JP2015091637A - 加飾シート及び加飾樹脂成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
少なくとも、基材層と、表面保護層と、前記表面保護層の表面の一部に形成された複数の盛上部とがこの順に積層されており、
前記表面保護層及び盛上部が、それぞれ、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されてなる、加飾シート。
【選択図】なし
Description
当該盛上部に生じる割れの問題は改善されたものの、折り曲げ加工性が悪く、例えばインサート成形法において、予備成形を行なった後に余分な部分を取り除くトリミングを行なう際に加飾シートに割れが発生しまうなどの総合的な成形性としては問題が残る場合があることが明らかとなった。特許文献2に開示された加飾シートにおいては、アクリル樹脂などによって形成された基材シートの上に、電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化した盛上部が形成されている。本発明者がさらに検討を重ねたところ、当該盛上部の形成過程においては、未硬化の盛上部だけでなく、基材シートにも電離放射線が照射されるため、これにより基材シートが劣化し、加飾シートの成形性が低下していることが明らかとなった。このような状況下、本発明は、表面に複数の盛上部を有する加飾シートであって、成形性に優れた加飾シートを提供することを主な目的とする。
項1. 少なくとも、基材層と、表面保護層と、前記表面保護層の表面の一部に形成された複数の盛上部とがこの順に積層されており、
前記表面保護層及び盛上部が、それぞれ、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されてなる、加飾シート。
項2. 前記各盛上部は、それぞれ、前記加飾シートの積層方向から見た場合の面積が50mm2以下である、項1に記載の加飾シート。
項3.前記盛上部の総面積は、表面保護層の全面の面積に対して、90%以下である、請求項1または2に記載の加飾シート。
項4. 前記盛上部のマルテンス硬度が、10〜120N/mm2の範囲にある、項1〜3のいずれかに記載の加飾シート。
項5. 前記表面保護層の前記電離放射線硬化性樹脂組成物におけるシリコーン成分の含有量が、5質量%以下である、項1〜4のいずれかに記載の加飾シート。
項6. 前記表面保護層の電離放射線硬化性樹脂組成物が、ポリカーボネート(メタ)アクリレートを含む、項1〜5のいずれかに記載の加飾シート。
項7. 前記ポリカーボネート(メタ)アクリレートの重量平均分子量が、5千以上である、項6に記載の加飾シート。
項8. 前記表面保護層の電離放射線硬化性樹脂組成物が、ウレタン(メタ)アクリレートをさらに含む、項6または7に記載の加飾シート。
項9. 前記ポリカーボネート(メタ)アクリレートと、前記ウレタン(メタ)アクリレートとの質量比が、50:50〜99:1の範囲にある、項7に記載の加飾シート。
項10. 前記表面保護層の厚みが、1〜30μm以下である、項1〜9のいずれかに記載の加飾シート。
項11. 前記基材層と前記表面保護層との間に、装飾層をさらに有する、項1〜10のいずれかに記載の加飾シート。
項12. 少なくとも、成形樹脂層と、基材層と、表面保護層と、前記表面保護層の表面の一部に形成された複数の盛上部とがこの順に積層された積層体からなり、
前記表面保護層及び盛上部が、それぞれ、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されてなる、加飾樹脂成形品。
本発明の加飾シートは、少なくとも、基材層と、表面保護層と、当該表面保護層の表面の一部に形成された複数の盛上部とがこの順に積層されており、表面保護層及び盛上部が、それぞれ、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されてなることを特徴とする。本発明の加飾シートにおいては、表面保護層及び盛上部が、それぞれ、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されてなることにより、成形性及び耐傷付き性に優れた加飾シートとすることができる。より具体的には、本発明の加飾シートは、表面保護層と上記の盛上部とが、共に電離放射線硬化性樹脂組成物により形成されていることにより、盛上部を形成する際に照射される電離放射線によっても、表面保護層が劣化し難い。このため、本発明の加飾シートでは、加飾シートの成形時に表面保護層に割れなどが生じ難く、成形性に優れている。さらに、表面保護層と盛上部とが共に電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成された本発明の加飾シートにおいては、耐傷付き性にも優れている。以下、本発明の加飾シートについて詳述する。
本発明の加飾シートは、少なくとも、基材層1と、表面保護層2と、当該表面保護層2の表面の一部に形成された複数の盛上部3とがこの順に積層された積層構造を有する。例えば図1に示されるように、盛上部3は、表面保護層2の表面の一部2aの上に設けられている。表面保護層2の表面上においては、盛上部3が設けられた部分2aと、当該盛上部3が設けられていない部分2bとによって、凹凸形状が形成されている。
