JP2015095423A - リチウム二次電池用電極材料およびリチウム二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】CNTを導電材としたリチウム二次電池の電極材料において、コストアップを伴わず、かつリチウム二次電池の放電容量を犠牲にすることなく再現性よく低抵抗化を達成する。【解決手段】リチウムイオンの吸蔵と離脱が可能な活物質と導電材とバインダと結着剤を含み、前記導電材は、比表面積が150m2/g以上のカーボンナノチューブであることを特徴とするリチウム二次電池用電極材料としている。前記比表面積が200m2/g以上のカーボンナノチューブであるリチウム二次電池用電極材料とすればより好ましい。【選択図】 図6
Description
この発明は、リチウム二次電池用電極材料およびリチウム二次電池およびに関する。具体的には、リチウム二次電池の充放電特性を向上させるための技術に関する。
リチウム含有遷移金属酸化物を正極活物質としたリチウム二次電池は、多機能携帯電話機(スマートフォン)などの電子機器や電気自動車の電源として広く使用されている。ところでリチウム二次電池では、とくに正極活物質の導電性が十分ではなく、その導電性を補うため、正極材料には正極活物質の他に導電材(あるいは導電助材)と結着剤を含ませている。導電材にはカーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、グラファイトなどが用いられている。また以下の特許文献1、2などにも記載されているように、カーボンナノファイバー(以下、CNTとも言う)を導電材とすることで電極材料の導電性を向上させる技術も提案されている。
各種電子機器の電源となるリチウム二次電池には、高容量化とともに、充電時間の短縮化、サイクル特性の向上などが求められている。リチウム二次電池の充電時間を短縮してサイクル特性を向上させるためには、正極材料や負極材料などの電極材料の抵抗をより小さくすることが必要となる。抵抗を小さくするためには電極材料中の導電材の量を増やせばよいが、多量の導電材を含有させると電極材料中の活物質の量が相対的に低下して放電容量が減少する。
上述したように、導電材にCNTを使用することで放電容量を確保しつつ電極材料の抵抗を下げることが提案されているものの、極めて微細な繊維状のCNTはその取り扱いが難しい。例えば、繊維長や繊維長に依存するパラメーターであるアスペクト比を最適化することで電極材料の低抵抗化を図ろうとしても、電極材料の製造過程で繊維が切断される可能性があり、繊維長やアスペクト比を精度良く制御する複雑な工程が必要となる。そのため、電極材料の抵抗をコストアップを伴わずに再現性よく低下させることが難しい。
そこで本発明は、CNTを導電材としたリチウム二次電池の電極材料において、コストアップを伴わず、かつリチウム二次電池の放電容量を犠牲にすることなく再現性よく低抵抗化を達成することを主な目的としている。
上記目的を達成するための本発明は、リチウム二次電池用の電極材料であって、リチウムイオンの吸蔵と離脱が可能な活物質と導電材とバインダと結着剤を含み、前記導電材は、比表面積が150m2/g以上のカーボンナノチューブであることを特徴とするリチウム二次電池用電極材料としている。
前記比表面積が200m2/g以上のカーボンナノチューブであるリチウム二次電池用電極材料とすればより好ましい。
前記比表面積が200m2/g以上のカーボンナノチューブであるリチウム二次電池用電極材料とすればより好ましい。
前記活物質がリチウムを含有する遷移金属酸化物からなる正極活物質であるリチウム二次電池用電極材料とすることもできる。
また、記のリチウム二次電池用電極材料のいずれかを含んで構成されるリチウム二次電池も本発明の範囲としている。
本発明のリチウム二次電池用電極材料によれは、コストアップを伴わず、かつリチウム二次電池の放電容量を犠牲にすることなく低抵抗化を再現性よく達成することができる。それによってリチウム二次電池の充電時間を確実に短縮することができ、サイクル特性を向上させることもできる。その他の効果については以下の記載で明らかにする。
本発明の実施例について、以下に添付図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明に用いた図面において、同一または類似の部分に同一の符号を付して重複する説明を省略することがある。図面によっては説明に際して不要な符号を省略することもある。
