JP2017154899A - 防汚性物品およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】防汚性により優れた防汚層を有する防汚性物品およびその製造方法を提供する。【解決手段】本発明は、基体と、該基体上に配置され、粒子の凝集体およびバインダーを含む複数の突起体を表面に有する防汚層とを有し、該突起体中、基体面からの最大高さを有する突起体を基準として、90%以上の高さを有する突起体Tについて、隣り合う該突起体Tの頂点間距離の平均値が100〜1,000nmであり、前記防汚層が配置された基体の面積に対する前記粒子による総被覆面積の割合が7〜100%である防汚性物品である。【選択図】なし

Description

本発明は、防汚性物品およびその製造方法に関する。
タイルまたは板ガラス等の板状基体表面に超親水性の皮膜を形成すると、基体表面に雨水等が付着した際に水と共に汚れが皮膜表面にも広がって流れ落ちることで基体表面に汚れが付きにくくなり、また目立ちにくくなる。このようなセルフクリーニング機構を有する超親水性皮膜としては触媒機能を有する酸化チタン皮膜が広く知られている。また、基体表面に防汚性皮膜を形成する技術については、酸化チタン皮膜以外について、これまで種々の方法が提案されてきた。
例えば特許文献1には、表面がシリカ微粒子の突き出た微細粗面となっていて、かつ表面から内部に連通する屈曲した微細孔を多数有する、シリカ微粒子を珪酸質バインダーで結合した親水性の微細多孔防汚層を基体外面に有する構造体が提案されている。
特開2004−174498号公報
本発明者らの知見によれば、特許文献1に記載された微細多孔防汚層は防汚性が十分ではない。
本発明は、上記のような従来の課題を解消し、防汚性により優れる防汚性物品およびその製造方法を提供することを課題とする。
本発明は以下を構成とする。
本発明は、基体と、該基体上に配置され、粒子の凝集体およびバインダーを含む複数の突起体を表面に有する防汚層とを有し、該突起体中、基体面からの最大高さを有する突起体を基準として、90%以上の高さを有する突起体Tについて、隣り合う該突起体Tの頂点間距離の平均値が100〜1,000nmであり、前記防汚層が配置された基体の面積に対する前記粒子による総被覆面積の割合が7〜100%である防汚性物品に関する。
本発明は、基体上に、平均一次粒子径が5〜300nmであるパールネックレス状シリカと酸化ケイ素前駆体とを含み、該パールネックレス状シリカと該酸化ケイ素前駆体との、酸化ケイ素換算での質量比が、7/93〜95/5である防汚層形成組成物を付与して、防汚層形成組成物層を形成する工程と、該防汚層形成組成物層を加熱処理して、防汚層を形成する工程とを含む防汚性物品の製造方法に関する。
本発明により、防汚性により優れる防汚性物品およびその製造方法を提供することができる。
本発明に係る、防汚性物品の一例を示す図である。 実施例1で得られた防汚性物品の表面の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例1で得られた防汚性物品の断面の走査型電子顕微鏡写真である。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。また「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示す。更に組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
[防汚性物品]
防汚性物品は、基体と、該基体上に配置され、粒子の凝集体およびバインダーを含む複数の突起体を表面に有する防汚層とを有し、該突起体中、基体面からの最大高さを有する突起体を基準として、90%以上の高さを有する突起体T(以下、単に「突起体T」ともいう。)について、隣り合う該突起体Tの頂点間距離の平均値が100〜1,000nmであり、前記防汚層が配置された基体の面積に対する前記粒子による総被覆面積の割合が7〜100%である防汚性物品である。
図1は、本発明に係る防汚性物品の一例を示す図である。図1において、防汚性物品1は、基体2と、該基体2上に配置され、粒子3の凝集体およびバインダー4を含む複数の突起体5を表面に有する防汚層6を有する。
本明細書において、「粒子の凝集体およびバインダーを含む突起体」を単に「突起体」ともいう。
(基体)
基体としては、特に限定されず、ガラス、プラスチック、金属、セラミックス、およびこれらの組み合わせ(例えば、複合材料、積層材料等)が挙げられ、ガラスまたはプラスチックからなる光透過性基体が好ましい。また、基体がガラスの場合は、強化処理(物理強化、化学強化)を施したものであってもよく、また複数のガラス板が接着層を介して積層された合わせガラスであってもよい。基体の形状は、特に限定されず、平板状、全面または一部に曲率を有している形状等が挙げられる。基体の厚さは、特に限定されず、防汚性物品の用途により適宜選択することができる。基体の厚さは、1〜10mmであることが好ましい。
(防汚層)
防汚層は、基体上に配置され、粒子の凝集体およびバインダーを含む複数の突起体を表面に有し、該突起体中、基体面からの最大高さを有する突起体を基準として、90%以上の高さを有する突起体Tについて、隣り合う該突起体Tの頂点間距離の平均値が100〜1,000nmであり、前記防汚層が配置された基体の面積に対する前記粒子による総被覆面積の割合が7〜100%である。
