JP2015096582A - 粘着層付き光学部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリカーボネート系樹脂からなる導光板を備えた光学部材を液晶表示素子や電気泳動表示素子等の表示素子に貼り合わせた場合に、高温多湿環境下であってもポリカーボネート系樹脂から発生するガスによって光学部材と表示素子との間の浮きや剥がれを抑制できる、粘着層付き光学部材を提供する。
【解決手段】少なくとも一方の面の表面に凹凸の表面を備え、側面から入射した光源からの光を平面略垂直方向に出射できる光学部材と、前記光学部材の凹凸表面上に、該凹凸表面の凹部を埋めるように設けられた粘着層と、を備えた、粘着層付き光学部材であって、前記光学部材がポリカーボネート系樹脂からなり、前記粘着層が、アクリル系粘着剤とエポキシ系架橋剤とを含む粘着剤組成物からなり、前記粘着剤組成物の硬化後の23℃における損失正接が0.96以上でかつ、100℃における損失正接が0.27未満であることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】少なくとも一方の面の表面に凹凸の表面を備え、側面から入射した光源からの光を平面略垂直方向に出射できる光学部材と、前記光学部材の凹凸表面上に、該凹凸表面の凹部を埋めるように設けられた粘着層と、を備えた、粘着層付き光学部材であって、前記光学部材がポリカーボネート系樹脂からなり、前記粘着層が、アクリル系粘着剤とエポキシ系架橋剤とを含む粘着剤組成物からなり、前記粘着剤組成物の硬化後の23℃における損失正接が0.96以上でかつ、100℃における損失正接が0.27未満であることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、粘着層付き光学部材に関し、より詳細には、フロントライトに使用される導光板等の光学部材の一方の面に粘着層を設けた粘着層付き光学部材に関する。
薄型の表示装置として、液晶表示装置(以下、LCDと略すことがある)が各種の電子機器に広く使用されており、近年では、更なる薄型化と低消費電力化を実現する表示装置として、電気泳動表示素子を用いた電子ペーパーと呼ばれる表示装置が開発され、電子ブックや表示案内板などへの利用も提案されている。
上記した表示装置において、例えば反射型LCDや電子ペーパーには、表示素子の前面(即ち、観測者側)には、光源および導光板等からなるフロントライト部材が配置されており、表示素子とフロントライト部材とは粘着剤を介して貼り合わされ、フロントライト部材の観測者側には、さらに粘着剤を介してITO等の透明導電膜を積層したタッチセンサーモジュール等が貼り合わされる場合がある。
このような用途に使用される粘着剤として、例えば、特開2012−7046号公報(特許文献1)には、表面が凹凸加工処理された導光板を粘着剤を介して拡散板と貼り合わせる際に、導光板の凹部が完全に接着剤で埋まらないようにし、導光板の凹部に由来する空気層を生じさせることにより、導光板と拡散板との接着性を維持しながら光源からの光の取り出し効率を向上と、出射光の均一性を図ることができることが提案されており、そのような粘着剤として、主成分として(メタ)アクリル系粘着剤のゲル分率を70〜98%とすることや、23℃での貯蔵弾性率を7.2×104〜6.1×105Paの範囲とすることが好ましいことが教示さている。
また、フロントライト部材は、落下や衝突等の衝撃を受けた際にも部材が破損ないし飛散しないように、ガラスではなくプラスチックが使用されている。このようなプラスチックとして、屈折率や透明性等の観点からポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂や、より耐熱性や耐衝撃性に優れるポリカーボネート系樹脂が使用されている。
ところで、導光板等の光学部材がポリエステル系樹脂やポリカーボネート系樹脂からなる場合に、光学部材を上記したようなアクリル系粘着剤を用いて他の部材と貼り合わせると、光学部材とアクリル系粘着剤との界面からガスが発生してしまうことが知られている。そのため、例えば、特開2011−155010号公報(特許文献2)では、界面での発泡現象を抑制するため、粘着剤のゲル分率を35〜85%の範囲とすることが提案されている。
