JP2015093259A - 筒状フィルター - Google Patents

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Abstract

【課題】高いろ過精度と、長いろ過寿命を有する筒状フィルターを提供する。
【解決手段】本発明の筒状フィルター1は、芯材2に巻回されているろ過層3を含み、ろ過層3は、ろ過対象物の流入側から順番に連続して巻回されている不織布層A31、不織布層B32、不織布層C33の少なくとも3種類の不織布層で構成されており、前記不織布層Aの平均孔径は、10.5μm以上、17.5μm以下であり、前記不織布層Bの平均孔径は、不織布層Aの平均孔径の0.6倍以上、0.95倍以下であり、前記不織布層Cは、平均繊維径が2μm以下の細繊維径不織布51を含む不織布層であり、前記細繊維径不織布は、少なくともその一部が、平均繊維径が細繊維径不織布の平均繊維径よりも大きい太繊維径不織布52と重ね合わせて積層した状態で巻回されることで不織布層Cを形成している筒状フィルター。
【選択図】図2

Description

本発明は、不織布を用いた筒状フィルターに関する。
不織布などの布帛を筒状に巻き回した筒状フィルターは、取り扱いが容易で製造コストも比較的安価なことから、清涼飲料水及び酒類などの飲料物、塗料、金属加工時に排出される金属微粉末を含む切削油などの液体のろ過に広く使用されている。これらの用途では、筒状フィルターで捕集できる固形物粒子の大きさ(サイズ)がより小さい、すなわち、より高いろ過精度が求められると同時に、1本の筒状フィルターがろ過可能な液体の量がより多い、すなわち、より長いろ過寿命が求められている。
筒状フィルターに用いる不織布などの布帛において、繊維径が小さい繊維で構成された布帛を使用したり、繊維が密に集合している高密度の布帛を使用したりすることで筒状フィルターのろ過精度を高めることができる。しかし、布帛を構成する繊維の繊維径を小さくしたり、布帛を高密度にしたりすると、繊維間の空隙が少なくなり、ろ過寿命が低下しやすくなる。逆に、ろ過寿命を長くするために布帛を構成する繊維の繊維径を大きくしたり、低密度の布帛を使用したりすると、繊維間の空隙が大きくなるため、ろ過寿命は長くなるが細かい粒子は捕集できなくなり、ろ過精度が低下する。このように、ろ過精度とろ過寿命は相反するものであり、高いろ過精度と長いろ過寿命の両立は、筒状フィルターにおいて長年の課題となっている。
筒状フィルターにおいて、ろ過精度を向上し、同時にろ過寿命を長くする一つの手段として、ろ過の対象物が筒状フィルターに流れ込む側(以下、単に流入側とも称す。)により近い側の布帛の繊維径及び/又は孔径を大きくし、ろ過の対象物が筒状フィルターから流れ出る側(以下、単に流出側とも称す。)により近い側の布帛の繊維径及び/又は孔径を小さくすることで、筒状フィルター全体の構造を、筒状フィルターを構成する布帛の繊維径及び/又は孔径に勾配が設けられた構造にすることが知られている。筒状フィルターの流入側に近い側ほど繊維径及び/又は孔径の大きい布帛で構成し、流出側に向けて繊維径及び/又は孔径が徐々に小さくなる構成とすることで、ろ過の対象物に含まれている固形物のうち、サイズが大きい固形物は繊維径及び/又は孔径の大きい布帛で捕集され、サイズが小さい固形物は繊維径及び/又は孔径の小さい布帛で捕集されるようになり、固形物がそのサイズに対応する布帛で捕集されることから筒状フィルター全体が効率よくろ過に使用され、高いろ過精度と長いろ過寿命の両立が図られる。
筒状フィルターにおいて、ろ過精度を向上し、同時にろ過寿命を長くする別の手段として、種類の異なる2種類以上の布帛を重ね合わせて積層した状態で巻き回し、筒状フィルターを製造する方法が知られている。種類の異なる布帛を重ね合わせた状態で巻き回し、ろ過層を形成することで、得られる筒状フィルターは、種類の異なる布帛、例えば、繊維径や平均孔径の異なる布帛が交互に巻き回されるため、ろ過の対象物が種類の異なる不織布を交互に通過するようになり、ろ過寿命やろ過精度が向上しやすくなる。
上述した構造を採用した筒状フィルターはこれまでに種々提案されている。筒状フィルター全体の構造が構成する布帛の繊維径及び/又は孔径に勾配が設けられた構造になっているものとして、例えば、特許文献1には、メルトブロープロセス又はジェット紡糸プロセスで作られた平均繊維径0.5〜50μmを有する繊維からなり、巻き回すべき筒の外側になる程、平均繊維径や平均孔径が大きくなるように構成した不織布を複数回巻き回してなるカートリッジフィルターが開示されている。特許文献2には、長手方向に孔径勾配を有する不織布を多孔性コアに巻き回したカートリッジフィルターが開示されている。特許文献3には、多孔筒状芯材に、不織布を連続的に巻き付けてなり、外周側から内周側に液体を通過させてろ過するデプス型フィルターにおいて、不織布を内周側から外周側に向かって繊維径を連続的に太くすることが提案されている。また、特許文献4には、不織布を製造する段階で、連続的に繊維径の勾配を設けながら巻き回したフィルターが開示されている。
筒状フィルターにおいて、種類の異なる布帛を重ね合わせ、積層した状態で巻き回した構造を有するものとして、例えば、特許文献5には、熱接着性繊維を含み、構成繊維同士が交絡し、少なくともその一部が熱接着したスパンレース不織布と、前記スパンレース不織布の構成繊維よりも細い繊度の構成繊維からなる細繊度不織布を重ね合わせ、積層した状態で巻き回したろ過層を含む筒状フィルターが開示されている。また、特許文献6には、特定のろ過精度及び通気度の範囲を満たす粗ろ過不織布及び精密ろ過不織布を用い、前記2種類の不織布を重ね合わせた状態で1周以上巻き回し、粗ろ過層不織布のみで7周以上巻き回した筒状フィルターが開示されている。
しかし、特許文献1〜3に提案されている、布帛を構成する繊維の平均繊維径や布帛の平均孔径に勾配を設けただけの筒状フィルターは、ろ過の対象物によってろ過性能が変化し、高いろ過精度と長いろ過寿命の両立ができない場合があるという問題があった。また、特許文献1〜3に提案されている筒状フィルターでは、筒状フィルターを構成する布帛の平均繊維径や布帛の平均孔径の勾配を緩やかなものにしているため、筒状フィルターを構成する布帛の種類を増やして製造しようとすると、多くの種類(例えば7種以上)の布帛を準備しなければならなくなる。さらに、筒状フィルターを製造するときには、筒状フィルターの生産設備を一旦停止させてから、巻き回す布帛を変更する必要があり、布帛の種類が多いほど生産性が低下するといった問題点もあった。そして、特許文献4に提案されているフィルターの場合、繊維径を連続的に変化させながら不織布を巻き回すため、生産性は高いものの、繊維径を連続的に変化させながら長繊維不織布を製造できる設備が必要になるという問題点があった。
特許文献5に記載の筒状フィルターでは、繊維径が比較的大きい繊維を含むスパンレース不織布を、繊維径が小さい繊維を含む細繊度不織布と重ね合わせて巻き回しているため、直径が1μm以下の小さい粒子に対してスパンレース不織布では粒子を捕捉する効果が低く、所望するろ過精度及びろ過寿命が得られないおそれがある。また、特許文献6に記載の筒状フィルターでは、高いろ過精度が得られているものの、ろ過寿命が350リットル以下と短く、十分なろ過寿命が得られていない。
特開平01−297113号公報 特開平6−218212号公報 特開平11−156125号公報 国際公開98/13123号公報 特開2004−851号公報 特開2013−34919号公報
本発明は、上記従来の問題を解決するため、高いろ過精度と、長いろ過寿命が両立された筒状フィルターを提供する。
本発明の筒状フィルターは、芯材に巻き回されているろ過層を含む筒状フィルターであって、
前記ろ過層は、ろ過対象物の流入側から順番に連続して巻き回されている不織布層A、不織布層B、不織布層Cの少なくとも3種類の不織布層で構成されており、
前記不織布層A、前記不織布層B及び前記不織布層Cの合計質量は、筒状フィルター全体の質量の20質量%以上であり、
前記不織布層Aの平均孔径は、10.5μm以上、17.5μm以下であり、
前記不織布層Bの平均孔径は、不織布層Aの平均孔径の0.6倍以上、0.95倍以下であり、
前記不織布層Cは、平均繊維径が2μm以下で、平均孔径が不織布層Aの平均孔径の0.37倍以上、0.86倍以下の細繊維径不織布を含む不織布層であり、前記細繊維径不織布は、少なくともその一部が、平均繊維径が2μmよりも大きい太繊維径不織布と重ね合わせて積層した状態で巻き回され、
不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して、前記不織布層Aの含有量は7.8質量%以上、27質量%以下であり、前記不織布層Bの含有量は38.2質量%以上、64質量%以下であり、前記細繊維径不織布の含有量は7.8質量%以上、25質量%以下の筒状フィルターである。
本発明の筒状フィルターにおいて、前記不織布層Cに含まれる細繊維径不織布の平均繊維径は0.05μm以上、2μm以下であり、前記細繊維径不織布の平均孔径が前記不織布層Bの平均孔径の0.4倍以上、0.9倍以下であることが好ましい。
本発明の筒状フィルターは、不織布層Cにおいて、細繊維径不織布が、巻き回した長さの50%以上の部分で、太繊維径不織布と重ね合わせて積層した状態で巻き回され、前記不織布層Cを形成していることが好ましい。そして、不織布層Cにおいて、最も流入側に位置する細繊維径不織布が、太繊維径不織布と重ねた状態で巻き回された層となっていることが好ましい。また、不織布層Bと、不織布層Cは接しており、不織布層Cにおいて不織布層Bと接している部分は、細繊維径不織布が、太繊維径不織布と重ねた状態で巻き回された層となっていることが好ましい。
本発明の筒状フィルターにおいて、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cを構成する不織布が、いずれもポリプロピレン樹脂からなる単一繊維で構成された不織布であることが好ましい。また、不織布層A、及び不織布層Bを構成する不織布、並びに不織布層Cに含まれる太繊維径不織布が、いずれもメルトブローン不織布であり、前記不織布層Cを構成する細繊維径不織布が、メルトブローン不織布、またはエレクトロスピニング法で得られた不織布であることが好ましい。そして、不織布層A、及び不織布層Bがそれぞれ1種類のメルトブローン不織布で構成され、不織布層Cが、1種類の細繊維径不織布及び1種類の太繊維径不織布のみで構成されていることが好ましい。
本発明の筒状フィルターは、芯材に巻き回されているろ過層を含む筒状フィルターであって、ろ過対象物の流入側から順番に連続して巻き回されている不織布層A、不織布層B、不織布層Cの各ろ過層が形成され、かつ、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対する不織布層A、不織布層B及び不織布層Cに含まれる細繊維径不織布の含有量が特定されている。そして、筒状フィルターのろ過精度、もしくはろ過効率を左右する不織布層Cが、平均繊維径が2μm以下の細繊維径不織布を含む不織布層であり、前記細繊維径不織布は、少なくともその一部が、平均繊維径が2μmよりも大きい太繊維径不織布と重ね合わせて積層した状態で巻き回されて不織布層Cを形成している。これらの構成により、本発明の筒状フィルターは、高いろ過精度と、長いろ過寿命とを達成する。本発明の筒状フィルターは、純水、飲料水、薬液、各種油脂、めっき液、塗料溶液または、電子工業用洗浄水などをろ過するのに適している。
図1は、本発明の一実施形態の筒状フィルターの部分破断斜視図である。 図2は、本発明の一実施形態の筒状フィルターにおいて、支持不織布4を巻き回す前の状態であって、その一部を分解して、不織布を巻き回した状態を示す部分破断斜視図である。 図3は、本発明の筒状フィルターを製造する方法において、不織布層Cを形成する方法の一例を示す模式図である。
高いろ過精度と、長いろ過寿命を有する筒状フィルターを得るには、上述した特許文献1〜3にも見られるように、繊維径及び/又は孔径が互いに異なる布帛(例えば不織布)を数種類使用し、複数のろ過層を形成し、ろ過層を形成する布帛が、繊維径及び/又は孔径が徐々に小さくなるような多層構造にすることが行われている。しかし、本発明者らは、単に筒状フィルターの構造を布帛の繊維径及び/又は孔径が徐々に小さくなるような多層構造にしただけでは、ろ過精度の向上及びろ過寿命の向上を両立させることは不十分であることを見いだした。また、高いろ過精度と、長いろ過寿命を有する筒状フィルターを得るために、上述した特許文献5、6に見られるように、異なる種類の布帛を重ね合わせて積層した状態で巻き回すことが知られている。しかし、布帛を構成する繊維の平均繊維径が2μm以下と小さい場合、単に異なる種類の布帛を重ね合わせて積層した状態で巻き回しただけではろ過精度及びろ過寿命の両立が不十分であり、重ね合わせた状態で巻き回した布帛のうち、より繊維径の細い布帛が一定量以上の長さで巻き回されている、言い換えるならば、より繊維径の細い布帛が筒状フィルターを構成するろ過層に対し、一定の割合以上を占めていなければならないことを見いだした。
本発明の筒状フィルターは、特定の平均孔径の範囲を満たす不織布層A、不織布層B及び、平均繊維径が2μm以下の細繊維径不織布を含んでいる不織布層Cを含み、上記不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量が、筒状フィルター全体の質量に対して20質量%以上であり、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して、不織布層A、不織布層B、及び細繊維径不織布の含有量がそれぞれ特定の範囲を満たし、前記細繊維径不織布は、少なくともその一部が、平均繊維径が2μmよりも大きい太繊維径不織布と重ね合わせて積層した状態で巻き回されることで不織布層Cを形成し、上記不織布層A、不織布層B及び不織布層Cがろ過対象物の流入側から連続して巻き回してろ過層が構成された筒状フィルターであり、高いろ過精度と長いろ過寿命を有している。
本発明の筒状フィルターにおいて、ろ過層は不織布層A、不織布層B及び平均繊維径が2μm以下の細繊維径不織布を含む不織布層Cの3種類の不織布層を含む。このうち、不織布層A、不織布層Bを、それぞれ1種類の不織布を用いて構成しても高いろ過精度と長いろ過寿命を有する筒状フィルターを提供できる。その結果、筒状フィルターを製造するのに必要な布帛の種類が少なくなり、生産工程を簡略化できると同時に生産性も向上し得ることから生産コストを低減できる。なお、本発明の筒状フィルターのろ過層が不織布層A、不織布層B、不織布層Cの3種類の不織布層のみ、言い換えるならば筒状フィルターが不織布層A、不織布層B、不織布層Cからなる筒状フィルターに限定されるわけではないことはいうまでもない。例えば、不織布層Cよりも流出側に、不織布層Cよりも平均孔径の小さい不織布を巻き回して筒状フィルターとすることで、よりろ過精度を高めた構成の筒状フィルターとすることも可能である。また、不織布層Aよりも流入側に不織布層Aよりも平均繊維径及び/又は平均孔径の大きい不織布を巻き回して筒状フィルターとすることで、よりろ過寿命を長くした構成の筒状フィルターとすることも可能である。
本発明の筒状フィルターは、ろ過対象物の流入側から、平均孔径が特定の範囲を満たす不織布層A、不織布層B及び平均繊維径が2μm以下の細繊維径不織布を含む不織布層Cを、不織布の平均孔径が小さくなる順に配置してなるろ過層を含むため、ろ過の対象となる液体中の固形物(粒子)が、大きいサイズのものから順番に除かれる。また、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対する不織布層A、不織布層B、及び不織布層Cの含有量を20質量%以上にすることで、それぞれの平均孔径を有する不織布層A、不織布層B及び平均繊維径が2μm以下の細繊維径不織布を含む不織布層Cにおいて、対応するサイズの固形物をほぼ完全に除去でき、筒状フィルターの高いろ過精度と長いろ過寿命を両立している。
