(第1の実施形態)
以下、本発明にかかる絶縁電源装置を車載主機として回転機及びエンジンを備えるハイブリッド車に適用した第1の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、モータ制御システムは、第1のモータジェネレータ10、第2のモータジェネレータ20、第1のインバータ12、第2のインバータ22、昇圧コンバータ30、及び制御装置40を備えている。第1のモータジェネレータ10及び第2のモータジェネレータ20は、図示しない動力分割機構を介して駆動輪や車載主機としてのエンジンに連結されている。第1のモータジェネレータ10は、「発電用回転機」に相当し、第1のインバータ12に接続されている。第1のモータジェネレータ10は、車載主機であるエンジンのクランク軸に初期回転を付与するスタータ機能や、車載機器に給電する機能、さらには高電圧バッテリ50及び第2のモータジェネレータ20のうち少なくとも一方に給電する機能を有する発電機等の役割を果たす。
一方、第2のモータジェネレータ20は、「主機回転機」に相当し、第2のインバータ22に接続されている。第2のモータジェネレータ20は、車載主機等の役割を果たす。
第1のインバータ12及び第2のインバータ22は、3相インバータであり、昇圧コンバータ30を介して高電圧バッテリ50に接続されている。ちなみに、高電圧バッテリ50としては、例えば、リチウムイオン2次電圧やニッケル水素2次電池を用いることができる。なお、本実施形態において、第1のインバータ12、第2のインバータ22及び昇圧コンバータ30のそれぞれが「電力変換回路」に相当する。また、第1のインバータ12が「発電用電力変換回路」に相当し、第2のインバータ22が「走行用電力変換回路」に相当する。
昇圧コンバータ30は、コンデンサ32、リアクトル34、上アーム昇圧スイッチング素子Scp、及び下アーム昇圧スイッチング素子Scnを備えている。詳しくは、これら昇圧スイッチング素子Scp,Scnは、互いに直列接続されている。上アーム昇圧スイッチング素子Scp及び下アーム昇圧スイッチング素子Scnの直列接続体は、コンデンサ32に並列接続され、上記直列接続体の接続点は、リアクトル34を介して高電圧バッテリ50の正極端子に接続されている。昇圧コンバータ30は、これら昇圧スイッチング素子Scp,Scnのオン操作(閉操作)及びオフ操作(開操作)によって、高電圧バッテリ50の出力電圧(例えば288V)を所定の電圧(例えば「650V」)を上限として昇圧する機能を有する。
第1のインバータ12は、第1の¥相上アームスイッチング素子S1¥p(¥=U,V,W)、及び第1の¥相下アームスイッチング素子S1¥nの直列接続体を3組備えている。一方、第2のインバータ22は、第2の¥相上アームスイッチング素子S2¥p、及び第2の¥相下アームスイッチング素子S2¥nの直列接続体を3組備えている。
ちなみに、本実施形態では、上記スイッチング素子Sc#,S1¥#,S2¥#(#=p,n)として、電圧制御形の半導体スイッチング素子が用いられ、より具体的には、IGBTが用いられている。そして、スイッチング素子Sc#,S1¥#,S2¥#には、フリーホイールダイオードDc#,D1¥#,D2¥#が逆並列に接続されている。
また、本実施形態において、上アーム昇圧スイッチング素子Scp、第1の¥相上アームスイッチング素子S1¥p及び第2の¥相上アームスイッチング素子S2¥pのそれぞれが「上アーム用スイッチング素子」に相当する。さらに、下アーム昇圧スイッチング素子Scn、第1の¥相下アームスイッチング素子S1¥n及び第2の¥相下アームスイッチング素子S2¥nのそれぞれが「下アーム用スイッチング素子」に相当する。
上アーム昇圧スイッチング素子Scp、これに逆並列に接続されたフリーホイールダイオードDcp、下アーム昇圧スイッチング素子Scn、これに逆並列に接続されたフリーホイールダイオードDcn、及び上,下アーム昇圧スイッチング素子Scp,Scnの温度を検出する昇圧感温ダイオードは、モジュール化されて昇圧モジュールMcを構成している。
また、第1の¥相上アームスイッチング素子S1¥p、これに逆並列に接続されたフリーホイールダイオードD1¥p、第1の¥相下アームスイッチング素子S1¥n、これに逆並列に接続されたフリーホイールダイオードD1¥n、及び第1の¥相上,下アームスイッチング素子S1¥p,S1¥nの温度を検出する第1の¥相上,下アーム感温ダイオードは、モジュール化されて第1の¥相モジュールM1¥を構成している。
さらに、第2の¥相上アームスイッチング素子S2¥p、これに逆並列に接続されたフリーホイールダイオードD2¥p、第2の¥相下アームスイッチング素子S2¥n、これに逆並列に接続されたフリーホイールダイオードD2¥n、及び第2の¥相上,下アームスイッチング素子S2¥p,S2¥nの温度を検出する第2の¥相上,下アーム感温ダイオードは、モジュール化されて第2の¥相モジュールM2¥を構成している。
上記モジュールの構成について、図2及び図3を用いて、第1の¥相モジュールM1¥を例にして説明する。
第1の¥相モジュールM1¥は、第1の¥相上,下アームスイッチング素子S1¥p,S1¥n、フリーホイールダイオードD1¥p,D1¥n、及び第1の¥相上,下アーム感温ダイオードSD1¥p,SD1¥nを内蔵した本体部51と、本体部51から突出した複数の制御端子と、本体部51から突出した複数のパワー端子とを備えている。複数の制御端子は、第1の¥相上,下アームスイッチング素子S1¥p,S1¥nのゲート端子Gp,Gn、第1の¥相上,下アームスイッチング素子S1¥p,S1¥nのケルビンエミッタ端子KEp,KEn、第1の¥相上,下アーム感温ダイオードSD1¥p,SD1¥nのアノード端子Ap,An、及び第1の¥相上,下アーム感温ダイオードSD1¥p,SD1¥nのカソード端子Kp,Knを含む。ここで、ケルビンエミッタ端子KEp,KEnとは、スイッチング素子S1¥p,S1¥nの出力端子(エミッタ)と同電位の端子である。
パワー端子は、第1の¥相上アームスイッチング素子S1¥pのコレクタに短絡されるコレクタ端子TC、第1の¥相下アームスイッチング素子S1¥nのエミッタに短絡されるエミッタ端子TE、並びに第1の¥相上アームスイッチング素子S1¥pのエミッタ及び第1の¥相下アームスイッチング素子S1¥nのコレクタの接続点に短絡された接続端子TAを含む。
本体部51は、扁平な直方体形状をなしている。本体部51の対向する一対の表面のうち一方の面には、この表面から垂直に突出するように複数の制御端子が設けられている。また、他方の面には、この表面から垂直に突出するようにパワー端子が設けられている。
先の図1に戻り、昇圧モジュールMc、第1の¥相モジュールM1¥及び第2の¥相モジュールM2¥のそれぞれのコレクタ端子TC同士は接続されている。また、昇圧モジュールMc、第1の¥相モジュールM1¥及び第2の¥相モジュールM2¥のそれぞれのエミッタ端子TEは、高電圧バッテリ50の負極端子に接続されている。