防汚層は、防汚層の表面に突出した、前記粒子の凝集体およびバインダーを含む複数の突起体と、それ以外の領域(たとえば、凝集していない粒子とバインダーとを含む凸部および/またはバインダー)とで、その表面に凹凸が形成される。突起体は、基体の表面に不均一に存在する、粒子の凝集体とバインダーとの集合体であるため、粒子単独で形成される凹凸に比べて、より適切な凹凸が形成され、防汚性がより向上する傾向がある。防汚性物品に付着する汚れは、防汚層の表面に存在する凸部に接触するため、本発明においては、汚れは突起体に接触する。そのため、防汚層において、汚れに接触する接触面積をより小さくすることができ、防汚性により優れる防汚層が得られる。一方、後述する頂点間距離が100nm以上あることで、汚れが油汚れの場合でも、毛管現象による吸着を抑制することができる。その結果、油汚れが付きにくく、また付着したとしても水洗により容易に除去することが可能となる。
突起体の形状は、特に限定されず、例えば、略四角錐、略三角錐、略円錐等が挙げられる。突起体の頂点から高さ50%までの領域を部分球面に近似したとき、上記部分球面の曲率半径は、特に限定されないが、5nm以上が好ましく、5nm〜15nmがより好ましい。また、突起体の高さは、特に限定されないが、10nm以上が好ましく、30〜200nmがより好ましい。突起体の高さは、基体面から突起体の頂点までの高さであり、走査型電子顕微鏡を用いて測定することができる。
突起体の底面のサイズは、特に限定されないが、10〜700nmが好ましく、30〜200nmがより好ましい。また、突起体の底面(基体に平行な面)と側面との角度の平均値は、特に限定されないが、10〜90°が好ましく、20〜70°がより好ましい。突起体の底面と側面との角度が、10°以上であれば、より急峻な突起体が得られている。ここで、突起体の底面のサイズとは、突起体の底面形状が内接する円の直径とする。突起体の底面サイズは、走査型電子顕微鏡を用いて測定することができる。
防汚層において、突起体中、基体面からの最大高さを有する突起体を基準として、90%以上の高さを有する突起体Tについて、隣り合う該突起体Tの頂点間距離の平均値(以下、単に「頂点間距離」ともいう。)が100〜1,000nmであり、100〜800nmが好ましく、100〜500nmがより好ましい。頂点間距離が、100〜1,000nmであることは、防汚層の表面に、突起体Tにより形成される凹凸の間隔が大きいことを意味する。また、突起体Tが、2以上の粒子およびバインダーを含むため、単独粒子およびバインダーを含む凸部で形成される防汚層の表面粗さに比べて、大きな凸部構造が形成されていることを意味する。頂点間距離は、走査型電子顕微鏡により測定することができる。具体的には、頂点間距離は、防汚性物品の断面写真から、基板の防汚層を有する面に平行な方向に、所定の領域内に存在する突起体中、最大高さを有する突起体を選択し、その90%以上の高さを有する突起体Tを選択し、これら突起体Tについて、隣り合う突起体Tの頂点間距離(すなわち、頂点間隔)を測定し、平均値を算出することにより求めることができる。好ましくは、頂点間距離は、実施例において後述する「頂点間距離」の測定方法により測定することができる。
防汚層が配置された基体の面積に対する、粒子による総被覆面積の割合(以下、「凸部被覆率」ともいう。)は、7〜100%である。凸部被覆率が7%未満であると、防汚層において、汚れに接触できる、粒子の凝集体およびバインダーを含む突起体の存在割合が少なく、充分な防汚性が得られない。凸部被覆率は、10〜100%が好ましく、20〜100%がより好ましく、50〜100%が特に好ましい。凸部被覆率は、走査型電子顕微鏡により測定することができる。具体的には、実施例において後述する「凸部被覆率」の測定方法により測定することができる。
防汚層における突起体の数は、特に限定されないが、30〜100個/μmが好ましく、50〜100個/μmがより好ましい。突起体の数は、例えば、走査型電子顕微鏡により測定することができる。
防汚層の表面粗さ(以下、「Ra」ともいう。)は、特に限定されないが、5〜30nmが好ましく、6〜25nmがより好ましく、7〜20nmが特に好ましい。Raが5nm以上であれば、単独粒子およびバインダーを含む凸部の頂点より膜厚が薄い部分と汚れとの接触が抑えられ、より優れた防汚性が得られる。30nm以下であれば、耐摩耗強度に優れる。Raは、走査型プローブ顕微鏡で測定することができる。
<粒子>
粒子は、後述するバインダーと共に集合体を形成し、防汚層の表面に突起体を形成できるものであれば特に限定されない。粒子として、無機粒子および有機粒子が挙げられ、無機粒子が好ましい。無機粒子として、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等の金属酸化物の粒子が挙げられる。粒子として、酸化ケイ素の粒子が好ましい。粒子が酸化ケイ素の粒子であれば、光の散乱が抑制され、基材の色味を損なわず、特に基材がガラスの場合に粒子が酸化ケイ素の粒子であることが好ましい。
