JP2015089955A - めっき方法 - Google Patents

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公紀 石原
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泰雄 二宮
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Abstract

【課題】タングステン又はタングステン合金によって形成されたプローブピンの表面に、密着性の高いめっき層を確実且つ容易に形成すること。
【解決手段】このめっき方法は、
プローブピン10に陽極電解処理を施すことにより、プローブピン10の表面から不動態膜を除去する除去工程(陽極電解工程:ステップS04)と、
電気めっきにより、プローブピン10の表面に金ストライクめっき層21を形成する層形成工程(金ストライクめっき工程:ステップS05)と、を備えており、
これら除去工程及び層形成工程は、いずれも、プローブピン10をめっき浴50に浸漬した状態で行われるものであって、
除去工程から層形成工程への移行は、プローブピン10をめっき浴50から取り出すことなく、プローブピン10への印加電圧を変化させることにより行われる
【選択図】図3

Description

本発明は、タングステン又はタングステン合金によって形成されたプローブピンの表面にめっき層を形成するためのめっき方法に関する。
LSIチップの製造工程においては、シリコンウェハ上に集積回路が形成された段階で、当該集積回路の電気的な検査が行われる。このような検査は、プローブカードから延びる複数のプローブピンの先端を、集積回路上の複数の電極にそれぞれ接触させた状態で行われる。プローブピンの先端は、検査対象である集積回路の電極に対し、一定荷重にて繰り返し押し付けられる。
電極に対する接触が上記のように繰り返されると、プローブピンの先端には、電極を構成する金属(例えばアルミニウム)が少しずつ転写され、当該金属の酸化物によってプローブピンの先端が次第に覆われて行く。その結果、プローブピンと電極との間における接触抵抗が高くなり、集積回路の正確な検査(電気的諸特性の測定)ができなくってしまう場合がある。
このような状態になると、プローブピンの先端をクリーニングしたり、プローブピンをプローブカードごと交換したりしなければならない。従って、LSIチップの製造コストに鑑みれば、プローブピンの先端に対する電極材料の転写を可能な限り抑制し、クリーニングの頻度やプローブカードの交換頻度を低くすることが望ましい。
下記特許文献1には、プローブピンの先端に硬質な金属からなるめっき層を形成することにより、当該部分への電極材料の転写を抑制することが記載されている。また、このようなめっき層の材料としては、電極材料であるアルミニウムへの拡散性が低いこと等を考慮して、イリジウムやルテニウム、ロジウム等が好適であることが記載されている。
特開2002−131334号公報
ところで、プローブピンの材料となる金属には、加工性が良く、しかも硬度が高くて弾力性を有する金属であることが要求される。このため、タングステンやタングステン合金が材料として用いられることが多い。特に、レニウム含有タングステンは、プローブピンの材料として非常に優れた性能を有していることが知られている。
しかしながら、タングステンやタングステン合金は所謂難めっき材であって、その表面に高い密着性にてめっき層を形成することが難しい。タングステン等の表面には不動態膜が形成されやすく、当該不動態膜がめっき層の形成や密着を妨げてしまうからである。
一般に、めっきの前処理として、被めっき物に陽極電解処理等を行うことにより不動態膜を予め除去することが行われている。しかしながら、被めっき物の材料がタングステンやタングステン合金である場合には、陽極電解処理を行った後、被めっき物を前処理槽から取り出してめっき浴に投入するまでの短い間にも、不動態膜が再び形成されてしまい、当該不動態膜がめっき層の形成を妨げてしまうことがある。
