JP2015089979A - 冷感に優れた繊維 - Google Patents

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Abstract

【課題】布帛とした際に優れた接触冷感を有し、水分存在下でさらに冷感を持続的に発現し、かつ良好な風合いを呈し、加工性にも優れた繊維を提供すること。
【解決手段】ポリエチレンを主たる構成成分とする繊維であって、吸湿性ポリマーを含有する冷感に優れた繊維。さらには、吸湿性ポリマーがポリエーテルを含むブロック共重合ポリマーであることや、風乾10分後の水分率が3重量%以上であること、繊維断面形状が扁平であることが好ましい。また冷感に優れた繊維の製造方法は、ポリエチレンを主たる構成成分とし、吸湿性ポリマーを含有する樹脂を、溶融紡糸する方法であり、さらには、吸湿性ポリマーがポリエーテルを含むブロック共重合ポリマーであることが好ましい。また、樹脂が変性ポリエチレンをさらに含有し、該変性ポリエチレンが不飽和カルボン酸若しくは不飽和カルボン酸無水物を含有するビニルモノマーをグラフト共重合したものであることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は冷感に優れた繊維に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、夏場における着用時の快適性、および風合いに優れた、衣料用途に好適に利用可能な冷感に優れた繊維に関するものである。
昨今の快適志向の増大に伴い、衣服として着用する際に、特に夏場など周囲の環境温度が比較的高い場合に、適度な冷感が感じられる繊維製品が開発されてきた。中でも、特許文献1の高結晶化度、高配向性を有する有機高分子繊維を用いたものは、熱伝導率が高く、快適性が高いことが知られている。
しかしこのような高結晶性、高配向性の繊維からなる布帛は確かに接触冷感を得ることができるが、通常の熱可塑性樹脂からなる汎用合成繊維と比較して繊維の生産性に劣り、かつ衣料用繊維として用いるには、加工時の取り扱い性にも問題があるものであった。
一方、特許文献2や特許文献3には、布帛を形成した後に、後加工によって冷感を有する物質を付着させる技術が開示されている。しかし、後加工による剤の付着は、接着剤となるバインダーによる風合いの悪化や洗濯耐久性の問題などを有し、十分に満足のいく効果を発揮させることは困難であった。
上述の通り、取扱い易く、かつ実用に足る十分な冷感を有する合成繊維は得られておらず、その改善が望まれているのである。
特開2010−236130号公報 特開2007−224429号公報 特開2006−161226号公報
本発明の目的は、上記従来技術を背景になされたもので、その目的は、布帛とした際に優れた接触冷感を有し、水分存在下でさらに冷感を持続的に発現し、かつ良好な風合いを呈し、加工性にも優れた繊維を提供することにある。
本発明の冷感に優れた繊維は、ポリエチレンを主たる構成成分とする繊維であって、吸湿性ポリマーを含有することを特徴とする。
さらには、吸湿性ポリマーがポリエーテルを含むブロック共重合ポリマーであることが好ましい。また、風乾10分後の水分率が3重量%以上であることや、繊維断面形状が扁平であることが好ましい。
もう一つの本発明の冷感に優れた繊維の製造方法は、ポリエチレンを主たる構成成分とし、吸湿性ポリマーを含有する樹脂を、溶融紡糸することを特徴とする。
さらには、吸湿性ポリマーがポリエーテルを含むブロック共重合ポリマーであることが好ましい。また、樹脂が変性ポリエチレンをさらに含有し、該変性ポリエチレンが不飽和カルボン酸若しくは不飽和カルボン酸無水物を含有するビニルモノマーをグラフト共重合したものであることが好ましい。
本発明によれば、布帛とした際に優れた接触冷感を有し、水分存在下でさらに冷感を持続的に発現し、かつ良好な風合いを呈し、加工性にも優れた繊維が提供される。
本発明の繊維の、繊維軸に直行する断面の一例を示す模式図である。 本発明の繊維の、繊維軸に直行する断面の他の例を示す模式図である。
本発明の冷感に優れた繊維は、ポリエチレンを主たる構成成分とする繊維であって、吸湿性ポリマーを含有することを必須とする繊維である。
ここで主たる構成成分であるポリエチレンとしては、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンなどに分類することができる。中でも本発明にて用いられるポリエチレンとしては、高密度ポリエチレンであることが好ましく、より高い製糸性と共に高性能の高い熱伝導性を得ることが可能となる。具体的なこのような高密度ポリエチレンの好ましい密度としては0.92〜0.98の範囲にあることが好ましい。