第1の¥相モジュールM1¥の接続端子TAは、第1のモータジェネレータ10の¥相に接続されている。一方、第2の¥相モジュールM2¥の接続端子TAは、第2のモータジェネレータ20の¥相に接続されている。他方、昇圧モジュールMcの接続端子TAは、リアクトル34の両端のうち、高電圧バッテリ50の正極端子が接続された側とは反対側に接続されている。
制御装置40は、「直流電源」としての低電圧バッテリ42を電源とし、マイコンを主体として構成されている。制御装置40は、第1,第2のモータジェネレータ10,20の制御量(トルク)をその指令値(以下、指令トルクTrq*)に制御すべく、第1,第2のインバータ12,22や昇圧コンバータ30を操作する。詳しくは、制御装置40は、第1のインバータ12を構成するスイッチング素子S1¥#をオンオフ操作すべく、操作信号g1¥#を生成してスイッチング素子S1¥#の駆動回路に対して出力する。また、制御装置40は、第2のインバータ22を構成するスイッチング素子S2¥#をオンオフ操作すべく、操作信号g2¥#を生成してスイッチング素子S2¥#の駆動回路に対して出力する。さらに、制御装置40は、昇圧コンバータ30を構成するスイッチング素子Sc#をオンオフ操作すべく、操作信号gc#を生成してスイッチング素子Sc#の駆動回路に対して出力する。
なお、以下の説明において、上,下アーム昇圧スイッチング素子Scp,Scnを駆動する駆動回路を上,下アーム昇圧駆動回路Drcp,Drcnと称し、第1の¥相上,下アームスイッチング素子S1¥p,S1¥nを駆動する駆動回路を第1の¥相上,下アーム駆動回路Dr1¥p,Dr1¥nと称すこととする。また、第2の¥相上,下アームスイッチング素子S2¥p,S2¥nを駆動する駆動回路を第2の¥相上,下アーム駆動回路Dr2¥p,Dr2¥nと称すこととする。
さらに、本実施形態において、駆動回路Drcp,Dr1¥p,Dr2¥pのそれぞれが「上アーム用駆動回路」に相当し、駆動回路Drcn,Dr1¥n,Dr2¥nのそれぞれが「下アーム用駆動回路」に相当する。すなわち、上アーム用駆動回路は、上アーム用スイッチング素子のそれぞれに対応して個別に設け、下アーム用駆動回路は、下アーム用スイッチング素子のそれぞれに対応して個別に設けられている。
ちなみに、上アーム用操作信号gcp,g1¥p,g2¥pと、対応する下アーム用操作信号gcn,g1¥n,g2¥nとは、互いに相補的な信号となっている。すなわち、上アーム用スイッチング素子Scp,S1¥p,S2¥pと、対応する下アーム用スイッチング素子Scn,S1¥n,S2¥nとは、交互にオン状態とされる。
低電圧バッテリ42(補機バッテリともいう)は、その出力電圧が高電圧バッテリ50の出力電圧よりも低い蓄電池(例えば鉛蓄電池)である。
インターフェース44は、高電圧バッテリ50、第1,第2のインバータ12,22、昇圧コンバータ30及び第1,第2のモータジェネレータ10,20を備える高電圧システムと、低電圧バッテリ42及び制御装置40を備える低電圧システムとの間を電気的に絶縁しつつ、これらシステム間の信号の伝達を行う機能を有する。本実施形態において、インターフェース44は、フォトカプラを備えている。なお、本実施形態において、低電圧システムの基準電位VstLと、高電圧システムの基準電位VstHとは相違している。特に、本実施形態では、高電圧システムの基準電位VstHが高電圧バッテリ50の負極端子の電位に設定され、低電圧システムの基準電位VstLが高電圧バッテリ50の正極端子の電位及び負極端子の電位との中央値である車体電位に設定されている。
続いて、図4及び図5を用いて、各スイッチング素子Sc#,S1¥#,S2¥#を駆動する駆動回路Drc#,Dr1¥#,Dr2¥#に対して駆動用電圧を供給する絶縁電源装置について説明する。
本実施形態では、第1のインバータ12、第2のインバータ22及び昇圧コンバータ30を、第1のインバータ12及び昇圧コンバータ30の組(「第1の電力変換回路」に相当)と、第2のインバータ22(「第2の電力変換回路」に相当)とに分ける。そして、第1のインバータ12及び昇圧コンバータ30の組に対応して第1の電源IC52を設け、第2のインバータ22に対応して第2の電源IC54を設ける。そして、第1の電源IC52によって上,下アーム昇圧駆動回路Drcp,Drcnと、第1の¥相上,下アーム駆動回路Dr1¥p,Dr1¥nとに供給される駆動用電圧を制御し、第2の電源IC54によって第2の¥相上,下アーム駆動回路Dr2¥p,Dr2¥nに供給される駆動用電圧を制御する。
まず、図4に、第1の電源IC52を制御主体とする絶縁電源装置を示す。
図4に示す絶縁電源装置は、第1〜第8のトランス61〜68、第1〜第8のダイオード81a〜88a、第1〜第8のコンデンサ81b〜88b、1つのNチャネルMOSFET(以下、第1の電圧制御用スイッチング素子100)及び第1の平滑コンデンサ102を備えるフライバック式のスイッチング電源である。なお、本実施形態では、第1〜第8のコンデンサ81b〜88b及び第1の平滑コンデンサ102として、電解コンデンサを用いている。また、本実施形態において、第1〜第4のトランス61〜64のそれぞれが「上アーム用トランス」に相当し、第5〜第8のトランス65〜68のそれぞれが「下アーム用トランス」に相当する。さらに、図4には、第2のトランス62の備える端子T1p,T1n,T2p,T2nが記載されているが、これら端子については、後に詳述する。
上アーム用トランスは、複数の上アーム用スイッチング素子のそれぞれに対応して個別に設けられている。詳しくは、第1のトランス61は、上アーム昇圧駆動回路Drcpに対して駆動用電圧を供給し、第2のトランス62は、第1のU相上アーム駆動回路Dr1Upに対して駆動用電圧を供給する。また、第3のトランス63は、第1のV相上アーム駆動回路Dr1Vpに対して駆動用電圧を供給し、第4のトランス64は、第1のW相上アーム駆動回路Dr1Wpに対して駆動用電圧を供給する。
一方、下アーム用トランスは、複数の上アーム用スイッチング素子のそれぞれに対応して個別に設けられている。詳しくは、第5のトランス65は、下アーム昇圧駆動回路Drcnに対して駆動用電圧を供給し、第6のトランス66は、第1のU相下アーム駆動回路Dr1Unに対して駆動用電圧を供給する。また、第7のトランス67は、第1のV相下アーム駆動回路Dr1Vnに対して駆動用電圧を供給し、第8のトランス68は、第1のW相下アーム駆動回路Dr1Wnに対して駆動用電圧を供給する。
低電圧バッテリ42の正極端子は、第1〜第8のトランス61〜68を構成する第1〜第8の1次側コイル61a〜68aの並列接続体と、第1の電圧制御用スイッチング素子100とを介して低電圧バッテリ42の負極端子に接続されている。すなわち、第1の電圧制御用スイッチング素子100は、自身がオン操作されることにより、第1〜第8の1次側コイル61a〜68aの並列接続体、低電圧バッテリ42及び第1の電圧制御用スイッチング素子100を含む閉回路を形成可能なように設けられている。
