良い。この場合も、硬化後に鉛筆硬度5H以上となるものを選定することが好ましい。
ガラスコーティング膜2aの厚さは、0.2〜100μmが適正である。好ましくは、1〜50μm、より好ましくは1〜20μmとすることが好ましい。ガラスコーティング膜2aの厚さが、0.2μmよりも小さくなるようなガラスコーティング剤の塗布量では、基材1の表面に塗布ムラが生じやすい。このため、ガラスコーティング膜2aが形成できない部分が生ずるなど、成膜不良が生じやすい。また、ガラスコーティング膜2aの厚さが、100μmよりも大きくなると、膜に亀裂などの割れが発生しやすくなる。
<2>シランカップリング膜2bであって、親水基を有するシランカップリング剤を、ガラスコーティング膜2aの表面に、化学的に結合させた被膜(親水基を有するシランカップリング膜という)について説明する。この膜の厚さは、少なくともシランカップリング剤の1分子層以上であり、通常は複数分子層からなる。親水基を有する高分子鎖を有するシランカップリング剤は、以下に示す構造式(1)で示すことができる。
Figure 2015098098
R1〜R4のうち、少なくとも1つは、親水基を有する官能基である。また、残りのR1〜R4のうち、少なくとも1つは、アルコキシ基である。
このシランカップリング剤の構造式に含まれる親水基としては、例えば、水酸基、エーテル基、カルボキシル基、アミノ基、ウレイド基、ウレタン基、アミド基、ピリジニウム基、スルホネート基、スルホン酸基、ホスホネート基およびイオン性の結合を有する基などがあるが、これに限定されるものではない。但し、例えば、コストなどの入手性の観点からは、アミノ基、エーテル基などを用いるのが好適である。
また、これらの親水基およびこれらの親水基を有する高分子鎖をもつシランカップリング剤としては、例えば、以下に示すものがある。
ヒドロキシメチルトリエトキシシラン(HYDROXYMETHYLTRIETHOXYSILANE)、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチル-トリエトキシシラン(N-2-(AMINOETYL)-3-AMINOPROPYLMETYL-TRIETHOXYSILANE)、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチル-トリメトキシシラン(N-2-(AMINOETYL)-3-AMINOPROPYLMETYL-TRIMETHOXYSILANE)、3-アミノプロピル-トリエトキシシラン(3-AMINOPROPYL-TRIETHOXYSILANE)、3-アミノプロピル-トリメトキシシラン(3-AMINOPROPYL-TRIMETHOXYSILANE)、4-アミノブチルトリエトキシシラン(4-AMINOBUTYLTRIETHOXYSILANE)、アミノフェニルトリメトキシシラン(AMINOPHENYLTRIMETHOXYSILANE)、11-アミノウンデシルトリエトキシシラン(11-AMINOUNDECYLTRIETHOXYSILANE)、2-(4-ピリジルエチル)トリエトキシシラン(2-(4-PYRIDYLETHYL)TRIETHOXYSILANE)、2-(トリメトキシシリルエチル)ピリジン(2-(TRIMETHOXYSILYLETHYL)PYRIDINE)、N-(3-トリメトキシシリルプロピル)ピロール(N-(3-TRIMETHOXYSILYLPROPYL)PYRROLE)、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン(3-AMINOPROPYLMETHYLDIETHOXYSILANE)、3-アミノプロピルジメチルエトキシシラン(3-AMINOPROPYLDIMETHYLETHOXYSILANE)、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピル-メトキシシラン(N-(2-AMINOETHYL)-3-AMINOPROPYLTRI-METHOXYSILANE)、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリ-エトキシシラン(N-(2-AMINOETHYL)-3-AMINOPROPYLTRI-ETHOXYSILANE)、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチル-ジメトキシシラン(N-(2-AMINOETHYL)-3-AMINOPROPYLMETHYL-DIMETHOXYSILANE)、N-(2-アミノエチル)-3-アミノイソブチルメチル-ジメトキシシラン(N-(2-AMINOETHYL)-3-AMINOISOBUTYL-METHYLDIMETHOXYSILANE)、(アミノエチルアミノ)-3-イソブチル-ジメチル-メトキシシラン((AMINOETHYLAMINO)-3-ISOBUTYL-DIMETHYLMETHOXYSILANE)、(3-トリメトキシシリルプロピル)ジエチレン−トリアミン((3-TRIMETHOXYSILYLPROPYL)DIETHYLENE-TRIAMINE)、ビス(2-ヒドロキシエチル)-3-アミノプロピル-トリエトキシシラン(BIS(2-HYDROXYETHYL)-3-AMINOPROPYL-TRIETHOXYSILANE)、N-トリメトキシシリルプロピル-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロライド(N-TRIMETHOXYSILYLPROPYL-N,N,N-TRI-METHYLAMMONIUM CHLORIDE)、オクタデシルジメチル(3-トリメトキシシリル-プロピル)アンモニウムクロライド(OCTADECYLDIMETHYL(3-TRIMETHOXYSILYL-PROPYL)AMMONIUM CHLORIDE)、N-(トリメトキシシリルエチル)ベンジル-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロライド(N-(TRIMETHOXYSILYLETHYL)BENZYL-N,N,N-TRIMETHYLAMMONIUM CHLORID)、ヒドロキシメチルトリメトキシシラン(HYDROXYMETHYLTRIMETHOXYSILANE)、N-(トリエトキシシリルプロピル)-O-ポリ-エチレンオキサイドウレタン(N-(TRIETHOXYSILYLPROPYL)-O-POLY-ETHYLENE OXIDE