JP2015094033A - 毛髪用繊維束及びそれを含む頭飾製品 - Google Patents
毛髪用繊維束及びそれを含む頭飾製品 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2015094033A JP2015094033A JP2013232097A JP2013232097A JP2015094033A JP 2015094033 A JP2015094033 A JP 2015094033A JP 2013232097 A JP2013232097 A JP 2013232097A JP 2013232097 A JP2013232097 A JP 2013232097A JP 2015094033 A JP2015094033 A JP 2015094033A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- fiber
- hair
- weight
- flame retardant
- fiber bundle
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Artificial Filaments (AREA)
Abstract
【課題】難燃性、耐熱性及びカール保持力が良好であるとともに、人毛に近似する光沢と触感を有する毛髪用繊維束及びそれを含む頭飾製品を提供する。
【解決手段】本発明は、毛髪用繊維束100重量%に対して、難燃性ポリエステル系繊維Aを10〜80重量%、再生コラーゲン繊維を10〜80重量%及び人毛を5〜40重量%含み、難燃性ポリエステル系繊維Aは、繊維軸方向に対して平行方向の断面において、ポリエステル樹脂中に島状に分散している臭素化エポキシ系難燃剤の凝集体を有する毛髪用繊維束及びそれを含む頭飾製品に関する。
【選択図】図1
【解決手段】本発明は、毛髪用繊維束100重量%に対して、難燃性ポリエステル系繊維Aを10〜80重量%、再生コラーゲン繊維を10〜80重量%及び人毛を5〜40重量%含み、難燃性ポリエステル系繊維Aは、繊維軸方向に対して平行方向の断面において、ポリエステル樹脂中に島状に分散している臭素化エポキシ系難燃剤の凝集体を有する毛髪用繊維束及びそれを含む頭飾製品に関する。
【選択図】図1
Description
本発明は、人毛の代替品として使用できる毛髪用繊維束に関し、詳細には、人毛と人工毛髪用繊維を含む毛髪用繊維束及びそれを含む頭飾製品に関する。
従来、ヘアーウィッグ、かつら、ヘアーエクステンション、ヘアーアクセサリー、ドールヘアー等の頭飾製品に用いられる毛髪用繊維材料としては、人毛が用いられていた。近年においては、人毛の入手が困難になったため、人毛を人工毛髪用繊維と組み合せて用いることが行われている。例えば、特許文献1には、人毛と、ポリエステル系繊維等の人工毛髪用合成繊維と、再生コラーゲン繊維を含む人工毛髪用繊維束が提案されている。
最近は、頭飾製品の場合、ヘアーアイロンでカールを付与することが行われており、毛髪用繊維には耐熱性やカール保持力が求められている。しかし、人毛や再生コラーゲン繊維等のタンパク質繊維は、カール保持力が低く、カールが伸びやすい。特に、再生コラーゲン繊維は耐熱性が低く、ヘアーアイロンでカールセットした場合、触感が悪化することがある。また、ポリエステル系繊維等の人工毛髪用合成繊維は触感や光沢が人毛と異なり、頭飾製品に用いた場合、外観上の違和感が生じることがある。さらに、安全性の観点から、毛髪用繊維は、難燃性を有することが好まれている。
本発明は、上記従来の問題を解決し、難燃性、耐熱性及びカール保持力が良好であるとともに、人毛に近似する光沢と触感を有する毛髪用繊維束及びそれを含む頭飾製品を提供する。
本発明は、難燃性ポリエステル系繊維A、再生コラーゲン繊維及び人毛を含む毛髪用繊維束であって、上記毛髪用繊維束100重量%に対して、難燃性ポリエステル系繊維Aを10〜80重量%、再生コラーゲン繊維を10〜80重量%及び人毛を5〜40重量%含み、難燃性ポリエステル系繊維Aは、ポリエステル樹脂100重量部に対して臭素化エポキシ系難燃剤を5重量部以上40重量部以下含み、上記ポリエステル樹脂は、ポリアルキレンテレフタレート及び/又はポリアルキレンテレフタレートを主体とする共重合ポリエステルであり、難燃性ポリエステル系繊維Aは、繊維軸方向に対して平行方向の断面において、ポリエステル樹脂中に島状に分散している臭素化エポキシ系難燃剤の凝集体を有することを特徴とする毛髪用繊維束に関する。
難燃性ポリエステル系繊維Aは、繊維軸方向に対して平行方向の断面において、360μm2あたりに、針状比が2以上20以下且つ対角幅が0.05μm以上である臭素化エポキシ系難燃剤の凝集体を50個以上有することが好ましい。また、上記再生コラーゲン繊維は、金属酸化物換算で20重量%以上の金属化合物を含有することが好ましい。また、上記再生コラーゲン繊維は、コラーゲン成分100重量部に対して脂肪酸系化合物を1〜15重量部含有し、上記脂肪酸系化合物は、脂肪酸における炭素数が8〜32の脂肪酸、脂肪酸エステル及び脂肪酸アルカリ金属塩からなる群から選ばれる一つ以上の化合物であり、融点が20℃以下であり、且つ20℃において水に対する溶解度が1g/100cc以下の化合物であることが好ましい。
上記毛髪用繊維束は、さらに難燃性ポリエステル系繊維Bを含んでもよく、上記毛髪用繊維束100重量%に対して、難燃性ポリエステル系繊維Aを10〜60重量%、難燃性ポリエステル系繊維Bを10〜50重量%、再生コラーゲン繊維を10〜50重量%、人毛を10〜25重量%含むことが好ましい。上記毛髪用繊維束は、さらに、獣毛、非難燃性ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維及びモダアクリル繊維からなる群から選ばれる少なくとも1つの繊維を含んでもよい。
本発明は、また、上記の毛髪用繊維束を含むことを特徴とする頭飾製品に関する。
上記頭飾製品は、ヘアーウィッグ、かつら、ウィービング、ヘアーエクステンション、ブレードヘアー、ヘアーアクセサリー及びドールヘアーからなる群から選ばれるいずれの一つであってもよい。
本発明は、臭素化エポキシ系難燃剤の凝集体を含む難燃性ポリエステル系繊維Aを用いるとともに、毛髪用繊維束における難燃性ポリエステル系繊維A、再生コラーゲン繊維及び人毛の含有量を特定の割合にすることで、難燃性、耐熱性及びカール保持力が良好であるとともに、人毛に近似する光沢と触感を有する毛髪用繊維束及びそれを含む頭飾製品を提供する。
本発明において、難燃性ポリエステル系繊維は、限界酸素指数(LOI値)が23以上であるポリエステル系繊維をいう。また、非難燃性ポリエステル系繊維とは、難燃性ポリエステル系繊維以外のポリエステル系繊維をいい、LOI値が23未満である。本発明において、LOI値は、以下のように測定する。まず、フィラメント(長さ16cm、重さ0.25g)の両端を軽く両面テープでまとめ、懸撚器で挟み撚りをかける。十分に撚りがかかったら、真中で二つに折り撚り合わせる。撚り合わせたフィラメントの両端をセロファン(登録商標)テープで止め、全長7cmになるようにする。得られた試料は、105℃にて60分間前乾燥を行ない、さらにデシケーターで30分以上乾燥させる。乾燥した試料を所定の酸素濃度に調整し、40秒後8〜12mmに絞った点火器で、上部より着火し、着火後点火器を離す。5cm以上燃えるか、3分以上燃え続けた酸素濃度を調べ、同じ条件で試験を3回繰り返し、限界酸素指数(LOI値)とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、人毛と人工毛髪用繊維を含む毛髪用繊維束において、人工毛髪用繊維として臭素化エポキシ系難燃剤の凝集体を含む難燃性ポリエステル系繊維Aと再生コラーゲン繊維を併用するとともに、毛髪用繊維束における難燃性ポリエステル系繊維A、再生コラーゲン繊維及び人毛の配合割合を特定の範囲にすることで、難燃性、耐熱性及びカール保持力が良好になるとともに、光沢と触感が人毛に近似し得ることを見出し、本発明に至った。
通常、ポリエステル系繊維は、耐熱性及びカール保持力が高いが、触感や光沢が人毛とは異なる。再生コラーゲン繊維は、難燃性を有し、触感が人毛とほぼ同じであるが、光沢が人毛とは異なる上、カール保持力や耐熱性も低い。人毛は、カール保持力及び難燃性が低い。本発明の毛髪用繊維束は、難燃性ポリエステル系繊維Aを含む。難燃性ポリエステル系繊維Aは、繊維軸方向に対して平行方向の断面において、ポリエステル樹脂中に島状に分散している臭素化エポキシ系難燃剤の凝集体を有する難燃性ポリエステル系繊維であり、難燃性が良好であるとともに、人毛に近似する光沢を有する。毛髪用繊維束が難燃性ポリエステル系繊維Aを含むことにより、毛髪用繊維束全体の難燃性が向上する。そして、毛髪用繊維束において、難燃性ポリエステル系繊維A、再生コラーゲン繊維及び人毛の配合割合を特定の範囲にすることで、触感、光沢、難燃性、耐熱性及びカール保持力が総合的に実用的なレベルに達する。
<難燃性ポリエステル系繊維A>
難燃性ポリエステル系繊維Aは、ポリエステル樹脂と臭素化エポキシ系難燃剤等を含むポリエステル樹脂組成物で構成されている。
難燃性ポリエステル系繊維Aは、ポリエステル樹脂と臭素化エポキシ系難燃剤等を含むポリエステル樹脂組成物で構成されている。
難燃性ポリエステル系繊維Aは、LOI値が23以上であり、好ましくは25以上であり、より好ましくは27以上である。
難燃性ポリエステル系繊維Aは、繊維軸方向に対して平行方向の断面において、ポリエステル樹脂中に島状に分散している臭素化エポキシ系難燃剤の凝集体を有する。これにより、ポリエステル系繊維の表面に適度に凹凸を形成することができ、柔らかい触感を付与しつつ、光沢を人毛に近似するように調整することができる。好ましくは、難燃性ポリエステル系繊維Aは、繊維軸方向に対して平行方向の断面において、360μm2あたりに、針状比が2以上20以下且つ対角幅が0.05μm以上である臭素化エポキシ系難燃剤の凝集体を50個以上有することが好ましい。より好ましくは、難燃性ポリエステル系繊維Aは、繊維軸方向に対して平行方向の断面において、360μm2あたりに、針状比が2.5以上100/7以下且つ対角幅が0.07μm以上である臭素化エポキシ系難燃剤の凝集体を40個以上有し、さらに好ましくは、360μm2あたりに、針状比が20/7以上100/9以下且つ対角幅が0.09μm以上である臭素化エポキシ系難燃剤の凝集体を10個以上有する。