そして本発明の繊維においては、そのようなポリエチレン成分中に吸湿性ポリマーを含有することが必要である。ここで本発明にて用いられる吸湿性ポリマーとしては、吸湿性を有するものであれば特に制限されるものでは無いが、特にはポリエーテルを含むブロック共重合ポリマーであることが好ましい。ポリエーテル成分をブロック状態で共重合することにより水を包含しやすく、高い吸水性を得ることが可能になる。
このような吸湿ポリマーを例示すると、ポリエーテルアミド、ポリエーテルエステルまたはポリエーテルエステルアミドなどのブロック共重合ポリマーなどが挙げられる。より具体的には、エチレンオキシドやプロピレンオキシドの縮合生成物あるいは両者の縮合生成物などのポリアルキレンエーテル(ポリアルキレンオキシド)やポリアルキレンオキシド成分に、アミノカルボン酸、ラクタム、ジアミン、ジカルボン酸またはジカルボン酸エステルなどを反応させた化合物であることが好ましい。
中でも本発明で用いられる吸湿性ポリマーとしては、ポリエーテルエステルアミドブロックコポリマーであることが好ましい。ここで用いられるポリエーテルエステルアミドをさらに具体的に述べると、構成成分として、(A)アミノカルボン酸、ラクタムおよびジアミンとジカルボン酸の塩から選ばれる少なくとも一種と、(B)ポリ(アルキレンオキシド)グリコールと、(C)ジカルボン酸とからなるものであることが好ましい。
また好ましく用いられるポリエーテルエステルアミドの構成成分である(A)アミノカルボン酸、ラクタムおよびジアミンとジカルボン酸の塩から選ばれる少なくとも一種については、いずれも炭素数6以上のものが好ましい。より好ましくは、アミノカルボン酸としてはω−アミノカプリル酸、ω−アミノベルコン酸、ω−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などが挙げられる。ラクタムとしてはカプロラクタム、エナントラクタム、カプリルラクタム及びラウロラクタムなどが挙げられる。また、ジアミン−ジカルボン酸の塩としてはヘキサメチレンジアミン−アジピン酸塩、ヘキサメチレンジアミン−セバシン酸塩、ヘキサメチレンジアミン−イソフタル酸などが挙げられる。その中でも構成成分としては、カプロラクタム、1,2−アミノドデカン酸、ヘキサメチレンジアミン−アジピン酸塩であることが特に好ましい。
そして、ポリエーテルエステルアミドの他の構成成分である(B)ポリ(アルキレンオキシド)グリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(1,2−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(1,3−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、またはエチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックまたはランダム共重合体などが好ましく用いられる。これらの中でも、保水性が優れる点で特にポリエチレングリコールが特に好ましく用いられる。
さらに、ポリエーテルエステルアミドのもう一つの構成成分である(C)ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2、7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸及び5−スルホイソフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸及びジシクロヘキシル−4,4’−ジカルボン酸の如き脂肪族ジカルボン酸、及びコハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸及びドデカンジ酸(デカンジカルボン酸)の如き脂肪族カルボン酸などが挙げられる。特にはテレフタル酸、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、セバシン酸、アジピン酸及びドデカジン酸が重合性、色調及び物性の点から好ましく用いられる。
ここでポリエーテルエステルアミドとしては、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールとジカルボン酸とが、反応上は1:1のモル比で反応するものであることが好ましい。使用するジカルボン酸の種類により仕込み比を変え、ポリマー内で1:1のモル比となるように配合することが好ましい。
