JP2015093389A - 変性エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物の保存方法 - Google Patents

変性エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物の保存方法 Download PDF

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Abstract

【課題】脂肪族ポリエステルがグラフトされた変性EVOH樹脂ペレットが保存中に合着しないような保存方法を提供する。
【解決手段】脂肪族ポリエステル、たとえばεーカプロラクトン類のような開環重合性化合物がグラフト化された変性EVOH樹脂ペレットの保存温度をX(℃)、保存湿度をY(%RH)としたとき、下記式を満たす環境下で該変性EVOH樹脂ペレットを保存することで、変性EVOH樹脂ペレットの保存中での合一を防止する。Y<−2.2X+130変性EVOH樹脂のガラス転移点が、10〜50℃である。
【選択図】なし

Description

本発明は、脂肪族ポリエステルがグラフトされた変性エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物(以下、「変性EVOH樹脂」と称することがある)の保存方法に関し、更に詳しくは、変性EVOH樹脂を合着させずに保存することができる変性EVOH樹脂の保存方法に関するものである。
エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物(以下、「EVOH樹脂」と称することがある)は、高分子側鎖に存在する水酸基同士の水素結合のため、非常に強い分子間力を有する。それゆえに、結晶性が高く、非晶部分においても分子間力が高いため、気体分子等はEVOH樹脂を用いたフィルムを通過しにくく、EVOH樹脂を用いたフィルムは優れたガスバリア性を示す。
EVOH樹脂を用いたフィルムは、その優れたガスバリア性を利用して、食料品をはじめとする各種の包装用フィルムとして多用されている。 しかしながら、EVOH樹脂は硬くて脆い樹脂であり、柔軟性に欠けるという欠点を有している。そのため、包装材料、成形材料に使用したときに、繰り返し折り曲げて使用すると屈曲疲労等によりクラックやピンホールを生じ、その優れた性能を保持することができなくなるなどの問題があった。
かかる問題点を解決する手段として、EVOH樹脂の存在下におけるラクトン類の開環重合反応による、EVOH樹脂の水酸基にエステル結合によって脂肪族ポリエステルがグラフトされた変性EVOH樹脂が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平9−208638
一般的な未変性EVOH樹脂は、通常、ペレット形状で流通しており、かかるEVOH樹脂ペレットは、通常、空気を封入した密閉容器中で保存され、その保存温度、保存湿度については特に配慮されずとも、問題なく保存可能であった。
しかしながら、特許文献1の変性EVOH樹脂ペレットを、未変性EVOH樹脂ペレットと同様に常温で保存した場合、かかるペレット同士が合着する問題が生じた。
変性EVOH樹脂ペレットが合着した場合、溶融押出成形時の押出機のホッパーから安定な供給ができなくなることや、押出機内での溶融位置や樹脂の充満率が変化し、吐出が不安定になることや、押出中に機械への負荷が変化するなどの問題となることが判明した。
したがって、本発明は、変性EVOH樹脂ペレットが合着しない保存方法の提供を目的とするものである。
本発明者は上記実情に鑑み鋭意検討した結果、変性EVOH樹脂の保存温度をX(℃)、保存湿度をY(%RH)とし、下記式を満たす環境下で該EVOH樹脂を保存することにより、該EVOH樹脂が合着しないことを見出し、本発明を完成した。
Y<−2.2X+130
すなわち、本発明は、変性EVOH樹脂を保存するにあたり、保存環境下における温度と湿度の関係性を見出したのが最大の特徴である。
本発明の変性EVOH樹脂の保存方法は、変性EVOH樹脂を合着させずに保存することができるという効果を有する。
以下、本発明の構成につき詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものであり、これらの内容に特定されるものではない。