本発明の筒状フィルターにおいて、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cは、筒状フィルターの流入側から不織布層A、不織布層B、不織布層Cの順番に連続して配置されている。本発明において、不織布層が連続しているとは、不織布層と不織布層の間に他の部材がない場合と不織布層と不織布層の間に他の部材がある場合を含む。例えば、不織布層Aを構成する不織布と、不織布層Bを構成する不織布の末端部を接着する若しくは合わせること、不織布層Aの不織布と、不織布層Bの不織布の一部を重ね合わせることなどにより、他の部材を介在することなく不織布層Aと不織布層Bが連続して形成していてもよい。或いは、不織布層Bを形成した後、他の部材を、不織布層Aと不織布層Bの間にスペーサー層として巻き回した後、不織布層Aを形成してもよい。他の部材としては、例えば不織布層A及び不織布層Bの平均孔径の範囲を満たさない不織布などを用いる。同様に、不織布層Bと不織布層Cの間にもスペーサー層を設けてもよい。
以下、図面などを用いて本発明の筒状フィルターを詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態の筒状フィルターの部分破断斜視図である。本発明の筒状フィルター1は、芯材2と、芯材2に巻き回されているろ過層3を含む。前記ろ過層3には不織布層A31、不織布層B32、不織布層C33の3種類の不織布層を含んでいる。図1に示す筒状フィルターでは、不織布層A31の外側に、平均孔径の大きい不織布(支持不織布4)を巻き回して形成した不織布層を有している。図2は、図1に示す筒状フィルターにおける、支持不織布4を巻き回す前の状態での部分破断斜視図である。ろ過層3は、不織布層A31、不織布層B32、不織布層C33を含んでいる。不織布層Aには不織布6が巻き回され、不織布層Bには不織布7が巻き回されている。不織布層Cは、平均繊維径が2μm以下の不織布である細繊維径不織布51を含む不織布層であり、前記細繊維径不織布51は、少なくともその一部が、平均繊維径が2μmよりも大きい太繊維径不織布52と重ね合わせて積層した状態で巻き回されることで不織布層C33を形成している。なお、図2に示す構造の不織布層C33は、図3に示す筒状フィルターの製造方法で得ることができる。即ち、筒状フィルター1を製造する際、芯材2に対し、細繊維径不織布51、太繊維径不織布52を重ね合わせた状態で巻き回すことで不織布層C33が製造できる。このとき、太繊維径不織布52の上に、細繊維径不織布51が載置されるように細繊維径不織布51、太繊維径不織布52を重ね合わせる。この状態で芯材2に両方の不織布を巻き回すと、細繊維径不織布51と太繊維径不織布52が交互に重ね合わせた状態であり、細繊維径不織布51が太繊維径不織布52の内側になった不織布層Cが形成される。
(ろ過層)
ろ過層3は、ろ過の対象物が筒状フィルターに流れ込む流入側から順番に、不織布層A、不織布層B及び平均繊維径が2μm以下の細繊維径不織布を含む不織布層Cの少なくとも3種類の不織布層で構成されている。また、ろ過層3は、本発明の効果を阻害しない範囲において、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cに加えて、他の部材を含んでもよい。不織布層Aの平均孔径は10.5μm以上、17.5μm以下であり、不織布層Bの平均孔径は不織布層Aの平均孔径の0.6倍以上、0.95倍以下であり、不織布層Cに含まれる平均繊維径が2μm以下の細繊維径不織布の平均孔径は、不織布層Aの平均孔径の0.37倍以上、0.86倍以下である。本発明の筒状フィルターにおいて、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して、不織布層Aの含有量は7.8質量%以上、27質量%以下であり、不織布層Bの含有量は38.2質量%以上、64質量%以下であり、不織布層Cに含まれる細繊維径不織布の含有量は7.8質量%以上、25質量%以下である。より好ましくは、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して、不織布層Aの含有量が8質量%以上、26質量%以下であり、不織布層Bの含有量が40質量%以上、63質量%以下であり、不織布層Cに含まれる細繊維径不織布の含有量が8質量%以上、20質量%以下である。さらに好ましくは、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して、不織布層Aの含有量が9質量%以上、25質量%以下であり、不織布層Bの含有量が41質量%以上、62質量%以下であり、不織布層Cに含まれる細繊維径不織布の含有量が8.5質量%以上、18質量%以下である。
本発明の筒状フィルターは、平均孔径が特定の範囲を満たす不織布層A、不織布層B及び、平均孔径が特定の範囲を満たす細繊維径不織布を含む不織布層Cを含む筒状フィルターであり、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量は、筒状フィルター全体の質量に対して20質量%以上である。好ましくは40質量%以上であり、50質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であると特に好ましい。本発明において、筒状フィルター全体の質量とは、筒状フィルター本体の全体質量をいい、付加的な部材の質量を含まない。上記筒状フィルター本体とは、筒状フィルターを構成している部材であって、繊維集合物で形成されている部材を指す。上記繊維集合物は、繊維径が1mm以下の繊維(合成樹脂からなる繊維だけではなく、天然繊維、半合成繊維、無機繊維などを含む)で構成されており、より具体的には、筒状フィルターの最も内側を構成する芯材であって、繊維集合物を熱接着などにより成形した芯材、ろ過層、最も表面側に巻き付ける意匠用の布帛などが含まれる。上記付加的な部材とは、筒状フィルターを構成している部材であって、繊維集合物ではない部材、具体的にはガスケット、エンドキャップ、フィルター本体を大きな異物から保護するプロテクターなどが挙げられるほか、筒状フィルターの最も内側を構成する芯材であって、射出成形や押出成形で成形された芯材などを指す。筒状フィルター全体の質量に対する不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量を20質量%以上にすることで、本発明の筒状フィルターにおいて、主要なろ過層となる不織布層A、不織布層B及び不織布層Cが筒状フィルター全体の質量に対して一定の割合以上含まれるようになるため、高いろ過精度と長いろ過寿命を両立する筒状フィルターとなり得る。不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量が筒状フィルター全体の質量に対して20質量%未満であると、筒状フィルターに占める不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの割合が少なくなりすぎるため、筒状フィルターのろ過寿命及び/又はろ過精度が低下するおそれがある。
<不織布層A>
本発明の筒状フィルターにおいて、不織布層Aは不織布層B及び不織布層Cよりも流入側に位置し、不織布層B及び不織布層Cに対する前ろ過層として機能する。即ち、不織布層B及び/又は不織布層Cでろ過するのに適したサイズの固形物は通過させつつ、不織布層B及び/又は不織布層Cでろ過するには大きすぎるサイズの固形物を捕集し、不織布層B及び/又は不織布層Cには可能な限り流出させない。
不織布層Aの平均孔径は、10.5μm以上、17.5μm以下である。好ましくは12.2μm以上、14.9μm以下であり、12.5μm以上、14.2μm以下であることがより好ましい。不織布層Aの平均孔径がこの範囲を満たすことで、不織布層Aで捕集する固形物と不織布層Aを通過する固形物のバランスがとれる上、筒状フィルター全体を通じた孔径の勾配の配分が容易となる。不織布層Aの平均孔径が10.5μmよりも小さいと、不織布層Aの平均孔径が小さくなりすぎるため、不織布層Aでサイズの大きい固形物からサイズの小さい固形物まで捕集されるようになり、不織布層Aを通過して不織布層B及び/又は不織布層Cに流出する固形物が少なくなる。すなわち、不織布層Aの中でも流入側に近い部分に集中して固形物が捕集されるようになるため、不織布層Aが、他の不織布層に比べて極端に早く捕集した固形物によって完全に詰まった状態(この状態を「閉塞(した状態)」とも称す。)となり、筒状フィルターのろ過寿命が低下する。不織布層Aの平均孔径が17.5μmより大きくなると、不織布層Aを通過して不織布層B及び/又は不織布層Cに流出する固形物の量が増えすぎるため、不織布層Aが十分に固形物を捕集する前に不織布層B及び/又は不織布層Cが閉塞しやすくなり、筒状フィルターのろ過寿命が低下する。不織布層Aは、上記平均孔径の範囲を満たす不織布を1種類用いて構成してもよいし、上記平均孔径の範囲を満たす不織布を2種類以上用いて構成してもよい。不織布層Aに平均孔径の異なる2種類以上の不織布を用いる構成として、例えば、平均孔径が12μm、14μm、16μmの不織布を用いて不織布層Aを構成することが挙げられる。不織布層Aにおいて、平均孔径が異なる不織布を2種類以上用いる場合、流入側から流出側にかけて、平均孔径が小さくなるように不織布を順番に巻き回し、それぞれの不織布層を形成することが好ましい。
不織布層Aの含有量は、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して、7.8質量%以上、27質量%以下である。好ましい不織布層Aの含有量は、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して8質量%以上、26質量%以下であり、9質量%以上、25質量%以下であることがより好ましい。不織布層Aの含有量が7.8質量%未満であると、不織布層Aの割合が少なくなり、不織布層B及び/又は不織布層Cを十分にろ過に使用する前に不織布層Aが閉塞するか、不織布層Aそのものが少ないため、サイズの大きい固形物が不織布層B及び/又は不織布層Cに流入するようになり、不織布層B及び/又は不織布層Cが早く閉塞して、筒状フィルターのろ過寿命が低下するおそれがある。不織布層Aの含有量が27質量%を超えると、不織布層Aの割合が多くなりすぎることで、不織布層B及び/又は不織布層Cの割合が少なくなり、筒状フィルターのろ過精度が低下するおそれがある。不織布層Aが平均孔径の異なる2種類以上の不織布で構成されている場合、不織布層Aの含有量は、平均孔径の異なる不織布の含有量の合計である。例えば、不織布層Aが、平均孔径が12μmの不織布と平均孔径が14μmの不織布で構成され、平均孔径が12μmの不織布及び平均孔径が14μmの不織布の含有量が、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して、それぞれ5質量%及び10質量%である場合、不織布層Aの含有量は不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して15質量%である。
不織布層Aの平均繊維径(不織布層Aを構成する繊維の平均繊維径)は、平均孔径が上記範囲を満たすものとなる平均繊維径であればよく、特に限定されないが、1.7μm以上、3.2μm以下であることが好ましい。より好ましくは1.9μm以上、2.9μm以下であり、さらに好ましくは2.1μm以上、2.7μm以下である。不織布層Aの平均繊維径がこの範囲を満たすと、平均孔径が上記範囲を満たしやすくなる上、不織布層B及び不織布層Cの前ろ過層としての効果がより高いものとなる。不織布層Aの平均繊維径が3.2μmよりも大きいと、不織布層Aの平均孔径が上記範囲の上限を超えやすくなり、平均孔径の範囲を満たさなくなるおそれがある。また、不織布層Aを構成する繊維の平均繊維径が大きくなると、不織布層Aの目付によっては孔径分布のバラつきが大きくなりやすく、不織布層Aの最大孔径が極端に大きくなり、ろ過精度やろ過寿命が低下するおそれがある。不織布層Aの平均繊維径が1.7μmよりも小さいと不織布層Aの平均孔径が小さくなり、上記平均孔径の範囲を満たしにくくなるおそれがあり、筒状フィルターのろ過寿命が低下すると考えられる。
不織布層Aの目付(不織布層Aを構成する不織布の目付)は、平均孔径が上記範囲を満たすものとなる目付であればよく、特に限定されないが、10g/m2以上、120g/m2以下であることが好ましい。より好ましくは15g/m2以上、100g/m2以下であり、20g/m2以上、80g/m2以下であることがさらに好ましい。不織布層Aの目付が上記範囲を満たすことで、平均孔径が上記範囲を満たしやすい上、筒状フィルターの生産性も向上すると考えられる。不織布層Aの目付が10g/m2未満であると、不織布層Aが薄い不織布となり、孔径分布においてバラつきが大きくなりやすく、不織布層Aの最大孔径が極端に大きくなり、ろ過精度やろ過寿命が低下するおそれがある。また、目付が小さくなりすぎることで不織布層Aの巻き回数(不織布層Aを構成する不織布を重ね合わせる積層回数)が多くなり、筒状フィルターの生産性が低下するおそれもある。不織布層Aの目付が120g/m2よりも大きいと、孔径分布のバラつきは小さくなるが、厚い不織布になり、筒状フィルターの外径が規格を超えるおそれや、筒状フィルターのろ過性能やが低下するおそれがある。
不織布層Aの最大孔径は、15.5μm以上、25μm以下であることが好ましい。より好ましくは16μm以上、23μm以下であり、さらに好ましくは17μm以上、21μm以下である。ろ過用途に使用する不織布において、不織布の最大孔径は、不織布を通過しうる固形物のサイズに影響を与える。不織布層Aの最大孔径が上記範囲を満たすことで、不織布層Aが不織布層B及び/又は不織布層Cで捕集することが好ましいサイズの固形物は通過させ、不織布層B及び/又は不織布層Cで捕集するにはサイズが大きすぎる固形物は捕集し、下流側には極力流出させないようになる。不織布層Aの最大孔径が25μmよりも大きいと、不織布層Aを通過しうる固形物のサイズが大きくなるため、不織布層B及び/又は不織布層Cにサイズが大きすぎる固形物が流れ込むようになり、不織布層B及び/又は不織布層Cが急速に閉塞し、筒状フィルターのろ過寿命が低下するおそれがある。不織布層Aの最大孔径が15.5μmよりも小さいと、不織布層Aで捕集される固形物の割合が多くなることで、不織布層Aが他の不織布層よりも早い段階で閉塞し、筒状フィルターのろ過寿命が低下するおそれがある。
不織布層Aの最多孔径は、9.8μm以上、16.5μm以下であることが好ましい。より好ましくは10μm以上、15μm以下であり、さらに好ましくは10.5μm以上、14μm以下である。ろ過用途に使用する不織布において、不織布の最多孔径は、不織布の最大孔径と同様、不織布を通過しうる固形物のサイズに影響を与える。不織布層Aの最多孔径が上記範囲を満たすことで、不織布層Aは、不織布層B及び/又は不織布層Cで捕集することが好ましいサイズの固形物は通過させ、不織布層B及び/又は不織布層Cで捕集するにはサイズが大きすぎる固形物は捕集し、下流側には極力流出させないようになる。不織布層Aの最多孔径が16.5μmよりも大きいと、不織布層Aを通過しうる固形物のサイズが大きくなるため、不織布層B及び/又は不織布層Cにサイズが大きすぎる固形物が流れ込むようになり、不織布層B及び/又は不織布層Cが急速に閉塞し、筒状フィルターのろ過寿命が低下するおそれがある。不織布層Aの最多孔径が9.8μmよりも小さいと、不織布層Aで捕集される固形物の割合が多くなることで、不織布層Aが他の不織布層よりも早く閉塞し、筒状フィルターのろ過寿命が低下するおそれがある。
<不織布層B>
不織布層Bは、不織布層Cの前ろ過層として機能し、不織布層Aを通過してきた固形物のうち、不織布層Cでろ過するのに適したサイズよりも大きい、比較的大きいサイズの固形物を捕集し、かつ不織布層Cでろ過するのに適したサイズの固形物は、ある程度捕集するものの不織布層Cにむけて流出させる役割を持つ。