本発明者らは今般、ポリカーボネート系樹脂からなる導光板を備えたフロントライト部材を、液晶表示素子や電気泳動表示素子等の表示素子に粘着剤を介して貼り合わせる場合に、導光板の表面の凹凸を完全に埋めるようにアクリル系粘着剤を適用するとともに、アクリル系粘着剤の硬さを所定範囲とすることにより、高温多湿環境下であってもポリカーボネート系樹脂から発生するガスによってフロントライト部材と表示素子との間に浮きや剥がれが生じることがない表示装置を実現できる、との知見を得た。本発明は係る知見によるものである。
したがって、本発明の目的は、ポリカーボネート系樹脂からなる導光板を備えた光学部材を液晶表示素子や電気泳動表示素子等の表示素子に貼り合わせた場合に、高温多湿環境下であってもポリカーボネート系樹脂から発生するガスによって光学部材と表示素子との間の浮きや剥がれを抑制できる、粘着層付き光学部材を提供することである。
本発明による粘着層付き光学部材は、少なくとも一方の面の表面に凹凸の表面を備え、側面から入射した光源からの光を平面略垂直方向に出射できる光学部材と、
前記光学部材の凹凸表面上に、該凹凸表面の凹部を埋めるように設けられた粘着層と、
を備えた、粘着層付き光学部材であって、
前記光学部材がポリカーボネート系樹脂からなり、
前記粘着層が、アクリル系粘着剤とエポキシ系架橋剤とを含む粘着剤組成物からなり、前記粘着剤組成物の硬化後の23℃における損失正接が0.96以上でかつ、100℃における損失正接が0.27未満であることを特徴とする、粘着層付き光学部材。
前記光学部材の凹凸表面上に、該凹凸表面の凹部を埋めるように設けられた粘着層と、
を備えた、粘着層付き光学部材であって、
前記光学部材がポリカーボネート系樹脂からなり、
前記粘着層が、アクリル系粘着剤とエポキシ系架橋剤とを含む粘着剤組成物からなり、前記粘着剤組成物の硬化後の23℃における損失正接が0.96以上でかつ、100℃における損失正接が0.27未満であることを特徴とする、粘着層付き光学部材。
本発明の実施態様においては、前記粘着剤組成物において、アクリル系粘着剤の樹脂固形分100質量部に対して、エポキシ系架橋剤の固形分が0.04〜0.08質量部の割合で含まれていることが好ましい。
本発明の実施態様においては、前記アクリル系粘着剤が、(メタ)アクリル酸エステル単量体と、水酸基含有(メタ)アクリレート単量体および/またはカルボキシル基含有(メタ)アクリレート単量体との共重合体からなることが好ましい。
本発明の実施態様においては、前記粘着層の、前記光学部材側とは反対側の面に、第一の離型シートがさらに設けられていてもよい。
本発明の実施態様においては、第2の粘着層が前記光学部材の凹凸の表面を備えた面とは反対側の面にも設けられており、前記第2の粘着層が前記粘着層と同じ成分からなり、前記第2の粘着層の表面に第2の離型シートが設けられていてもよい。
また、本発明の別の態様においては、上記の粘着層付き光学部材の粘着層の面に、表示素子が貼り合わされてなる表示装置も提供される。
本発明においては、粘着層付き光学部材の粘着層が、硬化後の粘着剤の損失正接が所定範囲となるようなアクリル系粘着剤からなるものであり、該粘着層がポリカーボネート系樹脂からなる光学部材の凹凸表面の凹部を埋めるように設けられているため、粘着層付き光学部材の粘着層の面を、液晶表示素子や電気泳動表示素子等の表示素子に貼り合わせても、高温多湿環境下においてポリカーボネート系樹脂から発生するガスによって光学部材と表示素子との間の浮きや剥がれを抑制することができる。
<粘着層付き光学部材>
本発明による粘着層付き光学部材を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明による粘着層付き光学部材の一実施態様を示した断面概略図である。本発明による粘着層付き光学部材1は、表面に凹凸11の表面を備えた光学部材10の凹凸11表面上に、該凹凸11表面の凹部を埋めるように粘着層20が設けられている。粘着層20の光学部材10側とは反対側の面には第一の離型シート30が設けられていてもよい。このような離型シート30を備えることにより取扱いが勘弁となり、粘着層付き光学部材1を使用する際に離型シート30を剥離して使用することができる。
