JP2015093264A - シフト触媒、ガス精製設備及びガス精製方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
使用環境下(還元雰囲気、500℃以下)において、非活性種の生成を抑制してシフト触媒の初期活性を高いレベルで維持することが可能な、耐熱性の高い(健全性の高い)シフト触媒を提供する。
【解決手段】
本発明に係るシフト触媒は、炭素を含む固体燃料のガス化によって生成され、少なくともCOとH2Sとを含む生成ガス中のCOを、H2Oと反応させてH2とCO2に転換するシフト触媒において、
前記シフト触媒は、硫化物を含む活性成分と、前記生成ガス中の硫化物を吸着して前記活性成分の分解を抑制する硫化物吸着成分と、前記活性成分及び前記硫化物吸着成分とを担持する担体とを含むことを特徴とする。
【選択図】図1B
使用環境下(還元雰囲気、500℃以下)において、非活性種の生成を抑制してシフト触媒の初期活性を高いレベルで維持することが可能な、耐熱性の高い(健全性の高い)シフト触媒を提供する。
【解決手段】
本発明に係るシフト触媒は、炭素を含む固体燃料のガス化によって生成され、少なくともCOとH2Sとを含む生成ガス中のCOを、H2Oと反応させてH2とCO2に転換するシフト触媒において、
前記シフト触媒は、硫化物を含む活性成分と、前記生成ガス中の硫化物を吸着して前記活性成分の分解を抑制する硫化物吸着成分と、前記活性成分及び前記硫化物吸着成分とを担持する担体とを含むことを特徴とする。
【選択図】図1B
Description
本発明は、H2S共存下でCOをCO2とH2に変換する耐S性シフト触媒と、その触媒を用いたガス精製設備及びガス精製方法に関する。
石炭、石油及び天然ガス等の燃料を用いて発電する火力発電プラントは、従来から多数稼動している。その中でも、埋蔵量が多くて将来的にも安定供給が可能な石炭を燃料とし、ガス化炉で石炭を一旦ガス化した後に、この生成ガスを発電用の燃料として供給する石炭ガス化複合発電(Integrated Coal GaSification Combined Cycle,IGCC)という技術が、近年注目されている。また、原油や天然ガスの資源枯渇が懸念される中、従来は石油や天然ガスから生産されていた化学製品を石炭から生産するプラントのニーズも高まっており、石炭ガス化プラントは発電用途のみではなく、化学製品の原料となる水素(H2)の製造にも利用されている。
近年、地球温暖化防止の観点から、プラントからの二酸化炭素(CO2)排出量を削減するためにCO2を回収する技術が開発されている。特許文献1や2では、ガス化炉からの生成ガスに含まれる硫化水素(H2S)や硫化カルボニル(COS)中の硫黄(S)分を脱硫設備により除去し、その後、シフト反応器により、この生成ガス中の一酸化炭素(CO)を下記(式1)に示すCOシフト反応によりCO2に変換し、その後、CO2回収設備により、ガス中のCO2を回収する石炭ガス化発電プラントが開示されている。また、化学製品製造向けの石炭ガス化プラントにおいても原料となるH2の高純度化のため、ガス化ガス中のCOをシフト反応によりCO2とH2へ変換する、同様のプロセスが採用されている。
CO+H2O→CO2+H2 (式1)
シフト反応を促進させる触媒としては、例えば1960年代にGirdler社やDuPont社からCu‐Zn系触媒が発表され、現在まで主として工場におけるプラント用などに幅広く利用されている。本触媒は300℃以下の低温領域でシフト性能を有す。また、300℃以上の高温領域で使用可能な触媒として、Fe‐Cr系触媒があり、上記低温シフト触媒と共にプラントにて使用されている。これらの触媒はいずれもS(硫黄)分により被毒されることが知られている。上述した石炭ガス化プラントではガス化ガス中に微量のS分を有すため、上記触媒を使用する際は触媒前段にて脱硫操作が必要となる。したがって、Cu‐Zn系触媒やFe‐Cr系触媒はスイートシフト触媒と称される。シフト反応は発熱反応のため、反応熱により触媒温度は下流ほど上昇する。したがって、触媒の熱劣化を防止する観点から、スイートシフト触媒を用いる場合には、CO濃度が高く反応熱により触媒層の温度上昇が大きくなる条件ではFe‐Cr系触媒を用い、CO濃度が低い条件ではCu‐Zn系を用いるという方法が主流である。
CO+H2O→CO2+H2 (式1)
シフト反応を促進させる触媒としては、例えば1960年代にGirdler社やDuPont社からCu‐Zn系触媒が発表され、現在まで主として工場におけるプラント用などに幅広く利用されている。本触媒は300℃以下の低温領域でシフト性能を有す。また、300℃以上の高温領域で使用可能な触媒として、Fe‐Cr系触媒があり、上記低温シフト触媒と共にプラントにて使用されている。これらの触媒はいずれもS(硫黄)分により被毒されることが知られている。上述した石炭ガス化プラントではガス化ガス中に微量のS分を有すため、上記触媒を使用する際は触媒前段にて脱硫操作が必要となる。したがって、Cu‐Zn系触媒やFe‐Cr系触媒はスイートシフト触媒と称される。シフト反応は発熱反応のため、反応熱により触媒温度は下流ほど上昇する。したがって、触媒の熱劣化を防止する観点から、スイートシフト触媒を用いる場合には、CO濃度が高く反応熱により触媒層の温度上昇が大きくなる条件ではFe‐Cr系触媒を用い、CO濃度が低い条件ではCu‐Zn系を用いるという方法が主流である。