<変性EVOH樹脂の説明>
本発明の変性EVOH樹脂は、EVOH樹脂の水酸基にラクトン類を開環重合させて、脂肪族ポリエステルがグラフトしてなる樹脂である。
変性EVOH樹脂における幹を形成するEVOH樹脂単位の含有量としては、通常40〜99重量%であり、好ましくは45〜95重量%であり、特に好ましくは50〜90重量%であり、この幹にグラフトした脂肪族ポリエステル単位の含有量としては、通常1〜60重量%であり、好ましくは5〜55重量%であり、特に好ましくは10〜50重量%である。EVOH樹脂の単位量が高すぎると、柔軟性悪化の傾向があり、一方で、EVOH樹脂の単位量が低すぎるとガスバリア性悪化の傾向がある。
なお、上記の変性EVOH樹脂中のEVOH樹脂単位の含有量、およびグラフトした脂肪族ポリエステル単位の含有量は、H−NMR測定結果から算出することができる。
変性EVOH樹脂中の変性率としては、通常は0.1〜30モル%であり、さらに好ましくは1〜20モル%、特に好ましくは5〜15モル%である。かかる変性率は、EVOH樹脂構造単位のうち、脂肪族ポリエステルがグラフトされた割合を意味する。変性EVOH樹脂中の変性率が低すぎると、柔軟性が悪化する傾向があり、一方で、変性EVOH樹脂中の変性率が高すぎると、ガスバリア性が悪化する傾向がある。
なお、上記の変性EVOH樹脂中の変性率は、H−NMR測定結果から算出することができる。
変性EVOH樹脂中の脂肪族ポリエステル単位の平均鎖長としては、通常1.0〜3.0個であり、好ましくは1.0〜2.5個であり、特に好ましくは1.0〜2.0個である。脂肪族ポリエステル単位の平均鎖長が長すぎると、ガスバリア性が低下する傾向になる。
なお、上記の変性EVOH樹脂中の脂肪族ポリエステル単位の平均鎖長は、H−NMR測定結果から算出することができる。
変性EVOH樹脂の数平均分子量(GPCで測定した標準ポリスチレン換算)としては、通常10000〜300000であり、好ましくは12500〜200000であり、特に好ましくは15000〜100000である。変性EVOH樹脂の数平均分子量が高すぎると、バリア性低下の傾向があり、一方で、変性EVOH樹脂の数平均分子量が低すぎると柔軟性低下の傾向がある。
なお、上記の変性EVOH樹脂中の数平均分子量は、GPC測定結果から算出することができる。
変性EVOH樹脂の融点としては、通常50〜190℃であり、好ましくは60〜160℃であり、特に好ましくは70〜120℃である。変性EVOH樹脂の融点が高すぎると、柔軟性低下の傾向があり、一方で、変性EVOH樹脂の融点が低すぎるとバリア性低下の傾向がある。
一般に、脂肪族ポリエステルがグラフトされることにより、骨格のEVOH樹脂における水酸基同士の水素結合等の分子間力が弱くなるため、変性EVOH樹脂中の変性率が高くなると、変性EVOH樹脂の融点が低くなる傾向がある。
なお、上記の変性EVOH樹脂の融点は、示差走査熱量計を用いて測定することができる。
変性EVOH樹脂のガラス転移点としては、通常10〜50℃であり、好ましくは15〜45℃であり、特に好ましくは20〜40℃である。変性EVOH樹脂のガラス転移点が溶融押出成形時の押出機のホッパーから安定な供給ができなくなる傾向があり、一方で、変性EVOH樹脂のガラス転移点が低すぎるとの傾向がある。
なお、上記の変性EVOH樹脂のガラス転移点は、示差走査熱量計を用いて測定することができる。
変性EVOH樹脂には、本発明の効果を阻害しない範囲(例えば樹脂組成物の5重量%以下)において、一般にEVOH樹脂に配合する配合剤、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、滑剤、可塑剤、光安定剤、界面活性剤、抗菌剤、乾燥剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、架橋剤、硬化剤、発泡剤、結晶核剤、防曇剤、生分解用添加剤、シランカップリング剤などが含有されていてもよい。