難燃性ポリエステル系繊維Aにおいて、臭素化エポキシ系難燃剤の凝集体の対角幅とは、繊維軸方向に対して平行方向の断面において、臭素化エポキシ系難燃剤の凝集体の繊維軸方向に対して垂直方向における最大長さをいう。また、難燃性ポリエステル系繊維Aにおいて、臭素化エポキシ系難燃剤の凝集体の最大長とは、繊維軸方向に対して平行方向の断面において、臭素化エポキシ系難燃剤の凝集体の繊維軸方向に対して平行方向における最大長さをいう。また、難燃性ポリエステル系繊維Aにおいて、臭素化エポキシ系難燃剤の凝集体の針状比とは、臭素化エポキシ系難燃剤の凝集体の最大長と対角幅の比をいう。以下、難燃性ポリエステル系繊維Aの繊維軸方向に対して平行方向の断面における臭素化エポキシ系難燃剤の凝集体の対角幅と最大長を模式的に示した図1に基づいて具体的に説明する。図1に示しているように、繊維軸方向Dに対して平行方向の断面100において、ポリエステル樹脂10中に臭素化エポキシ系難燃剤の凝集体20が島状に分散している。繊維軸方向Dに対して平行方向の断面100において、臭素化エポキシ系難燃剤の凝集体20の繊維軸方向Dに対して垂直方向における最大長さが対角幅Wであり、臭素化エポキシ系難燃剤の凝集体20の繊維軸方向Dに対して平行方向における最大長さが最大長Lである。そして、臭素化エポキシ系難燃剤の凝集体20の針状比は、最大長L/対角幅Wで示される。
難燃性ポリエステル系繊維Aにおける臭素化エポキシ系難燃剤の凝集体は、繊維軸方向に対して平行方向の断面を走査電子顕微鏡(SEM)等で観察することで確認することができる。また、本発明において、繊維軸方向に対して平行方向の断面のSEM写真を用いて、臭素化エポキシ系難燃剤の凝集体の針状比、対角幅及び一定面積あたりの個数を測定することができる。本発明において、繊維軸方向に対して平行方向の断面の作製は、例えば、クロスセクションポリッシャー(CP)装置を使用した断面作製(イオンミリング加工)により行うことができる。形態観察は、電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)装置(カールツァイス製「ULTRA plus」を用い、加速電圧2kV下で観察することができる。試料の組成像は平均原子番号に依存するため、重元素がある部分では明るく、軽元素がある部分では暗い像が得られる。
上記ポリエステル樹脂は、ポリアルキレンテレフタレート及び/又はポリアルキレンテレフタレートを主体とする共重合ポリエステルである。上記ポリアルキレンテレフタレートとしては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート等が挙げられる。上記ポリアルキレンテレフタレートを主体とする共重合ポリエステルとしては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレートを主体とし、他の共重合成分を含有する共重合ポリエステル等が挙げられる。本発明において、「主体」とは、50モル%以上含有される成分のことを意味し、「ポリアルキレンテレフタレートを主体とする共重合ポリエステル」は、ポリアルキレンテレフタレートを50モル%以上含有する共重合ポリエステルをいう。好ましくは、「ポリアルキレンテレフタレートを主体とする共重合ポリエステル」は、ポリアルキレンテレフタレートを60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上含有する。
上記他の共重合成分としては、例えばイソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スぺリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の多価カルボン酸及びそれらの誘導体、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジヒドロキシエチル等のスルホン酸塩を含むジカルボン酸及びそれらの誘導体、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトン、ビスフェノールAのエチレングリコールエーテル等が挙げられる。
上記ポリアルキレンテレフタレートを主体とする共重合ポリエステルの具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートを主体とし、ビスフェノールAのエチレングリコールエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノール、イソフタル酸及び5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジヒドロキシエチルからなる群から選ばれる一種の化合物を共重合したポリエステル等が挙げられる。
上記ポリアルキレンテレフタレート及び上記ポリアルキレンテレフタレートを主体とする共重合ポリエステルは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、又はポリエチレンテレフタレートを主体とし、ビスフェノールAのエチレングリコールエーテルを共重合したポリエステル、ポリエチレンテレフタレートを主体とし、1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合したポリエステル、ポリエチレンテレフタレートを主体とし、イソフタル酸を共重合したポリエステル及びポリエチレンテレフタレートを主体とし、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジヒドロキシエチルを共重合したポリエステル等を単独又は2種以上組み合わせて用いることが好ましい。
難燃性ポリエステル系繊維Aは、ポリエステル樹脂100重量部に対し、臭素化エポキシ系難燃剤を5重量部以上40重量部以下含む。臭素化エポキシ系難燃剤の含有量が上記範囲内であると、難燃性に優れるとともに、ポリエステル樹脂中に島状に分散した臭素化エポキシ系難燃剤の凝集体を形成し、光沢調整効果に優れる。ポリエステル樹脂100重量部に対する臭素化エポキシ系難燃剤の含有量の下限値は、好ましくは10重量部以上であり、より好ましくは15重量部以上である。また、ポリエステル樹脂100重量部に対する臭素化エポキシ系難燃剤の含有量の上限値は、30重量部以下であることが好ましく、25重量部以下であることがさらに好ましい。臭素化エポキシ系難燃剤の含有量が上記範囲内であれば、難燃性ポリエステル系繊維Aは、難燃性、発色性及び紡糸性にも優れる。
上記臭素化エポキシ系難燃剤は、原料としては分子末端にエポキシ基を有する臭素化エポキシ系難燃剤を用いることができるが、臭素化エポキシ系難燃剤の溶融混練後や溶融紡糸後の構造は、特に限定されず、下記化学式(1)に示す構成ユニットと下記化学式(1)の少なくとも一部が改変した構成ユニットの総数を100モル%とした場合、80モル%以上が化学式(1)で示す構成ユニットであればよい。上記臭素化エポキシ系難燃剤は、溶融混練後に、構造が分子末端で変化してもよい。例えば、上記臭素化エポキシ系難燃剤の分子末端がエポキシ基以外の水酸基、リン酸、ホスホン酸等に置換されていてもよく、分子末端がポリエステル成分とエステル基で結合していてもよい。また、臭素化エポキシ系難燃剤の分子末端以外の構造の一部が変化してもよい。例えば、臭素化エポキシ系難燃剤の二級水酸基とエポキシ基が結合して分岐構造となっていてもよく、臭素化エポキシ系難燃剤分子中の臭素含有量が大きく変化しなければ、下記化学式(1)の臭素の一部が脱離又は付加してもよい。
上記臭素化エポキシ系難燃剤としては、例えば、下記一般式(2)に示しているような高分子型の臭素化エポキシ系難燃剤が好ましく用いられる。下記一般式(2)に示しているような高分子型の臭素化エポキシ系難燃剤としては、例えば、阪本薬品工業株式会社製の臭素化エポキシ系難燃剤(商品名「SR−T2MP」)等の市販品を用いてもよい。
但し、上記一般式(2)において、mは1〜1000である。
難燃性ポリエステル系繊維Aにおいて、上記臭素化エポキシ系難燃剤の凝集体は、特に限定されないが、臭素化エポキシ系難燃剤同士の反応を促進する触媒として機能する化合物によって臭素化エポキシ系難燃剤を凝集させて形成することが好ましい。好ましくは、酸化アンチモンやpHが3.5以下の酸性リン系化合物等の臭素化エポキシ系難燃剤同士の反応を促進する触媒と臭素化エポキシ系難燃剤を併用することにより、臭素化エポキシ系難燃剤の凝集体を形成することができる。難燃性の観点から、酸化アンチモンと臭素化エポキシ系難燃剤を併用することにより、臭素化エポキシ系難燃剤の凝集体を形成することがより好ましい。
難燃性ポリエステル系繊維Aは、ポリエステル樹脂100重量部に対し、酸化アンチモンを1.5重量部以上7重量部未満含むことが好ましい。上記酸化アンチモンの含有量が上記範囲内の場合、酸化アンチモンが臭素化エポキシ系難燃剤同士の反応の触媒として作用しやすく、臭素化エポキシ系難燃剤がポリエステル樹脂中に島状に分散して適切な大きさと個数の凝集体を形成されやすい。光沢調整効果に優れるという観点から、上記ポリエステル樹脂100重量部に対し、酸化アンチモンを1.5重量部以上5重量部以下含むことがより好ましく、1.5重量部以上4重量部以下含むことがさらに好ましく、1.5重量部以上3重量部以下含むことがさらにより好ましい。
上記酸化アンチモンとしては、例えば、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン等が挙げられる。これらは1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。難燃性ポリエステル系繊維Aにおいて、上記臭素化エポキシ系難燃剤及び酸化アンチモンは、光沢を調整する効果を発揮するとともに、それぞれ、難燃剤及び難燃助剤としての機能を発揮する。また、難燃性ポリエステル系繊維Aは、本発明の効果を阻害しない範囲内で、臭素化エポキシ系難燃剤以外の他の難燃剤、酸化アンチモン以外の他の難燃助剤を含んでもよい。
他の難燃助剤としては、アンチモン酸金属塩が挙げられる。上記アンチモン酸金属塩としては、特に限定されないが、例えば、アンチモン酸ナトリウム(アンチモン酸ソーダ)、アンチモン酸カリウム等を用いることができる。他の難燃剤としては、例えば、リン含有難燃剤、臭素化エポキシ系難燃剤以外の他の臭素含有難燃剤を用いることができる。上記リン含有難燃剤としては、例えば、リン酸エステルアミド化合物、有機環状リン系化合物等が挙げられる。上記他の臭素含有難燃剤としては、例えば、ペンタブロモトルエン、ヘキサブロモベンゼン、デカブロモジフェニル、デカブロモジフェニルエーテル、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、テトラブロモ無水フタル酸、エチレンビス(テトラブロモフタルイミド)、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)、オクタブロモトリメチルフェニルインダン、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート等の臭素含有リン酸エステル類、臭素化ポリスチレン類、臭素化ポリベンジルアクリレート類、臭素化フェノキシ樹脂、臭素化ポリカーボネートオリゴマー類、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(アリルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(ヒドロキシエチルエーテル)等のテトラブロモビスフェノールA誘導体、トリス(トリブロモフェノキシ)トリアジン等の臭素含有トリアジン系化合物、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート等の臭素含有イソシアヌル酸系化合物等が挙げられる。中でも、リン酸エステルアミド化合物、有機環状リン系化合物、臭素化フェノキシ樹脂系難燃剤が難燃性に優れている点で好ましい。