===本発明の実施例===
本発明の実施例に係る電極材料は導電材としてCNTが含まれている。そしてそのCNTが製造過程において変化することがない比表面積(m2/g)が最適化されており、それによって電極材料の低抵抗化が図られている。その結果、本実施例の電極材料を用いたリチウム二次電池は、充電時間が短く、サイクル特性にも優れている。
本発明の実施例に係る電極材料は導電材としてCNTが含まれている。そしてそのCNTが製造過程において変化することがない比表面積(m2/g)が最適化されており、それによって電極材料の低抵抗化が図られている。その結果、本実施例の電極材料を用いたリチウム二次電池は、充電時間が短く、サイクル特性にも優れている。
===比表面積について===
本発明の実施例に係る電極材料の特性を評価するために、比表面積が異なる様々なCNTを用いてリチウム二次電池の正極材料を作製した。正極材料を作製するのに当たり、まず、無作為に数種類のCNTを入手し、それらCNTの物性として平均粒子径φD=50(μm)と比表面積Sr(m2/g)を測定した。具体的には、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(株式会社堀場製作所社:LA−950)を用いて粒子径分布における累積分布径が50%(D=50)であるときの粒子径を測定し、その測定値を平均粒子径φD=50とした。比表面積Srは、自動比表面積/細孔分析装置(日本ベル株式会社:BELSORP−minill)を用いて測定した。
本発明の実施例に係る電極材料の特性を評価するために、比表面積が異なる様々なCNTを用いてリチウム二次電池の正極材料を作製した。正極材料を作製するのに当たり、まず、無作為に数種類のCNTを入手し、それらCNTの物性として平均粒子径φD=50(μm)と比表面積Sr(m2/g)を測定した。具体的には、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(株式会社堀場製作所社:LA−950)を用いて粒子径分布における累積分布径が50%(D=50)であるときの粒子径を測定し、その測定値を平均粒子径φD=50とした。比表面積Srは、自動比表面積/細孔分析装置(日本ベル株式会社:BELSORP−minill)を用いて測定した。
以下の表1に各種CNT(a〜g)の平均粒子径φD=50と比表面積Srを示した。
表1に示したように平均粒子径φと比表面積Srには一見して相関性が見られない。図1は表1の結果を示すグラフであり、当該図1から、平均粒子径φD=50と比表面積Srには相関性がないことが確認できた。
ところで、表1や図1に示した平均粒子径φD=50はチューブ状のCNTの繊維長に相当し、この繊維長は電極材料の製造過程で変化しやすい。一方、比表面積Srは、チューブ状のCNTの繊維長が変わっても、そのチューブの構造自体が壊れない限り一定である。そこで本発明の実施例に係る電極材料では、このCNTの比表面積Srを特性改善のためのパラメーターとすることで、均一で優れた特性を再現性よく発現できるようになっている。
===リチウム二次電池===
本実施例に係る電極材料の特性を評価するために、表1に示した各種CNT(a〜g)を用いてリチウム二次電池用の正極材料を作製するともに、この正極材料の電気化学反応のみを正しく測定するためのリチウム二次電池(以下、ハーフセルとも言う)を作製した。
本実施例に係る電極材料の特性を評価するために、表1に示した各種CNT(a〜g)を用いてリチウム二次電池用の正極材料を作製するともに、この正極材料の電気化学反応のみを正しく測定するためのリチウム二次電池(以下、ハーフセルとも言う)を作製した。
図2はハーフセル1の構造を示す図である。図2(A)はその外観を示す図であり、図2(B)は内部構造を示す図である。なお図2(B)は図2(A)におけるa−a矢視断面を模式的に示している。例示したハーフセル1は、図2(A)に示したように、ラミネートフィルムの外装体2内に正極、負極および電解液からなる発電要素が封入されているとともに、外装体2の外側に、内部の正極と負極のそれぞれに接続されて外部の負荷に電力を供給するための正極と負極のそれぞれの端子板(27、37)を導出させた構造を有している。