各駆動回路には、各トランスからダイオード及びコンデンサを介して電圧が供給される。ここで、第1のトランス61を例にして説明すると、第1のトランス61を構成する第1の2次側コイル61bは、第1のダイオード81a及び第1のコンデンサ81bを介して上アーム昇圧駆動回路Drcpに接続されている。
第1の電源IC52は、1つの集積回路であり、第1のフィードバック電圧Vfb1を目標電圧Vtgtにフィードバック制御すべく、第1の電圧制御用スイッチング素子100をオンオフ操作する。本実施形態では、第1の電源IC52及び第1の電圧制御用スイッチング素子100を備えて第1の電源制御部CT1が構成されている。なお、本実施形態では、第1のフィードバック電圧Vfb1として、第1のW相上アーム駆動回路Dr1Wpの印加電圧の検出値を用いた。この検出値は、実際には、高電圧システム及び低電圧システム間を電気的に絶縁しつつ信号伝達が可能なフォトカプラ等によって第1の電源IC52に伝達される。
ちなみに、第1,第5のトランス61,65の巻数比(2次側コイルの巻数を1次側コイルの巻数で除算した値)は、第2〜第4のトランス62〜64及び第6〜第8のトランス66〜68の巻数比よりも大きく設定されている。これは、上,下アーム昇圧スイッチング素子Scp,Scnをオン状態に切り替えるための上,下アーム昇圧スイッチング素子のゲートに供給すべき充電電流が、第1の¥相上,下アームスイッチング素子S1¥#をオン状態に切り替えるための第1の¥相上,下アームスイッチング素子S1¥#のゲートに供給すべき充電電流よりも大きく設定されているためである。すなわち、上,下アーム昇圧スイッチング素子Scp,Scnのゲート充電電荷量Qg(Gate charge capacity)が、第1の¥相上,下アームスイッチング素子S1¥#のゲート充電電荷量Qgよりも大きく設定されているためである。
続いて、図5に、第2の電源IC54を制御主体とする絶縁電源装置を示す。
図5に示す絶縁電源装置は、第9〜第14のトランス69〜74、第9〜第14のダイオード89a〜94a、第9〜第14のコンデンサ89b〜94b、1つのNチャネルMOSFET(以下、第2の電圧制御用スイッチング素子104)及び第2の平滑コンデンサ106を備えるフライバック式のスイッチング電源である。なお、本実施形態では、第9〜第14のコンデンサ89b〜94b及び第2の平滑コンデンサ106として、電解コンデンサを用いている。また、本実施形態において、第9〜第11のトランス69〜71のそれぞれが「上アーム用トランス」に相当し、第12〜第14のトランス72〜74のそれぞれが「下アーム用トランス」に相当する。
上アーム用トランスは、複数の上アーム用スイッチング素子のそれぞれに対応して個別に設けられている。詳しくは、第9のトランス69は、第2のU相上アーム駆動回路Dr2Upに対して駆動用電圧を供給し、第10のトランス70は、第2のV相上アーム駆動回路Dr2Vpに対して駆動用電圧を供給し、第11のトランス71は、第2のW相上アーム駆動回路Dr2Wpに対して駆動用電圧を供給する。
一方、下アーム用トランスは、複数の上アーム用スイッチング素子のそれぞれに対応して個別に設けられている。詳しくは、第12のトランス72は、第2のU相下アーム駆動回路Dr2Unに対して駆動用電圧を供給し、第13のトランス73は、第2のV相下アーム駆動回路Dr2Vnに対して駆動用電圧を供給し、第14のトランス74は、第2のW相下アーム駆動回路Dr2Wnに対して駆動用電圧を供給する。
低電圧バッテリ42の正極端子は、第9〜第14のトランス69〜74を構成する第9〜第14の1次側コイル69a〜74aの並列接続体と、第2の電圧制御用スイッチング素子104とを介して低電圧バッテリ42の負極端子に接続されている。すなわち、第2の電圧制御用スイッチング素子104は、自身がオン操作されることにより、第9〜第14の1次側コイル69a〜74aの並列接続体、低電圧バッテリ42及び第2の電圧制御用スイッチング素子104を含む閉回路を形成可能なように設けられている。
各駆動回路には、各トランスからダイオード及びコンデンサを介して電圧が供給される。ここで、第9のトランス69を例にして説明すると、第9のトランス69を構成する第9の2次側コイル69bは、第9のダイオード89a及び第9のコンデンサ89bを介して第2のU相上アーム駆動回路Dr2Upに接続されている。
第2の電源IC54は、1つの集積回路であり、第2のフィードバック電圧Vfb2を目標電圧Vtgtにフィードバック制御すべく、第2の電圧制御用スイッチング素子104をオンオフ操作する。本実施形態では、第2の電源IC54及び第2の電圧制御用スイッチング素子104を備えて第2の電源制御部CT2が構成されている。また、本実施形態では、第2のフィードバック電圧Vfb2として、第2のW相上アーム駆動回路Dr2Wpの印加電圧の検出値を用いている。この検出値は、実際には、高電圧システム及び低電圧システム間を電気的に絶縁しつつ信号伝達が可能なフォトカプラ等によって第2の電源IC54に伝達される。
ここで、本実施形態では、第1〜第14の1次側コイル61a〜74aの巻数は、互いに同一に設定されている。コイル61b〜68bの巻数と同一に設定されている。これにより、第1〜第14の1次側コイル61a〜74aのインダクタンスLは、互いに同一とされている。これは、1次側コイルから伝播する磁束の低減効果を高めることを狙ったものである。この効果については、後述する。
続いて、図6を用いて、本実施形態にかかる駆動回路Drc#,Dr1¥#,Dr2¥#の詳細について説明する。本実施形態では、これら駆動回路Drc#,Dr1¥#,Dr2¥#の構成が基本的には同一である。このため、駆動回路の構成について、第1のU相上アーム駆動回路Dr1Upを例にして説明する。
第2のダイオード82a及び第2のコンデンサ82bの接続点は、図6に示す第1のU相上アーム駆動回路Dr1Upの第1の端子T1に接続されている。一方、第2の2次側コイル62b及び第2のコンデンサ82bの接続点は、第1のU相上アーム駆動回路Dr1Upの第2の端子T2に接続されている。
第1の端子T1は、PチャネルMOSFET(以下、充電用スイッチング素子108)、充電用抵抗体110、及び第1のU相上アーム駆動回路Dr1Upの第3の端子T3を介して、ゲート端子Gpに接続されている。また、ゲート端子Gpは、第3の端子T3、放電用抵抗体112、NチャネルMOSFET(以下、放電用スイッチング素子114)、及び第1のU相上アーム駆動回路Dr1Upの第4の端子T4を介して、ケルビンエミッタ端子KEpに接続されている。さらに、第2の端子T2は、第1のU相上アーム駆動回路Dr1Up内において、第4の端子T4に短絡されている。
第1の¥相上アーム感温ダイオードSD1Upのアノード端子Ap,カソード端子Kpは、第6の端子T6,第7の端子T7を介して駆動制御部116に取り込まれる。上記感温ダイオードSD1Upに対して図示しない定電流電源から定電流が供給されることにより、第1のU相上アームスイッチング素子S1Upの実際の温度(以下、素子温度)が高いほど、感温ダイオードSD1Upの端子間電圧が低くなるような上記端子間電圧が駆動制御部116に取り込まれる。