従って、タングステン等(例えばレニウム含有タングステン)によってプローブピンを形成した場合には、上記特許文献1に記載されたような構成とすること、すなわち、プローブピンの表面にめっき層(例えばイリジウム層)を安定的に形成することは非常に困難であった。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、タングステン又はタングステン合金によって形成されたプローブピンの表面に、密着性の高いめっき層を確実且つ容易に形成することのできるめっき方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係るめっき方法は、タングステン又はタングステン合金によって形成されたプローブピンの表面にめっき層を形成するためのめっき方法であって、前記プローブピンに陽極電解処理を施すことにより、前記プローブピンの表面から不動態膜を除去する除去工程と、電気めっきにより、前記プローブピンの表面に前記めっき層を形成する層形成工程と、を備えており、前記除去工程及び前記層形成工程は、いずれも、前記プローブピンをめっき浴に浸漬した状態で行われるものであって、前記除去工程から前記層形成工程への移行は、前記プローブピンを前記めっき浴から取り出すことなく、前記プローブピンへの印加電圧を変化させることにより行われることを特徴としている。
本発明に係るめっき方法は、除去工程と層形成工程とを備えている。除去工程は、所謂前処理工程の一つであって、プローブピンに陽極電解処理を施すことにより、めっきの妨げとなる不動態膜をプローブピンの表面から予め除去しておく工程である。
層形成工程は、上記除去工程の後に行われる工程であって、不動態膜が除去されたプローブピンの表面に、電気めっきによりめっき層を形成する工程である。尚、層形成工程によって形成されるめっき層は、最終的にプローブピンの外表面となるもの(LSIの電極に直接触れるもの)とは限られず、例えば、金ストライクめっき層のように、下地層として形成されるようなものであってもよい。
本発明においては、上記除去工程及び層形成工程は、いずれも、プローブピンをめっき浴に浸漬した状態で行われる。また、除去工程から層形成工程への移行は、プローブピンをめっき浴から取り出すことなく、プローブピンへの印加電圧を変化させることにより行われる。
つまり、前処理工程(の少なくとも一部)である除去工程が、続く層形成工程で用いられるものと同一のめっき浴中に、プローブピンを浸漬した状態で行われる。除去工程では、めっき浴中においてプローブピンが陽極となるよう電圧が印加されるのであるが、除去工程から層形成工程に移行する際は、プローブピンを引き続きめっき浴中に浸漬したままの状態で、プローブピンへの印加電圧を変化させる。具体的には、プローブピンが陰極となるよう電圧が印加された状態に切り替える。
このため、除去工程が開始されてから層形成工程が完了するまでの間は、プローブピンはめっき浴中に浸漬された状態のままであり、プローブピンの表面(被めっき部分)は一度も空気(酸素)に触れることがない。また、酸素を含んだ洗浄水に触れるようなこともない。このため、除去工程において不動態膜が除去された後は、プローブピンの表面に不動態膜が再形成されることなく、そのまま層形成工程に移行してめっき層の形成が開始されることとなる。
本発明によれば、再形成された不動態膜によりめっき層の形成が妨げられるようなことがないため、密着性の高いめっき層を確実に形成することができる。また、除去工程から層形成工程への移行時に、プローブピンの表面に不動態膜を再形成させないための特段の工夫(例えば不活性ガスの吹き付け等)を行う必要がないため、密着性の高いめっき層を容易に形成することができる。
尚、プローブピンをめっき浴中に浸漬させた状態で陽極電解処理を施すと、プローブピンの金属成分がめっき浴中に溶出する。このため、めっき条件(めっき浴の状態)が変化し、後の層形成工程に悪影響を及ぼしてしまうことが懸念される。しかしながら、当該金属成分がタングステンであれば、溶出してもめっき浴の性能はほとんど変化せず、層形成工程への悪影響がない。つまり、本発明はこのような知見に基づいて成されたものであり、プローブピンがタングステン又はタングステン合金によって形成されていることを、巧みに利用したものということができる。
また、本発明に係るめっき方法では、前記除去工程よりも前に行われる凹凸形成工程を更に備えており、前記凹凸形成工程は、前記プローブピンに陰極電解処理を施すことにより、前記プローブピンの表面に凹凸を形成する工程であることも好ましい。
この好ましい態様では、除去工程(陽極電解処理)よりも前に行われる凹凸形成工程を更に備えている。凹凸形成工程は、プローブピンに陰極電解処理を施すことにより、プローブピンの表面に凹凸を形成する工程である。このような陰極電解処理は、プローブピンを例えば酸(塩酸等)に浸漬した状態で、プローブピンが陰極となるよう電圧を印加することにより行われる。
被めっき部分であるプローブピンの表面に予め凹凸を形成しておくことにより、アンカー効果が生じるため、めっき層の密着性をより高めることができる。
