JP2015096266A - 浸漬ノズル - Google Patents
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Abstract
【課題】高アルミニウム含有鋼の鋳造時に発生するブレークアウトの発生確率を抑える。
【解決手段】高アルミニウム含有鋼の連続鋳造において使用する浸漬ノズルであって、パウダライン部にスピネル‐カーボン材料を使用する浸漬ノズルである。上記スピネル‐カーボン材料の重量比率は、スピネル(マグネシア‐アルミナ系スピネル)材料65〜95質量%、カーボン材料5〜35質量%、その他の材料20質量%以下であることが望ましい。前記スピネル材料の粒度構成は、スピネル材料の総量を100質量%とした際、最大粒度が2mm以下であり、0.1mm以下が20〜60質量%であることが望ましい。これによって、鋳造中でのブレークアウト発生が抑制される。
【選択図】なし
【解決手段】高アルミニウム含有鋼の連続鋳造において使用する浸漬ノズルであって、パウダライン部にスピネル‐カーボン材料を使用する浸漬ノズルである。上記スピネル‐カーボン材料の重量比率は、スピネル(マグネシア‐アルミナ系スピネル)材料65〜95質量%、カーボン材料5〜35質量%、その他の材料20質量%以下であることが望ましい。前記スピネル材料の粒度構成は、スピネル材料の総量を100質量%とした際、最大粒度が2mm以下であり、0.1mm以下が20〜60質量%であることが望ましい。これによって、鋳造中でのブレークアウト発生が抑制される。
【選択図】なし
Description
本発明は高アルミニウム含有鋼の連続鋳造に使用する浸漬ノズルに関するものである。
図1に示すように、鋼の連続鋳造において、溶鋼をタンディッシュ10から水冷モールド20へ導入するため、浸漬ノズル30が使用される。溶鋼MSが水冷モールド20内で凝固し、凝固した鋼Sが水冷モールド20から連続的に引き出されることによって、連続鋳造が可能となる。
凝固した鋼Sを水冷モールド20から順調に引き出すため、水冷モールド20内の溶鋼表面にモールドパウダが連続的に投入される。このモールドパウダは通常カルシア‐シリカ系で、溶鋼MSから熱を受けると溶融状態のスラグ40になり、水冷モールド20内の溶鋼上に溜まる。また、凝固した鋼Sをモールドから滑らかに引き出すため、鋳造中に水冷モールド20を上下振動させる(オシレーション操作)と、前記スラグ40は、溶鋼の表面から凝固した鋼Sと水冷モールド20間の隙間へ流れ込んで、潤滑材の役割を果たす。
一方、水冷モールド20内で浸漬ノズル30の周りに存在するスラグ40は、浸漬ノズル30のパウダライン50部と接触する。このため、浸漬ノズル30のパウダライン部50と接触する部分は、溶鋼MSおよびスラグ40の両方によって浸食され、溶鋼とスラグ40の界面付近における浸食量が最も大きい。
連続鋳造における連々数(連続的に鋳造する炉数)は、浸漬ノズルのパウダライン部の耐食性によって制限されるケースが多いので、浸漬ノズルのパウダライン部用材料としては、通常、モールドパウダに対する耐食性の高いジルコニア‐カーボン質材料が使用されている。ジルコニア‐カーボン質材料とする理由は、(1)ジルコニアは、パウダスラグに溶解しにくく、また通常の鋼種では溶鋼と反応しないこと、(2)カーボンは、熱膨張率が低いためパウダライン部の耐スポーリング性を確保することにある。
しかし、カーボンは溶鋼に溶解しやすい欠点があるところから、ジルコニア‐カーボン質材料のパウダライン部の浸食は、一般的には、カーボンの溶鋼への溶解およびジルコニアのスラグへの溶解によって進行する。
一方、浸漬ノズルのパウダライン部の材料として、以下に例示するように、スピネル‐カーボン材料を使用することも可能である。