本発明による粘着層付き光学部材を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明による粘着層付き光学部材の一実施態様を示した断面概略図である。本発明による粘着層付き光学部材1は、表面に凹凸11の表面を備えた光学部材10の凹凸11表面上に、該凹凸11表面の凹部を埋めるように粘着層20が設けられている。粘着層20の光学部材10側とは反対側の面には第一の離型シート30が設けられていてもよい。このような離型シート30を備えることにより取扱いが勘弁となり、粘着層付き光学部材1を使用する際に離型シート30を剥離して使用することができる。
また、本発明による粘着層付き光学部材は、後記するように、粘着層を介して液晶表示素子や電気泳動表示素子等の表示素子と貼り合わされて表示装置とすることができるが、本発明の別の実施形態においては、図2に示すように、光学部材10の凹凸11の表面を備えた面とは反対側の面に、第2の粘着層40が設けられていてもよい。このような第2の粘着層40を備えることにより、表示装置において、光学部材の表示素子側とは反対側の面に、さらにタッチセンサーモジュール基板等(図示せず)を貼り合わせることができる。なお、第2の粘着層40が設けられている場合は、さらにその第2の粘着層40の表面に第2の離型シート50を備えていてもよい。
光学部材10としては、フロントライトの導光板等のように、少なくとも一方の面の表面に凹凸11の表面を備え、側面から入射した光源12からの光を平面略垂直方向に出射できるものであれば特に制限はなく、公知の導光板を使用することができる。例えば、側面から入射した光源からの光を出射面側に誘導するために、光学部材の一方の表面に平行に延在する楔形の溝が形成されたような従来公知の構成であってよい。このような少なくとも一方の面の表面に凹凸の表面を備えた光学部材は、ポリカーボネート系樹脂をインジェクション成型することより形成したり、あるいは所定の金型にポリカーボネート系樹脂を充填して熱プレス成型することにより形成することができる。また、光学部材10の凹凸11は、側面から入射した光源12からの光が反射ないし屈折して光学部材の平面略垂直方向に出射されるような形状であれば、特に大きさ等の制限はないが、例えば、凹凸サイズは、深さが1〜3μm、幅が2〜10μm、長さが10〜200μmであってよい。
上記したようなポリカーボネート系樹脂からなる光学部材をアクリル系粘着剤を介して他の部材と貼り合わせた場合、高温多湿環境下において光学部材からガスが発生してしまうことが知られている。本発明においては、後記するような粘着剤組成物を粘着層として使用し、光学部材の凹凸表面の凹部を埋めるように粘着層を設けることにより、ガス発生に起因する浮きや剥がれを有効に抑制できるものである。凹凸表面の凹部に空隙が存在するように粘着層を設けると、高温多湿環境下において光学部材から発生したガスがこの空隙に溜まり、空隙を拡張してしまうため、浮きや剥がれの発生に繋がる場合がある。以下、本発明に使用される粘着剤組成物について説明する。
本発明において使用される粘着剤組成物は、アクリル系粘着剤とエポキシ系架橋剤とを含むものである。アクリル系粘着剤としては、後記するエポキシ系架橋剤と反応して架橋形成なし得るものであれば、従来公知のアクリル系粘着剤を制限なく使用することができ、例えば、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするアクリル系粘着剤を好適に使用できる。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸および/またはメタクリル酸をいうものとする。(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、i−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、i−ノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等を使用することができる。これらアクリル酸エステルは1種または2種以上を含んでいてもよい。
本発明においては、上記した(メタ)アクリル酸エステルに加えて、水酸基含有(メタ)アクリレート単量体および/またはカルボキシル基含有(メタ)アクリレート単量体を共重合したものを用いることが好ましい。