また、本発明に係るめっき方法では、前記凹凸形成工程が完了してから前記除去工程が開始されるまでの間に、前記プローブピンには水洗処理が施されないことも好ましい。
一般に、めっきを行う前に種々の前処理(酸洗浄やアルカリ洗浄)を行う際は、前工程の成分が次工程に持ち込まれることのないように、各前処理が完了する毎に被めっき物には水洗処理が施される。しかしながら、被めっき物の材料がタングステン等である場合には、水洗処理が施されることによっても(洗浄水に含まれる酸素により)表面に不動態膜が形成されてしまうことがある。
そこで、この好ましい態様では、凹凸形成工程(陰極電解処理)が完了してから除去工程(陽極電解処理)が開始されるまでの間に、プローブピンには水洗処理が施されないこととしている。不動態膜形成の原因となり得る水洗処理を施さないことにより、凹凸形成工程が行われた以降において、プローブピンの表面に不動態膜が形成されることを抑制することができる。
また、本発明に係るめっき方法では、少なくとも前記凹凸形成工程が完了してから前記除去工程が開始されるまでの間は、前記プローブピンの周囲の空間が不活性ガスで満たされた状態となっていることも好ましい。
この好ましい態様では、少なくとも凹凸形成工程(陰極電解処理)が完了してから除去工程(陽極電解処理)が開始されるまでの間は、プローブピンの周囲の空間が不活性ガスで満たされた状態となっている。凹凸形成工程を行うための槽からプローブピンが取り出されても、プローブピンが空気(酸素)に触れてしまうことがないため、プローブピンの表面に不動態膜が形成されることを抑制することができる。
本発明によれば、タングステン又はタングステン合金によって形成されたプローブピンの表面に、密着性の高いめっき層を確実且つ容易に形成することができる。
本発明に係るめっき方法のめっき対象物であるプローブピンを模式的に示す図である。 本発明に係るめっき方法の手順を示すフローチャートである。 本発明に係るめっき方法の一部を説明するための模式図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
まず、図1を参照しながら、本発明に係るめっき方法のめっき対象物(被めっき物)である、プローブピンについて説明する。図1は、プローブピン10を模式的に示す図である。プローブピン10は、LSIチップの製造工程において集積回路の検査に用いられる、プローブカード(不図示)の一部を構成する金属部品である。プローブカードは、図1に示したプローブピン10を複数本備えている。集積回路の検査では、集積回路上の複数の電極に対しそれぞれのプローブピン10の先端13を接触させた(押し付けた)状態で、集積回路の電気的諸特性が測定され、評価される。
本実施形態では、プローブピン10はレニウム含有タングステンにより形成されている。尚、プローブピン10を形成する材料としては、タングステンを主成分とする合金であればよく、タングステンそのものであってもよい。
図1に示したように、プローブピン10は全体が細長い棒状に形成されており、直状部11と、湾曲部12とを有している。直状部11は、プローブカードに保持される側の部分であって、直線状に形成されている。湾曲部は、直状部11の端部から集積回路側に向かうように湾曲した部分であって、その先端13が、集積回路上の電極に接触する部分となっている。
プローブピン10のうち、先端13から直状部11の一部に亘る部分の表面は、その全体がめっき層20によって覆われている。めっき層20はイリジウムからなり、電気めっきにより形成されている。めっき層20は、プローブピン10の先端13に、集積回路の電極の材料(アルミニウム)が転写されることを抑制するために形成された層である。
めっき層20は、プローブピン10の表面に直接形成されているのではなく、下地層である金ストライクめっき層21(図1においては不図示)を介してプローブピン10の表面に形成されている。すなわち、レニウム含有タングステンからなるプローブピン10の表面を外側から覆うように金ストライクめっき層21が形成されており、当該金ストライクめっき層21の表面を更に外側から覆うように、イリジウムからなるめっき層20が形成されている。以下では、プローブピン10の表面に金ストライクめっき層21を形成する方法について説明する。
図2は、本発明に係るめっき方法の手順を示すフローチャートであって、めっき方法のうち、金ストライクめっき層21を形成する手順の一部を示している。具体的には、混酸エッチング工程(ステップS01)以降の手順のみを示しており、その前に行われる脱脂工程等についてはその図示を省略している。