変性EVOH樹脂は、通常ペレット形状にて市場流通し、各種溶融成形に供される。かかるペレットの形状は、例えば、球形、円柱形、立方体形、直方体形等があるが、通常、球状(ラグビーボール状)または円柱形であり、その大きさは、後に成形材料として用いる場合の利便性の観点から、球状の場合は径が通常1〜6mm、好ましくは2〜5mm、特に好ましくは2.5〜4.5mmであり、高さは通常1〜6mm、好ましくは1.5〜5mm、特に好ましくは2〜3.5mmであり、円柱状の場合は底面の直径が通常1〜6mm、好ましくは2〜5mm、特に好ましくは2.5〜4.5mmであり、長さは通常1〜6mm、好ましくは2〜5mm、特に好ましくは2〜3.5mmである。
<変性EVOH樹脂の保存方法>
本発明は、変性EVOH樹脂を保存する方法において、変性EVOH樹脂の保存温度をX(℃)、保存湿度をY(%RH)とし、下記式を満たす環境下で該変性EVOH樹脂を保存又は流通することにより、該変性EVOH樹脂が合着しないことを見出したものである。
Y<−2.2X+130
すなわち、本発明は、変性EVOH樹脂を保存するにあたり、保存環境下における温度と湿度の関係性を見出したのが最大の特徴である。
なお、該式は、本発明の実施例4と本発明の比較例1のほぼ中点、及び本発明の実施例6と本発明の比較例3のほぼ中点を結ぶ線を数式化したものである。
変性EVOH樹脂の保存温度:X(℃)としては、通常0〜60℃であり、好ましくは5〜50℃であり、特に好ましくは10〜40℃である。変性EVOH樹脂の保存温度が低すぎると変性EVOH樹脂が硬くなりすぎて押出成形しにくい傾向があり、一方で、変性EVOH樹脂の保存温度が高すぎると、変性EVOH樹脂が柔らかくなり、合着が起こる傾向がある。
変性EVOH樹脂の保存湿度:Y(%RH)としては、通常0〜100%RHであり、好ましくは0〜95%RHであり、特に好ましくは0〜90%RHである。変性EVOH樹脂の保存湿度が高すぎると、合着が起こる傾向がある。
<変性EVOH樹脂の製造方法>
本発明の変性EVOH樹脂は、EVOH樹脂の存在下でラクトン類を開環重合し、脂肪族ポリエステルを形成させる方法によって製造することができる。
[EVOH樹脂]
まず、本発明の変性EVOH樹脂の原料であるEVOH樹脂について説明する。
本発明で用いるEVOH樹脂は、通常、エチレンとビニルエステル系モノマーを共重合させた後にケン化させることにより得られる樹脂であり、非水溶性の熱可塑性樹脂である。上記ビニルエステル系モノマーは、経済的な面から、一般的には酢酸ビニルが用いられる。重合法も公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合を用いることができるが、一般的にはメタノールを溶媒とする溶液重合が用いられる。得られたエチレン−ビニルエステル共重合体のケン化も公知の方法で行い得る。
すなわち、EVOH樹脂は、エチレン構造単位とビニルアルコール構造単位を主とし、ケン化されずに残存した若干量のビニルエステル構造単位を含むものである。
本発明で用いるEVOH樹脂におけるエチレン構造単位の含有量は、通常20〜60モル%、好ましくは25〜50モル%、特に好ましくは29〜45モル%である。かかる含有量が低すぎる場合は、柔軟性が悪化する傾向があり、逆に高すぎる場合は、ガスバリア性が不足する傾向がある。
かかるエチレン構造単位の含有量は、例えば、ISO14663に準じて計測することができる。
EVOH樹脂におけるビニルエステル成分のケン化度は、通常80〜100モル%、好ましくは90〜99.99モル%、特に好ましくは99〜99.99モル%である。かかるケン化度が低すぎる場合には柔軟性が悪化する傾向がある。
かかるビニルエステル成分のケン化度は、例えば、JIS K6726(ただし、EVOH樹脂は水/メタノール溶媒に均一に溶解した溶液にて)に準じて計測することができる。
EVOH樹脂のメルトフローレート(MFR)(210℃、荷重2,160g)は、通常1〜50g/10分であり、好ましくは1.5〜25g/10分、特に好ましくは2〜20g/10分である。MFRが大きすぎる場合には、バリア性が悪化する傾向があり、小さすぎる場合には柔軟性が悪化する傾向がある。
EVOH樹脂としては、その平均値が、上記要件を充足する組合せであれば、エチレン含有率、ケン化度、MFRが異なる2種以上のEVOH樹脂を混合して用いてもよい。