特開昭58‐104065には、重量比でマグネシア15〜65%を含有するマグネシア‐アルミナ系スピネルクリンカ25〜70%、黒鉛15〜45%及び長石、溶融石英、炭化珪素、金属シリコン、フェロシリコンのうち一種又は二種以上の合量が1〜35%を含有して成る鋳造用浸漬ノズルが開示されている。
特開2001‐353561には、フッ素量が3重量%未満で1300℃の粘度が4ポイズ以上100000ポイズ以下のモールドパウダを用いる鋳造において、浸漬ノズルのパウダライン部を構成する材料として、アルミナ質及び/又はアルミナ質・カーボン、ジルコニア質及び/又はジルコニア質・カーボン、スピネル質及び/又はスピネル質・カーボン、マグネシア質及び/又はマグネシア質・カーボンから選ばれる一種よりなる材料を用いる鋼の連続鋳造方法が開示されている。
さらに、特開2002‐224805には、パウダライン部がMgO‐Al2O3系スピネル材料を80重量%以上、炭素材料を20重量%以下、その他を10重量%以下含有し、スピネル材料の粒度が5mm以下であり、その中に0.1mm以下の材料が5〜30重量%を占める浸漬ノズルが開示されている。
ところで、鋼には、いろいろな種類がある。溶鋼を脱酸するための添加元素の種類から、アルミキルド鋼、シリコンキルド鋼やカルシウム処理鋼などがある。アルミキルド鋼のアルミニウム含有量は通常0.05質量%以下であり、その役割は溶鋼中の酸素濃度をコントロールすることにある。他方、アルミニウム含有鋼には、アルミキルド鋼のほか、鋼に高い耐熱性、耐酸化性や強度などの特性を付与する目的でアルミニウムを0.1質量%以上含有する高アルミニウム含有鋼もある。
浸漬ノズルのパウダライン部にジルコニア‐カーボン質材料を用いて、前記アルミニウムを0.1質量%以上含有する高アルミニウム含有鋼を鋳造する際、水冷モールド内で初期に凝固した鋼(凝固シェル)が破れて、その内側の溶鋼が漏れるという、ブレークアウトと称される現象が高頻度で発生するという問題がある。
当該ブレークアウトの発生原因には、浸漬ノズルを構成するジルコニア‐カーボン質材料におけるジルコニアが関係しているものと考えられる。
すなわち、アルミニウムを0.1質量%以上含有する高アルミニウム含有鋼が高温でパウダスラグと接触すると、式(1)に示すように溶鋼中のアルミニウム(Al:溶融アルミニウム)がパウダスラグの主成分であるシリカ(SiO2)を還元してシリコン(Si:溶融シリコン)とアルミナ(Al2O3)を生成する。
3(SiO2)+4Al=3Si+2(Al2O3) (1)
この反応によって、スラグ中のアルミナ含有量は初期の数質量%から10数質量%以上まで増加する。
この反応によって、スラグ中のアルミナ含有量は初期の数質量%から10数質量%以上まで増加する。
このようなアルミナ含有量の高いスラグにパウダライン部のジルコニアが少量だけでも溶解すると、スラグの粘度が数ポイズから10数ポイズ以上までと異常に上昇する。この粘度の上昇が、スラグの潤滑性(流動性)を悪化させ、ブレークアウトを誘発する。
加えて、高アルミニウム含有鋼が高温でジルコニアと接触すると、式(2)に示すように溶鋼中のアルミニウム(Al)がジルコニアを還元してジルコニウム(Zr:溶融ジルコニウム)を生成する。
3(ZrO2)+4Al=3Zr+2(Al2O3) (2)
この反応によって、溶鋼中のジルコニウム成分が上昇して鋼の凝固特性が変化し、凝固シェルが破れやすくなる。このことも、ブレークアウトの発生を助長する。
この反応によって、溶鋼中のジルコニウム成分が上昇して鋼の凝固特性が変化し、凝固シェルが破れやすくなる。このことも、ブレークアウトの発生を助長する。
上記したように、パウダライン部の材料として、一般的には、ジルコニア‐カーボン質材料を用いているが、上記に例示したようにスピネル‐カーボン質材料を用いることもできる。