不織布層Bの平均孔径は、不織布層Aの平均孔径の0.6倍以上、0.95倍以下である。好ましくは0.65倍以上、0.85倍以下であり、0.68倍以上、0.8倍以下であることがより好ましい。不織布層Bの平均孔径が不織布層Aの平均孔径に対して一定の範囲を満たす倍率であると、不織布層Aと不織布層Bの間における平均孔径の勾配が適度なものとなり、主に筒状フィルターのろ過寿命の向上に寄与すると考えられる。不織布層Bの平均孔径が不織布層Aの平均孔径の0.95倍よりも大きいと、不織布層Aと不織布層Bの間における平均孔径の勾配が小さくなりすぎるため、不織布層Bが、不織布層Aを通過した固形物のうち、比較的大きい固形物を捕集するという機能を持たなくなる。そのため、不織布層Bよりさらに流出側に位置する不織布層Cに、不織布層Aを通過した固形物の大部分が流れ込み、不織布層Cが他の不織布層よりも早く閉塞し、筒状フィルターのろ過寿命が低下するおそれがある。不織布層Bの平均孔径が不織布層Aの平均孔径の0.6倍よりも小さいと、不織布層Aと不織布層Bの間における平均孔径の勾配が大きくなりすぎるため、不織布層Aを通過した固形物の大部分が不織布層Bで捕集され、不織布層Bが他の不織布層よりも早く閉塞されるようになり、筒状フィルターのろ過寿命が低下するおそれがある。不織布層Aが、平均孔径が異なる2種類以上の不織布で構成されている場合、最も平均孔径の小さい不織布の平均孔径の値に基づいて、不織布層Bの平均孔径が決定される。例えば、不織布層Aが12μm、14μm、16μmの不織布で構成されている場合、不織布層Bの平均孔径の範囲は、平均孔径12μmの不織布の値を用いて決定され、不織布層Bの平均孔径の範囲は7.2μm以上、11.4μm以下になる。不織布層Bは、上記平均孔径の範囲を満たす不織布を1種類用いて構成してもよいし、上記平均孔径の範囲を満たす不織布を2種類以上用いて構成しても構わない。
本発明の筒状フィルターにおいて、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して、不織布層Bの含有量は38.2質量%以上、64質量%以下である。好ましい不織布層Bの含有量は、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して、40質量%以上、63質量%以下であり、41質量%以上、62質量%以下であることがより好ましい。不織布層Bの含有量が38.2質量%未満であると、不織布層Bが他の不織布層よりも早く閉塞することや、不織布層Bで捕集される固形物の割合が少なくなるため、不織布層Cに多くの固形物が流出し、不織布層A及び/又は不織布層Bよりも、不織布層Cが早く閉塞することにより、筒状フィルターのろ過寿命が低下するおそれがある。不織布層Bの含有量が64質量%を超えると、不織布層Bの割合が多くなりすぎることで、不織布層A及び/又は不織布層Cの割合が少なくなり、ろ過寿命及び/又はろ過精度が低下するおそれがある。不織布層Bが平均孔径の異なる2種類以上の不織布で構成されている場合、不織布層Bの含有量は、これらの平均孔径の異なる不織布の含有量の合計であり、前記の不織布層Aの含有量を求めた方法と同じ計算方法で求める。
不織布層Bの平均繊維径(不織布層Bを構成する繊維の平均繊維径)は、平均孔径が上記範囲を満たすものとなる平均繊維径であればよく、特に限定されないが、0.5μm以上、2.4μm以下であることが好ましい。より好ましくは0.6μm以上、2.2μm以下であり、さらに好ましくは0.8μm以上、2.0μm以下である。不織布層Bの平均繊維径がこの範囲を満たすことで、平均孔径が上記範囲を満たしやすくなる上、不織布層Cの前ろ過層としての効果がより高いものとなる。不織布層Bの平均繊維径が2.4μmよりも大きいと、不織布層Bの平均孔径が上記範囲の上限を超えやすくなり、上記範囲を満たさなくなるおそれがある。また、不織布層Bの平均繊維径が大きくなると、不織布層Bの目付によっては孔径分布のバラつきが大きくなりやすく、不織布層Bの最大孔径が極端に大きくなり、筒状フィルターのろ過精度が低下するおそれがある。不織布層Bの平均繊維径が0.5μmよりも小さいと、不織布層Bの平均孔径が上記範囲の下限を下回りやすく、平均孔径が上記範囲を満たしにくくなり、その結果、筒状フィルターのろ過寿命が低下すると考えられる。
不織布層Bの目付(不織布層Bを構成する不織布の目付)は、平均孔径が上記範囲を満たすものとなる目付であればよく、特に限定されないが、10g/m2以上、120g/m2以下であることが好ましい。より好ましくは15g/m2以上、100g/m2以下であり、さらに好ましくは20g/m2以上、80g/m2以下であり、40g/m2以上、70g/m2以下であると特に好ましい。不織布層Bの目付がこの範囲を満たすことで、平均孔径が上記範囲を満たしやすくなる上、筒状フィルターの生産性も向上すると考えられる。不織布層Bの目付が10g/m2よりも小さいと、不織布層Bを構成する不織布が薄い不織布となり、不織布層Bの孔径分布においてバラつきが大きくなりやすく、不織布層Bの最大孔径が極端に大きくなるおそれがある。また、目付が小さくなりすぎることで不織布層Bの巻き回数(不織布層Bを構成する不織布を重ね合わせる積層回数)が多くなり、筒状フィルターの生産性が低下するおそれもある。不織布層Bの目付が120g/m2よりも大きいと、不織布層Bの孔径分布のバラつきは小さくなるが、厚い不織布になり、筒状フィルターの外径が規格を超えるおそれや、筒状フィルターのろ過性能が低下するおそれがある。
不織布層Bの最大孔径は、11.5μm以上、18.2μm以下であることが好ましい。より好ましくは12.5μm以上、17μm以下であり、さらに好ましくは14μm以上、16.5μm以下である。不織布層Bの最大孔径が上記範囲を満たすことで、不織布層Bが不織布層Cで捕集することが好ましいサイズの固形物は通過させ、不織布層Cで捕集するにはサイズが大きすぎる固形物は捕集し、不織布層Cには極力流出させないようになる。不織布層Bの最大孔径が18.2μmよりも大きいと、不織布層Bを通過しうる固形物のサイズが大きくなるため、不織布層Cが急激に閉塞し、筒状フィルターのろ過寿命が低下するおそれがある。不織布層Bの最大孔径が11.5μmよりも小さいと、不織布層Bで捕集される固形物の割合が多くなることで、不織布層Bが他の不織布層よりも早い段階で閉塞し、筒状フィルターのろ過寿命が低下するおそれがある。
不織布層Bの最多孔径は6μm以上、12μm以下であることが好ましい。より好ましくは7μm以上、12μm以下であり、さらに好ましくは8μm以上、11.5μm以下である。ろ過用途に使用する不織布において、不織布層Bの最多孔径が上記範囲を満たすことで、不織布層Bが不織布層Cで捕集することが好ましいサイズの固形物は通過させ、不織布層Cで捕集するにはサイズが大きすぎる固形物は捕集し、不織布層Cには極力流出さないようになる。不織布層Bの最多孔径が12μmよりも大きいと、不織布層Bを通過しうる固形物のサイズが大きくなるため、不織布層Cが急激に閉塞し、筒状フィルターのろ過寿命が低下するおそれがある。不織布層Bの最多孔径が6μmよりも小さいと、不織布層Bで捕集される固形物の割合が多くなることで、不織布層Bが他の不織布層よりも早い段階で閉塞し、筒状フィルターのろ過寿命が低下するおそれがある。
<不織布層C>
不織布層Cは、ろ過層を構成する不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの中で、最も流出側に位置するろ過層であり、筒状フィルターのろ過精度に大きな影響を与える。
本発明の筒状フィルターのろ過層を構成する不織布層Cは、平均繊維径が2μm以下の細繊維径不織布を含む不織布層である。この細繊維径不織布は、不織布層Cよりも流入側に位置する不織布層A及び不織布層Bと比較して平均繊維径が小さく、平均孔径が小さい不織布である。このため、不織布層Cに含まれる細繊維径不織布の平均繊維径や平均孔径、及び細繊維径不織布の巻き長などにより、本発明の筒状フィルターのろ過精度が決定される。
前記細繊維径不織布は、平均繊維径が2μm以下の不織布である。そのため、細繊維径不織布のみを巻き回す、即ち、細繊維径不織布同士が接触し、重ね合わさるように巻き回した場合、細繊維径不織布のみを巻き回した長さが長すぎると、平均繊維径が小さく、繊維間隔の狭い不織布同士が接触するため、細繊維径不織布同士が密着したような状態となり、ろ過時の圧力損失が大きくなるおそれがある。また、平均繊維径が小さく、繊維間隔の狭い不織布同士が接触するため、ろ過層を構成する不織布に存在する空隙が少なくなり、筒状フィルターのろ過寿命が極端に短くなるおそれがある。
本発明者等は鋭意検討し、細繊維径不織布を巻き回す際、平均繊維径が2μmよりも大きい不織布(太繊維径不織布)を細繊維径不織布に重ね合わせて積層した状態で巻き回すことで上記課題を解決し、このようにして得られる不織布層C、及び、前記不織布層A、不織布層Bを有する筒状フィルターが、高いろ過精度と長いろ過寿命を両立させることを見いだした。
本発明の筒状フィルターの一部を構成する不織布層Cは、平均繊維径が2μm以下の細繊維径不織布を含む不織布層であり、前記細繊維径不織布は、少なくともその一部が、平均繊維径が2μmよりも大きい不織布(太繊維径不織布)と重ね合わせて積層した状態で巻き回されることで不織布層Cを形成している。細繊維径不織布と太繊維径不織布を重ね合わせて積層した状態で巻き回して不織布層を形成すると、細繊維径不織布と太繊維径不織布が重なっている部分では細繊維径不織布同士が接触しないため、平均繊維径の小さい不織布同士の密着に起因する圧力損失の増加、及び、ろ過寿命の低下が発生しにくくなり、ろ過精度を保ちながらろ過寿命が向上しうる。
本発明の筒状フィルターの一部を構成する不織布層Cは、少なくとも前記細繊維径不織布、即ち、平均繊維径が2μm以下の不織布が巻き回されている不織布層のことを指す。より具体的には、
1)平均繊維径が2μm以下の不織布(細繊維径不織布)が連続して巻き回されており、その一部が、平均繊維径が2μmよりも大きい不織布(太繊維径不織布)と積層して巻き回されている不織布層の中で、太繊維径不織布を含まず、細繊維径不織布が単独で巻き回されている不織布層
2)少なくとも2種類の不織布を含む不織布層であり、平均繊維径が2μm以下の不織布(細繊維径不織布)と、平均繊維径が2μmよりも大きい不織布(太繊維径不織布)が重ね合わせて積層した状態で巻き回されている不織布層
上記1)又は、2)が不織布層Cに含まれる。そして、
3)平均繊維径が2μmよりも大きい不織布(太繊維径不織布)が単独で巻き回されて形成された不織布の層
4)平均繊維径が2μm以下の連続した不織布(細繊維径不織布)が、巻き始めから巻き終わりまで、単独で巻き回されている不織布層であって、当該不織布層の流入側に位置する不織布層が、前記細繊維径不織布とは異なる種類の細繊維径不織布を含む不織布層となっている不織布層
上記3)又は、4)は不織布層Cには含まれない。
上記1)で説明される不織布層とは、平均繊維径が2μm以下の連続した、言い換えるならば切れ目のない不織布(細繊維径不織布)を使用し、その一部分だけ、平均繊維径が2μmよりも大きい不織布(太繊維径不織布)と重ね合わせて巻き回した場合に発生する、太繊維径不織布と積層している部分からはみ出している細繊維径不織布が、単独で巻き回されている不織布層のことを指す。この層は不織布層Cに含まれる。また、上記3)で説明される不織布層とは、細繊維径不織布と太繊維径不織布を重ね合わせて巻き回す際に、細繊維径不織布よりも太繊維径不織布のほうが巻き長さが長い場合、巻き始め及び/又は巻き終わりに、太繊維径不織布のみが巻き回された不織布層が形成されるが、この不織布層のことを指す。この層は不織布層Cには含まれない。
上記4)に該当する不織布層を説明する。まず、平均繊維径が2μm以下の不織布(仮に細繊維径不織布イと称す)を、巻き始めから巻き終わりまで連続して巻き回し、細繊維径不織布イを切断し細繊維径不織布層イとする。次に、前記細繊維径不織布イとは異なる不織布で平均繊維径が2μm以下の不織布(仮に細繊維径不織布ロと称す)を細繊維径不織布層イの上に数周巻き回した後、平均繊維径が2μmより大きい不織布(仮に太繊維径不織布ロと称す)を準備して太繊維径不織布ロ及び細繊維径不織布ロを重ね合わせて所望の長さまで巻き回し、これらを切断して細繊維径不織布層ロとした場合を想定する。この場合、上記細繊維径不織布層ロのうち、細繊維径不織布ロと太繊維径不織布ロを重ね合わせて巻き回している層は、上記2)に該当するため不織布層Cに含まれる。細繊維径不織布ロの巻き始めに形成されている、細繊維径不織布ロのみが連続して巻き回されている層は、上記1)に該当するため、不織布層Cに含まれる。一方、細繊維径不織布イのみを巻き回した不織布層イは上記4)に該当するため不織布層Cには含まれない。
上記の場合において、仮に、細繊維径不織布イと細繊維径不織布ロが同一の不織布である場合、細繊維径不織布イが一旦切断されているものの、連続して巻き回した場合と変わらないため、本発明では、細繊維径不織布イを連続して巻き回しているものとみなす。従って、細繊維径不織布層ロは全て不織布層Cに含まれることはもちろん、細繊維径不織布層イも不織布層Cに含まれる。
より具体的な例を説明する。ろ過の対象物となる流体が、外側(筒状フィルターの側面部)から内側の円柱状の空洞部に向けて通過する筒状フィルターにおいて、筒状フィルターの流出側から順に、下記の不織布層W〜Zを形成した場合を想定する。
不織布層W.平均繊維径が0.8μmの不織布(細繊維径不織布W)を1m巻き回した不織布層
不織布層X.平均繊維径が1.5μmの不織布(細繊維径不織布X)を1m巻き回した不織布層
不織布層Y.細繊維径不織布Xと、平均繊維径が2.3μmの不織布(太繊維径不織布Y)を重ね合わせて4m巻き回した不織布層
不織布層Z.太繊維径不織布Yのみを2m巻き回した不織布層
上記の場合、不織布層Wは、上記4)に該当するため、不織布層Cには該当しない。また不織布層Zは上記3)に該当し、不織布層Cには該当しない。不織布層X及び不織布層Yは不織布層Cに該当する。細繊維径不織布Xが連続している、即ち不織布層Xと不織布層Yを連続して形成している場合は、不織布層Xは上記1)に該当し、不織布層Yは上記2)に該当する。細繊維径不織布Xが不織布層Xと不織布層Yの間で一旦切断されていても、連続して巻き回しているとみなすため、不織布層Xは上記1)に該当し、不織布層Yは上記2)に該当する。
不織布層Cに含まれる細繊維径不織布について説明する。細繊維径不織布の平均孔径は、不織布層Aの平均孔径の0.37倍以上、0.86倍以下である。好ましくは不織布層Aの平均孔径の0.4倍以上、0.6倍以下であり、0.41倍以上、0.55倍以下であることがより好ましく、0.42倍以上、0.5倍以下であることがさらに好ましい。本発明の筒状フィルターにおいて、細繊維径不織布の平均孔径は、不織布層Aの平均孔径に対し、一定の範囲を満たす倍率である。すなわち、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cで構成されたろ過層の中で、最も流入側に位置する不織布層Aの平均孔径と、最も流出側に位置する不織布層Cに含まれる細繊維径不織布の平均孔径の比が一定の範囲を満たしている。そのため、不織布層Aと細繊維径不織布の間における平均孔径の勾配、すなわち、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cで構成されるろ過層において、平均孔径の勾配が適度なものとなり、主に筒状フィルターのろ過寿命の向上に寄与すると考えられる。細繊維径不織布の平均孔径が不織布層Aの平均孔径の0.86倍よりも大きいと、不織布層Aと細繊維径不織布の間における平均孔径の勾配が小さくなりすぎる。そのため、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cで構成されるろ過層全体の平均孔径の勾配が小さくなり、筒状フィルターのろ過精度とろ過寿命を両立することが難しくなる。また、細繊維径不織布の平均孔径が大きいため、筒状フィルターのろ過精度が低下するおそれがある。細繊維径不織布の平均孔径が、不織布層Aの平均孔径の0.37倍よりも小さいと、不織布層Aと細繊維径不織布の間における平均孔径の勾配が大きくなりすぎる。そのため、不織布層A及び/又は不織布層Bが、不織布層Cの前ろ過層として十分に機能しなくなり、不織布層Cが不織布層A及び/又は不織布層Bよりも早い段階で閉塞するようになり、筒状フィルターのろ過寿命が低下するおそれがある。