一方で、耐S性を有するシフト触媒も開発されており、代表的なものに特許文献1、2に記載のCo‐Mo系触媒がある。ガス中にH2Sが共存しないとCOシフト活性を発現しないことから、サワーシフト触媒と称される。サワーシフト触媒を用いる場合には、上述したスイートシフト触媒のように、シフト反応前段にて脱硫操作を行う必要がないので、H2S共存下ではスイートシフト触媒よりもサワーシフト触媒の方がコストの観点で有利であるということができる。
上述したように、H2S共存下でシフト反応を行う場合、スイートシフト触媒よりもサワーシフト触媒の方がコストの観点で有利であるが、一般にサワーシフト触媒はスイートシフト触媒よりも反応起動温度が高い(400℃〜500℃)。サワーシフト触媒は反応に供する前に還元硫化処理を施し、活性成分を硫化物に変換する。例えば、活性成分としてモリブデン(Mo)を用いる場合には、活性成分であるMoを下記(式2)の反応にて硫化モリブデン(MoS2)に変換する。MoS2がシフト反応の活性点であると考えられている。しかし、還元雰囲気の下、上述した高い反応起動温度(400℃〜500℃)に曝されることで、下記(式3)に示す反応が進行し、非活性種であるMoSに変換されることも知られている。このような非活性種であるMoSが生成すると、シフト触媒の反応効率が低下する。
MoO3+H2+2H2S→MoS2+3H2O (式2)
MoS2+H2→MoS+H2S (式3)
したがって本発明の目的は、上記事情に鑑み、使用環境下(還元雰囲気、500℃以下)において、非活性種の生成を抑制してシフト触媒の初期活性を高いレベルで維持することが可能な、耐熱性の高い(健全性の高い)シフト触媒を提供すること、及びそのようなシフト触媒を用いたガス精製設備、ガス精製方法を提供することにある。
MoO3+H2+2H2S→MoS2+3H2O (式2)
MoS2+H2→MoS+H2S (式3)
したがって本発明の目的は、上記事情に鑑み、使用環境下(還元雰囲気、500℃以下)において、非活性種の生成を抑制してシフト触媒の初期活性を高いレベルで維持することが可能な、耐熱性の高い(健全性の高い)シフト触媒を提供すること、及びそのようなシフト触媒を用いたガス精製設備、ガス精製方法を提供することにある。
本発明の一態様は、上記目的を達成するため、
炭素を含む固体燃料のガス化によって生成され、少なくともCOとH2Sとを含む生成ガス中のCOを、H2Oと反応させてH2とCO2に転換するシフト触媒において、
前記シフト触媒は、硫化物を含む活性成分と、前記生成ガス中の硫化物を吸着して前記活性成分の分解を抑制する(換言すれば、活性成分の硫化形態を維持する)硫化物吸着成分と、前記活性成分及び前記硫化物吸着成分とを担持する担体とを含むことを特徴とする。
炭素を含む固体燃料のガス化によって生成され、少なくともCOとH2Sとを含む生成ガス中のCOを、H2Oと反応させてH2とCO2に転換するシフト触媒において、
前記シフト触媒は、硫化物を含む活性成分と、前記生成ガス中の硫化物を吸着して前記活性成分の分解を抑制する(換言すれば、活性成分の硫化形態を維持する)硫化物吸着成分と、前記活性成分及び前記硫化物吸着成分とを担持する担体とを含むことを特徴とする。
また本発明の他の一態様は、上記目的を達成するため、
炭素を含む固体燃料をガス化して生成され、少なくともCOとH2Sとを含む生成ガスに含まれる水溶性物質を除去する水洗塔と、
前記水洗塔通過後の前記生成ガスに含まれるCOを、シフト触媒を用いてH2Oと反応させてH2とCO2に転換するシフト反応器と、
前記シフト反応器通過後のガスに含まれるCO2とH2Sとを除去するCO2・H2S回収装置とを備えるガス精製設備において、
前記シフト触媒は、硫化物を含む活性成分と、前記生成ガス中の硫化物を吸着して前記活性成分の分解を抑制する硫化物吸着成分と、前記活性成分及び前記硫化物吸着成分とを担持する担体とを含むことを特徴とする。
炭素を含む固体燃料をガス化して生成され、少なくともCOとH2Sとを含む生成ガスに含まれる水溶性物質を除去する水洗塔と、
前記水洗塔通過後の前記生成ガスに含まれるCOを、シフト触媒を用いてH2Oと反応させてH2とCO2に転換するシフト反応器と、
前記シフト反応器通過後のガスに含まれるCO2とH2Sとを除去するCO2・H2S回収装置とを備えるガス精製設備において、
前記シフト触媒は、硫化物を含む活性成分と、前記生成ガス中の硫化物を吸着して前記活性成分の分解を抑制する硫化物吸着成分と、前記活性成分及び前記硫化物吸着成分とを担持する担体とを含むことを特徴とする。
また本発明の他の一態様は、上記目的を達成するため、
炭素を含む固体燃料をガス化して生成され、少なくともCOとH2Sとを含む生成ガスに含まれる水溶性物質を除去する洗浄工程と、
前記洗浄工程後の前記生成ガスに含まれるCOを、シフト触媒を用いてH2Oと反応させてH2とCO2に転換するシフト工程と、
前記シフト工程後のガスに含まれるCO2とH2Sとを除去するCO2・H2S回収工程とを有するガス精製方法において、
前記シフト触媒は、硫化物を含む活性成分と、前記生成ガス中の硫化物を吸着して前記活性成分の分解を抑制する硫化物吸着成分と、前記活性成分及び前記硫化物吸着成分とを担持する担体とを含むことを特徴とする。
炭素を含む固体燃料をガス化して生成され、少なくともCOとH2Sとを含む生成ガスに含まれる水溶性物質を除去する洗浄工程と、
前記洗浄工程後の前記生成ガスに含まれるCOを、シフト触媒を用いてH2Oと反応させてH2とCO2に転換するシフト工程と、
前記シフト工程後のガスに含まれるCO2とH2Sとを除去するCO2・H2S回収工程とを有するガス精製方法において、
前記シフト触媒は、硫化物を含む活性成分と、前記生成ガス中の硫化物を吸着して前記活性成分の分解を抑制する硫化物吸着成分と、前記活性成分及び前記硫化物吸着成分とを担持する担体とを含むことを特徴とする。
