JP2015093248A - 改質装置、画像形成装置、画像形成システム、及び印刷物の製造方法 - Google Patents

改質装置、画像形成装置、画像形成システム、及び印刷物の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2015093248A
JP2015093248A JP2013234340A JP2013234340A JP2015093248A JP 2015093248 A JP2015093248 A JP 2015093248A JP 2013234340 A JP2013234340 A JP 2013234340A JP 2013234340 A JP2013234340 A JP 2013234340A JP 2015093248 A JP2015093248 A JP 2015093248A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
discharge
electrode
unit
recording medium
width
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013234340A
Other languages
English (en)
Inventor
平塚 弘行
Hiroyuki Hiratsuka
弘行 平塚
永井 幸治
Koji Nagai
幸治 永井
齋藤 晴貴
Harutaka Saito
晴貴 齋藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2013234340A priority Critical patent/JP2015093248A/ja
Publication of JP2015093248A publication Critical patent/JP2015093248A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Plasma Technology (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
  • Physical Or Chemical Processes And Apparatus (AREA)
  • Ink Jet (AREA)

Abstract

【課題】プラズマを発生させるためのエネルギーの無駄を低減し、高いエネルギー効率で改質を行う。
【解決手段】放電電極18は、第1方向Yに長い円柱状であり、第1方向Yを回転軸として回転可能に支持されている。また、放電電極18は、処理対象部材(記録媒体P)に放電する。対向電極25は、放電電極18に対向配置され、放電電極18との対向面側に有効電極領域を備える。有効電極領域は、第1方向Yに対して交差する第2方向(搬送方向X)に向かって第1方向Yの長さが異なる。電圧印加部16は、放電電極18と対向電極25とに電圧を印加する。移動部30は、放電電極18と対向電極25との間に形成される放電領域における第1方向Yの放電幅が変化するように、対向電極25及び放電電極18の少なくとも一方を第2方向(搬送方向X)または反第2方向(反搬送方向XB)に相対的に移動させる。
【選択図】図3

Description

本発明は、改質装置、画像形成装置、画像形成システム、及び印刷物の製造方法に関する。
記録媒体等の処理対象部材の表面をプラズマにより改質する技術が知られている。例えば、特許文献1には、カウンター電極を、処理対象部材に対応した大きさの複数の電極を組み合わせた構成とし、処理対象部材の大きさに応じて、1または複数の電極を選択的に放電電極に近づく方向または離れる方向に移動させる技術が開示されている。また、特許文献2には、処理対象部材に対して所定距離離間させて円筒状の放電電極を配置し、この放電電極を、周方向に有効電極領域の幅が変化する構成としたことが開示されている。
しかしながら、特許文献1の技術では、予め定めた大きさ以外の大きさの処理対象部材に対応することが出来ず、プラズマを発生させるためのエネルギーの無駄が生じる場合があった。また、特許文献2の技術では、処理対象部材が処理対象位置から浮くことによる放電不良や、有効な沿面放電を得ることが出来ない、といった問題があり、エネルギーの無駄が生じる場合があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、プラズマを発生させるためのエネルギーの無駄を低減し、高いエネルギー効率で改質を行うことができる、改質装置、画像形成装置、画像形成システム、及び印刷物の製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、第1方向に長い円柱状であり前記第1方向を回転軸として回転可能に支持され、処理対象部材に放電する放電電極と、前記放電電極に対向配置され、前記放電電極との対向面側に該第1方向に対して交差する第2方向に向かって前記第1方向の長さが異なる有効電極領域を有する対向電極と、前記放電電極と前記対向電極とに電圧を印加する電圧印加部と、前記放電電極と前記対向電極との間に形成される放電領域における前記第1方向の放電幅が変化するように、前記対向電極及び前記放電電極の少なくとも一方を前記第2方向または反第2方向に相対的に移動させる移動部と、を備える。
本発明によれば、プラズマを発生させるためのエネルギーの無駄を低減し、高いエネルギー効率で改質を行うことができる、という効果を奏する。
図1は、改質装置の一例を示す模式図である。 図2は、改質処理の説明図である。 図3は、改質部を示す斜視図である。 図4は、対向電極を示す図である。 図5は、改質装置の電気的構成を示す図である。 図6は、改質処理の手順を示すフローチャートである。 図7は、対向電極の移動の説明図である。 図8は、対向電極の他の例を示す図である。 図9は、画像形成装置の説明図である。 図10は、インクのpH値とインクの粘度との関係の一例を示す図である。 図11は、改質処理を施した場合と施していない場合との印刷物の違いの説明図である。 図12は、改質処理を施した場合と施していない場合との印刷物の違いの説明図である。 図13は、改質処理を施した場合と施していない場合との印刷物の違いの説明図である。 図14は、改質処理を施した場合と施していない場合との印刷物の違いの説明図である。 図15は、プラズマエネルギーと記録媒体表面の濡れ性、ビーディング、pH値、及び浸透性との関係を示すグラフである。 図16は、画像形成システムを示す模式図である。 図17は、画像形成システムの一部を拡大して示した模式図である。 図18は、プラズマエネルギーとpH値との関係を示すグラフである。 図19は、先塗り処理を施した記録媒体と改質処理を施した記録媒体とのインク付着量に対する画像濃度の測定結果を示す図である。 図20は、改質処理と先塗り処理とを併用したときの浸透し難い記録媒体の粒状度を示すグラフである。
以下に添付図面を参照して、改質装置、画像形成装置、画像形成システム、及び印刷物の製造方法の一の実施の形態を詳細に説明する。
<第1の実施の形態>
図1は、本実施の形態の改質装置10の一例を示す模式図である。
改質装置10は、処理対象部材の表面をプラズマによって改質する装置である。
本実施の形態では、処理対象部材が、記録媒体Pである場合を説明する。なお、記録媒体Pは処理対象部材の一例であり、処理対象部材は記録媒体Pに限られない。
記録媒体Pの種類としては、例えば、普通紙、上質紙、再生紙、薄紙、厚紙、コート紙等を用いることができる。また、OHPシート、合成樹脂フィルム、金属薄膜及びその他表面にインク等で画像を形成することができるものも、記録媒体Pとして用いることができる。また、記録媒体Pとして、ロール紙を用いてもよい。ロール紙としては、切断可能なミシン目が所定間隔で形成された連続紙(連帳紙、連続帳票)であってよい。その場合、ロール紙におけるページ(頁)とは、例えば所定間隔のミシン目で挟まれる領域とする。
改質装置10は、改質部12、搬送部14、制御部20、第1検知部32、第2検知部34、及び排気部40を備える。
搬送部14は、複数の搬送ローラ(図1では、14A〜14C)と、搬送ベルト46と、を備える。搬送ベルト46は、外周面に記録媒体Pを保持して搬送する無端ベルトである。搬送ベルト46は、誘電体で構成されている。搬送ベルト46は、複数の搬送ローラ14A〜14Cによって内側から張力をかけた状態で支持されている。搬送ローラ14Aは、図示を省略するモータによって回転される。搬送ローラ14Aの回転に伴って搬送ローラ14B〜14Cが回転することで、搬送ベルト46は搬送方向(図1中、矢印X方向、以下、搬送方向Xと称する)に回転される。搬送ベルト46は、例えば、ポリイミドにシリコンコーティングしたものである。
本実施の形態では、搬送部14は、記録媒体Pを搬送方向Xへ搬送する。供給部36に貯留されている記録媒体Pは、図示を省略する搬送ローラや搬送ベルト46によって、搬送経路(図示省略)に沿って搬送され、改質部12に至る。そして、記録媒体Pは、改質部12によって改質処理(詳細後述)が施された後に、筐体11の外部に設けられた排出トレイ38へと排出される。