不織布層Aが異なる2種類以上の不織布で構成されていて、不織布の平均孔径がそれぞれ異なる場合、最も平均孔径の小さい不織布の平均孔径の値に基づいて、不織布層Cに含まれる細繊維径不織布の平均孔径が決定される。例えば、不織布層Aを平均孔径が12μm、14μm、16μmの不織布を用いて構成している場合、細繊維径不織布の平均孔径の範囲は、最も値が小さい不織布の平均孔径に基づいて決定され、4.4μm以上、10.3μm以下となる。なお、不織布層Cに含まれる細繊維径不織布は、上記平均孔径の範囲を満たす不織布を1種類用いて構成してもよいし、上記平均孔径の範囲を満たす不織布を2種類以上用いて構成してもよい。
本発明の筒状フィルターでは、不織布層Cに含まれる細繊維径不織布の平均孔径が、不織布層Aの平均孔径の0.37倍以上、0.86倍以下であればよいが、細繊維径不織布の平均孔径が、この倍率を満たしつつ、不織布層Bの平均孔径の0.4倍以上、0.9倍以下であることが好ましい。細繊維径不織布の平均孔径は、不織布層Bの平均孔径の0.45倍以上、0.8倍以下であることがより好ましく、0.5倍以上、0.75倍以下であることがさらに好ましい。細繊維径不織布の平均孔径が不織布層Bの平均孔径の0.4倍以上、0.9倍以下であると、不織布層Bと細繊維径不織布の間における平均孔径の勾配も適度なものとなり、筒状フィルターのろ過精度とろ過寿命の向上に寄与すると考えられる。細繊維径不織布の平均孔径が不織布層Bの平均孔径の0.9倍よりも大きいと、不織布層Bと細繊維径不織布の間における平均孔径の勾配が小さくなりすぎるため、細繊維径不織布が不織布層Bを通過した固形物の大部分を捕集できなくなり、筒状フィルターのろ過精度が低下するおそれがある。細繊維径不織布の平均孔径が不織布層Bの平均孔径の0.4倍よりも小さいと、不織布層Bと細繊維径不織布の間における平均孔径の勾配が大きくなりすぎるため、細繊維径不織布にサイズが大きすぎる固形物が流れ込むようになり、細繊維径不織布を含む不織布層Cが不織布層A及び/又は不織布層Bよりも早い段階で閉塞しやすくなり、筒状フィルターのろ過寿命が低下するおそれがある。不織布層Bが異なる2種類以上の不織布で構成されていて、不織布の平均孔径がそれぞれ異なる場合、最も平均孔径の小さい不織布の平均孔径の値に基づいて、不織布層Cに含まれる細繊維径不織布の平均孔径が決定される。例えば、不織布層Bが、平均孔径がそれぞれ8μm、10μmの不織布で構成されている場合、細繊維径不織布の平均孔径の範囲は、不織布層Aの平均孔径に対し0.37倍以上、0.86倍以下という範囲を満たしつつ、不織布層Bを構成する平均孔径8μmの不織布の平均孔径の値に基づいて決定される、3.2μm以上、7.2μm以下の範囲を満たすことが好ましい。
本発明の筒状フィルターにおいて、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して、細繊維径不織布の含有量は、7.8質量%以上、25質量%以下である。より好ましい細繊維径不織布の含有量は、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して、8質量%以上、20質量%以下であり、特に好ましい細繊維径不織布の含有量は、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して、8.5質量%以上、18質量%以下であり、最も好ましい細繊維径不織布の含有量は、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して、9質量%以上、17質量%以下である。細繊維径不織布の含有量が7.8質量%よりも少ないと、細繊維径不織布を含む不織布層Cが不織布層A及び/又は不織布層Bよりも早い段階で閉塞してしまい、筒状フィルターのろ過寿命が低下するおそれがある。また、不織布層Cにおいて、細繊維径不織布の巻き回数(細繊維径不織布を巻き回し、重ね合わせた積層回数)が減少することで、筒状フィルターのろ過精度が低下するおそれもある。細繊維径不織布の含有量が27質量%を超えると、筒状フィルターのろ過精度は高められるが、不織布層A及び/又は不織布層Bの割合が少なくなり、筒状フィルターのろ過寿命が低下するおそれがある。細繊維径不織布として、平均繊維径が2μm以下であって平均孔径の異なる2種類以上の不織布を不織布層Cが含んでいる場合、細繊維径不織布の含有量は、これらの平均孔径の異なる不織布の含有量の合計であり、前記の不織布層Aの含有量を求めた方法と同じ計算方法で求める。
細繊維径不織布の平均繊維径は、2μm以下であれば特に限定されないが、0.05μm以上、2μm以下であることが好ましい。より好ましくは0.2μm以上、1.8μm以下であり、さらに好ましくは0.5μm以上、1.75μm以下であり、最も好ましくは0.6μm以上、1.7μm以下である。細繊維径不織布の平均繊維径がこの範囲を満たすことで、ろ過精度が高い筒状フィルターが得られるようになる。細繊維径不織布の平均繊維径が2μmよりも大きいと、筒状フィルターのろ過精度が低下するおそれがある。
細繊維径不織布の目付は、平均繊維径及び平均孔径が上記範囲を満たすものになるような目付であればよく、特に限定されないが、5g/m2以上、120g/m2以下であることが好ましい。より好ましくは8g/m2以上、80g/m2以下であり、さらに好ましくは10g/m2以上、50g/m2以下であり、12g/m2以上、40g/m2以下であると特に好ましい。細繊維径不織布の目付がこの範囲を満たすことで、平均孔径が上記範囲を満たしやすくなるだけでなく、筒状フィルターの生産性も向上すると考えられる。細繊維径不織布の目付が5g/m2よりも小さいと、細繊維径不織布が薄い不織布となり、孔径分布のバラつきが大きくなりやすく、細繊維径不織布の最大孔径が極端に大きくなることで筒状フィルターのろ過精度が低下するおそれがある。また、目付が小さくなりすぎることで、筒状フィルターを形成するために必要な細繊維径不織布の巻き回数が多くなり、筒状フィルターの生産性が低下するおそれもある。細繊維径不織布の目付が120g/m2よりも大きいと、細繊維径不織布の孔径分布のバラつきは小さくなるが、厚い不織布になり、筒状フィルターの外径が規格を超えるおそれや、筒状フィルターのろ過性能が低下するおそれがある。
細繊維径不織布の厚さは、平均繊維径及び平均孔径が上記範囲を満たすものになるような厚さであればよく、特に限定されないが、0.01mm以上、0.5mm以下であることが好ましい。より好ましくは0.03mm以上、0.3mm以下であり、さらに好ましくは0.05mm、0.2mm以下である。細繊維径不織布は、少なくとも一部を太繊維径不織布と重ね合わせた状態で巻き回すため、平均繊維径、及び平均孔径の条件を満たしながら、比較的薄い不織布を選ぶことで、太繊維径不織布と重ね合わせても厚さが小さくなる。厚さが小さくなるため、細繊維径不織布の巻き数が増加しても筒状フィルターの直径が大きくなりにくく、筒状フィルターの外径が抑えられるため好ましい。細繊維径不織布の厚さが0.01mmよりも小さくなると、不織布の地合にムラが発生しやすくなり、平均孔径の要件が外れるおそれがあるだけでなく、ろ過精度が低下するおそれがある。細繊維径不織布の厚さが0.5mmを超えると、不織布層Cの厚さが大きくなり、得られる筒状フィルターの直径が製品規格から外れたりするおそれがある。本発明において、各不織布の厚さの測定方法は後述する。
細繊維径不織布の最大孔径は、6μm以上、15μm以下であることが好ましい。より好ましくは8μm以上、14μm以下であり、さらに好ましくは8.5μm以上、12μm以下である。細繊維径不織布の最大孔径がこの範囲を満たすことで、本発明の筒状フィルターは高いろ過精度を発揮することができる。細繊維径不織布の最大孔径が15μmよりも大きいと、細繊維径不織布を通過しうる固形物のサイズが大きくなり、筒状フィルターのろ過精度が低下するおそれがある。細繊維径不織布の最大孔径が6μmよりも小さいと、細繊維径不織布が不織布層A及び不織布層Bと比較して、極端に最大孔径の小さい層になり、細繊維径不織布を含む不織布層Cが他の不織布層よりも早く閉塞することで、筒状フィルターのろ過寿命が低下するおそれがある。
細繊維径不織布の最多孔径は1μm以上、9μm以下であることが好ましい。より好ましくは2μm以上、8μm以下であり、さらに好ましくは3.5μm以上、7μm以下である。細繊維径不織布の最多孔径がこの範囲を満たすことで、本発明の筒状フィルターは高いろ過精度を発揮することができる。細繊維径不織布の最多孔径が9μmよりも大きいと、細繊維径不織布を通過しうる固形物のサイズが大きくなり、筒状フィルターのろ過精度が低下するおそれがある。細繊維径不織布の最多孔径が1μmよりも小さいと、細繊維径不織布が不織布層A及び不織布層Bと比較して、極端に最多孔径の小さい層になり、細繊維径不織布を含む不織布層Cが他の不織布層よりも早く閉塞することで、筒状フィルターのろ過寿命が低下するおそれがある。
次に不織布層Cに含まれる太繊維径不織布について説明する。太繊維径不織布は平均繊維径が2μmよりも大きい不織布であり、細繊維径不織布と重ね合わせて積層した状態で巻き回されることで不織布層Cを形成している。太繊維径不織布は、細繊維径不織布と重ねて巻き回すことで細繊維径不織布と細繊維径不織布の間に位置するにスペーサー層となり、細繊維径不織布同士の貼り付きを防ぐ。また、細繊維径不織布と太繊維径不織布が交互に重ね合わされるため、ろ過の対象物も、これらの不織布を交互に通過するようになる。これにより、不織布層A、不織布層Bで捕集しきれなかった、サイズの比較的大きい固形物は太繊維径不織布が捕集し、不織布層A、不織布層B、及び太繊維径不織布では捕集できない、サイズの比較的小さい固形物は細繊維径不織布が捕集するようなる。加えて、太繊維径不織布と細繊維径不織布が重ね合わせた状態で巻き回されているため、上記の固形物のサイズに適したろ過が、重ね合わせて巻き回した回数だけ繰り返し行われるので、筒状フィルターのろ過精度、及びろ過寿命が向上する。
太繊維径不織布の平均繊維径は、2μmよりも大きければ特に限定されない。しかし、太繊維径不織布の平均繊維径は、2μmより大きく、2.75μm以下であることが好ましく、2.1μm以上、2.7μm以下であるとより好ましく、2.2μm以上、2.6μm以下であるとさらに好ましい。太繊維径不織布の平均繊維径がこの範囲を満たすことで、ろ過寿命が高い筒状フィルターが得られるようになる。太繊維径不織布の平均繊維径が2μm以下であると太繊維径不織布が細繊維径不織布と大差のない不織布となり不織布層Cが他の不織布層よりも早く閉塞し、筒状フィルターのろ過寿命が低下するおそれがある。
太繊維径不織布の平均孔径は、細繊維径不織布の平均孔径の1.25倍以上、2.7倍以下であると好ましい。より好ましくは、細繊維径不織布の平均孔径の1.4倍以上、2.5倍以下であり、1.6倍以上、2.4倍以下であることが特に好ましく、1.8倍以上、2.3倍以下であることが最も好ましい。本発明の筒状フィルターにおいて、太繊維径不織布の平均孔径は、細繊維径不織布の平均孔径に対し、一定の範囲を満たす倍率であることが好ましい。太繊維径不織布の平均孔径と、細繊維径不織布の平均孔径の比が一定の範囲を満たすことで細繊維径不織布と太繊維径不織布の平均孔径の勾配が適度なものとなり、細繊維径不織布と太繊維径不織布を重ね合わせて巻き回した部分において、固形物のサイズに応じたろ過が行われ、筒状フィルターのろ過寿命の向上に寄与すると考えられる。太繊維径不織布の平均孔径が細繊維径不織布の平均孔径の2.7倍より大きいと、太繊維径不織布の平均孔径が大きすぎるため、ろ過対象物に含まれる固形物の大部分が太繊維径不織布を通過し、細繊維径不織布で捕集されるようになり、筒状フィルターのろ過寿命が低下するおそれがある。太繊維径不織布の平均孔径が細繊維径不織布の平均孔径の1.25倍より小さいと、太繊維径不織布の平均孔径が小さすぎるため、太繊維径不織布が細繊維径不織布と大差のない不織布となる。これにより、不織布層Cが他の不織布層よりも早く閉塞し、筒状フィルターのろ過寿命が低下するおそれがある。
細繊維径不織布として、平均孔径の異なる2種類以上の不織布を使用する場合、太繊維径不織布の平均孔径の範囲は、当該太繊維径不織布よりも流出側に位置する細繊維径不織布であって、最も近い細繊維径不織布の平均孔径の値に基づいて決定される。例えば、太繊維径不織布と細繊維径不織布が重ね合わせられた状態で交互に巻き回されている場合、当該太繊維径不織布の平均孔径の範囲は、隣接し、接触している細繊維径不織布(太繊維径不織布と重ね合わせた状態で巻き回され、太繊維径不織布に接触している細繊維径不織布)のうち、当該太繊維径不織布よりも流出側に位置している細繊維径不織布の平均孔径の値に基づいて決定される。
例えば、細繊維径不織布として、平均孔径が5μm、7μmの細繊維径不織布を使用して不織布層Cを構成する場合、これらの細繊維径不織布と重ね合わせた状態で巻き回される太繊維径不織布の平均孔径の範囲は、平均孔径が5μmの細繊維径不織布と重ね合わされる太繊維径不織布は、その範囲が6.24μm以上、13.5μm以下であり、平均孔径が7μmの細繊維径不織布と重ね合わされる太繊維径不織布は、その範囲が8.75μm以上、18.9μm以下である。なお、不織布層Cに含まれる細繊維径不織布の少なくとも一部と重ね合わせられて巻き回される太繊維径不織布は、平均繊維径が2μmより大きい不織布であって、上記の方法で求められる平均孔径の範囲を満たす不織布を1種類用いて構成してもよいし、2種類以上用いて構成してもよい。即ち、細繊維径不織布として平均孔径が5μmの不織布を用い、太繊維径不織布として、平均孔径が8μmの不織布と10μmの不織布を用い、重ね合わせた状態で巻き回して不織布層Cを構成してもよい。
太繊維径不織布の目付は、平均繊維径が上記範囲を満たすものになるような目付であればよく、特に限定されないが、5g/m2以上、120g/m2以下であることが好ましい。より好ましくは8g/m2以上、80g/m2以下であり、さらに好ましくは10g/m2以上、50g/m2以下であり、12g/m2以上、40g/m2以下であると特に好ましい。太繊維径不織布の目付がこの範囲を満たすことで、平均孔径が上記範囲を満たしやすくなる上、筒状フィルターの生産性も向上すると考えられる。太繊維径不織布の目付が5g/m2よりも小さいと、太繊維径不織布が薄い不織布となり、孔径分布のバラつきが大きくなりやすく、太繊維径不織布の最大孔径が極端に大きくなることで筒状フィルターのろ過精度が低下するおそれがある。また、目付が小さくなりすぎることで、細繊維径不織布の貼り付きが抑えられなくなり、細繊維径不織布同士が密着したような状態となり、ろ過寿命が低下するおそれがある。太繊維径不織布の目付が120g/m2よりも大きくなると、目付に比例して、太繊維径不織布の厚さが大きくなり、筒状フィルターの生産性が低下したり、得られる筒状フィルターの直径が製品規格から外れたりするおそれがあるだけでなく、ろ過寿命が低下するおそれもある。
太繊維径不織布の厚さは、特に限定されないが、0.01mm以上、0.5mm以下であることが好ましい。より好ましくは0.03mm以上、0.3mm以下であり、さらに好ましくは0.05mm、0.2mm以下である。太繊維径不織布は、細繊維径不織布と重ね合わせた状態で巻き回すため、平均繊維径の条件を満たしながら、比較的薄い不織布を選ぶことで、細繊維径不織布と重ね合わせても厚さが抑えられる。厚さが抑えられるため、細繊維径不織布と太繊維径不織布を重ね合わせて巻き回しても筒状フィルターの直径が大きくなりにくく、筒状フィルターの外径が抑えられるため好ましい。太繊維径不織布の厚さが0.01mmよりも小さくなると、不織布の地合にムラが発生しやすくなり、平均孔径の要件が外れるおそれがあるだけでなく、太繊維径不織布が細繊維径不織布同士の貼り付きを抑える働きが弱くなり、通液圧損が増加したり、ろ過寿命が低下したりするおそれがある。太繊維径不織布の厚さが0.5mmを超えると、巻き長さの増加に伴い不織布層Cの厚さが急激に増加し、得られる筒状フィルターの直径が製品規格から外れたりするおそれがある。