難燃性ポリエステル系繊維Aは、着色されてもよく、市場の需要の観点から、黒系の濃色に着色されていることが好ましい。難燃性ポリエステル系繊維Aの着色は、原着法又は後染色法により行うことができる。難燃性ポリエステル系繊維Aは、繊維中に顔料又は染料を0.1重量%以上2重量%以下含むことが好ましい。上記顔料又は染料が0.1重量%未満では十分に着色されず、くすんで見える場合があり、2重量%を超えると、触感が悪化する場合がある。上記顔料としては、一般的に使用されるものであればよく、特に限定されない。例えば、有機系の黒色、黄色、赤色、褐色等の顔料及び無機系黒色、黄色、赤色、褐色等の顔料を用いることができる。また、上記染料としては、一般的に使用されるものであればよく、特に限定されない。例えば、有機系の黒色、黄色、赤色、褐色等の染料及び無機系の黒色、黄色、赤色、褐色等の染料等を用いることができる。また、二種以上の顔料及び染料を混合して調色して用いてもよい。
難燃性ポリエステル系繊維Aは、必要に応じて、耐熱剤、安定剤、蛍光剤、酸化防止剤、静電防止剤等の各種添加剤を含有してもよい。
難燃性ポリエステル系繊維Aは、ポリエステル樹脂、臭素化エポキシ系難燃剤、酸化アンチモン等を含むポリエステル樹脂組成物を溶融紡糸し、繊維軸方向に対して平行方向の断面において、上記ポリエステル樹脂中に島状に分散している臭素化エポキシ系難燃剤の凝集体を形成することで製造することができる。例えば、上述したポリエステル樹脂、臭素化エポキシ系難燃剤、酸化アンチモン等の各成分をドライブレンドしたポリエステル樹脂組成物を、種々の一般的な混練機を用いて溶融混練してペレット化した後、溶融紡糸することにより作製することができる。上記混練機としては、例えば、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー等が挙げられる。中でも、二軸押出機が、混練度の調整、操作の簡便性の点から好ましい。
難燃性ポリエステル系繊維Aは、通常の溶融紡糸法で溶融紡糸する場合には、例えば、押出機、ギアポンプ、口金等の温度を250℃以上300℃以下とし、溶融紡糸し、紡出糸条を加熱筒に通過させた後、ポリエステル樹脂のガラス転移点以下に冷却し、50m/分以上5000m/分以下の速度で引き取ることにより紡出糸条(未延伸糸)が得られる。また、紡出糸条を冷却用の水を入れた水槽で冷却し、繊度のコントロールを行なうことも可能である。加熱筒の温度と長さ、冷却風の温度と吹付量、冷却水槽の温度、冷却時間及び引取速度は、ポリマーの吐出量及び口金の孔数によって適宜調整することができる。
得られた紡出糸条(未延伸糸)は熱延伸されることが好ましい。延伸は、紡出糸条を一旦巻き取ってから延伸する2工程法と、紡出糸条を巻き取ることなく連続して延伸する直接紡糸延伸法のいずれの方法によって行ってもよい。熱延伸は、1段延伸法又は2段以上の多段延伸法で行なわれる。熱延伸における加熱手段としては、加熱ローラ、ヒートプレート、スチームジェット装置、温水槽等を使用することができ、これらを適宜併用することもできる。
難燃性ポリエステル系繊維Aは、さらに繊維処理剤、柔軟剤等の油剤で処理されてもよい。触感等の風合いをより人毛に近づけることができる。上記繊維処理剤としては、例えば、触感やくし通り性を向上させるためのシリコーン系繊維処理剤や非シリコーン系繊維処理剤等が挙げられる。
難燃性ポリエステル系繊維Aは、人工毛髪に適するという観点から、繊度が10〜100dtexであることが好ましい。難燃性ポリエステル系繊維Aの繊度の下限値は、より好ましくは20dtex以上であり、さらに好ましくは35dtex以上である。難燃性ポリエステル系繊維Aの繊度の上限値は、より好ましくは90dtex以下であり、さらに好ましくは80dtex以下である。
<再生コラーゲン繊維>
上記再生コラーゲン繊維は、特に制限されず、公知の再生コラーゲン繊維を用いることができる。上記再生コラーゲン繊維は、例えば、コラーゲン原料を溶解処理し、可溶化して得られた可溶化コラーゲン溶液を溶融紡糸することで得ることができる。
上記再生コラーゲン繊維は、特に制限されず、公知の再生コラーゲン繊維を用いることができる。上記再生コラーゲン繊維は、例えば、コラーゲン原料を溶解処理し、可溶化して得られた可溶化コラーゲン溶液を溶融紡糸することで得ることができる。
コラーゲン原料としては、牛、豚、馬、鹿、兎等の動物の皮を用いることができる。好ましくは、牛等の動物から得られるフレッシュな床皮や塩漬けした生皮を用いる。このようなコラーゲン原料に含有されるコラーゲンは、部分的に架橋している不溶性のコラーゲンであるために、架橋を切断する可溶化処理が施される。上記可溶化処理の方法としては、公知のアルカリ可溶化法や酵素可溶化法等を用いることができる。
得られた可溶化処理後のコラーゲンは、例えば塩酸水溶液、酢酸水溶液、乳酸水溶液等の酸水溶液で固形分濃度が1〜15重量%、好ましくは2〜10重量%程度であり、pH2〜4.5の範囲のコラーゲン原液に調製される。なお、得られたコラーゲン原液は、必要に応じて減圧攪拌下で脱泡を施し、水不溶分である細かいゴミを除去するために濾過を行ってもよい。
得られたコラーゲン原液を、紡糸ノズルやスリットを通して無機塩水溶液に吐出することにより再生コラーゲン繊維を形成できる。
コラーゲン原料を可溶化処理するに際し、アルカリ及び/又は酵素と同時に又はアルカリ及び/酵素で可溶化処理した後に、脂肪酸系化合物を添加することが好ましい。得られた再生コラーゲン繊維が脂肪酸系化合物を含むことになり、光沢がより人毛に近似するようになる。上記再生コラーゲン繊維は、コラーゲン成分100重量部に対して脂肪酸系化合物を1〜15重量部含有することが好ましい。コラーゲン成分100重量部に対する脂肪酸系化合物の含有量が1重量部以上であると、再生コラーゲン繊維の光沢が人毛に近似するとともに、比重が軽くなることで軽量感を得ることができる。また、コラーゲン成分100重量部に対する脂肪酸系化合物の含有量が15重量部以下であると、光沢が人毛に近似するとともに、脂肪酸系化合物が繊維表面にブリードアウトすることがなく良好な触感を得ることができる。上記再生コラーゲン繊維における脂肪酸系化合物の含有量の下限は、コラーゲン成分100重量部に対して2重量部以上であることがより好ましく、3重量部以上であることがさらに好ましい。上記再生コラーゲン繊維における脂肪酸系化合物の含有量の上限は、コラーゲン成分100重量部に対して12重量部以下であることがより好ましく、9重量部以下であることがさらに好ましい。上記脂肪酸系化合物は、脂肪酸における炭素数が8〜32の脂肪酸、脂肪酸エステル及び脂肪酸アルカリ金属塩からなる群から選ばれる一つ以上の化合物であることが好ましい。より好ましくは、上記脂肪酸系化合物は、脂肪酸における炭素数が8〜32の脂肪酸、脂肪酸エステル及び脂肪酸アルカリ金属塩からなる群から選ばれる一つ以上の化合物であり、融点が20℃以下且つ20℃において水に対する溶解度が1g/100cc以下の化合物である。このような脂肪酸系化合物としては、具体的には、オレイン酸、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸ブチル、オレイン酸オクチル、オレイン酸ラウリル、オレイン酸オレイル、リノール酸、リノール酸メチル、リノール酸エチル、リノール酸ブチル、リノール酸オクチル、リノール酸ラウリル、リノール酸オレイル等が挙げられる。
本発明において、再生コラーゲン繊維における脂肪酸系化合物の含有量は、以下のように測定する。まず、再生コラーゲン繊維を105℃のオーブンで1時間乾燥させて水分を除去する。次に、水分を除去した繊維2gをクロロホルム:メタノール=1:1(質量比)の溶剤に1時間浸漬させて油成分を溶解させ、繊維と溶剤を除去して残った成分(溶解成分)の重量を測定する。次に溶解成分をTHF(テトラヒドロフラン)にさらに溶解して、ガスクロマトグラフ(Agilent Technologies社製、「GC6890N」)でTHFに溶解した溶解成分の分析を行い、検出ピークのMSスペクトルをライブラリー検索して、脂肪酸系化合物の特定と溶解成分中の脂肪酸系化合物の含有量を求める。そして、下記式により、コラーゲン成分100重量部に対する脂肪酸系化合物の含有量を求める。なお、下記において、金属酸化物換算の金属化合物の含有量は、後述する通りに測定したものである。
コラーゲン成分100重量部に対する脂肪酸系化合物の含有量(重量部)=[溶解成分中の脂肪酸系化合物の含有量/(100−金属酸化物換算の金属化合物の含有量−溶解成分中の脂肪酸系化合物の含有量)]×100
コラーゲン成分100重量部に対する脂肪酸系化合物の含有量(重量部)=[溶解成分中の脂肪酸系化合物の含有量/(100−金属酸化物換算の金属化合物の含有量−溶解成分中の脂肪酸系化合物の含有量)]×100
上記再生コラーゲン繊維は、有機架橋剤や金属化合物と反応させて耐水化させたものが好ましい。このような処理により、コラーゲンに着色が少なくなり、また、吸水率が低下し、湿触感が良好になる。
上記有機架橋剤としては、特に限定されないが、単官能エポキシ化合物が、コラーゲンの着色が少なく、また、繊維の吸水率を低下させる効果が高い点から好ましい。上記単官能エポキシ化合物は、特に限定されないが、例えば、酸化エチレン、酸化プロピレン、酸化ブチレン、酸化イソブチレン、酸化オクテン、酸化スチレン、酸化メチルスチレン、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、グリシドール等のオレフィン酸化物類、グリシジルメチルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、オクチルグリシジルエーテル、ノニルグリシジルエーテル、ウンデシルグリシジルエーテル、トリデシルグリシジルエーテル、ペンタデシルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ジブロモフェニルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテル、ポリエチレンオキシドグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類、蟻酸グリシジル、酢酸グリシジル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、安息香酸グリシジル等のグリシジルエステル類、グリシジルアミド類等が挙げられる。