水酸基含有(メタ)アクリレート単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,1−ジメチル−3−ブチル(メタ)アクリレート、1,3−ジメチル−3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,2,4−トリメチル−3−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、2−エチル−3−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、N−メチロールアクリルアミド、アリルアルコール、メタリルアルコール等が挙げられる。これら水酸基含有(メタ)アクリレート単量体は1種または2種以上含まれていてもよい。上記したような水酸基含有(メタ)アクリレート単量体が含まれることにより、アクリル系粘着剤のリワーク性を向上させることができる。
カルボキシル基含有(メタ)アクリレート単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、桂皮酸、コハク酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、マレイン酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フマル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1,2−ジカルボキシシクロヘキサンモノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ダイマー、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらカルボキシル基含有(メタ)アクリレート単量体は1種または2種以上含まれていてもよい。
上記した水酸基含有(メタ)アクリレート単量体およびカルボキシル基含有(メタ)アクリレート単量体は、アクリル系粘着剤の接着性およびリワーク性を考慮して、(メタ)アクリル酸エステルに添加することができる。(メタ)アクリル酸エステル単量体に対して、質量基準において水酸基含有(メタ)アクリレート単量体を0.1〜20%添加することが好ましい。また、(メタ)アクリル酸エステル単量体に対して、質量基準においてカルボキシル基含有(メタ)アクリレート単量体を0.1〜20%添加することが好ましい。
また、本発明においては、上記した単量体以外にも、適宜、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルビニルエーテル、グリシジル(メタ)アリルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アリルエーテル等のグリシジル基含有(メタ)アクリレート単量体や、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−オクチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のアミド基含有(メタ)アクリレート単量体が含まれていてもよい。
本発明において使用されるアクリル系粘着剤(共重合体)は、上記した単量体を、通常の溶液重合、塊状重合、乳化重合または懸濁重合等の方法により重合させることにより得ることができるが、上記アクリル系粘着剤が溶液として得られる溶液重合により製造することが好ましい。上記アクリル系粘着剤が溶液として得られることにより、そのまま本発明の粘着剤組成物の製造に使用することができる。
溶液重合に使用する溶剤としては、例えば、酢酸エチル、トルエン、n−ヘキサン、アセトン、メチルエチルケトンなどの有機溶剤を挙げることができる。また、重合に使用する重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキシド、ラウリルパーオキシドなどの過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスバレロニトリルなどのアゾビス化合物または高分子アゾ重合開始剤などを挙げることができ、これらは単独でもまたは組み合わせても使用することができる。また、上記重合においては、アクリル系粘着剤の分子量を調整するために従来公知の連鎖移動剤を使用することができる。
上記したアクリル系共重合体の質量平均分子量は、25万〜150万の範囲であることが好ましく、より好ましくは40万〜100万の範囲である。質量平均分子量が25万未満であると、粘着剤組成物の接着性が劣る場合があり、一方、質量平均分子量が150万を超えると、粘着剤組成物の塗工性が悪化する。なお、質量平均分子量は、ポリスチレン標準試料を用いてGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定することができる。