しかしながら、スピネル‐カーボン質材料を用いた上記各提案は、耐食性を改善することを主眼としており、高アルミニウム含有鋼を鋳造するときのブレークアウトの発生確率を抑えることを目的とするものではない。加えて、特開2001‐353561は、低フッ素量のモールドパウダを用いる鋳造を対象としており、一般に使用されている、より高いフッ素量のモールドパウダを用いる鋳造には適用することはできない。
本発明は上記従来の事情に鑑みて提案されたものであって、高アルミニウム含有鋼の連々回数が増加しても、ブレークアウトの発生確率が低い浸漬ノズルを提供することを目的とする。
本発明は、高アルミニウム含有鋼の連続鋳造において使用する浸漬ノズルであって、パウダライン部にスピネル‐カーボン材料を使用する浸漬ノズルである。前記スピネル‐カーボン材料を構成するスピネル材料としては、マグネシア‐アルミナ系スピネル材料を使用する。
上記スピネル‐カーボン材料の重量比率は、スピネル(マグネシア‐アルミナ系スピネル)材料65〜95質量%、カーボン材料5〜35質量%、その他の材料20質量%以下であることが望ましい。
前記スピネル材料の粒度構成は、スピネル材料の総量を100質量%とした際、最大粒度が2mm以下であり、0.1mm以下が20〜60質量%であることが望ましい。
高アルミニウム含有鋼を鋳造する際、前記式(1)の反応によってパウダスラグのアルミナ成分が大幅に増加するが、スピネルは当該高アルミナ含有スラグに溶解しにくく、高い耐食性を確保できる。また、スピネルが溶解しても、高アルミナ含有スラグの粘度および潤滑性に及ぼす影響が小さい。更に、スピネルは、高アルミニウム含有鋼と反応せず、鋼の凝固特性に影響を与えない。以上によって、鋳造中でのブレークアウト発生が抑制される。
(高アルミニウム含有鋼の定義)
まず、本発明は、高アルミニウム含有鋼の連続鋳造を行うときに使用する浸漬ノズルの耐火材料に関するものであるが、ここで、高アルミニウム含有鋼とはアルミニウムを0.1質量%以上含む鋼をいう。当該鋼は、アルミニウム以外の成分、例えばカーボン、シリコン、マンガン、燐、硫黄、チタン、クロムやニッケルなども含むことがあるが、アルミニウムを0.1質量%以上含有すれば、本発明の範囲に属する。
まず、本発明は、高アルミニウム含有鋼の連続鋳造を行うときに使用する浸漬ノズルの耐火材料に関するものであるが、ここで、高アルミニウム含有鋼とはアルミニウムを0.1質量%以上含む鋼をいう。当該鋼は、アルミニウム以外の成分、例えばカーボン、シリコン、マンガン、燐、硫黄、チタン、クロムやニッケルなども含むことがあるが、アルミニウムを0.1質量%以上含有すれば、本発明の範囲に属する。
(スピネル‐カーボン質材料の利用)
上記したように、高アルミニウム含有鋼用の浸漬ノズルのパウダライン部の材料としてジルコニア‐カーボン質材料を用いると、ブレークアウトの発生頻度が高くなる。そこで、ジルコニア‐カーボン質材料に代わる材料系として、本発明はスピネル‐カーボン質材料を用いる。
上記したように、高アルミニウム含有鋼用の浸漬ノズルのパウダライン部の材料としてジルコニア‐カーボン質材料を用いると、ブレークアウトの発生頻度が高くなる。そこで、ジルコニア‐カーボン質材料に代わる材料系として、本発明はスピネル‐カーボン質材料を用いる。
スピネル‐カーボン質材料は、ジルコニア‐カーボン質材料に比べて耐食性が劣るとされてきたが、ある程度の耐食性はあるため、耐食性の劣化が許容範囲であれば、高アルミニウム含有鋼の鋳造時におけるジルコニア‐カーボン質材料を使用する弊害、すなわち、ブレークアウトの発生頻度を軽減できるものと考えられる。
後述の実施例1、2に示すように、高アルミニウム含有鋼を坩堝内で溶解し、その坩堝内の溶鋼上にモールドパウダを溶解し、そこにジルコニア並びにスピネルで作成した耐火物を浸漬して、溶鋼との反応とスラグとの反応を調べると(浸食試験)、高アルミニウム含有鋼において、スピネルが高い耐食性を示す。