上記金属化合物としては、特に限定されないが、アルミニウム塩が、コラーゲンの着色が少なく、得られる再生コラーゲン繊維に湿潤時のコシが加わり、湿触感が改良される点から好ましい。ここで用いられるアルミニウム塩は特に限定されないが、例えば、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム及び塩基性硫酸アルミニウム等が挙げられる。これらのアルミニウム塩は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記再生コラーゲン繊維は、耐熱収縮性や不燃化の観点から、金属化合物を金属酸化物換算で10重量%以上含むことが好ましく、13重量%以上含むことがより好ましい。また、上記再生コラーゲン繊維における金属酸化物換算の金属化合物の含有量の上限は、特に限定されないが、軽量感の観点から、40重量%以下であることが好ましく、35重量%以下であることがより好ましい。
上記再生コラーゲン繊維は、耐熱収縮性や不燃化の観点から、アルミニウム塩をアルミニウム酸化物換算で10重量%以上含むことが好ましく、13重量%以上含むことがより好ましい。また、上記再生コラーゲン繊維におけるアルミニウム酸化物換算のアルミニウム塩の含有量の上限は、特に限定されないが、軽量感の観点から、40重量%以下であることが好ましく、35重量%以下であることがより好ましい。
上記再生コラーゲン繊維における金属酸化物換算の金属化合物の含有量は、下記のように測定・算出することができる。まず、再生コラーゲン繊維を105℃のオーブンで1時間乾燥させて水分を除去する。水分を除去した繊維0.1gをTFM(テトラフルオロメタキシール)製分解容器に精秤し、硫酸(36N)1.5mL、硝酸(16N)5.0mL、及びフッ酸(28N)0.5mLを加えて50mLに定容した後、マイクロウェーブ分解装置で繊維の加圧酸分解を行う。得られた繊維の分解液を試料とし、ICP発光分析装置(島津製作所製「ICPS−8100」)を用い、各種金属元素に対応する測定波長下、ICP発光分光分析法で試料中の金属元素含有量を絶対検量線法で測定する。ICP発光分光分析法による測定で得られた金属元素の含有量を、金属酸化物における金属元素の分子量と金属酸化物の分子量の割合に基づいて、金属酸化物の含有量に換算して、繊維中の金属酸化物換算の金属化合物の含有量を求める。金属元素がアルミニウム(Al)の場合、測定波長を396.153nmとする。そして、ICP発光分光分析法による測定で得られたAl元素の含有量を、アルミニウム酸化物の含有量(Al2O3/Al2=101.96/53.96より、アルミニウム酸化物の含有量=Al元素含有量×1.89)に換算し、繊維中のアルミニウム酸化物換算のアルミニウム塩の含有量を求める。
上記再生コラーゲン繊維は、通常、オイリング処理して用いられる。上記オイリング処理に用いられる繊維処理剤としては、例えば、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等のエマルジョンやプルロニック型ポリエーテル系静電防止剤からなる油剤等を用いることができる。
上記再生コラーゲン繊維は、人工毛髪に適するという観点から、繊度が10〜100dtexであることが好ましい。上記再生コラーゲン繊維の繊度の下限値は、より好ましくは20dtex以上であり、さらに好ましくは35dtex以上である。上記再生コラーゲン繊維の繊度の上限値は、より好ましくは90dtex以下であり、さらに好ましくは80dtex以下である。
<人毛>
本発明において、人毛とは、ヒトの天然毛髪に由来する繊維である。上記人毛としては、例えば、天然毛髪を用いることができる。また、上記人毛としては、天然毛髪にキューティクル除去処理や、殺菌、脱色、染色、光沢付与処理等を施して得られる繊維であり、従来から天然毛髪に由来する繊維として毛髪用繊維の用途に用いられている繊維を用いてもよい。
本発明において、人毛とは、ヒトの天然毛髪に由来する繊維である。上記人毛としては、例えば、天然毛髪を用いることができる。また、上記人毛としては、天然毛髪にキューティクル除去処理や、殺菌、脱色、染色、光沢付与処理等を施して得られる繊維であり、従来から天然毛髪に由来する繊維として毛髪用繊維の用途に用いられている繊維を用いてもよい。
(毛髪用繊維束)
本発明の毛髪用繊維束は、毛髪用繊維束100重量%に対して、難燃性ポリエステル系繊維Aを10〜80重量%、再生コラーゲン繊維を10〜80重量%及び人毛を5〜40重量%含む。これにより、触感、光沢、難燃性、耐熱性及びカール保持力が総合的に実用的なレベルに達した毛髪用繊維束が得られる。難燃性ポリエステル系繊維Aの含有量が低すぎると、難燃性やカール保持力が低くなる。また、再生コラーゲン繊維の含有量が低すぎても、難燃性が低下する恐れがある。また、人毛の含有量が多すぎると、難燃性やカール保持力が低下する。難燃性ポリエステル系繊維Aの含有量が多すぎると、人毛とはかけ離れた触感になりやすい。再生コラーゲン繊維の含有量が多すぎると、カール保持力や耐熱性が低下する。
本発明の毛髪用繊維束は、毛髪用繊維束100重量%に対して、難燃性ポリエステル系繊維Aを10〜80重量%、再生コラーゲン繊維を10〜80重量%及び人毛を5〜40重量%含む。これにより、触感、光沢、難燃性、耐熱性及びカール保持力が総合的に実用的なレベルに達した毛髪用繊維束が得られる。難燃性ポリエステル系繊維Aの含有量が低すぎると、難燃性やカール保持力が低くなる。また、再生コラーゲン繊維の含有量が低すぎても、難燃性が低下する恐れがある。また、人毛の含有量が多すぎると、難燃性やカール保持力が低下する。難燃性ポリエステル系繊維Aの含有量が多すぎると、人毛とはかけ離れた触感になりやすい。再生コラーゲン繊維の含有量が多すぎると、カール保持力や耐熱性が低下する。
光沢、難燃性、耐熱性及びカール保持力により優れるという観点から、上記毛髪用繊維束における難燃性ポリエステル系繊維Aの含有量の下限は、毛髪用繊維束100重量%に対して20重量%以上であることが好ましく、30重量%以上であることがより好ましく、40重量%以上であることがさらに好ましい。触感を人毛により近似させるという観点から、上記毛髪用繊維束における難燃性ポリエステル系繊維Aの含有量の上限は、毛髪用繊維束100重量%に対して70重量%以下であることが好ましく、60重量%以下であることがより好ましい。
カール保持力及び耐熱性が向上するという観点から、上記毛髪用繊維束における再生コラーゲン繊維の含有量の上限は、毛髪用繊維束100重量%に対して70重量%以下であることが好ましく、60重量%以下であることがより好ましく、50重量%以下であることがさらに好ましい。難燃性及びカール保持力が向上するという観点から、上記毛髪用繊維束における人毛の含有量の上限は、毛髪用繊維束100重量%に対して35重量%以下であることが好ましく、30重量%以下であることがより好ましく、25重量%以下であることがさらに好ましい。光沢、触感及び耐熱性に優れるという観点から、上記毛髪用繊維束における人毛の含有量の下限は、毛髪用繊維束100重量%に対して10重量%以上であることが好ましい。
上記毛髪用繊維束は、さらに、難燃性ポリエステル系繊維Bを含んでもよい。難燃性ポリエステル系繊維Bは、難燃性ポリエステル系繊維A以外の難燃性ポリエステル系繊維である。難燃性ポリエステル系繊維Bは、LOI値が23以上であり、好ましくは25以上であり、より好ましくは27以上である。難燃性ポリエステル系繊維Bに含まれる難燃剤は特に限定されないが、気相難燃が可能な臭素系難燃剤で難燃化された難燃性ポリエステル系繊維であることが好ましい。頭髪製品として自然な外観を得る上では、繊維の光沢に適度なバラツキを持たせる方法が有効であるため、やや光沢の高い難燃性ポリエステル系繊維Bを適量混ぜることで、より人毛に近い外観を得ることができる。気相難燃が可能な臭素系難燃剤としては、特に限定されないが、上述した臭素化エポキシ系難燃剤、臭素化ポリカーボート難燃剤、臭素化ベンジルアクリレート難燃剤等を用いることができる。光沢、触感、難燃性、カール保持力及び耐熱性を総合的に良好にするという観点から、上記毛髪用繊維束100重量%に対して、難燃性ポリエステル系繊維Aを10〜60重量%、難燃性ポリエステル系繊維Bを10〜50重量%、再生コラーゲン繊維Bを10〜50重量%、人毛を10〜25重量%含むことが好ましい。より好ましくは、上記毛髪用繊維束100重量%に対して、難燃性ポリエステル系繊維Aを40重量%以上、難燃性ポリエステル系繊維Aと難燃性ポリエステル系繊維Bを合計で80重量%以下、再生コラーゲン繊維Bを10〜50重量%、人毛を10〜25重量%含む。
また、上記毛髪用繊維束は、本発明の効果を阻害しない範囲内において、さらに、獣毛、非難燃性ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維及びモダアクリル繊維からなる群から選ばれる少なくとも1つの繊維を含んでもよい。
上記毛髪用繊維束は、燃焼試験において、燃焼時間が5秒以下であり、難燃性が良好である。好ましくは、燃焼試験において、ドリップが発生しない。より好ましくは、ドリップが発生せず、燃焼時間が2秒以下であり、さらに好ましくは、ドリップが発生せず、燃焼時間が1秒以下である。本発明において、燃焼試験は、以下のように行う。まず、長さ150mmの毛髪用繊維束0.7g分を束ね、一方の端をクランプで挟んでスタンドに有効長120mmになるように固定して垂直に垂らす。次に、固定した毛髪用繊維束に20mmの炎を3秒間接炎して燃焼させ、燃焼時間とドリップの有無を観察・測定する。
上記毛髪用繊維束は、140℃のヘアーアイロンでカールセットしても柔らかさや滑らかさ等の触感にほとんど変化がなく、耐熱性が良好である。好ましくは、160℃のヘアーアイロンでカールセットしても柔らかさや滑らかさ等の触感にほとんど変化がない。より好ましくは、180℃のヘアーアイロンでカールセットしても柔らかさや滑らかさ等の触感にほとんど変化がない。
上記毛髪用繊維束は、カール保持力が高いという観点から、ヘアーアイロンでカールセットした際、カールセット7日後のカールの伸び率が50%以下であることが好ましく、40%以下であることがより好ましく、30%以下であることがさらに好ましく、20%以下であることが特に好ましい。上記毛髪用繊維束のカールセット7日後のカールの伸び率は、以下のとおりに測定することができる。まず、長さが63.5cmの毛髪用繊維束5.0gを束ね、ハックリングにて意図的に繊維間のズレを作り、毛髪用繊維束の長さを70cmとする。その後、毛髪用繊維束の中央を紐で括り、2つ折りにして紐の部分を固定し、毛先から30cmの部分をインシュロックで固定する。次に、180℃に加熱したヘアーアイロン(米国Belson Products社製、「GOLD N HOT Professional Ceramic Spring Curling Iron 1−1/4inch GH2150」)にて毛髪用繊維束の先端を掴み、繊維束を固定している根元に巻き上げ、3秒間保持した後、カール形状が崩れないように手の上に乗せ、1秒以内に手を離してカールを付与する。カールを付与した毛髪用繊維束の端を固定しているインシュロックから毛髪用繊維束の下端までの長さ(初期カール長さ)を計測する。その後、カールセットした毛髪用繊維束を、上記のように根元を固定したままの状態で7日間静置させる。7日後、該毛髪用繊維束の端を固定しているインシュロックのから毛髪用繊維束の下端までの長さ(7日後のカール長さ)を計測し、カールセット7日後のカールの伸び率を下記式で算出する。