必要に応じて、装飾層4を設けてもよい。また、基材層1の色の変化やバラツキを抑制することなどを目的として、基材層1と表面保護層2との間、装飾層4を設ける場合であれば基材層1と装飾層4との間などに、必要に応じて、隠蔽層6を設けてもよい。さらに、加飾シートの成形性や各層の密着性を高めることなどを目的として、基材層1と表面保護層2との間、装飾層4を設ける場合であれば装飾層4と表面保護層2との間などに、必要に応じて、プライマー層5などを設けてもよい。さらに、基材層1の下に、接着層7などを設けてもよい。
[基材層1]
基材層1は、本発明の加飾シートにおいて支持体としての役割を果たす樹脂シート(樹脂フィルム)により形成されている。基材層1に使用される樹脂成分については、特に制限されず、三次元成形性や射出樹脂層との相性等に応じて適宜選定すればよいが、好ましくは、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、具体的には、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(以下「ABS樹脂」と表記することもある);アクリロニトリル−スチレン−アクリル酸エステル樹脂;アクリル樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;塩化ビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタラート(PET)樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ABS樹脂が三次元成形性の観点から好ましい。基材層1を形成する樹脂成分としては、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。また、基材層1は、これら樹脂の単層シートで形成されていてもよく、また同種又は異種樹脂による複層シートで形成されていてもよい。
表面保護層2は、加飾シートの耐傷付き性、耐候性などを高め、さらに後述の盛上部3と共に加飾シートに凹凸形状を付与するために設けられる層である。表面保護層2は、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されてなる。上述の通り、本発明の加飾シートにおいては、表面保護層2及び後述の盛上部3が、共に電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されているため、加飾シートの成形性及び耐傷付き性にも優れている。
表面保護層2の形成に使用される電離放射線硬化性樹脂とは、電離放射線を照射することにより、架橋、硬化する樹脂であり、具体的には、分子中に重合性不飽和結合又はエポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマー、及び/又はモノマーを適宜混合したものが挙げられる。ここで電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味し、通常紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線も含むものである。電離放射線硬化性樹脂の中でも、電子線硬化性樹脂は、無溶剤化が可能であり、光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるため、表面保護層2の形成において好適に使用される。
ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、ポリマー主鎖にカーボネート結合を有し、かつ末端あるいは側鎖に(メタ)アクリレートを有するものであれば、特に制限されない。また、当該(メタ)アクリレートは、架橋、硬化を良好にするという観点から、1分子当たりの官能基の数として、好ましくは2〜6個が挙げられる。ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、末端あるいは側鎖に(メタ)アクリレートを2個以上有する多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレートであることが好ましい。ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
ウレタン(メタ)アクリレートは、ポリマー主鎖にウレタン結合を有し、かつ末端あるいは側鎖に(メタ)アクリレートを有するものであれば、特に制限されない。このようなウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。また、ウレタン(メタ)アクリレートは、架橋、硬化を良好にするという観点から、1分子当たりの官能基の数として、好ましくは2〜12個が挙げられる。ウレタン(メタ)アクリレートは、末端あるいは側鎖に(メタ)アクリレートを2個以上有する多官能ウレタン(メタ)アクリレートであることが好ましい。表面保護層2の形成に使用される電離放射線硬化性樹脂組成物に、上記のポリカーボネート(メタ)アクリレートに加えて、ウレタン(メタ)アクリレートをさらに含んでいてもよい。ウレタン(メタ)アクリレートは、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
