JP2015095608A - 熱拡散材および電子部品 - Google Patents

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平尾 昭
Akira Hirao
昭 平尾
智紀 兵藤
Tomoki Hyodo
智紀 兵藤
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Abstract

【課題】筐体表面の温度上昇およびホットスポットの発生を抑制することができ、さらに、筐体への取り付け作業がきわめて容易で、かつ、筐体への密着性に優れ、さらに、ロール形状の養生状態から巻き戻した際のカール変形が少なくて加工作業性に優れる、熱拡散材を提供する。さらに、そのような熱拡散材を有する、放熱性や組み立て作業性に優れた電子部品を提供する。【解決手段】本発明の熱拡散材は、熱伝導抑制層と高熱伝導層とを有し、該熱伝導抑制層は、定常法により測定される熱伝導率が0.06W/m・K以下であり、該高熱伝導層は、厚みが30μm以上で、且つ、定常法により測定される熱伝導率が300W/m・K以上の銅箔を含み、該高熱伝導層の総厚みが60μm以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、熱拡散材および電子部品に関する。
近年、パーソナルコンピューター、タブレットPC、PDA、携帯電話、デジタルカメラ等の電子機器の小型化、薄型化および高性能化に伴い、それらの電子機器の内部に配置されたCPU、LSI、通信チップ等の電子部品の高密度化および高集積化、および、当該電子部品のプリント配線基板への高密度実装化が進んでいる。当該電子機器の薄型化により、電子部品と筐体との距離が非常に小さくなり、その結果、電子部品から筐体へ放射される熱により、筐体表面にホットスポット(部分的に温度が高いエリア)が発生するという問題、および、筐体表面の温度上昇に伴って使用者が低温火傷を起こすという問題が生じる。さらに、上記電子部品の高密度化および高集積化に伴い、当該電子部品の発熱量が大きくなっており、冷却を効率よく行わなければ、電子機器が熱暴走により誤動作してしまうという問題が生じる。
従来、電子部品から発生した熱を外部に効率よく放出する手段として、熱伝導性充填剤を充填したシリコーングリースやシリコーンゴムを、電子部品とヒートシンクとの間に設置することにより、接触熱抵抗を小さくして、熱伝導によって熱をヒートシンクに導き、ヒートシンクから空気中に放熱する手段がある。また、ヒートシンクの代わりに合金製のヒートパイプを設置し、ヒートパイプ内の熱伝導によって熱を冷却ファンに導き、当該冷却ファンから筐体外部に放熱する手段がある。これらの手段に用いられるヒートシンクおよびヒートパイプはいずれも、熱伝導率の高い物質を用いて形成されている。したがって、ヒートシンクまたはヒートパイプの筐体内における放熱により、電子部品周辺の筐体表面温度が上昇する。すなわち、これらの手段によっては、上記のホットスポットの問題および使用者の低温火傷の問題は十分に解決されない。
上記のような問題を解決するために、熱拡散材に関していくつかの技術が提案されている。特許文献1では、装置内部の発熱部と筐体との間に放熱板と真空断熱材とを重ねて配置した放熱構造が提案されている。特許文献2では、断熱シートと電子部品に密着可能な柔軟な材料で形成された熱伝導シートとを有する複合シートを、熱伝導シートが電子部品側となり、かつ、電子部品と筐体内面の両方に接触した状態で配置した放熱構造が提案されている。特許文献3では、電子部品と対向するよう筐体内面上に配置された押当部材と、当該押当部材を介して一部が電子部品に押し当てられ、かつ、他の部分が筐体内面に固着された熱拡散シートとを有する冷却構造が提案されている。特許文献4では、接着層と断熱シートとグラファイトシートと保護層とからなる熱遮断シートが、発熱部品と対向する位置の筐体の内部に該接着層を介して接着され、該熱遮断シートと該発熱部品が空間を隔てて対峙している放熱構造が提案されている。
しかし、上記特許文献に記載のいずれの技術によっても、筐体表面温度の上昇およびホットスポットの問題を十分に解決することはできない。また、上記特許文献に記載のいずれの技術においても、熱拡散材の筐体への密着性が低く、例えば、特許文献4では接着剤を用いないと筐体に固定できない。さらに、シート状の熱拡散材は、製造後にロール形状によって養生しておき、使用の際にロール形状から巻き戻して用いることが一般的である。ところが、上記特許文献に記載のいずれの技術によっても、得られる熱拡散材を製造後にロール形状によって養生した後にロール形状から巻き戻すと、カール変形が生じてしまい、加工作業性に非常に劣ってしまう。
特許第3590758号公報 特許第4104887号公報 特開平10−229287号公報 特開2012−151196号公報
本発明は、上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、筐体表面の温度上昇およびホットスポットの発生を抑制することができ、さらに、筐体への取り付け作業がきわめて容易で、かつ、筐体への密着性に優れ、さらに、ロール形状の養生状態から巻き戻した際のカール変形が少なくて加工作業性に優れる、熱拡散材を提供することにある。さらに、そのような熱拡散材を有する、放熱性や組み立て作業性に優れた電子部品を提供することにある。
本発明の熱拡散材は、
熱伝導抑制層と高熱伝導層とを有し、
該熱伝導抑制層は、定常法により測定される熱伝導率が0.06W/m・K以下であり、
該高熱伝導層は、厚みが30μm以上で、且つ、定常法により測定される熱伝導率が300W/m・K以上の銅箔を含み、
該高熱伝導層の総厚みが60μm以上である。
好ましい実施形態としては、上記熱伝導抑制層が、平均孔径が100μm以下の球状気泡を有する多孔質体である。
好ましい実施形態としては、上記熱伝導抑制層が、表面開口部を有する多孔質体である。
好ましい実施形態としては、上記熱伝導抑制層が、平均孔径が20μm未満の球状気泡を有し、および、隣接する球状気泡間に貫通孔を有する多孔質体である。
好ましい実施形態としては、上記熱伝導抑制層が親水性ポリウレタン系重合体を含む。
本発明の電子部品は、
本発明の熱拡散材を有する電子部品であって、
該電子部品は、内部に発熱体が配置された筐体を有し、
該熱拡散材が、該発熱体の放熱面と対峙する位置で該熱伝導抑制層側が該筐体に固定されている。
好ましい実施形態としては、上記熱拡散材が上記発熱体に密着することなく、該発熱体の放熱面と対峙する位置で上記熱伝導抑制層側が前記筐体に固定されている。
好ましい実施形態としては、上記熱拡散材の上記発熱体の放熱面と対峙する側の面の面積が、該発熱体の放熱面の面積の4倍以上である。
本発明によれば、特定の熱伝導率を有する熱伝導抑制層と、特定の総厚みを有し、且つ、特定の厚みおよび熱伝導率を有する銅箔を含む高熱伝導層とを備える熱拡散材を、筐体内に配置された発熱体の放熱面と対峙する位置で該熱伝導抑制層側が該筐体に固定することにより、発熱体からの輻射熱を該高熱伝導層で効率良く反射するとともに、対流によって該高熱伝導層に伝達した熱を、該高熱伝導層の面方向に効率良く熱拡散し、かつ、該熱伝導抑制層を通じて熱拡散材の厚さ方向に徐々に伝導しながら、筐体に放熱することが可能となる。したがって、小型電子機器のような非常に狭小な空間内であっても、発熱体からの熱を非常に効率的に放熱することができ、結果として、筐体表面の温度上昇およびホットスポットの発生を良好に抑制することができる。したがって、放熱性に非常に優れた電子部品を提供することもできる。
また、本発明によれば、高熱伝導層を発熱体に接触させる必要がないので、高熱伝導層の輻射熱反射機能を有効に利用することができる。その結果、発熱体の発熱量が同等である場合には、発熱体と接触させて熱拡散のみで放熱する場合に比べて、高熱伝導層から熱伝導抑制層へ伝導される熱量を少なくすることができるので、熱伝導抑制層から筐体に放熱される熱量もまた少なくすることができ、筐体表面の過大な温度上昇を回避することができる。さらに、熱拡散材を発熱体と非接触で用いることにより、該熱拡散材を発熱体の形状に追従させる必要がない。その結果、発熱体の高さにバラツキがあっても、熱拡散材を発熱体の形状に合わせて変形させて密着させる必要がないので、発熱体(あるいは、それを含む電子部品)の公差による寸法バラツキを吸収することができ、製造効率およびコストにおいても有利である。
さらに、本発明によれば、熱拡散材の熱伝導抑制層が、その特異な構造によって、十分な粘着力を有するので、粘着剤や接着剤を用いることなく、熱伝導抑制層を介して筺体に取り付けることができ、また、筺体への取り付け作業がきわめて容易である。
加えて、本発明によれば、熱拡散材をロール形状の養生状態から巻き戻した際のカール変形が少ないため、加工作業性に非常に優れる。したがって、本発明の熱拡散材を電子部品に実装する際の、加工作業性、実装作業性に非常に優れる。
本発明の1つの実施形態による熱拡散材の概略断面図である。 本発明の別の実施形態による熱拡散材の概略断面図である。 本発明のさらに別の実施形態による熱拡散材の概略断面図である。 本発明のさらに別の実施形態による熱拡散材の概略断面図である。 本発明の1つの実施形態による電子部品の概略断面図である。 本発明に関連する熱伝導率測定の概略図である。 本発明に関連する熱対策効果の測定の概略図である。 実施例で得られた熱伝導抑制層の断面SEM写真の写真図であって、隣接する球状気泡間に貫通孔を有する連続気泡構造を明確に表す写真図である。
A.熱拡散材の概略
本発明の熱拡散材は、熱伝導抑制層と高熱伝導層とを有する。