第1検知部32は、記録媒体Pの第1方向(詳細後述)の長さ(以下、媒体幅と称する)を検知する。第1検知部32には、公知のセンサを用いる。
第2検知部34は、記録媒体P上の改質対象領域における第1方向の長さ(以下、改質対象領域幅と称する)を検知する。改質対象領域は、記録媒体Pにおける、後述する改質部12による改質対象となる領域である。本実施の形態では、改質対象領域は、記録媒体Pにおける画像(文字や写真等)の形成されている領域である場合を説明する。第2検知部34には、例えば、公知のスキャナと同様の機能を有するセンサを用いる。
排気部40は、筐体11内の空気を筐体11外に排出する。排気部40によって、改質部12によって生じたオゾン等の生成物や熱が筐体11の外部へと排出される。排気部40は、ファン41を備えた空気流形成部42と、浄化部43と、を備える。ファン41は、排気を行うための空気流を形成する。浄化部43は、空気中のオゾン等の環境に悪影響を与え得る成分を除去する。浄化部43は、ファン41によって形成された空気の流路に沿って、MgO触媒を用いた複数のオゾンフィルタ44と、活性炭繊維触媒を用いた複数のオゾンフィルタ45と、を配列した構成である。なお、浄化部43は、筐体11内で発生する気体生成物に応じて、オゾン以外の成分を除去する他のフィルタ等を備えていても良い。
制御部20は、改質装置10全体を制御する。制御部20は、改質装置10の各部に電気的に接続されており、これらの各部を制御する。制御部20は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)などを含んで構成されるコンピュータである。
改質部12は、記録媒体Pの表面をプラズマによって改質する改質処理を行う。本実施の形態における改質処理とは、処理対象部材に親水性や酸性、浸透性を付与することを指す。
改質部12は、電圧印加部16、放電電極18、対向電極25、及び移動部30を備える。放電電極18と対向電極25は対向配置されている。放電電極18と対向電極25との対向領域を、搬送ベルト46によって記録媒体Pが搬送される。本実施の形態では、対向電極25上にガラス板28が積層されている。このため、放電電極18と対向電極25とは、記録媒体P、搬送ベルト46、及びガラス板28を介して対向配置されている。
電圧印加部16は、放電電極18及び対向電極25に電気的に接続されている。電圧印加部16は、放電電極18と対向電極25にプラズマ形成可能な程度の周波数及び電圧値の電圧を印加する。電圧印加部16は、制御部20に電気的に接続されており、制御部20の制御に応じた電圧値及び周波数の電圧を放電電極18と対向電極25に印加する。放電電極18と対向電極25に電圧を印加することで、放電によってこれらの電極の間にプラズマが発生する。これにより、搬送ベルト46によって搬送されて放電電極18の対向面に至った記録媒体Pの表面の改質処理が行われる。
図2は、改質処理の説明図である。電圧印加部16は、対向電極25及び放電電極18に、これらの電極の間(以下、電極間と称する場合がある)にプラズマ形成可能な程度の周波数及び電圧値の電圧を印加する。この電圧の電圧値は、たとえば約10kV(キロボルト)程度である。また、その周波数は、たとえば約20kHz(キロヘルツ)である。このような高周波・高電圧の電圧を放電電極18と対向電極25に印加することで、放電電極18と対向電極25との電極間には、沿面放電によるプラズマが発生する。本実施の形態では、この電極間のプラズマの発生した領域を放電領域Sと称して説明する。
この放電領域Sに、搬送方向Xに搬送されてきた記録媒体Pが到ることで、記録媒体Pの放電電極18側の面がプラズマによって改質される。すなわち、改質処理では、記録媒体Pに大気中のプラズマ照射を行うことによって、記録媒体P表面の高分子を反応させ、親水性の官能基を形成する。詳細には、放電電極18から放出された電子eが電界中で加速されて、大気中の原子や分子を励起・イオン化する。イオン化された原子や分子からも電子が放出され、高エネルギーの電子が増加し、その結果、ストリーマ放電(プラズマ)が発生する。
このストリーマ放電による高エネルギーの電子によって、記録媒体Pが、例えば、コート紙であったとしても、改質が行われる。コート紙は、炭酸カルシウムをバインダーとしての澱粉で固めた表面を有している。コート紙では、プラズマにより、この澱粉における高分子結合が切断され、気相中の酸素ラジカルOやオゾンOと再結合する。これにより、記録媒体Pの表面に水酸基やカルボキシル基等の極性官能基が形成される。コート紙の場合、コート層内部にも極性官能基が生成されるため、ビヒクルの浸透性が上がる。その結果、記録媒体Pの表面に、親水性や酸性、浸透性が付与される。すなわち、上述したように、改質処理とは、処理対象部材に親水性や酸性、浸透性を付与することを指す。
図3は、改質部12を模式的に示す斜視図である。図3に示すように、改質部12は、電圧印加部16、放電電極18、対向電極25、及び移動部30を備える。
放電電極18は、記録媒体Pの搬送方向Xに対して交差する第1方向(図2中、矢印Y方向、以下、第1方向Yと称する)に長い円柱状の電極である。放電電極18は、第1方向Yの両端部を、支持部材24(図1参照、図3では図示省略)によって支持されている。
放電電極18は、支持部材24によって、第1方向Yを回転軸として周方向に回転可能に支持されている。放電電極18は、付勢部材48(図1参照)によって対向電極25側に付勢されている。具体的には、放電電極18は、付勢部材48によって、記録媒体P及び搬送ベルト46を介して対向電極25側に付勢されている。このため、放電電極18は、記録媒体Pに対して接触した状態で放電を行う。また、放電電極18は、搬送ベルト46や記録媒体Pの搬送方向Xへの移動に伴い、従動回転する(図3中、矢印Q方向参照)。放電電極18の従動回転により、放電電極18は、放電による偏摩耗が抑制される。付勢部材48には、例えば、ばね部材を用いる。なお、本実施の形態では、放電電極18は、記録媒体Pに対して接触して放電を行う場合を説明するが、接触した放電に限定されず、非接触で放電を行ってもよい。
放電電極18は、大きさの異なる種々の記録媒体Pに対して改質処理が可能となるように、第1方向Yの長さが、記録媒体Pの想定する最大幅以上の長さとなるように予め調整されている。放電電極18は、導電性の材料によって構成されている。
本実施の形態では、搬送方向Xと、放電電極18の長尺方向である第1方向Yと、が直交する場合を説明する。すなわち、第1方向Yに直交する第2方向が、搬送方向Xと一致する場合を説明する。なお、搬送方向Xと第1方向Yとは互いに交差する方向であればよく、直交に限られない。
対向電極25は、放電電極18に対して、搬送ベルト46を介して対向配置されている。対向電極25は、本実施の形態では、板面が、放電電極18と対向電極25との対向方向に交差する方向に対して平行な板状である場合を説明する。なお、対向電極25の形状は、板状に限られない。
図4は、対向電極25を示す図である。対向電極25は、放電電極18との対向面側に、有効電極領域22と、絶縁領域23と、を備える。有効電極領域22とは、放電電極18との間で放電領域Sを形成可能な程度の導電性を有する領域である。有効電極領域22には、この条件を見たす範囲で公知の材料を用いる。絶縁領域23は、放電電極18と対向電極25との間の放電を阻害可能な程度の絶縁性を有すればよい。絶縁領域23には、この条件を満たす範囲で、公知の材料を用いればよい。
有効電極領域22は、第1方向Yに対して交差する第2方向(本実施の形態では搬送方向X)に向かって第1方向Yの長さが異なる。本実施の形態では、図4に示すように、有効電極領域22は、第1方向Yの長さが搬送方向Xに向かって連続的に異なる。なお、本実施の形態では、記録媒体Pは、搬送ベルト46(図3参照)の第1方向Yにおける中央部を搬送方向Xに搬送される場合を説明する。このため、有効電極領域22は、搬送ベルト46における第1方向Yの中央部を通る搬送方向Xに沿った直線を中心とした左右対称の台形形状である場合を説明する。なお、有効電極領域22の形状は、台形形状に限られない。
また、本実施の形態では、有効電極領域22は、搬送方向Xの上流側から下流側に向かって、第1方向Yの長さが連続的に短くなるように形成されている。なお、有効電極領域22は、搬送方向Xの上流側から下流側に向かって、第1方向Yの長さが連続的に長くなるように形成されていてもよい。
なお、有効電極領域22における第1方向Yの長さの最大値及び最小値は、処理対象の記録媒体Pの媒体幅に応じて予め調整すればよい。例えば、有効電極領域22における第1方向Yの長さの最大値は、処理対象の記録媒体Pの内、最大の大きさの記録媒体Pの媒体幅を超える値に予め調整する。また、有効電極領域22における第1方向Yの長さの最小値は、処理対象の記録媒体Pの内、最小の大きさの記録媒体Pの媒体幅未満の値に予め調整する。