その原因を解析すると、前述のパウダ成分の変化が原因であることが解った。すなわち、高アルミニウム含有鋼においては、前記式(1)の反応によってパウダスラグのアルミナ成分が大幅に増加するが、当該高アルミナ含有スラグにスピネルは溶解しにくく、高い耐食性を確保できる。また、高アルミナ含有スラグの粘度および潤滑性に及ぼすスピネル溶解の影響が小さい。更に、スピネルは、高アルミニウム含有鋼と反応せず、鋼の凝固特性に影響を与えないこと、以上によって、鋳造中でのブレークアウト発生が抑制されることになる。
(スピネル材料の組成)
上記スピネル材料の鉱物相は、スピネル型の構造であればよい、ここではマグネシア‐アルミナ系のスピネルが用いられる。その成分は、マグネシア20〜35質量%、アルミナ65〜80質量%であることが望ましい。マグネシアまたはアルミナの含有量がその範囲から外れると、スピネル粒のスラグへの溶解が速くなるので好ましくない。スピネル材料は高純度であることが好ましいが、不可避不純物を5%以下含んでもさしつかえない。
上記スピネル材料の鉱物相は、スピネル型の構造であればよい、ここではマグネシア‐アルミナ系のスピネルが用いられる。その成分は、マグネシア20〜35質量%、アルミナ65〜80質量%であることが望ましい。マグネシアまたはアルミナの含有量がその範囲から外れると、スピネル粒のスラグへの溶解が速くなるので好ましくない。スピネル材料は高純度であることが好ましいが、不可避不純物を5%以下含んでもさしつかえない。
スピネル材料としては、焼結スピネル、電融スピネルが利用できる。
(スピネル‐カーボン材料の組成)
上記スピネル‐カーボン質材料において、スピネル材料は65〜95質量%とすることが好ましい。スピネル材料が65質量%未満では、耐食性が十分ではない。95質量%より多くなると、耐スポーリング性が低下するため好ましくない。より好ましくは、80〜92質量%である。残部は後述するカーボンとなる。
上記スピネル‐カーボン質材料において、スピネル材料は65〜95質量%とすることが好ましい。スピネル材料が65質量%未満では、耐食性が十分ではない。95質量%より多くなると、耐スポーリング性が低下するため好ましくない。より好ましくは、80〜92質量%である。残部は後述するカーボンとなる。
(スピネルの粒度)
一方、連々数の向上もパウダライン部に用いる耐火物材料としては、必須の要件であるから、単にパウダライン部にスピネル‐カーボン材料を適用するのではなく、より耐食性が高く、またパウダスラグの粘度に及ぼす影響が小さくなるように、粒度の観点からも配合を考慮する必要がある。
一方、連々数の向上もパウダライン部に用いる耐火物材料としては、必須の要件であるから、単にパウダライン部にスピネル‐カーボン材料を適用するのではなく、より耐食性が高く、またパウダスラグの粘度に及ぼす影響が小さくなるように、粒度の観点からも配合を考慮する必要がある。
前述したように、アルミニウムを0.1質量%以上含む高アルミニウム含有鋼を鋳造する際、パウダスラグのアルミナ含有量は、溶鋼とスラグの反応に起因して大幅に増加する。このような高アルミナ含有スラグにスピネル粒子、特に粒径が大きい粒子が脱落すると、スラグの粘度が異常に上がることがある。この観点から、スピネル材料の粒度、特に粗粒の比率を一定の程度以下に抑える必要がある。他方、粒度の小さいスピネル材料は、スラグへの溶解が速く、同様にスラグの粘度に影響を与えるという欠点がある。従って、粒度の小さいスピネル材料の比率も一定以下に抑える必要がある。
以上を勘案したスピネル材料の全体の粒度構成は、最大粒度が2mm以下であり、0.1mm以下が20〜60質量%であることが好ましい。