本発明によれば、使用環境下(還元雰囲気、500℃以下)において、非活性種の生成を抑制してシフト触媒の初期活性を高いレベルで維持することが可能な、耐熱性の高いシフト触媒を提供することができる。
本発明は、上記の本発明に係るシフト触媒において、以下のような改良や変更を加えることができる。
(i)前記硫化物吸着成分は、アルカリ性物質である。
(ii)前記硫化物吸着成分は、Al,Ca,MgまたはZrのいずれかを含む。
(iii)前記活性成分は、少なくともNi及びMoを含み、前記担体は、TiO2を含む。
(iv)500℃以下におけるNH3吸着量が0.2mmol/g以上である。
(i)前記硫化物吸着成分は、アルカリ性物質である。
(ii)前記硫化物吸着成分は、Al,Ca,MgまたはZrのいずれかを含む。
(iii)前記活性成分は、少なくともNi及びMoを含み、前記担体は、TiO2を含む。
(iv)500℃以下におけるNH3吸着量が0.2mmol/g以上である。
また本発明は、上記の本発明に係るガス精製設備において、以下のような改良や変更を加えることができる。
(v)前記硫化物吸着成分は、アルカリ性物質である。
(vi)前記硫化物吸着成分は、Al,Ca,MgまたはZrのいずれかを含む。
(vii)前記活性成分は、少なくともNi及びMoを含み、前記担体は、TiO2を含む。
(viii)前記シフト触媒は、500℃以下におけるNH3吸着量が0.2mmol/g以上である。
(ix)前記シフト反応器の前段に、前記生成ガスにH2Sを供給するH2S供給管を有する。
(x)前記H2S供給管は、前記シフト反応器に供給する生成ガス中のH2S濃度が2000ppm以上3000ppm以下となるように、前記生成ガスにH2Sを供給する。
(xi)前記シフト反応器は2段以上の多段構成であり、各反応器間には冷却器が設けられている。
(v)前記硫化物吸着成分は、アルカリ性物質である。
(vi)前記硫化物吸着成分は、Al,Ca,MgまたはZrのいずれかを含む。
(vii)前記活性成分は、少なくともNi及びMoを含み、前記担体は、TiO2を含む。
(viii)前記シフト触媒は、500℃以下におけるNH3吸着量が0.2mmol/g以上である。
(ix)前記シフト反応器の前段に、前記生成ガスにH2Sを供給するH2S供給管を有する。
(x)前記H2S供給管は、前記シフト反応器に供給する生成ガス中のH2S濃度が2000ppm以上3000ppm以下となるように、前記生成ガスにH2Sを供給する。
(xi)前記シフト反応器は2段以上の多段構成であり、各反応器間には冷却器が設けられている。
また本発明は、上記の本発明に係るガス精製方法において、以下のような改良や変更を加えることができる。
(xii)前記硫化物吸着成分は、アルカリ性物質である。
(xiii)前記硫化物吸着成分は、Al,Ca,MgまたはZrのいずれかを含む。
(xiv)前記活性成分は、少なくともNi及びMoを含み、前記担体は、TiO2を含む。
(xv)前記シフト触媒は、500℃以下におけるNH3吸着量が0.2mmol/g以上である。
(xvi)前記シフト工程の前段に、前記生成ガスにH2Sを供給するH2S供給工程を有する。
(xvii)前記H2S供給工程は、前記シフト工程に供給する生成ガス中のH2S濃度が2000ppm以上3000ppm以下となるように、前記生成ガスにH2Sを供給する。
(xii)前記硫化物吸着成分は、アルカリ性物質である。
(xiii)前記硫化物吸着成分は、Al,Ca,MgまたはZrのいずれかを含む。
(xiv)前記活性成分は、少なくともNi及びMoを含み、前記担体は、TiO2を含む。
(xv)前記シフト触媒は、500℃以下におけるNH3吸着量が0.2mmol/g以上である。
(xvi)前記シフト工程の前段に、前記生成ガスにH2Sを供給するH2S供給工程を有する。
(xvii)前記H2S供給工程は、前記シフト工程に供給する生成ガス中のH2S濃度が2000ppm以上3000ppm以下となるように、前記生成ガスにH2Sを供給する。
以下、本発明に係る実施形態について、より具体的に説明する。ただし、本発明は、ここで取り上げた実施の形態に限定されることはなく、要旨を変更しない範囲で適宜組み合わせや改良が可能である。
(シフト触媒)
上述したように、サワーシフト触媒は還元雰囲気の下で高い温度(400℃〜500℃)に曝されることで非活性種が生成し、シフト触媒の反応効率が低下する。本発明者らは、還元雰囲気の下で高い温度に曝される場合であっても、非活性種の生成を抑制可能なシフト触媒の構成について鋭意研究を重ねた。その結果、シフト触媒の構成として、活性成分の他に、生成ガス中(気相中)の硫化物を吸着する硫化物吸着成分を含むことで、活性成分の分解を抑制(非活性種の生成を抑制)することが可能であることを見出した。この結果、シフト触媒使用環境下(還元雰囲気下、400℃〜500℃)において、非活性種の生成を抑制してシフト触媒の初期活性を高いレベルで維持することが可能な、耐熱性の高いシフト触媒を提供可能であることを見出した。本発明は該知見に基づくものである。
上述したように、サワーシフト触媒は還元雰囲気の下で高い温度(400℃〜500℃)に曝されることで非活性種が生成し、シフト触媒の反応効率が低下する。本発明者らは、還元雰囲気の下で高い温度に曝される場合であっても、非活性種の生成を抑制可能なシフト触媒の構成について鋭意研究を重ねた。その結果、シフト触媒の構成として、活性成分の他に、生成ガス中(気相中)の硫化物を吸着する硫化物吸着成分を含むことで、活性成分の分解を抑制(非活性種の生成を抑制)することが可能であることを見出した。この結果、シフト触媒使用環境下(還元雰囲気下、400℃〜500℃)において、非活性種の生成を抑制してシフト触媒の初期活性を高いレベルで維持することが可能な、耐熱性の高いシフト触媒を提供可能であることを見出した。本発明は該知見に基づくものである。