カールの伸び率(%)=100−[(30−7日後のカール長さ)/(30−初期カール長さ)]×100
カールの伸び率(%)=100−[(30−7日後のカール長さ)/(30−初期カール長さ)]×100
上記毛髪用繊維束を用いて頭飾製品を形成することができる。上記頭飾製品としては、特に限定されないが、例えば、ヘアーウィッグ、かつら、ウィービング、ヘアーエクステンション、ブレードヘアー、ヘアーアクセサリー、ドールヘアー等が挙げられる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<製造例1>
ポリエチレンテレフタレート(三菱化学株式会社製、商品名「BK−2180」)100重量部、臭素化エポキシ系難燃剤(阪本薬品工業株式会社製、商品名「SR−T2MP」)20重量部及び三酸化アンチモン(日本精鉱株式会社製、商品名「PATOX−M」)2重量部を混合した混合物を水分量100ppm以下に乾燥した。乾燥後の混合物に顔料のトータル濃度(含有量)が0.7重量%になるとともに、黒色顔料(大日精化工業株式会社製、商品名「PESM22367BLACK(100)D」):黄色顔料(大日精化工業株式会社製、商品名「PESM1001YELLOW(100)D」):赤色顔料(大日精化工業株式会社製、商品名「PESM3005RED(100)D」)の重量割合が60:25:15になるように顔料を添加してドライブレンドした。得られたポリエステル樹脂組成物を二軸押出機(日本製鋼所株式会社製、商品名「TEX44」)に供給し、バレル設定温度270℃で溶融混練し、ペレット化した。得られたペレットを水分率100ppm以下に乾燥させた。次いで、乾燥したペレットを、溶融紡糸機(シンコーマシナリー株式会社製、商品名「SV30」)に供給し、バレル設定温度270℃で、扁平比が1.4:1の繭形断面ノズル孔を有する紡糸口金より溶融ポリマーを吐出し、20℃の冷却風により空冷し、100m/分の速度で巻き取って未延伸糸を得た。得られた未延伸糸を、75℃に加熱したヒートロールを用いて3.5倍に延伸し、180℃に加熱したヒートロールで熱処理し、30m/分の速度で巻き取り、繊度が約65dtex程度の難燃性ポリエステル系繊維A(マルチフィラメント)を得た。
ポリエチレンテレフタレート(三菱化学株式会社製、商品名「BK−2180」)100重量部、臭素化エポキシ系難燃剤(阪本薬品工業株式会社製、商品名「SR−T2MP」)20重量部及び三酸化アンチモン(日本精鉱株式会社製、商品名「PATOX−M」)2重量部を混合した混合物を水分量100ppm以下に乾燥した。乾燥後の混合物に顔料のトータル濃度(含有量)が0.7重量%になるとともに、黒色顔料(大日精化工業株式会社製、商品名「PESM22367BLACK(100)D」):黄色顔料(大日精化工業株式会社製、商品名「PESM1001YELLOW(100)D」):赤色顔料(大日精化工業株式会社製、商品名「PESM3005RED(100)D」)の重量割合が60:25:15になるように顔料を添加してドライブレンドした。得られたポリエステル樹脂組成物を二軸押出機(日本製鋼所株式会社製、商品名「TEX44」)に供給し、バレル設定温度270℃で溶融混練し、ペレット化した。得られたペレットを水分率100ppm以下に乾燥させた。次いで、乾燥したペレットを、溶融紡糸機(シンコーマシナリー株式会社製、商品名「SV30」)に供給し、バレル設定温度270℃で、扁平比が1.4:1の繭形断面ノズル孔を有する紡糸口金より溶融ポリマーを吐出し、20℃の冷却風により空冷し、100m/分の速度で巻き取って未延伸糸を得た。得られた未延伸糸を、75℃に加熱したヒートロールを用いて3.5倍に延伸し、180℃に加熱したヒートロールで熱処理し、30m/分の速度で巻き取り、繊度が約65dtex程度の難燃性ポリエステル系繊維A(マルチフィラメント)を得た。
<製造例2>
ポリエチレンテレフタレート(三菱化学株式会社製、商品名「BK−2180」)100重量部、臭素化エポキシ系難燃剤(阪本薬品工業株式会社製、商品名「SR−T2MP」)20重量部及びアンチモン酸ナトリウム(日本精鉱株式会社製、商品名「SA−A」)2重量部を混合した混合物を水分量100ppm以下に乾燥した。乾燥後の混合物に顔料のトータル濃度(含有量)が0.7重量%になるとともに、黒色顔料(大日精化工業株式会社製、商品名「PESM22367BLACK(100)D」):黄色顔料(大日精化工業株式会社製、商品名「PESM1001YELLOW(100)D」):赤色顔料(大日精化工業株式会社製、商品名「PESM3005RED(100)D」)の重量割合が60:25:15になるように顔料を添加してドライブレンドした。得られたポリエステル樹脂組成物を用いた以外は、製造例1と同様に溶融混練、溶融紡糸して、繊度が約65dtex程度の難燃性ポリエステル系繊維B(マルチフィラメント)を得た。
ポリエチレンテレフタレート(三菱化学株式会社製、商品名「BK−2180」)100重量部、臭素化エポキシ系難燃剤(阪本薬品工業株式会社製、商品名「SR−T2MP」)20重量部及びアンチモン酸ナトリウム(日本精鉱株式会社製、商品名「SA−A」)2重量部を混合した混合物を水分量100ppm以下に乾燥した。乾燥後の混合物に顔料のトータル濃度(含有量)が0.7重量%になるとともに、黒色顔料(大日精化工業株式会社製、商品名「PESM22367BLACK(100)D」):黄色顔料(大日精化工業株式会社製、商品名「PESM1001YELLOW(100)D」):赤色顔料(大日精化工業株式会社製、商品名「PESM3005RED(100)D」)の重量割合が60:25:15になるように顔料を添加してドライブレンドした。得られたポリエステル樹脂組成物を用いた以外は、製造例1と同様に溶融混練、溶融紡糸して、繊度が約65dtex程度の難燃性ポリエステル系繊維B(マルチフィラメント)を得た。
<製造例3>
牛の床皮をコラーゲン原料として用いた。アルカリで可溶化した皮片に過酸化水素水溶液(濃度:30重量%)を投入後、乳酸水溶液で溶解し、pHが3.5、固形分が7.5重量%になるように調整してコラーゲン原液を作製した。得られたコラーゲン原液を減圧下で撹拌脱泡機((株)ダルトン製、8DMV型)により撹拌脱泡処理し、ピストン式紡糸原液タンクに移送し、さらに減圧下で静置して、脱泡を行った。脱泡後のコラーゲン原液をピストンで押し出した後、ギアポンプで定量送液し、孔径10μmの焼結フィルターで濾過した。濾過後のコラーゲン原液を、孔径0.275mm、孔長0.5mm、孔数300の丸形状の紡糸ノズルを通し、25℃の凝固浴(硫酸ナトリウム20重量%を含有し、ホウ酸及び水酸化ナトリウムでpH11に調整)へ紡出速度5m/分で吐出した。得られた再生コラーゲン繊維を、エピクロロヒドリン1.7重量%、水酸化ナトリウム0.0246重量%及び硫酸ナトリウム(東ソー社製、中性無水芒硝)17重量%を含有した水溶液(耐水化反応液)に25℃で4時間浸漬した後、さらに耐水化反応液の温度を43℃に昇温して2時間浸漬し、耐水化反応を行った。耐水化反応終了後に耐水化反応液を除去し、25℃の水を用いて3回バッチ水洗を行った。この後、硫酸アルミニウム(日本軽金属社製、硫酸バンド)5.0重量%、クエン酸三ナトリウム塩(扶桑化学工業社製、精製クエン酸ナトリウムM)0.9重量%、水酸化ナトリウム1.2重量%を含有する水溶液(耐水化反応液)に30℃で浸漬し、さらに耐水化反応を行った。反応開始から2時間後、3時間後及び4時間後にそれぞれ5重量%の水酸化ナトリウム水溶液を反応液に添加した。その後、25℃の水を用いて3回バッチ水洗を行った。次いで、得られた再生コラーゲン繊維をアミノ変性シリコーンのエマルジョン及びプルロニック型ポリエーテル系静電防止剤からなる油剤を満たした浴槽に浸漬して油剤を付着させた。油剤の付着後、50℃に調整した熱風対流式乾燥機を用いて緊張下で乾燥させ、繊度が82dtexの再生コラーゲン繊維を得た。
牛の床皮をコラーゲン原料として用いた。アルカリで可溶化した皮片に過酸化水素水溶液(濃度:30重量%)を投入後、乳酸水溶液で溶解し、pHが3.5、固形分が7.5重量%になるように調整してコラーゲン原液を作製した。得られたコラーゲン原液を減圧下で撹拌脱泡機((株)ダルトン製、8DMV型)により撹拌脱泡処理し、ピストン式紡糸原液タンクに移送し、さらに減圧下で静置して、脱泡を行った。脱泡後のコラーゲン原液をピストンで押し出した後、ギアポンプで定量送液し、孔径10μmの焼結フィルターで濾過した。濾過後のコラーゲン原液を、孔径0.275mm、孔長0.5mm、孔数300の丸形状の紡糸ノズルを通し、25℃の凝固浴(硫酸ナトリウム20重量%を含有し、ホウ酸及び水酸化ナトリウムでpH11に調整)へ紡出速度5m/分で吐出した。得られた再生コラーゲン繊維を、エピクロロヒドリン1.7重量%、水酸化ナトリウム0.0246重量%及び硫酸ナトリウム(東ソー社製、中性無水芒硝)17重量%を含有した水溶液(耐水化反応液)に25℃で4時間浸漬した後、さらに耐水化反応液の温度を43℃に昇温して2時間浸漬し、耐水化反応を行った。耐水化反応終了後に耐水化反応液を除去し、25℃の水を用いて3回バッチ水洗を行った。この後、硫酸アルミニウム(日本軽金属社製、硫酸バンド)5.0重量%、クエン酸三ナトリウム塩(扶桑化学工業社製、精製クエン酸ナトリウムM)0.9重量%、水酸化ナトリウム1.2重量%を含有する水溶液(耐水化反応液)に30℃で浸漬し、さらに耐水化反応を行った。反応開始から2時間後、3時間後及び4時間後にそれぞれ5重量%の水酸化ナトリウム水溶液を反応液に添加した。その後、25℃の水を用いて3回バッチ水洗を行った。次いで、得られた再生コラーゲン繊維をアミノ変性シリコーンのエマルジョン及びプルロニック型ポリエーテル系静電防止剤からなる油剤を満たした浴槽に浸漬して油剤を付着させた。油剤の付着後、50℃に調整した熱風対流式乾燥機を用いて緊張下で乾燥させ、繊度が82dtexの再生コラーゲン繊維を得た。
<製造例4>
牛の床皮をコラーゲン原料として用いた。アルカリで可溶化した皮片に過酸化水素水溶液(濃度:30重量%)とオレイン酸(融点:16.3℃、20℃において水に対する溶解度:1g/100cc以下)5重量%を投入後、乳酸水溶液で溶解し、pHが3.5、固形分が7.5重量%になるように調整してコラーゲン原液を作製した以外は、製造例3と同様にして、繊度が82dtexの再生コラーゲン繊維を得た。
牛の床皮をコラーゲン原料として用いた。アルカリで可溶化した皮片に過酸化水素水溶液(濃度:30重量%)とオレイン酸(融点:16.3℃、20℃において水に対する溶解度:1g/100cc以下)5重量%を投入後、乳酸水溶液で溶解し、pHが3.5、固形分が7.5重量%になるように調整してコラーゲン原液を作製した以外は、製造例3と同様にして、繊度が82dtexの再生コラーゲン繊維を得た。
<製造例5>
牛の床皮をコラーゲン原料として用いた。アルカリで可溶化した皮片に過酸化水素水溶液(濃度:30重量%)とオレイン酸メチル(融点:−20℃、20℃において水に対する溶解度:1g/100cc以下)5重量%を投入後、乳酸水溶液で溶解し、pHが3.5、固形分が7.5重量%になるように調整してコラーゲン原液を作製した以外は、製造例3と同様にして、繊度が82dtexの再生コラーゲン繊維を得た。