本発明の熱拡散材の代表的な構造としては、大きさが実質的に等しい熱伝導抑制層2と高熱伝導層3からなる熱拡散材10(図1)が挙げられる。なお、大きさが異なる熱伝導抑制層2と高熱伝導層3からなる熱拡散材としても良い。また、本発明の熱拡散材は、粘着剤層および/または接着剤層を有していても良い。そのような構成の代表例としては、熱伝導抑制層2と高熱伝導層3との間に接着剤層4を有する熱拡散材11(図2)が挙げられる。さらに、本発明の熱拡散材は、発熱体との短絡防止等を目的として、絶縁層を有していても良い。そのような構成の代表例としては、熱伝導抑制層2と高熱伝導層3とが積層され、さらに高熱伝導層3の外側に絶縁層5を有する熱拡散材12(図3)が挙げられる。さらに、本発明の熱拡散材は、図1に示すような熱伝導抑制層2と高熱伝導層3からなる熱拡散材が複数重なった構造であってもよい。そのような構成の代表例としては、熱伝導抑制層2と高熱伝導層3からなる部材が2つ重なった熱拡散材13(図4)が挙げられる。
本発明の熱拡散材は、熱伝導抑制層が、後述するように、その特異な構造によって、十分な粘着力を有するので、粘着剤や接着剤を用いることなく、熱伝導抑制層を介して筺体に取り付けることができる。このため、本発明の熱拡散材は、熱伝導抑制層が最外層に位置していることが好ましい。
なお、図1〜図4において例示した熱拡散材の代表的な形態は、適宜組み合わせても良く、変更を加えても良い。例えば、本発明の熱拡散材における熱伝導抑制層は、後述するように、その特異な構造によって、十分な粘着力を有するので、粘着剤や接着剤を用いることなく、熱伝導抑制層を介して筺体に取り付けることができるが、より確実な固定のために、熱伝導抑制層の外側面にさらに粘着剤層および/または接着剤層を有していても良い。
本発明の熱拡散材は、任意の適切な形状を採り得る。本発明の熱拡散材における、厚さ、長辺および短辺等の長さは、任意の適切な値を採り得る。
B.熱伝導抑制層
本発明の熱拡散材においては、熱伝導抑制層の熱伝導率を小さくすることで、発熱体から対流によって高熱伝導層に伝達した熱を、該高熱伝導層の面方向に効率良く拡散することができる。その結果、高熱伝導層に伝達した熱を、熱伝導抑制層を通じて熱拡散材の厚さ方向に徐々に伝導しながら、筐体に放熱することができる。このような熱伝導抑制層は、高熱伝導層が等方的な熱伝導率を有する(方向によって熱伝導率に差が見られない)場合に、特に有効である。
定常法により測定される熱伝導抑制層の熱伝導率は0.06W/m・K以下であり、好ましくは0.055W/m・K以下であり、より好ましくは0.05W/m・K以下である。熱伝導抑制層の定常法により測定される熱伝導率が0.06W/m・Kより大きいと、発熱体から対流によって高熱伝導層に伝達した熱が、高熱伝導層の面方向に直ちに伝導するので、筐体表面の温度上昇の抑制効果およびホットスポット抑制効果が低下するおそれがある。
熱伝導抑制層は、好ましくは、多孔質体である。このような多孔質体は、好ましくは、空隙を有する。
熱伝導抑制層を構成する多孔質体は、好ましくは、球状気泡を有する。球状気泡は、厳密な真球状の気泡でなくても良く、例えば、部分的にひずみのある略球状の気泡や、大きなひずみを有する空間からなる気泡であっても良い。
熱伝導抑制層を構成する多孔質体が有し得る球状気泡の平均孔径は、好ましくは100μm未満であり、より好ましくは50μm未満であり、さらに好ましくは20μm未満である。多孔質体が有し得る球状気泡の平均孔径の下限値は、例えば、好ましくは0.01μm以上であり、より好ましくは0.1μm以上であり、さらに好ましくは1μm以上である。多孔質体が有し得る球状気泡の平均孔径が上記範囲内に収まることにより、多孔質体の球状気泡の平均孔径を精密に小さく制御でき、薄膜対応が可能な熱拡散材を提供することができる。
熱伝導抑制層を構成する多孔質体は、好ましくは、表面に表面開口部を有する。この表面開口部の平均孔径は、好ましくは100μm以下であり、より好ましくは50μm以下であり、さらに好ましくは20μm以下であり、特に好ましくは10μm以下であり、最も好ましくは5μm以下である。表面開口部の平均孔径の下限値は、例えば、好ましくは0.001μm以上であり、より好ましくは0.01μm以上である。多孔質体が表面開口部を有し、且つ、該表面開口部の平均孔径が上記範囲内に収まることにより、高熱伝導層との接触面積を低減できるため、接触熱抵抗の増幅が可能となり、該高熱伝導層内における熱拡散において、面方向に対し非常に優れた熱拡散性を発現できる。さらに、表面開口部がミクロ吸盤の役割を担って、熱伝導抑制層自体に十分な粘着力を有する熱拡散材を提供することができる。このような熱拡散材は、例えば、粘着剤および/または接着剤を用いなくても、熱伝導抑制層を介して筐体に取り付けることができ、また、筐体への取り付け作業がきわめて容易である。
熱伝導抑制層を構成する多孔質体は、好ましくは、隣接する球状気泡間に貫通孔を有する連続気泡構造を有する。貫通孔の平均孔径は、好ましくは5μm以下であり、より好ましくは4μm以下であり、さらに好ましくは3μm以下である。隣接する球状気泡間に有する貫通孔の平均孔径の下限値は特に限定されず、例えば、好ましくは0.001μmであり、より好ましくは0.01μmである。隣接する球状気泡間に有する貫通孔の平均孔径が上記範囲内に収まることにより、吸盤効果に必要な多孔質体内部の気密性を保持しつつ、粘着剤層および/または接着剤層を積層する際、高熱伝導層に積層する際、または熱拡散材を筐体内面に貼り合わせる際の空気の噛み込みを抑制することができ、成形および筐体内面への固定が容易な熱拡散材を提供することができる。なお、連続気泡構造は、ほとんどまたは全ての隣接する球状気泡間に貫通孔を有する連続気泡構造であっても良いし、該貫通孔の数が比較的少ない半独立半連続気泡構造であっても良い。
熱伝導抑制層を構成する多孔質体の気泡率は、好ましくは30%以上であり、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは50%以上である。熱伝導抑制層を構成する多孔質体において気泡率が上記範囲内に収まることにより、優れた熱伝導抑制性能を実現することができる。
熱伝導抑制層を構成する多孔質体の密度は、好ましくは0.08g/cm〜0.6g/cmであり、より好ましくは0.09g/cm〜0.5g/cmであり、さらに好ましくは0.1g/cm〜0.4g/cmである。多孔質体の密度が上記範囲内に収まることにより、優れた熱伝導抑制性能を実現することができる。
熱伝導抑制層を構成する多孔質体の80℃におけるせん断接着力は、好ましくは1N/cm以上であり、より好ましくは3N/cm以上であり、さらに好ましくは5N/cm以上であり、さらに好ましくは7N/cm以上であり、特に好ましくは9N/cm以上であり、最も好ましくは10N/cm以上である。多孔質体のせん断接着力が上記範囲内に収まることにより、十分な粘着力を有する熱伝導抑制層を得ることができ、粘着剤や接着剤を用いることなく熱拡散材を筺体に取り付けることができる。
熱伝導抑制層の厚みは、目的に応じて、任意の適切な厚みに調整し得る。熱伝導抑制層の厚みは、好ましくは0.5mm以下であり、より好ましくは0.2mm以下であり、さらに好ましくは0.1mm以下である。熱伝導抑制層の厚みが0.5mmより大きい場合には、薄型化が進む電子機器に対し、非接触条件での熱拡散材の導入が困難となるおそれがある。
熱伝導抑制層を構成する多孔質体は、好ましくは、親水性ポリウレタン系重合体を含む。多孔質体が親水性ポリウレタン系重合体を含むことにより、気泡構造を精密に制御することができ、気泡率が高く、平滑な表面を有し、かつ、精密に制御された多数の微細な表面開口部を有する熱伝導抑制層を形成することができる。その結果、非常に優れた熱伝導抑制性能と密着性能を実現することができる。なお、親水性ポリウレタン系重合体の詳細については、後述の製造方法の説明において言及する。
C.熱伝導抑制層の製造方法
熱伝導抑制層は、任意の適切な方法で製造し得る。熱伝導抑制層は、好ましくは、W/O型エマルションを賦形および重合することによって製造し得る。
熱伝導抑制層の製造方法としては、例えば、連続的に連続油相成分と水相成分を乳化機に供給して、熱伝導抑制層を得るために用い得るW/O型エマルションを調製し、続いて、得られたW/O型エマルションを重合して含水重合体を製造し、続いて、得られた含水重合体を脱水する、「連続法」が挙げられる。また例えば、連続油相成分に対して適当な量の水相成分を乳化機に仕込み、攪拌しながら連続的に水相成分を供給することで熱伝導抑制層を得るために用い得るW/O型エマルションを調製し、得られたW/O型エマルションを重合して含水重合体を製造し、続いて、得られた含水重合体を脱水する、「バッチ法」が挙げられる。
熱伝導抑制層の製造方法としては、また、例えば、連続油相成分に対して適当な量の水相成分を乳化機に仕込み、攪拌しながら連続的に水相成分を供給することで、熱伝導抑制層を得るために用い得るW/O型エマルションを調製し、得られたW/O型エマルションを重合して含水重合体を製造し、続いて、得られた含水重合体を脱水する、「バッチ法」が挙げられる。
W/O型エマルションを連続的に重合する「連続法」は、生産効率が高く、重合時間の短縮効果と重合装置の短縮化とを最も有効に利用できるので、好ましい方法である。
熱伝導抑制層は、より具体的には、好ましくは、
熱伝導抑制層を得るために用い得るW/O型エマルションを調製する工程(I)と、
得られたW/O型エマルションを賦形する工程(II)と、
賦形されたW/O型エマルションを重合する工程(III)と、
得られた含水重合体を脱水する工程(IV)と、
を含む製造方法によって製造することができる。ここで、得られたW/O型エマルションを賦形する工程(II)と賦形されたW/O型エマルションを重合する工程(III)とは、少なくとも一部を同時に行っても良い。
C−1.W/O型エマルションを調製する工程(I)
熱伝導抑制層を得るために用い得るW/O型エマルションは、連続油相成分と該連続油相成分と不混和性の水相成分を含むW/O型エマルションである。W/O型エマルションは、より具体的に説明すると、連続油相成分中に水相成分が分散したものである。