URETHANE)、N-(3-トリエトキシシリルプロピル)-4-ヒドロキシブチルアミド(N-(3-TRIETHOXYSILYLPROPYL)-4-HYDROXY-BUTYRAMIDE)、3-ウレイド-プロピル-トリエトキシシラン(3-UREIDO-PROPYL-TRIETHOXYSILANE)、ビス(2-ヒドロキシエチル)-3-アミノプロピル-トリエトキシシラン(BIS(2-HYDROXYETHYL)-3-AMINOPROPYL-TRIETHOXYSILANE)、N,N’-ビス(ヒドロキシエチル)-N,N’-ビストリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン(N,N’-BIS(HYDROXYETHYL)-N,N’-BIS-TRIMETHOXYSILYLPROPYL)ETHYLENEDIAMINE)、ビス-〔3-(トリエトキシシリルプロポキシ)-2-ヒドロキシプロポキシ〕ポリエチレンオキサイド(BIS-[3-(TRIETHOXYSILYLPROPOXY)-2-HYDROXYPROPOXY]POLYETHYLENE OXIDE)、ビス-〔3-(メチルジメトキシシリル)-プロピル〕ポリエチレンオキサイド(BIS[3-(METHYLDIMETHOXYSILYL)-PROPYL]POLYETHYLENE OXIDE)、2,2-ビス(3-トリエトキシシリルプロポキシ-メチル)ブタノール(2,2-BIS(3-TRIETHOXYSILYLPROPOXY-METHYL)BUTANOL)、〔ヒドロキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル〕-トリエトキシシラン([HYDROXY(POLYETHYLENEOXY)PROPYL]-TRIETHOXYSILANE)、N-(ヒドロキシエチル)-N-メチルアミノ-プロピルトリメトキシシラン(N-(HYDROXYETHYL)-N-METHYLAMINO-PROPYLTRIMETHOXYSILANE)、N-(3-トリエトキシシリルプロピル)グルコアミド(N-(3-TRIETHOXYSILYLPROPYL)GLUCONAMIDE)、N-(3-トリエトキシシリルプロピル)-4-ヒドロキシ-ブチルアミド(N-(3-TRIETHOXYSILYLPROPYL)-4-HYDROXY-BUTYRAMIDE)、N-(トリエトキシシリルプロピル)-O-ポリ-エチレンオキサイドウレタン(N-(TRIETHOXYSILYLPROPYL)-O-POLY-ETHYLENE OXIDE URETHANE)、アセトアミドプロピルトリメトキシシラン(ACETAMIDOPROPYLTRIMETHOXYSILANE)、2-〔アセトキシ(ポリエチレンオキシ)-プロピル〕トリエトキシシラン(2-[ACETOXY(POLYETHYLENEOXY)-PROPYL]TRIETHOXYSILANE)、(N-アセチルグリシル)-3-アミノプロピル-トリメトキシシラン((N-ACETYLGLYCYL)-3-AMINOPROPYL-TRIMETHOXYSILANE)、N-3-〔アミノ(ポリプロピレンオキシ)〕アミノ-プロピルトリメトキシシラン(N-3-[(AMINO(POLYPROPYLENOXY)]AMINO-PROPYLTRIMETHOXYSILANE)、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリ-エチレンオキサイド(BIS(TRIETHOXYSILYLPROPYL)POLY-ETHYLENE OXIDE)、ビス〔3-(トリエトキシシリル)プロピル〕ウレア(BIS[3-(TRIETHOXYSILYL)PROPYL]UREA)、ビス〔3-(トリメトキシシリル)プロピル〕ウレア(BIS[3-(TRIMETHOXYSILYL)PROPYL]UREA)、ビス(トリメトキシシリルプロピル)ウレア(BIS(TRIMETHOXYSILYLPROPYL)UREA)、2-〔メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル〕-トリエトキシシラン(2-[METHOXY(POLYETHYLENEOXY)PROPYL]-TRIETHOXYSILANE)、2-〔メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル〕-トリメトキシシラン(2-[METHOXY(POLYETHYLENEOXY)PROPYL]-TRIMETHOXYSILANE)、メトキシトリエチレンオキシプロピルトリメトキシシラン(METHOXYTRIETHYLENOXYPROPYLTRI-METHOXYSILANE)、メトキシトリエチレンオキシプロピルトリエトキシシラン(METHOXYTRIETHYLENOXYPROPYLTRI-ETHOXYSILANE)、(2-トリエトキシシリルプロポキシ)エトキシ-スルホラン((2-TRIETHOXYSILYLPROPOXY)ETHOXY-SULFOLANE)、トリス(3-トリメトキシシリルプロピル)イシアネート(TRIS(3-TRIMETHOXYSILYLPROPYL)ISOCYANURATE)、ビス〔3-(メチルジメトキシシリル)プロピル〕ポリプロピレンオキサイド(BIS[3-(METHYLDIMETHOXYSILYL)PROPYL]POLYPROPYLENE OXIDE)、1,3-〔ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ポリ-エチレンオキシ〕-2-メチレンプロパン(1,3-[BIS(3-TRIETHOXYSILYLPROPYL)POLY-ETHYLENOXY]-2-METHYLENEPROPANE)、(2-N-ベンジルアミノエチル)-3-アミノプロピル-トリメトキシシラン((2-N-BENZYLAMINOETHYL)-3-AMINOPROPYL-TRIMETHOXYSILANE)、カルボキシエチルシラントリオール(CARBOXYETHYLSILANETRIOL)のナトリウム塩(SODIUMSALT)、N,N-ジデシル-N-メチル-N-(3-トリメトキシシリル-プロピル)アンモニウムクロライド(N,N-DIDECYL-N-METHYL-N-(3-TRIMETHOXYSILYL-PROPYL)AMMONIUM CHLORIDE)、オクタデシルジメチル(3-トリメトキシシリル-プロピル)アンモニウムクロライド(OCTADECYLDIMETHYL(3-TRIMETHOXYSILYL-PROPYL)AMMONIUM