図2(B)に示したように、外装体2内には、シート状の正極20とシート状の負極30がセパレータ40を介して対向配置させてなる電極体10が収納されている。この例では、正極20は、スラリー状の正極材料22をアルミ箔からなるシート状の正極集電子21の一方の面(以下、おもて面)23に塗布されたものである。負極30は、銅箔からなるシート状の負極集電子31の一方の面(以下、おもて面)33側にリチウム金属32を貼着した構造である。
正極と20と負極30は、双方のおもて面同士(25−35)がセルロースからなるセパレータ40を介して対向配置されるように配置されている。セパレータ40は正負極間(20−30)の短絡を確実に防止するために、正極20と負極30の集電子(21、31)の平面領域を包含する大きさを有している。また、正極集電子21の裏面24側にも正極20と負極30間に介在するものと同様のセパレータ41が積層されており、ここに示したハーフセル1では、正極20、負極30、およびセパレータ(40、41)によって電極体10が構成されている。
正極集電子21および負極集電子31には、それぞれ、正極材料22が塗布されていない領域(以下、未塗布領域26とも言う)、およびリチウム金属32が貼着されていない領域(以下、非貼着領域36とも言う)が形成されて、未塗布領域26および非貼着領域36には帯状の金属板からなる電極端子板(以下、正極端子板27、負極端子板37とも言う)が溶接されており、正極20と負極30のそれぞれの端子板(27、37)が外装体2の外側に導出されている。また、負極集電子31の裏面34側には平面形状がセパレータ(40、41)よりも一回り大きな矩形状のガラス板50が配置されている。
図3(A)と(B)に、正極20と負極30の具体的な構造を示した。また図3(C)にガラス板50の一方の面(以下、おもて面)51側に電極体10が積層されている状態を示した。図3(A)は正極20をおもて面25側から見たときの平面図であり、(B)は負極30をおもて面35側から見たときの平面図である。(C)は電極体10を正極20の裏面24側から見たときの平面図である。なお、図中では異なる部位を異なるハッチングによって示した。また、便宜的に、矩形の正極集電子21において長辺方向を上下方向とし、正極端子板27が突出する方向を上方とした。
まず図3(A)に示したように、正極20は、幅W1、長さL1の正極集電子21のおもて面23に、同じ幅W1で下端から長さLp(<L1)までの領域にスラリー状の正極材料22が塗布された構造となっている。そして、上端側は未塗布領域26となっている。ここでは、W1=30mm、L1=75mm、Lp=50mmとしている。
正極端子板27は、上下方向に延長する帯状のアルミニウム板からなり、その正極端子板27の帯の一端側が未塗布領域26に溶接され、他端がその未塗布領域26の上方から突出している。また正極端子板27は、電極体10が外装体2内に収納された際にその外装体の内外の境界となる部分にシーラントフィルム60が貼着されている。それによって、外装体2において正極端子板27が突出する部分が確実にラミネートフィルムに溶着され、外装体2における正極端子板27が突出する部分からの漏液が防止される。
図3(B)に示した負極30は、幅W2=40mm、長さL2=75mmの矩形状の負極集電子31のおもて面33に、同じ幅W2(=40mm)で上端から50mmとなる長さLnまでの領域にリチウム金属32が貼着された構造となっている。負極端子板37は、上下方向に延長する帯状のニッケル板からなり、この負極端子板37の上端側が、負極集電子31の下端側にある非貼着領域36に溶接されている。そして負極端子板37の他端側がその非貼着領域36の下方から突出している。また、負極端子板37にも外装体2の内外の境界に対応する部分にシーラントフィルム60があらかじめ貼着されている。
先に図2(B)に示したように、電極体10は、セパレータ40を介して正極20と負極30を双方のおもて面(25、35)同士(正極材料22とリチウム金属32)が対面するように積層した構造を有している。また、正極集電子21の裏面24側にもセパレータ41が配置されている。
図3(C)にも示したように、負極集電子31の裏面34側にはセパレータ(40、41)よりも一回り大きな矩形のガラス板50が配置されて、電極体10の四隅がそのガラス板50のおもて面51にイミドテープ61によって固定されている。それによって、電極体10の積層構造が外装体2内で崩れないようになっている。以下に正極材料22とハーフセル1の作製手順について説明する。
