JP2015092131A - 太陽光モジュールの冷却装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】冷却装置によって太陽光モジュールの温度を降下することにより、出力効率以外にも性能を高め寿命も延長することのできる手段を備えた太陽光モジュールの冷却装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】冷却装置10を備えた太陽光モジュール30は、多数の太陽電池32が直列や並列に接続されて設けられる太陽光モジュール30と、所定の高さを有し、縁部にフランジ13aが設けられて太陽光モジュール30の背面に面接触して取り付けられる上板11と、板状に縁部にフランジ13bが設けられて上板11のフランジ13aと接合することにより上板11との間に内部空間17を形成する下板12と、その内部空間17に注入されて沸騰と凝縮によって冷却作用をする作動流体とからなる冷却チャンバー10と、冷却チャンバー10の下板に面接触して熱を外部へ放出するヒートシンク40と、を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、冷却装置を備えた太陽光モジュール及びその冷却装置の製造方法に関し、詳しくは、冷却装置によって太陽光モジュールの温度を降下させることにより、出力効率以外にも性能を高めかつ寿命を延長することのできる冷却装置を備えた太陽光モジュール及びその製造方法に関する。
太陽電池は、半導体の性質を用いて太陽光(photons)を電気エネルギーに変換する電池であって、エネルギー資源が豊富で環境汚染に対する問題点がないため、石油や石炭などの既存の枯渇性エネルギー資源を代替する代替エネルギーとして注目を浴びている。
このような太陽電池は太陽光を用いて電気を起こす最小単位である。太陽光モジュールは、適切な電圧と電流を得るために多数の太陽電池を直列や並列に接続した後、外部環境から保護するために充填剤、ガラスなどと共に圧縮することによりモジュールの形に製作され、太陽光をたくさん受けることができるように北半球では南の空に向かって傾設される。
ところが、太陽電池の変換効率は10〜20%であり、変換効率に劣る大きい理由は太陽電池が全ての光を電気に変換することができないためである。これにより、電気エネルギーに変換していない光エネルギーが熱に変換されて(これによる損失が全体損失の60%程度を占める)太陽光モジュールの温度が上昇する。
太陽光モジュールは、太陽電池の特性上、太陽光モジュールの温度上昇に伴って出力が低下するので、25℃における発電効率を100%にすると、温度が1℃上昇するたびに0.45〜0.55%の出力が減少する。
すなわち、太陽電池の温度と電圧は互いに反比例する特性があるから、温度が上昇すると電圧が降下して発電出力が低下し、これにより暑い夏季の発電出力が日射量に比べて下がる。
また、この温度上昇によって太陽電池が劣化するから、太陽電池モジュールは時間の経過に伴って発電出力が減少する。
これを防止するために、芝生を植えるか或いは距離を離隔させて自然風による空冷式を適用して温度を降下させているが、その温度降下効果が微々たる実情である。
また、冷却ファンなどの装備による強制冷却技術によって温度を降下させることはできるが、この冷却技術は、電気の使用による費用が発生し、装備の運営及び管理のための人員が必要であって、温度降下により得られる効果が所要費用に比べてあまり低いため現実化が困難であるという問題点があった。
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたもので、その課題は、太陽光モジュールの非受光面である背面に、沸騰と凝縮により冷却する作動流体が密封された冷却チャンバーを面接触することにより、冷却効率を向上させて温度をさらに降下させることができ、出力効率を高めることができるうえ、太陽電池の劣化を防止して性能を高めかつ寿命を延長させることができる、冷却装置を備えた太陽光モジュール及びその冷却装置の製造方法を提供することである。
また、本発明の他の課題は、冷却チャンバーの上下中間に作動流体を貯留することができるように貯水槽を設け、作動流体を冷却チャンバー内の全部位に均一に供給することにより、太陽光モジュールで発生する熱を効率よく冷却させることができ、これにより太陽光モジュールの寿命をさらに増やすことができる、冷却装置を備えた太陽光モジュール及びその冷却装置の製造方法を提供することである。