CHLORIDE)、2-(2-ピリジルエチル)チオプロピルトリ-メトキシシラン(2-(2-PYRIDYLETHYL)THIOPROPYLTRI-METHOXYSILANE)、2-(4-ピリジルエチル)チオプロピルトリ-メトキシシラン(2-(4-PYRIDYLETHYL)THIOPROPYLTRI-METHOXYSILANE)、2-(4-ピリジルエチル)トリエトキシシラン(2-(4-PYRIDYLETHYL)TRIETHOXYSILANE)、3-(トリヒドロキシシリル)-1-プロパン-スルホン酸(3-(TRIHYDROXYSILYL)-1-PROPANE-SULFONIC ACID)、3-トリヒドロキシシリルプロピルメチル-ホスホネート(3-TRIHYDROXYSILYLPROPYLMETHYL-PHOSPHONATE)のナトリウム塩(SODIUM SALT)、N-(トリメトキシシリルエチル)ベンジル-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロライド(N-(TRIMETHOXYSILYLETHYL)BENZYL-N,N,N-TRIMETHYLAMMONIUM CHLORIDE)、2-(トリメトキシシリルエチル)ピリジン(2-(TRIMETHOXYSILYLETHYL)PYRIDINE)、(3-トリメトキシシリルプロピル)ジエチレン-トリアミン(3-TRIMETHOXYSILYLPROPYL)DIETHYLENE-TRIAMINE)、N-(トリメトキシシリルプロピル)エチレン-ジアミン トリアセチル酸(N-(TRIMETHOXYSILYLPROPYL)ETHYLENE-DIAMINE TRIACETIC ACID)の三ナトリウム塩(TRISODIUMSALT)、N-トリメトキシシリルプロピル-N,N,N-トリ-n-ブチルアンモニウムブロマイド(N-TRIMETHOXYSILYLPROPYL-N,N,N-TRI-n-BUTYLAMMONIUM BROMIDE)、N-トリメトキシシリルプロピル-N,N,N-トリ-n-ブチルアンモニウムクロライド(N-TRIMETHOXYSILYLPROPYL-N,N,N-TRI-n-BUTYLAMMONIUM CHLORIDE)、N-トリメトキシシリルプロピル-N,N,N-トリ-メチルアンモニウムクロライド(N-TRIMETHOXYSILYLPROPYL-N,N,N-TRI-METHYLAMMONIUM CHLORIDE)、トリメトキシシリルプロピル変成(ポリエチレンイミン)(TRIMETHOXYSILYLPROPYL MODIFIED (POLYETHYLENIMINE))、ジメトキシメチルシリルプロピル変成 (ポリエチレンイミン)(DIMETHOXYMETHYLSILYLPROPYL MODIFIED (POLYETHYLENIMINE))、2-(トリメトキシシリルエチル)ピリジン(2-(TRIMETHOXYSILYLETHYL)PYRIDINE)。
なお、親水基を有する高分子鎖をもつシランカップリング剤としては上記のものに限定されるものではない。また、上記のシランカップリング剤を複数混合して用いてもよい。
<3>シランカップリング膜2bであって、親水基を有するシランカップリング剤と疎水基を有するシランカップリング剤との混合剤(混合液)を、ガラスコーティング膜2aの表面に、化学的に結合させた被膜(親水基および疎水基を有するシランカップリング膜という)について説明する。この膜の厚さは、少なくともシランカップリング剤の1分子層以上であり、通常は複数分子層からなる。親水基を有する高分子鎖を有するシランカップリング剤は、前述したとおりである。また、疎水基を有する高分子鎖を有するシランカップリング剤は、以下に示す構造式(2)で示すことができる。
Figure 2015098098
R5〜R8のうち、少なくとも1つは、疎水基を有する官能基である。また、残りのR5〜R8のうち、少なくとも1つは、アルコキシ基である。
このシランカップリング剤の構造式に含まれる疎水基としては、例えば、アルキル基、環状アルキル基、芳香族基、フッ素含有基などがあるが、これに限定されるものではない。但し、例えば、疎水性の高さの観点から、フッ素含有基などを用いて好適である。
また、これらの疎水基およびこれらの疎水基を有する高分子鎖をもつシランカップリング剤としては、例えば、以下に示すものがある。
ベンジルトリエトキシシラン(BENZYLTRIETHOXYSILANE)、t-ブチルイソプロピルジメトキシシラン(t-BUTYLISOPROPYLDIMETHOXYSILANE)、n-ブチルトリメトキシシラン(n-BUTYLTRIMETHOXYSILANE)、t-ブチルトリメトキシシラン(t-BUTYLTRIMETHOXYSILANE)、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CYCLOHEXYLMETHYLDIMETHOXYSILANE)、シクロヘキシルトリメトキシシラン(CYCLOHEXYLTRIMETHOXYSILANE)、シクロペンチルトリメトキシシラン(CYCLOPENTYLTRIMETHOXYSILANE)、n-デシルトリエトキシシラン(n-DECYLTRIETHOXYSILANE)、ジ-n-ブチルジメトキシシラン(DI-n-BUTYLDIMETHOXYSILANE)、ジシクロペンチルジクロロシラン(DICYCLOPENTYLDICHLOROSILANE)、1,5-ジエトキシヘキサメチルトリシロキサン(1,5-DIETHOXYHEXAMETHYLTRISILOXANE)、ジエチルジエトキシシラン(DIETHYLDIETHOXYSILANE)、ジイソブチルジエトキシシラン(DIISOBUTYLDIETHOXYSILANE)、ジイソブチルジメトキシシラン(DIISOBUTYLDIMETHOXYSILANE)、ジイソプロピルジメトキシシラン(DIISOPROPYLDIMETHOXYSILANE)、3,5-ジメトキシフェニルトリエトキシシラン(3,5-DIMETHOXYPHENYLTRIETHOXYSILANE)、ジメチルジエトキシシラン(DIMETHYLDIETHOXYSILANE)、ジメチルジメトキシシラン(DIMETHYLDIMETHOXYSILANE)、ジフェニルジエトキシシラン(DIPHENYLDIETHOXYSILANE)、ジフェニルジメトキシシラン(DIPHENYLDIMETHOXYSILANE)、ジフェニルメチルエトキシシラン(DIPHENYLMETHYLETHOXYSILANE)、ジ(p-トリル)ジメトキシシラン(DI(p-TOLYL)DIMETHOXYSILANE)、ドデシルメチルジエトキシシラン(DODECYLMETHYLDIETHOXYSILANE)、ドデシルトリエトキシシラン(DODECYLTRIETHOXYSILANE)、m,p-エチルフェニルトリメトキシ-