対向電極25は、搬送方向X及び反搬送方向(図3中、矢印XB方向参照、以下、反搬送方向XBと称する)に移動可能に支持されている。
移動部30は、放電電極18と対向電極25との間に形成される放電領域Sにおける第1方向Yの放電幅が変化するように、対向電極18及び放電電極25の少なくとも一方を、搬送方向X(第2方向)または反搬送方向XB(反第2方向)に相対的に移動させる。本実施の形態では、放電電極18の位置を固定とし、移動部30は、対向電極25を搬送方向Xまたは反搬送方向XBに移動させる場合を説明する。
放電幅とは、放電電極18と対向電極25との電極間に形成された放電領域Sの、第1方向Yの長さである。
本実施の形態では、移動部30は、対向電極25を搬送方向Xまたは反搬送方向XBに移動させることで、対向電極25の放電電極18との対向面における、放電電極18に対向する領域の位置を変化させる。これによって、移動部30は、結果的に、電極間に形成される放電領域Sの放電幅を変化させる。
例えば、対向電極25を、搬送方向Xに長いスライドレール(図示省略)上に移動可能に支持する。そして、対向電極25におけるスライドレール(図示省略)に向かい合う側の面に、搬送方向Xに沿ってラック26を形成する。更に、このラック26にかみ合うピニオン(図示省略)を設けた構成とする。移動部30は、このピニオンを回転駆動させることで、対向電極25を、搬送方向Xまたは反搬送方向XBに移動させる。移動部30は、制御部20(図1参照)に電気的に接続されている。移動部30は、制御部20の制御によって、このピニオンの回転方向及び回転量を調整する。これにより、制御部20は、対向電極25の搬送方向X及び反搬送方向XBへの移動方向や移動量を制御する。
次に、本実施の形態の改質装置10の電気的構成を説明する。図5は、改質装置10の電気的構成を示す図である。
改質装置10は、電圧印加部16、制御部20、搬送部14、第1検知部32、第2検知部34、及び移動部30を備える。制御部20は、搬送部14、第1検知部32、第2検知部34、電圧印加部16、及び移動部30に電気的に接続されている。
制御部20は、上述したように、改質装置10を制御する。本実施の形態では、制御部20は、放電領域Sの放電幅が、第1検知部32で検知された記録媒体Pの媒体幅となるように、移動部30を制御する。
制御部20は、記憶部20Aを備える。記憶部20Aは、放電領域Sの放電幅と、電圧値及び周波数と、記録媒体Pの媒体幅と、放電幅を該媒体幅と一致させるための対向電極25の移動量及び移動方向と、を対応づけたテーブルを予め記憶する。なお、このテーブルに格納されている放電幅と、対応する媒体幅と、は同じ値である。
このテーブルに格納されている移動量及び移動方向は、例えば、予め定めた基準位置からの対向電極25の移動量や移動方向を示す。この移動方向は、本実施の形態では、搬送方向X、または反搬送方向XBを示す。
なお、このテーブルは、放電幅が小さいほど電圧値及び周波数の少なくとも一方が低くなるように、放電幅と、電圧値及び周波数と、を対応づけたテーブルである。すなわち、制御部20は、放電領域Sに形成されたプラズマによる単位面積当たりのプラズマエネルギーが、ある一定のプラズマエネルギーとなるように、各放電幅に対応する電圧値及び周波数を対応づけた該テーブルを記憶部20Aに記憶する。
詳細には、制御部20は、電圧値と周波数によって定まる電圧の供給エネルギーが、放電幅の変化に比例した値となるように、各放電幅に対応する電圧値及び周波数を対応づけた該テーブルを記憶部20Aに記憶する。例えば、放電幅Aに対して40%の長さの放電幅Bに対応する供給エネルギーBは、放電幅Aに対応する供給エネルギーAの40%のエネルギーとなるように、電圧値及び周波数が予め設定されている。
このため、結果的に、記憶部20Aに記憶された該テーブルは、放電幅が小さいほど電圧値及び周波数の少なくとも一方が低くなるように、放電幅と、電圧値及び周波数と、を対応づけたものとなる。
このテーブルに格納される各値は、改質装置10に設けられた図示を省略する操作部がユーザによって操作されることで入力され、記憶部20Aの該テーブルに記憶されるようにしてもよいし、外部装置からネットワーク等の通信回線を介して受信部(図示省略)で各値を示す情報を受信し、この情報を記憶部20Aのテーブルに格納してもよい。また、これらの情報は、該操作部のユーザによる操作指示等によって適宜変更可能としてもよい。
制御部20は、第1検知部32で検知された媒体幅に対応する、印加する電圧の電圧値及び周波数と、移動量及び移動方向を読取る。そして、制御部20は、読取った移動量及び移動方向に、対向電極25を移動させるように、移動部30を制御する。そして、制御部20は、移動部30を制御した後に、対向電極25及び放電電極18に、該読取った電圧値及び周波数の電圧を印加するように、電圧印加部16を制御する。
なお、制御部20は、第2検知部34から記録媒体Pにおける改質対象領域幅を受信すると、改質対象領域幅が媒体幅より小さいか否かを判断する。そして、制御部20は、第2検知部34から受信した改質対象領域幅が第1検知部32から受信した媒体幅より小さい場合には、該改質対象領域幅を媒体幅として、上記移動部30を制御してもよい。
図6は、本実施の形態の改質装置10で実行する改質処理の手順を示すフローチャートである。改質装置10では、図示を省略する電源スイッチがユーザによって操作されることで、装置の各部に電力供給が開始されると、改質装置10が、図6に示す処理ルーチンを繰り返し実行する。
制御部20は、第1検知部32によって記録媒体Pの媒体幅が検知されたか否かを判断する(ステップS1000)。制御部20は、媒体幅の検知結果を示す信号を第1検知部32から受信したか否かを判別することで、ステップS1000の判断を行う。
制御部20は、第1検知部32から媒体幅の検知結果を受信しなかった場合には(ステップS1000:No)、本ルーチンを終了する。一方、制御部20は、第1検知部32から媒体幅の検知結果を受信すると(ステップS1000:Yes)、ステップS1010へ進む。
次に、制御部20は、第2検知部34によって該記録媒体Pにおける改質対象領域幅が検知されたか否かを判断する(ステップS1010)。制御部20は、改質対象領域幅を示す信号を第2検知部34から受信したか否かを判別することで、ステップS1010の判断を行う。
制御部20は、第2検知部34から改質対象領域幅の検知結果を受信しなかった場合には(ステップS1010:No)、後述するステップS1040へ進む。一方、制御部20は、第2検知部34から改質対象領域幅の検知結果を受信した場合には(ステップS1010:Yes)、ステップS1020へ進む。
制御部20は、ステップS1010で受信した改質対象領域幅が、ステップS1000で受信した媒体幅より小さいか否かを判断する(ステップS1020)。ステップS1020で否定判断すると(ステップS1020:No)、後述するステップS1040へ進む。一方、ステップS1020で肯定判断すると(ステップS1020:Yes)、ステップS1030へ進む。
ステップS1030では、制御部20は、ステップS1000で受信した媒体幅に代えて、ステップS1010で受信した改質対象領域幅を、媒体幅として設定する(ステップS1030)。
次に、制御部20は、放電領域Sの放電幅を、ステップS1000で取得した媒体幅、またはステップS1030で設定された媒体幅とするための、対向電極25の移動量及び移動方向を算出する(ステップS1040)。制御部20は、ステップS1000で取得した媒体幅またはステップS1030で設定された媒体幅に対応する移動量及び移動方向を、上記テーブルから読取ることで、対向電極25の移動量及び移動方向を算出する。そして、制御部20は、ステップS1040で算出した該移動量及び移動方向を含む変化信号を、移動部30へ出力する(ステップS1050)。
ステップS1050の処理によって、移動部30は変化信号を制御部20から受信する。移動部30は、受信した変化信号に含まれる移動方向に応じた回転方向で、且つ該変化信号に含まれる移動量に応じた回転量、ピニオン(図示省略)を回転駆動させる。ピニオンの回転駆動により、ラック26を介して対向電極25が、搬送方向Xまたは反搬送方向XBに移動する。
そして、移動部30は、受け付けた変化信号に含まれる移動方向に応じた移動量の移動が終了すると、完了信号を制御部20へ出力する。
制御部20は、移動部30から完了信号を受信するまで否定判断を繰り返す(ステップS1060:No)。制御部20は、移動部30から完了信号を受信すると(ステップS1060:Yes)、ステップS1070へ進む。
次に、制御部20は、搬送部14、及び電圧印加部16へ処理開始信号を送信する(ステップS1070)。なお、制御部20は、ステップS1000で取得した媒体幅またはステップS1030で設定した媒体幅に対応する、電圧値及び周波数を上記テーブルから読取る。そして、読取った電圧値及び周波数を含む処理開始信号を、電圧印加部16へ送信する。