===ハーフセルの作製手順===
本発明の実施例に係る正極材料の特性を評価するために、表1に示した比表面積Srが異なる7種類のCNT(a〜g)のいずれかを導電材として含む7種類の正極材料を作製し、その7種類の正極材料のいずれかを用いて7種類のハーフセル1をサンプルとして作製した。
本発明の実施例に係る正極材料の特性を評価するために、表1に示した比表面積Srが異なる7種類のCNT(a〜g)のいずれかを導電材として含む7種類の正極材料を作製し、その7種類の正極材料のいずれかを用いて7種類のハーフセル1をサンプルとして作製した。
<正極材料の作製手順>
上記構造のハーフセル1を構成する正極材料22は、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12:以下、LTO)を正極活物質とするとともに、導電材である上記7種類のCNT(a〜g)のいずれか、バインダであるスチレン−ブタジエンゴム(SBR)、および増粘剤であるカルボキシメチルセルロース(CMC)を含んでいる。作製したハーフセル1では、CNTの種類a〜gによらず、正極材料中のLTO、CNT、SBR、CMCの配合比(重量比)を、LTO:CNT:SBR:CMC=100:1.5:2.0:1.1としている。
上記構造のハーフセル1を構成する正極材料22は、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12:以下、LTO)を正極活物質とするとともに、導電材である上記7種類のCNT(a〜g)のいずれか、バインダであるスチレン−ブタジエンゴム(SBR)、および増粘剤であるカルボキシメチルセルロース(CMC)を含んでいる。作製したハーフセル1では、CNTの種類a〜gによらず、正極材料中のLTO、CNT、SBR、CMCの配合比(重量比)を、LTO:CNT:SBR:CMC=100:1.5:2.0:1.1としている。
図4は正極材料の作製手順を示す図である。まず、LTOとCMCをプラネタリーミキサーを用いて乾式混練する(s1)。ここでは5rpm/5minで混練した後、続いて30rpm/15minで混練した。乾式混練の工程によって得られた粉体状の混練物の凝集をほどくために、当該混練物にイオン交換水を加えプラネタリーミキサーにより固練り(固練混練)した(s2)。固練混練の条件は、30rpm/5minの後、60rpm/60minとした。
一方CNTについては、イオン交換水を用いて希釈した(s3)。希釈は、プラネタリーミキサーのプラネタリー運動30rpm/5minの後、80rpm/90minの条件で攪拌することで行った。そして、固練混練工程を経たLTOとCMCの混合物(以下、固練混合物とも言う)に希釈後のスラリー状のCNTをイオン交換水を加えつつ投入し、固練混合物とCNTを攪拌しながら混合した(s4)。この攪拌、混合の条件は、プラネタリーミキサーで30rpm/5minの後、60rpm/30minとした。さらに、プラネタリーミキサーを用いて固練混合物とCNTとの混合物に結着剤であるSBRとイオン交換水を加え攪拌しながら混合した(s5)。この攪拌、混合の条件は、30rpm/5minの後、60rpm/30minとした。最後に自転速度と公転速度を個別に設定可能で、かつ脱泡も同時行える遊星式攪拌・脱法装置(倉敷紡績株式会社:マゼルスター)を使用し、正極材料22を構成する全材料の混合物を攪拌しながら脱泡し、スラリー状の正極材料22を得た(s6)。脱泡は、前記遊星式攪拌・脱法装置にて、自転1040rpm/公転416rpm/5minの後、自転1040rpm/公転728rpm/3minで攪拌しながら行った。
<ハーフセルの作製手順>
上記手順にて作成した正極材料22を用いてハーフセル1を作製した。図5にハーフセル1の作製手順を示した。まず電極端子板(27、37)が溶接された正極20と負極30を作製する(s11)。正極20の製造方法としては、まず、正極集電子21となるアルミ箔のおもて面にスラリー状の正極材料22をアプリケータを用いて100μmの厚さとなるように塗布するとともに、その正極材料22が塗布されたアルミ箔を60℃の温度下に20分置いて正極材料22を乾燥する。つぎにこの正極材料22が塗布されたアルミ箔を、先に図3(A)に示したように、正極集電子21のサイズとなるW1×L1=30mm×70mmの矩形状に裁断した後、正極集電子21の上方の余分な正極材料22を剥離して未塗布領域26を形成し正極20を完成させる。また、未塗布領域26に正極端子板27を溶接する。