W/O型エマルションにおける、水相成分と連続油相成分との比率は、W/O型エマルションを形成し得る範囲で任意の適切な比率を採り得る。W/O型エマルションにおける、水相成分と連続油相成分との比率は、該W/O型エマルションの重合によって得られる多孔質体の構造的、機械的、および性能的特性を決定する上で重要な因子となり得る。具体的には、W/O型エマルションにおける、水相成分と連続油相成分との比率は、該W/O型エマルションの重合によって得られる多孔質体の密度、気泡サイズ、気泡構造、および多孔構造を形成する壁体の寸法などを決定する上で重要な因子となり得る。
W/O型エマルション中の水相成分の比率は、下限値として、好ましくは30重量%であり、より好ましくは40重量%であり、さらに好ましくは50重量%であり、特に好ましくは55重量%である。W/O型エマルション中の水相成分の比率は、上限値として、好ましくは95重量%であり、より好ましくは90重量%であり、さらに好ましくは85重量%であり、特に好ましくは80重量%である。W/O型エマルション中の水相成分の比率が上記範囲内にあれば、本発明の効果を十分に発現し得る。
W/O型エマルションは、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な添加剤が含まれ得る。このような添加剤としては、例えば、粘着付与樹脂;タルク;炭酸カルシウム、ケイ酸やその塩類、クレー、雲母粉、亜鉛華、ベントナイン、カーボンブラック、シリカ、アセチレンブラックなどの充填剤;顔料;染料;などが挙げられる。このような添加剤は、1種のみ含まれていても良いし、2種以上が含まれていても良い。
W/O型エマルションを製造する方法としては、任意の適切な方法を採用し得る。W/O型エマルションを製造する方法としては、例えば、連続油相成分と水相成分を連続的に乳化機に供給することでW/O型エマルションを形成する「連続法」や、連続油相成分に対して適当な量の水相成分を乳化機に仕込み、攪拌しながら連続的に水相成分を供給することでW/O型エマルションを形成する「バッチ法」などが挙げられる。
W/O型エマルションを製造する際、エマルション状態を得るための剪断手段としては、例えば、ローターステーターミキサー、ホモジナイザー、ミクロ流動化装置などを用いた高剪断条件の適用が挙げられる。また、エマルション状態を得るための別の剪断手段としては、例えば、動翼ミキサーまたはピンミキサーを使用した振盪、電磁撹拌棒などを用いた低剪断条件の適用による連続および分散相の穏やかな混合が挙げられる。
「連続法」によってW/O型エマルションを調製するための装置としては、例えば、静的ミキサー、ローターステーターミキサー、ピンミキサーなどが挙げられる。撹拌速度を上げることで、または、混合方法でW/O型エマルション中に水相成分をより微細に分散するようデザインされた装置を使用することで、より激しい撹拌を達成しても良い。
「バッチ法」によってW/O型エマルションを調製するための装置としては、例えば、手動での混合や振盪、被動動翼ミキサー、3枚プロペラ混合羽根などが挙げられる。具体的には、プライミクス社製「T.K.アジホモミクサー(商品名)」や「T.K.コンビミックス(商品名)」などは、減圧下で目的とするW/O型エマルションを製造可能であり、得られるW/O型エマルションは気泡の混入が大幅に低減される。
連続油相成分を調製する方法としては、任意の適切な方法を採用し得る。連続油相成分を調製する方法としては、代表的には、例えば、親水性ポリウレタン系重合体とエチレン性不飽和モノマーを含む混合シロップを調製し、続いて、該混合シロップに、重合開始剤、架橋剤、その他の任意の適切な成分を配合し、連続油相成分を調製することが好ましい。
親水性ポリウレタン系重合体を調製する方法としては、任意の適切な方法を採用し得る。親水性ポリウレタン系重合体を調製する方法としては、代表的には、例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとジイソシアネート化合物とをウレタン反応触媒の存在下で反応させることにより得られる。
C−1−1.水相成分
水相成分としては、実質的に連続油相成分と不混和性のあらゆる水性流体を採用し得る。取り扱いやすさや低コストの観点から、好ましくは、イオン交換水などの水である。
水相成分には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な添加剤が含まれ得る。水相成分に含まれ得る添加剤は、1種のみでも良いし、2種以上でも良い。このような添加剤としては、例えば、重合開始剤、水溶性の塩などが挙げられる。水溶性の塩は、W/O型エマルションをより安定化させるために有効な添加剤となり得る。このような水溶性の塩としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸カリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどが挙げられる。このような添加剤は、1種のみ含まれていても良いし、2種以上が含まれていても良い。
C−1−2.連続油相成分
連続油相成分は、好ましくは、親水性ポリウレタン系重合体とエチレン性不飽和モノマーを含む。連続油相成分中の親水性ポリウレタン系重合体およびエチレン性不飽和モノマーの含有割合は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な含有割合を採り得る。
連続油相成分中における親水性ポリウレタン系重合体とエチレン性不飽和モノマーの含有割合は、該親水性ポリウレタン系重合体を構成するポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール単位中のポリオキシエチレン比率、または、配合する水相成分量にもよるが、例えば、好ましくは、エチレン性不飽和モノマー70重量部〜90重量部に対して親水性ポリウレタン系重合体が10重量部〜30重量部の範囲であり、より好ましくは、エチレン性不飽和モノマー75重量部〜90重量部に対して親水性ポリウレタン系重合体が10重量部〜25重量部の範囲である。また、水相成分100重量部に対し、好ましくは、親水性ポリウレタン系重合体が1重量部〜30重量部の範囲であり、より好ましくは、親水性ポリウレタン系重合体が1重量部〜25重量部の範囲である。親水性ポリウレタン系重合体の含有割合が上記範囲内にあれば、本発明の効果を十分に発現し得る。
C−1−2−1.親水性ポリウレタン系重合体
親水性ポリウレタン系重合体は、好ましくは、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール由来のポリオキシエチレンポリオキシプロピレン単位を含み、該ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン単位中、好ましくは5重量%〜25重量%がポリオキシエチレンである。
上記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン単位中のポリオキシエチレンの含有割合は、上記のように、好ましくは5重量%〜25重量%であり、下限値として、より好ましくは10重量%であり、上限値として、より好ましくは25重量%であり、さらに好ましくは20重量%である。上記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン単位中のポリオキシエチレンは、連続油相成分中に水相成分を安定に分散させる効果を発現させ得る。上記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン単位中のポリオキシエチレンの含有割合が5重量%未満の場合、連続油相成分中に水相成分を安定に分散させることが困難になるおそれがある。上記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン単位中のポリオキシエチレンの含有割合が25重量%を超える場合、HIPE条件に近づくにつれてW/O型エマルションからO/W型(水中油型)エマルションに転相するおそれがある。
従来の親水性ポリウレタン系重合体は、ジイソシアネート化合物と疎水性長鎖ジオール、ポリオキシエチレングリコールならびにその誘導体、低分子活性水素化合物(鎖伸長剤)を反応させることによって得られるが、このような方法で得られる親水性ポリウレタン系重合体中に含まれるポリオキシエチレン基の数は不均一であるため、このような親水性ポリウレタン系重合体を含むW/O型エマルションは乳化安定性が低下するおそれがある。一方、本発明において熱伝導抑制層を得るために用い得るW/O型エマルションの連続油相成分に含まれる親水性ポリウレタン系重合体は、上記のような特徴的な構造を有することにより、W/O型エマルションの連続油相成分に含ませた場合に、乳化剤等を積極的に添加せずとも、優れた乳化性および優れた静置保存安定性を発現することができる。
親水性ポリウレタン系重合体は、好ましくは、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとジイソシアネート化合物とを反応させることにより得られる。この場合、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとジイソシアネート化合物との比率は、NCO/OH(当量比)で、下限値として、好ましくは1であり、より好ましくは1.2であり、さらに好ましくは1.4であり、特に好ましくは1.6であり、上限値として、好ましくは3であり、より好ましくは2.5であり、さらに好ましくは2である。NCO/OH(当量比)が1未満の場合は、親水性ポリウレタン系重合体を製造する際にゲル化物が生成しやすくなるおそれがある。NCO/OH(当量比)が3を超える場合は、残存ジイソシアネート化合物が多くなってしまい、本発明において熱伝導抑制層を得るために用い得るW/O型エマルションが不安定になるおそれがある。