粒子は、1種単独であってもよく、2種以上の組み合わせであってもよい。
粒子が2種以上の組合せである場合は、粒子が酸化ケイ素を主成分とするのが好ましい。粒子が、酸化ケイ素を主成分とすることで、より容易に、より適切な形状を有する突起体が形成され、防汚性がより向上する傾向がある。本明細書において、「主成分」とは、粒子中の酸化ケイ素の含有率が、50質量%以上、好ましくは75質量%以上であることをいう。
粒子の形状は、特に限定されないが、球状およびパールネックレス状等が挙げられる。粒子として、パールネックレス状シリカが特に好ましい。粒子がパールネックレス状シリカであれば、防汚層が形成するときに、より適切な凹凸を形成できる突起体が形成され、防汚性がより向上する傾向がある。パールネックレス状シリカは、平均一次粒子径が5〜300nmである球状粒子が、複数個連結して二次凝集した、直線状または分岐を有していてもよい細長い形状のシリカ粒子である。
粒子の平均一次粒子径は、特に限定されないが、5〜300nmが好ましく、10〜100nmがより好ましく、10〜50nmがさらに好ましく、10〜30nmが特に好ましい。粒子の平均粒子径が5nm以上である場合、より容易に凝集して突起体を形成しやすくなり、防汚性がより向上する傾向がある。また、粒子の平均粒子径が300nm以下であれば、可視光の波長よりも十分に短いため、ヘイズ値をより低減させることができる。
パールネックレス状粒子の二次粒子径は、40〜200nmが好ましく、50〜100nmがより好ましく、60〜90nmが特に好ましい。パールネックレス状粒子において、二次粒子を構成する各粒子の平均一次粒子径は、好ましいものを含み、上記した粒子の平均粒子径が挙げられる。
粒子の平均一次粒子径は、走査型電子顕微鏡により観察した値であり、平均二次粒径は、動的光散乱法により測定した値である。
なお、粒子には、本発明の効果を損なわない範囲内で、鎖状粒子を含有してもよい。
鎖状粒子とは、例えば、10〜100nmの平均一次粒径dを有し、60〜500nmの平均長さ(L)、および3〜20の平均一次粒径に対する平均長さの比(L/d)を有する、細長い形状を有する粒子である。鎖状粒子およびパールネックレス状粒子は、いずれも細長い形状であるが、両者は球状部分の存在割合が異なる。パールネックレス状粒子は、電子顕微鏡による二次元像において、球状部分に起因する円状図形が真円度70%以上を有し、かつ各円状図形の内接円の合計面積がパールネックレス状粒子全投影面積の70%以上を占め、かつ各円状図形の内接円が互いに重ならない。ここで、真円度とは、対象とする図形輪郭の外接円の半径に対する内接円の半径の比率で表され、真円では100%となる。
球状シリカ粒子の市販品として、IPA−ST、IPA−STL、IPA−STZL(いずれも、日産化学工業社製)が挙げられる。
パールネックレス状シリカ粒子の市販品として、ST−PS−S、ST−PS−SO、ST−PS−M、ST−PS−MO(いずれも、日産化学工業社製)が挙げられる。
鎖状シリカ粒子の市販品として、ST−OUP、ST−U(いずれも、日産化学工業社製)が挙げられる。
<バインダー>
バインダーは、粒子および基体を接着することができるものであれば特に限定されず、無機バインダーが挙げられる。無機バインダーとして、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化スズ等の金属酸化物が挙げられる。バインダーは、酸化ケイ素がより好ましい。バインダーが酸化ケイ素であれば、防汚性がより向上する傾向がある。酸化ケイ素は、加水分解性基を有するシラン化合物の加水分解物またはケイ酸の加水分解物であるのが好ましく、アルコキシシラン化合物の加水分解物またはケイ酸のアルカリ金属塩からアルカリ金属の一部を除去した脱塩ケイ酸の加水分解物がより好ましいい。なお、これらの加水分解物には、未反応のシラノール基(Si−OH)基を有していてもよい。
バインダーが2種以上のバインダーの混合物である場合、酸化ケイ素を主成分として含むのが好ましい。ここで、主成分とは、バインダーに含まれる酸化ケイ素の含有率が、50質量%以上であり、好ましくは75質量%以上であることをいう。
バインダーは、後述するバインダー前駆体の硬化物が用いられる。
バインダーは、1種単独であってもよく、2種以上の組み合わせであってもよい。
防汚層において、粒子とバインダーとの質量比(粒子/バインダー)が、7/93〜95/5であるのが好ましい。粒子とバインダーとの質量比が7/93以上であれば、基体表面に適切な突起体の頂点間距離の平均値を有する防汚層を形成できるために、防汚性がより向上する傾向があり、95/5以下であれば、基体と防汚層との密着力が充分である傾向がある。粒子とバインダーとの質量比は、粒子が無機粒子である場合は、金属酸化物換算であり、粒子が有機粒子である場合は、粒子の質量は有機粒子の質量である。
<更なる成分>
防汚層は、本発明の効果を損なわない範囲内で、更なる成分を含有することができる。更なる成分として、界面活性剤、泡立ち防止剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、粘度調整剤、酸化防止剤、防カビ剤、顔料等が挙げられる。更なる成分の含有率は、防汚層中、5質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。