盛上部3は、本発明の加飾シートにおいて、表面保護層2の表面の一部に複数形成されており、表面保護層2と盛上部3とにより形成された凹凸形状によって、加飾シートに意匠性を付与している。
装飾層4は、樹脂成形品に装飾性を与える層であり、基材層1と表面保護層2との間などに必要に応じて設けられる。装飾層4は、絵柄を形成していてもよく、ベタであってもよく、これらの組合せであってもよい。装飾層4は、例えば、種々の模様をインキと印刷機を使用して印刷することにより形成される。装飾層4によって形成される模様は、特に制限されず、例えば、木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)等の岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様など挙げられ、これらを複合した寄木、パッチワーク等の模様も挙げられる。これらの模様は、通常の黄色、赤色、青色、及び黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成される他、模様を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷等によっても形成される。
隠蔽層6は、基材層1の色の変化やバラツキを抑制する目的で、基材層1と表面保護層2との間、装飾層4を設ける場合であれば基材層1と装飾層4との間などに、必要に応じて設けられる層である(図示していない)。
本発明の加飾シートは、表面保護層2の延伸部に微細な割れや白化を生じにくくすることなどを目的として、所望により、基材層1と表面保護層2との間、装飾層4を設ける場合には装飾層4と表面保護層2との間などに、プライマー層5を設けてもよい。
[接着層7]
接着層7は、加飾シートと成形樹脂との接着性や密着性を向上させることなどを目的として、基材層1の裏面に必要に応じて設けられる層である。接着層7を形成する樹脂としては、加飾シートと成形樹脂との接着性や密着性を向上させることができるものであれば、特に制限されず、例えば、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂が用いられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アクリル変性ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、熱可塑性ウレタン樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂などが挙げられる。熱可塑性樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等挙げられる。熱硬化性樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の加飾樹脂成形品は、本発明の加飾シートに成形樹脂を一体化させることにより成形されてなるものである。即ち、本発明の加飾樹脂成形品は、少なくとも、成形樹脂層と、基材層と、表面保護層と、表面保護層の表面の一部に形成された複数の盛上部とがこの順に積層された積層体からなり、表面保護層及び盛上部が、それぞれ、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されてなることを特徴とする。本発明の加飾樹脂成形品では、必要に応じて、加飾シートに上述の装飾層4、プライマー層5、隠蔽層6などの少なくとも1層がさらに設けられていてもよい。
本発明の加飾シートを真空成形型により予め立体形状に成形する真空成形工程、
真空成形された加飾シートの余分な部分をトリミングして成形シートを得るトリミング工程、及び
成形シートを射出成形型に挿入し、射出成形型を閉じ、流動状態の樹脂を射出成形型内に射出して樹脂と成形シートを一体化する一体化工程。
本発明の加飾シートを、所定形状の成形面を有する可動金型の当該成形面に対し、加飾シートの基材層の表面が対面するように設置した後、当該加飾シートを加熱、軟化させると共に、可動金型側から真空吸引して、軟化した加飾シートを当該可動金型の成形面に沿って密着させることにより、加飾シートを予備成形する予備成形工程、
成形面に沿って密着された加飾シートを有する可動金型と固定金型とを型締めした後、両金型で形成されるキャビティ内に、流動状態の樹脂を射出、充填して固化させることにより樹脂成形体を形成し、樹脂成形体と加飾シートを積層一体化させる一体化工程、及び
可動金型を固定金型から離間させて、加飾シート全層が積層されてなる樹脂成形体を取り出す取出工程。
これらの熱硬化性樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(盛上部を形成する前の加飾シートの作製)