また、上記したアクリル系共重合体の酸価は10〜150mgKOH/g程度であることが好ましい。なお、酸価とは、ポリマー(固形分)1g中のカルボキシル基とモル当量となる水酸化カリウムのミリグラム数の理論値を意味する。
次に、架橋剤について説明する。本発明による粘着剤組成物は、上記したアクリル系粘着剤に加えて、エポキシ系架橋剤を含む。エポキシ架橋剤は、上記したアクリル系粘着剤の水酸基ないしカルボキシル基と反応して架橋させるものであれば特に制限なく使用することができ、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリストールグリシジルエーテル、グリセロースポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ネオペンジルグリコールグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、メタキシレンジアミンテトラグリシジルエーテル、およびそれらの水添化物を好適に使用することができる。
また、粘着剤組成物を架橋反応させて形成した粘着層は、23℃における損失正接(tanδ23)が0.96以上でかつ、100℃における損失正接(tanδ100)が0.27未満である。損失正接とは、損失弾性率/貯蔵弾性率から求められる。損失弾性率は、材料(樹脂組成物)の粘性的性質を表わし、変形中の材料が熱として散逸するエネルギー量に関係し、振動エネルギーを緩和させる指標となる。また、貯蔵弾性率成分は、ゴム状弾性領域の平衡弾性率であり、その粘着剤組成物の架橋密度に関係した因子となる。損失弾性率/貯蔵弾性率の値は、動的粘弾性測定装置を用いて定法により測定することができる。従来の粘着剤では、ポリカーボネート樹脂からガスが発生すると、樹脂と粘着層との界面でガスが気泡となって粘着剤に応力を及ぼし、その応力が熱に変換されて粘着剤を軟化させ、粘着剤が変形することにより気泡が形成されていた。本発明による粘着剤組成物では、損失正接が上記範囲にあることで、ガス発生による応力が熱にほとんど変換されないため粘着剤が軟化せず、粘着剤中に気泡が形成されるのを防いでいるものと考えられる。
すなわち、粘着剤によって貼り合わされたポリカーボネート樹脂(光学部材)は、高温多湿環境下に置かれると樹脂と粘着層との界面でガスが発生するが、粘着剤の23℃における損失正接が0.96未満であったり、100℃における損失正接が0.27以上であると、発生したガスによって粘着層に付与される応力を粘着層が熱に変換し過ぎてしまい、粘着層自体が熱により過剰に軟質化(変形)し、その結果、樹脂と粘着層との界面にガスを閉じ込めておけなくなるものと考えられる。すなわち、23℃および100℃での損失正接が所定範囲にあるような粘着剤を使用することにより、光学部材の凹凸には追従して凹部を埋める程度の柔軟性を有しながら、ガスの発生の応力では熱に殆ど変換されないために過剰に柔らかくなることがないため、表示素子に貼り合わせた場合に、高温多湿環境下であってもポリカーボネート系樹脂から発生するガスによって光学部材と表示素子との間の浮きや剥がれを抑制できるものと考えられる。粘着層の23℃における好ましい損失正接は0.97〜1.5の範囲であり、100℃における好ましい損失正接は0.15〜0.26である。
エポキシ系架橋剤は、アクリル系粘着剤の樹脂固形分に対して、エポキシ系架橋剤の固形分が0.04〜0.1質量部の割合で含まれていることが好ましく、より好ましくは、0.045〜0.075質量部である。このような割合でエポキシ系架橋剤を配合することにより、硬化後の損失正接が上記したような範囲を有する粘着剤組成物とすることができる。
本発明による粘着剤組成物は、紫外線吸収剤や酸化防止剤等の添加剤を含んでいてもよい。紫外線吸収剤としては、公知の化合物を使用することができ、例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系、ベンゾエート系、トリアジン系等の有機系紫外線吸収剤や、無機系紫外線吸収剤が挙げられる。