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとしては、例えば、ADEKA株式会社製のポリエーテルポリオール(アデカ(登録商標)プルロニックL−31、L−61、L−71、L−101、L−121、L−42、L−62、L−72、L−122、25R−1、25R−2、17R−2)や、日本油脂株式会社製のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(プロノン(登録商標)052、102、202)などが挙げられる。ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールは、1種のみを用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
ジイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族、脂肪族、脂環族のジイソシアネート、これらのジイソシアネートの二量体や三量体、ポリフェニルメタンポリイソシアネートなどが挙げられる。芳香族、脂肪族、脂環族のジイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。ジイソシアネートの三量体としては、イソシアヌレート型、ビューレット型、アロファネート型等が挙げられる。ジイソシアネート化合物は、1種のみを用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
ジイソシアネート化合物は、ポリオールとのウレタン反応性などの観点から、その種類や組み合わせ等を適宜選択すれば良い。ポリオールとの速やかなウレタン反応性や水との反応の抑制などの観点からは、脂環族ジイソシアネートを使用することが好ましい。
親水性ポリウレタン系重合体の重量平均分子量は、下限値として、好ましくは5000であり、より好ましくは7000であり、さらに好ましくは8000であり、特に好ましくは10000であり、上限値として、好ましくは50000であり、より好ましくは40000であり、さらに好ましくは30000であり、特に好ましくは20000である。
親水性ポリウレタン系重合体は、末端にラジカル重合可能な不飽和二重結合を有していても良い。親水性ポリウレタン系重合体の末端にラジカル重合可能な不飽和二重結合を有することにより、本発明の効果がより一層発現され得る。
C−1−2−2.エチレン性不飽和モノマー
エチレン性不飽和モノマーとしては、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーであれば、任意の適切なモノマーを採用し得る。エチレン性不飽和モノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
エチレン性不飽和モノマーは、好ましくは、(メタ)アクリル酸エステルを含む。エチレン性不飽和モノマー中の(メタ)アクリル酸エステルの含有割合は、下限値として、好ましくは80重量%であり、より好ましくは85重量%であり、上限値として、好ましくは100重量%であり、より好ましくは98重量%である。(メタ)アクリル酸エステルは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、好ましくは、炭素数が1〜20のアルキル基(シクロアルキル基、アルキル(シクロアルキル)基、(シクロアルキル)アルキル基も含む概念)を有するアルキル(メタ)アクリレートである。上記アルキル基の炭素数は、好ましくは4〜18である。
なお、本明細書において、(メタ)アクリルとは、アクリルおよび/またはメタクリルの意味であり、(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよび/またはメタクリレートの意味である。
炭素数が1〜20のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートが好ましい。炭素数が1〜20のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
エチレン性不飽和モノマーは、好ましくは、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な極性モノマーをさらに含む。当該極性モノマーを含むことにより、本発明の効果がより一層発現され得る。エチレン性不飽和モノマー中の極性モノマーの含有割合は、下限値として、好ましくは0重量%であり、より好ましくは2重量%であり、上限値として、好ましくは20重量%であり、より好ましくは15重量%である。極性モノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
極性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物モノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基含有モノマー;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー;などが挙げられる。
C−1−2−3.重合開始剤
連続油相成分には、好ましくは、重合開始剤が含まれる。
重合開始剤としては、例えば、ラジカル重合開始剤、レドックス重合開始剤などが挙げられる。ラジカル重合開始剤としては、例えば、熱重合開始剤、光重合開始剤が挙げられる。
熱重合開始剤としては、例えば、アゾ化合物、過酸化物、ペルオキシ炭酸、ペルオキシカルボン酸、過硫酸カリウム、t−ブチルペルオキシイソブチレート、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルなどが挙げられる。
光重合開始剤としては、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン(例として、BASF製、商品名;ダロキュア−2959)、α−ヒドロキシ−α,α’−ジメチルアセトフェノン(例として、BASF製、商品名;ダロキュア−1173)、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(例として、BASF製、商品名;イルガキュア−651)、2−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルアセトフェノン(例として、BASF製、商品名;イルガキュア−184)などのアセトフェノン系光重合開始剤;ベンジルジメチルケタールなどのケタール系光重合開始剤;その他のハロゲン化ケトン;アシルフォスフィンオキサイド(例として、BASF製、商品名;イルガキュア−819);などを挙げることができる。
重合開始剤は、1種のみを含んでいても良く、2種以上を含んでいてもよい。
重合開始剤の含有割合は、連続油相成分全体に対し、下限値として、好ましくは0.05重量%であり、より好ましくは0.1重量%であり、上限値として、好ましくは5.0重量%であり、より好ましくは1.0重量%である。重合開始剤の含有割合が連続油相成分全体に対して0.05重量%未満の場合には、未反応のモノマー成分が多くなり、得られる熱伝導抑制層中の残存モノマー量が増加するおそれがある。重合開始剤の含有割合が連続油相成分全体に対して5.0重量%を超える場合には、得られる熱伝導抑制層の機械的物性が低下するおそれがある。
なお、光重合開始剤によるラジカル発生量は、照射する光の種類や強度や照射時間、モノマーおよび溶剤混合物中の溶存酸素量などによっても変化する。そして、溶存酸素が多い場合には、光重合開始剤によるラジカル発生量が抑制され、重合が十分に進行せず、未反応物が多くなることがある。したがって、光照射の前に、反応系中に窒素等の不活性ガスを吹き込み、酸素を不活性ガスで置換、または、減圧処理によって脱気しておくことが好ましい。
C−1−2−4.架橋剤
連続油相成分には、好ましくは、架橋剤が含まれる。
架橋剤は、典型的には、ポリマー鎖同士を連結して、より三次元的な分子構造を構築するために用いられる。架橋剤の種類と含有量の選択は、得られる熱伝導抑制層に所望される構造的特性、機械的特性、および流体処理特性に左右される。架橋剤の具体的な種類および含有量の選択は、熱伝導抑制層の構造的特性、機械的特性、および流体処理特性の望ましい組み合わせを実現する上で重要となる。
熱伝導抑制層を製造する上で、好ましくは、架橋剤として、重量平均分子量の異なる少なくとも2種類の架橋剤を用いる。
熱伝導抑制層を製造する上で、より好ましくは、架橋剤として、「重量平均分子量が800以上である多官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリルアミド、および重合反応性オリゴマーから選ばれる1種以上」と「重量平均分子量が500以下である多官能(メタ)アクリレートおよび多官能(メタ)アクリルアミドから選ばれる1種以上」とを併用する。ここで、多官能(メタ)アクリレートとは、具体的には、1分子中に少なくとも2個のエチレン性不飽和基を有する多官能(メタ)アクリレートであり、多官能(メタ)アクリルアミドとは、具体的には、1分子中に少なくとも2個のエチレン性不飽和基を有する多官能(メタ)アクリルアミドである。
多官能(メタ)アクリレートとしては、ジアクリレート類、トリアクリレート類、テトラアクリレート類、ジメタクリレート類、トリメタクリレート類、テトラメタクリレート類などが挙げられる。