特に好ましく用いられるポリエーテルエステルアミドとしては、ポリエーテルエステル単位が30重量%以上70重量%以下の範囲であることが好ましく、特に優れた機械的性質、良好な製糸性、制電性を満足する繊維を得ることができる。
本発明の冷感に優れた繊維は、主成分であるポリエチレンに加えこのような吸湿性ポリマーを用いることにより、耐熱性や加工性が特に優れた繊維となる。
本発明においては、吸湿性ポリマーの添加により、特にその後に布帛とした際に、ポリエチレンの優れた熱伝導率による接触冷感に加え、水分含有時の冷感効果が向上し、それに伴い冷感持続性も向上する。そして特に発汗時などの様に周囲に多量に水分が存在する場合に、吸湿性ポリマーを含有する本発明のポリエチレンからなる繊維は、従来の吸湿・吸水率がほとんどないポリエチレン単独からなる繊維と比較して、水分含有時の冷感効果を、より一層発現させることが可能となるのである。
主成分であるポリエチレンに対するこの吸湿性ポリマーの含有量としては、5〜30wt%であることが好ましい。含有量が少なすぎる場合、吸湿性付与効果が劣り、十分な効果を発揮できない。逆に含有量が多すぎる場合には、水分保持量が過分となり、べとつき感の原因となったり、製糸性などの成形加工性が劣る傾向にある。さらに好ましい吸湿性ポリマーの含有量としては10〜25wt%であることが好ましい。
なお主成分のポリエチレンとしては単一成分からなることが好ましいが、5重量%未満の割合であれば、C3〜C12の高級アルケンが、共重合体として含まれていることも好ましい。さらに本発明の繊維を構成するポリマー中には、従来公知の酸化防止剤、耐光剤、難燃剤、顔料などを、本発明の目的を損なわない範囲で含有させることができる。
また、ポリエチレンと吸湿性ポリマーの溶融成形時の相溶性を向上させるために、相溶化剤を含有することも好ましい。例えば、吸湿性ポリマーがポリエーテルエステルアミドブロックコポリマーの場合は、無水マレイン酸が共重合されたポリエチレンなどが好適に用いられる。
そして本発明の冷感に優れた繊維としては、風乾10分後の水分率が3重量%以上であることが好ましい。さらには5〜30重量%の範囲であることが好ましい。また風乾1分後の水分率としては、8〜40重量%の範囲にあることが好ましい。このように繊維中に水分を保つことにより、このように特に冷感に優れ清涼感に勝る繊維となるのである。なお風乾条件としては20℃、65%RH条件下で静地、風乾したものである。
本発明の繊維は、その断面形状が扁平形状であることが好適である。扁平形状とすることにより、衣料用布帛とした際に、肌との接触面積を効果的に高めることができ、接触冷感をさらに十分に感じることができるようになる。
扁平形状の長軸の幅Aとそれに直交する短軸の最大幅Bの比A/Bとしては、2〜10の範囲であることが好ましい。長軸の幅Aとそれに直交する短軸の最大幅B1の比A/Bが小さすぎると、丸断面に近くなり扁平形状の効果が低くなり、一方大きすぎると扁平の効果が向上する以上に、製糸時の工程安定性が低下する懸念が増大する傾向にある。特に好ましいA/B比の範囲としては、3〜8であることが好ましい。
さらに、本発明の繊維の断面形状としては異型断面であることが好ましい。特には断面の長軸方向に丸断面単糸が直線状に連結した形状であり、くびれ部を2〜5個有する形状であることが好ましい。このような丸断面の単糸が直線的に連結した、全体として扁平の断面形状を採用することにより、通常の丸断面単糸が単独で存在する場合と比較して単糸間の空間が少なく、冷感効果を効果的に発現することが可能となる。また合せて繊維の曲げ特性が向上し、布帛とした場合に柔軟性に富むものとなる。
さらに本発明の繊維の断面形状としては、扁平形状であることに加えてくびれ部を有することによって、繊維表面での乱反射や光の屈折効果をより高め、防透性もある程度付与することが可能となる。通常は、無機化合物粒子の反射によってそのような効果を得るのであるが、その含有量を有効に減少しうる。もっともくびれ部の数としては少なすぎると上記効果が得られ難く、逆にくびれ部の数が多すぎると工程安定性が低下する傾向にあるため、3ないし4のくびれ部であることが特に好ましい。
このような丸断面単糸が直線状に連結した形状の場合には、扁平断面の長軸の幅Aとそれに直交する短軸の最大幅Bの比A/Bが2〜6の範囲であることが好ましい。扁平率が少なすぎる場合には扁平断面の効果が得られ難く、織編物などの布帛とした場合に長軸が布帛表面に平行に配列し難くなり遮熱性が低下することがある。一方該扁平率が大きすぎると製糸安定性が低下する傾向にあるため、さらに好ましい範囲としては3〜5であることが好ましい。