また、粘着剤組成物に酸化防止剤を含ませることにより、可視光領域の色変化および近赤外領域の色変化をより抑制し、透明性を維持することができる。紫外線や温度により、粘着剤組成物(アクリル系粘着剤)が劣化してしまう恐れがあり、酸化防止剤によりアクリル系粘着剤の酸化を抑制することができるため、透明性を維持することができる。酸化防止剤としては、フェノール系、アミン系、硫黄系、リン系の酸化防止剤が挙げられる。
さらに、粘着剤組成物には、必要に応じて、例えば、加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度、その他等を改良、改質する目的で、例えば、滑剤、可塑剤、充填剤、フィラー、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、架橋剤、光安定剤、染料、顔料等の着色剤、その他等を添加してもよい。また、必要に応じて、さらにシラン系、チタン系、アルミニウム系などのカップリング剤を含むことができる。
本発明による粘着剤組成物は、上記した各成分を混合し、必要に応じて混練、分散して、調製することができる。混合ないし分散方法は、特に限定されるものではなく、通常の混練分散機、例えば、二本ロールミル、三本ロールミル、ペブルミル、トロンミル、ツェグバリ(Szegvari)アトライター、高速インペラー分散機、高速ストーンミル、高速度衝撃ミル、デスパー、高速ミキサー、リボンブレンダー、コニーダー、インテンシブミキサー、タンブラー、ブレンダー、デスパーザー、ホモジナイザー、および超音波分散機などが適用できる。また、粘着剤塗工液の粘度調整のため、希釈溶剤を加えて各成分を混合してもよい。
本発明による粘着層付き光学部材は、光学部材の凹凸表面上に、粘着剤組成物を塗布し乾燥させることにより、凹凸表面の凹部を埋めるように粘着層を形成することができる。粘着剤組成物の塗布方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、ロールコート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、コンマコート、ロッドコ−ト、ブレードコート、バーコート、ワイヤーバーコート、ダイコート、リップコート、ディップコートなどが適用できる。
粘着層の厚みは、粘着剤組成物の塗布量によって調整することができ、10μm〜200μm程度であることが好ましい。厚みが10μm未満であると光学部材の凹凸表面の凹部を埋めることができないばかりか、粘着層が薄いとガス発生に起因する浮きや剥がれを抑制できなくなる場合がある。一方、厚みが200μmを超えても浮きや剥がれの抑制効果はそれ以上は向上せず、コストの上昇を招く。
必要に応じて設けられる第1および第2の離型シートは、同じものでも異なったものを用いてもよく、離型フィルム、セパレート紙、セパレートフィルム、セパ紙、剥離フィルム、剥離紙等の従来公知のものを好適に使用できる。また、上質紙、コート紙、含浸紙、プラスチックフィルムなどの離型紙用基材の片面または両面に離型層を形成したものを用いてもよい。離型層としては、離型性を有する材料であれば、特に限定されないが、例えば、シリコーン樹脂、有機樹脂変性シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アミノアルキド樹脂、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂などがある。これらの樹脂は、エマルジョン型、溶剤型または無溶剤型のいずれもが使用できる。
離形層は、離形層成分を分散および/または溶解した塗液を、離型紙用基材フィルムの片面に塗布し、加熱乾燥および/または硬化させて形成する。塗液の塗布方法としては、公知で任意の塗布法が適用でき、例えば、ロールコート、グラビアコート、スプレーコートなどである。また、離形層は、必要に応じて、基材フィルムの少なくとも片面の、全面または一部に形成してもよい。
<表示装置>
本発明による粘着層付き光学部材は、図1に示した状態から離型シート30を剥離して粘着層20を露出させ、図3に示すように、露出した粘着層20の面に液晶表示素子や電気泳動表示素子等の表示素子60を貼り合わせて表示装置2とすることができる。なお、電気泳動表示素子は、電極面が向かい合うように対向配置された一対の基板の周囲を封止部材によって液密に密封したセル内に電子インクを封入して構成され、電子インク中の荷電粒子の電気泳動現象を利用したものである。電子インクはマイナスに帯電した粒子(黒丸)とプラスに帯電した着色粒子(白丸)とが凝集することなく均一に分散された絶縁性の溶液である。電極間に電圧を印加し着色粒子(黒丸および白丸)を表示面側に泳動させることにより着色表示を行うことができるものである。