シラン(m,p-ETHYLPHENETHYLTRIMETHOXY-SILANE)、エチルトリエトキシシラン(ETHYLTRIETHOXYSILANE)、エチルトリメトキシシラン(ETHYLTRIMETHOXYSILANE)、(ヘプタデカフルオロ-1,1,2,2-テトラ-ヒドロデシル)トリエトキシシラン((HEPTADECAFLUORO-1,1,2,2-TETRA-HYDRODECYL)TRIETHOXYSILANE)、(ヘプタデカフルオロ-1,1,2,2-テトラ-ヒドロデシル)トリメトキシシラン((HEPTADECAFLUORO-1,1,2,2-TETRA-HYDRODECYL)TRIMETHOXYSILANE)、ヘキサデシルトリエトキシシラン(HEXADECYLTRIETHOXYSILANE)、ヘキサデシルトリメトキシシラン(HEXADECYLTRIMETHOXYSILANE)、ヘキシルトリエトキシシラン(HEXYLTRIETHOXYSILANE)、ヘキシルトリメトキシシラン(HEXYLTRIMETHOXYSILANE)、イソブチルトリエトキシシラン(ISOBUTYLTRIETHOXYSILANE)、イソブチルトリメトキシシラン(ISOBUTYLTRIMETHOXYSILANE)、イソオクチルトルリメトキシシラン(ISOOCTYLTRIMETHOXYSILANE)、メチルトリエトキシシラン(METHYLTRIETHOXYSILANE)、メチルトリメトキシシラン(METHYLTRIMETHOXYSILANE)、1-ナフチルトリメトキシシラン(1-NAPTHYLTRIMETHOXYSILANE)、2-ノナフルオロヘキシルトリエトキシシラン(2-NONAFLUOROHEXYLTRIETHOXYSILANE)、ノナフルオロヘキシルトリメトキシシラン(NONAFLUOROHEXYLTRIMETHOXYSILANE)、n-オクタデシルジメチルメトキシシラン(n-OCTADECYLDIMETHYLMETHOXYSILANE)、n-オクタデシルメチルジエトキシシラン(n-OCTADECYLMETHYLDIETHOXYSILANE)、n-オクタデシルメチルジメトキシシラン(n-OCTADECYLMETHYLDIMETHOXYSILANE)、n-オクタデシルトリエトキシシラン(n-OCTADECYLTRIETHOXYSILANE)、オクチルジメチルメトキシシラン(OCTYLDIMETHYLMETHOXYSILANE)、n-オクチルメチルジエトキシシラン(n-OCTYLMETHYLDIETHOXYSILANE)、n-オクチルメチルジメトキシシラン(n-OCTYLMETHYLDIMETHOXYSILANE)、n-オクチルトリエトキシシラン(n-OCTYLTRIETHOXYSILANE)、n-オクチルトリメトキシシラン(n-OCTYLTRIMETHOXYSILANE)、ペンチルトリエトキシシラン(PENTYLTRIETHOXYSILANE)、パープルオロドデシル-1H,1H,2H,2H-トリエトキシ-シラン-パープルオロテトラデシル-1H,1H,2H,2H-トリエトキシシラン混合物(PERFLUORODODECYL-1H,1H,2H,2H-TRIETHOXY-SILANE-PERFLUOROTETRADECYL-1H,1H,2H,2H-TRIETHOXYSILANE MIXTURE)、フェネチルエチルトリメトキシシラン(PHENETHYLTRIMETHOXYSILANE)、フェニルエチルジメチルエトキシシラン(PHENYLDIMETHYLETHOXYSILANE)、フェニルメチルジエトキシシラン(PHENYLMETHYLDIETHOXYSILANE)、フェニルメチルジメトキシシラン(PHENYLMETHYLDIMETHOXYSILANE)、フェニルトリエトキシシラン(PHENYLTRIETHOXYSILANE)、フェニルトリメトキシシラン(PHENYLTRIMETHOXYSILANE)、プロピルジメチルメトキシシラン(PROPYLDIMETHYLMETHOXYSILANE)、プロピルメチルジメトキシシラン(PROPYLMETHYLDIMETHOXYSILANE)、n-プロピルトリエトキシシラン(n-PROPYLTRIETHOXYSILANE)、n-プロピルトリメトキシシラン(n-PROPYLTRIMETHOXYSILANE)、オクタデシルトリメトキシシラン(OCTADECYLTRIMETHOXYSILANE)、1,1,3,3-テトラエトキシ-1,3-ジメチル-ジシロキサン(1,1,3,3-TETRAETHOXY-1,3-DIMETHYL-DISILOXANE)、p-トリルトリメトキシシラン(p-TOLYLTRIMETHOXYSILANE)、(トリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロ-オクチル)トリエトキシシラン((TRIDECAFLUORO-1,1,2,2-TETRAHYDRO-OCTYL)TRIETHOXYSILANE)、(トリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロ-オクチル)トリメトキシシラン((TRIDECAFLUORO-1,1,2,2-TETRAHYDRO-OCTYL)TRIMETHOXYSILANE)、トリエトキシシリル変成ポリ-1,2-ブタジエン(TRIETHOXYSILYL MODIFIED POLY-1,2-BUTADIENE)。
なお、疎水基を有する高分子鎖をもつシランカップリング剤としては上記のものに限定されるものではない。また、上記のシランカップリング剤を複数混合して用いてもよい。
[保護膜の形成方法]
保護膜の形成方法をまとめると以下のとおりである。まず、基材1を準備する。次いで、基材1上にガラスコーティング膜2aを形成する。基材1上に、ガラスコーティング剤を塗布し、硬化させることにより、基材1上にガラスコーティング膜2aを形成する。
次いで、ガラスコーティング膜2a上に、シランカップリング膜2bを形成する。このシランカップリング膜2bは、親水基を有する。また、このシランカップリング膜2bを、親水基と疎水基を有する膜としてもよい。
例えば、親水基を有するシランカップリング剤をガラスコーティング膜2a上に塗布することにより、親水基を有するシランカップリング膜2bを形成する。または、例えば、親水基を有するシランカップリング剤と疎水基を有するシランカップリング剤との混合剤をガラスコーティング膜2a上に塗布することにより親水基および疎水基を有するシランカップリング膜2bを形成する。