第1のU相上アーム駆動回路Dr1Upは、駆動制御部116を備えている。駆動制御部116は、制御装置40からインターフェース44を構成する第1のフォトカプラ44aを介して入力される操作信号g1Upに基づき、充電用スイッチング素子108及び放電用スイッチング素子114の操作による充電処理及び放電処理を交互に行うことで第1のU相上アームスイッチング素子S1Upを駆動する。詳しくは、充電処理は、操作信号g1Upがオン操作指令になったと判断された場合、放電用スイッチング素子114をオフ操作し、また、充電用スイッチング素子108をオン操作する処理である。一方、放電処理は、操作信号g1Upがオフ操作指令になったと判断された場合、放電用スイッチング素子114をオン操作に切り替え、また、充電用スイッチング素子108をオフ操作に切り替える処理である。これにより、第1のU相上アームスイッチング素子S1Upを駆動する。
駆動制御部116は、また、ローカルシャットダウン処理を行う。この処理は、感温ダイオードSD1Upの端子間電圧から算出された素子温度が閾値温度を超えたと判断された場合、スイッチング素子S1Upが過熱状態であるとしてスイッチング素子S1Upの駆動を強制的に停止させる処理である。
駆動制御部116は、さらに、ローカルシャットダウン処理が行われた場合、スイッチング素子S1Upに異常が生じている旨をフェール信号FLとして、第1のU相上アーム駆動回路Dr1Upの第8の端子T8と、インターフェース44を構成する第2のフォトカプラ44bとを介して、制御装置40に伝達する処理も行う。
駆動制御部116は、加えて、上記素子温度を時比率信号(Duty信号DS)に変換して制御装置40に伝達する処理を行う。ここで、Duty信号DSは、第1のU相上アーム駆動回路Dr1Upの第9の端子T9と、インターフェース44を構成する第3のフォトカプラ44cを介して、制御装置40に伝達される。
続いて、図7を用いて、モジュールMc,M1¥,M2¥とともに基板118に実装される第1〜第14のトランス61〜74の構成について説明する。本実施形態では、これらトランス61〜74の構成が同一である。このため、これらトランス61〜74について、主に、第2のトランス62を例にして説明する。なお、図7は、第2のトランス62の平面図である。
図示されるように、第2のトランス62は、基板118の板面の正面視において矩形状をなしている。第2のトランス62は、第2の1次側コイル62a及び第2の2次側コイル62bに加えて、「入力端子」としての入力側正極端子T1p、「出力端子」としての入力側負極端子T1n、出力側正極端子T2p、出力側負極端子T2n、並びに第2の1次側コイル62a及び第2の2次側コイル62bがボビンを介して巻回された図示しないコアを有している。入力側正極端子T1pは、第2の1次側コイル62aの一端に接続され、入力側負極端子T1nは、第2の1次側コイル62aの他端に接続されている。入力側正極端子T1pは、低電圧バッテリ42の正極端子に接続され、入力側負極端子T1nは、第1の電圧制御用スイッチング素子100のドレインに接続されている。また、出力側正極端子T2pは、第2のダイオード82aのアノードに接続され、出力側負極端子T2nは、第2の2次側コイル62b及び第2のコンデンサ82bの接続点に接続されている。
ここで、本実施形態において、第1〜第14のトランス61〜74のそれぞれは、入力側正極端子T1pから入力側負極端子T1nに向かって1次側コイルの巻方向が互いに同一となるように構成されている。特に本実施形態では、これらトランス61〜74のそれぞれにおいて、1次側コイルに電流が流れている場合、1次側コイルの両端のうち入力側正極端子T1p側の端部が磁束の入口となり、入力側負極端子T1n側の端部が磁束の出口となるように上記巻方向が設定されている。
続いて、図8を用いて、基板118におけるトランス等の配置手法について説明する。なお、図8では、トランスの備える出力側正極端子T2p及び出力側負極端子T2n等の図示を省略している。
図示されるように、基板118は、矩形状をなす多層基板であり、一対の外層(第1面、及び第1面の裏面である第2面)と、一対の外層で挟まれた複数の内層とを有している。昇圧上アーム接続部Tcp及び第1のU,V,W相上アーム接続部T1Up,T1Vp,T1Wp(以下、第1の上アーム用接続部)は、基板118の第1面の正面視において、一列に並ぶように基板118に設けられている。また、第1の上アーム用接続部Tcp,T1¥p(¥=U,V,W)は、基板118の板面に平行な面において延びる方向であって、これら接続部Tcp,T1¥pが並ぶ方向と直交する方向における基板118の中央部に設けられている。
一方、第2のU,V,W相上アーム接続部T2Up,T2Vp,T2Wp(以下、第2の上アーム用接続部)は、基板118の第1面の正面視において、第1の上アーム用接続部Tcp,T1¥pが並ぶ方向に一列に並ぶように基板118に設けられている。また、第2の上アーム用接続部T2¥pは、基板118の板面に平行な面において延びる方向であって、これら接続部T2¥pが並ぶ方向と直交する方向における基板118の中央部に設けられている。そして、第2の上アーム用接続部T2¥pと、第1の上アーム用接続部Tcp,T1¥pとは、基板118の第1面の正面視において、直列に設けられている。
昇圧下アーム接続部Tcn及び第1のU,V,W相下アーム接続部T1Un,T1Vn,T1Wn(以下、第1の下アーム用接続部)は、基板118の第1面の正面視において、第1の上アーム用接続部Tcp,T1¥pが並ぶ方向に一列に並ぶように設けられている。また、第1の下アーム用接続部Tcn,T1¥nは、基板118の第1面の正面視において、第1の上アーム用接続部Tcp,T1¥pと並列に設けられている。また、第2のU,V,W相下アーム接続部T2Un,T2Vn,T2Wn(以下、第2の下アーム用接続部)は、基板118の第1面の正面視において、第2の上アーム用接続部T2¥pが並ぶ方向に一列に並ぶように設けられている。また、第2の下アーム用接続部T2¥nは、基板118の第1面の正面視において、第1の上アーム用接続部T2¥pと並列に設けられている。そして、第2の下アーム用接続部T2¥nと、第1の下アーム用接続部Tcn,T1¥nとは、基板118の第1面の正面視において、直列に設けられている。
昇圧上,下アーム接続部Tcp,Tcnには、基板118の第2面側から昇圧モジュールMcが取り付けられることにより、昇圧モジュールMcのゲート端子Gp,Gnが接続されている(図3参照)。また、第1の¥相上,下アーム接続部T1¥p,T1¥nには、基板118の第2面側から第1の¥相モジュールM1¥が取り付けられることにより、第1の¥相モジュールM1¥のゲート端子Gp,Gnが接続されている。さらに、第2の¥相上,下アーム接続部T2¥p,T2¥nには、基板118の第2面側から第2の¥相モジュールM2¥が取り付けられることにより、第2の¥相モジュールM2¥のゲート端子Gp,Gnが接続されている。これにより、各スイッチング素子Sc#,S1¥#,S2¥#のゲート,エミッタと、対応する各駆動回路Drc#,Dr1¥#の第3の端子T3,第4の端子T4とが接続されることとなる。