太繊維径不織布の最大孔径は、15μm以上、25μm以下であることが好ましい。より好ましくは16μm以上、23μm以下であり、さらに好ましくは17μm以上、21μm以下である。太繊維径不織布の最大孔径が25μmよりも大きいと、不織布層Cに流れ込んだ固形物の大部分が細繊維径不織布に流れ込むため、細繊維径不織布の閉塞、即ち不織布層Cの閉塞が急速に進み、筒状フィルターのろ過寿命が低下するおそれがある。太繊維径不織布の最大孔径が15μmよりも小さいと太繊維径不織布の最大孔径が小さすぎるため、太繊維径不織布が細繊維径不織布と大差のない不織布となる。これにより、不織布層Cが他の不織布層よりも早く閉塞し、筒状フィルターのろ過寿命が低下するおそれがある。
太繊維径不織布の最多孔径は9.8μm以上、16.5μm以下であることが好ましい。より好ましくは10μm以上、15μm以下であり、さらに好ましくは10.5μm以上、14μm以下である。太繊維径不織布の最多孔径が16.5μmよりも大きいと、不織布層Cに流れ込んだ固形物の大部分が細繊維径不織布に流れ込むため、細繊維径不織布の閉塞、即ち不織布層Cの閉塞が急速に進み、筒状フィルターのろ過寿命が低下するおそれがある。太繊維径不織布の最多孔径が9.8μmよりも小さいと太繊維径不織布の最多孔径が小さすぎるため、太繊維径不織布が細繊維径不織布と大差のない不織布となる。これにより、不織布層Cが他の不織布層よりも早く閉塞し、筒状フィルターのろ過寿命が低下するおそれがある。
太繊維径不織布は、不織布層Cに含まれる細繊維径不織布の少なくとも一部と重ね合わせられ積層した状態で巻き回され、不織布層Cを構成する。細繊維径不織布と太繊維径不織布を重ね合わせて巻き回す部分は、例えば、細繊維径不織布と太繊維径不織布を重ね合わせて2m巻き回し、1mだけ細繊維径不織布を単独で巻き回した後、再度、重ね合わせた状態で2m巻き回すというように部分的に設けてもよいが、筒状フィルターの生産性が低下するため、細繊維径不織布と太繊維径不織布が重ね合わされて巻き回されている部分は連続して設けられていることが好ましい。細繊維径不織布に対し、少なくとも一部において太繊維径不織布が重ね合わされていればよいが、細繊維径不織布が巻き回されている長さに対して50%以上の部分において、太繊維径不織布と細繊維径不織布が重ね合わされた状態で巻き回されていることが好ましい。太繊維径不織布と細繊維径不織布が重ね合わされた状態で巻き回されている部分が、細繊維径不織布の巻き長の50%以上であることで、細繊維径不織布同士の貼り付きが十分に抑えられ、通液時の圧力損失が低下し、ろ過寿命が向上すると考えられる。太繊維径不織布と細繊維径不織布が重ね合わされた状態で巻き回されている部分は、細繊維径不織布の巻き長に対し、75%以上であることがより好ましく、80%以上であることが特に好ましく、90%以上であることが最も好ましい。細繊維径不織布と太繊維径不織布が重ね合わされて巻き回されている部分の割合は特に上限がなく、細繊維径不織布がその巻き長全ての部分において、太繊維径不織布と重ね合わされて巻き回され、不織布層Cを形成していてもよい。
不織布層Cにおいて、細繊維径不織布と太繊維径不織布を重ね合わせて巻き回している不織布層は、不織布層Cのどの部分に形成されてもよく、最も流入側に近い部分(即ち、不織布層Bに接しているか、不織布層Bに最も近い部分)にのみ形成されていてもよいし、不織布層Cの中程に形成されていてもよいし、最も流出側に近い部分に形成されていてもよい。本発明の筒状フィルターを構成する不織布層Cにおいて、細繊維径不織布と太繊維径不織布を重ね合わせて巻き回している不織布層が、少なくとも最も流入側に近い部分、即ち不織布層Bに最も近いか不織布層Bに接している部分に形成されていることが好ましい。最も流入側に近い部分には、細かい固形物が多く含まれる状態でろ過の対象物が流れ込むため、この部分が細繊維径不織布のみで構成された不織布層であると、この部分が他の不織布層と比較して極端に早く閉塞してしまい筒状フィルターのろ過寿命が低下するおそれがある。
細繊維径不織布として異なる不織布を複数種類巻き回している場合、細繊維径不織布の巻き長は、それぞれの細繊維径不織布の巻き長の総和とする。例えば、平均孔径が5μmの不織布を2m、平均孔径が7μmの不織布を3m用いて細繊維径不織布とする場合、細繊維径不織布の巻き長は5mである。従って、太繊維径不織布と重ね合わされた状態で巻き回されている部分が2.5m以上であると好ましく、3.75m以上であるとより好ましく、4m以上であると特に好ましく、4.5m以上であると最も好ましい。
不織布層A、不織布層B及び細繊維径不織布について、それぞれが上述した好ましい平均繊維径、目付、最大孔径、最多孔径を満たしていることが好ましいが、筒状フィルターの高いろ過精度と長いろ過寿命を両立するという観点から、平均繊維径は不織布層A、不織布層B、細繊維径不織布の順で小さくなっていることがより好ましい。不織布層A、不織布層B及び細繊維径不織布において、それぞれが好ましい平均繊維径の範囲を満たし、かつ平均繊維径が不織布層A、不織布層B、細繊維径不織布の順で小さくなっていることで、各不織布層が、その層に適したサイズの固形物を確実に捕集し、適したサイズよりも大きいサイズの固形物は通過させ、高いろ過精度と長いろ過寿命が両立される。不織布層A、不織布層B及び細繊維径不織布から選ばれる少なくとも1つの不織布層が、平均繊維径が異なる2種類以上の不織布を含む場合、その不織布層自体も流入側から流出側にむけて順に平均繊維径が小さくなっていることが好ましい。各不織布層においても平均繊維径が異なる不織布を流入側から流出側にむけて順に平均繊維径が小さくなるように巻き回することで、高いろ過精度と長いろ過寿命が両立しやすくなる。
不織布層A、不織布層B、細繊維径不織布について、それぞれが上述した好ましい平均繊維径、目付、最大孔径、最多孔径を満たしていることが好ましいが、筒状フィルターの高いろ過精度と長いろ過寿命を両立するという観点から、不織布の最大孔径は、不織布層A、不織布層B、細繊維径不織布の順で小さくなっていることがより好ましい。不織布層A、不織布層B及び細繊維径不織布において、それぞれが好ましい最大孔径の範囲を満たし、かつ最大孔径が不織布層A、不織布層B、細繊維径不織布の順で小さくなっていることで、各不織布層が、その層に適したサイズの固形物を確実に捕集し、適したサイズよりも小さいサイズの固体物は通過させ、高いろ過精度と長いろ過寿命が両立される。不織布層A、不織布層B及び細繊維径不織布から選ばれる少なくとも1つの不織布層が、最大孔径の異なる2種類以上の不織布を含む場合、その不織布層自体も流入側から流出側にむけて順に最大孔径が小さくなっていることが好ましい。各不織布層においても最大孔径が異なる不織布を流入側から流出側にむけて順に最大孔径が小さくなるように巻き回することで、高いろ過精度と長いろ過寿命が両立しやすくなる。
不織布層A、不織布層B及び細繊維径不織布について、それぞれが上述した好ましい平均繊維径、目付、最大孔径、最多孔径を満たしていることが好ましいが、筒状フィルターの高いろ過精度と長いろ過寿命を両立するという観点から、不織布の最多孔径は、不織布層A、不織布層B、細繊維径不織布の順で小さくなっていることがより好ましい。不織布層A、不織布層B及び細繊維径不織布において、それぞれが好ましい最多孔径の範囲を満たし、かつ最多孔径が不織布層A、不織布層B、細繊維径不織布の順で小さくなっていることで、各不織布層が、その層に適したサイズの固形物を確実に捕集し、適したサイズよりも小さいサイズの固体物は通過させ、高いろ過精度と長いろ過寿命が両立される。不織布層A、不織布層B及び細繊維径不織布から選ばれる少なくとも1つの不織布層が、最多孔径の異なる2種類以上の不織布を含む場合、その不織布層自体も流入側から流出側にむけて順に最多孔径が小さくなっていることが好ましい。各不織布層においても最多孔径が異なる不織布を流入側から流出側にむけて順に最多孔径が小さくなるように巻き回することで、高いろ過精度と長いろ過寿命が両立しやすくなるためである。
本発明の筒状フィルターにおいて、不織布層Cの含有量は、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して、9質量%以上、54質量%以下であることが好ましい。不織布層Cの含有量が9質量%よりも少ないと、不織布層Cの割合が小さくなることから、不織布層Cが不織布層A及び/又は不織布層Bよりも早い段階で閉塞してしまい、筒状フィルターのろ過寿命が低下するおそれがある。また、不織布層Cにおいて、不織布層Cの巻き回数(不織布層Cを構成する不織布を重ね合わせる積層回数)が減少することで、筒状フィルターのろ過精度が低下するおそれもある。不織布層Cの含有量が54質量%を超えると、不織布層Cの割合が多くなりすぎることで、不織布層A及び/又は不織布層Bの割合が少なくなり、筒状フィルターのろ過寿命が低下するおそれがある。不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対する不織布層Cの割合は11質量%以上、52質量%以下であると好ましく、13質量%以上、50質量%以下であるとより好ましい。不織布層Cが平均孔径の異なる2種類以上の不織布で構成されている場合、不織布層Cの含有量は、これらの平均孔径の異なる不織布の含有量の合計である。例えば、不織布層Cが、平均孔径が6.5μmの不織布(細繊維径不織布)と平均孔径が12.5μmの不織布(太繊維径不織布)で構成され、平均孔径が6.5μmの不織布及び平均孔径が12.5μmの不織布の含有量が、不織布層A、不織布層B、不織布層Cの合計質量に対して、それぞれ12質量%及び30質量%である場合、不織布層Cの含有量は不織布層A、不織布層B、不織布層Cの合計質量に対して42質量%である。
不織布層A、不織布層Bは、上述したとおり、各不織布層が1種類の不織布で構成されていてもよく、各不織布層の平均孔径の範囲を満たす不織布を2種類以上用いて構成されていてもよい。各不織布層を、上記平均孔径の範囲を満たし、平均孔径が異なる2種類以上の不織布で構成する場合、各不織布間は、平均孔径が異なる不織布同士を接着して巻き回されていてもよく、異なる不織布の端部同士を5cmから15cmほど重ねて巻き回してもよいし、末端部を合わせた状態で次の不織布を巻き回し始めることで、つなぎ目がなく、かつ平均孔径が異なる不織布を連続するように巻き回してもよい。また、不織布層A、不織布層Bも不織布層Cと同様、巻き回す不織布の間に、スペーサー層を介在させてもよい。上記スペーサー層を設けることで、不織布同士の貼り付きを防ぎ、筒状フィルターのろ過寿命が長くなる可能性や、通水圧損が低下する可能性があるためである。上記スペーサー層は隣接する不織布層の平均孔径の範囲を満たさない不織布などで構成されていればよい。
本発明において、不織布の平均孔径、最大孔径及び最多孔径の測定方法は後述する。
不織布層A、及び不織布層B、並びに不織布層Cに含まれる細繊維径不織布及び太繊維径不織布について、不織布の種類は特に限定されず、例えば長繊維(例えば、110mmよりも長い繊維長を有する繊維や、実質的に連続している繊維)不織布であってもよく、短繊維(例えば、3mm以上、110mm以下の繊維長を有する繊維)不織布であってもよい。長繊維不織布としては、例えばスパンボンド不織布、メルトブロー法により得られるメルトブローン不織布、エレクトロスピニング法(静電紡糸法、電界紡糸法)を用いて得られる不織布などを用いることができる。短繊維不織布としては、繊維長が3mm以上、20mm以下の短繊維を用いた湿式抄紙法、繊維長が3mm以上、32mm以下の短繊維を用いたエアレイ法(エアーレイド法とも称す)、繊維長が24mm以上、110mm以下の短繊維を用い、カード機で繊維ウェブを製造するカード法などにより繊維ウェブを作製し、さらにウェブを一体化させることにより得られるものを用いることができる。カード法で繊維ウェブを作製する場合、その製造方法は限定されず、パラレルウェブ、セミランダムウェブ、ランダムウェブ、クロスウェブ及びクリスクロスウェブなどの公知の製造方法で繊維ウェブを作製することができる。繊維ウェブの一体化は、接着剤による接合、繊維を軟化又は溶融させることによる熱接着(サーマルボンド)、ニードルパンチ及び高圧水流処理(スパンレース)から選択される一つ又は複数の方法により実施される。
不織布層A、及び不織布層B、並びに不織布層Cに含まれる細繊維径不織布及び太繊維径不織布は、油剤を使わずに製造でき、繊維くずが少なく、使用中の繊維脱落の発生が少ないことから、長繊維不織布であることが好ましい。不織布層A、不織布層B、及び太繊維径不織布はメルトブローン不織布であることがより好ましい。メルトブローン不織布は、繊維径の分布が大きい不織布とすることができる。メルトブローン不織布において、繊維径の大きい繊維によって構成された繊維間空隙では固形物(粒子)が通過しやすく、繊維径の小さい繊維によって構成された繊維間空隙では微小粒子を捕捉するので、メルトブローン不織布からなる不織布を複数周巻き回しても、目詰まりし難い。また、メルトブロー法によれば、適度な厚さを有する不織布を得やすい。
細繊維径不織布はメルトブローン不織布、またはエレクトロスピニング法で得られた不織布であることがより好ましい。これは細繊維径不織布が本発明の筒状フィルターにおいて、ろ過精度を決定する不織布であるため、より平均繊維径の細い不織布であることを求められるためである。細繊維径不織布として、メルトブローン不織布を用いるとより好ましい理由は上記の理由と同様である。細繊維径不織布に対し、特に高いろ過精度が求められる場合、メルトブローン不織布よりも平均繊維径が小さい不織布が得られるエレクトロスピニング法で製造された不織布を使用することが好ましい。エレクトロスピニング法は静電紡糸法、電界紡糸法とも呼ばれる不織布製造方法であり、一般的なメルトブローン不織布では平均繊維径が0.8μm未満の不織布を得ることが難しいが、エレクトロスピニング法であれば平均繊維径が0.8μm未満の不織布を容易に得ることができる。なお、エレクトロスピニング法としては、原料となる合成樹脂を溶媒に溶解させて紡糸、不織布とする溶液法と、原料となる合成樹脂を加熱、溶融して紡糸、不織布とする溶融法があるが、特に限定されず、どちらの方法で製造した不織布であっても使用することができる。
不織布層A、及び不織布層B、並びに不織布層Cに含まれる細繊維径不織布及び太繊維径不織布を構成する材料は特に限定されず、例えば熱可塑性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネートなどのポリエステル系樹脂;低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンなどのポリエチレン樹脂、アイソタクチック、アタクチック、シンジオタクチックなどのポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリブテン−1樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、エチレン−プロピレン共重合樹脂などのポリオレフィン系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12などのポリアミド系樹脂;ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスチレン、環状ポリオレフィン、ポリフェニレンサルファイド(ポリフェニレンスルフィド)などのエンジニアリング・プラスチックなどが挙げられる。