このように、金属、セラミックス、樹脂またはこれらの複合体からなる基材1の表面にガラスコーティング膜2aを形成し、ガラスコーティング膜2aの表面に親水基を有するシランカップリング膜2bを形成することにより、防汚性に優れた保護膜を得ることができる。また、ガラスコーティング膜2aの表面に親水基および疎水基を有するシランカップリング膜2bを形成することにより、防汚性に優れた保護膜を得ることができる。
以下に、本実施の形態に係る実施例を、比較例と対比しつつ、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
基材として、アルミニウム板を準備した。具体的には、Al−Mg−Si系合金(6000系アルミニウム合金)のうち、6N01合金を用いた。アルミニウム板の大きさは、200mm×300mmであり、厚さは、2mmである。このアルミニウム板に、ヘアライン加工を施し、アセトンを含ませたウェスを用いてその表面を拭い脱脂した。ヘアライン加工とは、金属の表面処理加工の一種であり、単一方向に細かい傷をつける加工法である。例えば、アルミニウム板の表面に、金属ブラシなどで擦過することにより浅い傷を付けることにより施される。このようなヘアライン加工を施すことにより、アルミニウム板の表面のつや消し効果が生じ、金属的な質感を強調することができる。
次いで、ガラスコーティング剤として、クラリアント・ジャパン社製のパーヒドロポリシラザンを用いた。このパーヒドロポリシラザンに、溶剤として、ジ−n−ブチルエーテルを加え、20wt%の溶液とし、さらに、パーヒドロポリシラザンの量を基準として、1重量部のプロピオン酸パラジウムを、触媒として添加し、溶液(ガラスコーティング剤)を調整した。
上記溶液をウェスに含ませ、ムラを生じないようにアルミニウム板にコーティングした。これを強制対流可能な乾燥炉を用い、予め炉内温度を50℃に余熱した炉内において、30分間、乾燥した。乾燥後、常温まで冷却し、アルミニウム板上に、ガラスコーティング膜を形成した。このガラスコーティング膜を目視にて確認したところ、透明な割れのない膜であった。
次いで、ガラスコーティング膜上に、シランカップリング剤として、N-(トリエトキシシリルプロピル)-O-ポリ-エチレンオキサイドウレタン(N-(TRIETHOXYSILYLPROPYL)-O-POLY-ETHYLENE OXIDE URETHANE)を用いた。これに、溶剤として、イソプロピルアルコールを加え、2wt%の溶液を調整した。この溶液は、親水基を有するシランカップリング剤を含有する。この溶液をウェスに含ませ、ムラを生じないようにアルミニウム板のガラスコーティング膜上にコーティングし、常温で3時間放置し、乾燥させた。これにより、ガラスコーティング膜2a上に、親水基を有するシランカップリング膜2bを形成した。
上記工程によって得られたアルミニウム板上の保護膜、即ち、ガラスコーティング膜2aとその上の親水基を有するシランカップリング膜2bの積層膜に対して、引っ掻き硬度、防汚性および密着性を評価した。
引っ掻き硬度は、鉛筆硬度試験(JIS K5600−5−4)に基づいて評価した。この鉛筆硬度試験は、鉛筆の芯を試料(この場合、アルミニウム板上の保護膜)表面に押付けて動かし、傷付きの有無により試料の引っかき硬度を鉛筆の芯の硬さ(6B〜HB〜6H)で示したものである。
防汚性については、次のように評価した。上記工程により保護膜が形成されたアルミニウム板を、温度50±1℃、相対湿度95%以上の湿潤状態下において、24時間放置した。この後、温度23±2℃、相対湿度50±5%の状態下において、乾燥した。
次いで、カーボンブラックの5wt%イオン交換水分散液を作製し、エアスプレーでアルミニウム板上の保護膜表面に均一に塗布した。これを60℃で1時間、乾燥した後、室温まで放冷した。次いで、これを流水下でカーボンブラックが落ちなくなるまで洗浄した。洗浄後のアルミニウム板上の保護膜表面の水分を拭き取り、室温で乾燥した。
カーボンブラックを付着させる前後の色彩(L、a、b)を色彩色差計(コニカミノルタ センシング社製「色彩色差計 CR−400」)にて測定を行った。色差(ΔE)は、以下の(式1)により表される。測定された色差に基づき、以下の基準で判定した。洗浄前後の色差が5未満の場合を「◎」、5以上15未満の場合を「○」、15以上25未満の場合を「△」、25以上を「×」とした。
Figure 2015098098
アルミニウム板への保護膜の密着性については、次のように評価した。アルミニウム板上の保護膜に対して、カッターナイフを用いて、アルミニウム板に達する切れ目を碁盤目状に形成した。具体的には、2mm間隔で11本の直線状の切れ目を縦方向および横方向に交差するように設け、切れ目で囲まれた合計100個の2mm×2mmの正方形を形成した。別の言い方をすれば、20mm×20mmの領域において、碁盤目に分割された保護膜を形成した。次いで、上記碁盤目状の領域に、セロハンテープを密着させ、上方へ一気に引き剥がす作業を3回繰り返した。その結果、碁盤目に分割された保護膜の欠損率(剥離率)を求め、以下の基準で判定した。欠損率が0%の場合を「○」、0%を超えて15%未満の場合を「△」、15%以上の場合を「×」とした。
(実施例2)
シランカップリング剤として、親水基を有するシランカップリング剤および疎水基を有するシランカップリング剤を混合した溶液を用いる他は、実施例1と同様にしてアルミニウム板上の保護膜を評価した。
親水基を有するシランカップリング剤および疎水基を有するシランカップリング剤に、溶剤として、イソプロピルアルコールを加え、双方のシランカップリング剤の総量が2wt%の割合の溶液を調整した。双方のシランカップリング剤の総量中の各シランカップリング剤の比率(割合)は、表1に示すとおりである。
実施例2においては、親水基を有するシランカップリング剤である、N-(トリエトキシシリルプロピル)-O-ポリ-エチレンオキサイドウレタン(N-(TRIETHOXYSILYLPROPYL)-O-POLY-ETHYLENE OXIDE URETHANE)の比率は、90モル%であり、疎水基を有するシランカップリング剤である、(トリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロ-オクチル)トリエトキシシラン((TRIDECAFLUORO-1,1,2,2-TETRAHYDRO-OCTYL)TRIETHOXYSILANE)の比率は、10モル%である。
(実施例3)
基板として、塗装を施したアルミニウム板を用いる他は、実施例2と同様にしてアルミニウム板上の保護膜を評価した。塗装材としては、ウレタン系塗料を用い、実施例1と同様のアルミニウム板に、スプレーにより塗布し乾燥させることにより塗装した。