第1の電源制御部CT1に対応する第1〜第4のトランス61〜64は、基板118の第1面の正面視において、第1の上アーム用接続部Tcp,T1¥pに対して、第1の下アーム用接続部Tcn,T1¥nとは反対側の領域に設けられている。第1〜第4のトランス61〜64は、第1の上アーム用接続部Tcp,T1¥pが並ぶ方向に一列に並ぶように設けられている。
なお、基板118の第1面の正面視において、一列に並ぶ第1の上アーム用接続部Tcp,T1¥pと、一列に並ぶ第1〜第4のトランス61〜64との間の領域には、第1の電源制御部CT1に対応する上アーム用駆動回路Drcp,Dr1¥pが、第1の上アーム用接続部Tcp,T1¥pが並ぶ方向に一列に設けられている。
第1の電源制御部CT1は、基板118の第1面の正面視において、一列に並ぶ第1〜第4のトランス61〜64に対して、一列に並ぶ第1の上アーム用接続部Tcp,T1¥pとは反対側の領域に設けられている。ここで、第1〜第4のトランス61〜64は、入力側正極端子T1p及び入力側負極端子T1nが第1の電源制御部CT1と向かい合うように設けられている。
第1の電源制御部CT1に対応する第5〜第8のトランス65〜68は、基板118の第1面の正面視において、第1の下アーム用接続部Tcn,T1¥nに対して、第1の上アーム用接続部Tcp,T1¥pとは反対側の領域に設けられている。第5〜第8のトランス65〜68は、第1の下アーム用接続部Tcn,T1¥nが並ぶ方向に一列に並ぶように設けられている。ここで、第5〜第8のトランス65〜68は、基板118の第1面の正面視において、入力側正極端子T1p及び入力側負極端子T1nが第1の下アーム用接続部Tcn,T1¥nとは反対側を向くように設けられている。
なお、基板118の第1面の正面視において、一列に並ぶ第1の下アーム用接続部Tcn,T1¥nと、一列に並ぶ第5〜第8のトランス65〜68との間の領域には、第1の電源制御部CT1に対応する下アーム用駆動回路Drcn,Dr1¥nが、第1の下アーム用接続部Tcn,T1¥nが並ぶ方向に一列に設けられている。
一方、第2の電源制御部CT2に対応する第9〜第11のトランス69〜71は、基板118の第1面の正面視において、第2の上アーム用接続部T2¥pに対して、第2の下アーム用接続部T2¥nとは反対側の領域に設けられている。第9〜第11のトランス69〜71は、第2の上アーム用接続部T2¥pが並ぶ方向に一列に並ぶように設けられている。
なお、基板118の第1面の正面視において、一列に並ぶ第2の上アーム用接続部T2¥pと、一列に並ぶ第9〜第11のトランス69〜71との間の領域には、第2の電源制御部CT2に対応する上アーム用駆動回路Dr2¥pが、第2の上アーム用接続部T2¥pが並ぶ方向に一列に設けられている。
第2の電源制御部CT2は、基板118の第1面の正面視において、一列に並ぶ第9〜第11のトランス69〜71に対して、一列に並ぶ第2の上アーム用接続部T2¥pとは反対側の領域に設けられている。ここで、第9〜第11のトランス69〜71は、入力側正極端子T1p及び入力側負極端子T1nが第2の電源制御部CT2と向かい合うように設けられている。
第2の電源制御部CT2に対応する第12〜第14のトランス72〜74は、基板118の第1面の正面視において、第2の下アーム用接続部T2¥nに対して、第2の上アーム用接続部T2¥pとは反対側の領域に設けられている。第12〜第14のトランス72〜74は、第2の下アーム用接続部T2¥nが並ぶ方向に一列に並ぶように設けられている。ここで、第12〜第14のトランス72〜74は、基板118の第1面の正面視において、入力側正極端子T1p及び入力側負極端子T1nが第2の下アーム用接続部T2¥nとは反対側を向くように設けられている。
なお、基板118の第1面の正面視において、一列に並ぶ第2の下アーム用接続部T2¥nと、一列に並ぶ第12〜第14のトランス72〜74との間の領域には、第2の電源制御部CT2に対応する下アーム用駆動回路Dr2¥nが、第2の下アーム用接続部T2¥nが並ぶ方向に一列に設けられている。
低電圧バッテリ42は、基板118の第1面の正面視において、第1,第2の上アーム用接続部Tcp,T1¥p,T2¥pに対して、第1,第2の下アーム用接続部Tcn,T1¥n,T2¥nとは反対側の領域に設けられている。本実施形態では、特に、第1の電源制御部CT1及び第2の電源制御部CT2の間に低電圧バッテリ42が設けられている。
第1〜第8のトランス61〜68の入力側正極端子T1p同士と、低電圧バッテリ42の正極端子とは、基板118に形成された第1の配線パターンL1(図中一点鎖線にて記載)によって接続されている。詳しくは、第1の配線パターンL1は、基板118の第1面の正面視において、低電圧バッテリ42の正極端子から、第1の領域、第2の領域及び第3の領域を通って、第5〜第8のトランス65〜68の入力側正極端子T1pまで延びるように形成されている。ここで、第1の領域とは、基板118の第1面の正面視において、第1の電源制御部CT1と、一列に並ぶ第1〜第4のトランス61〜64とに挟まれた領域のことである。また、第2の領域とは、基板118の第1面の正面視において、第1の上アーム用接続部Tcp,T1¥pのうち、これら接続部Tcp,T1¥pが並ぶ方向において基板118の一辺(図中、低電圧バッテリ42の位置を基板118の上側とした場合における基板118の左側の一辺)に最も近い昇圧上アーム接続部Tcpと、上記一辺とで挟まれる領域のことである。さらに、第3の領域とは、基板118の第1面の正面視において、第5〜第8のトランス65〜68に対して、第1の下アーム用接続部Tcn,T1¥nとは反対側の領域のことである。
第1の領域において、第1〜第4のトランス61〜64のそれぞれの入力側正極端子T1pと低電圧バッテリ42の正極端子とが第1の配線パターンL1によって接続されている。第3の領域において、第5〜第8のトランス65〜68のそれぞれの入力側正極端子T1pと低電圧バッテリ42の正極端子とが第1の配線パターンL1によって接続されている。
なお、第1〜第5のトランス61〜64の入力側負極端子T1n同士は、基板118に設けられた第2の配線パターンL2(図中破線にて記載)によって接続されている。
一方、第9〜第14のトランス69〜74の入力側正極端子T1p同士と、低電圧バッテリ42の正極端子とは、基板118に形成された第3の配線パターンL3(図中一点鎖線にて記載)によって接続されている。詳しくは、第3の配線パターンL3は、基板118の第1面の正面視において、低電圧バッテリ42の正極端子から、第4の領域、第5の領域及び第6の領域を通って、第12〜第14のトランス72〜74の入力側正極端子T1pまで延びるように形成されている。ここで、第4の領域とは、基板118の第1面の正面視において、第2の電源制御部CT2と、一列に並ぶ第9〜第11のトランス69〜71とに挟まれた領域のことである。また、第5の領域とは、基板118の第1面の正面視において、第2の上アーム用接続部T2¥pのうち、これら接続部T2¥pが並ぶ方向において基板118の一辺(図中、基板118の右側の一辺)に最も近い第2のW相上アーム接続部T2Wpと、上記一辺とで挟まれる領域のことである。さらに、第6の領域とは、基板118の第1面の正面視において、第12〜第14のトランス72〜74に対して、第2の下アーム用接続部T2¥nとは反対側の領域のことである。