上記課題を達成するために、本発明の冷却装置を備えた太陽光モジュールは、多数の太陽電池が直列や並列に接続されてなる太陽光モジュールと;所定の高さを有し、縁部にフランジが設けられて太陽光モジュールの背面に面接触するように取り付けられる上板と、板状に縁部にフランジが設けられて前記上板のフランジと接合することにより上板との間に内部空間を形成する下板と、内部空間に注入されて沸騰と凝縮により冷却作用をする作動流体とからなる冷却チャンバーと;冷却チャンバーの下板に面接触して熱を外部へ放出するヒートシンクと;を備える。
また、本発明の冷却装置を備えた太陽光モジュールは、太陽光モジュールの非受光面である背面に取り付けられ、上板と下板によって形成される内部空間に、沸騰と凝縮によって冷却する作動流体が密封される冷却チャンバーと、冷却チャンバーに面接触して熱を外部へ放出するヒートシンクとからなる冷却装置を備えた太陽光モジュールにおいて、作動流体が沸騰と凝縮によって下板を向かって流下する場合、作動流体を貯留することができるように冷却チャンバーの長手方向に前記下板に設けられる多数の貯水槽と、作動流体を吸収して含有することができるように前記上板の下部に備えられるウィックとから構成されることを特徴とする。
また、本発明の太陽光モジュールの冷却装置の製造方法は、ドローイング加工によって所定の高さとフランジを有する上板または/及び下板を製造する工程と、前記上板と前記下板に、互いに対応する陥没部を加圧によって所定の間隔をおいて形成するとともに、前記上板と前記下板に、剛性を補強するための補強リブを長手方向に形成する工程と、作動流体を注入することができるように前記下板に注入口を設ける工程と、陥没部とフランジを溶接などによって接合して前記上板と前記下板とを接合する工程と、前記下板の注入口を介して作動流体を注入し、空気を抜き出して真空状態にした後、注入口を密封する工程とを有することを特徴とする。
本発明によれば、冷却チャンバーとの接触面積の極大化により冷却効率を向上させて温度をさらに降下させることができ、これにより太陽電池モジュールの出力効率を高めることができる。
また、太陽電池モジュールの温度降下により太陽電池の劣化を防止することにより、性能を高めかつ寿命を延長することができる。
また、作動流体を冷却チャンバー内の全部位に均一に供給し、作動流体の沸騰と凝縮を円滑にすることにより、太陽光モジュールで発生する熱をさらに効率よく冷却させることができ、これにより太陽光モジュールの寿命をさらに増やすことができる。
本発明の第1実施例に係る冷却装置の一部切開斜視図 図1に示した冷却装置の設置例を示す断面図 本発明の第2実施例に係る冷却装置の一部切開斜視図 図3に示した冷却装置の設置例を示す断面図 本発明に係る冷却装置の製造工程図 本発明の第3実施例に係る冷却装置の概略構造図 本発明の第3実施例に係る冷却チャンバーの下板とヒートシンクとの結合斜視図 図7のA−Aに沿った冷却装置の断面図 図7のB−Bに沿った冷却装置の断面図 図8に示した冷却装置の設置断面図
以下に図面を基に、本発明の実施例について構成及び作用を説明する。
図1は本発明の第1実施例に係る冷却装置の一部切開斜視図である。図2は図1に示した冷却装置の設置例を示す断面図である。
図面において、太陽光モジュール30が在る側を上部とし、その反対側を下部とする。
図示のように、冷却チャンバー10は、太陽光モジュール30の背面に接触する上板11と、ヒートシンク40に接触する下板12とからなり、沸騰と凝縮によって冷却をする作動流体が冷却チャンバー10の内部に注入された状態で密封される。
この際、下板12は平らな平板、その縁部はフランジ13bからなる。
上板11は、下板12と同様の板状材料をドローイング加工することにより下側に折り曲げられて所定の高さを有し、端部(縁部)は外側に折り曲げられてフランジ13aを形成する。
冷却チャンバー10は、作動流体の沸騰と凝縮によって冷却作用をするものであればヒートパイプであってもよく、熱サイフォンであってもよい。
上板11と下板12はSUS素材からなり、上板11のフランジ13aと下板12のフランジ13bとが溶接またはろう付けによって接合されることにより、上板11と下板12との間には作動流体の収容される内部空間17が形成される。