多官能(メタ)アクリルアミドとしては、ジアクリルアミド類、トリアクリルアミド類、テトラアクリルアミド類、ジメタクリルアミド類、トリメタクリルアミド類、テトラメタクリルアミド類などが挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートは、例えば、ジオール類、トリオール類、テトラオール類、ビスフェノールA類などから誘導できる。具体的には、例えば、1,10−デカンジオール、1,8−オクタンジオール、1,6ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4ブタン−2−エンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ヒドロキノン、カテコール、レゾルシノール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールAプロピレンオキサイド変性物などから誘導できる。
多官能(メタ)アクリルアミドは、例えば、対応するジアミン類、トリアミン類、テトラアミン類などから誘導できる。
重合反応性オリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、コポリエステル(メタ)アクリレート、オリゴマージ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。好ましくは、疎水性ウレタン(メタ)アクリレートである。
重合反応性オリゴマーの重量平均分子量は、好ましくは1500以上、より好ましくは2000以上である。重合反応性オリゴマーの重量平均分子量の上限は特に限定されないが、例えば、好ましくは10000以下である。
架橋剤として、「重量平均分子量が800以上である多官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリルアミド、および重合反応性オリゴマーから選ばれる1種以上」と「重量平均分子量が500以下である多官能(メタ)アクリレートおよび多官能(メタ)アクリルアミドから選ばれる1種以上」とを併用する場合、「重量平均分子量が800以上である多官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリルアミド、および重合反応性オリゴマーから選ばれる1種以上」の使用量は、連続油相成分中の親水性ポリウレタン系重合体およびエチレン性不飽和モノマーの合計量に対して、下限値として、好ましくは40重量%であり、上限値として、好ましくは100重量%であり、より好ましくは80重量%である。「重量平均分子量が800以上である多官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリルアミド、および重合反応性オリゴマーから選ばれる1種以上」の使用量が連続油相成分中の親水性ポリウレタン系重合体およびエチレン性不飽和モノマーの合計量に対して40重量%未満の場合、得られる熱伝導抑制層の凝集力が低下してしまうおそれがあり、じん性と柔軟性の両立が困難になるおそれがある。「重量平均分子量が800以上である多官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリルアミド、および重合反応性オリゴマーから選ばれる1種以上」の使用量が連続油相成分中の親水性ポリウレタン系重合体およびエチレン性不飽和モノマーの合計量に対して100重量%を超える場合、W/O型エマルションは乳化安定性が低下してしまい、所望の熱伝導抑制層が得られないおそれがある。
架橋剤として、「重量平均分子量が800以上である多官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリルアミド、および重合反応性オリゴマーから選ばれる1種以上」と「重量平均分子量が500以下である多官能(メタ)アクリレートおよび多官能(メタ)アクリルアミドから選ばれる1種以上」とを併用する場合、「重量平均分子量が500以下である多官能(メタ)アクリレートおよび多官能(メタ)アクリルアミドから選ばれる1種以上」の使用量は、連続油相成分中の親水性ポリウレタン系重合体およびエチレン性不飽和モノマーの合計量に対して、下限値として、好ましくは1重量%であり、より好ましくは5重量%であり、上限値として、好ましくは30重量%であり、より好ましくは20重量%である。「重量平均分子量が500以下である多官能(メタ)アクリレートおよび多官能(メタ)アクリルアミドから選ばれる1種以上」の使用量が連続油相成分中の親水性ポリウレタン系重合体およびエチレン性不飽和モノマーの合計量に対して1重量%未満の場合、耐熱性が低下してしまい、含水重合体を脱水する工程(IV)において収縮によって気泡構造が潰れてしまうおそれがある。「重量平均分子量が500以下である多官能(メタ)アクリレートおよび多官能(メタ)アクリルアミドから選ばれる1種以上」の使用量が連続油相成分中の親水性ポリウレタン系重合体およびエチレン性不飽和モノマーの合計量に対して30重量%を超える場合、得られる熱伝導抑制層のじん性が低下してしまい、脆性を示してしまうおそれがある。
架橋剤は、1種のみを含んでいても良く、2種以上を含んでいても良い。
C−1−2−5.連続油相成分中のその他の成分
連続油相成分には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なその他の成分が含まれ得る。このようなその他の成分としては、代表的には、好ましくは、触媒、酸化防止剤、光安定剤、有機溶媒などが挙げられる。このようなその他の成分は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
触媒としては、例えば、ウレタン反応触媒が挙げられる。ウレタン反応触媒としては、任意の適切な触媒を採用し得る。具体的には、例えば、ジブチル錫ジラウリレートが挙げられる。
触媒の含有割合は、目的とする触媒反応に応じて、任意の適切な含有割合を採用し得る。
触媒は、1種のみを含んでいても良く、2種以上を含んでいても良い。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、リン系酸化防止剤などが挙げられる。
酸化防止剤の含有割合は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な含有割合を採用し得る。
酸化防止剤は、1種のみを含んでいても良く、2種以上を含んでいても良い。
C−2.W/O型エマルションを賦形する工程(II)
工程(II)において、W/O型エマルションを賦形する方法としては、任意の適切な賦形方法を採用し得る。例えば、走行するベルト上にW/O型エマルションを連続的に供給し、ベルトの上で平滑なシート状に賦形する方法が挙げられる。また、熱可塑性樹脂フィルムの一面に塗工して賦形する方法が挙げられる。
工程(II)において、W/O型エマルションを賦形する方法として、熱可塑性樹脂フィルムの一面に塗工して賦形する方法を採用する場合、塗工する方法としては、例えば、ロールコーター、ダイコーター、ナイフコーターなどを用いる方法が挙げられる。
C−3.賦形されたW/O型エマルションを重合する工程(III)
工程(III)において、賦形されたW/O型エマルションを重合する方法としては、任意の適切な重合方法を採用し得る。例えば、加熱装置によってベルトコンベアーのベルト表面が加温される構造の、走行するベルト上にW/O型エマルションを連続的に供給し、ベルトの上で平滑なシート状に賦形しつつ加熱によって重合する方法や、活性エネルギー線の照射によってベルトコンベアーのベルト表面が加温される構造の、走行するベルト上にW/O型エマルションを連続的に供給し、ベルトの上で平滑なシート状に賦形しつつ活性エネルギー線の照射によって重合する方法が挙げられる。
加熱によって重合する場合、重合温度(加熱温度)は、下限値として、好ましくは23℃であり、より好ましくは50℃であり、さらに好ましくは70℃であり、特に好ましくは80℃であり、最も好ましくは90℃であり、上限値としては、好ましくは150℃であり、より好ましくは130℃であり、さらに好ましくは110℃である。重合温度が23℃未満の場合は、重合に長時間を要し、工業的な生産性が低下するおそれがある。重合温度が150℃を越える場合は、得られる熱伝導抑制層の孔径が不均一となるおそれや、熱伝導抑制層の強度が低下するおそれがある。なお、重合温度は、一定である必要はなく、例えば、重合中に2段階や多段階で変動させてもよい。
活性エネルギー線の照射によって重合する場合、活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、可視光線、電子線などが挙げられる。活性エネルギー線としては、好ましくは、紫外線、可視光線であり、より好ましくは、波長が200nm〜800nmの可視〜紫外の光である。W/O型エマルションは光を散乱させる傾向が強いため、波長が200nm〜800nmの可視〜紫外の光を用いればW/O型エマルションに光を貫通させることができる。また、200nm〜800nmの波長で活性化できる光重合開始剤は入手しやすく、光源が入手しやすい。
活性エネルギー線の波長は、下限値として、好ましくは200nmであり、より好ましくは300nmであり、上限値として、好ましくは800nmであり、より好ましくは450nmである。
活性エネルギー線の照射に用いられる代表的な装置としては、例えば、紫外線照射を行うことができる紫外線ランプとして、波長300〜400nm領域にスペクトル分布を持つ装置が挙げられ、その例としては、ケミカルランプ、ブラックライト(東芝ライテック(株)製の商品名)、メタルハライドランプなどが挙げられる。
活性エネルギー線の照射を行う際の照度は、照射装置から被照射物までの距離や電圧の調節によって、任意の適切な照度に設定され得る。例えば、特開2003-13015号公報に開示された方法によって、各工程における紫外線照射をそれぞれ複数段階に分割して行い、それにより粘着性能を精密に調節することができる。