処理開始信号を受け付けた搬送部14は、上記ステップS1000で媒体幅の検知された記録媒体Pを供給部36から順次送り出し、搬送を開始する。電圧印加部16は、搬送部14によって搬送方向Xに搬送されて放電電極18と対向電極25との電極間に到達したことがセンサ(図示省略)によって検知されると、対向電極25及び放電電極18に電圧を印加する。電圧印加部16が印加する電圧の電圧値及び周波数は、上記ステップS1070で制御部20から送信された処理開始信号に含まれる電圧値及び周波数である。
これによって、放電電極18と対向電極22との電極間に到った記録媒体Pに、改質処理が実行される。
このように、上記処理が実行されることにより、移動部30は、放電電極18と対向電極25との間に形成される放電領域Sにおける第1方向Yの放電幅と、記録媒体Pの媒体幅と、が一致するように、対向電極25を搬送方向Xまたは反搬送方向XBに移動させる。
図7は、対向電極25の移動の説明図である。
例えば、記録媒体Pの媒体幅が図7(A)に示す長さW1であったとする。この場合、制御部20は、放電幅が長さW1となるように移動部30を制御する。制御部20の制御によって移動部30は、上記ステップS1070で示した処理開始信号に応じて対向電極25を移動させることで、放電電極18と対向電極25との対向領域18Aが、有効電極領域22における第1方向Yの長さがW1の領域に重なるように、対向電極25を移動させる。この状態で、対向電極25と放電電極18とに電圧が印加されると、有効電極領域22における長さW1の領域と放電電極18との間でプラズマが形成され、放電幅が記録媒体Pの媒体幅である長さW1と一致する。
一方、記録媒体Pの媒体幅が図7(A)に示す長さW1より短い長さW2であったとする(図7(B)参照)。この場合、制御部20は、放電幅が長さW2となるように移動部30を制御する。制御部20の制御によって移動部30は、上記ステップS1070で示した処理開始信号に応じて対向電極25を移動させることで、放電電極18と対向電極25との対向領域18Aが、有効電極領域22における第1方向Yの長さがW2の領域と重なるように、対向電極25を移動させる。この状態で、対向電極25と放電電極18とに電圧が印加されると、有効電極領域22における長さW2の領域と放電電極18との間でプラズマが形成され、放電幅が、記録媒体Pの媒体幅である長さW2と一致する。
以上説明したように、本実施の形態の改質装置10は、第1方向Yに長い円柱状であり、且つ第1方向Yを回転軸として回転可能に支持された放電電極18を備える。放電電極18は、記録媒体Pに放電する。対向電極25は、放電電極18との対向面側に、有効電極領域22を備える。有効電極領域22は、第1方向Yに対して交差する第2方向(本実施の形態では搬送方向X)に向かって第1方向Yの長さが異なる。移動部30は、放電電極18と対向電極25との間に形成される放電領域Sにおける第1方向Yの放電幅が変化するように、放電電極25を、搬送方向X(第2方向)または反搬送方向XB(反第2方向)に移動させる。
このように、移動部30が、第1方向Yの長さが搬送方向Xに向かって異なる有効電極領域22を備えた対向電極25を、搬送方向Xまたは反搬送方向XBへ移動させることから、様々な大きさの記録媒体Pに応じて放電領域Sの放電幅を変化させることができる。従って、本実施の形態の改質装置10は、プラズマを発生させるためのエネルギーの無駄を低減し、高いエネルギー効率で改質を行うことができる。
また、本実施の形態の改質装置10は、回転可能に支持した放電電極18を記録媒体Pに対して接触して放電させる。このため、本実施の形態の改質装置10では、上記効果に加えて、記録媒体Pの搬送ベルト46からの浮きによる放電不良を抑制することが出来ると共に、有効な沿面放電を実現することができる。このため、本実施の形態の改質装置10は、放電電極18を記録媒体Pに対して接触させることで、上記効果に加えて、更に、プラズマを発生させるためのエネルギーの無駄を低減することができる。
また、放電電極18を記録媒体Pに対して接触して放電させた場合、被加工物に付着している汚れが放電電極に転移しても、放電電極18が回転していることで、放電電極18の周面に汚れが分散する。このため、本実施の形態の改質装置10は、放電電極18を記録媒体Pに対して接触させることで、上記効果に加えて更に、エネルギーの無駄を低減することができる。
また、本実施の形態の改質装置10では、制御部20が、処理対象の記録媒体Pの媒体幅に応じて、媒体幅が放電幅と一致するように、移動部30を制御する。このため、本実施の形態の改質装置10では、上記効果に加えて、更に、プラズマを発生させるためのエネルギーの無駄を低減することができる。
また、本実施の形態の改質装置10では、制御部20は、形成する放電幅が小さいほど、電圧値及び周波数の少なくとも一方の低い電圧を対向電極25と放電電極18とに印加するように電圧印加部16を制御する。
例えば、図7(A)に示す放電幅(長さW1参照)を実現するために対向電極25と放電電極18とに印加する電圧の供給エネルギーを基準とした場合、長さW1より短い長さW2(長さW2は、長さW1の40%の長さであるとする)の放電幅(図7(B)参照)を実現するための供給エネルギーを該基準の40%とすることによって、同等の表面改質効果が得られる。
このため、上記効果に加えて、更に、プラズマを発生させるためのエネルギーの無駄を低減することができる。
なお、本実施の形態では、対向電極25における有効電極領域22の第1方向Yの長さが、搬送方向Xに向かって連続的に異なる場合を説明した。しかし、有効電極領域22の第1方向Yの長さは、搬送方向Xに向かって異なればよく、連続的に異なる形態に限られない。
図8は、対向電極25の他の例を示す図である。例えば、対向電極25における有効電極領域22の第1方向Yの長さは、図8に示すように、搬送方向Xに向かって段階的に異なる形状であってもよい。
また、本実施の形態では、放電電極18の位置を固定とし、移動部30は、対向電極25を搬送方向Xまたは反搬送方向XBに移動させる場合を説明した。しかし、移動部30は、放電領域Sにおける第1方向Yの放電幅が変化するように、対向電極18及び放電電極25の少なくとも一方を、搬送方向Xまたは反搬送方向XBに相対的に移動させればよい。このため、対向電極25を移動する形態に限られない。例えば、放電電極18と対向電極25の双方を搬送方向Xまたは反搬送方向XBに移動させる形態であってもよいし、対向電極25の位置を固定とし、放電電極18を、搬送方向Xまたは反搬送方向XBに移動させる形態であってもよい。
また、本実施の形態では、制御部20は、第2検知部34の検知結果を用いた制御を行う場合を説明したが、第2検知部34の検知結果による制御は必須ではなく、制御部20は、第2検知部34の検知結果による制御を行わない形態であってもよい。すなわち、制御部20は、図6におけるステップS1010〜ステップS1030の処理を行わない形態であってもよい。
<第2の実施の形態>
本実施の形態では、第1の実施の形態の改質装置10を備えた画像形成装置を説明する。
図9は、本実施の形態の画像形成装置1Aの説明図である。画像形成装置1Aは、改質装置10と、記録装置160と、制御部320と、を備える。改質装置10は、第1の実施の形態と同様である。制御部320は、画像形成装置1Aの全体を制御する。
記録装置160は、改質装置10より記録媒体Pの搬送方向X下流側に設けられている。記録装置160は、記録部17Aを備える。記録部17Aは、インクジェット記録方式の記録部であり、形成対象の画像に応じたインクを吐出することで、記録媒体Pに画像を形成する。
改質装置10を画像形成装置1Aに搭載し、記録部17Aによる画像の形成前に、改質装置10によって改質処理を行うことで、隣接ドットの合一(打滴干渉と称される場合もある)によるビーディングやブリードを抑制することができる。
ここで、図2を用いて説明したように、改質処理を行うことによって、記録媒体Pの表面に親水性や酸性、浸透性が付与される。記録媒体Pに吐出されたインクにより形成されたドットが、親水性が上がることにより濡れ拡がって合一することで、ドット間の混色が発生する場合がある。ドット間の混色の発生を防ぐためには、インクに含まれる着色剤(例えば顔料や染料)をドット内で凝集させることや、ビヒクルが濡れ拡がるよりも早くビヒクルを乾燥させたり記録媒体P内へ浸透させたりすることが重要であることが分かった。
このため、記録部17Aとして、インクを吐出して画像を形成するインクジェット記録方式の記録部を用いる場合には、改質装置10によって表面を改質された記録媒体Pに対して、記録部17Aによりインクを吐出して画像形成することが好ましい。
すなわち、本実施の形態では、改質装置10で発生させたプラズマによって記録媒体Pの表面を酸性化した後に、記録部17Aによってインクを吐出して画像を形成する。これによって、記録部17Aによって記録媒体Pに吐出されたインクに含まれる着色剤を凝集させたり、ビヒクルを記録媒体P内へ浸透させたりすることができる。すなわち、本実施の形態の画像形成装置1Aでは、インクジェット記録方式による画像形成の前に行う前処理として、改質装置10によって記録媒体Pを酸性化する。