<膜厚>
防汚層の膜厚は、特に限定されないが、20〜350nmが好ましく、30〜300nmがより好ましく、50〜300nmが特に好ましい。防汚層の膜厚が、20nm以上であれば、防汚性が充分に発揮する傾向があり、350nm以下であれば、機械的強度に優れ、また経済性に優れる。ここで膜厚は、電子顕微鏡等により得られた膜断面画像から、基板の防汚層を有する面に平行な方向に1.5μmの範囲において、最大高さを有する突起体から、高い順に10番目の突起体までを10点抽出し、それら10点の突起体の高さを平均することにより求められる値である。
<汚れおよび防汚性>
防汚性物品は、様々な汚れに対して、防汚性を有する。汚れとして、大気中の砂塵、コンクリート壁由来のアルカリ分が残ったもの(水の乾きジミ)、水アカ、ガラス自体のヤケなどの無機系の汚れ、大気中の煤煙や自動車の排気ガス、たばこの煙、油などの有機系の汚れが挙げられる。防汚性物品は、砂塵、油汚れに対して、より優れた防汚効果を有する。防汚性物品の防汚性は、例えば、後述の実施例における「汚れ付着試験」により測定されるヘイズ値変化で評価することができる。防汚性物品のヘイズ値変化は、後述の実施例における「汚れ付着試験」により測定された場合、5%以下が好ましく、2%以下がより好ましく、1%以下が特に好ましい。ヘイズ値変化が5%超であると、実用上の防汚性が発現できない。なお、ヘイズ値は、市販のヘイズ測定装置を用いて測定することができる。
[防汚性物品の製造方法]
防汚性物品の製造方法は、基板上に、突起体を形成できる粒子とバインダー前駆体とを含み、該突起体を形成できる粒子と該バインダー前駆体との、金属酸化物換算での質量比が、7/93〜95/5である防汚層形成組成物を付与して、防汚層形成組成物層を形成する工程と、該防汚層形成組成物層を加熱処理して、防汚層を形成する工程とを含む。
好ましくは、防汚性物品の製造方法は、基体上に、平均一次粒子径が5〜300nmであるパールネックレス状シリカと酸化ケイ素前駆体とを含み、該パールネックレス状シリカと該酸化ケイ素前駆体との、酸化ケイ素換算での質量比(パールネックレス状シリカ/酸化ケイ素前駆体)が、7/93〜95/5である防汚層形成組成物を付与して、防汚層形成組成物層を形成する工程と、該防汚層形成組成物層を加熱処理して、防汚層を形成する工程とを含む。
(防汚層形成組成物)
防汚層形成組成物は、突起体を形成できる粒子とバインダー前駆体とを含む。
<突起体を形成できる粒子>
突起体を形成できる粒子としては、平均一次粒子径が5〜300nmであるパールネックレス状シリカが好ましい。球状のシリカ粒子を含む防汚層形成組成物を基体表面に塗布したのでは、粒子が比較的均一に積層しやすいため、得られる被膜は防汚性を充分に発現させる程度の凹凸は形成されない。
<バインダー前駆体>
バインダー前駆体とは、加熱処理によりバインダーを形成する成分である。バインダー前駆体は、無機バインダー前駆体が挙げられ、酸化ケイ素前駆体、酸化アルミニウム前駆体、酸化チタン前駆体、酸化ジルコニウム前駆体、酸化タンタル前駆体、酸化スズ前駆体等の金属酸化物前駆体が挙げられる。酸化ケイ素前駆体として、加水分解性基を有するシラン化合物およびケイ酸が挙げられる。酸化ケイ素前駆体以外のバインダー前駆体として、加水分解性基を有する金属化合物が挙げられる。金属酸化物前駆体は、加水分解反応により金属酸化物を形成する成分である。バインダー前駆体として、酸化ケイ素前駆体が好ましい。防汚層形成組成物が、酸化ケイ素前駆体を含有することにより、形成される防汚層と基体との密着性をより向上させることができる。
バインダー前駆体は、1種単独であってもよく、2種以上の組み合わせであってもよい。
<<酸化ケイ素前駆体>>
酸化ケイ素前駆体としては、ケイ酸および加水分解性基を有するシラン化合物が挙げられる。酸化ケイ素前駆体としては、後述するケイ酸のアルカリ金属塩からアルカリ金属の一部を除去した脱塩ケイ酸またはアルコキシシラン化合物もしくはその部分加水分解縮合物が好ましい。防汚層形成組成物が、ケイ酸のアルカリ金属塩からアルカリ金属の一部を除去した脱塩ケイ酸および/またはアルコキシシラン化合物もしくはその部分加水分解縮合物を含有することで、形成される防汚層と基体との密着性をより向上させることができる。
<<<ケイ酸>>>
ケイ酸として、オルトケイ酸、メタケイ酸、メタ二ケイ酸が挙げられ、メタケイ酸が好ましい。ケイ酸は、ケイ酸のアルカリ金属塩からアルカリ金属の少なくとも一部を除去した脱塩ケイ酸(以下、単に「脱塩ケイ酸」ともいう。)が好ましい。脱塩ケイ酸は、陽イオン交換樹脂を用いて、ケイ酸のアルカリ金属塩の水溶液からアルカリ金属イオンを減らす方法により得られるのが好ましい。脱塩ケイ酸のアルカリ金属イオンの量は、特に限定されないが、ケイ酸100質量部に対して、アルカリ金属イオンが0.001〜1質量部が好ましく、0.001〜0.2質量部がより好ましく、0.001〜0.15質量部が特に好ましい。アルカリ金属イオン濃度は、セイコーインスツルメンツ社製SPS4000などを用いて、ICP発光分析にて測定することができる。