また、本発明に用いられるEVOH樹脂には、以下に示すコモノマーに由来する構造単位が、さらに含まれていてもよい。前記コモノマーは、プロピレン、イソブテン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のα−オレフィン、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、3−ブテン−1、2−ジオール等のヒドロキシ基含有α−オレフィン類やそのエステル化物、アシル化物などのヒドロキシ基含有α−オレフィン誘導体、不飽和カルボン酸又はその塩・部分アルキルエステル・完全アルキルエステル・ニトリル・アミド・無水物、不飽和スルホン酸又はその塩、ビニルシラン化合物、塩化ビニル、スチレン等のコモノマーである。
さらに、ウレタン化、アセタール化、シアノエチル化、オキシアルキレン化等の「後変性」されたEVOH系樹脂を用いることもできる。
以上のような変性物の中でも、共重合によって一級水酸基が側鎖に導入されたEVOH樹脂は、延伸処理や真空・圧空成形などの二次成形性が良好になる点で好ましく、中でも1,2−ジオール構造を側鎖に有するEVOH樹脂が好ましい。
[脂肪族ポリエステル]
本発明の変性EVOH樹脂は、EVOH樹脂の存在下でラクトン類を開環重合し、脂肪族ポリエステルを形成させる方法によって製造することができる。
かかるグラフト反応による脂肪族ポリエステルの形成は、EVOH樹脂の水酸基を開始末端とするものである。
以下、EVOH樹脂の存在下におけるラクトン類のグラフト反応について詳しく説明する。
ラクトン類としては、開環重合により脂肪族ポリエステルを形成する環を構成する炭素原子の数が3〜10であるラクトン類であれば特に制限されない。このようなラクトン類は、置換基を有さない場合には下記一般式で表され、nは2〜9の整数である。好ましくは、nが4〜5である。又、上記式中のアルキレン鎖−(CH2 )n −のいずれかの炭素原子が、少なくとも1個の、炭素数が1〜8程度の低級アルキル基及び低級アルコキシ基、シクロアルキル基、フェニル基、アラルキル基等の置換基を有するものであってもよい。
具体的には、β−プロピオラクトン類、γ―ブチロラクトン類、ε−カプロラクトン類、δ−バレロラクトン類等を挙げることができる。
β−プロピオラクトン類としては、β−プロピオラクトン、ジメチルプロピオンラクトン等が挙げられる。
γ−ブチロラクトン類としては、ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−カプリロラクトン、γ−ラウロラクトン、γ−パルミトラクトン、γ−ステアロラクトン、クロトノラクトン、α−アンゲリカラクトン、β−アンゲリカラクトン等を挙げられる。
ε−カプロラクトン類としては、ε−カプロラクトン、モノメチル−ε−カプロラクトン、モノエチル−ε−カプロラクトン、モノデシル−ε−カプロラクトン、モノプロピル−ε−カプロラクトン、モノデシル−ε−カプロラクトン等のモノアルキル−ε−カプロラクトン;2個のアルキル基がε位置以外の炭素原子にそれぞれ置換しているジアルキル−ε−カプロラクトン;3個のアルキル基がε位置以外の炭素原子にそれぞれ置換しているトリアルキル−ε−カプロラクトン;エトキシ−ε−カプロラクトン等のアルコキシ−ε−カプロラクトン;シクロヘキシル−ε−カプロラクトン等のシクロアルキル−ラクトン;ベンジル−ε−カプロラクトン等のアラルキル−ε−カプロラクトン;フェニル−ε−カプロラクトン等のアリール−ε−カプロラクトン等が挙げられる。
δ−バレロラクトン類としては、5−バレロラクトン、3−メチル−5−バレロラクトン、3,3−ジメチル−5−バレロラクトン、2−メチル−5−バレロラクトン、3−エチル−5−バレロラクトン等が挙げられる。
これらのラクトン類は、1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。
これらの中でも、本発明で使用するラクトン類としては、特に限定されないが、反応性の点から、ε−カプロラクトン類およびδ−バレロラクトン類が好ましく、さらに安価かつ容易に入手できる点から、ε−カプロラクトン類がより好ましい。
[製造方法]
EVOH樹脂の存在下におけるラクトン類の開環重合反応およびグラフト反応は、通常、例えば、EVOH樹脂の溶融状態で行われ、例えば、攪拌翼を有する攪拌槽型製造装置中で、加熱、攪拌しながら、あるいは押出機等で行うことができるが、反応時間の制御が容易な攪拌槽型製造装置を用いる方法が好ましく用いられる。