なお、本実施の形態において、酸性化する、とは、インクに含まれる顔料が凝集するpH値まで記録媒体Pの表面のpH値を下げることを意味する。pH値を下げるとは、物体中の水素イオンH濃度を上昇させることである。記録媒体Pの表面に触れる前のインク中の顔料はマイナスに帯電し、ビヒクル中で顔料が分散している。この酸性化は、上述したプラズマによる改質処理によって実現される。
図10は、インクのpH値とインクの粘度との関係の一例を示す図である。図10に示すように、インクは、そのpH値が低いほど、その粘度が上昇する。これは、インクの酸性度が高くなるほど、インクのビヒクル中でマイナスに帯電している顔料が電気的に中和され、その結果、顔料同士が凝集するためである。したがって、たとえば、図10に示すグラフにおいてインクのpH値が必要な粘度に対応する値となるように、改質装置10によって記録媒体Pの表面のpH値を下げることで、インクの粘度を上昇させることが可能である。これは、インクが酸性である記録媒体Pの表面に付着した際、顔料が記録媒体P表面の水素イオンHによって電気的に中和された結果、顔料同士が凝集するためである。
それにより、隣接したドット間の混色を防止するとともに、顔料が記録媒体Pの奥深く(さらには裏面まで)浸透するのを防止することが可能となる。ただし、必要な粘度と対応するpH値となるようにインクのpH値を下げるためには、記録媒体P表面のpH値を必要な粘度と対応するインクのpH値よりも低くしておく必要がある。
また、インクを必要な粘度とするためのpH値は、インクの特性によって異なる。すなわち、図10のインクAに示すように、比較的中性に近いpH値で顔料が凝集して粘度が上がるインクもあれば、インクAとは異なる特性を持つインクBに示すように、顔料を凝集させるためにインクAよりも低いpH値が必要なインクも存在する。
そこで、本実施の形態では、記録媒体P表面の濡れ性、pH値の低下によるインク顔料の凝集性や浸透性を改質処理によってコントロールするとともに、改質処理による記録媒体P表面のpH値変化に応じてインクを使い分けても良い。
つづいて、記録媒体Pに改質処理を施した場合と施していない場合との印刷物の違いを、図11〜図14を用いて説明する。図11は、本実施の形態にかかる改質処理を施していない記録媒体Pに対してインクジェット記録処理を行うことで得られた印刷物の画像形成面を撮像して得られた画像の拡大図である。図12は、図11に示す印刷物における画像形成面に形成されたドットの例を示す模式図である。図13は、本実施の形態にかかる改質処理を施した記録媒体Pに対してインクジェット記録処理を行うことで得られた印刷物の画像形成面を撮像して得られた画像の拡大図である。図14は、図13に示す記録媒体Pにおける画像形成面に形成されたドットの例を示す模式図である。なお、図11および図13に示す印刷物を得るにあたり、デスクトップ型のインクジェット記録装置を用いた。また、記録媒体Pには、コート層21(図12参照)を備える一般的なコート紙を用いた。
本実施の形態にかかる改質処理を施していないコート紙は、コート紙表面にあるコート層21の濡れ性が悪い。そのため、改質処理を施していないコート紙に対してインクジェット記録処理にて形成した画像では、たとえば図11および図12に示すように、ドットの着弾時にコート紙の表面に付着したドットの形状(ビヒクルCT1の形状)が歪になる。また、表面の濡れ性が悪い場合、ビヒクルCT1の表面張力によってドットが高さのある形状となり、その乾燥に比較的長い時間を要してしまう。ドットの乾燥が十分でない状態で近接ドットを形成すると、図11および図12に示すように、コート紙への近接ドットの着弾時にビヒクルCT1およびCT2同士が合一し、これによりドット間で顔料P10およびP20の移動(混色)が起き、その結果、ビーディング等による濃度ムラが生じてしまう場合がある。
一方、本実施の形態にかかる改質処理を施したコート紙は、コート紙表面にあるコート層21の濡れ性が改善されている。そのため、改質処理を施したコート紙に対してインクジェット記録処理にて形成した画像では、たとえば図13に示すように、ビヒクルCT1がコート紙の表面に比較的平坦な真円状に広がる。これにより、図14のようにドットが平坦な形状となる。
また、改質処理で形成された極性官能基によってコート紙表面が酸性になるため、インク顔料が電気的に中和され、顔料P10が凝集してインクの粘性が上がる。これにより、図14のようにビヒクルCT1及びCT2が合一した場合にも、ドット間の顔料P10およびP20の移動(混色)が抑制される。さらに、コート層21内部にも極性官能基が生成されるため、ビヒクルCT1の浸透性が上がる。これにより、比較的短時間で乾燥することが出来る。濡れ性向上により真円状に広がったドットが、浸透しながら凝集することにより、顔料P10が高さ方向に均等に凝集され、ビーディング等による濃度ムラの発生を抑えることが可能となる。なお、図12、図14は模式図であり、実際には図14の場合にも顔料は層になって凝集している。
このように、本実施の形態にかかる改質処理を施した記録媒体Pでは、改質処理によって極性官能基が形成された結果、表面が酸性になる。それにより、マイナスに帯電した顔料が記録媒体P表面で中和されることにより、顔料が凝集して粘性が上がり、結果的にドットが合一したとしても顔料の移動を抑制することが可能となる。また、記録媒体P表面に形成されたコート層21内部にも極性官能基が生成されることで、ビヒクルが速やかに記録媒体P内部に浸透し、これにより、乾燥時間を短縮することが出来る。つまり、濡れ性が上がることで真円状に広がったドットは、凝集によって顔料の移動が抑えられた状態で浸透することで真円に近い形状を保つことが可能となる。
図15は、本実施の形態にかかるプラズマエネルギーと記録媒体P表面の濡れ性、ビーディング、pH値および浸透性との関係を示すグラフである。図15では、記録媒体Pとしてコート紙へ印刷した場合の表面特性(濡れ性、ビーディング、pH値、浸透性(吸液特性))がプラズマエネルギーに依存してどのように変化するかが示されている。なお、図15に示す評価を得るにあたり、インクには、顔料が酸により凝集する特性の水性顔料インク(マイナスに帯電した顔料が分散されているアルカリ性インク)を使用した。
図15に示すように、コート紙表面の濡れ性は、プラズマエネルギーが低い値(たとえば0.2J/cm程度以下)で急激に良くなり、それ以上エネルギーを増加させてもあまり改善はしない。一方、コート紙表面のpH値は、ある程度まではプラズマエネルギーを高めることにより低下していく。ただし、プラズマエネルギーがある値(たとえば4J/cm程度)を超えたところで飽和状態になる。また、浸透性(吸液特性)は、pH値の低下が飽和したあたり(たとえば4J/cm程度)から急激に良くなっている。ただし、この現象は、インクに含まれている高分子成分に依存して異なる。
この結果として、浸透性(吸液特性)がよくなり始めて(例えば4J/cm程度)からビーディング(粒状度)の値が非常に良い状態となっている。ここでのビーディング(粒状度)とは、画像のざらつき感を数値で表したものであり、濃度のばらつきを平均濃度の標準偏差で表したものである。図15では、2色以上のドットからなる色のベタ画像の濃度を複数サンプリングし、その濃度の標準偏差をビーディング(粒状度)として表している。このように本実施の形態にかかるプラズマ処理を施したコート紙に吐出されたインクは、真円上に広がりかつ凝集しながら浸透するため、画像のビーディング(粒状度)が改善される。
上述したように、記録媒体P表面の特性と画像品質との関係では、表面の濡れ性が向上することにより、ドットの真円度が向上している。この理由としては、改質処理により生成された親水性の極性官能基によって記録媒体P表面の濡れ性が向上するとともにこれが均一化したことに加え、ゴミや油分や炭酸カルシウムなどの撥水要因が改質処理によって除外されたことによると考えられる。記録媒体P表面の濡れ性が向上した結果、液滴が円周方向に均等に拡がり、ドットの真円度が向上する。
また、記録媒体P表面を酸性化(pH値の低下)させることにより、インク顔料の凝集、浸透性の向上、ビヒクルのコート層内部への浸透などが生じる。これらにより、記録媒体P表面の顔料濃度が上昇するため、ドットが合一したとしても、顔料の移動を抑えることが可能となり、その結果、顔料の混濁が抑制し、顔料を均一に印刷メディア表面に沈降凝集させることが可能となる。
ただし、顔料混濁の抑制効果は、インクの成分やインクの滴量に依存して異なる。たとえばインクの滴量が小滴の場合、大滴の場合に比べて、ドットの合一による顔料の混濁は発生し難い。それは、ビヒクル量が小滴の場合の方が、ビヒクルがより早く乾燥・浸透するためであり、少しのpH値反応で顔料を凝集することができるためである。なお、改質処理の効果は、記録媒体Pの種類や環境(湿度など)によって変動する。そこで、改質処理の際のプラズマエネルギーを最適な値とすることで、記録媒体Pの表面改質効率が向上するため、さらなる省エネを達成することが可能となる。
従って、本実施の形態では、改質装置10による効果に加えて更に、ビーディングやブリードを効果的に抑制することができる。