陽イオン交換樹脂としては、特に限定されないが、強酸性陽イオン交換樹脂(RSOH型)、弱酸性陽イオン交換樹脂(RCOOH型)等が挙げられ、強酸性陽イオン交換樹脂が反応速度の点で好ましい。使用する陽イオン交換樹脂の量、接触時間、接触方法等を制御することで、減らすアルカリ金属イオンの量を調節できる。
ケイ酸のアルカリ金属塩としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸リチウムおよびケイ酸カリウム等が挙げられ、ケイ酸ナトリウムおよび/またはケイ酸リチウムが好ましく、ケイ酸ナトリウムが好ましい。
ケイ酸ナトリウムの水溶液としては、SiO/NaOの組成比が異なる材料が知られており、NaOの含有比が小さい材料がアルカリ金属イオンを除去しやすいので好ましい。市販のケイ酸ナトリウムとしては、ケイ酸ソーダ1号(SiO/NaOのモル比:2.0/1.0〜2.3/1.0)、ケイ酸ソーダ2号(同モル比:2.4/1.0〜2.7/1.0)、ケイ酸ソーダ3号(同モル比:3.0/1.0〜3.3/1.0)、ケイ酸ソーダ4号(同モル比:3.7/1.0〜3.9/1.0)がある。NaOの含有比が小さいケイ酸ソーダ3号または4号が特に好ましい。
ケイ酸リチウムの水溶液としては、SiO/LiOの組成比が異なる材料が知られており、LiOの含有比が小さい材料がアルカリ金属イオンを除去しやすいので好ましい。市販のケイ酸リチウムとしては、ケイ酸リチウム35(SiO/LiOのモル比:3.5/1.0)(ケイ酸リチウム35とは日本化学工業社製の商品名である。以下、45、75についても同じ。)、ケイ酸リチウム45(同モル比:4.5/1.0)、ケイ酸リチウム75(同モル比:7.5/1.0)がある。特に、LiOの含有比が小さいケイ酸リチウム75が特に好ましい。
<<<加水分解性基を有するシラン化合物>>>
加水分解性基を有するシラン化合物は、1分子中にケイ素原子に結合する1〜4の加水分解性基を有する化合物である。加水分解性基として、アルコキシ基、イソシアナト基、アシルオキシ基、アミノキシ基、ハロゲン基等が挙げられ、アルコキシ基が好ましい。よって、加水分解性基を有するシラン化合物として、アルコキシシラン化合物が好ましい。また、アルコキシシラン化合物は、少なくとも一部の分子同士が加水分解縮合している縮合物(以下、「アルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物」ともいう。)であってもよい。
アルコキシシラン化合物は、1分子中にケイ素原子に結合する1〜4のアルコキシ基を有する化合物である。
アルコキシシラン化合物として、下記一般式(I)で表される化合物が挙げられる。
(RO)SiR (4−p) (I)
式中、Rは、それぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基を示し、Rは、それぞれ独立して置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基を示し、pは1〜4の数を示す。RまたはRが複数存在する場合、それらは互いに同一であっても、異なっていてもよい。
は、炭素数1〜4のアルキル基であり、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチルが挙げられ、メチル、エチルが好ましい。Rにおける、炭素数1〜10のアルキル基は、直鎖または分岐状であり、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ヘキシル、デシル等が挙げられる。Rは、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。Rにおける、置換基は、特に限定されないが、エポキシ基、グリシドキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、イソシアナト基、ヒドロキシ基、アミノ基、フェニルアミノ基、アルキルアミノ基、アミノアルキルアミノ基、ウレイド基、メルカプト基等が挙げられる。なお、Rにおける、「炭素数1〜10のアルキル基」は、置換基を除いたアルキル基部分の炭素数が1〜10であることを意味する。
アルコキシシラン化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等の1分子中に4のケイ素原子に結合するアルコキシ基を有するテトラアルコキシシラン化合物;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の1分子中にケイ素原子に結合する1〜3のアルコキシ基を有するアルコキシシラン化合物が挙げられる。アルコキシシラン化合物としては、テトラアルコキシシラン化合物が好ましい。
<質量比>