第4の領域において、第9〜第11のトランス69〜71のそれぞれの入力側正極端子T1pと低電圧バッテリ42の正極端子とが第3の配線パターンL3によって接続されている。第6の領域において、第12〜第14のトランス72〜74のそれぞれの入力側正極端子T1pと低電圧バッテリ42の正極端子とが第3の配線パターンL3によって接続されている。
なお、第9〜第14のトランス69〜74の入力側負極端子T1n同士は、基板118に設けられた第4の配線パターンL4(図中破線にて記載)によって接続されている。
ちなみに、本実施形態において、第1の配線パターンL1及び第2の配線パターンL2のそれぞれは、基板118の互いに異なる内層に形成されている。このため、図8において、第1の配線パターンL1及び第2の配線パターンL2の交差部分が存在するが、この交差部分においてこれら配線パターンL1,L2が電気的に接続されているわけではない。このことは、第3の配線パターンL3及び第4の配線パターンL4についても同様である。
第1の平滑コンデンサ102は、基板118の第1面の正面視において、第1の領域であってかつ、一列に並ぶ第1〜第4のトランス61〜64の中央付近に設けられている。第1の平滑コンデンサ102の上述した設置手法は、後述する磁界打消し効果を高めるために採用した。つまり、上記配置手法により、第1〜第4のトランス61〜64のそれぞれの入力側正極端子T1pと、第1の平滑コンデンサ102とを接続する配線パターンの長さのばらつきを抑制することができる。このため、第1〜第4のトランス61〜64のそれぞれと第1の平滑コンデンサ102とを接続する配線パターンの抵抗値のばらつきを抑制することができる。これにより、第1〜第4のトランス61〜64のそれぞれを構成する1次側コイルに流れる電流値のばらつきを抑制でき、ひいては第1〜第4のトランス61〜64のそれぞれの1次側コイルが発生する磁界の強さのばらつきを抑制することができる。
なお、第2の平滑コンデンサ106は、磁界打消し効果を高めるべく、基板118の第1面の正面視において、第4の領域であってかつ、一列に並ぶ第9〜第11のトランス69〜71の中央付近に設けられている。
ここで、本実施形態では、図9に示すように、第1〜第4のトランス61〜64のそれぞれを、基板118の第1面の正面視において、第1〜第4の1次側コイル61a〜64aの中心軸線Lα(1次側コイルの長手方向に延びる無限の長さの軸線)が第1の上アーム用接続部Tcp,T1¥pの並ぶ方向に一致するように基板118に設けている。特に本実施形態では、第1〜第4の1次側コイル61a〜64aのそれぞれの中心軸線Lαが一致するように、第1〜第4のトランス61〜64のそれぞれを基板118に設けた。なお、図9は、先の図8のうち第1〜第4のトランス61〜64付近の拡大図である。
こうした構成によれば、第1のトランス61及び第2のトランス62を「対象トランス」として機能させることができる。これにより、第1の1次側コイル61aの両端のうち入力側正極端子T1pの端部に流れ込もうとする磁束と、第2の1次側コイル62aの両端のうち入力側負極端子T1n側から周囲に流れようとする磁束とが打ち消し合おうとする磁界打消し効果が得られる。このため、第1,第2の1次側コイル61a,62aから発生する磁界のうち、これら1次側コイル61a,62aが対向する側から周囲へと伝播する磁界を好適に低減させることができる。
本実施形態では、第2のトランス62及び第3のトランス63、並びに第3のトランス63及び第4のトランス64についても対象トランスとして機能させることができる。また、第5〜第8のトランス65〜68のうち隣り合うトランス、第9〜第11のトランス69〜71のうち隣り合うトランス、及び第12〜第14のトランス72〜74のうち隣り合うトランスについても対象トランスとして機能させることができる。
上述した磁界の低減効果により、磁界が低減されたトランス間にインターフェース44を構成するフォトカプラ44a〜44cを設けることができる。これについて、図10を用いて説明する。なお、図10は、先の図8のうち第1〜第3のトランス61〜63付近の拡大図である。
図示されるように、基板118の第1面の正面視において、第1のトランス61及び第2のトランス62の間、並びに第2のトランス62及び第3のトランス63の間にフォトカプラを設けることができる。なお、図10では、トランス間に設けるフォトカプラとして、第1のフォトカプラ44aを例示した。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)第1の電源IC52が制御主体となる絶縁電源装置において、上アーム用トランスである第1〜第4のトランス61〜64のそれぞれを、これらトランス61〜64のそれぞれを構成する第1〜第4の1次側コイル61a〜64aに電流が流れている状態において、第1〜第4のトランス61〜64のうち隣り合うトランスのそれぞれを構成する1次側コイルの端部が互いに入力側正極端子T1p側及び入力側負極端子T1nとなるように、基板118に設けた。このため、第1〜第4の1次側コイル61a〜64aから周囲に伝播する磁界を好適に低減させることができる。これにより、トランスの周囲を磁気シールドで囲うことなく、磁界に起因したノイズを低減させることができ、ひいては絶縁電源装置の誤作動を回避することができる。
特に、本実施形態では、基板118の第1面の正面視において第1〜第4のトランス61〜64のそれぞれを構成する1次側コイル61a〜64aの中心軸線Lαを互いに一致させたことが、第1〜第4のトランス61〜64のうち隣り合うトランス間における磁界打消し効果を高め、1次側コイルから周囲に伝播する磁界の低減効果を大きくすることに寄与している。
なお、第2の電源IC54が制御主体となる絶縁電源装置を構成する第9〜第11のトランス69〜71についても、同様な磁界低減効果を得ることができる。
(2)第1の電源IC52が制御主体となる絶縁電源装置において、下アーム用トランスである第5〜第8のトランス65〜68のそれぞれを、基板118の第1面の正面視において、これらトランス65〜68のそれぞれを構成する1次側コイル65a〜68aの中心軸線Lαが互いに一致するように基板118に設けた。このため、第5〜第8の1次側コイル65a〜68aから周囲に伝播する磁界を好適に低減させることができる。なお、第2の電源IC54が制御主体となる絶縁電源装置を構成する第12〜第14のトランス72〜74についても、同様な磁界低減効果を得ることができる。