紫外線照射は、重合禁止作用のある酸素が及ぼす悪影響を防ぐために、例えば、熱可塑性樹脂フィルム等の基材の一面にW/O型エマルションを塗工して賦形した後に不活性ガス雰囲気下で行うことや、熱可塑性樹脂フィルム等の基材の一面にW/O型エマルションを塗工して賦形した後にシリコーン等の剥離剤をコートしたポリエチレンテレフタレート等の紫外線は通過するが酸素を遮断するフィルムを被覆させて行うことが好ましい。
熱可塑性樹脂フィルムとしては、一面にW/O型エマルションを塗工して賦形できるものであれば、任意の適切な熱可塑性樹脂フィルムを採用し得る。熱可塑性樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、オレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニルなどのプラスチックフィルムやプラスチックシートが挙げられる。また、このようなプラスチックフィルムやプラスチックシートは、一方またはその両面が剥離処理されていてもよい。
不活性ガス雰囲気とは、光照射ゾーン中の酸素を不活性ガスにより置換した雰囲気をいう。したがって、不活性ガス雰囲気においては、できるだけ酸素が存在しないことが必要であり、酸素濃度で5000ppm以下であることが好ましい。
C−4.得られた含水重合体を脱水する工程(IV)
工程(IV)では、得られた含水重合体を脱水する。工程(III)で得られた含水重合体中には水相成分が分散状態で存在する。この水相成分を脱水により除去して乾燥することにより、多孔質体が得られる。この多孔質体は、そのまま熱伝導抑制層となり得る。また、任意の適切な基材と組み合わせることによって、熱伝導抑制層となり得る。
工程(IV)における脱水方法としては、任意の適切な乾燥方法を採用し得る。このような乾燥方法としては、例えば、真空乾燥、凍結乾燥、圧搾乾燥、電子レンジ乾燥、熱オーブン内での乾燥、赤外線による乾燥、またはこれらの技術の組み合わせ、などが挙げられる。
D.高熱伝導層
本発明の熱拡散材は高熱伝導層を有し、該高熱伝導層は、厚みが30μm以上で、且つ、定常法により測定される熱伝導率が300W/m・K以上の銅箔を含み、該高熱伝導層の総厚みが60μm以上である。本発明の熱拡散材が、このような、特定の総厚みを有し、且つ、特定の厚みおよび熱伝導率を有する銅箔を含む高熱伝導層を備えることにより、発熱体からの輻射伝熱を抑制することができ、かつ、発熱体からの対流による熱伝達に起因する発熱体の温度上昇を抑制することができるとともに、高熱伝導層内での面方向の熱拡散によって、筐体表面の温度上昇およびホットスポットを抑制することが可能になる。また、本発明の熱拡散材においては、高熱伝導層を発熱体に接触させる必要がないので、高熱伝導層の輻射熱反射機能を有効に利用することができる。その結果、発熱体の発熱量が同等である場合には、発熱体と接触させて熱拡散のみで放熱する場合に比べて、高熱伝導層から熱伝導抑制層へ伝導される熱量を少なくすることができるので、熱伝導抑制層から筐体に放熱される熱量もまた少なくすることができ、筐体表面の過大な温度上昇を回避することができる。さらに、本発明の熱拡散材は、特定の総厚みを有し、且つ、特定の厚みおよび熱伝導率を有する銅箔を含む高熱伝導層が備えられることにより、熱拡散材をロール形状の養生状態から巻き戻した際のカール変形が少ないため、加工作業性に非常に優れる。したがって、本発明の熱拡散材を電子部品に実装する際の、加工作業性、実装作業性に非常に優れる。
高熱伝導層に含まれる銅箔は、厚みが30μm以上で、且つ、定常法により測定される熱伝導率が300W/m・K以上である。高熱伝導層には、このような銅箔が1枚のみ含まれていても良いし、2枚以上含まれていても良い。
高熱伝導層に含まれる銅箔の厚みは、1枚当たりの厚みが30μm以上であれば、目的に応じて、任意の適切な厚みに調整し得る。高熱伝導層に含まれる銅箔の厚みが30μm未満の場合、筐体表面温度の上昇およびホットスポットの問題を十分に解決することができないおそれがあり、また、得られる熱拡散材を製造後にロール形状によって養生した後にロール形状から巻き戻すと、カール変形が生じてしまい、加工作業性に非常に劣ってしまうおそれがある。
高熱伝導層の総厚みが60μm以上であるため、例えば、銅箔が1枚の場合は、その1枚当たりの厚みは、好ましくは60μm以上であり、より好ましくは65μm以上であり、さらに好ましくは70μm以上である。銅箔が1枚の場合のその1枚当たりの厚みの上限については、好ましくは1000μm以下であり、より好ましくは500μmであり、さらに好ましくは300μm以下である。また、例えば、銅箔が2枚の場合は、その1枚当たりの厚みは、好ましくは30μm以上であり、より好ましくは32.5μm以上であり、さらに好ましくは35μm以上である。銅箔が2枚の場合のその1枚当たりの厚みの上限については、好ましくは500μm以下であり、より好ましくは250μmであり、さらに好ましくは150μm以下である。
高熱伝導層に含まれる銅箔の定常法により測定される熱伝導率は300W/m・K以上であり、より好ましくは350W/m・K以上であり、さらに好ましくは400W/m・K以上である。高熱伝導層に含まれる銅箔の定常法により測定される熱伝導率が300W/m・Kより小さいと、熱伝導抑制層からの固体熱伝導性が低下するため、発熱体から放出される遠赤外線を熱伝導抑制層が効率よく吸収することができなくなり、発熱体の温度上昇を抑制することができなくなるおそれがある。なお、熱伝導率の実用的な上限は、例えば、1500W/m・K以下である。
高熱伝導層の総厚みは60μm以上であり、好ましくは65μm以上であり、より好ましくは70μm以上である。高熱伝導層の総厚みの上限は、目的に応じて、任意の適切な厚みに調整し得る。高熱伝導層の総厚みの上限は、例えば、好ましくは1000μm以下であり、より好ましくは500μmであり、さらに好ましくは300μm以下である。高熱伝導層の総厚みが60μm未満の場合、筐体表面温度の上昇およびホットスポットの問題を十分に解決することができないおそれがあり、また、得られる熱拡散材を製造後にロール形状によって養生した後にロール形状から巻き戻すと、カール変形が生じてしまい、加工作業性に非常に劣ってしまうおそれがある。
高熱伝導層には、銅箔以外の任意の適切な熱伝導層が含まれていても良い。しかしながら、本発明の効果をより一層発現させるためには、高熱伝導層は1枚の銅箔または2枚以上の銅箔の積層体からなることが好ましい。
E.粘着剤層
粘着剤層としては、任意の適切な粘着剤で形成された粘着剤層を採用することができる。用いられる粘着剤の具体例としては、アクリル系粘着剤、エポキシ系粘着剤、シリコーン系粘着剤が挙げられる。
粘着剤層の厚みは、好ましくは0.01mm〜0.05mmであり、より好ましくは0.01mm〜0.03mmである。粘着剤層の厚みが0.01mmより小さいと、粘着面に対する追従性に劣り、これによって剥離が生じた場合には、固体熱伝導性が低下する場合が多い。一方、粘着剤層の厚みが0.1mmを超えると、薄型化が進む電子機器に対し、非接触条件での熱拡散材の導入が困難となるおそれがある。
F.接着剤層
接着剤層としては、任意の適切な接着剤で形成された粘着剤層を採用することができる。用いられる粘着剤の具体例としては、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、シリコーン系接着剤が挙げられる。
接着剤層の厚みは、好ましくは0.01mm〜0.05mmであり、より好ましくは0.01mm〜0.03mmである。粘着剤層の厚みが0.01mmより小さいと、接着面に対する追従性に劣り、これによって剥離が生じた場合には、固体熱伝導性が低下する場合が多い。一方、粘着剤層の厚さが0.1mmを超えると、薄型化が進む電子機器に対し、非接触条件での熱拡散材の導入が困難となるおそれがある。
G.絶縁層
絶縁層としては、任意の適切な絶縁性材料によって形成された絶縁層を採用することができる。用いられる絶縁層の具体例としては、例えば、ポリエステル層などの絶縁性樹脂の層が挙げられる。
H.熱拡散材の用途
本発明の熱拡散材は、内部に発熱体を有する筐体に固定して用いられ、高熱伝導層が該発熱体の放熱面と対峙する位置で熱伝導抑制層側が該筐体に固定される。このようにして得られる熱拡散材付筐体は、発熱体の温度上昇が抑制され、筐体表面にホットスポットが発生し難く、筐体表面の温度上昇も抑制される。さらに、本発明の熱拡散材は、熱伝導抑制層が非常に優れた粘着性を有するので、筐体への取り付け作業がきわめて容易で、かつ、筐体への密着性に優れる。
I.電子部品
本発明の電子部品は、本発明の熱拡散材を有する電子部品であって、該電子部品は、内部に発熱体が配置された筐体を有し、該熱拡散材が、該発熱体の放熱面と対峙する位置で該熱伝導抑制層側が該筐体に固定されている。
図5は、本発明の電子部品の1つの実施形態を示した概略断面図である。図5に示す電子部品は、内部に発熱体20が配置された筐体30を有し、熱伝導抑制層2と高熱伝導層3からなる熱拡散材10が、発熱体20の放熱面と対峙する位置で熱伝導抑制層2側が筐体30に固定されている。
図5に示すように、本発明の電子部品においては、好ましくは、熱伝導抑制層2が筐体30に直接に固定される。これは、熱伝導抑制層2が、その特異な構造によって、十分な粘着力を有するので、粘着剤や接着剤を用いることなく、直接に筺体30に取り付けることができるからである。
図5に示すように、本発明の電子部品においては、好ましくは、熱拡散材10が発熱体20に密着することなく、発熱体20の放熱面と対峙する位置で熱伝導抑制層2が筐体30に固定されている。しかしながら、電子部品のサイズによっては、熱拡散材10と発熱体20とが密着する状態でそれぞれが筐体30に固定されざるをえない場合もあり得る。このような場合には、例えば、熱拡散材10と発熱体20との間に絶縁層を存在させ、短絡を防止することが好ましい。この絶縁層は、好ましくは、熱拡散材10の熱伝導抑制層2における発熱体20の放熱面と対峙する側に設けられる。