(実施例4)
基板として、ステンレス板を用いる他は、実施例2と同様にしてステンレス板上の保護膜を評価した。なお、ステンレス板としては、SUS301を用いた。SUS301は、オーステナイト系ステンレス鋼の一種であり、クロムを16〜18%程度、ニッケルを6〜8%程度含むものである。このステンレス板の表面には、ヘアライン加工は施されていない。
(実施例5)
親水基を有するシランカップリング剤(A)と、疎水基を有するシランカップリング剤(B)との比率(割合)を表1のように50モル%ずつとする他は、実施例2と同様にしてアルミニウム板上の保護膜を評価した。
(実施例6)
親水基を有するシランカップリング剤(100モル%)として、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリ-エトキシシラン(N-(2-AMINOETHYL)-3-AMINOPROPYLTRI-ETHOXYSILANE)を用いる他は、実施例1と同様にしてアルミニウム板上の保護膜を評価した。
(実施例7)
親水基を有するシランカップリング剤として、70モル%のN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリ-エトキシシラン(N-(2-AMINOETHYL)-3-AMINOPROPYLTRI-ETHOXYSILANE)と、疎水基を有するシランカップリング剤として、30モル%のn-オクチルトリエトキシシラン(n-OCTYLTRIETHOXYSILANE)を用いる他は、実施例2と同様にしてアルミニウム板上の保護膜を評価した。
(実施例8)
親水基を有するシランカップリング剤(100モル%)として、N-トリメトキシシリルプロピル-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロライド(N-TRIMETHOXYSILYLPROPYL-N,N,N-TRI-METHYLAMMONIUM CHLORIDE)を用いる他は、実施例1と同様にしてアルミニウム板上の保護膜を評価した。
(実施例9)
親水基を有するシランカップリング剤として、40モル%のN-トリメトキシシリルプロピル-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロライド(N-TRIMETHOXYSILYLPROPYL-N,N,N-TRI-METHYLAMMONIUM CHLORIDE)と、疎水基を有するシランカップリング剤として、60モル%のn-オクタデシルジメチルメトキシシラン(n-OCTADECYLDIMETHYLMETHOXYSILANE)を用いる他は、実施例2と同様にしてアルミニウム板上の保護膜を評価した。
(実施例10)
親水基を有するシランカップリング剤(100モル%)として、ビス-〔3-(メチルジメトキシシリル)-プロピル〕ポリエチレンオキサイド(BIS[3-(METHYLDIMETHOXYSILYL)-PROPYL]POLYETHYLENE OXIDE)を用いる他は、実施例1と同様にしてアルミニウム板上の保護膜を評価した。
(実施例11)
親水基を有するシランカップリング剤として、10モル%のビス-〔3-(メチルジメトキシシリル)-プロピル〕ポリエチレンオキサイド(BIS[3-(METHYLDIMETHOXYSILYL)-PROPYL]POLYETHYLENE OXIDE)と、疎水基を有するシランカップリング剤として、90モル%のフェニルトリエトキシシラン(PHENYLTRIETHOXYSILANE)を用いる他は、実施例2と同様にしてアルミニウム板上の保護膜を評価した。
(実施例12)
親水基を有するシランカップリング剤(100モル%)として、(3-トリメトキシシリルプロピル)ジエチレン-トリアミン(3-TRIMETHOXYSILYLPROPYL)DIETHYLENE-TRIAMINE)を用いる他は、実施例1と同様にしてアルミニウム板上の保護膜を評価した。
(実施例13)
親水基を有するシランカップリング剤として、60モル%の(3-トリメトキシシリルプロピル)ジエチレン-トリアミン(3-TRIMETHOXYSILYLPROPYL)DIETHYLENE-TRIAMINE)と、疎水基を有するシランカップリング剤として、40モル%のイソブチルトリエトキシシラン(ISOBUTYLTRIETHOXYSILANE)を用いる他は、実施例2と同様にしてアルミニウム板上の保護膜を評価した。
(実施例14)
親水基を有するシランカップリング剤として、60モル%のビス(2-ヒドロキシエチル)-3-アミノプロピル-トリエトキシシラン(BIS(2-HYDROXYETHYL)-3-AMINOPROPYL-TRIETHOXYSILANE)と、疎水基を有するシランカップリング剤として、40モル%のシクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CYCLOHEXYLMETHYLDIMETHOXYSILANE)を用いる他は、実施例2と同様にしてアルミニウム板上の保護膜を評価した。
(実施例15)
親水基を有するシランカップリング剤を変える他は、実施例14と同様にしてアルミニウム板上の保護膜を評価した。即ち、親水基を有するシランカップリング剤として、60モル%のN-(3-トリエトキシシリルプロピル)-4-ヒドロキシブチルアミド(N-(3-TRIETHOXYSILYLPROPYL)-4-HYDROXY-BUTYRAMIDE)と、疎水基を有するシランカップリング剤として、40モル%のシクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CYCLOHEXYLMETHYLDIMETHOXYSILANE)を用いた。
(実施例16)
親水基を有するシランカップリング剤として、60モル%の2-(トリメトキシシリルエチル)ピリジン(2-(TRIMETHOXYSILYLETHYL)PYRIDINE)と、疎水基を有するシランカップリング剤として、40モル%のm,p-エチルフェニルトリメトキシ-シラン(m,p-ETHYLPHENETHYLTRIMETHOXY-SILANE)を用いる他は、実施例2と同様にしてアルミニウム板上の保護膜を評価した。
(実施例17)
親水基を有するシランカップリング剤を変える他は、実施例16と同様にしてアルミニウム板上の保護膜を評価した。即ち、親水基を有するシランカップリング剤として、60モル%のN-(トリメトキシシリルプロピル)エチレン-ジアミン トリアセチル酸の三ナトリウム塩(N-(TRIMETHOXYSILYLPROPYL)ETHYLENE-DIAMINE TRIACETIC ACID,TRISODIUMSALT)と、疎水基を有するシランカップリング剤として、40モル%のm,p-エチルフェニルトリメトキシ-シラン(m,p-ETHYLPHENETHYLTRIMETHOXY-SILANE)を用いた。