フランジ13a、13bは、上板11と下板12とを接合するとともに、ヒートシンク40との締結の際にヒートシンク40と直接締結される。
フランジ13a、13b部位の溶接方法としては、フランジ13a、13b部位を互いに重ね合わせて圧力を加えながら電流を流して接合部に沿って溶接するシーム(seam)溶接、両電極に溶接すべきフランジ13a、13bをそれぞれ連結した後、それらを突き当てて押し付ける突き当て溶接がある。
上板11と下板12の所定の位置は、互いに向かい合うように内側に加圧されて多数の陥没部14a、14bが上板11と下板12に対応するように設けられるが、ここでは長手方向に離隔して配設される。
対応する陥没部14a、14bは溶接によって互いに接合される。この陥没部14a、14bの接合によって、内部空間17が真空状態となっても上板11と下板12が内側に縮まることなく本来形状を保つ。
陥没部14a、14b間の溶接方法としては、陥没部14a、14bを互いに重ね合わせて電流を加えて温度を上げた後、圧力を加えて点状に溶接するスポット溶接がある。
上板11と下板12に剛性を与えてな内側または外側に撓むことを防止するために、補強リブ15a、15bが長手方向に沿って長く設けられるので、この補強リブ15a、15bは作動流体の流れを誘導するガイドの役割を兼ねる。
上板11と下板12との間の内部空間17には作動流体が注入される。この作動流体の注入のために、下板12にはCuまたはSUS素材の注入口16が設けられる。
この注入口16を介して所定量の作動流体を内部空間17に注入し、空気を抜き出して内部空間17を真空状態にした後、注入口16を両側から押して密封する。
注入口16をヒートシンク40と接する下板12に設ける理由は、上板11と下板12からなる冷却チャンバー10の高さが約5mmと低いため、側面に注入口16を設けることが難しいためである。
このような構成において、上板11と下板とが接合され、その内部に作動流体が注入された状態で真空密封されることにより、冷却チャンバー10が製造される。
この際、上板11の陥没部14aと下板12の陥没部14bとが所定の間隔で接合されており、冷却チャンバー10の内部が真空状態となっても、内側に縮まることなくその形状がそのまま保たれて変形するおそれがない。
このように製作された冷却チャンバー10を上板11が太陽光モジュール30の背面に接触するように取り付け、結合部材50によって上板11及び下板12のフランジ13a、13bをヒートシンク40と結合することにより、ヒートシンク40を冷却チャンバー10の下板12に取り付ける。
この際、太陽光モジュール30と冷却チャンバー10は熱伝導性接着剤を用いて取り付けてもよく、ボルトとナットとのボルト締め作業によって取り付けてもよい。
冷却チャンバー10とヒートシンク40は、図4に示すように、クリップ42を用いてスライド式で結合してもよい。
また、冷却チャンバー10の上板11は太陽光モジュール30の背面に全面接触し、ヒートシンク40は冷却チャンバー10の全面または一部に面接触するが、一部が面接触する場合には太陽光モジュールが傾設される際に冷却チャンバー10の傾いた上部に位置するようにする。
太陽光モジュール30を、太陽光をたくさん受けることができるように南の空を向かって傾設した状態で必要な電力を得ようとする場合、太陽光モジュール30を構成する太陽電池32は太陽光を受けて電気エネルギーに変換して電圧を発生し、各太陽電池32から発生した電圧は集められて太陽光モジュール30の外部へ出力される。
この際、太陽電池32は太陽光を全て電気エネルギーに変換することができないため、電気エネルギーを変換していない光エネルギーは熱エネルギーに変換されて太陽光モジュール30の温度が上昇する。
太陽光モジュール30の熱は太陽光モジュール30の背面と面接触した上板11を介して冷却チャンバー10の作動流体に伝達され、作動流体は熱によって蒸発して蒸気状態で傾くように上昇する。この際、上昇した蒸気はヒートシンク40または大気に熱を伝達して凝縮しながら冷却を行う。
この凝縮した液体は、重力によって冷却チャンバー10の傾いた内部表面に沿って下部へ移動し、その反復により太陽光モジュール30からの発生熱を冷却する。
この際、上板11と下板12は、作動流体の沸騰と凝縮によって外側または内側に撓むおそれがあるが、長手方向に設けられた補強リブ15a、15bによって撓みが防止される。この補強リブ15a、15bは作動流体の流れを誘導するガイドの役目を兼ねる。