牛の床皮をコラーゲン原料として用いた。アルカリで可溶化した皮片に過酸化水素水溶液(濃度:30重量%)とオレイン酸メチル(融点:−20℃、20℃において水に対する溶解度:1g/100cc以下)5重量%を投入後、乳酸水溶液で溶解し、pHが3.5、固形分が7.5重量%になるように調整してコラーゲン原液を作製した以外は、製造例3と同様にして、繊度が82dtexの再生コラーゲン繊維を得た。
製造例1で得られた難燃性ポリエステル系繊維A及び製造例2で得られた難燃性ポリエステル系繊維BのLOI値を下記のように測定し、その結果を下記表1に示した。また、製造例1で得られた難燃性ポリエステル系繊維A及び製造例2で得られた難燃性ポリエステル系繊維Bにおいて、繊維軸方向に対して平行方向の断面における臭素化エポキシ系難燃剤の凝集体の針状比、対角幅、360μm2あたりの個数を下記のように測定し、その結果を下記表1に示した。
<LOI値>
LOI値は、JIS L 1091 E法(酸素指数法試験)に準じて測定した。具体的には、フィラメント(長さ16cm、重さ0.25g)の両端を軽く両面テープでまとめ、懸撚器で挟み撚りをかけた。十分に撚りがかかったら、真中で二つに折り撚り合わせた。撚り合わせたフィラメントの両端をセロファン(登録商標)テープで止め、全長7cmになるようにした。得られた試料は、105℃にて60分間前乾燥を行ない、さらにデシケーターで30分以上乾燥させた。乾燥した試料を所定の酸素濃度に調整し、40秒後8〜12mmに絞った点火器で、上部より着火し、着火後点火器を離した。5cm以上燃えるか、3分以上燃え続けた酸素濃度を調べ、同じ条件で試験を3回繰り返し、限界酸素指数(LOI値)とした。
LOI値は、JIS L 1091 E法(酸素指数法試験)に準じて測定した。具体的には、フィラメント(長さ16cm、重さ0.25g)の両端を軽く両面テープでまとめ、懸撚器で挟み撚りをかけた。十分に撚りがかかったら、真中で二つに折り撚り合わせた。撚り合わせたフィラメントの両端をセロファン(登録商標)テープで止め、全長7cmになるようにした。得られた試料は、105℃にて60分間前乾燥を行ない、さらにデシケーターで30分以上乾燥させた。乾燥した試料を所定の酸素濃度に調整し、40秒後8〜12mmに絞った点火器で、上部より着火し、着火後点火器を離した。5cm以上燃えるか、3分以上燃え続けた酸素濃度を調べ、同じ条件で試験を3回繰り返し、限界酸素指数(LOI値)とした。
<臭素化エポキシ系難燃剤の凝集体の評価>
臭素化エポキシ系難燃剤の凝集体の対角幅、針状比及び一定面積あたりの個数は、下記分析方法で観察・測定した。繊維軸方向に対して平行方向の断面の断面作製(イオンミリング加工)は、クロスセクションポリッシャー(CP)装置(日本電子株式会社製「SM−09020CP」)を用い、加速電圧6kVの加工条件で行った。形態観察は、電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)装置(カールツァイス製「ULTRA plus」を用い、加速電圧2kV下で観察した。試料の組成像は平均原子番号に依存するため、重元素がある部分では明るく、軽元素がある部分では暗い像が得られる。今回、試料はポリエチレンテレフタレート、臭素化エポキシ系難燃剤、アンチモン化合物を含むため、組成像は、(1)アンチモン化合物、(2)臭素化エポキシ系難燃剤、(3)ポリエチレンテレフタレートの順で明るい像が得られる。すなわち、ポリエチレンテレフタレートの像が一番暗い。得られた画像から、画像解析ソフト(三谷商事株式会社製「winROOF」)を用い、臭素化エポキシ系難燃剤の凝集体の対角幅、針状比、360μm2あたりの個数を測定した。
臭素化エポキシ系難燃剤の凝集体の対角幅、針状比及び一定面積あたりの個数は、下記分析方法で観察・測定した。繊維軸方向に対して平行方向の断面の断面作製(イオンミリング加工)は、クロスセクションポリッシャー(CP)装置(日本電子株式会社製「SM−09020CP」)を用い、加速電圧6kVの加工条件で行った。形態観察は、電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)装置(カールツァイス製「ULTRA plus」を用い、加速電圧2kV下で観察した。試料の組成像は平均原子番号に依存するため、重元素がある部分では明るく、軽元素がある部分では暗い像が得られる。今回、試料はポリエチレンテレフタレート、臭素化エポキシ系難燃剤、アンチモン化合物を含むため、組成像は、(1)アンチモン化合物、(2)臭素化エポキシ系難燃剤、(3)ポリエチレンテレフタレートの順で明るい像が得られる。すなわち、ポリエチレンテレフタレートの像が一番暗い。得られた画像から、画像解析ソフト(三谷商事株式会社製「winROOF」)を用い、臭素化エポキシ系難燃剤の凝集体の対角幅、針状比、360μm2あたりの個数を測定した。
製造例3〜5で得られた再生コラーゲン繊維における金属酸化物換算の金属化合物の含有量及び脂肪酸系化合物の含有量を下記のように測定・算出し、その結果を下記表2に示した。
<金属酸化物換算の金属化合物の含有量>
再生コラーゲン繊維を105℃のオーブンで1時間乾燥させて水分を除去した。水分を除去した繊維0.1gをTFM(テトラフルオロメタキシール)製分解容器に精秤し、硫酸(36N)1.5mL、硝酸(16N)5.0mL、及びフッ酸(28N)0.5mLを加えて50mLに定容した後、マイクロウェーブ分解装置で繊維の加圧酸分解を行った。得られた繊維の分解液を試料とし、ICP発光分析装置(島津製作所製「ICPS−8100」)を用い、各種金属元素に対応する測定波長下、ICP発光分光分析法で試料中の金属元素含有量を絶対検量線法で測定した。ICP発光分光分析法による測定で得られた金属元素の含有量を、金属酸化物における金属元素の分子量と金属酸化物の分子量の割合に基づいて、金属酸化物の含有量に換算して、繊維中の金属酸化物換算の金属化合物の含有量を求めた。製造例3〜5の再生コラーゲン繊維がアルミニウム塩を含むため、即ち、金属元素がアルミニウム(Al)であるため、測定波長を396.153nmとし、ICP発光分光分析法による測定で得られたAl元素の含有量を、アルミニウム酸化物の含有量(Al2O3/Al2=101.96/53.96より、アルミニウム酸化物の含有量=Al元素含有量×1.89)に換算し、繊維中のアルミニウム酸化物換算のアルミニウム塩の含有量を求めた。
再生コラーゲン繊維を105℃のオーブンで1時間乾燥させて水分を除去した。水分を除去した繊維0.1gをTFM(テトラフルオロメタキシール)製分解容器に精秤し、硫酸(36N)1.5mL、硝酸(16N)5.0mL、及びフッ酸(28N)0.5mLを加えて50mLに定容した後、マイクロウェーブ分解装置で繊維の加圧酸分解を行った。得られた繊維の分解液を試料とし、ICP発光分析装置(島津製作所製「ICPS−8100」)を用い、各種金属元素に対応する測定波長下、ICP発光分光分析法で試料中の金属元素含有量を絶対検量線法で測定した。ICP発光分光分析法による測定で得られた金属元素の含有量を、金属酸化物における金属元素の分子量と金属酸化物の分子量の割合に基づいて、金属酸化物の含有量に換算して、繊維中の金属酸化物換算の金属化合物の含有量を求めた。製造例3〜5の再生コラーゲン繊維がアルミニウム塩を含むため、即ち、金属元素がアルミニウム(Al)であるため、測定波長を396.153nmとし、ICP発光分光分析法による測定で得られたAl元素の含有量を、アルミニウム酸化物の含有量(Al2O3/Al2=101.96/53.96より、アルミニウム酸化物の含有量=Al元素含有量×1.89)に換算し、繊維中のアルミニウム酸化物換算のアルミニウム塩の含有量を求めた。
<脂肪酸系化合物の含有量>
まず、再生コラーゲン繊維を105℃のオーブンで1時間乾燥させて水分を除去した。次に、水分を除去した繊維2gをクロロホルム:メタノール=1:1(質量比)の溶剤に1時間浸漬させて油成分を溶解させ、繊維と溶剤を除去して残った成分(溶解成分)の重量を測定した。次に溶解成分をTHF(テトラヒドロフラン)にさらに溶解して、ガスクロマトグラフ(Agilent Technologies社製、「GC6890N」)でTHFに溶解した溶解成分の分析を行い、検出ピークのMSスペクトルをライブラリー検索して、脂肪酸系化合物の特定と溶解成分中の脂肪酸系化合物の含有量を求めた。そして、下記式により、コラーゲン成分100重量部に対する脂肪酸系化合物の含有量を求めた。なお、下記において、金属酸化物換算の金属化合物の含有量は、上述した通りに測定したものである。
コラーゲン成分100重量部に対する脂肪酸系化合物の含有量(重量部)={溶解成分中の脂肪酸系化合物の含有量/(100−金属酸化物換算の金属化合物の含有量−溶解成分中の脂肪酸系化合物の含有量)}×100
まず、再生コラーゲン繊維を105℃のオーブンで1時間乾燥させて水分を除去した。次に、水分を除去した繊維2gをクロロホルム:メタノール=1:1(質量比)の溶剤に1時間浸漬させて油成分を溶解させ、繊維と溶剤を除去して残った成分(溶解成分)の重量を測定した。次に溶解成分をTHF(テトラヒドロフラン)にさらに溶解して、ガスクロマトグラフ(Agilent Technologies社製、「GC6890N」)でTHFに溶解した溶解成分の分析を行い、検出ピークのMSスペクトルをライブラリー検索して、脂肪酸系化合物の特定と溶解成分中の脂肪酸系化合物の含有量を求めた。そして、下記式により、コラーゲン成分100重量部に対する脂肪酸系化合物の含有量を求めた。なお、下記において、金属酸化物換算の金属化合物の含有量は、上述した通りに測定したものである。
コラーゲン成分100重量部に対する脂肪酸系化合物の含有量(重量部)={溶解成分中の脂肪酸系化合物の含有量/(100−金属酸化物換算の金属化合物の含有量−溶解成分中の脂肪酸系化合物の含有量)}×100
(実施例1〜8、比較例1〜9)
製造例1で得られた難燃性ポリエステル系繊維A(以下において、「PET−A」とも記す。)、製造例2で得られた難燃性ポリエステル系繊維B(以下において、「PET−B」とも記す。)、製造例3〜5で得られた再生コラーゲン繊維(以下において、「TS」とも記す。)及び人毛(繊度68dtex、市販の中国人頭髪)を下記表3に示す配合割合で混合し、毛髪用繊維束(トータル繊度30万dtex)を得た。
製造例1で得られた難燃性ポリエステル系繊維A(以下において、「PET−A」とも記す。)、製造例2で得られた難燃性ポリエステル系繊維B(以下において、「PET−B」とも記す。)、製造例3〜5で得られた再生コラーゲン繊維(以下において、「TS」とも記す。)及び人毛(繊度68dtex、市販の中国人頭髪)を下記表3に示す配合割合で混合し、毛髪用繊維束(トータル繊度30万dtex)を得た。
実施例1〜8及び比較例1〜9で得られた毛髪用繊維束の光沢、触感、難燃性、カール保持力及び耐熱性を下記のように測定・評価し、その結果を下記表3に示した。また、光沢、触感、難燃性、カール保持力及び耐熱性について総合評価を行い、その結果を下記表3に示した。
(光沢)