本発明による粘着層付き光学部材は、図1に示した状態から離型シート30を剥離して粘着層20を露出させ、図3に示すように、露出した粘着層20の面に液晶表示素子や電気泳動表示素子等の表示素子60を貼り合わせて表示装置2とすることができる。なお、電気泳動表示素子は、電極面が向かい合うように対向配置された一対の基板の周囲を封止部材によって液密に密封したセル内に電子インクを封入して構成され、電子インク中の荷電粒子の電気泳動現象を利用したものである。電子インクはマイナスに帯電した粒子(黒丸)とプラスに帯電した着色粒子(白丸)とが凝集することなく均一に分散された絶縁性の溶液である。電極間に電圧を印加し着色粒子(黒丸および白丸)を表示面側に泳動させることにより着色表示を行うことができるものである。
また、粘着層付き光学部材として、図2に示したような光学部材の両面に粘着層を設けたものを使用し、離型シートを剥離して電気泳動表示素子の反対側の第2の粘着層に例えばタッチセンサーモジュール(図示せず)を貼り合わせることにより、電子ブック等の表示装置とすることができる。
本発明を、実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明がこれら実施例の内容に限定されるものではない。
実施例1
アクリル系粘着剤(SKダイン1838、重量平均分子量:約80万、固形分21%、綜研化学社製)の樹脂固形分100質量部に対して、エポキシ系硬化剤(TETRAD−X、固形分100%、三菱ガス化学社製)が0.04質量部となるように両者を混合し、粘着剤組成物を調製した。
アクリル系粘着剤(SKダイン1838、重量平均分子量:約80万、固形分21%、綜研化学社製)の樹脂固形分100質量部に対して、エポキシ系硬化剤(TETRAD−X、固形分100%、三菱ガス化学社製)が0.04質量部となるように両者を混合し、粘着剤組成物を調製した。
実施例2〜5および比較例1〜3
エポキシ系硬化剤の配合量を、下記の表1に従って変えた以外は実施例1と同様にして粘着剤組成物を得た。
エポキシ系硬化剤の配合量を、下記の表1に従って変えた以外は実施例1と同様にして粘着剤組成物を得た。
上記のようにして得られた粘着剤組成物を、シリコーン剥離処理した厚み38μmのPET製キャリアフィルム(製品名:POL382150、リンテック社製)に、乾燥後の厚みが50μmとなるようにアプリケーターにて塗布し、80℃で3分間、続いて120℃で3分間乾燥させることにより粘着層を形成した。次いで、粘着層が形成された面に、シリコーン剥離処理した厚み38μmのPET製キャリアフィルム(製品名:POL381031、リンテック社製)をゴムローラーにてラミネートし、常温、常圧で1週間エージング処理を行うことにより、粘着シートを作製した。
得られた粘着シートからキャリアフィルムを剥がし、粘着層表面を、厚さ100μmのPETフィルム(製品名:コスモシャインA4100、東洋紡株式会社製)の易接着面にゴムローラーを用いて貼り合わせ、粘着シートの他方の面のキャリアフィルムを剥がし、粘着層表面を、厚さ1.0mmのポリカーボネート板(製品名:ユーピロンシートIMR05、三菱ガス化学社製)のハードコートが形成された面にゴムローラーを用いて貼り合わせ、50℃で0.5MPaの荷重をかけながら30分間のオートクレーブ処理を行い、評価用試料を得た。
<ガス発生抑制評価>
評価用試料を、85℃×85%Rhの湿熱条件下で24時間放置し、評価用試料の粘着層とポリカーボネート板との間ないしPETフィルムと粘着層との間に浮きや剥がれがないか、目視にて確認した。浮きまたは剥がれが認められた評価用試料において、そのサイズが1mmφ未満のものを小、1mmφ以上のものを大とした。
評価用試料を、85℃×85%Rhの湿熱条件下で24時間放置し、評価用試料の粘着層とポリカーボネート板との間ないしPETフィルムと粘着層との間に浮きや剥がれがないか、目視にて確認した。浮きまたは剥がれが認められた評価用試料において、そのサイズが1mmφ未満のものを小、1mmφ以上のものを大とした。
<損失正接の測定>