以下、図面を基に本発明に係るシフト触媒について説明する。
図1Aは従来のシフト触媒を示す模式図であり、図1Bは本発明に係るシフト触媒を示す模式図である。なお、図1A及び図1Bでは、活性成分として耐S性を有するニッケル/モリブデン(Ni/Mo)系触媒を用いた場合について説明する。図1Aに示したように、従来のシフト触媒は、硫化物を含む活性成分(A)22´が担体(B)24´に担持された構成を有する。これに対して、本発明に係るシフト触媒は、図1Bに示したように硫化物を含む活性成分(A)22と、硫化物を含む活性成分(A)22を担持する担体(B)24の他に、生成ガス中(気相中)の硫化物(H2Sなど)を吸着する硫化物吸着成分(C)23を含むことを特徴とする。
図1A及び図1Bに示したように、Ni/Mo系触媒は助触媒成分であるニッケル(Ni)とモリブデン(Mo)とが、Sを介して結合しており、このMo‐S‐Niの形態を維持することで高いシフト活性を発現する。ところが、温度が高く(400℃〜500℃)なると、上述した(式3)の反応が加速し、Mo‐S‐NiからSが離れて分解し、非活性種(MoS)が生成して触媒の活性が低下する。そこで、本発明では高温(400℃〜500℃)でMo‐S‐Niの形態を維持するために(Mo‐S‐Niの分解を抑制するために)、気相中の硫化物を吸着する硫化物吸着成分(C)23を添加する。硫化物吸着成分(C)23が活性成分(A)22にSを供給することで、硫化物を含む活性成分(A)22の形態を維持(分解を抑制)することができる。
硫化物吸着成分(C)23は、硫化物を吸着するものであれば特に限定は無いが、気相中の硫化物は酸性であるため、アルカリ性物質を用いる場合に硫化物を吸着する効果がより大きくなることが期待される。このような観点から、硫化物吸着成分(C)23としてアルミニウム(Al),カルシウム(Ca),マグネシウム(Mg)またはジルコニウム(Zr)のいずれかを含むものを用いることが好ましい。この中でもAlを用いることが特に好ましい。Alは表面に水酸基(OH基)を多数有しており、該水酸基が塩基点となり、酸性の硫化物(H2S)を吸着する効果が大きくなると考えられる。
Alは、触媒の担体として一般的に用いられるものであるが、本発明では硫化物吸着成分(C)としてAlを用いており、担体とは機能や含有量が異なる。
硫化物を含む活性成分(A)22は、H2S共存下でシフト反応を示すものであれば特に限定はないが、少なくともNi及びMoを含むNi/Mo系触媒がシフト率の観点から好ましい。その他、一般的なサワーシフト触媒であるコバルト/モリブデン/アルミナ(Co/Mo/Al2O3)系、コバルト/モリブデン系(Co/Mo)、モリブデン/タングステン(Mo/W)系触媒も使用することができる。また、これ以外にも耐S性を有するシフト触媒であれば、使用することが可能である。これらは、上記(式2)で示したように、シフト反応に供される前に還元硫化処理が施される。
担体(B)24は、特に限定は無く、一般的な触媒担体を用いることができるが、酸化チタン(TiO2)を含むものであることが好ましい。特に、活性成分(A)22としてMoを用いる場合には、担体としてTiO2を含むものを用いることが好ましい。これは、TiO2がMoを高分散させる機能を有し、触媒の反応効率の向上に効果的であるためである。
本発明のシフト触媒の調製方法としては特に限定は無く、固相法(混練法など)、含浸法、液相法(ゾルゲル法、共沈法など)を用いることができる。上述したように本発明に係るシフト触媒は硫化物吸着成分(C)23が活性成分(A)22にSを供給することで、活性成分(A)22の形態を維持(分解を抑制)することができるものであり、このような作用効果を得るためには、活性成分(A)22及び硫化物吸着成分(C)23とが担体(B)24の表面上に露出しており、かつ活性成分(A)22及び硫化物吸着成分(C)23とが近接していることが好ましい。
混練法を用いる場合には、まず、担体(B)24の原料に硫化物吸着成分(C)23の原料を混合して湿式混合し、乾燥・焼成した後、活性成分(A)22の原料を混合して湿式混合し、乾燥・焼成することが好ましい。このような手順で調製することで、活性成分(A)22及び硫化物吸着成分(C)23とを同時に湿式混合して乾燥・焼成する場合よりも、活性成分(A)22及び硫化物吸着成分(C)23とを担体表面上で近接させやすくすることができる。
(ガス精製設備及びガス精製方法)
図2は本発明に係るガス精製設備の一例を示す断面模式図である。以下、図2に基づいて本発明に係るガス精製設備及びガス精製方法について説明する。
図2は本発明に係るガス精製設備の一例を示す断面模式図である。以下、図2に基づいて本発明に係るガス精製設備及びガス精製方法について説明する。
本発明に係るガス精製設備は、生成ガスに含まれる水溶性物質を除去する水洗塔1、水洗塔通過後の生成ガスに含まれるCOを、シフト触媒を用いてH2Oと反応させてH2とCO2に転換するシフト反応器2、シフト反応器2を通過後のガスに含まれるCO2とH2Sを除去するCO2・H2S回収装置3及び再生塔4を、主要な構成として備える。図2ではシフト反応器2を3段としている。