最大粒度が2mmを超えると、スピネル粒がパウダライン部からスラグに脱落しやすい。好ましい最大粒度は1mm以下であり、さらに好ましくは0.8mm以下である。
0.1mm以下は20〜60質量%で、より好ましくは30(30質量%を含まない)〜55質量%である。20質量%未満であると、全体的に粗粒の比率が多すぎ、スピネル粒がスラグに脱落しやすくなり、60質量%を超えると、細粒の比率が多すぎ、スピネル粒のスラグへの溶解が速くなるので好ましくない。
(カーボン)
浸漬ノズルのパウダライン部を構成するスピネル‐カーボン質材料には、上記スピネル材料のほか、カーボン材料を含有する必要がある。
浸漬ノズルのパウダライン部を構成するスピネル‐カーボン質材料には、上記スピネル材料のほか、カーボン材料を含有する必要がある。
カーボン材料の重量比率は5〜35質量%で、より好ましくは8〜20質量%である。カーボン材料の重量比率が5質量%未満であると、パウダライン部の耐スポーリング性が十分でない。逆に、その比率が35質量%を超えると、カーボン材料の溶鋼への溶解に起因して、耐食性が低下する。
カーボン材料としては、鱗状黒鉛、膨張黒鉛、土状黒鉛、人造黒鉛、コ‐クス、無煙炭、キッシュ黒鉛、ピッチ炭、タール炭、処理黒鉛、電極屑、木炭熱分解黒鉛、再結晶黒鉛、カーボンブラック、非晶質カーボンや樹脂炭などの公知されているカーボン材料の1種または2種以上を使用することができる。
また、バインダと使用するフェノールレジンなどの有機化合物起因のカーボンもこのカーボン材料に含まれる。
(その他の材料)
スピネル材料およびカーボン材料以外に、パウダライン部の強度や耐酸化性などの特性を向上させる目的で、酸化物(アルミナ、マグネシア、ジルコニアなど)、炭化物(炭化シリコン、炭化ホウ素など)、窒化物(窒化ホウ素、窒化アルミニウムなど)や金属(シリコン、 アルミニウムなど)など、の1種または2種以上を添加してもよい。その重量比率は20質量%以下である。その比率が20質量%を超えると、パウダライン部の溶損が速くなるので好ましくない。より好ましくは、5質量%以下である。
スピネル材料およびカーボン材料以外に、パウダライン部の強度や耐酸化性などの特性を向上させる目的で、酸化物(アルミナ、マグネシア、ジルコニアなど)、炭化物(炭化シリコン、炭化ホウ素など)、窒化物(窒化ホウ素、窒化アルミニウムなど)や金属(シリコン、 アルミニウムなど)など、の1種または2種以上を添加してもよい。その重量比率は20質量%以下である。その比率が20質量%を超えると、パウダライン部の溶損が速くなるので好ましくない。より好ましくは、5質量%以下である。
(パウダライン部以外の材料)
本発明用浸漬ノズルは、パウダライン部以外の本体が通常のアルミナ‐シリカ‐カーボン質材料、アルミナ‐カーボン質材料、スピネル‐カーボン質材料やマグネシア‐カーボン質材料などでよい。
本発明用浸漬ノズルは、パウダライン部以外の本体が通常のアルミナ‐シリカ‐カーボン質材料、アルミナ‐カーボン質材料、スピネル‐カーボン質材料やマグネシア‐カーボン質材料などでよい。
(製造・バインダ・その他)
材料秤量、混練、成形、乾燥、焼成および加工などという通常の浸漬ノズル製造プロセスにて製造することができる。
材料秤量、混練、成形、乾燥、焼成および加工などという通常の浸漬ノズル製造プロセスにて製造することができる。
製造に当たっては、耐火骨材に有機バインダを添加する一般的な方法などが採用できる。バインダとして、特には規定されないが、フェノール樹脂、フラン樹脂、ピッチやタールなどの有機質バインダを使用することが可能である。
成形には、各種の成形法を採用可能であるが、成形には冷間静水等方圧プレス(CIP成形)の成形方法を利用してもよい。さらに、焼成においては、雰囲気は特に限定されず、大気雰囲気、還元雰囲気、不活性雰囲気などから材料に合わせて選択することができる。焼成の温度を700〜1200℃にしてもよい。