このように上板11と下板12がドローイング加工されて太陽光モジュール30の背面とヒートシンク40に面接触するため、接触面積、すなわち熱伝達面積が広くて冷却効率を高めることができ、太陽電池モジュール30の温度上昇抑制により太陽電池32の劣化を防止して性能を高めかつ寿命を延長することができる。
冷却チャンバー10とヒートシンク40で熱が十分に冷却しない場合には、ヒートシンク40に冷却ファンを取り付けてヒートシンク40の放熱フィン44の間に人工的に風を供給することにより冷却効率を高めることができる。
また、冷却チャンバー10に直接熱素子を取り付けて熱電素子に電流を供給することにより、冷却効率を高めることができる。
また、熱電素子は、N型半導体素子とP型半導体素子を金属板によって接続させたペルティエ素子であって、このような熱電素子に電源を供給すると、第1接触金属板を介してN型半導体素子へ電流が伝達された後、連結金属板とP型半導体素子を介して第2接触金属板へ電流が流れることにより、第1及び第2接触金属板では発熱現象が発生し、連結金属板では吸熱現象が発生する。
図3は本発明の第2実施例に係る冷却装置の一部切開斜視図、図4は図3に示した冷却装置の設置例を示す断面図である。
図示のように、冷却チャンバー20は、太陽光モジュール30の背面に接触する上板21と、ヒートシンク40に接触する下板22とからなり、沸騰と凝縮によって冷却作用をする作動流体が冷却チャンバー20の内部に注入された状態で密封される。
この際、上板21と下板22は、板状の材料をドローイング加工することにより、互いに向かって内側に折り曲げられて所定の高さを有し、端部は外側に折り曲げられてフランジ23a、23bを形成する。
冷却チャンバー20は、作動流体の沸騰と凝縮によって冷却作用をするものであればヒートパイプであってもよく、熱サイフォンであってもよい。
上板21と下板22はSUS素材からなり、上板21と下板22のフランジ23a、23b部位が溶接またはろう付けによって接着され、上板21と下板22との間には作動流体の収容される内部空間27が形成される。
上板21と下板22の所定の位置では、互いに向かって内側に加圧されて多数の陥没部24a、24bが上板21と下板22に互いに対応するように設けられるが、ここでは長手方向に離隔して配設される。
対応する陥没部24a、24bは溶接によって互いに接合される。この陥没部24a、24bの相互接合によって、内部空間27が真空状態となっても、上板21と下板22が内側に縮まることなくその形状を保つ。
上板21と下板22に剛性を与えて内側または外側に撓むのを防止するために、補強リブ25a、25bが長手方向に沿って長く設けられるので、この補強リブ25a、25bは作動流体の流れを誘導するガイドの役目を兼ねる。
上板21と下板22との間の内部空間27には作動流体が所定量注入されるので、この作動流体の注入のために、下板22にはCuまたはSUS素材の注入口26が設けられる。
この注入口26を介して所定量の作動流体を内部空間27に注入し、空気を抜き出して内部空間27を真空状態にした後、注入口26を両側から押して密封する。
このような構成において、上板21と下板22とが接合され、その内部空間27に作動流体が注入された状態で真空密封されることにより、冷却チャンバー20が完成される。
この際、上板21の陥没部24aと下板22の陥没部24bとが所定の間隔で接合されており、冷却チャンバー20の内部が真空状態となっても、内側に縮まることなくその形状がそのまま保たれて変形するおそれがない。
このように製作された冷却チャンバー20を上板21が太陽光モジュール30の背面に接触するように取り付け、ヒートシンク40に弾性をもつように設けられたクリップ42を上板21及び下板22のフランジ23a、23b部位に嵌合してヒートシンク40を冷却チャンバー20の下板22に取り付ける。
このようにヒートシンク40のクリップ42が上板21と下板22のフランジ23a、23bに嵌合される方式で簡単に締結することができる。
また、太陽光モジュール30と冷却チャンバー20は、熱伝導性接着剤を用いて取り付けてもよく、ボルトとナットとのボルト締め作業によって取り付けてもよい。
また、冷却チャンバー10の上板11は太陽光モジュール30の背面に全面接触し、ヒートシンク40は冷却チャンバー10の全面または一部に面接触するが、一部が面接触する場合には太陽光モジュールが傾設される際に冷却チャンバー10の傾いた上部に位置するようにする。