なお、本実施の形態では、記録部17Aより搬送方向Xの上流側に改質装置10が設けられた構成である場合を説明した。しかし、記録部17Aより搬送方向Xの下流側に改質装置10を設けた構成であってもよい。
ここで、画像形成装置1Aに設けられた記録装置160が、搬送ベルト(図示省略)等を含む搬送部(図示省略)に、シリコンオイル等の疎水性を有する離型剤を塗布する構成である場合、離型剤が記録媒体Pに転移して記録媒体Pの表面が疎水性を有することとなる場合がある。また、記録部17Aが電子写真方式の構成である場合、記録媒体Pにおけるトナーの転写された領域が疎水性を有することとなる。このような記録媒体Pに、後処理として、親水性や酸性、浸透性を要する加工を良好に行うためには、改質処理を行う必要がある。記録装置160より搬送方向Xの下流側に改質装置10を設けると、記録装置160による画像形成の後に更に親水性や酸性、浸透性を要する加工を行う場合に、特に有効である。
なお、記録部17Aとして、インクを吐出することで画像を形成するインクジェット記録方式の記録部17Aを用いる場合には、上述のように、改質装置10は、記録部17A(記録装置160)より搬送方向Xの上流側に配置することが好ましい。
また、記録部17Aの、搬送方向Xの上流側と、搬送方向Xの下流側と、の双方に、上記改質装置10を配置した構成であってもよい。
<第3の実施の形態>
本実施の形態では、上記第1の実施の形態で説明した改質装置10を、画像形成システム1Bに搭載した形態を説明する。
図16は、本実施の形態にかかる画像形成システム1Bを示す模式図である。画像形成システム1Bは、記録媒体Pを搬送経路Eに沿って搬送する搬送部31と、記録媒体Pに対して改質処理を施す改質装置10と、改質処理された記録媒体Pの表面に画像を形成する画像形成部41とを有する。改質装置10は、第1の実施の形態の改質装置10と同様である。なお、本実施の形態では、記録媒体Pとして、ロール紙を用いる場合を一例として説明する。
画像形成部41は、改質処理された記録媒体Pにインクを吐出するインクジェット記録方式により画像を形成する記録部17Aを含む。記録部17Aは、第2の実施の形態の記録部17Aと同様である。
本実施の形態では、記録部17Aは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の4色の吐出ヘッド(記録ヘッド、インクヘッド)を有する場合を説明する。なお、これらの吐出ヘッドに限定されない。すなわち、グリーン(G)、レッド(R)及びその他の色に対応する吐出ヘッドを更に有してもよいし、ブラック(K)のみの吐出ヘッドを有していてもよい。ここで、K、C、M及びYは、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの夫々に対応するものとする。
画像形成部41は、画像が形成された記録媒体Pを後処理する後処理部180をさらに含んでもよい。なお、画像形成システム1Bは、後処理された記録媒体Pを乾燥する乾燥部50と、画像形成された(場合によってはさらに後処理された)記録媒体Pを搬出する搬出部60とを有してもよい。
また、画像形成システム1Bは、記録媒体Pに対して前処理を施す前処理部として、改質装置10の他に、記録媒体Pの表面に高分子材料を含む先塗り剤と呼ばれる処理液を塗布する先塗り処理部(不図示)をさらに備えてもよい。さらに、画像形成システム1Bは、各部の動作を制御する制御部(図示省略)を有する。この制御部は、たとえば、形成対象の画像データからラスタデータを生成する印刷制御装置に接続されてもよい。印刷制御装置は、画像形成システム1Bの内部に設けられてもよいし、外部に設けられていてもよい。外部に設けられている場合、印刷制御装置と画像形成システム1Bの制御部(図示省略)とは、インターネットやLAN(Local Area Network)などのネットワークを介して接続されていればよい。
図17は、画像形成システム1Bの一部を拡大して示した模式図である。改質装置10は、対向電極25と、放電電極18と、ラック26と、ガラス板28と、電圧印加部16と、pH値検出部131と、移動部30と、を備える。電圧印加部16は、制御部200に電気的に接続されている。図17に示す改質装置10は、pH値検出部131を更に備えた以外は、第1の実施の形態の改質装置10と同様の構成である。
制御部200は、第1の実施の形態の制御部20と同様の制御を行う。また、制御部200は、電圧印加部16及び移動部30を制御する。また、制御部200は、電圧印加部16へ印加する電圧の電圧値及び周波数を制御する。制御部200は、電圧印加部16から供給される電圧の周波数および電圧値を、記録媒体Pの表面を所定のpH値以下とするのに必要となるプラズマエネルギーに調整してもよい。すなわち、制御部200は、第1の実施の形態で制御部20が放電幅に応じて算出した電圧値及び周波数を、更に、pH値に応じて調整してもよい。
pH値検出部131は、改質装置10によって改質された記録媒体P(図17では図示省略)の表面のpH値を検出して制御部200へ出力する。
ここで、インクの顔料が凝集するpH値はインクの種類(特性等)によって異なる。すなわち、本実施の形態では、制御部200は、使用するインクの種類(特性等)に応じて、第1の実施の形態で制御部20が放電幅に応じて算出した電圧値及び周波数を、更に、調整する。
また、制御部200は、pH値検出部131で検出されたpH値に基づいて、改質装置10をフィードバック制御することで、改質処理後の記録媒体P表面のpH値を調整してもよい。
ここで、記録媒体Pの表面を必要なpH値まで低下させる方法の1つとしては、プラズマによる改質処理の時間を長くすることが考えられる。これは、たとえば記録媒体Pの搬送速度を遅くすることで実現可能である。ただし、記録媒体Pへ高速で画像記録を行う場合には、改質処理の時間を短くすることが望まれる。改質処理時間を短くする方法としては、改質装置10を、複数の放電電極18を備えた構成とし、印刷速度および必要なpH値に応じて必要な数の放電電極18を駆動する方法や、各放電電極18に与えるプラズマエネルギーの強度を調整する方法などが考えられる。ただし、これらに限定されるものではなく、これらを組み合わせた方法や、その他の方法など、適宜変更することが可能である。
そこで、本実施の形態による画像形成システム1Bは、複数の放電電極18の各々を個別に制御する複数の電圧印加部16を有した構成とし、制御部200は、たとえば印刷速度情報に比例して、複数の電圧印加部16のうちの駆動する個数を選択してもよいし、1または複数の電圧印加部16へ供給する電圧の電圧値及び周波数を調整してもよいし、これらの制御を組み合わせて実行してもよい。すなわち、制御部200は、第1の実施の形態で制御部20が放電幅に応じて算出した電圧値及び周波数を、更に、印刷速度情報に比例して調整してもよい。なお、印刷速度情報とは、印刷モード(カラー印刷およびモノクロ印刷や解像度等)などの情報であってもよいし、このような情報から導き出された記録媒体Pの搬送速度やスループットなどの情報であってもよい。
また、インクに含まれる着色剤がドット内で凝集する挙動や、ビヒクルの乾燥速度や記録媒体P内への浸透速度は、ドットの大きさ(小滴、中滴、大滴)によって変わる液滴量や、記録媒体Pの種類などによって異なる。そこで、本実施の形態では、改質処理におけるプラズマエネルギーを、記録媒体Pや印刷モード(液滴量)などに応じて最適な値に制御してもよい。
図17に戻り、記録部17Aは、インクジェットヘッドを含む。インクジェットヘッドとしては、複数の同色ヘッド(4色×4ヘッド)を備えてもよい。これにより、インクジェット記録処理の高速化が可能になる。その際、たとえば高速で1200dpiの解像度を達成するためには、インクジェットヘッドにおける各色のヘッドは、インクを吐出するノズルとノズルとの間隔を補正するようにずらして固定されている。さらに、各色のヘッドには、そのノズルから吐出されるインクのドットが大滴/中滴/小滴と呼ばれる3種類の容量に対応するように、いくつかのバリエーションを持った駆動周波数の駆動パルスが入力される。
改質装置10が、複数の放電電極18を備えた構成とすることは、記録媒体Pの表面を均一に酸性化する点においても有効である。すなわち、たとえば同じ搬送速度(または印刷速度)とした場合、1つの放電電極18で改質処理を行う場合よりも複数の放電電極18で改質処理を行う場合の方が、記録媒体Pがプラズマの空間を通過する時間を長くすることが可能となる。その結果、より均一に記録媒体Pの表面に酸性化処理を施すことが可能となる。
また、図18は、本実施の形態にかかるプラズマエネルギーとpH値との関係を示すグラフである。通常、pH値は溶液中で測定するのが一般的であるが、近年では、固体表面のpH値の測定が可能である。その測定器としては、たとえば堀場製作所製のpH値メーターB−211等が存在する。