以下、本発明の実施例を示す。ただし、本発明の範囲は、以下の実施例に記載した範囲に限られないものである。
<実施例1、表2>
まず、ジルコニア耐火物とスピネル耐火物と高アルミニウム含有鋼との反応およびモールドパウダに対する耐食性を評価した。
まず、ジルコニア耐火物とスピネル耐火物と高アルミニウム含有鋼との反応およびモールドパウダに対する耐食性を評価した。
ジルコニア耐火物、スピネル耐火物には、耐火材料にカーボン材料およびその他の材料を含有しないスピネルおよびジルコニア材料を用いた。両材料の粒度構成は、いずれも最大粒度が2mm以下であり、0.1mm以下が45質量%である。スピネル材料の成分は、工業的に不可避の不純物(2質量%以下)を除いて、マグネシア28質量%およびアルミナ72質量%である。
用いたパウダの成分(浸漬前)を表1に示す。鋼には、それぞれアルミニウム含有量が0.01〜1.0質量%のものを用い、鋼中のアルミニウム成分の影響を調査した。
電気炉にてアルゴン雰囲気中で200gの鋼を溶解し、1560℃で保持してから、その上に20gのモールドパウダを投入した。次に、外径が10mmの耐火材料試料を20mmの深さで1時間浸漬した。その後、試料を引き上げて、自然冷却を行った。
実験後の耐火試料について、その最大浸食量(溶鋼とスラグの界面に位置したところ)を測定した。また、鋼からサンプルを採取し、JIS G1232に従って鋼中のジルコニウム含有量を分析した。スラグについては、サンプルを採取して、JIS Z 8803に従って1300℃での粘度を測った。
結果を表2にまとめた。表2中の「耐火材料試料の浸食指数」は、(各試料の最大浸食厚み/No.6試料の最大浸食厚み)×100にて指数化したものである。この指数が大きいほど、浸食量が大きくなる。
表2の結果により、鋼中のアルミニウム含有量が高くなると、スピネル材料の浸食量が小さくなった。これは、鋼中アルミニウム含有量の増加につれてスラグ中のアルミナ含有量が増加し、スラグへのスピネルの溶解度が小さくなり、溶解速度が遅くなるためである。
また、鋼中のアルミニウム含有量が0.05質量%以下では、スピネルよりジルコニアの浸食量が小さいが、0.1質量%以上ではスピネルの方が小さかった。
なお、ジルコニアの場合は、浸食量が溶鋼中のアルミニウム含有量とあまり関係しないが、鋼中のアルミニウム含有量が0.1質量%以上では、スラグの粘度が顕著に上がり、また鋼中のジルコニウム含有量も増加した。
この結果から、アルミニウムを0.1質量%含有する高アルミニウム含有鋼の場合、スピネルはジルコニアに比べて優位性を示すことがわかる。
<実施例2、表3>
ついで、スピネル‐カーボンおよびジルコニア‐カーボン質材料を用いて、実施例1と同様に高アルミニウム含有鋼との反応およびパウダスラグとの反応性について調査した。実験方法は、実施例1と同一である。モールドパウダは表1に示したものを用いた。
表3に結果を示す。
スピネル材料またはジルコニア材料の重量比率が85質量%で、カーボンが15質量%である。スピネル材料の成分は、工業的に不可避の不純物(2質量%以下)を除いて、マグネシア28質量%およびアルミナ72質量%である。スピネル材料またはジルコニア材料の粒度構成は、スピネル材料またはジルコニア材料の全体の重量を100とした場合、最大粒度が2mm以下であり、0.1mm以下が45質量%である。
カーボンの重量比率には、黒鉛材料およびバインダ由来の残炭などが含まれている。
表3中の「耐火材料試料の浸食指数」は、(各試料の最大浸食厚み/No.16試料の最大浸食厚み)×100にて指数化したものである。