上記手順にて作成した正極材料22を用いてハーフセル1を作製した。図5にハーフセル1の作製手順を示した。まず電極端子板(27、37)が溶接された正極20と負極30を作製する(s11)。正極20の製造方法としては、まず、正極集電子21となるアルミ箔のおもて面にスラリー状の正極材料22をアプリケータを用いて100μmの厚さとなるように塗布するとともに、その正極材料22が塗布されたアルミ箔を60℃の温度下に20分置いて正極材料22を乾燥する。つぎにこの正極材料22が塗布されたアルミ箔を、先に図3(A)に示したように、正極集電子21のサイズとなるW1×L1=30mm×70mmの矩形状に裁断した後、正極集電子21の上方の余分な正極材料22を剥離して未塗布領域26を形成し正極20を完成させる。また、未塗布領域26に正極端子板27を溶接する。
負極30については、銅箔を裁断し、先に図3(B)に示したように、W2×L2=40mm×75mmのサイズを有する矩形状の負極集電子31を作製するとともに、当該負極集電子31のおもて面33において、上記非貼着領域36となる部位に負極端子板37を溶接する。そして、乾燥空気が充填されたグローブボックス内でリチウム金属32を負極集電子31のおもて面33に貼着する。
それぞれに電極端子板(27、37)が溶接された正極20と負極30を作製したならば、ガラス板50のおもて面51側に正極20と負極30を含んで構成される電極体10を積層する(s12)。すなわち、ガラス板50のおもて面51に、負極30、セパレータ40、正極20、セパレータ41をこの順で積層する。このとき、正極20と負極30の双方のおもて面(25、35)同士を対向させる。またガラス板50上に載置された電極体10の積層構造が崩れないように、電極体10をイミドテープ61を用いてガラス板50に固定する。
つぎに、ガラス板50に固定された電極体10を上下方向を折り線3として二つ折りにした一枚のラミネートフィルム2aの内側に配置する(s13)。このとき、二つ折りになったラミネートフィルム2aの上下の縁辺(4、5)から正極20と負極30の電極端子板(27、37)を突出させる。
なお、電極端子板(27、37)は、シーラントフィルム60の位置がラミネートフィルム2aの上下の縁辺(4,5)の位置と一致するように溶接されており、二つ折りになったラミネートフィル2aにおいて、電極端子板(27、37)を突出させる側の縁辺同士(4−4、5−5)を熱溶着すると、電極端子板(27、37)が突出する部位8がラミネートフィルム2aと密着した状態で封止される。
ラミネートフィルム2aの上下の縁辺同士(4−4、5−5)を熱溶着して袋状にしたならば、袋状のラミネートフィルム2bの開口7よりピペット70を用いて電解液71を4.5cc注液する(s14)。さらに真空中にて脱気を行う。なお、電解液71には、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)を、それぞれ30wt%と70wt%の割合となるように配合した非水溶液に、支持塩としてLiPF6を1.0Mの濃度となるように溶解させたものを用いた。
最後に袋状のラミネートフィルムの開口7側の縁辺同士(6−6)を熱溶着してラミネートフィルム2bを封止する。それによって外装体2内に電極体10が電解液71とともに密封されてハーフセル1が完成する(s15)。
===抵抗特性===
CNT(a〜g)のいずれかを含有する正極材料22を用いて作製した7種類のハーフセル1(以下、サンプルHC−a〜HC−gとも言う)について、まず、各サンプル(HC−a〜HC−g)の抵抗特性を評価した。抵抗特性は、作製直後のサンプル(HC−a〜HC−g)に対してインピーダンスアナライザを用いてインピーダンスを測定することで行った。具体的には、測定によって得られたコールコールプロット(Cole-Cole Plot)の結果から正極材料のバルク抵抗Rbと正極材料に含まれる正極活物質の粒子間の界面抵抗Rsとを求めた。