さらにこのように丸断面単糸が直線状に連結した形状の場合には、扁平形状断面の短軸の最大幅Bと、くびれ部に相当する短軸の最小幅Bの比B/Bは1.05以上2以下であることが好ましい。B/Bが小さいと上述の丸断面が連結した効果が低下することがあり、また、B/Bが大きすぎると、連結部(くびれ部)の厚みが薄くなり、冷感効果が低下する傾向にある。特に好ましいB/Bの範囲としては1.1〜1.6の範囲である。
また、本発明の繊維の単糸繊度としては1〜10dtexの範囲であることが好ましい。単糸繊度が小さすぎると製糸安定性が低下し、また、繊維間の微細空隙が増加して繊維間の断熱性が高まり冷感効果が減少する場合がある。逆に、単糸繊度が大きすぎると、織編物とした場合には繊維間距離が大きくなって接触面積が下がり、接触冷感効果が低下すると共に風合いも硬くなる場合がある。単糸繊度としては0.5〜8dtexの範囲がより好ましく用いられる。このような本発明の繊維の強度としては1.5cN/dtex以上であることが好ましい。さらには2.0〜6.0cN/dtexの範囲であることが好ましい。強度が小さすぎると耐久性に劣る傾向にある。
もう一つの本発明の冷感に優れた繊維の製造方法としては、ポリエチレンを主たる構成成分とし、吸湿性ポリマーを含有する樹脂を、溶融紡糸する製造方法である。ここで主たる構成成分であるポリエチレンや吸湿性ポリマーとしては、上記の本発明の冷感に優れた繊維に用いるポリエチレンや吸湿性ポリマーを使用することができる。中でも吸湿性ポリマーはポリエーテルを含むブロック共重合ポリマーであることが好ましい。特には吸湿性ポリマーとしてはポリエーテルエステルアミドブロックコポリマーであることが好ましい。
さらに本発明の製造方法では、溶融紡糸される樹脂が変性ポリエチレンを含有するものであることが好ましい。変性ポリエチレンを添加することにより、主たる構成成分中への吸湿性ポリマーの相溶性が向上する。ここで好ましく用いられる変性ポリエチレンとしては、不飽和カルボン酸若しくは不飽和カルボン酸無水物を含有するビニルモノマーをグラフト共重合したものである変性ポリエチレンであることが好ましい。
ここで、不飽和カルボン酸又は不飽和カルボン酸無水物を含むビニルモノマーの具体例としては、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、アクリル酸又はメタクリル酸などを挙げることができる。本発明の製造方法においては、これらのビニルモノマーをポリエチレンに共重合させることにより、吸湿性ポリマーとの特に高い親和性を得ることができるようになる。変性ポリエチレン中のビニルモノマーの共重合量としては、10〜30モル%の範囲であることが好ましい。このような範囲とすることによって、より成型性や耐熱性が向上する。
また本発明の繊維を紡糸する方法は、コスト面に優れた溶融紡糸法であることが必要である。さらに繊維を紡糸した繊維を延伸する方法としては、公知の熱ロール延伸や温水延伸を用いることができる。なお、繊維を紡糸、延伸する工程においては、公知の帯電防止剤、繊維仕上剤などを適宜必要に応じて用いることが好ましい。
このような本発明の冷感に優れた繊維を布帛とする場合には、布帛全てに本発明の繊維を用いる以外に、部分的に本発明の繊維を用いることも好ましい。その布帛の組織は特に限定されるものではなく、織物、編物、不織布の形状にて用いることが可能である。
次に、本発明を実施例によって本発明を更に具体的に説明する。なお、実施例中の評価、測定は次のとおり実施した。
(1)接触冷感の評価
得られた繊維を用いて目付150g/mの筒編みを作成し、水分率測定直後の筒編みを8cm×8cmの大きさとし、あらかじめ40℃に暖めた10cm×10cmの大きさの厚み0.5mmのステンレス板に載せ、ステンレス板の中央部の温度を熱電対で測定して、最大降下温度を測定し、下記参考例との温度差にて評価した。
[参考例1、2]
下記の実施例1、2と同様にして、ただしポリエチレンを主成分とする樹脂に代えて、ポリエチレンテレフタレート(固有粘度;0.63)を用いて同様の繊維を得た。それらを下記の実施例1、2と同様にして筒編みを作成し、冷感評価の基準とした。
なお冷感評価の温度差は、実施例1、比較例1については、参考例1の最大降下温度との温度差を、実施例2〜4については、参考例2の最大降下温度との温度差を示した。
(2)布帛の水分率
接触冷感の評価に用いた筒編みを用い、20℃、65%RH下24時間放置後の重量、および該筒編みを水中に10分間浸漬後取り出し、20度、65%RH下に所定時間静置、風乾した後の重量から、布帛の水分率を算出した。
(3)繊維断面形状
倍率500倍の、繊維の透過型電子顕微鏡による断面写真から、20本の単糸につき「長軸の幅A」、「長軸に直交する短軸の最大幅B」、「くびれ部に相当する、長軸に直交する短軸の最小幅B」の値を測定し、その平均値から、扁平率A/B、B/Bの値を算出した。