上述した熱可塑性樹脂、或いは例挙していないが、公知の熱可塑性樹脂の中から選択して不織布を作製し、不織布層A、不織布層B、不織布層Cを形成し、本発明の筒状フィルターに用いることができる。不織布及び筒状フィルターの生産性、筒状フィルターを使用する際の耐薬品性(耐酸性、耐塩基性、各種有機溶剤に対する耐性)が高いという観点から、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cは、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリブテン−1樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、エチレン−プロピレン共重合樹脂などのポリオレフィン系樹脂で構成されることが好ましく、少なくともポリプロピレン樹脂を含んでいることがさらに好ましい。ポリプロピレン樹脂はポリオレフィン系樹脂の中では比較的高融点の樹脂であることから、ある程度高い温度の液体をろ過できるほか、耐薬品性も良好であり、低コストである。なお、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cを構成する熱可塑性樹脂は、ポリオレフィン系樹脂に限定されず、本発明の筒状フィルターに求められる性能によってポリオレフィン系樹脂以外の熱可塑性樹脂を適宜選択して使用することができる。筒状フィルターに対し、耐熱性が求められる用途であれば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイドで不織布層A、不織布層B及び不織布層Cを構成することが好ましく、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ナイロン6、ナイロン66、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイドで構成することがより好ましい。
不織布層A及び不織布層B、並びに不織布層Cに含まれる細繊維径不織布及び太繊維径不織布を構成する繊維は、単一繊維であってもよく、複合繊維であってもよい。単一繊維は、分割型複合繊維の割繊により形成される繊維や、いわゆる海島型複合繊維から海成分を溶脱させ、島成分を極細繊維とした繊維も含む。複合繊維としては、同心芯鞘型、偏心芯鞘型、サイドバイサイド型、分割型などのいずれの複合繊維であってもよい。不織布層A、及び不織布層B、並びに不織布層Cに含まれる細繊維径不織布及び太繊維径不織布は、単一繊維で構成されることが好ましい。不織布層A、及び不織布層B、並びに不織布層Cに含まれる細繊維径不織布及び太繊維径不織布を構成する繊維が複合繊維、例えば、芯成分がポリプロピレン、鞘成分がポリエチレンの芯鞘型複合繊維であると、筒状フィルターを使用できる温度が、ポリエチレンの融点に依存するようになるため、ポリプロピレンの単一繊維を使用したときよりも耐用温度が低下する場合があるなど、組み合わせた樹脂によって使用できる条件が変わるだけでなく、使用状況の変化によって筒状フィルターの性能が変わりやすくなるおそれがある。これらの点から、不織布層A、及び不織布層B、並びに不織布層Cに含まれる細繊維径不織布及び太繊維径不織布はポリプロピレン樹脂からなる単一繊維であることが特に好ましい。なお、不織布層A、及び不織布層B、並びに不織布層Cに含まれる細繊維径不織布及び太繊維径不織布を構成する繊維は、ポリプロピレン樹脂からなる単一繊維に限定されず、本発明の筒状フィルターに求められる性能によってポリプロピレン樹脂以外の熱可塑性樹脂を使用した繊維を適宜選択して使用できる。
<他の部材>
ろ過層3は、本発明の効果を阻害しない範囲において、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cに加えて、他の部材を含んでもよい。他の部材は、不織布層Aの外側(流入側)及び/又は不織布層Cの内側(流出側)に配置することができる。まず、他の部材が不織布層Aよりも流入側に配置される場合を説明する。他の部材が不織布層Aよりも流入側に配置される場合、他の部材は、その平均孔径が不織布層Aの平均孔径より大きいことが好ましい。このような構造とすることで、本発明の筒状フィルターのろ過寿命がより長いものとなりうる。次に、他の部材が不織布層Cよりも流出側に配置される場合を説明する。他の部材が不織布層Cよりも流出側に配置される場合、他の部材は、その平均孔径が不織布層Cの平均孔径より小さいことが好ましい。このような構造とすることで、本発明の筒状フィルターのろ過精度がより高いものとなりうる。
また、上述したとおり、他の部材がろ過性能に影響を与えないものであれば、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの層間にスペーサー層として配置してもよく、各不織布層が、その層の平均孔径の条件を満たす2種類以上の不織布を含む場合は、その不織布の間にスペーサー層として配置されることもある。この場合、他の部材の平均孔径はろ過機能に影響を与えないような十分に大きい平均孔径であることが好ましい。上記不織布層の層間に挿入する他の部材や、上記各不織布の間に挿入する他の部材の平均孔径が十分に大きくない(例えば平均孔径が18μmの場合が挙げられる)と、他の部材と不織布層Aの平均孔径が近いことにより他の部材の閉塞が起きやすい。また、他の部材の巻き回数が1周から10周程度であると、その量が不織布層A、不織布層B及び不織布層Cと比較して少ないことから、他の部材の閉塞が起きやすい。他の部材が閉塞してしまうと、不織布層A、不織布層B、不織布層Cを十分にろ過に使用する前に他の部材の閉塞に伴い筒状フィルターのろ過寿命に達してしまうおそれがある。他の部材としては、巻き回数が少なくても閉塞しにくい十分に粗い不織布やネット、具体的には平均孔径が20μm以上、より好ましくは30μm以上、さらに好ましくは40μm以上の不織布やネットが用いられる。この場合において、他の部材の巻き回数は、10周よりも多くなると、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの割合が低下することから1周以上10周以下が好ましく、1周以上5周以下がより好ましい。平均孔径が異なる不織布の間にスペーサー層を設ける具体例としては、不織布層Aを平均孔径12μmの不織布と平均孔径14μmの不織布で構成する場合、平均孔径が14μmの不織布を巻き回して不織布層を形成し、そこに平均孔径が42μmの不織布を1周以上5周以下巻き回した後、平均孔径が12μmの不織布を巻き回する構成が挙げられる。不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの層間、或いは各不織布層の平均孔径が異なる不織布の間にスペーサー層を設ける場合、スペーサー層は不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対し10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5質量%以下である。或いは、スペーサー層を構成する材料、例えば不織布、ネットといった布帛やシートの巻き回数が1周以上10周以下であることが好ましく、より好ましくは1周以上、5周以下である。
(芯材)
一般に、筒状フィルターは、ろ過対象物が通過する孔を有する管状芯材の周囲にろ過不織布が巻き回されている構成を有する。本発明において、芯材2は、その外周側から内周側、又は外周側から内周側に向かって流れる液体の通過を実質的に妨げないものであればよく、特に限定されない。例えば、熱可塑性樹脂製の孔あき筒状体、金属製の孔あき筒状体、セラミックス製の孔あき筒状体などを用いることができるほか、円筒状の繊維成形品を用いることができる。芯材2としては、耐薬品性や製造コストの面から、熱可塑性樹脂製の孔あき筒状体、円筒状の繊維成形品を用いることが好ましい。上記熱可塑性樹脂製の孔あき筒状体は、溶融した熱可塑性樹脂を押出成形すること又は射出成形することにより得られる。上記円筒状の繊維成形品としては、その製造方法は限定されず、熱接着性繊維を含む繊維ウェブを加熱しながら芯棒に巻き取ることにより得られる繊維成形体、熱接着性繊維を含む繊維ウェブを円筒状容器に充填して加熱することにより得られる繊維成形体などを用いることができる。上記繊維ウェブの目付は、好ましくは5g/m2以上、100g/m2以下、より好ましくは10g/m2以上、80g/m2、さらに好ましくは20g/m2以上、60g/m2以下である。或いは、上記円筒状の繊維成形品としては、メルトブロー法などで溶融した熱可塑性樹脂を空気中に吐出して不織布を得る製造方法において、表面が軟らかい、或いは表面が溶融状態の繊維を金属製の円柱状の芯棒に直接巻き付けて冷却することで得られる繊維成形品などを用いることもできる。芯材2のサイズや形状は、ろ過装置のサイズや形式に合わせて適宜決めればよい。芯材2が孔あき筒状体である場合、孔のサイズは、例えば一辺が1mmから10mm角の多角形形状や、直径が1mmから10mmの円形にすることができる。
芯材2としては、繊維成形体を用いることが好ましい。溶融した熱可塑性樹脂を押出成形したり射出成形したりすることで得られる樹脂成形品を使用した芯材2には固体物を捕集する効果がほとんどない。一方、繊維成形体を芯材2として用いる場合、ろ過時に加わる圧力によって芯材2が変形したり破壊されたりしないようにするため、繊維同士が強固に熱接着された圧縮強度の高い繊維成形体にする必要がある。繊維同士が強固に熱接着された繊維成形体は密度が大きく、繊維間の間隔が狭くなっているため、固体物をある程度捕集できる。さらに、フィルターとしてろ過対象物の拡散効果にも優れ、厚さがあることから深層ろ過機構としての効果も発揮しうる。これらの作用・効果により、芯材2が繊維成形体の筒状フィルターは、芯材2が樹脂成形品である筒状フィルターよりもろ過精度が高められたり、ろ過精度が安定したりすると考えられる。芯材2に含まれる熱接着性繊維の原料としては、溶融紡糸性を有する熱可塑性樹脂であればよく、特に限定されない。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネートなどのポリエステル系樹脂;低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンなどのポリエチレン樹脂、アイソタクチック、アタクチック、シンジオタクチックなどのポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリブテン−1樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、エチレン−プロピレン共重合樹脂などのポリオレフィン系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12などのポリアミド系樹脂;ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスチレン、環状ポリオレフィン、ポリフェニレンサルファイドなどのエンジニアリング・プラスチックなどが挙げられる。また、熱接着性繊維の断面形状は特に限定はなく、円形、楕円形、三角形、多角形、多葉形状などのいずれであってもよい。繊維の構成についても単一繊維、複合繊維のいずれであってよい。また、複合繊維の場合、その繊維断面形状は特に限定はされず、芯鞘型、偏心芯鞘型、分割型、並列型(サイドバイサイド型)、海島型などのいずれであってもよい。上記熱接着性繊維としては、繊維強力、生産性及び得られる芯材の耐薬品性の観点から、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリブテン−1樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、エチレン−プロピレン共重合樹脂などのポリオレフィン系樹脂からなるポリオレフィン系繊維を使用することが好ましい。また、繊維の構成については、熱接着性繊維の生産性と生産コストから、芯成分と鞘成分のいずれもポリオレフィン系樹脂からなるポリオレフィン系芯鞘型複合繊維を使用することが好ましい。なお、上記熱接着性繊維は、ポリオレフィン系芯鞘型複合繊維に限定されず、本発明の筒状フィルターに求められる性能によってポリオレフィン系芯鞘型複合繊維以外の複合繊維を適宜選択して使用できる。
上記熱接着性繊維が芯鞘型複合繊維の場合、鞘成分は芯成分よりもその融点が少なくとも20℃低い樹脂を選ぶと熱接着加工上都合がよい。鞘成分と芯成分の好ましい組み合わせとしては、例えば、ポリエチレン樹脂とポリプロピレン樹脂、エチレン−プロピレン共重合樹脂とポリプロピレン樹脂、ポリブテン−1樹脂とポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂とポリメチルペンテン樹脂、ポリプロピレン樹脂とポリメチルペンテン樹脂、エチレン−プロピレン共重合樹脂とポリメチルペンテン樹脂、ポリエチレン樹脂とポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン樹脂とポリエチレンテレフタレート、エチレン−プロピレン共重合樹脂とポリエチレンテレフタレート、低融点ポリエステルと高融点ポリエステル、ポリエチレンテレフタレートとナイロン6,6、ポリエチレンテレフタレートとナイロン6、ポリエチレン樹脂とナイロン6などが挙げられる。繊維強力、生産性及び耐薬品性の面から、少なくともその一成分にポリオレフィン系樹脂成分を有する組み合わせからなるものが好ましく、より好ましくは芯成分、鞘成分共にポリオレフィン系樹脂の組み合わせであり、さらに好ましくは芯成分がポリプロピレン樹脂、鞘成分がポリエチレン樹脂の組み合わせである。
上記繊維ウェブ(繊維成形体)は、熱接着性繊維を少なくとも50質量%含有することが好ましく、より好ましくは80質量%以上含有し、さらに好ましくは繊維ウェブが熱接着性繊維のみからなる。熱接着性繊維の含有量が50質量%以上であると、筒状フィルターの耐圧強度が高くなるうえ、使用中に繊維が脱落するおそれもない。また、熱接着性繊維以外の他の繊維としては特に限定はなく、例えば、レーヨンなどの再生繊維、アセテートなどの半合成繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、アクリル系繊維などの合成繊維などを使用することができる。上記繊維ウェブに含まれる熱接着性繊維の平均繊維径は、特に限定されないが、5μm以上、50μm以下であることが好ましい。熱接着性繊維の平均繊維径が上記範囲を満たすことで、得られる繊維成形体(芯材2)が充分な強度を有し、かつ固体物を捕集する能力を有するようになるからである。熱接着性繊維の平均繊維径が50μmを超えると熱接着性繊維の平均繊維径が大きくなりすぎるため、熱接着性繊維同士を強く熱接着しても繊維間の間隔が狭くならず、固体物を捕集する効果が得られないおそれがあるほか、均一な繊維ウェブが得られにくいため、繊維成形体の構造も均一なものになりにくくなるおそれがある。熱接着性繊維の平均繊維径が5μmよりも小さくなると、繊維間の間隔が狭くなりすぎることで、筒状フィルターのろ過寿命が短くなるおそれや、通水圧損といった圧力損失が大きくなるおそれがある。熱接着性繊維の平均繊維径は10μm以上、32μm以下であることがより好ましく、15μm以上、28μm以下であることがさらに好ましい。
繊維成形体を芯材2として使用する場合、繊維成形体の密度は0.1g/cm3以上、0.6g/cm3以下であることが好ましい。繊維成形体の密度が上記範囲を満たすことで、芯材2に対して充分な強度が付与され、ろ過処理時に変形、歪みが生じることや、破損することがない。また、芯材となる繊維成形体の密度が上記範囲を満たすことで、固体物を捕集しうるようになるためである。繊維成形体の密度が0.1g/cm3よりも小さいと、繊維成形体の強度が不足し、ろ過処理中に変形や歪み、筒状フィルターの破損が生じるおそれがある。繊維成形体の密度が0.6g/cm3を超えると繊維成形体の構造が密になりすぎるため、筒状フィルターのろ過寿命が短くなるおそれや、通水圧損といった圧力損失が大きくなるおそれがある。繊維成形体の密度は0.15g/cm3以上、0.5g/cm3以下であることがより好ましく、0.2g/cm3以上、0.45g/cm3以下であることがさらに好ましい。
(支持不織布)
本発明の筒状フィルターは、図1に示しているように、好ましくはろ過層3の外側に巻き回されている支持不織布4を含む。支持不織布4は、ろ過層3を構成する不織布の損傷及び/又は脱落を防止するとともに、筒状フィルター表面に意匠性を持たせるために好ましく用いられる。