防汚層形成組成物において、突起体を形成できる粒子とバインダー前駆体との質量比(突起体を形成できる粒子/バインダー前駆体)は、7/93〜95/5である。突起体を形成できる粒子とバインダー前駆体との質量比は、金属酸化物換算である。例えば、防汚層形成組成物が、平均一次粒子径が5〜300nmであるパールネックレス状シリカと酸化ケイ素前駆体とを含む場合、パールネックレス状シリカと酸化ケイ素前駆体との、酸化ケイ素換算での質量比(パールネックレス状シリカ/酸化ケイ素前駆体)が、7/93〜95/5である。防汚層形成組成物において、突起体を形成できる粒子とバインダー前駆体との、金属酸化物換算での質量比が7/93未満であれば、基体上に粒子が充分に存在せず、防汚性が劣り、95/5超であれば、防汚層と基体との密着性が充分な防汚層が得られない。なお、防汚層形成組成物がアルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物を含有する場合、アルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物の含有量は、酸化ケイ素の換算量である。
<水および酸触媒>
防汚層形成組成物は、バインダー前駆体の加水分解縮合物が得られる条件において、水および酸触媒を含んでいてもよい。
防汚層形成組成物は、水を含んでいてもよい。防汚層形成組成物が水を含有することにより、加水分解縮合反応が進行する。水の量は、バインダー前駆体100質量部に対して、10〜500質量部が好ましく、50〜300質量部がより好ましい。ここで、バインダー前駆体の量は、金属酸化物換算の量である。
防汚層形成組成物は、酸触媒を含んでいてもよい。防汚層形成組成物が、酸触媒を含有することにより、バインダー前駆体の加水分解縮合の反応速度を調整することが可能となる。酸触媒として、塩酸、硝酸、硫酸等が挙げられる。酸触媒の量は、バインダー前駆体100質量部に対して、0.1〜5.0質量部が好ましく、0.2〜3.5質量部がより好ましい。ここで、バインダー前駆体の量は、金属酸化物換算の量である。
<溶剤>
防汚層形成組成物は、溶剤を含有してもよい。防汚層形成組成物が、溶剤を含有することで、作業性が向上する傾向がある。溶剤は、突起体を形成できる粒子およびバインダー前駆体の分散性が良好であり、かつこれらの成分に対する反応性が低い溶剤であれば特に限定されない。溶剤は、アルコール(メタノール、エタノール、2−プロパノール等)、エステル(酢酸エステル(酢酸ブチル)等)、エーテル(ジエチレングリコールジメチルエーテル等)、ケトン(メチルエチルケトン等)、水(イオン交換水等)等が挙げられ、エステルおよびアルコールが好ましく、アルコールがより好ましい。溶剤は、1種単独であってもよく、2種以上の組み合わせであってもよい。なお、突起体を形成できる粒子およびバインダー前駆体の少なくとも1つは、それぞれ単独または2以上の組合せと溶剤との混合物として使用される場合がある。この場合には、該混合物中に含まれる溶剤を防汚層形成組成物における溶剤としてもよく、さらに他の溶剤を加えて防汚層形成組成物としてもよい。
溶剤の含有量は、特に限定されないが、突起体を形成できる粒子およびバインダー前駆体の合計100質量部に対して、1,000〜100,000質量部が好ましく、2,000〜50,000質量部がより好ましい。溶剤の含有量が、突起体を形成できる粒子およびバインダー前駆体の合計100質量部に対して、1,000質量部以上であれば加水分解、縮合反応の急激な進行を防ぐことができ、100,000質量部以下であれば、加水分解、縮合反応がより進行する。ここで、突起体を形成できる粒子およびバインダー前駆体の量は、金属酸化物換算の量である。
<更なる成分>
防汚層形成組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内で更なる成分を含有することができる。このような成分として、界面活性剤、泡立ち防止剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、粘度調整剤、酸化防止剤、防カビ剤、顔料等が挙げられる。
防汚層形成組成物中の更なる成分の含有量は、特に限定されないが、突起体を形成できる粒子およびバインダー前駆体の合計100質量部に対して、0.02〜1質量部が好ましく、0.02〜0.5質量部がより好ましく、0.02〜0.3質量部が特に好ましい。ここで、バインダー前駆体の量は、金属酸化物換算の量である。
(防汚層形成組成物の付与方法)
防汚層形成組成物の付与は、ウェットコーティング法で行うことができる。ウェットコーティング法としては、特に限定されないが、スピンコート、ディップコート、スプレーコート、フローコート、ダイコート等が挙げられ、スピンコートが好ましい。防汚層形成組成物は、基体上の少なくとも一部の表面に付与され、基体の少なくとも1つの主面の全面に付与されるのが好ましい。防汚層形成組成物層の厚みは、所望の防汚層が得られる厚みとなる量であれば特に限定されない。
基体上に付与される防汚層形成組成物の付与量は、前記した防汚層の厚みとなる量であれば特に限定されず、固形分として1.6〜1,600g/mとすることが好ましく、8.0〜800g/mとすることがより好ましい。本発明において、成分の固形分換算の含有量とは、水等の揮発性成分を除いた残渣の質量をいう。
防汚層形成組成物層を加熱処理することにより、バインダー前駆体が単独で、または突起体を形成できる粒子と反応して、防汚層が形成される。防汚層形成組成物が、パールネックレス状シリカおよび酸化ケイ素前駆体を含む場合、酸化ケイ素前駆体が反応して、バインダーが得られる。酸化ケイ素前駆体が、ケイ酸およびアルコキシシラン化合物である場合、ケイ酸およびアルコキシシラン化合物が加水分解縮合して、ケイ酸およびアルコキシシラン化合物の加水分解物である酸化ケイ素が得られる。なお、ケイ酸およびアルコキシシラン化合物の少なくとも一部は、場合により、パールネックレス状シリカ粒子に存在するシラノール基と加水分解縮合する。