このように設置された冷却装置の作用及び効果は図1及び図2に示すとおりであり、冷却が足りない場合に冷却ファンまたは熱電素子を取り付ける技術も前述したことがあるので、ここでは詳細な説明を略する。
図5は本発明に係る冷却装置の製造工程図である。
図示のように、ドローイング加工によって所定の高さとフランジを有する上板または/及び下板を製造する(S502)。
上板と下板に、互いに対応する陥没部を加圧によって所定の間隔をおいて形成し、上板と下板に、剛性を補強するための補強リブを長手方向に形成する(S504)。
この際、上板の陥没部は、下板の陥没部の大きさより小さくして太陽光モジュールとの接触面積を減らすことにより、冷却しない部分を最小化する。
陥没部と補強リブを有する下板に、作動流体を注入することができるように注入口を設ける(S506)。
その後、互いに対応する陥没部とフランジを溶接などによって接合して上板と下板とを接合する(S508)。
冷却チャンバーの注入口を介して、沸騰と凝縮により冷却作用をする作動流体を所定量注入した後(S510)、空気を抜き出して真空状態にし、しかる後に、注入口の両側を押して注入口を密封することにより、冷却チャンバーを製造する(S512)。
図6は本発明の第3実施例に係る冷却装置の概略構造図であって、冷却チャンバーがヒートパイプからなる場合の構造図である。
図示のように、ヒートパイプ60の上板61を、太陽光モジュール(図示せず)が取り付けられる取付部61aと、その取付部61aから延長される放熱部61bとから構成し、取付部61aの内側には毛細管構造のウィック(wick)64を備え、下板62の内側にはウィック64を支持することができるように支持突起63を所定の間隔で突設する。
すなわち、上板61と下板62との間の内部空間65において、上板61のウィック64が下板62の支持突起63によって支持される構造をもつ。
上板61の放熱部61aと対応する下板62の外側にはヒートシンク40を取り付けて放熱することができるようにする。
上述した構造において、作動流体は内部空間65の下部(放熱部61bの反対側)とウィック64に含有された状態で位置し、太陽光モジュールの熱によって、ウィック64に含有された作動流体または内部空間の下部が蒸発して蒸気状態で上昇し、この際、上昇した蒸気はヒートシンク40または大気に熱を伝達して凝縮しながら冷却をする。
この凝縮した液体はウィック64に沿って下降しながら熱によって少しずつ蒸発する。
図7は本発明の第4実施例に係る冷却チャンバーの下板とヒートシンクとの結合斜視図、図8及び図9は図7のA−AとB−Bに沿った冷却装置を示す断面図、図10は図8に示した冷却装置の設置断面図である。
まず、本発明の理解を助けるために、太陽光モジュール90が在る側を上部とし、その反対側を下部とする。
図示のように、冷却チャンバー70は、太陽光モジュール90の背面に接触する上板71と、ヒートシンク100が接触する下板72とからなり、冷却チャンバー70の内部に、沸騰と凝縮により冷却作用をする作動流体が注入された状態で密封される。
この際、上板71と下板72は、板状の材料をドローイング加工することにより互いに向かって折り曲げられて所定の高さを有し、上板71と下板72の外側端部は外側に折り曲げられてフランジ73を形成する。
ドローイング加工の際に、下板72には、受け台78と側壁79を有する貯水突起74が上板71側へ突出して作動流体を貯留する多数の貯水槽75が長手方向に設けられる。
また、貯水突起74を別途に設けて下板72に溶接またはボンディングによって接合することにより、貯水槽75を長手方向に多数設けてもよい。
この際、下板72に沿って流下する作動流体を貯水槽75に貯留されるように案内するガイド82を、貯水突起74の左側または右側の側壁79に連結されるように交互に傾設することにより、下板72に沿って流下する作動流体のロスを減らす。また、貯水槽75間の長手方向の間隔を5〜10cmにすることが、毛細管現象による作動流体の上昇高さが略15cmであることを考慮に入れば好ましい。
また、貯水突起74の両側壁79のうち一方の側壁79の長さを短くして作動流体が短い長さの側壁79に乗り越えてその下部の貯水槽7へ流れ込むことができるようにする。
また、貯水突起74の受け台78及び受け台18に連結される側壁79部位に凹溝78aを設け、凹溝78aを介して作動流体が流れるようにして、凹溝78aが設けられた貯水突起74の下部において毛細管現象が起こるようにすることが好ましい。