各材料の仕込みは、各々順次行ってもよいし、予め混合して行ってもよい。中でも、先ずEVOH樹脂を仕込み、これに触媒を溶解させたラクトン類を仕込む方法が最も好ましい。かかるラクトン類と触媒の仕込みは、EVOH樹脂を攪拌しながら行う方法が好ましく用いられる。
EVOH樹脂に対するラクトン類の使用量は、所望のグラフトした脂肪族ポリエステル単位の含有量が得られるように適宜選択すればよいが、EVOH樹脂100重量部に対して、ラクトン類を、通常は1〜200重量部、好ましくは10〜150重量部、特に好ましくは20〜100重量部である。使用量が少なすぎると、柔軟性が不足する傾向があり、一方で、使用量が多すぎると、ガスバリア性が低下する傾向がある。
触媒としては、ラクトン類の開環重合触媒として従来公知のものを用いることができる。例えば、チタン系化合物、錫系化合物等をあげることができる。具体的には、テトラ−n−ブトキシチタン、テトライソブトキシチタン、テトライソプロポキシチタンなどのチタニウムアルコキシド、ジブチルジブトキシスズなどのスズアルコキシド、ジブチルスズジアセテートなどのスズエステル化合物などがあげられるが、これらの中でも安価かつ容易に入手できる点からテトラ−n−ブトキシチタンが好ましい。
触媒の使用量は、ラクトン類100重量部に対して、通常は0.01〜1重量部、好ましくは0.03〜0.5重量部、特に好ましくは0.05〜0.3重量部である。使用量が少なすぎると、変性率が低下する傾向があり、一方で、使用量が多すぎると、変性率が低下する傾向がある。
グラフト反応における反応温度としては、通常50〜250℃であり、好ましくは100〜240℃であり、さらに好ましくは溶融状態となる150〜230℃である。反応温度が高すぎると、変性EVOH樹脂が熱劣化する傾向になる。一方で、反応温度が低すぎると、EVOH樹脂のグラフト反応が進行せず、未変性の傾向になる。
グラフト反応における各材料の仕込み時の温度としては、通常、室温であり、例えば、10〜40℃である。
また、EVOH樹脂にラクトン類および触媒を加えた後の昇温速度としては、通常0.1〜50℃/minであり、好ましくは0.15〜10℃/min℃であり、さらに好ましくは0.2〜5℃/minである。昇温速度が高すぎると、EVOH樹脂のグラフト反応が進行せず、未変性の傾向になる。一方で、昇温速度が低すぎると、変性EVOH樹脂が熱劣化する傾向になる。
グラフト反応における反応時間としては、通常10秒〜24時間であり、好ましくは1分〜15時間であり、さらに好ましくは30分〜6時間である。反応時間が長すぎると、変性EVOH樹脂が熱劣化する傾向になる。一方で、反応時間が短すぎると、EVOH樹脂のグラフト反応が進行せず、未変性の傾向になる。
製造装置としては、特に限定されず、例えば、攪拌翼を備えた縦型攪拌製造装置、1軸または2軸の攪拌翼を有した横型攪拌製造装置、押出機などを用いることができる。
攪拌翼としては、特に限定されず、例えば、ダブルヘリカルリボン翼、シングルヘリカルリボン翼、スクリュー翼、V字翼、プロペラ翼、タービン翼、アンカー翼などが挙げられる。中でも、攪拌効率の観点から、ダブルヘリカルリボン翼が好ましい。
攪拌翼の回転数としては、通常1〜200rpmであり、好ましくは3〜100rpmであり、さらに好ましくは5〜80rpmである。回転数が早すぎると、グラフト反応が不均一となる傾向になる。一方で、回転数が遅すぎると、グラフト反応が不均一となる傾向になる。
なお、グラフト反応は、EVOH樹脂の劣化防止の為に、窒素気流下で行うことが好ましい。
グラフト反応後の製造装置から変性EVOHを取り出す方法としては、例えば、製造装置の内部を加圧することにより搬送する方法、変性EVOH樹脂の自重により搬送する方法、及びポンプを用いて搬送する方法が挙げられるが、生産効率の観点から、製造装置の内部を加圧する方法が好ましい。
<変性EVOH樹脂の用途>
かくして保存された本発明の変性EVOH樹脂は、溶融成形により、例えばフィルム、シート、カップやボトルなどに成形することができる。かかる溶融成形方法としては、押出成形法(T−ダイ押出、インフレーション押出、ブロー成形、溶融紡糸、異型押出等)、射出成形法が主として採用される。溶融成形温度は、通常150〜300℃の範囲から選ぶことが多い。