基材としてのABS樹脂フィルム(厚さ:400μm)上に、塩化ビニル−酢酸ビニル−アクリル系共重合体樹脂を含むインキを用いて、グラビア印刷により装飾層(厚み5μm)を形成した。次に装飾層の上に、プライマー組成物を用いてグラビア印刷によりプライマー層(厚み3μm)を設けた。なお、プライマー組成物は、アクリルポリオール樹脂(重量平均分子量8000)89.9質量部、ポリウレタン樹脂(重量平均分子量6000)10.1質量部、ヘキサメチレンジイソシアネート7質量部を含む組成物である。次に、表1の組成を有する電子線硬化性樹脂を、樹脂組成物の硬化後の厚みが10μmまたは5μmとなるようにバーコートにより塗工し、未硬化の電子線硬化性樹脂からなる表面保護層を形成した。次に、未硬化の表面保護層に対して、加速電圧165kV、照射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射して、電子線硬化性樹脂を硬化させ、基材層/装飾層/プライマー層/表面保護層がこの順に積層された、盛上部を形成する前の加飾シートを得た。盛上部を形成する前の加飾シートについて、以下の試験1を行なった。なお、比較例1については、アクリル樹脂基材(厚み75μm)とABS樹脂フィルム(厚み400μm)の積層フィルムをそのまま試験1に供した。結果を表2に示す。
(盛上部を有する加飾シートの作製)
次に、実施例1〜10で得られた盛上部を有する前の加飾シートの表面保護層上に、表3に記載の紫外線硬化型樹脂GまたはHからなる直径2mmのドット(面積約3mm2)を塗布厚30μmとなるようにスクリーン印刷により印刷し、複数の未硬化の盛上部を形成した。次に、未硬化の盛上部に対して、積算光量600mJ/cm2の紫外線を照射し、紫外線硬化型樹脂を硬化させて、基材層/装飾層/プライマー層/表面保護層/盛上部がこの順に積層された、加飾シートを得た。得られた加飾シートにおいて、表面保護層全面の面積に対する盛上部の合計面積の割合は、35%であった。この加飾シートについて、以下の試験2を行なった。結果を表3に示す。なお、比較例2及び3については、アクリル樹脂基材上に盛上部を形成した。
A:2官能ポリカーボネートアクリレート(重量平均分子量:1万)
B:2官能ポリカーボネートアクリレート(重量平均分子量:2万)
C:4官能ウレタンアクリレート(重量平均分子量:5百)
D:2官能シリコーン変性ウレタンアクリレート(重量平均分子量:1千)
E:4官能ウレタンアクリレート(重量平均分子量:8千)
F:3官能アクリレートモノマー(重量平均分子量:約3百)
耐傷付き性(爪スクラッチ)
加飾シートの表面を爪で10往復スクラッチし、目視で表面を観察して、以下の基準に従って評価した。結果を表2に示す。
○:スクラッチ後に跡が消え、耐傷付き性が高い
△:スクラッチ後に跡が少し残り、耐傷付き性が少し低いが、実用上問題がない
×:スクラッチ後に跡が残り、耐傷付き性が低く、実用上問題がある
加飾シートの表面を、スチールウール(#0000)を用いて荷重1.5kgfで10往復擦り、目視で表面を観察して、以下の基準に従って評価した。結果を表2に示す。
○:擦った後に傷跡が消え、耐傷付き性が高い
△:擦った後に傷跡が少し残り、耐傷付き性が少し低いが、実用上問題がない
×:擦った後に傷跡が残り、耐傷付き性が低く、実用上問題がある
成形性を確認するため、160℃に設定したオーブンにて、加飾シートを60秒間加熱し、テンシロン万能試験機を用いて1000mm/secで引っ張って、以下の基準に従って評価した。結果を表2に示す。
◎:150%以上伸び、高温下での引張特性が非常に良好である
○:120%以上伸び、高温下での引張特性が良好である
△:100%以上伸び、高温下での引張特性は悪くなく、実用上問題がない
×:100%伸びず、高温下での引張特性が悪く、実用上問題がある
成形性を確認するため、加飾シートを常温下において、手で折り曲げて、以下の基準に従い評価した。結果を表2に示す。
○:180°に折り曲げた場合にも、折り曲げた部分に亀裂が生じない
△:90°に折り曲げた場合、折り曲げた部分に亀裂が生じず、実用上問題がない
×:90°に折り曲げた場合、折り曲げた部分に亀裂が生じ、実用上問題がある
密着性の評価
盛上部を形成した加飾シートの表面に対して、カッターで長さ5cm、間隔2mmで縦11本、横11本の切れ込みを入れ、縦10マス×横10マスの合計100マスの碁盤目状の切れ込みを形成した。この切れ込みの上から、ニチバン社製のセロテープ(No.405−1P)を圧着した後、急激に剥離することにより、盛上部の密着性を評価した。評価基準は以下の通りである。結果を表3に示す。
○:剥離が見られなかった
×:剥離が見られた
耐傷付き性(爪スクラッチ)
盛上部を形成した加飾シートの表面を爪で10往復スクラッチし、目視で表面を観察して、以下の基準に従って評価した。結果を表3に示す。
○:スクラッチ後に跡が消え、耐傷付き性が高い
△:スクラッチ後に跡が少し残り、耐傷付き性が少し低いが、実用上問題がない
×:スクラッチ後に跡が残り、耐傷付き性が低く、実用上問題がある
盛上部を形成した加飾シートの表面を、スチールウール(#0000)を用いて荷重1.5kgfで10往復擦り、目視で表面を観察して、以下の基準に従って評価した。結果を表3に示す。
○:擦った後に傷跡が消え、耐傷付き性が高い
△:擦った後に傷跡が少し残り、耐傷付き性が少し低いが、実用上問題がない
×:擦った後に傷跡が残り、耐傷付き性が低く、実用上問題がある