目視により、人毛(市販の中国人頭髪)と比較して、下記の5段階の基準で光沢を官能評価した。
A:人毛の光沢とほぼ同等である
B:人毛の光沢とほとんど差がなく、違和感はない
C:人毛の光沢と差はあるが、違和感はあまりない
D:人毛の光沢と差があり、若干の違和感はあるが、頭髪製品として使用できるレベル
E:人毛の光沢と差が大きく、頭髪製品として用いるのに支障がある
目視により、人毛(市販の中国人頭髪)と比較して、下記の5段階の基準で光沢を官能評価した。
A:人毛の光沢とほぼ同等である
B:人毛の光沢とほとんど差がなく、違和感はない
C:人毛の光沢と差はあるが、違和感はあまりない
D:人毛の光沢と差があり、若干の違和感はあるが、頭髪製品として使用できるレベル
E:人毛の光沢と差が大きく、頭髪製品として用いるのに支障がある
(触感)
目視により、人毛(市販の中国人頭髪)と比較して、下記の5段階の基準で触感を官能評価した。
A:人毛とほぼ同等の柔らかく滑らかな触感
B:人毛の触感とはほとんど差がなく、違和感はない
C:人毛の触感とは差はあるが、違和感はあまりない
D:人毛の触感と差があり、若干の違和感はあるが、頭髪製品として使用できるレベル
E:人毛の触感と差が大きく、頭髪製品として用いるのに支障がある
目視により、人毛(市販の中国人頭髪)と比較して、下記の5段階の基準で触感を官能評価した。
A:人毛とほぼ同等の柔らかく滑らかな触感
B:人毛の触感とはほとんど差がなく、違和感はない
C:人毛の触感とは差はあるが、違和感はあまりない
D:人毛の触感と差があり、若干の違和感はあるが、頭髪製品として使用できるレベル
E:人毛の触感と差が大きく、頭髪製品として用いるのに支障がある
(カール保持力)
長さが63.5cmの毛髪用繊維束5.0gを束ね、ハックリングにて意図的に繊維間のズレを作り、毛髪用繊維束の長さを70cmとした。その後、毛髪用繊維束の中央を紐で括り、2つ折りにして紐の部分を固定し、毛先から30cmの部分をインシュロックで固定した。次に、180℃に加熱したヘアーアイロン(米国Belson Products社製、「GOLD N HOT Professional Ceramic Spring Curling Iron 1−1/4inch GH2150」)にて毛髪用繊維束の先端を掴み、繊維束を固定している根元に巻き上げ、3秒間保持した後、カール形状が崩れないように手の上に乗せ、1秒以内に手を離してカールを付与した。カールを付与した毛髪用繊維束の端を固定しているインシュロックから毛髪用繊維束の下端までの長さ(初期カール長さ)を計測した。その後、カールセットした毛髪用繊維束を、上記のように根元を固定したままの状態で7日間静置させた。7日後、該毛髪用繊維束の端を固定しているインシュロックから毛髪用繊維束の下端までの長さ(7日後のカール長さ)を計測し、カールセット7日後のカールの伸び率を下記式で算出した。なお、下記のカールの伸び率の計算式において、初期カール長さ及び7日後のカール長さは、いずれもcmの単位で示す値である。そして、カールの伸び率の値に基づいて、カール保持力を下記の5段階の基準で評価した。
カールの伸び率(%)=100−[(30−7日後のカール長さ)/(30−初期カール長さ)]×100
A:カールセット7日後のカールの伸び率が20%以下
B:カールセット7日後のカールの伸び率が20%超30%以下
C:カールセット7日後のカールの伸び率が30%超40%以下
D:カールセット7日後のカールの伸び率が40%超50%以下
E:カールセット7日後のカールの伸び率が50%超
長さが63.5cmの毛髪用繊維束5.0gを束ね、ハックリングにて意図的に繊維間のズレを作り、毛髪用繊維束の長さを70cmとした。その後、毛髪用繊維束の中央を紐で括り、2つ折りにして紐の部分を固定し、毛先から30cmの部分をインシュロックで固定した。次に、180℃に加熱したヘアーアイロン(米国Belson Products社製、「GOLD N HOT Professional Ceramic Spring Curling Iron 1−1/4inch GH2150」)にて毛髪用繊維束の先端を掴み、繊維束を固定している根元に巻き上げ、3秒間保持した後、カール形状が崩れないように手の上に乗せ、1秒以内に手を離してカールを付与した。カールを付与した毛髪用繊維束の端を固定しているインシュロックから毛髪用繊維束の下端までの長さ(初期カール長さ)を計測した。その後、カールセットした毛髪用繊維束を、上記のように根元を固定したままの状態で7日間静置させた。7日後、該毛髪用繊維束の端を固定しているインシュロックから毛髪用繊維束の下端までの長さ(7日後のカール長さ)を計測し、カールセット7日後のカールの伸び率を下記式で算出した。なお、下記のカールの伸び率の計算式において、初期カール長さ及び7日後のカール長さは、いずれもcmの単位で示す値である。そして、カールの伸び率の値に基づいて、カール保持力を下記の5段階の基準で評価した。
カールの伸び率(%)=100−[(30−7日後のカール長さ)/(30−初期カール長さ)]×100
A:カールセット7日後のカールの伸び率が20%以下
B:カールセット7日後のカールの伸び率が20%超30%以下
C:カールセット7日後のカールの伸び率が30%超40%以下
D:カールセット7日後のカールの伸び率が40%超50%以下
E:カールセット7日後のカールの伸び率が50%超
(難燃性)
長さ150mmの毛髪用繊維束0.7g分を束ね、一方の端をクランプで挟んでスタンドに有効長120mmになるように固定して垂直に垂らした。固定した毛髪用繊維束に20mmの炎を3秒間接炎して燃焼させ、燃焼時間とドリップの有無を観察・測定した。そして、燃焼時間及びドリップの有無に基づいて、下記の5段階の基準で難燃性を評価した。
A:ドリップが無く、燃焼時間1秒以下
B:ドリップが無く、燃焼時間1秒超2秒以下
C:ドリップが無く、燃焼時間2秒超5秒以下
D:ドリップが有り、燃焼時間5秒超
E:ドリップの有無に関わらず、燃焼時間5秒超
長さ150mmの毛髪用繊維束0.7g分を束ね、一方の端をクランプで挟んでスタンドに有効長120mmになるように固定して垂直に垂らした。固定した毛髪用繊維束に20mmの炎を3秒間接炎して燃焼させ、燃焼時間とドリップの有無を観察・測定した。そして、燃焼時間及びドリップの有無に基づいて、下記の5段階の基準で難燃性を評価した。
A:ドリップが無く、燃焼時間1秒以下
B:ドリップが無く、燃焼時間1秒超2秒以下
C:ドリップが無く、燃焼時間2秒超5秒以下
D:ドリップが有り、燃焼時間5秒超
E:ドリップの有無に関わらず、燃焼時間5秒超
(耐熱性)
ヘアーアイロンでのカールセット前後の触感(柔らかさと滑らかさ)の変化に基づいて、下記の5段階の基準で判断した。
A:180℃のヘアーアイロンでカールセットしても触感に変化無し
B:180℃のヘアーアイロンでカールセットした場合、触感に若干変化はあるが、頭髪製品として問題ない
C:160℃のヘアーアイロンでカールセットした場合、触感に若干変化はあるが、頭髪製品として問題ない
D:140℃のヘアーアイロンでカールセットした場合、触感に若干変化はあるが、頭髪製品として問題ない
E:140℃のヘアーアイロンでカールセットした場合、触感に大きな変化があり、頭髪製品として用いるのに支障がある
ヘアーアイロンでのカールセット前後の触感(柔らかさと滑らかさ)の変化に基づいて、下記の5段階の基準で判断した。
A:180℃のヘアーアイロンでカールセットしても触感に変化無し
B:180℃のヘアーアイロンでカールセットした場合、触感に若干変化はあるが、頭髪製品として問題ない
C:160℃のヘアーアイロンでカールセットした場合、触感に若干変化はあるが、頭髪製品として問題ない
D:140℃のヘアーアイロンでカールセットした場合、触感に若干変化はあるが、頭髪製品として問題ない
E:140℃のヘアーアイロンでカールセットした場合、触感に大きな変化があり、頭髪製品として用いるのに支障がある
(総合評価)
実施例1〜8及び比較例1〜9で得られた毛髪用繊維束の光沢、触感、難燃性、カール保持力及び耐熱性を総合評価した。具体的には、各項目の評価結果において、A判定を5点と、B判定を4点と、C判定を3点と、D判定を2点と、E判定を-5点と点数付けし、光沢、触感、難燃性、カール保持力及び耐熱性の評価結果の点数を合計し、各項目の評価結果の点数及び合計点数に基づいて、下記の4段階の基準で光沢、触感、難燃性、カール保持力及び耐熱性を総合的に評価した。
A(非常に優れる):光沢、触感、難燃性、カール保持力及び耐熱性のいずれの評価結果も2点以上であり、且つ合計点数が20点以上である。
B(優れる):光沢、触感、難燃性、カール保持力及び耐熱性のいずれの評価結果も2点以上であり、且つ合計点数が17点以上19点以下である。
C(やや優れる):光沢、触感、難燃性、カール保持力及び耐熱性のいずれの評価結果も2点以上であり、且つ合計点数が14点以上16点以下である。
D(劣る):光沢、触感、難燃性、カール保持力及び耐熱性の少なくとも一つの評価結果が-5点であり、且つ合計点数が13点以下である。
実施例1〜8及び比較例1〜9で得られた毛髪用繊維束の光沢、触感、難燃性、カール保持力及び耐熱性を総合評価した。具体的には、各項目の評価結果において、A判定を5点と、B判定を4点と、C判定を3点と、D判定を2点と、E判定を-5点と点数付けし、光沢、触感、難燃性、カール保持力及び耐熱性の評価結果の点数を合計し、各項目の評価結果の点数及び合計点数に基づいて、下記の4段階の基準で光沢、触感、難燃性、カール保持力及び耐熱性を総合的に評価した。
A(非常に優れる):光沢、触感、難燃性、カール保持力及び耐熱性のいずれの評価結果も2点以上であり、且つ合計点数が20点以上である。
B(優れる):光沢、触感、難燃性、カール保持力及び耐熱性のいずれの評価結果も2点以上であり、且つ合計点数が17点以上19点以下である。
C(やや優れる):光沢、触感、難燃性、カール保持力及び耐熱性のいずれの評価結果も2点以上であり、且つ合計点数が14点以上16点以下である。
D(劣る):光沢、触感、難燃性、カール保持力及び耐熱性の少なくとも一つの評価結果が-5点であり、且つ合計点数が13点以下である。
上記表3の結果から分かるように、実施例1〜8の毛髪用繊維束は、光沢、触感、難燃性、カール保持力及び耐熱性の全てが、頭髪製品として用いることができるレベルに達していた。また、光沢、触感、難燃性、カール保持力及び耐熱性の総合評価もやや優れるというC以上の判定になっていた。特に、毛髪用繊維束100重量%に対して、難燃性ポリエステル系繊維Aを40重量%以上、難燃性ポリエステル系繊維Aと難燃性ポリエステル系繊維Bを合計で80重量%以下含み、再生コラーゲン繊維を10〜50重量%、人毛を10〜25重量%含む実施例1〜7では、光沢、触感、難燃性、カール保持力及び耐熱性の総合評価が優れるというB以上の判定になっていた。また、実施例1〜3の対比から、脂肪酸系化合物を含む再生コラーゲン繊維を用いた場合、毛髪用繊維束の光沢がより人毛に近似することが分かった。