(3)第1の電源IC52を制御主体とする絶縁電源装置において、第1〜第4のトランス61〜64及び低電圧バッテリ42のそれぞれを、基板118の第1面の正面視において、第1の上アーム用接続部Tcp,T1¥pに対して第1の下アーム用接続部Tcn,T1¥nとは反対側の領域に設けた。また、第5〜第9のトランス65〜69のそれぞれを、基板118の第1面の正面視において、第1の下アーム用接続部Tcn,T1¥nに対して第1の上アーム用接続部Tcp,T1¥pとは反対側の領域に設けた。こうした構成では、下アーム用トランスを構成する1次側コイルに電流を供給するための第1の配線パターンL1が長くなる。このため、低電圧バッテリ42、第1の配線パターンL1、1次側コイル、第2の配線パターンL2及び第1の電圧制御用スイッチング素子100を備えるループ回路が大きくなり、上記ループ回路を磁束が通過することに起因したノイズが生じやすい。したがって、上記ループ回路が大きくなりやすい本実施形態は、磁界打消し効果を奏することのできる構成を採用するメリットが大きい。なお、第2の電源IC54が制御主体となる絶縁電源装置についても同様である。
(4)昇圧コンバータ30を構成する第1のトランス61と、第1のインバータ12を構成する第2のトランス62とを隣り合うように配置した。また、昇圧コンバータ30を構成する第5のトランス65と、第1のインバータ12を構成する第6のトランス66とを隣り合うように配置した。このため、第1のトランス61及び第2のトランス62、並びに第5のトランス65及び第6のトランス66のそれぞれについて、磁界打消し効果を得ることができる。これにより、基板118上において、磁界の打消し効果を奏することのできる面積を拡大することができる。
特に、本実施形態では、1次側コイルが互いに並列接続される構成において、昇圧コンバータ30及び第1のインバータ12のそれぞれを構成する1次側コイルへの通電を、共通の電源制御部である第1の電源制御部CT1によって制御した。これは、例えば、第1の1次側コイル61aの磁束発生タイミングと、第2の1次側コイル62aの磁束発生タイミングとを同期させることを狙ったものである。こうした構成によれば、磁界打消し効果を高めることができる。
なお、上述した効果は、第2の電源IC54が制御主体となる絶縁電源装置についても同様である。
(5)第1〜第3のフォトカプラ44a〜44cを、基板118の第1面の正面視において、隣り合う対象トランスの間に設けた。こうした構成によれば、素子温度、フェール信号FL、及び操作信号gc#,g1¥#,g2¥#の伝達精度が低下する等、第1〜第3のフォトカプラ44a〜44cの誤作動を回避することができる。
(6)第1〜第8の1次側コイル61a〜68aを互いに並列接続し、第9〜第14の1次側コイル69a〜74aを互いに並列接続した。そして、第1〜第14の1次側コイル61a〜74aのインダクタンスLを互いに同一の値に設定した。これにより、1次側コイルに電流が流れている場合において、隣り合う1次側コイルで発生する磁界の強さを近づけることができる。このため、磁界打消し効果を高めることができる。
(7)第1の平滑コンデンサ102及び第2の電圧制御用スイッチング素子104を先の図8に示した態様で配置した。こうした構成によれば、磁界打消し効果を高めることができる。
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、図11に示すように、第1〜第3のフォトカプラ44a〜44cの配置位置を、基板118の第2面側(裏側)とする。ここで、図11は、先の図8において、第1〜第3のトランス61〜63付近を基板118の第2面側から見た図である。こうした構成のため、本実施形態では、基板118の第1面において、隣り合う対象トランスの間にフォトカプラ等の電子部品が実装されていない。
以上説明した本実施形態によっても、上記第1の実施形態で得られる効果と同様の効果を得ることができる。
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図12に、本実施形態にかかる基板118の平面図を示す。なお、図12において、先の図8に示した部材と同一の部材については、便宜上、同一の符号を付している。
図示されるように、本実施形態では、第4のトランス64及び第9のトランス69を磁界打消し効果が得られるように近づけて基板118に設けるとともに、第8のトランス68及び第12のトランス72を磁界打消し効果が得られるように近づけて基板118に設けた。
以上説明した本実施形態によれば、上記第1の実施形態で得られる効果に加えて、第1のインバータ12を構成する第4,第8のトランス64,68と、第2のインバータ22を構成する第9,第12のトランス69,72との間についても、磁界打消し効果を得ることができる。
(第4の実施形態)
以下、第4の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、第1の¥相下アーム駆動回路Dr1¥nのそれぞれに対して共通の下アーム用トランスによって駆動用電圧を供給する。また、第2のU,V相下アーム駆動回路Dr2Un,Dr2Vnのそれぞれに対して共通の下アーム用トランスによって駆動用電圧を供給する。本実施形態では、第2のU,V相下アーム駆動回路Dr2Un,Dr2Vnのそれぞれに対して駆動用電圧を供給するトランスを第15のトランス75と称し、第1の¥相下アーム駆動回路Dr1¥nのそれぞれに対して駆動用電圧を供給するトランスを第16のトランス76と称すこととする。
ここで、図13を用いて、共通の下アーム用トランスの構成について、第2の電源IC54を制御主体とする絶縁電源装置を例にして説明する。なお、図13において、先の図5に示した部材と同一の部材については、便宜上、同一の符号を付している。
図示されるように、第15のトランス75は、第15の1次側コイル75a及び第15の2次側コイル75aを備えている。第15のトランス75は、第15のダイオード95a及び第15のコンデンサ95bを介して、第2のU,V相下アーム駆動回路Dr2Un,Dr2Vnに対して駆動用電圧を供給する。
図14に、本実施形態にかかる基板118の平面図を示す。なお、図14において、先の図8に示した部材と同一の部材については、便宜上、同一の符号を付している。
図示されるように、本実施形態では、第7,第8のトランス67,68が除去されるとともに、第6のトランス66に代えて、第16のトランス76が設けられている。また、第12のトランス72が除去されるとともに、第13のトランス73に代えて、第15のトランス75が設けられている。
以上説明した本実施形態によれば、下アーム用トランスのうち、第5,第16のトランス65,76の間と、第14,第15のトランス74,75との間については、磁界打消し効果を得ることができる。
(第5の実施形態)
以下、第5の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、基板118におけるトランス等の配置位置を変更する。
図15に、本実施形態にかかる基板118の平面図を示す。なお、図15において、先の図8に示した部材と同一の部材については、便宜上、同一の符号を付している。また、本実施形態において、第1の電源IC52を制御主体とする絶縁電源装置と、第2の電源IC54を制御主体とする絶縁電源装置とは、基本的には同一構成である。このため、本実施形態では、主に、第1の電源IC52を制御主体とする絶縁電源装置を例にして説明する。