盛上部を形成した加飾シートの成形性を確認するため、170℃に設定したオーブンにて、加飾シートを120秒間加熱し、テンシロン万能試験機を用いて1000mm/secで引っ張って、50%伸ばしたときの加飾シートの表面を目視で観察し、以下の基準に従って評価した。結果を表3に示す。
◎:表面保護層の盛上部間に位置する部分に亀裂がなく、高温下での引張特性は非常に良好である
○:表面保護層の盛上部間に位置する部分に3割程度に亀裂があるが、高温下での引張特性は良好である
△:表面保護層の盛上部間に位置する部分に4割程度に亀裂があるが、高温下での引張特性は悪くなく、実用上問題がない
×:表面保護層の盛上部間に位置する部分に5割以上に亀裂があり、高温下での引張特性が悪く、実用上問題がある
盛上部を形成した加飾シートの成形性を確認するため、加飾シートを常温下において、手で折り曲げて、以下の基準に従い評価した。結果を表3に示す。
○:180°に折り曲げた場合にも、折り曲げた部分に亀裂が生じない
△:90°に折り曲げた場合、折り曲げた部分に亀裂が生じず、実用上問題がない
×:90°に折り曲げた場合、折り曲げた部分に亀裂が生じ、実用上問題がある
樹脂G:ポリエステル系アクリレートオリゴマー(重量平均分子量約2000)10質量%、2官能性アクリレートモノマー68質量%、熱可塑性樹脂(重量平均分子量:5000)10質量%、感光性化合物5質量%、光重合開始剤5質量%、フィラーおよび顔料の合計2質量%の混合物
樹脂H:ウレタン系アクリレートオリゴマー(重量平均分子量約2000)20質量%、2官能性アクリレートモノマー60質量%、感光性化合物5質量%、光重合開始剤:5質量%、フィラーおよび顔料の合計10質量%の混合物
上記樹脂G:マルテンス硬度140N/mm2
上記樹脂H:マルテンス硬度112N/mm2
樹脂I:ウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量約8000)30質量%、3官能性アクリレートモノマー50質量%、感光性化合物5質量%、光重合開始剤:5質量%、フィラーおよび顔料の合計10質量%の混合物、マルテンス硬度12N/mm2
樹脂J:ウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量約5000)20質量%、2官能性アクリレートモノマー60質量%、感光性化合物5質量%、光重合開始剤:5質量%、フィラーおよび顔料の合計10質量%の混合物、マルテンス硬度82N/mm2
樹脂K:ウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量約8000)20質量%、2官能性アクリレートモノマー60質量%、感光性化合物5質量%、光重合開始剤:5質量%、フィラーおよび顔料の合計10質量%の混合物、マルテンス硬度70N/mm2
2…表面保護層
3…盛上部
4…装飾層
5…プライマー層
Claims (12)
- 少なくとも、基材層と、表面保護層と、前記表面保護層の表面の一部に形成された複数の盛上部とがこの順に積層されており、
前記表面保護層及び盛上部が、それぞれ、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されてなる、加飾シート。 - 前記各盛上部は、それぞれ、前記加飾シートの積層方向から見た場合の面積が50mm2以下である、請求項1に記載の加飾シート。
- 前記盛上部の総面積は、表面保護層の全面の面積に対して、90%以下である、請求項1又は2に記載の加飾シート。
- 前記盛上部のマルテンス硬度が、10〜120N/mm2の範囲にある、請求項1〜3のいずれかに記載の加飾シート。
- 前記表面保護層の前記電離放射線硬化性樹脂組成物におけるシリコーン成分の含有量が、5質量%以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の加飾シート。
- 前記表面保護層の電離放射線硬化性樹脂組成物が、ポリカーボネート(メタ)アクリレートを含む、請求項1〜5のいずれかに記載の加飾シート。
- 前記ポリカーボネート(メタ)アクリレートの重量平均分子量が、5千以上である、請求項6に記載の加飾シート。
- 前記表面保護層の電離放射線硬化性樹脂組成物が、ウレタン(メタ)アクリレートをさらに含む、請求項6または7に記載の加飾シート。
- 前記ポリカーボネート(メタ)アクリレートと、前記ウレタン(メタ)アクリレートとの質量比が、50:50〜99:1の範囲にある、請求項8に記載の加飾シート。
- 前記表面保護層の厚みが、1〜30μm以下である、請求項1〜9のいずれかに記載の加飾シート。
- 前記基材層と前記表面保護層との間に、装飾層をさらに有する、請求項1〜10のいずれかに記載の加飾シート。
- 少なくとも、成形樹脂層と、基材層と、表面保護層と、前記表面保護層の表面の一部に形成された複数の盛上部とがこの順に積層された積層体からなり、
前記表面保護層及び盛上部が、それぞれ、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されてなる、加飾樹脂成形品。
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