混酸エッチング工程よりも前においては、従来のめっきと同様の一般的な前処理が行われる。本実施形態では、アルカリ浸漬脱脂、及び、アルカリ電解脱脂が行われ、これらにより、めっき対象物であるプローブピン10の表面に付着した油脂や汚れが予め除去される。それぞれの脱脂工程が完了した後には水洗が行われ、プローブピン10の表面から処理液が洗い落とされる。
上記のような脱脂工程が完了した後、混酸エッチング工程(ステップS01)が行われる。混酸エッチング工程は、プローブピン10の表面に形成されているスマットを溶解除去するための工程である。混酸エッチング工程では、硝酸、フッ化水素酸、及びクエン酸を混合してなる処理液中に、プローブピン10を約1分間浸漬させる。尚、処理液に含まれる硝酸はインヒビター(腐食抑制剤)としての役割を果たすものであるが、所謂酸素酸であるため、プローブピン10の表面に不動態膜を形成してしまう。つまり、混酸エッチング工程では、プローブピン10の表面からスマットが除去される一方で不動態膜が形成されてしまう。
その後、水洗によってプローブピン10の表面から処理液を洗い落とした後、酸陰極電解工程(ステップS02)が行われる。酸陰極電解工程は、プローブピン10の表面に形成された不動態膜を除去すると同時に、プローブピン10の表面に凹凸を形成するための工程である。酸陰極電解工程では、塩酸とクエン酸とを混合してなる処理液中に、プローブピン10と電極棒とが互いに離間して浸漬された状態で、これらに対して電圧が印加される。
具体的には、プローブピン10が陰極となり、電極棒が陽極となるように電圧が印加される。このときの印加電圧の大きさは、プローブピン10の表面を通過する電流の電流密度が3〜5A/cm2となるように調整される。酸陰極電解工程における処理時間は2〜5分間であり、プローブピン10の初期状態や形状等に応じて適宜調整される。
酸陰極電解工程が終了すると、プローブピン10が処理液から取り出され、水洗によってプローブピン10の表面から処理液が洗い落とされる(水洗工程:ステップS03)。
上記水洗工程の後、プローブピン10がめっき浴50内に浸漬される。図3(A)は、このときの様子を示す模式図である。
めっき浴50は、後の金ストライクめっき工程(ステップS05)において、プローブピン10の表面に金ストライクめっき層21を形成するための浴である。めっき浴50としては、電気めっきにより金めっきを施すための一般的な浴を用いることができる。
図3(A)に示したように、プローブピン10は、その先端13から直状部11の一部に亘る部分がめっき浴50に浸漬されている。つまり、後に金ストライクめっき層21及びめっき層20によって覆われる部分(図1を参照)がめっき浴50に浸漬されており、プローブピン10の直状部11側は、めっき浴50の液面よりも高い位置となっている。
めっき浴50には、プローブピン10の他、電極棒30も浸漬されている。電極棒30は、その下方側のみがめっき浴50に浸漬されており、上方側がめっき浴50の液面よりも高い位置となっている。
プローブピン10及び電極棒30には、それぞれ、めっき浴50の液面よりも上方側の部分に対し、電源40の出力端子から延びる導線が治具(不図示)を介して接続されている。電源40は、電圧の大きさ及び方向を変更することが可能な直流電源である。電源40により、プローブピン10と電極棒30との間に電圧を印加して、両者の間に電流を流すことが可能となっている。
このような状態において、電源40によってプローブピン10側が陰極となるように電圧を印加すれば、プローブピン10の表面に金ストライクめっき層21が形成される。しかしながら、プローブピン10の材料であるレニウム含有タングステンは、表面に不動態膜が形成されやすい材料であり、図3(A)のようにめっき浴50に浸漬された直後においては、プローブピン10の表面に不動態膜が再形成された状態となっている。
つまり、酸陰極電解工程(ステップS02)によって不動態膜が除去されたにも拘わらず、その後、プローブピン10が処理液から取り出されて表面が空気に触れたことや、水洗工程(ステップS03)において洗浄水が含有する酸素に触れたこと等により、プローブピン10の表面には不動態膜が再形成されている。この時点における不動態膜は、酸陰極電解工程(ステップS02)が行われる前の時点における不動態膜に比べると極めて薄いものではあるが、電気めっきによる金ストライクめっき層21の形成を妨げて、金ストライクめっき層21の密着性を低下させてしまう可能性がある。
このため、本実施形態では、金ストライクめっき層21の形成に先立って陽極電解工程(ステップS04)が行われ、これによりプローブピン10の表面に形成されている不動態膜が再度除去される。