図示されるように、基板118の第1面の正面視において、基板118の中央部には、第1の電源制御部CT1及び第2の電源制御部CT2が並ぶように設けられている。また、基板118の第1面の正面視において、第1の上アーム用接続部Tcp,T1¥pが基板118の端部に一列に並ぶように設けられている。また、基板118の第1面の正面視において、第1の下アーム用接続部Tcn,T1¥nが、第1の電源制御部CT1を挟んで第1の上アーム用接続部Tcp,T1¥pとは反対側の基板118の端部に一列に並ぶように設けられている。
第1〜第4のトランス61〜64は、基板118の第1面の正面視において、第1の電源制御部CT1と、第1の上アーム用接続部Tcp,T1¥pとで挟まれる領域に、第1の電源制御部CT1と隣り合うように、かつ第1の上アーム用接続部Tcp,T1¥pが並ぶ方向に一列に設けられている。ここで、第1〜第4のトランス61〜64は、入力側正極端子T1p及び入力側負極端子T1nが第1の電源制御部CT1と向かい合うように設けられている。
なお、上記挟まれる領域において、第1の電源制御部CT1に対応する上アーム用駆動回路Drcp,Dr1¥pは、第1〜第4のトランス61〜64と、第1の上アーム用接続部Tcp,T1¥pとの間に、第1の上アーム用接続部Tcp,T1¥pが並ぶ方向に一列に設けられている。
第5〜第8のトランス65〜68は、基板118の第1面の正面視において、第1の電源制御部CT1と、第1の下アーム用接続部Tcn,T1¥nとで挟まれる領域に、第1の電源制御部CT1と隣り合うように、かつ第1の下アーム用接続部Tcn,T1¥nが並ぶ方向に一列に設けられている。ここで、第5〜第8のトランス65〜68は、入力側正極端子T1p及び入力側負極端子T1nが第1の電源制御部CT1と向かい合うように設けられている。
なお、上記挟まれる領域において、第1の電源制御部CT1に対応する下アーム用駆動回路Drcn,Dr1¥nは、第5〜第8のトランス65〜68と、第1の下アーム用接続部Tcn,T1¥nとの間に、第1の下アーム用接続部Tcn,T1¥nが並ぶ方向に一列に設けられている。
また、本実施形態において、第1,第2の平滑コンデンサ102,106は、図示しないが、上記第1の実施形態の(7)の効果を得られるように基板118の第1面に設けられている。
詳しくは、第1の平滑コンデンサ102は、基板118の第1面の正面視において、第1〜第4のトランス61〜64と第1の電源制御部CT1とに挟まれる領域であってかつ、一列に並ぶ第1〜第4のトランス61〜64の中央付近に設けられている。また、第2の平滑コンデンサ106は、基板118の第1面の正面視において、第9〜第11のトランス69〜71と第2の電源制御部CT2とに挟まれる領域であってかつ、一列に並ぶ第9〜第11のトランス69〜71の中央付近に設けられている。
ちなみに、本実施形態では、先の図2及び図3に示したモジュールではなく、各スイッチング素子Sc¥,S1¥#,S2¥#のそれぞれが各別に内蔵されたモジュールを用いることとなる。
以上説明した本実施形態によれば、上記第1の実施形態の(1),(2),(4)〜(7)の効果を得ることはできる。
(その他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・「下アーム用トランス」としては、上記第4の実施形態に例示したものに限らない。例えば、第1のインバータ12及び昇圧コンバータ30を構成する全ての下アーム用スイッチング素子Scn,S1¥nのそれぞれについての共通のトランスであってもよい。また、例えば、第2のインバータ22を構成する全ての下アーム用スイッチング素子S2¥nのそれぞれについての共通のトランスであってもよい。
・上記各実施形態では、第1の電源制御部CT1に対応する全ての上アーム用トランス61〜64の組を対象トランスとしたがこれに限らない。例えば、第1のトランス61及び第2のトランス62等、第1の電源制御部CT1に対応する一部の上アーム用トランスを対象トランスとしてもよい。なお、第1の電源制御部CT1に対応する下アーム用トランスについても同様である。また、第2の電源制御部CT2に対応する上,下アーム用トランスについても同様である。
・上記各実施形態では、隣り合う対象トランスのそれぞれを構成する1次側コイルの中心軸線を一致させたがこれに限らない。例えば、磁界打消し効果が得られるのであれば、隣り合う中心軸線同士のなす角度が180°以外である等、中心軸線を一致させなくてもよい。
・上記第1の実施形態において、例えば、第2のトランス62及び第3のトランス63間のみを対象トランスとする等、上アーム用トランスの一部を対象トランスとしてもよい。この場合であっても、例えば、第2の1次側コイル62a及び第3の1次側コイル63aから周囲に伝播する磁界を低減させることはできる。
・「平滑コンデンサ」の配置手法としては、上記第1の実施形態の図8に例示したものに限らない。例えば、図8において、第1の平滑コンデンサ102を、基板118の第1面の正面視において、第3の領域であってかつ、一列に並ぶ下アーム用トランスである第5〜第8のトランス65〜68の中央付近に設けてもよい。
・上記第1の実施形態において、第1〜第14の1次側コイル61a〜74aのうち、一部の隣り合う対象トランスについて、1次側コイルのインダクタンスを同一に設定してもよい。この場合であっても、インダクタンスが同一に設定された1次側コイルを構成部品とする隣り合う対象トランスについては、磁界打消し効果を高めることはできる。
・上記第1の実施形態において、例えば、第1〜第8のトランス61〜68のそれぞれを構成する1次側コイルが直列接続される構成を採用してもよい。
・上記各実施形態において、先の図1に示したモータ制御システムから昇圧コンバータ30を除去してもよい。この場合、第1のインバータ12が「第1の電力変換回路」に相当することとなる。
・モータ制御システムとしては、2モータ制御システムに限らず、1モータ制御システムであってもよい。この場合、第1のモータジェネレータ10及び第1のインバータ12の組、並びに第2のモータジェネレータ20及び第2のインバータ22の組のうちいずれか1組と、昇圧コンバータ30とを先の図1に示したモータ制御システムから除去することとなる。
・「絶縁伝達素子」としては、フォトカプラ等の光絶縁伝達素子に限らず、パルストランス等の磁気絶縁伝達素子であってもよい。
・「電圧供給対象」としては、スイッチング素子に限らず、例えばモータジェネレータの電気角を検出するレゾルバの励磁用回路であってもよい。
・「電力変換回路」としては、昇圧コンバータや3相インバータに限らない。例えば、ハーフブリッジ回路やフルブリッジ回路等、他の電力変換回路であってもよい。また、「電力変換回路」を構成する「上アーム用スイッチング素子」及び「下アーム用スイッチング素子」としては、IGBTに限らず、例えばMOSFETであってもよい。