また、冷却チャンバー70が真空によって内側に縮まるのを防止するために、下板72に所定長さの多数の補強リブ90を長手方向に離隔して設ける。
この際、補強リブ90と側壁79の長さを異にして補強リブ90と側壁79によって水平方向に貫通するとき、冷却チャンバー70の内部に係止が発生するようにブランクが形成されてはならない。
冷却チャンバー70が熱によって外側に膨れ出すのを防止するために、下板72に所定の間隔で接合突起83を突設し、接合突起83と上板71とをスポット溶接で接合する。
一方、上板71の下部には、作動流体を吸収して含有することができるようにウィック76が備えられることにより、上板71に作動流体が持続的に供給される。
ウィック76は上板71の下面縁部にボンディングによって取り付けられて上板71に接触してもよく、下板72の両側縁部に沿って設けられたウィック支持台81に支持されて上板71に接触してもよい。
この際、接合突起83が突設された部位のウィック76には、接合突起83が貫通して上板71に接合することができるようにホールが設けられる。
また、ウィック76と貯水突起74との間には格子状に絡み合った支持網(図示せず)を当てて、ウィック76が上板71から離れないように防止することが好ましい。
本発明において、ウィック76は、焼結によって空隙を形成したステンレスシート、すなわち溶融点以下の温度区間で小さいステンレス粉末粒子を加熱/加圧して空隙を形成したステンレスシートであってもよい。
また、ウィック76は、ステンレスメッシュまたはプラスチックメッシュであってもよいが、プラスチックメッシュがステンレスシートまたはステンレスメッシュに比べて低廉である。
特に、プラスチックメッシュは、厚さが0.5〜0.9mmの場合に1インチあたりのメッシュ数(Mesh Number(#/inch))が120〜300であり、2〜5枚が重なり合うときに毛細管現象が最も活発である。
冷却チャンバー70は、作動流体の沸騰と凝縮により冷却作動をするものであればヒートパイプであってもよく、熱サイフォンであってもよい。
上板71と下板72はSUS素材からなり、上板71のフランジ73と下板72のフランジ73とが溶接またはろう付けによって互いに接合される。この際、上板71と下板72の接合突起83もスポット溶接によって接合されて上板71と下板72との間に内部空間77が設けられる。その内部空間77には作動流体が所定量注入されて真空状態で密封される。
このように上板71と下板72とが接合され、その内部空間77に作動流体が注入された状態で真空密封されることにより、冷却チャンバー70が完成される。
この際、補強リブ80によって真空による上板71と下板72の収縮が防止され、接合突起83によって熱による上板71と下板72の膨張が防止され、特に補強リブ80と側壁79によって冷却チャンバー70の内部に水平方向にブランクが形成されないため、真空による上板71と下板72の収縮をさらに効果的に防止することができる。
このように製作された冷却チャンバー70の下板72に多数の冷却フィン104が設けられたヒートシンク100を取り付けて冷却装置を製造し、上板71を太陽光モジュール90の背面に取り付けて太陽を向かうように傾設する。
この際、太陽光モジュール90と冷却チャンバー70は、熱伝導性接着剤を用いて取り付けてもよく、ボルトとナットのボルト締め作業によって取り付けてもよい。
また、冷却チャンバー70の上板71は太陽光モジュール90の背面に全面接触し、ヒートシンク100は冷却チャンバー70の一部に面接触する。
上述した構成において、太陽光モジュール90を傾設した状態で必要な電力を得ようとする場合、太陽光モジュール90を構成する太陽電池92は、太陽光を受けて電気エネルギーに変換して電圧を発生し、各太陽電池92で発生した電圧は集められて太陽光モジュール90の外部へ出力される。
この際、太陽電池92は太陽光を全て電気エネルギーに変換することができないため、電気エネルギーを変換していない光エネルギーは熱エネルギーに変換されて太陽光モジュール90の温度が上昇してしまう。
太陽光モジュール90の熱は太陽光モジュール90の背面と面接触した上板71を介して冷却チャンバー70の作動流体に伝達され、貯水槽75または冷却チャンバー70の下部または毛細管現象によって、ウィック76に含有された作動流体は熱によって蒸発して蒸気状態で上昇する。この際、上昇した蒸気はヒートシンク100または大気に熱を伝達して凝縮しながら冷却を行う。