(実施例18)
基板として、鉄道車両の外壁を用いる他は、実施例1と同様にして保護膜を形成した。図3は、鉄道車両の側面図である。図3に示すように、鉄道車両11は、金属板を加工した外壁(側面、上面)を有する。側面には、ドア(開閉扉)部13や窓部14が設けられている。また、上面(天井)15には、パンタグラフ16が設けられている。また、外壁の底面部には、車輪12が設けられている。
鉄道車両の外壁は、例えば、ヘアライン加工が施されたアルミニウム製で、無塗装である。このような鉄道車両の外壁の一部、例えば、側面の下方(図3の領域A1、A2)に実施例1と同様にして保護膜を形成した。この鉄道車両を、通常の走行車両として、3か月間、用いた。3か月後の保護膜に対し、引っ掻き硬度および防汚性を評価した。引っ掻き硬度については、実施例1と同様に評価した。また、防汚性については、走行前と3ヶ月後の色差により評価した。評価基準は、実施例1の場合と同様である。
(実施例19)
基板として、鉄道車両の外壁を用いる他は、実施例2と同様にして保護膜を形成した。鉄道車両は、ヘアライン加工が施されたアルミニウム製で、無塗装のものを用いた。鉄道車両の外壁の一部に実施例2と同様にして保護膜を形成し、通常の走行車両として、3か月間、用いた。3か月後の保護膜に対し、引っ掻き硬度および防汚性を評価した。引っ掻き硬度については、実施例1と同様に評価した。また、防汚性については、走行前と3ヶ月後の色差により評価した。評価基準は、実施例1の場合と同様である。
上記結果を、表1および表2に示す。
Figure 2015098098
Figure 2015098098
(比較例1)
基板として、実施例1と同様のアルミニウム板を用い、保護膜(ガラスコーティング膜とその上の親水基等を有するシランカップリング膜の積層膜)を形成することなく、その表面の防汚性を評価した。評価基準は、実施例1の場合と同様である。
(比較例2)
基板として、実施例1と同様のアルミニウム板を用い、保護膜として親水基を有するシランカップリング膜のみを形成した。具体的には、シランカップリング剤として、2wt%のN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリ-エトキシシラン(N-(2-AMINOETHYL)-3-AMINOPROPYLTRI-ETHOXYSILANE)のイソプロピルアルコール溶液を調整した。この溶液を直接アルミニウム板にコーティングし、乾燥させることにより、アルミニウム板上に、保護膜として、親水基を有するシランカップリング膜を形成した。この保護膜に対して、防汚性を評価した。評価基準は、実施例1の場合と同様である。
(比較例3)
基板として、実施例1と同様のアルミニウム板を用い、保護膜としてガラスコーティング膜のみを形成した。具体的には、ガラスコーティング剤として、20wt%のパーヒドロポリシラザンのジ−n−ブチルエーテル溶液であって、1重量部のプロピオン酸パラジウムを触媒として含む溶液を調整した。この溶液を直接アルミニウム板にコーティングし、乾燥させることにより、アルミニウム板上に、保護膜として、ガラスコーティング膜を形成した。この保護膜に対して、引っ掻き硬度、防汚性および密着性を実施例1の場合と同様に評価した。
(比較例4)
基板として、実施例1と同様のアルミニウム板を用い、保護膜としてガラスコーティング膜とその上の疎水基を有するシランカップリング膜の積層膜を形成した。具体的には、ガラスコーティング剤として、20wt%のパーヒドロポリシラザンのジ−n−ブチルエーテル溶液であって、1重量部のプロピオン酸パラジウムを触媒として含む溶液を調整した。この溶液を直接アルミニウム板にコーティングし、乾燥させることにより、アルミニウム板上に、保護膜として、ガラスコーティング膜を形成した。そして、さらに、シランカップリング剤として、2wt%の(トリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロ-オクチル)トリエトキシシラン((TRIDECAFLUORO-1,1,2,2-TETRAHYDRO-OCTYL)TRIETHOXYSILANE)のイソプロピルアルコール溶液を調整した。この溶液をガラスコーティング膜上にコーティングし、乾燥させることにより、アルミニウム板上に、保護膜として、ガラスコーティング膜とその上の疎水基を有するシランカップリング膜の積層膜を形成した。この保護膜に対して、引っ掻き硬度、防汚性および密着性を実施例1の場合と同様に評価した。
上記結果を、表3に示す。
Figure 2015098098
実施例1、6、8、10、12、18と、比較例1〜4とから、ガラスコーティング膜上に親水基を有するシランカップリング膜を施すことで防汚性が向上することが判明した。
また、実施例1、6、8、10、12、18と、実施例2〜5、7、9、11、13、14〜17、19とから、親水基のみを有するシランカップリング膜より親水基および疎水基を有するシランカップリング膜の方がより高い防汚性を有することが判明した。
図4は、保護膜上に付着した汚れが除去される様子を模式的に示す図である。図4に示すように、汚れDが、保護膜2上に付着した場合、疎水基HOには汚れDが付着し難く、親水基HIに汚れDが付着しやすい。よって、親水基HIおよび疎水基HOを有するシランカップリング膜2bの表面に付着した汚れDは、不安定な状態となる。このような状況下において、水などの洗浄液3が、保護膜2の表面を流れ落ちる場合、汚れDと疎水基HOとの間に侵入しやすくなり、汚れDが落ち易くなる。このように、親水基HIおよび疎水基HOを有するシランカップリング膜を用いることで、より防汚性が向上するものと考えられる。
また、実施例3、4から、基材がアルミニウムの場合のみならず、塗装を施した場合やステンレスの場合においても、防汚性が向上することが判明した。
また、実施例18、19から、鉄道車両に、ガラスコーティング膜およびシランカップリング膜よりなる保護膜を施した場合においても、アルミニウム板の場合(実施例1、2)と同様に、防汚性を有することが判明した。
さらに、表3の比較例1に示すように、アルミニウム板に、ガラスコーティング膜およびシランカップリング膜よりなる保護膜を施さない場合は、流水下で汚れ(カーボンブラック)を洗浄しても、汚れが除去しきれないことが判明した。特に、ヘアライン加工(つや消し加工)を行う場合には、表面の細かい傷の中に汚れが入り込み、とり難くなる。