支持不織布4は、特に限定されないが、強度の観点から、熱接着性繊維を含む熱接着不織布を用いることが好ましい。熱接着性繊維としては、上述した芯材2に用いられるものと同一のものを用いることができる。例えば、支持不織布4に含まれる熱接着性繊維は、平均繊維径が5μm以上、50μm以下のものを使用することができ、好ましい平均繊維径は10μm以上、32μm以下であり、より好ましい平均繊維径は15μm以上、28μm以下である。支持不織布4に含まれる熱接着性繊維の平均繊維径が上記範囲を満たすことで、支持不織布4が不織布層Aの前ろ過層として働き、筒状フィルターのろ過寿命が高められる。上記熱接着性繊維の平均繊維径が5μm以下であると、支持不織布4を構成する繊維の間隔が狭くなり、支持不織布4の層が短時間で閉塞して、筒状フィルターのろ過寿命が低下するおそれがある。熱接着性繊維の平均繊維径が50μmを超えると前ろ過層としての働きが低下し、筒状フィルターのろ過寿命を向上させる効果は得られにくくなる。また、上記熱接着性繊維は、鞘成分がポリエチレン樹脂であり、芯成分がポリプロピレン樹脂である芯鞘型複合繊維を含み、繊維同士がポリエチレン樹脂によって熱接着している熱接着不織布であることが好ましい。
支持不織布4は、メルトブローン不織布、スパンボンド不織布といった長繊維不織布であってもよいし、短繊維不織布であってもよいが、短繊維不織布である方が好ましい。短繊維不織布は構成繊維間の空隙が多く、筒状フィルターにおける前ろ過層に適した不織布を得られやすいためである。短繊維不織布としては、短繊維を用い、湿式抄紙法、カード機を用いたカード法及びエアレイ法などによりウェブを作製し、さらにウェブを一体化させることにより得られるものを用いることができる。カード法によると、パラレルウェブ、セミランダムウェブ、ランダムウェブ、クロスウェブ及びクリスクロスウェブなどのウェブを作製することができる。ウェブの一体化は、接着剤による接合、繊維を軟化又は溶融させることによる熱接着(サーマルボンド)、ニードルパンチ及び高圧水流処理(スパンレース)から選択される一つ又は複数の方法により実施されるが、熱接着及び/または高圧水流処理を行った不織布であることが好ましい。上記支持不織布の目付は、特に限定されないが、5g/m2以上、100g/m2以下であることが好ましい。支持不織布の目付が上記範囲を満たすことで、支持不織布が不織布層Aの前ろ過層として働き、筒状フィルターのろ過寿命が高められる。上記支持不織布の目付が5g/m2よりも小さいと前ろ過層としての働きは低下し、筒状フィルターのろ過寿命を向上させる効果は得られにくくなる。支持不織布の目付が100g/m2を超えると支持不織布の層が短時間で閉塞して、筒状フィルターのろ過寿命が低下してしまうおそれがある。支持不織布の目付は10g/m2以上、70g/m2以下であると好ましく、20g/m2以上、60g/m2以下であるとさらに好ましい。
本発明の筒状フィルターは、下記に示す条件(a)、条件(b)、及び条件(c)の三つの条件のいずれかを満たすことが好ましい。
条件(a):ろ過寿命が380リットル以上であり、かつ直径0.2μmの粒子のろ過効率が80%以上である。
条件(b):ろ過寿命が480リットル以上であり、かつ直径0.3μmの粒子のろ過効率が80%以上である。
条件(c):ろ過寿命が680リットル以上であり、かつ直径0.45μmの粒子のろ過効率が80%以上である。
本発明において、上記条件(a)を満たす筒状フィルターは、下記に示す条件(a1)を満たすことが好ましく、条件(a2)を満たすことがより好ましく、条件(a3)を満たすことがさらに好ましく、条件(a4)を満たすことが特に好ましい。
条件(a1):ろ過寿命が400リットル以上であり、かつ直径0.2μmの粒子のろ過効率が80%以上である。
条件(a2):ろ過寿命が400リットル以上であり、かつ直径0.2μmの粒子のろ過効率が82%以上である。
条件(a3):ろ過寿命が430リットル以上であり、かつ直径0.2μmの粒子のろ過効率が82%以上である。
条件(a4):ろ過寿命が450リットル以上であり、かつ直径0.2μmの粒子のろ過効率が85%以上である。
本発明の筒状フィルターにおいて、上記条件(a)を満たすには、細繊維径不織布の含有量が比較的多くなるように不織布層A、不織布層B及び不織布層Cを構成する方が好ましい。上記条件(a)を満たすには、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して、不織布層Aの含有量が8質量%以上、25質量%以下であり、不織布層Bの含有量が38.5質量%以上、60質量%以下であり、細繊維径不織布の含有量が12.5質量%以上、25質量%以下であることが好ましい。また、上記条件(a1)を満たすには、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して、不織布層Aの含有量が9質量%以上、20質量%以下であり、不織布層Bの含有量が40質量%以上、60質量%以下であり、細繊維径不織布の含有量が12.5質量%以上、23質量%以下であることが好ましい。また、上記条件(a2)を満たすには、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して、不織布層Aの含有量が9質量%以上、18質量%以下であり、不織布層Bの含有量が40質量%以上、55質量%以下であり、細繊維径不織布の含有量が12.5質量%以上、20質量%以下であることが好ましい。また、上記条件(a3)を満たすには、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して、不織布層Aの含有量が10質量%以上、15質量%以下であり、不織布層Bの含有量が42質量%以上、52質量%以下であり、細繊維径不織布の含有量が13質量%以上、18質量%以下であることが好ましい。また、上記条件(a4)を満たすには、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して、不織布層Aの含有量が10質量%以上、13質量%以下であり、不織布層Bの含有量が42.5質量%以上、50質量%以下であり、細繊維径不織布の含有量が13質量%以上、16質量%以下であることが好ましい。
本発明において、上記条件(b)を満たす筒状フィルターは、下記に示す条件(b1)を満たすことが好ましく、条件(b2)を満たすことがより好ましく、条件(b3)を満たすことがさらに好ましく、条件(b4)を満たすことが特に好ましい。
条件(b1):ろ過寿命が500リットル以上であり、かつ直径0.3μmの粒子のろ過効率が80%以上である。
条件(b2):ろ過寿命が500リットル以上であり、かつ直径0.3μmの粒子のろ過効率が82%以上である。
条件(b3):ろ過寿命が520リットル以上であり、かつ直径0.3μmの粒子のろ過効率が82%以上である。
条件(b4):ろ過寿命が530リットル以上であり、かつ直径0.3μmの粒子のろ過効率が85%以上である。
本発明の筒状フィルターにおいて、上記条件(b)を満たすには不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して、不織布層Aの含有量が8質量%以上、25質量%以下であり、不織布層Bの含有量が40質量%以上、64質量%以下であり、細繊維径不織布の含有量が10.5質量%以上、15.5質量%以下であることが好ましい。また、上記条件(b1)を満たすには、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して、不織布層Aの含有量が10質量%以上、25質量%以下であり、不織布層Bの含有量が42質量%以上、62質量%以下であり、細繊維径不織布の含有量が10.5質量%以上、14質量%以下であることが好ましい。また、上記条件(b2)を満たすには、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して、不織布層Aの含有量が10質量%以上、20質量%以下であり、不織布層Bの含有量が45質量%以上、60質量%以下であり、細繊維径不織布の含有量が10.8質量%以上、13.8質量%以下であることが好ましい。また、上記条件(b3)を満たすには、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して、不織布層Aの含有量が10.5質量%以上、16質量%以下であり、不織布層Bの含有量が46質量%以上、58質量%以下であり、細繊維径不織布の含有量が11質量%以上、13.5質量%以下であることが好ましい。また、上記条件(b4)を満たすには、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して、不織布層Aの含有量が10.8質量%以上、13.8質量%以下であり、不織布層Bの含有量が46.5質量%以上、52質量%以下であり、細繊維径不織布の含有量が11.5質量%以上、13.5質量%以下であることが好ましい。
本発明において、上記条件(c)を満たす筒状フィルターは、下記に示す条件(c1)を満たすことが好ましく、条件(c2)を満たすことがより好ましく、条件(c3)を満たすことがさらに好ましく、条件(c4)を満たすことが特に好ましい。
条件(c1):ろ過寿命が700リットル以上であり、かつ直径0.45μmの粒子のろ過効率が80%以上である。
条件(c2):ろ過寿命が720リットル以上であり、かつ直径0.45μmの粒子のろ過効率が80%以上である。
条件(c3):ろ過寿命が720リットル以上であり、かつ直径0.45μmの粒子のろ過効率が82%以上である。
条件(c4):ろ過寿命が730リットル以上であり、かつ直径0.45μmの粒子のろ過効率が85%以上である。
本発明の筒状フィルターにおいて、上記条件(c)を満たすには、不織布層A及び/または不織布層Bの含有量が比較的多くなるように不織布層A、不織布層B及び不織布層Cを構成する方が好ましい。上記条件(c)を満たすには、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して、不織布層Aの含有量が8質量%以上、27質量%以下であり、不織布層Bの含有量が40質量%以上、64質量%以下であり、細繊維径不織布の含有量が7.8質量%以上、12質量%以下であることが好ましい。また、上記条件(c1)を満たすには、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して、不織布層Aの含有量が8質量%以上、26質量%以下であり、不織布層Bの含有量が42質量%以上、63.5質量%以下であり、細繊維径不織布の含有量が8質量%以上、12質量%以下であることが好ましい。また、上記条件(c2)を満たすには、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して、不織布層Aの含有量が10質量%以上、26質量%以下であり、不織布層Bの含有量が44質量%以上、63質量%以下であり、細繊維径不織布の含有量が8.2質量%以上、11.8質量%以下であることが好ましい。また、上記条件(c3)を満たすには、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して、不織布層Aの含有量が10.5質量%以上、26質量%以下であり、不織布層Bの含有量が45質量%以上、62.5質量%以下であり、細繊維径不織布の含有量が8.2質量%以上、11.5質量%以下であることが好ましい。また、上記条件(c4)を満たすには、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して、不織布層Aの含有量が11質量%以上、25質量%以下であり、不織布層Bの含有量が46.5質量%以上、62質量%以下であり、細繊維径不織布の含有量が8.4質量%以上、11.3質量%以下であることが好ましい。
本発明において、筒状フィルターのろ過寿命、ろ過効率及びろ過精度の測定方法は後述する。
本発明の筒状フィルターは、筒状フィルターのろ過精度及び筒状フィルター使用時の効率(ろ過を行う際に必要となる圧力の大きさ)の観点から、通水圧損が0.2MPa以下であることが好ましく、より好ましくは0.05MPa以上、0.18MPa以下である。本発明において、通水圧損の測定方法は後述する。
本発明の筒状フィルター1は、例えば、図1に示すように、芯材2の外側に、ろ過層3を構成する不織布層A、不織布層B及び不織布層C並びに支持不織布4が形成されている。本発明の筒状フィルター1において、上記の各不織布層は、ろ過の対象物が流れ込む流入側から順に支持不織布4、不織布層A31、不織布層B32、不織布層C33が配置されている。ろ過層3を構成する不織布層A31、不織布層B32及び不織布層C33、並びに支持不織布4は、前の不織布の巻き回しが終了したのと、次の不織布の巻き回しの開始がほぼ同時に行われるように配置されていることが好ましい。支持不織布4の巻き終わりにおいて端部を例えば120〜180℃で5〜40秒間処理することで熱接着させることが好ましい。
本発明の筒状フィルターは、高いろ過精度と長いろ過寿命を実現したものであり、液体から固形物を取り除く種々の用途に適しており、例えば、純水、飲料水、薬液、各種油脂、めっき液、塗料溶液及び電子工業用洗浄水などの液体をろ過するのに適している。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例で用いた測定方法及び評価方法は以下のとおりである。
(通水圧損)
30リットル/分の流量で水を通水した際の筒状フィルターの入口と出口の圧力差を測定し、通水圧損(MPa)とした。
(ろ過効率)
JIS Z 8901に準ずる試験用粉体(JIS11種)を水に分散させて濃度20ppmの試験用懸濁液を作製する。次に試験用懸濁液を均一に攪拌しながら筒状フィルターの外周側から内周側中空部へ向かって、20リットル/分の流量で通過させる。ろ過を開始してから1分後に、筒状フィルター通過した試験用懸濁液を採取する。筒状フィルターを通過する前の試験用懸濁液と、ろ過処理後の試験用懸濁液について、レーザー回折/散乱式粒度分布計(商品名LA−910、株式会社 堀場製作所 製)にて粒度分布を測定し、粒子径が0.2μm、0.3μm及び0.45μmの粒子に対するろ過効率を、ろ過前後の試験懸濁液の粒度分布から計算した。
(ろ過寿命)
JIS Z 8901に準ずる試験用粉体(JIS11種)を水に分散させて濃度20ppmの試験用懸濁液を作製した。次に試験用懸濁液を均一に攪拌しながら筒状フィルターの外周側から内周側中空部へ向かって、20リットル/分の流量で通過させ、この流量を維持するための通水圧力が0.2MPaになったときの総通水量(リットル)を筒状フィルターのろ過寿命とした。
(孔径分布)
ASTM F 316−86(バブルポイント法)に準じ、不織布の平均孔径、最大孔径、最多孔径及び最小孔径を測定した。
(平均繊維径)
電子顕微鏡を用いて、不織布表面を100〜1000倍に拡大して観察し、任意の100本の繊維側面の幅を計測し、計測した値の平均値を算出することにより求めた。なお、複数の繊維が融着し、その境界が不明である場合は、融着した状態の繊維群を1本の繊維とみなして計測した。
(不織布の厚さ)
使用した不織布の厚さは、厚さ測定機(商品名 THICKNESS GAUGE モデル CR−60A (株)大栄科学精器製作所製)を用い、試料1cm2あたり3gの荷重を加えた状態で測定した。
<芯材>
鞘成分が高密度ポリエチレン、芯成分がポリプロピレン樹脂であり、繊度が2.2dtex、平均繊維径が18μm、繊維長が51mmである芯鞘型複合繊維(商品名「NBF(H)」、ダイワボウポリテック株式会社製)を用い、上記芯鞘型複合繊維からなる目付40g/m2のパラレルカードウェブを作製した。このウェブを、温度130℃に設定した熱風吹き付け装置で約30秒間加熱し、高密度ポリエチレンを溶融又は軟化させ、高密度ポリエチレンが溶融又は軟化した状態で、外径32mmの鉄棒の周囲に巻き回した。この不織布を巻き回す間、鉄棒及び巻き回したウェブの自重による圧力を加え続けた。不織布の巻き回しを、外径が42mmになるまで行って、上記芯鞘型複合繊維からなる長さ110cmの芯材を得た。得られた芯材は、外径が42mm、内径が32mmの円筒状であり、質量は50gであった。