表3の結果により、スピネル‐カーボンとジルコニア‐カーボンの違いは、実施例1に示したスピネルとジルコニアの違いと同じ傾向であった。
実験方法は、実施例1と同一である。
表4に、結果を示す。
スピネル材料の重量比率が85質量%で、カーボンが15質量%である。スピネル材料の成分は、工業的に不可避の不純物(2質量%以下)を除いて、マグネシア28質量%およびアルミナ72質量%である。スピネル原料の粒度は,いずれの場合でも0.1mm以下が45質量%であり、最大粒度のものが10重量%である。
鋼には、アルミニウムを0.5質量%含有するものを用いた。モールドパウダは表1に示したものを用いた。
表4中の「耐火材料試料の浸食指数」は、(各試料の最大浸食厚み/本発明品6試料の最大浸食厚み)×100にて指数化したものである。
この結果は、スピネル原料の最大粒度が2mmを超えると、スラグへのスピネル粒の脱落によって、スラグの粘度が大きく増加したことを示している(本発明品6〜8)。また、最大粒度が1mm以下,特に0.8mm以下では、スピネル粒の脱落が少なく、スラグ粘度に及ぼす影響も小さかったことを示している(本発明品1〜5)。
表5に、結果を示す。
スピネル材料の重量比率が85質量%で、カーボンが15質量%である。スピネル材料の成分は、工業的に不可避の不純物(2質量%以下)を除いて、マグネシア28質量%およびアルミナ72質量%である。スピネル材料の最大粒度は、すべて2mm以下である。
鋼には、アルミニウムを0.5質量%含有するものを用いた。モールドパウダは表1に示したものを用いた。鋼には、アルミニウムを0.5質量%含有するものを用いた。
表5中の「耐火材料試料の浸食指数」は、(各試料の最大浸食厚み/本発明品17試料の最大浸食厚み)×100にて指数化したものである。
この結果は、粒度が0.1mm以下のスピネル材料が20〜60質量%である場合は耐火材料の浸食量が小さく、またスラグの粘度の上昇も小さかったことを示している。
0.1mm以下が20質量%未満の場合、スピネルの粗粒(ここでは粒度0.1〜2mm)の量が多くなるためスラグに脱落する量が多く、耐火材料の浸食量が大きく、またスラグ粘度上昇が大きかった(本発明品17、18)。0.1mm以下が60質量%を超えた場合は、スピネル粒のスラグへの溶解が速く、この場合もスラグ粘度上昇が大きかった(本発明品19〜23)。
表6に、結果を示す。
スピネル材料の成分は、工業的に不可避の不純物(2質量%以下)を除いて、マグネシア28質量%およびアルミナ72質量%である。鋼には、アルミニウムを0.5質量%含有するものを用いた。モールドパウダは表1に示したものを用いた。
スピネル材料の粒度構成は、スピネル材料の全体の重量を100とした場合、最大粒度が2mm以下であり、0.1mm以下が45質量%である。
鋼には、アルミニウムを0.5質量%含有するものを用いた。
さらに、各耐火材料試料の耐スポーリング性を評価するため、同じ条件で加熱した試料を引き上げてから、自然冷却をせず、そのままで水中に浸漬して急冷させた。急冷した試料には亀裂が生じたかどうかを調べた。亀裂が生じたものは、耐スポーリング性が良くないと判断される。
表5中の「耐火材料試料の浸食指数」は、(各試料の最大浸食厚み/本発明品27試料の最大浸食厚み)×100にて指数化したものである。
表6の結果は、カーボンの重量比率が5〜35質量%のスピネル‐カーボン質材料は浸食量が小さく、スラグの粘度に及ぼす影響も小さく、また耐スポーリング性がよいことを示している。カーボンの重量比率が5質量%未満であると、耐スポーリング性が低く、35質量%を超えると、カーボンが溶鋼に溶解した後の組織の気孔率が高く、浸食されやすかった。
実験方法は、実施例1と同一である。
表7に結果を示す。
ただし、スピネル‐カーボン質耐火材料には、重量比率の異なるスピネル材料およびカーボン材料以外のその他の材料が含まれている。その粒度は、いずれも0.1mm以下であった。