図18において、実線はコート紙のpH値のプラズマエネルギー依存性を示し、点線はPETフィルムのpH値のプラズマエネルギー依存性を示す。図18に示すように、コート紙と比べてPETフィルムは、少ないプラズマエネルギーで酸性化する。ただし、コート紙においても、酸性化する際のプラズマエネルギーは3J/cm程度以下であった。そして、pH値が5以下となった記録媒体Pにアルカリ性の水性顔料インクを吐出する記録部17Aで画像記録した場合、形成された画像のドットは真円に近い形状となった。また、ドットの合一による顔料の混濁もなく、にじみのない良好な画像が得られた(図13参照)。
そこで、本実施の形態では、上述したように、改質装置10の搬送方向X下流側に、pH値検出部131を設け、記録媒体P表面のpH値に関する情報をpH値検出部131で読み取っても良い。また、読み取ったpH値に関する情報に基づいて改質装置10をフィードバック制御またはフィードフォワード制御することで、記録媒体Pの表面のpH値を所定の値(たとえばpH値=5)以下としても良い。
なお、事前に改質処理後の記録媒体PのpH値が既知である場合には、pH値検出部131を省略してもよい。
<第4の実施の形態>
本実施の形態では、上記第3の実施の形態を先塗り処理と併用した場合の効果について説明する。
図19は、先塗り処理を施した記録媒体Pと改質処理を施した記録媒体Pとのインク付着量に対する画像(ドット)濃度の測定結果を示す図である。先塗り処理とは、上述したように、記録媒体Pの表面に酸性の先塗り剤と呼ばれる処理液を塗布する処理である。なお、図19では、記録媒体Pとして普通紙を用い、インクとして黒色のインクを用いた。図19に示すように、記録媒体Pとして普通紙を用いた場合、改質処理が施された普通紙のドット濃度は、改質処理が何も施されていない普通紙(以下、未処理の普通紙という)に比べて全体的に高めであるものの、先塗り処理が施された普通紙と比較すると、その飽和濃度が低かった。
また、濃度平衡状態になる前のドット濃度(中間調濃度)は、改質処理の方が先塗り処理よりも効率的に上昇している。これは、中間調のドットを形成する場合、同じドット濃度を得るためのインク付着量は、先塗り処理が施された普通紙よりも改質処理が施された普通紙の方が少なくて済むことを示している。具体的には、改質処理が施された普通紙では、未処理の普通紙と比較してインク付着量を1%〜18%低減でき、また、先塗り処理が施された普通紙と比較して15%〜29%低減できた。
改質処理が施された普通紙での飽和濃度が先塗り処理が施された普通紙の飽和濃度よりも低くなる理由としては、先塗り処理が施された普通紙では、セット効果によってドット濃度が高くなるためであると考えられる。すなわち、改質処理を施した普通紙では着弾したドットが広がるため、同じ付着量でも広がった分顔料が分散してピーク濃度が落ちるが、先塗り処理を施した普通紙ではドットが広がり難いため、その分飽和濃度が高くなると考えられる。
以上の結果から、浸透し難い記録媒体Pと浸透し易い記録媒体Pとでは、改質処理と先塗り処理とでそれぞれ異なった効果が得られた。このことから、改質処理と先塗り処理とを併用することで、記録媒体Pの画像形成に対する対応能力を向上させることが可能であることがわかる。また、改質処理と先塗り処理との併用は、たとえば、プラズマエネルギーを改質処理単体の1/20程度、塗布量を先塗り処理単体の約3/5程度に減らすことを可能にする。このことは、低消費エネルギーおよび低塗布量で高画質の印刷物を得られることを意味する。さらに、高いドット濃度を得ることが可能であるため、付着させるインク量を減らすことが可能となる。その結果、印刷コストの更なる削減が可能となる。
さらにまた、図20に示す結果からは、浸透し難い記録媒体Pには改質処理が効果的に作用し、浸透し易い記録媒体Pには先塗り処理が効果的に作用していることが判る。これは、記録媒体Pの性状に応じて改質処理と先塗り処理との実施条件を適宜調整することで、記録媒体Pに対して最適な改質処理を実現することが可能であることを示している。
図20は、改質処理と先塗り処理とを併用したときの浸透し難い記録媒体Pの粒状度を示すグラフである。図20に示すグラフでは、粒状度が低い値ほど良好な画像であることを示している。なお、図20において、破線は、プラズマエネルギーを0J/cmとした場合(すなわち、改質処理を施さなかった場合)の先塗り処理における処理液の塗布量に対する結果を示し、実線は、プラズマエネルギーを0.14J/cmとした場合(すなわち、改質処理と先塗り処理とを併用した場合)の先塗り処理における処理液の塗布量に対する結果を示している。図20に示すように、たとえば粒状度0.5以下を達成するためには、先塗り処理のみでは約0.2mg/cmの塗布量が必要であるのに対し、改質処理との併用では約0.1mg/cmと、およそ半分の塗布量で済むことがわかる。
なお、図20から導き出した上記最適化制御は、記録媒体Pに対するものである。画像の最適化を考えると、実際に印刷して得られた印刷物に基づき最適化制御を行うことがより好ましい。たとえば画像形成システム1Bに反射濃度計を組み込み、記録媒体Pに対して改質処理のエネルギーや先塗り処理の塗布量を連続的に変化させ、基準となる印刷パターンを記録部17Aで印刷し、得られた印刷物の印刷濃度を反射濃度計で測定する。そして、最も高い印刷濃度を得た処理条件を最適条件としてこれを維持するように最適化制御を実行しつつ、インクジェット記録を行う。これにより、短時間で測定や処理条件の変更等が行えるため、画像形成処理のスループットを向上することが可能となる。また、反射濃度計から取り込んだ濃度情報に基づき特定された最適条件をデータベースとして蓄積することも可能となる。
ただし、インクの成分や種類、記録媒体Pの種類が変更された場合、最適条件も変化する可能性がある。その場合、最適条件をインクの成分や種類や記録媒体Pの種類に対応づけて蓄積および管理しておくことで、様々な条件に応じた最適化制御を実現することが可能となる。
さらに、改質処理前に例えば記録媒体Pの電気抵抗を測定して記録媒体Pの厚さや性状をある程度特定しておいた上で、上記の検討を行って最適条件を導き出すことも容易に考えられる。
さらにまた、記録媒体Pがカット紙である場合、改質装置10の排出部と先塗り処理装置の排出部とにそれぞれセンサを設けて各処理の状態を把握し、必要に応じて別の搬送経路を経て再処理を行うように構成してもよい。その場合、制御部200は、センサからの情報に基づき改質装置10および先塗り処理装置の処理条件をそれぞれフィードバック制御またはフィードフォワード制御してもよい。
以上のように、改質処理と先塗り処理との併用処理は、改質処理にかかるエネルギーを減らしつつ画像形成システム1Bの小型化が可能になるとともに、先塗り処理による塗布量を減らしつつ処理液やビヒクルの乾燥時間および乾燥エネルギーを減らすことが可能になる。また、インクの使用量を減らすことも可能になる。さらに、改質処理と先塗り処理との併用処理を実施してインクジェット記録した場合、ドットを真円に近い形状とすることができるとともに、ドットが合一しても顔料が混ざることを防止できるため、にじみの発生の少ない、良好な画像を得ることが可能となる。
従って、上記第1の実施の形態〜第3の実施の形態に、本実施の形態の技術を組み合わせることにより、更に、上記実施の形態と同様の効果が得られると共に、更に画質向上も図ることができる。
また、本実施の形態では、記録媒体Pとして、コート紙のような非浸透、緩浸透紙の場合に、特に効果的に画質向上を図ることができる。
以上、実施の形態を具体的に説明したが、本発明は、上記の実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で様々な変形や変更を加えて具体化することができる。
1A 画像形成装置
1B 画像形成システム
10 改質装置
17A 記録部
18 放電電極
20 制御部
22 有効電極領域
25 対向電極
30 移動部
32 第1検知部
34 第2検知部
特開2011−60737号公報 特開2008−147536号公報

Claims (10)

  1. 第1方向に長い円柱状であり前記第1方向を回転軸として回転可能に支持され、処理対象部材に放電する放電電極と、
    前記放電電極に対向配置され、前記放電電極との対向面側に該第1方向に対して交差する第2方向に向かって前記第1方向の長さが異なる有効電極領域を有する対向電極と、
    前記放電電極と前記対向電極とに電圧を印加する電圧印加部と、
    前記放電電極と前記対向電極との間に形成される放電領域における前記第1方向の放電幅が変化するように、前記対向電極及び前記放電電極の少なくとも一方を前記第2方向または反第2方向に相対的に移動させる移動部と、
    を備えた改質装置。
  2. 前記放電電極は、前記処理対象部材に接触して放電する、請求項1に記載の改質装置。
  3. 前記対向電極は、前記第1方向の長さが前記第2方向に向かって連続的または段階的に異なる前記有効電極領域を有する、請求項1に記載の改質装置。
  4. 前記対向電極は、板面が前記放電電極と前記対向電極との対向方向に交差する方向に対して平行な板状である、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の改質装置。