一方、難燃性ポリエステル系繊維Aを含まず、難燃性ポリエステル系繊維B、再生コラーゲン繊維及び人毛を含む比較例1の毛髪用繊維束は、光沢が悪かった。再生コラーゲン繊維と人毛のみを含む比較例2の毛髪用繊維束は、難燃性、カール保持力及び耐熱性のいずれも悪かった。毛髪用繊維束100重量%に対する難燃性ポリエステル系繊維Aの含有量が10重量%未満である比較例3の毛髪用繊維束は、難燃性及びカール保持力が悪かった。毛髪用繊維束100重量%に対する難燃性ポリエステル系繊維Aの含有量が80重量%を超える比較例4の毛髪用繊維束は、触感が悪かった。再生コラーゲン繊維を含まない比較例5及び毛髪用繊維束100重量%に対する再生コラーゲン繊維の含有量が10重量%未満である比較例6の毛髪用繊維束は、難燃性が悪かった。毛髪用繊維束100重量%に対する再生コラーゲン繊維の含有量が80重量%を超える比較例7の毛髪用繊維束は、カール保持力及び耐熱性が悪かった。人毛を含まない比較例8の毛髪用繊維束は、耐熱性が悪かった。毛髪用繊維束100重量%に対する人毛の含有量が40重量%を超える比較例9の毛髪用繊維束は、難燃性が悪かった。また、比較例1〜9の毛髪用繊維束は、光沢、触感、難燃性、カール保持力及び耐熱性の総合評価が劣るという判定になっていた。
100 繊維軸方向に対して平行方向の断面
10 ポリエステル樹脂
20 臭素化エポキシ系難燃剤の凝集体
10 ポリエステル樹脂
20 臭素化エポキシ系難燃剤の凝集体
Claims (9)
- 難燃性ポリエステル系繊維A、再生コラーゲン繊維及び人毛を含む毛髪用繊維束であって、
前記毛髪用繊維束100重量%に対して、難燃性ポリエステル系繊維Aを10〜80重量%、再生コラーゲン繊維を10〜80重量%及び人毛を5〜40重量%含み、
難燃性ポリエステル系繊維Aは、ポリエステル樹脂100重量部に対して臭素化エポキシ系難燃剤を5重量部以上40重量部以下含み、前記ポリエステル樹脂は、ポリアルキレンテレフタレート及び/又はポリアルキレンテレフタレートを主体とする共重合ポリエステルであり、
難燃性ポリエステル系繊維Aは、繊維軸方向に対して平行方向の断面において、ポリエステル樹脂中に島状に分散している臭素化エポキシ系難燃剤の凝集体を有することを特徴とする毛髪用繊維束。 - 難燃性ポリエステル系繊維Aは、繊維軸方向に対して平行方向の断面において、360μm2あたりに、針状比が2以上20以下且つ対角幅が0.05μm以上である臭素化エポキシ系難燃剤の凝集体を50個以上有する請求項1に記載の毛髪用繊維束。
- 難燃性ポリエステル系繊維Aは、酸化アンチモン化合物を1.5重量部以上7重量部未満含有する請求項1又は2に記載の毛髪用繊維束。
- 前記再生コラーゲン繊維は、金属酸化物換算で10重量%以上の金属化合物を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の毛髪用繊維束。
- 前記再生コラーゲン繊維は、コラーゲン成分100重量部に対して脂肪酸系化合物を1〜15重量部含有し、前記脂肪酸系化合物は、脂肪酸における炭素数が8〜32の脂肪酸、脂肪酸エステル及び脂肪酸アルカリ金属塩からなる群から選ばれる一つ以上の化合物であり、融点が20℃以下であり、且つ20℃において水に対する溶解度が1g/100cc以下の化合物である請求項1〜4のいずれか1項に記載の毛髪用繊維束。
- 前記毛髪用繊維束は、さらに難燃性ポリエステル系繊維Bを含み、前記毛髪用繊維束100重量%に対して、難燃性ポリエステル系繊維Aを10〜60重量%、難燃性ポリエステル系繊維Bを10〜50重量%、再生コラーゲン繊維を10〜50重量%、人毛を10〜25重量%含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の毛髪用繊維束。
- 前記毛髪用繊維束は、さらに、獣毛、非難燃性ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維及びモダアクリル繊維からなる群から選ばれる少なくとも1つの繊維を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の毛髪用繊維束。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の毛髪用繊維束を含むことを特徴とする頭飾製品。
- 前記頭飾製品が、ヘアーウィッグ、かつら、ウィービング、ヘアーエクステンション、ブレードヘアー、ヘアーアクセサリー及びドールヘアーからなる群から選ばれる一つである請求項8に記載の頭飾製品。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013232097A JP2015094033A (ja) | 2013-11-08 | 2013-11-08 | 毛髪用繊維束及びそれを含む頭飾製品 |
ZA2014/06575A ZA201406575B (en) | 2013-11-08 | 2014-09-05 | Fiber bundle for hair ,and hair ornament product including the same |
AP2014007935A AP2014007935A0 (en) | 2013-11-08 | 2014-09-10 | Fiber bundle for hair, and hair ornament product including the same |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013232097A JP2015094033A (ja) | 2013-11-08 | 2013-11-08 | 毛髪用繊維束及びそれを含む頭飾製品 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015094033A true JP2015094033A (ja) | 2015-05-18 |
Family
ID=52211097
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013232097A Pending JP2015094033A (ja) | 2013-11-08 | 2013-11-08 | 毛髪用繊維束及びそれを含む頭飾製品 |
Country Status (3)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2015094033A (ja) |
AP (1) | AP2014007935A0 (ja) |
ZA (1) | ZA201406575B (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2017094702A1 (ja) * | 2015-12-02 | 2017-06-08 | 株式会社カネカ | 全頭かつら |
WO2017104808A1 (ja) * | 2015-12-18 | 2017-06-22 | 株式会社カネカ | 全頭かつら |
-
2013
- 2013-11-08 JP JP2013232097A patent/JP2015094033A/ja active Pending
-
2014
- 2014-09-05 ZA ZA2014/06575A patent/ZA201406575B/en unknown
- 2014-09-10 AP AP2014007935A patent/AP2014007935A0/xx unknown
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2017094702A1 (ja) * | 2015-12-02 | 2017-06-08 | 株式会社カネカ | 全頭かつら |
WO2017104808A1 (ja) * | 2015-12-18 | 2017-06-22 | 株式会社カネカ | 全頭かつら |
JPWO2017104808A1 (ja) * | 2015-12-18 | 2018-10-11 | 株式会社カネカ | 全頭かつら |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
AP2014007935A0 (en) | 2014-09-30 |
ZA201406575B (en) | 2015-12-23 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR102285778B1 (ko) | 인공모용 수지 조성물 및 그 성형체 | |
KR100769509B1 (ko) | 난연성 폴리에스테르계 인공 모발 | |
JPWO2005100650A1 (ja) | 難燃性ポリエステル系人工毛髪 | |
JP2005042234A (ja) | 難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維 | |
JP4819502B2 (ja) | 難燃性ポリエステル系人工毛髪繊維 | |
JP5651270B2 (ja) | ポリエステル系人工毛髪用繊維及びそれを含む頭飾製品、並びにその製造方法 | |
JP2003221733A (ja) | 難燃性ポリエステル系人工頭髪用繊維 | |
EP1679013A1 (en) | Fiber for hair use improved in curling property and head decoration product comprising the same | |
JP2008285772A (ja) | 人工毛髪およびそれからなる頭飾製品 | |
JP2007297737A (ja) | 人工毛髪用ポリエステル系繊維 | |
JP2005120533A (ja) | ポリエステル系人工毛髪用繊維 | |
JP2015094033A (ja) | 毛髪用繊維束及びそれを含む頭飾製品 | |
JP2015066234A (ja) | 人工毛髪用ポリエステル系繊維、それを含む毛髪用繊維束及び頭飾製品 | |
JPWO2006121054A1 (ja) | 人工毛髪用ポリエステル系繊維 | |
JP2007126786A (ja) | 人工毛髪用繊維 | |
KR20100045626A (ko) | 인공모발용 폴리아미드계 섬유 및 그 제조 방법 | |
JP2015094050A (ja) | 人工毛髪用ポリエステル系繊維及びそれを含む頭飾製品 | |
JP4742760B2 (ja) | 難燃性ポリエステル系人工毛髪 | |
JP4912713B2 (ja) | 人工毛髪およびそれからなる頭飾製品 | |
WO2007049561A1 (ja) | ポリエステル系人工毛髪 | |
JP2005273072A (ja) | 難燃性ポリエステル系人工毛髪 | |
JP2009235626A (ja) | 難燃性ポリエステル系人工毛髪 | |
JP2005325504A (ja) | 難燃性ポリエステル系人工毛髪 | |
JP2007217805A (ja) | 人工毛髪およびそれからなる頭飾製品 | |
OA17851A (en) | Fiber bundle for hair, and hair ornament product including the same. |