<支持不織布>
鞘成分が高密度ポリエチレン、芯成分がポリプロピレン樹脂であり、繊度が2.2dtex、平均繊維径が18μm、繊維長が51mmである芯鞘型複合繊維(商品名「NBF(H)」、ダイワボウポリテック株式会社製)を用い、上記芯鞘型複合繊維からなる目付40g/m2のパラレルカードウェブを作製した。このウェブを、温度130℃に設定した熱風吹き付け装置で約30秒間加熱し、繊維同士を鞘成分により熱接着させて上記芯鞘型複合繊維からなる熱接着不織布を得た。この熱接着不織布を支持不織布として用いた。
<ろ過層用不織布>
ろ過層用不織布としては、ポリプロピレン樹脂の単一繊維で構成されたメルトブローン不織布を用意し、その中から細繊維径不織布及び太繊維径不織布として、下記の不織布を準備した。
<不織布1>
ポリプロピレンからなる、目付30g/m2のメルトブローン不織布
<不織布2>
ポリプロピレンからなる、目付60g/m2のメルトブローン不織布
<不織布3>
ポリプロピレンからなる、目付15g/m2のメルトブローン不織布
<不織布4>
ポリプロピレンからなる、目付30g/m2のメルトブローン不織布
上記のメルトブローン不織布について、その平均繊維径を考慮して細繊維径不織布または太繊維径不織布として選定し、平均孔径を考慮して、不織布層A、不織布層B、及び不織布層Cのどの不織布層に使用するか決定した。下記表1に各メルトブローン不織布の目付、平均繊維径、平均孔径、最多孔径、最大孔径、最小孔径、及び不織布の厚さを示す。
Figure 2015093259
(実施例1)
得られた上記芯材に対し、まず不織布層Cを形成する。細繊維径不織布として不織布3を、太繊維径不織布として不織布1を用意した。不織布1と不織布3を幅110cm、長さ600cmに切断し、不織布3が上になるように不織布1と不織布3を重ね合わせた。この状態で、図3に示すように不織布3、即ち細繊維径不織布を太繊維径不織布の内側に配置し、細繊維径不織布及び太繊維径不織布の巻き回しを同時に開始し、巻き回した長さが600cmとなるように両者を巻き回し、不織布層Cを形成した。この不織布層Cは、細繊維径不織布として不織布3、太繊維径不織布として不織布1を含み、細繊維径不織布がその巻き長さの全長で太繊維径不織布と重ね合わされている、言い換えるならば、細繊維径不織布の全長に対して、細繊維径不織布と太繊維径不織布の重ね合わされた部分が100%となった不織布層である。
上記の方法により不織布層Cを形成し、次いで不織布層Bを形成した。不織布層Bに使用する不織布として不織布2を選択した。不織布2を幅110cm、長さ400cmに切断し、不織布層Cの巻き終わりから連続するように切断した不織布2を400cm巻き回し、不織布層Bを形成した。次いで不織布層Aを形成した。不織布層Aに使用する不織布として不織布1を選択した。不織布1を幅110cm、長さ200cmに切断し、不織布層Bの巻き終わりから連続するように切断した不織布1を200cm巻き回し、不織布層Aを形成した。不織布層Aとして不織布1の巻き回しが終わった後、不織布層Aの周囲に、幅110cmに切断した支持不織布を巻き径(筒状フィルターの外径)が約62mmから68mmになるまで巻き回し、巻き終わりにおいて端部を軽く熱接着させた。得られた筒状フィルター(長さ110cm)の両端部をそれぞれ5cm切除した後、25cm毎に切断して本発明の筒状フィルターを得た。
(実施例2)
細繊維径不織布及び太繊維径不織布の長さを500cmにした以外は、実施例1と同様にして筒状フィルターを得た。
(実施例3)
細繊維径不織布及び太繊維径不織布の長さを400cmにした以外は、実施例1と同様にして筒状フィルターを得た。
(実施例4)
細繊維径不織布及び太繊維径不織布の長さを300cmにした以外は、実施例1と同様にして筒状フィルターを得た。
(実施例5)
細繊維径不織布及び太繊維径不織布の長さを300cmにし、不織布層Aに使用する不織布1の長さを300cmにした以外は、実施例1と同様にして筒状フィルターを得た。
(実施例6)
細繊維径不織布及び太繊維径不織布の長さを300cmにし、不織布層Aに使用する不織布1の長さを400cmにした以外は、実施例1と同様にして筒状フィルターを得た。
(実施例7)
細繊維径不織布及び太繊維径不織布の長さを300cmにし、不織布層Bに使用する不織布2の長さを500cmにした以外は、実施例1と同様にして筒状フィルターを得た。
(比較例1)
細繊維径不織布及び太繊維径不織布の長さを200cmにした以外は、実施例1と同様にして筒状フィルターを得た。
(比較例2)
細繊維径不織布及び太繊維径不織布の長さを100cmにした以外は、実施例1と同様にして筒状フィルターを得た。
(比較例3)
細繊維径不織布及び太繊維径不織布の長さを300cmにし、不織布層Bに使用する不織布2の長さを200cmにした以外は、実施例1と同様にして筒状フィルターを得た。
(比較例4)
細繊維径不織布及び太繊維径不織布の長さを300cmにし、不織布層Aに使用する不織布1の長さを100cmにした以外は、実施例1と同様にして筒状フィルターを得た。
(比較例5)
太繊維径不織布を使用せず、不織布層Cを細繊維径不織布のみ、即ち不織布3のみで構成した。そして、不織布3の長さを300cmとした以外は、実施例1と同様にして筒状フィルターを得た。
(比較例6)
実施例1の筒状フィルターの構成から、太繊維径不織布、及び不織布層Aを構成している不織布1を不織布4に変更した。そして細繊維径不織布と、太繊維径不織布(不織布4)の長さを300cmとし、不織布層Aとして不織布4を200cm巻き回した以外は実施例1と同様にして筒状フィルターを得た。
(比較例7)
上記芯材に対し、不織布2のみを500cm巻き回し、不織布層Cを形成した。不織布2を巻き終わりから、連続するように不織布1を200cm巻き回した。さらに、不織布1の巻き終わりから連続するように不織布4を75cm巻き回した。不織布4を巻き回した後は実施例1と同様の手順で支持不織布の巻き回し、筒状フィルターの切断を行い、筒状フィルター(長さ25cm)を得た。
下記表2に、実施例及び比較例の筒状フィルターにおける各ろ過層用不織布の長さ及びその巻き長さを示した。
Figure 2015093259
実施例及び比較例の筒状フィルターについてろ過寿命、ろ過効率を上述した測定方法に基づいて測定し、その結果を下記表3及び表4に示した。また、下記表3及び表4には、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対する不織布層A、不織布層B、細繊維径不織布、及び不織布層Cの割合、並びに筒状フィルター全体の質量に対する不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量の割合も示した。
Figure 2015093259
Figure 2015093259
上記表3から分かるように、実施例の筒状フィルターは、高いろ過効率と長いろ過寿命を有しており、高いろ過精度を有しながら、ろ過処理時の通液圧損も十分に小さいものとなっている。そして、実施例1〜7の筒状フィルターでは、不織布層A、不織布層B、不織布層Cの合計質量に占める不織布層A、不織布層B、及び細繊維径不織布の各割合を変化させることで、所望のろ過効率及びろ過寿命を有する筒状フィルターが得られることがわかる。例えば、不織布層A、不織布層B、不織布層Cの合計質量に占める細繊維径不織布の割合を多く(12.5質量%以上)した実施例1及び実施例2の筒状フィルターでは、固形物のサイズが0.2μmの粒子に対するろ過効率が80%以上であり、ろ過寿命が400リットルを超える筒状フィルターが得られている。逆に、不織布層A、不織布層B、不織布層Cの合計質量に占める細繊維径不織布の割合を比較的少なめにし、不織布層A及び/または不織布層Bの割合を多く(不織布層Aと不織布層Bの質量%の和が88%以上)した実施例4〜7の筒状フィルターでは、固形物のサイズが0.45μmの粒子に対するろ過効率が80%以上であり、ろ過寿命が700リットルを超える筒状フィルターが得られている。
一方、比較例1〜7の筒状フィルターでは実施例の筒状フィルターと同様の性能を示す筒状フィルターが得られていない。比較例1、2の筒状フィルターでは、実施例1〜7と同様、太繊維径不織布と細繊維径不織布を重ねて巻き回して不織布層Cを形成しているがろ過精度(ろ過精度)が不十分となっている。これは不織布層A、不織布層B、不織布層Cの合計質量に占める細繊維径不織布の割合が少なすぎたため、不織布層A及び不織布層Bを通過した固形物の大部分が不織布層Cを通過したためだと考えられる。比較例4、及び比較例5の筒状フィルターはサイズが0.45μmの粒子に対するろ過効率(ろ過精度)は十分であるが、不織布層Aが少なすぎたり、不織布層Bが多すぎたりした結果、他の不織布層に不足が生じ、ろ過寿命が不十分になったこと、比較例5については細繊維径不織布に対し太繊維径不織布を重ね合わせないで細繊維径不織布を巻き回したため、不織布層Cが急激に閉塞したことでろ過寿命が不十分になったと推測される。
比較例6の筒状フィルターは、3種類の不織布層を有し、実施例1〜7の筒状フィルターと同じ細繊維径不織布を使用しているが、不織布層Aを構成する不織布の平均孔径が大きすぎるため、不織布層Aを通過して不織布層B及び/または不織布層Cに流入する固形物が多くなり、ろ過寿命が不十分になったと考えられる。また比較例7の筒状フィルターは、不織布層Cが極端に多いことから不織布層A及び不織布層Bの占める割合が少なすぎたこと、また、太繊維径不織布を使用していないことからろ過が十分に行われなくなり、ろ過効率が不十分になったと考えられる。
更に、実施例4〜7と、比較例5、6を比較すると、どちらも同じ不織布(不織布3)を細繊維径不織布として使用し、同じ巻き長さで巻き回しているにも関わらず、実施例4〜7の筒状フィルターのほうがろ過効率(ろ過精度)及びろ過寿命が高いだけでなく、通水圧損が0.1〜0.2MPa低くなっている。比較例5の筒状フィルターは太繊維径不織布を用いていないため、ろ過寿命及びろ過効率が実施例4〜7の筒状フィルターに比べて低いものになったと考えられる。比較例6の筒状フィルターは、細繊維径不織布の平均孔径が、不織布層Aの平均孔径の0.36倍であることから、不織布層Aの平均孔径と細繊維径不織布の平均孔径の勾配が大きくなりすぎたことで不織布層Aでは捕捉されないが、不織布層B及び/又は不織布層Cで捕捉するにはサイズが大きい固形物が不織布層B及び/又は不織布層Cに流れ込み、不織布層B及び/又は不織布層Cが急速に閉塞したと推測される。これらの結果から、平均孔径の条件を満たす不織布層A、太繊維径不織布、及び細繊維径不織布を用いることで、高いろ過効率と長いろ過寿命が両立されていると考えられる。
本発明の筒状フィルターは、高いろ過精度と長いろ過寿命を実現したものであり、液体から固形物を取り除く種々の用途に適しており、例えば、純水、飲料水、薬液、各種油脂、めっき液、塗料溶液及び電子工業用洗浄水などの液体をろ過するのに適している。
1 筒状フィルター
2 芯材
3 ろ過層
31 不織布層A
32 不織布層B
33 不織布層C
4 支持不織布
51 細繊維径不織布
52 太繊維径不織布
6 不織布層Aを形成する不織布
7 不織布層Bを形成する不織布

Claims (9)

  1. 芯材に巻き回されているろ過層を含む筒状フィルターであって、
    前記ろ過層は、ろ過対象物の流入側から順番に連続して巻き回されている不織布層A、不織布層B、不織布層Cの少なくとも3種類の不織布層で構成されており、
    前記不織布層A、前記不織布層B及び前記不織布層Cの合計質量は、筒状フィルター全体の質量の20質量%以上であり、
    前記不織布層Aの平均孔径は、10.5μm以上、17.5μm以下であり、
    前記不織布層Bの平均孔径は、不織布層Aの平均孔径の0.6倍以上、0.95倍以下であり、
    前記不織布層Cは、平均繊維径が2μm以下で、平均孔径が不織布層Aの平均孔径の0.37倍以上、0.86倍以下である細繊維径不織布を含む不織布層であり、前記細繊維径不織布は、少なくともその一部が、平均繊維径が2μmよりも大きい太繊維径不織布と重ね合わせて積層した状態で巻き回され、
    不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して、前記不織布層Aの含有量は7.8質量%以上、27質量%以下であり、前記不織布層Bの含有量は38.2質量%以上、64質量%以下であり、前記細繊維径不織布の含有量は7.8質量%以上、25質量%以下である筒状フィルター。
  2. 不織布層Cに含まれる細繊維径不織布の平均繊維径が0.05μm以上、2μm以下であり、前記細繊維径不織布の平均孔径が前記不織布層Bの平均孔径の0.4倍以上、0.9倍以下であり、前記太繊維径不織布の平均孔径が、前記細繊維径不織布の平均孔径の1.25倍以上、2.7倍以下である請求項1に記載の筒状フィルター。
  3. 不織布層Cに含まれる細繊維径不織布が、巻き回した長さの50%以上の部分で、太繊維径不織布と重ね合わせて積層した状態で巻き回されている請求項1又は2に記載の筒状フィルター。
  4. 不織布層Cにおいて、最も流入側に位置する細繊維径不織布が、太繊維径不織布を重ねた状態で巻き回された不織布層となっている請求項1〜3のいずれか1項に記載の筒状フィルター。
  5. 不織布層Cが不織布層Bに接しており、不織布層Cにおいて不織布層Bに接している部分が、細繊維径不織布と太繊維径不織布を重ね合わせた状態で巻き回した不織布層である請求項4に記載の筒状フィルター。
  6. 不織布層A、不織布層B及び不織布層Cを構成する不織布が、いずれもポリプロピレン樹脂からなる単一繊維で構成された不織布である請求項1〜5のいずれか1項に記載の筒状フィルター。
  7. 不織布層A、不織布層Bを構成する不織布、及び太繊維径不織布が、いずれもメルトブローン不織布であり、細繊維径不織布が、メルトブローン不織布、又はエレクトロスピニング法で得られた不織布である請求項1〜6のいずれか1項に記載の筒状フィルター。
  8. 不織布層A、及び不織布層Bがそれぞれ1種類のメルトブローン不織布で構成され、不織布層Cが、1種類の細繊維径不織布及び1種類の太繊維径不織布のみで構成されている請求項7に記載の筒状フィルター。
  9. 前記筒状フィルターにおいて、下記の測定方法で測定したろ過寿命と、ろ過効率が下記の条件(a)、(b)、(c)のうち、いずれかの条件を満たす請求項1〜8のいずれか1項に記載の筒状フィルター。
    条件(a):ろ過寿命が380リットル以上、かつ直径0.2μmの粒子のろ過効率が80%以上。
    条件(b):ろ過寿命が480リットル以上、かつ直径0.3μmの粒子のろ過効率が80%以上。
    条件(c):ろ過寿命が680リットル以上、かつ直径0.45μmの粒子のろ過効率が80%以上。
    [ろ過寿命]
    JIS Z 8901に準ずる試験用粉体(JIS11種)を水に分散させて濃度20ppmの試験用懸濁液を作製する。次に試験用懸濁液を均一に攪拌しながら筒状フィルターの外周側から内周側中空部へ向かって、20リットル/分の流量で通過させ、この流量を維持するための通水圧力が0.2MPaになったときの総通水量(リットル)を筒状フィルターのろ過寿命とする。
    [ろ過効率]
    JIS Z 8901に準ずる試験用粉体(JIS11種)を水に分散させて濃度20ppmの試験用懸濁液を作製する。次に試験用懸濁液を均一に攪拌しながら筒状フィルターの外周側から内周側中空部へ向かって、20リットル/分の流量で通過させる。ろ過を開始してから1分後に、筒状フィルター通過した試験用懸濁液を採取する。筒状フィルターを採取する前の試験用懸濁液と、ろ過処理後の試験用懸濁液について、レーザー回折/散乱式粒度分布計(商品名LA−910、株式会社
    堀場製作所製)にて粒度分布を測定し、粒子径が0.2μm、0.3μm及び0.45μmの粒子に対するろ過効率を、ろ過前、ろ過後の粒度分布から計算した。
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