陽極電解工程では、図3(A)に示した状態において、プローブピン10が陽極となり、電極棒30が陰極となるように、電源40によって電圧が印加される。プローブピン10の表面に形成されていた不動態膜はめっき浴50中に溶出して行き、最終的にはプローブピン10の表面(被めっき部分)からその殆どが除去される。陽極電解工程における印加電圧の大きさは、プローブピン10の表面を通過する電流の電流密度が3〜5A/cm2となるように調整される。陽極電解工程における処理時間は2〜5分間であり、開始時における不動態膜の厚さ等に応じて適宜調整される。
尚、陽極電解工程では、(陽極である)プローブピン10の表面において、水の電気分解によって酸素ガスが発生する。その結果、プローブピン10の表面には、当該酸素ガスの影響によって極微量の不動態膜が再形成される。つまり、陽極電解工程(ステップS04)では、プローブピン10の表面から不動態膜が殆ど除去されるのではあるが、完全に除去されるのではなく、極微量の不動態膜が再形成されて残った状態となる。
しかしながら、陽極電解工程(ステップS04)が完了した時点における不動態膜の量(厚さ)は極微量であって、続く金ストライクめっき工程(ステップS05)においては完全に除去されてしまう程度の量である。このため、金ストライクめっき層21の密着性が、表面の不動態膜によって低下してしまうことはない。
尚、不動態膜の形成されにくさに鑑みれば、めっき浴50としては、pHが1程度のものが望ましい。換言すれば、第二金(三価の金)からなるめっき浴を用いることが望ましい。めっき浴50のpHが1程度であれば、陽極電解工程(ステップS04)が完了した時点における不動態膜の量は更に低減され、続く金ストライクめっき工程(ステップS05)においては更に確実に不動態膜が除去される。その結果、金ストライクめっき層21の密着性をより高めることができる。
プローブピン10の表面から不動態膜が殆ど除去されると、陽極電解工程を終了し、金ストライクめっき工程(ステップS05)に移行する。金ストライクめっき工程は、プローブピン10が陽極となり、電極棒が陰極となるように、電源40から電圧を印加することで、プローブピン10の表面に(電気めっきにより)金ストライクめっき層21を形成する工程である。本実施形態では、陽極電解工程(ステップS04)から金ストライクめっき工程(ステップS05)への移行が、プローブピン10をめっき浴50から取り出すことなく、プローブピン10への印加電圧を変化させることにより行われる。すなわち、プローブピン10の被めっき部分がめっき浴50中に浸漬されたままの状態で、プローブピン10が陰極となり、電極棒30が陽極なるよう、電源40からの電圧の印加方向が切り替えられる。図3(B)は、このように金ストライクめっき工程が行われている状態を模式的に示している。
金ストライクめっき工程(ステップS05)への移行が上記のように行われるため、陽極電解工程(ステップS04)が開始されてから金ストライクめっき工程(ステップS05)が完了するまでの間は、プローブピン10はめっき浴50に浸漬された状態のままであり、プローブピン10の表面(被めっき部分)は一度も空気(外気中の酸素)に触れることがない。また、陽極電解工程(ステップS04)と金ストライクめっき工程(ステップS05)との間において水洗工程は行われないため、プローブピン10の表面が酸素を含んだ洗浄水に触れるようなこともない。従って、陽極電解工程(ステップS04)において不動態膜が除去された後は、プローブピン10の表面に不動態膜が再形成されることなく、そのまま金ストライクめっき工程(ステップS05)に移行して金ストライクめっき層21の形成が開始されることとなる。
このように、不動態膜の再形成を完全に抑制した状態で金ストライクめっき層21の形成が開始されるため、密着性の高い金ストライクめっき層21が確実に形成される。
尚、プローブピン10をめっき浴50中に浸漬させた状態で陽極電解処理(ステップS04)を施すと、プローブピン10の金属成分がめっき浴中に溶出する。このため、めっき条件(めっき浴50の状態)が変化し、金ストライクめっき工程(ステップS05)に悪影響を及ぼしてしまうようにも思われる。しかしながら、プローブピン10から溶出する金属成分はレニウム含有タングステンであるため、溶出してもめっき浴50の性能はほとんど変化せず、金ストライクめっき工程への悪影響はない。