シフト反応器2には、上述した本発明に係るシフト触媒が充填され、シフト反応が行われる。CO2・H2S回収装置3では、吸収液によりH2SとCO2が吸収される。
ガス化炉(図示せず)で生成した生成ガスは、熱交換器5を通って水洗塔1に送られ、洗浄される(洗浄工程)。具体的には、水洗塔1で、生成ガス中の不純物質(重金属やハロゲン化水素等)が除去される。本実施形態では、シフト反応器2の前段に水洗塔1を設置し、生成ガス中の重金属やハロゲン化水素を除去している。シフト反応器2で用いるシフト触媒は、重金属やハロゲン化水素の流入により被毒し、活性が低下する可能性がある。従って、シフト反応器2の前段で、重金属やハロゲン化水素を除去する必要がある。
なお、本実施形態では、重金属やハロゲン化水素を除去する装置として、湿式除去装置である水洗塔を用いた例を示したが、吸着材や吸収材を用いた乾式除去装置を使用しても良い。吸着材や吸収材としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属の酸化物、炭酸塩、水酸化物の他、活性炭やゼオライト等の多孔性物質を使用することができる。このような乾式除去装置を用いることにより、生成ガスの冷却・昇温操作を省くことができるため、エネルギーロスを抑制することができる。しかしながら、水洗塔を用いると、水洗塔からの同伴水蒸気が生成ガスに混ざることが期待でき、シフト反応器2の入口で供給する水蒸気量を低減することができる利点もある。
水洗塔1で洗浄された生成ガスは、シフト反応器2に送られ、生成ガスに含まれるCOを、シフト触媒を用いてH2Oと反応させてH2とCO2に転換する(シフト工程)。この際、生成ガスは熱交換器5及びガス加熱器6により加熱され、シフト触媒の反応温度まで加熱される。この加熱により、生成ガスのシフト反応器2の入口での温度は、200℃から250℃となる。
なお、定常運転時でのシフト反応器2の入口での生成ガスの主成分はCOとH2であり、COが乾燥状態で約60vol%、H2が約25vol%である。生成ガスは、シフト反応器2の入口で水蒸気が供給され、シフト反応器2のシフト触媒により、シフト反応が進行する。
シフト反応器2に充填する触媒として、上述した本発明に係るシフト触媒を用いる。シフト反応は、前述した(式1)に示すように加水分解反応であるので、シフト反応器2の前段に水蒸気供給管31を設置して、所定量の水蒸気を生成ガスに定常的に供給できるようにする。
また、石炭ガス中には、微量のCOSやHCNが含まれる。COSは下記(式4)、HCNは下記(式5)の反応により転化されるがシフト反応と同様の加水分解反応であるので、シフト触媒と同一触媒で進行する。したがって、COS及びHCN転化器は別途設けず、シフト反応器でCO、COS、HCNを転化する。
COS+H2O→CO2+H2S (式4)
HCN+H2O→NH3+CO (式5)
本実施例では、シフト反応器2は3段構成とし、各反応器間にシフトガス冷却器11を設けている。シフト反応は発熱反応であるため、反応器内で温度が上昇する。しかしながら、シフト反応は平衡上、低温ほど反応が進行しやすいため、反応器間で冷却することでCOを効率良くCO2へ変換できる。
COS+H2O→CO2+H2S (式4)
HCN+H2O→NH3+CO (式5)
本実施例では、シフト反応器2は3段構成とし、各反応器間にシフトガス冷却器11を設けている。シフト反応は発熱反応であるため、反応器内で温度が上昇する。しかしながら、シフト反応は平衡上、低温ほど反応が進行しやすいため、反応器間で冷却することでCOを効率良くCO2へ変換できる。
シフト反応器2から排出されたガスは、熱交換器7によって冷却される。ガス中の水分は、ノックアウトドラム8により凝縮され、除去される。その後、ガスは、CO2・H2S回収装置3に送られ、ガス中のH2SとCO2が吸収液により除去される(CO2・H2S回収工程)。その際、吸収液に吸収されなかったH2は、CO2・H2S回収装置3から排出され、燃料としてガスタービンに送られる。H2SとCO2を吸収した吸収液(リッチ液)は、リッチ液流路9を通って再生塔4に送られ、加熱再生される。加熱再生後に排出されたH2Sは、カルシウム系吸収剤により石膏化され、CO2は、液化及び固化によって回収される。再生された吸収液(リーン液)は、リーン液流路10を通ってCO2・H2S回収装置3に送られ、ガス中のH2SとCO2の吸収に用いられる。
CO2・H2S回収装置3としては、物理吸収塔と化学吸収塔のいずれも適用できる。CO2・H2S回収装置3の構成は、従来のCO2吸収塔と同様の構成を用いることができ、1種類の吸収液を用いてH2SとCO2を吸収する。吸収液の例としては、物理吸収ではセレクソール、レクチゾール等が使用でき、化学吸収ではメチルジエタノールアミン(MDEA)やアンモニア等が使用できる。
本実施例では、CO2・H2S回収装置3でH2SとCO2を吸収した吸収液は、再生塔4で再生するシステムとしている。吸収液の再生には、再生塔を用いる方式以外にも、圧力スイングを利用したフラッシュ再生方式や、フラッシュ再生と再生塔による再生との組合せによる再生方式を採用しても良い。フラッシュ再生を利用することで、H2SとCO2の分離回収が可能となり、純度の高いCO2を回収することができる。