本発明の電子部品においては、図5に示すように、熱拡散材10の発熱体20の放熱面と対峙する側の面の面積が、発熱体10の放熱面の面積の4倍以上であることが好ましく、5倍以上であることがより好ましく、8倍以上であることがさらに好ましく、10倍以上であることが特に好ましい。上記面積倍率の上限は、電子部品のサイズによって任意の適切な値を採り得るが、現実的には、好ましくは100倍以下であり、より好ましくは50倍以下であり、さらに好ましくは30倍以下である。熱拡散材10の発熱体20の放熱面と対峙する側の面の面積が、発熱体10の放熱面の面積の4倍以上であることにより、放熱性に非常に優れた電子部品を提供することができる。このような構成であれば、発熱体で生じた熱を、高熱伝導層を介して面方向に効率的に拡散することができ、高熱伝導層で拡散された熱が熱伝導抑制層を介して筺体表面に徐々に伝導するので、筺体表面の局所的な温度上昇を防ぐことが可能となる。熱拡散材10の発熱体20の放熱面と対峙する側の面の面積が、発熱体10の放熱面の面積の4倍未満の場合には、高熱伝導層内での面方向の熱拡散性が不十分となり、筺体表面のホットスポット発生の抑制効果が不十分となるおそれがある。
〔分子量の測定〕
GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により重量平均分子量を求めた。
装置:東ソー(株)製「HLC−8020」
カラム:東ソー(株)製「TSKgel GMHHR−H(20)」
溶媒:テトラヒドロフラン
標準物質:ポリスチレン
〔平均孔径の測定〕
実施例で得られた多孔質体をミクロトームカッターで厚み方向に切断したものを測定用試料とした。測定用試料の切断面を低真空走査型電子顕微鏡(日立製、S−3400N)で800倍〜5000倍にて撮影した。得られた画像を用いて任意範囲の球状気泡、貫通孔および表面開口部について大きいものから約30個迄の孔の長軸長さを測定し、その測定値の平均値を平均孔径とした。
〔熱伝導率の測定〕
熱伝導率は、定常法により、図6に示す測定装置によって測定した。
(i)測定装置の構成
1辺が20mmの立方体となるように形成されたアルミニウム製(A5052、熱伝導率:140W/m・K)の一対のロッドL間に、試験片(20mm×20mm)を挟み込む。次いで、一対のロッドが上下となるように発熱体(ヒーターブロック)Hと放熱体(冷却水が内部を循環するように構成された冷却ベース板)Cとの間に配置する。より具体的には、上側のロッドL上に発熱体Hを配置し、下側にロッドLの下に放熱体Cを配置する。
ここで、一対のロッドLは、発熱体および放熱体を貫通する一対の圧力調整用ネジTの間に位置している。なお、圧力調整用ネジTと発熱体Hとの間にはロードセルRが配置されており、圧力調整用ネジTを締めこんだ際の圧力が測定されるように構成されており、かかる圧力を試験片に加わる圧力とする。
さらに、下側のロッドLおよび試験片を放熱体C側から貫通するように接触式変位計の3本のプローブP(直径1mm)を設置する。この際、プローブPの上端部は、上側のロッドLの下面に接触した状態になっており、上下のロッドL間の間隔(試験片の厚み)を測定可能に構成されている。
発熱体Hおよび上下のロッドLには温度センサーDを取り付ける。具体的には、発熱体Hの1箇所、各ロッドLの上下方向に5mm間隔で5箇所、温度センサーDを取り付ける。
(ii)測定
測定は、まず初めに、圧力調整用ネジTを締めこんで、試験片に圧力を加え、発熱体Hの温度を80℃に設定するともに、放熱体Cに20℃の冷却水を循環させた。
次いで、発熱体Hおよび上下のロッドLの温度が安定した後、上下のロッドLの温度を各温度センサーDで測定し、上下のロッドLの熱伝導率と温度勾配から試験片を通過する熱流束を算出するとともに、上下のロッドLの試験片との界面の温度を算出した。これらを用いて当該圧縮率における熱伝導率(W/m・K)を算出した。
〔熱対策効果の評価〕
発熱体の温度の低減効果およびホットスポット抑制効果の評価として、図7に示すように、厚さ2mmのポリカーボネート(PC)板より形成したステージに熱電対を備えたセラミックヒーター(25mm角)を設置し、電力量を1.24Wとした。実施例・比較例で得られた熱拡散材を70mm角に切断して伝熱試験片とし、高熱伝導層を発熱部品に密着させることなく、発熱部品の放熱面と向かいあう位置になるよう、筐体とするPC板(160mm×160mm×2mm)に熱伝導抑制層側を固定し、上記ステージに組み付けた。これを、電子部品における非接触の実装条件とした。
上記非接触の実装条件に対し、上記高熱伝導層と上記発熱部品の放熱面との間に熱伝導性グリス(熱伝導率=3W/m・K)を充填して、これを、電子部品における接触の実装条件とした。
セラミックヒーターの温度を熱電対で測定し、筐体表面温度をサーモグラフィー(NEC Avio Intrared Technologied Co.,Ltd.製 TYOE H2640)で測定し、両者の温度が定常状態になったときの各温度を発熱体温度および筐体表面温度とした。
〔熱伝導抑制層のせん断保持力の測定〕
得られた多孔質体を20mm×20mmに切断し、多孔質体の両面にそれぞれ銅箔(厚み=105μm)とベークライト板を貼り付けて測定試料とした。水平に置いた測定試料に2kgローラーを一往復させて圧着した。圧着後、80℃雰囲気下で30分間放置し、該温度環境下で、測定資料が垂直になるようにテープクリープ試験機((株)今田製作所製、「TG83−001」)に固定し、1kg荷重をかけ、保持時間を測定した。測定試料はn=3で測定し、その平均値をせん断保持力とした。
◎:保持時間の平均が2時間以上。
○:保持時間の平均が1時間以上2時間未満。
×:保持時間の平均が1時間未満。
〔貼り付け保存性の測定〕
得られた多孔質体を切断し、多孔質体の片側の面に銅箔(JX日鉱金属株式会社製、電解銅箔、厚み=105μm)を直接貼り合せ、70mm×70mmに切断した後、もう一方の面をPC板に貼り付けて測定試料とした。水平に置いた測定試料に2kgローラーを一往復させて圧着した。圧着後、試験片が垂直になるようホルダーに設置し、常温または80℃または60℃/90%RH、または−40℃雰囲気下で240時間放置した。240時間放置後のPC板からの試料の浮きや剥がれの様子を、初期接着面積に対する試験終了後の接着面積の比率で評価した。
◎:初期接着面積に対する試験終了後の接着面積の比率が95%以上。
○:初期接着面積に対する試験終了後の接着面積の比率が90%以上95%未満。
△:初期接着面積に対する試験終了後の接着面積の比率が80%以上90%未満。
×:初期接着面積に対する試験終了後の接着面積の比率が80%未満。
〔加工作業性の測定〕
得られた熱拡散材(210mm幅×5m長)を、熱伝導抑制層を内側にしてポリエチレン製の巻き芯(外径3インチ)に巻き付けた養生品を作製し、常温雰囲気下で3日間静置保存した。保存後、養生品の最も内側にある熱拡散材から210mm×300mmのサイズを切り出し、試験片とした。試験片の熱伝導抑制層側を上向きにして作業台に置き、作業台から試験片の四隅の距離を測定して、試験片のカール変形の様子を評価した。
◎:10mm未満。
○:10mm以上20mm未満。
△:20mm以上50mm未満。
×:50mm以上。
〔製造例1〕:混合シロップ1の調製
冷却管、温度計、および攪拌装置を備えた反応容器に、エチレン性不飽和モノマーとしてアクリル酸2−エチルヘキシル(東亜合成(株)製、以下「2EHA」と略す)からなるモノマー溶液171.9重量部と、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとしてアデカ(登録商標)プルロニックL−62(分子量2500、ADEKA(株)製、ポリエーテルポリオール)100重量部と、ウレタン反応触媒としてアセチルアセトン第二鉄(日本化学産業(株)製、商品名「ナーセム第二鉄」)0.014重量部と、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(BASF製、商品名「イルガノックス1010」)0.2重量部とを投入し、攪拌しながら、水素化キシリレンジイソシアネート(武田薬品(株)製、タケネート600、以下「HXDI」と略す)10.9重量部を滴下し、65℃で4時間反応させた。なお、ポリイソシアネート成分とポリオール成分の使用量は、NCO/OH(当量比)=1.4であった。その後、2−ヒドロキシエチルアクリレート(キシダ化学(株)製、以下「HEA」と略す)3.7重量部を滴下し、65℃で2時間反応させ、親水性ポリウレタン系重合体/エチレン性不飽和モノマー混合シロップを得た。得られた親水性ポリウレタン系重合体の重量平均分子量は1.8万であった。得られた親水性ポリウレタン系重合体/エチレン性不飽和モノマー混合シロップ100重量部に対して2EHAを6.4重量部、n−ブチルアクリレート(東亜合成社製、以下「BA」と略す)36.9重量部、イソボルニルアクリレート(例えば、大阪有機化学工業(株)製、以下「IBXA」と略す)を16.5重量部、極性モノマーとしてアクリル酸(東亜合成(株)製、以下「AA」と略す)を12.6重量部加え、親水性ポリウレタン系重合体/エチレン性不飽和モノマー混合シロップ1とした。
〔実施例1〕