金ストライクめっき工程(ステップS05)が完了し、金ストライクめっき層21が形成された後は、金ストライクめっき層21を外側から覆うように、イリジウムからなるめっき層20が形成される。めっき層20は、(不動態膜が形成されにくい)金ストライクめっき層21に対してめっきされるものであるから、プローブピン10の材料が難めっき材であることとは無関係に、従来の一般的なめっき方法によって容易に形成することができる。従って、めっき層20を形成するための具体的な手順については、その説明を省略する。
既に説明したように、本実施形態では、陽極電解工程(ステップS04)の前に行われる酸陰極電解工程(ステップS02)において、プローブピン10の表面に凹凸が形成される。プローブピン10の被めっき部分に予め凹凸が形成されることにより、後の金ストライクめっき工程(ステップS05)では、金ストライクめっき層21の密着性がアンカー効果によって更に高められる。
尚、本実施形態においては、酸陰極電解工程(ステップS02)から陽極電解工程(ステップS04)に移行する際に、水洗工程(ステップ03)が行われる態様としたが、当該水洗工程を省略してもよい。すなわち、酸陰極電解工程(ステップS02)が完了してから陽極電解工程(ステップS04)が開始されるまでの間に、プローブピン10には一度も水洗処理が施されない態様としてもよい。不動態膜形成の原因となり得る水洗処理を施さないことにより、酸陰極電解工程(ステップS02)が行われた以降において、プローブピン10の表面に不動態膜が形成されることを更に抑制することができる。
但し、水洗工程を省略した場合には、酸陰極電解工程(ステップS02)の処理液が、プローブピン10と共にめっき浴50に持ち込まれることとなる。このため、めっき浴50において錯塩の分解反応が生じたり、pHが低下し過ぎたりすることのないように、めっき浴50の状態管理を厳しく行う必要がある点に留意すべきである。例えば、pH等を自動調整するような装置を備えることが望ましい。
また、酸陰極電解工程(ステップS02)が完了してから陽極電解工程(ステップS04)が開始されるまでの間、プローブピン10の周囲の空間を窒素ガス等の不活性ガスで満たされた状態としてもよい。酸陰極電解工程等を行うための槽からプローブピン10が取り出されても、プローブピン10が空気(酸素)に触れてしまうことがないため、プローブピン10の表面に不動態膜が形成されることを更に抑制することができる。その結果、陽極電解工程(ステップS04)に要する時間を短縮することができる。
プローブピン10の周囲の空間を窒素ガス等の不活性ガスで満たされた状態とするには、例えば、酸陰極電解工程(ステップS02)及び陽極電解工程(ステップS04)を、窒素ガスが循環しているクリーンベンチ内で行えばよい。また、プローブピン10を、酸陰極電解工程等を行うための槽から取り出してからめっき浴50に浸漬するまでの間、プローブピン10の表面全体に常に窒素ガスを吹き付けるような態様としてもよい。
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
10:プローブピン
11:直状部
12:湾曲部
13:先端
20:めっき層
21:金ストライクめっき層
30:電極棒
40:電源
50:めっき浴

Claims (4)

  1. タングステン又はタングステン合金によって形成されたプローブピンの表面にめっき層を形成するためのめっき方法であって、
    前記プローブピンに陽極電解処理を施すことにより、前記プローブピンの表面から不動態膜を除去する除去工程と、
    電気めっきにより、前記プローブピンの表面に前記めっき層を形成する層形成工程と、を備えており、
    前記除去工程及び前記層形成工程は、いずれも、前記プローブピンをめっき浴に浸漬した状態で行われるものであって、
    前記除去工程から前記層形成工程への移行は、前記プローブピンを前記めっき浴から取り出すことなく、前記プローブピンへの印加電圧を変化させることにより行われることを特徴とするめっき方法。
  2. 前記除去工程よりも前に行われる凹凸形成工程を更に備えており、
    前記凹凸形成工程は、
    前記プローブピンに陰極電解処理を施すことにより、前記プローブピンの表面に凹凸を形成する工程であることを特徴とする、請求項1に記載のめっき方法。
  3. 前記凹凸形成工程が完了してから前記除去工程が開始されるまでの間に、前記プローブピンには水洗処理が施されないことを特徴とする、請求項2に記載のめっき方法。
  4. 少なくとも前記凹凸形成工程が完了してから前記除去工程が開始されるまでの間は、前記プローブピンの周囲の空間が不活性ガスで満たされた状態となっていることを特徴とする、請求項2又は3に記載のめっき方法。
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