この凝縮した液体は重力によって冷却チャンバー70の内側面、すなわち下板71に沿って下方に移動しながら、一部はガイド82の案内によって各貯水槽75に貯留され、残りは冷却チャンバー70の下方に流下して集められる。
また、貯水槽75にある作動流体が短い長さの側壁79を乗り越えてその下部の貯水槽75に貯留され、受け台78、または受け台78に連結された側壁79部位に設けられた凹溝78aを介して作動流体が下部に流下しながら毛細管現象によってウィック76に含有される。
このような作動流体の反復循環により、太陽光モジュール90で発生する熱を冷却する。
上述したように、冷却チャンバー70の中間に作動流体を貯留することが可能な貯水槽75を設け、上板71の下方にプラスチックメッシュのウィック76を備え、冷却チャンバー70内におけるドライアウト現象を除去することにより、作動流体を冷却チャンバー70内の全部位に均一に供給することができる。
また、これにより作動流体の沸騰と凝縮を円滑にすることにより、冷却効率を高めることができ、太陽光モジュール90の温度上昇抑制により太陽電池92の劣化を防止して寿命を延長することができる。

Claims (16)

  1. 上板と下板を備え、上板及び下板によって形成される内部空間に、沸騰と凝縮により冷却作用をする作動流体を含む冷却チャンバーと、
    冷却チャンバーに面接触して熱を外部へ放出するヒートシンクと、
    下板に多数設けられ作動流体を貯留する貯水槽と、
    上板に備えられ作動流体を吸収するウィックと、を備える
    ことを特徴とする太陽光モジュールの冷却装置。
  2. 貯水槽が、上板側へ突出した貯水突起を備える
    請求項1に記載の太陽光モジュールの冷却装置。
  3. 貯水槽が、作動流体を貯水槽へ案内するガイドを備える
    請求項2に記載の太陽光モジュールの冷却装置。
  4. 貯水突起が、受け台または側壁で構成される
    請求項2または3に記載の太陽光モジュールの冷却装置。
  5. ガイドが作動流体を貯水槽へ案内するために、作動流体が流れる方向に側壁に傾いて連結された
    請求項4に記載の太陽光モジュールの冷却装置。
  6. 冷却チャンバーが真空によって内側に変形するのを防止するために、下板に所定の長さで離隔するように多数設けられた補強リブを備える
    請求項2または3に記載の太陽光モジュールの冷却装置。
  7. 補強リブと側壁が互いに異なる長さをもつ
    請求項6に記載の太陽光モジュールの冷却装置。
  8. 下板が、冷却チャンバーが熱によって膨張するのを防止するために、多数の接合突起を備える
    請求項2または3に記載の太陽光モジュールの冷却装置。
  9. 貯水槽が、冷却チャンバーの長手方向に5〜10cmの間隔で設けられた
    請求項2または3に記載の太陽光モジュールの冷却装置。
  10. ウィックが、ステンレスメッシュ、プラスチックメッシュ、焼結によって空隙を形成したステンレスシートのいずれか一つである
    請求項1に記載の太陽光モジュールの冷却装置。
  11. ウィックが、厚さ0.5〜0.9mmのプラスチックメッシュが2〜5枚重なり合っている
    請求項1に記載の太陽光モジュールの冷却装置。
  12. プラスチックメッシュの1インチあたりのメッシュ数が120〜300である
    請求項11に記載の太陽光モジュールの冷却装置。
  13. ウィックが、上板の下面縁部にボンディングによって取り付けられるか、或いは、下板の両側縁部に沿って所定の間隔で設けられたウィック支持台に支持される
    請求項1に記載の太陽光モジュールの冷却装置。
  14. ウィックと貯水突起との間に、ウィックの離れを防止する支持網を備える
    請求項2に記載の太陽光モジュールの冷却装置。
  15. 側壁が貯水槽の左側及び右側に位置し、左側の側壁及び右側の側壁が互いに異なる長さをもつ
    請求項4に記載の太陽光モジュールの冷却装置。
  16. 受け台に凹溝が設けられ、凹溝を介して作動流体が流れる
    請求項4に記載の太陽光モジュールの冷却装置。
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