本発明に係るシフト触媒を用いたガス精製設備は、使用環境下(還元雰囲気、500℃以下)において、非活性種の生成を抑制してシフト触媒の初期活性を高いレベルで維持することが可能な、耐熱性の高いシフト触媒を用いることで、信頼性の高いガス精製設備及びガス精製方法を提供することができるが、上述した構成に加えて、さらにシフト反応器の前段に、生成ガスにH2Sを供給するH2S供給管13を設けることで、ガス精製設備の信頼性をさらに高めることができる(H2S供給工程)。石炭ガス化ガス中には石炭由来のS分から生成したH2Sが数百ppmのオーダーで含有されているが、シフト反応器2の外部からシフト反応器2にH2Sを供給して反応雰囲気中のH2S濃度を高濃度に保つことで、シフト触媒において、硫化物吸着成分(C)が活性成分(A)にSを供給することに加えて、気相中のH2Sから活性成分(A)にSが供給され、活性成分(A)の分解を抑制することができる。
H2Sの供給は、生成ガス中のH2S濃度が2000ppm以上3000ppm以下となるように行われることが好ましい。H2S濃度が2000ppm未満では活性成分(A)の分解を抑制する効果が十分ではないが、2000ppm以上では後述するk/k0(初期活性維持率)を0.75以上にすることができる。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(シフト触媒の調製)
以下の手順で、供試触媒を調製した。供試触媒はいずれも混練法により調製した。まず、担体(B)の原料であるTi(石原産業株式会社製、商品名:MC−150)と、硫化物吸着成分(C)の原料であるAl,Mg,CaまたはZrの硝酸塩を、それぞれTi:M(Al,Mg,CaまたはZr)=1:0.4のモル比となるように秤量し、混合した。これらに蒸留水を加え、自動乳鉢にて30分間湿式混練した。次に、120℃で2時間乾燥後、500℃で1時間焼成した。
(シフト触媒の調製)
以下の手順で、供試触媒を調製した。供試触媒はいずれも混練法により調製した。まず、担体(B)の原料であるTi(石原産業株式会社製、商品名:MC−150)と、硫化物吸着成分(C)の原料であるAl,Mg,CaまたはZrの硝酸塩を、それぞれTi:M(Al,Mg,CaまたはZr)=1:0.4のモル比となるように秤量し、混合した。これらに蒸留水を加え、自動乳鉢にて30分間湿式混練した。次に、120℃で2時間乾燥後、500℃で1時間焼成した。
次に、上記で調製した粉末(担体(B)+硫化物吸着成分(C))に、活性成分(A)の原料を加えた。活性成分(A)の原料としては、硝酸ニッケル六水和物(Ni(NO3)2・6H2O)と七モリブデン酸六アンモニウム四水和物((NH4)6Mo7O24・4H2O)を、Ni:Mo:Tiの金属モル比が0.2:0.1:1の割合となるよう混合し、これらに蒸留水を加え、自動乳鉢にて30分間湿式混練した。次に、120℃で2時間乾燥後、500℃で1時間焼成した。
焼成後の触媒を乳鉢にて破砕し、加圧プレス機(理研機器株式会社製、型式:CD50‐72)にて500kgfで2分間加圧成型した。最後に、成型後の触媒を10‐20meshで整粒して供試触媒を得た。
なお、比較例として、硫化物吸着成分(C)を添加していないこと以外は上記と同様にして調製した供試触媒も作製した。
(シフト触媒の硫化物吸着能評価)
上記で調製した本発明に係るシフト触媒が、気相中の硫化物を引き付ける(硫化物中のS2−と電気的に引き合う)効果を評価した。評価方法として、触媒表面のH+の量に着目し、硫化物吸着成分(C)添加による触媒表面のH+量を、硫化物を引き付ける(S2−を引き付ける)効果(硫化物吸着能)の指標とした。
上記で調製した本発明に係るシフト触媒が、気相中の硫化物を引き付ける(硫化物中のS2−と電気的に引き合う)効果を評価した。評価方法として、触媒表面のH+の量に着目し、硫化物吸着成分(C)添加による触媒表面のH+量を、硫化物を引き付ける(S2−を引き付ける)効果(硫化物吸着能)の指標とした。
上記で調製した供試触媒の表面H+量を測定するため、触媒にNH3をパルス吸着法で吸着させ、その後、昇温しながら吸着NH3の脱離量を測定した。
触媒反応管は、内径20mm、長さ450mmの石英反応管で、中央の目皿の上にガラスウールを9mmの高さとなるように充填し、その上に粒状触媒0.5ml(層高7mm)を充填した。まず、前処理として、Heガス60ml/minの流通下で、450℃まで10℃/minで昇温し、450℃で30分間保持した。これにより触媒表面に付着している水分を除去した。尚、前処理の間は、反応管下部外表面が120℃となるようにリボンヒーターで加熱した。反応管を通過したHeガスは、水分捕集器を通り、系外に排気した。NH3の吸着処理として、Heガスで9.5%に希釈したNH3ガス10mlを6分毎にパルスで反応管に導入して触媒に吸着させた。なお、触媒から破過するNH3量が多くなると、NH3ピークがテーリングをおこすため、その際はパルス間隔を14分に広げた。パルス吸着温度は120℃とした。反応管出口からパルス的に流出する未吸着ガス濃度を定量し、この濃度が一定となった時点で吸着が完了したものとした。触媒へのNH3吸着完了後、He気流中で500℃まで10℃/minで触媒温度を昇温し、脱離するNH3量を測定した。吸着処理と昇温脱離試験の間は、反応管出口をTCDガスクロマトグラフ(株式会社日立製作所製、型式:G‐5000)に接続し、NH3濃度を測定した。
なお、NH3吸着量として、500℃以下で昇温脱離したものを対象としたのは、触媒の使用温度範囲として500℃以下を想定しているためである。
(シフト触媒の耐熱性評価)
図3は実施例1の固定層流通式試験装置の一例を示す断面模式図である。本実施例でのシフト触媒の耐熱性の評価には、図3に示した固定層流通式試験装置を用いた。本装置の基本構成は、ガス供給系140(マスフローコントローラー131,132,133)、水蒸気供給系120(水タンク101、プランジャポンプ102、水気化器103)、反応管106、電気炉107、トラップ槽111である。