成形物はそのまま各種用途に用いてもよいが、通常はさらに強度を上げたり他の機能を付与したりするために他の基材と積層して積層体とする。
上記の如く得られたフィルム、シート、延伸フィルムからなる袋およびカップ、トレイ、チューブ、ボトル等からなる容器や蓋材は、一般的な食品の他、マヨネーズ、ドレッシング等の調味料、味噌等の発酵食品、サラダ油等の油脂食品、飲料、化粧品、医薬品等の各種の包装材料容器として有用である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、実施例の記載に限定されるものではない。
尚、例中「部」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
<実施例1>
〔変性EVOH樹脂の製造〕
エチレン含有量32モル%、酢酸ビニル部分のケン化度99.6モル%の組成を有するEVOH樹脂100重量部、ε−カプロラクトン30重量部、テトラ−n−ブトキシチタン0.03重量部を縦型攪拌槽型反応装置に仕込み、窒素気流下にて、回転数:30rpmで撹拌しながら、昇温速度:1.5℃/minで25℃から200℃まで昇温し、この温度で3時間グラフト反応させ、脂肪族ポリエステルがグラフトされた変性EVOH樹脂(EVOH樹脂/ε−カプロラクトン=77/23、変性率:7.2モル%、平均鎖長:1.3個、融点:108℃、Tg:30℃、)を得た。得られた変性EVOH樹脂ペレットの寸法は、直径3.9mm、長さ3.1mmの円筒形であった。
〔合着性の評価〕
得られた変性EVOH樹脂ペレット200個を2〜3段に重なるようにアルミカップに入れて、温度:23℃、湿度:0%RHの恒温恒湿機で1週間保存した。
次いで、かかる変性EVOH樹脂ペレット積み重ねたアルミカップを恒温恒湿機から取り出し、変性EVOH樹脂ペレットの合着数を目視観察した。
<実施例2〜6、比較例1〜3>
実施例1において、恒温恒湿機の条件を、表1に示したものとした以外は、実施例1と同様に変性EVOH樹脂を作製し、同様に評価した。
<参考例1>
比較例2において、変性EVOH樹脂の変わりに、未変性EVOH樹脂を用いた以外は、比較例2と同様に評価した。
合着性の評価結果を表1に示す。
[表1]
表1からわかるように、変性EVOH樹脂ペレットを、所定の数式を満たす環境下で保存することにより、変性EVOH樹脂ペレットの合着を抑制することができた。
本発明の変性EVOH樹脂の保存方法は、合着せずに変性EVOH樹脂を保存することができることから、工業的に極めて有用である。

Claims (4)

  1. 脂肪族ポリエステルがグラフトされた変性エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物の保存方法であって、下記式を満たすことを特徴とする変性エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物の保存方法。
    Y<−2.2X+130
    [ここで、Yは保存湿度(%RH)であり、Xは保存温度(℃)である。]
  2. 変性エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物のガラス転移点が、10〜50℃であることを特徴とする請求項1記載の変性エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物の保存方法。
  3. 脂肪族ポリエステルが、ε―カプロラクトン類の開環重合物であることを特徴とする請求項1又は2記載の変性エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物の保存方法。
  4. 変性エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物が、ペレットであることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の変性エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物の保存方法。


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