CNT(a〜g)のいずれかを含有する正極材料22を用いて作製した7種類のハーフセル1(以下、サンプルHC−a〜HC−gとも言う)について、まず、各サンプル(HC−a〜HC−g)の抵抗特性を評価した。抵抗特性は、作製直後のサンプル(HC−a〜HC−g)に対してインピーダンスアナライザを用いてインピーダンスを測定することで行った。具体的には、測定によって得られたコールコールプロット(Cole-Cole Plot)の結果から正極材料のバルク抵抗Rbと正極材料に含まれる正極活物質の粒子間の界面抵抗Rsとを求めた。
表2に各サンプル(HC−a〜HC−g)における抵抗特性を示した。
表2より、バルク抵抗Rbについては各サンプル(HC−a〜HC−g)とも大きな差異がなく、CNT(a〜g)の比表面積Srとの相関関係も確認できなかった。しかし、リチウム二次電池の性能を左右する正極材料内でのイオン伝導度に寄与する界面抵抗Rsについては、比表面積Srが大きいほど低下する傾向が見られた。
図6は各サンプル(HC−a〜HC−g)に用いたCNT(a〜g)の比表面積Rsに対する抵抗特性を示すグラフである。図6(A)は比表面積Srとバルク抵抗Rbの関係を示しており、図6(B)は比表面積Srと界面抵抗Rsの関係を示している。図6(A)に示したようにバルク抵抗Rbは比表面積Srが増加するのに従って徐々に抵抗値が低下する傾向があるものの、200m2/g以上の比表面積Srでバルク抵抗Rbの値がばらついていることから、比表面積Srとバルク抵抗Rbとの間に明らかな規則性があるとは言いがたい。界面抵抗Rsについては、図6(B)に示したように、比表面積Srが150m2/g以上の領域で明らかに抵抗値が低下する傾向が確認できた。
===充放電特性===
抵抗特性につづき、各サンプル(HC−a〜HC−g)に対して充放電試験を行い、サイクル特性を評価した。充放電試験は、2Vまで充電した後1Vになるまで放電させる定電流充放電を30回繰り返すことで行った。充放電レートは3Cで電流は60mAとした。そして、理論容量と30サイクル終了後の放電容量との比(容量維持率Cm:%)によって各サンプル(HC−a〜HC−g)の充放電特性を評価した。
抵抗特性につづき、各サンプル(HC−a〜HC−g)に対して充放電試験を行い、サイクル特性を評価した。充放電試験は、2Vまで充電した後1Vになるまで放電させる定電流充放電を30回繰り返すことで行った。充放電レートは3Cで電流は60mAとした。そして、理論容量と30サイクル終了後の放電容量との比(容量維持率Cm:%)によって各サンプル(HC−a〜HC−g)の充放電特性を評価した。
表3に各サンプル(HC−a〜HC−g)の充放電特性を示した。
表3より比表面積が大きいほど容量維持率が大きくなる傾向が見られた。図7にCNT(a〜g)の比表面積Srと容量維持率Cmとの関係を示した。この図7に示したように、容量維持率Cmについても界面抵抗Rsと同様に比表面積が150m2/g以上で特性が上向きに転じている。200m2/g以上では急激に特性が向上している。なお充放電試験では、充放電レートを3Cとしていることから、急速充電が可能であることも確認できた。
===正極材料中の導電材の状態について===
上述したように、比表面積Srが150m2/g以上のCNT(b、c、f、g、)を用いた電極材料では、界面抵抗Rsが低下し、その電極材料を用いたリチウム二次電池は充放電特性が向上する。そこで、比表面積Srが240m2/gのCNTcを用いたサンプルHC−cにおける正極材料と比表面積が17m2/gのCNTeを用いたサンプルHC−eのそれぞれについて、特性評価後のハーフセル1を分解し、正極材料22を電子顕微鏡にて観察した。
上述したように、比表面積Srが150m2/g以上のCNT(b、c、f、g、)を用いた電極材料では、界面抵抗Rsが低下し、その電極材料を用いたリチウム二次電池は充放電特性が向上する。そこで、比表面積Srが240m2/gのCNTcを用いたサンプルHC−cにおける正極材料と比表面積が17m2/gのCNTeを用いたサンプルHC−eのそれぞれについて、特性評価後のハーフセル1を分解し、正極材料22を電子顕微鏡にて観察した。
図8(A)と図8(B)に、それぞれサンプルHC−cとサンプルHC−eの正極材料22の電子顕微鏡写真を示した。これらの写真では、正極材料22中の炭素原子がマッピングされて示されている。図中では、正極活物質の粒子の輪郭100が実線で示されており、マッピングされた炭素原子がその輪郭に沿うドットの集合として示されている。ここでは、そのドットの集合領域、すなわち炭素原子の存在領域の境界101が点線で示されている。