防汚層形成組成物層の熱処理は、所定温度に設定した電気炉やガス炉や赤外加熱炉などの任意の加熱手段により行なうことができる。熱処理温度は、20〜700℃が好ましく、80〜500℃がより好ましく、100〜400℃が特に好ましい。熱処理温度が20℃以上であると、基体と防汚層との密着力がより向上し、700℃以下であると、基材の熱による劣化が抑制され、また生産性に優れる。熱処理時間は、熱処理温度により異なるが、1〜180分の間での熱処理が好ましく、より好ましくは5〜120分であり、特に好ましくは10〜60分である。熱処理時間が、1分以上であると、基体と防汚層との密着力がより向上し、180分以下であると、基材の熱による劣化が抑制され、また生産性に優れる。
[防汚性物品の用途]
防汚性物品の用途は、窓ガラス(例えば、自動車、鉄道、船舶、飛行機等の輸送機器用窓ガラス)、壁(例えば、間仕切り、道路壁等)、冷蔵ショーケース、鏡(例えば、洗面化粧台用鏡、浴室用鏡等)、光学機器、タイル、便器、浴槽、浴室用壁、洗面化粧台、カーテンウォール、アルミサッシ、水栓金具、建築用ボード、レンズが挙げられる。
以下、本発明の実施例を挙げてさらに説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下に説明する例1〜例4および例16が実施例であり、例5〜例15および例17が比較例である。
[例1]
(バインダー前駆体(1)(脱塩ケイ酸ソーダ液)の調製)
蒸留水の237.5gを撹拌しながら、これにケイ酸ソーダ4号(日本化学工業社製、(SiO:24.0質量%、NaO:7.0質量%。SiO/NaOのモル比:3.5/1)の62.5g、陽イオン交換樹脂(三菱化学社製、ダイヤイオンSK1BH)の180gの順で加え、10分以上撹拌した後、吸引ろ過により陽イオン交換樹脂を分離し、酸化ケイ素換算の固形分濃度が5質量%の脱塩ケイ酸ソーダ液として、バインダー前駆体(1)を得た。
(防汚層形成用組成物の調製)
2−プロパノール(純正化学社製)の6.58gを撹拌しながら、これにパールネックレス状シリカ分散液(日産化学社製、スノーテックスPS−SO、平均一次粒子径15nm、平均二次粒子径88nm)の1.19g、バインダー前駆体(1)の2.18gの順で加え、酸化ケイ素換算固形分が2.95質量%、粒子(パールネックレス状シリカ)とバインダー前駆体(脱塩ケイ酸ソーダ液)との酸化ケイ素換算固形分質量比率が60/40である防汚層形成用組成物(A1)を調製した。
(防汚性物品の製造)
スピンコータ―に、室温に保持したソーダライムガラス板(旭硝子製、品番FL3.5、縦100mm、横100mm、厚み3.5mm)をセッティングし、防汚層形成用組成物(A1)をソーダライムガラス板の表面に2.0g滴下し、スピンコートした後、300℃で30分間焼成し、防汚性物品を製造した。例1で得られた防汚性物品の、表面および断面の走査型電子顕微鏡写真を、それぞれ、図2および図3に示す。
[例2〜例5]
粒子とバインダーとの質量比(粒子/バインダー)を表1に示す量に変更した以外は、例1と同様にして、防汚層形成組成物A2〜A5を調製した。次いで、防汚層形成組成物A2〜A5を用いて、例1と同様にして、防汚性物品を製造した。
[例6〜例10]
パールネックレス状シリカ分散液を、平均一次粒子径11nmの球状シリカ分散液(日産化学社製、スノーテックスOS)に変更し、粒子とバインダーとの質量比を表1に示す量に変更した以外は、例1と同様にして、防汚層形成組成物A6〜A10を調製した。次いで、防汚層形成組成物A6〜A10を用いて、例1と同様にして、防汚性物品を製造した。
[例11〜例15]
パールネックレス状シリカ分散液を平均一次粒子径30nmの球状シリカ分散液(日産化学社製、スノーテックスO−40)に変更し、粒子とバインダーとの質量比を表1に示す量に変更した以外は、例1と同様にして、防汚層形成組成物A11〜A15を調製した。次いで、防汚層形成組成物A11〜A15を用いて、例1と同様にして、防汚性物品を製造した。
[例16]
(バインダー前駆体(2)(アルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物の溶液)の調製)
2−プロパノール(純正化学社製)の16.45gを撹拌しながら、これにメチルシリケート重合体(多摩化学工業社製、Mシリケート51、シリカ換算固形分51%、メタノール溶媒)の1.18g、蒸留水の2.26g、10質量%の硝酸水溶液(関東化学社製)の順で加えた後、25℃で60分撹拌し、シリカ換算固形分濃度が3質量%のアルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物の溶液として、バインダー前駆体(2)を得た。
(防汚層形成用組成物の調製)
バインダー前駆体(1)をバインダー前駆体(2)に変更した以外は、例1と同様にして、防汚層形成用組成物A16を調製した。
(防汚性物品の製造)
防汚層形成組成物A16を用いて、例1と同様にして、防汚性物品を製造した。
[例17]
防汚性組成物を用いないガラス板について、そのまま評価を行った。