(4)繊維の引張強度
JIS L1013記載の方法に準拠して測定を行った。
[実施例1]
高密度ポリエチレン(JIS K−7210によるメルトフローレート;19)に対し、減湿下80℃で24hr乾燥させたポリエーテルエステルブロックコポリマー(三洋化成製、NC6321)を、吸水性ポリマーチップとして10wt%チップブレンドした後、230℃に設定したエクストルーダーで溶融し、円形の吐出孔を36ホール有する口金から215℃の温度条件で吐出し、紡糸速度1500m/分で巻き取った。巻き取った未延伸糸を予熱温度90℃、熱セット温度120℃、延伸倍率4.0倍の条件で延伸し、84dtex/36fils.ポリエチレン繊維を得た。
さらにこの得られた繊維を2本合糸して筒編みを作成し、冷感を評価した。得られた繊維の物性、評価結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1において、ポリエーテルエステルブロックコポリマーを添加しないこと以外は実施例1と同様にしてポリエチレン繊維およびそれからなる筒編みを作成した。得られた繊維の物性および評価結果を表1に併せて示す。
[実施例2]
相溶化剤となる無水マレイン酸共重合ポリエチレンを実施例1で用いたポリエーテルエステルブロックコポリマーに対して30wt%ブレンドした予備混合チップを吸水性ポリマーチップとして準備した。そして実施例1と同じ高密度ポリエチレンを用い、そのポリエチレンに対しあらかじめ準備した上記の吸水性ポリマーチップを15wt%チップブレンドしたものを用い、さらに口金として実施例1の円形形状に代えて、図2に示す断面形状であって、吐出孔を36ホール有するものを用いた以外は実施例1と同様にして、84dtex/36fils.ポリエチレン扁平断面繊維を得た。このもののくびれ数は3、扁平率A/Bは4、B/B比は1.4の異形断面繊維であった。
さらにこの異形断面繊維を用いて、無撚で110本/2.54cmの織密度で平織物を製織した。この平織物を用いてシャツを作成し着用評価したところ、きわめて清涼感に優れるものであった。
得られた繊維の物性およびこの繊維を用いて作成した筒編みの評価結果を表1に併せて示す。
[実施例3、4]
実施例2において用いた予備混合チップの、ポリエチレンに対する吸水性ポリマーチップのチップブレンド量を、表1記載の量に変更した以外は実施例2と同様に実施した。実施例3の繊維のくびれ数は3、扁平率A/Bは4、B/B比は1.3の異形断面繊維であり、実施例4の繊維のくびれ数は3、扁平率A/Bは4、B/B比は1.1の異形断面繊維であった。また吸湿性ポリマー添加量が比較的高い実施例4においては冷感特性には優れるものの、若干製糸性や繊維強度が低いものであった。得られた繊維の物性、評価結果を表1に併せて示す。
Figure 2015089979
表1に示す通り、本発明の実施例1〜4は、製糸性、物性が良好で、布帛とした場合の水浸漬後における、20度、65%RH下、1分及び10分風乾後の水分率が共に、吸湿性ポリマーを有しない比較例に対し十分高く、水分率の低下も少なく、冷感特性にも優れるものであった。
本発明の繊維は冷感に優れかつ風合いが良好で、布帛とした場合に清涼感を有し、スポーツやアウターをはじめとする衣料、および産業資材などの多くの用途に利用可能であり、その工業的価値は極めて大である。
A :扁平形状繊維の断面における長軸の幅
:扁平形状繊維断面の長軸に直交する短軸の最大幅
:くびれ部に相当する、扁平形状繊維断面の長軸に直交する短軸の最小幅

Claims (7)

  1. ポリエチレンを主たる構成成分とする繊維であって、吸湿性ポリマーを含有することを特徴とする冷感に優れた繊維。
  2. 吸湿性ポリマーがポリエーテルを含むブロック共重合ポリマーである請求項1記載の冷感に優れた繊維。
  3. 風乾10分後の水分率が3重量%以上である請求項1または2記載の冷感に優れた繊維。
  4. 繊維断面形状が扁平である請求項1〜3のいずれか1項記載の冷感に優れた繊維。
  5. ポリエチレンを主たる構成成分とし、吸湿性ポリマーを含有する樹脂を、溶融紡糸することを特徴とする冷感に優れた繊維の製造方法。
  6. 吸湿性ポリマーがポリエーテルを含むブロック共重合ポリマーである請求項5記載の冷感に優れた繊維の製造方法。
  7. 樹脂が変性ポリエチレンをさらに含有し、該変性ポリエチレンが不飽和カルボン酸若しくは不飽和カルボン酸無水物を含有するビニルモノマーをグラフト共重合したものである請求項5または6記載の冷感に優れた繊維の製造方法。
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