製造例1で得られた親水性ポリウレタン系重合体/エチレン性不飽和モノマー混合シロップ1の100重量部に、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(新中村化学工業社製、商品名「NKエステルA−HD−N」)(分子量226)20重量部、反応性オリゴマーとして、ポリテトラメチレングリコール(以下、「PTMG」と略す)とイソホロンジイソシアネート(以下、「IPDI」と略す)から合成されるポリウレタンの両末端がHEAで処理された、両末端にエチレン性不飽和基を有するウレタンアクリレート(以下、「UA」と略す)(分子量3720)62.5重量部、光開始剤として、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド(BASF製、商品名「イルガキュアTPO」)0.51重量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(BASF製、商品名「イルガノックス1010」)1重量部を均一混合し、連続油相成分(以下、「油相」と称する)とした。一方、上記油相100重量部に対して水相成分(以下、「水相」と称する)としてイオン交換水300重量部を常温下、上記油相を仕込んだ乳化機である攪拌混合機内に連続的に滴下供給し、安定なW/O型エマルションを調製した。なお、水相と油相の重量比は75/25であった。
得られたW/O型エマルションを常温で撹拌しながら、光照射後の厚さが0.05mmとなるように離型処理された基材上に塗布し連続的に成形した。さらにその上に厚さ38μmの離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムを被せた。このシートにメタルハライドランプ(80W/cm)を用いて光照度125mW/cm(ピーク感度最大波350nmのトプコンUVR−T1で測定)の紫外線を照射し、厚さ0.05mmの高含水架橋重合体を得た。次に上面フィルムを剥離し、上記高含水架橋重合体を150℃にて2分間に亘って加熱することによって、厚みが50μm、気泡率が約75%、平均球状気泡径が3.0μm、平均貫通孔径が1μm、平均表面開口径が2μmの熱伝導抑制層を得た。
得られた熱伝導抑制層の熱伝導率は0.04W/m・Kであった。
得られた熱伝導抑制層を斜めから撮影した表面/断面SEM写真の写真図を図8に示した。
次に、得られた熱伝導抑制層を、高熱伝導層としての銅箔(JX日鉱金属株式会社製、電解銅箔、厚み=105μm、熱伝導率=390W/m・K)に直接に積層し、熱伝導抑制層(厚み50μm)/銅箔(厚み105μm)からなる、総厚みが155μmの熱拡散材(1)を得た。
得られた熱拡散材(1)を、前述の「熱対策効果の評価」の項目で説明したPC板からなる筐体に実装して、電子部品とした。
各種評価の結果を表1に示した。
〔実施例2〕
実施例1において、絶縁層として片面基材に厚み12μmのPETフィルムを有するポリエステル粘着テープ(日東電工(株)製、DH−3112T、総厚み20μm)を、熱拡散材(1)の高熱伝導層側の面に貼り合わせる以外は、実施例1と同様に行い、熱伝導抑制層(厚み50μm)/銅箔(厚み105μm)/絶縁層(厚み20μm)からなる、総厚みが175μmの熱拡散材(2)を得た。
得られた熱拡散材(2)を、前述の「熱対策効果の評価」の項目で説明したPC板からなる筐体に実装して、電子部品とした。
各種評価の結果を表1に示した。
〔実施例3〕
実施例1において、高熱伝導層として、銅箔(JX日鉱金属株式会社製、電解銅箔、厚み=105μm、熱伝導率=390W/m・K)に代えて、銅箔(JX日鉱金属株式会社製、電解銅箔、厚み=70μm、熱伝導率=390W/m・K)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、熱伝導抑制層(厚み50μm)/銅箔(厚み70μm)からなる、総厚みが120μmの熱拡散材(3)を得た。
得られた熱拡散材(3)を、前述の「熱対策効果の評価」の項目で説明したPC板からなる筐体に実装して、電子部品とした。
各種評価の結果を表1に示した。
〔実施例4〕
実施例1において、高熱伝導層として、銅箔(JX日鉱金属株式会社製、電解銅箔、厚み=105μm、熱伝導率=390W/m・K)に代えて、銅箔(JX日鉱金属株式会社製、圧延銅箔、厚み=35μm、熱伝導率=390W/m・K)を用い、熱伝導抑制層/銅箔/熱伝導抑制層/銅箔の順に貼り合わせた以外は、実施例1と同様に行い、熱伝導抑制層(厚み50μm)/銅箔(厚み35μm)/熱伝導抑制層(厚み50μm)/銅箔(厚み35μm)からなる、総厚みが170μmの熱拡散材(4)を得た。
得られた熱拡散材(4)を、前述の「熱対策効果の評価」の項目で説明したPC板からなる筐体に実装して、電子部品とした。
各種評価の結果を表1に示した。
〔比較例1〕
熱拡散材(1)を、前述の「熱対策効果の評価」の項目で説明したPC板からなる筐体に実装しないで、電子部品とした以外は、実施例1と同様に行った。
各種評価の結果を表1に示した。
〔比較例2〕
実施例2において、高熱伝導層として、銅箔(JX日鉱金属株式会社製、電解銅箔、厚み=105μm、熱伝導率=390W/m・K)に代えて、アルミニウム箔(住軽アルミ箔(株)製、アルミはく100μm、厚み100μm、熱伝導率=230W/m・K)を用いた以外は、実施例2と同様に行い、熱伝導抑制層(厚み50μm)/アルミニウム箔(厚み100μm)/絶縁層(厚み20μm)からなる、総厚みが170μmの熱拡散材(C2)を得た。
得られた熱拡散材(C2)を、前述の「熱対策効果の評価」の項目で説明したPC板からなる筐体に実装して、電子部品とした。
各種評価の結果を表1に示した。
〔比較例3〕
実施例1において、高熱伝導層として、銅箔(JX日鉱金属株式会社製、電解銅箔、厚み=105μm、熱伝導率=390W/m・K)に代えて、銅箔(JX日鉱金属株式会社製、圧延銅箔、厚み=35μm、熱伝導率=390W/m・K)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、熱伝導抑制層(厚み50μm)/銅箔(厚み35μm)からなる、総厚みが85μmの熱拡散材(C3)を得た。
得られた熱拡散材(C3)を、前述の「熱対策効果の評価」の項目で説明したPC板からなる筐体に実装して、電子部品とした。
各種評価の結果を表1に示した。
表1に示すように、実施例1〜4で示されるような本発明の熱拡散材は、せん断保持力、貼り付け保存性に優れるとともに、加工作業性にも優れることが判る。さらに、本発明の熱拡散材を実装した電子部品は、筐体表面の温度上昇およびホットスポットの発生が抑制され、かつ発熱体の温度上昇が抑制されていることが確認された。
一方、比較例1に示すように、本発明の熱拡散材を実装しない電子部品は、筐体表面の温度上昇およびホットスポットの発生が抑制されておらず、かつ発熱体の温度上昇が抑制されていないことが確認された。
また、実施例2と比較例2との比較から示されるように、高熱伝導層として、銅箔に代えてアルミニウム箔を用いた場合には、得られる熱拡散材を製造後にロール形状によって養生した後にロール形状から巻き戻すと、カール変形が生じてしまい、加工作業性に非常に劣ってしまうことが確認された。
さらに、比較例4と実施例1との比較から示されるように、高熱伝導層の総厚みが60μm未満の場合には、筐体表面温度が40℃を超えてしまっており、筐体表面の温度上昇およびホットスポットの発生が十分に抑制されていないことが確認された。
本発明の熱拡散材は、例えば、電子機器等に搭載される電子部品等の発熱体を囲う製品筐体等に接着して用いることができる。取り付け箇所の例としては、パーソナルコンピューター、タブレットPC、PDA、携帯電話、デジタルカメラ等の電子機器や、印字印刷装置、複写機、プロジェクター等の情報機器、ジャーポットや電子レンジ、給湯器などの調理家電等の遮熱が必要な部位が挙げられる。
2 熱伝導抑制層
3 高熱伝導層
4 接着剤層
5 絶縁層
10 熱拡散材
11 熱拡散材
12 熱拡散材
13 熱拡散材
20 発熱体
30 筐体

Claims (8)

  1. 熱伝導抑制層と高熱伝導層とを有し、
    該熱伝導抑制層は、定常法により測定される熱伝導率が0.06W/m・K以下であり、
    該高熱伝導層は、厚みが30μm以上で、且つ、定常法により測定される熱伝導率が300W/m・K以上の銅箔を含み、
    該高熱伝導層の総厚みが60μm以上である、
    熱拡散材。
  2. 前記熱伝導抑制層が、平均孔径が100μm以下の球状気泡を有する多孔質体である、請求項1に記載の熱拡散材。
  3. 前記熱伝導抑制層が、表面開口部を有する多孔質体である、請求項2に記載の熱拡散材。
  4. 前記熱伝導抑制層が、平均孔径が20μm未満の球状気泡を有し、および、隣接する球状気泡間に貫通孔を有する多孔質体である、請求項2または3に記載の熱拡散材。
  5. 前記熱伝導抑制層が親水性ポリウレタン系重合体を含む、請求項1から4までのいずれかに記載の熱拡散材。
  6. 請求項1から5までのいずれかに記載の熱拡散材を有する電子部品であって、
    該電子部品は、内部に発熱体が配置された筐体を有し、
    該熱拡散材が、該発熱体の放熱面と対峙する位置で該熱伝導抑制層側が該筐体に固定されている、
    電子部品。
  7. 前記熱拡散材が前記発熱体に密着することなく、該発熱体の放熱面と対峙する位置で前記熱伝導抑制層側が前記筐体に固定されている、請求項6に記載の電子部品。
  8. 前記熱拡散材の前記発熱体の放熱面と対峙する側の面の面積が、該発熱体の放熱面の面積の4倍以上である、請求項6または7に記載の電子部品。

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WO2017145956A1 (ja) * 2016-02-25 2017-08-31 日本ゼオン株式会社 積層体およびその製造方法、ならびに二次シートおよび二次シートの製造方法
JP2020049897A (ja) * 2018-09-28 2020-04-02 日東電工株式会社 ロール体
JP2022189927A (ja) * 2018-09-28 2022-12-22 日東電工株式会社 ロール体

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