また、比較例2に示すように、アルミニウム板に直接、親水基を有するシランカップリング膜を施した場合は、防汚性が低いことが判明した。
また、比較例3に示すように、アルミニウム板上に、ガラスコーティング膜のみを施した場合は、防汚性が低いことが判明した。
また、比較例4に示すように、アルミニウム板に、ガラスコーティング膜およびシランカップリング膜よりなる保護膜を施した場合であっても、シランカップリング膜として、疎水基のみを有するシランカップリング膜を施した場合は、防汚性が低いことが判明した。
なお、上記実施例18などにおいては、鉄道車両について実験を行ったが、本実施の形態の保護膜の適用箇所は鉄道車両に限定されるものではなく、例えば、自動車などの他の移動体についても同様に適用することができる。特に、屋外で使用するものであって、レールや道路との摩擦によって汚れが付着し易い移動体には、本実施の形態の保護膜により防汚性を図ることが効果的である。
また、上記実施例18などにおいては、保護膜を、側面の下方(図3の領域A1、A2)に用いたが、上面(天井)に設けてもよい。車体の上面の汚れにより太陽光が吸収され、車内の冷房効率が低下する。よって、車体の上面に保護膜を設けることで、汚れの低減を図ることができ、これにより、車内の冷房効率を向上させることができる。特に、鉄道車両においては、架線と接触するパンタグラフからの汚れが生じやすく、本実施の形態の保護膜により防汚性を図ることが効果的である。
また、屋内において使用する機械などにおいても、本実施の形態の保護膜を適用することができる。特に、動作時の摩擦によって汚れ(粉塵など)が生じやすい機械においては、本実施の形態の保護膜により防汚性を図ることが効果的である。
この他、建築物、電気製品、サニタリー製品などにも、上記保護膜を適用することができる。
このように、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
本発明は、保護膜、移動体、鉄道車両および保護膜の形成方法に適用して有効である。
1 基材
2 保護膜
3 洗浄液
2a ガラスコーティング膜
2b シランカップリング膜
11 鉄道車両
12 車輪
13 ドア部
14 窓部
15 上面
16 パンタグラフ
A1 領域
A2 領域
D 汚れ
HI 親水基
HO 疎水基

Claims (15)

  1. 基材上に形成され、シロキサン結合を有するガラスコーティング膜と、
    前記ガラスコーティング膜上に形成され、シロキサン結合と、シロキサン結合を構成するSiに結合する基と、を有するシランカップリング膜と、
    を有する、保護膜。
  2. 請求項1記載の保護膜において、
    鉛筆硬度6H以上である、保護膜。
  3. 請求項1記載の保護膜において、
    前記Siに結合する基は、親水基である、保護膜。
  4. 請求項1記載の保護膜において、
    前記シランカップリング膜は、前記Siに結合する基が親水基であるシロキサン結合と、前記Siに結合する基が疎水基であるシロキサン結合との両者を有する、保護膜。
  5. 請求項3記載の保護膜において、
    前記親水基は、水酸基、エーテル基、カルボキシル基、アミノ基、ウレイド基、ウレタン基、アミド基、ピリジニウム基、スルホネート基、スルホン酸基、ホスホネート基およびイオン性の結合を有する基から選択される、保護膜。
  6. 請求項4記載の保護膜において、
    前記親水基は、水酸基、エーテル基、カルボキシル基、アミノ基、ウレイド基、ウレタン基、アミド基、ピリジニウム基、スルホネート基、スルホン酸基、ホスホネート基およびイオン性の結合を有する基から選択され、
    前記疎水基は、アルキル基、環状アルキル基、芳香族基およびフッ素含有基から選択される、保護膜。
  7. 保護膜を有する移動体であって、
    前記保護膜は、
    前記移動体を構成する基材上に形成され、シロキサン結合を有するガラスコーティング膜と、
    前記ガラスコーティング膜上に形成され、シロキサン結合と、シロキサン結合を構成するSiに結合する親水基と、を有するシランカップリング膜と、
    を有する、移動体。
  8. 請求項7記載の移動体において、
    前記シランカップリング膜は、前記Siに結合する基が前記親水基であるシロキサン結合と、前記Siに結合する基が疎水基であるシロキサン結合との両者を有する、移動体。
  9. 保護膜を有する鉄道車両であって、
    前記保護膜は、
    前記鉄道車両を構成する基材上に形成され、シロキサン結合を有するガラスコーティング膜と、
    前記ガラスコーティング膜上に形成され、シロキサン結合と、シロキサン結合を構成するSiに結合する親水基と、を有するシランカップリング膜と、
    を有する、鉄道車両。
  10. 請求項9記載の鉄道車両において、
    前記シランカップリング膜は、前記Siに結合する基が前記親水基であるシロキサン結合と、前記Siに結合する基が疎水基であるシロキサン結合との両者を有する、鉄道車両。
  11. 基材上にガラスコーティング剤を塗布し、乾燥させることにより、ガラスコーティング膜を形成する工程、
    前記ガラスコーティング膜上に、シランカップリング剤を塗布し、乾燥させることにより、シランカップリング膜を形成する工程、
    を有する、保護膜の形成方法。
  12. 請求項11記載の保護膜の形成方法において、
    前記シランカップリング剤は、親水基を有する、保護膜の形成方法。
  13. 請求項11記載の保護膜の形成方法において、
    前記シランカップリング剤は、親水基を有するシランカップリング剤と疎水基を有するシランカップリング剤との混合剤である、保護膜の形成方法。
  14. 請求項12記載の保護膜の形成方法において、
    前記親水基は、水酸基、エーテル基、カルボキシル基、アミノ基、ウレイド基、ウレタン基、アミド基、ピリジニウム基、スルホネート基、スルホン酸基、ホスホネート基およびイオン性の結合を有する基から選択される、保護膜の形成方法。
  15. 請求項13記載の保護膜の形成方法において、
    前記親水基は、水酸基、エーテル基、カルボキシル基、アミノ基、ウレイド基、ウレタン基、アミド基、ピリジニウム基、スルホネート基、スルホン酸基、ホスホネート基およびイオン性の結合を有する基から選択され、
    前記疎水基は、アルキル基、環状アルキル基、芳香族基およびフッ素含有基から選択される、保護膜の形成方法。
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