[防汚性物品の評価]
各例における防汚性物品の評価は以下のように行った。
(粒子の平均一次粒子径)
防汚性物品の防汚層を有する面に対して、上方から防汚層の表面を走査型電子顕微鏡(日立製作所社製、型式:S−4800)にて観察し得られた画像から、無作為に100個の粒子を抽出し、各粒子の直径の平均値を粒子の平均一次粒子径とした。
(表面粗さ(Ra))
走査型プローブ顕微鏡(SIIナノテクノロジー社製、型式SPA400)を用いて測定した。
<設定条件>
カンチレバーはSI−DF40(背面AL有)、XYデータ数256点、走査エリアは10μm×10μmで測定した。
(頂点間距離)
防汚性物品の断面を走査型電子顕微鏡(日立製作所社製、型式:S−4800)にて観察し得られた画像から、ガラス板の防汚層を有する面に平行な方向に無作為に抽出された1.5μmの範囲において、ガラス板表面からの高さが最も高い突起体を基準とし、その高さの90%以上の高さを有する突起体について、隣り合う突起体の頂点間の距離を全て測定し、平均値を算出した。
(凸部被覆率)
基体の主面に対し上方から防汚層の表面を走査型電子顕微鏡(日立製作所社製、型式:S−4800)にて観察し得られた画像から、画像変換ソフト(image J)により、無作為に抽出された1μm×1μmの範囲で粒子が付着している部分の面積比率を算出した。
(汚れ付着試験)
防汚性物品を5cm×5cmにカットし、初期ヘイズ値を測定した。その後、防汚性物品にJIS試験粉体1の2種0.5gを、茶漉しを使用して、均等に振りかけた。10秒静置後、防汚性物品を135°傾け、3cmの高さから基体の端部を10cm/秒の勢いで2回地面に接触させ、粉体を落とし、再度ヘイズ値を測定した。これを10回繰り返し、8、9、10回目のヘイズ値を平均した値から初期ヘイズ値を引いた値を、乾燥砂かけ試験後ヘイズ値変化(ΔHaze)とした。
<ヘイズ値の測定条件>
透光性部材のヘイズは、ヘイズ測定装置(ビックガードナー社製、型名:ヘイズガードプラス)で測定した。
表1に示されるように、例1〜例4および例16の防汚性物品は、防汚性に優れることがわかる。一方、防汚層を有さない例17は防汚性が十分ではなかった。防汚層表面において粒子が存在する面積の割合が7%未満である例5の防汚性物品は、防汚性が十分ではなかった。防汚層の頂点間距離が100nm未満である、例6〜例15の防汚性物品は、防汚性が十分ではなかった。
本発明の防汚性物品は、従来の防汚性物品と比較して、防汚性により優れる。本発明の防汚性物品は、窓ガラス(例えば、自動車、鉄道、船舶、飛行機等の輸送機器用窓ガラス)、壁(例えば、間仕切り、道路壁等)、冷蔵ショーケース、鏡(例えば、洗面化粧台用鏡、浴室用鏡等)、光学機器、タイル、便器、浴槽、浴室用壁、洗面化粧台、カーテンウォール、アルミサッシ、水栓金具、建築用ボード、レンズ等に使用できる。
1:防汚性物品、2:基体、3:粒子、4:バインダー、5:突起体、6:防汚層

Claims (9)

  1. 基体と、該基体上に配置され、粒子の凝集体およびバインダーを含む複数の突起体を表面に有する防汚層とを有し、
    該突起体中、基体面からの最大高さを有する突起体を基準として、90%以上の高さを有する突起体Tについて、隣り合う該突起体Tの頂点間距離の平均値が100〜1,000nmであり、
    前記防汚層が配置された基体の面積に対する前記粒子による総被覆面積の割合が7〜100%である防汚性物品。
  2. 前記防汚層の表面Raが、5〜30nmである、請求項1に記載の防汚性物品。
  3. 前記粒子の平均一次粒子径が、5〜300nmである、請求項1または2に記載の防汚性物品。
  4. 前記バインダーが酸化ケイ素である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の防汚性物品。
  5. 前記粒子が酸化ケイ素の粒子である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の防汚性物品。
  6. 前記粒子がパールネックレス状シリカである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の防汚性物品。
  7. 前記粒子と前記バインダーとの質量比が、7/93〜95/5である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の防汚性物品。
  8. 基体上に、平均一次粒子径が5〜300nmであるパールネックレス状シリカと酸化ケイ素前駆体とを含み、該パールネックレス状シリカと該酸化ケイ素前駆体との、酸化ケイ素換算での質量比が、7/93〜95/5である防汚層形成組成物を付与して、防汚層形成組成物層を形成する工程と、
    該防汚層形成組成物層を加熱処理して、防汚層を形成する工程と
    を含む防汚性物品の製造方法。
  9. 前記酸化ケイ素前駆体が、ケイ酸のアルカリ金属塩からアルカリ金属の一部を除去した脱塩ケイ酸および/またはアルコキシシラン化合物もしくはその部分加水分解縮合物である、請求項8に記載の防汚性物品の製造方法。
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