損失正接(tanδ)の測定はティー・エイ・インスツルメント社製の固体粘弾性アナライザーRSA−IIIを用い、JIS K7244−1に準拠した動的粘弾性測定法(アタッチメントモード:圧縮モード,周波数:1Hz,温度:−50〜150℃、昇温速度:5℃/分)にて行った。
損失正接(tanδ)の測定はティー・エイ・インスツルメント社製の固体粘弾性アナライザーRSA−IIIを用い、JIS K7244−1に準拠した動的粘弾性測定法(アタッチメントモード:圧縮モード,周波数:1Hz,温度:−50〜150℃、昇温速度:5℃/分)にて行った。
1 粘着層付き光学部材
2 表示装置
10 光学部材
11 凹凸
20 粘着層
30 離型シート
40 第2の粘着層
50 第2の離型シート
60 表示素子
2 表示装置
10 光学部材
11 凹凸
20 粘着層
30 離型シート
40 第2の粘着層
50 第2の離型シート
60 表示素子
Claims (6)
- 少なくとも一方の面の表面に凹凸の表面を備え、側面から入射した光源からの光を平面略垂直方向に出射できる光学部材と、
前記光学部材の凹凸表面上に、該凹凸表面の凹部を埋めるように設けられた粘着層と、
を備えた、粘着層付き光学部材であって、
前記光学部材がポリカーボネート系樹脂からなり、
前記粘着層が、アクリル系粘着剤とエポキシ系架橋剤とを含む粘着剤組成物からなり、前記粘着剤組成物の硬化後の23℃における損失正接が0.96以上でかつ、100℃における損失正接が0.27未満であることを特徴とする、粘着層付き光学部材。 - 前記粘着剤組成物において、アクリル系粘着剤の樹脂固形分100質量部に対して、エポキシ系架橋剤の固形分が0.04〜0.08質量部の割合で含まれている、請求項1に記載の粘着層付き光学部材。
- 前記アクリル系粘着剤が、(メタ)アクリル酸エステル単量体と、水酸基含有(メタ)アクリレート単量体および/またはカルボキシル基含有(メタ)アクリレート単量体との共重合体からなる、請求項1または2に記載の粘着層付き光学部材。
- 前記粘着層の、前記光学部材側とは反対側の面に、第1の離型シートがさらに設けられている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の粘着層付き光学部材。
- 第2の粘着層が前記光学部材の凹凸の表面を備えた面とは反対側の面にも設けられており、前記第2の粘着層が前記粘着層と同じ成分からなり、前記第2の粘着層の表面に第2の離型シートが設けられている、請求項4に記載の粘着層付き光学部材。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の粘着層付き光学部材の粘着層の面に、表示素子が貼り合わされてなる、表示装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2013237325A JP2015096582A (ja) | 2013-11-15 | 2013-11-15 | 粘着層付き光学部材 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017157370A (ja) * | 2016-03-01 | 2017-09-07 | 大日本印刷株式会社 | 導光ユニット、面光源装置、表示入力装置 |
JP2017195099A (ja) * | 2016-04-21 | 2017-10-26 | 大日本印刷株式会社 | 光学部材及び光学部材の製造方法 |
CN108730921A (zh) * | 2018-04-28 | 2018-11-02 | 京东方科技集团股份有限公司 | 导光模组、全反射式显示装置和制造导光模组的方法 |
JP2023052474A (ja) * | 2017-02-28 | 2023-04-11 | 大日本印刷株式会社 | 導光板、面光源装置、表示装置、導光板の製造方法 |
WO2023157371A1 (ja) * | 2022-02-18 | 2023-08-24 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 面光源装置および表示装置 |
-
2013
- 2013-11-15 JP JP2013237325A patent/JP2015096582A/ja active Pending
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