図8(A)に示したように、比表面積が240m2/gのCNTcを用いたサンプルHC−cでは正極活物質の粒子の表面に炭素原子、すなわちCNTが皮膜状となって存在しているのが確認できる。図8(B)に示したように、比表面積が17m2/gのCNTeを用いたサンプルHC−eでは正極活物質の粒子の表面に炭素原子が偏在している。
以上の結果から、CNTの比表面積Srが大きいと、例えば、活物質の粒子表面との接触面積が増加するなどの理由で電極材料中におけるCNTが活物質の粒子表面に均一に被膜され易くなると考えることができる。CNTが活物質の粒子表面に均一に被膜されると、活物質間でのリチウムイオンの移動経路が限定されにくくなり、結果としてイオン伝導度が向上し、充放電特性が向上すると考えることができる。
===その他の実施例===
本発明の実施例に係る電極材料は、上記ハーフセル1に用いた正極材料22に限るものではない。例えば、正極活物質、バインダ、結着剤などは適宜に選択可能である。もちろん、リチウム二次電池の正極材料に限らず、負極材料とすることもできる。リチウム二次電池の構造としては、実施例のようにラミネートフィルムの外装体2内に電極体10を収納したラミネート型の他に、コイン型、スパイラル型など周知の構造を採用することができる。
本発明の実施例に係る電極材料は、上記ハーフセル1に用いた正極材料22に限るものではない。例えば、正極活物質、バインダ、結着剤などは適宜に選択可能である。もちろん、リチウム二次電池の正極材料に限らず、負極材料とすることもできる。リチウム二次電池の構造としては、実施例のようにラミネートフィルムの外装体2内に電極体10を収納したラミネート型の他に、コイン型、スパイラル型など周知の構造を採用することができる。
本発明の実施例に係る電極材料は、比表面積Srが150m2/g以上のCNTを含んでいる。CNTの種類が異なるサンプルのそれぞれにおける比表面積Srに対する界面抵抗Rsや容量維持率Cmの関係から、比表面積Srが大きいほど抵抗が低下し、充放電特性が向上すること容易に予想される。そのため、比表面積Srの上限は物理的な限界、あるいは製造上の限界に依存する。すなわち、作製可能で入手可能なCNTであれば比表面積は大きいほど好ましい。
本発明は携帯型電子機器などの電源として好適である。
1 リチウム二次電池(ハーフセル,サンプル)、2 外装体、10 電極体、
20 正極、21 正極集電子、22 正極材料、27 正極端子板、
30 負極、31 負極集電子、32 リチウム金属、37 負極端子板、
40,41 セパレータ 100 正極活物質の粒子の輪郭、
101 炭素原子(CNT)が存在する境界
20 正極、21 正極集電子、22 正極材料、27 正極端子板、
30 負極、31 負極集電子、32 リチウム金属、37 負極端子板、
40,41 セパレータ 100 正極活物質の粒子の輪郭、
101 炭素原子(CNT)が存在する境界
Claims (4)
- リチウム二次電池用の電極材料であって、リチウムイオンの吸蔵と離脱が可能な活物質と導電材とバインダと結着剤を含み、前記導電材は、比表面積が150m2/g以上のカーボンナノチューブであることを特徴とするリチウム二次電池用電極材料。
- 請求項1に記載のリチウム二次電池用電極材料において、前記比表面積が200m2/g以上のカーボンナノチューブであることを特徴とするリチウム二次電池用電極材料。
- 請求項1または2に記載のリチウム二次電池用電極材料において、前記活物質はリチウムを含有する遷移金属酸化物からなる正極活物質であることを特徴とするリチウム二次電池用電極材料。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用電極材料を含んで構成されるリチウム二次電池。
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Cited By (2)
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-
2013
- 2013-11-14 JP JP2013235612A patent/JP2015095423A/ja active Pending
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