図3は実施例1の固定層流通式試験装置の一例を示す断面模式図である。本実施例でのシフト触媒の耐熱性の評価には、図3に示した固定層流通式試験装置を用いた。本装置の基本構成は、ガス供給系140(マスフローコントローラー131,132,133)、水蒸気供給系120(水タンク101、プランジャポンプ102、水気化器103)、反応管106、電気炉107、トラップ槽111である。
電気炉107により、反応管106での反応温度を変化させた。トラップ槽111では、ガス中の水分を凝縮させてトラップし、その後、過塩素酸マグネシウムを充填した吸湿装置112によりガス中の水分を完全に除去した。
生成ガスを模擬する反応ガスとして、CO、H2、CH4、CO2、N2及びH2Sを、所定流量となるようにマスフローコントローラー131〜133によって調節して、反応管106に供給した。また、水蒸気は、水タンク101の水をプランジャポンプ102によって流量を調節し、その後、水気化器103によって気化させて、反応管106に供給した。
反応管106には、目皿を設置し、目皿上にガラスウール109を敷き、その上部に上記で調製したシフト触媒(供試触媒)108を充填した。また、シフト触媒108の上部に整流材としてラシヒリング115を充填した。
供試触媒の耐熱性評価に先立ち、供試触媒の硫化・還元処理を以下の手順で行った。
マスフローコントローラー131を調整し、反応管106を、N2を流通させながらシフト触媒108が180℃になるまで昇温した。その後、7vol%H2/N2ガスに切り換え、200℃まで昇温した。温度が安定した後、H2Sを3vol%になるように調節して供給した。触媒層出口でH2Sが検出されたことを確認したら1℃/minで320℃まで昇温し、320℃にて45分間保持した後、硫化・還元処理を終了した。
耐熱性試験は、下記の手順で行った。耐熱性試験用ガスとして、五種混合ガス(CO:60vol%、H2:20vol%、CO2:5vol%、CH4:1vol%、N2:14vol%)及び1%H2S/N2balanceガスを用いた。触媒充填量はwetガス基準の空間速度(SV;Space velocity)にて10,000h−1になるように充填した。また、反応物質であるH2OはH2O/CO(モル比)が1.8mol/molになるように調整して供給した。また、試験雰囲気中のH2S濃度はdry条件で200ppmとした。
触媒入口温度を200℃として触媒層出口ガスをサンプリングし、ガスクロマトグラフにてCO濃度を測定し、下記(式6)を用いてCO転化率を算出した。また、触媒入口温度を200℃から50℃ずつ450℃まで昇温させ、450℃の試験終了後、再度200℃に降温して触媒層出口ガスをサンプリングし、ガスクロマトグラフにてCO濃度を測定し、下記(式6)を用いてCO転化率を算出した。
CO転化率=1−出口CO流量/入口CO流量=1−(出口CO濃度×出口ガス流量)/(入口CO濃度×入口ガス流量) (式6)
反応が一次反応であると仮定し、上記試験前後の200℃におけるCO転化率から下記(式7)によりの反応速度定数比(k/k0)(初期活性維持率)を算出し、この値を耐熱性の指標とした。
CO転化率=1−出口CO流量/入口CO流量=1−(出口CO濃度×出口ガス流量)/(入口CO濃度×入口ガス流量) (式6)
反応が一次反応であると仮定し、上記試験前後の200℃におけるCO転化率から下記(式7)によりの反応速度定数比(k/k0)(初期活性維持率)を算出し、この値を耐熱性の指標とした。
図4はシフト触媒の耐熱性(k/k0)とNH3吸着量の関係を示すグラフであり、図5は硫化物吸着成分(C)別のシフト触媒の耐熱性(k/k0)を示すグラフである。図4に示したように、NH3吸着量が増加するに従い、触媒の耐熱性を示すk/k0は増加する傾向が見られた。したがって、NH3吸着量が高いほど、すなわち硫化物吸着能が高いほど、シフト触媒の耐熱性が高くなることが示された。
最もk/k0が大きかったのは硫化物吸着成分(C)としてAlを添加した触媒(k/k0が0.7以上)であり、次いでMg、Caとなった。NH3吸着量が0.2mmol/g以上であるときに、高い耐熱性(k/k0が0.5以上)を示した。
硫化物吸着成分(C)としてAlを用いたときにNH3吸着量が高かったのは、Alは表面に水酸基(OH基)を多く有しているため、その水酸基の影響で塩基点が増加し、NH3吸着能(硫化物吸着能)が高くなったためと考えられる。
図5に示したように、本発明に係る硫化物吸着成分(C)(Al,Mg,CaまたはZr)を含むシフト触媒は、いずれも、硫化物吸着成分(C)を含まない触媒よりも、k/k0が高く、耐熱性が高いことが示された。
以上説明したように、本発明によれば、使用環境下(還元雰囲気、500℃以下)において、非活性種の生成を抑制してシフト触媒の初期活性を高いレベルで維持することが可能な、耐熱性の高いシフト触媒を提供することが可能であることが示された。
なお、上述した実施形態や実施例は、本発明の理解を助けるために説明したものであり、本発明は、記載した具体的な構成のみに限定されるものではない。例えば、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。すなわち、本発明は、本明細書の実施形態や実施例の構成の一部について、削除・他の構成に置換・他の構成の追加をすることが可能である。