スピネル材料の成分は、工業的に不可避の不純物(2質量%以下)を除いて、マグネシア28質量%およびアルミナ72質量%である。スピネル材料の粒度構成は、スピネル材料の全体の重量を100とした場合、最大粒度が2mm以下であり、0.1mm以下が45質量%である。鋼には、アルミニウムを0.5質量%含有するものを用い、パウダは表1のものを使用した。
表中の「耐火材料試料の浸食指数」は、(各試料の最大浸食厚み/本発明品34試料の最大浸食厚み)×100にて指数化したものである。
その他の材料の重量比率が20質量%以下では、耐火材料の浸食量が小さく、またスラグの粘度に及ぼす影響が小さいことが示されている。その他の材料の重量比率が20質量%を超えた場合、スラグに耐火材料の溶解が速かった。
<実施例7>
パウダライン部として本発明品5の耐火材料を用い、本体に以下に開示する材料を有する浸漬ノズルを、アルミニウムを0.5質量%含有する高アルミニウム含有鋼の鋳造に用い、従来材料であるジルコニア‐カーボン質をパウダラインに使用した浸漬ノズルと比較した。
パウダライン部以外の浸漬ノズルの本体は、アルミナ(55質量%)‐シリカ(20質量%)‐カーボン(25質量%)材料であり、また、従来材料のジルコニア‐カーボン材料は、ジルコニア87質量%、カーボン13質量%含む材料であった。
初めは、同一ストランドでスピネル‐カーボン材料とジルコニア‐カーボン質を使用した、スピネル‐カーボン材料でのパウダライン部の耐食性は従来材料に比較して15%向上した。
そこで、スピネル‐カーボン材料をパウダラインに使用した浸漬ノズルを工程使用し、100本使用したところで集計した。連々率はいずれも6.1chであったが、スピネル‐カーボン材料を使用した際には、ブレークアウトは発生しなかった。それに対し、それ以前のジルコニアカーボンでは6回発生していた。
このように本材料を使用することで耐食性は向上し、ブレークアウト回数も低減しており、本発明の優位性が解る。
以上説明したように、パウダライン部が適した材料の重量比率およびスピネル材料の粒度構成を有するスピネル‐カーボン質材料である浸漬ノズルを高アルミニウム含有鋼の鋳造に用いる本発明の連続鋳造方法によって、アルミニウムを0.1質量%含有する高アルミニウム含有鋼鋳造のブレークアウトを抑制することができるようになった。
本発明は、高アルミニウム含有鋼を鋳造するときのブレークアウトの発生確率を抑制するものであり、鉄鋼業界における利用可能性は極めて高い。
30 浸漬ノズル
Claims (3)
- アルミニウムを0.1質量%以上含む高アルミニウム含有鋼の連続鋳造に使用する浸漬ノズルにおいて、
パウダライン部にスピネル‐カーボン材料を使用することを特徴とする浸漬ノズル。 - 上記パウダライン部を構成する各材料の重量比率が、マグネシア‐アルミナ系スピネル材料65〜95質量%、カーボン材料5〜35質量%、その他の材料20質量%以下である浸漬ノズルを用いることを特徴とする請求項1に記載の浸漬ノズル。
- パウダライン部を構成するスピネル材料の粒度構成において、スピネル材料の総量を100質量%とした際、最大粒度が2mm以下であり、0.1mm以下が20〜60質量%であるパウダライン部を有する浸漬ノズルを使用することを特徴とする請求項1または2に記載の浸漬ノズル。
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CN113857450A (zh) * | 2021-08-20 | 2021-12-31 | 山东钢铁集团日照有限公司 | 一种防止中厚板坯连铸机粘结漏钢的方法 |
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