  5. 前記放電幅が小さいほど電圧値及び周波数の少なくとも一方の低い前記電圧を前記放電電極と前記対向電極とに印加するように、前記電圧印加部を制御する制御部を備えた、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の改質装置。
  6. 前記処理対象部材における前記第1方向の媒体幅を検知する第1検知部を備え、
    前記制御部は、前記放電幅が前記媒体幅となるように、前記移動部を制御する、
    請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の改質装置。
  7. 前記処理対象部材上の改質対象領域における前記第1方向の放電対象領域幅を検知する第2検知部を備え、
    前記制御部は、前記第2検知部で検知された前記放電対象領域幅が前記第1検知部で検知された前記媒体幅より小さいときに、該放電対象領域幅を媒体幅として、前記放電幅が該媒体幅となるように前記移動部を制御する、
    請求項6に記載の改質装置。
  8. 請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の改質装置と、
    画像を形成する記録部と、
    を備えた画像形成装置。
  9. 請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の改質装置と、
    前記改質装置によって改質された処理対象部材にインクを吐出して画像を記録する記録部と、
    を備えることを特徴とする画像形成システム。
  10. 処理対象部材にインクを吐出することにより画像形成された印刷物を製造するための製造方法であって、
    請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の改質装置によって前記処理対象部材を改質するステップと、
    改質された前記処理対象部材に、インクを吐出して画像を形成するステップと、
    を含む印刷物の製造方法。
JP2013234340A 2013-11-12 2013-11-12 改質装置、画像形成装置、画像形成システム、及び印刷物の製造方法 Pending JP2015093248A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013234340A JP2015093248A (ja) 2013-11-12 2013-11-12 改質装置、画像形成装置、画像形成システム、及び印刷物の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013234340A JP2015093248A (ja) 2013-11-12 2013-11-12 改質装置、画像形成装置、画像形成システム、及び印刷物の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2015093248A true JP2015093248A (ja) 2015-05-18

Family

ID=53196034

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013234340A Pending JP2015093248A (ja) 2013-11-12 2013-11-12 改質装置、画像形成装置、画像形成システム、及び印刷物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2015093248A (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000312822A (ja) * 1999-03-04 2000-11-14 Sharp Corp プラズマ処理方法およびプラズマ処理装置
JP2008147106A (ja) * 2006-12-13 2008-06-26 Seiko Epson Corp プラズマ処理装置
JP2008147536A (ja) * 2006-12-13 2008-06-26 Seiko Epson Corp プラズマ処理装置
JP2011060737A (ja) * 2009-09-14 2011-03-24 Tohoku Ricoh Co Ltd 改質装置、後処理装置及び画像形成装置
JP2013107270A (ja) * 2011-11-21 2013-06-06 Seiko Epson Corp 表面処理装置、及び、画像記録装置

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000312822A (ja) * 1999-03-04 2000-11-14 Sharp Corp プラズマ処理方法およびプラズマ処理装置
JP2008147106A (ja) * 2006-12-13 2008-06-26 Seiko Epson Corp プラズマ処理装置
JP2008147536A (ja) * 2006-12-13 2008-06-26 Seiko Epson Corp プラズマ処理装置
JP2011060737A (ja) * 2009-09-14 2011-03-24 Tohoku Ricoh Co Ltd 改質装置、後処理装置及び画像形成装置
JP2013107270A (ja) * 2011-11-21 2013-06-06 Seiko Epson Corp 表面処理装置、及び、画像記録装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6592877B2 (ja) 印刷装置、印刷システムおよび印刷物の製造方法
JP6435896B2 (ja) 被処理物改質装置、印刷装置、印刷システムおよび印刷物の製造方法
JP6497004B2 (ja) 印刷装置、印刷システムおよび印刷物の製造方法
JP6375868B2 (ja) 画像形成装置、画像形成システムおよび印刷物の生産方法
JP6487618B2 (ja) 印刷装置、印刷システムおよび印刷物の製造方法
JP6476928B2 (ja) 印刷装置、印刷システム、および印刷物の製造方法
JP6476939B2 (ja) 被処理物改質装置、印刷装置、印刷システムおよび印刷物の製造方法
US9586413B2 (en) Treatment-object modifying device, printing apparatus, printing system, and method of manufacturing print
JP2014133406A (ja) 印刷装置、被処理物改質装置、印刷システムおよび印刷物の製造方法
JP2015180529A (ja) プラズマ処理装置、印刷装置、印刷システム、プログラムおよび印刷物の製造方法
JP6503655B2 (ja) 被処理物改質装置、印刷装置、印刷システムおよび印刷物の製造方法
JP6451129B2 (ja) プラズマ処理装置、印刷装置、印刷システムおよび印刷物の製造方法
JP2015060672A (ja) 改質装置、画像形成装置、画像形成システム、及び印刷物の製造方法
JP2016163998A (ja) 印刷装置、印刷システムおよび印刷物の製造方法
JP6331301B2 (ja) 被処理物改質装置、印刷装置、印刷システム、被処理物改質システムおよび被処理物改質方法
JP2015193217A (ja) 印刷装置、印刷システム、印刷物の製造方法、およびプログラム
JP2015093248A (ja) 改質装置、画像形成装置、画像形成システム、及び印刷物の製造方法
JP6402614B2 (ja) 被処理物改質装置、画像形成装置、画像形成システム、および改質方法
JP2016120709A (ja) 印刷装置、印刷システム、および印刷方法
JP6311242B2 (ja) 印刷装置、印刷システムおよび印刷物の製造方法
JP2015085527A (ja) 改質装置、画像形成装置、画像形成システム、及び印刷物の製造方法
JP6476786B2 (ja) 媒体改質装置、画像形成装置、画像形成システム、媒体改質方法及び媒体改質プログラム
JP2016097572A (ja) 媒体改質装置、画像形成装置、画像形成システム、媒体改質方法、媒体改質プログラム
JP2016131936A (ja) 被処理物改質装置、画像形成装置及び画像形成システム
JP2015106492A (ja) プラズマ処理装置、印刷装置、印刷システムおよび印刷物の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20161021

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170712

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170718

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20180306