1…水洗塔、2…シフト反応器、3…H2S/CO2回収装置、4…再生塔、5,7,11…熱交換器、6…ガス加熱器、8…ノックアウトドラム、9…リッチ液流路、10…リーン液流路、11…シフトガス冷却器、12…シフト触媒、13…H2S供給管、31…水蒸気供給管、20…従来のシフト触媒、21…本発明のシフト触媒、22,22´…硫化物を含む活性成分(A)、23…硫化物吸着成分(C)、24,24´…担体(B)、131,132,133…マスフローコントローラー、101…水タンク、102…プランジャポンプ、103…水気化器、105…マントルヒーター、106…反応管、107…電気炉、108…シフト触媒、109…ガラスウール、111…トラップ槽、112…吸湿装置、115…ラシヒリング、120…水蒸気供給系、140…ガス供給系。
Claims (20)
- 炭素を含む固体燃料のガス化によって生成され、少なくともCOとH2Sとを含む生成ガス中のCOを、H2Oと反応させてH2とCO2に転換するシフト触媒において、
前記シフト触媒は、硫化物を含む活性成分と、前記生成ガス中の硫化物を吸着して前記活性成分の分解を抑制する硫化物吸着成分と、前記活性成分及び前記硫化物吸着成分とを担持する担体とを含むことを特徴とするシフト触媒。 - 請求項1に記載のシフト触媒において、前記硫化物吸着成分は、アルカリ性物質であることを特徴とするシフト触媒。
- 請求項2に記載のシフト触媒において、前記硫化物吸着成分は、Al,Mg,CaまたはZrのいずれかを含むことを特徴とするシフト触媒。
- 請求項1ないし3のいずれか1項に記載のシフト触媒において、前記活性成分は、少なくともNi及びMoを含み、前記担体は、TiO2を含むことを特徴とするシフト触媒。
- 請求項1ないし4のいずれか1項に記載のシフト触媒において、500℃以下におけるNH3吸着量が0.2mmol/g以上であることを特徴とするシフト触媒。
- 炭素を含む固体燃料をガス化して生成され、少なくともCOとH2Sとを含む生成ガスに含まれる水溶性物質を除去する水洗塔と、
前記水洗塔通過後の前記生成ガスに含まれるCOを、シフト触媒を用いてH2Oと反応させてH2とCO2に転換するシフト反応器と、
前記シフト反応器通過後のガスに含まれるCO2とH2Sとを除去するCO2・H2S回収装置とを備えるガス精製設備において、
前記シフト触媒は、硫化物を含む活性成分と、前記生成ガス中の硫化物を吸着して前記活性成分の分解を抑制する硫化物吸着成分と、前記活性成分及び前記硫化物吸着成分とを担持する担体とを含むことを特徴とするガス精製設備。 - 請求項6に記載のガス精製設備において、前記硫化物吸着成分は、アルカリ性物質であることを特徴とするガス精製設備。
- 請求項7に記載のガス精製設備において、前記硫化物吸着成分は、Al,Mg,CaまたはZrのいずれかを含むことを特徴とするガス精製設備。
- 請求項6ないし8のいずれか1項に記載のガス精製設備において、前記活性成分は、少なくともNi及びMoを含み、前記担体は、TiO2を含むことを特徴とするガス精製設備。
- 請求6ないし9のいずれか1項に記載のガス精製設備において、前記シフト触媒は、500℃以下におけるNH3吸着量が0.2mmol/g以上であることを特徴とするガス精製設備。
- 請求項6ないし10のいずれか1項に記載のガス精製設備において、前記シフト反応器の前段に、前記生成ガスにH2Sを供給するH2S供給管を有することを特徴とするガス精製設備。
- 請求項11に記載のガス精製設備において、前記H2S供給管は、前記シフト反応器に供給する生成ガス中のH2S濃度が2000ppm以上3000ppm以下となるように、前記生成ガスにH2Sを供給することを特徴とするガス精製設備。
- 請求項6ないし12のいずれか1項に記載のガス精製設備において、前記シフト反応器は2段以上の多段構成であり、各反応器間には冷却器が設けられていることを特徴とするガス精製設備。
- 炭素を含む固体燃料をガス化して生成され、少なくともCOとH2Sとを含む生成ガスに含まれる水溶性物質を除去する洗浄工程と、
前記洗浄工程後の前記生成ガスに含まれるCOを、シフト触媒を用いてH2Oと反応させてH2とCO2に転換するシフト工程と、
前記シフト工程後のガスに含まれるCO2とH2Sとを除去するCO2・H2S回収工程とを有するガス精製方法において、
前記シフト触媒は、硫化物を含む活性成分と、前記生成ガス中の硫化物を吸着して前記活性成分の分解を抑制する硫化物吸着成分と、前記活性成分及び前記硫化物吸着成分とを担持する担体とを含むことを特徴とするガス精製方法。 - 請求項14に記載のガス精製方法において、前記硫化物吸着成分は、アルカリ性物質であることを特徴とするガス精製方法。
- 請求項15に記載のガス精製方法において、前記硫化物吸着成分は、Al,Mg,CaまたはZrのいずれかを含むことを特徴とするガス精製方法。
- 請求項14ないし16のいずれか1項に記載のガス精製方法において、前記活性成分は、少なくともNi及びMoを含み、前記担体は、TiO2を含むことを特徴とするガス精製方法。
- 請求項14ないし17のいずれか1項に記載のガス精製方法において、前記シフト触媒は、500℃以下におけるNH3吸着量が0.2mmol/g以上であることを特徴とするガス精製方法。
- 請求項14ないし18のいずれか1項に記載のガス精製方法において、前記シフト工程の前段に、前記生成ガスにH2Sを供給するH2S供給工程を有することを特徴とするガス精製方法。
- 請求項19に記載のガス精製方法において、前記H2S供給工程は、前記シフト工程に供給する生成ガス中のH2S濃度が2000ppm以上3000ppm以下となるように、前記生成ガスにH2Sを供給することを特徴とするガス精製方法。
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